JP2018023617A - 洗濯機 - Google Patents

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Abstract

【課題】洗濯物出入用の開口部が蓋により閉じられた閉状態において当該蓋を回動不能にロックするロック装置を備える洗濯機において、ロック装置を適切なタイミングで動作させることができる洗濯機を提供する。【解決手段】本実施形態に係る洗濯機は、洗濯機本体と、前記洗濯機本体に設けられた洗濯物出入用の開口部と、前記開口部を開閉する蓋と、前記開口部を閉じる方向に回動する前記蓋に対し所定の抵抗力を作用させるダンパと、前記蓋が前記開口部を閉じた閉状態を検知する閉状態検知装置と、前記閉状態となった前記蓋を回動不能にロックするロック動作を実行するロック装置と、前記閉状態検知装置により前記閉状態が検知されると、所定の遅延時間を設定して前記ロック装置による前記ロック動作の開始タイミングを遅らせる遅延時間設定手段と、を備える。【選択図】図6

Description

本発明の実施形態は、洗濯機に関する。
例えば回転槽の軸方向が縦方向である、いわゆる縦軸型の洗濯機は、洗濯機本体の上部を構成するトップカバーに洗濯物出入用の開口部を有する。そして、洗濯機は、この開口部を開閉する蓋を備える。蓋は、ヒンジ部により回動可能に支持されている。例えば特許文献1に開示されている洗濯機は、この種の洗濯機において、蓋が開口部を閉じた閉状態を検知するための閉状態検知装置を備えた構成となっている。特許文献1の洗濯機は、蓋の先端付近に磁石を備えるとともに、洗濯機本体側のプリント基板に、磁石に反応するホールICまたはリードスイッチを備えている。特許文献1の洗濯機は、ホールICまたはリードスイッチの出力をマイクロコンピュータに入力することにより、蓋の開閉を検出するようになっている。
特開2002−346290号公報
この種の洗濯機においては、蓋を閉状態にロックするロック装置を設けた構成が考えられている。この構成によれば、ロック装置を動作させることにより、運転中にユーザが蓋を開けてしまうことを回避することができる。ロック装置は、閉状態検知装置によって蓋が閉状態であることが検知されたことを条件に動作するように構成されている。
しかしながら、上記従来の閉状態検知装置では、ホールIC、リードスイッチ、磁石などの性能や品質のばらつき、取付位置などの構成態様のばらつきなどによって、蓋が完全に閉じていない状態でも、蓋が閉状態であると検知してしまうおそれがある。このような誤検知が発生する場合、ロック装置が適切なタイミング、つまり、蓋が開口部を閉じた閉状態となったタイミングで動作できないおそれがある。特に、勢い良く蓋が閉じてしまうことを防止するためのダンパ機構をヒンジ部に設けたものでは、蓋が完全に閉じていない早いタイミング、つまり、蓋が完全な閉状態となる前のタイミングでロック装置が動作してしまうおそれが、より一層大きくなる。
そこで、洗濯物出入用の開口部が蓋により閉じられた閉状態において当該蓋を回動不能にロックするロック装置を備える洗濯機において、ロック装置を適切なタイミングで動作させることができる洗濯機を提供する。
本実施形態に係る洗濯機は、洗濯機本体、洗濯物出入用の開口部、蓋、ダンパ、閉状態検知装置、ロック装置、遅延時間設定手段、を備える。洗濯物出入用の開口部は、前記洗濯機本体に設けられている。蓋は、前記開口部を開閉する。ダンパは、前記開口部を閉じる方向に回動する前記蓋に対し所定の抵抗力を作用させる。閉状態検知装置は、前記蓋が前記開口部を閉じた閉状態を検知する。ロック装置は、前記閉状態となった前記蓋を回動不能にロックするロック動作を実行する。遅延時間設定手段は、前記閉状態検知装置により前記閉状態が検知されると、所定の遅延時間を設定して前記ロック装置による前記ロック動作の開始タイミングを遅らせる。
本実施形態に係る洗濯機の構成例を概略的に示す縦断側面図 蓋およびその周辺部分の構成例を概略的に示す側面図 ロック装置およびその周辺部分の構成例を概略的に示す縦断側面図 洗濯機の制御系の構成例を概略的に示すブロック図 遅延時間が設定されている場合における蓋ロック処理の一例を示す図 蓋ロック処理の一例を示すフローチャート 第2実施形態に係る洗濯機の制御系の構成例を概略的に示すブロック図
以下、洗濯機に係る複数の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各実施形態において実質的に同一の要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
(第1実施形態)
図1に例示する洗濯機1は、回転槽の回転軸が縦方向であるいわゆる縦軸型の洗濯機であり、外郭を構成する中空箱状の洗濯機本体2の上部に蓋3を回動可能に備えている。洗濯機本体2は、外箱4およびトップカバー5を備える。外箱4は、例えば鋼板からなり、全体として矩形箱状に構成されている。トップカバー5は、合成樹脂製である。外箱4の内部には、有底円筒状をなし、水を溜めることが可能な水槽6が設けられている。水槽6は、周知の弾性吊持機構7により弾性的に吊り下げられるようにして支持されている。水槽6の底部には、排水口8が形成されている。この排水口8には、例えば電子制御式の排水弁9を備えた排水路10が接続されている。
水槽6の内部には、洗濯槽および脱水槽を兼用する縦軸型の回転槽11が回転可能に設けられている。この回転槽11は、有底円筒状をなし、その周壁部には、多数個の脱水孔11aを有している。この回転槽11の上端部には、例えば液体封入形の回転バランサ12が取り付けられている。また、回転槽11の内部の底部には、撹拌体であるパルセータ13が設けられている。回転槽11の内部には、衣類などの洗濯物が収容される。
水槽6の上部には、水槽カバー14が装着されている。この水槽カバー14には、ほぼ中央部に、洗濯物出入用の開口部14aが設けられている。この水槽カバー14の後部には、給水用の図示しない給水口が設けられている。トップカバー5の内部の後部には、給水機構部が設けられている。この給水機構部は、水道などの給水源に接続されるホース接続口15、図4に例示する給水弁16、図示しない注水ケース、給水ホースなどからなる周知の構成であり、給水ホースの先端部が水槽カバー14の給水口に接続されている。
また、水槽6の下部には、周知の駆動機構部17が設けられている。この駆動機構部17は、例えばアウタロータタイプのDC三相ブラシレスモータからなる洗濯機モータ18を備えている。また、駆動機構部17は、洗濯機モータ18の駆動力をパルセータ13や回転槽11に選択的に伝達するクラッチ機構部などを備えている。クラッチ機構部は、洗濯機1の動作全般を制御する制御装置19により制御される。クラッチ機構部は、洗い行程およびすすぎ行程では、回転槽11を停止させた状態で、洗濯機モータ18の駆動力をパルセータ13に伝達して当該パルセータ13を低速で正転方向および逆転方向に回転させる。また、クラッチ機構部は、脱水行程では、洗濯機モータ18の駆動力を回転槽11およびパルセータ13に伝達し、回転槽11およびパルセータ13を一方向に回転させる。
外箱4の上部には、薄形の中空箱状をなす合成樹脂製のトップカバー5が装着されている。トップカバー5の中央部には、回転槽11の上方に位置して、洗濯物出入用のほぼ円形状の開口部20が設けられている。トップカバー5の前部には、操作パネル21が設けられている。制御装置19は、この操作パネル21の裏面側に設けられている。操作パネル21には、ユーザにより操作される操作部22、表示部23、ブザー24などが設けられている。
トップカバー5の上部には、開口部20を開閉するための蓋3が設けられている。蓋3は、例えばプラスチック材料からなり、薄型の矩形板状をなす。蓋3は、開口部20の上面全体を覆う大きさを有する。蓋3の基端部にはヒンジ部25が設けられている。ヒンジ部25は、洗濯機本体2のトップカバー5に対し、蓋3を回動可能に支持する。なお、蓋は、前蓋部と後蓋部とを折りたたみ可能に連結した、いわゆる二つ折りタイプの蓋であってもよい。
トップカバー5の内部には、ダンパ26が設けられている。ダンパ26は、例えばオイルなどにより所定の抵抗を発生する周知の構成となっている。ダンパ26は、開口部20を閉じる方向に回動する蓋3に対し所定の抵抗力を作用させる。蓋3が途中まで、例えば蓋3とトップカバー5との間の隙間が10〜15cm程度となるところまで閉じられると、ダンパ26が作動する。ダンパ26が作動する状態では、蓋3が開口部20を閉じる方向に回動するスピードがよりゆっくりとなる。
図2および図3に例示するように、蓋3の先端部の左端側には、磁石27が設けられている。一方、トップカバー5の内部には、蓋3が開口部20を完全に閉じた閉状態において当該蓋3側の磁石27に対応する位置、つまり、当該磁石27の真下となる位置に、磁石27に反応する磁気的な構成要素として、この場合、リードスイッチ28が設けられている。リードスイッチ28は、磁石27の磁気を検知する磁気検出センサとして機能する。
リードスイッチ28は、洗濯機本体2と、蓋3、換言すれば磁石27との間の距離に応じた出力信号を出力する。図4に例示すように、リードスイッチ28の出力信号は、制御装置19に入力される。制御装置19は、リードスイッチ28の出力値を所定の判定値と比較することにより、蓋3が閉状態となったか否かを判断する。
即ち、制御装置19は、磁石27およびリードスイッチ28と協働することにより、蓋3が閉状態となったことを検知する閉状態検知装置として機能する。図3に例示するように、本実施形態では、蓋3が開口部20を閉じた状態では、蓋3の先端部の下面とトップカバー5の上面との間の上下方向の隙間Gの寸法が、所定の寸法、例えば0〜数mm、例えば5mm程度となるように設計されている。そのため、閉状態検知装置としての制御装置19は、この状態、つまり、隙間Gが所定の寸法となった状態を、完全な閉状態として認識するようになっている。
図3に例示するように、トップカバー5の内部には、閉状態となった蓋3を回動不能、つまり、開口部20を開く方向に回動することをロックするためロック装置29が設けられている。ロック装置29は、リードスイッチ28の近傍部分、例えばリードスイッチ28からの距離が数cm以内の部分に設けられている。蓋3の先端部の左端側には、下方に延びる係止部材30が一体に設けられている。この係止部材30には、当該係止部材30を貫通する係止孔30aが形成されている。係止孔30aは、係止部材30の突出方向に対し直交する方向に延びている。また、トップカバー5には、蓋3が閉状態となった場合に係止部材30が挿入される凹部31が設けられている。
ロック装置29は、凹部31の内部にロックピン32を突出させるように構成されている。即ち、ロック装置29の内部には、例えばソレノイドなどを駆動源としてロックピン32を動作させる図示しない駆動機構部が設けられている。図4に例示するように、ロック装置29は制御装置19により制御される。制御装置19によりロック装置29がオン動作されると、図3に例示するように、ロックピン32が凹部31の内部に突出する。このとき、蓋3が完全な閉状態となっており、係止部材30が凹部31内に挿入されていれば、当該係止部材30の係止孔30a内にロックピン32が挿入される。これにより、完全な閉状態となった蓋3が回動不能にロックされる。
一方、制御装置19によりロック装置29がオフ動作されると、ロックピン32が凹部31からロック装置29内に引っ込められ、これにより、係止部材30の係止孔30aにロックピン32が係止した係止状態、つまり、蓋3のロック状態が解除され、蓋3は回動可能な状態となる。なお、蓋3のロック状態においても、係止部材30の係止孔30aとロックピン32との間には若干のマージンが存在している。そのため、ロック状態においても、蓋3を上下方向に若干、例えば5mm程度の数mmであれば動かすことができる。
制御装置19は、図示しないマイクロコンピュータを備えており、このマイクロコンピュータにおいて制御プログラムを実行することにより、洗濯機1の動作全般を制御する。図4に例示するように、制御装置19には、リードスイッチ28からの出力信号が入力される。また、制御装置19には、操作部22からの操作信号が入力される。
制御装置19は、駆動回路35を介して洗濯機モータ18を制御する。また、制御装置19には、洗濯機モータ18の回転位置を検出する回転センサ36からの信号が入力される。また、制御装置19は、駆動回路37を介して給水弁16を制御し、駆動回路38を介して排水弁9を制御する。また、制御装置19は、駆動回路39を介して表示部23を制御し、駆動回路40を介してブザー24を制御し、駆動回路41を介してロック装置29を制御する。
また、制御装置19は、マイクロコンピュータにおいて制御プログラムを実行することにより、遅延時間設定処理部51をソフトウェアにより仮想的に実現する。なお、制御装置19は、遅延時間設定処理部51をハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせにより実現してもよい。
遅延時間設定処理部51は、遅延時間設定手段の一例であり、閉状態検知装置として機能する制御装置19が蓋3の閉状態を検知してから、ロック装置29が蓋3を回動不能にロックするための動作を開始するまでの間に、所定の遅延時間DTを設定する。つまり、遅延時間設定処理部51は、閉状態検知装置として機能する制御装置19が蓋3の閉状態を検知すると、所定の遅延時間DTを設定することにより、ロック装置29による蓋3のロック動作の開始タイミングを遅延時間DTだけ遅らせる。即ち、閉状態検知装置として機能する制御装置19は、磁石27およびリードスイッチ28の性能や品質のばらつき、取付位置などの構成態様のばらつきなどの影響により、蓋3が完全な閉状態となる前に、蓋3が閉状態になったと誤検知するおそれがある。
特に、洗濯機1は、開口部20を閉じる方向に回動する蓋3に対しダンパ26により抵抗力を付与する構成であるので、蓋3が完全な閉状態となる前であっても、蓋3側の磁石27が洗濯機本体2側のリードスイッチ28にある程度近付くと、蓋3が閉状態になったと誤検知してしまうおそれが大きい。そこで、制御装置19は、遅延時間設定処理部51により遅延時間DTを設定することにより、ロック装置29の動作開始を遅らせ、これにより、仮に蓋3が閉状態になったと誤検知したとしても、ロック装置29を適切なタイミング、つまり、蓋3が完全な閉状態となった後のタイミングで動作させるようにしている。
図5は、遅延時間設定処理部51により遅延時間DTが設定されている場合における蓋ロック処理の一例を視覚的に示す。即ち、制御装置19は、閉状態検知装置として蓋3の閉状態を検知すると、遅延時間設定処理部51により遅延時間DTを設定する。そして、制御装置19は、設定された遅延時間DTが経過すると、ロック装置29に対しロック指令を出力する。即ち、制御装置19は、蓋3の閉状態が検知されると直ちにロック指令を出力するのではなく、蓋3の閉状態が検知されてから所定の遅延時間DTが経過した後にロック指令を出力する。ロック指令が入力されたロック装置29は、凹部31の内部にロックピン32を突出させる。このとき、蓋3が完全な閉状態となっており凹部31内に係止部材30が挿入されていれば、当該係止部材30の係止孔30aにロックピン32が挿通され、これにより、蓋3が閉状態にて回動不能にロックされる。そして、その後において、制御装置19は、蓋3の閉状態が維持されている限り、遅延時間DTの設定処理を行わないようになっている。
次に、洗濯機1による蓋ロック処理の一例の流れについて説明する。図6に例示するように、制御装置19は、ユーザによる操作部22の操作により運転開始の入力を受け付けると(A1:YES)、閉状態検知装置として機能することにより、蓋3の閉状態を検知したか否かを確認する(A2)。制御装置19は、蓋3の閉状態を検知していない場合(A2:NO)には、表示部23に、蓋3が閉じられていないことを示すエラー表示を表示する(A3)。このとき、制御装置19は、ブザー24によりエラー音を出力してもよい。そして、制御装置19は、ステップA2に移行して、再び、蓋3の閉状態が検知されたか否かを確認する。
制御装置19は、蓋3の閉状態を検知した場合(A2:YES)には、蓋開フラグがセットされているか否かを確認する(A4)。制御装置19は、リードスイッチ28が磁石27に反応している状態、つまり、オン状態が解除されると蓋開フラグを設定する。即ち、蓋3が開かれて磁石27がリードスイッチ28から所定距離以上離れると、蓋開フラグがセットされるようになっている。
制御装置19は、蓋開フラグがセットされている場合(A4:YES)には、蓋開フラグをリセットして、遅延時間設定処理部51により遅延時間DTを設定する(A5)。そして、制御装置19は、設定した遅延時間DTが経過したか否かを監視する(A6)。制御装置19は、遅延時間DTが経過すると(A6:YES)、ロック装置29にロック指令を出力する(A7)。これにより、開状態から完全な閉状態になった蓋3が当該閉状態にて回動不能にロックされる。
一方、制御装置19は、蓋開フラグがセットされていない場合(A4:NO)には、遅延時間DTを設定することなくステップA7に移行して、ロック装置29にロック指令を出力する。これにより、開状態を経由することなく完全な閉状態のまま維持されている蓋3が当該閉状態にて回動不能にロックされる。
本実施形態に係る洗濯機1によれば、制御装置19は、当該制御装置19が閉状態検知装置として蓋3の閉状態を検知してからロック装置29が蓋3を回動不能にロックするまでの間に、所定の遅延時間DTを設定する。この構成によれば、ダンパ26が発生する抵抗力により蓋3が開口部20を閉じる方向に回動するスピードが遅くなったとしても、蓋3が完全な閉状態になるまでロック装置29の作動を待機させることができる。つまり、蓋3が完全な閉状態となる前にロック装置29が作動してしまうことを回避することができ、閉状態となった蓋3を回動不能にロックするためのロック装置29を備える洗濯機1において、そのロック装置29を適切なタイミング、つまり、蓋3が完全な閉状態となった後のタイミングで動作させることができる。
また、洗濯機1によれば、制御装置19は、蓋3が開口部20を開いた開状態を経由した上で閉状態検知装置として蓋3の閉状態を検知した場合、つまり、蓋3が開閉された場合に、遅延時間DTを設定する。即ち、ユーザが蓋3を開閉していない場合、開閉したとしても蓋3を閉じてからある程度の時間、少なくともダンパ26により回動スピードが緩められた蓋3が完全な閉状態となるまでに要する十分な時間が経過している場合などには、蓋3が完全な閉状態となっている可能性が高いため、敢えて遅延時間DTを設けなくとも、蓋3を閉状態にて回動不能にロックすることができる。そのため、このような場合、つまり、蓋3が完全な閉状態となっている可能性が高い場合には遅延時間DTを設定しないようにすることで、遅延時間DTの設定に伴う無用な遅延時間が発生することを回避することができ、より迅速に運転を開始することができる使い勝手のよい洗濯機を提供することができる。
また、蓋3が開状態から閉状態に移行した場合に限り遅延時間DTを設けるようにすることで、蓋3が完全な閉状態となる前にロック装置29が作動してしまうおそれがある場合には、ロック装置29の作動を遅らせることができ、蓋3を閉状態にてロックすることを一層確実に行うことができる。
(第2実施形態)
図7に例示する洗濯機1の制御装置19は、さらに、温度を検知するための温度センサ61を備える。温度センサ61は、例えば、水槽6内に供給される水の温度を検知するものでもよいし、水槽6そのものの温度を検知するものでもよいし、洗濯機1周辺の外気の温度を検知するものでもよいし、洗濯機1の内部の温度を検知するものでもよい。即ち、温度センサ61は、洗濯機1に関連する種々の環境温度を検知できるものであればよい。
そして、遅延時間設定処理部51は、温度センサ61が検知する温度に応じて遅延時間DTを調整して設定する。この場合、遅延時間設定処理部51は、温度センサ61による検知温度が高温であるほど短い遅延時間DTを設定し、逆に、温度センサ61による検知温度が低温であるほど長い遅延時間DTを設定するように構成するとよい。
例えば油圧式のダンパ26によれば、温度によってオイルの粘度が変化するため、発生する抵抗力は、高温であるほど弱く、逆に、低温であるほど強くなる。即ち、例えば、洗濯機1が寒冷地において使用され環境温度が低温、例えば0℃となる場合と、洗濯物を乾燥する乾燥運転が長時間実行され環境温度が高温、例えば50℃となる場合とでは、ダンパ26が発生する抵抗力が異なってくる。即ち、例えば環境温度が0℃となる低温時では、ダンパ26が作動してから蓋3が完全な閉状態となるまでに例えば10秒を要し、例えば環境温度が50℃となる高温時では、ダンパ26が作動してから蓋3が完全な閉状態となるまでに例えば3秒を要する。このように、蓋3の回動速度は、環境温度が低温であるほど遅くなる。そのため、洗濯機1の環境温度、換言すれば、環境温度に応じて変化するダンパ26の抵抗力に合わせて遅延時間DTを調整して設定することにより、ロック装置29を一層適切なタイミングで動作させることができる。
(その他の実施形態)
本実施形態は、上述した複数の実施形態に限られるものではなく、例えば、次のように拡張または変更することができる。例えば、本実施形態に係る洗濯機は、上述した複数の実施形態を組み合わせた構成としてもよい。また、本実施形態は、回転槽の回転軸が水平軸または傾斜軸となる、いわゆる横軸型のドラム式洗濯機にも適用することができる。また、洗濯機は、リードスイッチに代えて、出力信号が線形とならないホールICを備える構成であってもよい。
また、制御装置19は、例えばメモリなどの記憶媒体に運転回数あるいは蓋3の開閉回数を記憶するように構成し、その運転回数あるいは開閉回数に基づいて、設定する遅延時間DTを調整するようにしてもよい。例えば油圧式のダンパ26では、オイルの劣化により粘度が高くなり、従って、経年劣化により、発生する抵抗力が大きくなり、蓋3の回動速度も遅くなる。そのため、運転回数あるいは蓋3の開閉回数が多いほど長い遅延時間DTを設定し、逆に、運転回数あるいは蓋3の開閉回数が少ないほど短い遅延時間DTを設定することにより、ロック装置29を一層適切なタイミングで動作させることができる。
また、制御装置19は、所定の操作を受け付けた場合に、遅延時間設定処理部51が設定する遅延時間DTを補正できるように構成してもよい。所定の操作は、一般のユーザが知り得ない特別な操作を設定するとよい。例えば、ダンパ26の仕様が変更された場合、ダンパ26が交換された場合、使用するダンパ26の種類が変更された場合などには、そのダンパ26に適した遅延時間DTが設定されるように、制御プログラムや制御用データなどを書き換えておくことが好ましい。そのため、例えばサービスマンなどにより特別な操作が入力された場合に、遅延時間DTのデフォルトの設定値を補正することを可能に構成しておくことで、ダンパ26の仕様変更、交換、種類変更などがあったとしても、そのダンパ26の抵抗力に応じた遅延時間DTを設定することができ、ロック装置29を適切なタイミングで動作させることができる。
本実施形態に係る洗濯機によれば、蓋の閉状態が検知されると、所定の遅延時間が設定され、これにより、ロック装置が蓋をロックするための動作を開始するタイミングが遅延する。この構成によれば、洗濯物出入用の開口部が蓋により閉じられた閉状態において当該蓋を回動不能にロックするロック装置を備える洗濯機において、そのロック装置を適切なタイミングで動作させることができる。
なお、本実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。本実施形態およびその変形は、発明の範囲および要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
図面中、1は洗濯機、2は洗濯機本体、3は蓋、19は制御装置(閉状態検知装置)、20は洗濯物出入用の開口部、26はダンパ、29はロック装置、51は遅延時間設定処理部(遅延時間設定手段)、61は温度センサを示す。

Claims (3)

  1. 洗濯機本体と、
    前記洗濯機本体に設けられた洗濯物出入用の開口部と、
    前記開口部を開閉する蓋と、
    前記開口部を閉じる方向に回動する前記蓋に対し所定の抵抗力を作用させるダンパと、
    前記蓋が前記開口部を閉じた閉状態を検知する閉状態検知装置と、
    前記閉状態となった前記蓋を回動不能にロックするロック動作を実行するロック装置と、
    前記閉状態検知装置により前記閉状態が検知されると、所定の遅延時間を設定して前記ロック装置による前記ロック動作の開始タイミングを遅らせる遅延時間設定手段と、
    を備える洗濯機。
  2. 前記遅延時間設定手段は、前記蓋が前記開口部を開いた開状態を経由して前記閉状態検知装置により前記閉状態が検知された場合に前記遅延時間を設定する請求項1に記載の洗濯機。
  3. 温度を検知する温度センサをさらに備え、
    前記遅延時間設定手段は、前記温度センサが検知する温度に応じて前記遅延時間を調整する請求項1または2に記載の洗濯機。
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