JP2018015963A - 離型フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 LCD用偏光板、位相差板、有機EL構成部材等、各種ディスプレイ構成部材製造用等、各種用途に、構成部材の異物検査が容易な離型フィルムを提供するものである。【解決手段】 染料もしくは顔料を含有するポリエステルフィルムの片面に離型層が設けられた離型フィルムであり、当該離型層は、平均一次粒径が5〜70nmの金属酸化物粒子を0.01重量%〜30重量%含有し、かつ、380nm〜500nmの波長領域における光線透過率が10%以下であることを特徴とする粘着剤層保護用離型フィルムである。【選択図】 なし

Description

本発明は、各種部材の異物検査等に好適な離型フィルムに関する。具体的には、本発明は、液晶ディスプレイ(以下、LCDと略記する)に用いられる偏光板、位相差板等のLCD構成部材製造用、有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機ELと略記する)構成部材製造用等、各種ディスプレイ構成部材製造用として、各種部材の異物検査等に好適な離型フィルムに関する。
従来、ポリエステルフィルムを基材とする離型フィルムが、LCD用偏光板、位相差板、有機EL構成部材等、各種ディスプレイ構成部材製造用等、各構成部材の保護あるいは製造過程における工程紙として、各種用途に使用されている。
従来から光学的評価を伴う検査工程において、例えば、光を透過させて部材を検査する場合、粘着剤層を介して、ポリエステルフィルム基材から構成される離型フィルムを貼り合わせた状態のままで検査する場合がある。その際には、離型フィルム自体が透明性の高いポリエステルフィルムを基材として使用した場合、フィルム自体の乱反射により、反射した光が異物検査の障害となり、検出したい異物が検出困難になり、異物の検査精度が低下する場合がある。さらに、検査用部材/粘着剤層/離型フィルムのような積層体構成のままで光学的評価を伴う検査を行う場合、離型フィルムに遮光性を付与するため、着色層を設けた場合、着色に伴い、離型フィルム自体の乱反射に伴う反射光の発生を抑制するため、異物検査の検査精度は向上するものの、いまだに不十分な状況にある。
上述の理由により、従来よりもさらに高度なレベルにおける異物検査が容易な離型フィルムが必要とされている。
特開2006−30621号公報 特開2007−34026号公報
本発明は上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、LCD用偏光板、位相差板、有機EL構成部材等、各種ディスプレイ構成部材製造用等、各種用途に、構成部材の異物検査が容易な離型フィルムを提供するものである。
本発明者らは、上記実状に鑑み、鋭意検討した結果、特定の構成からなる離型フィルムによれば、上記課題を容易に解決できることを知見し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は染料もしくは顔料を含有するポリエステルフィルムの片面に離型層が設けられた離型フィルムであり、当該離型層は、平均一次粒径が5〜70nmの金属酸化物粒子を0.01重量%〜30重量%含有し、かつ、380nm〜500nmの波長領域における光線透過率が10%以下であることを特徴とする粘着剤層保護用離型フィルムに存する。
本発明の離型フィルムによれば、粘着剤層保護用として、特に380nm以上500nm以下の可視光の波長領域における光線透過率が小さく、遮光性が良好であり、かつ異物検査が容易である離型フィルムを提供することができ、その工業的価値は高い。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明における離型フィルムを構成するポリエステルフィルムは単層構成であっても積層構成であってもよい。積層構成の場合は、例えば、2層、3層構成以外にも本発明の要旨を超えない限り、4層またはそれ以上の多層であってもよく、特に限定されるものではない。
本発明においてポリエステルフィルムに使用するポリエステルは、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。ホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)等が例示される。一方、共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、P−オキシ安息香酸など)等の一種または二種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上が挙げられる。何れにしても本発明でいうポリエステルとは、通常60モル%以上、好ましくは80モル%以上がエチレンテレフタレート単位であるポリエステルを指す。
本発明において、ポリエステル中には、易滑性付与を主たる目的として粒子を配合することが好ましい。配合する粒子の種類は、本発明の主旨を損なわない範囲において、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の粒子が挙げられる。また、特公昭59−5216号公報、特開昭59−217755号公報等に記載されている耐熱性有機粒子を用いてもよい。この他の耐熱性有機粒子の例として、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。さらに、ポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
また、用いる粒子の平均粒径は、通常0.01〜3μm、好ましくは0.01〜1μmの範囲である。平均粒径が0.01μm未満の場合には、粒子が凝集しやすく、分散性が不十分な場合があり、一方、3μmを超える場合には、フィルムの表面粗度が粗くなりすぎて、後工程において離型層を塗設させる場合等に不具合が生じる場合がある。
なお、ここで言う粒子の平均粒径とは、遠心沈降式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所社製SA−CP3型)を使用して測定した等価球形分布における積算(重量基準)50%の値を用いて、平均粒径とする。
さらに、ポリエステルフィルム中の粒子含有量は、通常0.001〜5重量%、好ましくは 0.005〜3重量%の範囲である。粒子含有量が0.001重量%未満の場合には、フィルムの易滑性が不十分な場合があり、一方、5重量%を超えて添加する場合にはフィルムの透明性が不十分な場合がある。
ポリエステル中に粒子を添加する方法は特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、各層を構成するポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後、重縮合反応を進めてもよい。
また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または、混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
本発明の離型フィルムを構成するポリエステルフィルムの厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲であれば特に限定されるものではないが、用途上、9〜200μmが好ましく、より好ましくは12〜100μmである。
本発明の離型フィルムは、光線透過率を最適化するため、離型フィルムを構成するポリエステルフィルム中に染料または顔料を含有する必要がある。
本発明において、離型フィルムを構成するポリエステルフィルム中に含有される染料としては、天然染料と合成染料に分類することができ、天然染料としては、インジゴ(藍)等が代表される。合成染料としては、アゾ染料、アントラキノン染料、インジゴイド染料、硫化染料、トリフェニルメタン染料、ピラゾロン染料、スチルベン染料、ジフェニルメタン染料、キサンテン染料、アリザリン染料、アクリジン染料、キノンイミン染料(例えば、アジン染料、オキサジン染料、チアジン染料)、チアゾ−ル染料、メチン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、シアニン色素などが挙げられる。また、本発明において、使用する顔料としては、有機顔料と無機顔料とに分類することができ、有機顔料としては、フタロシアニン系、ジオキサジン系、アントラキノン系などの顔料で代表的なものとして、キナクリドン、ウォッチアングレッド、ジオキサジンバイオレット等が挙げられる。無機顔料としては、チタン白、亜鉛華、鉛白、カーボンブラック、ベンガラ、朱、カドミウム赤、黄鉛、群青、コバルト青、コバルト紫、ジンククロメ−ト等が挙げられる。
本発明においては、フィルム製造時の熱安定性の面で、染料より顔料が好ましく、中でも、有機顔料より無機顔料がより好ましい。
これらの染料もしくは顔料は、1種または2種以上併用して使用することができる。これらはポリエステルフィルム中の含有量が通常0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜7.5重量%、さらに好ましくは0.1〜5重量%である。当該含有量が0.01重量%未満では、着色の度合いが少なく、所望する遮光性を得るのが困難になる。一方、10重量%を超える場合には、着色の度合いが飽和してしまい、生産性低下等の不具合を生じる。
本発明において、離型フィルムの取扱性等の点で、ポリエステルフィルム中には、染料、顔料以外に前述の粒子を本発明の主旨を損なわない範囲において含有されていることが好ましい。
その中でも、光線透過率をさらに小さくすることが出来るので、カーボンブラック粒子を用いるのが好ましい。本発明において、ポリエステルフィルム中にカーボンブラック粒子を含有する場合、使用するカーボンブラック粒子の具体例としては、チャネルブラック、サーマルブラック、ファーネスブラック等を挙げることができ、カーボンブラック粒子の一次粒径は、15〜100nm、好ましくは20〜70nm、さらに好ましくは20〜50nmである。カーボンブラック粒子の一次粒径が15nm未満の場合には、粒子が凝集し易くなるため、押出機でのフィルターライフが短くなり、生産性が悪化する等の不具合を生じるようになる。また、カーボンブラック粒子の一次粒径が100nmを超える場合には、フィルム表面の粗面化の程度が大きくなり、例えば、粘着剤層などの平滑な表面を有する樹脂層を形成する場合などに対応困難になる場合がある。
本発明において、ポリエステルフィルム中に含有されるカーボンブラック粒子の含有量は0.01〜15重量%が好ましく、さらに好ましくは0.05〜7重量%である。
カーボンブラック粒子含有量が0.01重量%未満では、フィルムの滑り性が低下する場合がある。一方、粒子含有量が15重量%を超える場合には、遮光性付与のために必要な黒色の具合が飽和し、不経済であるのに加えて、表面粗度が大きくなるため、用途上、例えば、粘着剤層などの平滑な硬化性樹脂が必要とされる用途には対応困難になる場合がある。
なお、本発明において、離型フィルムを構成するポリエステルフィルム中には上述の粒子以外に、本発明の主旨を損なわない範囲において、必要に応じて、従来公知の酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、潤滑剤、紫外線吸収剤等を添加することができる。
本発明の離型フィルムを構成するポリエステルフィルム中には、本発明の主旨を損なわない範囲において、紫外線吸収剤を含有してもよい。紫外線吸収剤の含有量に関しては、通常、0.2〜10重量%、好ましくは0.3〜1.8重量%の範囲で含有するのが好ましい。紫外線吸収剤含有量が0.1重量%未満の場合は、所望する遮光性が得られない場合がある。一方、10重量%を超える場合、ポリエステルフィルム表面に紫外線吸収剤がブリードアウトし、ポリエステルフィルム上に積層する離型層に影響を及ぼし、離型性低下等の不具合を生じる場合がある。
本発明において使用する紫外線吸収剤に関して、具体例としては、ベンゾフェノン系化合物、1,3,5−トリアジン系化合物、ベンゾオキサジノン系化合物等が例示され、1種または2種以上を組み合わせて用いることもできるが、色調を考慮した場合、黄色味が付きにくいベンゾオキサジノン系化合物が用途上、好適に使用される。ベンゾオキサジン系化合物の具体例としては、例えば、2,2−(1,4−フェニレン)ビス[4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン]が挙げられる。
本発明の離型フィルムを構成するポリエステルフィルムにおいて、光線透過率を調整する手法として、上述の各手法を単独で使用してもよいし、2種類以上の手法を組み合わせて使用してもよい。
次に本発明における離型層の形成について説明する。本発明の離型フィルムを構成する離型層とは、離型性を有する層のことを指す。
また、本発明の離型フィルムを構成する離型層は離型性を良好とするために硬化型シリコーン樹脂を含有するのが好ましい。硬化型シリコーン樹脂を主成分とするタイプでもよいし、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂等の有機樹脂とのグラフト重合等による変性シリコーンタイプ等を使用してもよい。
硬化型シリコーン樹脂の種類としては付加型・縮合型・紫外線硬化型・電子線硬化型・無溶剤型等、何れの硬化反応タイプでも用いることができる。具体例を挙げると、信越化学工業(株)製KS−774、KS−775、KS−778、KS−779H、KS−847H、KS−856、X−62−2422、X−62−2461、X−62−1387、X−62−5039、X−62−5040、KNS−3051、X−62−1496、KNS320A、KNS316、X−62−1574A/B、X−62−7052、X−62−7028A/B、X−62−7619、X−62−7213;モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ製YSR−3022、TPR−6700、TPR−6720、TPR−6721、TPR6500、TPR6501、UV9300、UV9425、XS56−A2775、XS56−A2982、UV9430、TPR6600、TPR6604、TPR6605;東レ・ダウコ−ニング(株)製SRX357、SRX211、SD7220、SD7292、LTC750A、LTC760A、LTC303E、SP7259、BY24−468C、SP7248S、BY24−452、DKQ3−202、DKQ3−203、DKQ3−204、DKQ3−205、DKQ3−210等が例示される。さらに離型層の剥離性等を調整するために剥離コントロール剤を併用してもよい。
本発明の離型フィルムにおいては、使用上、次工程において、離型層の上には、さらに粘着剤層が設けられる構成を想定する。離型フィルムの異物検査を容易にするために、離型フィルムの離型層と粘着剤層との屈折率差が0.10未満であることが好ましい。当該屈折率差に関して、好ましくは0.05以下、さらに好ましくは0.01以下である。
本発明の離型フィルムは、離型層と粘着剤層との屈折率差が0.10未満であることによって、離型層と粘着剤層との界面における屈折率差が小さくなるため、光干渉を抑制することが可能となる。
粘着剤層に使用する樹脂組成によって粘着剤層の屈折率は変動するが、離型層の屈折率は粘着剤層に対応して調整することが望ましい。具体的には離型層の屈折率は1.45〜1.50の範囲に調整するのが好ましい。
ここで本発明における粘着剤層とは、粘着性を有する材料から構成される層を意味し、本発明における主旨を損なわない範囲において、シリコーン系粘着剤、アクリル系粘着剤等、従来から公知の材料を用いることができる。
離型層として、例えば硬化型シリコーン樹脂を用いた場合、硬化型シリコーン樹脂単独では屈折率が1.40前後であるため、屈折率を上記した値となるように向上させる必要性が生じる。
そこで、本発明においては、離型層の屈折率を上記範囲に調整する為に、離型層中に
金属酸化物粒子を含有することが必須である。
高屈折率の金属酸化物粒子としては、TiO、ZrO、ZnO、CeO、SnO、Sb、インジウムドープ酸化錫(ITO)、リンドープ酸化錫(PTO)、Y、La、Al、などが挙げられる。これらの金属酸化物粒子は単独でもよく、2種類以上を併用してもよい。分散安定性や屈折率調整の観点から、酸化チタン粒子(TiO)もしくは酸化ジルコニウム粒子(ZrO)を用いるのが、本発明の用途上、好ましい。
また、金属酸化物粒子の平均一次粒径は5nm以上70nm以下が重要である。前記平均一次粒径を満足する金属酸化物粒子を含有することで、所望する高屈折率を有する離型層を形成することが可能となる。
尚、平均粒径の測定に関しては、離型フィルム小片をエポキシ樹脂にて固定成型した後、ミクロトームで切断し、離型フィルムの断面を透過型電子顕微鏡にて観察する。フィルム断面中に観察される粒子の最大径(a)とそれと直交する径(b)とを計測し、下記式から一個の粒子の一次粒径を算出した。500個の粒子についてそれぞれ測定し、その相加平均を粒子の平均一次粒径とする。
一個の粒子の一次粒径=(a+b)/2
また、金属酸化物粒子の含有量は通常0.01〜30重量%、好ましくは1〜25重量%、さらに好ましくは3〜15重量%である。当該含有量が0.01重量%未満では、離型層の屈折率を十分に向上させることが困難である。一方、30重量%を超える場合には、塗布層と基材との密着性低下等の不具合を生じる。
また、金属酸化物粒子は予めシラン化合物などによって表面処理した粒子を用いるのが好ましい。前記粒子を用いることで、離型層を塗布する時の粒子の分散性が良好となり、離型層とポリエステルフィルムとの十分な密着性を得ることができる点で好ましい。
続いて、本発明におけるポリエステルフィルムの製造例について具体的に説明するが、以下の製造例に何ら限定されるものではない。
まず、先に述べたポリエステル原料を使用し、ダイから押し出された溶融シートを冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る方法が好ましい。この場合、シートの平面性を向上させるためシートと回転冷却ドラムとの密着性を高める必要があり、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。
次に得られた未延伸シートは二軸方向に延伸される。二軸方向に延伸する方法として、逐次二軸延伸法または同時二軸延伸法が挙げられる。逐次二軸延伸法の場合、まず、前記未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃であり、延伸倍率は通常2.5〜7倍、好ましくは3.0〜6倍である。次いで、一段目の延伸方向と直交する延伸温度は通常70〜170℃であり、延伸倍率は通常3.0〜7倍、好ましくは3.5〜6倍である。そして、引き続き180〜270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る。上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。
また、本発明におけるポリエステルフィルムの製造に関しては同時二軸延伸法を採用することもできる。同時二軸延伸法は前記の未延伸シートを通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃で温度コントロールされた状態で機械方向および幅方向に同時に延伸し配向させる方法で、延伸倍率としては、面積倍率で4〜50倍、好ましくは7〜35倍、さらに好ましくは10〜25倍である。そして、引き続き、170〜250℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸延伸フィルムを得る。上述の延伸方式を採用する同時二軸延伸装置に関しては、スクリュー方式、パンタグラフ方式、リニアー駆動方式等、従来から公知の延伸方式を採用することができる。
本発明において、ポリエステルフィルムに離型層を設ける方法として、上述の塗布延伸法(インラインコーティング)等のフィルム製造工程内において、ポリエステルフィルム上に設けられてもよく、一旦製造したフィルム上に系外で塗布する、いわゆるオフラインコーティングを採用してもよく、何れの手法を採用してもよい。
塗布延伸法(インラインコーティング)については以下に限定するものではないが、例えば、逐次二軸延伸においては特に1段目の延伸が終了して、2段目の延伸前にコーティング処理を施すことができる。塗布延伸法によりポリエステルフィルム上に離型層が設けられる場合には、延伸と同時に塗布が可能になると共に離型層の厚みを延伸倍率に応じて薄くすることができ、ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造できる。
またオフラインコーティングについては以下に限定するものではないが、リバースグラビアコート、ダイレクトグラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、カーテンコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。塗工方式に関しては「コーティング方式」槇書店 原崎勇次著 1979年発行に記載例がある。
本発明において、ポリエステルフィルム上に離型層を形成する際の硬化条件に関しては特に限定されるわけではなく、オフラインコーティングにより離型層を設ける場合、通常、120〜200℃で3〜40秒間、好ましくは100〜180℃で3〜40秒間を目安として熱処理を行うのが良い。また、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。尚、活性エネルギー線照射による硬化のためのエネルギー源としては、従来から公知の装置,エネルギー源を用いることができる。
また、離型フィルムを構成するポリエステルフィルムには、予めコロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。
離型層の塗工量は塗工性の面から、通常0.005〜1g/m、好ましくは0.005〜0.5g/mの範囲である。塗工量が0.005g/m未満の場合、塗工性の面より安定性に欠け、均一な塗膜を得るのが困難になる場合がある。一方、1g/mを超えて厚塗りにする場合には離型層自体の塗膜密着性、硬化性等が低下する場合がある。
かくして得られた離型層に関して、アクリル系粘着テープ(日東電工製No.502粘着テープ)と離型層との剥離力(F)が10〜200mN/cm、好ましくは10〜100mN/cmの範囲であるのが、本発明の用途上好ましい。前記範囲を外れる場合には、本来剥離する必要のない場面において、容易に剥離する、或いは剥離する必要がある場面において、剥離困難になる等の不具合を生じる場合がある。
本発明の離型フィルムは、可視光領域における光線透過率制御のため、380nm〜500nmの波長領域における光線透過率は10%以下である必要があり、好ましくは5%以下、最も好ましくは2%以下である。前記光線透過率が10%を超える場合には、離型フィルムの離型層上に硬化性樹脂層を塗布させて、乾燥させた後に、異物検査をする際に、視認性が不十分なため、異物検査が困難になる。
本発明において、「光線透過率」とは測定波長の範囲における光線透過率の最大値を意味するものと定義する。
また、本発明の離型フィルムが貼り合わされる粘着剤層の厚み(乾燥後)は、好ましくは10〜200μm、より好ましくは20〜150μmである。粘着剤層の厚み(乾燥後)が20μm未満の場合、所望する粘着力を得るのが困難な場合がある。一方、粘着剤層の厚み(乾燥後)が200μmを超える場合には、粘着剤層の硬化が不十分になり、作業性低下等の不具合を生じる場合がある。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いた測定法は次のとおりである。
(1)ポリエステルの固有粘度の測定
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)平均粒径(d50:μm)の測定
試料フィルム中の粒子に関して、遠心沈降式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所社製SA−CP3型)を使用して測定した等価球形分布における積算(重量基準)50%の値を平均粒径とした。
(3)粒子の平均一次粒径
離型フィルム小片をエポキシ樹脂にて固定成型した後、ミクロトームで切断し、離型フィルムの断面を透過型電子顕微鏡にて観察した。フィルム断面中に観察される粒子の最大径(a)とそれと直交する径(b)とを計測し、下記式から一個の粒子の一次粒径を算出した。500個の粒子についてそれぞれ測定し、その相加平均を粒子の平均一次粒径とした。
一個の粒子の一次粒径=(a+b)/2
(4)離型フィルムの光線透過率測定
島津製作所社製 分光光度計UV3100により、スキャン速度を「低速」、サンプリングピッチを2nm、380〜500nmの波長領域で連続的に光線透過率を測定し、その最大値を光線透過率とした。
(5)離型フィルムの遮光性評価
(4)項で得られた光線透過率の測定結果を用いて、下記判定基準により、判定を行った。
《判定基準》
A:光線透過率の最大値が10%未満(実用可能なレベル)
B:光線透過率の最大値が10%以上(実用困難なレベル)
(6)離型フィルムの剥離力(F)測定
離型フィルムの離型層表面に両面粘着テープ(日東電工製「No.502」)の片面を貼り付けた後、50mm×300mmのサイズにカットし、室温にて1時間放置後の剥離力を測定した。剥離力は引張試験機((株)インテスコ製「インテスコモデル2001型」)を使用し、引張速度300mm/分の条件下、180°剥離を行った。
(7)異物検査の容易性評価(実用特性代用評価)
離型フィルムの離型層上に下記組成から構成される紫外線硬化型樹脂組成物を120℃、30秒間熱風乾燥した後、厚み(乾燥後)が20μmになるように塗布した。その後、樹脂塗布面側より、120mJ/cmの照射量で紫外線照射を施し、紫外線硬化型樹脂層を得た。次いで、離型フィルムを剥離した。加工適性に関して、下記判定基準により、判定を行なった。
《紫外線硬化型樹脂組成》
紫外線硬化型樹脂:
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬製:DPHA) 60重量部
光重合開始剤:2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ
プロパン−1−オン(チバスペシャリティケミカルズ(株):イルガキュア903)3重量部
トルエン 600重量部
《判定基準》
A:剥離性良好である。(実用可能なレベル)
B:剥離性が若干劣る場合がある。(実用可能なレベル)
C:紫外線硬化型樹脂層から離型フィルムを剥離する際に剥離困難になる。(実用困難なレベル)
(8)総合評価
離型フィルムの各項目における評価結果を元に下記判定基準により、判定を行なった。
《判定基準》
A:光線透過率が5%以下、異物検査が容易。(実用可能なレベル。特に良好)
B:光線透過率が10%以下、異物検査が容易。(実用可能なレベル)
C:光線透過率が10%を超える、或いは異物検査が容易に出来ない。(実用困難なレベル)
実施例および比較例において使用したポリエステルは、以下のようにして準備したものである。以下において「部」とは「重量部」を意味する。
<ポリエステルの製造>
(製造例1(ポリエチレンテレフタレートA))
ジメチルテレフタレート100部、エチレングリコール60部および酢酸マグネシウム・4水塩0.09部を反応器にとり、加熱昇温すると共にメタノールを留去し、エステル交換反応を行い、反応開始から4時間を要して230℃に昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。次いで、エチルアシッドフォスフェート(エチレングリコールスラリー)0.04部、三酸化アンチモン0.03部、平均粒径1.5μmのシリカ粒子を0.01部添加した後、100分で温度を280℃、圧力を15mmHgに到達させ、以後も徐々に圧力を減じ、最終的に0.3mmHgとした。4時間後、系内を常圧に戻し、固有粘度0.61のポリエチレンテレフタレートAを得た。
(製造例2(ポリエチレンテレフタレートB))
製造例1において製造したポリエチレンテレフタレートAを99.3部と一次粒径20nmのカーボンブラック粒子0.6部とをドライブレンドし、二軸混練押出機を用いて押出し、ポリエチレンテレフタレートBを得た。得られたポリエチレンテレフタレートBの固有粘度は、0.60であった。
(製造例3(ポリエチレンテレフタレートC))
製造例1において製造したポリエチレンテレフタレートAをベント付き二軸押出機に供して、紫外線吸収剤として2,2−(1,4−フェニレン)ビス[4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン](CYTEC社製 CYASORB UV−3638 分子量 369 ベンゾオキサジン系)を10重量%濃度となるように供給して溶融混練りしてチップ化を行い、紫外線吸収剤マスターバッチポリエチレンテレフタレートCを作成した。得られたポリエチレンテレフタレートCの固有粘度は、0.59であった。
(製造例4(ポリエチレンテレフタレートD))
製造例1において製造したポリエチレンテレフタレートAを97.5部と平均一次粒径0.35μmの酸化チタン粒子2.5部とをドライブレンドし、二軸混練押出機を用いて押出し、ポリエチレンテレフタレートDを得た。得られたポリエチレンテレフタレートDの固有粘度は、0.61であった。
(製造例5(ポリエチレンテレフタレートE))
製造例1において製造したポリエチレンテレフタレートAを99.3部と一次粒径20nmのカーボンブラック粒子0.05部とをドライブレンドし、二軸混練押出機を用いて押出し、ポリエチレンテレフタレートEを得た。得られたポリエチレンテレフタレートEの固有粘度は、0.60であった。
(実施例1)
製造例2で製造したポリエチレンテレフタレートBを180℃で4時間、不活性ガス雰囲気中で乾燥し、溶融押出機により290℃で溶融し、口金から押出し静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して未延伸シートを得た。得られた未延伸シートを95℃で延伸倍率をMD方向に3.6倍延伸した後、テンターに導き、TD方向に4.3倍の逐次二軸延伸を行った。その後、230℃にて3秒間熱固定し、厚さ50μmのPETフィルムを得た。次にオフラインにて、下記離型剤組成からなる離型剤を塗工量が0.1g/mになるようにリバースグラビアコート方式により塗布した。次いで、180℃、10秒間で乾燥させた後に離型フィルムを得た。
《離型剤組成》
硬化型シリコーン樹脂(KS−778:信越化学製):89重量%
硬化剤(PL−50T:信越化学製): 1重量%
酸化ジルコニウム分散液SZR−CW(堺化学工業(株)製、
酸化ジルコニウム粒子:平均一次粒径20nm) :10重量%
上記離型剤をトルエン/MEK混合溶媒(混合比率=1:1)にて希釈し、固形分濃度2重量%の塗布液を得た。
(実施例2)
実施例1において、ポリエチレンテレフタレートBの1/2をポリエチレンテレフタレートCで置き換えた以外は実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。
(実施例3)
実施例1において、ポリエチレンテレフタレートBの代わりにポリエチレンテレフタレートDを用いた以外は実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。
(実施例4)
実施例1において、離型剤組成が下記離型剤組成と異なる以外は実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。
《離型剤組成》
硬化型シリコーン樹脂(KS−778:信越化学製):89重量%
硬化剤(PL−50T:信越化学製): 1重量%
TiOスラリー(シーアイ化成(株)“NanoTek”、平均一次粒径20nm):10重量%
上記離型剤をトルエン/MEK混合溶媒(混合比率=1:1)にて希釈し、固形分濃度2重量%の塗布液を得た。
(実施例5)
実施例1において、離型剤組成が下記離型剤組成と異なる以外は実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。
《離型剤組成》
硬化型シリコーン樹脂(KS−778:信越化学製):74重量%
硬化剤(PL−50T:信越化学製): 1重量%
酸化ジルコニウム分散液SZR−CW(堺化学工業(株)製、
酸化ジルコニウム粒子:平均一次粒径50nm) :25重量%
上記離型剤をトルエン/MEK混合溶媒(混合比率=1:1)にて希釈し、固形分濃度2重量%の塗布液を得た。
(実施例6)
実施例1において、ポリエチレンテレフタレートBの代わりにポリエチレンテレフタレートEを用い、離型層の組成を表1に示す通りに変更する以外は実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。
(比較例1)
実施例1において、ポリエチレンテレフタレートBの代わりにポリエチレンテレフタレートAを用いる以外は実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。
(比較例2)
実施例1において、離型剤組成が下記離型剤組成と異なる以外は実施例1と同様にして製造し、離型フィルムを得た。
《離型剤組成》
硬化型シリコーン樹脂(KS−778:信越化学製):99重量%
硬化剤(PL−50T:信越化学製): 1重量%
上記離型剤をトルエン/MEK混合溶媒(混合比率=1:1)にて希釈し、固形分濃度2重量%の塗布液を得た。
上記実施例および比較例で得られた離型フィルムの特性を表1に示す。
Figure 2018015963
本発明の離型フィルムを各種部材の検査に用いた場合、良好な遮光性だけでなく、異物検査が容易であり、例えば、LCDバックライト、有機EL、無機EL等、ディスプレイ用光学部材製造時の検査用として好適に利用することができる。

Claims (4)

  1. 染料もしくは顔料を含有するポリエステルフィルムの片面に離型層が設けられた離型フィルムであり、
    当該離型層は、平均一次粒径が5〜70nmの金属酸化物粒子を0.01重量%〜30重量%含有し、かつ、
    380nm〜500nmの波長領域における光線透過率が10%以下であることを特徴とする粘着剤層保護用離型フィルム。
  2. 前記金属酸化物粒子が、酸化チタン粒子もしくは酸化ジルコニウム粒子である請求項1に記載の粘着剤層保護用離型フィルム。
  3. 前記顔料がカーボンブラック粒子である、請求項1又は2に記載の粘着剤層保護用離型フィルム。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載の粘着剤層保護用離型フィルムと、粘着剤層とを貼り合わせたフィルム積層体。
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