JP2018019690A - 増殖分化因子15(gdf−15)に対するモノクローナル抗体 - Google Patents

増殖分化因子15(gdf−15)に対するモノクローナル抗体 Download PDF

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Abstract

【課題】新規なモノクローナル抗ヒトGDF-15抗体、医薬組成物、キット、方法及び使用、並びにモノクローナル抗体を産生することができる細胞株の提供。【解決手段】ヒトGDF-15に結合可能なモノクローナル抗体又はその抗原結合部分であって、特定の配列を含み、A)抗体又はその抗原結合部が、哺乳動物における癌の増殖を阻害することができるか、又は、B)抗体又はその抗原結合部が、表面プラズモン共鳴測定により測定された、5nMと等しいか又はこれ未満である、ヒトGDF-15に対する平衡解離定数を有する、モノクローナル抗体又はその抗原結合部分。【選択図】なし

Description

発明の分野
本発明は、新規なモノクローナル抗ヒトGDF-15抗体、医薬組成物、キット、方法および使用、および本明細書に記載のモノクローナル抗を産生することができる細胞株に関する。本発明はさらに、癌の増殖を阻害することができる、ヒトGDF-15に対する新規な抗体に関する。
背景
今日まで、多くの癌は医療ニーズがまだ満たされていない領域であり、したがって、より効果的に癌の増殖を阻害しより広範囲の癌の増殖を阻害する手段が、必要とされている。
多くの種類の癌は、VEGF、PDGF、TGF-βおよびGDF-15等の因子を含む増殖因子を発現することが知られている。
GDF-15、増殖分化因子15は、TGF-βスーパーファミリーの分岐メンバーである。これは前駆体として細胞内で発現され、続いて処理され、最終的に細胞から環境中に分泌されるタンパク質である。活性で完全に処理された(成熟)形態およびGDF-15の前駆体の両方を、細胞外で見出すことができる。前駆体は、そのCOOH末端アミノ酸配列を介して細胞外マトリックスに共有結合し(Bauskin AR et al., Cancer Research 2005)、したがって、細胞の外側に存在する。GDF-15の活性で完全に処理された(成熟)形態は可溶性であり、血液の血清中に見出される。したがって、GDF-15の処理形態は、潜在的標的細胞が可溶性GDF-15リガンドに対する受容体を発現する場合、血液循環に連結されている体内の任意の標的細胞に潜在的に作用することができる。
妊娠中、GDF-15は生理的条件下で胎盤において見出される。しかし、多くの悪性癌(特に攻撃的な脳の癌、黒色腫、肺癌、胃腸の腫瘍、結腸癌、膵臓癌、前立腺癌および乳癌(Mimeault M and Batra SK, J. Cell Physiol 2010))は、腫瘍ならびに血清中でGDF-15レベルの増加を示す。同様に、GDF-15の高発現と化学療法抵抗性の間(Huang CY et al., Clin. Cancer Res. 2009)、およびGDF-15の高発現と予後不良の間には(Brown DA et al., Clin. Cancer Res. 2009)、それぞれ相関が記述されている。
GDF-15は、免疫組織化学での評価によれば、異なるWHOグレードの神経膠腫において発現される(Roth et al., Clin. Cancer Res. 2010)。さらに、Rothらは、SMA560神経膠腫細胞において、内因性GDF-15を標的とする短いヘアピンRNAを発現するDNA構築物、または対照構築物を、安定的に発現した。これらの事前に確立された安定な細胞株を使用して、彼らは、GDF-15ノックダウンSMA560細胞を有するマウスにおける腫瘍形成が、対照構築物を有するマウスに比べて遅延されたことを観察した。
特許出願WO 2005/099746および2009/021293は、マウスにおいてin vivoで腫瘍誘発性体重減少に対するヒトGDF-15の効果を拮抗し得る、抗ヒトGDF-15抗体(Mab26)に関する:これらの文献では、免疫力低下マウスに、ヒトGDF-15を過剰発現するプラスミドをトランスフェクトしたヒト腫瘍細胞(前立腺癌細胞DU145)を投与した。GDF-15の配列を欠くプラスミドを有する腫瘍細胞を、陰性対照とした。異種移植GDF-15を発現するこれらのマウスは、腫瘍誘発性体重減少(臨床用語:悪液質)および食欲不振を示した。WO 2005/099746からの、1mgのMab26の単回腹腔内投与は、腫瘍誘発性体重減少の完全な逆転をもたらした。WO 2005/099746およびWO 2009/021293には、腫瘍増殖に対する抗ヒトGDF-15抗体の効果は開示されていない。
同様に、Johnen H et al. (Nature Medicine, 2007)には、抗ヒトGDF-15モノクローナル抗体の、癌誘発性食欲不振と体重減少に対する効果が報告されているが、抗ヒトGDF-15抗体の、癌により形成された腫瘍の大きさへの効果は、抗体を1mgの高用量で投与した場合でさえも観察されず、したがって抗体は、癌の増殖を阻害しなかった。
したがって今日まで、癌の増殖を効果的に阻害するための手段、およびより広範囲の癌の増殖を阻害するための手段の必要性が、当技術分野において依然として存在した。
本発明の目的はしたがって、癌の増殖を効果的に阻害するための手段、およびより広範囲の癌の増殖を阻害するために使用できる手段を得ることである。
癌の増殖を阻害する新規な手段を見出す努力において、本発明者らは驚くべきことに、ヒトGDF-15に対する新規なモノクローナル抗体が、マウスにおけるヒト異種移植片腫瘍の癌増殖を阻害し得ることを見出した。
さらに、当技術分野で知られている治療用抗体とは対照的に、本発明によるヒトGDF-15に対する抗体は、組換えGDF-15に対して約790pMという平衡解離定数を、追加の親和性成熟なしで有し、これは、多くの既知の治療抗体よりも高い親和性である。
したがって、本発明によるヒトGDF-15に対する抗体は、当技術分野で知られている抗体と比較して優れた特性を有し、癌の増殖を阻害するために特に有用である。こうして、本発明が完成された。
発明の簡単な説明
本発明は、上記の目的を、モノクローナル抗体、医薬組成物、キット、使用および本明細書に記載のモノクローナル抗体を産生することができる細胞株を提供することにより、解決する。
特に、本発明者らは驚くべきことに、本発明によるヒトGDF-15に対する新規なモノクローナル抗体およびその抗原結合部分が、癌の増殖を阻害できることを示している。これは予想外のことであり、何故ならば、当分野で従来から知られていたGDF-15に対するこれらのモノクローナル抗体(WO 2005/099746、WO 2009/021293およびJohnen H et al., Nature Medicine, 2007)は、癌誘発性体重減少の逆転をもたらすこと(すなわち、癌により発現されるGDF-15によって誘発される二次的症状の逆転)が知られているが、しかしこれらは癌の増殖の阻害には失敗したことが示されているからである。
本発明によるヒトGDF-15に対する新規なモノクローナル抗体が、癌の増殖を阻害可能であることを示すことにより、本発明者らはまた、驚くべきことに、ヒトGDF-15タンパク質を、癌の増殖を阻害するような方法で、本発明の抗体により標的化できることを示す。これと同一の癌の増殖阻害機構は、以下に挙げた癌を含む、ヒトGDF-15を過剰発現する多数の癌に適用可能であることが予想される。
したがって、本発明は、ヒトGDF-15に結合可能なモノクローナル抗体またはその抗原結合部分に関し、ここで、重鎖可変ドメインは、配列番号5のアミノ酸配列またはこれと少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含むCDR3領域を含み、軽鎖可変ドメインは、配列番号7のアミノ酸配列またはこれと少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むCDR3領域を含む。
本発明はまた、本発明による抗体またはその抗原結合部分を含む、医薬組成物に関する。
さらに本発明は、哺乳動物における癌を処置する方法において使用するための、本発明による抗体もしくはその抗原結合部分または医薬組成物に関し、該方法は、該抗体もしくはその抗原結合部分または医薬組成物を、前記哺乳動物に投与することを含む。
さらに、本発明は、本発明による医薬組成物を含むキットに関する。
本発明はまた、本発明による抗体またはその抗原結合部分をコードするヌクレオチド配列を含む、発現ベクターに関する。
さらに、本発明は、本発明の抗体またはその抗原結合部分を産生可能な細胞株に関する。
したがって、ヒトGDF-15に対する新規なモノクローナル抗体を提供することによって、本発明は、当技術分野における上記に定義された要求を満たす、新規な癌増殖阻害剤を提供する。
図1:GDF-15有りまたは無しでの処理後のNK細胞上のNKG2D発現。NKG2Dの細胞表面発現は、抗GDF-15抗体mAb B1-23の存在下または不在下での、示されたサイトカインで処理した後のNK細胞で測定した。図は、フローサイトメトリーにより決定され、非特異的対照抗体に対して定量化した、特定の蛍光強度を表示する。
図2:卵巣癌細胞株SK-OV-3におけるAktリン酸化。卵巣癌細胞株SK-OV-3に対するウエスタンブロットを定量するために、リン酸化AktのAkt総量に対する比率を算出し、未処理の対照に対して正規化した。
図3:免疫細胞におけるJNK1/2リン酸化。ウエスタンブロットを定量するために、リン酸化JNK1/2のJNK総量に対する比率を算出し、未処理の対照に対して正規化した。
図4:in vivoでのB1-23の抗腫瘍効果。Balb/cNU/NUヌードマウスを、黒色腫細胞株UACC-257を用いた異種移植片の設定で使用した。B1-23(白四角)で処置した動物のコホートの腫瘍サイズは、PBS対照群(黒丸)と比較して、有意に減少した。Wilcoxonのログランク検定での評価のように、有意性はp<0.05として定義した。
定義
以下に特に定義しない限り、本発明において使用される用語は、当業者に知られているそれらの一般的な意味に従って理解されるべきである。
本明細書で使用される「抗体」という用語は、目的の抗原に特異的に結合可能な任意の機能的抗体を意味し、これはPaul, W.E. (Ed.).: Fundamental Immunology 2nd Ed. Raven Press, Ltd., New York 1989の第7章に一般的に概説されており、この文献は参照により本明細書に組み込まれる。特に限定することなく、「抗体」という用語は、ニワトリならびにマウス、ヤギ、非ヒト霊長類およびヒトなどの哺乳動物を含む任意の適切なソースの種からの抗体を包含する。好ましくは、抗体はヒト化抗体である。抗体は、好ましくは、当技術分野でよく知られた方法によって調製することができる、モノクローナル抗体である。「抗体」という用語は、IgG-1、-2、-3、または-4、IgE、IgA、IgM、またはIgDのアイソタイプの抗体を包含する。「抗体」という用語は、単量体抗体(例えばIgD、IgE、IgGなど)、またはオリゴマー抗体(例えばIgAまたはIgMなど)を包含する。「抗体」という用語はまた、特に限定することなく、単離された抗体および改変抗体、例えばキメラ抗体などの遺伝的に操作された抗体も包含する。
抗体のドメインの命名は、当技術分野で知られている用語に従う。抗体の各単量体は、当技術分野において一般に知られているように、2つの重鎖および2つの軽鎖を含む。これらのうち、各重鎖および軽鎖は、抗原結合のために重要である可変ドメイン(重鎖についてはV、軽鎖についてはVと呼ぶ)を含む。これらの重鎖および軽鎖の可変ドメインは、(N末端からC末端の順に)領域FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、およびFR4を含む(FRはフレームワーク領域;CDRは相補性決定領域であり、超可変領域としても知られる)。抗体配列内の上記抗体領域の同定および割り当ては、一般的に、Kabat et al. (Sequences of proteins of immunological interest, U.S. Dept. of Health and Human Services, Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md. 1983)またはChothia et al.(Conformations of immunoglobulin hypervariable regions. Nature. 1989 Dec 21-28;342(6252):877-83)に従うか、またはGiudicelli et al.(IMGT/V-QUEST, an integrated software program for immunoglobulin and T cell receptor V-J and V-D-J rearrangement analysis. Nucleic Acids Res. 2004 Jul 1;32(Web Server issue):W435-40)に記載されたIMGT/V-QUESTソフトウェアを用いて行うことができ、これらの文献は参照により本明細書に組み込まれる。好ましくは、上で示した抗体領域を、IMGT/V-QUESTソフトウェアを使用して同定および割り当てる。
「モノクローナル抗体」は、抗体の本質的に均一な集団からの抗体であり、ここで該抗体は、その配列が実質的に同一である(すなわち、それらのN末端およびC末端におけるアミノ酸修飾などの、天然に生じる配列の修飾を含むマイナーな断片を除いて、同一である)。多数のエピトープに指向される異なる抗体の混合物を含むポリクローナル抗体とは異なり、モノクローナル抗体は、同一のエピトープに指向され、したがって高度に特異的である。用語「モノクローナル抗体」は、(これらに限定はされないが)、単一細胞クローン由来のモノクローナル細胞集団から得られる抗体、例えばKoehler and Milstein(Nature, 1975 Aug 7;256(5517):495-7)またはHarlow and Lane(“Antibodies: A Laboratory Manual” Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York 1988)に記載されたハイブリドーマ法によって生成された抗体などを含む。モノクローナル抗体はまた、他の適切な方法から、例えばClackson et al. (Nature. 1991 Aug 15;352(6336):624-8)またはMarks et al.(J Mol Biol. 1991 Dec 5;222(3):581-97)に記載されたファージディスプレイ技術を含む方法からも、得ることができる。モノクローナル抗体は、Kd値の減少、最適化された会合および解離速度などの抗原結合特性のために、当分野で知られた方法により最適化された抗体であってもよい。例えば、Kd値は、ファージディスプレイなどのディスプレイ方法によって最適化することができ、親和性成熟モノクローナル抗体が得られる。用語「モノクローナル抗体」は、特定の種由来または単一種のみから由来する抗体の配列に限定されるものではない。したがって、用語「モノクローナル抗体」の意味は、ヒト化モノクローナル抗体などのキメラモノクローナル抗体を包含する。
「ヒト化抗体」は、ヒト配列と、目的の抗原(例えば、ヒトGDF-15)に対する結合特異性を付与する非ヒト配列の小部分とを含む抗体である。典型的には、ヒト化抗体は、ヒトアクセプター抗体からの超可変領域配列を、目的の抗原(例えば、ヒトGDF-15)に結合する非ヒトドナー抗体(例えば、マウス、ウサギ、ラットドナー抗体)からの超可変領域配列で置き換えることによって生成される。いくつかのケースでは、アクセプター抗体のフレームワーク領域の配列は、ドナー抗体の対応する配列によって置き換えられてもよい。ドナーおよびアクセプター抗体由来の配列に加えて、「ヒト化抗体」は、他の(追加的または代替の)残基または配列を含んでもよく、含まなくてもよい。かかる他の残基または配列は、結合特性(例えばKd値を減少させる)、および/または免疫原性特性をさらに改善するよう(例えば、ヒトにおける抗原性を減少させる)機能することができる。ヒト化抗体を生成する方法のための非限定的な例は、当分野において、例えばRiechmann et al.(Nature. 1988 Mar 24;332(6162):323-7)またはJones et al.(Nature. 1986 May 29-Jun 4;321(6069):522-5)から知られている。
用語「ヒト抗体」は、ヒト可変および定常ドメイン配列を含む抗体に関する。この定義は、結合特性(例えばKd値を減少させる)、および/または免疫原性特性(例えば、ヒトにおける抗原性を減少させる)をさらに改善させ得る、単一のアミノ酸置換または修飾を有するヒト配列を有する抗体を包含する。「ヒト抗体」という用語は、非ヒト配列の部分が目的の抗原に対する結合特異性を付与するヒト化抗体を除外する。
本明細書において使用される、抗体の「抗原結合部分」とは、抗原(例えば、GDF-15)に特異的に結合する抗体の能力を保持している抗体の部分を指し、すなわち、「抗原結合部分」は、抗原への特異的結合のために抗体と競合することができる。「抗原結合部分」は、抗体の1または2以上の断片を含んでいてもよい。特に限定するものではないが、これは、組換えDNA法および抗体の化学的または酵素的断片化による調製を含む、当技術分野で周知の任意の適切な方法によって、生成することができる。抗原結合部分は、Fab断片、F(ab')断片、F(ab')2断片、単鎖抗体(scFv)、単一ドメイン抗体、二重特異性抗体または、抗原への結合の保持を可能とする抗体の任意の他の部分(単数または複数)であってよい。
「抗体」(例えばモノクローナル抗体)、または「抗原結合部分」は、誘導体化されているか、または別の分子に連結されていてよい。例えば、抗体に連結することができる分子は、他のタンパク質(例えば他の抗体)、分子標識(例えば、蛍光、発光、着色または放射性分子)、医薬品および/または毒物である。抗体または抗原結合部分は、直接(例えば、2つのタンパク質間の融合の形で)、またはリンカー分子(例えば、当技術分野で周知の化学リンカーの任意の適切な種類)を介して、連結されてよい。
本明細書で使用される用語「結合」または「結合する」は、目的の抗原(例えば、ヒトGDF-15)に特異的に結合することを指す。好ましくは、Kd値は100nM未満、より好ましくは50nM未満、さらにより好ましくは10nM未満、さらにより好ましくは5nM未満、および最も好ましくは2nM未満である。
本明細書で使用する用語「エピトープ」は、抗体のための結合部位を形成する、抗原の小さな部分を指す。
本発明の文脈において、抗体またはその抗原結合部分の、目的の抗原(例えば、ヒトGDF-15)への結合または競合的結合は、以下に記載するように、表面プラズモン共鳴測定を参照標準アッセイとして用いて測定される。
用語「K」または「K値」は、当技術分野で知られている平衡解離定数に関する。本発明の文脈において、これらの用語は、目的の特定の抗原(例えば、ヒトGDF-15)に関する、抗体の平衡解離定数に関連する。平衡解離定数は、複合体の、その構成要素(例えば、抗原と抗体)に可逆的に解離する傾向の尺度である。本発明による抗体について、K値(例えば、抗原ヒトGDF-15についてのものなど)は一般に、以下に記載するように、表面プラズモン共鳴測定を用いて決定される。
本明細書で使用する用語「癌の増殖」は、癌の任意の測定可能な増殖に関する。固形腫瘍を形成する癌について、「癌増殖」は、経時的な腫瘍体積の測定可能な増加に関連する。癌が単一の腫瘍のみを形成した場合、「癌増殖」は、単一の腫瘍の体積の増加にのみ関連する。癌が、転移などの複数の腫瘍を形成している場合、「癌増殖」は、全ての測定可能な腫瘍の体積の増加に関連する。固形腫瘍については、腫瘍体積は、磁気共鳴画像法およびコンピュータ断層撮影(CTスキャン)を含む、当分野で周知の任意の方法によって測定することができる。
血液中の血液系の癌性細胞の存在によって特徴付けられる白血病については、「癌増殖」は、血液容量あたりの癌細胞数の測定可能な増加に関連する。かかる測定を行うために、癌細胞は血液試料から、細胞形態の測定、または当技術分野で知られている任意の方法、例えば腫瘍マーカー細胞表面タンパク質などの腫瘍細胞マーカータンパク質の、例えば特異的な抗体による染色を含む方法を用いて、同定することができ、および癌細胞を計測することができる。
本明細書で使用する「癌の増殖を阻害する」などの用語は、抗体で処置した患者における癌の増殖の測定可能な阻害を指す。好ましくは、阻害は統計的に有意である。癌増殖の阻害は、本発明に従って処置された患者の群における癌増殖を、未処置患者の対照群と比較することにより、または当技術分野の標準的な癌処置に加えて本発明による処置を受けた患者の群を、当分野の標準的な癌処置のみを受ける患者の対照群と比較することにより、評価する。癌増殖の阻害を評価するためのかかる研究は、例えば、十分な統計的検出力を持つ二重盲検無作為化試験などの、臨床試験のために認められた基準に準拠して設計されている。「癌の増殖を阻害する」という用語は、以下を含む:癌増殖が部分的に阻害されている、癌増殖の阻害(すなわち、患者における癌の増殖が、患者の対照群と比較して遅れている場合)、癌の増殖が完全に阻害されている阻害(すなわち、患者における癌の増殖が停止されている場合)、および癌の増殖が逆転されている阻害(すなわち、癌が縮小する)。
本明細書において使用される「単離された抗体」は、例えば、そのソースとなる環境からの成分の大部分(重量による)から、例えば、ハイブリドーマ細胞培養物またはその産生のために使用された異なる細胞培養物(例えば、組換え的に抗体を発現する、CHO細胞などのプロデューサー細胞)の成分から、同定および分離された抗体である。分離は、そうしなければ所望の用途(例えば、本発明による抗ヒトGDF-15抗体の治療的使用)のための抗体の適合性を妨害し得る成分を、十分に除去するように行われる。単離された抗体を調製する方法は当技術分野で知られており、プロテインAクロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィー、ウイルス保持濾過および限外濾過を含む。好ましくは、単離された抗体調製物は、Lowryプロテインアッセイを用いた測定により、少なくとも70%(w/w)純粋であり、より好ましくは少なくとも80%(w/w)、さらにより好ましくは少なくとも90%(w/w)、さらにより好ましくは少なくとも95%(w/w)、そして最も好ましくは少なくとも99%(w/w)純粋である。
本明細書で使用される「二重特異性抗体」は、二価の小さな抗原結合抗体部分であって、同じ鎖上の2つのドメイン間の対形成を可能にするには短すぎるペプチドリンカーによって連結された、同一のポリペプチド鎖上の軽鎖可変ドメインに連結された重鎖可変ドメインを含むものである。これにより、別の鎖の相補的ドメインとの対形成と、2つの抗原結合部位を有する二量体分子の集成がもたらされる。二重特異性抗体は、二価および単一特異性であってもよく(例えば、ヒトGDF-15への2つの抗原結合部位を有する二重特異性抗体)、または二価および二重特異性であってもよい(例えば、2つの抗原結合部位を有する二重特異性抗体であって、1つがヒトGDF-15への結合部位であり、他の1つは異なる抗原への結合部位である)。二重特異性抗体の詳細な説明は、Holliger P et al.("Diabodies": small bivalent and bispecific antibody fragments.” Proc Natl Acad Sci U S A. 1993 Jul 15;90(14):6444-8)に見出すことができる。
本明細書で使用される「単一ドメイン抗体」(「ナノボディ(登録商標)」とも称される)は、単一の単量体の可変抗体ドメインからなる抗体断片である。単一ドメイン抗体を産生するための構造および方法は、当技術分野から知られており、例えば以下である:Holt LJ et al.(“Domain antibodies: proteins for therapy.” Trends Biotechnol. 2003 Nov;21(11):484-90)、Saerens D et al. (“Single-domain antibodies as building blocks for novel therapeutics.” Curr Opin Pharmacol. 2008 Oct;8(5):600-8. Epub 2008 Aug 22)、およびArbabi Ghahroudi M et al.(“Selection and identification of single domain antibody fragments from camel heavy-chain antibodies.” FEBS Lett. 1997 Sep 15;414(3):521-6)。
本明細書で使用する用語「より高い」とは、患者試料中の値(例えば、GDF-15レベル)が、対応する対照試料または対照試料群の値よりも高いことを意味する。好ましくは、その差は統計的に有意である。
本明細書で使用する用語「上昇GDF-15レベル」とは、ヒト患者が、本発明の抗体もしくはその抗原結合部分または医薬組成物の投与前に、参照としての健康なヒト対照個体の血液血清中のGDF-15レベルの中央値と比べて、より高い血清中のGDF-15レベルを有することを意味する。
健康なヒト対照個体の血液血清中のGDF-15レベルの好ましい中央値の基準は、<0.8ng/mlである。予想される範囲は、健康なヒト対照において0.2ng/ml〜1.2ng/mlである(参照:Tanno T et al.: “Growth differentiation factor 15 in erythroid health and disease.” Curr Opin Hematol. 2010 May; 17(3): 184-190)。
好ましくは、レベルは1.2倍高く、より好ましくは1.5倍高く、さらに好ましくは2倍高く、最も好ましくは5倍高い。
本明細書で使用される「投与前」という用語は、本発明の抗体、その断片または医薬組成物の投与の直前の時間を意味する。好ましくは、「投与前に」という用語は、投与直前の30日の期間を、最も好ましくは、投与直前の1週間の期間を意味する。
本明細書で使用する用語「有意」、「有意な」などは、値の間の統計的に有意な差を指す。
用語「癌」および「癌細胞」は、本明細書において、当技術分野におけるそれらの一般的な意味に従って使用される(例えば、Weinberg R. et al.: The Biology of Cancer. Garland Science: New York 2006. 850pを参照)。
本発明によれば、「含む」という用語の各出現は、任意に、用語「からなる」で置換されてもよい。
方法および技術
一般的に、本明細書において別に定義されない限り、本発明で使用される方法(例えば、クローニング法または抗体に関連する方法)は、当分野で知られている手順に従って、例えばSambrook et al.(“Molecular Cloning: A Laboratory Manual.”, 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York 1989)、Ausubel et al.(“Current Protocols in Molecular Biology.” Greene Publishing Associates and Wiley Interscience; New York 1992)、および Harlow and Lane(“Antibodies: A Laboratory Manual” Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York 1988)に記載の手順などにしたがって行われる;これらの文献は参照により本明細書に組み込まれる。
本発明によるモノクローナル抗ヒトGDF-15抗体の結合は、例1において抗ヒトGDF-15 mAb-B1-23について記載したように、Biorad ProteOn XPR36システムおよびBiorad GLCセンサーチップを用いた表面プラズモン共鳴測定を使用することによって一般に評価される。
本発明による配列の配列アラインメントは、BLASTアルゴリズムを用いて行われる(Altschul et al.(1990) “Basic local alignment search tool.” Journal of Molecular Biology 215. p. 403-410;Altschul et al.: (1997) Gapped BLAST and PSI-BLAST: a new generation of protein database search programs. Nucleic Acids Res. 25:3389-3402を参照)。好ましくは、以下のパラメータが使用される:最大標的配列10;ワードサイズ3; BLOSUM 62マトリクス;ギャップコスト:存在11、延長1;条件付きの組成スコアマトリックス調整。したがって、配列に関連して使用される場合は、例えば、「同一性」または「同一の」などの用語は、BLASTアルゴリズムを用いて得られた識別値を指す。
本発明によるモノクローナル抗体は、当分野で知られている任意の方法によって産生することができ、これには、限定はされないがSiegel DL(“Recombinant monoclonal antibody technology.” Transfus Clin Biol. 2002 Jan;9(1):15-22)で言及されている方法が含まれる。好ましい態様において、本発明による抗体は、ブダペスト条約の下でドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)に寄託番号DSM ACC3142として寄託されたハイブリドーマ細胞株B1-23によって産生される。寄託は、2011年9月29日に申請された。
細胞増殖は、当分野で知られている適切な方法によって測定することができ、これには(限定はされないが)、光学顕微鏡法、ミトコンドリアの酸化還元電位を測定するものなどの代謝アッセイ(例えば、MTT(3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロマイド)アッセイ;Alamar Blue(登録商標)アッセイとしても知られているレザズリン染色、既知の内因性の増殖バイオマーカー(例えばKi-67)の染色、および細胞のDNA合成を測定する方法(例えばBrdUおよび[H]−チミジン取り込みアッセイ)が含まれる。
免疫抑制は、当技術分野で知られている適切な方法によって測定することができ、これには(限定はされないが)、免疫細胞の増殖、サイトカイン分泌、フローサイトメトリーによる細胞内サイトカイン染色、qRT−PCRによるサイトカイン測定、リダイレクトされた標的細胞の溶解、さらなる細胞毒性または脱顆粒アッセイ、免疫細胞受容体の活性化の下方制御(NKG2Dなど)、抑制免疫細胞受容体の上方制御、免疫学的シナプス形成、免疫細胞浸潤が含まれる。免疫抑制の用語を適用するためには、これらの少なくとも1つ、または任意の他の適切なアッセイにおいて、効果が測定可能でなければならない。特定の試験における効果の欠如は、免疫抑制の一般的な不在を意味するものではない。
ヒトGDF-15レベルは、当技術分野で知られている任意の方法によって測定することができ、これには、GDF-15mRNAレベルの、(限定はされないが)以下を含む方法による測定:ヒトGDF-15に特異的なプライマーを用いるヒトGDF-15mRNAの定量的リアルタイムPCR(qRT−PCR)、ヒトGDF-15に特異的なプローブによるmRNAのin situハイブリダイゼーション、mRNAの深い配列決定法;およびGDF-15タンパク質レベルの、(限定はされないが)以下を含む方法による測定:ヒトGDF-15に由来するタンパク質またはペプチドについての質量分析、ヒトGDF-15に特異的な抗体を用いるウエスタンブロッティング、ヒトGDF-15に特異的な抗体を用いるストリップ試験、またはヒトGDF-15に特異的な抗体を用いる免疫細胞化学、などを含む。ヒトGDF-15に特異的な抗体を用いるかかる方法について、本発明の抗ヒトGDF-15抗体が好ましく、ドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)に寄託番号DSM ACC3142として寄託されたハイブリドーマ細胞株B1-23によって産生される本発明の抗体が、最も好ましい。
本発明の態様
上述したように、本発明者らは、ヒトGDF-15タンパク質が、癌の増殖が阻害されるような様式で、本発明の抗体によって標的化され得ることを示している。
これは、癌誘発性の体重減少のみが抗GDF-15抗体によって逆転させ得ること、および癌の増殖が阻害できないとの教示(WO 2005/099746、WO 2009/021293およびJohnen H et al., Nature Medicine, 2007)の観点から、驚くべき発見である。
本発明を考慮すると、WO 2005/099746、WO 2009/021293およびJohnen H et al., Nature Medicine, 2007から知られている抗GDF-15抗体は、ヒトGDF-15の効果の1つ(すなわち、癌誘発性の体重減少)を阻害するのみであるが、癌の増殖に関連するもの等のヒトGDF-15の別の効果は阻害できないことが明らかである。本発明の観点からの、この失敗の一つの可能な説明は以下である:すなわち、上記の文献から知られている抗体は、血液脳関門を通過するヒトGDF-15の輸送のみを妨害するが(血液脳関門を横切って輸送することができない大きな複合体を形成することにより)、しかし、その受容体(例えば、脳の外部にある細胞に存在する受容体)と一般的に相互作用できないような様式で、ヒトGDF-15に結合することはできない、ということである。
本発明の抗体の以下の特性は、癌増殖阻害を含む、ヒトGDF-15の効果をより完全に阻害するそれらの能力に貢献することが、期待される。
ヒトGDF-15の形態に対する幅広い結合特異性
本発明の抗体は、成熟組換えヒトGDF-15(配列番号8によって表される)に結合することができ、したがって活性で完全にプロセシングされた(成熟)ヒトGDF-15に結合することができる。
さらに、ヒト細胞に対する本発明のmAb-B1-23抗体で染色実験を行うことにより、本発明者らは、本発明によるmAb-B1-23抗体が、ヒト細胞上でヒトGDF-15前駆体に結合可能であることを示す。
したがって、本発明の抗体の結合および効果(癌増殖の阻害など)は、ヒトGDF-15の特定の形態への効果に限定されないことが予想される。
高い結合親和性
本発明による抗体およびその抗原結合部分は高い結合親和性を有し、これは、組換えヒトGDF-15に対して約790pMの平衡解離定数を有する、本発明によるmAb-B1-23抗体によって実証される。特に、かかる親和性の値は、多くの既存の治療用抗体、例えば約8nMの平衡解離定数を有する治療用抗体リツキシマブよりも優れている。
高い結合親和性は、本発明によるヒトGDF-15に対する抗体が、ヒトGDF-15に安定して結合することを確実にして、癌の増殖に対する効果を含むヒトGDF-15の効果が、効果的に阻害されるようにするであろう。
不連続または立体構造エピトープへの結合
本発明の抗体およびその抗原結合部分は、本発明のmAb-B1-23抗体について以下に実証するように、不連続または立体構造エピトープに結合する。
本発明の抗体およびその抗原結合部分の、不連続または立体構造GDF-15エピトープへの結合は、ヒトGDF-15を特定の構造に維持するのに役立ち得て、それによって、癌増殖に対する効果を含むヒトGDF-15の効果を、効果的に阻害することに貢献する。
したがって、本発明は以下の態様に関する:
A)抗体、ベクターおよび細胞株
具体的には、本発明は、ヒトGDF-15に結合可能なモノクローナル抗体、またはその抗原結合部分であって、重鎖可変ドメインが、配列番号5のアミノ酸配列またはこれと少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含むCDR3領域を含み、軽鎖可変ドメインが、配列番号7のアミノ酸配列またはこれと少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むCDR3領域を含む、前記抗体またはその抗原結合部分に関する。
代替的に、本発明は、ヒトGDF-15に結合可能なモノクローナル抗体、またはその抗原結合部分であって、重鎖可変ドメインが、配列番号5のアミノ酸配列または配列番号5のアミノ酸配列から2個以上のアミノ酸が異なることはないアミノ酸配列を含むCDR3領域を含み、軽鎖可変ドメインが、配列番号7のアミノ酸配列または配列番号7のアミノ酸配列から2個以上のアミノ酸が異なることはないアミノ酸配列を含むCDR3領域を含む、前記抗体またはその抗原結合部分に関する。
上記態様による第2の態様において、モノクローナル抗体またはその抗原結合部分の重鎖可変ドメインは、配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR3領域を含み、または、軽鎖可変ドメインは、配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR3領域を含む。
上記態様による第3の態様において、モノクローナル抗体またはその抗原結合部分の重鎖可変ドメインは、配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR3領域を含み、および、軽鎖可変ドメインは、配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR3領域を含む。
上記態様によるさらに別の態様において、重鎖可変ドメインは、FR1、CDR1、FR2、CDR2およびFR3領域を含みかつ配列番号1のアミノ酸配列またはこれと85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一の配列を含む、領域を含み、および軽鎖可変ドメインは、FR1、CDR1、FR2、CDR2およびFR3領域を含みかつ配列番号2のアミノ酸配列またはこれと85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%もしくは99%同一の配列を含む、領域を含む。
上記態様による好ましい態様において、重鎖可変ドメインは、FR1、CDR1、FR2、CDR2およびFR3領域を含みかつ配列番号1のアミノ酸配列またはこれと95%同一の配列を含む、領域を含み、および軽鎖可変ドメインは、FR1、CDR1、FR2、CDR2およびFR3領域を含みかつ配列番号2のアミノ酸配列またはこれと95%同一の配列を含む、領域を含む。
上記態様によるさらに好ましい態様において、重鎖可変ドメインは、FR1、CDR1、FR2、CDR2およびFR3領域を含みかつ配列番号1のアミノ酸配列またはこれと98%同一の配列を含む、領域を含み、および軽鎖可変ドメインは、FR1、CDR1、FR2、CDR2およびFR3領域を含みかつ配列番号2のアミノ酸配列またはこれと98%同一の配列を含む、領域を含む。
上記態様によるさらにより好ましい態様において、重鎖可変ドメインは、FR1、CDR1、FR2、CDR2およびFR3領域を含みかつ配列番号1のアミノ酸配列を含む、領域を含み、および軽鎖可変ドメインは、FR1、CDR1、FR2、CDR2およびFR3領域を含みかつ配列番号2のアミノ酸配列を含む、領域を含む。
本発明はまた、ヒトGDF-15に結合可能なモノクローナル抗体またはその抗原結合部分であって、重鎖可変ドメインが、配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR1領域および配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR2領域を含み、軽鎖可変ドメインが、配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR1領域および配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR2領域を含む、前記抗体またはその抗原結合部分に関する。この態様の好ましい側面において、抗体は、上記の本発明の任意の態様に定義されたCDR3配列を有してもよい。
別の態様において、本発明は、ヒトGDF-15に結合可能なモノクローナル抗体またはその抗原結合部分であって、抗体またはその抗原結合部分が、哺乳動物、好ましくはヒト患者における癌の増殖を阻害することができる、前記抗体またはその抗原結合部分に関する。
上記態様による別の態様において、本発明は、ヒトGDF-15に結合可能な抗原結合部分であって、抗原結合部分が、単一ドメイン抗体である(「ナノボディ(登録商標)」とも称される)、前記抗原結合部分に関する。この態様の一側面において、単一ドメイン抗体は、それぞれ配列番号3、配列番号4、および配列番号5の、CDR1、CDR2、およびCDR3アミノ酸配列を含む。この態様の一側面において、単一ドメイン抗体は、それぞれ配列番号6、配列番号7、および配列番号8の、CDR1、CDR2、およびCDR3アミノ酸配列を含む。この態様の好ましい側面において、単一ドメイン抗体は、ヒト化抗体である。
好ましくは、ヒトGDF-15に結合可能な本発明の抗体またはその抗原結合部分は、100nM以下、20nM未満、好ましくは10nM未満、より好ましくは5nM未満、および最も好ましくは0.1nM〜2nMの間の、ヒトGDF-15に対する平衡解離定数を有する。
本発明の別の態様において、ヒトGDF-15に結合可能な抗体またはその抗原結合部分は、ドイツ微生物細胞培養コレクション(DMSZ)に寄託番号DSM ACC3142として寄託された細胞株B1-23から得られるヒトGDF-15に対する抗体と同一の、ヒトGDF-15エピトープに結合する。本明細書に記載するように、本発明によるヒトGDF-15に結合する抗体は、実施例1に記載した手順に従って、参照標準法として表面プラズモン共鳴測定によって評価される。ヒトGDF-15上の同一エピトープへの結合は、細胞株B1-23から得られるヒトGDF-15に対する抗体と、細胞株B1-23から得られるヒトGDF-15に対する抗体と同一のヒトGDF-15エピトープに結合することが予測される抗体の、表面プラズモン共鳴の競合的結合実験によって、同様に評価することができる。
非常に好ましい態様において、本発明の抗体は、ドイツ微生物細胞培養コレクション(DMSZ)に寄託番号DSM ACC3142として寄託された細胞株B1-23から得られる、ヒトGDF-15に結合可能なモノクローナル抗体、またはその抗原結合部分である。
好ましい態様において、本発明によるヒトGDF-15に結合可能な抗体またはその抗原結合部分は、ヒト化モノクローナル抗体またはその抗原結合部分である。本発明に従った任意の非ヒト抗体配列(すなわち、ドナー抗体配列)に対して、本発明のヒト化モノクローナル抗ヒトGDF-15抗体またはその抗原結合部分は、上記のように当分野で知られた技術に従って生成することができる。
非常に好ましい態様において、ヒトGDF-15に結合可能なモノクローナル抗体またはその抗原結合部分は、ドイツ微生物細胞培養コレクション(DMSZ)に寄託番号DSM ACC3142として寄託された細胞株B1-23から得られる、ヒトGDF-15に結合可能なモノクローナル抗体由来のヒト化抗体、またはその抗原結合部分である。この態様の非限定的な側面において、ヒト化抗体またはその抗原結合部分の重鎖可変ドメインは、配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR3領域を含み、ヒト化抗体またはその抗原結合部分の軽鎖可変ドメインは、配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR3領域を含む。この態様のさらなる非限定的な側面において、ヒト化抗体またはその抗原結合部分の重鎖可変ドメインは、配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR1領域および配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR2領域を含むか、これらをさらに含み、ヒト化抗体またはその抗原結合部分の軽鎖可変ドメインは、配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR1領域および配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR2領域を含むか、これらをさらに含む。
本発明はまた、ヒトGDF-15に結合可能なモノクローナル抗体またはその抗原結合部分であって、結合が、配列番号25および配列番号26のアミノ酸配列で構成されるヒトGDF-15上の立体構造エピトープまたは不連続エピトープ(conformational or discontinuous epitope)への結合である、前記抗体またはその抗原結合部分に関する。この態様の好ましい側面において、抗体またはその抗原結合部分は、上記の態様のいずれかに定義された抗体またはその抗原結合部分である。
上記態様による本発明の別の態様において、ヒトGDF-15に結合可能な抗体またはその抗原結合部分は、二重特異性抗体である。この態様の一側面において、二重特異性抗体は、二価の単一特異性で、ヒトGDF-15のための2つの同一の抗原結合部位を有する。この態様の第2の代替的側面において、二重特異性抗体は、二価の二重特異性であって、1つの抗原結合部位がヒトGDF-15に対する結合部位であり、他の抗原結合部位が異なる抗原に対する結合部位である。この態様の第2の側面による異なる抗原の非限定的な例としては、i)同じ癌に高レベルでGDF-15と共発現される、細胞表面抗原(例えば、同一患者の癌の原発部位組織である組織の非癌部から得た対照試料と比較して、より高いレベル)、およびii)腫瘍に対する免疫系の細胞動員のために有用な抗原として知られている、免疫系の細胞上の細胞表面抗原、が挙げられる。
上記態様による本発明のさらに別の態様において、ヒトGDF-15に結合可能な抗体またはその抗原結合部分は、薬物に連結されている。この態様の非限定的な側面において、薬物は、既知の抗癌剤および/または免疫刺激分子であることができる。既知の抗癌剤としては、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、メクロレタミン、シクロホスファミド、クロラムブシル、およびイホスファミドなどのアルキル化剤;アザチオプリンおよびメルカプトプリンなどの抗代謝物;ビンカアルカロイド(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、およびビンデシン)、タキサン(例えば、パクリタキセル、ドセタキセル)、エトポシドおよびテニポシドなどのアルカロイド;カンプトテシン(例えばイリノテカンおよびトポテカン)などのトポイソメラーゼ阻害剤;アクチノマイシン、アントラサイクリン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、バルルビシン、イダルビシン、エピルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシンおよびマイトマイシンなどの細胞傷害性抗生物質;および放射性同位元素が挙げられる。本発明の抗体またはその抗原結合部分の抗癌剤への連結は、抗癌剤なしの抗体と比較して、より強力な癌腫瘍増殖阻害をもたらすことが期待されているが、その理由は、得られたコンジュゲートが、腫瘍中のGDF-15の存在のために腫瘍部位に蓄積して、腫瘍の部位での抗癌剤の蓄積および腫瘍に対する抗癌剤の効果の増強につながるからである。
上記態様による更なる態様において、ヒトGDF-15に結合可能な抗体またはその抗原結合部分は、アミノ酸タグによって修飾される。かかるタグの非限定的な例としては、ポリヒスチジン(His)タグ、FLAGタグ、ヘマグルチニン(HA)タグ、糖タンパク質D(gD)タグ、およびc-mycタグを含む。タグは、様々な目的のために使用することができる。例えば、それらは、ヒトGDF-15に結合可能な抗体もしくはその抗原結合部分の精製を補助するために用いてもよく、または、抗体もしくはその抗原結合部分の検出に用いてもよい(例えば、診断アッセイにおいて用いる場合)。好ましくは、かかるタグは、ヒトGDF-15に結合可能な抗体またはその抗原結合部分のC末端またはN末端に存在する。
上記態様による好ましい態様において、ヒトGDF-15に結合可能な抗体またはその抗原結合部分は、哺乳動物、好ましくはヒト患者における癌の増殖を阻害することができる。
上記態様による別の好ましい態様において、ヒトGDF-15は、配列番号8で表されるアミノ酸配列を有する組換えヒトGDF-15である。
上記態様によるさらに別の好ましい態様において、ヒトGDF-15に結合可能な抗体またはその抗原結合部分の結合は、ヒトGDF-15上の立体構造エピトープまたは不連続エピトープへの結合である。
好ましくは、ヒトGDF-15に結合可能な本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合部分は、単離された抗体である。
本発明はまた、上記で定義された抗体またはその抗原結合部分をコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターに関する。
さらに、本発明はまた、本発明による抗体またはその抗原結合部分を産生可能な細胞株を提供する。
一態様において、細胞株は、その技術分野で知られており、抗体またはその抗原結合部分の産生に適している、任意の細胞株に由来することができる。
好ましい態様において、細胞株は、ドイツ微生物細胞培養コレクション(DMSZ)に寄託番号DSM ACC3142として寄託された細胞株B1-23である。
別の好ましい態様において、細胞株は上記で定義された本発明の発現ベクターを含む。
B)医薬組成物
さらなる態様において、本発明は、上記で定義された抗体またはその抗原結合部分のいずれかを含む、医薬組成物に関する。
本発明による医薬組成物は、抗体およびその部分を含む医薬組成物の調製のための既知の標準に従って調製される。
例えば、組成物は、担体、賦形剤または安定剤などの薬学的に許容し得る成分を用いることなどによって、適切に保管および投与できるような方法で、調製される。
かかる薬学的に許容し得る成分は、医薬組成物を患者に投与する場合に使用される量では、毒性ではない。医薬組成物に添加する薬学的に許容し得る成分は、医薬組成物の特定の意図された用途および投与経路に依存し得る。
一般に、本発明に関連して使用される薬学的に許容し得る成分は、例えばRemington's Pharmaceutical Sciences, Ed. AR Gennaro, 20th edition, 2000, Williams & Wilkins, PA, USAからの、当技術分野で利用可能な知識に従って使用される。
C)治療方法およびこれらの方法で使用するための製品
本発明はさらに、哺乳動物において癌を処置するための方法であって、上記で定義された抗体もしくはその抗原結合部分、または上記で定義された医薬組成物を、前記哺乳動物に投与することを含む、前記方法に関する。代替的に、本発明は、これらの方法において用いるための、上記で定義された抗体もしくはその抗原結合部分、または上記で定義された医薬組成物に関する。これらの態様の非常に好ましい側面において、哺乳動物はヒト患者である。
本発明による癌を処置するための全方法では、WO 2005/099746、WO 2009/021293およびJohnen H et al., Nature Medicine, 2007に記載された、癌誘発性の体重減少の処置を除外する。これは、これらの技術の教示によれば抗GDF-15抗体によって癌誘発性の体重減少のみを逆転することができて、癌の増殖を阻害することはできないという事実を反映する。
本発明を考慮すると、WO 2005/099746、WO 2009/021293およびJohnen H et al., Nature Medicine, 2007から知られている抗GDF-15抗体は、ヒトGDF-15の効果の1つのみ(すなわち、癌誘発性の体重減少)を抑制するが、癌増殖に関連するもの等のヒトGDF-15の他の効果は、抑制しないことが明らかである。
本発明による癌増殖の阻害は、追加のまたは二次的治療利益が患者に生じることを除外するものではない。例えば、追加のまたは二次的利益は、癌誘発性の体重減少への影響であってよい。しかし、防御が求められているところの一次処置は癌増殖の阻害であることが理解され、任意の二次的または追加的な効果は、癌増殖の処置の、任意の付加的な利点を反映しているだけである。
上記の方法、またはこれらの方法で使用するための抗体、その抗原結合部分もしくは医薬組成物の好ましい態様において、ヒト患者は、投与前に血清中のGDF-15レベルが上昇している。血清中のGDF-15レベルが上昇した患者のサブグループにおいて、本発明による処置方法は、癌増殖を阻害するのに特に有効であると期待される。この態様の最も好ましい側面において、GDF-15レベルは、ドイツ微生物細胞培養コレクション(DMSZ)に寄託番号DSM ACC3142として寄託されたハイブリドーマ細胞株B1-23から得られる本発明による抗体を用いて測定した、好ましくは免疫化学によって測定した、GDF-15タンパク質レベルである。
上記の方法、またはこれらの方法で使用するための抗体、その抗原結合部分もしくは医薬組成物の別の態様において、抗体またはその抗原結合部分は、この方法で使用される、癌に対して薬学的に活性な唯一の成分である。
上記の方法、またはこれらの方法で使用するための抗体、その抗原結合部分もしくは医薬組成物の代替的態様において、抗体またはその抗原結合部分は、癌に対して薬学的に活性な1種または2種以上のさらなる成分と組み合わせて使用される。この態様の一側面において、癌に対して薬学的に活性な1種または2種以上のさらなる成分は、上記で定義されたように、既知の抗癌剤および/または免疫刺激分子である。
上記の方法、またはこれらの方法で使用するための抗体、その抗原結合部分もしくは医薬組成物の好ましい態様において、癌は、神経膠腫を含む脳の癌、神経系の癌、黒色腫、肺癌、口唇および口腔癌、肝癌、白血病、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、膀胱癌、子宮頸癌、子宮体癌、精巣癌、甲状腺癌、腎臓癌、胆嚢癌、多発性骨髄腫、鼻咽頭癌、喉頭癌(larynx cancer)、咽頭癌(pharynx cancer)、食道癌、胃癌および結腸直腸癌を含む消化管の腫瘍、膵臓癌、前立腺癌、卵巣癌および乳癌からなる群から、好ましくは、黒色腫、前立腺癌、乳癌、神経膠腫を含む脳の癌、結腸直腸癌、胃癌、食道癌、および卵巣癌からなる群から選択され、および最も好ましくは黒色腫である。一態様において、癌は、子宮内膜癌などの子宮内膜癌、乳癌のサブタイプを含む乳癌、特にトリプルネガティブ乳癌および尿路上皮細胞癌などの膀胱癌をさらに含む、上記の群から選択される。
上記の方法、またはこれらの方法で使用するための抗体、その抗原結合部分もしくは医薬組成物の別の好ましい態様において、癌によって形成された1または2以上の腫瘍は、同一患者の癌の原発部位組織である組織の非癌部から得た対照試料と比較して、投与の前により高いヒトGDF-15レベルを有し、好ましくは1.2倍高いレベル、より好ましくは1.5倍高いレベル、さらにより好ましくは2倍高いレベル、および最も好ましくは5倍高いレベルを有する。上記対照試料と比較して、癌によって形成された1または2以上の腫瘍においてより高いGDF-15レベルを有する患者のサブグループにおいて、本発明による処置方法は、癌の増殖を阻害するのに特に有効であることが期待される。
上記の方法、またはこれらの方法で使用するための抗体、その抗原結合部分もしくは医薬組成物の非常に好ましい態様において、方法は、癌の増殖を阻害することを含む。この態様の好ましい側面において、癌の増殖は停止される。より好ましい側面においては、癌は縮小する。
上記の方法、またはこれらの方法で使用するための抗体、その抗原結合部分もしくは医薬組成物の好ましい態様において、本方法は、ヒト患者におけるNK細胞およびCD8+T細胞による癌細胞の死滅の誘導を含む。GDF-15媒介性の既知の免疫学的監視レギュレータNKG2Dの下方制御を妨害するそれらの能力により、本発明の抗体またはその抗原結合部分は、免疫系とは独立した抗体またはその抗原結合部分の効果に加えて、免疫学的監視を回復し、NK細胞およびCD8+T細胞による癌細胞の死滅を誘導することが期待されている、
D)キット
本発明はまた、上記で定義された医薬組成物を含むキットを提供する。
一態様において、キットは、上記で定義された本発明の方法で使用するためのキットである。
さらなる態様において、本発明はまた、本発明による抗体またはその抗原結合部分のいずれかを含む、診断キットを提供する。
一態様において、診断キットは、癌によって形成された癌患者の1または2以上の腫瘍が、同一患者の癌の原発部位組織である組織の非癌部から得た対照試料と比較して、より高いヒトGDF-15レベルを有するかどうかを検出するために使用することができる。
別の態様において、診断キットは、ヒト癌患者が血清中の上昇GDF-15レベルを有するかどうかを検出するために使用することができる。
E)配列
本出願で言及されるアミノ酸配列は以下である(N末端からC末端への順序;一文字のアミノ酸コードにより表される):
配列番号1(モノクローナル抗ヒトGDF-15 mAb-B1-23のポリペプチド配列からの、FR1、CDR1、FR2、CDR2およびFR3領域を含む重鎖可変ドメインの領域):
QVKLQQSGPGILQSSQTLSLTCSFSGFSLSTSGMGVSWIRQPSGKGLEWLAHIYWDDDKRYNPTLKSRLTISKDPSRNQVFLKITSVDTADTATYYC
配列番号2(モノクローナル抗ヒトGDF-15 mAb-B1-23のポリペプチド配列からの、FR1、CDR1、FR2、CDR2およびFR3領域を含む軽鎖可変ドメインの領域):
DIVLTQSPKFMSTSVGDRVSVTCKASQNVGTNVAWFLQKPGQSPKALIYSASYRYSGVPDRFTGSGSGTDFTLTISNVQSEDLAEYFC
配列番号3(モノクローナル抗ヒトGDF-15 mAb-B1-23の重鎖CDR1領域ペプチド配列):
GFSLSTSGMG
配列番号4(モノクローナル抗ヒトGDF-15 mAb-B1-23の重鎖CDR2領域ペプチド配列):
IYWDDDK
配列番号5(モノクローナル抗ヒトGDF-15 mAb-B1-23の重鎖CDR3領域ペプチド配列):
ARSSYGAMDY
配列番号6(モノクローナル抗ヒトGDF-15 mAb-B1-23の軽鎖CDR1領域ペプチド配列):
QNVGTN
モノクローナル抗ヒトGDF-15 mAb-B1-23の軽鎖CDR2領域ペプチド配列:
SAS
配列番号7(モノクローナル抗ヒトGDF-15 mAb-B1-23の軽鎖CDR3領域ペプチド配列):
QQYNNFPYT
配列番号8(組換え成熟ヒトGDF-15タンパク質):
GSARNGDHCPLGPGRCCRLHTVRASLEDLGWADWVLSPREVQVTMCIGACPSQFRAANMHAQIKTSLHRLKPDTVPAPCCVPASYNPMVLIQKTDTGVSLQTYDDLLAKDCHCI
配列番号9(ヒトGDF-15前駆体タンパク質):
MPGQELRTVNGSQMLLVLLVLSWLPHGGALSLAEASRASFPGPSELHSEDSRFRELRKRYEDLLTRLRANQSWEDSNTDLVPAPAVRILTPEVRLGSGGHLHLRISRAALPEGLPEASRLHRALFRLSPTASRSWDVTRPLRRQLSLARPQAPALHLRLSPPPSQSDQLLAESSSARPQLELHLRPQAARGRRRARARNGDHCPLGPGRCCRLHTVRASLEDLGWADWVLSPREVQVTMCIGACPSQFRAANMHAQIKTSLHRLKPDTVPAPCCVPASYNPMVLIQKTDTGVSLQTYDDLLAKDCHCI
配列番号10(ヒトGDF-15前駆体タンパク質+N末端およびC末端GSGSリンカー):
GSGSGSGMPGQELRTVNGSQMLLVLLVLSWLPHGGALSLAEASRASFPGPSELHSEDSRFRELRKRYEDLLTRLRANQSWEDSNTDLVPAPAVRILTPEVRLGSGGHLHLRISRAALPEGLPEASRLHRALFRLSPTASRSWDVTRPLRRQLSLARPQAPALHLRLSPPPSQSDQLLAESSSARPQLELHLRPQAARGRRRARARNGDHCPLGPGRCCRLHTVRASLEDLGWADWVLSPREVQVTMCIGACPSQFRAANMHAQIKTSLHRLKPDTVPAPCCVPASYNPMVLIQKTDTGVSLQTYDDLLAKDCHCIGSGSGSG
配列番号11(Flagペプチド):DYKDDDDKGG
配列番号12(HAペプチド):YPYDVPDYAG
配列番号13(ヒトGDF-15由来ペプチド):
ELHLRPQAARGRR
配列番号14(ヒトGDF-15由来ペプチド):
LHLRPQAARGRRR
配列番号15(ヒトGDF-15由来ペプチド):
HLRPQAARGRRRA
配列番号16(ヒトGDF-15由来ペプチド):
LRPQAARGRRRAR
配列番号17(ヒトGDF-15由来ペプチド):
RPQAARGRRRARA
配列番号18(ヒトGDF-15由来ペプチド):
PQAARGRRRARAR
配列番号19(ヒトGDF-15由来ペプチド):
QAARGRRRARARN
配列番号20(ヒトGDF-15由来ペプチド):
MHAQIKTSLHRLK
配列番号25(B1-23に結合するGDF-15エピトープの部分を含むGDF-15ペプチド):
EVQVTMCIGACPSQFR
配列番号26(B1-23に結合するGDF-15エピトープの部分を含むGDF-15ペプチド):
TDTGVSLQTYDDLLAKDCHCI
本出願で言及される核酸配列は以下である(5’末端から3’末端への順序;標準の核酸コードにより表される):
配列番号21(配列番号1で定義されたアミノ酸配列をコードするDNAヌクレオチド配列):
CAAGTGAAGCTGCAGCAGTCAGGCCCTGGGATATTGCAGTCCTCCCAGACCCTCAGTCTGACTTGTTCTTTCTCTGGGTTTTCACTGAGTACTTCTGGTATGGGTGTGAGCTGGATTCGTCAGCCTTCAGGAAAGGGTCTGGAGTGGCTGGCACACATTTACTGGGATGATGACAAGCGCTATAACCCAACCCTGAAGAGCCGGCTCACAATCTCCAAGGATCCCTCCAGAAACCAGGTATTCCTCAAGATCACCAGTGTGGACACTGCAGATACTGCCACATACTACTGT
配列番号22(配列番号2で定義されたアミノ酸配列をコードするDNAヌクレオチド配列):
GACATTGTGCTCACCCAGTCTCCAAAATTCATGTCCACATCAGTAGGAGACAGGGTCAGCGTCACCTGCAAGGCCAGTCAGAATGTGGGTACTAATGTGGCCTGGTTTCTACAGAAACCAGGGCAATCTCCTAAAGCACTTATTTACTCGGCATCCTACCGGTACAGTGGAGTCCCTGATCGCTTCACAGGCAGTGGATCTGGGACAGATTTCACTCTCACCATCAGCAACGTGCAGTCTGAAGACTTGGCAGAGTATTTCTGT
配列番号23(配列番号5で定義されたアミノ酸配列をコードするDNAヌクレオチド配列):
GCTCGAAGTTCCTACGGGGCAATGGACTAC
配列番号24(配列番号7で定義されたアミノ酸配列をコードするDNAヌクレオチド配列):
CAGCAATATAACAACTTTCCGTACACG
F)実施例
本発明を、以下の非限定的な実施例によって例示する。
例1:GDF-15抗体B1-23の生成および特性評価
抗体B1-23を、GDF-15ノックアウトマウスで生成した。組換えヒトGDF-15(配列番号:8)を免疫原として使用した。
mAb-B1-23を産生するハイブリドーマ細胞株B1-23を、ブダペスト条約に従って、ドイツ微生物細胞培養コレクション(DMSZ)に寄託番号DSM ACC3142として寄託した。
市販の試験ストリップシステムによって、B1-23はIgG2a(κ鎖)アイソタイプであると同定された。表面プラズモン共鳴測定を使用して、解離定数(Kd)を次のように決定した:
本発明によるモノクローナル抗ヒトGDF-15抗体、抗ヒトGDF-15 mAb-B1-23の結合は、Biorad ProteOn XPR36システムおよびBiorad GLCセンサーチップを用いた表面プラズモン共鳴測定を使用して測定した。
バイオセンサーを製造するために、組換え成熟ヒトGDF-15タンパク質を、フローセル1および2の上に固定化した。1つのフローセル上では、Baculovirusをトランスフェクトした昆虫細胞(HighFive昆虫細胞)由来の組換えGDF-15を、もう一方のフローセル上では、大腸菌での発現に由来する別の組換えタンパク質を用いた。GLCセンサーチップを、製造業者の推奨に従って、Sulfo-NHS(N−ヒドロキシスルホスクシンイミド)およびEDC(1−エチル−3−[3−ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド塩酸塩)(Biorad ProteOn Amine Coupling Kit)を用いて活性化させ、センサー表面にその後、約600RU(1Ru=1pg/mm)の密度までタンパク質をロードした。未反応の結合基は、次いで、1MエタノールアミンpH8.5で灌流することによりクエンチし、バイオセンサーは、ランニング緩衝液でチップを灌流することによって平衡化した(10M HEPES、150mMのNaCl、3.4mMのEDTA、0.005%のTween-20、pH7.4、HBS150と称する)。対照として2つのフローセルを用い、1つは空でタンパク質結合はなく、1つは非生理的なタンパク質パートナー(ヒトインターロイキン5)に結合され、これは、同一のカップリング化学および同一のカップリング密度を用いて固定化した。相互作用の測定のために、抗ヒトGDF-15 mAb-B1-23をHBS150に溶解し、検体として6つの異なる濃度で使用した(濃度:0.4、0.8、3、12、49および98nM)。分析物は、間欠再生を回避するために、ワンショット速度設定を使用して、バイオセンサー上に灌流し、すべての測定は25℃で行い、100μl/分の流速を用いた。
バルクフェイス効果(bulk face effect)を処理するために、センサ−マトリックスへの非特異的な結合を、空のフローセル(フローセル3)のSPRデータをすべての他のSPRデータから減算することにより除去した。得られたセンサーグラム(sensogram)を、ソフトウェアProteon Managerバージョン3.0を用いて分析した。結合反応速度の解析のために、1:1ラングミュア型相互作用を仮定した。会合速度定数について、5.4±0.06×10/Ms(kon)の値、および解離速度定数について、4.3±0.03×10−4/s(koff)の値を決定することができた(値は、抗ヒトGDF-15 mAb-B1-23と昆虫細胞発現に由来するGDF-15の相互作用についてのもの)。平衡解離定数は、式K=koff/konを用いて計算して、約790pMの値を得た。大腸菌発現由来のGDF-15と抗ヒトGDF-15 mAb-B1-23の相互作用の親和性値は、2倍未満だけ異なり、昆虫細胞および大腸菌由来のGDF-15の速度定数は、約45%偏っており、したがってSPR測定の精度内であり、実際の親和性の差を反映していない可能性が高い。使用した条件下で、抗ヒトGDF-15 mAb-B1-23はヒトインターロイキン5への結合を示しておらず、したがって相互作用データおよび抗ヒトGDF-15 mAb-B1-23の特異性を確認する。
組換えヒトGDF-15のアミノ酸配列(Baculovirusをトランスフェクトした昆虫細胞において発現)は、以下である:
GSARNGDHCP LGPGRCCRLH TVRASLEDLG WADWVLSPRE VQVTMCIGAC PSQFRAANMH AQIKTSLHRL KPDTVPAPCC VPASYNPMVL IQKTDTGVSL QTYDDLLAKD CHCI
(配列番号8)
このように、表面プラズモン共鳴測定を使用して、790pMの解離定数(Kd)を決定した。比較として:治療的に使用する抗体リツキシマブは、有意に低い親和性を有する(Kd=8nM)。
例2: GDF-15媒介効果のmAB B1-23による拮抗
a)NK細胞およびCD8+T細胞上で発現されるNKG2D(ナチュラルキラーグループ2D)受容体は、腫瘍に対する免疫学的監視において重要な役割を果たすことが知られている。形質転換およびウイルス感染細胞はリガンドを発現し、これはNKG2D受容体に結合して、記載された免疫細胞の細胞傷害性エフェクター機能を活性化させる。こうして、形質転換された細胞を検出して、免疫系によって排除することができる。免疫細胞を、組換えヒトGDF-15または腫瘍細胞分泌のGDF-15のいずれかでin vitroで72時間処理した後、リンパ球の細胞表面上のNKG2Dの発現レベルは、下方制御された(図1)。72時間のインキュベーション後、免疫細胞を以下のFACS抗体で染色した:抗CD3、抗CD56、抗NKG2D。この抗体の組合せを使用して、実験は、NK細胞およびそれらのNKG2D表面発現に焦点を当てた。免疫細胞上の低いNKG2Dレベルは、腫瘍/標的細胞の溶解の障害をもたらした。GDF-15媒介性のNKG2Dの下方制御は、mAB B1-23によって防止された。
したがって、ヒトGDF-15は、リンパ球の細胞表面上のNKG2Dの発現を下方制御し、それによって腫瘍に対する免疫学的監視を下方制御すると結論される。ヒトGDF-15に結合することにより、本発明の抗体は、NKG2DのGDF-15媒介性下方制御を防止することが可能であり、免疫学的監視を回復し、NK細胞およびCD8+T細胞による癌細胞の死滅を誘導することができるはずである。
b)卵巣癌細胞株SK-OV-3の、組換えGDF-15による処置は、AKTのリン酸化をもたらした。AKTは分子であって、PI3K経路の一部であり、細胞の活性化および増殖に寄与する。この実験では、SK-OV-3細胞を、10ng/mlの組換えGDF-15により37℃、5%COで10分間処置した。2μgのmAb-B1-23の10ng/mlのGDF-15による37℃でのプレインキュベーションは、GDF-15媒介性のAKTリン酸化をブロックした(図2)。これは、mAb-B1-23の中和効果を示した。
c)免疫細胞の、組換えGDF-15による処置は、サイトカインまたはストレスのいずれかによって活性化されるところの、キナーゼであるJNKのリン酸化をもたらした。10ng/mlのGDF-15の、2μgのmAb-B1-23による拮抗(37℃での5分間のプレインキュベーション)は、GDF-15媒介性のJNK1/2リン酸化をブロックした(図3)。
例3: mAb B1-23を用いた癌細胞増殖の阻害
B1-23が生成したデータは、抗体の、in vitroでの癌細胞に対する抗増殖効果を示した。最も強力な抗増殖効果は、多くのGDF-15を生成する前立腺癌細胞株LnCaPを用いて観察された。代謝アッセイ(アラマーブルーアッセイ)は、mAb-B1-23が存在する場合に、抗体が適用されない対照群と比べて、72時間後に30%の増殖の減少を示した。抗体の細胞傷害性効果は異なるアッセイで除外されているため、この効果は、GDF-15の遮断後の、細胞分裂速度の顕著な減少を証明する。
例4:mAb B1-23はin vivoで腫瘍の増殖を阻害する
1つの実験の試験セットアップでは、腫瘍増殖は、免疫不全NMRIマウスにおけるSK-Mel28ヒト黒色腫細胞モデルで研究されている。7.5×10個の黒色腫細胞を各マウスの皮下に移植する。接種後23日目に(すなわち、悪性新生物(malignoma)の指数増殖期の間)、mAb B1-23抗体を初めて投与する。mAb B1-23を注射した後(30mg/体重kg、i.p.)、mAb B1-23処置マウスにおいてはさらなる腫瘍の増殖は1週間観察されず、一方で陰性対照試料中の腫瘍は増殖を続ける。
この実施例は、本発明のmAb B1-23抗体が、ヒト細胞由来の腫瘍を有するマウスにおける腫瘍増殖を阻害することを実証する。
この例はヒト黒色腫細胞を使用しているため、本発明の抗ヒトGDF-15抗体は、ヒト患者における癌の増殖も阻害するはずである。癌の増殖の阻害は、患者が、投与前に血清中のGDF-15レベルが上昇している場合、または癌により形成された1または2以上の腫瘍が、同一患者の癌の原発部位組織である組織の非癌部から得た対照試料と比較して、より高いヒトGDF-15レベルを有する場合に、特に有効であるはずである。
本実施例では、免疫不全マウスを使用している。したがって、本発明の抗体は、無傷の免疫系とは独立した方法で、癌の増殖を阻害することができると結論される。
さらに、上記の例2において、本発明の抗ヒトGDF-15抗体は、NKG2DのGDF-15媒介性下方制御を防止することができ、NK細胞およびCD8+Tによる癌細胞の死滅を誘導することができるはずであることが示された。したがって、抗ヒトGDF-15抗体による癌増殖阻害は、免疫不全マウスにおけるよりも患者においてより強力であることが予想され、その理由は、患者が、本例で用いたマウスの免疫不全を有しないからである。
代替の実験的研究の設定において、以下のin vivo試験を行った。
in vivoでのB1-23の抗腫瘍効果を評価するために、Balb/cnu/nuヌードマウスを、黒色腫細胞株UACC-257の異種移植片の設定で使用した。マウスは、抗体B1-23またはPBSのいずれかで処置した。各処置コホートには、10匹のBalb/cnu/nuヌードマウスが含まれていた。
注射前に、UACC-257黒色腫細胞は、全ての汚染を除去した完全培地中で増殖させた。細胞は、細胞培養フラスコ中で70〜80%のコンフルエンスに到達したときに回収した。次いで細胞をPBSで洗浄し、計測した。1×10の生存細胞をPBSに懸濁させた。
最初の注射/処置は、6週齢のBalb/cnu/nuヌードマウスに投与した。マウスの接種領域をエタノールで清浄にした。UACC 257細胞を混合し、腫瘍細胞上の負圧を回避するために、針なしで注射器に引き入れた。PBS中の1×10個の細胞を含む細胞懸濁液を、マウスの下脇腹に皮下(s.c.)注射した。
B1-23(25mg/体重kg)または同量のPBSのいずれかの腹腔内(i.p.)注射は、腫瘍細胞接種の直後(1日目とする)に開始し、週2回投与した。腫瘍は48日間増殖させた。腫瘍の直径をノギスで測定し、mmでの腫瘍体積は、以下の式によって算出した。
体積=(幅)×長さ/2
試験から得られた結果を図4に示す。
図に示すように、B1-23で処置した動物コホートの腫瘍サイズは、PBS対照群と比較して、有意に減少した。
例5:mAb B1-23はヒトGDF-15の立体構造エピトープまたは不連続エピトープを認識する
エピトープマッピング:GDF-15由来の13量体直鎖ペプチドに対する、モノクローナルマウス抗体GDF-15
抗原:GDF-15:
GSGSGSGMPGQELRTVNGSQMLLVLLVLSWLPHGGALSLAEASRASFPGPSELHSEDSRFRELRKRYEDLLTRLRANQSWEDSNTDLVPAPAVRILTPEVRLGSGGHLHLRISRAALPEGLPEASRLHRALFRLSPTASRSWDVTRPLRRQLSLARPQAPALHLRLSPPPSQSDQLLAESSSARPQLELHLRPQAARGRRRARARNGDHCPLGPGRCCRLHTVRASLEDLGWADWVLSPREVQVTMCIGACPSQFRAANMHAQIKTSLHRLKPDTVPAPCCVPASYNPMVLIQKTDTGVSLQTYDDLLAKDCHCIGSGSGSG(リンカー付き322アミノ酸)(配列番号10)
タンパク質配列は、1つのアミノ酸のシフトを有する13量体ペプチドに翻訳された。C末端およびN末端をニュートラルGSGSリンカーにより伸長して、切り詰められたペプチドを回避した(太字)。
対照ペプチド:
Flag:DYKDDDDKGG(配列番号13)、78スポット;HA:YPYDVPDYAG(配列番号14)、78スポット(各アレイコピー)
ペプチドチップ識別子:
000264_01(10/90、Ala2Aspリンカ−)
染色条件:
標準緩衝液:PBS、pH7.4+0.05%Tween 20
ブロッキング緩衝液:Rocklandブロッキング緩衝液MB-070
インキュベーション緩衝液:標準緩衝液と10%のRocklandブロッキング緩衝液MB-070
一次試料:モノクローナルマウス抗体GDF-15(1μg/μl):1:100の希釈で、500rpmでわずかに振盪しつつ、インキュベーション緩衝液中4℃で16時間染色
二次抗体:ヤギ抗マウスIgG(H+L)IRDye680、1:5000の希釈で、インキュベーション緩衝液中室温(RT)で30分間染色
対照抗体:モノクローナル抗HA(12CA5)-LL-Atto 680(1:1000)、モノクローナル抗FLAG(M2)-FluoProbes752(1:1000);インキュベーション緩衝液中RTで1時間染色。
スキャナー:
Odyssey Imaging System, LI-COR Biosciences
セッティング:オフセット:1mm;解像度:21μm。赤/緑の強度:7/7
結果:
30分間の標準的な緩衝液および30分間のブロッキング緩衝液における予備膨潤の後、10、12、および15量体B7H3由来の直鎖ペプチドを有するペプチドアレイを、1:5000希釈の二次ヤギ抗マウスIgG(H + L)IRDye680抗体と共に室温で1時間インキュベートして、二次抗体のバックグラウンドの相互作用を分析した。PEPperCHIP(登録商標)は、標準緩衝液で2×1分間洗浄し、蒸留水ですすぎ、空気流中で乾燥させた。Odyssey Imaging Systemを用いて21μmの解像度および7/7の緑/赤の強度でリードアウトを行った:frequent binderとして知られている、アルギニンリッチペプチド(ELHLRPQAARGRR(配列番号15)、LHLRPQAARGRRR(配列番号16)、HLRPQAARGRRRA(配列番号17)、LRPQAARGRRRAR(配列番号18)、RPQAARGRRRARA(配列番号19)、PQAARGRRRARAR(配列番号20)およびQAARGRRRARARN(配列番号21))と、塩基性ペプチドMHAQIKTSLHRLK(配列番号22)との、荷電抗体染料とのイオン相互作用による、弱い相互作用が観察された。
標準的な緩衝液中での10分間の予備膨潤後、ペプチドマイクロアレイを、1:100希釈のモノクローナルマウス抗体GDF-15で、4℃で一晩インキュベートした。次に標準緩衝液(2×1分)で繰り返し洗浄し、続いて1:5000希釈の二次抗体と共に室温で30分間インキュベートした。標準緩衝液での2×10秒間の洗浄と蒸留水での短時間のすすぎの後、PEPperCHIP(登録商標)を空気流中で乾燥させた。リードアウトは、Odyssey Imaging Systemを用いて21μmの解像度および7/7の緑/赤の強度で、対照ペプチドの抗HAおよび抗FLAG(M2)抗体による染色の前後に行った。
GDF-15由来の直線状の13量体ペプチドのいずれもが、過剰制御された強度であっても、モノクローナルマウス抗体GDF-15と相互作用しないことが示された。しかしアレイをフレームするFlagおよびHA対照ペプチドの染色は、良好かつ均一なスポット強度を生じさせた。
概要:
GDF-15に対するモノクローナルマウスGDF-15抗体のエピトープマッピングにより、抗原由来の13量体ペプチドを持ついかなる線形エピトープも明らかにならなかった。この所見によれば、モノクローナルマウス抗体GDF-15は、部分的エピトープの低親和性立体構造エピトープまたは不連続エピトープを認識する可能性が、非常に高い。二次抗体のみによる、背景染色を超える任意のGDF-15シグナルの明らかな欠如のため、PepSlide(登録商標)アナライザによるスポット強度の定量化およびその後のペプチド注釈(annotation)は省略した。
例6:質量分析エピトープ切除およびエピトープ抽出によるペプチドリガンドエピトープの構造同定
抗体B1-23に結合する組換えヒトGDF-15のエピトープを、エピトープ切除法およびエピトープ抽出法によって同定した(Suckau et al. Proc Natl Acad Sci U S A. 1990 December; 87(24): 9848-9852.; R.Stefanescu et al., Eur.J.Mass Spectrom. 13, 69-75 (2007))。
抗体カラムの調製のために、抗体B1-23を、セファロースに結合したNHS活性化6−アミノヘキサン酸に添加した。セファロース結合抗体B1-23を次に0.8mlのマイクロカラムに装填し、ブロッキング緩衝液および洗浄緩衝液で洗浄した。
エピトープ抽出実験:
組換えヒトGDF-15を、トリプシンで、37℃で2時間消化し(溶液中)、タンパク質中のトリプシン切断部位に応じて、異なるペプチドを得た。完全消化した後、ペプチドを、固定化抗体B1-23を含むアフィニティカラムにロードした。GDF-15の未結合ペプチドおよび潜在的に結合したペプチドを、質量分析のために使用した。質量分析法によるペプチドの同定は不可能であった。これは、免疫複合体B1-23におけるGDF-15の結合領域が不連続または立体構造エピトープを含むことを、さらに指示した。連続した線形エピトープの場合、消化されたペプチドは、エピトープペプチドにトリプシン切断部位が存在する場合を除いて、その相互作用パートナーに結合するはずである。不連続または立体構造エピトープは、以下に記載のエピトープ切除法により確認することができた。
エピトープ切除実験:
アフィニティカラム上の固定化抗体B1-23は、その後、組換えGDF-15で2時間インキュベートした。アフィニティカラム上で形成された免疫複合体を次に、トリプシンを用いて37℃で2時間インキュベートした。切断により、組換えGDF-15由来の異なるペプチドがもたらされた。固定化抗体自体は、タンパク質分解的に安定である。抗体によって遮蔽され、したがってタンパク質分解的切断から保護された、消化されたGDF-15タンパク質から得られたペプチドを、酸性条件下(TFA、pH2)で溶出し、回収し、質量分析により同定した。
MS/MS同定を用いたエピトープ切除法により、以下のペプチドが得られた:
抗体B1-23に結合するヒトGDF-15の一部は、不連続または立体構造エピトープを含む。質量分析法は、免疫複合体の形成に関与している、GDF-15タンパク質における2つのペプチドを同定した。これらのペプチドは、GDF-15アミノ酸配列の位置40−55(EVQVTMCIGACPSQFR)および94−114(TDTGVSLQTYDDLLAKDCHCI)に限定されている。このように、これらの2つのペプチドは、抗体B1-23に結合するGDF-15タンパク質のエピトープを含む。
G)産業上の利用可能性
本発明による抗体、その抗原結合部分、医薬組成物およびキットは、医薬品の製造のための既知の基準に従い、特許請求された方法および使用のための(例えば、癌を処置するための)製品として、産業的に製造し販売することができる。したがって本発明は、産業的に利用可能である。
参考文献
好ましい態様
1.ヒトGDF-15に結合可能なモノクローナル抗体またはその抗原結合部分であって、重鎖可変ドメインが、配列番号5のアミノ酸配列またはこれと少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含むCDR3領域を含み、軽鎖可変ドメインが、配列番号7のアミノ酸配列またはこれと少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むCDR3領域を含む、前記モノクローナル抗体またはその抗原結合部分。
2.重鎖可変ドメインが配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR3領域を含むか、または軽鎖可変ドメインが配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR3領域を含む、項目1に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合部分。
3.重鎖可変ドメインが配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR3領域を含み、および軽鎖可変ドメインが配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR3領域を含む、項目1または2に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合部分。
4.重鎖可変ドメインが、FR1、CDR1、FR2、CDR2およびFR3領域を含みかつ配列番号1のアミノ酸配列またはこれと95%同一の配列を含む、領域を含み、および軽鎖可変ドメインが、FR1、CDR1、FR2、CDR2およびFR3領域を含みかつ配列番号2のアミノ酸配列またはこれと95%同一の配列を含む、領域を含む、項目1〜3のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合部分。
5.重鎖可変ドメインが、FR1、CDR1、FR2、CDR2およびFR3領域を含みかつ配列番号1のアミノ酸配列またはこれと98%同一の配列を含む、領域を含み、および軽鎖可変ドメインが、FR1、CDR1、FR2、CDR2およびFR3領域を含みかつ配列番号2のアミノ酸配列またはこれと98%同一の配列を含む、領域を含む、項目1〜4のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合部分。
6.抗体またはその抗原結合部分が、20nM以下、好ましくは10nM未満、より好ましくは5nM未満、および最も好ましくは0.1nM〜2nMの間の、ヒトGDF-15に対する平衡解離定数を有する、項目1〜5のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合部分。
7.抗体またはその抗原結合部分が、ドイツ微生物細胞培養コレクション(DMSZ)に寄託番号DSM ACC3142として寄託された細胞株B1-23から得られるヒトGDF-15に対する抗体と同一のヒトGDF-15エピトープに結合する、項目1〜6のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合部分。
8.抗体が、ドイツ微生物細胞培養コレクション(DMSZ)に寄託番号DSM ACC3142として寄託された細胞株B1-23から得られるヒトGDF-15に対する抗体またはその抗原結合部分である、項目1〜7のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合部分。
9.抗体が、哺乳動物、好ましくはヒト患者における癌の増殖を阻害することができる、項目1〜8のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合部分。
10.ヒトGDF-15が、配列番号8で表されるアミノ酸配列を有する組換えヒトGDF-15である、項目1〜9のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合部分。
11.結合が、ヒトGDF-15上の立体構造エピトープまたは不連続エピトープへの結合である、項目1〜10のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合部分。
12.ヒトGDF-15上の立体構造エピトープまたは不連続エピトープへの結合が、配列番号25および配列番号26のアミノ酸配列で構成される立体構造エピトープまたは不連続エピトープへの結合である、項目11に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合部分。
13.ヒトGDF-15に結合可能なモノクローナル抗体またはその抗原結合部分であって、結合が、配列番号25および配列番号26のアミノ酸配列で構成される、ヒトGDF-15上の立体構造エピトープまたは不連続エピトープへの結合である、前記モノクローナル抗体またはその抗原結合部分。
14.抗体またはその抗原結合部分が、項目1〜10のいずれか一項に定義された抗体またはその抗原結合部分である、項目13に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合部分。
15.項目1〜14のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合部分を含む、医薬組成物。
16.哺乳動物における癌を処置する方法での使用のための、項目1〜14のいずれか一項に記載の抗体もしくはその抗原結合部分、または項目15に記載の医薬組成物であって、方法が、前記哺乳動物に対して、前記抗体もしくはその抗原結合部分または医薬組成物を投与することを含む、前記抗体もしくはその抗原結合部分または医薬組成物。
17.哺乳動物がヒト患者である、項目16に記載の使用のための、項目16に記載の抗体もしくはその抗原結合部分または医薬組成物。
18.ヒト患者が、投与前に血清中の上昇したGDF-15レベルを有する、項目17に記載の使用のための、項目17に記載の抗体もしくはその抗原結合部分または医薬組成物。
19.抗体またはその抗原結合部分が、
A)方法で使用される、癌に対して薬学的に活性な唯一の成分であるか、または
B)癌に対して薬学的に活性な1種または2種以上のさらなる成分と組み合わせて使用される、
項目16〜18のいずれか一項に記載の使用のための、項目16〜18のいずれか一項に記載の抗体もしくはその抗原結合部分または医薬組成物。
20.癌が、神経膠腫を含む脳の癌、神経系の癌、黒色腫、肺癌、口唇および口腔癌、肝癌、白血病、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、膀胱癌、子宮頸癌、子宮体癌、精巣癌、甲状腺癌、腎臓癌、胆嚢癌、多発性骨髄腫、鼻咽頭癌、喉頭癌(larynx cancer)、咽頭癌(pharynx cancer)、食道癌、胃癌および結腸直腸癌を含む消化管の腫瘍、膵臓癌、前立腺癌、卵巣癌および乳癌からなる群から、好ましくは、黒色腫、前立腺癌、乳癌、神経膠腫を含む脳の癌、結腸直腸癌、胃癌、食道癌、および卵巣癌からなる群から選択され、および最も好ましくは黒色腫である、項目16〜19のいずれか一項に記載の使用のための、項目16〜19のいずれか一項に記載の抗体もしくはその抗原結合部分または医薬組成物。
21.癌によって形成された1または2以上の腫瘍が、同一患者の癌の原発部位組織である組織の非癌部から得た対照試料と比較して、投与の前により高いヒトGDF-15レベルを有し、好ましくは1.2倍高いレベル、より好ましくは1.5倍高いレベル、さらにより好ましくは2倍高いレベル、および最も好ましくは5倍高いレベルを有する、項目17〜20のいずれか一項に記載の使用のための、項目17〜20のいずれか一項に記載の抗体もしくはその抗原結合部分または医薬組成物。
22.方法が、癌の増殖を阻害することを含む、項目16〜21のいずれか一項に記載の使用のための、項目16〜21のいずれか一項に記載の抗体もしくはその抗原結合部分または医薬組成物。
23.方法が、ヒト患者における、NK細胞およびCD8+T細胞による癌細胞の死滅の誘導を含む、項目17〜22のいずれか一項に記載の使用のための、項目17〜22のいずれか一項に記載の抗体もしくはその抗原結合部分または医薬組成物。
24.項目15に記載の医薬組成物を含む、キット。
25.項目16〜23のいずれか一項に記載の使用のための、項目24のキット。
26.項目1〜14のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合部分をコードするヌクレオチド配列を含む、発現ベクター。
27.項目1〜14のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合部分を産生することができる、細胞株。
28.細胞株が、ドイツ微生物細胞培養コレクション(DMSZ)に寄託番号DSM ACC3142として寄託された細胞株B1-23である、項目27に記載の細胞株。
29.細胞株が、項目26に記載の発現ベクターを含む、項目27に記載の細胞株。

Claims (18)

  1. ヒトGDF-15に結合可能なモノクローナル抗体またはその抗原結合部分であって、
    重鎖可変ドメインが、配列番号5のアミノ酸配列またはこれと少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含むCDR3領域を含み、
    軽鎖可変ドメインが、配列番号7のアミノ酸配列またはこれと少なくとも85%同一のアミノ酸配列を含むCDR3領域を含む、
    前記モノクローナル抗体またはその抗原結合部分。
  2. 抗体が、ドイツ微生物細胞培養コレクション(DMSZ)に寄託番号DSM ACC3142として寄託された細胞株B1-23から得られるヒトGDF-15に対する抗体、またはその抗原結合部分である、請求項1に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合部分。
  3. 抗体が、哺乳動物、好ましくはヒト患者における癌の増殖を阻害することができる、請求項1または2に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合部分。
  4. ヒトGDF-15が、配列番号8で表されるアミノ酸配列を有する組換えヒトGDF-15である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合部分。
  5. 結合が、ヒトGDF-15上の立体構造エピトープまたは不連続エピトープへの結合である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合部分。
  6. ヒトGDF-15上の立体構造エピトープまたは不連続エピトープへの結合が、配列番号25および配列番号26のアミノ酸配列で構成される立体構造エピトープまたは不連続エピトープへの結合である、請求項5に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合部分。
  7. ヒトGDF-15に結合可能なモノクローナル抗体またはその抗原結合部分であって、
    結合が、配列番号25および配列番号26のアミノ酸配列で構成される、ヒトGDF-15上の立体構造エピトープまたは不連続エピトープへの結合である、
    前記モノクローナル抗体またはその抗原結合部分。
  8. 抗体またはその抗原結合部分が、請求項1〜4のいずれか一項に定義された抗体またはその抗原結合部分である、請求項7に記載のモノクローナル抗体またはその抗原結合部分。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合部分を含む、医薬組成物。
  10. 哺乳動物における癌を処置する方法での使用のための、請求項1〜8のいずれか一項に記載の抗体もしくはその抗原結合部分、または請求項9に記載の医薬組成物であって、
    方法が、前記哺乳動物に対して、前記抗体もしくはその抗原結合部分または医薬組成物を投与することを含む、
    前記抗体もしくはその抗原結合部分または医薬組成物。
  11. 哺乳動物がヒト患者である、請求項10に記載の使用のための、請求項10に記載の抗体もしくはその抗原結合部分または医薬組成物。
  12. 方法が、癌の増殖を阻害することを含む、請求項10または11に記載の使用のための、請求項10または11に記載の抗体もしくはその抗原結合部分または医薬組成物。
  13. 方法が、ヒト患者における、NK細胞およびCD8+T細胞による癌細胞の死滅の誘導を含む、請求項11または12に記載の使用のための、請求項11または12に記載の抗体もしくはその抗原結合部分または医薬組成物。
  14. 請求項9に記載の医薬組成物を含む、キット。
  15. 請求項10〜13のいずれか一項に記載の使用のための、請求項14のキット。
  16. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合部分をコードするヌクレオチド配列を含む、発現ベクター。
  17. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合部分を産生することができる、細胞株。
  18. 細胞株が、ドイツ微生物細胞培養コレクション(DMSZ)に寄託番号DSM ACC3142として寄託された細胞株B1-23である、請求項17に記載の細胞株。
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