JP6256556B2 - 中空ゴルフクラブヘッド - Google Patents
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Description
特許文献1から3には、中空ゴルフクラブヘッドにおいて、フェース部寄りのソール部の部分に凹部(弾性変形部)を形成すると共に、凹部の後方におけるソール部の内面(裏面)の部分にウェイト部(高弾性部)を設けることが開示されている。
上記技術によれば、打球時における凹部の変形を促進してフェース部をたわみ易くしている。
そのため、打球時にフェース部のロフト角が小さくなる方向に変位することによって打球の打ち出し角が低下するため、飛距離の向上を図る上で改善の余地がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、打球の打ち出し角の低下を抑制しつつ打球の飛距離の向上を図る上で有利なゴルフクラブヘッドを提供することにある。
請求項2記載の発明は、前記フェース部基準断面において前記前側境界点と前記内側境界点との間に、前記ウェイト部の一部と、前記薄肉部とが位置し、前記薄肉部は前記ウェイト部よりも前記フェース部側に位置していることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、前記フェース部基準断面において前記ソール部境界点と前記後側境界点との間の前記ソール部の肉厚の加重平均値のうち、前記前側境界点と前記内側境界点との間に位置する前記薄肉部の肉厚の加重平均値が最も小さいことを特徴とする。
請求項4記載の発明は、前記水平面および前記フェース部基準断面と直交し前記ソール部境界点を通る平面を第3平面とし、前記第3平面と平行し前記後側境界点を通る平面を第4平面とし、前記フェース部基準断面と平行し前記フェース部基準断面からトウ側に40mm離間した箇所に位置する平面を第5平面とし、前記フェース部基準断面と平行し前記フェース部基準断面からヒール側に40mm離間した箇所に位置する平面を第6平面としたとき、前記第3平面と前記第4平面と前記第5平面と前記第6平面とで囲まれた矩形範囲内に位置する前記重量体領域の質量が前記ヘッド本体の質量の5%以上50%以下であることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、前記フェース部基準断面において前記ソール部境界点と前記前側境界点とを結ぶ直線を前記水平面に投影したときの前記直線の距離が5mm以上15mm以下であることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、前記フェース部基準断面において前記前側境界点と前記内側境界点とを結ぶ直線と前記水平面とがなす第2角度θ2が10°以上45°以下であることを特徴とする。
請求項7記載の発明は、前記フェース部基準断面において前記ソール部境界点の前記水平面からの高さをソール部境界点高さとしたとき、前記中空ゴルフクラブヘッドの体積が400cc以上の場合、前記ソール部境界点高さは15mm以下であり、前記中空ゴルフクラブヘッドの体積が300cc以下の場合、前記ソール部境界点高さは8mm以下であることを特徴とする。
請求項8記載の発明は、前記フェース部基準断面において前記前側境界点と前記後側境界点とを結ぶ直線の距離を凹部幅としたとき、前記凹部幅が5mm以上40mm以下であり、前記フェース部基準断面において前記直線から前記ソール部のソール面に延ばした最も長い垂線の長さを凹部深さとしたとき、前記凹部深さが2mm以上30mm以下であることを特徴とする。
請求項9記載の発明は、前記フェース部基準断面と平行し前記フェース部基準断面からトウ側に15mm離間した箇所に位置する平面を第7平面とし、前記フェース部基準断面と平行し前記フェース部基準断面からヒール側に15mm離間した箇所に位置する平面を第8平面としたとき、前記凹部および前記ウェイト部は、少なくとも前記第7平面と前記第8平面との間でトウヒール方向にわたって延在していることを特徴とする。
したがって、打球時にウェイト部に作用する慣性力により、ソール部のうちソール部境界点と前側境界点との間の部分がフェース部の前方に向かって斜め下方に膨らむように変形する。
そのため、打球時にフェース部のたわみを大きくし、なおかつ打球時のロフト角が小さくなることが抑えられるため、打球の打ち出し角の低下が抑えられることに加え、変形時のフェース部の端部(ソール部境界点)をソール部方向に移動させ、フェース部のクラウンソール方向のフェース長さを大きくすることができる。したがって、フェース部のたわみをさらに大きくすることができ、打球の初速を高め飛距離を確保する上で有利となる。
したがって、打球の打ち出し角の低下を抑制しつつ、打球の初速を高める上で有利となり、飛距離を確保する上で有利となる。
請求項2から請求項9記載の発明によれば、請求項1の効果を高める上で有利となる。
図1〜図3、図12に示すように、本実施の形態において、中空ゴルフクラブヘッド10は、中空のウッド型ゴルフクラブヘッドであり、ヘッド本体12を含んで構成されている。
ヘッド本体12は、主に金属材料により構成される。
前記金属材料としては、例えばステンレス鋼、マルエージング鋼、純チタン、チタン合金又はアルミニウム合金等の1種又は2種以上が用いられる。
ヘッド本体12は、フェース部14と、クラウン部16と、ソール部18と、サイド部20とを備えている。
フェース部14は、上下の高さを有して左右に延在している。
クラウン部16は、フェース部14の上部から後方に延在している。
ソール部18は、フェース部14の下部から後方に延在している。
サイド部20は、クラウン部16とソール部18の間でフェース部14のトウ22側縁とヒール24側縁との間をフェースバック26を通って延在している。
ヘッド本体12は、それらフェース部14とクラウン部16とソール部18とサイド部20とで囲まれた内部が中空部28とされた中空構造を呈している。
図8に示すように、フェース部14の外側に露出する表面がボールを打撃するフェース面14Aであり、フェース部14の中空部28に面した裏面がフェース裏面14Bとなっている。
クラウン部16の外側に露出する表面がクラウン面16Aであり、クラウン部16の中空部28に面した裏面がクラウン裏面16Bである。
クラウン部16には、フェース面14A側でかつヒール24寄りの位置にシャフトSに接続するホーゼル30が設けられている。
ソール部18の外側に露出する表面がソール面18Aであり、ソール部18の中空部28に面した裏面がソール裏面18Bとなっている。
フェース面14Aの中心点Pcは、フェース面14Aの幾何学的中心であり、中心点Pcの規定方法としては以下に例示する第1の規定方法、第2の規定方法を含め従来公知のさまざまな方法が採用可能である。
フェース面14Aと他の中空ゴルフクラブヘッド10の部分との境目が明確である場合、言い換えると、フェース面14Aの周縁が稜線によって特定される場合における中心点Pcの規定方法である。この場合はフェース面14Aが明瞭に定義されることになる。
図4〜図7はフェース面14Aの中心点Pcの規定方法を示す説明図である。
すなわち、図4に示すように、トウ22およびヒール24を結ぶ水平面HPと平行な線(以下水平線という)の概略中心点と交差する垂線f0を引く。
この垂線f0とフェース面14Aの上縁とが交差するa0点と、垂線f0とフェース面14Aの下縁とが交差するb0点の中点を仮中心点c0とする。
(4)次に図6に示すように水平線g0とフェース面14Aのトウ22側の縁とが交差するd0点と、水平線g0とフェース面14Aのヒール24側の縁とが交差するe0点の中点を仮中心点c1とする。
ここで、仮中心点c1とc2とが合致したならばその点をフェース面14Aの中心点Pcとして規定する。
仮中心点c1とc2が合致しなければ、(2)乃至(5)の手順を繰り返す。
なお、フェース面14Aは曲面を呈しているため、水平線g0の中点、垂線f0、f1の中点を求める場合の水平線g0の長さ、垂線f0、f1の長さはフェース面14Aの曲面に沿った長さを用いるものとする。
そして、フェースセンターラインCLは、中心点Pcを通りかつトウ22−ヒール24方向と直交する方向に延在する直線で定義される。
次に、フェース面14Aの周縁と他の中空ゴルフクラブヘッド10の部分との間が曲面で接続されておりフェース面14Aが明瞭に定義できない場合の中心点Pcの定義を説明する。
すなわち、中空ゴルフクラブヘッド10の重心点G0をフェース面14Aに投影した点がフェース面上重心点FGである。
ここで、図9に示すように、重心点G0とフェース面上重心点FGとを結ぶ直線Lpを含む多数の平面H1、H2、H3、…、Hnを考える。
曲率半径r0の測定に際して、フェース面14A上のフェースライン、パンチマーク等が無いものとして扱う。
曲率半径r0は、フェース面14Aの中心点Pcから外方向(図10における上方向、下方向)に向かって連続的に測定される。
そして、測定において曲率半径r0が最初に所定の値以下となる部分をフェース面14Aの周縁を表わす輪郭線Iとして定義する。
所定の値は例えば200mmである。
多数の平面H1、H2、H3、…、Hnに基づいて決定された輪郭線Iによって囲まれた領域が、図9、図10に示すように、フェース面14Aとして定義される。
直線LTは、フェース面14Aのトウ22側点PTを通過して鉛直方向に延在する。
直線LHは、フェース面14Aのヒール24側点PHを通過して鉛直方向に延在する。
直線LCは、直線LTおよび直線LHと平行である。直線LCと直線LTとの距離は、直線LCと直線LHとの距離と等しい。
符号Puは、フェース面14Aの上側点を示し、符号Pdはフェース面14Aの下側点である。上側点Puおよび下側点Pdは、いずれも直線LCと輪郭線Iとの交点である。
中心点Pcは、上側点Puと下側点Pdとを結ぶ線分の中点で定義される。
図1、図2に示すように、中空ゴルフクラブヘッド10を水平面HPに対して予め定められたライ角およびロフト角通りに設置した基準状態とする。
基準状態において、フェース面14Aの中心点Pcを通る法線を含みかつ水平面HPと直交する平面Xでヘッド本体12を破断した断面をフェース部基準断面Pfcとする。言い換えると、フェース部基準断面Pfcは、基準状態において、フェースセンターラインCLを含みかつ水平面HPと直交する平面Xでヘッド本体12を破断した断面である。
本実施の形態では、図3に示すように、凹部32の前後方向の幅は、トウヒール方向の中央部が広く、トウヒール方向の両端部が中央部よりも狭く形成されている。
また、凹部32は、フェース部14側が前方に凸状に湾曲し、フェースバック26側が後方に凸状に湾曲している。
ウェイト部34の前後方向の幅は、トウヒール方向の中央部が広く、トウヒール方向の両端部が中央部よりも狭く形成されている。
ウェイト部34は、フェース部14側が前方に凸状に湾曲し、フェースバック26側が後方に凸状に湾曲している。
図1、図12(A)に示すように、中空ゴルフクラブヘッド10を基準状態に設置し、フェース部基準断面Pfcにおいて、ソール部境界点Aを規定する。
ソール部境界点Aは、フェース部14とソール部18との境界点である。
図13に示すように、フェース部基準断面Pfcにおいて、フェース面14Aの中心点Pcからソール部18に向かって1mm間隔で3つの測定点pを規定し3つの測定点pを通る円弧の曲率半径Rを測定するとともに、この曲率半径の測定を3つの測定点pを1mmずつソール部18に近づく方向に向かって変位させつつ行なう操作を繰り返すことで曲率半径R(R=R1、R2、R3、……Rn−1、Rn、Rn+1、……)を順次測定する。
測定された曲率半径Rnをその直前に測定された曲率半径Rn−1で除した値が0.25未満となったときに、3つの測定点pのうちの中間の測定点pを第1規定点A1とする。
第1規定点A1よりも1mm分フェース面14Aの中心点Pcに近い測定点pを第2規定点A2とする。
第1規定点A1を除き、第2規定点A2を含む複数の測定点pを通る円弧の曲率半径でソール部18側に延長した曲線(円弧)を第1規定線αとする。
なお、第1規定線αを規定する複数の測定点pのうち、第2規定点A2から最もフェース面14Aの中心点Pcに近い測定点pまでの第1規定線αに沿った距離は約3〜15mmである。実際の中空ゴルフクラブヘッドでは、フェース部基準断面Pfcにおいて、上記約3mmから15mmの範囲でフェース面14Aの曲率半径はほぼ一定である。
第1規定点A1よりも1mm分ソール部18寄りの点を第3規定点A3とする。
第1規定点A1を除き、第3規定点A3を含む複数の測定点pを通る円弧の曲率半径で第1規定点A1側に延長した曲線(円弧)を第2規定線βとする。
なお、第2規定線βを規定する複数の測定点pのうち、第3規定点A3から最も離れた測定点pまでの第2規定線βに沿った距離は約3〜10mmである。実際の中空ゴルフクラブヘッドでは、フェース部基準断面Pfcにおいて、上記約3mmから10mmの範囲でソール面18Aの曲率半径はほぼ一定である。
上記の第1規定線αと第2規定線βとの交点をソール部境界点Aとする。
したがって、図13に示すように、ソール部境界点Aは、中空ゴルフクラブヘッド10の外面から外側に僅かに離れた箇所に位置している。
本実施の形態では、上述のような手順でソール部境界点Aを規定したため、ソール部境界点Aを簡単かつ確実に定める上で有利となる。
なお、ソール部境界点Aを規定するための各曲率半径を測定するためのデータ作製方法は、中空ゴルフクラブヘッド10をレーザースキャン等を用いて寸法測定を行うことにより、CADデータ(外面データ)を作成して、曲率半径を測定するなどで良い。
図12(A)、(B)、図13に示すように凹部32は、フェース部基準断面Pfcと平行する平面で切断した状態で、最もフェース部14側に位置する前側境界点Bと、最もフェースバック26側に位置する後側境界点Dと、前側境界点Bと後側境界点Dとを結んだ想像線に対してクラウンソール方向において最も離れた箇所に位置する内側境界点Cとを有している。
言い換えると、凹部32はフェース部基準断面Pfcと平行する平面で切断した状態で、最前側境界点Bと内側境界点Cとを接続する前壁3202と、内側境界点Cと後側境界点Dとを接続する後壁3204とを有している。
本実施の形態では、前側境界点B、内側境界点C、後側境界点Dは、ヘッド本体12の外面上に規定される。
フェース部基準断面Pfcと平行する平面で切断した状態で凹部32よりも前方のソール部18の箇所からフェースバック26方向に向かって1mm間隔で3つの測定点pを規定し3つの測定点pを通る円弧の曲率半径Rを測定するとともに、この曲率半径の測定を3つの測定点pを1mmずつフェースバック26方向に向かって変位させつつ行なう操作を繰り返すことで曲率半径R(R=R1、R2、R3、……Rn−1、Rn、Rn+1、……)を順次測定する。
測定された曲率半径Rnの値が最小値となったとき、3つの測定点pのうちの中間の測定点pを前側境界点Bとする。
また、フェース部基準断面Pfcと平行する平面で切断した状態で前側境界点Bからフェース部14方向に向かって1mm間隔で3つの測定点pを規定し3つの測定点pを通る円弧の曲率半径Rを測定するとともに、この曲率半径の測定を3つの測定点pを1mmずつフェース部14方向に向かって変位させつつ行なう操作を繰り返すことで曲率半径R(R=R1、R2、R3、……Rn−1、Rn、Rn+1、……)を順次測定する。
測定された曲率半径Rnの値が最小値となったとき、3つの測定点pのうちの中間の測定点pを内側境界点Cとする。
また、フェース部基準断面Pfcと平行する平面で切断した状態でソール部18側の凹部32よりも後方のソール部18の箇所からフェース部14方向に向かって1mm間隔で3つの測定点pを規定し3つの測定点pを通る円弧の曲率半径Rを測定するとともに、この曲率半径の測定を3つの測定点pを1mmずつフェース部14方向に向かって変位させつつ行なう操作を繰り返すことで曲率半径R(R=R1、R2、R3、……Rn−1、Rn、Rn+1、……)を順次測定する。
測定された曲率半径Rnの値が最小値となったとき、3つの測定点pのうちの中間の測定点pを後側境界点Dとする。
本実施の形態では、上述のような手順で前側境界点B、内側境界点C、後側境界点Dを規定したため、各境界点B、C、Dを簡単かつ確実に定める上で有利となる。
なお、前側境界点B、内側境界点C、後側境界点Dの曲率半径を測定するためのデータ作製方法は、前述したソール部境界点Aの曲率半径を測定するためのデータ作製方法と同様に行なえば良い。
また、本実施の形態では、凹部32の前側境界点B、内側境界点C、後側境界点Dを1mmピッチで順次測定して曲率半径Rnの値が最小値となる点を求めた場合について説明した。
しかしながら、製造上の問題や本発明を意図的に規定方法だけで回避するために適用されたと思われる微小凹凸部などの曲率半径Rnの値は、曲率半径Rn最小値としては、適用されない。これは、当業者が凹部32をマクロ的に見て常識的に考えて凹部32の前側境界点B、内側境界点C、後側境界点D近辺と思われる場所を決めて、その近辺の曲率半径Rn最小値を探して前側境界点B、内側境界点C、後側境界点Dを決める方法でも良いことを追記しておく。また、凹部32が複数ある場合は、いずれか1つの凹部32が本特許内容に該当していれば良い。
図3、図13に示すように第1平面P1〜第8平面P8を規定する。
第1平面P1は、図13に示すように、水平面HPおよびフェース部基準断面Pfcと直交しソール部境界点Aからフェースバック26方向に5mm離間した箇所に位置する平面とする。
第2平面P2は、図13に示すように、水平面HPと平行しソール部境界点Aを通る平面とする。
第3平面P3は、図3に示すように、水平面HPおよびフェース部基準断面Pfcと直交しソール部境界点Aを通る平面とする。
第4平面P4は、図3に示すように、第3平面P3と平行し後側境界点Dを通る平面とする。
第5平面P5は、フェース部基準断面Pfcと平行しフェース部基準断面Pfcからトウ側に40mm離間した箇所に位置する平面とする。
第6平面は、フェース部基準断面Pfcと平行しフェース部基準断面Pfcからヒール側に40mm離間した箇所に位置する平面とする。
第7平面P7は、フェース部基準断面Pfcと平行しフェース部基準断面Pfcからトウ側に15mm離間した箇所に位置する平面とする。
第8平面は、フェース部基準断面Pfcと平行しフェース部基準断面Pfcからヒール側に15mm離間した箇所に位置する平面とする。
図19に示すように、打球時において、ウェイト部34には、フェース部14に向かう方向の慣性力Fが作用する。なお、図19において実線は打球前のヘッド本体12の形状を示し、二点鎖線は打球時に変形したヘッド本体12の形状を示す。また、符号A、Bは打球前のソール部境界点、前側境界点をそれぞれ示し、符号A′、B′は打球時のソール部境界点、前側境界点をそれぞれ示す。
ウェイト部34がその延在方向の全長にわたって内側境界点C上に位置しているため、ウェイト部34に作用する慣性力Fにより、フェース部14寄りのソール部18の部分が、すなわち、ソール部18のうちソール部境界点Aと前側境界点Bとの間の部分(以下ソールフランジ部ともいう)がフェース部14の前方に向かって斜め下方に膨らむように大きくたわむ。
すなわち、図19に示すように、打球時に中空ゴルフクラブヘッド10に加わったエネルギーは、フェース部14がフェースバック26方向に変位する第1のたわみΔd1を発生させると共に、ソール部境界点Aと前側境界点Bとの間の部分(ソールフランジ部)がフェース部14の前方に向かって斜め下方に膨らむ第2のたわみΔd2を大きく発生させる。
その結果、打球時に第2のたわみΔd2が生じることでフェース部14の第1のたわみΔd1が増加すると同時に、フェース面14Aはロフト角が小さくなりにくい変形となる。
これは、第2のたわみΔd2が生じることで、ソール部境界点Aは符号A′に示すようにソール部18側に(下方に)変位するからである。すなわち、フェース部14の端部であるソール部境界点A′がソール部18側に変位することから、フェース部14のクラウンフェース方向の大きさが拡大されることになり、フェース部14の第1のたわみΔd1はさらに増加するため、打球の初速が増加することになる。
これに対して、ソール部に凹部が無い従来の中空ゴルフクラブヘッドのように打球時に生じたエネルギーのほぼ全てが第1のたわみΔd1を生じさせる場合は、ソールフランジ部の第2のたわみΔd2が小さいので反発力(ボール初速)は本発明よりダウンする。
また、図21に示すようにソール部18に凹部90が有る従来の中空ゴルフクラブヘッドでは、ソールフランジ部の第2のたわみΔd2を大きくたわませて第1のたわみΔd1を大きく確保するメカニズムではなく、凹部90を縮ませることで(ばねが縮むイメージ)フェース部14の第1のたわみΔd1を大きくするメカニズムである。そのため、図21の従来例は、凹部90を縮ませる(ばねが縮むイメージ)ために、打球時のロフト角が小さくなり、打球の打ち出し角の低下が顕著に起こる。
また、ソールフランジ部がたわまないため、変形前のソール部境界点Aと変形後のソール部境界点A′を比較すると、ソール部境界点Aは変形によってソール部18方向にほとんど変位していない。そのため、本発明と異なりフェース部14のクラウンソール方向の大きさが増えることによる初速が増加する効果は奏されない。
これらの従来技術に対して本発明が有利な点をまとめると以下の通りである。
打球時にソールフランジ部が下方向に大きく変形することでフェース部14のたわみを大きくし、なおかつ打球時のロフト角が小さくなることが抑えられる。具体的には、打球の打ち出し角の低下が抑えられる一方、変形時のフェース部14の端部(ソール部境界点A)をソール部18方向(A′)に移動させ、フェース部14のクラウンソール方向のフェース長さを大きくすることができる。したがって、フェース部14のたわみをさらに大きくすることができ、さらなる打球の初速を高め飛距離を確保する上で有利となる。
第1角度θ1が上記範囲内であると、打球時においてソール部18のうちソール部境界点Aと前側境界点Bとの間の部分の第2のたわみΔd2を確保し、打球時の打ち出し角度の低下を抑制しつつ飛距離を確保する上でより有利となる。
第1角度θ1が上記範囲を下回ると、ソール部境界点Aと前側境界点Bとの角度が小さく鋭角となり、打球時に第2のたわみΔd2が低下し、打球時の打ち出し角度の低下を抑制しつつ初速アップして飛距離を確保する効果が低下する。
第1角度θ1が上記範囲を上回ると、ソールフランジ部もフェース部14の一部と同様の存在に近くなり、ソールフランジ部近辺のフェース面14Aで打球した時に、ソールフランジ部に過大な応力が発生しやすくなり、耐久性を確保する効果が低下する。
また、フェース部基準断面Pfcにおいてソール部境界点Aと内側境界点Cとの間に、肉厚T4が0.5mm以上2.5mm以下の薄肉部38が形成されている。
凹部32の肉厚とウェイト部34の肉厚とを合計した肉厚T3が上記範囲内であり、ソール部境界点Aと内側境界点Cとの間に上記範囲内の肉厚T4の薄肉部38が形成されていると、打球時にウェイト部34の慣性力により薄肉部38がたわみやすく、したがって、ソール部18のうちソール部境界点Aと前側境界点Bとの間の部分の第2のたわみΔd2を確保し、打球時の打ち出し角度の低下を抑制しつつ飛距離を確保する上でより有利となる。
凹部32の肉厚T1とウェイト部34の肉厚T2とを合計した肉厚T3が上記範囲を下回ると、ウェイト部34に作用する慣性力Fが小さくなるため、第2のたわみ量Δd2を大きく確保する効果が低下する。
凹部32の肉厚T1とウェイト部34の肉厚T2とを合計した肉厚T3が上記範囲を上回ると、ウェイト部34の重心位置が高くなりすぎ、ウェイト部34に作用する慣性力Fの向きが効率的でなく、第2のたわみ量Δd2を大きく確保する効果が低下する。また、ゴルフヘッドとしての設計自由度を確保する効果、心地よい打球音を確保する効果、打ち出し角、飛距離、耐久性を確保する効果が低下する。
薄肉部38の肉厚T4が上記範囲を下回ると、剛性が低くなりすぎ、耐久性を確保する効果が低下する。
薄肉部38の肉厚T4が上記範囲を上回ると、剛性が高くなりすぎ、第2のたわみΔd2を大きく確保する効果が低下する。
中空ゴルフクラブヘッド10が上記構成を有していると、ウェイト部34が薄肉部38に近接しているため、打球時にウェイト部34の慣性力により薄肉部38がたわみやすく、したがって、打球時にソール部18のうちソール部境界点Aと前側境界点Bとの間の部分の第2のたわみΔd2を確保し、打球時の打ち出し角度の低下を抑制しつつ飛距離を確保する上でより有利となる。
中空ゴルフクラブヘッド10が上記構成を有していないと、打球時にソール部18のうちソール部境界点Aと前側境界点Bとの間の部分の第2のたわみΔd2を確保し、打球時の打ち出し角度の低下を抑制しつつ飛距離を確保する効果が低下する。
なお、ソール部境界点Aと後側境界点Dとの間のソール部18の肉厚の加重平均値とは、ソール部境界点Aと前側境界点Bとの間の領域、前側境界点Bと内側境界点Cとの間の領域、内側境界点Cと後側境界点Dとの間の領域のそれぞれの領域において、実際の肉厚をその長さで重み付けした値である。
加重平均を算出することが困難であれば、ソール部境界点Aから後側境界点Dまでの間の肉厚を、ソール部境界点Aから後側境界点Dに沿って一定の間隔で測定することで得た複数の肉厚値をその測定数で除した平均値でも良い。
同様に、前側境界点Bと内側境界点Cとの間に位置する薄肉部38の肉厚の加重平均値Taとは、前側境界点Bと内側境界点Cとの間の領域のうち薄肉部38の部分の実際の肉厚を薄肉部38の長さで重み付けした値である。
加重平均を算出することが困難であれば、薄肉部38の肉厚を薄肉部38に沿って一定の間隔で測定することで得た複数の肉厚値をその測定数で除した平均値でも良い。
中空ゴルフクラブヘッド10が上記構成を有していると、打球時にウェイト部34の慣性力により薄肉部38がたわみやすく、したがって、打球時にソール部18のうちソール部境界点Aと前側境界点Bとの間の部分の第2のたわみΔd2を確保し、打球時の打ち出し角度の低下を抑制しつつ飛距離を確保する上でより有利となる。
中空ゴルフクラブヘッド10が上記構成を有していないと、打球時にソール部18のうちソール部境界点Aと前側境界点Bとの間の部分の第2のたわみΔd2を確保し、打球時の打ち出し角度の低下を抑制しつつ飛距離を確保する効果が低下する。
質量W1/質量W2の比率が上記範囲内であると、打球時にウェイト部34の慣性力によりソール部18のうちソール部境界点Aと前側境界点Bとの間の部分の第2のたわみΔd2を確保し、打球時の打ち出し角度の低下を抑制しつつ飛距離を確保する上でより有利となる。
質量W1/質量W2の比率が上記範囲を下回ると、打球時にウェイト部34の慣性力が小さいため、ソール部18のうちソール部境界点Aと前側境界点Bとの間の部分の第2のたわみΔd2を確保し、打球時の打ち出し角度の低下を抑制しつつ飛距離を確保する効果が低下する。
質量W1/質量W2の比率が上記範囲を上回ると、慣性力の大きさが大きくなりすぎ、第2のたわみΔd2が大きくなりすぎて、エネルギーロスを生じ、飛距離を確保する効果が低下する。また、ゴルフヘッドとしての設計自由度を確保する効果が低下し(重心深さが浅くなる)、心地よい打球音を確保する効果が低下し、打ち出し角、飛距離、耐久性を確保する効果が低下する。
直線LABの距離が上記範囲内であると、打球時にウェイト部34の慣性力によりソール部18のうちソール部境界点Aと前側境界点Bとの間の部分の第2のたわみΔd2を確保し、打球時の打ち出し角度の低下を抑制しつつ飛距離を確保する上でより有利となる。
直線LABの距離が上記範囲を下回ると、剛性が高くなり、第2のたわみΔd2を確保しにくくなり、打球時の打ち出し角度の低下を抑制しつつ飛距離を確保する効果が低下する。
直線LABの距離が上記範囲を上回ると、凹部32がフェース部14から離れるため、打球時にソール部18のうちソール部境界点Aと前側境界点Bとの間の部分の第2のたわみΔd2を確保しにくくなり、打球時の打ち出し角度の低下を抑制しつつ飛距離を確保する効果が低下する。
第2角度θ2が上記範囲内であると、打球時にウェイト部34の慣性力によりソール部18のうちソール部境界点Aと前側境界点Bとの間の部分の第2のたわみΔd2を確保し、打球時の打ち出し角度の低下を抑制しつつ飛距離を確保する上でより有利となる。
第2角度θ2が上記範囲を下回ると、打球時にウェイト部34の慣性力によりソール部18のうちソール部境界点Aと前側境界点Bとの間の部分の第2のたわみΔd2を確保しにくくなり、打球時の打ち出し角度の低下を抑制しつつ飛距離を確保する効果が低下する。
第2角度θ2が上記範囲を上回ると、図21に示す従来例(ソール部に凹部が有る)のように、凹部を縮ませて(ばねが縮むイメージ)フェース部の第1のたわみΔd1を大きくする効果に近くなり、打球時のロフト角が小さくなり、打球の打ち出し角の低下が起こりやすくなる。すなわち、打球時の打ち出し角度の低下を抑制しつつ飛距離を確保する効果が低下する。
ソール部境界点高さHAが上記範囲内であると、ソール部境界点Aが水平面HPから適切な位置にあるため、打点がフェース面14Aの中心点Pcよりも下方であっても、たわみ効果が発生しやすい。また、打球時にウェイト部34の慣性力によりソール部18のうちソール部境界点Aと前側境界点Bとの間の部分の第2のたわみΔd2を効率的に確保し、打球時の打ち出し角度の低下を抑制しつつ飛距離を確保する上でより有利となる。
ソール部境界点高さHAが上記範囲を上回ると、ソール部境界点Aが水平面HPから離れ過ぎるため、フェース面14Aの中心点Pc寄りにソール部境界点Aが存在することになる。したがって、フェース面14Aの中心点Pcより下方のソール部境界点A近辺で打球した場合は、概ね角部で打つことになり、たわみ効果が小さくなる。また、中空ゴルフクラブヘッドの形状に違和感が出てきて人の印象として打ちづらくなり、ミスショットしやすくなる。
凹部幅M1が上記範囲内で、かつ、凹部深さD1が上記範囲内であると、打球時にウェイト部34の慣性力によりソール部18のうちソール部境界点Aと前側境界点Bとの間の部分の第2のたわみΔd2を確保し、打球時の打ち出し角度の低下を抑制しつつ飛距離を確保する上でより有利となる。
凹部幅M1が上記範囲を下回り、あるいは、凹部深さD1が上記範囲を上回ると、図21に示す従来例(ソール部に凹部が有る形状)に近い形状となり、凹部を縮ませて(ばねが縮むイメージ)フェース部の第1のたわみΔd1を大きくする効果に近くなり、打球時のロフト角が小さくなり、打球の打ち出し角の低下が起こりやすくなる。すなわち、打球時の打ち出し角度の低下を抑制しつつ飛距離を確保する効果が低下する。
凹部幅M1が上記範囲を上回り、あるいは、凹部深さD1が上記範囲を下回ると、打球時にウェイト部34の慣性力によりソール部18のうちソール部境界点Aと前側境界点Bとの間の部分の第2のたわみΔd2を確保しにくくなり、打球時の打ち出し角度の低下を抑制しつつ飛距離を確保する効果が低下する。
凹部32およびウェイト部34が少なくとも第7平面P7と第8平面P8との間でトウヒール方向にわたって延在していると、打球時にウェイト部34の慣性力によりソール部18のうちソール部境界点Aと前側境界点Bとの間の部分の第2のたわみΔd2を確保し、打球時の打ち出し角度の低下を抑制しつつ飛距離を確保する上でより有利となる。
凹部32およびウェイト部34が第7平面P7と第8平面P8との間でトウヒール方向にわたって延在していないと、打球時にウェイト部34の慣性力によりソール部18のうちソール部境界点Aと前側境界点Bとの間の部分の第2のたわみΔd2を確保しにくくなり、打球時の打ち出し角度の低下を抑制しつつ飛距離を確保する効果が低下する。
したがって、打球時にウェイト部34に作用する慣性力により、ソール部18のうちソール部境界点Aと前側境界点Bとの間の部分がフェース部14の前方に向かって斜め下方に膨らむように変形する。
そのため、打球時にフェース部14のたわみを大きくし、なおかつ打球時のロフト角が小さくなることが抑えられるため、打球の打ち出し角の低下が抑えられることに加え、変形時のフェース部14の端部(ソール部境界点A)をソール部18方向(A′)に移動させ、フェース部14のクラウンソール方向のフェース長さを大きくすることができる。したがって、フェース部14のたわみをさらに大きくすることができ、打球の初速を高め飛距離を確保する上で有利となる。
図20(C)は第1、第2の中空ゴルフクラブヘッド10A、10Bの打球時における変形量を比較した図であり、図中符号FAで示す二点鎖線は第1の中空ゴルフクラブヘッド10Aの変形を示し、図中符号FBで示す二点鎖線は第2の中空ゴルフクラブヘッド10Bの変形を示している。また、図20(C)ではウェイト部34の図示を省略している。
図20(A)に示す第1の中空ゴルフクラブヘッド10Aは、ウェイト部34が内側境界点C上の箇所から内側境界点Cと後側境界点Dとの中間の箇所までの間に位置している。
図20(B)に示す第2の中空ゴルフクラブヘッド10Bは、ウェイト部34が前側境界点Bと内側境界点Cとの中間の箇所から内側境界点Cと後側境界点Dとの中間の箇所までの間に位置している。
第2の中空ゴルフクラブヘッド10Bは、第1の中空ゴルフクラブヘッド10Aに比較して、ウェイト部34がフェース部14により近いため、打球時に生じるウェイト部34の慣性力のエネルギーロスが小さい。
したがって、図20(C)に示すように、第2の中空ゴルフクラブヘッド10Bの方が第1の中空ゴルフクラブヘッド10Aに比較して第2のたわみΔd2(ソール部18のうちソール部境界点Aと前側境界点Bとの間の部分のたわみ)がより大きく確保されている。そのため、第1の中空ゴルフクラブヘッド10Aに比べ第2の中空ゴルフクラブヘッド10Bの方が、打球の打ち出し角の低下を抑制しつつ、打球の初速を高める上で有利となり、飛距離を確保する上でより有利となっている。
なお、ウェイト部34がフェース部14に近すぎると、ソール部境界点Aと前側境界点Bとの間の部分のたわみ代が低下するため、第2のたわみΔd2が小さくなる。
図21(A)は、ウェイト部34に相当する高剛性部92が凹部90の後方に設けられているため、打球時においてフェース部14はそのソール部18寄りの箇所がフェースバック26方向に変位している。
図21(B)は、図21(A)に比較して凹部90の深さがより大きくなるように形成されている。
凹部90は、フェース部14側の前壁9002と、前壁9002の上端に接続されソール部18に接続される後壁9004とを備え、ウェイト部94は、後壁9004の下部とソール部18とにわたって設けられている。
そのため、打球時において凹部90の前壁9002がフェースバック方向に大きく変位し、したがって、フェース部14はそのソール部18寄りの箇所がフェースバック26方向に大きく変位している。
図21に示す従来例(ソール部に凹部が有る形状)は、ソールフランジ部の第2のたわみΔd2を大きく確保しフェース部の第1のたわみΔd1を大きく確保するメカニズムではなく、凹部を縮ませて(ばねが縮むイメージ)第1のたわみΔd1を大きくするメカニズムである。
そのため、図21の従来例は、凹部を縮ませる(ばねが縮むイメージ)ために、打球時のロフト角が小さくなり、打球の打ち出し角の低下が顕著に起こる。
したがって、反発力を確保できる一方、打球時にロフト角が低下するため、本実施の形態の中空ゴルフクラブヘッド10に比較して、打球の打ち出し角が低下し、打球の飛距離を確保する上で不利となる。
図23〜図25は、本発明に係る中空ゴルフクラブヘッド10の実験結果を示す図である。
試料となる中空ゴルフクラブヘッド10を各実験例毎に作成し、後述する4つの評価項目を測定し指数(評価点)を求めると共に、4つの指数の合計点を求めた。
中空ゴルフクラブヘッド10を備えたゴルフクラブをスイングロボットに設置し、以下の条件で実打試験を行い9打点における初速の平均値を指数で評価した。実験例1の指数を100とし指数が大きいほど初速が速く、評価が良いことを示す。
ヘッドスピード:40m/s
打点位置は、以下の合計9打点とし、各打点で5回ずつボールを打撃した。
フェース面14Aの中心点Pcと、中心点Pcを通りフェースセンターラインCLと直交する直線上で中心点Pcからトウ方向に7mm離間した点と、ヒール方向に7mm離間した点の3打点。
フェースセンターラインCL上で中心点Pcからクラウン部16方向に5mm離間した点と、この点を通りフェースセンターラインCLと直交する上5mmライン上で、上記点からトウ方向に7mm離間した点と、ヒール方向に7mm離間した点の3打点。
フェースセンターラインCL上で中心点Pcからソール部18方向に5mm離間した点と、この点を通りフェースセンターラインCLと直交する下5mmライン上で、上記点からトウ方向に7mm離間した点と、ヒール方向に7mm離間した点の3打点。
上記打点位置での実打試験で得られた打ち出し角を測定した。
実験例1の指数を100とし指数が大きいほど打ち出し角が大きく、評価が良いことを示す。
上記打点位置での実打試験で得られた飛距離を測定した。
実験例1の指数を100とし指数が大きいほど飛距離が長く、評価が良いことを示す。
シャフトに固定した中空ゴルフクラブヘッド10のフェース面14Aにエアキャノンにてゴルフボールを繰り返して当て、フェース部14の変形や破損が生じるまでに要した打撃回数を計測し、打撃回数を指数化した。ボールスピードは50m/sとした。打点位置はフェース面14Aの中心点Pcとした。
この場合、実験例1の中空ゴルフクラブヘッド10の測定結果を100とした指数で示した。指数が大きいほど評価が良いことを示す。
上述した初速、打ち出し角、飛距離、耐久性の4つの指数を合計したものを合計点とした。
実験例1の合計点を400とし合計点が大きいほど評価が良いことを示す。
なお、以下の実験例では、凹部32および変形抑制用リブ34、36は、クラウン部16に設けられ、ソール部18には設けられていないものである。
まず、図24〜図26の記載内容について説明する。
左欄には、以下に示すように、各請求項で規定する内容が記載されている。
凹部32およびウェイト部34の形状および形状を規定する各数値を示す図面の番号を記載した。
なお、対応する図面が無い場合は符号「−」を記載している。
図20(A)に示すように、フェース部基準断面Pfcから見て、ウェイト部34がその延在方向の全長にわたって内側境界点C上に位置し、かつ、ウェイト部34が内側境界点C上の箇所から内側境界点Cと後側境界点Dとの中間の箇所まで位置しているものを「有(後)」とした。
図20(B)に示すように、フェース部基準断面Pfcから見て、ウェイト部34がその延在方向の全長にわたって内側境界点C上に位置し、かつ、ウェイト部34が前側境界点Bと内側境界点Cとの中間の箇所から内側境界点Cと後側境界点Dとの中間の箇所まで位置しているものを「有(前)」とした。
フェース部基準断面Pfcから見て、ウェイト部34がその延在方向の全長にわたって内側境界点C上に位置しておらず、したがって、本発明の範囲外のものを「無」とした。
図13で規定した第1角度θ1を記載した。
第1角度が10°以上60°以下であれば請求項2の規定を満たす。
図14で規定した凹部32の肉厚T1とウェイト部34の肉厚T2とを合計した肉厚T3を符号「T3」と数値(mm)の組み合わせで記載した。
また、薄肉部38の肉厚T4を「T4」と数値(mm)の組み合わせで記載した。
肉厚T3が3.5mm以上15mm以下であり、薄肉部38の肉厚T4が0.5mm以上2.5mm以下であれば請求項3の規定を満たす。
フェース部基準断面において、前側境界点Bと内側境界点Cとの間に、ウェイト部34の一部と、薄肉部38とが位置し、薄肉部38はウェイト部34よりもフェース部側に位置している場合に「有」と記載した。
また、前側境界点Bと内側境界点Cとの間に薄肉部38が位置しておらず、薄肉部38が内側境界点Cと後側境界点Dとの間に位置している場合に「薄肉後部」と記載した。
上記規定の薄肉部38が有れば請求項4の規定を満たす。
フェース部基準断面においてソール部境界点と後側境界点Dとの間のソール部の肉厚の加重平均値のうち、前側境界点Bと内側境界点Cとの間に位置する薄肉部38の肉厚の加重平均値Taが最も小さい場合に「有」と記載すると共に、薄肉部38の加重平均値Ta(mm)の数値を記載した。
薄肉部38が上記条件を満たさない場合に「無」と薄肉部38の加重平均値(mm)とを記載した。
薄肉部38が上記条件を満たせば請求項5の規定を満たす。
図3に示すように、第3平面と第4平面と第5平面と第6平面とで囲まれた矩形範囲内に位置する重量体領域36の質量W1がヘッド本体の質量W2に占める割合W1/W2(%)を記載した。
割合W1/W2が5%以上50%以下であれば、請求項6の規定を満たす。
図13に示すように、フェース部基準断面Pfcにおいてソール部境界点Aと前側境界点Bとを結ぶ直線を水平面HPに投影したときの直線LABの距離(mm)を記載した。
直線LABの距離が5mm以上15mm以下であれば請求項7の規定を満たす。
図15に示すように、フェース部基準断面Pfcにおいて前側境界点Bと内側境界点Cとを結ぶ直線LBCと水平面HPとがなす第2角度θ2を記載した。
第2角度θ2が10°以上45°以下であれば請求項8の規定を満たす。
図16に示すように、フェース部基準断面Pfcにおけるソール部境界点Aの水平面HPからのソール部境界点高さHAを記載した。
中空ゴルフクラブヘッド10が体積400cc以上の場合、ソール部境界点高さHAは15mm以下であり、中空ゴルフクラブヘッド10が体積300cc以下の場合、ソール部境界点高さHAは8mm以下であれば、請求項9の規定を満たす。
図17に示すように、フェース部基準断面Pfcにおいて前側境界点Bと後側境界点Dとを結ぶ直線の距離である凹部幅M1と、フェース部基準断面Pfcにおいて直線からソール面18Aに延ばした最も長い垂線の長さである凹部深さD1とを記載した。
凹部幅M1が5mm以上40mm以下であり、凹部深さD1が2mm以上30mm以下であれば、請求項10の規定を満たす。
図3に示すように、凹部32およびウェイト部34が、少なくとも第7平面P7と第8平面P8との間でトウヒール方向にわたって延在しているか否かを記載した。
凹部32およびウェイト部34が上記のように延在している場合は「有」、凹部32およびウェイト部34が上記のように延在していない場合は「無」とした。
凹部32およびウェイト部34が規定通り延在していれば請求項11の規定を満たす。
また、ウェイト部34のトウヒール方向に沿った全長WL(mm)を記載した。
したがって、ウェイト部34の全長WLが第7平面P7と第8平面P8との間隔30mm以上であれば、ウェイト部34についての請求項11の規定を満たす。
実験例1は、従来技術であって比較例に相当するものであり、図25に示すように、ソール部18に凹部90とウェイト部94とを備えるが、ウェイト部94は凹部90の後壁9004の後部とソール部18に設けられており、凹部90の内側境界点C上には位置しておらず、本発明の請求項1の規定を満たさないものである。
図20(A)に示す第1の中空ゴルフクラブヘッド10Aは、フェース部基準断面Pfcから見て、ウェイト部34が内側境界点C上の箇所から内側境界点Cと後側境界点Dとの中間の箇所までの間に位置している。
図20(B)に示す第2の中空ゴルフクラブヘッド10Bは、フェース部基準断面Pfcから見て、ウェイト部34が前側境界点Bと内側境界点Cとの中間の箇所から内側境界点Cと後側境界点Dとの中間の箇所までの間に位置している。
実験例2は、請求項1−11の規定を全て満たしている。
したがって、初速154、打ち出し角155、飛距離154、耐久性156、合計点619であり、全ての評価が実験例1に比較して優れている。
実験例3も、請求項1−11の規定を全て満たしている。
ただし、実験例2(図26)と比較すると、フェース部基準断面Pfcから見て、ウェイト部34が前側境界点Bと内側境界点Cとの中間の箇所にまでは位置していないため、打球時のウェイト部34の慣性力によって生じるエネルギーのロスが僅かに実験例2よりも大きい。
したがって、初速151、打ち出し角151、飛距離151、耐久性156、合計点609であり、実験例2よりも各評価が若干低下するものの、全ての評価が実験例1に比較して優れている。
実験例4も、請求項1−11の規定を全て満たしている。
また、実験例2、3に比較すると、ソール部境界点Aの位置が高く、かつ、凹部深さD1が小さい。
したがって、初速153、打ち出し角156、飛距離155、耐久性155、合計点619であり、全ての評価が実験例1に比較して優れている。
実験例5も、請求項1−11の規定を全て満たしている。
ただし、実験例4(図28)と比較すると、ウェイト部34が前側境界点Bと内側境界点Cとの中間の箇所にまでは位置していないため、打球時のウェイト部34の慣性力によって生じるエネルギーのロスが僅かに実験例4よりも大きい。
したがって、初速150、打ち出し角152、飛距離150、耐久性156、合計点608であり、実験例4よりも各評価が若干低下するものの、全ての評価が実験例1に比較して優れている。
実験例6は請求項1の規定を満たしていない。
したがって、初速100、打ち出し角103、飛距離102、耐久性100、合計点405であり、全ての評価が実験例1とほぼ同等に留まっている。
したがって、初速104、打ち出し角105、飛距離104、耐久性103、合計点416あり、実験例2−5に比較すると、初速、打ち出し角、飛距離、耐久性の効果が低下している。これは、第1角度θ1が11.0°と低いため、ソール部境界点Aと前側境界点Bとの距離が短くなることから打球時に第2のたわみΔd2が低下し打球時の打ち出し角度の低下を抑制しつつ飛距離を確保する効果が低下するからである。
したがって、初速110、打ち出し角105、飛距離104、耐久性101、合計点420であり、実験例2−5に比較すると、初速、打ち出し角、飛距離、耐久性の効果が低下している。これは、第1角度θ1が63.0°と高いため、ソールフランジ部もフェース部14の一部と同様の存在に近くなり、ソールフランジ部近辺のフェース面14Aで打球した時に、ソールフランジ部に過大な応力が発生しやすくなり、耐久性を確保する効果が低下しているためである。
また、薄肉部38の肉厚T4が0.4mmであり、0.5mm以上2.5mm以下の範囲を下回っており、請求項3の規定を満たしていない。
したがって、初速120、打ち出し角101、飛距離108、耐久性101、合計点430であり、実験例2−5に比較すると、初速、打ち出し角、飛距離、耐久性の効果が低下している。これは、肉厚T3が大きすぎるため、ウェイト部34の重心位置が高くなりすぎ、ウェイト部34に作用する慣性力Fの向きが効率的でなく、第2のたわみΔd2を大きく確保する効果が低下し、また、肉厚T4が小さすぎるため、剛性が低くなりすぎ、耐久性を確保する効果が低下するとともに、過度の変形で打球時の打ち出し角度の低下を抑制しつつ飛距離を確保する効果が低下するからである。
また、薄肉部38の肉厚T4が2.8mmであり、0.5mm以上2.5mm以下の範囲外であり、請求項3の規定を満たしていない。
したがって、初速107、打ち出し角106、飛距離107、耐久性107、合計点427であり、実験例2−5に比較すると、初速、打ち出し角、飛距離、耐久性の効果が低下している。これは、肉厚T3が小さすぎるため、ウェイト部34に作用する慣性力Fが小さく、肉厚T4の薄肉部38の剛性が高いので第2のたわみΔd2を大きく確保する効果が低下し、そのため、打球時の打ち出し角度の低下を抑制しつつ飛距離を確保する効果が低下するからである。
凹部32の肉厚T1とウェイト部34の肉厚T2とを合計した肉厚T3が5.0mmであり、3.5mm以上15mm以下の範囲内の値である。
また、薄肉部38の肉厚T4が0.7mmであり、0.5mm以上2.5mm以下の範囲の下限値に近い値であり、請求項3の規定を満たしている。
したがって、初速135、打ち出し角133、飛距離133、耐久性130、合計点531であり、実験例2−5に比較すると、初速、打ち出し角、飛距離、耐久性の効果が低下しているものの、実験例9、10よりも効果は高い。
凹部32の肉厚T1とウェイト部34の肉厚T2とを合計した肉厚T3が3.8mmであり、3.5mm以上15mm以下の範囲の下限値に近い値である。
また、薄肉部38の肉厚T4が1.0mmであり、0.5mm以上2.5mm以下の範囲内の値であり、請求項3の規定を満たしている。
したがって、初速133、打ち出し角132、飛距離133、耐久性134、合計点532であり、実験例2−5に比較すると、初速、打ち出し角、飛距離、耐久性の効果が低下しているものの、実験例9、10よりも効果は高い。
しかしながら、フェース部基準断面Pfcから見て、前側境界点Bと内側境界点Cとの間に、ウェイト部34が位置しているものの、薄肉部38が前側境界点Bと内側境界点Cとの間に位置しておらず、薄肉部38が内側境界点Cと後側境界点Dとの間に位置しているため、請求項4の規定を満たしていない。
したがって、初速110、打ち出し角106、飛距離110、耐久性110、合計点436であり、実験例2−5に比較すると、初速、打ち出し角、飛距離、耐久性の効果が低下している。
これは、薄肉部38がフェース部14から離れているため、打球時に生じる第2のたわみΔd2が限定的となり、打球時の打ち出し角度の低下を抑制しつつ飛距離を確保する効果が低下するからである。
また、重量体領域36の質量W1がヘッド本体の質量W2に占める比率が3%であり、5%以上50%以下の範囲を下回っており、請求項6の規定を満たしていない。
したがって、初速110、打ち出し角111、飛距離112、耐久性115、合計点448であり、実験例2−5に比較すると、初速、打ち出し角、飛距離、耐久性の効果が低下している。
これは、打球時におけるウェイト部34の慣性力が小さいため、打球時に生じる第2のたわみΔd2が限定的となり打球時の打ち出し角度の低下を抑制しつつ飛距離を確保する効果が低下するからである。
また、重量体領域36の質量W1がヘッド本体の質量W2に占める比率が54%であり、5%以上50%以下の範囲を上回っており、請求項6の規定を満たしていない。
したがって、初速115、打ち出し角116、飛距離113、耐久性105、合計点449であり、実験例2−5に比較すると、初速、打ち出し角、飛距離、耐久性の効果が低下している。
これは、打球時にウェイト部34の慣性力の大きさが大きくなりすぎ、第2のたわみΔd2が大きくなりすぎて、エネルギーロスを生じ、効果が低下するため、打球時の打ち出し角度の低下を抑制しつつ飛距離を確保する効果が低下するためである。
また、重量体領域36の質量W1がヘッド本体の質量W2に占める比率が7%であり、5%以上50%以下の範囲の下限値近傍の値であり、請求項6の規定を満たしている。
したがって、初速133、打ち出し角135、飛距離137、耐久性145、合計点550であり、実験例2−5に比較すると、初速、打ち出し角、飛距離、耐久性の効果が低下しているものの、実験例14よりも効果が高い。
また、重量体領域36の質量W1がヘッド本体の質量W2に占める比率が47%であり、5%以上50%以下の範囲の上限値近傍の値であり、請求項6の規定を満たしている。
したがって、初速140、打ち出し角136、飛距離140、耐久性137、合計点553であり、実験例2−5に比較すると、初速、打ち出し角、飛距離、耐久性の効果が低下しているものの、実験例15よりも効果が高い。
また、ソール部境界点Aと前側境界点Bとを結ぶ直線を水平面HPに投影したときの直線LABの距離が3.0mmであり、5mm以上15mm以下の範囲を下回っていおり、請求項7の規定を満たしていない。
したがって、初速118、打ち出し角118、飛距離117、耐久性105、合計点458であり、実験例2−5に比較すると、初速、打ち出し角、飛距離、耐久性の効果が低下している。
これは、直線LABの距離が上記範囲を下回ると、剛性が高くなり、第2のたわみΔd2を確保しにくくなり、打球時の打ち出し角度の低下を抑制しつつ飛距離を確保する効果が低下するためである。
また、フェース部基準断面Pfcにおいて、ソール部境界点Aと前側境界点Bとを結ぶ直線を水平面HPに投影したときの直線LABの距離が18.0mmであり、5mm以上15mm以下の範囲を上回っていおり、請求項7の規定を満たしていない。
したがって、初速108、打ち出し角107、飛距離110、耐久性135、合計点460であり、実験例2−5に比較すると、初速、打ち出し角、飛距離、耐久性の効果が低下している。
これは、直線LABの距離が大きいため、第2のたわみΔd2を確保する効果が限定的となり打球時の打ち出し角度の低下を抑制しつつ飛距離を確保する効果が低下するからである。
また、フェース部基準断面Pfcにおいて、ソール部境界点Aと前側境界点Bとを結ぶ直線を水平面HPに投影したときの直線LABの距離が14.0mmであり、5mm以上15mm以下の範囲内であり、請求項7の規定を満たしている。
したがって、初速140、打ち出し角138、飛距離140、耐久性145、合計点563であり、実験例2−5に比較すると、初速、打ち出し角、飛距離、耐久性の効果が低下しているものの、実験例18、19に比較して効果が高い。
また、フェース部基準断面Pfcにおいて、前側境界点Bと内側境界点Cとを結ぶ直線LBCと水平面HPとがなす第2角度θ2が8.0°であり10°以上45°以下の範囲を下回っており、請求項8の規定を満たしていない。
したがって、初速106、打ち出し角108、飛距離106、耐久性146、合計点466であり、実験例2−5に比較すると、初速、打ち出し角、飛距離、耐久性の効果が低下している。
これは、第2角度θ2が小さすぎるため、第2のたわみΔd2を確保する効果が限定的となり打球時の打ち出し角度の低下を抑制しつつ飛距離を確保する効果が低下するからである。
また、フェース部基準断面Pfcにおいて、前側境界点Bと内側境界点Cとを結ぶ直線LBCと水平面HPとがなす第2角度θ2が48.0°であり10°以上45°以下の範囲を上回っており、請求項8の規定を満たしていない。
したがって、初速140、打ち出し角102、飛距離117、耐久性110、合計点469であり、実験例2−5に比較すると、初速、打ち出し角、飛距離、耐久性の効果が低下している。
これは、第2角度θ2が大きすぎると、図21のような従来例(ソール部に凹部が有る形状)に近い形状となり、凹部を縮ませて(ばねが縮むイメージ)フェース部の第1のたわみΔd1を大きく確保する効果に近くなり、打球時のロフト角が小さくなり、打球の打ち出し角の低下が起こりやすくなるからである。すなわち、打球時の打ち出し角度の低下を抑制しつつ飛距離を確保する効果が低下するからである。
また、フェース部基準断面Pfcにおいて、前側境界点Bと内側境界点Cとを結ぶ直線LBCと水平面HPとがなす第2角度θ2が12.0°であり10°以上45°以下の範囲の下限値近傍であり、請求項8の規定を満たしている。
したがって、初速135、打ち出し角145、飛距離140、耐久性150、合計点570であり、実験例2−5に比較すると、初速、打ち出し角、飛距離、耐久性の効果が低下しているものの、実験例21よりも効果が高い。
また、フェース部基準断面Pfcにおいて、前側境界点Bと内側境界点Cとを結ぶ直線LBCと水平面HPとがなす第2角度θ2が43.0°であり10°以上45°以下の範囲の上限値近傍であり、請求項8の規定を満たしている。
したがって、初速150、打ち出し角135、飛距離145、耐久性140、合計点570であり、実験例2−5に比較すると、初速、打ち出し角、飛距離、耐久性の効果が低下しているものの、実験例22よりも効果が高い。
また、実験例25は、中空ゴルフクラブヘッド10がウッドであり体積が460ccであり、フェース部基準断面Pfcにおいて、ソール部境界点Aの水平面HPからの高さをソール部境界点高さHAが18.0mmであり、15mm以下という範囲を上回っており、請求項9の規定を満たしていない。
したがって、初速120、打ち出し角110、飛距離110、耐久性140、合計点480であり、実験例2−5に比較すると、初速、打ち出し角、飛距離、耐久性の効果が低下している。
ソール部境界点高さHAが上記範囲を上回ると、ソール部境界点Aが水平面HPから離れ過ぎるため、(フェース面14Aの中心点Pc寄りにソール部境界点Aが存在)中心点Pcより下方のソール部境界点A近辺で打球した場合は、概ね角部近くで打つことになり、たわみ効果が小さくなるためである。
また、実験例25は、中空ゴルフクラブヘッド10がフェアウェイウッドまたはユーティリティで体積が210ccであり、フェース部基準断面Pfcにおいて、ソール部境界点Aの水平面HPからの高さをソール部境界点高さHAが10.0mmであり、8mm以下という範囲を上回っており、請求項9の規定を満たしていない。
したがって、初速119、打ち出し角109、飛距離111、耐久性140、合計点479であり、実験例2−5に比較すると、初速、打ち出し角、飛距離、耐久性の効果が低下している。
これは、ソール部境界点高さHAが上記範囲を上回ると、ソール部境界点Aが水平面HPから離れ過ぎるため、(フェース面14Aの中心点Pc寄りにソール部境界点Aが存在)中心点Pcより下方のソール部境界点A近辺で打球した場合は、概ね角部近くで打つことになり、たわみ効果が小さくなるためである。
また、凹部幅M1が3mmであり、5mm以上40mm以下の範囲を下回り、かつ、凹部深さD1が3mmであり、2mm以上30mm以下の範囲の下限値近傍であり、請求項10の規定を満たしていない。
したがって、初速116、打ち出し角114、飛距離111、耐久性145、合計点486であり、実験例2−5に比較すると、初速、打ち出し角、飛距離、耐久性の効果が低下している。
これは、凹部幅M1が小さすぎるため、第2のたわみΔd2を大きく確保する効果が小さく、打球時の打ち出し角度の低下を抑制しつつ飛距離を確保する効果が低下するからである。
また、凹部幅M1が42mmであり、5mm以上40mm以下の範囲を上回り、かつ、凹部深さD1が3mmであり、2mm以上30mm以下の範囲の下限値近傍であり、請求項10の規定を満たしていない。
したがって、初速121、打ち出し角117、飛距離121、耐久性130、合計点489であり、実験例2−5に比較すると、初速、打ち出し角、飛距離、耐久性の効果が低下している。
これは、凹部幅M1が大きすぎるため、打球時にウェイト部34の慣性力によりソール部18のうちソール部境界点Aと前側境界点Bとの間の部分の第2のたわみΔd2を確保しにくくなり、打球時の打ち出し角度の低下を抑制しつつ飛距離を確保する効果が低下するからである。
また、凹部幅M1が7mmであり、5mm以上40mm以下の範囲の下限値近傍であり、かつ、凹部深さD1が3mmであり、2mm以上30mm以下の範囲の下限値近傍であり、請求項10の規定を満たしている。
したがって、初速146、打ち出し角145、飛距離146、耐久性154、合計点591であり、実験例2−5に比較すると、初速、打ち出し角、飛距離、耐久性の効果が低下しているものの、実験例27に比較して効果が高い。
また、凹部幅M1が37mmであり、5mm以上40mm以下の範囲の上限値近傍であり、かつ、凹部深さD1が3mmであり、2mm以上30mm以下の範囲の下限値近傍であり、請求項10の規定を満たしている。
したがって、初速150、打ち出し角143、飛距離145、耐久性152、合計点590であり、実験例2−5に比較すると、初速、打ち出し角、飛距離、耐久性の効果が低下しているものの、実験例28に比較して効果が高い。
また、凹部幅M1が15mmであり、5mm以上40mm以下の範囲内であり、かつ、凹部深さD1が1mmであり、2mm以上30mm以下の範囲を下回っており、請求項10の規定を満たしていない。
したがって、初速113、打ち出し角111、飛距離109、耐久性155、合計点488であり、実験例2−5に比較すると、初速、打ち出し角、飛距離、耐久性の効果が低下している。
これは、凹部深さD1が小さすぎるため、打球時にウェイト部34の慣性力によりソール部18のうちソール部境界点Aと前側境界点Bとの間の部分の第2のたわみΔd2を確保しにくくなり、打球時の打ち出し角度の低下を抑制しつつ飛距離を確保する効果が低下するからである。
また、凹部幅M1が15mmであり、5mm以上40mm以下の範囲内であり、かつ、凹部深さD1が33mmであり、2mm以上30mm以下の範囲を上回っており、請求項10の規定を満たしていない。
したがって、初速150、打ち出し角107、飛距離116、耐久性115、合計点488であり、実験例2−5に比較すると、初速、打ち出し角、飛距離、耐久性の効果が低下している。
これは、凹部深さD1が上記範囲を上回ると、図21のような従来例(ソール部に凹部が有る形状)に近い形状となり、凹部を縮ませて(ばねが縮むイメージ)フェース部の第1のたわみΔd1を大きく確保する効果に近くなり、打球時のロフト角が小さくなり、打球の打ち出し角の低下が起こりやすくなるからである。すなわち、打球時の打ち出し角度の低下を抑制しつつ飛距離を確保する効果が低下するからである。
また、凹部幅M1が15mmであり、5mm以上40mm以下の範囲内であり、かつ、凹部深さD1が27mmであり、2mm以上30mm以下の範囲内であり、請求項10の規定を満たしている。
したがって、初速152、打ち出し角148、飛距離146、耐久性144、合計点590であり、実験例2−5に比較すると、初速、打ち出し角、飛距離、耐久性の効果が低下しているものの、実験例31、32に比較して効果が高い。
また、フェース部基準断面Pfcにおいてソール部境界点Aと後側境界点Dとの間のソール部18の肉厚の加重平均値のうち、前側境界点Bと内側境界点Cとの間に位置する薄肉部38の肉厚の加重平均値Taが最も小さいという規定を満たしておらず、薄肉部38の加重平均値Taは2.5mmである。したがって、実験例34は、請求項5の規定を満たさない。
したがって、初速106、打ち出し角109、飛距離107、耐久性125、合計点447であり、実験例2−5に比較すると、初速、打ち出し角、飛距離、耐久性の効果が低下している。
これは、薄肉部38の肉厚の加重平均値Taの規定を満たしていないため、打球時にソール部18のうちソール部境界点Aと前側境界点Bとの間の部分の第2のたわみΔd2を確保し、打球時の打ち出し角度の低下を抑制しつつ飛距離を確保する効果が低下するからである。
また、凹部32は、第7平面P7と第8平面P8との間でトウヒール方向にわたって延在している。
また、ウェイト部34は、その延在方向の全長WLが25mmであり、第7平面P7と第8平面P8との間の間隔30mmよりも短く、第7平面P7と第8平面P8との間でトウヒール方向にわたって延在しておらず、請求項11の規定を満たしていない。
なお、実験例2から34においてウェイト部34の全長WLは55mmである。
したがって、初速115、打ち出し角114、飛距離116、耐久性142、合計点487であり、実験例2−5に比較すると、初速、打ち出し角、飛距離、耐久性の効果が低下している。
これは、フェース面14Aの中心点Pc近辺での打球時にウェイト部34の慣性力によりソール部18のうちソール部境界点Aと前側境界点Bとの間の部分の第2のたわみΔd2を確保しにくくなり、打球時の打ち出し角度の低下を抑制しつつ飛距離を確保する効果が低下するからである。
また、凹部32は、第7平面P7と第8平面P8との間でトウヒール方向にわたって延在している。
また、ウェイト部34は、その延在方向の全長WLが35mmであり、第7平面P7と第8平面P8との間の間隔30mmよりも長く、第7平面P7と第8平面P8との間でトウヒール方向にわたって延在しており、請求項11の規定を満たしてる。
したがって、初速150、打ち出し角148、飛距離151、耐久性144、合計点593であり、実験例2−5よりもウェイト部34の全長WLが短く効果が若干小さいが、実験例35に比較して初速、打ち出し角、飛距離、耐久性の効果は良好である。
これは、打球時にウェイト部34の慣性力によりソール部18のうちソール部境界点Aと前側境界点Bとの間の部分の第2のたわみΔd2を確保しにくくなり、打球時の打ち出し角度の低下を抑制しつつ飛距離を確保する効果が若干低下するからである。
(1)初速
本発明の範囲内であり、請求項1の規定を満たす実験例2−5、7−36は、初速が104〜154であり、請求項1−11の全ての規定を満たす実験例2−5は、初速が150〜154である。
一方、本発明の範囲外である実験例1、6は、初速が100であり、本発明の範囲内のものは、本発明の範囲外のものに対して初速の向上を図る効果が優れている。
(2)打ち出し角
本発明の範囲内であり、請求項1の規定を満たす実験例2−5、7−36は、打ち出し角が101〜156であり、請求項1−11の全ての規定を満たす実験例2−5は、打ち出し角が151〜156である。
一方、本発明の範囲外である実験例1、6は、打ち出し角が100、103であり、本発明の範囲内のものは、本発明の範囲外のものに対して打ち出し角の向上を図る効果が優れている。
(3)飛距離
本発明の範囲内であり、請求項1の規定を満たす実験例2−5、7−36は、飛距離が102〜155であり、請求項1−11の全ての規定を満たす実験例2−5は、飛距離が150〜155である。
一方、本発明の範囲外である実験例1、6は、飛距離が100、102であり、本発明の範囲内のものは、本発明の範囲外のものに対して飛距離の向上を図る効果が優れている。
(4)耐久性
本発明の範囲内であり、請求項1の規定を満たす実験例2−5、7−36は、耐久性が101〜156であり、請求項1−11の全ての規定を満たす実験例2−5は、耐久性が155〜156である。
一方、本発明の範囲外である実験例1、6は、耐久性が100であり、本発明の範囲内のものは、本発明の範囲外のものに対して耐久性の向上を図る効果が優れている。
(5)合計点
本発明の範囲内であり、請求項1の規定を満たす実験例2−5、7−36は、合計点が416〜619であり、請求項1−11の全ての規定を満たす実験例2−5は、合計点が608〜619である。
一方、本発明の範囲外である実験例1、6は、合計点が400、405であり、本発明の範囲内のものは、本発明の範囲外のものに対して合計点の向上を図る効果が優れている。
12 ヘッド本体
14 フェース部
14A フェース面
16 クラウン部
16A クラウン面
18 ソール部
18A ソール面
20 サイド部
22 トウ
24 ヒール
26 フェースバック
28 中空部
30 ホーゼル部
32 凹部
34 ウェイト部
36 薄肉部
A ソール部境界点
B 前側境界点
C 内側境界点
D 後側境界点
Claims (9)
- 上下の高さを有して左右に延在するフェース部と、前記フェース部の上部から後方に延在するクラウン部と、前記フェース部の下部から後方に延在するソール部と、前記クラウン部と前記ソール部の間で前記フェース部のトウ側縁とヒール側縁との間をフェースバックを通って延在するサイド部とを含むヘッド本体を備え、それらフェース部とクラウン部とソール部とサイド部とで囲まれた内部が中空部である中空ゴルフクラブヘッドであって、
前記中空ゴルフクラブヘッドを水平面に対して予め定められたライ角およびロフト角通りに設置した基準状態において、フェース面の中心点を通る法線を含みかつ前記水平面と直交する平面で前記ヘッド本体を破断した断面をフェース部基準断面としたとき、
前記ソール部の前記フェース部寄りの箇所にトウヒール方向に延在する凹部を設けると共に、前記中空部に面した前記凹部の箇所に前記クラウン部側に突出しつつ前記フェース部と前記フェースバックとを結ぶ前後方向の幅を有してトウヒール方向に延在するウェイト部を設け、
前記凹部は、前記フェース部基準断面と平行する平面で切断した状態で、最も前記フェース部側に位置する前側境界点と、最もフェースバック側に位置する後側境界点と、前記前側境界点と前記後側境界点とを結んだ想像線に対してクラウンソール方向において最も離れた箇所に位置する内側境界点とを有し、
前記フェース部基準断面から見て、前記ウェイト部はその延在方向の全長にわたって前記内側境界点上に位置し、
前記フェース部基準断面において前記フェース面と前記ソール部のソール面との境界点をソール部境界点としたとき、
前記フェース部基準断面において前記凹部の肉厚と前記ウェイト部の肉厚とを合計した肉厚が3.5mm以上15mm以下となる重量体領域が形成され、
前記フェース部基準断面において前記ソール部境界点と前記内側境界点との間に、肉厚が0.5mm以上2.5mm以下の薄肉部が形成され、
前記水平面および前記フェース部基準断面と直交し前記ソール部境界点から前記フェースバック方向に5mm離間した箇所に位置する平面を第1平面とし、
前記フェース部基準断面において、前記第1平面と前記ソール部とが交差する交点と前記ソール部境界点とを結ぶ直線が、前記水平面と平行し前記ソール部境界点を通る第2平面に対してなす角度を第1角度θ1としたとき、前記第1角度が10°以上60°以下である、
ことを特徴とする中空ゴルフクラブヘッド。 - 前記フェース部基準断面において前記前側境界点と前記内側境界点との間に、前記ウェイト部の一部と、前記薄肉部とが位置し、前記薄肉部は前記ウェイト部よりも前記フェース部側に位置している、
ことを特徴とする請求項1記載の中空ゴルフクラブヘッド。 - 前記フェース部基準断面において前記ソール部境界点と前記後側境界点との間の前記ソール部の肉厚の加重平均値のうち、前記前側境界点と前記内側境界点との間に位置する前記薄肉部の肉厚の加重平均値が最も小さい、
ことを特徴とする請求項1または2記載の中空ゴルフクラブヘッド。 - 前記水平面および前記フェース部基準断面と直交し前記ソール部境界点を通る平面を第3平面とし、前記第3平面と平行し前記後側境界点を通る平面を第4平面とし、前記フェース部基準断面と平行し前記フェース部基準断面からトウ側に40mm離間した箇所に位置する平面を第5平面とし、前記フェース部基準断面と平行し前記フェース部基準断面からヒール側に40mm離間した箇所に位置する平面を第6平面としたとき、
前記第3平面と前記第4平面と前記第5平面と前記第6平面とで囲まれた矩形範囲内に位置する前記重量体領域の質量が前記ヘッド本体の質量の5%以上50%以下である、
ことを特徴とする請求項1から3の何れか1項記載の中空ゴルフクラブヘッド。 - 前記フェース部基準断面において前記ソール部境界点と前記前側境界点とを結ぶ直線を前記水平面に投影したときの前記直線の距離が5mm以上15mm以下である、
ことを特徴とする請求項1から4の何れか1項記載の中空ゴルフクラブヘッド。 - 前記フェース部基準断面において前記前側境界点と前記内側境界点とを結ぶ直線と前記水平面とがなす第2角度θ2が10°以上45°以下である、
ことを特徴とする請求項1から5の何れか1項記載の中空ゴルフクラブヘッド。 - 前記フェース部基準断面において前記ソール部境界点の前記水平面からの高さをソール部境界点高さとしたとき、
前記中空ゴルフクラブヘッドの体積が400cc以上の場合、前記ソール部境界点高さは15mm以下であり、
前記中空ゴルフクラブヘッドの体積が300cc以下の場合、前記ソール部境界点高さは8mm以下である、
ことを特徴とする請求項1から6の何れか1項記載の中空ゴルフクラブヘッド。 - 前記フェース部基準断面において前記前側境界点と前記後側境界点とを結ぶ直線の距離を凹部幅としたとき、前記凹部幅が5mm以上40mm以下であり、
前記フェース部基準断面において前記直線から前記ソール部のソール面に延ばした最も長い垂線の長さを凹部深さとしたとき、前記凹部深さが2mm以上30mm以下である、
ことを特徴とする請求項1から7の何れか1項記載の中空ゴルフクラブヘッド。 - 前記フェース部基準断面と平行し前記フェース部基準断面からトウ側に15mm離間した箇所に位置する平面を第7平面とし、前記フェース部基準断面と平行し前記フェース部基準断面からヒール側に15mm離間した箇所に位置する平面を第8平面としたとき、
前記凹部および前記ウェイト部は、少なくとも前記第7平面と前記第8平面との間でトウヒール方向にわたって延在している、
ことを特徴とする請求項1から8の何れか1項記載の中空ゴルフクラブヘッド。
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