JP2016150276A - 生物処理槽及び有機性排水の処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】生物処理槽への被処理水の通水を停止しているときでも槽内の水質を測定することができる生物処理槽及び有機性排水の処理方法を提供する。【解決手段】第一生物処理槽1及び第二生物処理槽2は同一形状及び同一大きさの塔体10,20を有している。スクリーンボックス13又はストレーナ23を通過した水がエアリフト作用によって立上管33,43内を上昇して塔体10,20に戻る。立上管33,43に設けた水質測定器によって水質が測定される。生物処理槽1,2への通水が停止しているときでも、ブロワ50を作動させて立上管33,43に水を流し、水質を測定することができる。【選択図】図1
Description
本発明は、生活排水、下水、食品工場、パルプ工場、半導体製造排水、液晶製造排水等の有機性排水の処理に広く利用することができる生物処理槽に係り、特に水質測定器を備えた生物処理槽に関する。また、本発明は、この生物処理槽を用いた有機性排水の処理方法に関する。
有機性排水を生物処理する場合に用いられる活性汚泥法は、処理水質が良好で、メンテナンスが容易であるなどの利点から、下水処理や産業廃水処理等に広く用いられている。しかしながら、活性汚泥法におけるBOD容積負荷は一般に0.5〜0.8kg/m3/d程度であるため、広い敷地面積が必要となる。また、分解したBODの20〜40%が菌体、即ち汚泥へと変換されるため、大量の余剰汚泥処理も問題となる。
有機性排水の高負荷処理に関しては、担体を添加した流動床法が知られている。この方法を用いた場合、3kg/m3/d以上のBOD容積負荷で運転することが可能となる。しかしながら、この方法では発生汚泥量は分解したBODの30〜50%程度で、通常の活性汚泥法より高くなることが欠点となっている。
特許文献1には、有機性排水をまず、第一処理槽で細菌により処理し、排水に含まれる有機物を酸化分解して非凝集性の細菌の菌体に変換した後、第二処理槽で固着性原生動物に捕食除去させることで余剰汚泥の減量化が可能になることが記載されている。さらに、この方法では高負荷運転が可能となり、活性汚泥法の処理効率も向上するとされている。
このように細菌の高位に位置する原生動物や後生動物の捕食を利用した廃水処理方法は、多数考案されている。例えば、特許文献2には、特許文献1の処理方法で問題となる原水の水質変動による処理性能悪化の対策が記載されている。具体的な方法としては、「被処理水のBOD変動を平均濃度の中央値から50%以内に調整する」、「第一処理槽内および第一処理水の水質を経時的に測定する」、「第一処理水の水質悪化時には微生物製剤または種汚泥を第一処理槽に添加する」等の方法をあげている。
特許文献3では、細菌、酵母、放線菌、藻類、カビ類や廃水処理の初沈汚泥や余剰汚泥を原生動物や後生動物に捕食させる際に超音波処理または機械攪拌により、捕食されるフロックのフロックサイズを動物の口より小さくさせる方法を提案している。
流動床と活性汚泥法の多段処理による有機性排水の生物処理方法としては、特許文献4に記載のものがある。この方法では、後段の活性汚泥法をBOD汚泥負荷0.1kg−BOD/kg−MLSS/dの低負荷で運転することで、汚泥を自己酸化させ、汚泥引き抜き量を大幅に低減できるとしている。
ところで、従来、生物処理槽の水質を測定する場合、生物処理槽からの処理水流出管に水質測定器を設けることが多い。処理水流出管が高位置を引き回されている場合には、処理水の一部を分岐ラインに流し、この分岐ラインの一部を低位置に引き回し、この低位置部分に水質測定器を設けることがある。分岐ラインを通過した処理水は、原水槽に戻される。
処理水流出管や分岐ラインに水質測定器を設けた場合、生物処理槽への被処理水の供給を停止したときには、生物処理槽からの処理水の流出が停止するので、処理水の水質を精度良く測定することができない。
また、分岐ラインに分岐させた処理水を原水槽に戻す場合には、処理水を再度処理することになり、非効率である。
本発明は、このような問題点を解決し、生物処理槽への被処理水の通水を停止しているときでも槽内の水質を測定することができる生物処理槽と、この生物処理槽を用いた有機性排水の処理方法を提供することを目的とする。
本発明の生物処理槽は、被処理水の流入部と、処理水の流出部とを有する生物処理槽において、該生物処理槽内の水を該生物処理槽の水面位よりも上方にまで導いて該生物処理槽内に戻すための、少なくとも一部が立上管となっている配管と、該立上管内に気体を導入して該立上管内に上昇流を生じさせる気体導入部と、該配管に設けられた水質測定器とを備えたことを特徴とするものである。
本発明では、前記配管への流入部にスクリーン又はストレーナが設けられていてもよい。
本発明では、前記生物処理槽内に散気管が設置されており、該散気管と前記気体導入部とに共通の圧気源から空気が供給されてもよい。
本発明の有機性排水の生物処理方法は、有機性排水をかかる本発明の生物処理槽によって処理するものである。
本発明では、第一段の生物処理槽において、分散菌による有機物の分解により分散菌の増加した第一生物処理水を生成させ、後段の第二生物処理槽において、第二生物処理水を生成させることが好ましい。また、第一生物処理槽及び第二生物処理槽は同一形状及び同一大きさの塔体を有しており、塔体の高さが6〜11mであることが好ましい。
本発明では、生物処理槽への通水停止時においても前記立上管に気体を供給して前記水質測定器で水質を測定してもよい。
本発明の生物処理槽では、立上管に空気などの気体を供給すると、槽内の水が立上管内を上昇し、循環する。この循環する水の水質が水質測定器で測定される。
本発明の生物処理槽では、生物処理槽に通水していないときでも、立上管内に気体を供給することにより、循環流を形成し、水質測定器で精度良く水質測定を行うことができる。
本発明では、立上管を上昇した水が再び生物処理槽に戻されるので、処理効率が良好である。本発明方法によると、常に水質を監視し、水処理を適切な条件で行うことも可能である。
本発明方法は、生物処理槽の比高(H/D)の大きい場合に適用するのに好適である。
本発明の一態様で用いる有機性排水の処理装置は、規格寸法(同一形状、同一大きさ)の塔体を有する水処理ユニットを複数個備えたものであり、各水処理ユニットは予め工場にて製作しておくことができる。また、各槽のサイズが統一されているので、装置の設計・施工も共通化され、簡易・迅速に行うことができる。また、槽同士の間のスペースを小さくすることもできる。さらに、生物処理槽の増設も容易である。
本発明の一態様では、生物処理槽を多段に設け、前段の生物処理槽を、有機物を分散菌に変換する分散菌槽とし、最後段の生物処理槽に、分散菌を捕食する固着性の濾過捕食型微小動物の足場として担体を設ける。この処理においては、微小動物を安定して維持し、処理水質を安定化させることができる。
以下に図面を参照して本発明の有機性排水の生物処理装置の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の有機性排水の生物処理装置の実施の形態を示すものであり、第一生物処理槽1と、第二生物処理槽2とが基礎3上に立設され、配管4によって直列に接続されている。
第一生物処理槽1は、円筒形の槽体(以下、塔体ということがある。)10と、該塔体10の下部側面に設けられたフランジ構造の原水流入口11aと、該原水流入口11aに連なり、塔体10内を上方に延在し、上端部が水面位よりも上位にて開放した原水導入管11と、塔体10内の底部に設けられた散気管12と、該塔体10内の下部に設けられたスクリーンボックス13と、下端が該スクリーンボックス13に連なり、上端が水面位よりも上位にて開放した処理水取出用立上管14と、該処理水取出用立上管14の上端近傍の側面から分岐し、塔体10内を立ち下り、塔体10の下部において塔体10外に引き出された流出配管15と、塔体10の上部に設けられた散水器16等を備えている。散気管12にはブロワ50から空気が供給される。
流出配管15の上端部15aのレベルが塔体10内の水面位となる。流出配管15の末端15bに前記配管4が接続されている。
塔体10内には流動床担体Cが充填されている。スクリーンボックス13は、塔体10内の中央側を指向した前面がウェッジワイヤ等よりなるスクリーン面となっている。担体Cはこのスクリーン面を不通過となっている。
塔体10の頂部に開口17aが設けられ、大気連通管17の一端が接続されている。大気連通管17は、塔体10内を通って下方に延設され、下端が基礎3の直近において塔体10外に引き出され、大気に向って開放している。
図示は省略するが、塔体10の頂部には開閉可能な予備座が設けられ、下部にはマンホール及び予備座が設けられている。
処理水取出用立上管14の下部から分岐管30が分岐している。この分岐管30は、塔体10の側壁を貫通している。この分岐管30は、バルブ31を介して立上管33の下端に連なっている。立上管33は鉛直上方に立ち上っており、上端33aは塔体10内の水面位よりも上方において大気に開放している。
立上管33の上端近傍に横引配管34の基端が連なっている。この横引配管34は、先端側ほど下位となるように傾斜している。横引配管34は、塔体10を貫通して塔体10内に差し込まれており、その先端は塔体10の水面位よりも上方において開放している。
立上管33の下部に水質測定器37及びバルブ32が設けられている。水質測定器37はバルブ32よりも下位に設けられている。
立上管33の下端に、上方に向って空気を噴出するようにエアノズル36が設置されている。このエアノズル36には、前記ブロワ50から空気が供給可能とされている。このエアノズル36から立上管33内に空気を供給すると、この空気が立上管33内を上昇し、エアリフト作用により立上管33内に上昇流が形成される。これにより、塔体10内の水がスクリーンボックス13を通り分岐管30、立上管33、横引配管34の順に流れる。そして、立上管33内を流れる水の水質が水質測定器37で測定される。
この実施の形態では、この水質測定器37及び後述の水質測定器47としてpH計が用いられているが、溶存酸素(DO)計、COD計、水温計など他の水質測定器であってもよく、2以上の水質測定器を設けてもよい。
なお、ブロワ50としては、水位が高い場合には、スクリューブロワ、ターボブロワ等の吐出圧力60kPa以上の能力を備える高圧ブロワが好ましい。
第二生物処理槽2は、塔体10と同一形状、同一大きさの円筒形の塔体20と、該塔体20の下部側面に設けられたフランジ構造の流入口21と、塔体20内の底部に設けられた散気管22と、該塔体20内の上下方向中間よりも若干下位に設置されたストレーナ23と、下端が該ストレーナ23に連なり、上端が水面位よりも上位にて開放した処理水取出用立上管24と、該処理水取出用立上管24の上端近傍の側面から分岐し、塔体20内を立ち下り、塔体20の下部において塔体20外に引き出された流出配管25と、塔体20の上部に設けられた散水器26等を備えている。散気管22には前記ブロワ50から空気が供給される。
流出配管25の上端部25aのレベルが塔体20内の水面位となる。
塔体20内には流動床担体Cが充填されている。担体Cはストレーナ23を不通過となっている。
塔体20の頂部に開口27aが設けられ、大気連通管27の一端が接続されている。大気連通管27は、塔体20内を下方に延設され、下端27eは基礎3の直近において塔体20外に引き出され、大気に向って開放している。
塔体20の頂部には開閉可能な予備座が設けられ、下部にはマンホール及び予備座が設けられている。
処理水取出用立上管24の下部から分岐管40が分岐している。この分岐管40は、塔体20の側壁を貫通している。この分岐管40はバルブ41を介して立上管43の下端に連なっている。立上管43は鉛直上方に立ち上っており、上端43aは塔体20内の水面位よりも上方において大気に開放している。
立上管43の上端近傍に横引配管44の基端が連なっている。この横引配管44は、先端側ほど下位となるように傾斜している。横引配管44は、塔体20を貫通して塔体20内に差し込まれており、その先端は塔体20の水面位よりも上方において開放している。
立上管43の下部に水質測定器47及びバルブ42が設けられている。水質測定器47はバルブ42よりも下位に設けられている。
立上管43の下端に、上方に向って空気を噴出するようにエアノズル46が設置されている。このエアノズル46には、前記ブロワ50から空気が供給可能とされている。このエアノズル46から立上管43内に空気を供給すると、この空気が立上管43内を上昇し、エアリフト作用により立上管43内に上昇流が形成される。これにより、塔体20内の水がストレーナ23を通り分岐管40、立上管43、横引配管44の順に流れる。そして、立上管43内を流れる水の水質が水質測定器47で測定される。
各塔体10,20は、ライニングを不要とするためFRP等の樹脂製が好ましいが、水質によっては鋼板であってもよい。FRPの場合には紫外線による劣化の防止、耐食性の向上を目的として耐候性塗料を塗布するのが好ましい。
なお、第一及び第二生物処理槽1,2には余剰汚泥の取出管、ドレン管や槽内監視カメラの挿入管、配線挿通口、サンプリング口(図示略)等が設けられている。槽内の監視は、カメラ又は動画撮影機能を備えた撮影機材(望ましくは照明付きもしくは赤外線カメラ)を常時又は適宜に槽内に挿入して行う。撮影データは無線又は有線にて送信する。撮影機材に撮影データを保管してもよい。塔体に予め保温材を巻いておいてもよい。
必要に応じ、水槽或いは周辺設備、配管等に、水位計、圧力計、流量計、水温計、水質計等の測定器を設置し、運転状況の監視や運転制御、運用管理等に用いる。また、付帯設備(例えば、送水、加温、薬品注入、曝気、脱水機能等を備えた設備)との組合せにより、水槽における処理を最適化するために利用する。
この有機性排水の処理装置によって有機性排水を処理するには、導入管11を介して原水(有機性排水)を第一生物処理槽1に導入し、散気管12で曝気し、分散性細菌(非凝集性細菌)により、有機成分(溶解性BOD)の70%以上、望ましくは80%以上、さらに望ましくは85%以上を酸化分解する。pH計(水質測定器37)で検出されるこの第一生物処理槽1のpHは好ましくは6〜8.5とする。ただし、食品製造排水など原水中に油分を多く含む場合や、半導体製造排水や液晶製造排水など原水中に有機性の溶媒や洗浄剤を多く含む場合には分解速度を高くするため、pHは8〜9としても良い。pHを制御するには、槽内に硫酸などの酸や、水酸化ナトリウムなどのアルカリを添加するのが好ましい。
第一生物処理槽1への通水は、一過式とする。第一生物処理槽1のBOD容積負荷を1kg/m3/d以上、例えば1〜20kg/m3/d、HRT(原水滞留時間)を24h以下、好ましくは8h以下、例えば0.5〜8hとすることにより、分散性細菌が優占化した処理水を得ることができ、また、HRTを短くすることでBOD濃度の低い排水を高負荷で処理することができる。
第一生物処理槽1には、後段の生物処理槽からの汚泥の一部を返送したり、この第一生物処理槽1を二槽以上の多段構成とすることにより、BOD容積負荷5kg/m3/d以上の高負荷処理も可能となる。
なお、第一生物処理槽1には、固定床担体又は揺動床担体を設けてもよい。揺動床担の素材は、発泡合成樹脂特に軟質ポリウレタンフォームが好ましい。第一生物処理槽1にこのような薄い板状ないし短冊状の軽量ポリウレタンフォームのような多孔質のシート状揺動床担体を設置すると、揺動床担体が、十分な弾力性を有し、槽内の水の流れの中でたわむ(形状維持しない)ことにより、薄くても十分な機械的強度を持ち、破損することがない。また、たわむことで槽内の通水を阻害することなく均一に混合され、担体の多孔質構造内にも均等に汚泥含有液が通水されるようになる。
第一生物処理槽1における担体の充填率が高い場合、分散菌は生成せず、細菌は担体に付着するか、糸状性細菌が増殖する。そこで、第一生物処理槽1に添加する担体の充填率を、流動床担体の場合は10%以下、例えば1〜10%とし、固定床担体、揺動性担体の場合は5%以下、例えば0.5〜5%とすることで、濃度変動に影響されず、捕食しやすい分散菌の生成が可能になる。
第一生物処理槽1の溶存酸素(DO)濃度を1mg/L以下、好ましくは0.5mg/L以下として、糸状性細菌の増殖を抑制しても良い。
第一生物処理槽1の処理水(第一生物処理水)を、配管14,15,4、流入口21を介して後段の第二生物処理槽2に導入し、曝気し、残存している有機成分の酸化分解、分散性細菌の自己分解及び微小動物の捕食による余剰汚泥の減量化を行う。
第二生物処理槽2では、細菌に比べ増殖速度の遅い微小動物の働きと細菌の自己分解を利用するため、微小動物と細菌が系内に留まるような運転条件及び処理装置を用いる必要がある。そこで、この実施の形態では、第二生物処理槽2には、流動床担体Cを充填して微小動物の槽内保持量を高めている。
流動床担体Cの形状は、球状、ペレット状、中空筒状、糸状、板状等の任意であり、大きさ(径)は0.1〜10mm程度である。担体Cの材料は、天然素材、無機素材、高分子素材等任意であり、ゲル状物質を用いても良い。なお、担体Cは、乾燥状態において嵩比重が1よりも小さいものであり、具体的にはスポンジ担体が好適である。
第二生物処理槽2には、流動床担体のほかにさらに揺動床担体を充填してもよい。
第二生物処理槽2では、微小動物を維持するための多量の足場が必要となるが、過度に担体の充填率が多いと槽内の混合不足、汚泥の腐敗などが起こるため、添加する担体の充填率は、0.5〜30%、特に1〜10%程度とすることが望ましい。
微小動物による捕食を促進させるため、pH計(水質測定器47)で検出される第二生物処理槽2のpHを7.0以下としても良い。
第二生物処理槽2では、分散状態の菌体を捕食する濾過捕食型微小動物だけでなく、フロック化した汚泥を捕食できる凝集体捕食型微小動物も増殖する。後者は遊泳しながらフロックを捕食するため、優先化した場合、汚泥は食い荒らされ、微細化したフロック片が散在する汚泥(沈降性の悪い汚泥)となる。また、このフロック片により、特に後段で膜分離を行う膜式活性汚泥法では膜の目詰まりが発生する。そこで、凝集体捕食型微小動物を間引くため、SRTを60日以下望ましくは45日以下の範囲内で一定に制御することが望ましい。ただし15日未満では不必要に頻繁すぎて凝集体捕食型微小動物だけでなく濾過捕食型微小動物の数が減少しすぎるので15日以上とするのが好ましい。
第一生物処理槽1では有機物の大部分、すなわち排水BODの70%以上、望ましくは80%以上を分解し、菌体へと変換しておく必要があるが、第一生物処理槽1で溶解性有機物を完全に分解した場合、第二生物処理槽2ではフロックが形成されず、また、微小動物増殖のための栄養も不足し、圧密性の低い汚泥(沈降性の悪い汚泥)のみが優占化した生物処理槽となる。そこで、原水の一部をバイパスして第二生物処理槽2に供給し、第二生物処理槽2への溶解性BODによる汚泥負荷が0.025kg−BOD/kg−MLSS/d以上となるように運転してもよい。この時のMLSSには担体付着分のMLSSも含む。
第二生物処理槽2からストレーナ23及び配管24,25を介して取り出される処理水に対して、より高度な処理水水質を得るために固液分離として膜分離、凝集沈殿、加圧浮上のいずれを行ってもよい。なお、凝集沈殿や加圧浮上を行うときは、凝集剤の添加量の低減することができる。第二生物処理槽2からの沈降分離水を凝集槽で凝集処理し、次いで固液分離槽(沈殿槽)で沈殿処理して処理水と沈降汚泥とに分離してもよい。
第一、第二生物処理槽1,2において、曝気に伴って発泡が生じたときには、散水器16,26から消泡剤水溶液を散水して発泡を防止することが好ましい。
この実施の形態では、生物処理槽1,2への通水を停止しているときでも、エアノズル36,46に空気を供給し、塔体10,20内の水を立上管33,43に流通させ、水質測定器37,47で測定することができる。また、この立上管33,43を上昇した水は、再びそれぞれの塔体10,20に戻されるので、処理効率が良好である。
バルブ31,32,41,42を閉じることにより、水質測定器37,47のメンテナンスや交換を行うことができる。バルブ31,32,41,42及び水質測定器37,47の基礎3からの高さを低くしておくことにより、メンテナンス等の作業を容易に行うことができる。
上記実施の形態では、水質測定器37,47は立上管33,43に設けられているが、分岐管30,40のうちバルブ31,41よりも下流側に設けてもよい。バルブ31,41は、立上管33,43の下部(水質測定器37,47よりも下位)に設けられてもよい。
図1は、本発明の実施の形態の一例を示すものであり、本発明は何ら図示のものに限定されない。例えば、第一生物処理槽1、第二生物処理槽2の後段に第三生物処理槽を設けるなどして、生物処理槽を3段以上に設けてもよい。
この実施の形態では、塔体10,20が同一形状、同一大きさであるため、各塔体10,20を多数設置する場合でも各塔体を近接して設置し、塔体間のスペースを小さくし、有機性排水処理装置全体の設置スペースを小さくすることができる。また、塔体10,20の製造コストも安価となる。複数の塔体を並列に設置する場合、各塔体の構成が同一であるから、塔体の据付作業や各塔体の配管接続作業が同じとなり、作業効率が向上し、工期の短縮を図ることができる。
各塔体10,20は、直径が2.2〜3.6m、特に2.4〜3.3mであり、高さが6〜11m、特に8〜11mであり、高さHと直径Dとの比H/Dが1.5〜5.0特に3.0〜4.5であることが好ましい。また、主要な配管の接続部やマンホール、ストレーナ23、散気管12,22、水質測定器37,47、バルブ31,32,41,42などは、基礎3からの高さが4m以下、特に3.0m以下であることが好ましい。このように配管接続部、マンホール、ストレーナ23、散気管12,22、水質測定器37,47、バルブ31,32,41,42などを低位置に設けることにより、配管接続作業や機器設置作業、各種メンテナンス作業が高所作業ではなくなり、作業効率及び安全性が向上する。
本発明では、第一生物処理槽1の前段に嫌気処理槽を設置し、嫌気処理槽の処理水を第一生物処理槽に導入するようにしてもよい。この嫌気処理槽の塔体の大きさも塔体10,20と同一としてもよい。
本発明では、嫌気又は好気処理槽の最前段に調整槽を設置してもよい。この調整槽としては、原水流量を平準化するための原水槽、固形物を沈降させるための沈降槽、加圧浮上装置などが例示されるが、これに限定されない。
本発明では、各生物処理槽は、予め塔体に散気管、水質測定器などの付属機器を工場で取り付けておき、現場に移送し、基礎上に据え付けるように施工を行うのが好ましい。これにより、現場作業数を減少させ、工期の短縮や、組み立て精度の向上などを図ることができる。
本発明では、生物処理槽は嫌気槽であってもよい。この場合、ノズル36,46には窒素など非酸化性ガスを供給する。
1 第一生物処理槽
2 第二生物処理槽
10,20 塔体
12,22 散気管
13 スクリーンボックス
23 ストレーナ
33,43 立上管
37,47 水質測定器
50 ブロワ
2 第二生物処理槽
10,20 塔体
12,22 散気管
13 スクリーンボックス
23 ストレーナ
33,43 立上管
37,47 水質測定器
50 ブロワ
Claims (8)
- 被処理水の流入部と、処理水の流出部とを有する生物処理槽において、
該生物処理槽内の水を該生物処理槽の水面位よりも上方にまで導いて該生物処理槽内に戻すための、少なくとも一部が立上管となっている配管と、
該立上管内に気体を導入して該立上管内に上昇流を生じさせる気体導入部と、
該配管に設けられた水質測定器と
を備えたことを特徴とする生物処理槽。 - 請求項1において、前記配管への流入部にスクリーン又はストレーナが設けられていることを特徴とする生物処理槽。
- 請求項1又は2において、前記生物処理槽内に散気管が設置されており、
該散気管と前記気体導入部とに共通の圧気源から空気が供給されることを特徴とする生物処理槽。 - 有機性排水を請求項1ないし3のいずれか1項の生物処理槽で生物処理する有機性排水の生物処理方法。
- 請求項4において、第一段の生物処理槽において、分散菌による有機物の分解により分散菌の増加した第一生物処理水を生成させ、
後段の第二生物処理槽において、第二生物処理水を生成させることを特徴とする有機性排水の生物処理方法。 - 請求項5において、第一生物処理槽及び第二生物処理槽は同一形状及び同一大きさの塔体を有しており、該塔体の高さが6〜11mであることを特徴とする有機性排水の生物処理方法。
- 請求項5又は6において、前記水質測定器はpH計であり、
検出されたpHに基づいて前記生物処理槽内のpHを制御することを特徴とする生物処理する有機性排水の生物処理方法。 - 請求項4ないし7のいずれか1項において、生物処理槽への通水停止時においても前記立上管に気体を供給して前記水質測定器で水質を測定することを特徴とする有機性排水の生物処理方法。
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JP2015027729A Pending JP2016150276A (ja) | 2015-02-16 | 2015-02-16 | 生物処理槽及び有機性排水の処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2016150276A (ja) |
-
2015
- 2015-02-16 JP JP2015027729A patent/JP2016150276A/ja active Pending
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