JP2018021494A - スクリュー流体機械 - Google Patents

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Takeshi Tsuchiya
豪 土屋
小谷 正直
Masanao Kotani
正直 小谷
良二 河井
Ryoji Kawai
良二 河井
千葉紘太郎
Kotaro Chiba
紘太郎 千葉
美奈子 金田
Minako Kaneda
美奈子 金田
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Abstract

【課題】圧縮プロセス中の作動室であって、複数の異なる圧力状態にある作動室へと油、水等の冷却媒体を好適に注入するスクリュー流体機械を実現する。【解決手段】互いに噛合いながら回転する雄ロータ5及び雌ロータ6と、雄ロータ5及び雌ロータ6を収納するケーシング3と、雄ロータ5と雌ロータ6とケーシング3とから構成する複数の作動室と、雄ロータ5あるいは記雌ロータ6を回転駆動する駆動手段24と、作動室へ冷却媒体を注入する冷却媒体注入手段43と、圧縮後の被圧縮ガスから冷却媒体を分離する冷却媒体分離手段32と、を有するスクリュー流体機械であって、複数の異なる圧力状態にある作動室に冷却媒体注入手段43を配設し、作動室から冷却媒体注入手段43への被圧縮ガスと冷却媒体の逆流を防止する逆流防止手段42a,43aを具備する。【選択図】 図1

Description

本発明は、スクリュー流体機械に関するものである。
スクリュー流体機械は、空気圧縮機や冷凍空調用圧縮機として広く普及している。近年、スクリュー流体機械では省エネ化が強く求められるようになっており、高エネルギー効率、高風量(能力)であることが益々重要になっている。
特許文献1の請求項1には、「液体が調整可能でない注入弁から圧縮機要素部の圧縮室に注入される液体注入式圧縮機要素部の冷却方法であって、圧縮機要素部の圧縮室に注入される液体の量を、他のいかなる可能な調整装置とも無関係に、特定の調整用パラメータに応じて調整するステップを含む方法において、注入弁が圧縮機要素部の圧縮室の長手方向の中間点よりも圧縮空気出口側に寄った位置に設けられ、注入される液体の量は、この目的のために調整可能な弁の形状を有する第2の注入弁によって調整され、第2の注入弁は、電気的又は空気圧によって制御される、連続的に調整可能な弁として形成され、注入される液体の量は、圧縮機要素部を出る圧縮気流の温度測定値に基づいて調整されるか、或いは周囲温度に基づいて調整されるか、又はそれらの両方によって調整されることを特徴とする方法」が記載されている。
特許5518042号公報
特許文献1は、調整パラメータを用いて作動室内へ注入する油量を制御する構成であり、作動室から冷却媒体注入経路への逆流を防ぐことは考慮されていない。
そこで本発明の目的は、圧縮プロセス中の作動室であって、複数の異なる圧力状態にある作動室へと油、水等の冷却媒体を好適に注入するスクリュー流体機械を実現することである。
上記課題を解決するため、本発明は、互いに噛合いながら回転する雄ロータ及び雌ロータと、前記雄ロータ及び前記雌ロータを収納するケーシングと、前記雄ロータと前記雌ロータと前記ケーシングとから構成される複数の作動室と、前記雄ロータあるいは前記雌ロータを回転駆動する駆動手段と、前記作動室へ冷却媒体を注入する冷却媒体注入手段と、圧縮後の被圧縮ガスから冷却媒体を分離する冷却媒体分離手段と、を有するスクリュー流体機械であって、複数の異なる圧力状態にある前記作動室に前記冷却媒体注入手段がそれぞれ配設されており、前記作動室から前記冷却媒体注入手段への被圧縮ガスと冷却媒体の逆流を防止する逆流防止手段を具備することを特徴とする。
本発明によれば、圧縮プロセス中の作動室であって、複数の異なる圧力状態にある作動室へと油、水等の冷却媒体を好適に注入するスクリュー流体機械を実現することができる。
本発明の実施例1に係るスクリュー流体機械の側面図。 本発明の実施例1に係るスクリュー流体機械の断面図。 従来のスクリュー流体機械の側面図。 本発明の実施例2に係るスクリュー流体機械の側面図。 本発明の実施例3に係るスクリュー流体機械の側面図。 本発明の実施例4に係るスクリュー流体機械の側面図。 本発明の実施例5に係るスクリュー流体機械の側面図。
以下、図面を参照して本発明の実施例について説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定するものではなく、発明の効果を奏する範囲で、一部の構成を置換、変更、削除、付加することができる。また、各実施例は、同一の構成や同様の機能を奏する構成については、同一の符号を付して説明を省略する。また、発明の効果を奏する範囲であれば、ある実施例と他の実施例との間で一部の構成を置換や変更することができる。
以下の実施例は、特に圧縮プロセス中に油、水等の冷却媒体を注入するスクリュー流体機械に関し、複数の異なる圧力状態にある作動室へと冷却媒体の注入を行うことによって高いエネルギー効率を実現するに好適なスクリュー圧縮機に関する。
一般的に、複数の異なる圧力状態にある作動室へと適量の冷却媒体を注入することで、圧縮行程中のガスを冷却して圧縮動力の低減を図れることが知られている。ここで、複数の異なる圧力状態にある作動室へと冷却媒体を注入する冷却媒体注入経路において、最も高圧側の作動室に連通させた場合の作動室側圧力は、最高でおおよそ吐出圧力である。冷却媒体注入圧力は、別に加圧手段を設けなければスクリュー流体機械自身で生成した圧力にて供給することになるため、冷却媒体注入圧力は、最高でおおよそ吐出圧力である。
すなわち、冷却媒体注入経路での圧力損失などを踏まえて高圧側作動室への連通位置を調整するとしても、起動時や運転条件変更時等で油の粘度変化が大きく生じる等の過渡的な場合は、冷却媒体注入圧力が低下して作動室から冷却媒体注入経路への逆流が発生する。これによって、作動室と冷却媒体注入経路を循環する流路が形成されて、エネルギー消費の増大を招くことになる。スクリュー流体機械の構造上決まる圧力比より低い運転条件で発生する吐出圧力よりも、作動室内の圧力が高くなる過圧縮な状態の続く定常状態においても同様となる。
さらに、冷却媒体に油を使用する空気圧縮機では、逆流により冷却媒体経路に漏洩してきた空気が高圧であるために露点が高いことから冷却媒体経路内で冷却されて非常に結露しやすい。冷却媒体注入経路の反作動室側が高圧側と低圧側の冷却媒体注入経路で連通していたり、共通の冷却媒体溜めを有していたりすると、高圧側の冷却媒体注入経路へ漏洩した漏洩空気が低圧側の冷却媒体注入経路を介して作動室に戻るといった循環経路が構成され、漏洩空気による結露のために油の劣化が進行してスクリュー流体機械の信頼性を損なうことになる。
そこで本構成は、互いに噛合いながら回転する雄ロータ及び雌ロータと、前記雄ロータ及び前記雌ロータを収納するケーシングと、前記雄ロータと前記雌ロータと前記ケーシングとから構成される複数の作動室と、前記雄ロータあるいは前記雌ロータを回転駆動する駆動手段と、前記作動室へ冷却媒体を注入する冷却媒体注入手段と、圧縮後の被圧縮ガスから冷却媒体を分離する冷却媒体分離手段と、を有するスクリュー流体機械であって、複数の異なる圧力状態にある前記作動室に前記冷却媒体注入手段がそれぞれ配設されており、前記作動室から前記冷却媒体注入手段への被圧縮ガスと冷却媒体の逆流を防止する逆流防止手段を具備する。
本構成によれば、作動室から冷却媒体注入手段への被圧縮ガスと冷却媒体の逆流を防止することが可能になるため、エネルギー消費の増大を抑えることが可能になる。さらに、冷却媒体に油を使用する空気圧縮機では、高圧空気の結露による油の劣化を防ぐことが可能になる。よって、圧縮プロセス中の作動室であって、複数の異なる圧力状態にある作動室へと油、水等の冷却媒体を注入するスクリュー流体機械に好適な冷却媒体注入手段を具備することができるので、高エネルギー効率と高信頼性を有するスクリュー流体機械を実現できる。
図1〜3を用いて、本発明のスクリュー流体機械の実施例1を説明する。図1は、実施例1のスクリュー流体機械の側面図であり、図2は、実施例1のスクリュー流体機械の断面図(図1のA-A断面)、図3は、従来のスクリュー流体機械の側面図である。
実施例1の構造について説明する。図1に示すように、スクリュー流体機械は、圧縮部1と駆動部2から構成される。圧縮部1は、メインケーシング3内に、ケーシングボア4、雄ロータ5、雄ロータ5と噛合う様に回転軸を平行に配設している雌ロータ6(図2参照)を基本部材としてなる複数の作動室を構成し、雄ロータ5が駆動部2により回転駆動されると噛み合っている雌ロータ6も共に回転して圧縮動作を行う。スクリュー流体機械に吸込まれる気体は、吸込口7を通過して作動室へ吸込まれ、圧縮された後は、吐出口8を経由して吐出される。
圧縮部1の吐出側にはDケーシング9を配置し、Dケーシング9内には、雄ロータ5、雌ロータ6の回転軸を回転自在に支持する雄ロータ5の吐出側軸受部10と雌ロータ6の吐出側軸受部(図示せず)が配設されている。雄ロータ5の吸込側軸受部11と雌ロータ6の吸込側軸受部(図示せず)は、メインケーシング3の駆動部2側に配設されており、雄ロータ5と雌ロータ6の回転軸を回転自在に支持している。なお、雄ロータ5、雌ロータ6のそれぞれの吐出側軸受部と吸込側軸受部を総称して、軸支持手段という。また、Dケーシングフタ12にて、Dケーシング9の反圧縮部側を密閉している。なお、Dケーシング9及びDケーシングフタ12の「D」は、Discharge(吐出)の頭文字である。
駆動部2にとして、図1にはラジアルギャップ型のモータを用いた場合を示すが、駆動源であれば特段に限定するものではない。図示の構成では、モータケーシング20とモータケーシング蓋21からなる空間に、ステータ22、ロータ23からなるラジアルギャップ型モータ24を配設する。ロータ23は雄ロータ5と連結しており、ロータ23が回転駆動されると雄ロータ5が回転し圧縮動作する。さらに、モータ側軸受25と、圧縮部1と駆動部2の軸封26も配設している。なお、回転駆動するロータは、雄ロータ5、雌ロータ6の何れでも良く、モータとロータ軸が直結されてなくとも良いし、モータ側軸受25、軸封26が配設されなくとも構わない。なお、モータはラジアルギャップ型に限らず、アキシャルギャップ型であってもよく、特に限定はしない。
実施例1では、作動室を冷却させる冷却媒体に、吐出後の油と混在した圧縮ガス31から油分離手段(オイルセパレータ)32にて分離した油を用いる。ここで、冷却媒体である油の流動について説明する。吸込口7から吸込まれたガス30は、メインケーシング3内に構成した、ケーシングボア4、雄ロータ5、雌ロータ6を基本部材としてなる作動室で圧縮される。圧縮完了後には、圧縮プロセス中に冷却のために注入された油と混合した圧縮ガス31が吐出される。なお、圧縮ガスに混合する油は、圧縮プロセス中に注入する油の他に、吸込側軸受部11や、吐出側軸受部10を潤滑した油が混合する場合もある。油と混合した圧縮ガス31は、油分離手段32を経て、油と圧縮ガスに分離される。油は、油冷却手段(オイルクーラ)33、調整バルブ34を経て、吐出側軸受部10、吸込側軸受部11等を潤滑するための流路35、36と、圧縮プロセス中に作動室へ油を注入するための流路40へと分配される。
作動室を冷却するための作動室への油注入構造について、詳細に説明する。油注入流路40は、低圧な作動室へ連通する油流路41と、中圧な作動室へと連通する油流路42と、高圧な作動室へと連通する油流路43とに分岐する。実際は、詳細設計に則って、必要な圧力レベルにある異なる作動室に連通する油流路を構成するが、ここでは、低圧、中圧、高圧な作動室と表記し、吸込圧力から吐出圧力まで変化する際の圧縮プロセスにある作動室圧力の高低を示すものとした。各作動室へと連通する油流路41、42、43は、メインケーシング3内での油流路部41b、42b、43bを構成し、図示の様にメインケーシング3外で独立した油流路として配設しても良いし、メインケーシング3外では1体の油流路(図示せず)のままでも良い。さらに、中圧の作動室と高圧の作動室へとそれぞれ連通するメインケーシング3内での油流路部42b、43bの作動室側には、作動室から油流路部42b、43bへの逆流を防止する逆流防止手段42a、43aを具備する。逆流防止手段42a、43aは、作動室圧力と油流路部42b、43bの圧力差により、作動室から油流路部42b、43b方向への逆流を防止する受動的で機械的な弁要素であっても良い。なお、実施例1では、油と分離した圧縮ガスは、ガス冷却手段(エアクーラ)37、除湿手段(ドライヤ)38を経て、圧縮ガスを排出する例を記載している。
次に、作動室への油注入構造について、さらに詳細に図2を用いて説明する。図2は、図1におけるA−A断面であって中圧の作動室へ連通する油流路42を一例として示すものであり、図1におけるメインケーシング3内での油流路部42bと逆流防止手段42aをより詳細に説明するものである。油通路42は、メインケーシング3内で油通路42b0に連通する。油通路42b0は、雄ロータ5側の油通路42bm1、42bm2と、雌ロータ6側の油通路42bf1、42bf2に分岐する。雄ロータ5側の油通路42bm2と雌ロータ6側の油通路42bf2が作動室と連通する通路であり、雄ロータ5側の逆流防止手段42am、雌ロータ6側の逆流防止手段42afを各々の油通路42bm2、42bf2に具備する。油通路42bm2と連通する雄ロータ5側の作動室開口部の圧力と油通路42bf2と連通する雌ロータ6側の作動室開口部の圧力は、両逆流防止手段42am、42afで同仕様の逆流防止手段を用いることができて部品仕様数を縮小できることから、概ね同程度の圧力であることが望ましいが、逆流防止手段42am、42afを備えているので異なっていても構わなく、油の要求注入量を満足できれば良い。すなわち、油通路42bm2と油通路42bf2の作動室への各開口位置は、ケーシングボア4における雄ロータ5側のケーシングボア4mと雌ロータ6側のケーシングボア4fの交点45、46を含め、自由に配置できるものであり、開口位置の数(図示では、雄ロータ5側と雌ロータ6側に各1カ所)も設計に応じて複数配設することが可能である。
ただし、図1における低圧な作動室へ連通する油流路41では、逆流防止手段を有さないため、雄ロータ5側の油通路(図示せず)に連通する雄ロータ5側の作動室開口部の圧力と、雌ロータ6側の油通路(図示せず)に連通する雌ロータ6側の作動室開口部の圧力は、一方の作動室開口部から他方の作動室開口部への吹き抜けを防止するため、概ね同程度の圧力になることが必要であり、すなわち、油通路の作動室への各開口位置が概ね同程度の圧力になる配置である必要がある。なお、開口位置は、ボア4m、4fの交点45、46も含めたボア4m、4f上であり、開口位置の数は、設計に応じて複数配設することが可能である点は、逆流防止手段を有する中圧の作動室と、高圧の作動室へとそれぞれ連通する油流路42、43の場合と同様である。ここで、図1、2で説明した3本構成による油流路41、42、43は、一例であって、設計に応じて本数が増減しても構わない。また、作動室は、回転軸方向に捩れた形状をしていることから、図2では簡略化のため各油通路が同一平面にあるように表記したが、同一作動室への開口部が回転軸方向にずれた位置に配設される等、回転軸方向に異なる配置であっても構わない。なお、油通路ではプラグ44にて、必要個所を閉止している。
また、図1に示すように低圧の作動室へ連通する油流路41には逆流防止手段を配設していないが、中圧の作動室と、高圧の作動室へそれぞれ連通する油通路42、43と同様に、逆流防止手段を配設しても良い。その際は、雄ロータ5側の油通路(図示せず)と連通する雄ロータ5側の作動室開口部の圧力と雌ロータ6側の油通路(図示せず)と連通する雌ロータ6側の作動室開口部の圧力は、概ね同程度の圧力になる作動室であることが望ましいが、逆流防止手段(図示せず)を備えているので異なっていても構わず、作動室への各開口位置を自由に配置でき、開口位置の数も複数配設することが可能な点は、逆流防止手段を有する中圧、高圧な作動室へ連通する油通路42、43の場合と同様である。
また、高圧の作動室へと連通する油流路43には、逆流防止手段43aと作動室開口部の間に作動室へ圧縮プロセス中に注入される冷却媒体である油の注入形態形成部材43cを配設している。注入形態形成部材43cは、作動室への油注入時の注入形態を形成する部材であって、注入油の微粒化等を図る場合に衝突噴流ノズルや複数の小孔で構成する。なお、注入形態形成部材は、低圧、中圧な作動室へと連通する油流路41、42に設けても良く、逆流防止手段を採用する油流路であれば、逆流防止手段と作動室開口部の間に設けることになる。
なお、ここで示した油冷却手段の配置は一例であって、油冷却が不要であれば無くても良いし、作動室へ注入する油の温度管理を行う必要がある場合は、作動室への油注入流路40に油温制御手段(図示せず)を配置しても良い。
続いて、図3を用いて、従来構造と比較する。図3には、従来構造として1本構成による作動室への油注入流路を有する給油式スクリュー流体機械の側面図を示した。油と混合した圧縮ガス31が油分離手段32で油と圧縮ガスに分離され、圧縮プロセス中に作動室へ油を注入するための流路40へと油が分配されるまでは、実施例1と同じである。従来構造では、油注入流路40を作動室へと連通する油流路60に接続し、油流路60は、雄ロータ5側の作動室開口部(図示せず)と雌ロータ6側の作動室開口部(図示せず)に連通される。油通路60に逆流防止手段は配設しない。雄ロータ5側の油通路(図示せず)と連通する雄ロータ5側の作動室開口部の圧力と雌ロータ6側の油通路(図示せず)と連通する雌ロータ6側の作動室開口部の圧力は、概ね同程度の圧力になる作動室であることが必要であり、すなわち、油通路の各作動室への開口位置は、概ね同程度の圧力になる配置である。
作動室開口部について、詳細に説明する。図1に示すように、油注入流路40は、低圧の作動室へ連通する油流路41と、中圧の作動室へと連通する油流路42と、高圧の作動室へと連通する油流路43とに分岐するが、作動室への各油注入流路からの油注入は、各注入流路と作動室との差圧により実現される。各注入流路の圧力は、概ね吐出圧力であるが、各流路経路、油分離手段32、油冷却手段33等における流路抵抗分により圧力低下している。作動室の圧力は、低圧、中圧、高圧となるので、油注入のための差圧は、作動室圧力が低圧、中圧、高圧の順に小さくなっていく。すなわち、低圧の作動室へ連通する油流路41では、油注入のための差圧が確保できる場合が多く、この場合は、作動室から油流路への逆流防止手段を設ける必要が無く、図3の従来構造で逆流防止手段を設けないのもこのためである。ただし、逆流防止手段を有さないため、雄ロータ5側の油通路(図示せず)に連通する雄ロータ5側の作動室開口部の圧力と、雌ロータ6側の油通路(図示せず)に連通する雌ロータ6側の作動室開口部の圧力が、一方の作動室開口部から他方の作動室開口部への吹き抜けを防止するため、概ね同程度の圧力になることが必要であり、すなわち、油通路の作動室への各開口位置が概ね同程度の圧力になる配置である必要があることは、先に述べた通りである。
図1の中圧の作動室と、高圧の作動室へそれぞれ連通する油流路42、43では、逆流防止手段42a、43aを有するため、圧縮プロセス中に作動室内圧力が、概ね吐出圧力である油注入流路の圧力より高くなっても、作動室から油流路への逆流を防止することができる。圧縮プロセス中に作動室内圧力が、概ね吐出圧力である油注入流路の圧力より高くなる場合は、起動時や運転条件変更時等で油の粘度変化が大きく生じる等の過渡状態や、スクリュー流体機械の構造上決まる圧力比より低い運転条件で発生する吐出圧力より作動室内の圧力が高くなる過圧縮な状態の続く定常状態において発生しやすい。実施例1では、逆流防止手段を中圧の作動室へ連通する油流路42にも設けたが、油注入のための差圧を確保できる場合であれば、逆流防止手段は設ける必要は無い。ただし、他の逆流防止手段を用いない場合と同様に、作動室開口部の各開口位置が概ね同程度の圧力になる配置である必要がある。すなわち、実施例1では、逆流防止手段を有さない油注入流路において、概ね吐出圧力である油注入流路の圧力が、逆流防止手段を有さない油注入流路の全ての作動室開口部の圧力より高くなるように作動室開口部を配置している。
次に、実施例1の効果について説明する。作動室冷却のための作動室への油注入構造を実施例1の通り実現することで、冷却媒体注入経路である油注入経路への作動室からの逆流を抑制することが可能となり、冷却媒体注入経路である油注入流路の反作動室側が高圧側と低圧側の油注入経路で連通して高圧側の油注入経路へ漏洩した漏洩空気が低圧側の油注入経路を介して作動室に戻るといった循環経路を構成することが無くなる。これにより、エネルギー消費の増大を抑えて、本来目的とする複数の異なる圧力状態にある作動室へと適量の冷却媒体を注入することで、圧縮行程中のガスを冷却して圧縮動力の低減を図ることが可能になる。さらに、冷却媒体に油を使用する空気圧縮機であれば、露点の高い高圧な漏洩空気の循環による結露での油劣化が無くなって信頼性を損なうことが無くなる。さらに、油の注入形態形成部材が配設可能になることから、注入油の微粒化を図ることも可能になり、作動室内で圧縮プロセスにある圧縮ガスの冷却を促進できるので更なる圧縮動力の低減を図ることが可能になる。以上より、信頼性を確保し、高エネルギー効率を有するスクリュー流体機械を実現することが可能になる。
図4を用いて、本発明のスクリュー流体機械の実施例2を説明する。実施例2の説明に当たっては、実施例1と異なる点を中心に説明し、同一部分については説明を省略する。
油と混合した圧縮ガス31が油分離手段32で油と圧縮ガスに分離され、圧縮プロセス中に作動室へ油を注入するための流路70へと油が分配され、低圧の作動室へ連通する油流路71と、中圧の作動室へと連通する油流路72と、高圧の作動室へと連通する油流路73とに分岐する構成であることは、実施例1と同じである。実施例1との相違点は、2点有り、1点目は、中圧の作動室と、高圧の作動室へとそれぞれ連通する油流路72、73が、ケーシング3内で共通流路74bを有することである。共通流路74bに対応するケーシング3外の油注入流路74は、油注入流路70から分岐している。相違点の2点目は、低圧の作動室へ連通する油流路71に作動室からケーシング3内の油流路71bへの逆流を防止する逆流防止手段71aを油流路71bの作動室側に設けている点である。
実施例2の特有の効果について説明する。実施例2であれば、ケーシング3内に共通流路74bを構成することが可能であるから、油注入流路のレイアウト構成自由度が高くなるといったメリットがある。実施例1と異なり、低圧な作動室へ連通する油流路71にも逆流防止手段71aを配置していることから、逆流防止手段71aより上流側(反作動室側)であれば、他の油流路との共通流路を構成することが可能となるので、図示の共通流路74bを低圧な作動室へ連通する油流路71の上流側(反作動室側)である流路71bと連通させることも可能になる。ケーシング3内での、油流路レイアウトの自由度が高くなることから、部品点数減、ケーシング構造の簡単化を図ることが可能になり、安価で高効率なスクリュー流体機械を実現することが可能になる。
図5を用いて、本発明のスクリュー流体機械の実施例3を説明する。実施例3の説明に当たっては、実施例1と異なる点を中心に説明し、同一部分については説明を省略する。
油と混合した圧縮ガス31は、油分離手段32を経て、油と圧縮ガスに分離される。油は、油冷却手段33、調整バルブ34を経て、吐出側軸受部10等、吸込側軸受部11等を潤滑するための流路35、36と、圧縮プロセス中に作動室へ油を注入するための流路40へと分配される。油流路40は、低圧の作動室へ連通する油流路41と、中圧の作動室へと連通する油流路42と、高圧の作動室へと連通する油流路43とに分岐する。これら構成は、実施例1と同じである。実施例1との相違点は、流路35、36と油流路40の上流側に加圧手段76を備えた点である。
実施例3の特有の効果について説明する。実施例3では、実施例1に比べて、加圧手段76を備えることで、油注入流路40、41、42、43の圧力を高めて、作動室から各油流路への逆流を防止することが可能になる。実施例3では、中圧の作動室と、高圧の作動室へそれぞれ連通する油流路に逆流防止手段42a、43aを備えているが、加圧手段76が故障した際の安全装置として機能できる。加圧手段76を備えることで各油注入流路より確実な油注入を実行することが可能になる。
図6を用いて、本発明のスクリュー流体機械の実施例4を説明する。実施例4の説明に当たっては、実施例1と異なる点を中心に説明し、同一部分については説明を省略する。
実施例1との相違は、2点有り、中圧の作動室と、高圧の作動室へそれぞれ連通する油流路82b、83bが、実施例2同様に共通流路84bを有し、かつ、実施例3同様に流路35、36と油流路80の上流側に加圧手段86を備えた点である。
実施例4の特有の効果について説明する。実施例4では、実施例1に比べて、共通流路84bを有することから、油注入流路のレイアウト構成自由度が高くなり、ケーシング3内での、油流路レイアウトの自由度が高くなることから、部品点数減、ケーシング構造の簡単化を図ることが可能になる。さらに、加圧手段86も備えることで、油注入流路80、81、82、83、84の圧力を高めて、作動室から各油流路への逆流を防止することが可能になる。実施例4では、中圧の作動室と高圧の作動室へそれぞれ連通する油流路に逆流防止手段82a、83aを備えているが、加圧手段86が機能しなくなった際の安全装置として機能できる。作動室への油の注入を補助する加圧手段86を備えることで、各油注入流路より確実な油注入を実行することが可能になる。
図7を用いて、本発明のスクリュー流体機械の実施例5を説明する。実施例5の説明に当たっては、実施例1〜4と異なる点を中心に説明し同一部分については説明を省略する。
実施例1〜4との相違は、加圧手段96を、高圧の作動室へ連通する油流路93にのみ備えた点である。
実施例5の特有の効果について説明する。低圧の作動室と、中圧の作動室へそれぞれ連通する油流路91、92では油注入のための差圧が確保できている場合を想定したものであり、高圧の作動室へ連通する油流路93にのみに備えた加圧手段96により、注入差圧の低い高圧な油注入流路を加圧することができるので、差圧だけの場合に比べて安定した油注入を実現することができる。なお、中圧の作動室へ連通する油流路92における油注入差圧が確保できない場合であれば、加圧手段96を中圧の作動室へ連通する油流路92にも連通させれば良い。
1:圧縮部、2:駆動部、3:メインケーシング(ケーシング)、4:ケーシングボア、4m:ケーシングボア4、4f:ケーシングボア4、5:雄ロータ、6:雌ロータ、7:吸込口、8:吐出口、9:Dケーシング、10:吐出側軸受部、11:吸込側軸受部、12:Dケーシングフタ、20:モータケーシング、21モータケーシング蓋、22:ステータ、23:ロータ、24:ラジアルギャップ型モータ(駆動手段)、25:モータ側軸受、26:軸封、30:ガス、31:圧縮ガス、32:油分離手段(冷却媒体分離手段)、33:油冷却手段、34:調整バルブ、35:流路、36:流路、37:ガス冷却手段、38:除湿手段、40、70、80、90:流路、41、71、81、91:油流路(冷却媒体注入手段)、41b、71b、81b、91b:油流路部、42:油流路(冷却媒体注入手段)、42a、72a、82a、92a:逆流防止手段、42am:逆流防止手段、42af:逆流防止手段、42b、42b0、72b、82b、92b:油流路部、42bm1、42bm2:油流路部、42bf1、42bf2:油流路部、43:油流路(冷却媒体注入手段)、43a、73a、83a、93a:逆流防止手段、43b、73b、83b、93b:油流路部、43c:注入形態形成部材、44:プラグ、45、46:ケーシングボア4m、4fの交点、60:流路、74b、84b:共通流路、76、86、96:加圧手段

Claims (9)

  1. 互いに噛合いながら回転する雄ロータ及び雌ロータと、
    前記雄ロータ及び前記雌ロータを収納するケーシングと、
    前記雄ロータと前記雌ロータと前記ケーシングとから構成される複数の作動室と、
    前記雄ロータあるいは前記雌ロータを回転駆動する駆動手段と、
    前記作動室へ冷却媒体を注入する冷却媒体注入手段と、
    圧縮後の被圧縮ガスから冷却媒体を分離する冷却媒体分離手段と、を有するスクリュー流体機械であって、
    複数の異なる圧力状態にある前記作動室に前記冷却媒体注入手段がそれぞれ配設されており、
    前記作動室から前記冷却媒体注入手段への被圧縮ガスと冷却媒体の逆流を防止する逆流防止手段を具備することを特徴とするスクリュー流体機械。
  2. 請求項1記載のスクリュー流体機械であって、複数の前記作動室のうち、最低圧力状態にならない前記作動室と連通する前記冷却媒体注入手段に、前記逆流防止手段を具備することを特徴とするスクリュー流体機械。
  3. 請求項1記載のスクリュー流体機械であって、高圧側の前記作動室と低圧側の前記作動室に連通する前記冷却媒体注入手段のうち、前記高圧側の前記作動室に連通する前記冷却媒体注入手段に前記逆流防止手段を具備することを特徴とするスクリュー流体機械。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のスクリュー流体機械であって、前記逆流防止手段が設けられていない前記冷却媒体注入手段と連通する前記作動室の開口の圧力を、前記冷却媒体注入手段の圧力より低く構成することを特徴とするスクリュー流体機械。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のスクリュー流体機械であって、前記逆流防止手段は、前記作動室と前記冷却媒体注入手段の圧力差で作動する機械式の逆流防止弁であることを特徴とするスクリュー流体機械。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のスクリュー流体機械であって、複数の前記冷却媒体注入手段は、前記逆流防止手段より前記作動室側でそれぞれ独立していることを特徴とするスクリュー流体機械。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のスクリュー流体機械であって、前記逆流防止手段から前記作動室へ向かって前記冷却媒体を加圧する加圧手段を具備することを特徴とするスクリュー流体機械。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のスクリュー流体機械であって、前記逆流防止手段は、前記冷却媒体注入手段が連通する前記作動室の開口付近に配設されていることを特徴とするスクリュー流体機械。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載のスクリュー流体機械であって、前記逆流防止手段と、前記冷却媒体注入手段が連通する前記作動室の開口との間に、前記作動室へ注入される前記冷却媒体の注入形態形成部材が配設されていることを特徴とするスクリュー流体機械。
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