JP2018010721A - 印刷システム - Google Patents

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Abstract

【課題】 印刷済みシートの両面を完璧に除電してストックする印刷システムを提供する。【解決手段】 シート1に印刷を施す印刷ユニットU1と、印刷ユニットU1の下流側に設けられたストックユニットU2と、印刷ユニットU1とストックユニットU2との間に設けられた除電ユニットAとを備え、除電ユニットAが、シート1の一方の面1aに対向し、シートの移動方向αに直交して配置され、直流電圧が印加される複数の第1の放電電極2aと、シート1を挟んで上記第1の放電電極2aと対向し、直流電圧を印加される複数の第2の放電電極3aとを備え、第1,2の放電電極2a,3aは、それぞれ隣り合う放電電極の極性を逆極性にするとともに、シート1を挟んで対向する第1の放電電極2aと第2の放電電極3aの極性を逆極性にし、シート1を挟んで対向する第1,2放電電極間の距離zを、隣り合う放電電極間の距離xよりも小さくした。【選択図】 図3

Description

この発明は、シートの静電気を除去する除電装置を備えた印刷システムに関する。
従来から、刷版をつくることなくデジタル技術を使用してシート状の印刷対象に印刷を行なう印刷システムがある(特許文献2参照)。この種の印刷システムによって印刷を施されたシートは、印刷工程で摩擦などによって静電気が帯電してしまうことがある。
例えば、図7に示すように帯電したシート1は、1枚の場合には、シートの厚みを介してその両面1a,1bの正,負の電荷が閉じた電界Eからなる電気二重層を形成するため、見かけ上の帯電電位は低くなり、特に問題は起こらない。なお、図7では、説明のため、シート1の厚みを大きく示しているが、実際にはシート1の厚みは数十〔μm〕〜1〔mm〕程度である。
しかし、このように帯電した印刷済みのシート1がトレイTなどに積層された場合には、図8に示すように、シート1の両面1a,1bの電荷は、1枚のシート1の厚みを介して閉じるのではなく、積層された上下のシート1,1間で結合する。なぜなら、シート1の厚みよりも、接触した上下のシート1,1間距離の方が小さいからである。
そのため、積層されたシート1,1間にクーロン力による強力な吸引力Fが発生して、シート1,1同士がくっついてしまう。
その結果、シート1を1枚ずつ剥がすことが難しくなって、その後の工程、例えば折り加工、裁断加工、製本加工などの後加工工程がスムーズに進まないという問題が発生する。
そこで、帯電したままの印刷済みシート1がストックされないように、印刷後のシート1が積層される前にシート1の表面を除電する除電装置を備えた印刷システムが知られている。
この種のシステムとして、特許文献1に示す印刷システムは、印刷機本体のシート排出口付近に軟x線の照射手段を備えた除電装置を設けたものである。そして、印刷機本体から排出されたシート1の表面に軟x線を照射して、除電されたシート1がストック装置に積層されるようにするものである。
国際公開第2016/013436号公報 特開2005−212440号公報
上記のような除電装置で軟x線をシート1に照射する従来の印刷システムでは、軟x線照射によって励起した空気中の分子から正,負のイオンが放出され、これらのイオンがシート1上の電荷に引き付けられて表面の静電気を中和することを期待している。
しかし、このようなシステムでは移動するシート1が軟x線を遮ることになるため、除電装置と反対側となるシート1の裏面側では、除電に寄与するイオンの生成量が不足してしまうことがある。つまり、この従来の印刷システムでは、シート1の両面を除電できない。
また、軟x線で生成されたイオンは、シート1上の電荷によってシート1側へ引き寄せられて除電に寄与するため、その吸引力が小さいとシート1の表面に到達せず、シート1の表面の除電に寄与することができない。
例えば、シート1の表面の電荷が、図7に示すようにシートの厚みを介して閉じた電界Eを形成した場合、シート1の表面から少しでも離れた位置で浮遊するイオンに対して働く吸引力はそれほど大きくならない。つまり、従来の除電装置では、生成されたイオンが除電に効率的に寄与しない。したがって、この従来の印刷システムでは、シート1の表面を完璧に除電することができない。
一方、シート1の両面を同時に除電するため、軟x線を発生させる上記除電装置を、シート1を挟んだ両側に設けることも考えられる。しかし、両側に設けたとしても、上記したようにイオンがシート1の表面に引き付けられる吸引力は弱く、生成されたイオンが効率的に除電に寄与しないことは同じである。
そして、シート1の両面が完璧に除電されなければ、上記したように積層されたシート1が剥がれにくくなって、後加工工程の作業性が悪くなってしまうことになる。
この発明の目的は、印刷済みのシートの両面を完璧に除電された状態にしてストックでき、後加工工程の作業性を悪くすることがない印刷システムを提供することである。
この発明は、印刷対象であるシートを搬送しながら、その表面に印刷を施す印刷ユニットと、上記印刷ユニットから排出されたシートをストックするストックユニットと、上記印刷ユニットとストックユニットとの間に設けられ、上記シートの表面の静電気を除去する除電ユニットとを備えた印刷システムを前提とする。
そして、第1の発明は、上記除電ユニットが、上記シートの一方の面に対向し、上記シートの移動方向にほぼ直交する直線上に配置され、直流電圧が印加される複数の第1の放電電極と、上記シートを挟んで上記第1の放電電極と対向し、上記シートの移動方向にほぼ直交する直線上に配置され、直流電圧を印加される複数の第2の放電電極とを備え、上記第1,2の放電電極は、それぞれ隣り合う放電電極の極性を逆極性にするとともに、上記シートを挟んで対向する第1の放電電極と第2の放電電極の極性を逆極性にし、上記シートを挟んで対向する第1,2放電電極間の距離を、隣り合う放電電極間の距離よりも小さくしてなることを特徴とする。
第2の発明は、上記印刷ユニットに上記シートを供給するための供給ユニットと、この供給ユニットと上記印刷ユニットとの間に介在してシートの表面の静電気を除去する除電ユニットとを備えている。
そして、上記除電ユニットが、上記シートの一方の面に対向し、上記シートの移動方向にほぼ直交する直線上に配置され、直流電圧が印加される複数の第1の放電電極と、上記シートを挟んで上記第1の放電電極と対向し、上記シートの移動方向にほぼ直交する直線上に配置され、直流電圧を印加される複数の第2の放電電極とを備え、上記第1,2の放電電極は、それぞれ隣り合う放電電極の極性を逆極性にするとともに、上記シートを挟んで対向する第1の放電電極と第2の放電電極の極性を逆極性にし、上記シートを挟んで対向する第1,2放電電極間の距離を、隣り合う放電電極間の距離よりも小さくしてなることを特徴とする。
第3の発明は、上記除電ユニットが、上記シートの移動方向に対して上流となる位置に上記第1,2の放電電極が設けられ、この第1,2の放電電極よりも下流となる位置であって、上記シートの一方の面に対向するとともに、上記シートの移動方向にほぼ直交する一方の交流電極と、上記シートを挟んで上記一方の交流電極と対向するとともに、上記シートの移動方向にほぼ直交する他方の交流電極とを備えたことを特徴とする。
第1の発明によれば、印刷ユニットとストックユニットとの間に設けた除電ユニットが、シートの両面をほぼ完璧に除電して、除電された印刷済みのシートをストックユニットにストックすることができる。
したがって、印刷済みシートの後加工工程において、シート表面の静電気が作業性を悪くすることがない。
第2の発明によれば、両面が除電されたシートが印刷ユニットに供給されるので、印刷ユニット内で、静電気によってシートの搬送不良が起こってシート詰まりが発生したり、印刷タイミングがずれたりするようなことがない。
第3の発明によれば、直流の第1,2放電電極によって除電しきれなかった電荷が、シート表面に多少残ったとしても、それを、交流電極によって生成される正,負イオンによって除電し、より完璧な両面除電ができる。
この発明の第1実施形態のブロック図である。 第1実施形態の除電ユニットの概略構成図である。 第1実施形態の除電ユニットの電極配置図である。 第1実施形態の電極配置と生成されるイオンとの関係についての説明図である。 第2実施形態の除電ユニットの概略構成図である。 第2実施形態の除電ユニットの電極配置図である。 帯電したシートの断面図である。 帯電したシートが積層された状態の説明図である。
図1〜4に示す第1実施形態は、矢印α方向に移動するシート1の面1a又は1bのいずれか一方あるいは双方に印刷を施す印刷システムである。
この第1実施形態の印刷システムは、図1に示すように、シート1に印刷を施す印刷ユニットU1と、シート1の移動方向を基準にして、印刷ユニットU1の下流側に位置して、印刷済みのシート1を積層してストックするストックユニットU2と、上記印刷ユニットU1に未印刷状態のシート1を供給する供給ユニットU3とを備えている。
また、上記印刷ユニットU1とストックユニットU2との間には、第1の除電ユニットAが設けられ、印刷ユニットU1と供給ユニットU3との間には、第2の除電ユニットBが設けられている。
上記第1の除電ユニットAは、印刷済みのシート1がストックユニットU2にストックされる前に、その両面を除電するためのユニットであり、第2の除電ユニットBは、シート1が印刷ユニットU1に供給される前にその両面を除電するためのユニットである。したがって、この印刷システムにおいては、両面が除電されたシート1が印刷ユニットU1に供給され、印刷ユニットU1から排出された印刷済みのシート1の両面が除電されてからストックユニットU2にストックされることになる。
上記第1,2の除電ユニットA,Bはどちらも同様の構成を備えているので、図2〜4を用いて両者を同時に説明する。
この除電ユニットA,Bは、図2に示すようにシート1を挟んだ両面1a,1bに対向する位置に、シート1の移動方向に沿って上流側から順に、第1,2直流電極バー2,3、第1,2交流電極バー4,5を備えている。
上記第1,2直流電極バー2,3及び第1,2交流電極バー4,5は、それぞれシート1を幅方向にまたぐ長さを有する棒状の部材で、一直線上に複数の放電電極針を配置して構成されている。そして、第1,2直流電極バー2,3は、それぞれ直流高電圧源6,7に接続され、上記第1,2交流電極バー4,5には交流高電圧源8が接続されている。なお、上記第1,2交流電極バー4,5には図示しないアース電極を備え、このアース電極と図示していない放電電極針との間で放電を発生させている。
上記第1交流電極バー4がこの発明の一方の交流電極であり、第2交流電極バー5が他方の交流電極である。
そして、上記各電極バー2,4のそれぞれには、シート1を挟んで互いに対向する位置に電極バー3,5が設けられている。
また、この第1実施形態の第1,2直流電極バー2,3は、正,負のいずれか一方の極性の放電電極針のみで構成されるのではなく、図3,4に示すように、正,負の放電電極針2aや3aが交互に配置されている。
なお、上記シート1を挟んで対向する放電電極針2aと3aとは、必ずしも正対しなくてもよく、シート1の幅方向あるいは移動方向に多少ずれていても構わない。
図3は、図2のシート1の幅方向の断面から第1,2直流電極バー2,3を見た図であり、上記第1直流電極バー2の各放電電極針2aと第2直流電極バー3の放電電極針3aの配置を示している。
図3に示すように、シート1の一方の面1a側に設けられた第1直流電極バー2はその長手方向に正,負の放電電極針2aを交互に配置してこの発明の第1の放電電極を構成している。
また、シート1を挟んで対向する面1b側には、図3に示すように、第1直流電極バー2に対向する第2直流電極バー3の複数の放電電極針3aが、対向する上記放電電極針2aと逆極性にして配置されている。この面1b側では、上記第2直流電極バー3の放電電極針3aが、シート1の幅方向に正,負が交互になるように配置され、この発明の第2の放電電極を構成している。
そして、上記第1,2直流電極バー2,3に接続された直流高電圧源6,7は、上記配列にしたがって、各放電電極針2a,3aに正又は負の直流高電圧を印加する電源である。
また、図3,4に示すように、第1,2直流電極バー2,3においてシート1の幅方向に隣り合う放電電極針2a,2a同士、3a,3a同士の距離をx、シート1を介して対向する放電電極針2a,3aの距離をzとしたとき、距離zを上記距離xよりも小さく、すなわち距離x>距離zにしている。
なお、上記対向する電極針2a,3aの先端が正対していない場合にも、電極針2a,3aの先端間距離を上記距離zとする。
上記のように距離x>距離zとした理由を、以下に説明する。
この実施形態の第1,2直流電極バー2,3では、シート1を挟んで対向する放電電極針2a,3aを逆極性にしている。したがって、上記第1,2直流電極バー2,3のみで形成される電界を考えると、上記第1,2直流電極バー2,3の中央である図4に一点鎖線Lで示す位置はゼロ電位面Lになる。
そのため、面1a側において第1放電電極針2aで生成された正,負イオンには、放電電極針2aから上記ゼロ電位面Lに向かう力が作用する。したがって、上記ゼロ電位面Lの近傍にシート1を設ければ、上記正イオン及び負イオンがシート1の近傍に導かれることになる。
また、第1直流電極バー2の長手方向において隣り合う放電電極針2a,2aの極性は逆極性であり、隣り合う放電電極針2a,2a間の空間中央近傍にも、電位がゼロとなる図示しないゼロ電位面が存在することになる。そのため、特定の放電電極針2aで生成されたイオンには、隣り合う放電電極針2aへ向かう力が作用することになる。
上記隣り合う放電電極針2a,2a間の距離xが、対向する放電電極針2a,3a間の距離zよりも小さいときには、放電電極針2aの先端で生成されたイオンが隣の放電電極針2aに引き付けられやすくなってしまう。
各放電電極針2aで生成されたイオンが隣り合う放電電極針2aに多く引き付けられてしまうと、第1直流電極バー2で生成されたイオンのうちシート1の面1aの近傍に到達するイオン量が少なくなってしまい、生成されたイオンが効率的に除電に寄与しなくなる。
そこで、この第1実施形態では、対向する放電電極針間の距離zを、隣り合う放電電極針2a,2a間の距離xよりも小さくして、生成された正イオン及び負イオンをより効率的にシート1の面1aの近傍に到達させるようにしている。
上記のことは、シート1の他方の面1b側においても同様である。この実施形態では、第2直流電極バー3の放電電極針3a,3a間の距離xも、上記距離zより大きくして、他方の面1bにおいても面1a側と同様に、正イオン及び負イオンを効率的に面1bの近傍に到達させることができるようにしている。
上記のようにしたこの第1実施形態の除電装置では、第1直流電極バー2と第2直流電極バー3でシート1の幅方向に沿って交互に同時に生成された正イオン及び負イオンは、シート1の両面1a,1bの近傍に向かって強く導かれる。ただし、各放電電極針2a,3aの先端で生成されたイオンは、同極性のイオンと反発するとともに、隣り合う放電電極針2a,2a間や3a,3a間に形成されるゼロ電位面に向かって導かれるため、上記ゼロ電位面Lすなわちシート1に向かう過程で図4の幅方向に広がる。
また、シート1の各面1a,1bの近傍は、上記したように電位がほぼゼロなので、そこに存在するイオンの極性が一方に偏ることはない。したがって、上記各面1a,1bの近傍には、正イオンと負イオンとがほぼ均一に混在し、各面1a,1b上のいずれの極性の電荷も効率的に除電されることになる。
なお、上記したように、対向する電極針2a,3aの中央がゼロ電位面Lとなるため、シート1の両面1a,1bを同時に効率的に除電するためには、シート1を上記対向電極間距離zの中央に設けることが好ましい。
上記のように、この第1実施形態の除電ユニットA,Bは、シート1を挟んで対向する電極を逆極性にすることで、シート1の近傍に正イオン及び負イオンが効率的に導かれるようにしているが、シート1の除電に寄与しない余分なイオンは、例えば面1aの近傍まで達しても、面1a側に上記イオンを引き付ける電荷が無い場合には、その近傍に同時に導かれた逆極性のイオンと結合して中和するか、近くの接地金属へ吸着し消滅する。そのため、強制的に表面1aにイオンを照射するような場合のように逆帯電する可能性もない。
このように、この第1実施形態では、除電ユニットA,Bで生成されたイオンを、対向電極によって形成されるゼロ電位面Lであるシート1の表面1a近傍まで導きながら、その後はシート1の表面1aの電荷によってイオンが引き付けられるようにしているため、逆帯電することなく完璧な除電を実現している。
この点は、他方の面1b側についても同様である。つまり、上記第1,2直流電極バー2,3のみで、両面1a,1bのほぼ完璧な除電が可能である。
これに対し、上記した従来の印刷システムの除電装置では、シート表面1a,1b上の電荷による吸引力のみに依存していて、シート1に向かってイオンを積極的に導く機構が備えられていない。そのため、シート1の表面の電荷量が比較的少ない場合には、軟x線によって生成されたイオンがシート1の近傍まで到達しない可能性があり、完璧な除電ができないことがあった。
さらに、この第1実施形態の除電ユニットA,Bでは、上記第1,2直流電極バー2,3の下流側に設けた上記第1,2交流電極バー4,5で正イオンと負イオンとを交互に生成して、シート1の面1a,1bに僅かに残された電荷を除電することができるようにしている。なお、シート1が、上記第1,2直流電極バー2,3を通過しても面1a,1bに電荷が残されることは、移動する上記シート1が振動などによって上記ゼロ電位面Lからずれた場合などに起こりやすい。シート1がゼロ電位面Lから離れると、必要な正,負イオンがシート1の近傍に到達しないことが起こるからである。
上記のように、第1実施形態の印刷システムでは、印刷ユニットU1から排出され、帯電したシート1が、除電ユニットAの上記第1,2直流電極バー2,3間を通過する過程で、同時に放射される正イオン及び負イオンによって、面1a,1bが同時に効率的に除電されるとともに、第1,2交流電極バー4,5によってより完璧な除電が実現できる。その結果、この除電ユニットAを通過してストックユニットU2で積層されたシート1同士が静電付着してしまうことを防止でき、後加工工程の作業性を悪くすることがない。
同様に除電ユニットBを通過したシート1も、両面が完璧に除電された状態で、印刷ユニットU1に供給されることになる。そのため、印刷ユニットU1内で、シート1が静電気によって搬送不良になって、印刷ユニットU1内で詰まってしまったり、印刷タイミングがずれてしまったりすることを防止できる。
また、この第1実施形態では、第1,2直流電極バー2,3によって除電した後に、更に、第1,2交流電極バー4,5による除電工程を設けているが、シート1の帯電状態に応じて第1,2直流電極バー2,3に印加する適切な直流高電圧値を設定するとともに、この直流高電圧値に応じて、隣り合う放電電極針間の距離x、対向放電電極針間の距離zなどを適切に設定すれば、第1,2交流電極バー4,5を省略することも可能である。上記したように、第1,2直流電極バー2,3だけでも、シート1の両面近傍に、正イオンと負イオンとを偏りなく同時に、しかも強制的に導くことができるからである。
そして、上記第1,2交流電極バー4,5を省略できれば、シート1の移動方向のサイズを小さくして除電ユニットA,Bを小型化することができ、印刷システム全体の大型化を防止できる。
図5,6に示す第2実施形態は、第1実施形態の上記除電ユニットA,Bに替えて、図5,6に示す除電ユニットC,Dを設けたものである。つまり、印刷ユニットU1とストックユニットU2との間に第1の除電ユニットCをもうけ、供給ユニットU3と印刷ユニットU1との間に第2の除電ユニットDが設けられている。そして、両除電ユニットC,Dを同じ構成にしている。
この第2実施形態の除電ユニットC,Dは、シート1の移動方向に沿って、上記第1,2直流電極バー2,3と第1,2交流電極バー4,5との間に、第3,4直流電極バー9,10を設けている。その他の構成は、第1実施形態の除電ユニットA,Bと同様であり、第1実施形態と同様の構成要素には第1実施形態と同じ符号を付し、個々の詳細な説明は省略する。以下には、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
上記除電ユニットC,Dの上記第3,4直流電極バー9,10は、それぞれシート1を幅方向にまたぐ長さを有する棒状の部材で、一直線上に複数の放電電極針9a,10aを配置して構成されるとともに、それぞれが直流高電圧源11,12に接続されている(図5参照)。
図6はこの第2実施形態の除電ユニットC,Dを、シート1の一方の面1a側から見たときの電極の極性配置を示した図であり、第1直流電極バー2の各放電電極針2aと第3直流電極バー9の放電電極針9aと、第1交流電極バー4の放電電極の極性配置を示している。
図6に示すように、シート1の一方の面1a側に設けられた第1,3直流電極バー2,9は、いずれも、その長手方向に正,負の放電電極針2a,9aを交互に配置して構成されているが、シート1の移動方向に沿って配置される、第1直流電極バー2の放電電極針2aと第3直流電極バー9の放電電極針9aとは、その極性を逆極性にしている。
また、第3,4直流電極バー9,10の放電電極針9a,10aの極性配置も、上記放電電極針2a,3aと同じように、隣り合う放電電極針同士が逆極性であって、シート1を挟んで対向する放電電極針同士が逆極性になるようにしている。
したがって、上記直流高電圧源11,12は、第3,4直流電極バー9,10の放電電極針9a,10aに対して、正又は負の直流高電圧を印加する電源である。
これにより、シート1の幅方向及び移動方向のいずれにおいても正,負イオンが交互に生成されることになる。
さらに、第3,4直流電極バー9,10においても、隣り合う放電電極針9a,9a間、10a,10a間を距離xとし、シート1を挟んで対向する放電電極針間を距離zとしたとき、上記距離の関係が距離x>距離zとなるように設定している。
したがって、この第2実施形態の第3,4直流電極バー9,10で生成されたイオンも、シート1の近傍に効率的に導かれる。
また、図6に示すように、上記第1直流電極バー2の放電電極針2aとシート1の移動方向に間隔を保って配置された第3直流電極バー9の逆極性の放電電極針9aとの間の距離をyとし、この距離yを上記距離zよりも大きく、すなわち距離y>距離zにしている。このようにしたのは、第1直流電極バー2と第3直流電極バー9との間に生成されるシート1の移動方向に沿った電気力線によって、シート1の面1aの近傍に導かれるイオン量が少なくなってしまうことを防止するためである。
もし、上記距離yを距離zより小さくすると、例えば放電電極針2aの先端で生成されたイオンのうち放電電極針9a側に引きつけられるイオン量が多くなって、シート1の面1aの近傍に到達するイオン量が少なくなってしまう可能性がある。同様に、放電電極針9aで生成されたイオンも放電電極針2a側に引き付けられてしまうので、第2実施形態では、上記距離y>距離zにしている。
なお、シート1の他方の面1b側においても同様に、面1bに対向する第2直流電極バー3と第4直流電極バー10との距離yを上記距離zよりも大きくしている。このようにすることで、各放電電極針3a,10aで生成されたイオンが、上記ゼロ電位面L(図4参照)に向かい、効率的に面1bの近傍へ導かれるようにしている。
この第2実施形態では、除電ユニットC,Dによって、シート1の両面1a,1bに、第1,2直流電極バー2,3から同時に正,負イオンを導いて除電するとともに、下流側に設けた第3,4直流電極バー9,10が、上記第1,2直流電極バー2,3と同様に機能して除電し、さらに第1,2交流電極バー4,5によって僅かに残された電荷も除電するようにしている。
第2実施形態では、第1,2直流電極バー2,3によって除電した後に、更に、第3,第4直流電極バー9,10及び第1,2交流電極バー4,5を設けることで、正,負イオンの生成量を多くして、両面1a,1bを同時により完璧な除電を可能にしている。
そのため、この第2実施形態においても、除電ユニットCを通過してストックユニットU2で積層されたシート1同士が静電付着してしまうことを防止でき、後加工工程の作業性を悪くすることがない。
また、同様に除電ユニットDを通過したシート1も、両面が完璧に除電された状態で、印刷ユニットU1に供給されることになり、印刷ユニットU1内で、シート1の搬送不良などが発生することを防止できる。
なお、上記第1,2実施形態では、印刷ユニットU1の下流側に設けた第1の除電ユニットA,Cと上流側に設けた第2の除電ユニットB,Dとを全く同じ構成にしているが、第1の除電ユニットと第2の除電ユニットは、シート1を挟んで対向配置された上記第1,2直流電極バー2,3を備えていれば、必ずしも同じ構成でなくてもよい。
例えば、印刷ユニットU1の下流側には、第2実施形態の除電ユニットCを設け、上流側には第1実施形態の除電ユニットBを設けてもよい。
また、図3,6では一つの電極バー2,3のそれぞれに、4本の放電電極針を配置しているが、これは説明のためのもので、実際の放電電極針の本数ではない。放電電極針の本数は、上記距離xや距離z、印加電圧、シート1の幅などに応じて設定するものである。例えば、印刷システムに組み込む除電ユニットA,Bの場合、上記距離xを30〔mm〕、zを25〔mm〕、印加電圧を−9〔kV〕及び+9〔kV〕とし、シート1の寸法に応じた本数に設定している。
さらに、上記第1,2実施形態では、対向する第1,2交流電極バー4,5に交流高電圧源8によって、同じ電圧を印加しているが、第1交流電極バー4への印加電圧と第2交流電極バー5への印加電圧の位相をずらしてもよい。例えば、第1,2交流電極バー4,5に印加する電圧を逆位相にすれば、シート1を挟んだ両側に生成されるイオンと対向電極とが逆極性になり、第1,2交流電極バー4,5による除電時にも、生成されたイオンを、シート1の面1a,1bの近傍へより到達しやすくすることができる。
また、第1,2直流電極バー2,3以外の直流電極バーの組や、交流電極バーの組は、いくつ設けても構わない。印刷システムにおけるシート1の移動速度に合わせて選択すればよい。
なお、上記完璧、ほぼ完璧な除電とは、シート1の面1a,1b上の表面電荷をほぼゼロにするということであり、積層したシート1同士の間で、種々のトラブルの原因となる付着が発生しない状態のことである。面1a,1b全体として、計測した表面電位がゼロであっても、シート1が積層され、接触した面1a,1b同士がくっついてしまう吸引力を発生させるような電荷が残っている状態は、ここでいう完璧あるいはほぼ完璧な除電状態ではない。
さらに、上記した従来の印刷システムでは、軟x線を使用したしているため、作業者の被爆のリスクもあった。そのため、被爆のリスクを回避するために、軟x線が漏れないように発生部を密閉する必要があり、その分、除電装置が大きくなって、システム全体が大型化してしまうという問題もあったが、上記実施形態では、被爆のリスクはもちろん、大型化の問題もない。
印刷後に後加工を必要とするシートを印刷する印刷システムに適用可能である。
1 シート
1a,1b 面
2 第1直流電極バー
2a 放電電極針
3 第2直流電極バー
3a 放電電極針
4 第1交流電極バー
5 第2交流電極バー
6 直流高電圧源
7 直流高電圧源
8 交流高電圧源
x 隣り合う電極間距離
z 対向する電極間距離
A 除電ユニット
B 除電ユニット
C 除電ユニット
D 除電ユニット

Claims (3)

  1. 印刷対象であるシートを搬送しながら、その表面に印刷を施す印刷ユニットと、
    上記印刷ユニットから排出されたシートをストックするストックユニットと、
    上記印刷ユニットとストックユニットとの間に設けられ、上記シートの表面の静電気を除去する除電ユニットとを備えた印刷システムであって、
    上記除電ユニットは、
    上記シートの一方の面に対向し、上記シートの移動方向にほぼ直交する直線上に配置され、直流電圧が印加される複数の第1の放電電極と、
    上記シートを挟んで上記第1の放電電極と対向し、上記シートの移動方向にほぼ直交する直線上に配置され、直流電圧を印加される複数の第2の放電電極とを備え、
    上記第1,2の放電電極は、それぞれ隣り合う放電電極の極性を逆極性にするとともに、上記シートを挟んで対向する第1の放電電極と第2の放電電極の極性を逆極性にし、
    上記シートを挟んで対向する第1,2放電電極間の距離を、隣り合う放電電極間の距離よりも小さくしてなることを特徴とする印刷システム。
  2. 上記印刷ユニットに上記シートを供給するための供給ユニットと、
    上記供給ユニットと、上記印刷ユニットとの間に介在してシートの表面の静電気を除去する除電ユニットとを備え、
    上記除電ユニットは、
    上記シートの一方の面に対向し、上記シートの移動方向にほぼ直交する直線上に配置され、直流電圧が印加される複数の第1の放電電極と、
    上記シートを挟んで上記第1の放電電極と対向し、上記シートの移動方向にほぼ直交する直線上に配置され、直流電圧を印加される複数の第2の放電電極とを備え、
    上記第1,2の放電電極は、それぞれ隣り合う放電電極の極性を逆極性にするとともに、上記シートを挟んで対向する第1の放電電極と第2の放電電極の極性を逆極性にし、
    上記シートを挟んで対向する第1,2放電電極間の距離を、隣り合う放電電極間の距離よりも小さくしてなることを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
  3. 上記除電ユニットは、
    上記シートの移動方向に対して上流となる位置に上記第1,2の放電電極が設けられ、
    この第1,2の放電電極よりも下流となる位置であって、上記シートの一方の面に対向するとともに、上記シートの移動方向にほぼ直交する一方の交流電極と、
    上記シートを挟んで上記一方の交流電極と対向するとともに、上記シートの移動方向にほぼ直交する他方の交流電極とを備えた請求項1又は2に記載の印刷システム。
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