JP2018012463A - 車両用空調装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ヒータコアを有する熱媒体回路に他の熱媒体回路を連携させるときにヒータコア吹出空気温度が低下することを抑制する。【解決手段】第1熱媒体回路31と第2熱媒体回路11とが互いに独立に熱媒体を循環させる独立モードと、第1熱媒体回路31と第2熱媒体回路11とが互いに連携して熱媒体を循環させる連携モードとを切り替える切替部30と、独立モードにおいて第2熱媒体回路11の熱媒体の温度から第1熱媒体回路31の熱媒体の温度を減じた温度差が所定温度差αを上回っている場合、第1熱媒体回路31を循環する熱媒体を加熱するように第1熱媒体加熱器1の作動を制御し、温度差が所定温度差α以下になった後に連携モードに切り替えるように切替部30の作動を制御する制御部40とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、車両に用いられる空調装置に関する。
従来、特許文献1には、冷却水加熱器とヒータコアとを備える車両用熱管理システムが記載されている。冷却水加熱器は、冷却水回路の冷却水と冷凍サイクルの高圧冷媒とを熱交換させることによって冷却水回路の冷却水を加熱する熱交換器である。ヒータコアは、冷却水加熱器で加熱された冷却水と車室内へ送風される空気とを熱交換させることによって車室内へ送風される空気を加熱する熱交換器である。ヒータコアで加熱された空気が車室内へ吹き出されることによって車室内が暖房される。
上記従来技術では、車両用熱管理システムは冷却水冷却水熱交換器と切替弁とを備える。冷却水冷却水熱交換器は、冷却水回路の冷却水とエンジン冷却回路の冷却水とを熱交換させる熱交換器である。エンジン冷却回路は、エンジンを冷却する冷却水が循環する回路である。切替弁は、冷却水回路の冷却水が冷却水冷却水熱交換器を流れる状態と流れない状態とを切り替える。
冷却水加熱器では暖房熱源が不足する場合、冷却水回路の冷却水が冷却水冷却水熱交換器を流れるように切替弁が作動することによって、エンジンの排熱を冷却水回路の冷却水に供給して暖房熱源の不足を解消する。
特開2015−140093号公報
ハイブリッド車両やアイドリングストップを行う車両においては、エンジンが停止される頻度が高いので、エンジン冷却回路の冷却水温度が冷却水回路の冷却水温度よりも低くなることがある。
エンジンの排熱を暖房熱源として利用するために冷却水回路の冷却水が冷却水冷却水熱交換器を流れるように切替弁が作動したときに、エンジン冷却回路の冷却水温度が冷却水回路の冷却水温度よりも低くなっていると、冷却水回路の冷却水が冷却水冷却水熱交換器で冷やされて冷却水回路の冷却水温度が低下してしまうので、ヒータコアに流入する冷却水の温度も低下してしまい、車室内へ吹き出される空気の温度が却って低下してしまう。
冷却水加熱器の代わりに電気ヒータで冷却水を加熱したり、エンジンの排熱の代わりに走行用電動モータの排熱や燃料電池スタックの排熱を暖房熱源として利用する車両用空調装置においても上記課題が同様に発生する。
本発明は上記点に鑑みて、ヒータコアを有する熱媒体回路に他の熱媒体回路を連携させるときにヒータコア吹出空気温度が低下することを抑制することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の車両用空調装置では、
熱媒体が循環する第1熱媒体回路(31)および第2熱媒体回路(11)と、
第1熱媒体回路(31)を循環する熱媒体を加熱する第1熱媒体加熱器(1)と、
第2熱媒体回路(11)を循環する熱媒体を加熱する第2熱媒体加熱器(13)と、
第2熱媒体加熱器(13)で加熱された熱媒体と、車室内へ送風される空気とを熱交換させて空気を加熱するヒータコア(15)と、
第1熱媒体回路(31)と第2熱媒体回路(11)とが互いに独立に熱媒体を循環させる独立モードと、第1熱媒体回路(31)と第2熱媒体回路(11)とが互いに連携して熱媒体を循環させる連携モードとを切り替える切替部(30)と、
独立モードにおいて第2熱媒体回路(11)の熱媒体の温度から第1熱媒体回路(31)の熱媒体の温度を減じた温度差が所定温度差(α)を上回っている場合、第1熱媒体回路(31)を循環する熱媒体を加熱するように第1熱媒体加熱器(1)の作動を制御し、温度差が所定温度差(α)以下になった後に連携モードに切り替えるように切替部(30)の作動を制御する制御部(40)とを備える。
これにより、連携モードに切り替えたときにヒータコア(15)に流入する熱媒体の温度が低下することを抑制できるので、連携モードに切り替えたときに吹出空気温度が低下することを抑制できる。
上記目的を達成するため、請求項2に記載の車両用空調装置では、
熱媒体が循環する第1熱媒体回路(31)および第2熱媒体回路(11)と、
第1熱媒体回路(31)を循環する熱媒体を加熱する第1熱媒体加熱器(1)と、
第2熱媒体回路(11)を循環する熱媒体を加熱する第2熱媒体加熱器(13)と、
第2熱媒体加熱器(13)で加熱された熱媒体と、車室内へ送風される空気とを熱交換させて空気を加熱するヒータコア(15)と、
第1熱媒体回路(31)と第2熱媒体回路(11)とが互いに独立に熱媒体を循環させる独立モードと、第1熱媒体回路(31)と第2熱媒体回路(11)とが互いに連携して熱媒体を循環させる連携モードとを切り替える切替部(30)と、
独立モードであり且つ第2熱媒体回路(11)を循環する熱媒体を加熱する性能が所定量以上要求される場合において、第2熱媒体回路(11)の熱媒体の温度から第1熱媒体回路(31)の熱媒体の温度を減じた温度差が所定温度差(α)を上回っている場合、第1熱媒体回路(31)を循環する熱媒体を加熱するように第1熱媒体加熱器(1)の作動を制御し、温度差が所定温度差(α)以下になった後に連携モードに切り替えるように切替部(30)の作動を制御する制御部(40)とを備える。
これにより、請求項1に記載の車両用空調装置と同様の作用効果を奏することができる。
上記目的を達成するため、請求項4に記載の車両用空調装置では、
熱媒体が循環する第1熱媒体回路(31)および第2熱媒体回路(11)と、
第1熱媒体回路(31)を循環する熱媒体を加熱するエンジン(1)と、
第2熱媒体回路(11)を循環する熱媒体を冷凍サイクル(20)の高圧冷媒と熱交換させることによって加熱する高圧側熱交換器(13)と、
第2熱媒体加熱器(13)で加熱された熱媒体と、車室内へ送風される空気とを熱交換させて空気を加熱するヒータコア(15)と、
第1熱媒体加熱器(1)の作動に伴って発生する熱を利用して第2熱媒体回路(11)を循環する熱媒体をエンジン(1)の排気と熱交換させることによって加熱する第3熱媒体加熱器(14)
第1熱媒体回路(31)と第2熱媒体回路(11)とが互いに独立に熱媒体を循環させる独立モードと、第1熱媒体回路(31)と第2熱媒体回路(11)とが互いに連携して熱媒体を循環させる連携モードとを切り替える切替部(30)と、
独立モードであり且つ暖房負荷が増大した又は所定量よりも大きくなった場合において、第2熱媒体回路(11)の熱媒体の温度から第1熱媒体回路(31)の熱媒体の温度を減じた温度差が所定温度差(α)を上回っている場合、エンジン(1)を稼動させ、温度差が所定温度差(α)以下になった後に連携モードに切り替えるように切替部(30)の作動を制御する制御部(40)とを備える。
これにより、請求項1に記載の車両用空調装置と同様の作用効果を奏することができる。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
第1実施形態における車両用空調装置の全体構成図であり、独立モードにおける冷却水流れ状態を示している。 第1実施形態における車両用空調装置の全体構成図であり、連携モードにおける冷却水流れ状態を示している。 第1実施形態における車両用空調装置の制御装置が実行する制御処理を示すフローチャートである。 第2実施形態における車両用空調装置の制御装置が実行する制御処理を示すフローチャートである。 第3実施形態における車両用空調装置の全体構成図である。 第4実施形態における車両用空調装置の全体構成図である。
以下、実施形態について図に基づいて説明する。以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
図1に示す車両用空調装置10は、車室内(換言すれば空調対象空間)を適切な温度に調節するために用いられる。本実施形態では、車両用空調装置10を、エンジン(換言すれば内燃機関)および走行用電動モータ(換言すればモータージェネレータ)から車両走行用駆動力を得るハイブリッド自動車に適用している。
本実施形態のハイブリッド自動車は、車両停車時に外部電源(換言すれば商用電源)から供給された電力を、車両に搭載された電池(換言すれば車載バッテリ)に充電可能なプラグインハイブリッド自動車として構成されている。電池としては、例えばリチウムイオン電池を用いることができる。
エンジンから出力される駆動力は、車両走行用駆動力として用いられるのみならず、発電機を作動させるためにも用いられる。そして、発電機にて発電された電力および外部電源から供給された電力を電池に蓄わえることができる。電池は、減速時や降坂時に走行用電動モータにて回生された電力(換言すれば回生エネルギ)を蓄えることもできる。
電池に蓄えられた電力は、走行用電動モータのみならず、車両用空調装置10を構成する電動式構成機器をはじめとする各種車載機器に供給される。
プラグインハイブリッド自動車は、車両走行開始前の車両停車時に外部電源から電池に充電しておくことによって、走行開始時のように電池の蓄電残量SOCが予め定めた走行用基準残量以上になっているときにはEV走行モードとなる。EV走行モードは、走行用電動モータが出力する駆動力によって車両を走行させる走行モードである。
一方、車両走行中に電池の蓄電残量SOCが走行用基準残量よりも低くなっているときにはHV走行モードとなる。HV走行モードは、主にエンジン1が出力する駆動力によって車両を走行させる走行モードであるが、車両走行負荷が高負荷となった際には走行用電動モータを作動させてエンジン1を補助する。
本実施形態のプラグインハイブリッド自動車では、このようにEV走行モードとHV走行モードとを切り替えることによって、車両走行用の駆動力をエンジン1のみから得る通常の車両に対してエンジン1の燃料消費量を抑制して、車両燃費を向上させている。EV走行モードとHV走行モードとの切り替えは、図示しない駆動力制御装置によって制御される。
図1に示すように、車両用空調装置10は、暖房回路11を備えている。暖房回路11は、暖房用の冷却水が循環する流体回路である。暖房回路11には、暖房用ポンプ12、水加熱器13、排気熱回収器14およびヒータコア15が配置されている。
暖房用ポンプ12は、冷却水を吸入して吐出する電動ポンプである。冷却水は、熱媒体としての流体である。本実施形態では、冷却水として、少なくともエチレングリコール、ジメチルポリシロキサンもしくはナノ流体を含む液体、または不凍液体が用いられている。暖房用ポンプ12は、冷却水の流量を調節する流量調節部である。
水加熱器13は、冷却水を加熱する冷却水加熱用熱交換器(熱媒体加熱用熱交換器)である。
水加熱器13は、冷凍サイクル20の高圧側冷媒と冷却水とを熱交換させることによって冷媒から冷却水に放熱させる高圧側熱交換器である。水加熱器13は、冷凍サイクル20の放熱器を構成している。
冷凍サイクル20は、圧縮機21、水加熱器13、膨張弁22および蒸発器23を備える蒸気圧縮式冷凍機である。本実施形態の冷凍サイクル20では、冷媒としてフロン系冷媒を用いており、高圧側冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超えない亜臨界冷凍サイクルを構成している。
圧縮機21は、電池から供給される電力によって駆動される電動圧縮機であり、冷凍サイクル20の冷媒を吸入して圧縮して吐出する。
水加熱器13は、圧縮機21から吐出された高圧側冷媒と冷却水とを熱交換させることによって高圧側冷媒を凝縮(潜熱変化)させる凝縮器(冷媒冷却水熱交換器)である。
膨張弁22は、水加熱器13から流出した液相冷媒を減圧膨張させる減圧手段である。膨張弁22は、水加熱器13出口側冷媒の温度および圧力に基づいて水加熱器13出口側冷媒の過熱度を検出する感温部を有し、蒸発器23出口側冷媒の過熱度が予め定めた所定範囲となるように機械的機構によって絞り通路面積を調節する温度式膨張弁である。
蒸発器23は、膨張弁22で減圧膨張された低圧冷媒を空気と熱交換させることによって蒸発(潜熱変化)させる蒸発器(冷媒冷却水熱交換器)である。蒸発器23で蒸発した気相冷媒は圧縮機21に吸入されて圧縮される。
排気熱回収器14は、エンジン1の排気と冷却水とを熱交換して冷却水に排気の熱を吸熱させる排気冷却水熱交換器(排気熱媒体熱交換器)である。排気熱回収器14は、エンジン1の排気が流れる排気管1aに配置されている。図1中、排気管1a内の矢印は、排気の流れを示している。
ヒータコア15は、水加熱器13および排気熱回収器14で加熱された冷却水と車室内へ送風される空気とを熱交換させて車室内へ送風される空気を加熱する空気加熱用熱交換器である。
ヒータコア15は、室内送風機16とともに、図示しない室内空調ユニットのケースに収容されている。室内空調ユニットのケースは、内気または外気を導入して車室内へ吹き出す空気通路を形成している。室内送風機16は、空気を車室内へ向けて送風する送風部である。室内送風機16は、遠心多翼ファンを電動モータにて駆動する電動送風機である。
室内空調ユニットのケースの空気流れ最上流側には、図示しない内気導入口および外気導入口が形成されている。内気導入口は、ケース内に内気を導入させる空気導入口である。外気導入口は、ケース内に外気を導入させる空気導入口である。
室内空調ユニットのケース内には、図示しない内外気切替ドアが配置されている。内外気切替ドアは、内気導入口および外気導入口の開口面積を連続的に調整する。内外気切替ドアは、ケース内に導入される内気の風量と外気の風量との風量割合を変更する風量割合変更部である。換言すれば、内外気切替ドアは、空気通路に導入される内気および外気に対する外気の比率を調整する外気率調整部である。
内外気切替ドアは、図示しない電動アクチュエータによって駆動される。この電動アクチュエータの作動は、制御装置40から出力される制御信号によって制御される。
内外気切替ドアは、吸込口モードを切り替える吸込口切替部である。例えば、吸込口モードは全内気モード、全外気モードおよび内外気混入モードである。内気モードでは、内気導入口を全開とするとともに外気導入口を全閉としてケース内の空気通路へ内気を導入する。外気モードでは、内気導入口を全閉とするとともに外気導入口を全開としてケース内の空気通路へ外気を導入する。
内外気混入モードでは、内気モードと外気モードとの間で、内気導入口および外気導入口の開口面積を連続的に調整することにより、ケース内の空気通路への内気と外気の導入比率を連続的に変化させる。
室内空調ユニットのケースのうち空気流れ最下流部には、図示しないフェイス吹出口、図示しないフット吹出口および図示しないデフロスタ吹出口が形成されている。
フェイス吹出口は、室内空調ユニットのケース内で温度調整された空気を車室内乗員の上半身に向けて吹き出すための吹出口である。フット吹出口は、室内空調ユニットのケース内で温度調整された空気を車室内乗員の足元に向けて吹き出すための吹出口である。デフロスタ吹出口は、室内空調ユニットのケース内で温度調整された空気を車両前面窓ガラスの車室内側の面に向けて吹き出すための吹出口である。
室内空調ユニットのケース内には図示しないフェイスドア、図示しないフットドア、および図示しないデフロスタドアが配置されている。フェイスドアはフェイス吹出口を開閉する。フットドアはフット吹出口を開閉する。デフロスタドアはデフロスタ吹出口を開閉する。
フェイスドア、フットドアおよびデフロスタドアは、図示しない電動アクチュエータによって駆動される。この電動アクチュエータの作動は、制御装置40から出力される制御信号によって制御される。
フェイスドア、フットドアおよびデフロスタドアは、吹出口モードを切り替える吹出口切替部である。吹出口モードは例えばフェイスモード、バイレベルモード、フットモード、フットデフロスタモードおよびデフロスタモードである。
フェイスモードでは、フェイスドアがフェイス吹出口を全開してフェイス吹出口から空気を吹き出す。バイレベルモードでは、フェイスドアおよびフットドアがフェイス吹出口およびフット吹出口を開けて車室内乗員の上半身および足元に向けて空気を吹き出す。フットモードでは、フットドアがフット吹出口を全開するとともにデフロスタドアがデフロスタ吹出口を小開度だけ開口して、フット吹出口から主に空気を吹き出す。フットデフロスタモードでは、フットドアおよびデフロスタドアがフット吹出口およびデフロスタ吹出口を同程度開けて、フット吹出口およびデフロスタ吹出口から空気を吹き出す。デフロスタモードでは、デフロスタドアがデフロスタ吹出口を全開してデフロスタ吹出口から車両全面窓ガラスに空気を吹き出す。
乗員が、図示しない操作パネルのデフロスタスイッチをマニュアル操作することによって、デフロスタモードに切り替えられる。
フット吹出口は、図示しないフロントフット吹出口と図示しないリヤフット吹出口とを有している。フロントフット吹出口は室内空調ユニットのケース内で温度調整された空気を車室内前席乗員の足元に向けて吹き出すための吹出口である。リヤフット吹出口は室内空調ユニットのケース内で温度調整された空気を車室内後席乗員の足元に向けて吹き出すための吹出口である。
室内空調ユニットのケース内には図示しないリヤフットドアが配置されている。リヤフットドアはリヤフット吹出口を開閉する。バイレベルモード、フットモードまたはフットデフロスタモードにおいてリヤフットドアがリヤフット吹出口を開けることによって、室内空調ユニットのケース内で温度調整された空気を車室内後席乗員の足元に向けて吹き出して後席暖房を行うことができる。
暖房回路11は、四方弁30を介してエンジン冷却回路31と連携可能になっている。エンジン冷却回路31は、エンジン1を冷却する冷却水が循環する流体回路である。エンジン冷却回路31は第1熱媒体回路である。エンジン1は第1熱媒体加熱器である。暖房回路11は第2熱媒体回路である。水加熱器13は第2熱媒体加熱器である。排気熱回収器14は第3熱媒体加熱器である。
四方弁30は、図1に示す独立モードと、図2に示す連携モードとを切り替える切替部である。独立モードでは、暖房回路11とエンジン冷却回路31とが互いに切り離される。連携モードでは、暖房回路11とエンジン冷却回路31とが互いに接続される。
独立モードでは、図1に示すように、暖房回路11およびエンジン冷却回路31に冷却水が互いに独立して循環する。連携モードでは、図2に示すように、暖房回路11およびエンジン冷却回路31に冷却水が互いに直列に循環する。
エンジン冷却回路31は、冷却水が循環する循環流路32を有している。循環流路32には、エンジン1、エンジン用ポンプ33およびラジエータ34が配置されている。
エンジン用ポンプ33は、冷却水を吸入して吐出する電動ポンプである。エンジン用ポンプ33は、エンジン1から出力される動力によって駆動される機械式ポンプであってもよい。
ラジエータ34は、冷却水と外気とを熱交換することによって冷却水の熱を外気に放熱させる放熱用熱交換器(熱媒体空気熱交換器)である。
ラジエータ34にはリザーブタンク35が接続されている。リザーブタンク35は、冷却水を貯留する大気開放式の容器(熱媒体貯留手段)である。したがって、リザーブタンク35に蓄えている冷却水の液面における圧力は大気圧になる。
リザーブタンク35に蓄えている冷却水の液面における圧力が所定圧力(大気圧とは異なる圧力)になるようにリザーブタンク35が構成されていてもよい。
リザーブタンク35に余剰冷却水を貯留しておくことによって、各流路を循環する冷却水の液量の低下を抑制することができる。リザーブタンク35は、冷却水中に混入した気泡を気液分離する機能を有している。
循環流路32には、ラジエータバイパス流路36が接続されている。ラジエータバイパス流路36は、冷却水がラジエータ34をバイパスして流れる流路である。
ラジエータバイパス流路36と循環流路32との接続部にはサーモスタット37が配置されている。サーモスタット37は、温度によって体積変化するサーモワックス(感温部材)によって弁体を変位させて冷却水流路を開閉する機械的機構で構成される冷却水温度応動弁である。
具体的には、サーモスタット37は、冷却水の温度が所定温度を上回っている場合(例えば80℃以上)、ラジエータバイパス流路36を閉じ、冷却水の温度が所定温度を下回っている場合(例えば80℃未満)、ラジエータバイパス流路36を開ける。
ラジエータバイパス流路36には、EGRクーラ38が配置されている。EGRクーラ38は、エンジン1の排気の一部を吸気側に還流させてスロットルバルブで発生するポンピングロスを低減させるEGR装置(排気ガス再循環装置)を構成する熱交換器であって、還流ガスと冷却水とを熱交換させて還流ガスの温度を調節する熱交換器である。
エンジン冷却回路31の冷却水容量は、暖房回路11の冷却水容量よりも大きくなっている。換言すれば、エンジン冷却回路31における冷却水の熱容量は、暖房回路11における冷却水の熱容量よりも大きくなっている。
エンジン冷却回路31においてエンジン1から冷却水に与えられる熱量は、暖房回路11において排気熱回収器14から冷却水に与えられる熱量よりも多くなる。
四方弁30は、暖房回路11においてヒータコア15の冷却水出口側かつ暖房用ポンプ12の冷却水吸入側に配置されている。
四方弁30は、エンジン冷却回路31のラジエータバイパス流路36においてエンジン1の冷却水出口側かつEGRクーラ38の冷却水入口側に配置されている。
四方弁30は、第1冷却水入口30a、第1冷却水出口30b、第2冷却水入口30cおよび第2冷却水出口30dを有している。
第1冷却水入口30aは、ヒータコア15の冷却水出口側に接続されている。第1冷却水出口30bは、暖房用ポンプ12の冷却水吸入側に接続されている。第2冷却水入口30cは、エンジン1の冷却水出口側に接続されている。第2冷却水出口30dは、EGRクーラ38の冷却水入口側に接続されている。
四方弁30は、独立モードでは、図1に示すように、第1冷却水入口30aと第1冷却水出口30bとを接続し且つ第2冷却水入口30cと第2冷却水出口30dとを接続する。
四方弁30は、連携モードでは、図2に示すように、第1冷却水入口30aと第2冷却水出口30dとを接続し且つ第2冷却水入口30cと第1冷却水出口30bとを接続する。
四方弁30の作動は制御装置40によって制御される。制御装置40は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成された制御部である。制御装置40は、そのROM内に記憶された空調制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、出力側に接続された各種制御対象機器の作動を制御する。
制御装置40によって制御される制御対象機器は、暖房用ポンプ12、室内送風機16、圧縮機21、四方弁30、エンジン用ポンプ33等である。
制御装置40のうち、その出力側に接続された各種制御対象機器の作動を制御するハードウェアおよびソフトウェアは、それぞれの制御対象機器の作動を制御する制御部を構成している。
例えば、制御装置40のうち暖房用ポンプ12およびエンジン用ポンプ33の作動を制御するハードウェアおよびソフトウェアは、ポンプ制御部を構成している。ポンプ制御部は、冷却水の流量を制御する冷却水流量制御部である。
制御装置40のうち室内送風機16の作動を制御するハードウェアおよびソフトウェアは、室内送風機制御部を構成している。室内送風機制御部は、ヒータコア15を流れる空気の流量を制御する空気流量制御部である。
制御装置40のうち圧縮機21の作動を制御するハードウェアおよびソフトウェアは、圧縮機制御部を構成している。圧縮機制御部は、圧縮機21から吐出される冷媒の流量を制御する冷媒流量制御部である。
制御装置40のうち四方弁30の作動を制御するハードウェアおよびソフトウェアは、バルブ制御部を構成している。バルブ制御部は、冷却水の循環状態を切り替える循環切替制御部である。各制御部は、制御装置40に対して別体で構成されていてもよい。
制御装置40の入力側には、図示しない内気温度センサ、図示しない外気温度センサ、図示しない日射センサ、暖房回路水温センサ41、エンジン冷却回路水温センサ42、図示しない車速センサ等のセンサ群の検出信号が入力される。
内気温度センサは、内気の温度を検出する内気温度検出部である。外気温度センサは、外気の温度を検出する検出手段外気温度検出部である。日射センサは、車室内の日射量を検出する日射量検出部である。
暖房回路水温センサ41は、暖房回路11を循環する冷却水の温度(例えばヒータコア15に流入する冷却水の温度)を検出する冷却水温度検出部である。エンジン冷却回路水温センサ42は、エンジン冷却回路31を循環する冷却水の温度(例えばエンジン1から流出した冷却水の温度)を検出する冷却水温度検出部である。車速センサは、車両の走行速度を検出する車速検出部である。
制御装置40の入力側には、図示しない操作パネルに設けられた各種空調操作スイッチからの操作信号が入力される。例えば、操作パネルは、車室内前部の計器盤付近に配置されている。
操作パネルに設けられた各種空調操作スイッチは、デフロスタスイッチ、車室内温度設定スイッチ、室内送風機16の風量設定スイッチ、内外気切替スイッチ、後席暖房スイッチおよび空調停止スイッチ等である。
デフロスタスイッチは、デフロスタモードを設定または解除するスイッチである。車室内温度設定スイッチは、乗員の操作によって車室内目標温度を設定する目標温度設定手段である。内外気切替スイッチは、全内気モード、全外気モードおよび内外気混入モードを切り替えるスイッチである。後席暖房スイッチは、後席暖房を設定または解除するスイッチである。空調停止スイッチは、空調を停止させるスイッチである。
制御装置40は、車室内吹出空気の目標吹出温度TAO等に基づいて室内送風機16や圧縮機21の作動を制御する。目標吹出温度TAOは、内気温Trを速やかに乗員の所望の目標温度Tsetに近づけるために決定される値であって、下記数式F1により算出される。
TAO=Kset×Tset−Kr×Tr−Kam×Tam−Ks×Ts+C …F1
この数式において、Tsetは車室内温度設定スイッチによって設定された車室内の目標温度であり、Trは内気温度センサによって検出された内気温度であり、Tamは外気温度センサによって検出された外気温度であり、Tsは日射センサによって検出された日射量である。Kset、Kr、Kam、Ksは制御ゲインであり、Cは補正用の定数である。
制御装置40は、図示しないエンジン制御装置と電気的に接続されて通信可能に構成されている。エンジン制御装置は、エンジン1を構成する各種エンジン構成機器の作動を制御する。各種エンジン構成機器は、エンジン1を始動させるスタータ、エンジン1に燃料を供給する燃料噴射弁の駆動回路等である。
エンジン制御装置は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成されている。エンジン制御装置は、そのROM内に記憶された制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、出力側に接続された各種エンジン構成機器の作動を制御する。
制御装置40がエンジン制御装置へエンジン1の稼動要求信号を出力することによって、エンジン1の稼動を要求することが可能となっている。なお、エンジン制御装置では、制御装置40からのエンジン稼動要求信号を受信すると、エンジン1の稼動の要否を判定し、その判定結果に応じてエンジン1の作動を制御する。
制御装置40およびエンジン制御装置は、同一のハードウェアとして構成されていてもよい。制御装置40が制御する制御対象機器の一部をエンジン制御装置が制御するようにしてもよい。
次に、上記構成における作動を説明する。図1に示す独立モードにおいて圧縮機21が稼動すると、冷凍サイクル20の高圧冷媒(すなわち圧縮機21から吐出された高圧冷媒)が水加熱器13に流入し、水加熱器13において暖房回路11の冷却水を加熱する。水加熱器13で加熱された冷却水は、ヒータコア15にて車室内へ送風される空気を加熱する。これにより、車室内が暖房される。
エンジン1が稼動している場合、エンジン1の排気ガスが排気熱回収器14に流入し、排気熱回収器14において暖房回路11の冷却水を加熱する。これにより、暖房能力を高めることができる。
図2に示す連携モードでは、エンジン冷却回路31が暖房回路11に接続されるので、エンジン1で加熱された冷却水をヒータコア15に流入させて車室内へ送風される空気を加熱できる。これにより、暖房能力をさらに高めることができる。
独立モードにおいて水加熱器13の冷却水加熱能力が小さくて暖房能力が不足する場合、連携モードに切り替えることによってエンジン1の排熱を利用して冷却水加熱能力を補うことができるので暖房能力不足を解消できる。
独立モードにおいて圧縮機21およびエンジン1が稼動している場合、エンジン冷却回路31の冷却水温度上昇速度は、暖房回路11の冷却水温度上昇速度よりも高くなる。すなわち、下記数式F2の関係が成り立っている。
[(Q_HP+Q_EHR)−Qh]/Hm_HTR<Q_ENG/Hm_ENG …F2
この数式において、Q_HPは冷凍サイクル20の暖房性能(換言すればヒートポンプ性能)である。Q_EHRは排気熱回収器14における冷却水加熱性能である。Hm_HTは、暖房回路11の冷却水熱容量である。Q_ENGはエンジン1の排熱量である。Hm_ENGはエンジン冷却回路31の冷却水熱容量である。
制御装置40は、独立モード時において暖房要求量が増加した場合、図3のフローチャートに示す制御処理を実行することによって、連携モードに切り替えるか否かを決定する。例えば、制御装置40は、独立モード時において目標吹出温度TAOが上昇した場合、暖房要求量が増加したと判断する。
例えば、制御装置40は、独立モード時において外気温度が低下した場合、暖房要求量が増加したと判断する。例えば、制御装置40は、独立モード時において室内送風機16の風量が増加した場合、暖房要求量が増加したと判断する。
例えば、制御装置40は、独立モード時において車室内温度設定スイッチによって車室内目標温度が高められた場合、暖房要求量が増加したと判断する。例えば、制御装置40は、独立モード時において内外気切替ドアによって外気の導入割合が増加された場合、暖房要求量が増加したと判断する。
例えば、制御装置40は、独立モード時においてデフロスタモードに切り替えられた場合、暖房要求量が増加したと判断する。例えば、制御装置40は、独立モード時において後席暖房が開始された場合、暖房要求量が増加したと判断する。
例えば、制御装置40は、独立モード時において内気温度が低下した場合、暖房要求要求量が増加したと判断する。
図3のフローチャートのステップS100では、暖房負荷が所定値よりも大きいか否かを判定する。例えば、目標吹出温度TAOが所定温度よりも高い場合、暖房負荷が所定値よりも大きいと判定する。例えば、暖房回路11の目標冷却水温度が所定温度よりも高い場合、暖房負荷が所定値よりも大きいと判定してもよい。
暖房負荷の所定値、目標吹出温度TAOの所定温度および目標冷却水温度の所定温度は、冷凍サイクル20の最大暖房能力に関連する値である。冷凍サイクル20の最大暖房能力とは、冷凍サイクル20の水加熱器13が暖房回路11の冷却水を加熱する能力の最大値である。
暖房負荷の所定値、目標吹出温度TAOの所定温度および目標冷却水温度の所定温度は、外気温や車速に基づいて、制御マップを参照して算出する。制御マップは、外気温や車速と冷凍サイクル20の最大暖房能力との関係を表したものであり、予め制御装置40に記憶されている。
ステップS100において暖房負荷が所定値よりも大きくないと判定した場合、ステップS110へ進み圧縮機21の回転数Ncを増加させた後、ステップS100へ戻る。これにより、冷凍サイクル20の暖房能力が増加する。すなわち、水加熱器13の冷却水加熱能力が増加する。
一方、ステップS100において暖房負荷が所定値よりも大きいと判定した場合、ステップS120へ進み、暖房回路11の冷却水温度からエンジン冷却回路31の冷却水温度を減じた温度差が所定温度差αを上回っているか否かを判定する。図3中、ヒータ水温は、暖房回路11の冷却水温度のことであり、エンジン水温は、エンジン冷却回路31の冷却水温度のことである。
ステップS120にて暖房回路11の冷却水温度からエンジン冷却回路31の冷却水温度を減じた温度差が所定温度差αを上回っていないと判定した場合、ステップS130へ進み、連携モードに切り替える。
これにより、暖房回路11とエンジン冷却回路31との温度差が小さいときに連携モードに切り替えられるため、エンジン冷却回路31を暖房回路11に接続しても冷却水暖房回路11の冷却水温度が低下することを抑制でき、ひいてはヒータコア15の吹出空気温度が低下することを抑制できる。
連携モードでは、エンジン1の排熱およびEGRクーラ38から供給されるエンジン排気熱を利用して暖房できるので、独立モードと比較して暖房性能を向上できる。
一方、ステップS120にて暖房回路11の冷却水温度からエンジン冷却回路31の冷却水温度を減じた温度差が所定温度差αを上回っていると判定した場合、ステップS140へ進み、図示しないエンジン制御装置にエンジン稼働要求信号を出力するとともに、圧縮機21の回転数Ncを増加させる。これにより、エンジン制御装置によってエンジン1が稼動されてエンジン冷却回路31の冷却水温度が上昇するとともに水加熱器13の冷却水加熱能力が増加する。
このとき、圧縮機21の回転数Ncが増加することによって圧縮機21の作動音が大きくなるが、エンジン1が稼動してエンジン音が発生するので、乗員が圧縮機21の作動音を騒音として感じることを抑制できる。
なお、ステップS140では、圧縮機21の回転数Ncが既に上限回転数に達している場合は圧縮機21の回転数Ncを増加させない。
上述のように、圧縮機21およびエンジン1が稼動している場合、エンジン冷却回路31の冷却水温度上昇速度は、暖房回路11の冷却水温度上昇速度よりも高くなる。さらに、圧縮機21の消費動力分だけエンジン1の仕事量を増やすことにもなるため、エンジン冷却回路31の冷却水温度上昇速度が高くなる。
そのため、ステップS140を実行すると、エンジン冷却回路31の冷却水温度が暖房回路11の冷却水温度に近づくので、暖房回路11の冷却水温度からエンジン冷却回路31の冷却水温度を減じた温度差が小さくなっていく。
このとき、排気熱回収器14が暖房回路11の冷却水を加熱するので、独立モードのままでも暖房性能をある程度向上できる。すなわち、エンジン冷却回路31の冷却水温度が上昇するまでの間においても暖房性能を極力確保できる。
続くステップS150では、暖房回路11の冷却水温度からエンジン冷却回路31の冷却水温度を減じた温度差が所定温度差α以下であるか否かを判定する。
暖房回路11の冷却水温度からエンジン冷却回路31の冷却水温度を減じた温度差が所定温度差α以下でないと判定した場合、ステップS150を繰り返す。
暖房回路11の冷却水温度からエンジン冷却回路31の冷却水温度を減じた温度差が所定温度差α以下であると判定した場合、ステップS130へ進み、連携モードに切り替える。
これにより、暖房回路11とエンジン冷却回路31との温度差が小さくなってから連携モードに切り替えられるため、エンジン冷却回路31を暖房回路11に接続しても冷却水暖房回路11の冷却水温度が低下することを抑制でき、ひいてはヒータコア15の吹出空気温度が低下することを抑制できる。
すなわち、エンジン冷却回路31の冷却水温度が十分に上昇するのを待ってからエンジン冷却回路31を暖房回路11に接続するので、ヒータコア15の吹出空気温度が低下することを抑制できる。
連携モードでは、エンジン1の排熱およびEGRクーラ38から供給されるエンジン排気熱を利用して暖房できるので、独立モードと比較して暖房性能を向上できる。
独立モードにおいては圧縮機21を高回転にするとともにエンジン用ポンプ33を低回転にし、連携モードにおいては圧縮機21を極力低回転にするとともにエンジン用ポンプ33を高回転にするのが好ましい。
これによると、独立モードにおいては水加熱器13の冷却水加熱能力を極力高めるとともに、エンジン冷却回路31の冷却水流量を少なくして外部への放熱ロスを極力少なくすることができる。一方、連携モードにおいては圧縮機21の消費動力を極力少なくするとともに、エンジン1と冷却水との熱交換効率を極力高めて暖房性能を極力高めることができる。
本実施形態では、図3に示すフローチャートで説明したように、制御装置40は、独立モードにおいて暖房回路11の冷却水の温度からエンジン冷却回路31の冷却水の温度を減じた温度差が所定温度差αを上回っている場合、エンジン冷却回路31を循環する冷却水を加熱するようにエンジン1の作動を制御し、暖房回路11の冷却水の温度からエンジン冷却回路31の冷却水の温度を減じた温度差が所定温度差α以下になった後に連携モードに切り替えるように四方弁30の作動を制御する。
より具体的には、制御装置40は、独立モードであり且つ暖房回路11を循環する冷却水を加熱する性能が所定量以上要求される場合において、暖房回路11の冷却水の温度からエンジン冷却回路31の冷却水の温度を減じた温度差が所定温度差αを上回っている場合、エンジン冷却回路31を循環する冷却水を加熱するようにエンジン1の作動を制御し、暖房回路11の冷却水の温度からエンジン冷却回路31の冷却水の温度を減じた温度差が所定温度差α以下になった後に連携モードに切り替えるように四方弁30の作動を制御する。
より具体的には、制御装置40は、独立モードであり且つ暖房負荷が増大した若しくは所定量よりも大きくなった場合、又は暖房回路11の目標冷却水温度が所定量よりも大きくなった場合において、暖房回路11の冷却水の温度からエンジン冷却回路31の冷却水の温度を減じた温度差が所定温度差αを上回っている場合、エンジン1を稼動させ、暖房回路11の冷却水の温度からエンジン冷却回路31の冷却水の温度を減じた温度差が所定温度差α以下になった後に連携モードに切り替えるように四方弁30の作動を制御する。
これによると、連携モードに切り替えたときにヒータコア15に流入する冷却水の温度が低下することを抑制できるので、連携モードに切り替えたときに吹出空気温度が低下することを抑制できる。
本実施形態では、排気熱回収器14は、エンジン1の作動に伴って発生する熱を利用して暖房回路11を循環する冷却水を加熱する。
これにより、独立モードにおいて暖房回路11の冷却水の温度からエンジン冷却回路31の冷却水の温度を減じた温度差が所定温度差α以下になるまでの間、排気熱回収器14によって暖房回路11の冷却水を加熱することができるので、連携モードへの切り替えを待っている間に暖房性能が不足することを抑制できる。
本実施形態では、制御装置40は、独立モードであり且つ暖房負荷が増大した若しくは所定量よりも大きくなった場合、又は暖房回路11の目標冷却水温度が所定量よりも大きくなった場合において、暖房回路11の冷却水の温度からエンジン冷却回路31の冷却水の温度を減じた温度差が所定温度差αを上回っている場合、エンジン冷却回路31の冷却水の温度上昇速度が暖房回路11の冷却水の温度上昇速度よりも大きくなるようにエンジン1の作動を制御する。
これにより、独立モードにおいてエンジン冷却回路31の冷却水の温度から暖房回路11の冷却水の温度を減じた温度差を確実に所定温度差α以下にすることができるので、早期に連携モードに切り替えることができる。
本実施形態では、エンジン冷却回路31の熱容量は、暖房回路11の熱容量よりも大きくなっている。エンジン冷却回路31の熱容量は、エンジン冷却回路31の冷却水と、エンジン冷却回路31のうち冷却水と熱交換される部位との合計の熱容量である。暖房回路11の熱容量は、暖房回路11の冷却水と、暖房回路11のうち冷却水と熱交換される部位との合計の熱容量である。
これにより、独立モードから連携モードに切り替えたときに冷却水の温度が変動することを抑制でき、ひいてはヒータコア15の吹出空気温度が変動することを抑制できる。
本実施形態では、制御装置40は、連携モードに切り替えるように四方弁30の作動を制御した場合、ポンプ33の回転数を上昇させるとともに、水加熱器13の冷却水加熱能力を低下させる。
これによると、連携モードに切り替えた場合、エンジン1の冷却水加熱能力を増加させるとともに圧縮機21の消費動力を低減して冷却水加熱効率を高めることができる。
(第2実施形態)
本実施形態では、独立モード時において図4のフローチャートに示す制御処理を実行することによって、独立モードから連携モードに切り替えるか否かを決定する。
まずステップS200では、要求暖房性能Qがヒートポンプ性能の最大値Q_HP(Max)と排気熱回収性能Q_EHRとの和を上回っているか否かを判定する。ヒートポンプ性能Q_HPは、水加熱器13における冷却水加熱性能のことである。ヒートポンプ性能の最大値Q_HP(Max)は、圧縮機21の回転数Ncが許容最大回転数になっている場合におけるヒートポンプ性能のことである。
圧縮機21の許容最大回転数Ncは、例えば圧縮機21の機械的な制約や、圧縮機21の騒音的な制約、冷凍サイクル20の高圧が所定値以上になるときの回転数、圧縮機21の吐出冷媒温度が所定値以上になるときの回転数、冷凍サイクル20の低圧が所定値以下になるときの回転数、圧縮機21の吸入冷媒温度が所定値以下になるときの回転数等に基づいて定められている。
排気熱回収性能Q_EHRは、排気熱回収器14における冷却水加熱性能のことである。すなわち、ステップS200では、要求暖房性能Qが独立モードにおける暖房性能を上回っているか否かを判定する。
排気熱回収性能Q_EHRは、エンジン1の負荷値に基づいてエンジン1の排気損を推定し、推定したエンジン1の排気損に基づいて冷却水との熱交換量を推定することによって算出できる。排気熱回収性能Q_EHRは、排気熱回収器14の冷却水入口側の冷却水温度と、排気熱回収器14の冷却水出口側の冷却水温度とに基づいて推定することもできる。排気熱回収性能Q_EHRは、排気管内を流れる排気ガスの温度と流量とに基づいて推定することもできる。
ステップS200にて要求暖房性能Qがヒートポンプ性能の最大値Q_HP(Max)と排気熱回収性能Q_EHRとの和を上回っていないと判定した場合、ステップS210へ進み、所定時間待機した後、ステップS200へ戻る。すなわち、暖房回路11の暖房性能が要求暖房性能Q以上であるので、独立モードを維持しても要求暖房性能Qを確保できる。
ヒートポンプ性能の最大値Q_HP(Max)は、外気温や車速に基づいて、制御マップを参照して算出する。制御マップは、外気温や車速とヒートポンプ性能の最大値Q_HP(Max)との関係を表したものであり、予め制御装置40に記憶されている。
一方、ステップS200にて要求暖房性能Qがヒートポンプ性能の最大値Q_HP(Max)と排気熱回収性能Q_EHRとの和を上回っていると判定した場合、ステップS220へ進み、図示しないエンジン制御装置にエンジン稼働要求信号を出力する。すなわち、独立モードでは要求暖房性能Qを確保できないので、エンジン1の排熱およびEGRクーラ38から供給されるエンジン1の排気熱のうち少なくとも一方を暖房に利用できるようにする。
続くステップS230では、要求暖房性能Qが、ヒートポンプ性能の最大値Q_HP(Max)とエンジン1がアイドル状態を継続している時の排気熱回収性能Q_EHR(idle)との和を上回っているか否かを判定する。すなわち、要求暖房性能Qが、エンジン1がアイドル状態を継続している時の暖房回路11の暖房性能を上回っているか否かを判定する。
ステップS230にて要求暖房性能Qがヒートポンプ性能の最大値Q_HP(Max)とエンジン1がアイドル状態を継続している時の排気熱回収性能Q_EHR(idle)との和を上回っていると判定した場合、ステップS240へ進み、連携モードに切り替えることを決定する。すなわち、独立モードでエンジン1の排気熱を利用しても要求暖房性能Qを確保できないので、連携モードに切り替えてエンジン1の排熱も暖房に利用できるようにする。
なお、制御装置40は、ステップS240にて連携モードに切り替えることを決定した場合、エンジン冷却回路31の冷却水温度を減じた温度差が所定温度差α以下になった後、連携モードに切り替える。すなわち、暖房回路11の冷却水とエンジン冷却回路31の冷却水との温度差が小さくなってからエンジン冷却回路31を暖房回路11に接続する。これにより、エンジン冷却回路31を暖房回路11に接続しても暖房回路11の冷却水温度が低下することを抑制できる。
エンジン冷却回路31を暖房回路11に接続することによって、エンジン1の排熱およびEGRクーラ38から供給されるエンジン1の排気熱を利用して暖房できる。暖房性能不足を解消できる。
一方、ステップS230にて要求暖房性能Qがヒートポンプ性能の最大値Q_HP(Max)とエンジン1がアイドル状態を継続している時の排気熱回収性能Q_EHR(idle)との和を上回っていないと判定した場合、ステップS250へ進み、所定時間待機した後、ステップS260へ進む。
ステップS260では、ステップS200と同様に、要求暖房性能Qがヒートポンプ性能の最大値Q_HP(Max)と排気熱回収性能Q_EHRとの和を上回っているか否かを判定する。
ステップS260にて要求暖房性能Qがヒートポンプ性能の最大値Q_HP(Max)と排気熱回収性能Q_EHRとの和を上回っていると判定した場合、ステップS240へ進み、連携モードに切り替えることを決定する。
一方、ステップS260にて要求暖房性能Qがヒートポンプ性能の最大値Q_HP(Max)と排気熱回収性能Q_EHRとの和を上回っていないと判定した場合、ステップS270へ進み、図示しないエンジン制御装置へのエンジン稼働要求信号の出力を停止し、続くステップS280では、所定時間待機した後、ステップS200へ戻る。これにより、エンジン1の稼動時間を極力少なくして燃費を向上できる。
このように、本実施形態においても上記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
(第3実施形態)
上記実施形態では、暖房回路11が四方弁30を介してエンジン冷却回路31と連携可能になっているが、本実施形態では、図5に示すように、暖房回路11が三方弁50を介してエンジン冷却回路31と連携可能になっている。
暖房回路11およびエンジン冷却回路31は、第1連通流路51および第2連通流路52によって互いに連通している。
第1連通流路51は、暖房回路11のうちヒータコア15の冷却水出口側かつ水加熱器13の冷却水入口側の部位と、エンジン冷却回路31のラジエータバイパス流路36のうちエンジン1の冷却水出口側かつEGRクーラ38の冷却水入口側の部位とを連通している。
第2連通流路52は、暖房回路11のうち水加熱器13の冷却水出口側かつ排気熱回収器14の冷却水入口側の部位と、エンジン冷却回路31のラジエータバイパス流路36のうちEGRクーラ38の冷却水出口側かつエンジン1の冷却水入口側の部位とを連通している。
三方弁50は、第1連通流路51と暖房回路11との接続部に配置されている。三方弁50は、第1冷却水入出口50a、第2冷却水入出口50bおよび第3冷却水入出口50cを有している。第1冷却水入出口50aは、ヒータコア15の冷却水出口側に接続されている。第2冷却水入出口50bは、水加熱器13の冷却水入口側に接続されている。第3冷却水入出口50cは、第1連通流路51に接続されている。
三方弁50が第3冷却水入出口50cを閉じることによって独立モードになり、三方弁50が第3冷却水入出口50cを開くことによって連携モードになる。したがって、本実施形態においても、上記実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
連携モードにおいて三方弁50が第2冷却水入出口50bを閉じることによって、水加熱器13への冷却水の流通が遮断される。三方弁50は、水加熱器13への冷却水の供給を遮断する遮断部である。
制御装置40は、エンジン冷却回路31の冷却水の温度が所定温度よりも高い場合、水加熱器13への冷却水の供給が遮断されるように三方弁50の作動を制御する。これによると、冷凍サイクル20の高圧冷媒の温度が高くなって冷凍サイクル20の効率が低下することを抑制できる。
(第4実施形態)
上記第3実施形態では、暖房回路11が三方弁50を介してエンジン冷却回路31と連携可能になっているが、本実施形態では、図6に示すように、暖房回路11が二方弁60を介してエンジン冷却回路31と連携可能になっている。
二方弁60は、第1連通流路51に配置されている。二方弁60は、第1冷却水入出口60aおよび第2冷却水入出口60bを有している。第1冷却水入出口60aは暖房回路11側に接続されている。第2冷却水入出口60bはエンジン冷却回路31側に接続されている。
二方弁60が第2冷却水入出口60bを閉じることによって独立モードになり、二方弁60が第2冷却水入出口60bを開くことによって連携モードになる。したがって、本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
(他の実施形態)
上記実施形態を適宜組み合わせ可能である。上記実施形態を例えば以下のように種々変形可能である。
(1)上記各実施形態では水加熱器13で暖房回路11の冷却水を加熱するが、電気ヒータで暖房回路11の冷却水を加熱してもよい。
(2)上記各実施形態では蒸発器23は、冷凍サイクル20の低圧冷媒と空気とを直接熱交換させるが、蒸発器23は、冷凍サイクル20の低圧冷媒と空気とを冷却水を介して熱交換させてもよい。
(3)上記各実施形態では排気熱回収器14で暖房回路11の冷却水を加熱するが、EGRクーラで暖房回路11の冷却水を加熱してもよい。過給機を有する車両の場合、水冷インタークーラや過給機で暖房回路11の冷却水を加熱してもよい。
過給機は、エンジン1の吸入空気(吸気)を過給する過給部である。水冷インタークーラは、過給機で圧縮されて高温になった過給吸気と冷却水とを熱交換して過給吸気を冷却する熱交換器である。
(4)上記各実施形態では、暖房回路11をエンジン冷却回路31と連携させ、排気熱回収器14で暖房回路11の冷却水を加熱するが、暖房回路11を、走行用電動モータを冷却する冷却回路と連携させ、インバータで暖房回路11の冷却水を加熱してもよい。
インバータは、車両のバッテリから供給された直流電力を交流電力に変換して電動モータに出力する電力変換装置である。
また、燃料電池自動車の場合、燃料電池スタックを冷却する冷却回路と連携させ、インバータや走行用電動モータで暖房回路11の冷却水を加熱してもよい。
(5)上記各実施形態では、暖房開始後に暖房性能が不足した場合、暖房回路11にエンジン冷却回路31を接続して暖房性能を確保するが、極低温条件時等、高い暖房性能が必要となる場合には暖房開始前に暖房回路11とエンジン冷却回路31とを接続してもよい。これにより、高い暖房性能が必要となる場合に冷却水温度が変動してヒータコア15の吹出空気温度が変動することを抑制できる。
すなわち、制御装置40は、独立モードにおいてエンジン冷却回路31の冷却水の温度および暖房回路11の冷却水の温度が暖房必要温度よりも低い場合、連携モードに切り替えるように四方弁30の作動を制御するとともに冷却水を加熱するようにエンジン1および水加熱器13の作動を制御するのが好ましい。例えば、暖房必要温度は40℃である。
これによると、冷却水の温度が低くて暖房できない場合、予め連携モードに切り替えておいてエンジン1および水加熱器13で冷却水を加熱することができる。そのため、暖房回路11の冷却水の温度が暖房必要温度以上に上昇して暖房を開始した後に独立モードから連携モードに切り替えられて冷却水の温度が変動することを抑制できるので、ヒータコア15の吹出空気温度が変動することを抑制できる。
(6)上記各実施形態では、温度調節対象機器を温度調節するための熱媒体として冷却水を用いているが、油などの各種媒体を熱媒体として用いてもよい。
熱媒体として、ナノ流体を用いてもよい。ナノ流体とは、粒子径がナノメートルオーダーのナノ粒子が混入された流体のことである。ナノ粒子を熱媒体に混入させることで、エチレングリコールを用いた冷却水(いわゆる不凍液)のように凝固点を低下させる作用効果に加えて、次のような作用効果を得ることができる。
すなわち、特定の温度帯での熱伝導率を向上させる作用効果、熱媒体の熱容量を増加させる作用効果、金属配管の防食効果やゴム配管の劣化を防止する作用効果、および極低温での熱媒体の流動性を高める作用効果を得ることができる。
このような作用効果は、ナノ粒子の粒子構成、粒子形状、配合比率、付加物質によって様々に変化する。
これによると、熱伝導率を向上させることができるので、エチレングリコールを用いた冷却水と比較して少ない量の熱媒体であっても同等の冷却効率を得ることが可能になる。
また、熱媒体の熱容量を増加させることができるので、熱媒体自体の蓄冷熱量(顕熱による蓄冷熱)を増加させることができる。
蓄冷熱量を増加させることにより、圧縮機21を作動させない状態であっても、ある程度の時間は蓄冷熱を利用した機器の冷却、加熱の温調が実施できるため、車両用空調装置10の省動力化が可能になる。
ナノ粒子のアスペクト比は50以上であるのが好ましい。十分な熱伝導率を得ることができるからである。なお、アスペクト比は、ナノ粒子の縦×横の比率を表す形状指標である。
ナノ粒子としては、Au、Ag、CuおよびCのいずれかを含むものを用いることができる。具体的には、ナノ粒子の構成原子として、Auナノ粒子、Agナノワイヤー、CNT(カーボンナノチューブ)、グラフェン、グラファイトコアシェル型ナノ粒子(上記原子を囲むようにカーボンナノチューブ等の構造体があるような粒子体)、およびAuナノ粒子含有CNTなどを用いることができる。
(7)上記各実施形態の冷凍サイクル20では、冷媒としてフロン系冷媒を用いているが、冷媒の種類はこれに限定されるものではなく、二酸化炭素等の自然冷媒や炭化水素系冷媒等を用いてもよい。
また、上記各実施形態の冷凍サイクル20は、高圧側冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超えない亜臨界冷凍サイクルを構成しているが、高圧側冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超える超臨界冷凍サイクルを構成していてもよい。
11 暖房回路(第2熱媒体回路)
13 水加熱器(第2熱媒体加熱器)
14 排気熱回収器(第3熱媒体加熱器)
15 ヒータコア
30 三方弁(切替部)
31 エンジン冷却回路(第1熱媒体回路)
33 エンジン用ポンプ(ポンプ)
40 制御装置(制御部)

Claims (9)

  1. 熱媒体が循環する第1熱媒体回路(31)および第2熱媒体回路(11)と、
    前記第1熱媒体回路を循環する前記熱媒体を加熱する第1熱媒体加熱器(1)と、
    前記第2熱媒体回路を循環する前記熱媒体を加熱する第2熱媒体加熱器(13)と、
    前記第2熱媒体加熱器で加熱された前記熱媒体と、車室内へ送風される空気とを熱交換させて前記空気を加熱するヒータコア(15)と、
    前記第1熱媒体回路と前記第2熱媒体回路とが互いに独立に前記熱媒体を循環させる独立モードと、前記第1熱媒体回路と前記第2熱媒体回路とが互いに連携して前記熱媒体を循環させる連携モードとを切り替える切替部(30)と、
    前記独立モードにおいて前記第2熱媒体回路の前記熱媒体の温度から前記第1熱媒体回路の前記熱媒体の温度を減じた温度差が所定温度差(α)を上回っている場合、前記第1熱媒体回路を循環する前記熱媒体を加熱するように前記第1熱媒体加熱器の作動を制御し、前記温度差が前記所定温度差以下になった後に前記連携モードに切り替えるように前記切替部の作動を制御する制御部(40)とを備える車両用空調装置。
  2. 熱媒体が循環する第1熱媒体回路(31)および第2熱媒体回路(11)と、
    前記第1熱媒体回路を循環する前記熱媒体を加熱する第1熱媒体加熱器(1)と、
    前記第2熱媒体回路を循環する前記熱媒体を加熱する第2熱媒体加熱器(13)と、
    前記第2熱媒体加熱器で加熱された前記熱媒体と、車室内へ送風される空気とを熱交換させて前記空気を加熱するヒータコア(15)と、
    前記第1熱媒体回路と前記第2熱媒体回路とが互いに独立に前記熱媒体を循環させる独立モードと、前記第1熱媒体回路と前記第2熱媒体回路とが互いに連携して前記熱媒体を循環させる連携モードとを切り替える切替部(30)と、
    前記独立モードであり且つ前記第2熱媒体回路を循環する前記熱媒体を加熱する性能が所定量以上要求される場合において、前記第2熱媒体回路の前記熱媒体の温度から前記第1熱媒体回路の前記熱媒体の温度を減じた温度差が所定温度差(α)を上回っている場合、前記第1熱媒体回路(31)を循環する前記熱媒体を加熱するように前記第1熱媒体加熱器の作動を制御し、前記温度差が前記所定温度差以下になった後に前記連携モードに切り替えるように前記切替部の作動を制御する制御部(40)とを備える車両用空調装置。
  3. 前記第1熱媒体加熱器の作動に伴って発生する熱を利用して前記第2熱媒体回路を循環する前記熱媒体を加熱する第3熱媒体加熱器(14)を備える請求項1または2に記載の車両用空調装置。
  4. 熱媒体が循環する第1熱媒体回路(31)および第2熱媒体回路(11)と、
    前記第1熱媒体回路を循環する前記熱媒体を加熱するエンジン(1)と、
    前記第2熱媒体回路を循環する前記熱媒体を冷凍サイクル(20)の高圧冷媒と熱交換させることによって加熱する高圧側熱交換器(13)と、
    前記第2熱媒体加熱器で加熱された前記熱媒体と、車室内へ送風される空気とを熱交換させて前記空気を加熱するヒータコア(15)と、
    前記第1熱媒体加熱器の作動に伴って発生する熱を利用して前記第2熱媒体回路を循環する前記熱媒体を前記エンジンの排気と熱交換させることによって加熱する第3熱媒体加熱器(14)と、
    前記第1熱媒体回路と前記第2熱媒体回路とが互いに独立に前記熱媒体を循環させる独立モードと、前記第1熱媒体回路と前記第2熱媒体回路とが互いに連携して前記熱媒体を循環させる連携モードとを切り替える切替部(30)と、
    前記独立モードであり且つ暖房負荷が増大した若しくは所定量よりも大きくなった場合、又は前記第2熱媒体回路の目標熱媒体温度が所定量よりも大きくなった場合において、前記第2熱媒体回路の前記熱媒体の温度から前記第1熱媒体回路の前記熱媒体の温度を減じた温度差が所定温度差(α)を上回っている場合、前記エンジンを稼動させ、前記温度差が前記所定温度差以下になった後に前記連携モードに切り替えるように前記切替部の作動を制御する制御部(40)とを備える車両用空調装置。
  5. 前記制御部は、前記独立モードであり且つ暖房負荷が増大した若しくは所定量よりも大きくなった場合、又は前記第2熱媒体回路の目標熱媒体温度が所定量よりも大きくなった場合において、前記第2熱媒体回路の前記熱媒体の温度から前記第1熱媒体回路の前記熱媒体の温度を減じた温度差が所定温度差(α)を上回っている場合、前記第1熱媒体回路の前記熱媒体の温度の上昇速度が前記第2熱媒体回路の前記熱媒体の温度の上昇速度よりも大きくなるように前記エンジンの作動を制御する請求項4に記載の車両用空調装置。
  6. 前記第1熱媒体回路の熱容量は、前記第2熱媒体回路の熱容量よりも大きくなっている請求項4または5に記載の車両用空調装置。
  7. 前記制御部は、前記独立モードにおいて、前記第1熱媒体回路の前記熱媒体の温度および前記第2熱媒体回路の前記熱媒体の温度が暖房必要温度よりも低い場合、前記連携モードに切り替えるように前記切替部の作動を制御するとともに前記熱媒体を加熱するように前記第1熱媒体加熱器および前記第2熱媒体加熱器の作動を制御する請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
  8. 前記第1熱媒体回路に前記熱媒体を循環させるポンプ(33)を備え、
    前記制御部は、前記連携モードに切り替えるように前記切替部の作動を制御した場合、前記ポンプの回転数を上昇させるとともに、前記第2熱媒体加熱器の熱媒体加熱能力を低下させる請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
  9. 前記第2熱媒体回路において、前記第2熱媒体加熱器への前記熱媒体の供給を遮断する遮断部(50)を備え、
    前記第2熱媒体加熱器は、冷凍サイクル(20)の高圧冷媒と前記熱媒体とを熱交換させる高圧側熱交換器(13)であり、
    前記制御部は、前記第1熱媒体回路の前記熱媒体の温度が所定温度よりも高い場合、前記第2熱媒体加熱器への前記熱媒体の供給が遮断されるように前記遮断部の作動を制御する請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
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