JP2018008016A - ゴルフクラブヘッドおよびゴルフクラブ - Google Patents

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紀彦 中原
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紀彦 中原
康守 高橋
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康守 高橋
吉暁 福原
Yoshiaki Fukuhara
吉暁 福原
真司 勇
Shinji Isamu
真司 勇
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【課題】初速および飛距離の向上を図りつつ打ち出したボールの方向のばらつきを抑制する。【解決手段】打球時、ゴルフボールがフェース部14に当接した際に第1傾斜面1602と稜線の近傍の第2傾斜面1604の箇所が稜線RLを上昇させるように撓むことでフェース部14がフェースバック側にたわみ、ゴルフボールがフェース部14から離れる際に、第1傾斜面1602と稜線RLの近傍の第2傾斜面1604の箇所が稜線RLと共に元の位置に復帰することでフェース部14が元の位置に復帰する。【選択図】図13

Description

本発明はゴルフクラブヘッドおよびゴルフクラブに関する。
ゴルフクラブヘッドでボールを打球した際のボールの初速を向上させ、飛距離を改善するためには、フェース部のたわみ量を如何にして確保するかが重要である。
特許文献1には、クラウン部に膨出部を形成し、膨出部のフェース部に対する第1の接続角度α、膨出部のクラウン部に対する第2の接続角度β、膨出部の高さH、膨出部の幅Wを規定したゴルフクラブヘッドが提案されている。
このゴルフクラブヘッドによれば、膨出部の変形量を確保することで、フェース部のたわみ量を確保し、ボールの初速を向上させ、飛距離を改善している。
特許第5882522号公報
しかしながら、上記のゴルフクラブヘッドは、クラウン部に上方に突出する膨出部が形成されていることから、膨出部の形状が目立ちやすい。そのため、ゴルフクラブヘッドのフェース面を目標点に向けて構える際に違和感を感じるゴルファーもいる。
そのため、ゴルファーがゴルフクラブを構える際にボールに対するゴルクラブヘッドのフェース面の方向がばらつき、その結果、ゴルクラブヘッドで打ち出したボールの方向が安定しないことが懸念される。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、初速および飛距離の向上を図りつつ、構えやすく打ち出したボールの方向のばらつきを抑制する上で有利なゴルフクラブヘッドおよびゴルフクラブを提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、上下の高さを有して左右に延在するフェース部と、前記フェース部の上部から後方に延在するクラウン部と、前記フェース部の下部から後方に延在するソール部と、前記クラウン部と前記ソール部の間で前記フェース部のトウ側縁とヒール側縁との間をフェースバックを通って延在するサイド部とを含むヘッド本体を備え、それらフェース部とクラウン部とソール部とサイド部とで囲まれた内部が中空部であるゴルフクラブヘッドであって、前記フェース部寄りの前記クラウン部上に、前記フェース部の上部から上方に変位しつつ後方に延在する第1傾斜面と、前記第1傾斜面の後端に続き下方に変位しつつ後方に延在する第2傾斜面とが形成されることで、それら第1傾斜面と第2傾斜面との境の箇所にトウヒール方向に延在する稜線が形成され、前記ゴルフクラブヘッドによるゴルフボールの打球時、前記ゴルフボールが前記フェース部に当接した際に前記第1傾斜面と前記稜線の近傍の前記第2傾斜面の箇所が前記稜線を上昇させるように撓むことで前記フェース部が前記フェースバック側にたわみ、前記ゴルフボールが前記フェース部から離れる際に、前記第1傾斜面と前記稜線の近傍の前記第2傾斜面の箇所が前記稜線と共に元の位置に復帰することで前記フェース部が元の位置に復帰することを特徴とする。
請求項1、7記載の発明によれば、フェース部寄りのクラウン部上に形成された第1傾斜面と第2傾斜面との境の箇所にトウヒール方向に延在する稜線が形成され、ゴルフクラブヘッドによるゴルフボールの打球時、ゴルフボールがフェース部に当接した際に第1傾斜面と稜線の近傍の第2傾斜面の箇所が稜線を上昇させるように撓むことでフェース部がフェースバック側にたわみ、ゴルフボールがフェース部から離れる際に、第1傾斜面と稜線の近傍の第2傾斜面の箇所が稜線と共に元の位置に復帰することでフェース部が元の位置に復帰するようにした。
したがって、打球時に変曲点H(稜線)を含むクラウン部の部分に応力が集中することでフェース部寄りのクラウン部の変形量を大きく確保でき、フェース部のたわみ量が増加するため、反発係数を高くすると共に、打ち出し角を大きくできるので、初速および飛距離の向上を図る上で有利となる。
また、大きく変形した状態から元の位置に戻ろうとするクラウン部の復元力を最大限利用できるので、初速および飛距離の向上を図る上でより有利となる。
また、クラウン面にトウヒール方向に延在する稜線が視認されるため、ゴルフクラブヘッドのフェース面を目標点に向けて構える際の違和感が無く構えやすくなることから、打ち出したボールの方向のばらつきを抑制する上で有利となる。
請求項2〜6記載の発明によれば、請求項1の効果を高める上で有利となる。
実施の形態に係るゴルフクラブヘッドをフェース面の前方から見た正面図である。 図1のA矢視図である。 図1のB矢視図である。 図3のC矢視図である。 フェース面の中心点Pcの規定方法を示す第1の説明図である。 フェース面の中心点Pcの規定方法を示す第2の説明図である。 フェース面の中心点Pcの規定方法を示す第3の説明図である。 フェース面の中心点Pcの規定方法を示す第4の説明図である。 ゴルフクラブヘッドの重心点G0とフェース面上重心点FGとの関係を示すゴルフクラブヘッドの断面図である。 フェース面の輪郭線Iの定義を説明するゴルフクラブヘッドの正面図である。 フェース面の輪郭線Iの定義を説明するゴルフクラブヘッドの断面図である。 フェース面の中心点Pcの定義を説明するゴルフクラブヘッドの正面図である。 図1の平面Xで破断したフェース中心基準断面Pfcの断面図であり、フェース部の上部およびクラウン部の前部を描いている。 第1境界点K1を規定するための曲率半径Rの測定方法の説明図である。 本発明が適用されたゴルフクラブヘッドを基準状態として平面視した平面図であり、(A)はドライバー、(B)はフェアウェイウッド、(C)はユーテリティを示す。 本発明が適用されたゴルフクラブヘッドのフェース中心基準断面Pfcの断面図であり、(A)はドライバー、(B)はフェアウェイウッド、(C)はユーテリティを示す。 打球前後におけるゴルフクラブヘッドの形状の変化を示すフェース中心基準断面Pfcの断面図であり、(A)は一般的なゴルフクラブヘッド、(B)は本発明のゴルフクラブヘッドを示す。 条件1におけるドライバーに関する実験例の評価結果を示す図である。 条件2におけるドライバーに関する実験例の評価結果を示す図である。 条件3におけるドライバーに関する実験例の評価結果を示す図である。 条件4におけるドライバーに関する実験例の評価結果を示す図である。 条件1におけるユーテリティに関する実験例の評価結果を示す図である。 条件2におけるユーテリティに関する実験例の評価結果を示す図である。 条件3におけるユーテリティに関する実験例の評価結果を示す図である。 条件4におけるユーテリティに関する実験例の評価結果を示す図である。
次に本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図4、図13に示すように、本実施の形態において、ゴルフクラブヘッド10は、中空のウッド型ゴルフクラブヘッド(ドライバー)であり、ヘッド本体12を含んで構成されている。
ヘッド本体12は、主に金属材料により構成される。
前記金属材料としては、例えばステンレス鋼、マルエージング鋼、純チタン、チタン合金又はアルミニウム合金等の1種又は2種以上が用いられる。
ヘッド本体12は、フェース部14と、クラウン部16と、ソール部18と、サイド部20とを備えている。
フェース部14は、上下の高さを有して左右に延在している。
クラウン部16は、フェース部14の上部から後方に延在している。
ソール部18は、フェース部14の下部から後方に延在している。
サイド部20は、クラウン部16とソール部18の間でフェース部14のトウ22側縁とヒール24側縁との間をフェースバック26を通って延在している。
ヘッド本体12は、それらフェース部14とクラウン部16とソール部18とサイド部20とで囲まれた内部が中空部28とされた中空構造を呈している。
フェース部14の外側に露出する表面がボールを打撃するフェース面14Aであり、フェース部14の中空部28に面した裏面がフェース裏面14Bとなっている。
クラウン部16の外側に露出する表面がクラウン面16Aである。
クラウン部16には、フェース面14A側でかつヒール24寄りの位置にシャフトSに接続するホーゼル30が設けられ、ホーゼル30にシャフトSが接続されることで本発明に係るゴルフクラブ100が構成される。
ソール部18の外側に露出する表面がソール面18Aであり、ソール部18の中空部28に面した裏面がソール裏面18Bとなっている。
図中、符号19はリーディングエッジを示す。
次に、フェース面14Aの中心点Pcの規定方法について説明する。
フェース面14Aの中心点Pcは、フェース面14Aの幾何学的中心であり、中心点Pcの規定方法としては以下に例示する第1の規定方法、第2の規定方法を含め従来公知のさまざまな方法が採用可能である。
[A]フェース面14Aの中心点Pcの第1の規定方法:
フェース面14Aと他のゴルフクラブヘッド10の部分との境目が明確である場合、言い換えると、フェース面14Aの周縁が稜線によって特定される場合における中心点Pcの規定方法である。この場合はフェース面14Aが明瞭に定義されることになる。
図5〜図8はフェース面14Aの中心点Pcの規定方法を示す説明図である。
(1)まず、図5に示すように、ライ角およびフェース角が規定値となるように水平面HP上にゴルフクラブヘッド10を載置する。このときのゴルフクラブヘッド10の状態を基準状態とする。なお、ライ角およびフェース角の設定値は、例えば製品カタログに記載された値である。
(2)次にクラウン部16及びソール部18を結ぶ方向における仮中心点c0を求める。
すなわち、図5に示すように、トウ22およびヒール24を結ぶ水平面HPと平行な線(以下水平線という)の概略中心点と交差する垂線f0を引く。
この垂線f0とフェース面14Aの上縁とが交差するa0点と、垂線f0とフェース面14Aの下縁とが交差するb0点の中点を仮中心点c0とする。
(3)次に図6に示すように仮中心点c0を通る水平線g0を引く。
(4)次に図7に示すように水平線g0とフェース面14Aのトウ22側の縁とが交差するd0点と、水平線g0とフェース面14Aのヒール24側の縁とが交差するe0点の中点を仮中心点c1とする。
(5)次に図8に示すように仮中心点c1を通る垂線f1を引き、この垂線f1とフェース面14Aの上縁とが交差するa1点と、垂線f1とフェース面14Aの下縁とが交差するb1点の中点を仮中心点c2とする。
ここで、仮中心点c1とc2とが合致したならばその点をフェース面14Aの中心点Pcとして規定する。
仮中心点c1とc2が合致しなければ、(2)乃至(5)の手順を繰り返す。
なお、フェース面14Aは曲面を呈しているため、水平線g0の中点、垂線f0、f1の中点を求める場合の水平線g0の長さ、垂線f0、f1の長さはフェース面14Aの曲面に沿った長さを用いるものとする。
そして、フェースセンターラインCLは、中心点Pcを通りかつトウ22−ヒール24方向と直交する方向に延在する直線で定義される。
[B]フェース面14Aの中心点Pcの第2の規定方法:
次に、フェース面14Aの周縁と他のゴルフクラブヘッド10の部分との間が曲面で接続されておりフェース面14Aが明瞭に定義できない場合の中心点Pcの定義を説明する。
図9に示すように、ゴルフクラブヘッド10は中空であり、符号G0はゴルフクラブヘッド10の重心点を示し、符号Lpは重心点G0とフェース面上重心点FGとを結ぶ直線であり、言い換えると、直線Lpは重心点G0を通るフェース面14Aの垂線である。
すなわち、ゴルフクラブヘッド10の重心点G0をフェース面14Aに投影した点がフェース面上重心点FGである。
ここで、図10に示すように、重心点G0とフェース面上重心点FGとを結ぶ直線Lpを含む多数の平面H1、H2、H3、…、Hnを考える。
ゴルフクラブヘッド10を各平面H1、H2、H3、…、Hnに沿って破断したときの断面において、図11に示されるように、ゴルフクラブヘッド10の外面の曲率半径r0を測定する。
曲率半径r0の測定に際して、フェース面14A上のフェースライン、パンチマーク等が無いものとして扱う。
曲率半径r0は、フェース面14Aの中心点Pcから外方向(図11における上方向、下方向)に向かって連続的に測定される。
そして、測定において曲率半径r0が最初に所定の値以下となる部分をフェース面14Aの周縁を表わす輪郭線Iとして定義する。
所定の値は例えば200mmである。
多数の平面H1、H2、H3、…、Hnに基づいて決定された輪郭線Iによって囲まれた領域が、図10、図11に示すように、フェース面14Aとして定義される。
次に、図12に示すように、ライ角およびフェース角が規定値となるように水平な地面上(水平面HP)にゴルフクラブヘッド10を載置する。
直線LTは、フェース面14Aのトウ側点PTを通過して鉛直方向に延在する。
直線LHは、フェース面14Aのヒール側点PHを通過して鉛直方向に延在する。
直線LCは、直線LTおよび直線LHと平行である。直線LCと直線LTとの距離は、直線LCと直線LHとの距離と等しい。
符号Puは、フェース面14Aの上側点を示し、符号Pdはフェース面14Aの下側点である。上側点Puおよび下側点Pdは、いずれも直線LCと輪郭線Iとの交点である。
中心点Pcは、上側点Puと下側点Pdとを結ぶ線分の中点で定義される。
次に、ゴルフクラブヘッド10の各部の規定について詳細に説明する。
図1〜図4に示すように、ゴルフクラブヘッド10を水平面HPに対して予め定められたライ角およびロフト角通りに設置した基準状態とする。
図1、図13に示すように、基準状態において、フェース面14Aの中心点Pcを通る法線を含みかつ水平面HPと直交する平面Xでヘッド本体12を破断した断面をフェース中心基準断面Pfcとする。言い換えると、フェース中心基準断面Pfcは、基準状態において、フェースセンターラインCLを含みかつ水平面HPと直交する平面Xでヘッド本体12を破断した断面である。
さらに、図1、図3、図4に示すように、フェース中心基準断面Pfcと平行しフェース中心基準断面Pfcからトウ方向に10mm離れた平面を第1平面Ptとする。
フェース中心基準断面Pfcと平行しフェース中心基準断面Pfcからヒール方向に10mm離れた平面を第2平面Phとする。
第1平面Ptから第2平面Phまでの範囲内でフェース中心基準断面Pfcと平行する任意の平面でヘッド本体を破断した断面をフェース基準断面Pfとする。したがって、フェース基準断面Pfはフェース中心基準断面Pfcを含む。
(第1境界点K1)
図13に示すように、第1境界点K1は、フェース基準断面Pfにおいて、フェース面14Aの上端とクラウン面16Aの前端との境界点をいう。
本実施の形態では、第1境界点K1を以下の方法で規定する。
図14に示すように、フェース基準断面Pfにおいて、中心点Pcからクラウン部16に向かって1mm間隔で3つの測定点pを規定し3つの測定点pを通る円弧の曲率半径Rを測定するとともに、この曲率半径の測定を3つの測定点pを1mmずつクラウン部16に近づく方向に向かって変位させつつ行なう操作を繰り返すことで曲率半径R(R=R1、R2、R3、……Rn−1、Rn、Rn+1、……)を順次測定する。
測定された曲率半径Rnをその直前に測定された曲率半径Rn−1で除した値が0.3未満となったときに、3つの測定点pのうちの中間の測定点pをフェース側第1規定点A1とする。
フェース側第1規定点A1よりも1mm中心点Pc寄りの測定点pをフェース側第2規定点A2とする。
フェース側第2規定点A2よりも1mm中心点Pc寄りの測定点pをフェース側第3規定点A3とする。
フェース側第1規定点A1、フェース側第2規定点A2、フェース側第3規定点A3を含む複数の測定点pを通る円弧の曲率半径でクラウン部16側に延長した曲線(円弧)を第1規定線αとする。
なお、第1規定線αを規定する複数の測定点pのうち、フェース側第2規定点A2から最もフェース面14Aの中心点Pcに近い測定点pまでの第1規定線αに沿った距離は約3mm〜15mmである。実際の中空ゴルフクラブヘッドでは、フェース基準断面Pfにおいて、上記約3mm〜15mmの範囲でフェース面14Aの曲率半径Rはほぼ一定である。
フェース基準断面Pfにおいて、クラウン部16からフェース部14に向かって1mm間隔で3つの測定点pを規定し3つの測定点pを通る円弧の曲率半径Rを測定するとともに、この曲率半径の測定を3つの測定点pを1mmずつフェース部14に近づく方向に向かって変位させつつ行なう操作を繰り返すことで曲率半径R(R=R1、R2、R3、……Rn−1、Rn、Rn+1、……)を順次測定する。
なお、クラウン部16の測定点pの始点は以下のように定めることが好ましい。
すなわち、フェース基準断面Pfにおいて、フェース側第1規定点A1を含み水平面HPと平行する平面上でフェース側第1規定点A1からフェースバック方向に30mm離れた点を通り水平面HPと直交する直線L10とクラウン面16Aとが交差する交点P10の箇所を始点するか、あるいは、交点P10よりもフェース部14寄りの箇所をクラウン部16の測定点pの始点とする。
測定された曲率半径Rnをその直前に測定された曲率半径Rn−1で除した値が0.4未満となったときに、3つの測定点pのうちの中間の測定点pをクラウン側第1規定点B1とする。
クラウン側第1規定点B1よりも1mmフェースバック寄りの測定点pをクラウン側第2規定点B2とする。
クラウン側第2規定点B2よりも1mmフェースバック寄りの測定点pをクラウン側第3規定点B3とする。
クラウン側第1規定点B1、クラウン側第2規定点B2、クラウン側第3規定点B3を含む複数の測定点pを通る円弧の曲率半径でフェース部14側に延長した曲線(円弧)を第2規定線βとする。
なお、第2規定線βを規定する複数の測定点pのうち、クラウン側第2規定点B2から最もフェース面14Aの中心点Pcから遠い測定点pまでの第2規定線βに沿った距離は約3〜15mmである。実際の中空ゴルフクラブヘッドでは、フェース基準断面Pfにおいて、上記約3mmから15mmの範囲でクラウン面16Aの曲率半径はほぼ一定である。
上記の第1規定線αと第2規定線βとの交点を第1境界点K1とする。
したがって、図14に示すように、第1境界点K1は、ゴルフクラブヘッド10の外面から外側に僅かに離れた箇所に位置している。
本実施の形態では、上述のような手順で第1境界点K1を規定したため、第1境界点K1を簡単かつ確実に定める上で有利となる。
第1境界点K1を規定するための各曲率半径を測定するためのデータ作製方法は、ゴルフクラブヘッド10をレーザースキャン等を用いて寸法測定を行うことにより、CADデータ(外面データ)を作成して、曲率半径を測定するなどすればよい。
なお、図3に示すように、基準状態で、ヘッド本体12を平面視したときに、フェース面14Aの上端とクラウン面16Aの前端との境界線Lfcが形成される。
すなわち、実際にゴルファーがアドレス時に認識するフェース面14Aの上端とクラウン面16Aの前端との境界線Lfcは、フェース側第1規定点A1とクラウン側第1規定点B1との間の箇所に位置する。また、この境界線Lfcは、外観仕上げ、特にクラウン部16の塗装の位置によってその位置を変化させることが可能である。
(フランジ角度θ1)
図13に示すように、基準状態で、フェース基準断面Pfにおいて、第1境界点K1を含み水平面HPと平行する平面HP′上で第1境界点K1からフェースバック方向に5mm離れた点を通り水平面HPと直交する直線L1とクラウン面16Aとの交点を第1交点P1とする。
フランジ角度θ1は、第1境界点K1と第1交点P1とを結ぶ直線L20が水平面HP(HP′)に対してなす角度である。
(変曲点H、曲率半径RA、稜線RL)
図13に示すように、変曲点Hは、フェース基準断面Pfにおいて、第1交点P1からフェースバック方向に離れたクラウン面16Aの箇所に形成されている。
曲率半径RAは、フェース基準断面Pfにおける変曲点Hの曲率半径であり、曲率半径RAは、第1交点P1と変曲点Hとの間に位置するクラウン面16Aの曲率半径よりも小さい値である。
図3に示すように、基準状態で、ヘッド本体12を平面視したときに、変曲点Hがトウヒール方向に連続することによりクラウン面16A上にトウヒール方向に延在する稜線RLが視認可能に形成されている。
また、基準状態で、ヘッド本体12を平面視したときに、稜線RLはその全長のうち大半の部分が境界線Lfcに対して略平行に延在している。
すなわち、図3、図13に示すように、フェース部14寄りのクラウン部16上に、フェース部14の上部から上方に変位しつつ後方に延在する第1傾斜面1602と、第1傾斜面1602の後端に続き下方に変位しつつ後方に延在する第2傾斜面1604とが形成されることで、それら第1傾斜面1602と第2傾斜面1604との境の箇所にトウヒール方向に延在する稜線RLが形成されている。
図13に示すように、フェース基準断面Pfにおいて、第1傾斜面1602は、第1交点P1と変曲点Hとの間を延在し、第2傾斜面1604は、変曲点Hからフェースバック方向に延在している。
ゴルフクラブヘッド10によるゴルフボールの打球時、ゴルフボールがフェース部14に当接した際に第1傾斜面1602と稜線RLの近傍の第2傾斜面1604の箇所が稜線RLを上昇させるように撓むことでフェース部14がフェースバック側にたわむように形成されている。
また、ゴルフボールがフェース部14から離れる際に、第1傾斜面1602と稜線RLの近傍の第2傾斜面1604の箇所が稜線RLと共に元の位置に復帰することでフェース部14が元の位置に復帰するように構成されている。
ここで、ゴルフボールがフェース部14から離れる際とは、ゴルフボールがフェース部14から離れると同時を意味し、あるいは、ゴルフボールがフェース部14から離れると略同時を意味し、要するに、大きく変形した状態から元の位置に戻ろうとするクラウン部16の復元力を最大限利用するための構成である。
(変曲点角度θ2)
図13に示すように、基準状態で、フェース基準断面Pfにおいて、変曲点Hを含み水平面HPと平行する平面HP″上で変曲点Hからフェースバック方向に5mm離れた点を通り水平面HPと直交する直線L2と、クラウン面16Aとの交点を第2交点P2とする。
変曲点角度θ2は、変曲点Hと第2交点P2とを結ぶ直線L22と水平面HP(HP″)とがなす角度である。
(第3交点P3の曲率半径RB)
図13に示すように、基準状態で、フェース基準断面Pfにおいて、変曲点Hを含み水平面HPと平行する平面HP″上で変曲点Hからフェース部14方向に1mm離れた点を通り水平面HPと直交する直線L3と、クラウン面16Aとの交点を第3交点P3とする。
第3交点P3の曲率半径をRBとする。
(ヘッド長さHL)
図1、図3に示すように、基準状態で、ヘッド本体12をフェース面14Aの前方から見たとき水平面HPに対して22.23mm上方に位置するヒール24側の箇所から最もトウ22側に位置する端部までの距離を水平面HPに投影した寸法をトウヒール方向のヘッド長さHLとする。
(ヘッド幅HW)
図3に示すように、基準状態で、フェース基準断面Pfにおいて、ヘッド本体12のリーディングエッジ19からヘッド本体12の後端までの距離を水平面HPに投影した寸法をヘッド幅HWとする。
本実施の形態によれば、打球時に稜線RLを含むクラウン部16の部分に応力が集中することでフェース部14寄りのクラウン部16の部分の変形量を大きく確保でき、これによりフェース部14のたわみ量が増加するため、反発係数を高くすると共に、打ち出し角を大きくできるので、初速および飛距離の向上を図る上で有利となる。
また、大きく変形した状態から元の位置に戻ろうとするクラウン部16の復元力を利用できるので、初速および飛距離の向上を図る上でより有利となる。
本実施の形態では、フランジ角度θ1を15°以上50°以下の値とし、フェース基準断面Pfにおいて、第1交点P1からフェースバック方向に離れたクラウン面16Aの箇所に変曲点Hを形成し、その変曲点Hの曲率半径RAは、第1交点P1と変曲点Hとの間に位置するクラウン面16Aの曲率半径よりも小さい値とした。
なお、フランジ角度θ1と曲率半径RAは、フェース中心基準断面Pfcからのフェース基準断面Pfの距離によって厳密には僅かに変化し、言い換えると、一定の範囲内で変化する。
したがって、打球時に変曲点H(稜線RL)を含むクラウン部16の部分に応力が集中することでフェース部14寄りのクラウン部16の部分の変形量を大きく確保でき、これによりフェース部14のたわみ量が増加するため、反発係数を高くすると共に、打ち出し角を大きくできるので、初速および飛距離の向上を図る上で有利となる。
フランジ角度θ1が15°未満であると、打球時に変曲点H(稜線RL)を含むクラウン部16の部分の変形量を確保する上で不利となる。
フランジ角度θ1が50°より大きいと、ゴルファーがゴルフクラブヘッドとしての形状に違和感を感じやすくなり、スイングしにくくなり、ヘッドスピードが低下し、飛距離を確保する上で不利となる。特にディープフェースになりすぎてアドレス時に違和感を感じやすくなる。また、フランジ角度θ1が50°より大きいと、第1境界点K1に対応するヘッド本体12の部分(フェース面14Aとクラウン面16Aとの境目)の強度が低下するため、ゴルフクラブヘッドの耐久性を確保する効果が低下する。
また、フランジ角度θ1が50°より大きいと、ゴルフクラブヘッド10によるゴルフボールの打球時に第1傾斜面1602と稜線RLの近傍の第2傾斜面1604の箇所が稜線RLを上昇させるように撓んだときのたわみ量が過剰となる。
なお、より好ましくはフランジ角度θ1が20°以上40°以下であり、さらに好ましくはフランジ角度θ1が25°以上35°以下である。
また、従来のようにクラウン部16に膨出部が形成されていると、膨出部の形状が目立ちやすく、ゴルフクラブヘッド10のフェース面14Aを目標点に向けて構える際に違和感を感じることから、ゴルファーによっては、ゴルフクラブ100を構える際にボールに対するゴルクラブヘッド10のフェース面14Aの方向がばらつき、その結果、ゴルクラブヘッド10で打ち出したボールの方向が安定しないことが懸念される。
これに対して本実施の形態では、基準状態で、ヘッド本体12を平面視したときに、変曲点Hがトウヒール方向に連続することによりクラウン面16A上にトウヒール方向に延在する稜線RLが視認可能に形成されている。
したがって、前後方向に間隔をおいて互いに平行する境界線Lfcと稜線RLとの2本の線が視認されるため、アイアン型のゴルフクラブヘッドのトップブレードの部分(厚み)と同様に見えることになる。
そのため、ゴルフクラブヘッド10のフェース面14Aを目標点に向けて構える際に違和感を感じにくく構えやすくなり、打ち出したボールの方向のばらつきを抑制する上で有利となる。
また、基準状態で、ヘッド本体12を平面視したときに、稜線RLは、境界線Lfcに対して平行しているため、ゴルフクラブヘッド10のフェース面14Aを目標点に向けて構える際に、より構えやくなり、打ち出したボールの方向のばらつきを抑制する上でより有利となる。
また、本実施の形態では、変曲点角度θ2を1°以上15°以下としたため、稜線RLを視認しやすくなることから、構えやすさを確保し、ゴルクラブヘッド10で打ち出したボールの方向の安定を確保する上でより有利となる。
なお、変曲点角度θ2は、フェース中心基準断面Pfcからのフェース基準断面Pfの距離によって厳密には僅かに変化し、言い換えると、一定の範囲内で変化する。
変曲点角度θ2が1°未満であると、稜線RLの視認性を確保する効果が低下する。
変曲点角度θ2が15°より大きいと、稜線RLの前後でクラウン面の高低差が大き過ぎるため、構えやすさを確保する効果が低下し、ゴルクラブヘッド10で打ち出したボールの方向の安定を確保する効果が低下する。
また、変曲点角度θ2が15°より大きいと、変曲点角度θ2が1°以上15°以下の範囲内である場合に比較して、ゴルフクラブヘッド10によるゴルフボールの打球時に第1傾斜面1602と稜線RLの近傍の第2傾斜面1604の箇所が稜線RLを上昇させるように撓むたわみ量が大きすぎるため、初速、飛距離を向上する効果が低下する。
すなわち、ゴルフボールがフェース部14から離れる際に、第1傾斜面1602と稜線RLの近傍の第2傾斜面1604の箇所およびフェース部14が元の位置に復帰しにくくなり、大きく変形した状態から元の位置に戻ろうとするクラウン部16の復元力を最大限に利用する効果が低下する。つまり、ゴルフボールがフェース部14から離れる際にヘッド本体12の変形が残ったままだと、エネルギーロスとなる。
なお、より好ましくは変曲点角度θ2が2°以上10°以下である。
また、本実施の形態では、第3交点P3の曲率半径RBに対する変曲点Hの曲率半径RAの比RA/RBを0.04以上0.35以下としたので、稜線RLを視認しやすくなるため、構えやすさを確保し、ゴルクラブヘッド10で打ち出したボールの方向のばらつきを抑制する上でより有利となる。
なお、比RA/RBは、フェース中心基準断面Pfcからのフェース基準断面Pfの距離によって厳密には僅かに変化し、言い換えると、一定の範囲内で変化する。
比RA/RBが0.04未満であると、変曲点Hの形状の変化が急激すぎることから、応力が集中しすぎるため、ゴルフクラブヘッドの耐久性を確保する効果が低下する。また、ゴルフクラブヘッド10を視認したときに形状の違和感を感じさせない効果も低下する。
比RA/RBが0.35より大きいと、稜線RLの視認性を確保する効果が低下する。
なお、より好ましくは比RA/RBが0.04以上0.25以下である。
また、本実施の形態では、図3に示すように、基準状態で、ヘッド本体12を平面視したときに、稜線RLはフェース中心基準断面Pfcと交差し、かつ、稜線RLを水平面HPに投影した稜線RLの寸法D1は、ヘッド長さHLの20%以上とした。
したがって、稜線RLを視認しやすくなるため、構えやすさを確保し、ゴルクラブヘッド10で打ち出したボールの方向のばらつきを抑制する上でより有利となる。
また、稜線RLの寸法D1がヘッド長さHLの20%未満であると、打球時における変曲点H(稜線RL)を含むクラウン部16の部分に応力が集中する効果が低下することでフェース部14寄りのクラウン部16の部分の変形量が低下し、フェース部14のたわみ量が低下するため、初速および飛距離の向上を図る効果が低下する。
なお、稜線RLの寸法D1は、好ましくはヘッド長さHLの30%以上であり、さらに好ましくは40%以上である。
また、本実施の形態では、図13に示すように、基準状態で、フェース基準断面Pfにおいて、第1境界点K1と変曲点Hとを水平面HPに投影したときの第1境界点K1から変曲点Hまでの距離D2を、ヘッド幅HW(図3参照)の5%以上15%以下とした。
なお、距離D2は、フェース中心基準断面Pfcからのフェース基準断面Pfの距離によって厳密には僅かに変化し、言い換えると、一定の範囲内で変化する。
したがって、アドレス時にゴルクラブヘッド10を平面視した場合、境界線Lfcと稜線RLとの距離D2がヘッド幅HWに対して占める割合がゴルファーに違和感を感じさせない範囲となっている。言い換えると、距離D2とヘッド幅HWとのバランスがゴルファーに違和感を感じさせない範囲となっている。
そのため、ゴルフクラブヘッド10のフェース面14Aを目標点に向けて構える際にゴルファーが違和感を感じにくいことから、ゴルフクラブ100を構えやすく、打ち出したボールの方向のばらつきを抑制する効果を高める上でより有利となる。
図15(A)〜(C)は本発明が適用されたゴルフクラブヘッドを基準状態として平面視した図であり、(A)はドライバー、(B)はフェアウェイウッド、(C)はユーテリティを示している。
図16(A)〜(C)は上記の各ゴルフクラブヘッドのフェース中心基準断面Pfcの断面図であり、(A)はドライバー、(B)はフェアウェイウッド、(C)はユーテリティを示している。なお、図16(A)〜(C)では、フェース面14A、クラウン面16Aの輪郭線のみを示している。
距離D2を、ヘッド幅HWの5%以上15%以下とすることで、ヘッドの種類に拘わらずゴルファーに違和感を感じさせにくくしていることがわかる。
なお、距離D2がヘッド幅HWの5%未満であると、境界線Lfcと稜線RLとの距離D2がヘッド幅HWに対して小さすぎるため、すなわち、稜線RLがフェース部14に近すぎるため、ゴルファーに違和感を感じさせない効果が低下する。
第1境界点K1から変曲点Hまでの距離D2がヘッド幅HWの15%より大きいと、境界線Lfcと稜線RLとの距離D2がヘッド幅HWに対して大きすぎるため、すなわち、稜線RLがフェース部14から遠すぎるため、ゴルファーに違和感を感じさせない効果が低下し、また、打球時における変曲点H(稜線RL)を含むクラウン部16の部分に応力が集中する効果が低下することでフェース部14寄りのクラウン部16の部分の変形量が低下し、フェース部14のたわみ量が低下するため、初速および飛距離の向上を図る効果が低下する。
なお、距離D2は、好ましくはヘッド幅HWの7%以上12%以下である。
また、距離D2は、5mm以上25mm以下であっても上記と同様の効果が奏される。
また、本実施の形態では、図13に示すように、基準状態で、フェース中心基準断面において、変曲点Hを含み水平面HPと平行する平面HP″上で変曲点Hからフェース部14方向に15mm離れた点を通り水平面HPと直交する直線L4とクラウン面16Aとの交点を第4交点P4としたとき、第1境界点K1から変曲点Hまでのクラウン部16の肉厚の加重平均値Δd1が、変曲点Hから第4交点P4までのクラウン部16の肉厚の加重平均値Δd2よりも大きな値であるものとした。
なお、加重平均値Δd1、加重平均値Δd2は、フェース中心基準断面Pfcからのフェース基準断面Pfの距離によって厳密には僅かに変化し、言い換えると、一定の範囲内で変化する。
ここでクラウン部16の肉厚の加重平均値は、フェース基準断面Pfの長さで重み付けされたクラウン部16の肉厚の加重平均で示される。
したがって、打球時における変曲点H(稜線RL)を含むクラウン部16の部分に応力が集中する効果を確保しつつ、耐久性の向上を図る上で有利となる。
第1境界点K1から変曲点Hまでのクラウン部16の肉厚の加重平均値Δd1が、変曲点Hから第4交点P4までのクラウン部16の肉厚の加重平均値Δd2以下であると、打球時における変曲点H(稜線RL)を含むクラウン部16の部分に応力が集中する効果が低下し、耐久性の向上を図る上で不利となる。
なお、第1境界点K1から変曲点Hまでのクラウン部16の肉厚は、0.7mm〜2.0mmであり、より好ましくは0.7mm〜1.4mmである。
また、変曲点Hから第4交点P4までのクラウン部16の肉厚は、0.4mm〜1.2mmであり、より好ましくは0.4mm〜0.8mmである。
以上説明したように本実施の形態のゴルフクラブヘッド10によれば、打球時に稜線RLを含むクラウン部16の部分に応力が集中することでフェース部14寄りのクラウン部16の部分の変形量を大きく確保でき、これによりフェース部14のたわみ量が増加するため、反発係数を高くすると共に、打ち出し角を大きくできるので、初速および飛距離の向上を図る上で有利となる。
また、大きく変形した状態から元の位置に戻ろうとするクラウン部16の復元力を利用できるので、初速および飛距離の向上を図る上でより有利となる。
また、クラウン面16Aにトウヒール方向に延在する稜線RLが視認されるため、ゴルフクラブヘッド10のフェース面14Aを目標点に向けて構える際の違和感が無くゴルフクラブ100を構えやすくなるため、打ち出したボールの方向のばらつきを抑制する上で有利となる。
図17は、打球前後におけるゴルフクラブヘッド10の形状の変化を示すフェース中心基準断面Pfcの断面図であり、(A)は一般的なゴルフクラブヘッド10′を示し、(B)は本発明のゴルフクラブヘッド10を示す。
図17(A)、(B)において、実線が打球前の状態を示し、二点鎖線が打球後に変形した状態を示しており、二点鎖線は実際の変形量を拡大して示している。
また、Dx1、Dx2は、打球によってクラウン部16が変形した範囲を示す。
図17(A)、(B)から明らかなように、一般的なゴルフクラブヘッド10′の変形範囲Dx1に比較して、本発明のゴルフクラブヘッド10の変形範囲Dx2は狭い。
すなわち、打球時に変曲点Hを含むフェース部14寄りのクラウン部16の部分に応力が集中する度合いが、一般的なゴルフクラブヘッド10′に比較して、本発明のゴルフクラブヘッド10の方がより大きい。
つまり、本発明のゴルフクラブヘッド10では、クラウン部16のうちフェース部14寄りの狭い範囲に集中して変形が生じるので、その変形はフェース部14のたわみに寄与する度合いが高い。
これにより、フェース部14のたわみ量が増加するため、反発係数を高くすると共に、打ち出し角を大きくできるので、初速および飛距離の向上を図る上で有利となる。
そして、ゴルフボールがフェース部14から離れる際に、第1傾斜面1602と稜線RLの近傍の第2傾斜面1604の箇所が稜線RLと共に元の位置に復帰することでフェース部14が元の位置に復帰する。
すなわち、大きく変形した状態から元の位置に戻ろうとするクラウン部16の復元力を最大限利用できるので、初速および飛距離の向上を図る上でより有利となる。
これに対して、一般的なゴルフクラブヘッド10′では、クラウン部16のうちフェース部14寄りの部分に加えて、フェース部14からフェースバック方向に離れたクラウン部16の部分にも変形が生じ、すなわち、広い範囲に変形が生じる。
したがって、フェース部14寄りのクラウン部16の変形はフェース部14のたわみに寄与するものの、フェース部14からフェースバック方向に離れたクラウン部16の部分の変形はフェース部14のたわみにほとんど寄与しない。そのため、フェース部14のたわみ量は本発明に比較して小さく、クラウン部16の復元力を最大限利用していないので、初速、飛距離は本発明に比較して小さいものとなる。
以下、本発明の実験例について説明する。
図18は、本発明に係るゴルフクラブヘッド10の実験結果を示す図である。
試料となるゴルフクラブヘッド10を各実験例毎に作成し、以下の4つの評価項目を測定し指数(評価点)を求めると共に、4つの指数の合計点を求めた。
(1)初速
ゴルフクラブヘッド10を備えたゴルフクラブをスイングロボットに設置し、以下の条件で実打試験を行い9打点における初速の平均値を指数で評価した。比較例に相当する実験例の指数を100とし指数が大きいほど初速が速く、評価が良いことを示す。
ヘッドスピード:40m/s
ボール:株式会社プロギア製プロギアTRスピン(商品名)
打点位置は、以下の合計9打点とし、各打点で5回ずつボールを打撃した。
フェース面14Aの中心点Pcと、中心点Pcを通りフェースセンターラインCLと直交する直線上で中心点Pcからトウ方向に7mm離間した点と、ヒール方向に7mm離間した点の3打点。
フェースセンターラインCL上で中心点Pcからクラウン部16方向に5mm離間した点と、この点を通りフェースセンターラインCLと直交する上5mmライン上で、上記点からトウ方向に7mm離間した点と、ヒール方向に7mm離間した点の3打点。
フェースセンターラインCL上で中心点Pcからソール部18方向に5mm離間した点と、この点を通りフェースセンターラインCLと直交する下5mmライン上で、上記点からトウ方向に7mm離間した点と、ヒール方向に7mm離間した点の3打点。
(2)方向性
実際にゴルフボールをゴルフクラブヘッド10で打撃した場合の方向性を指数で評価した。比較例に相当する実験例の指数を100とし指数が大きいほど方向性が良いことを示す。
ここで、方向性は以下のようにして求める。
すなわち、打球フィールドに目標点を設定してゴルファーが目標点に向かって打球する。そして打球する地点と目標点を結んだ直線と、打球されたボールが停止した点までの距離を方向ブレ幅(ヤード)として記録する。これらを1つのゴルフクラブに対して5球ずつ行い、方向ブレ幅の標準偏差の平均値を方向性の評価データとして求めた。
ここでは、20人の被験者について各実験例のゴルフクラブを用いて方向性の評価データをそれぞれ求め、各ゴルフクラブのそれぞれについて20人の方向性の評価データの平均値を求めた。そして、比較例に相当する実験例の評価データの平均値を100とし、比較例以外の実験例を指数((比較例に相当する実験例の評価データの平均値/比較例以外の実験例の評価データの平均値)×100)によって評価した。即ち、指数が高いほど方向性に優れている。
(3)飛距離
初速の試験における上記打点位置での実打試験で得られた飛距離を測定した。
合計9打点の飛距離平均値を求め、比較例に相当する実験例の指数を100とし指数が大きいほど飛距離が長く、評価が良いことを示す。
(4)耐久性
シャフトに固定したゴルフクラブヘッド10のフェース面14Aにエアキャノンにてゴルフボールを繰り返して当て、フェース部14の変形や破損が生じるまでに要した打撃回数を計測し、打撃回数を指数化した。ボールスピードは50m/sとした。打点位置はフェース面14Aの中心点Pcとした。
この場合、比較例に相当する実験例のゴルフクラブヘッド10の測定結果を100とした指数で示した。指数が大きいほど評価が良いことを示す。
(5)合計点
上述した初速、方向性、飛距離、耐久性の4つの指数を合計したものを合計点とした。
比較例に相当する実験例の合計点を400とし合計点が大きいほど評価が良いことを示す。
また、実験例は以下に示すように、ドライバーとフェアウェイウッドとのそれぞれについて、以下の4種類の条件で実験を行った。
(条件1)クラウン部16の肉厚を均一で一定とし、ヘッド本体12の体積、重量を一定とし、請求項2を満たす実験例と、請求項2を満たさない実験例とを比較する。
(条件2)クラウン部16の肉厚を均一で一定とし、ヘッド本体12の体積、重量を一定とし、各数値(請求項2〜5で規定する数値)を変更する。
(条件3)ヘッド本体12の体積を一定とし、クラウン部16の肉厚以外の数値(請求項2〜5で規定する数値)を一定とし、クラウン部16の肉厚を変更する。
したがって、ヘッド本体12の重量は一定の範囲で変化する。
(条件4)クラウン部16の肉厚を均一とし、クラウン部16の肉厚以外の数値(請求項2〜5で規定する数値)を一定とし、ヘッド本体12の体積を変更する。
したがって、ヘッド本体12の重量は一定の範囲で変化する。
(ドライバー:条件1)
次に、条件1におけるドライバーの実験例について説明する。
図18に示すように、実験例1〜7は、条件1で実験を行ったものであり、クラウン部16の肉厚とヘッド本体12の体積、重量を一定とし、各数値を変更する。
すなわち、いずれの実験例においてもヘッド本体12の体積は460±2ccであり、重量は198±1gであり、ロフト角は10度とした。
また、いずれの実験例においてもクラウン部16のフェース部14寄りの形状が下記に詳述するように異なっており、その他の箇所のクラウン部16の形状およびクラウン部16以外の形状は同一の形状となっている。
ヘッド本体12の材料は、6AL-4Vチタン合金であり、フェース部14の肉厚は、3.2±0.05mm均一肉厚とし、その他の肉厚はクラウン部16を含め1.0±0.1mm均一肉厚で製作した。
実験例1は、クラウン部16に膨出部を設けた従来技術(特許第5882522号公報)と同様に構成したものであって比較例に相当するものであり、本発明で規定する変曲点H、稜線RLを有さず、したがって、本発明の請求項1の規定を満たさないものである。
実験例2、3は稜線RLが無い点で請求項1の規定を満たさず、また、請求項1から5の規定を満たさないものである。
実験例4、5は請求項1、2を満たすが、請求項3、4、5を満たさないものである。
実験例6、7は稜線RLが有り、請求項1を満たすが、請求項2から5を満たさないものである。
なお、実験例4〜7において請求項3、4、5の規定は以下の通りである。
曲率半径RAの比RA/RBが0.44であり、請求項3の比RA/RBが0.04以上0.35以下の範囲を上回っている。
基準状態で、稜線RLを水平面HPに投影した稜線の寸法がヘッド長さHLの15%であり、請求項4の20%以上を下回っている。
第1境界点K1と変曲点Hとを水平面に投影したときの第1境界点K1から変曲点Hまでの距離が、ヘッド幅HWの16%であり、請求項5の5%以上15%以下の範囲を上回っている。
実験例2は、フランジ角度θ1が15°であり、請求項2の規定のうち、15°≦θ1≦50°の範囲内であるが、稜線RLが無いため、請求項1の規定を満たさないものである。
したがって、初速101、方向性95、飛距離102、耐久性100、合計398であり、初速、飛距離が実験例1より改善されるものの、方向性が実験例1より低下している。
これは、稜線RLが視認不能であるため、ゴルフクラブヘッド10のフェース面14Aを目標点に向けて構える際に、構えにくくなり、打ち出したボールの方向のばらつきが増加するためである。
実験例3は、フランジ角度θ1が50°であり、請求項2の規定のうち、15°≦θ1≦50°の範囲内であるが、稜線RLが無いため、請求項1の規定を満たさないものである。
したがって、初速102、方向性95、飛距離102、耐久性90、合計389であり、初速、飛距離が実験例1より改善されるものの、方向性、耐久性が実験例1より低下している。
これは、稜線RLが視認不能であるため、ゴルフクラブヘッド10のフェース面14Aを目標点に向けて構える際に、構えにくくなり、打ち出したボールの方向のばらつきが増加するためである。
また、フランジ角度θ1が上限値である50°であるため、第1境界点K1に対応するヘッド本体12の部分(フェース面14Aとクラウン面16Aとの境目)の強度がやや低下するためである。
実験例4は、フランジ角度θ1が15°であり、請求項2の規定のうち、15°≦θ1≦50°の範囲内であり、稜線RLが視認可能であり、請求項2の規定を満たしている。
したがって、初速108、方向性108、飛距離106、耐久性100、合計422であり、初速、方向性、飛距離の評価が実験例1を上回っている。
実験例5は、フランジ角度θ1が50°であり、請求項2の規定のうち、15°≦θ1≦50°の範囲内であり、稜線RLが視認可能であり、請求項2の規定を満たしている。
したがって、初速104、方向性108、飛距離103、耐久性106、合計421であり、全ての評価が実験例1を上回っている。
実験例6は、フランジ角度θ1が10°であり、請求項2の規定のうち、15°≦θ1≦50°の範囲を下回っており、稜線RLが有るが、請求項2の規定を満たさないものである。
したがって、初速101、方向性102、飛距離102、耐久性100、合計405であり、初速、方向性、飛距離の評価が実験例1より改善されているものの、初速、飛距離の評価は実験例4、5に比較して低い。
これは、変曲点H(稜線RL)は存在するものの、フランジ角度θ1が小さいため打球時に変曲点H(稜線RL)を含むクラウン部16の部分の変形量を確保する上で不利となるためである。
実験例7は、フランジ角度θ1が55°であり、請求項2の規定のうち、15°≦θ1≦50°の範囲を上回っており、稜線RLが有るが、請求項2の規定を満たさないものである。
したがって、初速102、方向性102、飛距離101、耐久性89、合計394であり、初速、方向性、飛距離の評価が実験例1より改善されているものの、初速、飛距離の評価は実験例4、5に比較して低く、また、耐久性は実験例1より低下している。
これは、フランジ角度θ1が50°より大きいと、第1境界点K1に対応するヘッド本体12の部分(フェース面14Aとクラウン面16Aとの境目)の強度が低下するため、ゴルフクラブヘッド10の耐久性を確保する効果が低下するためである。また、フランジ角度θ1が50°より大きいと、ゴルファーがゴルフクラブヘッド10としての形状に違和感を感じやすくなり、スイングしにくくなり、ヘッドスピードが低下し、飛距離を確保する上で不利となるためである。
以下、各評価項目について検討する。
(1)初速
請求項1、2の規定を満たすが、請求項3、4、5を満たさない実験例4、5は、初速が108、104であり初速が最も優れている。
請求項1の規定は満たすが、請求項2〜5の規定を満たさない実験例6、7は、初速が101、102である。
請求項1〜5の規定の全てを満たさない実験例2、3は、初速が101、102である。
したがって、請求項1、2の規定を満たすものは、請求項1、2を満たさないものに対して初速の向上を図る効果が優れている。
(2)方向性
請求項1、2の規定を満たすが、請求項3、4、5を満たさない実験例4、5は、方向性が108、108であり方向性が最も優れている。
請求項1の規定は満たすが、請求項2〜5の規定を満たさない実験例6、7は、方向性が102、102である。
請求項1〜5の規定の全てを満たさない実験例2、3は、方向性が95、95である。
したがって、請求項1、2の規定を満たすものは、請求項1、2を満たさないものに対して方向性の向上を図る効果が優れている。
(3)飛距離
請求項1、2の規定を満たすが、請求項3、4、5を満たさない実験例4、5は、飛距離が106、103であり飛距離が最も優れている。
請求項1の規定は満たすが、請求項2〜5の規定を満たさない実験例6、7は、飛距離が102、101である。
請求項1〜5の規定の全てを満たさない実験例2、3は、飛距離が102、102である。
したがって、請求項1、2の規定を満たすものは、請求項1、2を満たさないものに対して飛距離の向上を図る効果が優れている。
(4)耐久性
請求項1、2の規定を満たすが、請求項3、4、5を満たさない実験例4、5は、耐久性が100、106であり耐久性が最も優れている。
請求項1の規定は満たすが、請求項2〜5の規定を満たさない実験例6、7は、耐久性が100、89である。
請求項1〜5の規定の全てを満たさない実験例2、3は、耐久性が100、90である。
したがって、請求項1、2の規定を満たすものは、請求項1、2を満たさないものに対して耐久性の向上を図る効果が優れている。
(5)合計点
請求項1、2の規定を満たすが、請求項3、4、5を満たさない実験例4、5は、合計点が422、421であり合計点が最も優れている。
請求項1の規定は満たすが、請求項2〜5の規定を満たさない実験例6、7は、合計点が405、394である。
請求項1〜5の規定の全てを満たさない実験例2、3は、合計点が398、389である。
したがって、請求項1、2の規定を満たすものは、請求項1、2を満たさないものに対して合計点の向上を図る効果が優れている。
(ドライバー:条件2)
次に、条件2におけるドライバーの実験例について説明する。
なお、以下に示す実験例の番号は、便宜上実験例12から付している。
図19に示すように、実験例12〜28は、条件2で実験を行ったものであり、クラウン部16の肉厚とヘッド本体12の体積、重量を一定とし、各数値を変更する。
すなわち、いずれの実験例においてもヘッド本体12の体積は460±2ccであり、重量は198±1gであり、ロフト角は10度とした。
また、いずれの実験例においてもクラウン部16の形状が下記に詳述するように異なっており、クラウン部16以外の形状は同一の形状となっている。
ヘッド本体12の材料は、6AL-4Vチタン合金であり、フェース部14の肉厚は、3.2±0.05mm均一肉厚とし、その他の肉厚はクラウン部16を含め1.0±0.1mm均一肉厚で製作した。
実験例1は、図18の実験例1と同一である。
実験例12は、請求項1〜5の規定の全てを満たしており、大きく変形した状態から元の位置に戻ろうとするクラウン部16の復元力を最大限利用している。
したがって、初速119、方向性139、飛距離130、耐久性133、合計点521となっており、全ての評価が実験例1に比較して優れている。
実験例13は、請求項1〜5の規定の全てを満たしており、大きく変形した状態から元の位置に戻ろうとするクラウン部16の復元力を最大限利用している。
したがって、初速123、方向性135、飛距離134、耐久性125、合計点517となっている。実験例12と比較すると、耐久性がやや低下している。
実験例14は、請求項3、4、5を満たすが請求項1、2を満たしておらず、フランジ角度θ1が12°であり、請求項2の規定の15°≦θ1≦50°の範囲を下回っている。
したがって、初速101、方向性102、飛距離101、耐久性120、合計424となっており、耐久性を除く評価が実験例1と同程度に留まっている。
これは、変曲点H(稜線RL)は存在するものの、フランジ角度θ1が小さいため打球時に変曲点H(稜線RL)を含むクラウン部16の部分の変形量を確保する上で不利となるためである。
すなわち、ゴルフボールがフェース部14に当接した際のたわみ量が少なく、ゴルフボールがフェース部14から離れる前に、第1傾斜面1602と稜線RLの近傍の第2傾斜面1604の箇所が稜線RLと共に元の位置に復帰してしまい、大きく変形した状態から元の位置に戻ろうとするクラウン部16の復元力を利用できていないためと考えられる。
実験例15は、請求項3、4、5を満たすが請求項1、2を満たしておらずフランジ角度θ1が54°であり、請求項2の規定の15°≦θ1≦50°の範囲を上回っている。
したがって、初速105、方向性102、飛距離101、耐久性96、合計404となっており、初速、飛距離は実験例1を若干上回るものの、方向性は実験例1と同程度であり、耐久性が実験例1を下回っている。
これは、フランジ角度θ1が50°より大きいため、ゴルフクラブヘッド10によるゴルフボールの打球時に第1傾斜面1602と稜線RLの近傍の第2傾斜面1604の箇所が稜線RLを上昇させるように撓んだときのたわみ量が過剰となる。
そのため、第1傾斜面1602と稜線RLの近傍の第2傾斜面1604の箇所が大きくたわんだ状態で、また、フェース部14が大きくたわんだ状態で、ゴルフボールがフェース部14から離れ、大きく変形した状態から元の位置に戻ろうとするクラウン部16の復元力をほとんど利用することができないためである。つまり、ゴルフボールがフェース部14から離れる際にヘッド本体12の変形が残ったままとなり、エネルギーロスが生じているためである。
また、フランジ角度θ1が50°より大きいと、第1境界点K1に対応するヘッド本体12の部分(フェース面14Aとクラウン面16Aとの境目)の強度が低下するため、ゴルフクラブヘッド10の耐久性を確保する効果が低下するためである。また、フランジ角度θ1が50°より大きいと、ゴルファーがゴルフクラブヘッド10としての形状に違和感を感じやすくなり、スイングしにくくなり、ヘッドスピードが低下し、飛距離を確保する上で不利となるためである。
さらに、撓みすぎるということは、応力も大きくなるため、耐久性も低下する。
実験例16は、請求項1〜5の規定を全て満たしており、フランジ角度θ1が17°であり、フランジ角度θ1が請求項2の規定の15°≦θ1≦50°の範囲の下限値近傍の値である。
したがって、初速114、方向性122、飛距離117、耐久性125、合計478となっており、全ての評価が実験例1に比較して優れている。
実験例17は、請求項1〜5を全て満たしており、フランジ角度θ1が48°であり、フランジ角度θ1が請求項2の規定の15°≦θ1≦50°の範囲の上限値近傍の値である。
したがって、初速120、方向性116、飛距離131、耐久性110、合計477となっており、全ての評価が実験例1に比較して優れている。
実験例18は、請求項4、5は満たしているが、請求項1、2、3を満たしておらず、変曲点角度θ2が0.4°であり、請求項3の規定の1°≦θ2≦15°の範囲を下回っており、また、曲率半径の比RA/RBが0.80であり、請求項3の規定の0.04≦比RA/RB≦0.35の範囲を上回っている。
したがって、初速102、方向性92、飛距離102、耐久性125、合計421となっており、方向性が実験例1を下回っている。これは、稜線RLが視認不能であるため、ゴルフクラブヘッド10のフェース面14Aを目標点に向けて構える際に、構えにくくなり、打ち出したボールの方向のばらつきが増加するためである。
実験例19は、請求項1〜3、5は満たしているが、請求項4を満たしておらず、稜線RLの長さD1がヘッド長さHLの18%であり、請求項4の20%以上であるという規定を下回っている。
したがって、初速104、方向性110、飛距離104、耐久性122、合計440となっており、全ての評価が実験例1に比較して優れているものの、実験例12、13に比較すると低い評価となっている。
これは、稜線RLの寸法D1がヘッド長さHLの20%未満であるため、打球時における変曲点H(稜線RL)を含むクラウン部16の部分に応力が集中する効果が低下することでフェース部14寄りのクラウン部16の部分の変形量が低下し、フェース部14のたわみ量が低下するため、初速および飛距離の向上を図る効果が低下するためである。
実験例20は、請求項1〜5の全てを満たし、稜線RLの長さD1がヘッド長さHLの100%であり、請求項4の20%以上であるという規定を満足している。
したがって、初速122、方向性134、飛距離133、耐久性121、合計510となっており、耐久性が実験例19と同程度であり、残りの評価が実験例19に比較して優れている。
これは、稜線RLの寸法D1がヘッド長さHLの100%であるため、打球時における変曲点H(稜線RL)を含むクラウン部16の部分に応力が集中する効果が確保されることでフェース部14寄りのクラウン部16の部分の変形量が確保され、フェース部14のたわみ量が確保されるため、初速および飛距離の向上を図る効果が奏されるためである。また、方向性の評価が実験例19より良いのは、稜線RLの長さD1が長いため、ゴルフクラブヘッド10のフェース面14Aを目標点に向けて構える際に、構えやすく、打ち出したボールの方向のばらつきが若干抑制されるためである。
しかし、耐久性に関しては、実験例12と比較すると若干変形量が大きく、応力大のため低下している。
実験例21は、請求項1〜4を満たしているが、請求項5を満たしておらず、第1境界点K1から変曲点Hまでの距離D2がヘッド幅HWの4.2%であり、請求項5の規定の5%以上15%以下の範囲を下回っている。
したがって、初速109、方向性120、飛距離115、耐久性104、合計448となっており、全ての評価が実験例1に比較して優れているものの、実験例12、13に比較すると、方向性がやや低い評価となっている。
これは、境界線Lfcと稜線RLとの距離D2がヘッド幅HWに対して小さすぎるため、すなわち、稜線RLがフェース部14に近すぎるため、ゴルファーに違和感を感じさせない効果が低下するためである。
また、境界線Lfcと稜線RLとの距離D2が小さすぎるので、応力は稜線RL近辺に集中しやすく、適度な変形がしにくく、初速が、実験例12と比較するとやや低い値となっていて、耐久性が低い値となっている。
実験例22は、請求項1〜4を満たしているが、請求項5を満たしておらず、第1境界点K1から変曲点Hまでの距離D2がヘッド幅HWの16.8%であり、請求項5の5%以上15%以下の範囲を上回っている。
したがって、初速106、方向性115、飛距離109、耐久性125、合計455となっており、全ての評価が実験例1に比較して優れているものの、実験例12、13に比較すると、方向性が低い評価となっている。
これは、境界線Lfcと稜線RLとの距離D2がヘッド幅HWに対して大きすぎるため、すなわち、稜線RLがフェース部14から遠すぎるため、ゴルファーに違和感を感じさせない効果が低下するためである。
また、境界線Lfcと稜線RLとの距離D2が大きすぎるので、応力は稜線RL近辺に集中しにくく、適度な変形がしにくく、初速が、実験例12と比較するとやや低い値となっている。
実験例23は、請求項1〜5を満たしているが、第1境界点K1から変曲点Hまでの距離D2がヘッド幅HWの6%であり、請求項5の規定の5%以上15%以下の範囲の下限値近傍の値である。
したがって、初速118、方向性122、飛距離118、耐久性115、合計473となっており、全ての評価が、距離D2がヘッド幅HWの5%以上15%以下の範囲を下回った実験例21に比較して優れている。
これは、D2が適切な範囲内の下限値近傍なので、適度な応力が稜線RL近辺に集中し、適度な変形をし、初速・飛距離・耐久性・方向性が確保できるためである。
実験例24は、請求項1〜5を満たしているが、第1境界点K1から変曲点Hまでの距離D2がヘッド幅HWの14%であり、請求項5の5%以上15%以下の範囲の上限値近傍の値である。
したがって、初速111、方向性120、飛距離114、耐久性128、合計473となっており、全ての評価が、距離D2がヘッド幅HWの5%以上15%以下の範囲を上回った実験例22に比較して優れている。
これは、D2が適切な範囲内の上限値近傍なので、適度な応力が稜線RL近辺に集中し、適度な変形をし、初速・飛距離・耐久性・方向性が確保できるためである。
実験例25は、請求項1、2、4、5を満たしているが、変曲点角度θ2が0.7°であり、請求項3の規定の1°≦変曲点角度θ2≦15°という範囲を下回っている。また、第3交点P3の曲率半径RBに対する変曲点Hの曲率半径RAの比RA/RBが0.50であり、請求項2の0.04≦比RA/RB≦0.35以下という範囲を上回っている。
したがって、初速107、方向性101、飛距離117、耐久性120、合計445となっており、方向性の評価が実験例1と同等に留まっている。
これは、稜線RLの視認性を確保する効果が低下するため、ゴルクラブヘッド10で打ち出したボールの方向のばらつきを抑制する効果が低下するからである。
実験例26は、請求項1、2、4、5を満たしているが、請求項3を満たしておらず、変曲点角度θ2が17°であり、請求項3の規定の1°≦変曲点角度θ2≦15°という範囲を上回っている。また、第3交点P3の曲率半径RBに対する変曲点Hの曲率半径RAの比RA/RBが0.03であり、請求項3の規定の0.04≦比RA/RB≦0.35以下という範囲を下回っている。
したがって、初速110、方向性100、飛距離111、耐久性105、合計426となっており、方向性の評価が実験例1と同等に留まり、残りの評価が実験例1よりも優れている。
これは、変曲点角度θ2が15°より大きいため、稜線RLの前後でクラウン面16Aの高低差が大き過ぎることから、構えやすさを確保する効果が低下し、ゴルクラブヘッド10で打ち出したボールの方向のばらつきを抑制する効果が低下するためである。
また、実験例26では、比RA/RBが0.04未満であるため、変曲点Hに加わる応力が集中しやすいため、ゴルフクラブヘッド10の耐久性を確保する効果が実験例22、23よりも低下している。
また、実験例26では、初速、飛距離が実験例12よりも低下している。
これは、変曲点角度θ2が15°より大きいため、ゴルフクラブヘッド10によるゴルフボールの打球時に第1傾斜面1602と稜線RLの近傍の第2傾斜面1604の箇所が稜線RLを上昇させるように撓むたわみ量が過剰となる。
そのため、ゴルフボールがフェース部14から離れる際に、第1傾斜面1602と稜線RLの近傍の第2傾斜面1604の箇所およびフェース部14が元の位置に復帰しにくくなり、大きく変形した状態から元の位置に戻ろうとするクラウン部16の復元力を最大限に利用する効果が低下し、ゴルフボールがフェース部14から離れる際にヘッド本体12の変形が残ったままとなり、エネルギーロスが生じているためである。
実験例27は、請求項1〜5の全てを満たしているが、変曲点角度θ2が1.2°であり、請求項3の1°≦変曲点角度θ2≦15°という範囲の下限値近傍の値となっている。また、第3交点P3の曲率半径RBに対する変曲点Hの曲率半径RAの比RA/RBが0.14であり、請求項2の0.04≦比RA/RB≦0.35以下という範囲内である。
したがって、初速114、方向性129、飛距離120、耐久性132、合計495となっており、全ての評価が実験例1よりも優れており、また、変曲点角度θ2の規定、比RA/RBの規定を満足しない実験例25、26に比較して特に方向性の評価が優れている。
実験例28は、請求項1〜5の全てを満たしているが、変曲点角度θ2が14.8°であり、請求項3の規定の1°≦変曲点角度θ2≦15°という範囲の上限値近傍の値となっている。また、第3交点P3の曲率半径RBに対する変曲点Hの曲率半径RAの比RA/RBが0.33であり、請求項2の0.04≦比RA/RB≦0.35以下という範囲の上限値近傍の値である。
したがって、初速116、方向性124、飛距離125、耐久性129、合計494となっており、全ての評価が実験例1よりも優れており、また、変曲点角度θ2の規定、比RA/RBの規定を満足しない実験例25、26に比較して特に方向性の評価が優れている。
以下、各評価項目について検討する。
(1)初速
請求項1から5の規定の全てを満たす実験例12、13、16、17、20、23、24、27、28は、初速が111〜123であり初速が最も優れている。
請求項1、2、4、5の規定を満たすが請求項4の規定を満たさない実験例19は、初速が104である。
請求項1から4の規定を満たすが請求項5の規定を満たさない実験例21、22は初速が109、106である。
請求項1、2、4、5の規定を満たすが請求項3の規定を満たさない実験例25、26は初速が107、110である。
したがって、請求項1〜5の規定の全てを満たすものは、請求項2、3、4、5のうちの何れか1つの請求項を満たさないものに対して初速の向上を図る効果が優れている。
(2)方向性
請求項1から5の規定の全てを満たす実験例12、13、16、17、20、23、24、27、28は、方向性が116〜139であり方向性が最も優れている。
請求項1、2、4、5の規定を満たすが請求項4の規定を満たさない実験例19は、方向性が110である。
請求項1から4の規定を満たすが請求項5の規定を満たさない実験例21、22は方向性が120、115である。
請求項1、2、4、5の規定を満たすが請求項3の規定を満たさない実験例25、26は方向性が100、101である。
したがって、請求項1の規定を満たすものは、請求項1を満たさないものに対して方向性の向上を図る効果が優れ、また、請求項1に加え請求項2、3、4、5の規定のうちの何れか1つの請求項を満たすものは、請求項1の規定のみを満たすものものに対して方向性の向上を図る効果が優れている。
(3)飛距離
請求項1から5の規定の全てを満たす実験例12、13、16、17、20、23、24、27、28は、飛距離が114〜134であり飛距離が最も優れている。
請求項1、2、4、5の規定を満たすが請求項4の規定を満たさない実験例19は、飛距離が104である。
請求項1から4の規定を満たすが請求項5の規定を満たさない実験例21、22は飛距離が115、109である。
本発明の請求項1、3、4、5の規定を満たすが請求項2の規定を満たさない実験例25、26は飛距離が107、117である。
したがって、請求項1の規定を満たすものは、請求項1を満たさないものに対して飛距離の向上を図る効果が優れ、また、請求項1に加え請求項2、3、4、5の規定のうちの何れか1つの請求項を満たすものは、請求項1の規定のみを満たすものものに対して飛距離の向上を図る効果が優れている。
(4)耐久性
請求項1から5の規定の全てを満たす実験例12、13、16、17、20、23、24、27、28は、耐久性が110〜133であり耐久性が最も優れている。
請求項1、2、4、5の規定を満たすが請求項4の規定を満たさない実験例19は、耐久性が122である。
請求項1から4の規定を満たすが請求項5の規定を満たさない実験例21、22は耐久性が104、125である。
本発明の請求項1、3、4、5の規定を満たすが請求項2の規定を満たさない実験例25、26は耐久性が120、105である。
したがって、請求項1の規定を満たすものは、請求項1を満たさないものに対して耐久性の向上を図る効果が優れ、また、請求項1に加え請求項2、3、4、5の規定のうちの何れか1つの請求項を満たすものは、請求項1の規定のみを満たすものものに対して耐久性の向上を図る効果が優れている。
(5)合計点
請求項1から5の規定の全てを満たす実験例12、13、16、17、20、23、24、27、28は、合計点が473〜521であり合計点が最も優れている。
請求項1、2、4、5の規定を満たすが請求項4の規定を満たさない実験例19は、合計点が440である。
請求項1、2、3、5の規定を満たすが請求項4の規定を満たさない実験例21、22は合計点が448、455である。
本発明の請求項1、3、4、5の規定を満たすが請求項2の規定を満たさない実験例25、26は合計点が445、426である。
したがって、請求項1の規定を満たすものは、請求項1を満たさないものに対して合計点の向上を図る効果が優れ、また、請求項1に加え請求項2、3、4、5の規定のうちの何れか1つの請求項を満たすものは、請求項1の規定のみを満たすものものに対して合計点の向上を図る効果が優れている。
(ドライバー:条件3)
次に、条件3におけるドライバーの実験例について説明する。
図20に示すように、実験例29〜32は上記条件3で実験を行ったものであり、ヘッド本体12の体積と他の数値とを同一とし、クラウン部16の肉厚を変更する。したがって、ヘッド本体12の重量は一定の範囲で変化する。
すなわち、いずれの実験例においてもヘッド本体12の体積は460±2ccであり、重量は198±2gであり、ロフト角は10度とした。
また、いずれの実験例においても第1境界点K1から変曲点Hまでのクラウン部16の形状および肉厚、変曲点Hから第4交点P4までのクラウン部16の形状および肉厚が下記に詳述するように異なっており、その他のクラウン部16の箇所とクラウン部16以外の箇所の形状、肉厚は同一の形状、同一の値となっている。
ヘッド本体12の材料は、6AL-4Vチタン合金であり、フェース部14の肉厚は、3.2mm±0.05mm均一肉厚で、第1境界点K1から変曲点Hまでのクラウン部16の肉厚および変曲点Hから第4交点P4までのクラウン部16の肉厚以外は、1.0mm±0.1mm均一肉厚で製作した。
なお、図20において比較例とした実験例12は、図19の実験例12であり、クラウン部16の肉厚が1.0mmで均一となっている。
図20においては、この実験例12の各評価点を100とし、この実験例12の評価点に基いて実験例29〜32の評価を行っている。
また、実験例12、29〜32において以下の数値、構成は同一としている。
フランジ角度θ1=30.0°
稜線RLが有る。
稜線RLの長さD1=45.0%
第1境界点K1から変曲点Hまでの距離D2=10.0%
変曲点角度θ2=4.0°
曲率半径比RA/RB=0.20
実験例29〜31は、請求項1−6の規定の全てを満たしている。
また、実験例32は、請求項1−5の規定を満たすものの、請求項6の規定を満たさない。
実験例29は、請求項1−6の規定の全てを満たしており、第1境界点K1から変曲点Hまでのクラウン部16の肉厚の加重平均値Δd1が1.1mmであり、変曲点Hから第4交点P4までのクラウン部16の肉厚の加重平均値Δd2が0.7mmであり、加重平均値Δd1>加重平均値Δd2であるという請求項6の規定を満たしている。
したがって、初速120、方向性110、飛距離124、耐久性105、合計459となっており、全ての評価が実験例12よりも優れている。
実験例30は、請求項1−6の規定の全てを満たしており、第1境界点K1から変曲点Hまでのクラウン部16の肉厚の加重平均値Δd1が1.8mmであり、変曲点Hから第4交点P4までのクラウン部16の肉厚の加重平均値Δd2が1.2mmであり、加重平均値Δd1>加重平均値Δd2であるという請求項6の規定を満たしている。
したがって、初速105、方向性106、飛距離108、耐久性110、合計429となっており、初速、飛距離が実験例29よりも低下し、耐久性は実験例29よりも向上している。
これは、肉厚の加重平均値Δd1、Δd2が実験例29よりも厚めに設計されているため、打球時における変曲点H(稜線RL)を含むクラウン部16の部分に応力が集中する効果が確保されるがたわみ量がやや少なくなり、耐久性の向上を図る効果は確保されるためである。
実験例31は、請求項1−6の規定の全てを満たしており、第1境界点K1から変曲点Hまでのクラウン部16の肉厚の加重平均値Δd1が0.8mmであり、変曲点Hから第4交点P4までのクラウン部16の肉厚の加重平均値Δd2が0.5mmであり、加重平均値Δd1>加重平均値Δd2であるという請求項6の規定を満たしている。
したがって、初速130、方向性104、飛距離129、耐久性95、合計458となっており、実験例29に比較して初速、飛距離が向上し、耐久性が低下している。
これは、肉厚の加重平均値Δd1、Δd2が実験例29よりも薄めに設計されているため、打球時における変曲点H(稜線RL)を含むクラウン部16の部分に応力が集中する効果を確保されるがたわみ量がやや大きくなり、耐久性の向上を図る効果が低減されるためである。
実験例32は、請求項1−5の規定を満たすものの、請求項6の規定を満たしておらず、第1境界点K1から変曲点Hまでのクラウン部16の肉厚の加重平均値Δd1が0.7mmであり、変曲点Hから第4交点P4までのクラウン部16の肉厚の加重平均値Δd2が1.1mmであり、加重平均値Δd1>加重平均値Δd2であるという請求項6の規定を満たしていない。
したがって、初速105、方向性103、飛距離104、耐久性90、合計402となっており、実験例29〜31に比較してすべての評価が低下している。
これは、加重平均値Δd1>加重平均値Δd2ではないため、打球時における変曲点H(稜線RL)を含むクラウン部16の部分に応力が集中しすぎて、適正なたわみを確保できない。言い換えると、たわみ量が過大のためであり、初速向上、耐久性の向上を図る効果が低下するためである。
以下、各評価項目について検討する。
(1)初速
請求項1から6の規定の全てを満たす実験例29〜31は、初速が105〜130であり初速が最も優れている。
請求項1から5の規定を満たすが請求項6の規定を満たさない実験例32は初速が105である。
したがって、請求項1〜6の規定の全てを満たすものは、請求項1から5の規定を満たすが請求項6の規定を満たさないものに対して初速の向上を図る効果が優れている。
(2)方向性
請求項1から6の規定の全てを満たす実験例29〜31は、方向性が104〜110であり方向性が最も優れている。
請求項1から5の規定を満たすが請求項6の規定を満たさない実験例32は方向性が103である。
したがって、本発明の請求項1〜6の規定の全てを満たすものは、請求項1から5の規定を満たすが請求項6の規定を満たさないものに対して方向性の向上を図る効果が優れている。
(3)飛距離
請求項1から6の規定の全てを満たす実験例29〜31は、飛距離が108〜129であり飛距離が最も優れている。
請求項1から5の規定を満たすが請求項6の規定を満たさない実験例32は飛距離が104である。
したがって、本発明の請求項1〜6の規定の全てを満たすものは、請求項1から5の規定を満たすが請求項6の規定を満たさないものに対して飛距離の向上を図る効果が優れている。
(4)耐久性
請求項1から6の規定の全てを満たす実験例29〜31は、耐久性が95〜110であり耐久性が最も優れている。
請求項1から5の規定を満たすが請求項6の規定を満たさない実験例32は耐久性が90である。
したがって、本発明の請求項1〜6の規定の全てを満たすものは、請求項1から5の規定を満たすが請求項6の規定を満たさないものに対して耐久性の向上を図る効果が優れている。
(5)合計点
請求項1から6の規定の全てを満たす実験例29〜31は、合計点が429〜459であり合計点が最も優れている。
請求項1から5の規定を満たすが請求項6の規定を満たさない実験例32は合計点が402である。
したがって、本発明の請求項1〜6の規定の全てを満たすものは、請求項1から5の規定を満たすが請求項6の規定を満たさないものに対して合計点の向上を図る効果が優れている。
(ドライバー:条件4)
次に、条件4におけるドライバーの実験例について説明する。
図21に示すように、実験例1、12、33A、33B、34A、34B、35A、35Bは、上記条件4で実験を行ったものであり、クラウン部16の肉厚と各数値とを同一とし、ヘッド本体12の体積を変更する。したがって、ヘッド本体12の重量は一定の範囲で変化する。また、ロフト角は10度とした。
ヘッド本体12の材料は、6AL-4Vチタン合金であり、フェース部14の肉厚は、3.2±0.05mm均一肉厚とし、その他の肉厚はクラウン部16を含め1.0±0.1mm均一肉厚で製作した。
なお、実験例33A、34A、35Aは、比較例であり、実験例1と同じように、クラウン部16に膨出部を設けた従来技術(特許第5882522号公報)と同様に構成したものであり、本発明で規定する変曲点H、稜線RLを有さず、したがって、本発明の請求項1の規定を満たさないものである。
また、実験例33A、34A、35Aは、体積のみが異なっており、その他の形状、肉厚は、実験例1と同一である。
すなわち、実験例33A、34A、35Aは、実験例33B、34B、35Bのそれぞれに対応する比較例であり、各評価点を100とするものである。(多少の体積が変わっても同じ評価であることを意味する)
図21に示す実験例1、実験例12は、前述した図19の実験例1、12と同一である。
また、実験例12、33B、34B、35Bにおいて以下の数値、構成は同一としている。
フランジ角度θ1=30.0°
稜線RLが有る。
稜線RLの長さD1=45.0%
第1境界点K1から変曲点Hまでの距離D2=10.0%
変曲点角度θ2=4.0°
曲率半径比RA/RB=0.20
また、実験例33B、34B、35Bは、請求項1−6の規定の全てを満たすものである。
実験例33Bは、体積が440ccであり、初速118、方向性139、飛距離130、耐久性133、合計点520である。
実験例34Bは、体積が450ccであり、初速118、方向性139、飛距離130、耐久性133、合計点520である。
実験例35Bは、体積が470ccであり、初速119、方向性139、飛距離131、耐久性133、合計点522である。
したがって、体積のみを変化させた実験例33B、34B、35Bは、全ての評価が実験例12と同程度であり、体積に拘わらず、同様の作用効果が奏されることが明らかである。
(フェアウェイウッド:条件1)
次に、条件1におけるフェアウェイウッド#3の実験例について説明する。(番手違いのフェアウェイウッドやユーティリティも同様の結果になることは当業者であれば十分理解できると考えられる)
図22に示すように、実験例41〜47は、条件1で実験を行ったものであり、クラウン部16の肉厚とヘッド本体12の体積、重量を一定とし、各数値を変更する。
すなわち、いずれの実験例においてもヘッド本体12の体積は165±2ccであり、重量は215±1gであり、ロフト角は15度とした。
また、いずれの実験例においてもクラウン部16のフェース部14寄りの形状が下記に詳述するように異なっており、その他の箇所のクラウン部16の形状およびクラウン部16以外の形状は同一の形状となっている。
ヘッド本体12の材料は、SUS630合金であり、フェース部14の肉厚は、2.4±0.05mm均一肉厚とし、その他の肉厚はクラウン部16を含め1.0±0.1mm均一肉厚で製作した。
実験例41は、クラウン部16に膨出部を設けた従来技術(特許第5882522号公報)と同様に構成したものであって比較例に相当するものであり、本発明で規定する変曲点H、稜線RLを有さず、したがって、本発明の請求項1の規定を満たさないものである。
実験例42、43は稜線RLが無い点で請求項1の規定を満たさず、また、請求項1から5の規定を満たさないものである。
実験例44、45は請求項1、2を満たすが、請求項3、4、5を満たさないものである。
実験例46、47は稜線RLが有り、請求項1を満たすが、請求項2から5を満たさないものである。
なお、実験例44〜47において請求項3、4、5の規定は以下の通りである。
曲率半径RAの比RA/RBが0.44であり、請求項3の比RA/RBが0.04以上0.35以下の範囲を上回っている。
基準状態で、稜線RLを水平面HPに投影した稜線の寸法がヘッド長さHLの15%であり、請求項4の20%以上を下回っている。
第1境界点K1と変曲点Hとを水平面に投影したときの第1境界点K1から変曲点Hまでの距離が、ヘッド幅HWの16%であり、請求項5の5%以上15%以下の範囲を上回っている。
実験例42は、フランジ角度θ1が15°であり、請求項2の規定のうち、15°≦θ1≦50°の範囲内であるが、稜線RLが無いため、請求項1の規定を満たさないものである。
したがって、初速102、方向性96、飛距離101、耐久性100、合計399であり、初速、飛距離が実験例41より改善されるものの、方向性が実験例41より低下している。
これは、稜線RLが視認不能であるため、ゴルフクラブヘッド10のフェース面14Aを目標点に向けて構える際に、構えにくくなり、打ち出したボールの方向のばらつきが増加するためである。
実験例43は、フランジ角度θ1が50°であり、請求項2の規定のうち、15°≦θ1≦50°の範囲内であるが、稜線RLが無いため、請求項1の規定を満たさないものである。
したがって、初速102、方向性95、飛距離102、耐久性90、合計389であり、初速、飛距離が実験例41より改善されるものの、方向性、耐久性が実験例41より低下している。
これは、稜線RLが視認不能であるため、ゴルフクラブヘッド10のフェース面14Aを目標点に向けて構える際に、構えにくくなり、打ち出したボールの方向のばらつきが増加するためである。
また、フランジ角度θ1が上限値である50°であるため、第1境界点K1に対応するヘッド本体12の部分(フェース面14Aとクラウン面16Aとの境目)の強度がやや低下するためである。
実験例44は、フランジ角度θ1が15°であり、請求項2の規定のうち、15°≦θ1≦50°の範囲内であり、稜線RLが視認可能であり、請求項2の規定を満たしている。
したがって、初速108、方向性108、飛距離107、耐久性100、合計423であり、初速、方向性、飛距離の評価が実験例41を上回っている。
実験例45は、フランジ角度θ1が50°であり、請求項2の規定のうち、15°≦θ1≦50°の範囲内であり、稜線RLが視認可能であり、請求項2の規定を満たしている。
したがって、初速105、方向性108、飛距離102、耐久性106、合計421であり、全ての評価が実験例41を上回っている。
実験例46は、フランジ角度θ1が10°であり、請求項2の規定のうち、15°≦θ1≦50°の範囲を下回っており、稜線RLが有るが、請求項2の規定を満たさないものである。
したがって、初速102、方向性102、飛距離101、耐久性100、合計405であり、初速、方向性、飛距離の評価が実験例41より改善されているものの、初速、飛距離の評価は実験例44、45に比較して低い。
これは、変曲点H(稜線RL)は存在するものの、フランジ角度θ1が小さいため打球時に変曲点H(稜線RL)を含むクラウン部16の部分の変形量を確保する上で不利となるためである。
実験例47は、フランジ角度θ1が55°であり、請求項2の規定のうち、15°≦θ1≦50°の範囲を上回っており、稜線RLが有るが、請求項2の規定を満たさないものである。
したがって、初速101、方向性102、飛距離101、耐久性89、合計393であり、初速、方向性、飛距離の評価が実験例41より改善されているものの、初速、飛距離の評価は実験例44、45に比較して低く、また、耐久性は実験例41より低下している。
これは、フランジ角度θ1が50°より大きいと、第1境界点K1に対応するヘッド本体12の部分(フェース面14Aとクラウン面16Aとの境目)の強度が低下するため、ゴルフクラブヘッド10の耐久性を確保する効果が低下するためである。また、フランジ角度θ1が50°より大きいと、ゴルファーがゴルフクラブヘッド10としての形状に違和感を感じやすくなり、スイングしにくくなり、ヘッドスピードが低下し、飛距離を確保する上で不利となるためである。
以下、各評価項目について検討する。
(1)初速
請求項1、2の規定を満たすが、請求項3、4、5を満たさない実験例44、45は、初速が108、105であり初速が最も優れている。
請求項1の規定を満たすが、請求項2〜5を満たさない実験例46、46は、初速が102、101である。
請求項1〜5の規定の全てを満たさない実験例42、43は、初速が102、102である。
したがって、請求項1、2の規定を満たすものは、請求項1、2を満たさないものに対して初速の向上を図る効果が優れている。
(2)方向性
請求項1、2の規定を満たすが、請求項3、4、5を満たさない実験例44、45は、方向性が108、108であり方向性が最も優れている。
請求項1の規定を満たすが、請求項2〜5を満たさない実験例46、46は、方向性が102、102である。
請求項1〜5の規定の全てを満たさない実験例42、43は、方向性が96、95である。
したがって、請求項1、2の規定を満たすものは、請求項1、2を満たさないものに対して方向性の向上を図る効果が優れている。
(3)飛距離
請求項1、2の規定を満たすが、請求項3、4、5を満たさない実験例44、45は、飛距離が107、102であり飛距離が最も優れている。
請求項1の規定を満たすが、請求項2〜5を満たさない実験例46、46は、飛距離が101、101である。
請求項1〜5の規定の全てを満たさない実験例42、43は、飛距離が101、102である。
したがって、請求項1、2の規定を満たすものは、請求項1、2を満たさないものに対して飛距離の向上を図る効果が優れている。
(4)耐久性
請求項1、2の規定を満たすが、請求項3、4、5を満たさない実験例44、45は、耐久性が100、106であり耐久性が最も優れている。
請求項1の規定を満たすが、請求項2〜5を満たさない実験例46、46は、耐久性が100、89である。
請求項1〜5の規定の全てを満たさない実験例42、43は、耐久性が100、90である。
したがって、請求項1、2の規定を満たすものは、請求項1、2を満たさないものに対して耐久性の向上を図る効果が優れている。
(5)合計点
請求項1、2の規定を満たすが、請求項3、4、5を満たさない実験例44、45は、合計点が423、421であり合計点が最も優れている。
請求項1の規定を満たすが、請求項2〜5を満たさない実験例46、46は、合計点が405、393である。
請求項1〜5の規定の全てを満たさない実験例42、43は、合計点が399、389である。
したがって、請求項1、2の規定を満たすものは、請求項1、2を満たさないものに対して合計点の向上を図る効果が優れている。
(フェアウェイウッド:条件2)
次に、条件2におけるフェアウェイウッドの実験例について説明する。
なお、以下に示す実験例の番号は、便宜上実験例52から付している。
図23に示すように、実験例52〜68は、条件2で実験を行ったものであり、クラウン部16の肉厚とヘッド本体12の体積、重量を一定とし、各数値を変更する。
すなわち、いずれの実験例においてもヘッド本体12の体積は165±2ccであり、重量は215±1gであり、ロフト角は15度とした。
また、いずれの実験例においてもクラウン部16の形状が下記に詳述するように異なっており、クラウン部16以外の形状は同一の形状となっている。
ヘッド本体12の材料は、SUS630合金であり、フェース部14の肉厚は、2.4±0.05mm均一肉厚とし、その他の肉厚はクラウン部16を含め1.0±0.1mm均一肉厚で製作した。
実験例41は、図22の実験例41と同一である。
実験例52は、請求項1〜5の規定の全てを満たしており、大きく変形した状態から元の位置に戻ろうとするクラウン部16の復元力を最大限利用している。
したがって、初速120、方向性138、飛距離129、耐久性133、合計点520となっており、全ての評価が実験例41に比較して優れている。
実験例53は、請求項1〜5の規定の全てを満たしており、大きく変形した状態から元の位置に戻ろうとするクラウン部16の復元力を最大限利用している。
したがって、初速122、方向性134、飛距離135、耐久性126、合計点517となっている。実験例52と比較すると、耐久性がやや低下している。
実験例54は、請求項3、4、5を満たすが請求項1、2を満たしておらず、フランジ角度θ1が12°であり、請求項2の規定の15°≦θ1≦50°の範囲を下回っている。
したがって、初速100、方向性101、飛距離101、耐久性119、合計421となっており、耐久性を除く評価が実験例41と同程度に留まっている。
これは、変曲点H(稜線RL)は存在するものの、フランジ角度θ1が小さいため打球時に変曲点H(稜線RL)を含むクラウン部16の部分の変形量を確保する上で不利となるためである。
すなわち、ゴルフボールがフェース部14に当接した際のたわみ量が少なく、ゴルフボールがフェース部14から離れる前に、第1傾斜面1602と稜線RLの近傍の第2傾斜面1604の箇所が稜線RLと共に元の位置に復帰してしまい、大きく変形した状態から元の位置に戻ろうとするクラウン部16の復元力を利用できていないためと考えられる。
実験例55は、請求項3、4、5を満たすが請求項1、2を満たしておらずフランジ角度θ1が54°であり、請求項2の規定の15°≦θ1≦50°の範囲を上回っている。
したがって、初速104、方向性102、飛距離100、耐久性97、合計403となっており、初速、飛距離は実験例41を若干上回るものの、方向性は実験例41と同程度であり、耐久性が実験例41を下回っている。
これは、フランジ角度θ1が50°より大きいため、ゴルフクラブヘッド10によるゴルフボールの打球時に第1傾斜面1602と稜線RLの近傍の第2傾斜面1604の箇所が稜線RLを上昇させるように撓んだときのたわみ量が過剰となる。
そのため、第1傾斜面1602と稜線RLの近傍の第2傾斜面1604の箇所が大きくたわんだ状態で、また、フェース部14が大きくたわんだ状態で、ゴルフボールがフェース部14から離れ、大きく変形した状態から元の位置に戻ろうとするクラウン部16の復元力をほとんど利用することができないためである。つまり、ゴルフボールがフェース部14から離れる際にヘッド本体12の変形が残ったままとなり、エネルギーロスが生じているためである。
また、フランジ角度θ1が50°より大きいと、第1境界点K1に対応するヘッド本体12の部分(フェース面14Aとクラウン面16Aとの境目)の強度が低下するため、ゴルフクラブヘッド10の耐久性を確保する効果が低下するためである。また、フランジ角度θ1が50°より大きいと、ゴルファーがゴルフクラブヘッド10としての形状に違和感を感じやすくなり、スイングしにくくなり、ヘッドスピードが低下し、飛距離を確保する上で不利となるためである。
さらに、撓みすぎるということは、応力も大きくなるため、耐久性も低下する。
実験例56は、請求項1〜5の規定を全て満たしており、フランジ角度θ1が17°であり、フランジ角度θ1が請求項2の規定の15°≦θ1≦50°の範囲の下限値近傍の値である。
したがって、初速113、方向性122、飛距離118、耐久性124、合計477となっており、全ての評価が実験例41に比較して優れている。
実験例57は、請求項1〜5を全て満たしており、フランジ角度θ1が48°であり、フランジ角度θ1が請求項2の規定の15°≦θ1≦50°の範囲の上限値近傍の値である。
したがって、初速121、方向性115、飛距離132、耐久性111、合計479となっており、全ての評価が実験例41に比較して優れている。
実験例58は、請求項4、5は満たしているが、請求項1、2、3を満たしておらず、変曲点角度θ2が0.4°であり、請求項3の規定の1°≦θ2≦15°の範囲を下回っており、また、曲率半径の比RA/RBが0.80であり、請求項3の規定の0.04≦比RA/RB≦0.35の範囲を上回っている。
したがって、初速101、方向性92、飛距離103、耐久性124、合計420となっており、方向性が実験例41を下回っている。これは、稜線RLが視認不能であるため、ゴルフクラブヘッド10のフェース面14Aを目標点に向けて構える際に、構えにくくなり、打ち出したボールの方向のばらつきが増加するためである。
実験例59は、請求項1〜3、5は満たしているが、請求項4を満たしておらず、稜線RLの長さD1がヘッド長さHLの18%であり、請求項4の20%以上であるという規定を下回っている。
したがって、初速103、方向性111、飛距離103、耐久性123、合計440となっており、全ての評価が実験例41に比較して優れているものの、実験例52、53に比較すると低い評価となっている。
これは、稜線RLの寸法D1がヘッド長さHLの20%未満であるため、打球時における変曲点H(稜線RL)を含むクラウン部16の部分に応力が集中する効果が低下することでフェース部14寄りのクラウン部16の部分の変形量が低下し、フェース部14のたわみ量が低下するため、初速および飛距離の向上を図る効果が低下するためである。
実験例60は、請求項1〜5の全てを満たし、稜線RLの長さD1がヘッド長さHLの100%であり、請求項4の20%以上であるという規定を満足している。
したがって、初速122、方向性135、飛距離134、耐久性120、合計511となっており、耐久性が実験例59と同程度であり、残りの評価が実験例59に比較して優れている。
これは、稜線RLの寸法D1がヘッド長さHLの100%であるため、打球時における変曲点H(稜線RL)を含むクラウン部16の部分に応力が集中する効果が確保されることでフェース部14寄りのクラウン部16の部分の変形量が確保され、フェース部14のたわみ量が確保されるため、初速および飛距離の向上を図る効果が奏されるためである。また、方向性の評価が実験例59より良いのは、稜線RLの長さD1が長いため、ゴルフクラブヘッド10のフェース面14Aを目標点に向けて構える際に、構えやすく、打ち出したボールの方向のばらつきが若干抑制されるためである。
しかし、耐久性に関しては、実験例52と比較すると若干変形量が大きく、応力大のため低下している。
実験例61は、請求項1〜4を満たしているが、請求項5を満たしておらず、第1境界点K1から変曲点Hまでの距離D2がヘッド幅HWの4.2%であり、請求項5の規定の5%以上15%以下の範囲を下回っている。
したがって、初速110、方向性119、飛距離115、耐久性104、合計448となっており、全ての評価が実験例41に比較して優れているものの、実験例52、53に比較すると、方向性がやや低い評価となっている。
これは、境界線Lfcと稜線RLとの距離D2がヘッド幅HWに対して小さすぎるため、すなわち、稜線RLがフェース部14に近すぎるため、ゴルファーに違和感を感じさせない効果が低下するためである。
また、境界線Lfcと稜線RLとの距離D2が小さすぎるので、応力は稜線RL近辺に集中しやすく、適度な変形がしにくく、初速が、実験例52と比較するとやや低い値となっていて、耐久性が低い値となっている。
実験例62は、請求項1〜4を満たしているが、請求項5を満たしておらず、第1境界点K1から変曲点Hまでの距離D2がヘッド幅HWの16.8%であり、請求項5の5%以上15%以下の範囲を上回っている。
したがって、初速107、方向性115、飛距離111、耐久性124、合計457となっており、全ての評価が実験例41に比較して優れているものの、実験例52、53に比較すると、方向性が低い評価となっている。
これは、境界線Lfcと稜線RLとの距離D2がヘッド幅HWに対して大きすぎるため、すなわち、稜線RLがフェース部14から遠すぎるため、ゴルファーに違和感を感じさせない効果が低下するためである。
また、境界線Lfcと稜線RLとの距離D2が大きすぎるので、応力は稜線RL近辺に集中しにくく、適度な変形がしにくく、初速が、実験例52と比較するとやや低い値となっている。
実験例63は、請求項1〜5を満たしているが、第1境界点K1から変曲点Hまでの距離D2がヘッド幅HWの6%であり、請求項5の規定の5%以上15%以下の範囲の下限値近傍の値である。
したがって、初速119、方向性121、飛距離119、耐久性115、合計474となっており、全ての評価が、距離D2がヘッド幅HWの5%以上15%以下の範囲を下回った実験例61に比較して優れている。
これは、D2が適切な範囲内の下限値近傍なので、適度な応力が稜線RL近辺に集中し、適度な変形をし、初速・飛距離・耐久性・方向性が確保できるためである。
実験例64は、請求項1〜5を満たしているが、第1境界点K1から変曲点Hまでの距離D2がヘッド幅HWの14%であり、請求項5の5%以上15%以下の範囲の上限値近傍の値である。
したがって、初速111、方向性119、飛距離115、耐久性128、合計473となっており、全ての評価が、距離D2がヘッド幅HWの5%以上15%以下の範囲を上回った実験例62に比較して優れている。
これは、D2が適切な範囲内の上限値近傍なので、適度な応力が稜線RL近辺に集中し、適度な変形をし、初速・飛距離・耐久性・方向性が確保できるためである。
実験例65は、請求項1、2、4、5を満たしているが、変曲点角度θ2が0.7°であり、請求項3の規定の1°≦変曲点角度θ2≦15°という範囲を下回っている。また、第3交点P3の曲率半径RBに対する変曲点Hの曲率半径RAの比RA/RBが0.50であり、請求項2の0.04≦比RA/RB≦0.35以下という範囲を上回っている。
したがって、初速108、方向性101、飛距離116、耐久性119、合計444となっており、方向性の評価が実験例41と同等に留まっている。
これは、稜線RLの視認性を確保する効果が低下するため、ゴルクラブヘッド10で打ち出したボールの方向のばらつきを抑制する効果が低下するからである。
実験例66は、請求項1、2、4、5を満たしているが、請求項3を満たしておらず、変曲点角度θ2が17°であり、請求項3の規定の1°≦変曲点角度θ2≦15°という範囲を上回っている。また、第3交点P3の曲率半径RBに対する変曲点Hの曲率半径RAの比RA/RBが0.03であり、請求項3の規定の0.04≦比RA/RB≦0.35以下という範囲を下回っている。
したがって、初速110、方向性101、飛距離110、耐久性105、合計426となっており、方向性の評価が実験例41と同等に留まり、残りの評価が実験例41よりも優れている。
これは、変曲点角度θ2が15°より大きいため、稜線RLの前後でクラウン面16Aの高低差が大き過ぎることから、構えやすさを確保する効果が低下し、ゴルクラブヘッド10で打ち出したボールの方向のばらつきを抑制する効果が低下するためである。
また、実験例66では、比RA/RBが0.04未満であるため、変曲点Hに加わる応力が集中しやすいため、ゴルフクラブヘッド10の耐久性を確保する効果が実験例52、53よりも低下している。
また、実験例66では、初速、飛距離が実験例52よりも低下している。
これは、変曲点角度θ2が15°より大きいため、ゴルフクラブヘッド10によるゴルフボールの打球時に第1傾斜面1602と稜線RLの近傍の第2傾斜面1604の箇所が稜線RLを上昇させるように撓むたわみ量が過剰となる。
そのため、ゴルフボールがフェース部14から離れる際に、第1傾斜面1602と稜線RLの近傍の第2傾斜面1604の箇所およびフェース部14が元の位置に復帰しにくくなり、大きく変形した状態から元の位置に戻ろうとするクラウン部16の復元力を最大限に利用する効果が低下し、ゴルフボールがフェース部14から離れる際にヘッド本体12の変形が残ったままとなり、エネルギーロスが生じているためである。
実験例67は、請求項1〜5の全てを満たしているが、変曲点角度θ2が1.2°であり、請求項3の1°≦変曲点角度θ2≦15°という範囲の下限値近傍の値となっている。また、第3交点P3の曲率半径RBに対する変曲点Hの曲率半径RAの比RA/RBが0.14であり、請求項2の0.04≦比RA/RB≦0.35以下という範囲内である。
したがって、初速115、方向性128、飛距離121、耐久性130、合計494となっており、全ての評価が実験例41よりも優れており、また、変曲点角度θ2の規定、比RA/RBの規定を満足しない実験例65、66に比較して特に方向性の評価が優れている。
実験例68は、請求項1〜5の全てを満たしているが、変曲点角度θ2が14.8°であり、請求項3の規定の1°≦変曲点角度θ2≦15°という範囲の上限値近傍の値となっている。また、第3交点P3の曲率半径RBに対する変曲点Hの曲率半径RAの比RA/RBが0.33であり、請求項2の0.04≦比RA/RB≦0.35以下という範囲の上限値近傍の値である。
したがって、初速116、方向性125、飛距離124、耐久性130、合計495となっており、全ての評価が実験例41よりも優れており、また、変曲点角度θ2の規定、比RA/RBの規定を満足しない実験例65、66に比較して特に方向性の評価が優れている。
以下、各評価項目について検討する。
(1)初速
請求項1から5の規定の全てを満たす実験例52、53、56、57、60、63、64、67、68は、初速が111〜122であり初速が最も優れている。
請求項1、2、4、5の規定を満たすが請求項4の規定を満たさない実験例59は、初速が103である。
請求項1から4の規定を満たすが請求項5の規定を満たさない実験例61、62は初速が110、107である。
請求項1、2、4、5の規定を満たすが請求項3の規定を満たさない実験例65、66は初速が108、110である。
したがって、請求項1〜5の規定の全てを満たすものは、請求項2、3、4、5のうちの何れか1つの請求項を満たさないものに対して初速の向上を図る効果が優れている。
(2)方向性
請求項1から5の規定の全てを満たす実験例52、53、56、57、60、63、64、67、68は、方向性が115〜138であり方向性が最も優れている。
請求項1、2、4、5の規定を満たすが請求項4の規定を満たさない実験例59は、方向性が111である。
請求項1から4の規定を満たすが請求項5の規定を満たさない実験例61、62は方向性が119、115である。
請求項1、2、4、5の規定を満たすが請求項3の規定を満たさない実験例65、66は方向性が101、101である。
したがって、請求項1の規定を満たすものは、請求項1を満たさないものに対して方向性の向上を図る効果が優れ、また、請求項1に加え請求項2、3、4、5の規定のうちの何れか1つの請求項を満たすものは、請求項1の規定のみを満たすものものに対して方向性の向上を図る効果が優れている。
(3)飛距離
請求項1から5の規定の全てを満たす実験例52、53、56、57、60、63、64、67、68は、飛距離が115〜135であり飛距離が最も優れている。
請求項1、2、4、5の規定を満たすが請求項4の規定を満たさない実験例59は、飛距離が103である。
請求項1から4の規定を満たすが請求項5の規定を満たさない実験例61、62は飛距離が115、111である。
請求項1、2、4、5の規定を満たすが請求項3の規定を満たさない実験例65、66は飛距離が116、110である。
したがって、請求項1〜5の規定の全てを満たすものは、請求項2、3、4、5のうちの何れか1つの請求項を満たさないものに対して飛距離の向上を図る効果が優れている。
(4)耐久性
請求項1から5の規定の全てを満たす実験例52、53、56、57、60、63、64、67、68は、耐久性が111〜133であり耐久性が最も優れている。
請求項1、2、4、5の規定を満たすが請求項4の規定を満たさない実験例59は、耐久性が123である。
請求項1から4の規定を満たすが請求項5の規定を満たさない実験例61、62は耐久性が104、124である。
請求項1、2、4、5の規定を満たすが請求項3の規定を満たさない実験例65、66は耐久性が119、105である。
したがって、請求項1〜5の規定の全てを満たすものは、請求項2、3、4、5のうちの何れか1つの請求項を満たさないものに対して耐久性の向上を図る効果が優れている。
(5)合計点
請求項1から5の規定の全てを満たす実験例52、53、56、57、60、63、64、67、68は、合計点が473〜520であり合計点が最も優れている。
請求項1、2、4、5の規定を満たすが請求項4の規定を満たさない実験例59は、合計点が440である。
請求項1から4の規定を満たすが請求項5の規定を満たさない実験例61、62は合計点が448、457である。
請求項1、2、4、5の規定を満たすが請求項3の規定を満たさない実験例65、66は合計点が444、426である。
したがって、請求項1〜5の規定の全てを満たすものは、請求項2、3、4、5のうちの何れか1つの請求項を満たさないものに対して合計点の向上を図る効果が優れている。
(フェアウェイウッド:条件3)
次に、条件3におけるフェアウェイウッドの実験例について説明する。
図24に示すように、実験例69〜72は上記条件3で実験を行ったものであり、ヘッド本体12の体積と他の数値とを同一とし、クラウン部16の肉厚を変更する。したがって、ヘッド本体12の重量は一定の範囲で変化する。
すなわち、いずれの実験例においてもヘッド本体12の体積は165±2ccであり、重量は215±2gであり、ロフト角は15度とした。
また、いずれの実験例においても第1境界点K1から変曲点Hまでのクラウン部16の形状および肉厚、変曲点Hから第4交点P4までのクラウン部16の形状および肉厚が下記に詳述するように異なっており、その他のクラウン部16の箇所とクラウン部16以外の箇所の形状、肉厚は同一の形状、同一の値となっている。
ヘッド本体12の材料は、SUS630合金であり、フェース部14の肉厚は、2.4mm±0.05mm均一肉厚で、第1境界点K1から変曲点Hまでのクラウン部16の肉厚および変曲点Hから第4交点P4までのクラウン部16の肉厚以外は、1.0mm±0.1mm均一肉厚で製作した。
なお、図24において比較例とした実験例52は、図23の実験例52であり、クラウン部16の肉厚が1.0mmで均一となっている。
図24においては、この実験例52の各評価点を100とし、この実験例52の評価点に基いて実験例69〜72の評価を行っている。
また、実験例52、69〜72において以下の数値、構成は同一としている。
フランジ角度θ1=30.0°
稜線RLが有る。
稜線RLの長さD1=45.0%
第1境界点K1から変曲点Hまでの距離D2=10.0%
変曲点角度θ2=4.0°
曲率半径比RA/RB=0.20
実験例69〜71は、本発明の請求項1−6の規定の全てを満たしている。
また、実験例72は、本発明の請求項1−5の規定を満たすものの、請求項6の規定を満たさない。
実験例69は、請求項1−6の規定の全てを満たしており、第1境界点K1から変曲点Hまでのクラウン部16の肉厚の加重平均値Δd1が1.1mmであり、変曲点Hから第4交点P4までのクラウン部16の肉厚の加重平均値Δd2が0.7mmであり、加重平均値Δd1>加重平均値Δd2であるという請求項6の規定を満たしている。
したがって、初速119、方向性112、飛距離125、耐久性105、合計461となっており、全ての評価が実験例52よりも優れている。
実験例70は、請求項1−6の規定の全てを満たしており、第1境界点K1から変曲点Hまでのクラウン部16の肉厚の加重平均値Δd1が1.8mmであり、変曲点Hから第4交点P4までのクラウン部16の肉厚の加重平均値Δd2が1.2mmであり、加重平均値Δd1>加重平均値Δd2であるという請求項6の規定を満たしている。
したがって、初速105、方向性107、飛距離109、耐久性111、合計432となっており、初速、飛距離が実験例69よりも低下し、耐久性は実験例69よりも向上している。
これは、肉厚の加重平均値Δd1、Δd2が実験例69よりも厚めに設計されているため、打球時における変曲点H(稜線RL)を含むクラウン部16の部分に応力が集中する効果が確保されるがたわみ量がやや少なくなり、耐久性の向上を図る効果は確保されるためである。
実験例71は、請求項1−6の規定の全てを満たしており、第1境界点K1から変曲点Hまでのクラウン部16の肉厚の加重平均値Δd1が0.8mmであり、変曲点Hから第4交点P4までのクラウン部16の肉厚の加重平均値Δd2が0.5mmであり、加重平均値Δd1>加重平均値Δd2であるという請求項6の規定を満たしている。
したがって、初速131、方向性103、飛距離130、耐久性96、合計460となっており、実験例69に比較して初速、飛距離が向上し、耐久性が低下している。
これは、肉厚の加重平均値Δd1、Δd2が実験例69よりも薄めに設計されているため、打球時における変曲点H(稜線RL)を含むクラウン部16の部分に応力が集中する効果を確保されるがたわみ量がやや大きくなり、耐久性の向上を図る効果が低減されるためである。
実験例72は、請求項1−5の規定を満たしているが、請求項6の規定を満たしておらず、第1境界点K1から変曲点Hまでのクラウン部16の肉厚の加重平均値Δd1が0.7mmであり、変曲点Hから第4交点P4までのクラウン部16の肉厚の加重平均値Δd2が1.1mmであり、加重平均値Δd1>加重平均値Δd2であるという請求項6の規定を満たしていない。
したがって、初速104、方向性104、飛距離103、耐久性91、合計402となっており、実験例69〜71に比較してすべての評価が低下している。
これは、加重平均値Δd1>加重平均値Δd2ではないため、打球時における変曲点H(稜線RL)を含むクラウン部16の部分に応力が集中しすぎて、適正なたわみを確保できない。言い換えると、たわみ量が過大のためであり、初速向上、耐久性の向上を図る効果が低下するためである。
以下、各評価項目について検討する。
(1)初速
本発明の請求項1から6の規定の全てを満たす実験例69〜71は、初速が105〜131であり初速が最も優れている。
本発明の請求項1から5の規定を満たすが請求項6の規定を満たさない実験例72は初速が104である。
したがって、本発明の請求項1〜6の規定の全てを満たすものは、本発明の請求項6の規定を満たさないものに対して初速の向上を図る効果が優れている。
(2)方向性
本発明の請求項1から6の規定の全てを満たす実験例69〜71は、方向性が103〜112であり方向性が最も優れている。
本発明の請求項1から5の規定を満たすが請求項6の規定を満たさない実験例72は方向性が104である。
したがって、本発明の請求項1〜6の規定の全てを満たすものは、請求項1から5の規定を満たすが請求項6の規定を満たさないものに対して方向性の向上を図る効果が優れている。
(3)飛距離
本発明の請求項1から6の規定の全てを満たす実験例69〜71は、飛距離が109〜130であり飛距離が最も優れている。
本発明の請求項1から5の規定を満たすが請求項6の規定を満たさない実験例72は飛距離が103である。
したがって、本発明の請求項1〜6の規定の全てを満たすものは、請求項1から5の規定を満たすが請求項6の規定を満たさないものに対して飛距離の向上を図る効果が優れている。
(4)耐久性
本発明の請求項1から6の規定の全てを満たす実験例69〜71は、耐久性が96〜111であり耐久性が最も優れている。
本発明の請求項1から5の規定を満たすが請求項6の規定を満たさない実験例72は耐久性が91である。
したがって、本発明の請求項1〜6の規定の全てを満たすものは、請求項1から5の規定を満たすが請求項6の規定を満たさないものに対して耐久性の向上を図る効果が優れている。
(5)合計点
本発明の請求項1から6の規定の全てを満たす実験例69〜71は、合計点が432〜461であり合計点が最も優れている。
本発明の請求項1から5の規定を満たすが請求項6の規定を満たさない実験例72は合計点が402である。
したがって、本発明の請求項1〜6の規定の全てを満たすものは、請求項1から5の規定を満たすが請求項6の規定を満たさないものに対して合計点の向上を図る効果が優れている。
(フェアウェイウッド:条件4)
次に、条件4におけるフェアウェイウッドの実験例について説明する。
図25に示すように、実験例41、52、73A、73B、74A、74Bは、上記条件3で実験を行ったものであり、クラウン部16の肉厚と各数値とを同一とし、ヘッド本体12の体積を変更する。したがって、ヘッド本体12の重量は一定の範囲で変化する。また、ロフト角は15度とした。
ヘッド本体12の材料は、SUS630合金であり、フェース部14の肉厚は、2.4±0.05mm均一肉厚とし、クラウン部16を含むその他の肉厚は、1.0±0.1mm均一肉厚で製作した。
なお、実験例73A、74Aは、比較例であり、実験例41と同じように、クラウン部16に膨出部を設けた従来技術(特許第5882522号公報)と同様に構成したものであり、本発明で規定する変曲点H、稜線RLを有さず、したがって、本発明の請求項1の規定を満たさないものである。
また、実験例73A、74Aは、体積のみが異なっており、その他の形状、肉厚は、実験例1と同一である。
すなわち、実験例73A、74Aは、実験例73B、74Bのそれぞれに対応する比較例であり、各評価点を100とするものである。(多少の体積が変わっても同じ評価であることを意味する)
図25に示す実験例41、実験例52は、前述した図23の実験例41、実験例52と同一である。
また、実験例52、73B、74Bにおいて以下の数値、構成は同一としている。
フランジ角度θ1=30.0°
稜線RLが有る。
稜線RLの長さD1=45.0%
第1境界点K1から変曲点Hまでの距離D2=10.0%
変曲点角度θ2=4.0°
曲率半径比RA/RB=0.20
また、実験例73B、74Bは、本発明の請求項1−5の規定の全てを満たすものである。
実験例73Bは、体積が120ccであり、初速119、方向性141、飛距離131、耐久性133、合計点524である。
実験例74Bは、体積が116ccであり、初速120、方向性140、飛距離129、耐久性132、合計点521である。
したがって、体積のみを変化させた実験例73B、74Bは、全ての評価が実験例52と同程度であり、請求項1−5の規定の全てを満たすものであれば、体積に拘わらず、同様の作用効果が奏されることが明らかである。
なお、フェアウェイウッドとユーティリティとでは体積、重量、形状の差異がそれほど変わらないため、フェアウェイウッドの実験例によりユーティリティについても同等の評価がなされたものと考える。
また、本発明は、中空部を有するドライバー、中空部を有するフェアウェイウッド、中空部を有するユーテリティなどの様々な中空部を有するゴルフクラブヘッドに適用されることは無論のことである。
さらに、本発明は、このようなゴルフクラブヘッド10を備えるゴルフクラブに適用される。
100 ゴルフクラブ
10 ゴルフクラブヘッド
12 ヘッド本体
14 フェース部
14A フェース面
16 クラウン部
16A クラウン面
18 ソール部
20 サイド部
22 トウ
24 ヒール
26 フェースバック
28 中空部
HP 水平面
Pc フェース面の中心点
Pfc フェース中心基準断面
Pf フェース基準断面
Pt 第1平面
Ph 第2平面
P1 第1交点
P2 第2交点
P3 第3交点
P4 第4交点
K1 第1境界点
H 変曲点
θ1 フランジ角度
θ2 変曲点角度
RA 変曲点の曲率半径
RB クラウン面の曲率半径
RL 稜線
Lfc 境界線
HL ヘッド長さ
HW ヘッド幅

Claims (7)

  1. 上下の高さを有して左右に延在するフェース部と、前記フェース部の上部から後方に延在するクラウン部と、前記フェース部の下部から後方に延在するソール部と、前記クラウン部と前記ソール部の間で前記フェース部のトウ側縁とヒール側縁との間をフェースバックを通って延在するサイド部とを含むヘッド本体を備え、それらフェース部とクラウン部とソール部とサイド部とで囲まれた内部が中空部であるゴルフクラブヘッドであって、
    前記フェース部寄りの前記クラウン部上に、前記フェース部の上部から上方に変位しつつ後方に延在する第1傾斜面と、前記第1傾斜面の後端に続き下方に変位しつつ後方に延在する第2傾斜面とが形成されることで、それら第1傾斜面と第2傾斜面との境の箇所にトウヒール方向に延在する稜線が形成され、
    前記ゴルフクラブヘッドによるゴルフボールの打球時、前記ゴルフボールが前記フェース部に当接した際に前記第1傾斜面と前記稜線の近傍の前記第2傾斜面の箇所が前記稜線を上昇させるように撓むことで前記フェース部が前記フェースバック側にたわみ、前記ゴルフボールが前記フェース部から離れる際に、前記第1傾斜面と前記稜線の近傍の前記第2傾斜面の箇所が前記稜線と共に元の位置に復帰することで前記フェース部が元の位置に復帰する、
    ことを特徴とするゴルフクラブヘッド。
  2. 前記ゴルフクラブヘッドを水平面に対して予め定められたライ角およびロフト角通りに設置した基準状態において、フェース面の中心点を通る法線を含みかつ前記水平面と直交する平面で前記ヘッド本体を破断した断面をフェース中心基準断面とし、
    前記フェース中心基準断面と平行し前記フェース中心基準断面からトウ方向に10mm離れた平面を第1平面とし、
    前記フェース中心基準断面と平行し前記フェース中心基準断面からヒール方向に10mm離れた平面を第2平面とし、
    前記第1平面から前記第2平面までの範囲内で前記フェース中心基準断面と平行する任意の平面で前記ヘッド本体を破断した断面をフェース基準断面とし、
    前記フェース基準断面において、前記フェース面の上端とクラウン面の前端との境界点を第1境界点K1とし、
    前記フェース基準断面において、前記第1境界点K1を含み前記水平面と平行する平面上で前記第1境界点K1からフェースバック方向に5mm離れた点を通り前記水平面と直交する直線と前記クラウン面との交点を第1交点P1とし、
    前記第1境界点K1と前記第1交点P1とを結ぶ直線が前記水平面に対してなす角度をフランジ角度θ1としたとき、
    前記フランジ角度θ1が15°以上50°以下であり、
    前記フェース基準断面において、前記第1交点P1から前記フェースバック方向に離れた前記クラウン面の箇所に変曲点Hが形成され、
    前記フェース基準断面において、前記第1傾斜面は、前記第1交点P1と前記変曲点Hとの間を延在し、
    前記フェース基準断面において、前記第2傾斜面は、前記変曲点Hから前記フェースバック方向に延在し、
    前記変曲点Hの曲率半径は、前記第1交点P1と前記変曲点Hとの間に位置する前記クラウン面の曲率半径よりも小さい値であり、
    前記稜線は、前記基準状態で、前記ヘッド本体を平面視したときに、前記変曲点Hがトウヒール方向に連続することにより前記クラウン面上にトウヒール方向に延在する、
    ことを特徴とする請求項1記載のゴルフクラブヘッド。
  3. 前記基準状態で、前記フェース基準断面において、前記変曲点Hを含み前記水平面と平行する平面上で前記変曲点Hからフェースバック方向に5mm離れた点を通り前記水平面と直交する直線と、前記クラウン面との交点を第2交点P2とし、
    前記変曲点Hと前記第2交点P2とを結ぶ直線と前記水平面とがなす角度を変曲点角度θ2としたとき、
    前記変曲点角度θ2は1°以上15°以下であり、
    前記基準状態で、前記フェース基準断面において、前記変曲点Hを含み前記水平面と平行する平面上で前記変曲点Hから前記フェース部方向に1mm離れた点を通り前記水平面と直交する直線と、前記クラウン面との交点を第3交点P3としたとき、
    前記第3交点P3の曲率半径RBに対する前記変曲点Hの曲率半径RAの比RA/RBが0.04以上0.35以下である、
    ことを特徴とする請求項2記載のゴルフクラブヘッド。
  4. 前記基準状態で、前記ヘッド本体を平面視したときに、前記フェース面の上端と前記クラウン面の前端との境界線が形成されると共に、前記稜線は、前記境界線に対して略平行に延在し、
    前記基準状態で、前記ヘッド本体を前記フェース面の前方から見たとき前記水平面に対して22.23mm上方に位置するヒール側の箇所から最もトウ側に位置する端部までの距離を前記水平面に投影した寸法をトウヒール方向のヘッド長さHLとしたとき、
    前記基準状態で、前記ヘッド本体を平面視したときに、前記稜線は前記フェース中心基準断面と交差し、かつ、前記稜線を前記水平面に投影した前記稜線の寸法は、前記ヘッド長さHLの20%以上である、
    ことを特徴とする請求項2または3記載のゴルフクラブヘッド。
  5. 前記基準状態で、前記フェース基準断面において、前記ヘッド本体のリーディングエッジから前記ヘッド本体の後端までの距離を前記水平面に投影した寸法をヘッド幅HWとしたとき、
    前記第1境界点K1と前記変曲点Hとを前記水平面に投影したときの前記第1境界点K1から前記変曲点Hまでの距離は、前記ヘッド幅HWの5%以上15%以下である、
    ことを特徴とする請求項2から4の何れか1項記載のゴルフクラブヘッド。
  6. 前記基準状態で、前記フェース基準断面において、前記変曲点Hを含み前記水平面と平行する平面上で前記変曲点Hから前記フェース部方向に15mm離れた点を通り前記水平面と直交する直線と前記クラウン面との交点を第4交点P4としたとき、
    前記第1境界点K1から前記変曲点Hまでの前記クラウン部の肉厚の加重平均値が、前記変曲点Hから前記第4交点P4までの前記クラウン部の肉厚の加重平均値よりも大きい値である、
    ことを特徴とする請求項2から5の何れか1項記載のゴルフクラブヘッド。
  7. 請求項1から6の何れか1項記載のゴルフクラブヘッドを有するゴルフクラブ。
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