JP2018023931A - 生物処理槽の運転方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】生物処理槽内の短絡流の発生が抑制され、生物処理槽内全体での撹拌が促進される生物処理槽の運転方法を提供する。
【解決手段】深さ6m以上、直径3.6m以下の生物処理槽内の底部に設けた散気管から曝気する生物処理槽の運転方法において、曝気強度を4.0Nm−Air/m−槽/hr以上とすることを特徴とする生物処理槽の運転方法。生物処理槽のCODcr負荷は2.0〜4.5kg−CODcr/m/dである。
【選択図】図1

Description

本発明は、生活排水、下水、食品工場、パルプ工場、半導体製造排水、液晶製造排水等の有機性排水の処理に広く利用することができる生物処理槽の運転方法に関する。
有機性排水を生物処理する場合に用いられる活性汚泥法は、処理水質が良好で、メンテナンスが容易であるなどの利点から、下水処理や産業廃水処理等に広く用いられている。しかしながら、活性汚泥法におけるBOD容積負荷は一般に0.5〜0.8kg/m/d程度であるため、広い敷地面積が必要となる。また、分解したBODの20〜40%が菌体、即ち汚泥へと変換されるため、大量の余剰汚泥処理も問題となる。
有機性排水の高負荷処理に関しては、担体を添加した流動床法が知られている。この方法を用いた場合、3kg/m/d以上のBOD容積負荷で運転することが可能となる。しかしながら、この方法では発生汚泥量は分解したBODの30〜50%程度で、通常の活性汚泥法より高くなることが欠点となっている。
特許文献1には、有機性排水をまず、第一処理槽で細菌により処理し、排水に含まれる有機物を酸化分解して非凝集性の細菌の菌体(分散性細菌)に変換した後、第二処理槽で固着性原生動物に捕食除去させる有機性排水の生物処理方法及び装置が記載されている。特許文献1では、生物処理槽は、直径2.2〜3.6m、高さ6〜11mであると記載されている。
図3を参照して特許文献1に示される有機性排水の生物処理装置を説明する。図3の通り、この有機性排水の生物処理装置では、第一生物処理槽41と、第二生物処理槽42とが基礎43上に立設され、配管70によって直列に接続されている。
第一生物処理槽41は、FRP製の円筒形の塔体50と、該塔体50の下部側面に設けられたフランジ構造の原水(被処理水)流入口51aと、該原水流入口51aに連なり、塔体50の内周面に沿って上方に延在し、上端部が水面位よりも上位にて開放した原水導入管51と、塔体50内の底部に設けられた散気管52と、散気管52を図示しないブロワに接続する空気配管53と、空気配管53の途中に連なるサイホンブレーク用配管53Aと、塔体50の上下方向の中間又はそれよりも下位に設けられた複数個のストレーナ54,54と、ストレーナ54同士を接続する接続配管55と、該接続配管55内に連通する処理水取出口56と、塔体50の内周面に沿って上下方向に延在したドレン配管57と、塔体50内に上下方向に設けられた消泡剤水溶液の注入配管58等を備えている。
塔体50の頂部に、開口50aが設けられ、塔体50内が該開口50aを介して大気に連通している。
原水導入管51の上端は、水面位よりも上方において塔体50内に開放している。原水導入管51の下端は封じられている。塔体50の下部側壁を貫くように設けられた原水流入口51aが該原水導入管51内の下端部に連通している。
空気配管53は、一端側が塔体50の下部を貫通して塔体50外に突出し、その先端にブロワからの空気供給配管が接続されている。空気配管53の他端が散気管52に接続されている。
空気配管53は、塔体50内において、水面位よりも上方に立ち上っており、この立ち上がりの最高位部53bにサイホンブレーク用配管53Aの一端が接続されている。サイホンブレーク用配管53Aは、塔体50内を下方に引き回されており、その他端側は塔体50の下部を貫通して塔体50外に突出している。このサイホンブレーク用配管53Aの先端部にバルブ53aが設けられている。
ストレーナ54は、塔体50の上下方向の中間付近又はそれよりも下位に設置されている。ストレーナ54は上下に離隔して2個設けられており、各ストレーナ54内が接続配管55によって連通されている。処理水取出口56は、塔体50に設けられた開口を介して該接続配管55内に連通している。
ドレン配管57は、塔体50の内周面に沿って上下方向に延設されている。ドレン配管57の最上部は、水面位よりも上方において塔体50内に開放している。ドレン配管57の下端部は塔体50の下部のドレン取出口57に連通している。
消泡剤の注水配管58は、塔体50内を上下方向に引き回されており、上端部は略U字状に曲成されて下向きとされ、塔体50内の水面位よりも上方において開放している。注水配管58の下端は、塔体50を貫通して塔体50外に突出している。
第二生物処理槽42は、上記第一生物処理槽41の構成をすべて具備しており、第一生物処理槽41と同一部分に同一符号が付されている。
第二生物処理槽42は、第一生物処理槽41の上記構成に加え、さらに処理水取出口56に接続された処理水取出配管60を備えている。この処理水取出配管60は、塔体50外を上方に引き回された後、塔体50の側壁を貫通して塔体50内に引き込まれ、第二生物処理槽10の水面よりも上方にまで立ち上がる立上部61と、該立上部61に一端側が連なり、水平方向に引き回された横引部62と、該横引部62の他端側に連なり、塔体50内の下部にまで延在し、塔体50外に突出した立下部63とを有し、該立下部63の末端が流出口64となっている。
立上部61の上端61aは、下向きに湾曲し、塔体50内に開放している。このため、横引部62のレベルが第二生物処理槽42内の水面レベルとなる。また、第一生物処理槽41の取出口56と第二生物処理槽42の流入口51aとが配管70で連通しているので、第一生物処理槽41内の水面レベルは第二生物処理槽42の水面レベルと同一となる。
配管60のうち塔体50外を引き回されている部分には、2個のバルブ66、67が設けられている。このバルブ66,67間に、バルブ68aを有した空気供給配管68が接続されている。また、バルブ66,67間に、サンプル水を取り出すためのサンプリング配管69が接続されている。この配管69にバルブ69aが設けられている。
第一生物処理槽41の処理水取出口56と第二生物処理槽42の流入口51aとを接続する配管70に2個のバルブ71,72が設けられている。バルブ71,72間に、バルブ74を有した空気供給配管73が接続されている。
なお、図示は省略するが、第一及び第二生物処理槽41,42には、余剰汚泥の取出管や槽内監視カメラの挿入管、配線挿通口、マンホール、予備座(図示略)等が設けられている。
第一及び第二生物処理槽41,42には、流動床担体が充填されている。
この有機性排水の処理装置によって有機性排水を処理するには、第一生物処理槽41の導入管51を介して原水(有機性排水)を第一生物処理槽51に導入し、散気管52で曝気し、分散性細菌(非凝集性細菌)により、有機成分(溶解性BOD)の70%以上、望ましくは80%以上、さらに望ましくは85%以上を酸化分解する。なお、曝気時には配管53Aのバルブ53aは閉とする。
第一生物処理槽41の処理水(第一生物処理水)を、流出口56から配管70を介して後段の第二生物処理槽42に導入し、曝気し、残存している有機成分の酸化分解、分散性細菌の自己分解及び微小動物の捕食による余剰汚泥の減量化を行う。なお、このとき、配管70のバルブ71,72及び配管60のバルブ66,67は開とされている。
第一及び第二生物処理槽41,42内で曝気を行っている時の空気は、塔頂の開口50aから塔外に排出される。曝気に際して生じた泡は配管57を介して塔体50外の排水ピットに排出される。この排水ピットに泡センサを設けておき、泡が多いときには消泡剤や水を注入する。
第一生物処理槽41のストレーナ54のスクリーン54bが目詰りしたときには、バルブ72を閉、バルブ74を開とし、空気供給配管73から空気を第一生物処理槽41のストレーナ54内に供給し、空気逆洗する。第二生物処理槽42のストレーナ54のスクリーン54bが目詰りしたときには、バルブ67を閉、バルブ68aを開とし、空気配管68から空気を第二生物処理槽42のストレーナ54内に供給し、空気逆洗する。
生物処理装置の運転の停止時には、各バルブ53aを開とし、生物処理槽41,42内の水が配管53内をサイホン現象で逆流することを防止する。
特許文献1の0094段落には、生物処理槽内への原水(被処理水)の流入口と処理水の流出口との距離、すなわち原水導入管51の上端部とストレーナ54(上側のもの)との距離を1.5m以上特に2m以上とすることにより、短絡流の割合が少なくなり、CODの分解時間を十分に確保できるようになると記載されている。
しかしながら、特許文献1について追試を行ったところ、原水の流入口と処理水の流出口を次のA〜Cのいずれとした場合も、曝気強度が小さいときには、短絡流が発生することが認められた。
A:流入口:塔体上部、流出口:塔体下部
B:流入口:塔体下部、流出口:塔体上部
C:流入口:塔体下部、流出口:塔体下部
特開2015−186799号公報
本発明は、このような問題を解決し、生物処理槽内の短絡流の発生が抑制され、生物処理槽内全体での撹拌が促進される生物処理槽の運転方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様の生物処理槽の運転方法は、深さ6〜11m、直径2.2〜3.6mの生物処理槽内の底部に設けた散気管から曝気する生物処理槽の運転方法において、曝気強度を4.0〜12.5Nm−Air/m−槽/hrとすることを特徴とするものである。
本発明の一態様では、CODcr負荷が2.0〜4.5kg−CODcr/m/dである。
本発明の一態様では、前記生物処理槽の底部の略全面に前記散気管が設けられている。
本発明の一態様では、前記散気管は粗気泡型の散気管である。
本発明の一態様では、前記生物処理槽内に嵩比重が1よりも小さい流動床担体が充填率5〜50%にて充填されている。
本発明の一態様では、前記生物処理槽の処理水を固液分離手段によって直接固液分離する。
本発明の一態様では、有機性排水を好気処理又は嫌気処理した後、前記生物処理槽で処理する。
本発明の生物処理槽の運転方法では、曝気強度を4.0Nm−Air/m−槽/hr以上としたことにより、槽内の渦流の数が増加し、生物処理槽全体の撹拌が促進され、短絡流が抑制される。
実施の形態に係る生物処理装置の縦断面図である。 実施の形態に係る生物処理装置の縦断面図である。 実施の形態に係る生物処理装置の断面図である。
本発明の生物処理槽の運転方法は、深さ6〜11m、直径2.2〜3.6mの生物処理槽内の底部に設けた散気管から曝気する生物処理槽の運転方法において、曝気強度を4.0〜12.5Nm−Air/m−槽/hrとすることを特徴とするものである。曝気強度は、ブロワからの送風量を制御することにより調整される。ブロワとしては、スクリューブロワ、ターボブロワ等の吐出圧力60kPa以上の高圧ブロワを用いることが好ましい。
散気管としては粗気泡型のものが好適である。散気管の口径が小さすぎると、圧損が大きくなると共に、気泡径が小さくなり、気泡上昇による撹拌が弱くなることがある。
本発明は、全面曝気による完全混合型である。
槽内液温度は好ましくは15〜42℃である。
本発明では、好ましくは、生物処理槽のCODcr負荷は2.0〜4.5kg−CODcr/m/dである。すなわちCOD負荷が低い場合であっても、上記範囲の曝気強度とする。
本発明では、好ましくは、処理槽を一過式とする。
本発明では各処理槽、特に最終段の処理槽における担体の充填率をある程度高めにすることにより、処理槽内の撹拌を促進することができる。ただし、充填率が過度に高いと逆に槽内の混合不足になる。よって担体の充填率は5〜50%、特に10〜40%とすることが好ましい。
本発明は連続式運転の曝気槽で好適に使用できるが、回分式運転の曝気槽であれば曝気工程において本発明方法を行う。
本発明は水深6〜10m、特に8〜10mの場合に特に好適に用いることができる。
本発明の一例では、図3に示した生物処理装置において、散気管52,62からの曝気強度を4.0〜12.5Nm−Air/m−槽/hr好ましくは4.0〜9.0Nm−Air/m−槽/hrとする。
図3に示した生物処理装置では、配管51,53を水面上まで延伸させているが、図1に示した生物処理装置のように、原水を原水流入口51aから直接槽内に流入させてもよく、また配管53を散気管52,62に直結してもよい。図1のその他の構成は図3と同一であり、同一符号は同一部分を示している。図1に示した生物処理装置においても、散気管52,62からの曝気強度を4.0〜12.5Nm−Air/m−槽/hr好ましくは4.0〜9.0Nm−Air/m−槽/hrとする。
本発明は、図2に示す生物処理装置にも適用できる。図2においても、第一生物処理槽1と、第二生物処理槽2とが基礎3上に立設され、配管4によって直列に接続されている。
第一生物処理槽1は、円筒形の塔体10と、該塔体10の下部側面に設けられたフランジ構造の原水流入口11aと、該原水流入口11aに連なり、塔体10内を上方に延在し、上端部が水面位よりも上位にて開放した原水導入管11と、塔体10内の底部の略全面に設けられた散気管12a,12bと、該塔体10内の下部に設けられたスクリーンボックス13と、下端が該スクリーンボックス13に連なり、上端が水面位よりも上位にて開放した立上管14と、該立上管14の上端近傍の側面から分岐し、塔体10内を立ち下り、塔体10の下部において塔体10外に引き出された流出配管15と、塔体10の上部に設けられた散水器16等を備えている。原水流入管11とスクリーンボックス13とは、塔体10の軸心を挟んで反対側に配置されている。
流出配管15の上端部15aのレベルが塔体10内の水面位となる。流出配管15の末端15bに前記配管4が接続されている。
塔体10内には流動床担体Cが充填されている。スクリーンボックス13は、塔体10内の中央側を指向した前面がウェッジワイヤ等よりなるスクリーン面となっている。担体Cはこのスクリーン面を不通過となっている。
散気管12aは、塔体10の底面の一半側に配置され、散気管12bは該底面の他半側に配置されている。散気管12aを配置した前記一半側と散気管12bを配置した前記他半側との中間を境界として塔体10の底面を二分した場合、該一半側領域の面積は塔体10の底面の面積の15〜50%好ましくは20〜45%となるように構成されている。
塔体10の頂部に開口17が設けられ、大気連通管17の一端が接続されている。大気連通管17は、塔体10内を通って下方に延設され、下端が基礎3の直近において塔体10外に引き出され、大気に向って開放している。
図示は省略するが、塔体10の頂部には開閉可能な予備座が設けられ、下部にはマンホール及び予備座が設けられている。
第二生物処理槽2は、塔体10と同一形状、同一大きさの円筒形の塔体20と、該塔体20の下部側面に設けられたフランジ構造の流入口21と、塔体20内の底部に設けられた散気管22a,22bと、該塔体20内の上下方向中間よりも若干下位に設置されたストレーナ23と、下端が該ストレーナ23に連なり、上端が水面位よりも上位にて開放した立上管24と、該立上管24の上端近傍の側面から分岐し、塔体20内を立ち下り、塔体20の下部において塔体20外に引き出された流出配管25と、塔体20の上部に設けられた散水器26等を備えている。
流出配管25の上端部25aのレベルが塔体20内の水面位となる。
塔体20内には流動床担体Cが充填されている。担体Cはストレーナ23を不通過となっている。
散気管22aは、塔体20の底面の一半側に配置され、散気管22bは該底面の他半側に配置されている。散気管22aを配置した前記一半側と散気管22bを配置した前記他半側との中間を境界として塔体20の底面を二分した場合、該一半側領域の面積は塔体20の底面の面積の15〜50%好ましくは20〜45%となるように構成されている。
散気管12a,12b,22a,22bは、それぞれバルブ(図示略)を介して図示しないブロワに接続されている。各バルブを操作することにより、散気管12a,22aのみへの空気供給態様(第1の供給態様)と、散気管12a,12bの双方、散気管22a,22bの双方への空気供給態様(第2の供給態様)とを切り替えることができる。つまり、散気管12aのバルブを開、散気管12bのバルブを閉とすることにより、散気管12aのみへ空気を供給して片面爆気することができ、散気管12a,12bのバルブを共に開とすることにより、散気管12a,12bへ空気を供給して全面爆気することができる。ブロワとしては、水位が高い場合には、スクリューブロワ、ターボブロワ等の吐出圧力60kPa以上の能力を備える高圧ブロワが好ましい。
塔体20の頂部に開口27aが設けられ、大気連通管27の一端が接続されている。大気連通管27は、塔体20内を下方に延設され、下端27eは基礎3の直近において塔体20外に引き出され、大気に向って開放している。
塔体20の頂部には開閉可能な予備座が設けられ、下部にはマンホール及び予備座が設けられている。
各塔体10,20は、ライニングを不要とするためFRP等の樹脂製が好ましいが、水質によっては鋼板であってもよい。FRPの場合には紫外線による劣化の防止、耐食性の向上を目的として耐候性塗料を塗布するのが好ましい。
なお、第一及び第二生物処理槽1,2には余剰汚泥の取出管、ドレン管、配線挿通口、サンプリング口(図示略)等が設けられている。槽内の監視は、カメラ又は動画撮影機能を備えた撮影機材(望ましくは照明付きもしくは赤外線カメラ)で行う。撮影データは無線又は有線にて送信する。撮影機材に撮影データを保管してもよい。塔体に予め保温材を巻いておいてもよい。
必要に応じ、水槽或いは周辺設備、配管等に、水位計、圧力計、流量計、水温計、水質計等の測定器を設置し、運転状況の監視や運転制御、運用管理等に用いる。また、付帯設備(例えば、送水、加温、薬品注入、曝気、脱水機能等を備えた設備)との組合せにより、水槽における処理を最適化するために利用する。
図2の生物処理装置によって有機性排水を処理するには、導入管11を介して原水(有機性排水)を第一生物処理槽1に導入し、散気管12a,12bで曝気し、分散性細菌(非凝集性細菌)により、有機成分(溶解性BOD)の70%以上、望ましくは80%以上、さらに望ましくは85%以上を酸化分解する。この曝気強度を4.0〜12.5Nm−Air/m−槽/hr好ましくは4.0〜9.0Nm−Air/m−槽/hrとする。
この第一生物処理槽1のpHは好ましくは6〜8.5とする。ただし、食品製造排水など原水中に油分を多く含む場合や、半導体製造排水や液晶製造排水など原水中に有機性の溶媒や洗浄剤を多く含む場合には分解速度を高くするため、pHは8〜9としても良い。
第一生物処理槽1への通水は、一過式とする。第一生物処理槽1のBOD容積負荷を1kg/m/d以上、例えば1〜20kg/m/d、HRT(原水滞留時間)を24h以下、好ましくは8h以下、例えば0.5〜8hとすることにより、分散性細菌が優占化した処理水を得ることができ、また、HRTを短くすることでBOD濃度の低い排水を高負荷で処理することができる。
第一生物処理槽1には、後段の生物処理槽からの汚泥の一部を返送したり、この第一生物処理槽1を二槽以上の多段構成とすることにより、BOD容積負荷5kg/m/d以上の高負荷処理も可能となる。
第一生物処理槽1の処理水(第一生物処理水)を、配管14,15,4、流入口21を介して後段の第二生物処理槽2に導入し、曝気し、残存している有機成分の酸化分解、分散性細菌の自己分解及び微小動物の捕食による余剰汚泥の減量化を行う。この曝気強度も4.0〜12.5Nm−Air/m−槽/hr好ましくは4.0〜9.0Nm−Air/m−槽/hrとする。
第二生物処理槽2では、細菌に比べ増殖速度の遅い微小動物の働きと細菌の自己分解を利用するため、微小動物と細菌が系内に留まるような運転条件及び処理装置を用いる必要がある。そこで、この実施の形態では、第二生物処理槽2には、流動床担体Cを充填して微小動物の槽内保持量を高めている。
次に図1〜3に示した生物処理装置の運転条件について述べる。
第一生物処理槽1,41の溶存酸素(DO)濃度を1mg/L以下、好ましくは0.5mg/L以下として、糸状性細菌の増殖を抑制して分散性細菌生成を促進しても良い。
流動床担体の形状は、球状、ペレット状、中空筒状、糸状、板状等の任意であり、大きさ(径)は0.1〜10mm程度である。流動床担体の材料は、天然素材、無機素材、高分子素材等任意であり、ゲル状物質を用いても良い。なお、流動床担体は、乾燥状態において嵩比重が1よりも小さいものであり、具体的にはスポンジ担体が好適である。
微小動物による捕食を促進させるため、第二生物処理槽2,42のpHを7.0以下としても良い。
第二生物処理槽2,42では、分散状態の菌体を捕食する濾過捕食型微小動物だけでなく、フロック化した汚泥を捕食できる凝集体捕食型微小動物も増殖する。後者は遊泳しながらフロックを捕食するため、優先化した場合、汚泥は食い荒らされ、微細化したフロック片が散在する汚泥(沈降性の悪い汚泥)となる。また、このフロック片により、特に後段で膜分離を行う膜式活性汚泥法では膜の目詰まりが発生する。そこで、凝集体捕食型微小動物を間引くため、SRTを60日以下望ましくは45日以下の範囲内で一定に制御することが望ましい。ただし15日未満では不必要に頻繁すぎて凝集体捕食型微小動物だけでなく濾過捕食型微小動物の数が減少しすぎるので15日以上とするのが好ましい。
第一生物処理槽1,41では有機物の大部分、すなわち排水BODの70%以上、望ましくは80%以上を分解し、菌体へと変換しておく必要があるが、第一生物処理槽1,41で溶解性有機物を完全に分解した場合、第二生物処理槽2ではフロックが形成されず、また、微小動物増殖のための栄養も不足し、圧密性の低い汚泥(沈降性の悪い汚泥)のみが優占化した生物処理槽となる。そこで、原水の一部をバイパスして第二生物処理槽2,42に供給し、第二生物処理槽2,42への溶解性BODによる汚泥負荷が0.025kg−BOD/kg−MLSS/d以上となるように運転してもよい。この時のMLSSには担体付着分のMLSSも含む。
第二生物処理槽2,42から取り出される処理水に対して、より高度な処理水水質を得るために固液分離として膜分離、凝集沈殿、加圧浮上のいずれを行ってもよい。なお、処理水を直接に固液分離することが好ましい。凝集沈殿や加圧浮上を行うときは、凝集剤の添加量の低減することができる。第二生物処理槽2からの沈降分離水を凝集槽で凝集処理し、次いで固液分離槽(沈殿槽)で沈殿処理して処理水と沈降汚泥とに分離してもよい。
第一、第二生物処理槽1,41,2,42において、曝気に伴って発泡が生じたときには、散水器16,26,58から消泡剤水溶液を散水して発泡を防止することが好ましい。
図1〜3は、本発明の一例を示すものであり、本発明は何ら図示のものに限定されない。例えば、第一生物処理槽1,41、第二生物処理槽2,42の後段に第三生物処理槽を設けるなどして、生物処理槽を3段以上に設けてもよい。また、逆に生物処理を例えば流動床担体による1段処理のみにすることも可能である。
また、図1〜3は第一生物処理槽で諸条件を調整して分散性細菌の生成を促進しているが、第一生物処理槽でBOD除去率を優先する運転を行う場合にも本発明を適用できる。その他、アンモニア態窒素を含む原水を処理する場合は図1〜3の第一生物処理槽1,41と第二生物処理槽2,42の間に硝化槽を設ける場合も第二生物処理槽に本発明を適用できる。さらには、直列多段に設けられた嫌気性処理槽と流動床好気性処理槽の最終段処理槽にも本発明を適用できる。
この実施の形態では、第一生物処理槽及び第二生物処理槽の塔体が同一形状、同一大きさであるため、各塔体を多数設置する場合でも各塔体を近接して設置し、塔体間のスペースを小さくし、有機性排水処理装置全体の設置スペースを小さくすることができる。また、塔体の製造コストも安価となる。複数の塔体を並列に設置する場合、各塔体の構成が同一であるから、塔体の据付作業や各塔体の配管接続作業が同じとなり、作業効率が向上し、工期の短縮を図ることができる。
各塔体10,20,50は、直径が2.2〜3.6m、特に2.4〜3.3mであり、高さが6〜11m、特に8〜11mであり、高さHと直径Dとの比H/Dが1.5〜5.0特に3.0〜4.5であることが好ましい。また、主要な配管の接続部やマンホール、ストレーナ、散気管などは、基礎からの高さが4m以下、特に3.0m以下であることが好ましい。このように配管接続部、マンホール、ストレーナ、散気管などを低位置に設けることにより、配管接続作業や機器設置作業、各種メンテナンス作業が高所作業ではなくなり、作業効率及び安全性が向上する。
本発明では、嫌気又は好気処理槽の最前段に調整槽を設置してもよい。この調整槽としては、原水流量を平準化するための原水槽、固形物を沈降させるための沈降槽、加圧浮上装置などが例示されるが、これに限定されない。
本発明では、各生物処理槽は、予め塔体に散気管などの付属機器を工場で取り付けておき、現場にトラック、トレーラー等で移送し、基礎上に据え付けるように施工を行うのが好ましい。これにより、現場作業数を減少させ、工期の短縮や、組み立て精度の向上などを図ることができる。
[実施例1]
内径2.5m、高さ10m、水深8.8m、ストレーナ54の設置高さを下端3.5m、上端5.5mとした図1に示す構成の生物処理槽42の塔体50内に担体として3mm角、嵩比重0.04g/cmのスポンジ担体704kgを投入し、散気管から全面曝気した。曝気強度は表1の通りとした。散気管は粗気泡型の市販のものを使用した。CODcr負荷は2.5〜3.0kg−CODcr/m/dの範囲で推移した。
短絡流の発生割合を確認するために、通水中の流入口近傍にトレーサ物質として塩化リチウムをパルス投入後、処理水を継時的に採取しリチウム濃度分析を行った。
塔内のデッドスペースと短絡流を考慮した完全混合槽モデルに対してリチウム濃度の実測値に基づいてデッドスペース容積と短絡流流量をパラメータとしてフィッティングを行い、その結果から短絡流発生割合を算出した。
Figure 2018023931
表1より、曝気強度を4.0Nm−Air/m−槽/hr以上とすることにより、短絡流の発生割合が著しく低くなることが認められた。
1,41 第一生物処理槽
2,42 第二生物処理槽
10,20,50 塔体
12a,12b,22a,22b,52,62 散気管
23,54 ストレーナ

Claims (7)

  1. 深さ6〜11m、直径2.2〜3.6mの生物処理槽内の底部に設けた散気管から曝気する生物処理槽の運転方法において、曝気強度を4.0〜12.5Nm−Air/m−槽/hrとすることを特徴とする生物処理槽の運転方法。
  2. 請求項1において、CODcr負荷が2.0〜4.5kg−CODcr/m/dであることを特徴とする生物処理槽の運転方法。
  3. 請求項1又は2において、前記生物処理槽の底部の略全面に前記散気管が設けられていることを特徴とする生物処理槽の運転方法。
  4. 請求項3において、前記散気管は粗気泡型の散気管であることを特徴とする生物処理槽の運転方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項において、前記生物処理槽内に嵩比重が1よりも小さい流動床担体が充填率5〜50%にて充填されていることを特徴とする生物処理槽の運転方法。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項において、前記生物処理槽の処理水を固液分離手段によって直接固液分離することを特徴とする生物処理槽の運転方法。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項において、有機性排水を好気処理又は嫌気処理した後、前記生物処理槽で処理することを特徴とする生物処理槽の運転方法。
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