JP2018020264A - 土壌浄化施設のためのキレート剤回収装置及びキレート剤回収方法 - Google Patents
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Abstract
Description
まず、図1を参照しつつ、本発明に係るキレート剤回収装置が付設された土壌浄化施設の概略構成を説明する。図1に示すように、土壌浄化施設Sは、破砕部1と、分級部2と、沈降分離部3と、濾過部4と、キレート剤再生部5と、キレート剤補充部6とを備えている。
図4に示すように、キレート剤回収装置60は、砂すすぎ装置61と、粗骨材すすぎ装置62と、すすぎ水蒸発装置63とを備えている。ここで、砂すすぎ装置61は、分級部2の一部をなすサンドクリーン17から排出された砂に、すすぎ水を散布又は噴射して、該砂に保持され又は付着しているキレート剤を洗い流して除去する。粗骨材すすぎ装置62は、分級部2の一部をなすトロンメル14から排出された粗骨材に、すすぎ水を散布又は噴射して、該粗骨材に保持され又は付着しているキレート剤を洗い流して除去する。すすぎ水蒸発装置63は、砂すすぎ装置61又は粗骨材すすぎ装置62から排出されたキレート剤を含むすすぎ水から水だけを蒸発させて、キレート剤を回収する。
すすぎ水貯槽84の仕様は、例えば下記のように設定される。
・直方体状貯槽(左右寸法:15m、前後寸法:30m、深さ:3m)
・表面積 450m2
・最大貯水量 約1300トン
砂収容部85の仕様は、例えば下記のように設定される。
・直方体状(左右寸法:40m、前後寸法:200m、深さ:0.8m)
・上面面積 8000m2
・砂収容量 約4000m3
砂すすぎ装置61からのキレート剤を含むすすぎ水の排出量は、すすぎ水の使用量を、砂に含まれ又は付着している洗浄水の1.2倍とすれば、16800トン/年となる。
7トン/hr×8hr×250日×1.2=16800トン/年
粗骨材すすぎ装置62からのキレート剤を含むすすぎ水の排出量は、すすぎ水の使用量を、粗骨材に含まれ又は付着している洗浄水の1.2倍とすれば、2400トン/年となる。
1トン/hr×8hr×250日×1.2=2400トン/年
一般に、湖沼や溜池などにおける水面からの水の蒸発量は、水面1m2あたり年間0.5〜1.0トンであることが知られている。したがって、すすぎ水貯槽84(表面積450m2)からは、少なくとも年間225トンの雨水が蒸発するものと推定される。
0.5トン/m2・年×450m2=225トン/年
前記のとおり、すすぎ水貯槽84の最大貯水容量は約1300トンであるが、これは砂すすぎ装置61及び粗骨材すすぎ装置62からのすすぎ水の排出量(19200トン/年、すなわち約77トン/日)の約17日分に相当する。他方、すすぎ水貯槽84内に貯留されているすすぎ水は、日々砂収容部85で処理されてゆくので、すすぎ水貯槽84は、すすぎ水を溢流させることなく十分な余裕をもって貯留することができる。
砂収容部85内の砂層105における水の蒸発量は、以下で説明するように3.15トン/m2・年であると推算される。すなわち、まず非特許文献3には、温度が14.2℃であり、相対湿度が59%であり、空気の流速が250cm/秒であるときにおける、含水比が32.1%(飽和水分状態)の土壌からの水の蒸発速度は11.3×10−6g/cm2・秒であると開示されている。また、温度が14.8℃であり、相対湿度が57%であり、空気の流速が170cm/秒であるときにおける、含水比が32.9%(飽和水分状態)の土壌からの水の蒸発速度は7.9×10−6g/cm2・秒であると開示されている。
10.0×10-6g/cm2・秒
=10.0×10-6×10-6×104トン/m2・秒=1.0×10-7トン/m2・秒
=1.0×10-7×3600×24×365トン/m2・年=3.15トン/m2・年
したがって、砂収容部85内の砂層105からは年間25200トンの水が蒸発する。
3.15トン/m2・年×8000m2=25200トン/年
前記のとおり、砂すすぎ装置61及び粗骨材すすぎ装置62からのすすぎ水の排出量は、年間19200トンと推定される。他方、すすぎ水貯槽84では少なくとも年間225トンの水が蒸発し、砂収容部85では年間25200トンの雨水が蒸発する。したがって、すすぎ水蒸発装置63では、年間25425トンの水が蒸発するものと推定される。このように、すすぎ水蒸発装置雨63では、1年間で全体的には、砂すすぎ装置61及び粗骨材すすぎ装置62から排出されるすすぎ水の量(年間19200トン)の約1.3倍(25425/19200=1.31)の量のすすぎ水を蒸発させることができるので、基本的には、すすぎ水をすべて蒸発させて処理することができることになる。しかしながら、例えば冬季あるいは梅雨の時期にはすすぎ水の蒸発量が少なくなるので、前記の具体例における砂収容部85の前後方向の寸法(200m)を、10〜20%程度長くするのが好ましい。
Claims (4)
- 有害金属又はその化合物で汚染された土壌を、キレート剤を含む洗浄水で浄化する土壌浄化施設のためのキレート剤回収装置であって、
前記土壌浄化施設は、
石又は礫と砂とを含みかつ有害金属又はその化合物で汚染された土壌を受け入れ、該土壌中に混在している石又は礫を破砕する破砕部と、
前記破砕部から排出された土壌と、キレート剤を含む洗浄水とを混合し、該土壌に付着している有害金属又はその化合物を該土壌から離脱させてキレート剤に捕捉させるとともに、該土壌から粗骨材及び砂を分離する分級部と、
前記分級部から排出された細粒土を含む洗浄水を、沈降分離により、上澄水と、細粒土を含むスラッジとに分離する沈降分離部と、
前記沈降分離部から排出された上澄水を受け入れ、該上澄水中の有害金属又はその化合物を捕捉しているキレート剤から有害金属又はその化合物を除去して該キレート剤を再生するキレート剤再生部とを備えていて、
該キレート剤回収装置は、
前記分級部で分離された砂にすすぎ水を散布又は噴射して、該砂に保持されているキレート剤を除去する砂すすぎ装置と、
前記砂すすぎ装置から排出されたキレート剤を含むすすぎ水を受け入れて貯留するすすぎ水貯槽と、
地面に配設され、周壁と前記周壁の下端部に結合された底壁とを有し、その内部空間に砂を収容する、上側が開かれた容器状の砂収容部と、
前記砂収容部の上方に配設され、前記砂収容部への雨水の降下を阻止する屋根と、
前記砂収容部の周壁の外面に隣接して配設され、その内部空間が、前記周壁に形成された連通孔を介して前記砂収容部の内部空間と連通する側溝と、
前記すすぎ水貯槽に貯留されているすすぎ水を前記側溝に供給するすすぎ水供給装置と、
前記側溝内のすすぎ水を前記すすぎ水貯槽に還流させるすすぎ水還流路と、
前記側溝内のすすぎ水の水位を、予め設定された砂浸漬上端位置に保持する水位保持装置とを備えていて、
前記砂浸漬上端位置は、該砂浸漬上端位置と前記砂収容部の内部空間に収容されている砂の上面の位置との間に位置する砂が毛管水帯を形成するように設定されていることを特徴とするキレート剤回収装置。 - 前記砂は細砂であり、
前記砂浸漬上端位置が、前記砂収容部の内部空間に収容されている砂の上面から下方に20〜40cmの範囲に設定されていることを特徴とする、請求項1に記載のキレート剤回収装置。 - 前記砂収容部は、平面形状が長方形となるように形成され、
前記側溝は、前記周壁の一部をなし前記砂収容部の長手方向に伸びる側壁の外面に隣接して配設され、
前記水位保持装置は、前記側溝と連通する一方前記すすぎ水還流路に接続された水槽と、前記水槽と前記すすぎ水還流路の間に配設され前記水槽内のすすぎ水を前記すすぎ水還流路に溢流させて前記水槽及び前記側溝の水位を前記砂浸漬上端位置に保持する堰とを有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のキレート剤回収装置。 - 請求項1〜3のいずれか1つに記載のキレート剤回収装置を用いた、有害金属又はその化合物で汚染された土壌をキレート剤を含む洗浄水で浄化する土壌浄化施設のためのキレート剤回収方法であって、
前記水位保持装置により、前記側溝のすすぎ水の水位を前記砂浸漬上端位置に保持して、該砂浸漬上端位置より上側の砂層に毛管水帯を形成し、該毛管水帯内の砂に付着しているすすぎ水を空気中に蒸発させて前記砂収容部から除去し、
前記砂収容部で所定の期間用いられた砂を前記土壌浄化施設に導入し、浄化すべき汚染された土壌とともに浄化し、
前記砂すすぎ装置から排出された砂の一部を、前記砂収容部に収容する砂として用いることを特徴とするキレート剤回収方法。
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