JP2018017344A - 動力伝達チェーン - Google Patents
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Abstract
【課題】騒音を低減することができる動力伝達チェーンを提供する。
【解決手段】動力伝達チェーン1が、複数のリンク2と、第1ピン3及び第2ピン4を含む連結部材11,12を備える。リンク2は、チェーン進行方向Xにランダムに配置されたショートリンク2Sとロングリンク2Lとを含む。リンク2の同じ貫通孔5(6)に挿通された各ピン3,4の端面3e,4eの接触中心点3G,4Gが、各端面3e,4eの図心3H,4Hから、両ピン3,4の接触中心点3G,4G間の距離である第1距離D1が増大する方向にオフセットされる。ロングリンク2において、第1貫通孔5内の第1ピン3の接触中心点3Gと第2貫通孔6内の第2ピン4の接触中心点4Gとの距離である第2距離D2が小さくなる。
【選択図】図4
【解決手段】動力伝達チェーン1が、複数のリンク2と、第1ピン3及び第2ピン4を含む連結部材11,12を備える。リンク2は、チェーン進行方向Xにランダムに配置されたショートリンク2Sとロングリンク2Lとを含む。リンク2の同じ貫通孔5(6)に挿通された各ピン3,4の端面3e,4eの接触中心点3G,4Gが、各端面3e,4eの図心3H,4Hから、両ピン3,4の接触中心点3G,4G間の距離である第1距離D1が増大する方向にオフセットされる。ロングリンク2において、第1貫通孔5内の第1ピン3の接触中心点3Gと第2貫通孔6内の第2ピン4の接触中心点4Gとの距離である第2距離D2が小さくなる。
【選択図】図4
Description
本発明は動力伝達チェーンに関する。
2個のプーリに巻き渡されるチェーンにおいて、一対のピンを含む連結・係合部材により複数のリンクを無端状に連結した形式のものがある。この種のチェーンでは、ピンがプーリの円錐状のシーブ面に対して間欠的に係合することで、チェーンが走行して動力が伝達される。
ピンがプーリに接触するときの衝撃による振動で騒音が発生する。この騒音は、ピンがシーブ面に接触する周期の逆数である周波数と、該周波数の高調波の周波数にピークがあることが知られている。
ピンがプーリに接触するときの衝撃による振動で騒音が発生する。この騒音は、ピンがシーブ面に接触する周期の逆数である周波数と、該周波数の高調波の周波数にピークがあることが知られている。
そこで、ピンがプーリに接触する周期を不均一にして騒音を低減させることが提案されている。例えば隣り合うピン間の距離(ピッチ)を変えることで前記周期を設定することが提案されている(例えば特許文献1を参照)。
しかしながら、ピッチが増大されたリンクでは、当該リンクを挿通するピンがプーリに接触する周期が長くなる。このため騒音の周波数が低くなり、体感上の騒音が大きくなる。
そこで、本発明の目的は、騒音を低減することができる動力伝達チェーンを提供することである。
そこで、本発明の目的は、騒音を低減することができる動力伝達チェーンを提供することである。
請求項1の発明は、相対向する一対のシーブ面(72a,73a;82a,83a)をそれぞれ有する一対のプーリ(70;80)間に巻き掛けられ、前記シーブ面に係合して動力を伝達する無端状の動力伝達チェーン(1)であって、チェーン進行方向(X)に並ぶ第1貫通孔(5)および第2貫通孔(6)を有し、前記チェーン進行方向および前記チェーン進行方向と直交するチェーン幅方向(W)に並ぶ複数のリンク(2)と、前記第1貫通孔および前記第2貫通孔のそれぞれに挿通され、前記複数のリンクを連結した連結部材(11,12)と、を備え、前記第1貫通孔は、前記第2貫通孔よりも前記チェーン進行方向側に配置され、各前記連結部材は、前記第1貫通孔および前記第2貫通孔のそれぞれに挿通された第1ピン(3)および第2ピン(4)を含み、前記第2ピンが、前記第1ピンよりも前記チェーン進行方向側に配置され、前記第1ピンおよび前記第2ピンのそれぞれの端面(3e,4e)は、前記シーブ面に対する接触領域(3F,4F)を含み、前記接触領域は接触中心点(3G,4G)を有し、前記チェーン幅方向から見て、同じ貫通孔に挿通された前記第1ピンおよび前記第2ピンのそれぞれの端面の接触中心点が、前記それぞれの端面の図心(3H,4H)から、両ピンの接触中心点間の距離である第1距離(D1)が増大する方向にオフセットされており、前記リンクは、前記第1貫通孔および前記第2貫通孔のそれぞれに挿通された一対の第1ピンの接触中心点どうしの距離をピッチ長として、第1ピッチ長(P1)を有するショートリンク(2S)と、前記第1ピッチ長よりも長い第2ピッチ長(P2)を有するロングリング(2L)と、を含み、前記ショートリンクおよび前記ロングリンクは、前記チェーン進行方向にランダムに配置されている動力伝達チェーンを提供する。
なお、括弧内の英数字は、後述する実施形態における対応構成要素等を表すが、このことは、むろん、本発明がそれらの実施形態に限定されるべきことを意味するものではない。以下、この項において同じ。
請求項2のように、前記ロングリンクの前記第1貫通孔に挿通された前記第1ピンの接触中心点と、当該ロングリンクの前記第2貫通孔に挿通された前記第2ピンの接触中心点との距離である第2距離(D2)が、前記第1距離と等しくされていてもよい。
請求項2のように、前記ロングリンクの前記第1貫通孔に挿通された前記第1ピンの接触中心点と、当該ロングリンクの前記第2貫通孔に挿通された前記第2ピンの接触中心点との距離である第2距離(D2)が、前記第1距離と等しくされていてもよい。
請求項1の発明では、プーリに順次に接触するピン間の最長周期は、ロングリンクの第1貫通孔に挿通された第1ピンの接触中心点と、当該ロングリンクの第2貫通孔に挿通された第2ピンの接触中心点との距離である第2距離が大きいほど長くなる。これに対して、同じ貫通孔に挿通された第1ピンおよび第2ピンのそれぞれの端面の接触中心点を、それぞれの端面の図心から、両ピンの接触中心点間の距離である第1距離が増大する方向にオフセットすることで、第2距離を短くすることができる。このため、前記最長周期が短くなり、騒音の周波数が高周波側へシフトされるので、体感上の騒音を低減することができる。
請求項2の発明では、第1距離と第2距離を等しくすることで、前記最長周期が最も短くなり、体感上の騒音をより低減することができる。
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る動力伝達チェーンを備える動力伝達装置としてのチェーン式無段変速機(以下では、単に無段変速機ともいう)の要部構成を模式的に示す斜視図である。
図1に示すように、無段変速機100は、第1プーリとしての金属(構造用鋼等)製のドライブプーリ70と、第2プーリとしての金属(構造用鋼等)製のドリブンプーリ80と、両プーリ70,80間に巻き掛けられた無端状の動力伝達チェーン1とを備えている。無段変速機100は、自動車等の車両に搭載される。なお、図1中の動力伝達チェーン1は、理解を容易にするために一部断面を示してある。
図1は、本発明の一実施形態に係る動力伝達チェーンを備える動力伝達装置としてのチェーン式無段変速機(以下では、単に無段変速機ともいう)の要部構成を模式的に示す斜視図である。
図1に示すように、無段変速機100は、第1プーリとしての金属(構造用鋼等)製のドライブプーリ70と、第2プーリとしての金属(構造用鋼等)製のドリブンプーリ80と、両プーリ70,80間に巻き掛けられた無端状の動力伝達チェーン1とを備えている。無段変速機100は、自動車等の車両に搭載される。なお、図1中の動力伝達チェーン1は、理解を容易にするために一部断面を示してある。
図2は、図1のドライブプーリ70(ドリブンプーリ80)およびチェーン1の部分的な拡大断面図である。図1および図2に示すように、ドライブプーリ70は、車両の駆動源に動力伝達可能に連なる入力軸71に取り付けられる。ドライブプーリ70は、固定シーブ72と可動シーブ73とを備えている。
固定シーブ72および可動シーブ73は、入力軸71の軸方向に対向する一対のシーブ面72a,73aをそれぞれ有している。一対のシーブ面72a,73aは、互いに逆向きに傾斜する円錐面状の傾斜面を含む。一対のシーブ面72a,73a間に、動力伝達チェーン1が嵌まる断面V字形形状の溝が区画される。動力伝達チェーン1は、一対のシーブ面72a,73aによって強圧に挟まれる。
固定シーブ72および可動シーブ73は、入力軸71の軸方向に対向する一対のシーブ面72a,73aをそれぞれ有している。一対のシーブ面72a,73aは、互いに逆向きに傾斜する円錐面状の傾斜面を含む。一対のシーブ面72a,73a間に、動力伝達チェーン1が嵌まる断面V字形形状の溝が区画される。動力伝達チェーン1は、一対のシーブ面72a,73aによって強圧に挟まれる。
可動シーブ73には、溝幅を変更するための油圧アクチュエータ(図示せず)が接続されている。変速時に、入力軸71の軸方向(図2の左右方向)に可動シーブ73を移動させることにより、溝幅が変化される。それにより、入力軸71の径方向(図2の上下方向)に動力伝達チェーン1が移動され、ドライブプーリ70に対する動力伝達チェーン1の巻き掛け半径(有効半径)が変化される。
一方、ドリブンプーリ80は、図1および図2に示すように、駆動輪( 図示せず)に動力伝達可能に連なる出力軸81に一体回転可能に取り付けられている。ドリブンプーリ80は、可動シーブ82と固定シーブ83とを備えている。可動シーブ82および固定シーブ83は、出力軸81の軸方向に対向する一対のシーブ面82a,83aをそれぞれ有している。一対のシーブ面82a,83a間に、動力伝達チェーン1が嵌まる断面V字形形状の溝が区画される。動力伝達チェーン1は、一対のシーブ面82a,83aによって強圧に挟まれる。
ドリブンプーリ80の可動シーブ82には、ドライブプーリ70の可動シーブ73と同様に油圧アクチュエータ(図示せず)が接続されている。変速時に、この可動シーブ82を移動されて溝幅が変化される。その結果、動力伝達チェーン1が、出力軸81の径方向に移動されて、ドリブンプーリ80に対するチェーン1の巻き掛け半径が変化される。
図3は、動力伝達チェーン1の要部の部分断面平面図である。図1〜図3に示すように、動力伝達チェーン1のチェーン進行方向に沿う方向を「チェーン進行方向X」と言い、チェーン進行方向Xと直交し、且つ動力伝達チェーン1の幅方向に沿う方向を「チェーン幅方向W」と言う。チェーン進行方向X(図2において紙面と直交する方向)およびチェーン幅方向Wの双方に直交する方向を「直交方向V」と言う。直交方向Vの一方がチェーン内径側V1となり、直交方向Vの他方がチェーン外径側V2となる。
図3は、動力伝達チェーン1の要部の部分断面平面図である。図1〜図3に示すように、動力伝達チェーン1のチェーン進行方向に沿う方向を「チェーン進行方向X」と言い、チェーン進行方向Xと直交し、且つ動力伝達チェーン1の幅方向に沿う方向を「チェーン幅方向W」と言う。チェーン進行方向X(図2において紙面と直交する方向)およびチェーン幅方向Wの双方に直交する方向を「直交方向V」と言う。直交方向Vの一方がチェーン内径側V1となり、直交方向Vの他方がチェーン外径側V2となる。
図3に示すように、動力伝達チェーン1は、チェーン進行方向Xおよびチェーン幅方向Wに並ぶ複数のリンク2と、これらのリンク2を屈曲可能に連結しチェーン幅方向Wに延びる第1連結部材11および第2連結部材12とを備える。
図4は、動力伝達チェーン1の直線領域をチェーン幅方向Wから見た概略図である。図4に示すように、複数のリンク2は、ショートリンク2Sと、ロングリンク2Lとを含む。ショートリンク2Sの第1ピッチ長P1は、ロングリンク2Lの第2ピッチ長P2よりも小さい(P1<P2)。ショートリンク2Sおよびロングリンク2Lは、チェーン進行方向Xにランダムに配置されている。ショートリンク2Sおよびロングリンク2Lを総称して言うときは、単にリンク2と言う。
図4は、動力伝達チェーン1の直線領域をチェーン幅方向Wから見た概略図である。図4に示すように、複数のリンク2は、ショートリンク2Sと、ロングリンク2Lとを含む。ショートリンク2Sの第1ピッチ長P1は、ロングリンク2Lの第2ピッチ長P2よりも小さい(P1<P2)。ショートリンク2Sおよびロングリンク2Lは、チェーン進行方向Xにランダムに配置されている。ショートリンク2Sおよびロングリンク2Lを総称して言うときは、単にリンク2と言う。
各リンク2は、チェーン幅方向Wから見て概ね矩形状に形成された例えば鋼製の板状の部材からなる。各リンク2は、チェーン進行方向Xに並ぶ第1貫通孔5および第2貫通孔6を形成している。第1貫通孔5は、第2貫通孔6よりもチェーン進行方向X側に配置されている。
各リンク2は、両貫通孔5,6をチェーン進行方向Xに挟んで配置された第1外柱部7および第2外柱部8を含む。第1外柱部7は、第2外柱部8よりもチェーン進行方向X側に配置されている。
各リンク2は、両貫通孔5,6をチェーン進行方向Xに挟んで配置された第1外柱部7および第2外柱部8を含む。第1外柱部7は、第2外柱部8よりもチェーン進行方向X側に配置されている。
第1連結部材11が第1貫通孔5に挿通され、第2連結部材12が第2貫通孔6に挿通されている。第1連結部材11および第2連結部材12のそれぞれは、対をなす動力伝達ピンとしての第1ピン3および第2ピン4を含んでいる。
図3に示すように、第1ピン3および第2ピン4は、チェーン幅方向Wに延びる長尺(板状)の部材である。第1ピン3の長手方向(チェーン幅方向W)の一対の端部17および第2ピン4の長手方向(チェーン幅方向W)の一対の端部18が、チェーン幅方向Wに並ぶリンク2の列においてチェーン幅方向Wの一対の端部に配置される一対のリンク2からチェーン幅方向Wの外側へ、それぞれ突出している。
図3に示すように、第1ピン3および第2ピン4は、チェーン幅方向Wに延びる長尺(板状)の部材である。第1ピン3の長手方向(チェーン幅方向W)の一対の端部17および第2ピン4の長手方向(チェーン幅方向W)の一対の端部18が、チェーン幅方向Wに並ぶリンク2の列においてチェーン幅方向Wの一対の端部に配置される一対のリンク2からチェーン幅方向Wの外側へ、それぞれ突出している。
第1ピン3および第2ピン4は、プーリ70,80と動力伝達する動力伝達ピンを構成している。すなわち、図2に示すように、動力伝達ピンとしての各ピン3,4のチェーン幅方向Wの一対の端面3e,4eが、各プーリ70,80に接触している。
具体的には、各ピン3,4の端面3e,4eの一部に設けられる接触中心点3G,4Gを含む接触領域が、各プーリ70,80のシーブ面72a,73a(82a,83a)に潤滑油膜を介して動力伝達可能に摩擦係合する。両ピン3,4は、シーブ面72a,73a(82a,83a)間に挟持され、これにより、両ピン3,4と各プーリ70,80との間で動力が伝達される。各ピン3,4は、その端面3e,4eによって直接動力伝達に寄与するため、例えば軸受用鋼(SUJ2)等の高強度耐摩耗材料で形成されている。
具体的には、各ピン3,4の端面3e,4eの一部に設けられる接触中心点3G,4Gを含む接触領域が、各プーリ70,80のシーブ面72a,73a(82a,83a)に潤滑油膜を介して動力伝達可能に摩擦係合する。両ピン3,4は、シーブ面72a,73a(82a,83a)間に挟持され、これにより、両ピン3,4と各プーリ70,80との間で動力が伝達される。各ピン3,4は、その端面3e,4eによって直接動力伝達に寄与するため、例えば軸受用鋼(SUJ2)等の高強度耐摩耗材料で形成されている。
図4に示すように、各連結部材11,12の第1ピン3および第2ピン4は、第2ピン4が前側(チェーン進行方向X側)に配置され、第1ピン3が後側(チェーン進行方向Xの反対側XB)に配置された状態で、互いに対向している。これら第1ピン3および第2ピン4は、対応するリンク2同士の屈曲に伴い互いに接触部Aで転がり摺動接触する。転がり摺動接触とは、転がり接触およびすべり接触の少なくとも一方を含む接触のことをいう。
ショートリンク2Sとロングリンク2Lとが異なるのは、ショートリンク2Sが、第1貫通孔5および第2貫通孔6間を仕切る中間柱部9Sを有しているのに対して、ロングリンク2Lが、第1貫通孔5および第2貫通孔6間を仕切る中間柱部9Lを有している点である。チェーン進行方向Xに関する幅に関して、ロングリンク2Lの中間柱部9Lの幅が、ショートリンク2Sの中間柱部9Sの幅よりも大きくされている。これにより、ロングリンク2Lのピッチ長である第2ピッチ長P2が、ショートリンク2Sのピッチ長である第1ピッチ長P1よりも大きく(すなわち長く)設定されている(P2>P1)。
第1ピン3の端面3eは、シーブ面72a,73a;82a,83aに対する接触領域3Fを含み、この接触領域3Fは、接触中心点3Gを含む。また、第2ピン4の端面4eは、シーブ面72a,73a;82a,83aに対する接触領域4Fを含み、この接触領域4Fは、接触中心点4Gを含む。例えば、接触領域3F,4Fが楕円形状であるとき、接触中心点3G,4Gは、楕円形状の中心に相当する。
チェーン幅方向Wから見て、同じ貫通孔5(6)に挿通された第1ピン3の端面3eの接触中心点3Gおよび第2ピン4の端面4eの接触中心点4Gが、それぞれの端面3e,4eの図心3H,4Hから、両ピン3,4の接触中心点3G,4G間の距離である第1距離D1が増大する方向にオフセットされている。
具体的には、第1ピン3の接触中心点3Gは、第1ピン3の端面3eの図心3Hから、チェーン進行方向Xの反対側XBにオフセットされている。また、第2ピン4の接触中心点4Gは、第2ピン4の端面4eの図心4Hから、チェーン進行方向Xにオフセットされている。
具体的には、第1ピン3の接触中心点3Gは、第1ピン3の端面3eの図心3Hから、チェーン進行方向Xの反対側XBにオフセットされている。また、第2ピン4の接触中心点4Gは、第2ピン4の端面4eの図心4Hから、チェーン進行方向Xにオフセットされている。
ショートリンク2Sの第1ピッチ長P1とは、ショートリンク2Sにおいて、第1貫通孔5内の第1ピン3の接触中心点3Gと第2貫通孔6内の第1ピン3の接触中心点3Gとの距離を言う。また、ロングリンク2Lの第2ピッチ長P2とは、ロングリンク2Lにおいて、第1貫通孔5内の第1ピン3の接触中心点3Gと第2貫通孔6内の第1ピン3の接触中心点3Gとの距離を言う。
第1ピン3の接触中心点3Gと両ピン3,4間の接触部Aとの距離、および第1ピン3の接触中心点3Gと両ピン3,4間の接触部Aとの距離は、互いに等しい距離dとされている。
したがって、同じ貫通孔5(6)に挿通された第1ピン3および第2ピン4の接触中心点3G,4G間の距離である第1距離D1は、各接触中心点3G,4Gと接触部Aとのチェーン進行方向Xの距離dの2倍に相当する。すなわち、下記の式(1)が成立する。
したがって、同じ貫通孔5(6)に挿通された第1ピン3および第2ピン4の接触中心点3G,4G間の距離である第1距離D1は、各接触中心点3G,4Gと接触部Aとのチェーン進行方向Xの距離dの2倍に相当する。すなわち、下記の式(1)が成立する。
D1=2×d …(1)
ここで、ロングリンク2Lの第1貫通孔5に挿通された第1ピン3の接触中心点3Gと、当該ロングリンク2Lの第2貫通孔6に挿通された第2ピン4の接触中心点4Gとの距離を第2距離D2とすると、第2距離D2は、ロングリンク2Lの第2ピッチ長P2から第1距離D1を減じた値である。すなわち、下記の式(2)が成立する。
ここで、ロングリンク2Lの第1貫通孔5に挿通された第1ピン3の接触中心点3Gと、当該ロングリンク2Lの第2貫通孔6に挿通された第2ピン4の接触中心点4Gとの距離を第2距離D2とすると、第2距離D2は、ロングリンク2Lの第2ピッチ長P2から第1距離D1を減じた値である。すなわち、下記の式(2)が成立する。
D2=P2−D1 …(2)
本実施形態では、第2距離D2が第1距離D1と等しく設定される。すなわち、下記の式(3)が成立する。
D2=D1 …(3)
したがって、ロングリンク2Lの第2ピッチ長P2は、距離dの4倍に相当する。すなわち、下記の式(4)が成立する。
本実施形態では、第2距離D2が第1距離D1と等しく設定される。すなわち、下記の式(3)が成立する。
D2=D1 …(3)
したがって、ロングリンク2Lの第2ピッチ長P2は、距離dの4倍に相当する。すなわち、下記の式(4)が成立する。
P2=4×d …(4)
図3に示すように、動力伝達チェーン1は、チェーン進行方向Xに関する同位相でチェーン幅方向Wに並ぶ複数のリンク2でそれぞれ構成される第1リンク列21、第2リンク列22および第3リンク列23をこの順でチェーン進行方向Xに並べて1つのリンクモジュール20としている。リンクモジュール20をチェーン進行方向Xに複数連結して、無端状をなす動力伝達チェーン1が形成されている。
図3に示すように、動力伝達チェーン1は、チェーン進行方向Xに関する同位相でチェーン幅方向Wに並ぶ複数のリンク2でそれぞれ構成される第1リンク列21、第2リンク列22および第3リンク列23をこの順でチェーン進行方向Xに並べて1つのリンクモジュール20としている。リンクモジュール20をチェーン進行方向Xに複数連結して、無端状をなす動力伝達チェーン1が形成されている。
第1リンク列21、第2リンク列22および第3リンク列23は、それぞれ1つしか図示されていないが、チェーン進行方向Xに沿って、第1リンク列21、第2リンク列22および第3リンク列23が繰り返すように配置されている。すなわち、リンクモジュール20が、チェーン進行方向Xに繰り返すように配置されている。そして、チェーン進行方向Xに互いに隣接する2つのリンク列のリンク2同士が、対応する連結部材11,12によって順次に連結され、無端状をなす動力伝達チェーン1が形成されている。
動力伝達チェーン1は、いわゆる圧入タイプのチェーンとされている。具体的には、図4に示すように、第1ピン3は、各リンク2の第1貫通孔5に相対移動可能に遊嵌されていると共に、各リンク2の第2貫通孔6に相対移動を規制されるようにして圧入嵌合されている。また、第2ピン4は、各リンク2の第1貫通孔5に相対移動を規制されるようにして圧入嵌合されていると共に、各リンク2の第2貫通孔6に相対移動可能に遊嵌されている。
換言すれば、各リンク2の第1貫通孔5には、第1ピン3が相対移動可能に遊嵌されているとともに、この第1ピン3とは対をなす第2ピン4が相対移動を規制されるようにして圧入嵌合されている。また、各リンク2の第2貫通孔6には、第1ピン3が相対移動を規制されるように圧入嵌合されているとともに、この第1ピン3とは対をなす第2ピン4が相対移動可能に遊嵌されている。
具体的には、リンク2の第1貫通孔5の内周5aは、第2ピン4が圧入固定される第2ピン固定部13を含む。第1貫通孔5において、第2ピン固定部13に圧入固定された第2ピン4によって占められている部分を除く空間が、第1ピン3が移動可能に嵌め合わされる第1ピン可動部14とされている。
第2貫通孔6の内周6aは、第1ピン3が圧入固定される第1ピン固定部15を含む。第2貫通孔6において、第1ピン固定部15に圧入固定された第1ピン3によって占められている部分を除く空間が、第2ピン4が移動可能に嵌め合わせられる第2ピン可動部16とされている。
第2貫通孔6の内周6aは、第1ピン3が圧入固定される第1ピン固定部15を含む。第2貫通孔6において、第1ピン固定部15に圧入固定された第1ピン3によって占められている部分を除く空間が、第2ピン4が移動可能に嵌め合わせられる第2ピン可動部16とされている。
第1ピン3は、チェーン進行方向X側の前部3aと、チェーン進行方向Xの反対側XBの後部3bとを含む。第2ピン4は、チェーン進行方向X側の前部4aと、チェーン進行方向Xの反対側XBの後部4bとを含む。第1貫通孔5内に遊嵌された第1ピン3の後部3bおよび第2貫通孔6内に遊嵌された第2ピン4の前部4aが、それぞれ、中間柱部9に対向している。
各連結部材11,12において、同じ貫通孔5(6)に挿通された第1ピン3の前部3aと第2ピン4の後部4bとが、互いに対向する対向部を構成している。対向部としての第1ピン3の前部3aと第2ピン4の後部4bとが、チェーン進行方向Xに隣接するリンク2間の屈曲に伴って、互いに転がり摺動接触することにより、両ピン3,4の接触部Aは、直交方向Vに変位する。
各リンク2が動力伝達チェーン1の直線領域から曲線領域へまたは曲線領域から直線領域へと移行する際、第1貫通孔5においては、第1ピン3が固定状態の第2ピン4に対して接触部Aで転がり接触(若干のすべり接触を含む)しながら第1ピン可動部14内を移動し、第2貫通孔6においては、第2ピン4が第2ピン可動部16内を固定状態の第1ピン3に対して接触部Aで第1ピン3の接触面に転がり接触(若干のすべり接触を含む)しながら移動する。
なお、各貫通孔5,6において、第1ピン3の前部3aと第2ピン4の後部4bとの接触部Aは、動力伝達チェーン1が、正側(プーリ70,80のシーブ面72a,73a;82a,83a間に進入するときの屈曲方向)に屈曲すると、チェーン外径側V2へ移動し、動力伝達チェーン1が負側に屈曲すると、チェーン内径側V1へ移動する。
本実施形態では、下記の効果を奏する。すなわち、プーリ70,80のシーブ面72a,73a;82a,83aに順次に接触するピン3,4間の最長周期は、ロングリンク2Lの第1貫通孔5に挿通された第1ピン3の接触中心点3Gと、当該ロングリンク2Lの第2貫通孔6に挿通された第2ピン4の接触中心点4Gとの距離である第2距離D2が大きいほど長くなる。
本実施形態では、下記の効果を奏する。すなわち、プーリ70,80のシーブ面72a,73a;82a,83aに順次に接触するピン3,4間の最長周期は、ロングリンク2Lの第1貫通孔5に挿通された第1ピン3の接触中心点3Gと、当該ロングリンク2Lの第2貫通孔6に挿通された第2ピン4の接触中心点4Gとの距離である第2距離D2が大きいほど長くなる。
本実施形態では、同じ貫通孔5(6)に挿通された第1ピン3および第2ピン4のそれぞれの端面3e,4eの接触中心点3G,4Gを、それぞれの端面3e,4eの図心3H,4Hから、両ピン3,4の接触中心点3G,4G間の距離である第1距離D1が増大する方向にオフセットすることで、第2距離D2を短くすることができる。これにより、前記最長周期が短くなり、騒音の周波数が高周波側(例えば可聴域を超える数KHz以上の周波数域側)へシフトされるので、体感上の騒音を低減することができる。
特に、第1距離D1と第2距離D2とを等しくする(D1=D2)、換言すると、第1距離D1をロングリンク2Lの第2ピッチ長P2の半分[D1=(P2)/2。すなわち、d=(P2)/4]に設定することで、前記最長周期が最も短くなり、体感上の騒音を格段に低減することができる。各ピン3,4のプーリ70,80に対する接触位置(接触中心点3G,4Gの位置)を最適化することで、例えばロングリンク2Lとショートリンク2Sの基本形状等を変更することなく、低騒音を実現することができる。
本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、第2ピッチ長P2を距離dの4倍〜7倍の範囲(4×d<P2<7×d)に設定することで、第2距離D2を小さくして、体感上の騒音を低減してもよい。
その他、本発明は特許請求の範囲記載の範囲内で種々の変更を施すことができる。
その他、本発明は特許請求の範囲記載の範囲内で種々の変更を施すことができる。
1…動力伝達チェーン、2…リンク、2L…ロングリンク、2S…ショートリンク、
3…第1ピン、3a…前部(対向部)、3e…端面、3F…接触領域、3G…接触中心点、4…第2ピン、4b…後部(対向部)、4e…端面、4F…接触領域、4G…接触中心点、5…第1貫通孔、6…第2貫通孔、11…第1連結部材、12…第2連結部材、17,18…端部、70…ドライブプーリ、72a,73a…シーブ面、80…ドリブンプーリ、82a,83a…シーブ面、100…無段変速機、A…接触部、D1…第1距離、D2…第2距離、d…距離、P1…第1ピッチ長、P2…第2ピッチ長、V…直交方向、V1…チェーン内径側、V2…チェーン外径側、W…チェーン幅方向、X…チェーン進行方向、XB…(チェーン進行方向の)反対側
3…第1ピン、3a…前部(対向部)、3e…端面、3F…接触領域、3G…接触中心点、4…第2ピン、4b…後部(対向部)、4e…端面、4F…接触領域、4G…接触中心点、5…第1貫通孔、6…第2貫通孔、11…第1連結部材、12…第2連結部材、17,18…端部、70…ドライブプーリ、72a,73a…シーブ面、80…ドリブンプーリ、82a,83a…シーブ面、100…無段変速機、A…接触部、D1…第1距離、D2…第2距離、d…距離、P1…第1ピッチ長、P2…第2ピッチ長、V…直交方向、V1…チェーン内径側、V2…チェーン外径側、W…チェーン幅方向、X…チェーン進行方向、XB…(チェーン進行方向の)反対側
Claims (2)
- 相対向する一対のシーブ面をそれぞれ有する一対のプーリ間に巻き掛けられ、前記シーブ面に係合して動力を伝達する無端状の動力伝達チェーンであって、
チェーン進行方向に並ぶ第1貫通孔および第2貫通孔を有し、前記チェーン進行方向および前記チェーン進行方向と直交するチェーン幅方向に並ぶ複数のリンクと、
前記第1貫通孔および前記第2貫通孔のそれぞれに挿通され、前記複数のリンクを連結した連結部材と、を備え、
前記第1貫通孔は、前記第2貫通孔よりも前記チェーン進行方向側に配置され、
各前記連結部材は、前記第1貫通孔および前記第2貫通孔のそれぞれに挿通された第1ピンおよび第2ピンを含み、前記第2ピンが、前記第1ピンよりも前記チェーン進行方向側に配置され、
前記第1ピンおよび前記第2ピンのそれぞれの端面は、前記シーブ面に対する接触領域を含み、前記接触領域は接触中心点を有し、
前記チェーン幅方向から見て、同じ貫通孔に挿通された前記第1ピンおよび前記第2ピンのそれぞれの端面の接触中心点が、前記それぞれの端面の図心から、両ピンの接触中心点間の距離である第1距離が増大する方向にオフセットされており、
前記リンクは、前記第1貫通孔および前記第2貫通孔のそれぞれに挿通された一対の第1ピンの接触中心点どうしの距離をピッチ長として、第1ピッチ長を有するショートリンクと、前記第1ピッチ長よりも長い第2ピッチ長を有するロングリングと、を含み、前記ショートリンクおよび前記ロングリンクは、前記チェーン進行方向にランダムに配置されている動力伝達チェーン。 - 請求項1に記載の動力伝達チェーンにおいて、
前記ロングリンクの前記第1貫通孔に挿通された前記第1ピンの接触中心点と、当該ロングリンクの前記第2貫通孔に挿通された前記第2ピンの接触中心点との距離である第2距離が、前記第1距離と等しくされている動力伝達チェーン。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016148765A JP2018017344A (ja) | 2016-07-28 | 2016-07-28 | 動力伝達チェーン |
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JP2016148765A JP2018017344A (ja) | 2016-07-28 | 2016-07-28 | 動力伝達チェーン |
Publications (1)
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JP2018017344A true JP2018017344A (ja) | 2018-02-01 |
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ID=61081654
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2016148765A Pending JP2018017344A (ja) | 2016-07-28 | 2016-07-28 | 動力伝達チェーン |
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Country | Link |
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-
2016
- 2016-07-28 JP JP2016148765A patent/JP2018017344A/ja active Pending
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