以下、図面を参照して、実施形態に係るX線CT装置を説明する。なお、実施形態は、以下の実施形態に限られるものではない。また、一つの実施形態に記載した内容は、原則として他の実施形態にも同様に適用される。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るX線CT装置1の構成の一例を示す図である。図1に示すように、第1の実施形態に係るX線CT装置1は、架台10と、寝台20と、コンソール30とを有する。
架台10は、被検体P(患者)にX線を照射し、被検体Pを透過したX線を検出して、コンソール30に出力する装置であり、X線照射制御回路11と、X線発生装置12と、検出器13と、データ収集回路(DAS:Data Acquisition System)14と、回転フレーム15と、架台駆動回路16とを有する。また、架台10において、図1に示すように、X軸、Y軸及びZ軸からなる直交座標系を定義する。すなわち、X軸は水平方向を示し、Y軸は鉛直方向を示し、Z軸は架台10が非チルト時の状態における回転フレーム15の回転中心軸方向を示す。
回転フレーム15は、X線発生装置12と検出器13とを被検体Pを挟んで対向するように支持し、後述する架台駆動回路16によって被検体Pを中心した円軌道にて高速に回転する円環状のフレームである。
X線照射制御回路11は、高電圧発生部として、X線管12aに高電圧を供給する装置であり、X線管12aは、X線照射制御回路11から供給される高電圧を用いてX線を発生する。X線照射制御回路11は、後述するスキャン制御回路33の制御により、X線管12aに供給する管電圧や管電流を調整することで、被検体Pに対して照射されるX線量を調整する。
また、X線照射制御回路11は、ウェッジ12bの切り替えを行う。また、X線照射制御回路11は、コリメータ12cの開口度を調整することにより、X線の照射範囲(ファン角やコーン角)を調整する。なお、本実施形態は、複数種類のウェッジを、操作者が手動で切り替える場合であっても良い。
X線発生装置12は、X線を発生し、発生したX線を被検体Pへ照射する装置であり、X線管12aと、ウェッジ12bと、コリメータ12cとを有する。
X線管12aは、図示しない高電圧発生部により供給される高電圧により被検体PにX線ビームを照射する真空管であり、回転フレーム15の回転にともなって、X線ビームを被検体Pに対して照射する。X線管12aは、ファン角及びコーン角を持って広がるX線ビームを発生する。例えば、X線照射制御回路11の制御により、X線管12aは、フル再構成用に被検体Pの全周囲でX線を連続曝射したり、ハーフ再構成用にハーフ再構成可能な曝射範囲(180度+ファン角)でX線を連続曝射したりすることが可能である。また、X線照射制御回路11の制御により、X線管12aは、予め設定された位置(管球位置)でX線(パルスX線)を間欠曝射したりすることが可能である。また、X線照射制御回路11は、X線管12aから曝射されるX線の強度を変調させることも可能である。例えば、X線照射制御回路11は、特定の管球位置では、X線管12aから曝射されるX線の強度を強くし、特定の管球位置以外の範囲では、X線管12aから曝射されるX線の強度を弱くする。
ウェッジ12bは、X線管12aから曝射されたX線のX線量を調節するためのX線フィルタである。具体的には、ウェッジ12bは、X線管12aから被検体Pへ照射されるX線が、予め定められた分布になるように、X線管12aから曝射されたX線を透過して減衰するフィルタである。例えば、ウェッジ12bは、所定のターゲット角度や所定の厚みとなるようにアルミニウムを加工したフィルタである。なお、ウェッジは、ウェッジフィルタ(wedge filter)や、ボウタイフィルタ(bow-tie filter)とも呼ばれる。
コリメータ12cは、後述するX線照射制御回路11の制御により、ウェッジ12bによってX線量が調節されたX線の照射範囲を絞り込むためのスリットである。
架台駆動回路16は、回転フレーム15を回転駆動させることによって、被検体Pを中心とした円軌道上でX線発生装置12と検出器13とを旋回させる。
検出器13は、被検体Pを透過したX線を検出する2次元アレイ型検出器(面検出器)であり、複数チャンネル分のX線検出素子を配してなる検出素子列が被検体Pの体軸方向(図1に示すZ軸方向)に沿って複数列配列されている。具体的には、第1の実施形態における検出器13は、被検体Pの体軸方向に沿って320列など多列に配列されたX線検出素子を有し、例えば、被検体Pの肺や心臓を含む範囲など、広範囲に被検体Pを透過したX線を検出することが可能である。
なお、この検出器13には、高精細な画像の再構成を可能とするために、従来の1/2の画素ピッチ(0.25mm)の検出素子が配列される。これにより、検出器13には、例えば、従来では80列、896チャネルの検出素子が配列されるところ、160列、1792チャネルの検出素子が配列される。すなわち、検出器13は、高精細な解像度を有する。
データ収集回路14は、DASであり、検出器13が検出したX線の検出データから、投影データを収集する。例えば、データ収集回路14は、検出器13により検出されたX線強度分布データに対して、増幅処理やA/D変換処理、チャンネル間の感度補正処理等を行なって投影データを生成し、生成した投影データを後述するコンソール30に送信する。例えば、回転フレーム15の回転中に、X線管12aからX線が連続曝射されている場合、データ収集回路14は、全周囲分(360度分)の投影データ群を収集する。また、データ収集回路14は、収集した各投影データに管球位置を対応付けて、後述するコンソール30に送信する。管球位置は、投影データの投影方向を示す情報となる。なお、チャンネル間の感度補正処理は、後述する前処理回路34が行なっても良い。
寝台20は、被検体Pを載せる装置であり、図1に示すように、寝台駆動装置21と、天板22とを有する。寝台駆動装置21は、天板22をZ軸方向へ移動して、被検体Pを回転フレーム15内に移動させる。なお、寝台駆動装置21は、天板22をX軸方向にも移動可能である。天板22は、被検体Pが載置される板である。
なお、架台10は、例えば、天板22を移動させながら回転フレーム15を回転させて被検体Pをらせん状にスキャンするヘリカルスキャンを実行する。または、架台10は、天板22を移動させた後に被検体Pの位置を固定したままで回転フレーム15を回転させて被検体Pを円軌道にてスキャンするコンベンショナルスキャンを実行する。または、架台10は、天板22の位置を一定間隔で移動させてコンベンショナルスキャンを複数のスキャンエリアで行うステップアンドシュート方式を実行する。
コンソール30は、操作者によるX線CT装置1の操作を受け付けるとともに、架台10によって収集された投影データを用いてX線CT画像データを再構成する装置である。コンソール30は、図1に示すように、入力回路31と、ディスプレイ32と、スキャン制御回路33と、前処理回路34と、記憶回路35と、画像再構成回路36と、処理回路37とを有する。
入力回路31は、X線CT装置1の操作者が各種指示や各種設定の入力に用いるマウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック等を有し、操作者から受け付けた指示や設定の情報を、処理回路37に転送する。例えば、入力回路31は、操作者から、X線CT画像データの撮影条件や、X線CT画像データを再構成する際の再構成条件、X線CT画像データに対する画像処理条件等を受け付ける。また、入力回路31は、被検体Pに対する検査を選択するための操作を受け付ける。また、入力回路31は、画像上の部位を指定するための指定操作を受け付ける。
ディスプレイ32は、操作者によって参照されるモニタであり、処理回路37による制御のもと、X線CT画像データから生成された画像データを操作者に表示したり、入力回路31を介して操作者から各種指示や各種設定等を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示したりする。また、ディスプレイ32は、スキャン計画の計画画面や、スキャン中の画面などを表示する。また、ディスプレイ32は、被曝情報を含む仮想患者画像や画像データなどを表示する。なお、ディスプレイ32によって表示される仮想患者画像については、後に詳述する。
スキャン制御回路33は、処理回路37による制御のもと、X線照射制御回路11、架台駆動回路16、データ収集回路14及び寝台駆動装置21の動作を制御することで、架台10における投影データの収集処理を制御する。具体的には、スキャン制御回路33は、位置決め画像(スキャノ画像)を収集する撮影及び診断に用いる画像を収集する本撮影(スキャン)における投影データの収集処理をそれぞれ制御する。ここで、第1の実施形態に係るX線CT装置1においては、2次元のスキャノ画像及び3次元のスキャノ画像を撮影することができる。
例えば、スキャン制御回路33は、X線管12aを0度の位置(被検体Pに対して正面方向の位置)に固定して、天板22を定速移動させながら連続的に撮影を行うことで2次元のスキャノ画像を撮影する。或いは、スキャン制御回路33は、X線管12aを0度の位置に固定して、天板22を断続的に移動させながら、天板移動に同期して断続的に撮影を繰り返すことで2次元のスキャノ画像を撮影する。ここで、スキャン制御回路33は、被検体Pに対して正面方向だけでなく、任意の方向(例えば、側面方向など)から位置決め画像を撮影することができる。
また、スキャン制御回路33は、スキャノ画像の撮影において、被検体Pに対する全周分の投影データを収集することで、3次元のスキャノ画像を撮影する。例えば、スキャン制御回路33は、ヘリカルスキャン或いはノンヘリカルスキャンによって被検体Pに対する全周分の投影データを収集する。ここで、スキャン制御回路33は、被検体Pの胸部全体、腹部全体、上半身全体、全身などの広範囲に対して本撮影よりも低線量でヘリカルスキャン或いはノンヘリカルスキャンを実行する。ノンヘリカルスキャンとしては、例えば、上述のステップアンドシュート方式のスキャンが実行される。
このように、スキャン制御回路33が被検体Pに対する全周分の投影データを収集することで、後述する画像再構成回路36が、3次元のX線CT画像データ(ボリュームデータ)を再構成することができ、再構成したボリュームデータを用いて任意の方向から位置決め画像を生成することが可能になる。ここで、位置決め画像を2次元で撮影するか、或いは、3次元で撮影するかは、操作者によって任意に設定する場合でもよく、或いは、検査内容に応じて予め設定される場合でもよい。
前処理回路34は、データ収集回路14によって生成された投影データに対して、対数変換処理と、オフセット補正、感度補正及びビームハードニング補正等の補正処理とを行なって、補正済みの投影データを生成する。具体的には、前処理回路34は、データ収集回路14によって生成された位置決め画像の投影データ及び本撮影によって収集された投影データのそれぞれについて、補正済みの投影データを生成して、記憶回路35に格納する。
記憶回路35は、前処理回路34により生成された投影データを記憶する。具体的には、記憶回路35は、前処理回路34によって生成された、位置決め画像の投影データ及び本撮影によって収集される診断用の投影データを記憶する。また、記憶回路35は、後述する画像再構成回路36によって生成された画像データや仮想患者画像を記憶する。また、記憶回路35は、後述する処理回路37による処理結果を適宜記憶する。なお、仮想患者画像及び処理回路37による処理結果については、後述する。
画像再構成回路36は、記憶回路35が記憶する投影データを用いてX線CT画像データを再構成する。具体的には、画像再構成回路36は、位置決め画像の投影データ及び診断に用いられる画像の投影データから、X線CT画像データをそれぞれ再構成する。ここで、再構成方法としては、種々の方法があり、例えば、逆投影処理が挙げられる。また、逆投影処理としては、例えば、FBP(Filtered Back Projection)法による逆投影処理が挙げられる。或いは、画像再構成回路36は、逐次近似法を用いて、X線CT画像データを再構成することもできる。
また、画像再構成回路36は、X線CT画像データに対して各種画像処理を行うことで、画像データを生成する。そして、画像再構成回路36は、再構成したX線CT画像データや、各種画像処理により生成した画像データを記憶回路35に格納する。
処理回路37は、架台10、寝台20及びコンソール30の動作を制御することによって、X線CT装置1の全体制御を行う。具体的には、処理回路37は、スキャン制御回路33を制御することで、架台10で行なわれるCTスキャンを制御する。また、処理回路37は、画像再構成回路36を制御することで、コンソール30における画像再構成処理や画像生成処理を制御する。また、処理回路37は、記憶回路35が記憶する各種画像データを、ディスプレイ32に表示するように制御する。
また、処理回路37は、図1に示すように、取得機能37a、設定機能37b及び再構成機能37cを実行する。ここで、例えば、図1に示す処理回路37の構成要素である取得機能37a、設定機能37b及び再構成機能37cが実行する各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路35に記録されている。処理回路37は、各プログラムを記憶回路35から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路37は、図1の処理回路37内に示された各機能を有することとなる。なお、取得機能37aのことを取得部とも言い、設定機能37bのことを設定部とも言い、再構成機能37cのことを再構成部とも言う。
以上、第1の実施形態に係るX線CT装置1の構成について説明した。かかる構成のもと、第1の実施形態に係るX線CT装置1は、健常者又は既に病変部位が分かっており定期的な経過観察を受けるフォローアップ者を対象とした検査に使用される。
ところで、X線CT装置1では、検査部位について複数の検査を行う場合がある。ここで、従来技術に係るX線CT装置では、検査ごとにプランを受け付けてスキャンを実行し、プランごとに画像を再構成する。図2Aから図2Dは、従来技術を説明するための図である。
図2Aでは、過去の検査で病変部位が検出されたフォローアップ者に対する胸部の肺癌CT検査を例に示す。図2Aの例では、胸部全体と病変部位904と病変部位905とをそれぞれ撮影する場合を示す。なお、病変部位904及び病変部位905は、関心領域の一例である。かかる場合、例えば、被検体Pの過去の検査に係るCT画像に基づいて撮影範囲が設定される。より具体的には、胸部全体の撮影範囲として領域901が設定され、病変部位904を含んだ撮影範囲として領域902が設定され、病変部位905を含んだ撮影範囲として領域903が設定される。
図2Bの左図では領域901を示し、図2Bの右図では領域901対するデータ収集条件を示す。図2Bの右図に示すように、胸部全体を超低線量で撮影するデータ収集条件906がプランAとして設定される。例えば、プランAでは、CTDI(Computed tomography dose index)は、3mGy以下である。また、図2Cの左図では領域902を示し、図2Cの右図では領域902に対するデータ収集条件を示す。図2Cの右図に示すように、病変部位904を通常線量で撮影するデータ収集条件907がプランBとして設定される。例えば、プランBでは、CTDIは、15mGy程度である。また、図2Dの左図では領域903を示し、図2Dの右図では領域903対するデータ収集条件を示す。図2D右図に示すように、病変部位905を通常線量で撮影するデータ収集条件908がプランCとして設定される。例えば、プランCでは、CTDIは、15mGy程度である。
そして、プランAでスキャンが実行されることで胸部全体の画像が再構成され、プランBでスキャンが実行されることで病変部位904を含んだ高精細な画像が再構成され、プランCでスキャンが実行されることで病変部位905を含んだ高精細な画像が再構成される。このように、従来技術に係るX線CT装置では、検査ごとにスキャンを実行して収集したデータを用いて、画像を再構成するため、被検体Pの被曝量が増加する。プランA,プランB,プランCの合計線量:CTDIは,約33mGyとなる。
このようなことから、第1の実施形態に係るX線CT装置1は、被検体に対する第1のプランと、被検体Pに対する第2のプランとを統合して被検体Pに対する第3のプランを設定する。例えば、第1の実施形態に係るX線CT装置1は、被検体Pの検査部位に対するデータ収集条件を含んだ第1のスキャン条件と、検査部位に含まれる関心領域に対するデータ収集条件を含んだ第2のスキャン条件とに基づいて、関心領域を含んだ被検体Pの検査部位に対する本スキャンのデータ収集条件を設定する。そして、第1の実施形態に係るX線CT装置1は、設定されたデータ収集条件で収集されたデータを用いて、第1のスキャン条件に含まれる画像再構成条件による画像と、第2のスキャン条件に含まれる画像再構成条件による画像をそれぞれ再構成する。このような機能は、設定機能37b及び再構成機能37cにより実現される。以下では、設定機能37b及び再構成機能37cについて説明する。
図3は、第1の実施形態に係るX線CT装置1による処理手順を示すフローチャートである。図3では、X線CT装置1全体の動作を説明するフローチャートを示し、各構成要素がフローチャートのどのステップに対応するかを説明する。なお、図3に示す、第1の実施形態に係るX線CT装置1による処理は、例えば、過去の検査に係るCT画像に基づくフォローアップにおいて、位置決めスキャンが終了した後の本スキャンとして実行される。
ステップS101は、入力回路31により実現されるステップである。ステップS101では、入力回路31は、各プランのスキャン条件を受け付ける。例えば、入力回路31は、プランAとして胸部全体を撮影するスキャン条件を受け付ける。また、入力回路31は、プランBとして胸部の病変部位を撮影するスキャン条件を受け付ける。なお、スキャン条件には、データ収集条件と画像再構成条件とが含まれる。
ステップS102は、取得機能37aに対応するステップである。処理回路37が記憶回路35から取得機能37aに対応する所定のプログラムを呼び出し実行することにより、取得機能37aが実現される。ステップS102では、取得機能37aは、各プランのスキャン条件を取得する。例えば、取得機能37aは、ステップS101で受け付けたプランA及びプランBのスキャン条件を取得する。
図4Aから図4Cを用いて、取得機能37aによる処理動作を説明する。図4Aから図4Cは、第1の実施形態に係る取得機能37aによる処理動作を説明するための図である。図4Aでは、プランAの撮影範囲51及びプランBの撮影範囲52を示す。図4Aに示すように、プランAの撮影範囲51は、胸部全体であり、プランBの撮影範囲52は、関心領域である病変部位53を含んでいる。
図4Bの左図ではプランAの撮影範囲51を示し、図4Bの右図ではプランAのスキャン条件を示す。取得機能37aは、スキャン条件として、図4Bの右図に示すデータ収集条件54と画像再構成条件とを取得する。図4Bの右図に示すように、プランAでは、胸部全体を超低線量で撮影するデータ収集条件54が設定される。ここで、プランAのデータ収集条件54には、「HP(Helical Pitch):早い」が含まれ、プランAの画像再構成条件には、例えば、「DFOV(Display Field Of View):512マトリックス、再構成モード:通常再構成」などが含まれる。ここで言う「通常再構成」とは、例えば、80列、896チャネルの検出素子が配列された従来の検出器において検出された検出信号を用いて、画像を再構成することを示す。なお、図4Bに示す例では、管電流を変調させる場合を示したが実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、図2Bの右図と同様に管電流を一定にしたデータ収集条件が設定されてもよい。なお、ヘリカルピッチは、例えば、天板22の移動速度によって調整される。
図4Cの左図ではプランBの撮影範囲52を示し、図4Cの右図ではプランBのスキャン条件を示す。取得機能37aは、スキャン条件として、図4Cの右図に示すデータ収集条件55と画像再構成条件とを取得する。図4Cの右図に示すように、プランBでは、関心領域に相当する位置において通常線量で撮影するデータ収集条件55が設定される。ここで、プランBのデータ収集条件55には、「HP:遅い」が含まれ、プランBの画像再構成条件には、例えば、プランAよりも高精細に画像を再構成する「DFOV:1024マトリックス、再構成モード:高精細再構成」などが含まれる。ここで言う「高精細再構成」とは、例えば、160列、1792チャネルの検出素子が配列された検出器13において検出された検出信号を用いて、画像を再構成することを示す。
図3に戻る。ステップS103は、設定機能37bに対応するステップである。処理回路37が記憶回路35から設定機能37bに対応する所定のプログラムを呼び出し実行することにより、設定機能37bが実現される。ステップS103では、設定機能37bは、位置決め画像又は被検体Pの過去の検査に係るCT画像に基づいて関心領域の位置情報を取得し、本スキャンのデータ収集条件を設定する。
図5、図6A及び図6Bを用いて、設定機能37bによるステップS103の処理の詳細を説明する。図5は、第1の実施形態に係る設定機能37bによる処理手順を示すフローチャートであり、図6A及び図6Bは、第1の実施形態に係る設定機能37bによる処理動作を説明するための図である。
図5に示す処理手順は、図3に示すステップS103の処理に対応する。図5に示すステップS201からステップS203は、設定機能37bに対応するステップである。処理回路37が記憶回路35から設定機能37bに対応する所定のプログラムを呼び出し実行することにより、設定機能37bが実現される。
ステップS201では、設定機能37bは、関心領域の位置情報を取得する。例えば、設定機能37bは、位置決め画像又は被検体Pの過去の検査に係るCT画像に基づいて関心領域の位置情報を取得する。一例を挙げると、図6Aの左図に示すように、設定機能37bは、被検体Pの過去の検査に係るCT画像において検出された病変部位53の位置情報を取得する。言い換えると、関心領域は、被検体Pの位置決め画像又は被検体Pの過去の検査に係るCT画像において病変部位を含む領域である。
ステップS202では、設定機能37bは、関心領域における管電流又は管電圧を変調させる。ここで、例えば、設定機能37bは、ステップS102で取得したプランAのデータ収集条件54とプランBのデータ収集条件55とを一つのデータ収集条件56としてまとめる。図6Aの右図に示すデータ収集条件56は、ヘリカルスキャンで実行されるデータ収集条件である。より具体的には、設定機能37bは、図6Aの右図に示すように、ステップS201で取得した病変部位53の位置において通常線量で撮影するように、プランAのデータ収集条件54の管電流を変調させる。かかる場合、病変部位53の位置における管電流は、プランBのデータ収集条件55に示す管電流となる。このように設定機能37bは、関心領域における管電流又は管電圧を関心領域以外に比して変調させる本スキャンのデータ収集条件を設定する。
ステップS203では、設定機能37bは、関心領域におけるヘリカルピッチを設定する。例えば、設定機能37bは、図6Aの右図に示すように、ステップS201で取得した病変部位53の空間分解能を高めるために、病変部位53の位置においてヘリカルピッチが遅くなるようにデータ収集条件56を設定する。すなわち、設定機能37bは、関心領域におけるヘリカルピッチを関心領域以外に比して低速にさせる本スキャンのデータ収集条件を設定する。これにより、病変部位53の位置におけるヘリカルピッチは、病変部位53以外の位置におけるヘリカルピッチよりも遅くなる。このようにして、設定機能37bは、プランAとプランBとを統合したプランのデータ収集条件を設定する。なお、以下ではプランAのことを第1のプランとも称し、プランBのことを第2のプランとも称す。また、プランAとプランBとを統合したプランのことを第3のプランと称す。
なお、設定機能37bは、図6Bに示すように、病変部位53の空間分解能を高めるために、病変部位53の位置におけるヘリカルピッチを変化させずに、管電流を更に高めるデータ収集条件57を設定するようにしてもよい。このように、設定機能37bは、被検体Pに対する第1のプランと、被検体Pに対する第2のプランとを統合して被検体Pに対する第3のプランを設定する。例えば、設定機能37bは、被検体Pの検査部位に対するデータ収集条件を含んだ第1のスキャン条件と、検査部位に含まれる関心領域に対するデータ収集条件を含んだ第2のスキャン条件とに基づいて、関心領域を含んだ被検体Pの検査部位に対する本スキャンのデータ収集条件を設定する。言い換えると、設定機能37bは、被検体Pの撮影対象部位に対する第1のプランと、撮影対象部位に含まれる関心領域に対する第2のプランとを統合して、関心領域を含んだ被検体Pの撮影対象部位に対する第3のプランを設定する。
図3に戻る。ステップS104は、処理回路37により実現されるステップである。ステップS105では、処理回路37は、ステップS103において設定したデータ収集条件をディスプレイ32に表示させる。
ステップS105は、処理回路37により実現されるステップである。ステップS105では、処理回路37は、本スキャンの実行を受け付けたか否かを判定する。ここで、処理回路37は、本スキャンの実行を受け付けたと判定した場合(ステップS105、Yes)、ステップS106に移行する。
ステップS106は、スキャン制御回路33により実現されるステップである。ステップS106では、スキャン制御回路33は、スキャンを実行する。例えば、スキャン制御回路33は、処理回路37による制御のもと、X線照射制御回路11、架台駆動回路16、データ収集回路14及び寝台駆動装置21の動作を制御することで、ステップS103で設定したデータ収集条件で、架台10における投影データの収集処理を制御する。これにより、検出器13は、第3のプランで、160列、1792チャネルの検出素子からの高精細な検出データを検出する。
ステップS107は、再構成機能37cに対応するステップである。処理回路37が記憶回路35から再構成機能37cに対応する所定のプログラムを呼び出し実行することにより、再構成機能37cが実現される。ステップS107では、再構成機能37cは、各プランのスキャン条件に基づいて画像を再構成する。すなわち、再構成機能37cは、設定されたデータ収集条件で収集されたデータを用いて、第1のスキャン条件に含まれる画像再構成条件による画像と、第2のスキャン条件に含まれる画像再構成条件による画像をそれぞれ再構成する。例えば、再構成機能37cは、ステップS106で収集したデータを用いてプランAの画像再構成条件で画像を再構成する。また、再構成機能37cは、ステップS106で収集したデータを用いてプランBの画像再構成条件で画像を再構成する。
ここで、再構成機能37cは、解像度が異なる第1の画像と、第2の画像とを再構成する。例えば、再構成機能37cは、プランAとプランBとを統合したプラン第3のプランで収集された高精細な解像度である第1の解像度に対応するデータから、第1の画像及び第2の画像の一方の解像度が第1の解像度であり、他方の解像度が第1の解像度よりも低解像度な第2の解像度である画像を生成する。より具体的には、再構成機能37cは、再構成モードが高精細再構成である場合に、第1の解像度である画像を再構成し、再構成モードが通常再構成である場合に、第2の解像度である画像を再構成する。
例えば、再構成機能37cは、第3のプランで収集されたデータから、第1の解像度である画像を再構成し、第3のプランで収集されたデータを第2の解像度に束ねたデータから、第2の解像度である画像を再構成する。一例をあげると、再構成機能37cは、プランAの画像再構成条件の再構成モードが通常再構成であることから、第2の解像度である画像を再構成する。ここで、第3のプランで収集された投影データは、160列、1792チャネルの検出素子によって検出された高精細な検出データに基づく投影データである。このため、再構成機能37cは、通常再構成のために高精細な投影データを束ねる。例えば、4つの検出素子ごとに1つの単位としてまとめ、1つの単位としてまとめた4つの検出素子に対応する高精細な投影データを足し合わせる。そして、再構成機能37cは、足し合わせた投影データからプランAの撮影範囲に対応する画像を再構成する。
また、再構成機能37cは、プランBの画像再構成条件の再構成モードが高精細再構成であることから、第1の解像度である画像を再構成する。再構成機能37cは、第3のプランで収集された高精細な投影データからプランBの撮影範囲に対応する画像を再構成する。
なお、再構成機能37cは、解像度が異なる画像を生成する際に、高精細な投影データを束ねることで低解像度の画像を生成するのではなく、画像処理によって低解像度の画像を生成するようにしてもよい。例えば、再構成機能37cは、第3のプランで収集された高精細な投影データから、解像度が第1の解像度である第1の画像及び第2の画像を再構成し、第1の画像及び第2の画像のうち一方の画像の解像度を第2の解像度となるように画像処理する。より具体的には、再構成機能37cは、第3のプランで収集された高精細な投影データから、プランAの撮影範囲に対応する画像(画像A)と、プランBの撮影範囲に対応する画像(画像B)とを再構成する。そして、再構成機能37cは、画像Aにおける画素を、4画素ごとに1つの単位としてまとめて低解像度の画像を生成する。
ステップS108は、処理回路37により実現されるステップである。ステップS108では、処理回路37は、ステップS107において再構成した各プランの画像をディスプレイ32に表示させる。例えば、処理回路37は、プランAの画像と、プランBの画像とをそれぞれディスプレイ32に表示させる。或いは、処理回路37は、プランAの画像と、プランBの画像とを合成した合成画像をディスプレイ32に表示させる。また、処理回路37は、プランAの画像と、プランBの画像と、プランAの画像とプランBの画像とを合成した合成画像とをそれぞれディスプレイ32に表示させる。
また、処理回路37は、ステップS105において、本スキャンの実行を受け付けたと判定しなかつた場合(ステップS105、No)、ステップS109に移行する。ステップS109からステップS111は、処理回路37により実現されるステップである。ステップS109では、処理回路37は、プランの編集要求を受け付けたか否かを判定する。ここで、処理回路37は、プランの編集要求を受け付けたと判定した場合(ステップS109、Yes)、ステップS110に移行する。
ステップS110では、処理回路37は、プランの編集を受け付ける。例えば、処理回路37は、操作者がGUI上で撮影範囲を編集する操作を行うことによって、プランの編集を受け付ける。ここで、処理回路37は、ステップS101で受け付けたプラン毎に編集を受け付けてもよいし、ステップS103でデータ収集条件が設定された後のプランの編集を受け付けてもよい。図6Cから図6Fを用いて処理回路37によるステップS110の処理の詳細を説明する。図6Cから図6Fは、第1の実施形態に係る処理回路37による処理動作を説明するための図である。
図6C及び図6Dでは、プラン毎に編集を受け付ける第1の編集モードについて説明する。図6Cでは、プランAの撮影範囲51の編集を受け付けずに、プランBの撮影範囲52の編集を受け付ける場合を示す。言い換えると、処理回路37は、統合した撮影範囲を一旦解体して、撮影範囲52のみを変更する。例えば、ディスプレイ32には、図6Cに示すように、プランBの撮影範囲52を示す画像が表示される。ここで、操作者は、例えば、指型のアイコン59を操作することによって撮影範囲52を両矢印方向に広げるものとする。これにより、処理回路37は、プランBの撮影範囲52を広げる操作を受け付けたと判定し、図6Dの左図に示すように撮影範囲52を変更する。図6Dの左図では、変更前の撮影範囲52を破線で示し、変更後の撮影範囲52を実線で示している。なお、指型のアイコン59を操作することによって撮影範囲52を両矢印方向に広げるものとして説明したが、実施形態はこれに限定されるものではなく、撮影範囲52を指型のアイコン59で操作した一方向にのみ広げるよういしてもよい。
また、図6E及び図6Fでは、プランAとプランBとを統合したプランの編集を受け付ける第2の編集モードについて説明する。例えば、ディスプレイ32には、図6Eに示すように、プランAとプランBとを統合したプランの撮影範囲51と撮影範囲52とを示す画像が表示される。ここで、操作者は、例えば、指型のアイコン59を操作することによって撮影範囲51を矢印方向に広げるものとする。かかる場合、処理回路37は、統合したプランの撮影範囲51と撮影範囲52とを共に広げる操作を受け付けたと判定し、図6Fの左図に示すように撮影範囲51及び撮影範囲52を変更する。言い換えると、処理回路37は、統合した撮影範囲を解体せずに、撮影範囲51及び撮影範囲52を一体化して変更する。図6Fの左図では、変更前の撮影範囲51及び撮影範囲52を破線で示し、変更後の撮影範囲51及び撮影範囲52を実線で示している。すなわち、処理回路37は、統合したプランのいずれかの撮影範囲を編集する操作を受け付けた場合、統合したプランに含まれる全ての撮影範囲を同時に変更する。
図3に戻る。ステップS111では、処理回路37は、編集を受け付けたプランのスキャン条件を修正する。例えば、処理回路37は、プラン毎に編集を受け付けた場合、編集を受け付けたプラン毎にスキャン条件を修正する。一例をあげると、処理回路37は、プラン毎に編集を受け付けた場合、図6Dの右図に示すように、スキャン条件を変更する。より具体的には、処理回路37は、図6Dの右図では、変更前のプランBのスキャン条件55を破線で示し、変更後のプランBのスキャン条件55を実線で示している。
また、例えば、処理回路37は、統合したプランの編集を受け付けた場合、統合したプランに含まれるプラン毎にスキャン条件を修正する。一例をあげると、処理回路37は、統合したプランの編集を受け付けた場合、図6Fの中図及び右図に示すように、スキャン条件を変更する。より具体的には、処理回路37は、図6Fの中図では、変更前のプランAのスキャン条件54を破線で示し、変更後のプランAのスキャン条件54を実線で示している。また、図6Fの右図では、変更前のプランBのスキャン条件55を破線で示し、変更後のプランBのスキャン条件55を実線で示している。なお、ステップS111の終了後、ステップS102において、取得機能37aは、各プランのスキャン条件を取得する。また、処理回路37は、ステップS110において、統合したプランのデータ収集条件を操作することによってプランの編集を受け付けた場合、ステップS111においてスキャン条件を修正後、ステップS102及びステップS103を省略してステップS104に移行する。
図3に戻る。処理回路37は、ステップS109において、プランの編集要求を受け付けたと判定しなかつた場合(ステップS109、No)、ステップS112に移行する。ステップS112では、処理回路37は、キャンセルを受け付けたか否かを判定する。ここで、処理回路37は、キャンセルを受け付けたと判定した場合(ステップS112、Yes)、処理を終了する。一方、処理回路37は、キャンセルを受け付けたと判定しなかつた場合(ステップS112、No)、引き続きステップS105の判定処理を繰り返す。
なお、図6Cから図6Fでは、処理回路37は、例えばGUI上で撮影範囲を編集する操作を受け付けることによってプランの編集を受け付けるものとして説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、処理回路37は、データ収集条件を編集する操作を受け付けることによってプランの編集を受け付けてもよい。かかる場合、処理回路37は、図6Dの右図に示すグラフ上でデータ収集条件の編集を受け付けてもよく、或いは、管電流値や管電圧値等の数値として設定されたデータ収集条件の編集を受け付けてもよい。また、処理回路37は、グラフ上でデータ収集条件の編集を受け付けた場合、数値として設定されたデータ収集条件を変更してもよく、或いは、数値として設定されたデータ収集条件の編集を受け付けた場合、グラフの形状を変化させてもよい。更に、処理回路37は、データ収集条件の編集に同期して、GUI上の撮影範囲を変更してもよい。
また、処理回路37は、上述した第1の編集モードと、第2の編集モードとを切り替え可能としてもよい。また、処理回路37は、第1の編集モードと、第2の編集モードとの切り替えに応じて、編集可能な撮影範囲のみを表示して編集可能ではない撮影範囲を非表示にしたり、編集可能ではない撮影範囲を表示するが編集を受け付けないようにしたりしてもよい。更に、処理回路37は、第1の編集モードと、第2の編集モードとの切り替えに応じて、数値として設定されたデータ収集条件やグラフで示されるデータ収集条件についても同様に、編集可能なデータ収集条件のみを表示したり、編集可能ではないデータ収集条件を表示するが編集を受け付けないようにしたりしてもよい。
上述したように、第1の実施形態では、X線CT装置1は、被検体の検査部位に対するデータ収集条件を含んだ第1のスキャン条件と、検査部位に含まれる関心領域に対するデータ収集条件を含んだ第2のスキャン条件とに基づいて、関心領域を含んだ被検体の検査部位に対する本スキャンのデータ収集条件を設定する。このように、第1の実施形態に係るX線CT装置1では、例えば、独立に設定された2つのプランを実行する場合に、2つのプランのデータ収集条件に基づいて、1つのプランとして撮影するデータ収集条件を設定する。これにより、X線CT装置1の操作者は、撮影開始ボタンを1度だけ押下すればよい。この結果、X線CT装置1の操作者は、検査を効率化することができる。
また、被検体の検査部位を撮影した後に、検査部位に含まれる関心領域を撮影した場合、関心領域にX線を2回照射することになる。第1の実施形態に係るX線CT装置1では、1つのプランとして撮影するデータ収集条件を設定することにより、関心領域へのX線照射回数を低減することが可能になる。このように第1の実施形態によれば、被曝を低減することができる。
また、従来技術に係るX線CT装置では、複数回の撮影が必要なため、被検体の拘束時間が長くなる。一方、第1の実施形態に係るX線CT装置では、撮影回数を減らすことができるので、被検体の拘束時間を短くすることが可能になる。これにより、第1の実施形態によれば、被検体への負荷を軽減することが可能になる。
(第1の実施形態の第1の変形例)
上述した実施形態では、検査部位において病変部位が1つである場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、検査部位において複数の病変部位が存在してもよい。X線CT装置1は、検査部位に置いて複数の病変部位が存在する場合も、図3に示した処理手順を実行する。以下では、図7Aから図7Eを用いて、第1の実施形態の変形例に係る取得機能37a及び設定機能37bの動作について説明する。図7Aから図7Eは、第1の実施形態の第1の変形例を説明するための図である。
図7Aの例では、胸部全体と病変部位64と病変部位65とをそれぞれ撮影する場合を示す。より具体的には、胸部全体の撮影範囲として領域61がプランAとして設定され、病変部位64を含んだ撮影範囲として領域62がプランBとして設定され、病変部位65を含んだ撮影範囲として領域63がプランCとして設定される。取得機能37aは、図7Aに示す例では、プランA、プランB及びプランCのスキャン条件を取得する。
図7Bの左図ではプランAの撮影範囲61を示し、図7Bの右図ではプランAのスキャン条件を示す。取得機能37aは、スキャン条件として、図7Bの右図に示すデータ収集条件66と画像再構成条件とを取得する。図7Bの右図に示すように、プランAでは、胸部全体を超低線量で撮影するデータ収集条件66が設定される。ここで、プランAのデータ収集条件66には、「HP:早い」が含まれ、プランAの画像再構成条件には、例えば、「DFOV:512マトリックス、再構成モード:通常再構成」などが含まれる。なお、図7Bに示す例では、管電流を変調させる場合を示したが実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、図2Bの右図と同様に管電流を一定にしたデータ収集条件が設定されてもよい。
図7Cの左図ではプランBの撮影範囲62を示し、図7Cの右図ではプランBのスキャン条件を示す。取得機能37aは、スキャン条件として、図7Cの右図に示すデータ収集条件67と画像再構成条件とを取得する。図7Cの右図に示すように、プランBでは、関心領域に相当する位置において通常線量で撮影するデータ収集条件67が設定される。ここで、プランBのデータ収集条件67には、「HP:遅い」が含まれ、プランBの画像再構成条件には、例えば、「DFOV:1024マトリックス、再構成モード:高精細再構成」などが含まれる。
図7Dの左図ではプランCの撮影範囲63を示し、図7Dの右図ではプランCのスキャン条件を示す。取得機能37aは、スキャン条件として、図7Dの右図に示すデータ収集条件68と画像再構成条件とを取得する。図7Dの右図に示すように、プランCでは、関心領域に相当する位置において通常線量で撮影するデータ収集条件68が設定される。ここで、プランCのデータ収集条件68には、「HP:遅い」が含まれ、プランCの画像再構成条件には、例えば、「DFOV:1024マトリックス、再構成モード:高精細再構成」などが含まれる。
そして、設定機能37bは、関心領域が複数存在する場合、第1のスキャン条件と、各関心領域ごとの第2のスキャン条件とに基づいて、複数の関心領域を含んだ本スキャンのデータ収集条件を設定する。例えば、設定機能37bは、図7Bに示すプランAのデータ収集条件66と、図7Cに示すプランBのデータ収集条件67と、図7Dに示すプランCのデータ収集条件68とを一つのデータ収集条件69としてまとめる。設定機能37bは、検査部位に置いて複数の病変部位が存在する場合も、図5に示した処理手順を実行する。
図7Eの左図ではプランAの撮影範囲61と、プランBの撮影範囲62と、プランCの撮影範囲63とを示す。また、図7Eの右図ではデータ収集条件69を示す。図7Eの右図に示すデータ収集条件69は、ヘリカルスキャンで実行されるデータ収集条件である。設定機能37bは、図7Eの右図に示すように、取得した病変部位64及び病変部位65の位置において通常線量で撮影するように、プランAのデータ収集条件66の管電流を変調させる。かかる場合、病変部位64の位置における管電流はプランBのデータ収集条件67に示す管電流となり、病変部位65の位置における管電流はプランCのデータ収集条件68に示す管電流となる。
また、設定機能37bは、関心領域におけるヘリカルピッチを設定する。例えば、設定機能37bは、取得した病変部位64及び病変部位65の空間分解能を高めるために、病変部位64及び病変部位65の位置においてヘリカルピッチが遅くなるようにデータ収集条件69を設定する。すなわち、病変部位64及び病変部位65の位置におけるヘリカルピッチは、病変部位64及び病変部位65以外の位置におけるヘリカルピッチよりも遅くなる。なお、設定機能37bは、病変部位64及び病変部位65の空間分解能を高めるために、病変部位64及び病変部位65の位置におけるヘリカルピッチを変化させずに、管電流を更に高めるデータ収集条件を設定するようにしてもよい。
再構成機能37cは、設定されたデータ収集条件で収集されたデータを用いて、第1のスキャン条件に含まれる画像再構成条件と、各関心領域ごとの第2のスキャン条件に含まれる画像再構成条件とで画像をそれぞれ再構成する。そして、処理回路37は、再構成した各プランの画像をディスプレイ32に表示させる。例えば、処理回路37は、プランAの画像と、プランBの画像と、プランCの画像とをそれぞれディスプレイ32に表示させる。或いは、処理回路37は、プランAの画像と、プランBの画像と、プランCの画像とを合成した合成画像をディスプレイ32に表示させる。また、処理回路37は、プランAの画像と、プランBの画像と、プランCの画像と、プランAの画像とプランBの画像とプランCの画像とを合成した合成画像とをそれぞれディスプレイ32に表示させる。
上述したように、第1の実施形態の変形例では、X線CT装置1は、関心領域が複数存在する場合、第1のスキャン条件と、各関心領域ごとの第2のスキャン条件とに基づいて、複数の関心領域を含んだ本スキャンのデータ収集条件を設定する。このように、第1の実施形態の変形例に係るX線CT装置1では、例えば、独立に設定された3つのプランを実行する場合に、3つのプランのデータ収集条件に基づいて、1つのプランとして撮影するデータ収集条件を設定する。これにより、X線CT装置1の操作者は、撮影開始ボタンを1度だけ押下すればよい。この結果、X線CT装置1の操作者は、検査を効率化することができる。
また、被検体の検査部位を撮影した後に、検査部位に含まれる関心領域を撮影した場合、関心領域にX線を2回照射することになる。更に、撮影範囲をヘリカルスキャンする場合、設定された撮影範囲にのりしろを加えた範囲で撮影を行なう。このため、設定された撮影範囲よりも広い範囲にX線を照射することになる。このため、従来技術に係るX線CT装置では、関心領域間の距離が近い場合には、のりしろ部分へX線が重複して照射されることになる。一方、第1の実施形態の変形例に係るX線CT装置1では、1つのプランとして撮影するデータ収集条件を設定することにより、関心領域及びのりしろ部分へのX線照射回数を低減することが可能になる。このように第1の実施形態の変形例によれば、被曝を低減することができる。具体的には,図2A〜2Dの線量(CTDI)約33mGyに対して,図7Eの撮影を行う事で,CTDIは25mGy程度まで削減可能となる。
(第1の実施形態の第2の変形例)
また、上述した第1の実施形態では、プランAでは例えば胸部全体を撮影し、プランBでは例えば肺癌等の病変部位を関心領域として撮影する場合について説明した。ここで、例えば、プランAとしてVHP(Variable Helical Pitch)を利用した場合にも上述した第1の実施形態を適用可能である。図8A及び図8Bは、第1の実施形態の第2の変形例を説明するための図である。
図8A及び図8Bでは、プランAとしてVHPを利用して拍動の影響のない胸部全体の画像を撮影し、プランBとして肺癌等の病変部位を関心領域として撮影する場合について説明する。図8Aの左図ではプランAの撮影範囲51aと、プランBの撮影範囲52aと、関心領域である病変部位53aとを示を示す。また、図8Aの中図ではプランAのスキャン条件を示す。ここで、プランAのスキャン条件として、図4Bで示した胸部全体を超低線量で撮影するデータ収集条件54にVHPを適用したデータ収集条件54aが設定される。例えば、データ収集条件54aでは、両矢印で示した心臓に対応するデータ収集区間において、HPを遅くするVHPを適用する。また、プランAのスキャン条件として、例えば、「DFOV:512マトリックス、再構成モード:通常再構成」が設定される。
図8Aの右図ではプランBのスキャン条件を示す。ここで、プランBのスキャン条件として、関心領域に相当する位置において通常線量で撮影するデータ収集条件55aが設定される。例えば、データ収集条件55aでは、病変部位53aに対応するデータ収集区間において、HPを遅くする。また、プランBのスキャン条件として、例えば、「DFOV:1024マトリックス、再構成モード:高精細再構成」が設定される。
かかる場合、設定機能37bは、プランAとプランBとを統合したプランのデータ収集条件を設定する。より具体的には、設定機能37bは、図8Bに示すデータ収集条件を設定する。例えば、設定機能37bは、図8Bの右図に示すように、心臓に対応するデータ収集区間と病変部位53aに対応するデータ収集区間においてヘリカルピッチが遅くなるようにデータ収集条件56aを設定する。また、設定機能37bは、プランAの撮影範囲において通常に画像を再構成し、プランBの撮影範囲において高精細な画像を再構成する再構成条件を設定する。
(第1の実施形態の第3の変形例)
また、上述した第1の実施形態では、プランAの撮影領域中にプランBの撮影領域が含まれる場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。図9Aから図9Cは、第1の実施形態の第3の変形例を説明するための図である。例えば、図9Aに示すように、プランAの撮影領域51bと、プランBの撮影領域52bとが一部重なる場合にも上述した実施形態を適用可能である。また、例えば、図9Bに示すように、プランAの撮影領域51cと、プランBの撮影領域52bとが隣接する場合にも上述した実施形態を適用可能である。更に、例えば、図9Cに示すように、プランAの撮影領域51dと、プランBの撮影領域52cとが多少離れている場合にも上述した実施形態を適用可能である。
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態では、フォローアップ者に対して、検査部位と、検査部位に含まれる関心領域とを撮影する場合に、検査部位を撮影するデータ収集条件と関心領域を撮影するデータ収集条件とを一つにまとめる例について説明した。ところで、胸部の肺癌CT検査では、検査部位を撮影せずに、複数の関心領域を撮影する場合が考えられる。
そこで、第2の実施形態では、検査部位を撮影せずに、複数の関心領域を撮影する場合に、各関心領域のデータ収集条件を一つにまとめる例について説明する。なお、第2の実施形態に係るX線CT装置の全体構成は、設定機能37bの一部の動作が異なる点を除いて、図1に示した構成例と同様である。このため、以下では設定機能37bについてのみ説明し、設定機能37b以外の構成については詳細な説明を省略する。
また、第2の実施形態に係るX線CT装置1により処理手順は、ステップS103の処理手順が異なる点を除いて、図3に示す処理手順と同様である。例えば、ステップS101では、入力回路31は、各プランのスキャン条件を受け付ける。また、ステップS102では、取得機能37aは、各プランのスキャン条件を取得する。例えば、取得機能37aは、第1の関心領域を含んだ第1の撮影範囲に対するデータ収集条件を含んだ第1のスキャン条件と、第2の関心領域を含んだ第2の撮影範囲に対するデータ収集条件を含んだ第2のスキャン条件とを取得する。以下では図10を用いてステップS103の処理手順について説明する。図10は、第2の実施形態に係る設定機能37bによる処理手順を示すフローチャートである。
図10に示すステップS301からステップS308は、設定機能37bに対応するステップである。処理回路37が記憶回路35から設定機能37bに対応する所定のプログラムを呼び出し実行することにより、設定機能37bが実現される。なお、図10では、関心領域として2つの病変部位を撮影する場合について説明する。
ステップS301では、設定機能37bは、各関心領域がボリューム撮影範囲内か否かを判定する。例えば、設定機能37bは、検出器13のサイズ内に撮影範囲がおさまるか否かを判定する。言い換えると、設定機能37bは、各関心領域を含んだ撮影範囲が、1回転のボリュームスキャンでデータを収集することが可能であるか否かを判定する。ここで、図11Aから図11Cを用いて、ステップS301の判定処理について説明する。図11Aから図11Cは、第2の実施形態に係る設定機能37bによる処理動作を説明するための図である。
図11Aから図11Cでは、プランAとして病変部位73を撮影し、プランBとして病変部位74を撮影する場合を示す。図11Aに示す例では、病変部位73を含んだ撮影範囲71と、病変部位74を含んだ撮影範囲72とが設定される。ここで、撮影範囲71及び撮影範囲72は、ボリューム撮影範囲内であるものとする。
図11Bに示す例では、病変部位73を含んだ撮影範囲71と、病変部位74を含んだ撮影範囲72aとが設定される。ここで、撮影範囲71はボリューム撮影範囲内であり、撮影範囲72aはボリューム撮影範囲内ではないものとする。また、図11Cに示す例では、病変部位73を含んだ撮影範囲71と、病変部位74を含んだ撮影範囲72bとが設定される。ここで、撮影範囲71はボリューム撮影範囲内であり、撮影範囲72bはボリューム撮影範囲内ではないものとする。
ここで、設定機能37bは、各関心領域がボリューム撮影範囲内であると判定した場合(ステップS301、Yes)、各撮影範囲それぞれをコンベンショナルスキャンで撮影すると決定する(ステップS302)。例えば、設定機能37bは、図11Aに示す例において、コンベンショナルスキャンで撮影範囲71を撮影した後、天板22を移動させてコンベンショナルスキャンで撮影範囲72を撮影する。
一方、設定機能37bは、各関心領域がボリューム撮影範囲内であると判定しなかった場合(ステップS301、No)、各撮影範囲を設定する(ステップS303)。そして、設定機能37bは、撮影範囲に重複する領域が存在するか否かを判定する(ステップS304)。言い換えると、設定機能37bは、第1の撮影範囲と第2の撮影範囲との間の距離が所定の閾値以下であるか否かを判定する。より具体的には、設定機能37bは、図11Bに示す例において、撮影範囲71と撮影範囲72aとの間の距離が所定の閾値以下であるか否かを判定する。また、設定機能37bは、図11Cに示す例において、撮影範囲71と撮影範囲72bとの間の距離が所定の閾値以下であるか否かを判定する。
ここで、設定機能37bは、撮影範囲に重複する領域が存在すると判定しなかった場合(ステップS304、No)、いずれかの関心領域がボリューム撮影範囲内か否かを判定する(ステップS305)。一例をあげると、設定機能37bは、図11Bに示す例において、撮影範囲71と撮影範囲72bとの間の距離が所定の閾値以下ではないと判定し、いずれかの関心領域がボリューム撮影範囲内か否かを判定する。そして、設定機能37bは、いずれかの関心領域がボリューム撮影範囲内であると判定した場合(ステップS305、Yes)、撮影範囲ごとにコンベンショナルスキャンとヘリカルスキャンとを選択する(ステップS306)。例えば、設定機能37bは、図11Bに示す例において、撮影範囲71がボリューム撮影範囲内であると判定し、撮影範囲72aがボリューム撮影範囲内ではないと判定した場合、コンベンショナルスキャンで撮影範囲71を撮影した後、天板22を移動させてヘリカルスキャンで撮影範囲72aを撮影する。
一方、設定機能37bは、いずれかの関心領域がボリューム撮影範囲内であると判定しなかった場合(ステップS305、No)、各撮影範囲それぞれをヘリカルスキャンで撮影する(ステップS307)。例えば、設定機能37bは、2つの撮影範囲が共にボリューム撮影範囲内ではないと判定した場合、ヘリカルスキャンで一方の撮影範囲を撮影した後、天板22を移動させてヘリカルスキャンで他方の撮影範囲を撮影する。
このように、設定機能37bは、第1の撮影範囲と第2の撮影範囲とがそれぞれ所定の閾値以下である場合、第1のスキャン条件と第2のスキャン条件とに基づいて、第1の撮影範囲に対する本スキャンのデータ収集条件と第2の撮影範囲に対する本スキャンのデータ収集条件とをそれぞれ設定する。また、設定機能37bは、第1の撮影範囲及び第2の撮影範囲の少なくともいずれか一方が所定の閾値以下ではなく、第1の撮影範囲と第2の撮影範囲との間の距離が所定の閾値以下ではない場合、第1のスキャン条件と第2のスキャン条件とに基づいて、第1の撮影範囲に対する本スキャンのデータ収集条件と第2の撮影範囲に対する本スキャンのデータ収集条件とをそれぞれ設定する。更に、設定機能37bは、第1の撮影範囲及び第2の撮影範囲のうち所定の閾値以下である撮影範囲に対して1回転のボリュームスキャンでデータを収集するデータ収集条件を設定し、第1の撮影範囲及び第2の撮影範囲のうち所定の閾値以下ではない撮影範囲に対してヘリカルスキャンでデータを収集するデータ収集条件を設定する。
また、設定機能37bは、撮影範囲に重複する領域が存在すると判定した場合(ステップS304、Yes)、撮影範囲を一つにまとめてヘリカルスキャンする(ステップS308)。例えば、設定機能37bは、図11Cに示す例において、撮影範囲71と撮影範囲72bとに重複する領域が存在すると判定した場合、ヘリカルスキャンで撮影範囲71と撮影範囲72aとを一つの撮影プランで撮影する。
続いて、図11Dから図11Fを用いて、ステップS308の撮影範囲を一つにまとめる処理について説明する。図11Dから図11Fは、第2の実施形態に係る設定機能37bによる処理動作を説明するための図である。
図11Dの左図では、病変部位73を含んだ撮影範囲71を示し、図11Dの右図ではプランAのスキャン条件を示す。取得機能37aは、スキャン条件として、図11Dの右図に示すデータ収集条件75と画像再構成条件とを取得する。図11Eの左図では、病変部位74を含んだ撮影範囲72bを示し、図11Eの右図ではプランBのスキャン条件を示す。取得機能37aは、スキャン条件として、図11Eの右図に示すデータ収集条件76と画像再構成条件とを取得する。
続いて、設定機能37bは、関心領域の位置情報を取得する。例えば、設定機能37bは、位置決め画像又は被検体の過去の検査に係るCT画像に基づいて関心領域の位置情報を取得する。一例を挙げると、図11Fの左図に示すように、設定機能37bは、被検体の過去の検査に係るCT画像において検出された病変部位73の位置情報及び病変部位74の位置情報を取得する。
そして、設定機能37bは、プランAのデータ収集条件75とプランBのデータ収集条件76とを一つのデータ収集条件77としてまとめる。図11Fの右図に示すデータ収集条件77は、ヘリカルスキャンで実行されるデータ収集条件である。より具体的には、設定機能37bは、図11Fの右図に示すように、病変部位73及び病変部位74の位置において通常線量で撮影するように、プランAのデータ収集条件75とプランBのデータ収集条件76とをまとめるように管電流を変調させる。かかる場合、病変部位73の位置と病変部位74の位置との間における管電流は、超低線量で撮影する際の管電流となる。
なお、設定機能37bは、プランAのデータ収集条件75とプランBのデータ収集条件76とを一つのデータ収集条件77としてまとめる場合、関心領域以外のヘリカルピッチと比較して、関心領域におけるヘリカルピッチが遅くなるように設定してもよい。
なお、再構成機能37cは、各プランのスキャン条件に基づいて画像を再構成する。例えば、再構成機能37cは、設定されたデータ収集条件で収集されたデータを用いて、第1のスキャン条件に含まれる画像再構成条件と、第2のスキャン条件に含まれる画像再構成条件とで画像をそれぞれ再構成する。より具体的には、再構成機能37cは、データ収集条件77で収集したデータを用いてプランAの画像再構成条件で画像を再構成する。また、再構成機能37cは、データ収集条件77で収集したデータを用いてプランBの画像再構成条件で画像を再構成する。そして、処理回路37は、再構成した各プランの画像をディスプレイ32に表示させる。例えば、処理回路37は、プランAの画像と、プランBの画像とをそれぞれディスプレイ32に表示させる。或いは、処理回路37は、プランAの画像と、プランBの画像とを合成した合成画像をディスプレイ32に表示させる。また、処理回路37は、プランAの画像と、プランBの画像と、プランAの画像とプランBの画像とを合成した合成画像とをそれぞれディスプレイ32に表示させる。
上述したように、第2の実施形態に係るX線CT装置1では、例えば、独立に設定された2つのプランを実行する場合に、2つのプランのデータ収集条件に基づいて、1つのプランとして撮影するデータ収集条件を設定する。これにより、X線CT装置1の操作者は、撮影開始ボタンを1度だけ押下すればよい。この結果、X線CT装置1の操作者は、検査を効率化することができる。
また、第2の実施形態では、設定機能37bは、第1の撮影範囲及び第2の撮影範囲の少なくともいずれか一方が所定の閾値以下ではなく、第1の撮影範囲と第2の撮影範囲との間の距離が所定の閾値以下である場合、第1のスキャン条件と第2のスキャン条件とに基づいて、第1の撮影範囲と第2の撮影範囲とに対する本スキャンのデータ収集条件を設定する。この結果、第2の実施形態では、関心領域間の距離が近い場合に、のりしろ部分へのX線照射回数を低減することが可能になる。上述したように、第2に実施形態によれば、検査を効率化するとともに被曝を低減することができる。
また、第2の実施形態では、いずれの場合も別途の移動を含めた撮影時間によって、1回の呼吸アナウンス内で撮影可能であれば、1回の呼吸の中で撮影するようにし、息止め時間が例えば15秒を超える場合は、2回に分けて撮影するようにしてもよい。
(その他の実施形態)
実施形態は、上述した実施形態に限られるものではない。
上述した実施形態では、設定機能37bが、管電流を変調させる場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、設定機能37bは、管電圧を変調させてもよい。
また、上述した実施形態において、本スキャンを実行した場合、位置決め画像から本スキャンの撮影範囲の開始位置と終了位置及び本スキャンの検査部位を記録するようにしてもよい。かかる場合、以降のフォローアップ検査において、設定機能37bは、位置決め画像を撮影した後に自動的にデータ収集条件を設定するようにすることが可能となる。
また、上述した実施形態では、関心領域の一例が病変部位であるものとして説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、関心領域は、位置決め画像や過去の検査に係るCT画像において検出された、病変の可能性が疑われる部位であってもよい。
また、上述した実施形態では、画像再構成条件には、例えば、「DFOV(Display Field Of View):512マトリックス、再構成モード:通常再構成」や「DFOV:1024マトリックス、再構成モード:高精細再構成」などが含まれるものとして説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、画像再構成条件には、再構成関数、逐次近似再構成法を応用した被ばく低減技術のパラメータ、部位ごとに応じた画像処理条件のパラメータ、金属アーチファクトを低減するための画像処理条件のパラメータなどが含まれてもよい。
また、上述した実施形態では、架台10と天板22との相対位置の変化が天板22を制御することによって実現されるものとして説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、架台10が自走式である場合、架台10の走行を制御することによって架台10と天板22との相対位置の変化が実現されてもよい。
また、上述した実施形態では、関心領域の一例が病変部位である場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、関心領域は、検査部位に含まれる臓器であってもよい。図12は、その他の実施形態を説明するための図である。
図12では、関心領域として膵臓の4相撮像を例にして説明する。例えば、膵臓の4相撮像を行う場合には、造影剤非存在下で1回撮影した後、図12に示すように、造影剤を投与後の経過時間に応じて関心領域に対する1相から4相までの複数時相で4回撮影が実行される。一例をあげると、1相目の撮影は造影剤投与後の経過時間が25秒で行われ、2相目の撮影は造影剤投与後の経過時間が40秒で行われ、3相目の撮影は造影剤投与後の経過時間が90秒で行われ、4相目の撮影は造影剤投与後の経過時間が3分で行われる。このように、膵臓の4相撮像では、造影剤投与後の経過時間に応じて複数時相で関心領域に対する撮影が実行される。
ここで、1相目は動脈が描出された相であり、2相目は動脈及び静脈が描出された相である。また、3相目は全身に造影剤が行き渡りリンパ節が描出された相であり、4相目は腫瘍が遅延性に濃染される相である。また、かかる場合、1相目の撮影、2相目の撮影、3相目の撮影及び4相目の撮影それぞれ独立に撮影範囲とスキャン条件とが設定される。ここで、各時相の撮影において、同一の撮影範囲81が設定される。この撮影範囲81には、肝臓83の一部と、膵臓82全体とが含まれる。また、各時相において、同一のスキャン条件が設定される。例えば、X線CT装置1が、1回転で体軸方向160mmの範囲を撮影することが可能であるとした場合、関心領域である膵臓82全体はボリューム撮影範囲内であるため、各相目の撮影において、管電流を300mAにした1回のコンベンショナルスキャンで撮影範囲81を撮影するデータ収集条件がスキャン条件として設定される。言い換えると、膵臓の4相撮像では、同一のスキャン条件で複数時相の撮影が実行される。なお、以下では説明の便宜上、1相目の撮影をプランAとし、2相目の撮影をプランBとし、3相目の撮影をプランCとし、4相目の撮影をプランDと称して説明する。
ところで、このような膵臓の4相撮像では、関心領域である膵臓を精査するとともに、検査部位である腹部の他の臓器への転移の有無を確認するために、いずれかの時相での撮影の際に、膵臓を含んだ広範囲な領域も撮像される。言い換えると、複数時相のうち所定時相で検査部位に対する撮影が実行される。このような検査部位に対する撮影は、例えば造影剤投与後の経過時間が90秒で実行される。かかる場合、例えば、検査部位として腹部全体を含んだ広範囲な撮影範囲84が設定される。なお、かかる場合、検査部位として被検体Pの首の上から骨盤までを含んだ広範囲な撮影範囲が設定されてもよい。また、かかる場合、例えば、管電流を200mAにしたヘリカルスキャンで撮影範囲84を撮影するデータ収集条件がスキャン条件として設定される。なお、以下では説明の便宜上、所定時相での検査部位に対する撮影をプランEと称して説明する。
そして、プランA、プランB、プランC、プランE、プランDの順で撮像計画が設定された後、各プランでの撮影が実行される。ところで、従来の技術では、プランCの3相目の撮影と、プランEの広範囲な領域の撮影とをそれぞれ独立して行っており、プランCの撮影範囲81とプランEの撮影範囲84とに共通に含まれる肝臓83の一部と、膵臓82全体とで被曝が重複する。
そこで、その他の実施形態では、3相目の撮影の際に、プランCの撮影とプランEの撮影とを合わせて撮影するデータ収集条件を設定する。例えば、設定機能37bは、造影剤投与後の経過時間に応じて複数時相で関心領域に対する撮影と、複数時相のうち所定時相で検査部位に対する撮影とを実行する場合、以下のようにして所定時相の撮影に対する本スキャンのデータ収集条件を設定する。すなわち、設定機能37bは、撮影範囲81が設定された3相目の撮影に対するデータ収集条件を含んだスキャン条件と、撮影範囲84が設定された広範囲な領域の撮影に対するデータ収集条件を含んだスキャン条件とに基づいて、関心領域である膵臓82を含んだ被検体の検査部位に対する本スキャンのデータ収集条件を設定する。言い換えると、設定機能37bは、所定時相での撮影に対するデータ収集条件を含んだ第1のスキャン条件と、複数時相での撮影に対するデータ収集条件を含んだ第2のスキャン条件とに基づいて、所定時相の撮影に対する本スキャンのデータ収集条件を設定する。
より具体的には、設定機能37bは、撮影範囲84のうち撮影範囲81と重複しない範囲では、管電流を200mAにしたヘリカルスキャンで撮影されるスキャン条件を設定し、かつ、撮影範囲84のうち撮影範囲81と重複する範囲では、管電流を300mAにし、ヘリカルピッチを遅くしたヘリカルスキャンで撮影されるデータ収集条件をスキャン条件として設定する。このようにして、設定機能37bは、プランCとプランEとを統合したプランのデータ収集条件を設定する。
ここで、設定機能37bは、プランCとプランEとを統合したプランのデータ収集条件を設定する場合、プランCの撮影開始のタイミングとプランEの撮影開始のタイミングとに優先順位の指定を受け付けるようにしてもよい。言い換えると、設定機能37bは、プランCのスキャン条件による撮影の開始時間と、プランEのスキャン条件による撮影の開始時間とに優先順位を付けた本スキャンのデータ収集条件を設定する。例えば、設定機能37bは、造影剤投与後の経過時間が90秒に撮影を開始するプランCと、造影剤投与後の経過時間が100秒に撮影を開始するプランEとを統合したプランのデータ収集条件を設定する際に、プランCの撮影開始のタイミング及びプランEの撮影開始のタイミングのいずれか一方を優先する指定を受け付けるようにしてもよい。一例をあげると、設定機能37bは、プランCの撮影開始のタイミングを優先する指定を受け付けた場合、造影剤投与後の経過時間が90秒でプランCの撮影が開始するように逆算して、プランEの撮影開始時間を設定する。ここでは、プランEの撮影を開始してからプランCの撮影を開始するまでに3秒かかるものとする。かかる場合、設定機能37bは、造影剤投与後の経過時間が90秒でプランCの撮影が開始するように、造影剤投与後の経過時間が87秒でプランEの撮影が開始するように設定する。また、設定機能37bは、プランEの撮影開始のタイミングを優先する指定を受け付けた場合、造影剤投与後の経過時間が100秒でプランEの撮影が開始する。この場合、設定機能37bは、造影剤投与後の経過時間が103秒でプランEの撮影が開始するように設定する。また、設定機能37bは、プランC及びプランEの撮影開始のタイミングについて優先順位の指示を受け付けなくてもよい。かかる場合、設定機能37bは、プランCの撮影開始のタイミングとプランEの撮影開始のタイミングとの中間を撮影開始のタイミングに設定する。例えば、設定機能37bは、95秒で撮影を開始するように設定する。例えば、設定機能37bは、造影剤投与後の経過時間が95秒でプランEの撮影が開始するように設定してもよいし、造影剤投与後の経過時間が95秒でプランCの撮影が開始するように設定してもよい。
そして、膵臓の4相撮像の終了後、再構成機能37cは、所定時相に対して設定されたデータ収集条件で収集されたデータを用いて、プランEのスキャン条件に含まれる画像再構成条件による画像を再構成するとともに、各時相に対して収集されたデータを用いて、プランAからプランDのスキャン条件に含まれる画像再構成条件による画像をそれぞれ再構成する。
より具体的には、再構成機能37cは、1相目に収集されたデータを用いて、プランAのスキャン条件に含まれる画像再構成条件で撮影範囲81の画像(1相目の画像)を再構成し、2相目に収集されたデータを用いて、プランBのスキャン条件に含まれる画像再構成条件で撮影範囲81の画像(2相目の画像)を再構成する。また、再構成機能37cは、3相目に収集されたデータを用いて、プランCのスキャン条件に含まれる画像再構成条件で撮影範囲81の画像(3相目の画像)を再構成し、4相目に収集されたデータを用いて、プランDのスキャン条件に含まれる画像再構成条件で撮影範囲81の画像(4相目の画像)を再構成する。そして、再構成機能37cは、3相目に収集されたデータを用いて、プランEのスキャン条件に含まれる画像再構成条件で撮影範囲84の画像(検査部位の画像)を再構成する。なお、再構成機能37cは、3相目に収集されたデータからコンベンショナルスキャンの撮影範囲81を特定し、プランCのスキャン条件に含まれる画像再構成条件で3相目の画像を再構成する。
そして、処理回路37は、再構成された各画像データを、ディスプレイ32に表示するように制御する。ここで、処理回路37は、例えば、1相目の画像と、2相目の画像と、3相目の画像と、4相目の画像とを表示するとともに、検査部位の画像を表示する。また、例えば、処理回路37は、1相目の画像と、2相目の画像と、3相目の画像と、4相目の画像とを表示する場合に、表示するスライス位置を各画像間で同期させてディスプレイ32に表示させてもよい。言い換えると、3相目の画像のスライス位置と、1相目の画像のスライス位置と、2相目の画像のスライス位置と、4相目の画像のスライス位置とが同期するようにディスプレイ32に表示される。これにより、読影者は、各時相の画像を読影する場合に、各時相の画像間での画像を比較する動作を容易に行うことが可能になる。
なお、上述した実施形態では、関心領域が膵臓である4相撮像を行う場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、関心領域は、腎臓や肝臓であってもよい。また、関心領域は、複数設定されてもよい。例えば、肝臓と、膵臓とが関心領域として設定されてもよい。かかる場合、設定機能37bは、腹部全体のスキャン条件と、各関心領域ごとのスキャン条件とに基づいて、複数の関心領域を含んだ本スキャンのデータ収集条件を設定する。
また、上述した実施形態では、再構成機能37cが、再構成処理時に、高精細モードで検出された検出データに基づく投影データから、解像度の異なる画像を生成するものとして説明した。例えば、再構成機能37cは、高精細な投影データを束ねて低解像度の画像を再構成したり、高精細な画像を再構成してから画像を束ねて低解像度の画像を生成したりする。しかしながら実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、検出器13或いはデータ収集回路14において、検出器13が高精細モードで検出した検出データを束ねることで、低解像度の画像を生成するようにしてもよい。
ここでは、被検体Pの検査部位に対するプランAと検査部位に含まれる関心領域に対するプランBとを統合して第3のプランを設定する場合について説明する。プランAでは、例えば、胸部全体を超低線量で撮影するデータ収集条件が設定される。また、プランBでは、例えば、関心領域におけるヘリカルピッチを関心領域以外に比して低速にさせ、プランAよりも高精細に画像を再構成するデータ収集条件が設定される。そして、第3のプランとして、例えば第1の実施形態で説明したように、プランAとプランBとを統合したプランが設定される。
そして、検出器13は、第3のプランで、160列、1792チャネルの検出素子からの高精細な検出データを検出する。そして、検出器13は、高精細な検出データをデータ収集回路14に出力する。ここで、データ収集回路14は、プランAのデータ収集区間において、高精細な検出データを束ねた低解像度な投影データを生成する。例えば、データ収集回路14は、4つの検出素子ごとに1つの単位としてまとめ、1つの単位としてまとめた4つの検出素子に対応する高精細な検出データを足し合わせて、低解像度な投影データを生成する。そして、データ収集回路14は、生成した投影データを前処理回路34に出力する。
また、データ収集回路14は、プランBのデータ収集区間においては、高精細な検出データを束ねずに高解像度な投影データを生成し、前処理回路34に出力する。このように、データ収集回路14は、高精細な解像度である第1の解像度に対応する第1の検出データと、第1の解像度に対応するデータを束ねて第1の解像度より低解像度である第2の解像度に対応する第2の検出データとを第3のプランで収集する。
そして、再構成機能37cは、第1の検出データから第1の解像度である画像を再構成し、第2の検出データから第2の解像度である画像を再構成する。例えば、再構成機能37cは、第3のプランで収集された高解像度な投影データからプランBの撮影範囲に対応する画像を再構成する。また、再構成機能37cは、第3のプランで収集された低解像度な投影データからプランAの撮影範囲に対応する画像を再構成する。ここで、プランAの撮影範囲にはプランBの撮影範囲が含まれる。このため、プランAの撮影範囲のうちプランBとの重複範囲は高解像度な投影データから画像が再構成される。このため、再構成機能37cは、プランAの撮影範囲に対応する画像を再構成する場合、プランAとプランBとの重複範囲の投影データを束ねてからプランAの撮影範囲に対応する画像を再構成する。
上記の実施形態の説明において、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
また、上記の実施形態で説明した制御方法は、予め用意された制御プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この制御プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この制御プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、検査を効率化するとともに被曝を低減することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。