JP2018010721A - 印刷システム - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、図7に示すように帯電したシート1は、1枚の場合には、シートの厚みを介してその両面1a,1bの正,負の電荷が閉じた電界Eからなる電気二重層を形成するため、見かけ上の帯電電位は低くなり、特に問題は起こらない。なお、図7では、説明のため、シート1の厚みを大きく示しているが、実際にはシート1の厚みは数十〔μm〕〜1〔mm〕程度である。
そのため、積層されたシート1,1間にクーロン力による強力な吸引力Fが発生して、シート1,1同士がくっついてしまう。
その結果、シート1を1枚ずつ剥がすことが難しくなって、その後の工程、例えば折り加工、裁断加工、製本加工などの後加工工程がスムーズに進まないという問題が発生する。
この種のシステムとして、特許文献1に示す印刷システムは、印刷機本体のシート排出口付近に軟x線の照射手段を備えた除電装置を設けたものである。そして、印刷機本体から排出されたシート1の表面に軟x線を照射して、除電されたシート1がストック装置に積層されるようにするものである。
しかし、このようなシステムでは移動するシート1が軟x線を遮ることになるため、除電装置と反対側となるシート1の裏面側では、除電に寄与するイオンの生成量が不足してしまうことがある。つまり、この従来の印刷システムでは、シート1の両面を除電できない。
例えば、シート1の表面の電荷が、図7に示すようにシートの厚みを介して閉じた電界Eを形成した場合、シート1の表面から少しでも離れた位置で浮遊するイオンに対して働く吸引力はそれほど大きくならない。つまり、従来の除電装置では、生成されたイオンが除電に効率的に寄与しない。したがって、この従来の印刷システムでは、シート1の表面を完璧に除電することができない。
そして、シート1の両面が完璧に除電されなければ、上記したように積層されたシート1が剥がれにくくなって、後加工工程の作業性が悪くなってしまうことになる。
この発明の目的は、印刷済みのシートの両面を完璧に除電された状態にしてストックでき、後加工工程の作業性を悪くすることがない印刷システムを提供することである。
そして、第1の発明は、上記除電ユニットが、上記シートの一方の面に対向し、上記シートの移動方向にほぼ直交する直線上に配置され、直流電圧が印加される複数の第1の放電電極と、上記シートを挟んで上記第1の放電電極と対向し、上記シートの移動方向にほぼ直交する直線上に配置され、直流電圧を印加される複数の第2の放電電極とを備え、上記第1,2の放電電極は、それぞれ隣り合う放電電極の極性を逆極性にするとともに、上記シートを挟んで対向する第1の放電電極と第2の放電電極の極性を逆極性にし、上記シートを挟んで対向する第1,2放電電極間の距離を、隣り合う放電電極間の距離よりも小さくしてなることを特徴とする。
そして、上記除電ユニットが、上記シートの一方の面に対向し、上記シートの移動方向にほぼ直交する直線上に配置され、直流電圧が印加される複数の第1の放電電極と、上記シートを挟んで上記第1の放電電極と対向し、上記シートの移動方向にほぼ直交する直線上に配置され、直流電圧を印加される複数の第2の放電電極とを備え、上記第1,2の放電電極は、それぞれ隣り合う放電電極の極性を逆極性にするとともに、上記シートを挟んで対向する第1の放電電極と第2の放電電極の極性を逆極性にし、上記シートを挟んで対向する第1,2放電電極間の距離を、隣り合う放電電極間の距離よりも小さくしてなることを特徴とする。
したがって、印刷済みシートの後加工工程において、シート表面の静電気が作業性を悪くすることがない。
この第1実施形態の印刷システムは、図1に示すように、シート1に印刷を施す印刷ユニットU1と、シート1の移動方向を基準にして、印刷ユニットU1の下流側に位置して、印刷済みのシート1を積層してストックするストックユニットU2と、上記印刷ユニットU1に未印刷状態のシート1を供給する供給ユニットU3とを備えている。
また、上記印刷ユニットU1とストックユニットU2との間には、第1の除電ユニットAが設けられ、印刷ユニットU1と供給ユニットU3との間には、第2の除電ユニットBが設けられている。
この除電ユニットA,Bは、図2に示すようにシート1を挟んだ両面1a,1bに対向する位置に、シート1の移動方向に沿って上流側から順に、第1,2直流電極バー2,3、第1,2交流電極バー4,5を備えている。
そして、上記各電極バー2,4のそれぞれには、シート1を挟んで互いに対向する位置に電極バー3,5が設けられている。
また、この第1実施形態の第1,2直流電極バー2,3は、正,負のいずれか一方の極性の放電電極針のみで構成されるのではなく、図3,4に示すように、正,負の放電電極針2aや3aが交互に配置されている。
なお、上記シート1を挟んで対向する放電電極針2aと3aとは、必ずしも正対しなくてもよく、シート1の幅方向あるいは移動方向に多少ずれていても構わない。
図3に示すように、シート1の一方の面1a側に設けられた第1直流電極バー2はその長手方向に正,負の放電電極針2aを交互に配置してこの発明の第1の放電電極を構成している。
そして、上記第1,2直流電極バー2,3に接続された直流高電圧源6,7は、上記配列にしたがって、各放電電極針2a,3aに正又は負の直流高電圧を印加する電源である。
なお、上記対向する電極針2a,3aの先端が正対していない場合にも、電極針2a,3aの先端間距離を上記距離zとする。
この実施形態の第1,2直流電極バー2,3では、シート1を挟んで対向する放電電極針2a,3aを逆極性にしている。したがって、上記第1,2直流電極バー2,3のみで形成される電界を考えると、上記第1,2直流電極バー2,3の中央である図4に一点鎖線Lで示す位置はゼロ電位面Lになる。
そのため、面1a側において第1放電電極針2aで生成された正,負イオンには、放電電極針2aから上記ゼロ電位面Lに向かう力が作用する。したがって、上記ゼロ電位面Lの近傍にシート1を設ければ、上記正イオン及び負イオンがシート1の近傍に導かれることになる。
上記隣り合う放電電極針2a,2a間の距離xが、対向する放電電極針2a,3a間の距離zよりも小さいときには、放電電極針2aの先端で生成されたイオンが隣の放電電極針2aに引き付けられやすくなってしまう。
各放電電極針2aで生成されたイオンが隣り合う放電電極針2aに多く引き付けられてしまうと、第1直流電極バー2で生成されたイオンのうちシート1の面1aの近傍に到達するイオン量が少なくなってしまい、生成されたイオンが効率的に除電に寄与しなくなる。
上記のことは、シート1の他方の面1b側においても同様である。この実施形態では、第2直流電極バー3の放電電極針3a,3a間の距離xも、上記距離zより大きくして、他方の面1bにおいても面1a側と同様に、正イオン及び負イオンを効率的に面1bの近傍に到達させることができるようにしている。
なお、上記したように、対向する電極針2a,3aの中央がゼロ電位面Lとなるため、シート1の両面1a,1bを同時に効率的に除電するためには、シート1を上記対向電極間距離zの中央に設けることが好ましい。
この点は、他方の面1b側についても同様である。つまり、上記第1,2直流電極バー2,3のみで、両面1a,1bのほぼ完璧な除電が可能である。
これに対し、上記した従来の印刷システムの除電装置では、シート表面1a,1b上の電荷による吸引力のみに依存していて、シート1に向かってイオンを積極的に導く機構が備えられていない。そのため、シート1の表面の電荷量が比較的少ない場合には、軟x線によって生成されたイオンがシート1の近傍まで到達しない可能性があり、完璧な除電ができないことがあった。
そして、上記第1,2交流電極バー4,5を省略できれば、シート1の移動方向のサイズを小さくして除電ユニットA,Bを小型化することができ、印刷システム全体の大型化を防止できる。
図6はこの第2実施形態の除電ユニットC,Dを、シート1の一方の面1a側から見たときの電極の極性配置を示した図であり、第1直流電極バー2の各放電電極針2aと第3直流電極バー9の放電電極針9aと、第1交流電極バー4の放電電極の極性配置を示している。
また、第3,4直流電極バー9,10の放電電極針9a,10aの極性配置も、上記放電電極針2a,3aと同じように、隣り合う放電電極針同士が逆極性であって、シート1を挟んで対向する放電電極針同士が逆極性になるようにしている。
これにより、シート1の幅方向及び移動方向のいずれにおいても正,負イオンが交互に生成されることになる。
さらに、第3,4直流電極バー9,10においても、隣り合う放電電極針9a,9a間、10a,10a間を距離xとし、シート1を挟んで対向する放電電極針間を距離zとしたとき、上記距離の関係が距離x>距離zとなるように設定している。
したがって、この第2実施形態の第3,4直流電極バー9,10で生成されたイオンも、シート1の近傍に効率的に導かれる。
なお、シート1の他方の面1b側においても同様に、面1bに対向する第2直流電極バー3と第4直流電極バー10との距離yを上記距離zよりも大きくしている。このようにすることで、各放電電極針3a,10aで生成されたイオンが、上記ゼロ電位面L(図4参照)に向かい、効率的に面1bの近傍へ導かれるようにしている。
第2実施形態では、第1,2直流電極バー2,3によって除電した後に、更に、第3,第4直流電極バー9,10及び第1,2交流電極バー4,5を設けることで、正,負イオンの生成量を多くして、両面1a,1bを同時により完璧な除電を可能にしている。
また、同様に除電ユニットDを通過したシート1も、両面が完璧に除電された状態で、印刷ユニットU1に供給されることになり、印刷ユニットU1内で、シート1の搬送不良などが発生することを防止できる。
例えば、印刷ユニットU1の下流側には、第2実施形態の除電ユニットCを設け、上流側には第1実施形態の除電ユニットBを設けてもよい。
また、第1,2直流電極バー2,3以外の直流電極バーの組や、交流電極バーの組は、いくつ設けても構わない。印刷システムにおけるシート1の移動速度に合わせて選択すればよい。
さらに、上記した従来の印刷システムでは、軟x線を使用したしているため、作業者の被爆のリスクもあった。そのため、被爆のリスクを回避するために、軟x線が漏れないように発生部を密閉する必要があり、その分、除電装置が大きくなって、システム全体が大型化してしまうという問題もあったが、上記実施形態では、被爆のリスクはもちろん、大型化の問題もない。
1a,1b 面
2 第1直流電極バー
2a 放電電極針
3 第2直流電極バー
3a 放電電極針
4 第1交流電極バー
5 第2交流電極バー
6 直流高電圧源
7 直流高電圧源
8 交流高電圧源
x 隣り合う電極間距離
z 対向する電極間距離
A 除電ユニット
B 除電ユニット
C 除電ユニット
D 除電ユニット
Claims (3)
- 印刷対象であるシートを搬送しながら、その表面に印刷を施す印刷ユニットと、
上記印刷ユニットから排出されたシートをストックするストックユニットと、
上記印刷ユニットとストックユニットとの間に設けられ、上記シートの表面の静電気を除去する除電ユニットとを備えた印刷システムであって、
上記除電ユニットは、
上記シートの一方の面に対向し、上記シートの移動方向にほぼ直交する直線上に配置され、直流電圧が印加される複数の第1の放電電極と、
上記シートを挟んで上記第1の放電電極と対向し、上記シートの移動方向にほぼ直交する直線上に配置され、直流電圧を印加される複数の第2の放電電極とを備え、
上記第1,2の放電電極は、それぞれ隣り合う放電電極の極性を逆極性にするとともに、上記シートを挟んで対向する第1の放電電極と第2の放電電極の極性を逆極性にし、
上記シートを挟んで対向する第1,2放電電極間の距離を、隣り合う放電電極間の距離よりも小さくしてなることを特徴とする印刷システム。 - 上記印刷ユニットに上記シートを供給するための供給ユニットと、
上記供給ユニットと、上記印刷ユニットとの間に介在してシートの表面の静電気を除去する除電ユニットとを備え、
上記除電ユニットは、
上記シートの一方の面に対向し、上記シートの移動方向にほぼ直交する直線上に配置され、直流電圧が印加される複数の第1の放電電極と、
上記シートを挟んで上記第1の放電電極と対向し、上記シートの移動方向にほぼ直交する直線上に配置され、直流電圧を印加される複数の第2の放電電極とを備え、
上記第1,2の放電電極は、それぞれ隣り合う放電電極の極性を逆極性にするとともに、上記シートを挟んで対向する第1の放電電極と第2の放電電極の極性を逆極性にし、
上記シートを挟んで対向する第1,2放電電極間の距離を、隣り合う放電電極間の距離よりも小さくしてなることを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。 - 上記除電ユニットは、
上記シートの移動方向に対して上流となる位置に上記第1,2の放電電極が設けられ、
この第1,2の放電電極よりも下流となる位置であって、上記シートの一方の面に対向するとともに、上記シートの移動方向にほぼ直交する一方の交流電極と、
上記シートを挟んで上記一方の交流電極と対向するとともに、上記シートの移動方向にほぼ直交する他方の交流電極とを備えた請求項1又は2に記載の印刷システム。
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