JP2018009672A - 動力伝達チェーン - Google Patents

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Akihiro Takasato
明洋 高里
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Abstract

【課題】連結部材からのリンクの抜けを抑制するフェールセーフ効果が向上された動力伝達チェーンを提供する。【解決手段】チェーン進行方向Xに並ぶ一対の貫通孔5,6が形成された複数のリンク2が、チェーン幅方向W、および、チェーン進行方向Xに並んでいる。各リンク2の一対の貫通孔には、チェーン幅方向Wに延びる複数の連結部材(ピン3,4)が、挿通されており、これにより、複数のリンク2が相互に連結されている。連結部材からのリンク2の抜けが抜止部材30によって抑制されている。抜止部材30は、チェーン内径側V1から連結部材に係合される第1係合部33と、チェーン外径側V2から連結部材に係合される第2係合部34と、第1係合部33と第2係合部34とを連結し、第1係合部33と第2係合部34とが互いに近づくように第1係合部33および第2係合部34を直交方向Vに付勢可能な付勢部35とを有する。【選択図】図8

Description

本発明は動力伝達チェーンに関する。
自動車のプーリ式無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)等の動力伝達装置には、無端状のチェーンが用いられている。
下記特許文献1に記載のチェーンは、チェーン幅方向に並ぶ複数のリンクをそれぞれ有しチェーン進行方向に並んで互いに連結された複数のリンク列と、互いに隣接するリンク列間を連結する複数対の動力伝達部材としての第1のピンおよび第2のピンとを備えている。第1のピンおよび第2のピンは、チェーン幅方向に延びており、リンクに形成された貫通孔に圧入嵌合されている。このチェーンでは、第1のピンおよび第2のピンからのリンクの抜けを抑制するために、フェールセーフ用の抜止機構が形成されている。具体的には、下記特許文献1の図6を参照して、抜止機構は、第1のピンに形成された溝と、最外側のリンクとによって構成されている。最外側のリンクは、貫通孔よりも小さい形状に形成された小径部を有し、この小径部がピンの溝に嵌め込まれている。
特開2006−153219号公報
特許文献1のチェーンを用いることでフェールセーフが達成できるが、第1のピンおよび第2のピンからのリンクの抜けを、より一層抑制することができるフェールセーフ構造が要望されている。
この発明は、かかる背景のもとでなされたものであり、連結部材からのリンクの抜けを抑制するフェールセーフ効果が向上された動力伝達チェーンを提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、一対のプーリ(70,80)間に巻き掛けられ、前記プーリ間で動力を伝達する無端状の動力伝達チェーン(1;1P)であって、チェーン進行方向(X)に並ぶ一対の貫通孔(5,6)が形成されており、前記チェーン進行方向に対して直交するチェーン幅方向(W)、および、前記チェーン進行方向に並ぶ複数のリンク(2)と、前記チェーン幅方向に延び、各前記リンクの前記貫通孔に挿通されて複数の前記リンクを相互に連結する複数の連結部材(11,12)と、前記連結部材から前記リンクが抜けるのを抑制する抜止部材(30;30P)とを含み、前記抜止部材は、前記チェーン進行方向および前記チェーン幅方向に対する直交方向(V)の一方側(V1)から前記連結部材に係合される第1係合部(33;33P)と、前記直交方向の他方側(V2)から前記連結部材に係合される第2係合部(34;34P)と、前記第1係合部と前記第2係合部とを連結し、前記第1係合部と前記第2係合部とが互いに近づくように前記第1係合部および前記第2係合部を前記直交方向に付勢可能な付勢部(35;35P)とを有することを特徴とする、動力伝達チェーンである。
請求項2に記載の発明は、前記チェーン幅方向における前記連結部材の端部(17,19)の外面(3c,4c)には、前記チェーン幅方向から区画された凹部(51A,51B,52A,52B,53A,53B)が形成されており、前記抜止部材は、前記凹部に嵌合する嵌合部(38,39,41)をさらに有することを特徴とする、請求項1に記載の動力伝達チェーンである。
請求項3に記載の発明は、前記凹部は、前記直交方向に延びており、前記第1係合部および前記第2係合部のうちの少なくとも一方が前記嵌合部を含んでいることを特徴とする、請求項2に記載の動力伝達チェーンである。
請求項4に記載の発明は、前記抜止部材は、前記チェーン幅方向において複数の前記リンクを外側から付勢可能であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の動力伝達チェーンである。
請求項5に記載の発明は、前記抜止部材は、前記チェーン幅方向における複数の前記リンクの両外側に設けられており、前記チェーン幅方向における一方側の前記抜止部材と、前記チェーン幅方向における他方側の前記抜止部材とが、前記チェーン進行方向に沿って交互に配置されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の動力伝達チェーンである。
請求項6に記載の発明は、前記チェーン進行方向に並ぶ3つの前記連結部材(61,62,63)と、3つの前記連結部材のうち前記チェーン進行方向側の2つの前記連結部材(61,62)に跨る進行側抜止部材(30A)と、3つの前記連結部材のうち前記チェーン進行方向とは反対側の2つの前記連結部材(61,63)に跨る反対側抜止部材(30B)とによって構成されたユニット(60)が、前記チェーン進行方向に並んで配列されており、複数の前記ユニットは、前記ユニット間に配置された複数の前記リンク(24)を連結しており、前記チェーン進行方向側のユニットの前記反対側抜止部材と、前記チェーン進行方向とは反対側のユニットの前記進行側抜止部材とによって、前記ユニット間に配置された複数の前記リンクが前記連結部材から抜けることが抑制されることを特徴とする、請求項5に記載の動力伝達チェーンである。
なお、括弧内の英数字は、後述する実施形態における対応構成要素等を表すが、このことは、むろん、本発明がそれらの実施形態に限定されるべきことを意味するものではない。
請求項1に記載の発明によれば、抜止部材では、第1係合部と第2係合部とが、付勢部によって連結されている。そのため、チェーン進行方向およびチェーン幅方向に対する直交方向に第1係合部と第2係合部との間を広げるような力が抜止部材に作用した場合であっても、第1係合部と第2係合部とが互いに近づくように、付勢部が第1係合部および第2係合部を直交方向に付勢する。これによって、第1係合部および第2係合部が連結部材に追従し、第1係合部および第2係合部が連結部材に係合された状態が維持される。したがって、抜止部材によって、連結部材に対するリンクの抜けが効果的に抑制される。その結果、フェールセーフ効果が向上される。
請求項2に記載の発明によれば、チェーン幅方向から区画された凹部に抜止部材の嵌合部が嵌合されることによって、連結部材に対する抜止部材の位置がチェーン幅方向において規制される。したがって、連結部材に対するリンクの抜けが一層効果的に抑制される。
請求項3に記載の発明によれば、直交方向の一方側から連結部材に係合される第1係合部、および、直交方向の他方側から連結部材に係合される第2係合部のうちの少なくとも一方が、直交方向に延びる凹部に嵌合する嵌合部を含む。そのため、第1係合部と第2係合部とが互いに近づくように、付勢部が第1係合部および第2係合部を直交方向に付勢することによって、凹部が延びる直交方向に向けて嵌合部が付勢される。そのため、凹部に嵌合部が嵌合された状態を維持しやすい。したがって、チェーン幅方向における抜止部材の位置が確実に規制される。
請求項4に記載の発明によれば、抜止部材によって、複数のリンクは、チェーン幅方向の外側から付勢される。これにより、チェーン幅方向における複数のリンクの外側へリンクがずれることが抑制され、連結部材に対するリンクの抜けが一層効果的に抑制される。
請求項5に記載の発明のように、チェーン幅方向における一方側の抜止部材と、チェーン幅方向における他方側の抜止部材とが、チェーン進行方向に沿って交互に配置されていてもよい。
請求項6に記載の発明によれば、3つの連結部材と進行側抜止部材と反対側抜止部材とによって構成されるユニット間に配置された複数のリンクは、チェーン進行方向側のユニットの反対側抜止部材と、チェーン進行方向とは反対側のユニットの進行側抜止部材とによって、連結部材から抜けることが抑制されている。したがって、ユニット間に抜止部材を設ける必要がないので、必要な抜止部材の数量を削減し、かつ、連結部材に対するリンクの抜けを効果的に抑制することができる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る動力伝達チェーンを備える動力伝達装置としてのチェーン式無段階変速機の要部構成を模式的に示す斜視図である。 図2は、図1のドライブプーリ(ドリブンプーリ)および動力伝達チェーンの部分的な拡大断面図である。 図3は、第1実施形態の動力伝達チェーンの要部の模式的な断面図である。 図4は、図3のIV−IV線に沿った断面図である。 図5は、第1実施形態の抜止部材および連結部材の配列を示した模式図である。 図6は、第1実施形態の抜止部材の周辺をチェーン幅方向から見た模式図である。 図7は、第1実施形態の抜止部材の模式的な斜視図である。 図8は、第1実施形態の抜止部材の周辺をチェーン進行方向に直交する平面に沿って切断した断面の模式図である。 図9は、第1実施形態の抜止部材を連結部材に取り付ける工程を順次に示した模式図である。 図10は、第2実施形態に係る動力伝達チェーンの要部の模式的な断面図である。 図11は、第2実施形態の動力伝達チェーンの抜止部材の周辺をチェーン幅方向から見た模式図である。 図12は、第2実施形態の抜止部材の模式的な斜視図である。 図13は、第2実施形態の抜止部材の周辺をチェーン進行方向に直交する平面に沿って切断した断面の模式図である。
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に従って説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る動力伝達チェーン1を備える動力伝達装置としてのチェーン式無段階変速機100(以下では、単に無段変速機100ともいう)の要部構成を模式的に示す斜視図である。
図1に示すように、無段変速機100は、第1プーリとしての金属(構造用鋼等)製のドライブプーリ70と、第2プーリとしての金属(構造用鋼等)製のドリブンプーリ80と、これら一対のプーリ70,80間に巻き掛けられ、プーリ70,80間で動力を伝達する無端状の動力伝達チェーン1とを備えている。無段変速機100は、自動車等の車両に搭載される。なお、図1中の動力伝達チェーン1は、理解を容易にするためにその一部を断面で示している。
図2は、図1のドライブプーリ70(ドリブンプーリ80)および動力伝達チェーン1の部分的な拡大断面図である。図1および図2に示すように、ドライブプーリ70は、車両の駆動源に動力伝達可能に連なる入力軸71に取り付けられる。ドライブプーリ70は、固定シーブ72と可動シーブ73とを備えている。
固定シーブ72は、シーブ面72aを有している。可動シーブ73は、シーブ面73aを有している。シーブ面72aおよびシーブ面73aは、入力軸71の軸方向に互いに対向している。シーブ面72aおよびシーブ面73aのそれぞれは、傾斜面の形態を有している。シーブ面72aとシーブ面73aとは、互いに逆向きに傾斜している。シーブ面72aとシーブ面73aとによって、動力伝達チェーン1が嵌る断面V字形状の溝が区画されている。動力伝達チェーン1は、シーブ面72aとシーブ面73aとによって強圧に挟まれる。
可動シーブ73には、シーブ面72aおよびシーブ面73aによって区画された溝の幅を変更するための油圧アクチュエータ(図示せず)が接続されている。変速時に、入力軸71の軸方向(図2の左右方向)に可動シーブ73を移動させることにより、シーブ面72aおよびシーブ面73aによって区画された溝の幅が変化される。それにより、入力軸71の径方向(図2の上下方向)に動力伝達チェーン1が移動され、ドライブプーリ70に対する動力伝達チェーン1の巻き掛け半径(有効半径)が変化される。
一方、ドリブンプーリ80は、図1および図2に示すように、駆動輪(図示せず)に動力伝達可能に連なる出力軸81に一体回転可能に取り付けられている。ドリブンプーリ80は、固定シーブ82と可動シーブ83とを備えている。
固定シーブ82は、シーブ面82aを有している。可動シーブ83は、シーブ面83aを有している。シーブ面82aおよびシーブ面83aは、出力軸81の軸方向に互いに対向している。シーブ面82aおよびシーブ面83aのそれぞれは、傾斜面の形態を有している。シーブ面82aとシーブ面83aとは、互いに逆向きに傾斜している。シーブ面82aとシーブ面83aとによって、動力伝達チェーン1が嵌る断面V字形状の溝が区画されている。動力伝達チェーン1は、シーブ面82aとシーブ面83aとによって強圧に挟まれる。
ドリブンプーリ80の可動シーブ83には、ドライブプーリ70の可動シーブ73と同様に油圧アクチュエータ(図示せず)が接続されている。変速時に、可動シーブ83が移動されることによって、シーブ面82aとシーブ面83aとによって区画される溝の幅が変化される。その結果、動力伝達チェーン1が、出力軸81の径方向に移動されて、ドリブンプーリ80に対する動力伝達チェーン1の巻き掛け半径が変化される。
図3は、動力伝達チェーン1の要部の模式的な断面図である。動力伝達チェーン1のチェーン進行方向に沿う方向を「チェーン進行方向X」といい、チェーン進行方向Xと直交し、且つ、動力伝達チェーン1の幅方向に沿う方向を「チェーン幅方向W」という。
図2に示すように、チェーン進行方向X(図2において紙面と直交する方向)およびチェーン幅方向Wの双方に対して直交する方向を「直交方向V」という。直交方向Vの一方側をチェーン内径側V1といい、直交方向Vの他方側をチェーン外径側V2という。
図3に示すように、動力伝達チェーン1は、チェーン進行方向Xおよびチェーン幅方向Wに並ぶ複数のリンク2と、チェーン幅方向Wに延び、これらのリンク2を屈曲可能に連結する複数の連結部材11,12とを備えている。
図4は、図3のIV−IV線に沿った断面図である。図4に示すように、各リンク2は、概ね矩形状に形成された例えば鋼製の板状の部材である。各リンク2には、チェーン進行方向Xに並ぶ第1貫通孔5および第2貫通孔6が形成されている。各リンク2において、第1貫通孔5は、第2貫通孔6よりもチェーン進行方向X側に位置している。
各リンク2は、両貫通孔5,6をチェーン進行方向Xの前後に挟んで位置する第1外柱7および第2外柱8と、第1貫通孔5および第2貫通孔6の間を仕切る中間柱9とを含む。第1外柱7は、第2外柱8よりもチェーン進行方向X側に配置されている。
連結部材11,12は、第1貫通孔5に挿通されて複数のリンク2を相互に連結する第1連結部材11と、第2貫通孔6に挿通されて複数のリンクを相互に連結する第2連結部材12とを含む。第1連結部材11および第2連結部材12のそれぞれは、対をなす第1ピン3および第2ピン4を含んでいる。図2では、第1ピン3の断面を図示しているが、第2ピン4は第1ピン3と同様の断面を有しているので、説明の便宜上、第1ピン3および第2ピン4の符号を併記する。
図3に示すように、各連結部材11,12の第1ピン3および第2ピン4は、第2ピン4が前側(チェーン進行方向X側)に配置され、第1ピン3が後側(チェーン進行方向Xの反対側XB)に配置された状態で、互いに対向している。これら第1ピン3および第2ピン4は、対応するリンク2同士の屈曲に伴い互いに転がり摺動接触する。転がり摺動接触とは、転がり接触およびすべり接触の少なくとも一方を含む接触のことをいう。
第1ピン3および第2ピン4のそれぞれは、チェーン幅方向Wに延びる長尺(板状)の部材である。第1ピン3および第2ピン4のそれぞれは、略矩形状である。第1ピン3の長手方向(チェーン幅方向W)の一対の端部17は、チェーン幅方向Wにおいて最も外側のリンク2からチェーン幅方向Wの外側にそれぞれ突出している。第2ピン4の長手方向(チェーン幅方向W)における一対の端部19は、チェーン幅方向Wにおいて最も外側のリンク2からチェーン幅方向Wの外側にそれぞれ突出している。長手方向(チェーン幅方向W)に関して、第1ピン3の一方の端部17の位置は、第2ピン4の一方の端部19の位置と同じである。長手方向(チェーン幅方向W)に関して、第1ピン3の他方の端部17の位置は、第2ピン4の他方の端部19の位置と同じである。
図2を参照して、第1ピン3の各端部17は、チェーン幅方向Wにおける第1ピン3の外側へ向かうにしたがって直交方向Vにおける幅が小さくなる先細り形状を有している。各端部17は、チェーン幅方向Wにおける第1ピン3の外側へ向かうにしたがってチェーン内径側V1へ向かうようにチェーン幅方向Wに対して傾斜する傾斜面17aを有している。
第2ピン4の各端部19は、チェーン幅方向Wにおける第2ピン4の外側へ向かうにしたがって直交方向Vにおける幅が小さくなる先細り形状を有している。第2ピン4の各端部19は、チェーン幅方向Wにおける第2ピン4の外側へ向かうにしたがってチェーン内径側V1へ向かうようにチェーン幅方向Wに対して傾斜する傾斜面19aを有している。
第1ピン3および第2ピン4は、プーリ70,80間で動力を伝達する動力伝達ピンを構成している。第1ピン3の一対の端部17の端面、および、第2ピン4の一対の端部19の端面は、各プーリ70,80に接触している。
第1ピン3の端面および第2ピン4の端面が、各プーリ70,80のシーブ面72a,73a(82a,83a)に潤滑油膜を介して動力伝達可能に摩擦係合する。第1ピン3は、シーブ面72a,73a(82a,83a)間に挟持され、これにより、第1ピン3と各プーリ70,80との間で動力が伝達される。第1ピン3および第2ピン4は、その端面によって直接動力伝達に寄与するため、例えば、軸受用鋼(SUJ2)等の高強度耐摩耗材料で形成されている。
第1ピン3は、各リンク2の第1貫通孔5に相対移動可能に遊嵌されていると共に、各リンク2の第2貫通孔6に相対移動を規制されるように圧入嵌合されている。また、第2ピン4は、各リンク2の第1貫通孔5に相対移動を規制されるように圧入嵌合されていると共に、各リンク2の第2貫通孔6に相対移動可能に遊嵌されている。
換言すれば、各リンク2の第1貫通孔5には、第1ピン3が相対移動可能に遊嵌されていると共に、この第1ピン3と対をなす第2ピン4が相対移動を規制されるように圧入嵌合されている。また、各リンク2の第2貫通孔6には、第1ピン3が相対移動を規制されるように圧入嵌合されていると共に、この第1ピン3と対をなす第2ピン4が相対移動可能に遊嵌されている。
具体的には、図4を参照して、リンク2の第1貫通孔5の内周5aは、第2ピン4が圧入固定される第2ピン固定部13を含む。第1貫通孔5において、第2ピン固定部13に圧入固定された第2ピン4によって占められている部分を除く空間が、第1ピン3が移動可能に嵌め合わされている第1ピン可動部14とされている。
リンク2の第2貫通孔6の内周6aは、第1ピン3が圧入固定される第1ピン固定部15を含む。第2貫通孔6において、第1ピン固定部15に圧入固定された第1ピン3によって占められている部分を除く空間が、第2ピン4が移動可能に嵌め合わされる第2ピン可動部16とされている。
第1ピン3は、チェーン進行方向X側の前部3aと、チェーン進行方向Xの反対側XBの後部3bとを含む。第2ピン4は、チェーン進行方向X側の前部4aと、チェーン進行方向Xの反対側XBの後部4bとを含む。第1貫通孔5内に遊嵌された第1ピン3の後部3bが、中間柱9の前縁部9aに対向している。また、第2貫通孔6内に遊嵌された第2ピン4の前部4aが、中間柱9の後縁部9bに対向している。
図3に示すように、動力伝達チェーン1は、チェーン進行方向Xに関する同位相でチェーン幅方向Wに並ぶ複数のリンク2でそれぞれ構成される第1リンク列91、第2リンク列92および第3リンク列93をこの順でチェーン進行方向Xに並べて1つのリンクモジュール90としている。リンクモジュール90がチェーン進行方向Xに複数連結されることによって、無端状の動力伝達チェーン1が形成されている。
第1リンク列91、第2リンク列92および第3リンク列93は、それぞれ1つしか図示されていないが、チェーン進行方向Xに沿って、第1リンク列91、第2リンク列92および第3リンク列93が繰り返されるように配置されている。すなわち、リンクモジュール90が、チェーン進行方向Xに繰り返すように配置されている。そして、チェーン進行方向Xに互いに隣接する2つのリンク列のリンク2同士が、対応する第1ピン3および第2ピン4によって順次連結され、無端状の動力伝達チェーン1が形成されている。
第1リンク列91は、チェーン幅方向Wの最も外側に配置された一対の第1外側リンク21を含む。また、第2リンク列92は、チェーン幅方向Wの最も外側に配置された一対の第2外側リンクである最外側リンク22を含む。また、第3リンク列93は、チェーン幅方向Wの最も外側に配置された一対の第3外側リンク23を含む。
リンクモジュール90において、一対の第1外側リンク21は、一対の第2外側リンク22(最外側リンク22)よりもチェーン幅方向Wの内側に配置されている。一対の第3外側リンク23は、一対の第1外側リンク21よりも、チェーン幅方向Wの内側に配置されている。このため、リンクモジュール90において、ピン3,4から最外側リンク22(第2外側リンク)が抜けるのを抑制することにより、リンクモジュール90の全てのリンク2の抜脱の抑制が可能である。
動力伝達チェーン1は、複数のリンク2のピン3,4からの抜脱を抑制する複数の抜止部材30をさらに含む。抜止部材30は、チェーン幅方向Wにおける複数のリンク2の両外側に複数設けられている。各抜止部材30は、チェーン進行方向Xに隣り合う第1連結部材11および第2連結部材12に跨って取り付けられている。
図5は、抜止部材30および連結部材11,12の配列を示した模式図である。
図5を参照して、チェーン幅方向Wの一方側の抜止部材30と、チェーン幅方向Wの他方側の抜止部材30とは、チェーン進行方向Xに沿って交互に配列されている。動力伝達チェーン1は、チェーン幅方向Wに対向する一対の抜止部材30と、チェーン進行方向Xに近接して並ぶ3つの連結部材11,12とによって構成されたユニット60を複数含む。ユニット60は、チェーン進行方向Xに並んで配列されている。
各ユニット60を構成する3つの連結部材11,12には、チェーン進行方向Xにおいてユニット60の略中央に配置された中央連結部材61と、中央連結部材61のチェーン進行方向X側に配置された進行側連結部材62と、中央連結部材61のチェーン進行方向Xの反対側XBに配置された反対側連結部材63とが含まれる。
各ユニット60を構成する一対の抜止部材30には、3つの連結部材11,12のうちのチェーン進行方向X側の2つの連結部材11,12である中央連結部材61と進行側連結部材62とに跨る進行側抜止部材30Aと、3つの連結部材11,12のうちのチェーン進行方向Xとは反対側XBの2つの連結部材11,12である中央連結部材61と反対側連結部材63とに跨る反対側抜止部材30Bとが含まれる。
各ユニット60内には、中央連結部材61と進行側連結部材62とに挿通された複数の進行側リンク25と、中央連結部材61と反対側連結部材63とに挿通された複数の反対側リンク26とが配置されている。図5では、各ユニット60の複数の進行側リンク25全体を一点鎖線で図示し、各ユニット60の複数のリンク26全体を二点鎖線で図示している。各ユニット60では、同一のユニット60の進行側抜止部材30Aおよび反対側抜止部材30Bによって、連結部材11,12からの複数の進行側リンク25および複数の反対側リンク26が抜けることが抑制されている。
ユニット60間に配置されたリンク2のことをユニット間リンク24という。複数のユニット60は、ユニット間リンク24を連結している。チェーン進行方向X側のユニット60の反対側抜止部材30Bと、チェーン進行方向Xとは反対側XBのユニット60の進行側抜止部材30Aとによって、連結部材11,12から複数のユニット間リンク24が抜けることが抑制されている。
次に、抜止部材30の構成について詳細に説明する。
図6は、抜止部材30の周辺をチェーン幅方向Wから見た模式図である。図7は、抜止部材30の模式的な斜視図である。図8は、抜止部材30の周辺をチェーン進行方向Xに直交する平面に沿って切断した断面の模式図である。図8では、図2と同様に、説明の便宜上、第1ピン3および第2ピン4の符号を併記する。
図6および図7を参照して、抜止部材30は、例えば、一枚の金属板をプレス加工することによって形成された弾性部材である。抜止部材30には、チェーン幅方向Wに抜止部材30を貫通する複数の挿通孔31,32が形成されている。複数の挿通孔31,32には、チェーン進行方向X側の第1挿通孔31と、チェーン進行方向Xとは反対側XB側の第2挿通孔32とが含まれる。
抜止部材30は、チェーン内径側V1から連結部材11,12に係合される第1係合部33と、チェーン外径側V2から連結部材11,12に係合される第2係合部34とを有する。また、抜止部材30は、第1係合部33と第2係合部34とを連結し、直交方向Vに弾性変形することによって、第1係合部33と第2係合部34とが互いに近づくように第1係合部33および第2係合部34を直交方向Vに弾性付勢可能な付勢部35をさらに有する。
第1係合部33は、第1挿通孔31および第2挿通孔32をチェーン内径側V1から区画する部分を含む。第2係合部34は、チェーン幅方向Wから見て、第1挿通孔31のチェーン外径側端部と重なる部分と、チェーン幅方向Wから見て、第2挿通孔32のチェーン外径側端部と重なる部分とを含む。
付勢部35は、第1係合部33および第2係合部34を直交方向Vに弾性付勢可能であることに加えて、チェーン幅方向Wにおいて最外側リンク22を外側から弾性付勢可能である。チェーン幅方向Wにおける複数のリンク2の両外側に設けられた抜止部材30によって、最外側リンク22がチェーン幅方向Wの両外側から付勢される。それによって、複数のリンク22全体がチェーン幅方向Wの両外側から付勢される。
図8を参照して、付勢部35は、チェーン幅方向Wにおいてリンク2側とは反対側に凸湾曲する第1湾曲部36と、第1湾曲部36よりも第2係合部34側に設けられ、チェーン外径側V2に凸湾曲する略円弧状の第2湾曲部37とを含む。
第1湾曲部36は、チェーン進行方向Xとチェーン進行方向Xの反対側XBとから第1挿通孔31および第2挿通孔32を区画し、第1係合部33からチェーン外径側V2に延びている。詳しくは、図6を参照して、第1湾曲部36は、第1挿通孔31および第2挿通孔32をチェーン進行方向Xの前後に挟んで位置する第1外柱36aおよび第2外柱36bと、第1挿通孔31および第2挿通孔32の間を仕切る中間柱36cとを含む。第1外柱36aは、第2外柱36bよりもチェーン進行方向X側に配置されている。第1湾曲部36は、直交方向Vに延びるように弾性変形する。第1湾曲部36は、チェーン幅方向Wにも弾性変形可能であってもよい。
図7および図8を参照して、第2湾曲部37は、第1挿通孔31および第2挿通孔32をチェーン外径側V2から区画する一端37aと、折り返し部37cと、一端37aから折り返し部37cを介して折り返され、第2係合部34に連結された他端37bとを含む。第2湾曲部37は、チェーン幅方向Wにおいて、他端37bが一端37aよりもリンク2側に位置するように湾曲している。第2湾曲部37は、折り返し部37cの曲率半径が大きくなるように一端37aに対して他端37bを移動させることによって弾性変形する。
図6を参照して、第1ピン3のチェーン幅方向Wにおける両端部17には、直交方向Vに延びる複数の凹部51A,52Aが形成されている。複数の凹部51A,52Aには、直交方向Vにおける第1ピン3のチェーン内径側端部に形成された第1凹部51Aと、直交方向Vにおける第1ピン3のチェーン外径側端部に形成された第2凹部52Aとが含まれる。第1凹部51Aは、第1ピン3の外周面3cを窪ませるように外周面3cからチェーン外径側V2に延びており、第2凹部52Aは、第1ピン3の外周面3cを窪ませるように外周面3cからチェーン内径側V1に延びている。第1ピン3は、複数の凹部51A,52Aをチェーン幅方向Wに区画する内壁3dを有する(図8参照)。
第2ピン4のチェーン幅方向Wにおける両端部19には、直交方向Vに延びる複数の凹部51B,52Bが形成されている。複数の凹部51B,52Bには、直交方向Vにおける第2ピン4のチェーン内径側端部に形成された第1凹部51Bと、直交方向Vにおける第2ピン4のチェーン外径側端部に形成された第2凹部52Bとが含まれる。第1凹部51Bは、第2ピン4の外周面4cを窪ませるように外周面4cからチェーン外径側V2に延びており、第2凹部52Bは、第2ピン4の外周面4cを窪ませるように外周面4cからチェーン内径側V1に延びている。第2ピン4は、複数の凹部51B,52Bをチェーン幅方向Wに区画する内壁4dを有する(図8参照)。
第1ピン3の外周面3cおよび第2ピン4の外周面4cは、対応する連結部材11,12の外面でもある。
第1凹部51Aおよび第1凹部51Bには、第1係合部33が嵌合されている。第2凹部52Aおよび第2凹部52Bには、第2係合部34が嵌合されている。そのため、第1係合部33は、第1連結部材11の第1ピン3の第1凹部51Aと、第1連結部材11の第2ピン4の第1凹部51Bと、第2連結部材12の第1ピン3の第1凹部51Aと、第2連結部材12の第2ピン4の第1凹部51Bとのそれぞれに1つずつ嵌合する第1嵌合部38を合計4つ含んでいる。第2係合部34は、第1連結部材11の第1ピン3の第2凹部52Aと、第1連結部材11の第2ピン4の第2凹部52Bと、第2連結部材12の第1ピン3の第2凹部52Aと、第2連結部材12の第2ピン4の第2凹部52Bとのそれぞれに1つずつ嵌合する第2嵌合部39を合計4つ含んでいる。第1凹部51A,51Bおよび第2凹部52A,52Bは、抜止部材30が取り付けられる連結部材11,12のみに形成されていればよい。
第1係合部33は、第1凹部51A,51Bの底部に当接しておらず、第2係合部34は、第2凹部52A,52Bの底部に当接していない。しかし、本実施形態とは異なり、第1係合部33は、第1凹部51A,51Bの底部に当接していてもよいし、第2係合部34は、第2凹部52A,52Bの底部に当接していてもよい。付勢部35は、直交方向Vに弾性変形していてもよく、第1係合部33および第2係合部34のそれぞれを対応する底部や外周面3c,4cに押し付けるように、第1係合部33および第2係合部34のそれぞれを直交方向Vに付勢していてもよい。
抜止部材30を第1ピン3および第2ピン4に取り付ける際には、第1係合部33と第2係合部34とが直交方向Vに互いに離れるように付勢部35を弾性変形させた状態で、一対の挿通孔31,32に連結部材11,12の第1ピン3および第2ピン4を挿通させる。
図9(a)〜図9(c)は、抜止部材30をピン3,4に取り付ける工程を順次に示した模式図である。図9(a)〜図9(c)では、図2と同様に、説明の便宜上、第1ピン3および第2ピン4の符号を併記する。
付勢部35(図7参照)を弾性変形させて、図9(a)に示すように、直交方向Vにおける第1係合部33と第2係合部34との間を広げる。そして、図9(b)に示すように、第1係合部33と第2係合部34との間が直交方向Vに広げられた状態の抜止部材30にピン3,4を挿通する。そして、付勢部35を弾性復帰させることによって、図9(c)に示すように、第1係合部33を第1凹部51A,51Bに嵌合させ、第2係合部34を第2凹部52A,52Bに嵌合させる。
これにより、第1連結部材11のピン3,4および第2連結部材12のピン3,4に対する抜止部材30の取り付けが完了する。本実施形態とは異なり、第1係合部33を第1凹部51A,51Bに嵌合させた状態で付勢部35を弾性変形させることによって、第1係合部33と第2係合部34との間を広げてもよい。
第1実施形態によれば、抜止部材30では、第1係合部33と第2係合部34とが、付勢部35によって連結されている。そのため、第1係合部33と第2係合部34との間を広げるような直交方向Vの力が抜止部材30に作用した場合であっても、第1係合部33と第2係合部34とが互いに近づくように、第1係合部33および第2係合部34を付勢部35が直交方向Vに弾性付勢する。これによって、第1係合部33および第2係合部34が連結部材11,12に追従し、第1係合部33および第2係合部34が連結部材11,12に係合された状態が維持される。したがって、抜止部材30によって、連結部材11,12に対するリンク2の抜けが効果的に抑制される。その結果、フェールセーフ効果が向上される。
また、チェーン幅方向Wから区画された第1凹部51A,51Bに抜止部材30の第1嵌合部38が嵌合され、チェーン幅方向Wから区画された第2凹部52A,52Bに抜止部材30の第2嵌合部39が嵌合されることによって、連結部材11,12に対する抜止部材30の位置がチェーン幅方向Wにおいて規制される。したがって、連結部材11,12に対するリンク2の抜けが一層効果的に抑制される。
また、チェーン内径側V1から連結部材11,12に係合される第1係合部33が、第1凹部51A,51Bに嵌合する第1嵌合部38を含み、チェーン外径側V2から連結部材11,12に係合される第2係合部34が、第2凹部52A,52Bに嵌合する第2嵌合部39を含む。
そのため、第1係合部33と第2係合部34との間を広げるような直交方向Vの力が抜止部材30に作用した場合であっても、付勢部35が第1係合部33をチェーン外径側V2に付勢することによって、第1凹部51A,51Bが延びる方向(チェーン外径側V2)に向けて第1嵌合部38が付勢される。そのため、第1凹部51A,51Bに第1嵌合部38が嵌合された状態を維持しやすい。同様に、付勢部35が第2係合部34をチェーン内径側V1に付勢することによって、第2凹部52A,52Bが延びる方向(チェーン内径側V1)に向けて第2嵌合部39が付勢されるので、第2凹部52A,52Bに第2嵌合部39が嵌合された状態を維持しやすい。したがって、チェーン幅方向Wにおける抜止部材30の位置が確実に規制される。
また、付勢部35の弾性変形によって第1係合部33および第2係合部34が対応する凹部51A,51B,52A,52Bの底部や外周面3c,4cに押し付けられていれば、万一、第1係合部33や第2係合部34と連結部材11,12との当接部分が摺動により摩耗した場合であっても、連結部材11,12に第1係合部33および第2係合部34を追従させることができる。
また、チェーン幅方向Wにおける複数のリンク2の両外側に設けられた抜止部材30の付勢部35が弾性変形することによって、複数のリンク2は、チェーン幅方向Wの両外側から付勢される。これにより、チェーン幅方向Wにおける複数のリンク2の外側へリンク2がずれることが抑制され、連結部材11,12に対するリンク2の抜けが一層効果的に抑制される。
また、抜止部材30は、最外側リンク22の一対の貫通孔5,6に挿通された一対の連結部材11,12のうちの少なくとも一方に設けられている。そのため、抜止部材30は、最外側リンク22が連結部材11,12から抜けるのを抑制できる。そのため、最外側リンク22よりもチェーン幅方向Wの内側に配置されたリンク2が連結部材11,12から抜けることも抑制することができる。
3つの連結部材11,12(中央連結部材61、進行側連結部材62および反対側連結部材63)と進行側抜止部材30Aと反対側抜止部材30Bとによって構成されるユニット60間に配置された複数のユニット間リンク24は、チェーン進行方向X側のユニット60の反対側抜止部材30Bと、チェーン進行方向Xとは反対側XBのユニット60の進行側抜止部材30Aとによって、連結部材11,12から抜けることが抑制されている。したがって、ユニット60間に抜止部材30を設ける必要がないので、必要な抜止部材30の数量を削減し、かつ、連結部材11,12に対するリンク2の抜けを効果的に抑制することができる。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態の動力伝達チェーン1Pが第1実施形態の動力伝達チェーン1と主に異なる点は、動力伝達チェーン1Pが、チェーン進行方向Xに互いに隣り合う連結部材11と連結部材12との間に設けられた抜止部材30Pを含む点である。以下では、図10〜図13を用いて、動力伝達チェーン1Pについて説明する。
図10は、動力伝達チェーン1Pの要部の模式的な断面図である。図11は、抜止部材30Pの周辺をチェーン幅方向Wから見た模式図である。図12は、抜止部材30Pの模式的な斜視図である。図13は、抜止部材30Pの周辺をチェーン進行方向Xに直交する平面に沿って切断した断面の模式図である。図10〜図13では、前述の第1実施形態で説明した構成と対応する構成については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
図10を参照して、第2実施形態では、抜止部材30Pは、チェーン幅方向Wにおける複数のリンク2の両外側に複数設けられている。抜止部材30Pは、チェーン進行方向Xにおいて互いに隣り合う第1連結部材11と第2連結部材12との間のそれぞれに一対ずつ設けられている。一対の抜止部材30Pは、チェーン幅方向Wにおける複数のリンク2の両外側のそれぞれに設けられている。
図11を参照して、抜止部材30Pは、例えば、一枚の金属板をプレス加工することによって形成された弾性部材である。抜止部材30Pは、チェーン内径側V1からピン3,4に係合される第1係合部33Pと、チェーン外径側V2からピン3,4に係合される第2係合部34Pと、第1係合部33Pに連結され、チェーン進行方向Xにおいて隣り合う第1連結部材11と第2連結部材12との間で直交方向Vに延びる延設部40とを有する。抜止部材30Pは、延設部40を介して第1係合部33Pと第2係合部34Pとを連結し、直交方向Vに弾性変形することによって、第1係合部33Pと第2係合部34Pとが互いに近づくように第1係合部33Pおよび第2係合部34Pを直交方向Vに弾性付勢可能な付勢部35Pをさらに有する。
図12および図13を参照して、付勢部35Pは、チェーン外径側V2に凸湾曲する湾曲部37Pを含む。湾曲部37Pは、延設部40に連結された一端37Paと、折り返し部37Pcと、一端37Paから折り返し部37Pcを介して折り返され、第2係合部34Pに連結された他端37Pbとを含む。湾曲部37Pは、チェーン幅方向Wにおいて、一端37Paが他端37Pbよりもリンク2側に位置するように湾曲している。
付勢部35Pは、チェーン幅方向Wにおいて最外側リンク22を外側から付勢するように弾性変形可能である。チェーン幅方向Wにおける複数のリンク2の両外側に設けられた抜止部材30Pによって、最外側リンク22がチェーン幅方向Wの両外側から付勢されることによって、複数のリンク22全体がチェーン幅方向Wの両外側から付勢される。
各第1ピン3の後部3bのチェーン幅方向Wにおける両端部17の外周面3cには、直交方向Vに延びる凹部53Aが形成されている。各第2ピン4の前部4aのチェーン幅方向Wにおける両端部19の外周面4cには、凹部53Bが形成されている。
連結部材11の第1ピン3の凹部53Aと、チェーン進行方向Xの反対側XBから当該連結部材11に対向する連結部材12の第2ピン4の凹部53Bとは、チェーン進行方向Xに互いに対向している。連結部材11の第2ピン4の凹部53Bと、チェーン進行方向Xから当該連結部材11に対向する連結部材12の第1ピン3の凹部53Aとは、互いに対向している。
図13を参照して、第1ピン3は、凹部53Aをチェーン幅方向Wから区画する内壁3eを有する。第2ピン4は、凹部53Bをチェーン幅方向Wから区画する内壁4eを有する。延設部40は、チェーン進行方向Xに間隔を隔てて配置された一対の嵌合部41を含む(図12参照)。チェーン進行方向X側の嵌合部41は、第1ピン3の凹部53Aに嵌合されており、チェーン進行方向Xの反対側XBの嵌合部41は、第2ピン4の凹部53Bに嵌合されている。
第1係合部33Pは、チェーン幅方向Wにおける第1ピン3の端部17の外周面3cにチェーン内径側V1から当接し、チェーン幅方向Wにおける第2ピン4の端部19の外周面4cにチェーン内径側V1から当接することによって連結部材11,12に係合されている。
第2係合部34Pは、チェーン幅方向Wにおける第1ピン3の端部17にチェーン外径側V2から当接し、チェーン幅方向Wにおける第2ピン4の端部19にチェーン外径側V2から当接することによって連結部材11,12に係合されている。本実施形態では、第2係合部34Pは、端部17の傾斜面17aと端部19の傾斜面19aとに当接している。
図11を参照して、抜止部材30Pを連結部材11,12に取り付ける際には、付勢部35Pを弾性変形させる。そして、付勢部35Pを弾性変形させた状態で延設部40の嵌合部41を連結部材11,12の凹部53A,53Bにチェーン内径側V1から嵌合し、かつ、第1係合部33Pを連結部材11,12に係合させる。そして、付勢部35を弾性復帰させることによって、第2係合部34Pを連結部材11,12に係合させる。これにより、連結部材11,12に対する抜止部材30Pの取り付けが完了する。
第2実施形態によれば、抜止部材30Pでは、第1係合部33Pと第2係合部34Pとが、直交方向Vに弾性変形可能な付勢部35Pによって連結されている。そのため、第1係合部33Pと第2係合部34Pとの間を広げるような直交方向Vの力が抜止部材30Pに作用した場合であっても、第1係合部33Pと第2係合部34Pとが互いに近づくように、付勢部35Pが第1係合部33Pおよび第2係合部34Pを直交方向Vに弾性付勢する。これによって、第1係合部33Pおよび第2係合部34Pが連結部材11,12に追従し、第1係合部33Pおよび第2係合部34Pが連結部材11,12に係合された状態が維持される。したがって、抜止部材30Pによって、連結部材11,12に対するリンク2の抜けが効果的に抑制される。その結果、フェールセーフ効果が向上される。
また、チェーン幅方向Wから区画された凹部53A,53Bに抜止部材30Pの嵌合部41が嵌合されることによって、連結部材11,12に対する抜止部材30Pの位置がチェーン幅方向Wにおいて規制される。したがって、連結部材11,12に対するリンク2の抜けが一層効果的に抑制される。
また、チェーン幅方向Wにおける複数のリンク2の両外側に設けられた抜止部材30Pの付勢部35Pが弾性変形することによって、複数のリンク2は、チェーン幅方向Wの両外側から付勢される。これにより、チェーン幅方向Wにおける複数のリンク2の外側へリンク2がずれることが抑制され、連結部材11,12に対するリンク2の抜けが一層効果的に抑制される。
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の範囲内において種々の変更が可能である。
例えば、第1実施形態では、各リンク2の第2貫通孔6には、第1ピン3が圧入嵌合されていて、各リンク2の第1貫通孔5には、第2ピン4が圧入嵌合されていた。しかし、第1実施形態とは異なり、各リンク2の第2貫通孔6には、第1ピン3が非圧入状態で嵌合されていてもよいし、各リンク2の第1貫通孔5には、第2ピン4が非圧入状態で嵌合されていてもよい。
また、第1実施形態および第2実施形態では、抜止部材30,30Pの付勢部35,35P以外の部分が弾性変形可能であってもよい。例えば、付勢部35,35Pに加えて、チェーン内径側V1における第1係合部33,33Pの端部がチェーン幅方向Wの外側から最外側リンク22を付勢するように弾性変形してもよい。
第1実施形態において、第1係合部33が第1嵌合部38を含んでいない形態も有り得る。この場合、第1ピン3には第1凹部51Aが設けられておらず、第2ピン4には、51Bが設けられていない。そして、第1係合部33は、チェーン幅方向Wにおける第1ピン3の端部17の外周面3cにチェーン内径側V1から当接し、チェーン幅方向Wにおける第2ピン4の端部19の外周面4cにチェーン内径側V1から当接することによって連結部材11,12に係合されている。
第1実施形態において、第2係合部34が第2嵌合部39を含んでいない形態も有り得る。この場合、第1ピン3には、第2凹部52Aが設けられておらず、第2ピン4には、第2凹部52Bが設けられていない。そして、第2係合部34は、チェーン幅方向Wにおける第1ピン3の端部17の外周面3cにチェーン外径側V2から当接し、チェーン幅方向Wにおける第2ピン4の端部19の外周面4cにチェーン外径側V2から当接することによって連結部材11,12に係合されている。
第1実施形態において、抜止部材30では、第1係合部33および第2係合部34とは別に嵌合部が設けられていてもよい。この場合、連結部材11,12には、当該嵌合部に対応する凹部が形成されている。
第1実施形態とは異なり、全ての連結部材11,12のチェーン幅方向Wにおける両端部17,19に抜止部材30が取り付けられており、かつ、チェーン幅方向Wにおける一方側の抜止部材30と、チェーン幅方向Wにおける他方側の抜止部材30とが、チェーン進行方向Xに沿って交互に配置されていてもよい。例えば、各連結部材11,12は、チェーン幅方向Wにおける一方側の抜止部材30の第2挿通孔32、および、チェーン幅方向Wにおける他方側の抜止部材30の第1挿通孔31に挿通されているか、または、チェーン幅方向Wにおける一方側の抜止部材30の第1挿通孔31、および、チェーン幅方向Wにおける他方側の抜止部材30の第2挿通孔32に挿通されている。
第1実施形態とは異なり、全ての連結部材11,12のチェーン幅方向Wにおける両端部17,19に抜止部材30が取り付けられており、かつ、チェーン幅方向Wにおける一方側の抜止部材30と、チェーン幅方向Wにおける他方側の抜止部材30とが、チェーン進行方向Xに沿って交互に配置されていなくてもよい。すなわち、チェーン進行方向Xに隣り合う2つの連結部材11,12に跨って共通に取り付けられた一方側の抜止部材30および他方側の抜止部材30の組が複数設けられており、当該組が、チェーン進行方向Xに並んで配置されていてもよい。
第2実施形態において、抜止部材30Pでは、第1係合部33Pおよび第2係合部34Pのうちの少なくとも一方が嵌合部を含む形態であってもよい。この場合、連結部材11,12には、当該嵌合部に嵌合される凹部が形成されている。
第2実施形態において、抜止部材30Pは、チェーン進行方向Xにおいて互いに隣り合う第1連結部材11と第2連結部材12との間のそれぞれに1つずつ設けられているとしたが、全ての第1連結部材11と第2連結部材12との間に設けられている必要はない。例えば、チェーン幅方向Wの一方側の抜止部材30Pと、チェーン幅方向Wの他方側の抜止部材30Pとがチェーン進行方向Xに沿って交互に並んで配置されていてもよい。
その他、本発明は特許請求の範囲に記載の範囲内で種々の変更を施すことができる。
1;1P…動力伝達チェーン、3c…外周面、4c…外周面、5…第1貫通孔、6…第2貫通孔、11…第1連結部材、12…第2連結部材、22…最外側リンク、30;30P…抜止部材、30A…進行側抜止部材、30B…反対側抜止部材、33;33P…第1係合部、34;34P…第2係合部、35;35P…付勢部、38…第1嵌合部、39…第2嵌合部、41…嵌合部、51A…第1凹部、51B…第1凹部、52A…第2凹部、52B…第2凹部、53A…凹部、53B…凹部、60…ユニット、61…中央連結部材、62…進行側連結部材、63…反対側連結部材、70…ドライブプーリ、80…ドリブンプーリ、V…直交方向、V1…チェーン内径側、V2…チェーン外径側、W…チェーン幅方向、X…チェーン進行方向

Claims (6)

  1. 一対のプーリ間に巻き掛けられ、前記プーリ間で動力を伝達する無端状の動力伝達チェーンであって、
    チェーン進行方向に並ぶ一対の貫通孔が形成されており、前記チェーン進行方向に対して直交するチェーン幅方向、および、前記チェーン進行方向に並ぶ複数のリンクと、
    前記チェーン幅方向に延び、各前記リンクの前記貫通孔に挿通されて複数の前記リンクを相互に連結する複数の連結部材と、
    前記連結部材から前記リンクが抜けるのを抑制する抜止部材とを含み、
    前記抜止部材は、前記チェーン進行方向および前記チェーン幅方向に対する直交方向の一方側から前記連結部材に係合される第1係合部と、前記直交方向の他方側から前記連結部材に係合される第2係合部と、前記第1係合部と前記第2係合部とを連結し、前記第1係合部と前記第2係合部とが互いに近づくように前記第1係合部および前記第2係合部を前記直交方向に付勢可能な付勢部とを有することを特徴とする、動力伝達チェーン。
  2. 前記チェーン幅方向における前記連結部材の端部の外面には、前記チェーン幅方向から区画された凹部が形成されており、
    前記抜止部材は、前記凹部に嵌合する嵌合部をさらに有することを特徴とする、請求項1に記載の動力伝達チェーン。
  3. 前記凹部は、前記直交方向に延びており、
    前記第1係合部および前記第2係合部のうちの少なくとも一方が前記嵌合部を含んでいることを特徴とする、請求項2に記載の動力伝達チェーン。
  4. 前記抜止部材は、前記チェーン幅方向において複数の前記リンクを外側から付勢可能であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の動力伝達チェーン。
  5. 前記抜止部材は、前記チェーン幅方向における複数の前記リンクの両外側に設けられており、
    前記チェーン幅方向における一方側の前記抜止部材と、前記チェーン幅方向における他方側の前記抜止部材とが、前記チェーン進行方向に沿って交互に配置されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の動力伝達チェーン。
  6. 前記チェーン進行方向に並ぶ3つの前記連結部材と、3つの前記連結部材のうち前記チェーン進行方向側の2つの前記連結部材に跨る進行側抜止部材と、3つの前記連結部材のうち前記チェーン進行方向とは反対側の2つの前記連結部材に跨る反対側抜止部材とによって構成されたユニットが、前記チェーン進行方向に並んで配列されており、
    複数の前記ユニットは、前記ユニット間に配置された複数の前記リンクを連結しており、前記チェーン進行方向側のユニットの前記反対側抜止部材と、前記チェーン進行方向とは反対側のユニットの前記進行側抜止部材とによって、前記ユニット間に配置された複数の前記リンクが前記連結部材から抜けることが抑制されることを特徴とする、請求項5に記載の動力伝達チェーン。
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