JP7151067B2 - 検査支持体用着色ポリエステルフィルム、検査支持体および遮光部材 - Google Patents
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Description
そのため、特に検査支持体として、より高度なレベルで、遮光性と反射防止性とを両立させたポリエステルフィルムが必要とされる状況にあった。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の着色ポリエステルフィルムは単層構成であっても2層以上の積層構成であってもよい。
本発明における前記着色剤が粒子状の場合、着色剤の一次粒径が0.001~3μmであるものを指す。前記一次粒径は、好ましくは0.005~2μm、より好ましくは0.01~1.5μmである。
前記一次粒径が0.001μm以上であることで、フィルム中における粒子が分散されるため、色ムラを抑制することができる。一方、3μm以下であることで、フィルム幅方向における遮光性能のばらつきが抑えられる。
当該含有量が0.01重量%以上であることで、十分に着色され、所望する遮光性を得ることができる。一方、10重量%以下であることで、生産性が十分に得られることができる。
着色ポリエステルフィルムに含有される染料としては、天然染料と合成染料に分類することができ、天然染料としては、インジゴ(藍)等が代表される。合成染料としては、アゾ染料、アントラキノン染料、インジゴイド染料、硫化染料、トリフェニルメタン染料、ピラゾロン染料、スチルベン染料、ジフェニルメタン染料、キサンテン染料、アリザリン染料、アクリジン染料、キノンイミン染料(例えば、アジン染料、オキサジン染料、チアジン染料)、チアゾール染料、メチン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、シアニン色素などが挙げられる。
また、カーボンブラック粒子の一次粒径が100nm以下とすることで、フィルム幅方向における遮光性能のばらつきが抑えられる場合がある。
本発明の着色ポリエステルフィルムは、平均粒径が3.5μm以上の粒子が含まれることによって、着色ポリエステルフィルム表面の粗面化による光散乱性およびフィルム搬送適性を付与することができる。
着色ポリエステルフィルムの作製にあたり、着色剤のみでは着色剤自体の波長依存性による影響が大きくなる。たとえ着色剤の含有量を大きくしても、全ての検査波長領域(400nm~800nm)において高いレベルでの遮光性および反射防止性を保持することは困難である。そこで、着色ポリエステルフィルムに着色剤および平均粒径が3.5μm以上の粒子を含有することによって、全ての検査波長領域(400nm~800nm)での遮光性および反射防止性を保持することが可能となる。
中でも汎用的に用いることが可能な点で、シリカ粒子がより好ましい。
一方、前記粒子の平均粒径の上限は特に限定はされないが、20μm以下がより好ましく、10μm以下がさらに好ましい。平均粒径が20μm以下であることで、着色ポリエステルフィルムの搬送中に前記粒子の脱落が抑制される。
透過濃度=log(100/光線透過率)
前記絶対反射率、前記ΔRは、着色剤の種類および含有量、粒子の平均粒径および含有量などを調整することによって達成することができる。
また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた前記着色剤および前記粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または、混練押出機を用い、乾燥させた前記着色剤および前記粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
逐次二軸延伸の場合、最初に前記未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、好ましくは70~120℃、より好ましくは80~110℃であり、延伸倍率は好ましくは2.5~7倍、より好ましくは3.0~6倍である。次いで、一段目の延伸方向と直交する方向に延伸する。延伸温度は通常70~170℃であり、延伸倍率は好ましくは3.0~7倍、より好ましくは3.5~6倍である。そして、引き続き180~270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る。前記二軸延伸において、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。
塗布延伸法により着色ポリエステルフィルム上に塗布層が設けられる場合には、延伸と同時に塗布が可能になると共に塗布層の厚さを延伸倍率に応じて薄くすることができ、着色ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造できる。
続いて、検査支持体について説明する。本発明における検査支持体とは、着色ポリエステルフィルムに粘着剤層を積層させた積層体を指す。
ポリエステルに非相溶な他のポリマー成分および顔料を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
遠心沈降式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所社製SA-CP3型)を使用して測定した等価球形分布における積算(重量基準)50%の値を平均粒径とした。
試料フィルム小片をエポキシ樹脂にて固定成型した後、ミクロトームで切断し、フィルムの断面を透過型電子顕微鏡にて観察した。フィルム断面中に観察される着色剤の最大径(a)とそれと直交する径(b)とを計測し、下式から一次粒径を求めた。ランダムに抽出された500個の着色剤について同様の測定を行い、相加平均を着色剤の一次粒径とした。
一次粒径=(a+b)/2
試料フィルムを厚み計(Mahr社製、Mahr 1301, Millimar 1240)によって測定した。
表面粗さ測定機(小坂研究所製、SE3500)を用い、JIS-B-0601-1994の方法に準じてRaを測定した。なおカットオフ値は80μmとして測定した。
紫外可視赤外分光光度計(日本分光社製、V-670)により、偏光子をN偏光、入射角を5°、走査速度を1000nm/min、データ取り込み間隔を1.0nmとし、波長300nm~800nm領域で連続的に絶対反射率を測定した。測定結果から波長400nm、500nm、600nm、700nm、800nmにおける絶対反射率を抽出した。また、波長400nm~800nmにおける、絶対反射率の最大値と最小値を抽出し、その差をΔRとした。
ポータブル白黒透過濃度計(伊原電子工業社製、Ihac-T5)を用いて、得られたフィルム単枚の透過濃度を測定した。得られた透過濃度の測定値は、下記評価基準により遮光性の評価を行った。
《評価基準》
A:透過濃度が2.0以上(実用上好ましいレベル)
B:透過濃度が1.0以上2.0未満(実用可能なレベル)
C:透過濃度が1.0未満(実用困難なレベル)
ラビングテスター(大平理化工業社製)にて、平坦なステンレス(SUS)板(50mm×70mm)を取り付けたアームの総重量を725g、走査速度6m/min、往復回数10回とし、平坦なSUS板と、操作板側に固定した着色ポリエステルフィルム(200mm×100mm)とを擦り合わせた後、着色ポリエステルフィルム表面に入った傷を評価した。ここで述べる傷とは、フィルムに折れ目が入るほどきつい状態であるものを指す。下記評価基準により耐傷性の評価を行った。
《評価基準》
A:傷は全く入らない。(実用上好ましいレベル)
B:1つ以上の傷が入る。(実用困難なレベル)
光源としてA光源(タングステン電球)、C光源(平均昼光相当の光源)、レーザー発信源としてアルゴンレーザー(スペクトラフィジック社製、波長:514.5nm)、ルビーレーザー(アポロ社製、波長:694nm)、YAGレーザー励起色素レーザー(コンテニュアム社、可変波長域:420~560nm「THG励起」)、YAGレーザー励起色素レーザー(550~740nm「SHG励起」)の計6つの光源、発信源のランプまたはレーザーを使用した検出機((株)メック社製、LSC-6000)を用い、検査支持体の上に樹脂シートを設けた積層体の欠点検出を行った。下記評価基準により検査適性の評価を行った。
《判定基準》
A:全ての検出機で検査が可能である。(実用上好ましいレベル)
B:1つでも検査できないことがある。(実用困難なレベル)
試料フィルムの各項目における評価結果を元に下記評価基準により評価を行った。
《評価基準》
○:遮光性、耐傷性、検査適性のすべてが実用上好ましい、もしくは実用可能なレベルにある。
×:遮光性、耐傷性、検査適性のうち、いずれか1つでも実用困難なレベルのものがある。
製造例1(ポリエチレンテレフタレートA)
ジメチルテレフタレート100重量部、エチレングリコール60重量部および酢酸マグネシウム4水塩0.09重量部を反応器にとり、加熱昇温すると共にメタノールを留去し、エステル交換反応を行い、反応開始から4時間を要して230℃に昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。次いで、エチルアシッドフォスフェートのエチレングリコールスラリーを0.04重量部、三酸化アンチモンを0.03重量部添加した後、100分で温度を280℃、圧力を15mmHgに達せしめ、以後も徐々に圧力を減じ、最終的に0.3mmHgとした。4時間後、系内を常圧に戻し、極限粘度が0.65dl/gのポリエチレンテレフタレートAを得た。
製造例1において製造したポリエチレンテレフタレートAを80重量部と一次粒径20nmのカーボンブラック粒子20重量部とをドライブレンドし、二軸混練押出機を用いて押出し、ポリエチレンテレフタレートBを得た。得られたポリエチレンテレフタレートBの極限粘度は0.58dl/gであった。
エステル交換反応開始から4時間を要して240℃に昇温した以外は、製造例1と同様の方法でポリエチレンテレフタレートC’を得た。前記ポリエチレンテレフタレートC’を96.5重量部と平均粒径4.1μmのシリカ粒子3.5重量部とをドライブレンドし、二軸混練押出機を用いて押出し、ポリエチレンテレフタレートCを得た。得られたポリエチレンテレフタレートCの極限粘度は、0.70dl/gであった。
製造例1において製造したポリエチレンテレフタレートAを98.75重量部と平均粒径3.2μmのシリカ粒子1.25重量部とをドライブレンドし、二軸混練押出機を用いて押出し、ポリエチレンテレフタレートDを得た。得られたポリエチレンテレフタレートDの極限粘度は、0.64dl/gであった。
上記ポリエチレンテレフタレートA、B、Cをそれぞれ87重量%、5重量%、8重量%の割合で混合した原料を、溶融押出機により溶融押出し、冷却したキャスティングドラム上に、シートを共押出し冷却固化させて、単層の無配向シートを得た。次いで、機械方向(縦方向)に86℃で3.3倍延伸した後、さらにテンター内で予熱工程を経て機械方向と垂直方向(横方向)に115℃で4.3倍延伸した。二軸延伸をした後は、235℃で3秒間の熱処理を行い、その後に幅方向に2.0%の弛緩処理を行い、厚さ38μmの着色ポリエステルフィルムを得た。
次にオフラインにて、下記粘着剤組成物からなる粘着剤層を塗布量(乾燥後)が25g/m2になるようにリバースグラビアコート方式により塗布、次いで、100℃、5分間乾燥させた後、検査支持体を得た。評価結果は下表2に示す。
《粘着剤組成物》
常法により、酢酸エチル中でブチルアクリレート(100重量部)、アクリル酸6重量部)を共重合して重量平均分子量60万(ポリスチレン換算)のアクリル系共重合体の溶液(固形分30重量%)を得た。アクリル系共重合体100重量部(固形分)に対し、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート、0.2重量部、エポキシ系架橋剤であるテトラッドC(三菱瓦斯化学製)6重量部を添加し粘着剤組成物を得た。
着色ポリエステルフィルムの原料配合を表1の通りに変更する以外は実施例1と同様にして製造し、検査支持体を得た。評価結果は下表2に示す。
上記ポリエチレンテレフタレートAおよびDを86重量%、14重量%の割合でそれぞれ混合した原料を表層用の原料とし、ポリエチレンテレフタレートAを100重量%としたものを中間層用の原料とした。それぞれ異なる溶融押出機により溶融押出し、冷却したキャスティングドラム上に、シートを共押出し冷却固化させて、2種3層積層(表層/中間層/表層)の無配向シートを得た。次いで、機械方向(縦方向)に86℃で3.3倍延伸した後、さらにテンター内で予熱工程を経て機械方向と垂直方向(横方向)に115℃で4.3倍延伸した。二軸延伸をした後は、235℃で3秒間の熱処理を行い、その後に幅方向に2.0%の弛緩処理を行い、厚さ38μmの着色ポリエステルフィルムを得た。
次にオフラインにて実施例1と同様に粘着剤層を積層させて、検査支持体を得た。評価結果は下表2に示す。
Claims (8)
- ポリエステル、着色剤および平均粒径が3.5μm以上の粒子を含む樹脂組成物からなり、
該ポリエステルが、80モル%以上がエチレンテレフタレート単位であるポリエステルであり、
該粒子が、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン、及び耐熱性有機粒子から選ばれる1種以上であり、
該粒子の含有量が0.01~5重量%であり、
透過濃度が1.0以上、かつ、400nm~800nmの波長領域における絶対反射率が5.0%以下であることを特徴とする検査支持体用着色ポリエステルフィルム。 - 前記着色剤がカーボンブラック粒子である請求項1に記載の検査支持体用着色ポリエステルフィルム。
- 前記着色剤の含有量が0.01~10重量%である請求項1または2に記載の検査支持体用着色ポリエステルフィルム。
- 少なくとも一方の表面の算術平均粗さ(Ra)が80nm以上である請求項1~3のいずれかに記載の検査支持体用着色ポリエステルフィルム。
- 400nm~800nmの波長領域における絶対反射率の最大値と最小値の差(ΔR)が1.0%以下である請求項1~4のいずれかに記載の検査支持体用着色ポリエステルフィルム。
- 前記ポリエステルがポリエチレンテレフタレートである請求項1~5のいずれかに記載の検査支持体用着色ポリエステルフィルム。
- 請求項1~6のいずれかに記載の検査支持体用着色ポリエステルフィルムと粘着剤層とを積層させた検査支持体。
- 請求項1~6のいずれかに記載の検査支持体用着色ポリエステルフィルムを用いた遮光部材。
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