以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。
(特徴1)制御手段は、温度センサで測定された外気温度から第1沸き上げ設定温度または第2沸き上げ設定温度を特定してもよい。
タンク内の温水の温度と外気温度の温度差が、タンク内の温水の温度が低下してゆくときの直接的な要因になる。よって、この外気温度から第1沸き上げ設定温度または第2沸き上げ設定温度を特定することによって、温水の放熱状況に応じた沸き上げ設定温度を特定することができる。
(特徴2)制御手段は、温度センサで測定された給水温度から第1沸き上げ設定温度または第2沸き上げ設定温度を特定してもよい。
通常、給水温度は外気温度に応じて変化し、外気温度が低いほど給水温度も低く、外気温度が高いほど給水温度も高い。上記の構成によれば、外気温度を測定するための温度センサが無くても、給水温度を測定する温度センサによって、温水の放熱状況に応じた沸き上げ設定温度を特定することができる。外気温度を測定するための温度センサを別途設ける必要がない。
(特徴3)記憶手段は、温度センサで測定された外気温度または給水温度から第2沸き上げ設定温度より給湯設定温度に近い第3沸き上げ設定温度を特定する第3特定情報を記憶していてもよい。制御手段は、ヒートポンプによって沸き上げる温水の全量が沸き上げ運転の開始から第1の所定時間内に温水利用箇所に供給されることが予測される場合であって、温水利用箇所に第2の所定時間内に供給される温水の予測量が所定量より多い場合は、記憶手段が記憶している第3特定情報を用いて、温度センサで測定された外気温度または給水温度から第3沸き上げ設定温度を特定し、タンク内の水が第3沸き上げ設定温度になるように沸き上げ運転を実行してもよい。
温水利用箇所に第2の所定時間内に供給される温水の予測量が所定量より多い場合では、温水がタンク内に留まる時間が更に短くなり、温水の温度低下が更に小さくなる。この場合は、第2沸き上げ設定温度より給湯設定温度に近い第3沸き上げ設定温度によって沸き上げ運転を実行する。すなわち、更に低温で沸き上げ運転を実行している。低温で沸き上げ運転を実行しても、温水の温度低下が更に小さいので、温水の温度が給湯設定温度より低くなる可能性を下げることができる。また、より低温で沸き上げ運転を実行するので、ヒートポンプにおけるCOPをより高くすることができる。
(特徴4)タンクから温水利用箇所に供給される水をガスの燃焼によって加熱するガス加熱器を更に備えていてもよい。
給湯設定温度に近い沸き上げ設定温度で水を沸き上げると、温水がタンク内に留まる時間が長くなってしまった場合に、温水の温度が給湯設定温度より低くなってしまうことが考えられる。この場合でも、上記の構成によれば、温水利用箇所に供給される水をガス加熱器によって加熱することができるので、水を給湯設定温度まで加熱することができる。よって、確実に給湯設定温度の温水を温水利用箇所に供給することができる。
(実施例)
図1は、本実施例に係る給湯システム2の構成を示している。図1に示すように、本実施例に係る給湯システム2は、タンク10と、タンク水循環路20と、給水路30と、供給路40と、ヒートポンプ50と、バーナ加熱装置60と、コントローラ100と、を備える。
ヒートポンプ50は、外気から吸熱して、タンク水循環路20内の水を加熱する熱源である。ヒートポンプ50は、タンク10内の水を沸き上げる装置である。ヒートポンプ50は、図示しないが、熱媒体(例えばR32等)を循環させる熱媒体循環路と、外気と熱媒体との間で熱交換を行う蒸発器と、熱媒体を圧縮して高温高圧にする圧縮器と、タンク水循環路20内の水と高温高圧の熱媒体との間で熱交換を行う凝縮器と、熱交換を終えた後の熱媒体を減圧させて低温低圧にする膨張弁と、を備えている。
ヒートポンプ50には、サーミスタ103(温度センサの一例)が取り付けられている。サーミスタ103は、外気温度を測定する。サーミスタ103の配置位置は特に限定されるものではなく、例えば、タンク10にサーミスタ103が取り付けられていてもよい。
タンク10は、ヒートポンプ50によって沸き上げられた温水を貯える。タンク10は、密閉型であり、断熱材によって外側が覆われている。タンク10内には満水まで水が貯留されている。本実施例では、タンク10の容量は100Lである。タンク10には、サーミスタ12、14、16、18がタンク10の高さ方向に所定間隔で取り付けられている。各サーミスタ12、14、16、18は、その取付位置の水の温度を測定する。例えば、各サーミスタ12、14、16、18は、それぞれ、タンク10の上部から6L、12L、30L、50Lの位置の水の温度を測定する。
タンク水循環路20は、上流端がタンク10の下部に接続されており、下流端がタンク10の上部に接続されている。タンク水循環路20には、循環ポンプ22が介装されている。循環ポンプ22は、タンク水循環路20内の水を上流側から下流側へ送り出す。また、タンク水循環路20は、ヒートポンプ50の熱交換器(図示省略)を通過している。そのため、ヒートポンプ50を作動させると、タンク水循環路20内の水がヒートポンプ50の熱交換器で加熱される。従って、循環ポンプ22とヒートポンプ50とを作動させると、タンク10の下部の水がヒートポンプ50で加熱され、加熱された水がタンク10の上部に戻される。即ち、タンク水循環路20は、タンク10に蓄熱するための水路である。また、タンク水循環路20のヒートポンプ50の上流側には、サーミスタ24が介装されている。サーミスタ24は、タンク10の下部から導出され、ヒートポンプ50を通過する前の水の温度を測定する。
給水路30は、上流端が水道水供給源31に接続されている。給水路30は、タンク10に水道水を供給する。給水路30には、サーミスタ32が介装されている。サーミスタ32は、水道水の給水温度を測定する。給水路30の下流側は、第1導入路30aと第2導入路30bに分岐している。第1導入路30aの下流端は、タンク10の下部に接続されている。第2導入路30bの下流端は、後述の供給路40の途中に接続されている。第2導入路30bの下流端と供給路40との接続部分には、混合弁42が設けられている。混合弁42は、供給路40内を流れる温水に、第2導入路30b内の水を混合させる量を調整する。
供給路40は、上流端がタンク10の上部に接続されている。上述したように、供給路40の途中には、給水路30の第2導入路30bが接続されており、接続部分には混合弁42が設けられている。混合弁42より上流側の供給路40には、サーミスタ43が介装されている。サーミスタ43は、タンク10から供給路40に供給される温水の温度を測定する。第2導入路30bとの接続部より下流側の供給路40には、バーナ加熱装置60(ガス加熱器の一例)が介装されている。また、バーナ加熱装置60より下流側の供給路40には、サーミスタ44が介装されている。サーミスタ44は、温水利用箇所に供給される温水の温度を測定する。バーナ加熱装置60は、サーミスタ44が測定する温水の温度が、給湯設定温度と一致するように、供給路40内の水を加熱する。バーナ加熱装置60は、ガスの燃焼によって水を加熱する。供給路40の下流端は、温水利用箇所(例えば台所、浴槽等)に接続されている。
コントローラ100(制御手段の一例)は、各構成要素と電気的に接続されており、各構成要素の動作を制御する。コントローラ100には、使用者が様々な指示を入力可能な操作部と、様々な情報を表示可能な表示部とを有するリモコン104(設定手段の一例)が接続されている。リモコン104では、温水利用箇所における給湯設定温度を設定することができる。
コントローラ100は、メモリ102(記憶手段の一例)を備えている。メモリ102は、様々な情報を記憶することができる。メモリ102は、図2に示す第1特定表と第2特定表と第3特定表を記憶している。第1特定表(第1特定情報の一例)は、外気温度と第1沸き上げ設定温度の対応を示している。第1特定表では、サーミスタ103で測定された外気温度から第1沸き上げ設定温度を特定することができる。第2特定表(第2特定情報の一例)は、外気温度と第2沸き上げ設定温度の対応を示している。第2特定表では、サーミスタ103で測定された外気温度から第2沸き上げ設定温度を特定することができる。第3特定表(第3特定情報の一例)は、外気温度と第3沸き上げ設定温度の対応を示している。第3特定表では、サーミスタ103で測定された外気温度から第3沸き上げ設定温度を特定することができる。
第1沸き上げ設定温度と第2沸き上げ設定温度と第3沸き上げ設定温度は、給湯設定温度より高い温度である。ある外気温度に対応する第2沸き上げ設定温度は、同じ外気温度に対応する第1沸き上げ設定温度より低く、第1沸き上げ設定温度より給湯設定温度に近い温度である。また、ある外気温度に対応する第3沸き上げ設定温度は、同じ外気温度に対応する第2沸き上げ設定温度より低く、第2沸き上げ設定温度より給湯設定温度に近い温度である。同じ外気温度に対して、第1沸き上げ設定温度>第2沸き上げ設定温度>第3沸き上げ設定温度>給湯設定温度の関係である。また、外気温度について着目すると、次のような関係であると言える。すなわち、第1特定表と第2特定表を比較すると、ある第2沸き上げ設定温度(例えば44℃)を特定するための外気温度(10℃以上15℃未満)が、その第2沸き上げ設定温度(44℃)と同じ第1沸き上げ設定温度(44℃)を特定するための外気温度(20℃以上27℃未満)より低い温度範囲まで存在している。また、第2特定表と第3特定表を比較すると、ある第3沸き上げ設定温度(例えば42℃)を特定するための外気温度(15℃未満)が、その第3沸き上げ設定温度(42℃)と同じ第2沸き上げ設定温度(42℃)を特定するための外気温度(20℃以上27℃未満)より低い温度範囲まで存在している。
次いで、本実施例の給湯システム2の動作について説明する。給湯システム2は、沸き上げ運転及び給湯運転を実行することができる。以下、各運転について説明する。
(沸き上げ運転)
沸き上げ運転は、ヒートポンプ50で生成した熱により、タンク10内の水を加熱する運転である。コントローラ100によって沸き上げ運転の実行が指示されると、ヒートポンプ50が動作を開始するとともに、循環ポンプ22が回転する。
ヒートポンプ50が動作することにより、熱媒体循環路内を熱媒体が循環する。また、循環ポンプ22が回転すると、タンク水循環路20内をタンク10内の水が循環する。即ち、タンク10の下部に存在する水がタンク水循環路20内に導入され、導入された水が熱交換器を通過する際に、熱媒体循環路内の熱媒体の熱によって加熱され、加熱された水がタンク10の上部に戻される。これにより、タンク10に高温の水が貯められる。タンク10の上部には、高温の水の層が形成され、下部には、低温の水の層が形成される。
(給湯運転)
給湯運転は、タンク10内の水を温水利用箇所に供給する運転である。給湯運転は、上記の沸き上げ運転中にも実行することができる。温水利用箇所の給湯栓が開かれると、水道水供給源31からの水圧によって、給水路30(第1導入路30a)からタンク10の下部に水道水が流入する。同時に、タンク10上部の温水が、供給路40を介して温水利用箇所に供給される。
コントローラ100は、タンク10から供給路40に供給される水の温度(即ち、サーミスタ43の測定温度)が、給湯設定温度より高い場合には、混合弁42を開いて第2導入路30bから供給路40に水道水を導入する。この場合、タンク10から供給された水と第2導入路30bから供給された水道水とが、供給路40内で混合される。コントローラ100は、温水利用箇所に供給される温水の温度が、給湯設定温度と一致するように、混合弁42の開度を調整する。一方、コントローラ100は、タンク10から供給路40に供給される温水の温度が、給湯設定温度より低い場合には、バーナ加熱装置60を作動させる。この場合、供給路40を通過する温水がバーナ加熱装置60によって加熱される。コントローラ100は、温水利用箇所に供給される温水の温度が、給湯設定温度と一致するように、バーナ加熱装置60の出力を制御する。
次に、上記の給湯システム2における制御処理について説明する。給湯システム2では、沸き上げ運転を実行する際に電力を消費するので、電気代を節約するために深夜電力を利用して沸き上げ運転を実行することがある。また、沸き上げ運転によって沸き上げた温水を利用する時間帯を考慮して、早朝に沸き上げ運転を実行することがある。例えば、図3〜図5に示すように、朝5:00〜6:00にかけて沸き上げ運転を実行することがある。
一方、給湯システム2を備えている各家庭では、沸き上げ運転によって沸き上げた温水を利用する時間帯がそれぞれ異なることが考えられる。例えば、図3に示すように朝の6:00〜7:00の間に集中して温水を利用する家庭、図4に示すように昼の12:00〜13:00の間に集中して温水を利用する家庭、および、図5に示すように夕方の17:00〜18:00の間に集中して温水を利用する家庭が考えられる。各家庭の生活スタイルによって温水を利用する時間帯が異なることが考えられる。
図3に示すように、早朝に沸き上げ運転を実行して、朝に集中して温水を利用する家庭では、沸き上げ運転で沸き上げた温水を利用するまでの時間が短い。一方、図4及び図5に示すように、早朝に沸き上げ運転を実行して、昼に集中して温水を利用する家庭、及び、夕方に集中して温水を利用する家庭では、沸き上げ運転で沸き上げた温水を利用するまでの時間が長い。
また、給湯システム2では、多量の温水を利用するために沸き上げ運転を実行することがある。例えば、ある家庭では、浴槽に湯張りをするために、多量の温水を利用する。この場合は、浴槽に湯張りをするために沸き上げ運転を実行する。例えば、図3に示すように、夜の19:00〜20:00にかけて沸き上げ運転を実行し、20:00〜21:00の間に浴槽に湯張りをするために多量の温水を利用することがある。浴槽の湯張りでは、短時間に多量の温水が必要になる。上記のような状況を考慮して、給湯システム2では以下の制御処理を実行する。図6に示すように、まず、S10では、給湯システム2のコントローラ100が、ヒートポンプ50による沸き上げ運転を許可する。そうすると、ヒートポンプ50によってタンク10内の水を沸き上げることができる。例えば、朝5:00に沸き上げ運転が実行可能になる。
続くS11では、コントローラ100が外気温度を測定する。より詳細には、サーミスタ103が測定した外気温度の情報がコントローラ100に送信され、その情報をコントローラ100が受信する。
続くS12では、コントローラ100が、ヒートポンプ50によって沸き上げる温水の全量が沸き上げ運転の開始から第1の所定時間内に温水利用箇所に供給されることが予測されるか否かを判断する。ヒートポンプ50によって沸き上げる温水の全量は、過去の給湯使用学習値またはタンク10の容量等により予め特定されている。
また、コントローラ100は、沸き上げ運転の開始から第1の所定時間内にタンク10から温水利用箇所に供給される温水の量を予測する。この温水の量は、学習処理に基づいて予測される。学習処理では、過去の温水の利用量に基づいて、沸き上げ運転の開始から第1の所定時間内に温水利用箇所に供給される温水の量を予測する。例えば、コントローラ100が、過去の数日間にわたって、10分毎の温水の利用量をメモリ102に記憶しておき、それに基づいて学習処理を行い、沸き上げ運転の開始から所定時間内に温水利用箇所に供給される温水の量を予測する。沸き上げ運転の開始からの第1の所定時間は特に限定されるものではなく、例えば沸き上げ運転の開始から2時間である。
コントローラ100は、ヒートポンプ50によって沸き上げる温水の全量と、沸き上げ運転の開始から第1の所定時間内にタンク10から温水利用箇所に供給される温水の予測量とを比較する。そして、ヒートポンプ50によって沸き上げる温水の全量が、沸き上げ運転の開始から第1の所定時間内にタンク10から温水利用箇所に供給される温水の予測量より少ない場合は、S12でコントローラ100がYesと判断してS13に進む。一方、ヒートポンプ50によって沸き上げる温水の全量が、沸き上げ運転の開始から第1の所定時間内にタンク10から温水利用箇所に供給される温水の予測量より多い場合は、S12でコントローラ100がNoと判断してS21に進む。
図3に示すように、早朝の5:00〜6:00の間に沸き上げ運転を実行して、朝の6:00〜7:00の間に集中して温水を利用する家庭では、沸き上げ運転で沸き上げた温水を利用するまでの時間が短い。したがって、この場合は、コントローラ100がS12でYesと判断する可能性がある。
また、図3に示すように、夜の19:00〜20:00の間に沸き上げ運転を実行して、20:00〜21:00の間に浴槽に湯張りをするために温水を利用する家庭では、沸き上げ運転で沸き上げた温水を利用するまでの時間が短い。したがって、この場合は、コントローラ100がS12でYesと判断する可能性がある。
図6に示すS12でYesと判断した後のS13では、コントローラ100が、タンク10から温水利用箇所に第2の所定時間内に供給される温水の予測量が所定量より多いか否かを判断する。より詳細には、まず、コントローラ100が、タンク10から温水利用箇所に第2の所定時間内に供給される温水の量を予測する。この温水の量は、学習処理に基づいて予測される。学習処理では、過去の温水の利用量に基づいて、温水利用箇所に第2の所定時間内に供給される温水の量を予測する。例えば、コントローラ100が、過去の数日間にわたって、10分毎の温水の利用量をメモリ102に記憶しておき、それに基づいて学習処理を行い、第2の所定時間内に温水利用箇所に供給される温水の量を予測する。第2の所定時間は特に限定されるものではなく、例えば2時間である。また、コントローラ100は、第2の所定時間内にタンク10から温水利用箇所に供給される温水の予測量と、所定量とを比較する。第2の所定時間内にタンク10から温水利用箇所に供給される温水の予測量が所定量より多い場合は、S13でコントローラ100がYesと判断してS31に進む。すなわち、第2の所定時間内に温水利用箇所に供給される温水の量が多いと予測される場合には、コントローラ100がS13でYesと判断してS31に進む。一方、第2の所定時間内にタンク10から温水利用箇所に供給される温水の予測量が所定量より少ない場合は、S13でコントローラ100がNoと判断してS14に進む。
第2の所定時間内にタンク10から温水利用箇所に供給される温水の予測量が所定量より多い場合は、短時間で多量の温水を利用する場合である。例えば、図3に示すように、夜の19:00〜20:00の間に沸き上げ運転を実行して、20:00〜21:00の間に浴槽に湯張りをするために温水を利用する家庭では、短時間で多量の温水を利用する。よってこの場合は、コントローラ100がS13でYesと判断する可能性がある。
図6に示すS12でNoと判断した後のS21では、コントローラ100が、メモリ102に記憶されている第1特定表〜第3特定表の中から、第1特定表を選択して用いる。コントローラ100は、第1特定表を用いて、サーミスタ103で測定された外気温度に対応する第1沸き上げ設定温度を特定する。
また、S13でNoと判断した後のS14では、コントローラ100が、メモリ102に記憶されている第1特定表〜第3特定表の中から、第2特定表を選択して用いる。コントローラ100は、第2特定表を用いて、サーミスタ103で測定された外気温度に対応する第2沸き上げ設定温度を特定する。
また、S13でYesと判断した後のS31では、コントローラ100が、メモリ102に記憶されている第1特定表〜第3特定表の中から、第3特定表を選択して用いる。コントローラ100は、第3特定表を用いて、サーミスタ103で測定された外気温度に対応する第3沸き上げ設定温度を特定する。
続くS15では、コントローラ100が、ヒートポンプ50による沸き上げ運転を開始する。ヒートポンプ50が動作することによってタンク10内の水が沸き上げられる。ヒートポンプ50によって沸き上げられた温水がタンク10に貯えられる。
コントローラ100は、上記のS21で第1沸き上げ設定温度を特定した場合は、タンク10内の水が第1沸き上げ設定温度になるように沸き上げ運転を実行する。また、コントローラ100は、上記のS14で第2沸き上げ設定温度を特定した場合は、タンク10内の水が第2沸き上げ設定温度になるように沸き上げ運転を実行する。また、コントローラ100は、上記のS31で第3沸き上げ設定温度を特定した場合は、タンク10内の水が第3沸き上げ設定温度になるように沸き上げ運転を実行する。
続くS16では、コントローラ100が、ヒートポンプ50による沸き上げ運転が完了したか否かを判断する。沸き上げ運転が完了したか否かは、例えば、タンク10に取り付けられている各サーミスタ12、14、16、18および24の測定温度に基づいて判断することができる。沸き上げ湯量に対応する位置のサーミスタの測定温度によって、目的の湯量が沸き上げられたか否かを判断することができる。ヒートポンプ50による沸き上げ運転が完了した場合は、S16でコントローラ100がYesと判断して沸き上げ運転を終了する。一方、ヒートポンプ50による沸き上げ運転が完了していない場合は、S16でコントローラ100がNoと判断して沸き上げ運転を続行する。
沸き上げ運転終了後または沸き上げ運転実行中に、利用者の指示によって給湯運転が実行される。給湯運転では、タンク10内に貯えられている温水が温水利用箇所に供給される。ヒートポンプ50によって沸き上げた温水の全量が利用された後は、コントローラ100がバーナ加熱装置60を作動させ、温水利用箇所に供給される水をバーナ加熱装置60によって加熱する。また、コントローラ100が再び沸き上げ運転を実行する。
以上、給湯システム2の構成と動作について説明した。以上の説明から明らかなように、給湯システム2は、外気から吸熱して水を沸き上げるヒートポンプ50と、ヒートポンプ50によって沸き上げられた温水を貯えるタンク10と、タンク10内の温水を温水利用箇所に供給する供給路40と、を備えている。また、給湯システム2は、温水利用箇所における給湯設定温度を設定可能なリモコン104と、タンク10内に水を供給する給水路30と、外気温度を測定するサーミスタ103と、メモリ102と、コントローラ100と、を備えている。メモリ102は、サーミスタ103で測定された外気温度から第1沸き上げ設定温度を特定する第1特定表と、外気温度から第1沸き上げ設定温度より給湯設定温度に近い第2沸き上げ設定温度を特定する第2特定表とを記憶している。コントローラ100は、ヒートポンプ50によってタンク10内の水を沸き上げる沸き上げ運転を実行する際に、ヒートポンプ50によって沸き上げる温水の全量が沸き上げ運転の開始から第1の所定時間内に温水利用箇所に供給されることが予測される場合(図6のS12参照)は、メモリ102が記憶している第2特定表を用いて、サーミスタ103で測定された外気温度から第2沸き上げ設定温度を特定する(S14参照)。また、コントローラ100は、上記の場合でない場合(ヒートポンプ50によって沸き上げる温水の全量が沸き上げ運転の開始から第1の所定時間内に温水利用箇所に供給されないことが予測される場合)は、メモリ102が記憶している第1特定情報を用いて、サーミスタ103で測定された外気温度から第1沸き上げ設定温度を特定する(図6のS21参照)。コントローラ100は、タンク10内の水が第1沸き上げ設定温度または第2沸き上げ設定温度になるように沸き上げ運転を実行する。
ヒートポンプ50によって沸き上げる温水の全量が第1の所定時間内に温水利用箇所に供給されることが予測される場合では、温水が第1の所定時間より長くタンク10内に留まることがない。そのため、温水がタンク10内に留まる時間が比較的短くなる。例えば、図3に示すように、早朝の5:00〜6:00の間に沸き上げ運転を実行して、朝の6:00〜7:00の間に集中して温水を利用する家庭では、沸き上げ運転で沸き上げた温水を利用するまでの時間が短いので、温水がタンク10内に留まる時間が比較的短くなる。この場合は、第1沸き上げ設定温度より給湯設定温度に近い第2沸き上げ設定温度によって沸き上げ運転を実行する。一方、そうでない場合(ヒートポンプ50によって沸き上げる温水の全量が第1の所定時間内に温水利用箇所に供給されないことが予測される場合)は、温水が第1の所定時間より長くタンク10内に留まる。そのため、温水がタンク10内に留まる時間が比較的長くなる。例えば、図4に示すように、早朝の5:00〜6:00の間に沸き上げ運転を実行して、昼の12:00〜13:00の間に集中して温水を利用する家庭では、沸き上げ運転で沸き上げた温水を利用するまでの時間が長いので、温水がタンク10内に留まる時間が比較的長くなる。この場合は、第1沸き上げ設定温度によって沸き上げ運転を実行する。
給湯システム2では、沸き上げ運転を実行する際に、低温で沸き上げ運転を実行すると、高温で沸き上げ運転を実行するよりも、ヒートポンプ50におけるCOP(Coefficient Of Performance)を高くすることができる。よって、可能な限り低温で沸き上げ運転を実行することが好ましい。すなわち、可能な限り給湯設定温度に近い温度で沸き上げ運転を実行することが好ましい。また、タンク10内の温水の温度は、時間の経過と共に自然放熱によって低下してゆく。温水がタンク10内に留まる時間が長ければ、温度の低下が比較的大きくなる。一方、温水がタンク10内に留まる時間が短ければ、温度の低下が比較的小さくなる。
上記の構成によれば、温水がタンク10内に留まる時間が比較的短く、自然放熱による温度の低下が比較的小さい場合は、第1沸き上げ設定温度より給湯設定温度に近い第2沸き上げ設定温度によって沸き上げ運転を実行している。すなわち、低温で沸き上げ運転を実行している。低温で沸き上げ運転を実行しても、温水の温度の低下が比較的小さいので、温水の温度が給湯設定温度より低くなる可能性を下げることができる。また、低温で沸き上げ運転を実行するので、ヒートポンプ50におけるCOPを高くすることができる。よって、COPを高くするとともに、低温で沸き上げ運転を実行しても、給湯設定温度の温水を温水利用箇所に供給することができる。一方、温水がタンク50内に留まる時間が比較的長く、自然放熱による温度の低下が比較的大きい場合は、第2沸き上げ設定温度によって沸き上げ運転を実行している。すなわち、高温で沸き上げ運転を実行している。その結果、温水がタンク10内に留まる時間が比較的長くても、温水の温度が給湯設定温度より低くなる可能性を下げることができる。
また、上記の給湯システム2では、コントローラ100が、サーミスタ103で測定された外気温度から第1沸き上げ設定温度または第2沸き上げ設定温度を特定する。
外気温度は、タンク10内の温水の温度が低下してゆくときの直接的な要因になる。この外気温度から第1沸き上げ設定温度または第2沸き上げ設定温度を特定することによって、温水の温度の低下状況を正確に反映して沸き上げ設定温度を特定することができる。
また、上記の給湯システム2では、メモリ102が、サーミスタ103で測定された外気温度から第2沸き上げ設定温度より給湯設定温度に近い第3沸き上げ設定温度を特定する第3特定表を記憶している。コントローラ100は、ヒートポンプ50によって沸き上げる温水の全量が沸き上げ運転の開始から第1の所定時間内に温水利用箇所に供給されることが予測される場合であって、温水利用箇所に第2の所定時間内に供給される温水の予測量が所定量より多い場合(図6のS13参照)は、メモリ102が記憶している第3特定表を用いて、サーミスタ103で測定された外気温度から第3沸き上げ設定温度を特定する(図6のS31参照)。コントローラ100は、タンク10内の水が第3沸き上げ設定温度になるように沸き上げ運転を実行する。
温水利用箇所に第2の所定時間内に供給される温水の予測量が所定量より多い場合では、温水がタンク10内に留まる時間が更に短くなり、温水の温度低下が更に小さくなる。この場合は、第2沸き上げ設定温度より給湯設定温度に近い第3沸き上げ設定温度によって沸き上げ運転を実行する。すなわち、更に低温で沸き上げ運転を実行している。低温で沸き上げ運転を実行しても、温水の温度低下が更に小さいので、温水の温度が給湯設定温度より低くなる可能性を下げることができる。また、より低温で沸き上げ運転を実行するので、ヒートポンプ50におけるCOPをより高くすることができる。
また、上記の給湯システム2は、タンク10から温水利用箇所に供給される水をガスの燃焼によって加熱するバーナ加熱装置60を備えている。
給湯設定温度に近い沸き上げ設定温度で水を沸き上げると、温水がタンク10内に留まる時間が長くなってしまった場合に、温水の温度が給湯設定温度より低くなってしまうことが考えられる。この場合でも、上記の構成によれば、温水利用箇所に供給される水をバーナ加熱装置60によって加熱することができるので、水を給湯設定温度まで加熱することができる。また、ヒートポンプ50によって沸き上げた温水の全量を利用し尽くした場合でも、バーナ加熱装置60によって水を加熱することができる。
以上、一実施例について説明したが、具体的な態様は上記実施例に限定されるものではない。上記の実施例では、外気温度から沸き上げ設定温度を特定していたが、この構成に限定されるものではない。他の実施例では、給水温度から沸き上げ設定温度を特定してもよい。この場合、コントローラ100が、給水路30に介装されているサーミスタ32(温度センサの他の一例)で測定された給水温度から沸き上げ設定温度を特定する。メモリ102は、図7に示す第1特定表と第2特定表と第3特定表を記憶している。第1特定表は、給水温度と第1沸き上げ設定温度の対応を示している。第1特定表では、サーミスタ32で測定された給水温度から第1沸き上げ設定温度を特定することができる。第2特定表は、給水温度と第2沸き上げ設定温度の対応を示している。第2特定表では、サーミスタ32で測定された給水温度から第2沸き上げ設定温度を特定することができる。第3特定表は、給水温度と第3沸き上げ設定温度の対応を示している。第3特定表では、サーミスタ32で測定された給水温度から第3沸き上げ設定温度を特定することができる。
このような構成によれば、外気温度を測定するためのサーミスタ103を省略することができる。サーミスタ103が無くても、沸き上げ設定温度を特定することができる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。