JP2018012695A - ロキソプロフェン又はその塩及びビタミンb12類を含有する経口用医薬組成物 - Google Patents

ロキソプロフェン又はその塩及びビタミンb12類を含有する経口用医薬組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】ロキソプロフェンに起因する胃粘膜障害が軽減され、より広く長期に解熱剤、鎮痛剤、炎症治療剤又は感冒治療剤として用いられうる経口用医薬組成物を提供すること。【解決手段】(a)ロキソプロフェン又はその塩及び(b)ビタミンB12類を含有する経口用医薬組成物(ただし、葉酸を含むものを除く)。【選択図】なし

Description

本発明は、ロキソプロフェン又はその塩及びビタミンB12類を含有する経口用医薬組成物に関する。より詳しくは、ロキソプロフェン又はその塩とビタミンB12類を含有することによってロキソプロフェンの胃粘膜障害を軽減した経口用医薬組成物に関する。
プロピオン酸系非ステロイド性解熱鎮痛消炎剤(以下、NSAIDと称することがある)であるロキソプロフェンは、他のNSAIDと同様に、プロスタグランジン生合成の抑制作用に基づく解熱・鎮痛・抗炎症作用を有する。なお、ロキソプロフェンは経口投与後に胃粘膜刺激作用の弱い未変化体のまま消化管から吸収され、体内で活性体となるプロドラッグであるため、胃粘膜障害は少ないという特徴を有することでも知られている(例えば、非特許文献1参照)。
ビタミンB12は、水溶性ビタミンの一つで、抗悪性貧血因子として肝臓から単離された。分子の中心にコバルトを含むコリン環化合物である。ビタミンB12は広義ではコバラミン、狭義ではシアノコバラミンを指す。ビタミンB12活性を持つ化合物には、シアノコバラミンのほか、コバルトに水酸基が結合したヒドロキソコバラミン、メチル基が結合したメコバラミン(メチルコバラミンともいう)、5’−デオキシアデノシンが結合したアデノシルコバラミンなどがある。生体内でビタミンB12は多くの代謝系に関与し、正常な発育、造血、神経組織のミエリン鞘形成などに重要な役割を果たしている。シアノコバラミン及びヒドロキソコバラミンはビタミンB12の欠乏又は代謝障害が関与すると推定される場合の神経痛に適用される(非特許文献2参照)。また、メコバラミン(メチルコバラミンとも言う)は、これに加えて末梢神経障害の適応を有しており、神経修復作用による神経痛の改善も期待される(例えば、非特許文献3参照)。
ロキソプロフェンの胃粘膜障害を軽減する従来技術として、ロキソプロフェンとカンゾウ、ショウキョウ又はケイヒ等の生薬類との併用(特許文献1)、解熱鎮痛消炎剤とプロトンポンプ阻害剤との併用(特許文献2)、ロキソプロフェンと制酸剤との併用(特許文献3)、ロキソプロフェンと蔗糖、マルチトール、果糖、キシリトール、トレハロース、乳糖又はラクチトールとの併用(特許文献4)、ロキソプロフェンとトラネキサム酸との併用(特許文献5)、及び、ロキソプロフェンとカフェインを併用する場合にヒプロメロース、カルボキシメチルセルロース又はメチルセルロースを添加する技術(特許文献6)が知られている。
また、ロキソプロフェンにビタミンB1、B2又はCを併用すると抗炎症作用が増強し、それによって投与量を減らせるため、胃粘膜障害をはじめとする副作用の軽減が可能となることが知られている(特許文献7参照)。
一方、特許文献8では、プロピオン酸系鎮痛剤と2種以上のビタミンB類を含有する鎮痛用組成物が提示されており、プロピオン酸系鎮痛剤であるイブプロフェンにビタミンB12または葉酸を単独で併用しても増強作用は示さないが、ビタミンB12と葉酸とを組み合わせて併用することによって鎮痛作用が増強することが記載されている。そしてロキソプロフェンナトリウムとビタミンB12及び葉酸を含む液剤の処方例が記載されている。また特許文献9では、ビタミンB12を有効成分とする鎮痛剤組成物が提示され、ビタミンB12に、従来強力な鎮痛作用が知られたイブプロフェンとトラネキサム酸との組み合わせと同等の鎮痛効果があること、葉酸単独では鎮痛効果はないがビタミンB12と組み合わせることで鎮痛効果が増強されることが記載されており、処方例の1つとして、ビタミンB12、葉酸、乾燥水酸化アルミニウムゲル、及びロキソプロフェンを含むフィルムコーティング剤が記載されている。しかしながら、ビタミンB12とロキソプロフェンを併用することで如何なる薬理作用を有するかは知られていなかった。
特開2004−161667公報 特表2007−522217公報 特開2006−052210公報 特開2005−139165公報 特開2010−083882公報 特開2014−031370公報 特開2011−168580公報 特開2008−247822公報 特開2008−247823公報
薬理と治療 Vol.16 No.2 1988 p.611-619 第十六改正日本薬局方解説書2011,廣川書店 医療用医薬品集2016年版,JAPIC
本発明の課題はロキソプロフェンに起因する胃粘膜障害が軽減され、より広く長期に解熱剤、鎮痛剤、炎症治療剤又は感冒治療剤として用いられうる経口用医薬組成物を提供することである。
本発明者らは、解熱剤、鎮痛剤、炎症治療剤または感冒治療剤としてより広く用いられうるロキソプロフェン配合の医薬組成物を研究した結果、神経組織のミエリン鞘形成や末梢神経の修復に係わるビタミンB12類を併用すると意外にもロキソプロフェンの胃粘膜障害が軽減できるという事実を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下に示す通りである。
(1)(a)ロキソプロフェン又はその塩及び(b)ビタミンB12類を含有する経口用医薬組成物(ただし、葉酸を含むものを除く)。
(2)(b)ビタミンB12類が、シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン及びメコバラミンから選ばれる1種以上である(1)記載の経口用医薬組成物。
(3)更に(c)ビタミンB1類及びビタミンB6類から選ばれる1種以上を含有する(1)または(2)記載の経口用医薬組成物。
(4)更に(c)ビタミンB1類及びビタミンB6類を共に含有する(1)または(2)に記載の経口用医薬組成物。
(5)(c)ビタミンB1類が、チアミン、チアミンジスルフィド、フルスルチアミン、ベンフォチアミン、オクトチアミン及びこれらの塩から選ばれる1種以上であり、ビタミンB6類が、ピリドキシン塩酸塩またはピリドキサールリン酸エステル水和物である、(3)又は(4)記載の経口用医薬組成物。
(6)解熱剤、鎮痛剤、炎症治療剤または感冒治療剤として用いられる(1)ないし(5)のいずれか1項に記載の経口用医薬組成物。
(7)固形製剤である(1)ないし(6)のいずれか1項に記載の経口用医薬組成物。
(8)更にビタミンEを含有する(1)ないし(7)のいずれか1項に記載の経口用医薬組成物。
(9)更にアリルイソプロピルアセチル尿素、グリシン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、カフェイン、無水カフェインから選ばれる1種以上を含有する(1)から(8)のいずれか1項に記載の経口用医薬組成物。
(10)以下の成分(a)、(b)及び(c)を含有する経口用医薬組成物
(a)ロキソプロフェン又はその塩
(b)ビタミンB12類(ここで、ビタミンB12類は、シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン及びメコバラミンから選ばれる1種以上である)
(c)ビタミンB1類およびビタミンB6類(ここで、ビタミンB1類は、チアミン塩化物塩酸塩、チアミン硝化物、フルスルチアミン塩酸塩及びベンフォチアミンから選ばれる1種以上であり、ビタミンB6類は、ピリドキシン塩酸塩またはピリドキサールリン酸エステル水和物である)。
本発明の、ロキソプロフェン又はその塩及びビタミンB12類を含有する経口用医薬組成物は、ロキソプロフェンの胃粘膜障害が軽減されているため、解熱剤、鎮痛剤、炎症治療剤または感冒治療剤としてより広く長期に用いられうる。更に、ビタミンB12類のもつ神経痛の改善作用をもたらすことができるため、特に、神経系に由来する痛みの鎮痛剤として有用である。
ロキソプロフェンナトリウム・2水和物単独、及び、ビタミンB12との併用における胃粘膜障害の影響を示したものである。 ロキソプロフェンナトリウム・2水和物単独、及び、ビタミンB1、B6及びB12との併用における潰瘍面積の変化を抗潰瘍剤であるラフチジンとの併用と比較したものである。 ロキソプロフェンナトリウム・2水和物単独、及び、ビタミンB1、B6及びB12との併用における胃粘膜の潰瘍個数の変化を抗潰瘍剤であるラフチジンとの併用と比較したものである。 ロキソプロフェンナトリウム・2水和物単独、及び、ビタミンB1、B6及びB12との併用における黒色便の割合を抗潰瘍剤であるラフチジンとの併用と比較したものである。 ロキソプロフェンナトリウム・2水和物単独、及び、ビタミンB1、B6及びB12との併用における白血球数からみた消化管炎症への影響を抗潰瘍剤であるラフチジンとの併用と比較したものである。
本発明において「ロキソプロフェン」とは、ロキソプロフェン又はその塩(塩の水和物を含む)であり、好適には、ロキソプロフェンナトリウムであり、さらに好適には、ロキソプロフェンナトリウム・2水和物である。
本発明のロキソプロフェンは、ロキソプロフェンナトリウム水和物として第16改正日本薬局方に収載されている。
本発明において「ビタミンB12類」とは、生体内でビタミンB12活性を持つ化合物であり、具体的にはシアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン、メコバラミン、アデノシルコバラミンがあげられる。本発明のシアノコバラミンは、第16改正日本薬局方に収載されている。また、本発明において、「ヒドロキソコバラミン」とは、ヒドロキソコバラミン又はその塩であり、好適には、ヒドロキソコバラミン酢酸塩(第16改正日本薬局方に収載)、ヒドロキソコバラミン塩酸塩(日本薬局方外医薬品規格2002に収載)、酢酸ヒドロコソコバラミン及び塩酸ヒドロキソコバラミン(一般用医薬品製造販売承認基準に収載)である。本発明のメコバラミンは、第16改正日本薬局方に収載されている。
上記以外のビタミンB12類も市販されているので、容易に入手できる。
本発明において「ビタミンB1類」とは、ビタミンB1活性を持つ化合物であり、具体的にはチアミン、チアミンジスルフィド、フルスルチアミン、ベンフォチアミン、オクトチアミン及びこれらの塩が挙げられる。好適には、チアミン塩化物塩酸塩及びチアミン硝化物(第16改正日本薬局方に収載)、フルスルチアミン塩酸塩、ベンフォチアミンがあげられる。これらは、ビタミンB1の欠乏又は代謝障害が関与すると推定される場合の神経痛、筋肉痛・関節痛、末梢神経炎・末梢神経麻痺の適用を有するため、本発明の解熱剤、鎮痛剤、炎症治療剤または感冒治療剤に配合することが好ましい。 本発明において「ビタミンB6類」とは、ビタミンB6活性を持つ化合物であり、具体的にはピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミン及びこれらの塩またはエステル等があげられる。好適には、ピリドキシン塩酸塩(第16改正日本薬局方に収載)、ピリドキサールリン酸エステル水和物(日本薬局方外医薬品規格に収載)があげられる。ピリドキシン塩酸塩やピリドキサールリン酸エステル水和物は、ビタミンB6の欠乏又は代謝障害が関与すると推定される場合の口角炎、口唇炎、舌炎、急・慢性湿疹、脂漏性湿疹、接触皮膚炎、末梢神経炎の適用を有するため、本発明の解熱剤、鎮痛剤、炎症治療剤または感冒治療剤に配合することが好ましい。
本発明の組成物の1回投与量における、ロキソプロフェンの含有量は1回10〜180mg、1日1〜3回であり、好ましくは、1回20〜90mg、1日1〜3回である。
本発明のビタミンB12類の1回投与量における含有量は特に制限はないが、1回0.1〜2000μg、1日1〜3回であり、好ましくは、1回0.3〜500μg、1日1〜3回である。
本発明のビタミンB1類の1回投与量における含有量は特に制限はないが、1回1〜100mg、1日1〜3回であり、好ましくは、1回1〜30mg、1日1〜3回である。
本発明のビタミンB6類の1回投与量における含有量は特に制限はないが、1回1〜300mg、1日1〜3回であり、好ましくは、1回1〜100mg、1日1〜3回である。
また、本発明の組成物が1日1回50mL服用する液剤であれば、その液剤におけるロキソプロフェンの含有量は、好ましくは10〜180mg/50mLである。また、ビタミンB12類については0.1〜2000μg/50mLである。また、ビタミンB1類については1〜100mg/50mLであり、ビタミンB6類については1〜300mg/50mLである。
本発明の組成物は、常法に従って製造されるが、投与方法に合わせて、各薬剤を別々に製造してもよい。
本発明の組成物等は、例えば、錠剤(チュアブル錠、発泡錠、口腔内崩壊錠などを含む)、ドロップ剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、丸剤、ドライシロップ剤などの固形製剤;舐剤、チューインガム剤、ゼリー剤、ゼリー状ドロップ剤、ホイップ剤などの半固形製剤;シロップ剤、ドリンク剤、懸濁剤、酒精剤、液剤などの液状製剤などの、第十六改正日本薬局方 製剤総則等に記載の剤形とすることができる。
本発明においては、服用の簡便性や製造面等の点で、固形製剤であるのが好ましく、錠剤、カプセル剤、丸剤、顆粒剤、散剤及び細粒剤からなる群より選ばれる経口投与組成物であるのがより好ましく、錠剤又はカプセル剤であるのが特に好ましい。これらの組成物には、更に、必要に応じてその他の有効成分、例えば、鎮咳・去痰剤、抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、胃腸薬成分、制酸剤、抗コリン剤、その他のビタミン類、キサンチン誘導体、鎮静剤を、本発明を損なわない範囲内で適宜配合してもよく、それぞれを組み合わせることで、経口用医薬組成物としてかぜ薬、解熱鎮痛薬、鎮咳去痰薬、鼻炎用内服薬として用いても良い。組み合わせて用いる有効成分としては、制酸剤、その他のビタミン類、キサンチン誘導体または鎮静剤が特に好ましい。また、安定性・品質面において、それらに配合変化のために保存安定性に問題があれば、製造過程で適宜顆粒分け等を行い製剤化すればよい。
鎮咳・去痰剤としては、例えば、コデイン、コデインリン酸塩水和物、ジヒドロコデイン、ジヒドロコデインリン酸塩、ジブナートナトリウム、ジメモルファンリン酸塩、チペピジンクエン酸塩、チペピジンヒベンズ酸塩、デキストロメトルファン、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物、デキストロメトルファンフェノールフタリン塩、ノスカピン塩酸塩、トリメトキノール塩酸塩、フェニレフリン塩酸塩、プソイドエフェドリン塩酸塩、プソイドエフェドリン硫酸塩、l−メチルエフェドリン塩酸塩、dl−メチルエフェドリン塩酸塩、アンブロキソール塩酸塩、ブロムヘキシン塩酸塩等があげられる。
抗ヒスタミン剤としては、例えば、アゼラスチン塩酸塩、アリメマジン酒石酸塩、エバスチン、エピナスチン塩酸塩、エメダスチンフマル酸塩、オキサトミド、オロパタジン塩酸塩、カルビノキサミン、ジフェニルジスルホン酸塩、カルビノキサミンマレイン酸塩、d−クロルフェニラミンマレイン酸塩、dl−クロルフェニラミンマレイン酸塩、ケトチフェンフマル酸塩、ジフェニルピラリン塩酸塩、ジフェニルピラリンテオクル酸塩、ジフェンヒドラミン塩酸塩、ジフェンヒドラミンサリチル酸塩、ジフェンヒドラミンタンニン酸塩、トリプロリジン塩酸塩、トリペレナミン塩酸塩、トンジルアミン塩酸塩、フェキソフェナジン、フェネタジン塩酸塩、プロメタジン塩酸塩、プロメタジン、メキタジン、メトジラジン塩酸塩、ロラタジン等があげられる。
抗炎症剤としては、グリチルリチン酸及びその誘導体並びにそれらの塩類(例えば、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム等)、トラネキサム酸等があげられる。
胃腸薬成分としては、ゲファルナート、セトラキサート塩酸塩、ソファルコン、テプレノン、メチルメチオニンスルホニウムクロリド等があげられる。
制酸剤としては、例えば、グリシン(アミノ酢酸とも呼ばれる)、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム・硫酸アルミニウムカリウムの共沈生成物、炭酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイト、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル、合成ケイ酸アルミニウム、水酸化アルミナマグネシウム、水酸化アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウム共沈生成物、水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム混合乾燥ゲル、水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム・炭酸カルシウム共沈生成物、ベントナイト、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、無水リン酸水素カルシウム等のマグネシウム、アルミニウム及びカルシウム塩、乾燥炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム水和物、リン酸水素ナトリウム水和物、無水リン酸一水素ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム等のナトリウム及びカリウムから選ばれる塩等の胃酸のpHをあげる成分があげられる。
抗コリン剤としては、スコポラミン臭化水素酸塩、ダツラエキス、メチルスコポラミン臭化物、メチル−l−ヒヨスチアミン臭化物、ピレンゼピン塩酸塩、ブチルスコポラミン臭化物、ベラドンナアルカロイド、ベラドンナエキス、ベラドンナ総アルカロイド、ヨウ化イソプロパミド、ヨウ化ジフェニルピペリジノメチルジオキソラン、ロートエキス、ロート根、ロート根総アルカロイドクエン酸塩等があげられる。
上記ビタミン以外のビタミン類として、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンB5、ビタミンE、ビタミンP、ビタミンD、リボフラビン、アスコルビン酸、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、パンテノール、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウム、ビオチン、アスパラギン酸カリウム・マグネシウム等量混合物、イノシトールヘキサニコチネート、ウルソデオキシコール酸、L-システイン、L-塩酸システイン、オロチン、ガンマーオリザノール、グリセロリン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、グルクノラクトン、グルクロン酸アミド、コンドロイチン硫酸ナトリウム、大蒜、ニンジン、ヨクイニンがあげられる。なかでもビタミンCまたはビタミンEが好ましく、ビタミンEとしては、同属体としてα−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロールの他、これらのコハク酸エステル、酢酸エステル、ニコチン酸エステル、リン酸エステル等の誘導体や、光学異性体であるdl-体の他、α−トコフェロールコハク酸エステルカルシウム等のこれらの塩があげられる。好適には、第16改正日本薬局方に掲載されているトコフェロール、トコフェロールコハク酸エステルカルシウム、トコフェロール酢酸エステル及びトコフェロールニコチン酸エステル、及び、日本薬局方外医薬品規格2002に収載されているd−α−トコフェロール、酢酸d−α−トコフェロール及びコハク酸d−α−トコフェロールなどを用いることができる。
キサンチン誘導体としては、カフェイン水和物、無水カフェイン、安息香酸ナトリウムカフェイン、クエン酸カフェインがあげられる。
鎮静剤としては、アリルイソプロピルアセチル尿素、ブロムワレリル尿素があげられる。
製剤化にあたっては、公知の方法と添加剤を適宜用いて製造することができる。添加剤は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜加えればよい。添加物としては、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、コーティング剤等をあげることができる。
賦形剤としては、例えば、結晶セルロース、粉末セルロース、バレイショデンプン、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、二酸化ケイ素、沈降炭酸カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、酸化マグネシウム、乳酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイト、合成ケイ酸アルミニウム、乳糖、白糖、D−マンニトール、エリスリトール、ブドウ糖、果糖等をあげることができる。
崩壊剤としては、例えば、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、アルギン酸、部分アルファー化デンプン、ベントナイト等をあげることができる。
滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、硬化油等をあげることができる。
コーティング剤としては、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、アラビアゴム、エチルセルロース、カルナウバロウ、カルボキシビニルポリマー、ステアリン酸マグネシウム、セラック、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、プルラン、ポビドン、ポリビニルアルコール、マクロゴール等をあげることができる。
これら添加物は、上記にあげたものに限定されるものではなく、また、これらのうち1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
以下に、試験例及び製剤例をあげて本発明を更に具体的に説明するが、これらの例に限定されるものではない。また、以下の製剤例では、ビタミンB12として、メコバラミン、ビタミンB1として、ベンフォチアミン、ビタミンB6として、ピリドキシン塩酸塩を用いるが、上述のように、他のビタミンB12類(シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン)、ビタミンB1類(チアミン塩化物塩酸塩、チアミン硝化物、フルスルチアミン塩酸塩)、ビタミンB6類(ピリドキサールリン酸エステル水和物)も用いることができる。
(製剤例1)ハードカプセル剤
(表1)
1カプセル中(mg) a b c d
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ロキソプロフェンナトリウム(無水物として) 60 60 60 60
ビタミンB12 0.003 0.01 2 0.06
ビタミンB1 8 20 50 25
ビタミンB6 6 15 50 50
ビタミンE 10 30 90 −
酸化マグネシウム 33.3 33.3 − 33.3
トウモロコシデンプン 適量 適量 適量 適量
結晶セルロース 10 15 20 30
ポリビニルアルコール 5 5 5 5
クロスカルメロースナトリウム 8 8 8 8
ヒプロメロース 18 22 25 20
軽質無水ケイ酸 30 30 28 25
ポビドン 5 6 3 5
乳糖 適量 適量 適量 適量
ステアリン酸マグネシウム 5 5 5 5
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
上記成分及び分量をとり、日局製剤総則「カプセル剤」の項に準じてカプセルを製造する。
(製剤例2)錠剤
(表2−1)
1錠中(mg) e f g h
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ロキソプロフェンナトリウム(無水物として) 60 60 60 60
ビタミンB12 0.003 0.01 2 0.002
ビタミンB1 8 20 50 8
ビタミンB6 6 15 50 16
ビタミンE 10 30 90 33.3
無水カフェイン 50 50 50 −
酸化マグネシウム 33.3 33.3 − 33.3
D-マンニトール 253 264 273 300
トレハロース 30 43 48 25
トウモロコシデンプン 適量 適量 適量 適量
ヒプロメロース 20 30 40 30
ヒドロキシプロピルセルロース 13 16 18 15
マクロゴール400 60 − 30 30
ポビドン − 6 3 3
ステアリン酸マグネシウム 5 5 5 5
酸化チタン 3 4 5 5
タルク 2 3 3 3
カルナウバロウ 微量 微量 微量 微量
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(表2−2)
1錠中(mg) i j k
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ロキソプロフェンナトリウム(無水物として) 60 60 60
ビタミンB12 0.002 0.002 0.002
ビタミンB1 8 8 50
ビタミンB6 16 15 50
ビタミンC − 150 150
ニコチン酸アミド − − 20
無水カフェイン − − 50
酸化マグネシウム 33.3 33.3 33.3
D−マンニトール 300 264 250
トレハロース 30 43 40
乳糖 適量 適量 適量
トウモロコシデンプン 適量 適量 適量
ヒプロメロース 20 30 30
ヒドロキシプロピルセルロース 10 16 15
マクロゴール400 − − 20
ポビドン − 6 3
ステアリン酸マグネシウム 5 5 5
酸化チタン 4 4 5
タルク 3 3 3
カルナウバロウ 微量 微量 微量
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
上記成分及び分量をとり、日局製剤総則「錠剤」の項に準じて錠剤を製造する。なお、所望により剤皮を塗布する。
(製剤例3)顆粒剤
(表3)
1包中(mg) l m n
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ロキソプロフェンナトリウム(無水物として) 60 60 60
ビタミンB12 0.003 0.01 2
ビタミンB1 8 20 50
ビタミンB6 6 15 50
ビタミンE 10 30 90
無水カフェイン 50 50 −
酸化マグネシウム 33.3 33.3 −
アリルイソプロピルアセチル尿素 60 60 60
グリシン − − 100
エリスリトール 105 111 125
トウモロコシデンプン 適量 適量 適量
ヒドロキシプロピルセルロース 15 17 17
アスパルテーム 9 12 15
香料 微量 微量 微量
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
上記成分及び分量をとり、日局製剤総則「顆粒剤」の項に準じて顆粒剤を製造する。なお、所望により剤皮を塗布する。
(試験例1)ロキソプロフェン誘発胃粘膜障害に対する抑制効果試験
(1)被検物質
ロキソプロフェンナトリウム・2水和物は第一三共ケミカルファーマ(株)製のものを、ビタミンB12としてシアノコバラミン(ナカライテスク(株)製)を使用した。これらの被験物質は、トラガント(SIGMA製)を注射用水(大塚製薬工場製)に溶解した0.5%トラガント溶液中に懸濁させて調製した。
(2)使用動物
Crl:CD雄性ラット6週齢(日本エスエルシー)を5日間の検疫期間及び2日間の馴化後に使用した。動物は温度20〜26℃、湿度40〜70%、照明時間6〜18時に制御されたラット飼育室内で個別飼育した。固形試料(CRF-1、オリエンタル酵母工業(株))及び水道水を自由に摂取させ、1週間予備飼育した後、体重推移及び一般症状の良好な動物を選別して供試した。
(3)試験方法
18時間以上絶食したラットに、ディスポーザブルラット用経口ゾンデ(フチガミ器械製)を取り付けたポリプロピレン製ディスポーザブル注射筒(テルモ製)を用いて、被験物質を経口投与した。なお、被験物質はマグネチックスターラーを用いて攪拌しながら使用した。
被験物質投与後4時間に、イソフルラン軽麻酔下での頚椎脱臼により動物を安楽死させ、速やかに胃を摘出し、内部に生理食塩液を10mL充填後、1%ホルマリンに浸して翌日まで固定した。
固定した胃を大湾に沿って切開し、デジタルノギスを用いて胃粘膜傷害の長さを測定した。個体の胃粘膜傷害の長さは、長径を計測しそれらの総和を算出した。
(4)試験結果
表4及び図1は、ロキソプロフェンナトリウム・2水和物単独(L)及びビタミンB12との併用における胃粘膜傷害長さの総和を示したものである。ここで、括弧内の数値は各被験薬の投与量mg/Kgであり、各群ともN=6の結果である。
(表4)
被験薬(mg/Kg) 胃粘膜傷害長さの総和(mm) Lとの比
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
L(80) 30.05 1
L(80)+B12(0.02) 11.85 0.39
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
表4及び図1より、ロキソプロフェンナトリウム・2水和物(L)とビタミンB12の併用で、ロキソプロフェンによる胃粘膜傷害を著しく軽減させることが判った。
(試験例2)小腸での抗潰瘍効果試験
(1)被験物質
ロキソプロフェンナトリウム・2水和物は第一三共ケミカルファーマ(株)製のものを、ビタミンB1としてベンフォチアミン(第一三共ケミカルファーマ(株)製)を、ビタミンB6としてピリドキシン塩酸塩(ナカライテスク(株)製)をビタミンB12としてシアノコバラミン(ナカライテスク(株)製)を使用した。また、陽性対照としてヒスタミンH2受容体拮抗薬のラフチジン(セントラル硝子(株)製)を使用した。
これらの被験物質は、カルボキシメチルセルロースナトリウム(関東化学(株)製)を注射用水((株)大塚製薬工場製)に溶解した0.5%カルボキシメチルセルロースナトリウム溶液中に懸濁または溶解させて調製した。
(2)使用動物
Crl:CD雄性ラット5週齢(日本チャールス・リバー(株))を7日間の検疫期間及び7日間の馴化後に使用した。動物は温度22±3℃、湿度50±20%、照明時間8〜20時に制御されたラット飼育室内で飼育した。固形試料(CRF-1、オリエンタル酵母工業(株))及び水道水を自由に摂取させ、2週間予備飼育した後、体重推移及び一般症状の良好な動物を選別して供試した。
(3)試験方法
非絶食のラットに、ディスポーザブル経口ゾンデ(フチガミ器械製)を取り付けたディスポーザブル注射筒(テルモ製)を用いて、被験物質を経口投与した。投与は潰瘍誘発物質投与の30分前及び投与6時間後の2回実施した。なお、被験物質はマグネチックスターラーを用いて攪拌しながら使用した。
潰瘍誘発物質は、ディスポーザブル経口ゾンデ(フチガミ器械製)を取り付けたディスポーザブル注射筒(テルモ製)を用いて、経口投与した。
潰瘍誘発物質の投与24時間後に、イソフルラン麻酔下で腹部大静脈から採血を行い、白血球数(102/μL)を測定した。摘出した小腸は生理食塩液で内容物を洗浄し、1%中性緩衝ホルマリン液を通した後同固定液中に浸漬し、30分間以上、軽固定した。軽固定した小腸は約20 cm間隔で切断し、腸管膜対側に沿って切開し、ろ紙に貼り付けスケールと共に撮影した。撮影した画像を画像解析ソフトImage J(NIH)を用いて潰瘍面積および潰瘍個数を算出した。
また、潰瘍誘発物質投与の翌日に糞の観察を行い、一晩のうちに排泄された糞について全体の糞数と黒色便の個数をそれぞれ数え、全体の糞数に対する黒色便の割合を個体ごとに算出した。
(4)試験結果1(潰瘍面積)
表5及び図2は、ロキソプロフェンナトリウム単独(LまたはLox、以下同様)と、ビタミンB1、B6及びB12との併用、及び、陽性対照として、Loxとラフチジン(Laf)の併用における潰瘍面積の総和をそれぞれ示したものである。ここで、括弧内の数値は各被験薬の投与量mg/Kgであり、各群ともN=7の結果である。
(表5)
被験薬(mg/Kg) 潰瘍面積(mm2) Lとの比
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
L (60) 248 1
L (60)+Laf(30) 206 0.83
L(60)+B1(400) +B6(800) +B12(0.96) 148 0.60
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
表5及び図2より、ロキソプロフェンナトリウム(L)と、ビタミンB1、B6及びB12との併用でロキソプロフェンによる潰瘍を顕著に軽減させることが判った。この結果は、抗潰瘍剤のラフチジンよりも優れており驚くべき結果である。
(5)試験結果2(潰瘍個数)
表6及び図3は、ロキソプロフェンナトリウム単独(L)と、ビタミンB1、B6及びB12との併用、及び、陽性対照として、Loxとラフチジン(Laf)の併用における潰瘍個数をそれぞれ示したものである。ここで、括弧内の数値は各被験薬の投与量mg/Kgであり、各群ともN=7の結果である。
(表6)
被験薬(mg/Kg) 潰瘍個数 Lとの比
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
L(60) 59 1
L(60)+Laf(30) 44 0.75
L(60)+B1(400) +B6(800) +B12(0.96) 31* 0.53
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
*:対照群とt検定で有意差あり(p<0.05)
表6及び図3より、ロキソプロフェンナトリウム(L)と、ビタミンB1、B6及びB12との併用でロキソプロフェンによる潰瘍個数を顕著に低減させることが判った。この結果は、抗潰瘍剤のラフチジンよりも優れており驚くべき結果である。
(6)試験結果3(黒色便:消化管出血)
表7及び図4は、ロキソプロフェンナトリウム単独(L)と、ビタミンB1、B6及びB12との併用、及び、陽性対照として、Loxとラフチジン(Laf)の併用における全体の糞数に対する黒色便の割合(=黒色便数/全体の糞数)をそれぞれ示したものである。ここで、括弧内の数値は各被験薬の投与量mg/Kgであり、各群ともN=7の結果である。
(表7)
被験薬(mg/Kg) 黒色便の割合 Lとの比
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
L(60) 21.7 1
L(60)+Laf(30) 1.1 0.05
L(60)+B1(400) +B6(800) +B12(0.96) 0.0 0
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
表7及び図4より、ロキソプロフェンナトリウム(Lox)と、ビタミンB1、B6及びB12との併用で、ロキソプロフェンによる黒色便が無くなり、この結果は、抗潰瘍剤のラフチジンと同等以上と言え、驚くべき結果である。
(7)試験結果4(白血球数:炎症)
表8及び図5は、ロキソプロフェンナトリウム単独(L)と、ビタミンB1、B6及びB12との併用、及び、陽性対照として、Loxとラフチジン(Laf)の併用における白血球数をそれぞれ示したものである。ここで、括弧内の数値は各被験薬の投与量mg/Kgであり、各群ともN=7の結果である。
(表8)
被験薬(mg/Kg) 白血球数(102/μL) Lとの比
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
L(60) 189.0 1
L(60)+Laf(30) 171.4 0.91
L(60)+B1(400) +B6(800) +B12(0.96) 132.7 0.70
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
表8及び図5より、ロキソプロフェンナトリウム(L)と、ビタミンB1、B6及びB12との併用で、ロキソプロフェンによる白血球数からみた消化管炎症を著しく軽減させることが判った。この結果は、抗潰瘍剤のラフチジンよりも優れており驚くべき結果である。
(試験例3)疼痛軽減作用試験
(1)被験物質
ロキソプロフェンナトリウム・2水和物は第一三共ケミカルファーマ(株)製のものを、ビタミンB1としてベンフォチアミン(第一三共ケミカルファーマ(株)製)を、ビタミンB6としてピリドキシン塩酸塩(ナカライテスク(株)製)をビタミンB12としてシアノコバラミン(ナカライテスク(株)製)を使用した。
これらの被験物質は、カルボキシメチルセルロースナトリウム(関東化学(株)製)を注射用水((株)大塚製薬工場製)に溶解した0.5%カルボキシメチルセルロースナトリウム溶液中に懸濁または溶解させて調製した。
(2)使用動物
Crl:SD雄性ラット5週齢(日本チャールス・リバー(株))を7日間の検疫期間及び7日間の馴化後に使用した。動物は温度20.0〜26.0℃、湿度35〜75%、照明時間7時点灯,19時消灯に制御されたラット飼育室内で飼育した。固形試料(CRF-1、オリエンタル酵母工業(株))及び水道水を自由に摂取させ、体重推移及び一般症状の良好な動物を選別して供試した。
(3)試験方法
暖期(23℃:2時間)と寒期(-3℃:2時間)を1日5回(合計20時間)繰り返す寒冷ストレスをラットに5日間(120時間)負荷して,線維筋痛症モデルを作製した。フレキシブル経口ゾンデおよび注射筒を用いて,胃内に強制的に投与し、Chaplan らの方法に準じて、von Freyフィラメントを用いた機械刺激による疼痛反応を基に50%疼痛閾値を算出した。評価ポイントは、投与0.5および2時間後の左右後肢の疼痛閾値の合計とした。
(4)結果
表9より、50%疼痛閾値をControl群と比較すると、LとビタミンB1、B6及びB12との併用群は、投与0.5および2時間後に有意な上昇が認められており、疼痛軽減作用を有していることが示唆された。
(表9)
投与後経過時間(時間)
群(mg/kg) Pre 0.5 2
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
Sham 22.3 20.3 21
Control 3.1 2.1 2.6
L(45)+B1(6.3)+B6(12.5)+B12(0.015) 3.1 6.7** 7.6**
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
表中の数値は、50%疼痛閾値(g)を示す。各群ともN=7の平均値を示す。
** :Control群に対するP<0.01の有意水準を示す。
本発明の、ロキソプロフェン又はその塩及びビタミンB12類を含有する経口用医薬組成物は、胃粘膜傷害を顕著に軽減するため、解熱剤、鎮痛剤、炎症治療剤または感冒治療剤として有用であり、特に、慢性疼痛患者のQOLに貢献する経口鎮痛剤組成物である。本発明の経口用医薬組成物は、頭痛、月経痛(生理痛)、歯痛、抜歯後疼痛、咽喉痛、腰痛、関節痛、筋肉痛、肩こり痛、耳痛、打撲痛、骨折痛、ねんざ痛、外傷痛等の鎮痛、悪寒・発熱時の解熱に好適に用いられる。

Claims (7)

  1. (a)ロキソプロフェン又はその塩及び(b)ビタミンB12類を含有する経口用医薬組成物(ただし、葉酸を含むものを除く)。
  2. (b)ビタミンB12類が、シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン及びメコバラミンから選ばれる1種以上である請求項1記載の経口用医薬組成物。
  3. 更に(c)ビタミンB1類およびビタミンB6類から選ばれる1種以上を含有する請求項1又は2記載の経口用医薬組成物。
  4. 更に(c)ビタミンB1類及びビタミンB6類を共に含有する請求項1又は2に記載の経口用医薬組成物。
  5. (c)ビタミンB1類が、チアミン、チアミンジスルフィド、フルスルチアミン、ベンフォチアミン、オクトチアミン及びこれらの塩から選ばれる1種以上であり、ビタミンB6類が、ピリドキシン塩酸塩またはピリドキサールリン酸エステル水和物である、請求項3又は4記載の経口用医薬組成物。
  6. 解熱剤、鎮痛剤、炎症治療剤または感冒治療剤として用いられる請求項1ないし5のいずれか1項に記載の経口用医薬組成物。
  7. 固形製剤である請求項1ないし6のいずれか1項に記載の経口用医薬組成物。
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