JP2018013162A - フォイル軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】フォイル軸受の負荷容量を高める。【解決手段】フォイル軸受1は、軸受面Xを有するトップフォイル部21と、トップフォイル部21を背後から支持する第一バックフォイル部22と、第一バックフォイル部22を背後から支持するベース面Bとを備え、相対回転する軸2と軸受面Xとの間の軸受隙間Cに生じる流体圧力で、軸2を非接触支持する。ベース面Bには凹部B1が設けられる。第一バックフォイル部22の上流側領域S1は、ベース面Bの凹部B1に嵌まり込み可能とされる。第一バックフォイル部22の下流側領域S2の凹部B1への嵌まり込みを規制する規制部A(第二バックフォイル部23)を有する。【選択図】図11

Description

本発明は、フォイル軸受に関する。
フォイル軸受は、可撓性を有する金属薄板(フォイル)で軸受面を構成するものであり、フォイルが撓むことにより、軸の回転速度や荷重、周囲温度等の運転条件に応じて軸受隙間が適切な幅に自動調整されるという特徴を有する。
例えば下記の特許文献1には、スラスト荷重を支持するスラストフォイル軸受の一例として、バンプ型と呼ばれるフォイル軸受が開示されている。このフォイル軸受は、図18に示すように、トップフォイル114と、トップフォイル114を背後から弾性的に支持する波形のバックフォイル112(バンプフォイル)と、トップフォイル114およびバックフォイル112が取り付けられたベースプレート110とを有する。軸が回転すると、トップフォイル114の軸受面114aとスラストカラー115との間に、下流側に行くにつれて隙間幅を小さくした楔状の軸受隙間Cが形成される。そして、軸受隙間Cの流体が軸受隙間Cの大隙間部C1から小隙間部C2に押し込まれることにより流体圧力が高められ、スラストカラー115が非接触支持される。
実開昭61−36725号公報
しかし、上記のフォイル軸受では、波形のバックフォイルを形成する必要があるため、コストがかかる。特に、上記のフォイル軸受では、楔状の軸受隙間Cを形成するために、バックフォイル112の高さが下流側に行くにつれて徐々に高くなっているため、バックフォイル112の設計が複雑となる。
そこで、本発明は、楔状の軸受隙間を形成するフォイル軸受を低コストに提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明は、軸受面を有するトップフォイル部と、前記トップフォイル部を背後から支持する第一バックフォイル部と、前記第一バックフォイル部を背後から支持するベース面とを備え、相対回転する軸と前記軸受面との間の軸受隙間に生じる流体圧力で、前記軸を非接触支持するフォイル軸受において、前記ベース面に凹部を設け、前記第一バックフォイル部の上流側領域を前記ベース面の凹部に嵌まり込み可能とし、前記第一バックフォイル部の下流側領域の前記凹部への嵌まり込みを規制する規制部を有する。
尚、「下流側」とは、軸の相対回転時における、トップフォイル部に対する流体の流れ方向下流側のことを言い、その反対側を「上流側」と言う。
上記のフォイル軸受では、軸の相対回転に伴って軸受隙間の流体圧力が高まると、トップフォイル部及び第一バックフォイル部がベース面側に押し込まれる。このとき、第一バックフォイル部の上流側領域がベース面の凹部に嵌まり込み可能であることにより、この領域で支持されるトップフォイル部の上流側領域は、ベース面側に押し込まれやすい(すなわち、軸受隙間で生じる流体圧力に対する剛性が小さい)。一方、第一バックフォイル部の下流側領域は、規制部によりベース面の凹部への嵌まり込みが規制されるため、この領域で支持されるトップフォイル部の下流側領域は、上流側領域と比べてベース面側に押し込まれにくい(すなわち、軸受隙間で生じる流体圧力に対する剛性が大きい)。その結果、軸受隙間の流体圧力により、トップフォイル部の上流側領域が下流側領域よりもベース面側に押し込まれて、トップフォイル部が下流側に行くにつれて軸側に湾曲し、トップフォイル部の軸受面と軸との間に楔状の軸受隙間が形成される。以上のように、本発明によれば、上記特許文献1に示されているような、下流側に行くにつれて高さが高くなる波形のバックフォイルを設けることなく、楔状の軸受隙間を形成することができる。
上記のフォイル軸受では、例えば、前記ベース面と前記第一バックフォイル部の下流側領域との間に、前記規制部として機能する第二バックフォイル部を配することができる。この場合、第二バックフォイル部を介在させた分だけ、第一バックフォイル部がベース面から離反するため、トップフォイル部の上流側領域と下流側領域との段差が大きくなり、楔状の軸受隙間が形成されやすくなる。
上記のフォイル軸受は、前記トップフォイル部、前記第一バックフォイル部、及び前記第二バックフォイル部を一体に有するフォイル部材を備えることが好ましい。この場合、各フォイル部を別個に形成する場合と比べ、加工工数及び組立工数が削減され、製造コストを低減できる。
上記のフォイル軸受では、前記第一バックフォイル部のうち、軸の相対回転方向と直交する方向(以下、「回転直交方向」と言う。)の中間部に、前記トップフォイル部と接触しない非接触部を設けることが好ましい。この場合、トップフォイル部の回転直交方向中間部は、背後に第一バックフォイル部の非接触部が配されるため、第一バックフォイル部で接触支持されない。従って、軸受隙間の流体圧力が高められると、トップフォイル部の回転直交方向中間部には、その両側よりもベース面側に凹んだ凹部が形成される。これにより、軸受隙間を流れる流体がトップフォイル部の回転直交方向中間部の凹部に集められ、軸受隙間の流体圧力がさらに高められる。
具体的には、例えば、前記第一バックフォイル部に、軸の相対回転方向と直交する方向に離隔した一対の側部と、前記一対の側部の下流側端部同士を連結する連結部とを設け、前記一対の側部と前記連結部とで囲まれた領域に、前記非接触部としての穴を形成することができる。この場合、トップフォイル部のうち、前記凹部の下流側に隣接した領域が、第一バックフォイル部の連結部で背後から支持されるため、この領域に、凹部よりも軸に近接する側(軸受隙間を狭める側)に配された堰が設けられる。この堰により、凹部に集められた流体が下流側に抜けにくくなるため、軸受隙間の圧力がさらに高められる。
上記のフォイル軸受では、例えば、ベース面を、フォイルホルダと、前記フォイルホルダに取り付けられたベースフォイルとで形成し、ベース面の凹部を、前記ベースフォイルに設けられた穴で形成することができる。これにより、例えば、フォイルホルダに直接凹部を加工する場合と比べ、凹部を容易に形成することができる。
以上のように、本発明によれば、楔状の軸受隙間を形成するフォイル軸受を低コストに得ることができる。
本発明の一実施形態に係るフォイル軸受(スラストフォイル軸受)の断面図である。 上記フォイル軸受の一部を切り欠いた平面図である。 図2の切り欠いた部分を拡大して示す平面図である。 フォイル部材の平面図である。 ベースフォイルの平面図である。 複数のフォイル部材を仮組みする様子を示す斜視図である。 複数のフォイル部材の仮組体を軸受面側から見た平面図である。 上記仮組体を軸受面と反対側から見た平面図である。 上記仮組体の側面図である。 上記仮組体をベースフォイルの上に載置する様子を示す斜視図である。 上記フォイル軸受の断面図である。 (A)は、図11のU−U線における断面図である。(B)は、図11のV−V線における断面図である。(C)は、図11のW−W線における断面図である。 他の実施形態に係るフォイル部材の平面図である。 他の実施形態に係るベースフォイルの平面図である。 他の実施形態に係るフォイル軸受の断面図である。 (A)は、図15のY−Y線における断面図である。(B)は、図15のZ−Z線における断面図である。 他の実施形態に係るフォイル軸受(ラジアルフォイル軸受)の断面図である。 従来のフォイル軸受の断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明の第一実施形態に係るフォイル軸受1は、図1に示すように、軸2に設けられた円盤状のスラストカラー3との間に形成される空気膜で、軸2をスラスト方向に支持するスラストフォイル軸受である。フォイル軸受1は、円盤状のフォイルホルダ10と、複数のフォイル部材20と、フォイルホルダ10と複数のフォイル部材20との間に配されたベースフォイル30とを有する。図2に示すように、複数(図示例では8枚)のフォイル部材20は、軸2の回転方向(フォイルホルダ10の周方向。矢印R参照。)に並べられる。複数のフォイル部材20及びベースフォイル30は、フォイルホルダ10に取り付けられる。
フォイルホルダ10は、金属や樹脂等で形成される。フォイルホルダ10は、軸2が挿入される内孔10bを有する中空円盤状を成している(図1参照)。フォイルホルダ10の一方の端面10aにはベースフォイル30及び複数のフォイル部材20が取り付けられる。フォイルホルダ10の他方の端面10cは、フォイル軸受1が組み込まれる設備(例えばガスタービン等のターボ機械)のハウジングに固定される。
フォイル部材20は、ばね性に富み、かつ加工性のよい金属で形成され、例えば鋼や銅合金で形成される。フォイル部材20は、厚さ20μm〜200μm程度の金属薄板(フォイル)で形成される。本実施形態のように流体膜として空気を用いる空気動圧軸受では、雰囲気に潤滑油が存在しないため、ステンレス鋼もしくは青銅でフォイル部材20を形成するのが好ましい。
フォイル部材20は、図4に示すように、トップフォイル部21と、トップフォイル部21の下流側に設けられた第一バックフォイル部22と、トップフォイル部21の上流側に設けられた第二バックフォイル部23とを一体に有する。フォイル部材20は、フォイルにプレス加工(打ち抜き加工)や放電加工を施すにより、平板状に形成される。
トップフォイル部21は、略扇形を成し、表側(スラストカラー3側)の面に、凹凸の無い滑らかな軸受面Xを有する。複数のフォイル部材20をフォイルホルダ10に取り付けた状態では、各フォイル部材20のトップフォイル部21の軸受面Xが、周方向で連続的に設けられ、スラストカラー3と対向する面に露出している(図2参照)。
第一バックフォイル部22は、トップフォイル部21の下流側端部から下流側に延びる。第一バックフォイル部22は、略扇形の外形を有し、その周方向寸法及び半径方向寸法はトップフォイル部21よりも若干小さい。第一バックフォイル部22は、半径方向に離隔した一対の側部22aと、一対の側部22aの下流側端部同士を連結する連結部22bと、これらで囲まれた穴22cとを有する。穴22cは、第一バックフォイル部22を厚さ方向に貫通している。穴22cは、トップフォイル部21と接触しない非接触部として機能する(詳細は後述する)。
第二バックフォイル部23は、トップフォイル部21の上流側に設けられる。図示例では、第二バックフォイル部23が略扇形を成し、接続部24を介してトップフォイル部21と接続される。第二バックフォイル部23は、他のフォイル部材20の第一バックフォイル部22の凹部B1への嵌まり込みを規制する規制部Aとして機能する(詳細は後述する)。第二バックフォイル部23の半径方向寸法は、トップフォイル部21の半径方向寸法と等しい。第二バックフォイル部23の周方向寸法は、トップフォイル部21の周方向寸法よりも小さく、例えば1/2以下とされる。接続部24は、トップフォイル部21及び第二バックフォイル部23よりも半径寸法が小さい。接続部24と、トップフォイル部21と第一バックフォイル部22との接続部(境界)とは、異なる半径方向位置に設けられる。図示例では、接続部24が、第一バックフォイル部22の穴22cの半径方向領域内に設けられ、特に、第二バックフォイル部23の半径方向中央部に設けられる。
尚、第一バックフォイル部22や第二バックフォイル部23の形状は上記に限られない。例えば、第一バックフォイル部22の半径方向寸法をトップフォイル部21と等しくしてもよい。また、第二バックフォイル部23の半径方向寸法をトップフォイル部21よりも小さくしてもよい。
フォイル部材20は、フォイルホルダ10に固定するための固定部を有する。本実施形態では、トップフォイル部21の上流側端部から外径側に延びる延在部21aと、第二バックフォイル部23の下流側端部から外径側に延びる延在部23aとが、固定部として機能する。これらの延在部21a、23aが、ベースフォイル30と共に、フォイルホルダ10の端面10aに溶接等の適宜の手段で固定される。フォイル部材20のうち、トップフォイル部21と第二バックフォイル部23とを接続する接続部24は最も脆弱であるため、上記のように、接続部24の周方向両側に近接して固定部(延在部21a、23a)を設けることが好ましい。
尚、フォイル部材20の外径側及び内径側の双方に固定部を設けると、フォイル部材20とフォイルホルダ10とがほとんど相対移動しなくなるため、軸受隙間の自動調整機能や、フォイル部材20とフォイルホルダ10等との摺動による振動減衰機能が十分に発揮されないおそれがある。従って、フォイル部材20の外径側又は内径側の何れかのみに固定部を設けることが好ましい。特に、軸2との干渉を回避するためには、図示例のように、フォイル部材20の外径側のみに固定部を設けることが好ましい。
ベースフォイル30は、図5に示すように、環状を成した平坦なフォイルで形成される。ベースフォイル30には、複数の穴35が周方向等間隔に形成される。ベースフォイル30は、例えば、大径環状部31と、小径環状部32と、これらを半径方向に連結する複数の半径方向部33と、半径方向部33の半径方向中央から周方向に延びる周方向部34と、これらで区画された穴35とを有する。図示例では、各穴35が、フォイル部材20の第一バックフォイル部22と略同形状の略コの字形状を成している。具体的には、穴35が、半径方向に離隔した一対の周方向部35aと、一対の周方向部35aの下流側端部を連結する半径方向部35bとを有する。
ベースフォイル30は、金属薄板(フォイル)にプレス加工(打ち抜き加工)や放電加工を施すにより形成される。尚、図示例では、ベースフォイル30を放電加工で形成しやすくするために、小径環状部32が周方向で複数に分割されているが、小径環状部32を全周で連続させてもよい。
ベースフォイル30は、例えば、フォイル部材20と同じ厚さ及び同じ材質のフォイルで形成される。尚、ベースフォイル30の厚さや材質をフォイル部材20と異ならせてもよい。例えば、ベースフォイル30を、フォイル部材20よりも厚いフォイルで形成してもよい。
次に、フォイル軸受1の組立方法を説明する。
まず、図6に示すように、複数のフォイル部材20を連結する。具体的には、各フォイル部材20の第一バックフォイル部22の穴22cに、下流側に隣接するフォイル部材20の第二バックフォイル部23を表側(軸受面X側)から挿入する。そして、図7に示すように、隣接するフォイル部材20のトップフォイル部21の上流側端部と下流側端部とを略同じ周方向位置に配する。これにより、複数のフォイル部材20が連結された仮組体Mが形成される。尚、図6〜9では、理解しやすいように、各フォイル部材20を異なる色(濃さ)で示している。
図8に示すように、仮組体Mを構成する各フォイル部材20の第一バックフォイル部22は、下流側に隣接するフォイル部材20のトップフォイル部21の背後に配される。各フォイル部材20の第二バックフォイル部23は、上流側に隣接するフォイル部材20のトップフォイル部21の背後に配される。図9に示すように、各フォイル部材20のトップフォイル部21と、下流側に隣接するフォイル部材20の第二バックフォイル部23との間に、上流側に隣接するフォイル部材20の第一バックフォイル部22が配される。三枚のフォイル(トップフォイル部21、第一バックフォイル部22、第二バックフォイル部23)が重なった重合部Nは、トップフォイル部21の下流側寄りの位置に配される。具体的には、重合部Nの周方向中央部が、トップフォイル部21の周方向中央部よりも下流側に配される。
次に、図10に示すように、フォイルホルダ10(図示省略)の端面10a上にベースフォイル30を配置し、その上に、複数のフォイル部材20の仮組体Mを配置する。このとき、ベースフォイル30と、ベースフォイル30の穴35から露出したフォイルホルダ10の端面10aとで、フォイル部材20の第一バックフォイル部22及び第二バックフォイル部23を背後から支持するベース面Bが形成される。また、ベースフォイル30に設けられた穴35により、ベース面Bの凹部B1が形成される。凹部B1の底面は、フォイルホルダ10の端面10aで形成される。
図3に示すように、各フォイル部材20の第一バックフォイル部22の少なくとも上流側領域S1(図示例では全域)は、ベースフォイル30の穴35(凹部B1)と軸方向で重ねて配される。各フォイル部材20の第二バックフォイル部23は、ベースフォイル30の大径環状部31と小径環状部32とに半径方向で跨って設けられる。各フォイル部材20の第二バックフォイル部23は、ベースフォイル30の半径方向部33と周方向部34に周方向で跨って設けられる。すなわち、ベースフォイル30の穴35の下流側端部(半径方向部35b)を含む領域が、第二バックフォイル部23で覆われ、その上側(スラストカラー3側)に第一バックフォイル部22が配される。これにより、第二バックフォイル部23が、第一バックフォイル部22の下流側領域S2の凹部B1への嵌まり込みを規制する規制部Aとして機能し、第一バックフォイル部22の下流側領域S2が常にベース面Bよりも上側に配される。一方、第一バックフォイル部22の上流側領域S1とベース面Bとの間には、他のフォイルは介在していないため、第一バックフォイル部22の上流側領域S1は凹部B1(ベースフォイル30の穴35)に嵌まり込み可能とされる。
そして、各フォイル部材20の固定部(延在部21a、23a)と、ベースフォイル30の大径環状部31とを、溶接等の適宜の手段によりフォイルホルダ10の端面10aに固定する。以上により、フォイル軸受1が完成する。
図11に示すように、軸2及びスラストカラー3が周方向一方(矢印R方向)に回転すると、フォイル軸受1の各トップフォイル部21の軸受面Xとスラストカラー3の端面3aとの間の軸受隙間Cの流体圧力が高められ、各フォイル部材20がフォイルホルダ10側(図中下方)に押し付けられる。これにより、各トップフォイル部21の上流側領域(図11のU−U線付近)では、図12(A)に示すように、第一バックフォイル部22の上流側領域S1がベースフォイル30の穴35(凹部B1)に嵌まり込む。これに伴い、第一バックフォイル部22の上流側領域S1で支持されたトップフォイル部21の上流側領域が、ベース面B側に押し込まれる(矢印参照)。
一方、各トップフォイル部21の下流側領域、特に、第一バックフォイル部22及び第二バックフォイル部23と軸方向で重ねられた重合部N(図11のV−V線、W−W線付近)では、図12(B)、(C)に示すように、第一バックフォイル部22とベースフォイル30との間に、規制部Aとしての第二バックフォイル部23が介在している。このため、この領域では、軸2の回転に伴って軸受隙間Cにおける流体圧力が高められた場合でも、第一バックフォイル部22が、ベースフォイル30の穴35に嵌まり込まず、常にベース面B(ベースフォイル30の上面)よりもスラストカラー3側に配される。これにより、第一バックフォイル部22のうち、ベース面Bの凹部B1に嵌まり込んだ上流側領域S1と、ベース面Bよりも上方に配された下流側領域S2との間に、段差が生じる(図11参照)。特に、本実施形態では、第一バックフォイル部22の下流側領域S2とベースフォイル30との間に第二バックフォイル部23が介在しているため、第一バックフォイル部22の上流側領域S1と下流側領域S2との段差が大きくなる。
このように、第一バックフォイル部22に段差が形成されることで、この第一バックフォイル部22で支持されるトップフォイル部21が、第一バックフォイル部22に倣って湾曲し、軸受面Xが、下流側に行くにつれてスラストカラー3に接近する。これにより、トップフォイル部21の軸受面Xとスラストカラー3の端面3aとの間の軸受隙間Cが、下流側へ行くにつれて狭くなった断面楔状となる。そして、軸受隙間Cを流れる空気が、楔状の軸受隙間Cの小隙間部(各トップフォイル部21の下流側端部付近)に押し込まれることにより、軸受隙間Cの空気膜の圧力が高められ、この圧力により軸2及びスラストカラー3がスラスト方向に非接触支持される。
また、本実施形態では、第一バックフォイル部22に、一対の側部22a及び連結部22bで囲まれた穴22cが形成されている。この場合、軸受隙間Cの空気の圧力が高められると、トップフォイル部21の下流側領域のうち、半径方向両端部付近は第一バックフォイル部22の一対の側部22aで支持され{図12(B)参照}、下流側端部付近は第一バックフォイル部22の連結部22bで支持される{図12(C)参照}。一方、トップフォイル部21の下流側領域の半径方向中間部(図示例では、半径方向中央部)は、背後に第一バックフォイル部22の穴22c(非接触部)が配されるため、第一バックフォイル部22で支持されない。従って、トップフォイル部21の下流側領域の半径方向中央部には、その周囲よりも下方(ベース面B側)に凹んだ凹部Pが形成される{図2の網掛領域、及び図12(B)の点線参照}。これにより、軸受隙間Cを流れる空気が、各トップフォイル部21の下流側領域において半径方向中央部の凹部Pに集められるため、軸受隙間Cの圧力がさらに高められる。
特に、図示例では、トップフォイル部21のうち、凹部Pの下流側に隣接した領域が、第一バックフォイル部22の連結部22bで支持されているため、この領域に、凹部Pよりもスラストカラー3側に近接した堰Qが設けられる{図2及び図12(C)参照}。この堰Qにより、凹部Pに集められた空気が下流側に抜けにくくなるため、軸受隙間Cの圧力がさらに高められる。
尚、軸2の停止直前や起動直後の低速回転時には、各トップフォイル部21の軸受面Xとスラストカラー3の端面3aとが接触摺動するため、これらの何れか一方または双方に、DLC膜、チタンアルミナイトライド膜、二硫化タングステン膜、あるいは二硫化モリブデン膜等の低摩擦化被膜を形成してもよい。
また、軸2の回転中は、トップフォイル部21、第一バックフォイル部22、第二バックフォイル部23、ベースフォイル30、及びフォイルホルダ10の端面10aの相互間で、微小摺動が生じる。この微小摺動による摩擦エネルギーにより、軸2の振動を減衰させることができる。このような微小摺動による摩擦力を調整するために、互いに摺動する面の何れか一方又は双方に、上記のような低摩擦化被膜を形成してもよい。
本発明は、上記の実施形態に限られない。以下、本発明の他の実施形態を説明するが、上記の実施形態と重複する点については説明を省略する。
図13に示す実施形態では、フォイル部材20が、第二バックフォイル部を有さず、トップフォイル部21及び第一バックフォイル部22のみで構成される。図示例では、第一バックフォイル部22が、穴を有さない略扇形に形成される。この実施形態のベースフォイル30は、例えば図14に示すように、半径方向に離隔した複数箇所に、大径環状部31、小径環状部32、及び半径方向部33で囲まれた穴35を有する。
図14のベースフォイル30をフォイルホルダ10の端面10aに固定し、さらにその上に複数のフォイル部材20を固定する。このとき、各フォイル部材20のトップフォイル部21の背後に、上流側に隣接するフォイル部材20の第一バックフォイル部22が配される。各フォイル部材20の第一バックフォイル部22の上流側領域S1の背後に、ベースフォイル30の穴35が配される。各フォイル部材20の第一バックフォイル部22の下流側領域S2の背後に、ベースフォイル30の半径方向部33が配される。
軸2が回転して軸受隙間Cの流体圧力が高まると、図15に示すように、トップフォイル部21及び第一バックフォイル部22が下方(フォイルホルダ10側)に押し下げられる。このとき、第一バックフォイル部22の上流側領域S1が、ベース面Bの凹部B1(ベースフォイル30の穴35)に嵌まり込み、この領域で支持されたトップフォイル部21の上流側領域がベース面B側に押し込まれる{図16(A)参照}。一方、第一バックフォイル部22の下流側領域S2は、ベースフォイル30の半径方向部33で背後から支持されるため、ベース面Bの凹部B1に嵌まり込まない。すなわち、ベースフォイル30の半径方向部33が、第一バックフォイル部22の下流側領域S2の凹部B1への嵌まり込みを規制する規制部Aとして機能する。これにより、第一バックフォイル部22の下流側領域S2で支持されたトップフォイル部21の下流側領域は、ベース面Bよりも上方(スラストカラー3側)に配される{図16(B)参照}。以上により、トップフォイル部21が湾曲して、軸受面Xが下流側に行くにつれてスラストカラー3の端面3aに近接し、楔状の軸受隙間Cが形成される(図15参照)。
以上の実施形態では、フォイルホルダ10の端面10aとベースフォイル30とでベース面Bが形成され、ベースフォイル30の穴35で凹部B1が形成されているが、これに限られない。例えば、ベース面Bをフォイルホルダ10の端面10aのみで形成し、この端面10aに凹部B1を直接形成してもよい(図示省略)。
また、以上の実施形態では、トップフォイル部21、第一バックフォイル部22、及び第二バックフォイル部23がフォイル部材20として一体に形成されているが、これらを別体に形成してもよい。この場合、複数のトップフォイル部21を連結して一体化したトップフォイル部材を設けてもよい。同様に、複数の第一バックフォイル部22を連結して一体化した第一バックフォイル部材や、複数の第二バックフォイル部23を連結して一体化した第二バックフォイル部材を設けてもよい。
また、以上の実施形態では、本発明をスラストフォイル軸受に適用した場合を示したが、本発明を、軸をラジアル方向に支持するラジアルフォイル軸受に適用してもよい。例えば、図17に示すラジアルフォイル軸受40は、円筒状のフォイルホルダ41と、フォイルホルダ41の内周面41aに周方向に並べて取り付けられた複数のフォイル部材42とを有する。各フォイル部材42のうち、下流側の領域がトップフォイル部42aとして機能し、上流側の領域が第一バックフォイル部42b(散点模様で示す)として機能する。フォイルホルダ41の内周面41aはベース面Bとして機能し、この内周面41aに複数の凹部B1が設けられる。
軸2の回転に伴って、トップフォイル部42aの軸受面Xと軸2の外周面との間の軸受隙間Cの流体圧力が高められると、第一バックフォイル部42bの上流側領域がフォイルホルダ41の内周面41a(ベース面B)の凹部B1に嵌まり込む。一方、第一バックフォイル部42bの下流側領域は、フォイルホルダ41の内周面41aに背後から支持され、フォイルホルダ41の凹部B1に嵌まり込まない。すなわち、フォイルホルダ41の内周面41aのうち、凹部B1の下流側に隣接する領域が、第一バックフォイル部42bの下流側領域の凹部B1への嵌まり込みを規制する規制部Aとして機能する。これにより、第一バックフォイル部42bに段差が形成され、この第一バックフォイル部42bに倣ってトップフォイル部42aが湾曲し、軸受面Xが下流側に行くにつれて軸2の外周面に近接することで、楔状の軸受隙間Cが形成される。
以上の実施形態では、フォイル軸受を固定し、軸2を回転させた場合を示したが、これに限らず、軸2を固定し、フォイル軸受を回転させてもよい。ただし、フォイル軸受を回転させると、遠心力でフォイルが破損するおそれがあるため、上記の実施形態のようにフォイル軸受を固定することが好ましい。
また、以上に示したフォイル軸受は、例えばガスタービンやターボチャージャ(過給機)等のターボ機械の主軸用軸受、自動車等の車両用軸受、あるいは産業機器用の軸受等として使用することが可能である。
また、以上に述べたフォイル軸受は、圧力発生流体として空気を使用した空気動圧軸受のみならず、圧力発生流体として潤滑油を使用した油動圧軸受としても使用することができる。
1 フォイル軸受
2 軸
3 スラストカラー
10 フォイルホルダ
20 フォイル部材
21 トップフォイル部
22 第一バックフォイル部
22a 側部
22b 連結部
22c 穴(非接触部)
23 第二バックフォイル部
24 接続部
30 ベースフォイル
35 穴
A 規制部
B ベース面
B1 ベース面の凹部
C 軸受隙間
S1 第一バックフォイル部の上流側領域
S2 第一バックフォイル部の下流側領域
X 軸受面
P トップフォイル部の凹部
Q 堰

Claims (6)

  1. 軸受面を有するトップフォイル部と、前記トップフォイル部を背後から支持する第一バックフォイル部と、前記第一バックフォイル部を背後から支持するベース面とを備え、相対回転する軸と前記軸受面との間の軸受隙間に生じる流体圧力で、前記軸を非接触支持するフォイル軸受において、
    前記ベース面に凹部を設け、
    前記第一バックフォイル部の上流側領域を前記ベース面の凹部に嵌まり込み可能とし、
    前記第一バックフォイル部の下流側領域の前記凹部への嵌まり込みを規制する規制部を有するフォイル軸受。
  2. 前記ベース面と前記第一バックフォイル部の下流側領域との間に、前記規制部として機能する第二バックフォイル部を配した請求項1に記載のフォイル軸受。
  3. 前記トップフォイル部、前記第一バックフォイル部、及び前記第二バックフォイル部を一体に有するフォイル部材を備えた請求項2に記載のフォイル軸受。
  4. 前記第一バックフォイル部のうち、軸の相対回転方向と直交する方向の中間部に、前記トップフォイル部と接触しない非接触部を設けた請求項1〜3の何れか1項に記載のフォイル軸受。
  5. 前記第一バックフォイル部が、軸の相対回転方向と直交する方向に離隔した一対の側部と、前記一対の側部の下流側端部同士を連結する連結部とを有し、前記一対の側部と前記連結部とで囲まれた領域に、前記非接触部としての穴が形成された請求項4に記載のフォイル軸受。
  6. 前記ベース面が、フォイルホルダと、前記フォイルホルダに取り付けられたベースフォイルとで形成され、
    前記凹部が、前記ベースフォイルに設けられた穴で形成された請求項1〜5の何れか1項に記載のフォイル軸受。
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