JP2018018803A - 鉛蓄電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】放電性能に優れた鉛蓄電池を提供する。【解決手段】負極板と、正極板と、負極板と正極板との間に介在するセパレータと、電解液と、を備え、負極板は、負極集電体と、負極電極材料と、を備え、負極電極材料は、有機防縮剤を含み、正極板とセパレータとの間に、不織布マットが介在しており、負極電極材料の空隙比率が、0.22cm3/g以上、0.27cm3/g以下である、鉛蓄電池。【選択図】図1

Description

本発明は、鉛蓄電池に関する。
鉛蓄電池は、車載用、産業用の他、様々な用途で使用されている。鉛蓄電池は、正極板と、負極板と、正極板および負極板の間に介在するセパレータと、硫酸を含む電解液とを含む。負極板は、負極集電体と負極電極材料とを備え、正極板は、正極集電体と正極電極材料とを備える。
負極電極材料は、酸化還元反応により容量を発現する活物質(海綿状鉛もしくは硫酸鉛)を含んでいる。負極板では、充電時に、硫酸鉛の還元反応が進行するが、硫酸鉛は海綿状鉛に還元されにくい。そのため、硫酸鉛の結晶が次第に成長するサルフェーションが進行する。また、充電時には、極板周辺の電解液の硫酸濃度が高くなり、部分的に高濃度になった硫酸溶液が電池下部に沈降する傾向がある。これらの現象は、鉛蓄電池の放電性能や寿命性能を低下させるため、以下のように様々な対策が検討されている。
特許文献1は、有機防縮剤として、ビスフェノール類縮合物を負極電極材料に含有させることを教示している。
特許文献2は、負極活物質の多孔度を0.22mL/g以上、0.4mL/g以下にすることを提案している。
特許文献3は、負極板にガラスなどの材料の繊維で構成された不織布を当接させることを提案している。
特許文献4は、密閉型鉛蓄電池において、耐酸性の無機粉体とガラス繊維を主体とする多孔質の電解液保持体の最大孔径を30μm未満とするか、比表面積を5〜80m2/gとすることを提案している。電解液保持体の希硫酸に対する接触角は30〜70度である。
国際公開第2015/181865号パンフレット 特開2014−123525号公報 国際公開第2012/157311号パンフレット 特開平3−122966号公報
上記のように様々な改良技術が試みられているが、鉛蓄電池の放電性能の更なる改良は次第に困難になりつつある。
本発明の一側面は、負極板と、正極板と、前記負極板と前記正極板との間に介在するセパレータと、電解液と、を備え、前記負極板は、負極集電体と、負極電極材料と、を備え、前記負極電極材料は、有機防縮剤を含み、前記正極板と前記セパレータとの間に、不織布マットが介在しており、前記負極電極材料の空隙比率が、0.22cm3/g以上、0.27cm3/g以下である、鉛蓄電池に関する。
本発明によれば、鉛蓄電池の放電性能が向上し、低率放電容量を増加させることができる。
本発明の一実施形態に係る鉛蓄電池の外観と内部構造を示す、一部を切り欠いた分解斜視図である。 有機防縮剤中の硫黄元素の含有量と、正極電極材料の脱落量と、の関係を示す図である。 有機防縮剤中の硫黄元素の含有量と、負極板下部における硫酸鉛蓄積量と、の関係を示す図である。 不織布マットの有無と、5時間率放電持続時間(0.2CA放電持続時間)と、の関係を示す図である。 負極電極材料の空隙比率と、5時間率放電持続時間(0.2CA放電持続時間)と、の関係を示す図である。 不織布マットの有無と、負極電極材料の空隙比率と、5時間率放電持続時間(0.2CA放電持続時間)と、の関係を示す図である。 不織布マットに対する電解液の接触角を変化させたときの、有機防縮剤中の硫黄元素の含有量と、5時間率放電持続時間(0.2CA放電持続時間)と、の関係を示す図である。
本発明の一側面に係る鉛蓄電池は、負極板と、正極板と、負極板と正極板との間に介在するセパレータと、電解液とを備える。負極板は、負極集電体と、負極電極材料とを備え、負極電極材料は、有機防縮剤を含み、負極電極材料の空隙比率は、0.22cm3/g以上、0.27cm3/g以下である。また、正極板とセパレータとの間には、不織布マットが介在している。不織布マットは、正極板と一体化されず、かつ正極板に当接された状態で配置されていることが好ましい。
本発明の実施形態としては、制御弁式(密閉式)鉛蓄電池よりも、液式(ベント式)鉛蓄電池が適している。
正極板とセパレータとの間に不織布マットを介在させるとともに、負極電極材料の空隙比率を0.22cm3/g以上、0.27cm3/g以下にすることで、鉛蓄電池の低率放電性能が向上する。中でも、有機防縮剤中の硫黄元素の含有量が4000〜8000μmol/g(より好ましくは6000〜8000μmol/g)の場合、放電性能が顕著に向上する。空隙比率が0.22〜0.27cm3/gの負極電極材料は、電解液との接触面積が大きく、利用率が高くなることに加え、有機防縮剤の作用により、負極電極材料の比抵抗が低くなっているものと考えられる。また、正極板とセパレータとの間に不織布マットが存在することで、極板の周囲の硫酸イオンの拡散が均一になり、放電が極板の上下を問わず均一に起こりやすくなり、活物質の利用率が向上するものと考えられる。
なお、有機防縮剤中の硫黄元素の含有量がXμmol/gであるとは、有機防縮剤の1g当たりに含まれる硫黄元素の含有量がXμmolであることをいう。
負極電極材料の空隙比率が0.22cm3/g以上、0.27cm3/g以下のとき、負極電極材料の密度は、概ね3.2g/cm3〜2.5g/cm3程度(すなわち低密度)である。このとき、体積基準の細孔径分布の中央値は、例えば0.1μm〜10μmであることが好ましい。
一般に、有機防縮剤は、鉛蓄電池の低温での高率放電性能の向上、負極板の充電受入性能の向上などが期待できる。しかし、負極板に添加された有機防縮剤の一部は、電解液に溶出して、正極電極材料を軟化させる傾向があることが判明しつつある。正極電極材料が軟化すると、正極板の耐久性が低下し、正極集電体から正極電極材料が脱落しやすくなる。そして、正極電極材料の脱落は、有機防縮剤中の硫黄元素の含有量が大きいほど生じやすい傾向がある。
正極板とセパレータとの間に介在する不織布マットは、正極板と一体化されず、かつ正極板に当接された状態で配置されていることが好ましい。これにより、不織布マットは、正極電極材料の脱落を顕著に抑制する作用も有すると考えられる。例えば、有機防縮剤中の硫黄元素の含有量が4000〜8000μmol/gの場合でも、有機防縮剤中の硫黄元素の含有量が600μmol/g程度で不織布マットを用いない場合と同等レベルにまで、正極電極材料の脱落を抑制することができる。正極板とセパレータとの間に不織布マットを介在させる場合、ガスが発生しても、正極電極材料とガスとの接触が物理的に抑制される。よって、正極電極材料がガス発生の影響を受けにくくなり、脱落しにくくなるものと考えられる。また、不織布マットは、硫酸イオンの沈降を抑制し、電解液の成層化を抑制する作用も有すると考えられる。
有機防縮剤は、硫黄元素を含む有機高分子であり、一般に、分子内に1つ以上、好ましくは複数の芳香環を含むとともに、硫黄含有基として硫黄元素を含んでいる。硫黄含有基の中では、安定形態であるスルホン酸基もしくはスルホニル基が好ましい。スルホン酸基は、酸型で存在してもよく、Na塩のように塩型で存在してもよい。
有機防縮剤の具体例としては、硫黄含有基を有するとともに1つ以上、好ましくは2つ以上の芳香環を有する化合物のホルムアルデヒドによる縮合物が好ましい。2つ以上の芳香環を有する化合物としては、ビスフェノール類、ビフェニル類、ナフタレン類などを用いることが好ましい。ビスフェノール類、ビフェニル類およびナフタレン類とは、それぞれビスフェノール骨格、ビフェニル骨格およびナフタレン骨格を有する化合物の総称であり、それぞれが置換基を有してもよい。これらは、有機防縮剤中に単独で含まれてもよく、複数種が含まれてもよい。ビスフェノールとしては、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールFなどが好ましい。中でも、ビスフェノールSは、ビスフェノール骨格内にスルホニル基(−SO2−)を有するため、硫黄元素の含有量を大きくすることが容易である。
ビスフェノール類の縮合物は、常温より高い温度環境を経験しても、低温での性能が損なわれないので、常温より高い温度環境におかれる鉛蓄電池(自動車用の液式の鉛蓄電池など)に適している。ナフタレンスルホン酸の縮合物は、ビスフェノール類の縮合物に比べ、分極が小さくなりにくいので、減液特性が重要な鉛蓄電池に適している。
硫黄含有基は、ビスフェノール類、ビフェニル類、ナフタレン類などの芳香環に直接結合していてもよく、例えば硫黄含有基を有するアルキル鎖として芳香環に結合していてもよい。また、アミノベンゼンスルホン酸もしくはアルキルアミノベンゼンスルホン酸のような単環式の化合物を、2つ以上の芳香環を有する化合物とともにホルムアルデヒドで縮合させてもよい。
N,N'−(スルホニルジ−4,1−フェニレン)ビス(1,2,3,4−テトラヒドロ−6−メチル−2,4−ジオキソピリミジン−5−スルホンアミド)の縮合物などを有機防縮剤として用いてもよい。
負極電極材料中に含まれる有機防縮剤の含有量は、一般的な範囲であれば、有機防縮剤の作用を大きく左右するものではない。負極電極材料中に含まれる有機防縮剤の含有量は、例えば0.01質量%以上が好ましく、0.02質量%以上がより好ましく、0.05質量%以上が更に好ましく、一方、1.0質量%以下が好ましく、0.8質量%以下がより好ましく、0.3質量%以下が更に好ましい。ここで、負極電極材料中に含まれる有機防縮剤の含有量とは、既化成の満充電状態の鉛蓄電池から、後述の方法で採取した負極電極材料における含有量である。
負極電極材料の比抵抗を減少させ、電極材料の利用率を高め、低率放電容量を向上させる観点からは、有機防縮剤中の硫黄元素の含有量は、2000μmol/g以上が好ましく、3000μmol/g以上がより好ましく、4000μmol/g以上が更に好ましく、6000μmol/g以上が特に好ましい。
有機防縮剤中の硫黄元素の含有量を過度に大きくすることは困難である。有機防縮剤中の硫黄元素の含有量は、10000μmol/g以下であればよく、9000μmol/g以下がより好ましく、8000μmol/g以下が更に好ましい。
以下、本発明の実施形態に係る鉛蓄電池について、主要な構成要件ごとに説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
(負極板)
鉛蓄電池の負極板は、負極集電体と、負極電極材料とを具備する。負極電極材料は、負極集電体に保持されている。負極集電体は、鉛(Pb)または鉛合金の鋳造により形成してもよく、鉛または鉛合金シートを加工して形成してもよい。加工方法としては、エキスパンド加工や打ち抜き(パンチング)が挙げられる。
負極集電体に用いられる鉛合金は、Pb−Sb系合金、Pb−Ca系合金、Pb−Ca−Sn系合金のいずれであってもよい。これらの鉛もしくは鉛合金は、更に、添加元素として、Ba、Ag、Al、Bi、As、Se、Cuなどからなる群より選択された少なくとも1種の元素を含んでもよい。負極集電体は、組成の異なる鉛合金層を有してもよく、鉛合金層は複数でもよい。
負極電極材料は、酸化還元反応により容量を発現する負極活物質(鉛もしくは硫酸鉛)と、既に述べた合成有機防縮剤とを所定の含有量で含む。負極電極材料は、更に、カーボンブラックのような炭素質材料、硫酸バリウムなどを含んでもよく、必要に応じて、他の添加剤を含んでもよい。
充電状態の負極活物質は、海綿状鉛であるが、未化成の負極板は、通常、負極活物質の原料となる鉛粉末を用いて作製される。
負極板は、負極集電体に、負極ペーストを充填し、熟成および乾燥することにより未化成の負極板を作製し、その後、未化成の負極板を化成することにより形成できる。負極ペーストは、鉛粉と有機防縮剤と各種添加剤に、水と硫酸を加えて混練することで調製する。このとき、室温より高温かつ高湿度で熟成させることが好ましい。
化成は、鉛蓄電池の電槽内の硫酸を含む電解液中に、未化成の負極板を含む極板群を浸漬させた状態で、極板群を充電することにより行うことができる。ただし、化成は、鉛蓄電池または極板群の組み立て前に行ってもよい。化成により、海綿状鉛が生成する。
(正極)
鉛蓄電池の正極板は、ペースト式、クラッド式などに分類できる。
ペースト式正極板は、一般に、正極集電体と、正極電極材料とを具備する。正極電極材料は、正極集電体に保持されている。正極集電体は、負極集電体と同様に形成すればよく、鉛または鉛合金の鋳造や、鉛または鉛合金シートの加工により形成することができる。
クラッド式正極は、複数の多孔質のチューブと、各チューブ内に挿入される芯金と、芯金が挿入されたチューブ内に充填される正極電極材料と、複数のチューブを連結する連座とを具備する。
正極集電体に用いる鉛合金としては、耐食性および機械的強度の点で、Pb−Ca系合金、Pb−Ca−Sn系などが好ましい。正極集電体は、組成の異なる鉛合金層を有してもよく、鉛合金層は複数でもよい。芯金には、Pb−Sb系合金を用いることが好ましい。
正極電極材料は、酸化還元反応により容量を発現する正極活物質(酸化鉛もしくは硫酸鉛)を含む。正極電極材料は、正極活物質に加え、必要に応じて、硫酸錫、鉛丹など添加剤を含んでもよい。
未化成のペースト式正極板は、負極板の場合に準じて、正極集電体に、正極ペーストを充填し、熟成および乾燥することにより得られる。正極ペーストは、鉛粉、添加剤、水、硫酸を混練することで調製される。その後、未化成の正極板を化成する。クラッド式正極板は、芯金が挿入された多孔質なチューブに鉛粉またはスラリー状の鉛粉を充填し、複数のチューブを連座で結合することにより形成される。
(電解液)
電解液は、硫酸を含む水溶液であり、必要に応じてゲル化させてもよい。ゲル化の程度は、特に限定されない。流動性を有するゾルからゲル状態の電解液を用いてもよく、流動性を有さないゲル状態の電解質を用いてもよい。満充電状態の鉛蓄電池における電解液の20℃における比重は、例えば1.10〜1.35g/cm3であり、1.20〜1.35g/cm3であることが好ましい。
(不織布マット)
不織布マットは、電解液に不溶な繊維材料を織らずに絡み合わせたシートである。繊維材料としては、ガラス繊維、ポリマー繊維、パルプ繊維などを用いることができる。ポリマー繊維の中では、ポリオレフィン繊維が好ましい。不織布マットは、繊維材料以外の成分を含んでもよく、例えば耐酸性の無機粉体、結着剤としてのポリマーなどを含んでもよい。無機粉体としては、シリカ粉末、ガラス粉末、珪藻土などを用いることができる。ただし、不織布マットの細孔内に豊富な電解液を均一に拡散させる観点から、繊維材料の含有量を5質量%以上、更には10質量%以上もしくは30質量%以上とすることが好ましい。
不織布マットを構成する繊維材料の平均繊維径は、例えば0.1μm〜25μmである。不織布マットを構成する無機粉体の平均粒子径は、例えば1μm〜100nmである。これらの平均値は、10本以上の繊維または10個以上の粒子を任意に選択し、選択された繊維の拡大写真から求めることができる。粒子の粒子径は、拡大写真で確認できる粒子の投影面積と同面積の相当円の直径である。
不織布マットに対する電解液の接触角θmは、0°〜40°が好ましく、30°未満がより好ましく、25°以下が更に好ましい。接触角θmを40°以下とすることで、不織布マットの細孔内への電解液の拡散性が向上し、寿命性能および低率放電性能を、より向上させやすくなる。中でも、有機防縮剤中の硫黄元素の含有量が4000〜8000μmol/g(より好ましくは6000〜8000μmol/g)の場合、接触角θmを0°〜40°とすることで、寿命性能および低率放電性能が顕著に向上する。
なお、接触角θmは、不織布マットの表面処理などにより制御することができる。例えば、不織布マットの表面を親水化処理することにより、接触角θmを40°以下に小さくすることができる。親水化処理としては、不織布マットの表面にコーティングを施したり、不織布マットの表面をプラズマ処理したりすることが挙げられる。
不織布マットの厚さは、鉛蓄電池のサイズ、正極板と負極板の厚さなどに応じて、適宜選択すればよいが、例えば0.1mm〜2mmの範囲から選択すればよい。
(セパレータ)
セパレータには、微多孔膜が用いられる。微多孔膜は、繊維材料以外を主体とするシートであり、例えば、ポリマー粉末、シリカ粉末およびオイルを含む組成物をシート状に押し出し成形した後、オイルを抽出して細孔を形成することにより得られる。セパレータを構成するポリマー成分は、耐酸性を有するものが好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンが好ましい。微多孔膜に微量の繊維材料を含ませてもよいが、繊維材料の含有量は20質量%以下とすることが好ましい。
セパレータの厚さは、鉛蓄電池のサイズ、正極板と負極板の厚さなどに応じて、適宜選択すればよいが、例えば厚さ0.4〜1.3mの範囲から選択すればよい。なお、セパレータが、表面に凹凸を有する場合には、凸部を有する部分の厚さが上記範囲内であればよい。例えば均一な厚さのベースとその主面から突出する複数のリブとを有するセパレータの場合、ベースとリブの総厚が上記範囲内であればよい。また、セパレータを2層以上積層して用いてもよく、2層以上のセパレータを接着して一体化させてもよい。
次に、各物性の分析方法について説明する。
(1)負極電極材料の空隙比率
化成後の電池を満充電してから解体し、入手した負極板に、負極板に水洗と乾燥とを施すことにより負極板中の電解液を除く。次いで負極板から負極電極材料を分離して、未粉砕の測定試料を入手する。真空ポンプを用いて測定試料の減圧脱気を行い、測定試料の質量を電子天秤で測定した後、20℃±0.1℃で安定させたイオン交換水および/または蒸留水に浸漬させる。浸漬前後の測定試料の質量の差と、水の真密度の値より、測定試料の内部の空隙に入り込んだ水の体積を求めることができる。得られた水の体積を、浸漬前の測定試料の質量で除することにより、負極電極材料の空隙比率を求める。
鉛蓄電池を満充電状態にする補充電条件は以下の通りである。
液式電池の場合、25℃、水槽中、0.2CAで2.5V/セルに達するまで定電流充電をおこなった後、さらに0.2CAで2時間、定電流充電を行う。
VRLA電池(制御弁式鉛蓄電池)の場合、25℃、気槽中、0.2CA、2.23V/セルの定電流定電圧充電を行い、定電圧充電時の充電電流が1mCA以下になった時点で充電を終了する。
この明細書における1CAは、電池の公称容量を1時間で放電する電流値であり、例えば公称容量が30Ahの電池であれば1CAは30Aであり、1mCAは30mAである。
なお、負極電極材料の密度は、化成後の負極電極材料のかさ密度の値を意味し、以下のようにして測定する。
化成後の電池を満充電してから解体し、入手した負極板に、水洗と乾燥とを施すことにより負極板中の電解液を除く。次いで、負極板から負極電極材料を分離して、未粉砕の測定試料を入手する。測定容器に試料を投入し、真空排気した後、0.5〜0.55psiaの圧力で水銀を満たして、負極電極材料のかさ容積を測定し、測定試料の質量をかさ容積で除すことにより、負極電極材料のかさ密度を求める。なお、測定容器の容積から、水銀の注入容積を差し引いた容積をかさ容積とする。
(2)不織布マットに対する電解液の接触角
上記と同様に、化成後に満充電した鉛蓄電池から不織布マットを取り出し、洗浄し、乾燥して、不織布マットの試料片を採取する。次に、採取した試料片の水平面に対し、標準的な電解液として20℃での比重1.28g/cm3の硫酸水溶液を2μL滴下し、形成された液滴の2秒後の画像を解析し、θ/2法により接触角を測定する。
(3)有機防縮剤の分析
まず、化成後に満充電した鉛蓄電池を分解し、負極板を取り出し、水洗により硫酸を除去し、乾燥する。次に、乾燥した負極板から負極電極材料(初期試料)を採取する。以下、初期試料を下記方法で分析する。
(3−1)負極電極材料中の有機防縮剤の定性
初期試料を1mol/LのNaOH水溶液に浸漬し、有機防縮剤を抽出する。次に、抽出された有機防縮剤を含むNaOH水溶液から不溶成分を濾過で取り除き、得られた濾液を脱塩した後、濃縮し、乾燥する。脱塩は、濾液を透析チューブに入れて蒸留水中に浸すことにより行えばよい。これにより有機防縮剤の粉末試料が得られる。
このようにして得た有機防縮剤の粉末試料を用いて測定した赤外分光スペクトル、さらに粉末試料を適当な溶媒で溶解し、紫外可視吸光度計で測定した紫外可視吸収スペクトルやNMRスペクトルなどから得た情報を組み合わせて用いて、有機防縮剤種を特定する。
(3−2)負極電極材料中における有機防縮剤の含有量の定量
上記(3−1)と同様に、有機防縮剤を含むNaOH水溶液の濾液を得た後、濾液の紫外可視吸収スペクトルを測定する。スペクトル強度と、予め作成した検量線とを用いて、負極電極材料中の有機防縮剤の含有量を定量することができる。
電池を入手して有機防縮剤の含有量を測定する際に、有機防縮剤の構造式の厳密な特定ができないために検量線に同一の有機防縮剤が使用できない場合には、当該電池の負極から抽出した有機防縮剤と、紫外可視吸収スペクトル、赤外分光スペクトル、およびNMRスペクトルなどが類似の形状を示す、別途入手可能な有機防縮剤を使用して検量線を作成することで、紫外可視吸収スペクトルを用いて有機防縮剤の含有量を測定する。
(3−3)有機防縮剤中の硫黄元素の含有量
上記(3−1)と同様に、有機防縮剤の粉末試料を得た後、酸素燃焼フラスコ法によって、0.1gの有機防縮剤中の硫黄元素を硫酸に変換する。このとき、吸着液を入れたフラスコ内で粉末試料を燃焼させることで、硫酸イオンが吸着液に溶け込んだ溶出液が得られる。次に、トリン(thorin)を指示薬として、溶出液を過塩素酸バリウムで滴定することにより、0.1gの有機防縮剤中の硫黄元素の含有量(C1)を求める。次に、C1を10倍して1g当たりの有機防縮剤中の硫黄元素の含有量(μmol/g)を算出する。
図1に、本発明の実施形態に係る鉛蓄電池の一例の外観を示す。
鉛蓄電池1は、極板群11と電解液(図示せず)とを収容する電槽12を具備する。電槽12内は、隔壁13により、複数のセル室14に仕切られている。各セル室14には、極板群11が1つずつ収納されている。電槽12の開口部は、負極端子16および正極端子17を具備する蓋15で密閉されている。蓋15には、セル室毎に液口栓18が設けられている。補水の際には、液口栓18を外して補水液が補給される。液口栓18は、セル室14内で発生したガスを電池外に排出する機能を有してもよい。
極板群11は、それぞれ複数枚の負極板2および正極板3を、セパレータ4sを介して積層することにより構成されている。正極板3は、一対の不織布マット4cで挟持されている。不織布マット4cは、正極板3の両面に貼り付けてある。ここでは、負極板2を収容する袋状セパレータ4を示すが、セパレータの形態は特に限定されない。電槽12の一方の端部に位置するセル室14では、複数の負極板2を並列接続する負極棚6が貫通接続体8に接続され、複数の正極板3を並列接続する正極棚5が正極柱7に接続されている。正極柱7は蓋15の外部の正極端子17に接続されている。電槽12の他方の端部に位置するセル室14では、負極棚6に負極柱9が接続され、正極棚5に貫通接続体8が接続される。負極柱9は蓋15の外部の負極端子16と接続されている。各々の貫通接続体8は、隔壁13に設けられた貫通孔を通過して、隣接するセル室14の極板群11同士を直列に接続している。
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
《実施例1》
(1)負極板の作製
原料の鉛粉と、硫酸バリウムと、カーボンブラックと、有機防縮剤とを、適量の硫酸水溶液と混合して、負極ペーストを得た。負極ペーストを、Pb−Ca−Sn合金製のエキスパンド格子の網目部に充填し、熟成乾燥し、未化成の負極板を得た。
有機防縮剤は、化成後に満充電した鉛蓄電池の負極電極材料における有機防縮剤の含有量が0.1質量%になるように、負極ペーストに配合した。また、化成後に満充電した鉛蓄電池の負極電極材料の空隙比率が0.22cm3/g(体積基準の細孔径分布の中央値2μm)になるように、負極ペーストに配合する水量や硫酸量を制御した。
有機防縮剤には、リグニンまたはスルホン酸基を導入したビスフェノール類のホルムアルデヒドによる縮合物を用いた。ここでは、有機防縮剤中の硫黄元素の含有量が2000〜8000μmol/gになるように、導入するスルホン酸基の量を制御した。また、リグニンの硫黄元素の含有量は600μmol/gであった。
(2)正極板の作製
原料の鉛粉を硫酸水溶液と混合して、正極ペーストを得た。正極ペーストを、Pb−Ca−Sn合金製のエキスパンド格子の網目部に充填し、熟成乾燥し、未化成の正極板を得た。
(3)不織布マット
不織布マットには、ガラス繊維(平均繊維径0.5μm)とシリカ粉末(平均粒子径5nm)とを混抄したシート(厚さ0.5mm)を用いた。不織布マットに対する電解液の接触角は、親水化処理により20°に制御した。
(4)セパレータ
セパレータには、ポリエチレン粉末、シリカ粉末およびオイルを含む組成物を複数のリブを有するシート状に押し出し成形した後、オイルを抽出して細孔を形成した微多孔膜(リブを有する部分の厚さ0.5mm)を用いた。ここでは、微多孔膜を2つ折にし、折り目と交わる2辺を溶着して、袋状セパレータを作製した。
(5)鉛蓄電池の作製
負極板を袋状セパレータに収容した。一方、正極板の両面に不織布マットを貼り付けた。負極板5枚と正極板4枚とで極板群を形成した。
極板群をポリプロピレン製の電槽に電解液とともに収容して、電槽内で化成を施した。こうして、有機防縮剤中の硫黄元素の含有量が異なる複数種の液式の自動車用鉛蓄電池を組み立てた。鉛蓄電池の出力は12Vで、定格5時間率容量は25Ahである。化成後の電解液の比重は1.28g/cm3であった。
《比較例1》
正極板の両面に不織布マットを貼り付けなかったこと以外、実施例1と同様に、有機防縮剤中の硫黄元素の含有量が異なる複数種の鉛蓄電池を組み立てた。
《比較例2》
負極板の両面に不織布マットを貼り付け、正極板の両面に不織布マットを貼り付けなかったこと以外、実施例1と同様に、有機防縮剤中の硫黄元素の含有量が異なる複数種の鉛蓄電池を組み立てた。
[評価1]
実施例1および比較例1〜2の鉛蓄電池について、以下の条件でIS寿命試験を行った。
<サイクル条件>
SBA S 0101:2006に規定されるアイドリングストップ(IS)寿命試験を行った。すなわち、満充電状態から45Aで59秒間放電後、更に300Aで1秒間放電した後、上限電流を100Aとして14Vで60秒間定電圧充電する充放電サイクルを繰り返した。また、3600サイクル毎に、40〜48時間放置して鉛蓄電池を休止させた。300A放電で1秒後の電圧が7.20V未満となった時点で試験を終了した。
以下のように、200サイクル時点での正極電極材料の脱落量を測定した。まず、化成後に満充電した鉛蓄電池を分解し、正極板を取り出し、水洗により硫酸を除去し、乾燥し、正極板の質量Aを測定した。一方、IS寿命試験の200サイクル後の鉛蓄電池から正極板を取り出し、その質量Bを同様に求めた。AとBとの差から正極電極材料(活物質)の脱落量を下記式より算出した。200サイクル時点での正極電極材料の脱落量が多いほど、正極電極材料の軟化が進行し、正極板が劣化しているといえる。
正極電極材料の脱落量(%)={(A−B)/A}×100
また、IS寿命試験の200サイクル後の鉛蓄電池から負極板を取り出し、負極板下部から負極電極材料を採取し、硫酸鉛蓄積量を測定した。まず、採取した負極電極材料を水洗し、乾燥後、粉砕した。次に、硫黄元素分析装置(例えばLECO社製、S―200型)を用いて、粉砕された負極電極材料(粉砕試料)中の硫黄元素の含有量を測定した。次に、下記式に従い、負極電極材料中に蓄積された硫酸鉛中の硫黄元素の含有量を求めた。
硫酸鉛中の硫黄元素の含有量
=(硫黄元素分析装置で得られた硫黄元素の含有量)−(粉砕試料の質量(g)×有機防縮剤の含有量(g/g)×有機防縮剤中の硫黄元素の含有量(g/g))
次に、硫酸鉛中の硫黄元素の含有量を、硫酸鉛量に換算し、粉砕試料の単位質量あたりの硫酸鉛濃度(質量%)を求めて、硫酸鉛蓄積量とした。硫酸鉛蓄積量が多いほど、サルフェーションや電解液の成層化が進行しているといえる。
実施例1および比較例1〜2に関し、有機防縮剤中の硫黄元素の含有量と、正極板からの正極電極材料の脱落量との関係を表1および図2に示す。また、有機防縮剤中の硫黄元素の含有量と、負極板下部における硫酸鉛蓄積量との関係を表2および図3に示す。
図2は、有機防縮剤中の硫黄元素の含有量が大きいほど、正極電極材料の脱落量が多くなることを示している。ただし、正極板の両面に不織布マットを貼り付けた実施例1では、正極板の劣化が顕著に抑制されている。
図3は、有機防縮剤中の硫黄元素の含有量が大きいほど、硫酸鉛蓄積量が少なくなることを示している。このことは、硫黄元素の含有量が大きいほど、電解液の成層化が抑制されることを示唆している。
《実施例2》
化成後に満充電した鉛蓄電池の負極電極材料の空隙比率を0.14cm3/g〜0.30cm3/gの範囲で変化させたこと以外、実施例1と同様に、有機防縮剤中の硫黄元素の含有量が異なる複数種の鉛蓄電池を組み立てた。不織布マットに対する電解液の接触角は20°に統一した。
《比較例3》
化成後に満充電した鉛蓄電池の負極電極材料の空隙比率を0.24cm3/gとしたこと以外、比較例1と同様に、有機防縮剤中の硫黄元素の含有量が異なる複数種の鉛蓄電池を組み立てた。
《比較例4》
化成後に満充電した鉛蓄電池の負極電極材料の空隙比率を0.24cm3/gとしたこと以外、比較例2と同様に、有機防縮剤中の硫黄元素の含有量が異なる複数種の鉛蓄電池を組み立てた。
[評価2]
実施例2および比較例3〜4で作製した鉛蓄電池に関し、以下の条件で5時間率(0.2CA)放電持続時間を測定した。
JIS D5301(SBA S 0101:2006)に規定される5時間率容量試験を行った。すなわち、中央のセル室の電解液温度が25 ℃±2 ℃であることを確認した上で、端子電圧が10.50V±0.05Vに低下するまで、5時間率電流(0.2CA)で放電し、放電持続時間(t)を記録し、容量を求めた。
表3および図4に、負極電極材料の空隙比率が0.24cm3/gのときの、不織布マットの有無と、0.2CA放電持続時間との関係を示す。表4および図5に、負極電極材料の空隙比率と、0.2CA放電持続時間との関係を示す。
図4は、正極板の両面に不織布マットを貼り付けた場合に、鉛蓄電池の放電性能が向上する傾向があることを示している。
図5は、負極電極材料の空隙比率が0.22cm3/g〜0.27cm3/gであり、かつ有機防縮剤中の硫黄元素の含有量が4000μmol/g〜8000μmol/gである場合の放電性能における優位性を、より顕著に示している。具体的には、有機防縮剤中の硫黄元素の含有量が4000μmol/g〜8000μmol/gのグラフでは、600μmol/g〜2000μmol/gのグラフには見られない変化点が存在する。このような変化点を伴う0.2CA放電持続時間の増加は、有機防縮剤中の硫黄元素の含有量が4000μmol/g〜8000μmol/gの場合に特有の傾向である。
《比較例5》
有機防縮剤中の硫黄元素の含有量を6000μmol/gにして、化成後に満充電した鉛蓄電池の負極電極材料の空隙比率を0.14cm3/g〜0.30cm3/gの範囲で変化させたこと以外、比較例1と同様に、鉛蓄電池を組み立てた。
《比較例6》
有機防縮剤中の硫黄元素の含有量を6000μmol/gにして、化成後に満充電した鉛蓄電池の負極電極材料の空隙比率を0.14cm3/g〜0.30cm3/gの範囲で変化させたこと以外、比較例2と同様に、鉛蓄電池を組み立てた。
表5および図6に、比較例5、6および実施例2の有機防縮剤中の硫黄元素の含有量が6000μmol/gの場合において、負極電極材料の空隙比率と0.2CA放電持続時間との関係を示す。図6は、正極板とセパレータとの間に不織布マットを介在させるとともに、負極電極材料の空隙比率を0.22〜0.27cm3/gにすることで、鉛蓄電池の5時間率放電持続時間が顕著に向上することを示している。
有機防縮剤中の硫黄元素含有量:6000μmol/g
《実施例3》
不織布マットの表面処理条件を変更することにより、不織布マットに対する電解液の接触角を10°〜80°の範囲で変化させたこと以外、実施例1と同様に、有機防縮剤中の硫黄元素の含有量が異なる複数種の鉛蓄電池を組み立て、上記評価2と同様に評価した。ただし、負極電極材料の空隙比率は0.22cm3/gで統一した。
実施例3に関し、不織布マットに対する電解液の接触角を変化させたときの、有機防縮剤中の硫黄元素の含有量と、0.2CA放電持続時間との関係を表6および図7に示す。図7は、鉛蓄電池の放電性能を向上させる観点からも、不織布マットに対する電解液の接触角を40°以下(更には30°未満)とすることが有利であることを示している。特に、有機防縮剤中の硫黄元素の含有量が4000μmol/g〜8000μmol/gである場合には、上記接触角を40°以下とすることで、放電性能が顕著に向上することがわかる。
《実施例4》
有機防縮剤として、硫黄元素の含有量が6000μmol/gのナフタレン類のホルムアルデヒドによる縮合物(ナフタレン系有機防縮剤)を用いたこと以外、実施例1と同様に、既化成の負極電極材料の空隙比率が0.22cm3/gの負極板を作製し、鉛蓄電池を組み立てた。
[評価3]
実施例3で作製した鉛蓄電池と、実施例1で作製した硫黄元素の含有量が6000μmol/gのビスフェノール類のホルムアルデヒドによる縮合物(ビスフェノール系有機防縮剤)を用いた鉛蓄電池に関し、評価2と同様に、5時間率(0.2CA)放電持続時間を測定した。結果を表7に示す。
表1より、有機防縮剤がナフタレン系である場合にも、有機防縮剤がビスフェノール系である場合と、概ね同様の結果が得られることが理解できる。
本発明は、例えば液式の鉛蓄電池に適用可能であり、自動車、バイク、電動車両(フォークリフトなど)などの電源として好適に用いられる。
1:鉛蓄電池、2:負極板、3:正極板、4s:セパレータ、4c:不織布マット、5:正極棚、6:負極棚、7:正極柱、8:貫通接続体、9:負極柱、11:極板群、12:電槽、13:隔壁、14:セル室、15:蓋、16:負極端子、17:正極端子、18:液口栓

Claims (4)

  1. 負極板と、正極板と、前記負極板と前記正極板との間に介在するセパレータと、電解液と、を備え、
    前記負極板は、負極集電体と、負極電極材料と、を備え、
    前記負極電極材料は、有機防縮剤を含み、
    前記正極板と前記セパレータとの間に、不織布マットが介在しており、
    前記負極電極材料の空隙比率が、0.22cm3/g以上、0.27cm3/g以下である、鉛蓄電池。
  2. 前記有機防縮剤中の硫黄元素の含有量が、4000μmol/g以上、8000μmol/g以下である、請求項1に記載の鉛蓄電池。
  3. 前記不織布マットに対する前記電解液の接触角が、0°以上、40°以下である、請求項1または2に記載の鉛蓄電池。
  4. 前記不織布マットに対する前記電解液の接触角が、25°以下である、請求項3に記載の鉛蓄電池。

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