JP2018008897A - 工業用抗菌・防カビ・防藻剤 - Google Patents

工業用抗菌・防カビ・防藻剤 Download PDF

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Abstract

【課題】幅広い工業用途に利用可能で、保存安定性に優れる工業用抗菌・防カビ・防藻剤を提供すること。【解決手段】特定の融点および水溶解度を有する2つの抗菌・防カビ・防藻性化合物、引火点が100℃以上の水溶性を有する有機溶媒、アルカリ膨潤型増粘剤および水を含有することを特徴とする、工業用抗菌・防カビ・防藻剤を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、工業用抗菌・防カビ・防藻剤に関し、詳しくは、特定の融点および水溶解度を有する2つの抗菌・防カビ・防藻性化合物を含有する、保存安定性に優れる工業用抗菌・防カビ・防藻剤に関する。
従来、各種の工業製品には、細菌、カビ、酵母、藻類などの有害な微生物が繁殖しやすく、生産性や品質の低下、悪臭の発生などの原因になっている。なかでも、紙パルプの製造に用いられる水、産業分野における循環冷却水等の種々の用水、水性塗料、エマルション、捺染糊、皮革等の製造に用いられる水に繁殖した微生物は、被処理物、被洗浄物または処理設備等の腐食やカビまたはつまりの原因となっている。また、木材や木質を含有する建材などの工業製品は、担子菌などの微生物の作用により腐朽することにより、その品質および強度が劣化することが知られている。
そのため、工業製品や工業用水に、細菌、カビ、酵母、藻類などの有害な微生物に対して防除効果を発現する種々の工業用抗菌・防カビ・防藻剤を添加することが広く知られている。しかしながら、これら公知薬剤化合物は、実用濃度では抗菌スペクトラムが狭く、多種の微生物に対しては対応しきれない等の問題点を有しており、公知薬剤化合物を2剤あるいは3剤併用して使用することが汎用されている。
一方、併用する公知薬剤化合物は、それぞれの融点や水溶解度等の物性が大きく異なる場合が多く、安定した1つの製剤とすることが困難な組み合わせもある。例えば、融点が高い薬剤化合物(I)と融点が低い薬剤化合物(II)を含有する水性懸濁製剤は、薬剤化合物(II)の融点以上の温度になると、薬剤化合物(II)が液状になり懸濁状態から乳化状態に変化するため、その水性懸濁製剤は、再度、薬剤化合物(II)の融点以下の環境に戻る際に薬剤化合物(II)が凝集、沈殿してしまい、貯蔵安定性が不良となる。このような製剤を添加した工業製品等は、抗菌・防カビ・防藻性が低下する問題が生じることがある。
これらの問題に対して、数種類の製剤助剤を使用して保存安定性を向上させる技術も報告(例えば、特許文献1、2)されているが、製剤助剤の多用は、工業用抗菌・防カビ・防藻剤を添加した工業製品の耐水性を悪化させるなどの問題を引き起こすこともあり、保存安定性に優れた新たな製剤組成の提案が要望されている。
特開2011−195581号公報 特開2012−056922号公報
そこで本発明においては、特定の融点および水溶解度を有する2つの抗菌・防カビ・防藻性化合物を含有する、保存安定性に優れる工業用抗菌・防カビ・防藻剤の開発を課題としている。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の融点および水溶解度を有する2つの抗菌・防カビ・防藻性化合物と、引火点が100℃以上の水溶性を有する有機溶媒、アルカリ膨潤型増粘剤および水を含有する製剤とすることにより、上記課題を解決するに至ったものである。
本発明は、具体的には次の事項を要旨とする。
1.(a)融点が120℃以上であり、水溶解度が40mg/L(20℃)未満である抗菌・防カビ・防藻性化合物、
(b)融点が40〜60℃の範囲にあり、水溶解度が50mg/L(20℃)未満である抗菌・防カビ・防藻性化合物、
(c)引火点が100℃以上のグリコール、グリコールエーテル、グリコールエステルから選ばれる1以上の有機溶媒、
(d)アルカリ膨潤型増粘剤および、
(e)水
を含有することを特徴とする、工業用抗菌・防カビ・防藻剤。
2.成分(c)が、有機溶媒群(C)より選ばれる1種以上の有機溶媒であることを特徴とする、1.に記載の工業用抗菌・防カビ・防藻剤。
有機溶媒群(C)は、下記の(c1)〜(c5)からなる有機溶媒群である。
(c1)式(1)で示されるグリコール
HO−(CHCHR−O)n1−H (1)
[式(1)中、Rは、水素またはメチル基を表し、n1は1〜3の整数を表す。]
(c2)炭素数4〜6の上記(c1)以外のグリコール
(c3)式(2)で示されるグリコールエーテル
O−(CHCHR−O)n2−R(2)
[式(2)中、Rは、水素またはメチル基を表し、Rは、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基を表し、Rは、水素または炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基を表し、n2は1〜3の整数を表す。]
(c4)式(1)で示されるグリコールと炭酸とのエステル
(c5)式(2)で示されるグリコールエーテルと酢酸とのエステル
3.成分(c)が、有機溶媒群(C’)より選ばれる1種以上の有機溶媒であることを特徴とする1.または2.に記載の工業用抗菌・防カビ・防藻剤。
有機溶媒群(C’)は、下記の(c’1)〜(c’5)からなる有機溶媒群である。
(c’1)エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール
(c’2)1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール
(c’3)ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル
(c’4)プロピレンカーボネート
(c’5)ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート
4.成分(a)が、亜鉛ピリチオン、銅ピリチオン、カルベンダジム、ジウロン、オキソリン酸およびシブトリンからなる群から選ばれる1種以上の抗菌・防カビ・防藻性化合物であることを特徴とする、1.〜3.のいずれかに記載の工業用抗菌・防カビ・防藻剤。
5.成分(b)が、トリクロサン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチルイソチアゾリル−3−オン、プロクロラズおよびフルシラゾールからなる群から選ばれる1種以上の抗菌・防カビ・防藻性化合物であることを特徴とする、1.〜4.のいずれかに記載の工業用抗菌・防カビ・防藻剤。
6.1.〜5.のいずれかに記載の工業用抗菌・防カビ・防藻剤を含有する、工業製品。
7.1.〜5.のいずれかに記載の工業用抗菌・防カビ・防藻剤を、工業用材料に適用する工業用材料の抗菌・防カビ・防藻方法。
本発明の工業用抗菌・防カビ・防藻剤は、保存安定性に優れるので長期保存後においても、優れた抗菌・防カビ・防藻活性を安定に発現するため、各種の工業製品に適用することができる。例えば、屋内外の塗料、ゴム、繊維、樹脂、プラスチック、接着剤、目地剤、シーリング剤、建材、コーキング剤、土壌処理剤、木材処理剤、製紙工程における白水、パルプ、ウェットパルプ、顔料、印刷版用処理液、冷却用水、インキ、切削油、化粧用品、不織布、紡糸油、皮革などに、抗菌・防カビ・防藻活性を発現する添加剤として、使用することができる。
以下、本発明の工業用抗菌・防カビ・防藻剤および、工業用材料の抗菌・防カビ・防藻方法について詳細に説明する。
なお、本発明における抗菌・防カビ・防藻剤とは、工業製品や工業用材料等の工業用途において問題となる、細菌、カビや酵母や木材腐朽菌等の真菌および藻類に対して防除効果を発現する薬剤を意味する。
本発明の工業用抗菌・防カビ・防藻剤は、成分(a)として、融点が120℃以上であり、水溶解度が40mg/L(20℃)未満である抗菌・防カビ・防藻性化合物を含有する。
本発明の成分(a)に含まれる抗菌・防カビ・防藻性化合物としては、融点と水溶解度の要件を満たしていれば制限されず、例えば、亜鉛ピリチオン、銅ピリチオン、カルベンダジム、ジウロン、オキソリン酸およびシブトリンなどが挙げられる。
亜鉛ピリチオンは、化学名「ビス(2−ピリジルチオ)亜鉛 1,1’−ジオキサイド」であり、融点が240℃以上、水溶解度が15mg/L(20℃)の化合物である。
銅ピリチオンは、化学名「ビス(2−ピリジルチオ)銅 1,1’−ジオキサイド」であり、融点が204−250℃、水溶解度が0.1mg/L(20℃)の化合物である。
カルベンダジムは、化学名「メチル−2−ベンズイミダゾールカルバメート」であり、融点が300℃以上、水溶解度が8mg/L(20℃)の化合物である。
ジウロンは、化学名「3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア」であり、融点が159℃、水溶解度が36mg/L(25℃)の化合物である。
オキソリン酸は、化学名「5−エチル−5,8−ジヒドロ−8−オキソ−1,3−ジオキソロ[4,5−g]キノリン−7−カルボン酸」であり、融点が309〜315℃、水溶解度が0.003mg/Lの化合物である。
シブトリンは、化学名「2−メチルチオ−4−シクロプロピルアミノ−6−tert−ブチルアミノ−1,3,5−トリアジン」であり、融点が133℃、水溶解度が7mg/L(20℃)の化合物である。
本発明の成分(a)に含まれる抗菌・防カビ・防藻性化合物は、単独または併用して用いられる。
これら本発明の成分(a)の抗菌・防カビ・防藻性化合物のうち、好ましくは、亜鉛ピリチオン、カルベンダジム、オキソリン酸、シブトリンが挙げられ、さらに好ましくは、亜鉛ピリチオン、シブトリンが挙げられ、特に好ましくは亜鉛ピリチオンが挙げられる。
また、本発明の工業用抗菌・防カビ・防藻剤は、成分(a)の抗菌・防カビ・防藻性化合物を、組成物全量に対し0.1重量%〜40重量%含有させることが好ましく、1重量%〜40重量%含有させることがより好ましい。
本発明の工業用抗菌・防カビ・防藻剤は、成分(b)として、融点が40〜60℃の範囲にあり、水溶解度が50mg/L(20℃)未満である抗菌・防カビ・防藻性化合物を含有する。
本発明の成分(b)に含まれる抗菌・防カビ・防藻性化合物としては、融点と水溶解度の要件を満たしていれば制限されず、例えば、トリクロサン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチルイソチアゾリル−3−オン、プロクロラズおよびフルシラゾールなどが挙げられる。
トリクロサンは、化学名「5−クロロ−2−(2,4−ジクロロフェノキシ)フェノール」であり、融点が55−60℃、水溶解度が10mg/L(20℃)の化合物である。
化学名「4,5−ジクロロ−2−n−オクチルイソチアゾリル−3−オン」の化合物は(以下「DCOIT」と記載することもある)、融点が41℃、水溶解度が6mg/L(20℃)である。
プロクロラズは、化学名「N−プロピル−N−[2−(2,4,6−トリクロロフェノキシ)エチル]−イミダゾール−1−カルボキサミド」であり、融点が48℃、水溶解度が34mg/L(25℃)の化合物である。
フルシラゾールは、化学名「2−ビス(4−フルオロフェニル)−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルシリル)プロパン」であり、融点が46−49℃、水溶解度が40mg/L(20℃)の化合物である。
本発明の成分(b)に含まれる抗菌・防カビ・防藻性化合物は、単独または併用して用いられる。
これら本発明の成分(b)の抗菌・防カビ・防藻性化合物のうち、好ましくは、トリクロサン、DCOIT、プロクロラズが挙げられ、さらに好ましくは、トリクロサン、DCOITが挙げられ、特に好ましくはトリクロサンが挙げられる。
また、本発明の工業用抗菌・防カビ・防藻剤は、成分(b)の抗菌・防カビ・防藻性化合物を、組成物全量に対し0.1重量%〜40重量%含有させることが好ましく、1重量%〜40重量%含有させることがより好ましい。
本発明の工業用抗菌・防カビ・防藻剤は、成分(c)として、引火点が100℃以上のグリコール、グリコールエーテル、グリコールエステルから選ばれる1以上の有機溶媒を含有する。
本発明の成分(c)に含まれる有機溶媒としては、例えば、下記の(c1)〜(c5)からなる有機溶媒群などが挙げられる。
(c1)は、下記式(1)で示されるグリコールである。
HO−(CHCHR−O)n1−H (1)
[式(1)中、Rは、水素またはメチル基を表し、n1は1〜3の整数を表す。]
(c2)は、炭素数4〜6の上記(c1)以外のグリコールである。
(c3)は、下記式(2)で示されるグリコールエーテルである。
O−(CHCHR−O)n2−R(2)
[式(2)中、Rは、水素またはメチル基を表し、Rは、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基を表し、Rは、水素または炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基を表し、n2は1〜3の整数を表す。]
(c4)は、上記式(1)で示されるグリコールと炭酸とのエステルである。
(c5)は、上記式(2)で示されるグリコールエーテルと酢酸とのエステルである。
さらに、本発明の成分(c)に含まれる有機溶媒を詳細に説明すると、例えば、下記の(c’1)〜(c’5)からなる有機溶媒群などが挙げられる。なお、括弧内の数値は引火点を表す。
(c’1)としては、エチレングリコール(119℃)、プロピレングリコール(107℃)、ジエチレングリコール(143℃)、ジプロピレングリコール(132℃)、トリプロピレングリコール(146℃)などが挙げられる。
(c’2)としては、1,4−ブタンジオール(138℃)、1,2−ブタンジオール(110℃)、1,5−ペンタンジオール(133℃)、1,6−ヘキサンジオール(130℃)などが挙げられる。
(c’3)としては、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(105℃)、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(101℃)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(120℃)、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル(112℃)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(139℃)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(156℃)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(123℃)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(113℃)などが挙げられる。
(c’4)としては、プロピレンカーボネート(132℃)などが挙げられる。
(c’5)としては、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(106℃)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(102℃)などが挙げられる。
また、この他にも、本発明の成分(c)に含まれる有機溶媒として、エチレングリコールモノヘキシルエーテル(102℃)、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル(114℃)、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(141℃)、ジエチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル(151℃)、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル(108℃)、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(117℃)、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル(138℃)、ジエチレングリコールジブチルエーテル(122℃)などの有機溶媒を挙げることもできる。
本発明の成分(c)に含まれる有機溶剤は、1種または2種以上を併用して用いられる。
これら本発明の成分(c)の有機溶媒のうち、好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレンカーボネート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートが挙げられ、さらに好ましくは、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレンカーボネートが挙げられ、特に好ましくはジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテルが挙げられる。
また、本発明の工業用抗菌・防カビ・防藻剤は、成分(c)の有機溶媒を、組成物全量に対し5重量%〜80重量%含有させることが好ましく、10重量%〜70重量%含有させることがより好ましい。
本発明の工業用抗菌・防カビ・防藻剤は、成分(d)として、アルカリ膨潤型増粘剤を含有する。ここで、アルカリ膨潤型増粘剤は、酸価の高い共重合体をアルカリ中和により膨潤させることで製剤粘度を増加させる働きを有するものを意味する。
本発明の成分(d)としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸系増粘剤が挙げられる。
ポリ(メタ)アクリル酸系増粘剤としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸−ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体(アクリル酸系共重合体)などが挙げられる。また、ポリ(メタ)アクリル酸系増粘剤として、上記したポリ(メタ)アクリル酸が予め中和された中和物、すなわち、ポリ(メタ)アクリル酸塩なども挙げられる。ポリ(メタ)アクリル酸塩としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム、ポリ(メタ)アクリル酸カリウムなどが挙げられる。また、ポリ(メタ)アクリル酸系増粘剤として、例えば、カルボキシル基の一部が、スチレン基、アルキル基などの疎水基によって変性された疎水基変性ポリアクリル酸なども挙げられる。
本発明の成分(d)のアルカリ膨潤型増粘剤は、市販品を用いることができ、具体的には、例えば、プライマルASE−60、プライマルASE−75、プライマルASE−95、プライマルASE−108、プライマルTT−615、プライマルTT−935、プライマルRM−5、プライマルRM−7(以上ローム・アンド・ハース社製)、ゾーゲン100、ゾーゲン150、ゾーゲン200、ゾーゲン250、ゾーゲン350(以上第一工業製薬社製)、SNシックナーA−815、SNシックナーA−818、SNシックナーA−850、SNシックナー630、SNシックナー636、SNシックナー640(以上サンノプコ社製)、RHEOVIS CR(一方社油脂社製)、アロンB−300K、アロンB−500、アロンA−7070(以上東亞合成社製)、チクゾールK−150B(共栄社化学社製)、アクリセットWR−503A、アクリセットWR−650(以上日本触媒社製)、モビニールLDM7010(日本合成化学社製)などが挙げられる。中でも、保存安定性の観点からプライマルTT−615やプライマルRM−7が好ましい。
また、本発明の工業用抗菌・防カビ・防藻剤は、成分(d)のアルカリ膨潤型増粘剤を、組成物全量に対し0.1重量%〜20重量%含有させることが好ましく、0.5重量%〜5重量%含有させることがより好ましい。
本発明の工業用抗菌・防カビ・防藻剤は、成分(e)として、水を含有する。使用できる水としては、水道水、精製水、イオン交換水、蒸留水などが挙げられる。これらのうち、安定性や経済性の面から、精製水やイオン交換水が好ましい。
また、本発明の工業用抗菌・防カビ・防藻剤は、成分(e)の水を、組成物全量に対し1量%〜50重量%含有させることが好ましく、5重量%〜20重量%含有させることがより好ましい。
本発明の工業用抗菌・防カビ・防藻剤は、必要により種々の添加剤、例えば、酸化防止剤や紫外線吸収剤などの安定化剤;結合剤;被膜形成能を有する樹脂;乳化剤、分散剤、展着剤、湿潤剤、浸透剤;増粘剤;流動助剤;固結防止剤;凝集剤;紫外線散乱剤;水分除去剤;着色剤;消泡剤;pH調整剤などを含んでいてもよい。
酸化防止剤としては、例えば、4,4’−チオビス−6−t−ブチル−3−メチルフェノール、ブチル化ヒドロキシアニソール(2−t−ブチル−4−メトキシフェノールと3−t−ブチル−4−メトキシフェノールの混合物)、p−オクチルフェノール、モノ(またはジまたはトリ)−(α−メチルベンジル)フェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)、ペンタエリスリチル テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)]プロピオネートなどのフェノール系酸化防止剤;N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミンなどのアミン系酸化防止剤、2,5−ジ(t−アミル)ヒドロキノリンなどのヒドロキノリン系酸化防止剤;ジラウリルチオジプロピオネートなどの硫黄系酸化防止剤;トリフェニルホスファイトなどのリン系酸化防止剤などが例示できる。
紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−n−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系化合物;2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物;サリチル酸フェニル、p−t−ブチルフェニルサリシレートなどのサリチル酸系化合物;2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸2−エチルヘキシル、2−エトキシ−2’−エチルシュウ酸ビスアニリド、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物などが挙げられる。
結合剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、デキストリン、アルファ化デンプン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、リグニンスルホン酸ナトリウム、リグニンスルホン酸カリウムなどが例示できる。
被膜形成能を有する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、スチレン系樹脂、フッ素樹脂、塩素化ポリオレフィン、アルキド樹脂、ポリアミド、ポリエステルなどの熱可塑性樹脂;フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フラン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂などが例示できる。
乳化剤、分散剤、展着剤、湿潤剤、浸透剤としては、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤などの慣用の界面活性剤が使用できる。アニオン系界面活性剤には、例えば、金属石鹸類、硫酸アルキルナトリウムなどの硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム[例えば、竹本油脂(株)製、商品名ニューカルゲンBX−C]などのアルキルナフタレンスルホン酸塩、2−スルホコハク酸ジアルキルナトリウム[例えば、第一工業製薬(株)製、商品名ネオコールSW−C]などの2−スルホコハク酸ジアルキル塩、ポリカルボン酸型界面活性剤[例えば、三洋化成工業(株)製、商品名トキサノンGR−30]、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテルサルフェートアンモニウム塩[例えば、第一工業製薬(株)製、商品名ディクスゾール60A]、リグニンスルホン酸ナトリウム、リグニンスルホン酸カリウムなどが例示できる。ノニオン系界面活性剤には、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル[例えば、第一工業製薬(株)製、商品名ノイゲン(EA−142)]、ポリオキシエチレンアリールエーテル、脂肪酸多価アルコールエステル、脂肪酸多価アルコールポリオキシエチレン、ショ糖脂肪酸エステル、酸化エチレンと酸化プロピレンとのブロック共重合体[例えば、三洋化成工業(株)製、商品名ニューポールPE−64]などが例示できる。
本発明の成分(d)のアルカリ膨潤型増粘剤の他に増粘剤を必要に応じて配合することができ、具体的には、ポリビニルアルコール、キサンタンガム、層状ベントナイトなどが例示できる。また、流動助剤として、PAP助剤(例えば、イソプロピルリン酸)、ワックス、ポリエチレン、脂肪酸金属塩、パラフィン、シリコーンオイルなどの有機滑剤、タルクなどの無機滑剤が例示できる。固結防止剤として、例えば、ホワイトカーボン、ケイソウ土、ステアリン酸マグネシウム、酸化アルミニウム、二酸化チタンなどが挙げられる。凝集剤としては、例えば、流動パラフィン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、イソブチレン重合体[例えば、出光興産(株)製、商品名IPソルベント−2835]などが挙げられる。紫外線散乱剤としては、二酸化チタンなどが例示できる。水分除去剤としては、無水石膏、シリカゲル粉末などの乾燥剤などが挙げられる。着色剤には、例えば、有機又は無機顔料や染料が含まれる。消泡剤としては、例えば、シリカ・シリコーン、金属石鹸、変性シリコーン、シリコーンコンパウンド、ポリエーテルなどが挙げられる。pH調整剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの水溶液、アンモニア水、アミン類などが挙げられる。
さらに、本発明の工業用抗菌・防カビ・防藻剤は、公知の防腐防カビ剤、防虫剤、害虫忌避剤、昆虫成長制御剤、効力増強剤を含んでいてもよい。
本発明の工業用抗菌・防カビ・防藻剤は、その製造方法によって、特に制限されない。本発明の工業用抗菌・防カビ・防藻剤は、例えば、成分(a)、成分(b)、成分(c)、成分(d)、成分(e)を順不同に混合することによって得ることができる。また、必要ならば添加剤を用いて成分(a)と成分(e)を含有する水懸濁液を得、この水懸濁液と、成分(b)を成分(c)に溶解させた溶液とを混合し、更に成分(d)を混合することによっても得ることができる。製剤安定性の観点から後者の製造方法がより好ましい。
本発明の工業用抗菌・防カビ・防藻剤の防除対象となる細菌、カビや酵母や木材腐朽菌等の真菌、藻類は、特に限定されない。
細菌としては、例えば、枯草菌、黄色ブドウ球菌等が挙げられる。
また、カビとしては、例えば、アブシジア(Absidia)属、ムコール(Mucor)属、リゾプス(Rhizopus)属などの接合菌類、例えば、ケトミウム(Chaetomium)属、ユーロチウム(Eurotium)属、ニューロスポラ(Neurospora)属、サッカロミセス(Saccharomyces)属などの子嚢菌類、例えば、アクレモニウム(Acremonium)属、アルタナリア(Alternaria)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、アウレオバシジウム(Aureobasidium)属、クラドスポリウム(Cladosporium)属、フザリウム(Fusarium)属、ペニシリウム(Penicillium)属、フォーマ(Phoma)属、トリコデルマ(Trichoderma)属、ロドトルラ(Rhodotorula)属、カンジダ(Candida)属、トリコフィトン(Trichophyton)属などの不完全菌類などが挙げられる。
また、酵母としては、例えば、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)属、プロトミセス(Protomyces)属、タフリナ(Taphrina)属等の原生子嚢菌類;エンドミセス(Endomyces)属等の真正子嚢菌類;サッカロミセス(Saccharomyces)属等の半子嚢菌類;カンジダ(Candida)属等の子嚢菌酵母の不完全型;フィロバシディエラ(Filobasidiella)属等の異型担子菌類;ロドトルラ(Rhodotorula)属、トリコスポロン(Trichosporon)属、スポロボロミセス(Sporobolomyces)属等の担子菌酵母の不完全型;ロドスポリディウム(Rhodosporidium)属、スポリディオボルス(Sporidiobolus)属、キサントフィロミセス(Xanthophyllomyces)属等の担子菌酵母などが挙げられる。
また、木材腐朽菌としては、例えば、コニオフォラ(Coniophora)属、トラメテス(Trametes)属、ポスティア(Postia)属、ポリア(Poria)属、グロエオフィリウム(Gloeophyllum)属、レンティナス(Lentinus)属、パクシラス(Paxillus)属、フォミトプシス(Fomitopsis)属、プレウロタス(Pleurotus)属、ドンキオポリア(Donkioporia)属、セルプウラ(Serpula)属、グレノスポラ(Glenospora)属、ペレニポリア(Perenniporia)属、アントロディア(Antrodia)属などの担子菌類などが挙げられる。
藻類としては、藍色植物門、紅色植物門、クリプト植物門、褐色植物門、ミドリムシ植物門、プラシノ植物亜門および緑藻植物亜門に属する藻類(例えば、藍藻類、ミドリムシ藻類、緑藻類、珪藻類、プラシノ藻類などの綱に属する藻類)が挙げられる。
藍藻類としては、例えば、オシラトリア(Oscillatoria)属に属する藻類(例えば、オシラトリア・ネグレクタ(Oscillatoria neglecta、藍藻網)など)が例示できる。ミドリムシ藻類としては、例えば、ユーグレナ(Euglenaceae)属に属する藻類(例えば、ユーグレナ・グラシリス(Euglena gracilis、ユーグレナ網)など)などが挙げられる。
緑藻類としては、例えば、クラミドモナス(Chlamydomonas)属に属する藻類(例えば、クラミドモナス・レインハルドティー(Chlamydomonas reinhardtii、緑藻網)、クラミドモナス・プルサティラ(Chlamydomonas pulsatilla、緑藻網)など)、クロレラ(Chlorella)属に属する藻類(例えば、クロレラ・ヴルガリス(Chlorella vulgaris、トレボキシア藻網)、クロレラ・エスピー(Chlorella sp. 、トレボキシア藻網)など)、ウロスリックス(Ulothrix)属に属する藻類(例えば、ウロスリックス・ヴァリアビリス(Ulothrix variabilis、アオサ藻網)など)が例示できる。プラシノ藻類としては、モノマスティックス(Monomastix)属に属する藻類(例えば、モノマスティックス・ミニュータ(Monomastix minuta、プラシノ藻網)など)などが挙げられる。
珪藻類としては、タベラリア(Tabellaria)属に属する藻類(例えば、タベラリア・フロキュローサ(Tabellaria flocculosa、珪藻網)など)、メロシラ(Melosira)属に属する藻類(例えば、メロシラ・グラニュラータ(Melosira granulata、珪藻網)など)などが挙げられる。
本発明の工業用抗菌・防カビ・防藻剤は、製紙パルプ工場、冷却水循環工程等の種々の産業用水や、切削油などの金属加工用油剤、パルプ、ウェットパルプ、塗工紙、紙用塗工液、塗料、接着剤、カゼイン、澱粉糊、にかわ、合成ゴムラテックス、エマルション、印刷インキ、ポリビニルアルコールフィルム、塩化ビニルフィルム、プラスチック製品、セメント混和剤、シーリング剤、目地材、消臭剤、繊維、皮革製品、フィルター等の各種工業製品の有害微生物の防除の用途において有効に用いることができる。より具体的には、製紙パルプ工場や冷却水循環工程等におけるスライムコントロール剤、紙製品、樹脂製品等の抗菌・防カビ剤、塗料、合成ゴムラテックス、樹脂、インキ、シリコーンシーリング剤等の抗菌・防カビ剤などとして有用である。
本発明の工業用抗菌・防カビ・防藻剤は、適用対象、防除の対象となる微生物の種類(細菌類、カビ類、酵母、木材腐朽菌)や防除期間に応じて、添加量を適宜選択すればよいが、たとえば、スライムコントロール剤として用いる場合には、製品1kgあたりに対し抗菌性成分の総量として0.1mg〜500mg、好ましくは、0.5mg〜100mg、防腐剤として用いる場合には、製品1kgあたりに対し抗菌性成分の総量として1mg〜5,000mg、好ましくは、10mg〜1,000mg、抗カビ・抗酵母剤として用いる場合には、製品1kgあたりに対し抗菌性成分の総量として10mg〜50,000mg、好ましくは、100mg〜10,000mgとなるように添加すればよい。
以下、製剤例および試験例等により、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、これらの例に限定されるものではない。
本発明の工業用抗菌・防カビ・防藻剤が、保存安定性に優れ、安定した抗菌・防カビ・防藻活性が得られることを試験例に示す。
(1)工業用抗菌・防カビ・防藻剤の製造方法
<実施例1>
脱イオン水10.3g、ペレックスSS−L4.0gおよびノプコDF−122−NS1.0gを200mLの容器に取り、撹拌しながら亜鉛ピリチオン10.0gを加え、更に1時間撹拌した。得られた混合液を、ビーズミル分散機を用いて亜鉛ピリチオン分散液とした。別途、ジエチレングリコール60.0gを200mLの容器に取り、トリクロサン10.0gを加えて撹拌溶解し、トリクロサン溶液を得た。上記亜鉛ピリチオン分散液にトリクロサン溶液を加え、撹拌しながらTT−615 2.0gと1N−水酸化ナトリウム水溶液2.7gを加えて、実施例1の工業用抗菌・防カビ・防藻剤を得た。
実施例2〜7、比較例1は、下記表1に示した組成で、実施例1と同様にして、工業用抗菌・防カビ・防藻剤を調製した。
<比較例2>
脱イオン水74.0g、ペレックスSS−L4.0gおよびノプコDF−122−NS1.0gを200mLの容器に取り、撹拌しながら亜鉛ピリチオン10.0gおよびトリクロサン10.0gを加え、更に1時間撹拌した。得られた混合液を、ビーズミル分散機を用いて、亜鉛ピリチオン・トリクロサン分散液とした。この亜鉛ピリチオン・トリクロサン分散液に、撹拌しながらケルザン1.0gを加えて、比較例2の工業用抗菌・防カビ・防藻剤を得た。
実施例1〜7、比較例1〜2の工業用抗菌・防カビ・防藻剤の組成を表1に示す。
(2)保存安定性の評価方法
1.室温(20℃)静置での保存安定性の評価方法
実施例1〜7および比較例1〜2の工業用抗菌・防カビ・防藻剤50gを50mLのガラス瓶に入れ、密栓後、工業用抗菌・防カビ・防藻剤の層高(Ha)を測定し、室温(20℃)に静置した。
7日後、ガラス瓶中の工業用抗菌・防カビ・防藻剤に生じた層分離の上澄み層の層高(Hb)を測定し、層分離した割合を下記式により算出した。
層分離(%)=Hb/Ha×100
すなわち、層分離(%)は、数値が小さい方が室温(20℃)静置での保存安定性に優れることを意味している。
2.60℃保管後放冷での保存安定性の評価方法
実施例1〜7および比較例1〜2の工業用抗菌・防カビ・防藻剤50gを50mLのガラス瓶に入れ、密栓後、60℃の恒温機内に静置した。24時間後、室温(20℃)にて放冷し、薬匙を用いて撹拌した工業用抗菌・防カビ・防藻剤の状態を目視により評価した。表1には、均一な懸濁状態の場合は「均一」と、凝集物が生成し均一な懸濁状態では無い場合は「凝集物」と表した。
実施例1〜7、比較例1〜2の工業用抗菌・防カビ・防藻剤の、室温(20℃)静置での保存安定性と、60℃保管後放冷での保存安定性の評価結果を表1に示した。
Figure 2018008897
表1中の実施例および比較例の組成物の調製に際して、以下の化合物を使用した。
「亜鉛ピリチオン」:ZHEJIANG REGEN CHEMICAL社製「Zinc Pyrithione」
「シブトリン」:日本曹達社製「DP−2159」
「トリクロサン」:湖北祥雲集団化工股▲ふん▼社製「GERMICIDE−CA」
「DEG」:ジエチレングリコール、三菱化学社製
「TT−615」:ローム・アンド・ハース社製「プライマルTT−615」
「ASE−95」:ローム・アンド・ハース社製「プライマルASE−95」
「RM−7」:ローム・アンド・ハース社製「プライマルRM−7」
「ケルザン」:キサンタンガム、三晶社製「KELZAN」
「ペレックスSS−L」:アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸ナトリウム、花王社製
「ノプコDF−122−NS」:金属石鹸系消泡剤、サンノプコ社製
「1N−NaOH」:和光純薬社製「1mol/l 水酸化ナトリウム溶液」
「35%NaOH」:和光純薬社製「水酸化ナトリウム」35.0gを脱イオン水65.0gに溶解
表1より明らかなように、本発明の工業用抗菌・防カビ・防藻剤は、成分(d)のアルカリ膨潤型増粘剤を含有することにより、キサンタンガム等の一般的な増粘剤のみを含有する工業用抗菌・防カビ・防藻剤(比較例1)に比べ、保存安定性に優れる製剤とし得ることが明らかとなった。
また、本発明の工業用抗菌・防カビ・防藻剤は、成分(c)の有機溶媒と成分(d)のアルカリ膨潤型増粘剤を併用することにより、成分(b)の抗菌・防カビ・防藻性化合物の融点以上の温度下に置かれ、後に放冷されるような保存環境下にあっても、比較例2のように凝集物が生成することがなく、保存安定性に優れることも明らかとなった。
(3)抗菌・防カビ・防藻活性の評価
(3−1)抗菌性(抗細菌)の試験方法
実施例1、7の工業用抗菌・防カビ・防藻剤を、グルコースブイヨン培地(pH6.0)にそれぞれ添加し、その後、ミクロプランター((株)佐久間製作所製)を用いて、表2に記載の細菌を含有する細菌懸濁液を接種して、33℃で18時間培養した。その後、培養後の細菌の生育を観察して、最小発育阻止濃度(MIC:μg/mL)をそれぞれ算出した。
(3−2)抗菌性(抗カビ、抗酵母)の試験方法
実施例1、7の工業用抗菌・防カビ・防藻剤を、グルコースブイヨン培地(pH6.0)にそれぞれ添加し、その後、ミクロプランター((株)佐久間製作所製)を用いて、表2に記載のカビ、酵母を含有するカビ懸濁液および酵母懸濁液を接種して、33℃で18時間、次いで28℃で2日間培養した。その後、培養後の各菌の生育を観察して、最小発育阻止濃度(MIC:μg/mL)をそれぞれ算出した。
(3−3)防藻性の試験方法
実施例1、7の工業用抗菌・防カビ・防藻剤を、それぞれアレン改変培地(pH8.0)に添加し、その後、ミクロプランター((株)佐久間製作所製)を用いて、表2に記載の藻類を含有する藻類懸濁液を接種して、照度2500Lxで、1日当たり16時間の照射条件下、23℃で30日間培養した。その後、培養後の藻類の生育を観察して、最小発育阻止濃度(MIC:μg/mL)をそれぞれ算出した。
実施例1、7の工業用抗菌・防カビ・防藻剤について、その抗菌・抗カビ・防藻活性評価結果を表2に示した。
Figure 2018008897
表2中、抗菌性(抗細菌、抗カビ、抗酵母)試験において使用した細菌、カビ、酵母および藻類の詳細を以下に説明する。
<細菌>
枯草菌:Bacillus subtilis
黄色ブドウ球菌:Staphylococcus aureus
大腸菌:Escherichia coli
<カビ>
ペニシリウム・シトリナム:Penicillium citrinum
クラドスポリウム・クラドスポリオイデス:Cladosporium cladosporioides
アウレオバシジウム・プルランス:Aureobasidium pullulans
アルタナリア属:Alternaria sp.
ムコール・スピネッセンス:Mucor spinescens
<酵母>
ロドトルラ・ルブラ:Rhodotorula rubra
<藍藻>
アナベナ・バリアビリス:Anabaena variabilis
オシラトリア・ネグレクタ:Oscillatoria neglecta
フォルミジウム・ラモスム:Phormidium ramosum
<緑藻>
クラミドモナス・レインハルドティー:Chlamydomonas reinhardtii
クロロコックム・エチノジゴツム:Chlorococcum echinozygotum
クロレラ属:Chlorella sp.
クロレラ・ヴルガリス:Chlorella vulgaris
デスモデスモス属:Desmodesmus sp.
クレブソルミディウム・フラシズム:Klebsormidium flaccidum
プレウロコックス属:Pleurococcus sp.
表2より明らかなように、本発明の工業用抗菌・防カビ・防藻剤は、成分(a)と成分(b)を含有することにより、スペクトラムが広く、安定した抗菌・防カビ・防藻活性が得られることが確認された。これは、本発明の工業用抗菌・防カビ・防藻剤が、成分(c)の有機溶媒と成分(d)のアルカリ膨潤型増粘剤を含有することにより、製剤安定性に優れるため、成分(a)、成分(b)それぞれが有する抗菌・防カビ・防藻活性が十分に発揮されることによるものである。本発明の工業用抗菌・防カビ・防藻剤は、製剤安定性および保存安定性に優れることは、表1より明らかであり、これにより、本発明の工業用抗菌・防カビ・防藻剤は、長期保存後においても安定した抗菌・防カビ・防藻活性が得られるものである。
本発明は、特定の融点および水溶解度を有する2つの抗菌・防カビ・防藻性化合物を含有する工業用抗菌・防カビ・防藻剤について、保存安定性に優れる製剤組成を明らかにするものである。
特に、融点が40〜60℃の低融点化合物を含有する本発明の工業用抗菌・防カビ・防藻剤は、60℃以上の環境下に置かれた後放冷される様な環境下に保存されても、有効成分が凝集することなく、安定な製剤状態を維持することができるものであり、このことは、本発明の成分(c)の有機溶媒と成分(d)のアルカリ膨潤型増粘剤を併用することにより達成できることを初めて明らかにするものである。
さらに、本発明の工業用抗菌・防カビ・防藻剤を処理することにより、有害な微生物から工業用材料を効率よく保護することができるため、工業用材料を保存するためにも非常に有用である。

Claims (7)

  1. (a)融点が120℃以上であり、水溶解度が40mg/L(20℃)未満である抗菌・防カビ・防藻性化合物、
    (b)融点が40〜60℃の範囲にあり、水溶解度が50mg/L(20℃)未満である抗菌・防カビ・防藻性化合物、
    (c)引火点が100℃以上のグリコール、グリコールエーテル、グリコールエステルから選ばれる1以上の有機溶媒、
    (d)アルカリ膨潤型増粘剤および、
    (e)水
    を含有することを特徴とする、工業用抗菌・防カビ・防藻剤。
  2. 成分(c)が、有機溶媒群(C)より選ばれる1種以上の有機溶媒であることを特徴とする、請求項1に記載の工業用抗菌・防カビ・防藻剤。
    有機溶媒群(C)は、下記の(c1)〜(c5)からなる有機溶媒群である。
    (c1)式(1)で示されるグリコール
    HO−(CHCHR−O)n1−H (1)
    [式(1)中、Rは、水素またはメチル基を表し、n1は1〜3の整数を表す。]
    (c2)炭素数4〜6の上記(c1)以外のグリコール
    (c3)式(2)で示されるグリコールエーテル
    O−(CHCHR−O)n2−R(2)
    [式(2)中、Rは、水素またはメチル基を表し、Rは、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基を表し、Rは、水素または炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基を表し、n2は1〜3の整数を表す。]
    (c4)式(1)で示されるグリコールと炭酸とのエステル
    (c5)式(2)で示されるグリコールエーテルと酢酸とのエステル
  3. 成分(c)が、有機溶媒群(C’)より選ばれる1種以上の有機溶媒であることを特徴とする請求項1または2に記載の工業用抗菌・防カビ・防藻剤。
    有機溶媒群(C’)は、下記の(c’1)〜(c’5)からなる有機溶媒群である。
    (c’1)エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール
    (c’2)1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール
    (c’3)ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル
    (c’4)プロピレンカーボネート
    (c’5)ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート
  4. 成分(a)が、亜鉛ピリチオン、銅ピリチオン、カルベンダジム、ジウロン、オキソリン酸およびシブトリンからなる群から選ばれる1種以上の抗菌・防カビ・防藻性化合物であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の工業用抗菌・防カビ・防藻剤。
  5. 成分(b)が、トリクロサン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチルイソチアゾリル−3−オン、プロクロラズおよびフルシラゾールからなる群から選ばれる1種以上の抗菌・防カビ・防藻性化合物であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の工業用抗菌・防カビ・防藻剤。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の工業用抗菌・防カビ・防藻剤を含有する、工業製品。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の工業用抗菌・防カビ・防藻剤を、工業用材料に適用する工業用材料の抗菌・防カビ・防藻方法。
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