JP2018012977A - 液状化対策工法 - Google Patents

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Abstract

【課題】敷地外の液状化対策の有無あるいは変動に影響されず、また敷地外の既存構造物に対し、悪影響を与えることがなく、かつ経済性にも優れた液状化対策工法を提供する。【解決手段】建物2を支持する直接基礎1の外周部に非液状化層G2に達しない第1壁状体W1を構築し、第1壁状体W1によって囲まれる内側に浮き型格子状改良体3などによる液状化対策を施し、さらに第1壁状体W1の外側に非液状化層G2に達する第2壁状体W2を構築し、内外の地盤の液状化の影響を遮断する。第2壁状体W2の外側が敷地内であるか敷地外であるかに関わらず、第2壁状体W2の外側の地盤の変状に影響を受けることなく、第1壁状体W1によって囲まれる内側の地盤の液状化対策の効果を十分に発揮させることができる。【選択図】図1

Description

本発明は、液状化の恐れがある液状化地盤上に構築される建物に対する液状化対策工法に関するものであり、戸建住戸を含む、主として8階建て程度以下の中低層の建物等を構築する場合を適用対象とする。
従来、種々の液状化対策工法が開発されているが、対象とする液状化層が広範囲に及ぶ場合、経済性の面からの制約がある。
これに対し、例えば、特許文献1には、地盤が液状化しても、構造物を安定的に支持できるとともに、液状化対策のための工費および工期を大幅に削減することができる構造物の基礎地盤の液状化対策構造として、液状化層の液状化による構造物の沈下量が許容沈下量以下となるような層厚を有する地盤改良体が、構造物の直下もしくは下方の液状化層内に、平面視で構造物が内包される領域に部分的に形成されるようにしたものが開示されている。
また、特許文献2には、格子壁体の壁高(対策工の領域)を小さくできる経済的な液状化防止構造として、非液状化層の上に堆積した液状化層に下面が開口した平面視格子状の格子壁体を非液状化層から浮かせた状態となるように形成することにより、地盤の液状化を防止した液状化防止構造であって、液状化層のうち非液状化層と格子壁体の下端との間となる液状化層の液状化が想定地震に対して抑制されるべく、格子壁体の下端近傍となる液状化層の過剰間隙水圧比が0.8以下かつせん断ひずみが0.01以下となるように格子壁体の壁高を設定した液状化防止構造が開示されている。
この他、特許文献3には、構造物の直下地盤である液状化地盤の上方部分にのみ格子状地盤改良壁体を構築した液状化防止構造において、個人宅地である液状化地盤中に、平面的に見て構造物を取り囲む格子状配置の地盤改良壁体が、液状化地盤の深さの少なくとも1/4深さまで構築され、格子状地盤改良壁体に囲まれた枡目内の表層地盤は、水密構造の浅層地盤改良体として地盤改良壁体へ近接する位置まで施工し、この浅層地盤改良体で枡目を塞ぐ構成としたものが開示されている。
これは、浅層地盤改良体の上に構造物を構築して、構造物の重量を、升目内の直下の液状化地盤へ負担させて、同地盤の拘束効果を高めて液状化を防止する構成とすることで、地震等が発生しても、構造物の傾斜を3/1000以下に抑えることができるようにするというものである。
特開2005−083174号公報 特許第4370359号公報 特許第5124697号公報
従来の建物を構築する場合の液状化対策工法は、通常、建物の直下やその敷地内における液状化対策を施すものである。
そのため、地震時に敷地外の周辺地盤の液状化の影響を受ける可能性があるだけでなく、敷地内で建物、構造物、地盤の液状化対策を実施した後、敷地外の周辺地盤で液状化対策が実施された場合に、その液状化対策の影響が既存の建物等に影響を及ぼす可能性がある。
また、液状化対策として、地震動応答低減を目指す浮き型の地盤改良体を構築した場合などにおいては、敷地外の周辺地盤の液状化対策が既存構造物の不同沈下の原因となる可能性がある。しかし、敷地外の周辺地盤について液状化対策を実施したり、あるいは実施しないことについては、通常、関与が難しいという問題がある。
本発明は、このような課題の解決を図ったものであり、敷地外の液状化対策の有無あるいは変動に影響されず、また敷地外の既存構造物に対し、悪影響を与えることがなく、かつ経済性にも優れた液状化対策工法を提供することを目的としたものである。
本発明は、液状化の恐れがある液状化地盤上に構築される建物に対する液状化対策工法であって、建物を支持する直接基礎直下の外周部に第1壁状体を構築し、第1壁状体によって囲まれる内側に地盤の液状化を抑制する液状化対策を施し、さらに第1壁状体の外側に内外の地盤の液状化の影響を遮断する第2壁状体を構築することを特徴とするものである。
第2壁状体を設けることで、第2壁状体の外側が敷地内であるか、敷地外であるかに関わらず、また第2壁状体の外側に液状化対策が施されていないか、または何らかの液状化対策が施されているかに関わらず、第2壁状体の外側の地盤の変状に影響を受けることなく、第1壁状体によって囲まれる内側の地盤の液状化対策の効果を十分に発揮させることができるとともに、側方流動などによる建物の被害を防止することができる。
また、逆に、第2壁状体の内側の地盤に液状化が生じた場合に、その液状化の影響が第2壁状体の外側の周辺地盤や建物に及ぶのを阻止することができる。
第1壁状体および第2壁状体としての壁状構造体は、山留め壁などに用いられているソイルセメント連続壁、柱状地盤改良体、機械撹拌工法による深層地盤改良体、シートパイル、鋼管柱列壁等、構造形式は特に限定されない。
外側に位置する第2壁状体は液状化層を貫いて非液状化層まで到達させることで、内外の地盤の液状化の影響の遮断効果について高い効果が期待できる。
内側に位置する前記第1壁状体は非液状化層まで到達させずに、改良地盤の下に液状化層が残る浮き型の液状化対策とすることで、従来の浮き型の液状化対策と同様、経済的な液状化対策とすることができる。
このような浮き型の液状化対策の形態とする場合において、第1壁状体に囲まれた地盤の下部地盤および第1壁状体と第2壁状体に挟まれた地盤を、レベル2地震動では液状化することを許容する地盤とすることで、全体としての液状化対策の工費を抑えることができる。
第1壁状体と第2壁状体に挟まれた地盤については、レベル1地震動で液状化する地盤であっても、レベル1地震動では液状化しない地盤であってもよい。
また、第1壁状体と第2壁状体の間隔は、第1壁状体に囲まれた地盤の下部地盤、および第1壁状体と第2壁状体に挟まれた地盤の液状化によって予想される建物の沈下量が建物の各位置でほぼ均等となるように決定することが望ましい。
第2壁状体は、何らかの許諾を受けない限り、敷地境界線の内側に構築することになり、敷地内ぎりぎりに構築する場合も考えられるが、本発明においては、第1壁状体との間隔も重要な要素となり得る。
すなわち、レベル2地震動に対し、第1壁状体に囲まれた地盤の下部地盤、および第1壁状体と第2壁状体に挟まれた地盤の液状化を許容した場合に、第1壁状体と第2壁状体間の間隔に何らの制約がない場合、液状化時に建物が基礎とともに不等沈下することが考えられる。
その場合の不等沈下の要因としては、1つには建物の平面形状や荷重分布に偏りがある場合が考えられる。この場合、例えば、建物の荷重が大きい側について第1壁状体と第2壁状体間の間隔を狭くし、建物の荷重が大きい側について第1壁状体と第2壁状体間の間隔を広くすることで建物全体の沈下がほぼ均等になるように調整することができる。
極端なケースとして、建物の平面形状が正方形あるいは円で、荷重分布に偏りがなく、かつ地盤条件が均一であれば、第1壁状体と第2壁状体間の間隔を一定とすることで、建物全体の沈下がほぼ均等になるようにすることができる。
逆に、第2壁状体がなければ液状化時に均等に沈下する状態において、第2壁状体を構築した場合、場所によって第1壁状体と第2壁状体間の間隔が異なると、間隔が広い側で沈下量が大きくなり不等沈下の原因となる。
なお、本発明から離れるが、周辺地盤の液状化対策の実施をコントロールすることが可能であり、建物の荷重に対する地盤反力が均一となる場合は、第2壁状体を省略することができる。
本発明の液状化対策工法において、第1壁状体に囲まれた地盤は、格子状改良体、サンドコンパクションパイル、グラベルドレーン、浅層改良体、地盤改良体などの既存工法により液状化対策を施すことで、その範囲における液状化を抑止することができる。
本発明の液状化対策工法では、液状化地盤上に構築される建物を支持する直接基礎の外周部に第1壁状体を構築し、第1壁状体によって囲まれる内側に地盤の液状化を抑制する液状化対策を施し、さらに第1壁状体の外側に内外の地盤の液状化の影響を遮断する第2壁状体を構築するため、第2壁状体の外側に液状化対策が施されていないか、または何らかの液状化対策が施されているかに関わらず、第2壁状体の外側の地盤の変状に影響を受けることなく、第1壁状体によって囲まれる内側の地盤の液状化対策の効果を十分に発揮させることができる。
また、第2壁状体の内側の地盤に液状化が生じた場合に、その液状化の影響が第2壁状体の外側の周辺地盤や建物に及ぶのを阻止することができる。
本発明の液状化対策工法の一実施形態を示したもので、(a)は鉛直断面図、(b)は水平断面図である。 本発明の液状化対策工法の他の実施形態を示したもので、(a)は鉛直断面図、(b)は水平断面図である。 本発明の液状化対策工法のさらに他の実施形態を示したもので、(a)は鉛直断面図、(b)は水平断面図である。 本発明の液状化対策工法のさらに他の実施形態を示したもので、(a)は鉛直断面図、(b)は水平断面図である。
以下、本発明の具体的な実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の液状化対策工法の一実施形態を示したものである。
本実施形態は、深さ約20mまでが地震時に液状化の恐れのある液状化層G1で、その下が非液状化層G2である場合を想定し、敷地境界線bで囲まれる範囲の内側に直接基礎1(ベタ基礎)で支持される建物2を構築する場合である。
建物2を支持する直接基礎1の外周部に第1壁状体W1を構築し、この第1壁状体W1によって囲まれる内側に地盤の液状化を抑制する液状化対策を施し、さらに第1壁状体W1の外側に内外の地盤の液状化の影響を遮断する第2壁状体W2を構築する。
第1壁状体W1および第2壁状体W2については、ソイルセメント連続壁、柱状地盤改良体、機械撹拌工法による深層地盤改良体、シートパイル、あるいは鋼管柱列壁等を用いることができる。
本実施形態では、第1壁状体W1は非液状化層G2には達しない比較的施工深さの浅い壁状構造物としその内側を従来の液状化対策工法の一つである浮き型格子状改良の壁体3で拘束される非液状化改良体としている。浮き型であることで非液状化のための施工範囲が限定され、施工コストが抑えられる。格子状改良部分の壁体3については、第1壁状体W1と同様の材料を用いることができる。
また、本実施形態で第2壁状体W2は非液状化層G2に達する深さとし、第2壁状体W2内外の液状化の影響の伝搬を遮断する構成としているが、条件によっては非液状化層G2に達しない深さとすることもある。ただし、液状化の影響をできるだけ遮断するためには、第1壁状体W1よりは深い位置まで施工することが望ましい。
設計面では、浮き型格子状改良の壁体3で拘束される非液状化改良体は基本的にはレベル2地震動でも液状化しないものとし、非液状化改良体3の下部地盤についてはレベル2地震動では液状化することを許容するがレベル1地震動では液状化しない程度の地盤改良を施すか、あるいは第1壁状体W1の施工深度をある程度深くすることが考えられる。
第1壁状体W1と第2壁状体W2に挟まれる地盤については、施工条件などに応じて、レベル1地震動では液状化しないがレベル2地震動では液状化を許容する地盤とする設計と、レベル1地震動での液状化を許容する設計とが考えられる。
また、本実施形態では、建物2の平面形状が、図1(b)の左右(東西)方向に長く、上下(南北)方向に短い長方形で、図1(a)に一点鎖線で示されている建物2の重心が左(西)側に偏っている場合を想定している。
この場合に液状化層G1の平面内の土質がほぼ均等で第2壁状体W2がない場合を想定すると、地震により液状化層G1が液状化した場合、右(東)側より左(西)側の沈下量が大きくなり、かつ平面形状的に上下(南北)方向が不安定となり、建物2が傾く恐れがある。
これに対し、図1(b)に示すように、第1壁状体W1と第2壁状体W2の上下(南北)方向間隔L3、L4を小さくし、かつ左(西)側の間隔L1が右(東)側の間隔L2より小さくなるようにして、建物2の各位置における沈下量をコントロールし、不等沈下を防止することができる。
図2は、本発明の液状化対策工法の他の実施形態を示したものである。
基本的な条件は、図1の場合と同様であり、図1の実施形態では、第1壁状体W1で囲まれる建物2直下を格子状改良の壁体3で拘束される非液状化改良体としているのに対し、図2の実施形態では、第1壁状体W1の内側に第1壁状体W1とほぼ同じ深さのサンドコンパクションパイル13、あるいは地盤補強等の既製杭、木杭、節杭等を施工し、柱状改良等による非液状化改良体を形成したものである。
その他、基本的な考え方は、図1の実施形態と同じである。この他、第1壁状体W1に囲まれた地盤については、グラベルドレーン、浅層改良体、地盤改良体など他の液状化対策を施したものでもよい。
図3は、本発明の液状化対策工法のさらに他の実施形態を示したものである。
基本的な条件は、図1の場合と同様であり、図1の実施形態における浮き型格子状改良の壁体3で拘束される非液状化改良体の格子内に非液状化層G2近傍まで達する地盤補強杭21を施工したものである。
地盤補強杭21は、建物2の鉛直荷重の一部を負担することができるが、建物等の荷重を既製杭等のみで支持力を確保する支持杭としてではなく地盤補強を主目的としたものであり、サンドコンパクションパイル工法などで施工することができる。例えば、下部地盤が上部建物2を支えることができない地盤の場合に、サンドコンパクションパイルや地盤補強等の既製杭、木杭、節杭等で強化することができる。
図4は、本発明の液状化対策工法のさらに他の実施形態を示したものである。
基本的な条件は、図1の場合と同様であり、図2の実施形態における第1壁状体W1の内側に施工したサンドコンパクションパイル23、あるいは地盤補強等の既製杭、木杭、節杭等の柱状改良による非液状化改良体内に、非液状化層G2近傍まで達する地盤補強杭22としてサンドコンパクションパイルや地盤補強等の既製杭、木杭、節杭等を施工したものである。
この地盤補強杭22も、建物2の鉛直荷重の一部を負担することができるが、支持杭としてではなく地盤補強を主目的としたものであり、サンドコンパクションパイル工法や地盤補強等の既製杭、木杭、節杭等などで施工することができる。
図3、図4の実施形態についても、図1、図2の場合と同様、非液状化改良体は基本的にレベル2地震動でも液状化しないものとし、非液状化改良体の下部地盤についてはレベル2地震動では液状化することを許容するがレベル1地震動では液状化しない程度の地盤改良を施すか、あるいは第1壁状体W1の施工深度をある程度深くすることが考えられる。
b…敷地境界線、
G1…液状化層、G2…非液状化層、
W1…第1壁状体、W2…第2壁状体、
1…直接基礎、2…建物、3…浮き型格子状改良の壁体、13…サンドコンパクションパイル、21…地盤補強杭、22…地盤補強杭、23…サンドコンパクションパイル

Claims (5)

  1. 液状化の恐れがある液状化地盤上に構築される建物に対する液状化対策工法であって、前記建物を支持する直接基礎の外周部に第1壁状体を構築し、前記第1壁状体によって囲まれる内側に地盤の液状化を抑制する液状化対策を施し、さらに前記第1壁状体の外側に内外の地盤の液状化の影響を遮断する第2壁状体を構築することを特徴とする液状化対策工法。
  2. 請求項1記載の液状化対策工法において、前記第2壁状体は非液状化層まで到達させ、前記第1壁状体は非液状化層まで到達させないことを特徴とする液状化対策工法。
  3. 請求項2記載の液状化対策工法において、前記第1壁状体に囲まれた地盤の下部地盤、および前記第1壁状体と前記第2壁状体に挟まれた地盤は、レベル2地震動では液状化を許容する地盤とすることを特徴とする液状化対策工法。
  4. 請求項3記載の液状化対策工法において、前記第2壁状体は敷地境界線の内側に構築し、前記第1壁状体と前記第2壁状体の間隔は、前記第1壁状体に囲まれた地盤の下部地盤、および前記第1壁状体と前記第2壁状体に挟まれた地盤の液状化によって予想される建物の沈下量が建物の各位置でほぼ均等となるように決定することを特徴とする液状化対策工法。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の液状化対策工法において、前記第1壁状体に囲まれた地盤は、格子状改良体、サンドコンパクションパイル、グラベルドレーン、浅層改良体、地盤改良体などの既存工法により液状化対策を施すことを特徴とする液状化対策工法。
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