以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。本発明の好適な実施形態は、本発明における最良の実施形態の一例ではあるものの、本発明は以下の実施例により限定されるものではなく、本発明の思想の範囲内において種々の構成を他の公知の構成に置き換えることは可能である。
[実施例1]
(1)画像形成装置100
図2を参照して、本実施例に係る画像形成装置を説明する。図2は電子写真記録技術を用いた画像形成装置(本実施例ではフルカラープリンタ)100の一例の概略構成を示す断面図である。
画像形成装置100において、記録材Pにトナー画像を形成する画像形成部Aは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4つの画像形成ステーション1a,1b,1c,1dを有する。各画像形成ステーションは、感光ドラム(第1の像担持体)2a,2b,2c,2dと、帯電部材3a,3b,3c,3dと、現像器4a,4b,4c,4dと、を備えている。また、各画像形成ステーションは、感光ドラムをクリーニングするクリーナ6a,6b,6c,6dと、レーザースキャナ7a,7b,7c,7dと、転写部材5a,5b,5c,5dと、を備えている。
また、画像形成部Aは、各感光ドラムから一次転写部Nで転写したトナー画像を担持しつつ搬送するベルト(第2の像担持体)8と、ベルトが担持するトナー画像を二次転写部Mで記録材Pに転写する二次転写部材9と、を有する。
以上の画像形成部Aの動作は周知であるので詳細な説明は割愛する。
画像形成装置本体内のカセット11に収納された記録材Pはローラ12によって1枚ずつ繰り出される。その記録材Pはベルト8と二次転写部材9とで形成された二次転写部Mに搬送される。二次転写部Mで未定着のトナー画像が転写された記録材Pは定着部(定着装置)Bに送られ、そのトナー画像は定着装置で記録材に加熱定着される。定着装置Bを出た記録材Pは装置本体の外部に設けたトレイ(不図示)に排出される。
画像形成部Aと定着装置Bとの間には記録材Pのループを検知するループセンサ10L,10C,10Rが設けられている。ループセンサ10L,10C,10Rについては後述する。
本実施例に示す画像形成装置100は、プロセススピード130mm/secでA4サイズの記録材Pを30ppmで出力する能力を有する。記録材Pを搬送するための搬送路の幅方向Yの寸法は320mmである。ここで、幅方向Yとは記録材Pの搬送方向Xに直交する方向をいう。記録材Pの搬送基準は、記録材Pの幅方向Yにおいて、記録材の中央と搬送路の中央を略一致させた状態に記録材を搬送する中央搬送基準である。
(2)定着装置B(定着部)
図3は定着装置Bの概略構成を示す断面図である。この定着装置Bはフィルム加熱方式の装置である。
定着装置Bは、ヒータ(加熱体)16と、ホルダ(支持部材)17と、を有する。更に定着装置Bは、メインサーミスタ(第1の温度検知素子)19と、サブサーミスタ(第2の温度検知素子)18と、筒状のフィルム(加熱回転体)20と、加圧ローラ(対向体)22と、ステー(加圧部材)15と、を有する。
記録材Pの幅方向Yにおいて、ホルダ17は、ホルダの平坦面に設けた凹部17aで幅方向に沿ってヒータ16を保持している。ホルダ17は、耐熱性樹脂によって形成され、ヒータ16を保持すると共にフィルム20をガイドする役割を果たす。
ホルダ17に外嵌されたフィルム20は、SUSにより外径φ24、厚み30μmの筒状に形成したベルト(ベルト基材)を有する。そしてそのベルトの外周面上に厚み約300μmのシリコーンゴム層(弾性層)を設け、そのシリコーンゴム層の外周面上に厚み30μmのPFA樹脂チューブ(離型層)を被覆したものである。
フィルム20のベルトの材料として、ポリイミドなどの樹脂を用いることもできる。弾性層の材料として、より高いオンデマンド性を得るために比較的熱伝導率の高いゴム層を用いている。弾性層として、熱伝導率が1.0W/(m・K)のシリコーンゴムを用いている。
離型層は、フィルム20の外周面(表面)の離型性を向上し、フィルム表面にトナーが一旦付着し、再度、記録材Pに移動することで発生するオフセット現象を防止するために設けられている。離型層の材料として、PTFE、PFA等のフッ素樹脂が用いられるが、PFAチューブとすることで、より簡便に、均一なフッ素樹脂層を形成することを可能とした。
加圧ローラ22は、外径φ17のステンレス製の芯金22aの外周面上に、弾性層22bとして厚み約4mmのシリコーンゴム層を設け、その弾性層の外周面上に離型層22cとして厚み約50μmのPFA樹脂チューブを被覆してなる。これにより、弾性層22bと離型層22cとからなるローラ部の外径はφ25となる。この加圧ローラ22は、記録材Pの幅方向において、芯金22aの両端部が定着装置Bのフレーム24の左右の側板(不図示)に軸受を介して回転可能に保持されている。
フィルム20の内周面(内面)側においてホルダ17上に載置されたステー15は剛性を有する金属によって形成されている。記録材Pの幅方向Yにおいて、フレーム24の左右の側板に保持されたステー15の両端部は加圧機構(不図示)によって片側98N(10kgf)、総圧196N(20kgf)の加圧力でフィルム20の母線方向に直交する方向に附勢されている。このステー15はホルダ17を介してヒータ16をフィルム20内面に圧接させて加圧ローラ22の弾性層22bを弾性変形させる。これによってフィルム20と加圧ローラ22とで所定幅のニップ部Fを形成している。
サブサーミスタ18は、記録材Pの幅方向Yにおいて、フィルム20の左端部付近と右端部付近でフィルム内面に接触されてフィルムの温度を検知する。このサブサーミスタ18については、ホルダ17に固定支持させたステンレス製のアーム25の先端にサーミスタ素子が取り付けられる。そして、アーム25が弾性揺動することにより、フィルム20内面の動きが不安定になった状態においても、サーミスタ素子がフィルム内面に常に接する状態に保たれる。
メインサーミスタ19は、サブサーミスタ18よりも熱源であるヒータ16に近い場所に配置されている。このメインサーミスタ19は、記録材Pの幅方向Yにおいて、ヒータ16の中央付近でヒータに接触するようにホルダ17に保持されてヒータの温度を検知する。
23は未定着のトナー画像Tを担持した記録材Pをニップ部Fに導くための入り口ガイドである。26はニップ部Fを出た記録材Pを搬送するためのローラ26である。
図4はヒータ16を説明するための図である。図4の(a)はヒータ16の断面図である。図4の(b)はヒータ16をヒータの非摺動面側からみたときの平面図である。
ヒータ16は記録材Pの幅方向Yに細長いセラミック製の基板51を有する。ヒータ16のフィルム20内面と摺動する摺動面側とは反対側の非摺動面側において、基板51の面上には、記録材Pの幅方向Yに沿って第1の発熱体52、及び第2の発熱体53がスクリーン印刷により線状あるいは帯状に塗工されている。各発熱体52,53は電流が流れることにより発熱する銀パラジウム(Ag/Pd)等を含んだ導電ペーストで形成され、厚みは10μm程度である。
また、基板51の面上には、記録材Pの幅方向Yにおけるヒータの左端部16L側と右端部16R側に、各発熱体52,53に対する給電パターンとして、銀ペースト等のスクリーン印刷により電極部54a,54b,54cが形成されている。本実施例では、ヒータ16の右端部16R側の電極部54cを共通電極とし、左端部16L側の電極部54aを介して発熱体52を発熱させ、その左端部側の電極部54bを介して発熱体53を発熱させる。つまり、それぞれの発熱体52,53は独立駆動される。電極部54a,54bには給電用コネクタC1が装着され、電極部54cには給電用コネクタC2が装着される。
更に、基板51の面上には、第1の発熱体52と第2の発熱体53を保護すると共に、第1の発熱体と第2の発熱体の絶縁性を確保するために、厚み30μm程度の薄肉のガラスコート55が形成されている。
一方、ヒータ16の摺動面側において、基板51の面上には、フィルム20内面と摺動する領域にポリイミド等からなる摺動層56が形成されている。
フィルム20内面にはグリスが塗布され、フィルム内面とヒータ16、及びホルダ17との摺動性を確保している。
(3)加熱定着処理動作
加圧ローラ22はモータ27によって矢印方向へ所定の周速度で回転される。フィルム20はフィルム内面がヒータ16に摺動しながら加圧ローラ22の回転に追従して矢印方向へ回転する。後述する温調制御部28(図6参照)から給電用コネクタC1,C2を介してヒータ16の電極部54a,54bに給電されることによって各発熱体52,53が発熱してヒータ16は昇温する。温調制御部28は、メインサーミスタ19、及びサブサーミスタ18からの温度情報に基づいて、メインサーミスタ、及びサブサーミスタの温度情報が所定の定着温度(目標温度)を維持するようにトライアック282a,282bを制御する。
未定着のトナー画像Tを担持した記録材Pはニップ部Fで搬送されつつ加熱され、これによってトナー画像は記録材上に定着される。
(4)第1の発熱体52、及び第2の発熱体53の発熱分布
第1の発熱体52、及び第2の発熱体53は、それぞれ、記録材Pの幅方向Yの発熱分布が異なる発熱体である。
図5に、記録材Pの幅方向Yにおけるヒータ16の各発熱体52,53の発熱量分布と、各発熱体の発熱量を合計した総発熱量分布と、を示す。
第1の発熱体52は、記録材Pの幅方向Yにおいて、ヒータ16の左端部16L側から右端部16R側にかけて発熱量が徐々に大きくなるように形成されている。第2の発熱体53は、記録材Pの幅方向Yにおいて、ヒータ16の右端部16R側から左端部16L側にかけて発熱量が徐々に大きくなるように形成されている。つまり、ヒータ16の右端部(一方の端部)16R側の発熱量が大きい第1の発熱体52と、ヒータの左端部(他方の端部)16L側の発熱量が大きい第2の発熱体53と、を有する。
本実施例では、各発熱体52,53に同じ電圧、同じ通電デューティで通電した時の総発熱量分布がフラットになるように各発熱体を設計している。また、各発熱体52,53の抵抗値はともに18Ωとし、最大発熱量はともに120Vで800Wとなるようにしている。
図6に、ヒータ16の通電制御をつかさどる温調制御部28の構成を示す。
メインサーミスタ19、及びサブサーミスタ18の温度情報がCPU281に入力される。すると、CPU281は、メインサーミスタ19の温度検知結果に基づいて所定の温度制御をするべく第1のトライアック282a、及び第2のトライアック282bの通電タイミングを駆動制御する。
第1のトライアック282aは電極部54aを介して第1の発熱体52に繋がっている。第2のトライアック282bは電極部54bを介して第2の発熱体53に繋がっている。ここで、CPU281は、第1のトライアック282aの通電デューティDa、及び第2のトライアック282bの通電デューティDbをそれぞれ決定でき、第1の発熱体52、及び第2の発熱体53に対して所定の発熱分布をもって温度制御を施すことができる。
ヒータ16を温調制御部28に組み込み、CPU281で第1のトライアック282aに対する第2のトライアック282bの通電デューティ比率Db/Daを決定して駆動制御させることにより、ヒータの発熱分布に勾配を持たせることが可能となる。
図7に、記録材Pの幅方向Yについて、通電デューティ比率に応じたヒータ16の発熱分布を示す。
本実施例の場合、例えば通電デューティ比率Db/Da=1/1のときの発熱分布はヒータ16の左端部16L側から右端部16R側までフラットとなる。通電デューティ比率Db/Da=0.5/1など、Db/Da<1のときの発熱分布はヒータ16の右端部16R側が高くなる。Db/Da=1/0.5など、Db/Da>1のときの発熱分布はヒータ16の左端部16L側が高くなる。
本実施例では、サブサーミスタ18をニップ部Fの温度により近い温度であるフィルム20の温度を検出する手段として用いているため、通常の加熱定着処理動作においてはメインサーミスタ19の検知温度が目標温度になるよう温調制御される。
メインサーミスタ19は、ヒータ16の温度を検出し、ヒータの温度が目標温度を超える所定温度以上にならないようにモニタする役割も果たしている。
サブサーミスタ18は、立ち上げ時のヒータ16の温度のオーバーシュートや、ヒータの左端部16L、及び右端部16Rの昇温をモニタする。例えば、ヒータ16の左端部、及び右端部の昇温によってサブサーミスタ18の温度が目標温度を超える所定温度以上になった場合には、ヒータ端部の昇温が進まないように記録材Pを搬送するときのスループットを落とす制御を行うための判断にも用いられる。サブサーミスタ18はフィルム20の温度を検知しているが、メインサーミスタ19と同様にヒータ16の裏面に接触させてヒータの温度をダイレクトに検知するようにしてよい。
(5)温調制御部28、及び駆動制御部29の制御系統
図8は温調制御部28、及び駆動制御部29の制御系統を示すブロック図である。
ヒータ16の発熱量を制御する温調制御部28と、モータ27の駆動を制御する駆動制御部29は、制御部30によって制御される。制御部30は、後述するように、ループセンサ10L,10C,10Rの検知結果に応じて、発熱体52,53の発熱量、及びモータ27を制御するようになっている。
次に、定着装置Bのニップ部Fにおける記録材Pの搬送速度と、画像形成部Aの二次転写部Mにおける記録材の搬送速度と、の関係について、図9を用いて説明する。
図9は二次転写部Mと定着装置Bの間の記録材Pの搬送路に配置されたループセンサ10L,10C,10Rの動作を説明するための図である。
二次転写部Mにおける記録材Pの搬送速度(以後「転写速度」と記す)は、前述のプロセススピードPS(=130mm/sec)である。
定着装置Bには定着装置の個体差や経時変化によるばらつきがあるため、二次転写部Mと定着装置との間で記録材Pの引っ張り合いが無いようにする必要がある。このため、記録材Pがニップ部Fに突入する際の記録材の搬送速度(以後「定着速度」と記す)を、二次転写部Mにおける記録材Pの転写速度に対して、若干(数%)遅くしている。この定着速度をVlowとする。本実施例では定着速度VlowはプロセススピードPSに対して−3%としている。
これは、定着速度が転写速度よりも速い場合には、定着装置Bにより記録材Pが二次転写部Mから強制的に引き出されることになり、転写時の画像の乱れが発生したり、カラー画像の場合には色ずれが発生したりするからである。この定着速度と転写速度との速度差によって、二次転写部Mと定着装置Bの間には記録材Pのループが形成され、後述するループ制御により定着速度が変更されて記録材のループが適正に保たれる。
記録材Pとの接触の有無により記録材のループ量を検知し、その検知結果に基づき定着速度を制御するために、3つのループセンサ(検知手段)10L,10C,10Rが定着装置の記録材の搬送方向Xの上流側(定着装置と二次転写部Mとの間)に配置してある。
図10はループセンサ(検知手段)10L,10C,10Rを配置した位置を説明するための図である。
記録材(A3サイズの記録材)Pの幅方向Yにおいて、中央搬送基準の位置(幅方向中央位置)にループセンサ10Cを配置している。また、記録材Pの幅方向Yにおいて、中央搬送基準から左側に130mm離れた位置(第1の位置)にループセンサ10Lを配置し、中央搬送基準から右側に130mm離れた位置(第2の位置)にループセンサ10Rを配置している。
記録材Pの搬送方向Xにおいて、ループセンサ10L,10C,10Rの位置はどれも同じであり、各ループセンサは記録材の幅方向に一直線に並んでいる。以降の説明において、ループセンサ10Lは左側のループセンサ10Lとも記す。ループセンサ10Cは中央のループセンサ10Cとも記す。ループセンサ10Rは右側のループセンサ10Rとも記す。
上記のように配置されたループセンサ10L,10C,10Rからの出力信号を取り込むことによって制御部30は以下の処理を行う。中央のループセンサ10Cで検知した記録材Pのループ量に基づいて定着速度を調整してそのループ量を適正化する。それと共に、中央搬送基準に対して記録材Pの右側の領域と左側の領域のループ量も左右のループセンサ10L,10Rで検知し、記録材の右側の領域と左側の領域のループ量が極端に異なる片ループの状態にあるか否かを判定する。
以下の説明において、左側のループセンサ10Lが検知する記録材Pの左側の領域のループ量をL1とし、右側のループセンサ10Rで検知する記録材Pの左側の領域のループ量をL2とする。また、左側のループセンサ10Lに対応するヒータ16の左側の発熱量をQ1とし、右側のループセンサ10Rに対応するヒータ16の左側の発熱量をQ2とする。
(6)ループ制御
以下に、ループセンサ10L,10C,10Rを用いた定着速度の制御方法について、詳しく説明する。
制御部30は、中央のループセンサ10Cからの出力信号に基づいて駆動制御部29を介してモータ27を駆動することによってニップ部Fにおける定着速度を制御する。
図9に示すように、ループセンサ10L,10C,10Rは、フォトインタラプタ8L,8C,8Rと、フラグ9L,9C,9Rと、を備えたものである。フォトインタラプタ8L,8C,8Rはフラグ9L,9C,9Rの変位に応じてON/OFFする。記録材Pが二次転写部Mから定着装置Bのニップ部Fに搬送されると、前述のように二次転写部での記録材の転写速度PSがニップ部Fでの記録材の定着速度Vlowよりも速いのでループ量が増大する。
ここで、記録材Pが破線にて示す状態になり記録材のループ量が一定量を超えた場合(所定値以上である場合)には、フラグ9Cが記録材に接触することによって破線にて示すように回動され、フォトインタラプタ8Cがフラグ9Cによって遮光される。その結果、フォトインタラプタ8CはON状態からOFF状態となる。制御部30はこのフォトインタラプタ8CのON/OFF状態をモニタする。具体的には、制御部30は1msec毎にフォトインタラプタ8Cの出力をモニタしている。
記録材Pのループによりフォトインタラプタ8CがOFFとなっている状態で、定着速度をVlowのまま放置するとループ量が更に増大していく。そして、ループ量がある一定量を超えると、記録材Pのループ量に対して空間が不足することによって搬送路内での記録材のトナー画像担持面の擦れが発生する可能性がある。或いは、二次転写部Mを記録材Pが抜けてループが解消される際の記録材のハネによるトナーの飛び散りが発生する可能性もある。或いは、記録材Pに負荷がかかった状態で記録材がニップ部Fに突入することによる光沢ムラやしわの発生等による画像不良がおきる可能性もある。
これらの画像不良を防止するために、フォトインタラプタ8CがOFFとなった時点で、制御部30は駆動制御部29を介して定着速度が転写速度PSより若干速い速度Vhighになるようにモータ27を加速する。本実施例では、具体的にVhighを転写速度PSに対して+3%としている。
定着速度のVhighへの切り替えにより、定着速度が転写速度PSより速くなるとループ量は減少していく。やがて、ループの減少によってフラグ9Cが図9にて実線にて示す位置まで回動することによってフォトインタラプタ8Cの遮光が解消され、フォトインタラプタ8CはON状態になる。フォトインタラプタ8CがONとなった時点で制御部30は駆動制御部29を介して定着速度を元の定着速度Vlowに戻すようにモータ27を減速する。
図11に、制御部30のモータ駆動制御のフローチャートを示す。
S1では、中央のループセンサ10Cのフォトインタラプタ8Cの出力信号を取り込む。
S2では、フォトインタラプタ8CがONかOFFかを判断する。フォトインタラプタ8CがOFFであればS3に進み、ONであればS4に進む。
S3では、定着速度がVhighになるように駆動制御部29を介してモータ27を加速させる。
S4では、定着速度がVlowになるように駆動制御部29を介してモータ27を減速させる。
このように中央のループセンサ10Cのフォトインタラプタ8CのON/OFFの結果に応じて、定着速度のVlow/Vhighへの切り替えを繰り返すことで、記録材Pは適正なループ量に制御される。
しかし、記録材Pの幅方向中央で適正なループ量を維持していても、中央搬送基準に対して記録材Pの右側と左側の領域では適正なループ量となっておらず、左右のループ状態が極端に異なる片ループの状態になっている場合がある。その原因として、記録材Pの幅方向における右側と左側の領域において、トナー載り量に差があること、定着装置Bのニップ部Fでの圧バランスに差があること、画像形成部Aによる記録材搬送時の圧バランスに差があることなどが挙げられる。その他にも画像形成部Aに記録材Pを送給するときの記録材の斜行も挙げられる。
このような片ループは、上記の原因により記録材Pの幅方向における右側の領域と左側の領域とで記録材の搬送速度に差が生じることに起因する。本実施例の画像形成装置100では、記録材Pの右側と左側の領域で定着速度が0.5%異なるだけでループ量(たるみ量)としては約10mm程度の差になる。
図1に、記録材Pの片ループの状態を示す。
記録材Pの幅方向Yにおいて、中央搬送基準に対して記録材の左側の領域はループ状態であるが、右側の領域はループ状態になっていない。そのため、左側のループセンサ10Lは記録材Pのループ量L1を検知しており、そのループセンサのフォトインタラプタ8LはOFFの状態である。一方、右側のループセンサ10Rは記録材Pのループ量L2を検知しておらず、そのループセンサのフォトインタラプタ8RはONの状態である。即ち、左側のループセンサ10Lと、右側のループセンサ10Rは、それぞれ、OFF、ONと異なる状態を検知している。
片ループの状態ではこのように左右のループセンサ10L,10Rの検知結果が異なるものになり、逆にループ状態(ループ量)が適正な時には左右のループセンサの検知結果は同じになる。
制御部30は、左右のループセンサ10L,10Rの検知結果が異なっている場合に片ループ状態と判断し、同じ場合にはループ状態が適正である判断する。そして、制御部30は、片ループ状態と判断した時、定着装置Bのヒータ16の発熱分布を制御することによってループ状態を適正に戻す制御を行う。
以下、制御部30のヒータ発熱分布の制御方法について、A3サイズの記録材Pが定着装置Bに搬送された場合を例にして説明する。
中央搬送基準に対して記録材Pの左側の領域に片ループが発生した場合(L1>L2)に、左側のループセンサ10Lでフォトインタラプタ8LがOFF、右側のループセンサ10Rでフォトインタラプタ8RがONになっていることを制御部30が判断する。このように左右のループセンサ10L,10Rで検知結果が逆になっていることを判断する。
すると制御部30は、ヒータ16の右側のループセンサ10Rに対応する右側の領域の発熱量が左側のループセンサ10Lに対応する左側の領域よりも小さくなる(Q1>Q2)ように、通電デューティ比をDb/Da>1に設定してヒータへ通電を行う。
つまり、制御部30は、左側のループセンサ10Lにおける記録材Pのループ量L1と右側のループセンサ10Rにおける記録材のループ量L2の差がL1>L2の関係になっている場合に次のような発熱分布制御を行う。左側のループセンサ10Lに対応したヒータ16の左側の領域の発熱量Q1と右側のループセンサ10Rに対応したヒータの右側の領域の発熱量Q2の差をQ1>Q2の関係になるように制御する。即ち、発熱量Q1を通常よりも大きくする。
これとは逆に、左側のループセンサ10Lにおける記録材Pのループ量L1と右側のループセンサ10Rにおける記録材のループ量L2の差がL1<L2の関係になっている場合に次のような発熱分布制御を行う。左側のループセンサ10Lに対応したヒータ16の左側の領域の発熱量Q1と右側のループセンサ10Rに対応したヒータの右側の領域の発熱量Q2の差をQ1<Q2の関係になるように制御する。即ち、発熱量Q2を通常よりも大きくする。
ここで、左右のループセンサ10L,10Rでフォトインタラプタ8L,8Rの検知結果が逆になっていることを判断する方法、つまり、片ループの発生を判断する方法について説明する。
本実施例においては、中央のループセンサ10Cはフォトインタラプタ8Cで記録材Pのループ検知を行っている。そのため、フォトインタラプタ8Cは記録材の搬送中はON/OFFを細かく繰り返している。従って、片ループが生じていない状態では、左右のループセンサ10L,10Rのフォトインタラプタ8L,8Rも、中央のループセンサ10Cのフォトインタラプタ8Cに連動して細かくON/OFFすることになる。
そこで、左側のループセンサ10Lと、右側のループセンサ10Rでは、片ループが生じていない場合でも、記録材Pの姿勢や、フラグ9L,9Rのチャタリングによって、若干ON/OFFのタイミングが異なることは有り得る。即ち、ON/OFFの各タイミングで瞬間だけをみていくと、片ループでなくとも左右のループセンサ10L,10Rのフォトインタラプタ8L,8Rの検知結果がON/OFFで異なる場合がある。
そのため、本実施例では、左右のループセンサ10L,10Rにおけるフォトインタラプタ8L,8Rの検知結果が異なる状態が所定時間続いたら、フォトインタラプタ8L,8Rの検知結果が逆であると判断する。具体的には、0.5secの間、フォトインタラプタ8L,8Rの検知結果が異なる状態が継続した場合に、片ループが発生していると判断する。
また、本実施例において、フォトインタラプタ8L,8Rの検知結果が逆になっていると判断された場合の具体的な通電ディーティ比率の設定値はDb/Da=1/0.5である。この設定値にすることで、ヒータ16の右端部16R側のフィルム20表面の温度は元々の温度より低くなり、ヒータ16の左端部16L側のフィルム表面の温度は元々の温度よりも高くなる。そして、ヒータ16の右端部16R側と左端部16L側のフィルム表面温度の差を10deg程度つけることができる。
フィルム20表面は記録材Pのトナー画像担持面に直接接触するため、フィルムの温度はトナー画像の定着性に対する感度が高く、温度低下による定着不良や温度上昇によるホットオフセットが発生し易い。従って、通電デューティ比率の設定値は、定着不良やホットオフセットが発生しない範囲で決める必要がある。これに鑑みて、本実施例では、通電デューティ比率をDb/Da=1/0.5に設定している。
そうすると、フォトインタラプタ8RがONとなっているヒータ16の右端部16R側の加圧ローラ22の温度がヒータ16の左端部16L側の温度よりも相対的に低くなる。これによって加圧ローラ22のヒータ16の右端部16R側と左端部16L側の温度に差が生じる。この温度差は加圧ローラ22の弾性層22bの熱膨張の差となる。即ち、ヒータ16の発熱量が小さい側(右端部16R側)は、通電デューティ比変更前よりも外径が小さくなり、発熱量が大きい側(左端部16L側)は、通電デューティ比変更前よりも外径が大きくなる。
このため、ヒータ16の右端部16R側と左端部16L側とで加圧ローラ22による記録材Pの定着速度に差が生じ、ヒータの発熱量が小さい側は定着速度が遅くなり、発熱量が大きい側は定着速度が速くなる。したがって、ヒータ16の発熱量が小さい側は、加圧ローラ22の記録材Pの定着速度が遅くなることで、二次転写部Mと定着装置12との間の記録材のループ量が増大する。一方、ヒータ16の発熱量が大きい側は、加圧ローラ22の記録材Pの定着速度が速くなることで、二次転写部Mと定着装置12との間の記録材のループ量が減少する。
フォトインタラプタがONとなっていたヒータ16の右端部16R側は、元々ループ量L2が極端に少なかったわけであるから、これによって適正なループ量に近づいていく。これに対して、元々フォトインタラプタがOFFとなっていたヒータ16の左端部16L側は、ループ量L1が少なくなる。この結果、左右のループ量L1,L2の差が小さくなり、片ループが解消されていく。
このように左右のループ量L1,L2の差が小さくなっていく過程においても、中央のループセンサ10Cによって定着速度の制御は行われている。そのため、中央のループセンサ10Cが設けられる記録材Pの幅方向中央位置で、記録材のループは最適なループ量(適正値)に制御されている。これより、元々片ループがある状態では、フォトインタラプタ8RがONとなっているヒータの右端部16R側は記録材のループ量L2が適正値より少なく、フォトインタラプタ8LがOFFとなっているヒータの左端部16L側はループ量L1が適正値より大きい。
従って、本実施例のように、中央のループセンサ10Cによって随時ループ制御を行っていれば、片ループが解消して記録材Pの幅方向Yの左側と右側の領域のループ量L1,L2の差が小さくなっていく。すると、元々ループ量が大きかった側のループ量L1も適正値に近づいていくことになる。
上述したように、フォトインタラプタ8RがONとなっていたヒータ16の右端部16R側の発熱量Q2を相対的に小さい状態に保ち続け、やがてループ量L2が所定量に達するとフォトインタラプタ8RがONからOFFに切り替わる。この状態では、ループ量L2が適正値に近づいているため、中央のループセンサ10Cのフォトインタラプタ8Cの検知結果と同様に、左右のループセンサ10L,10Rのフォトインタラプタ8L,8Rは細かくON/OFFすることになる。
上記の状態に達しても、なおヒータ16の左端部16L側と右端部16R側との発熱量Q1,Q2に差を付けた状態にし続けると、発熱量を小さくしているヒータ16の右端部16R側のループ量L2が大きくなる。或いはそのヒータ16の右端部16R側の温度が下がりすぎて定着不良になる可能性もある。このため、制御部30は、中央のループセンサのフォトインタラプタ8CがONからOFFに切り替わり、左右のループセンサのフォトインタラプタ8L,8Rの検知結果が同じになったと判断された時点で、通電デューティDb/Da=1に変更する。
つまり、制御部30は、左側のループセンサ10Lにおける記録材Pのループ量L1と右側のループセンサ10Rにおける記録材のループ量L2の差がL1=L2の関係になっている場合に次のような発熱分布制御を行う。左側のループセンサ10Lに対応したヒータ16の左側の領域の発熱量Q1と右側のループセンサ10Rに対応したヒータの右側の領域の発熱量Q2の差をQ1=Q2の関係になるように制御する。
ここで、左右のフォトインタラプタ8L,8Rの検知結果が同じであると判断する際も、左右のフォトインタラプタの検知結果が異なる状態から同じ状態に変移した際に、所定のタイムラグを設けてから通電デューティ比率を変更する構成としている。本実施例では0.5secの間、左右のフォトインタラプタ8L,8Rの検知結果が同じ状態が継続した場合に通電デューティ比率を1に変更する。
すると、右側のループセンサ10Rに対応する加圧ローラ22の左側の領域は再び温度が上昇し、弾性層22bの熱膨張によって外径も大きくなっていく。これに伴って記録材Pの右側のループセンサ10R側のループ量も少なくなり、再び片ループ気味になっていく。
そして、右側のフォトインタラプタ8Rが再びOFFからONに切り替わり左右のフォトインタラプタ8L,8Rの検知結果が異なるようになったら、制御部30は再びヒータ16の発熱分布の制御を行う。
つまり、制御部30は、左側のループセンサ10Lにおける記録材Pのループ量L1と右側のループセンサ10Rにおける記録材のループ量L2の差がL1>L2の関係になっている場合に次のような発熱分布制御を行う。左側のループセンサ10Lに対応したヒータ16の左側の領域の発熱量Q1と右側のループセンサ10Rに対応したヒータの右側の領域の発熱量Q2の差をQ1>Q2の関係になるように制御する。即ち、発熱量Q1を通常よりも大きくする。
すると、右側のループセンサ10Rに対応する加圧ローラ22の右側の領域の温度が低くなり、再び片ループが解消されていく。
このようにフォトインタラプタのON/OFFに応じて、発熱体52,53への通電デューティ比率を変更することによって、片ループ状態を解消するようにヒータ16の発熱量分布を制御する。
即ち、上述したように、ループ制御による発熱体52,53への通電デューティ比率の変更は、片ループによって左右のループセンサ10L,10Rによる検知結果が異なると判断された時にのみ実行する。つまり、フォトインタラプタ8L,8RのON/OFFの結果が左右で異なると判断された時にのみ実行する。左右のフォトインタラプタ8L,8Rの検知結果が同じで、共にON、またはOFFの時には、通電デューティ比率Db/Daは1のままである。
以上、中央搬送基準に対して記録材Pの左側に片ループが発生した場合を説明したが、中央搬送基準に対して記録材Pの右側に片ループが発生した場合には制御部30は上記の説明とは逆の制御を行う。つまり、右側のループセンサでフォトインタラプタ8RがOFF、左側のループセンサでフォトインタラプタ8LがONになっていることを制御部30が判断する。すると制御部は、ヒータ16の左側のループセンサ10L側の発熱量が右側のループセンサ10R側よりも小さくなるように、通電デューティ比をDb/Da<1に設定してヒータ16への通電を行う。
図12に、制御部30のヒータ発熱分布制御のフローチャートを示す。
S11では、左右のループセンサ10Lのフォトインタラプタ8L,8RCの出力信号を取り込む。
S12では、フォトインタラプタ8LはOFFでフォトインタラプタ8RはONか、又はフォトインタラプタ8LはONでフォトインタラプタ8RはOFFかを判断する。フォトインタラプタ8LはOFFでフォトインタラプタ8RはONであればS13に進み、フォトインタラプタ8LはONでフォトインタラプタ8RはOFFであればS14に進む。
S13では、通電デューティ比をDb/Da>1に設定して温調制御部28を介してヒータ16へ通電を行う。
S14では、通電デューティ比をDb/Da<1に設定して温調制御部28を介してヒータ16へ通電を行う。
ところで、片ループの発生を判断する方法について、左右のループセンサの検知結果が異なる状態が所定時間続いたら、片ループが発生していると判断したが、片ループの発生を判断する方法はこれに限らない。
例えば、左右のフォトインタラプタ8L,8RそれぞれのON時間あるいはOFF時間を積算し、それぞれの積算値TL,TRの差分の絶対値|TL−TR|がある閾値αを超えた場合に、片ループが発生していると判断してもよい。このとき、TLとTRの値の大小関係によって、左右のどちら側のループ量が小さいかわかるので、ループ量が小さい側のヒータ16の発熱量が小さくなるようにヒータの発熱分布に差を付けることができる。
中央のループセンサ10Cは記録材Pのループ量を適正に保つ上で配置してあることが望ましいが、必ずしも必要でない。中央のループセンサ10Cがない場合は、左右のループセンサ10R,10Lの検知結果を用いて、記録材Pのループ量を適正に保つことも可能である。
例えば、左右のフォトインタラプタ8L,8RのON/OFFの結果が共にOFFの場合は、記録材Pのループ量が大きいので、定着速度をVhighに設定する。左右のフォトインタラプタ8L,8RのON/OFFの結果が共にONの場合は、記録材Pのループ量が小さいので、定着速度をVlowに設定する。このようにすれば、中央のループセンサ10Cがなくてもループ量を適正に保つことが可能である。
ループセンサとして、非接触式の測距センサを用いてもよい。ここで、測距センサとは、発光部から記録材へ光を投射し、記録材の反射光を受光部によって受光して記録材までの距離に応じた電圧を出力する反射型センサのことである。この測距センサによって記録材Pの幅方向の左右のループ量の差を検知し、例えば、ループ量の差が10mmを超えた場合に、ループ量が小さい側のヒータの発熱量が小さくなるように通電デューティ比率を制御するといったこともできる。
ヒータ16として第1の発熱体52、及び第2の発熱体53を用い、記録材Pの幅方向において、ヒータの左端部16L側と右端部16R側の発熱分布に差をつける構成を用いた。しかし、ヒータ16の左端部16L側と右端部16R側の発熱分布に差をつけることが可能な構成であればヒータはこの構成に限らない。
図13に、ヒータ16の他の例を示す。
図13に示すように、発熱分布が異なる第1の発熱体57、第2の発熱体58、及び第3の発熱体59を有するヒータ16を用いてもよい。この場合、第1の発熱体57は、ヒータ16の幅方向において、左右対称の発熱分布である。そのため、ヒータ16の幅方向において、左右非対称の発熱分布を持つ第2の発熱体58、及び第3の発熱体59への電力供給量の比率を変えることによってヒータの左端部16L側と右端部16R側の発熱分布に差を付けることができる。
以上のように、本実施例の画像形成装置100は、記録材Pの幅方向において、左右のループセンサ10L,10Rの検知結果が異なる場合に、ループ量が少ない側のヒータ16の発熱量を相対的に小さくする。これにより、片ループを解消することができ、片ループに起因する色ずれや画像の擦れ、また記録材後端の跳ねによる画像の乱れを抑制することができる。
[実施例2]
画像形成装置100の他の例を説明する。
実施例1の画像形成装置100は、発熱手段として、記録材Pの搬送方向に直交する幅方向Yにおいて、発熱分布の異なる少なくとも2本の発熱体52,53、又は発熱体57,58,59を有するヒータ16を用いた。
本実施例の画像形成装置100は、記録材Pの搬送方向に直交する幅方向Yに分割された複数の被加熱領域のそれぞれを加熱する発熱体を有するヒータ300を用いることを特徴とする。そして本実施例の画像形成装置100は、ヒータ300と、ヒータを保持するホルダ201と、を除いて実施例1と同じ構成としてある。
図14は本実施例の画像形成装置100に用いるヒータ300、及びホルダ201を説明するための図である。図14(a)は図14(b)に示すヒータ300の中央搬送基準位置の断面図である。
ヒータ300は、記録材Pの幅方向Yに細長い基板305を有する。ヒータ300の非摺動面側において、基板305の面上には、裏面層1として、第1の導電体301(301a,301b)と、第2の導電体303(中央搬送基準位置付近では電極部303−4)と、発熱体302と、を有する。
第1の導電体301(301a,301b)は、記録材Pの幅方向Yに沿って設けられている。第2の導電体303は、第1の導電体とは記録材Pの搬送方向Xの異なる位置で記録材Pの幅方向Yに沿って設けられている。発熱体302は、第1の導電体301と第2の導電体303の間に設けられている。この発熱体302は、第1の導電体301と第2の導電体303を介して供給される電力によって発熱する。そしてこの発熱体302は、記録材Pの搬送方向Xの上流側に配置された発熱体302a(中央搬送基準位置付近では302a−4)と、下流側に配置された発熱体302b(中央搬送基準位置付近では302b−4)と、に分離されている。
裏面層1における発熱体302(302a−4,302b−4)、第1の導電体301(301a,301b)、及び第2の導電体303(303−4)を覆うように、裏面層2として、絶縁性の表面保護層(本実施例ではガラス)307が設けてある。この表面保護層307は、第2の導電体303の電極部E4を避けて設けられている。
図14(b)は紙面上方から図14(a)に示すヒータ300の裏面層2、裏面層1、摺動面層1、及び摺動面層2の平面図である。
ヒータ300の裏面層1には、第1の導電体301と、第2の導電体303と、発熱体302と、の組からなる発熱ブロックが記録材Pの幅方向Yに複数設けられている。本実施例のヒータ300は、記録材Pの幅方向Yにおいて、合計7つの発熱ブロック(発熱体)HB1,HB2,HB3,HB4,HB5,HB6,HB7を有する。発熱ブロックHB1の図中の左端から、発熱ブロックHB7の図中の右端までが発熱領域である。本実施例では、記録材Pの幅方向Yにおいて、各発熱ブロックHB1〜HB7の幅は全て同じであるが、必ずしも全て同じ幅でなくても良い。
各発熱ブロックHB1〜HB7は、記録材Pの搬送方向Xにおいて、ヒータ300の上流側と下流側で対称となるように形成された発熱体302a−1〜302a−7、及び発熱体302b−1〜302b−7によって、それぞれ構成されている。第1の導電体301は、発熱体302a−1〜302a−7と接続する導電体301aと、発熱体302b−1〜302b−7と接続する導電体301bと、によって構成されている。同様に、第2の導電体303は、7つの発熱ブロックHB1〜HB7に対応するため、導電体303−1〜303−7の7本に分割されている。
電極部E1〜E7、電極部E8−1、及び電極部E8−2は、後述するヒータ300の制御回路400から電力を供給するために用いる電気接点C1〜C7、C8−1、C8−2(図14(c)参照)と接続するために用いる。電極部E1〜E7は、それぞれ、導電体303−1〜303−7を介して、発熱ブロックHB1〜HB7に電力供給するために用いる電極である。電極部E8−1、及び電極部E8−2は、導電体301a、及び導電体301bを介して、7つの発熱ブロックHB1〜HB7に電力給電するために用いる共通の電気接点と接続するために用いる電極である。
本実施例では、記録材Pの幅方向Yにおいて、基板305の左右の両端部に電極部E8−1、及び電極部E8−2を設けているが、例えば電極部E8−1のみを基板の片側の端部に設ける構成でもよい。或いは、記録材の搬送方向Xにおいて、基板305の上流側と下流側の端部で別々の電極部を設けても良い。
また、ヒータ300の裏面層2の表面保護層307は、電極部E1〜E7、電極部E8−1、及び電極部E8−2の箇所を除いて形成されている。ヒータ300の裏面層2側から、電極部E1〜E7、電極部E8−1、及び電極部E8−2に電気接点C1〜C7、C8−1、及びC8−2を接続可能な構成となっており、ヒータ300の裏面層側から電力供給可能な構成である。また、発熱ブロックHB1〜HB7のうちの少なくとも一つの発熱ブロックに供給する電力と、その少なくとも一つの発熱ブロックを除く他の発熱ブロックに供給する電力を独立に制御可能な構成となっている。
ヒータ300の摺動面側において、基板305の摺動面層1には、ヒータの発熱ブロックHB1〜HB7ごとの温度を検知するため、サーミスタT1−1〜T1−4、及びサーミスタT2−5〜T2−7が配置されている。このサーミスタT1−1〜T1−4、及びサーミスタT2−5〜T2−7は、PTC特性、若しくはNTC特性(本実施例ではNTC特性)を有した材料を基板305の面上に薄く形成したものである。発熱ブロックHB1〜HB7の全てにサーミスタT1−1〜T1−4、及びサーミスタT2−5〜T2−7を有しているため、サーミスタの抵抗値を検出することにより、全ての発熱ブロックの温度を検知できる。
また、基板305の摺動面層1には、サーミスタT1−1〜T1−4に通電するために、サーミスタの抵抗値検出用の導電体ET1−1〜ET1−4と、サーミスタの共通導電体EG1が形成されている。また、基板305の摺動面層1には、サーミスタT2−5〜T2−7に通電するために、サーミスタの抵抗値検出用の導電体ET2−5〜ET2−7と、サーミスタの共通導電体EG2が形成されている。
ヒータ300の摺動面側において、基板305の摺動面層2には、摺動性のある表面保護層308(本実施例ではガラス)が設けられている。記録材の幅方向Yにおいて、その表面保護層は、導電体ET1−1〜ET1−4、ET2−5〜ET2−7、及びサーミスタの共通導電体EG1、EG2に電気接点を設けるため、摺動面層2の両端部を除き、少なくともフィルム内面と摺動する領域に設けてある。
図14(c)はホルダ201をヒータ300側から見たときの図である。
ヒータ300を保持するホルダ201には、電極部E1〜E7、電極部E8−1、及び電極部E8−2と、電気接点C1〜C7、電気接点C8−1、及び電気接点C8−2を接続するための穴が設けられている。ステー15とホルダ201の間には、通電遮断素子TF、電気接点C1〜C7、電気接点C8−1、電気接点C8−2が設けられている。ヒータ300の電極部E1〜E7に接触する電気接点C1〜C7、電極部E8−1に接触する電気接点C8−1、及び電極部E8−2に接触する電気接点C8−2は、バネによる付勢や溶接等の手法によって、それぞれ、ヒータの電極部と電気的に接続されている。
電気接点C1〜C7、電気接点C8−1、及び電気接点C8−2は、ステー15とホルダ201の間に設けられたケーブルや薄い金属板等の導電材料を介して後述するヒータ300の制御回路400と接続している。
また、サーミスタの抵抗値検出用の導電体ET1−1〜ET1−4、ET2−5〜ET2−7、及びサーミスタの共通導電体EG1、EG2に設けられた電気接点も、後述する制御回路400と接続されている。
図15に、ヒータ300の制御回路400の回路図を示す。
401は画像形成装置100に接続される商用の交流電源である。ヒータ300の電力制御は、トライアック411〜トライアック417の通電/遮断により行われる。トライアック411〜417は、それぞれ、CPU420からのFUSER1〜FUSER7信号に従って動作する。トライアック411〜417の駆動回路は省略して示してある。
ヒータ300の制御回路400は、7つのトライアック411〜417によって、7つの発熱ブロックHB1〜HB7を独立制御可能な回路構成となっている。
ゼロクロス検知部421は交流電源401のゼロクロスを検知する回路であり、CPU420にZEROX信号を出力している。ZEROX信号は、トライアック411〜417の位相制御や波数制御のタイミングの検出等に用いている。
次にヒータ300の温度検知方法について説明する。
サ−ミスタT1−1〜T1−4によって検知される温度は、サ−ミスタT1−1〜T1−4と抵抗451〜454との分圧が、Th1−1〜Th1−4信号としてCPU420で検知されている。同様に、サ−ミスタT2−5〜T2−7によって検知される温度は、サ−ミスタT2−5〜T2−7と抵抗465〜467との分圧が、Th2−5〜Th2−7信号としてCPU420で検知されている。
CPU420の内部処理では、各発熱ブロックHB1〜HB7の設定温度と、サーミスタT1−1〜T1−4、及びサーミスタT2−5〜T2−7の検知温度に基づき、例えばPI制御により、供給するべき電力を算出する。更に供給する電力に対応した位相角(位相制御)や、波数(波数制御)の制御レベルに換算し、その制御条件によりトライアック411〜417を制御している。
リレー430、リレー440は、故障などによりヒータ300が過昇温した場合、ヒータ300への電力遮断手段として用いている。
リレー430、及びリレー440の回路動作を説明する。
RLON信号がHigh状態になると、トランジスタ433がON状態になり、電源電圧Vccからリレー430の2次側コイルに通電され、リレー430の1次側接点はON状態になる。RLON信号がLow状態になると、トランジスタ433がOFF状態になり、電源電圧Vccからリレー430の2次側コイルに流れる電流は遮断され、リレー430の1次側接点はOFF状態になる。
同様に、RLON信号がHigh状態になると、トランジスタ443がON状態になり、電源電圧Vccからリレー440の2次側コイルに通電され、リレー440の1次側接点はON状態になる。RLON信号がLow状態になると、トランジスタ443がOFF状態になり、電源電圧Vccからリレー440の2次側コイルに流れる電流は遮断され、リレー440の1次側接点はOFF状態になる。
次にリレー430、及びリレー440を用いた回路の動作について説明する。
サーミスタTh1−1〜Th1−4による検知温度の何れか1つが、それぞれ設定された所定値を超えた場合、比較部431はラッチ部432を動作させ、ラッチ部432はRLOFF1信号をLow状態でラッチする。RLOFF1信号がLow状態になると、CPU420がRLON信号をHigh状態にしても、トランジスタ433がOFF状態で保たれるため、リレー430はOFF状態で保つことができる。尚、ラッチ部432は非ラッチ状態において、RLOFF1信号をオープン状態の出力にしている。
同様に、サーミスタTh2−5〜Th2−7による検知温度の何れか1つが、それぞれ設定された所定値を超えた場合、比較部441はラッチ部442を動作させ、ラッチ部442はRLOFF2信号をLow状態でラッチする。RLOFF2信号がLow状態になると、CPU420がRLON信号をHigh状態にしても、トランジスタ443がOFF状態で保たれるため、リレー440はOFF状態で保つことができる。同様に、ラッチ部442は非ラッチ状態において、RLOFF2信号をオープン状態の出力にしている。
本実施例の画像形成装置100では、記録材Pをプリントする際の記録材のサイズに応じて、ヒータ300の7つの発熱ブロックHB1〜HB7への電力供給を制御する。
図16は、記録材の幅方向Yにおいて、7つに分割された被加熱領域A1〜A7をA3サイズの記録材Pの大きさと対比して示した図である。
被加熱領域A1〜A7は発熱ブロックHB1〜HB7に対応しており、発熱ブロックHB1により被加熱領域A1が加熱され、発熱ブロックHB7により被加熱領域A7が加熱される構成となっている。
記録材の幅方向Yにおける被加熱領域A1〜A7の全長は320mmであり、各被加熱領域はこれを均等に7分割したものである(L=45.7mm)。例えば、A3サイズの記録材をプリントする際は、発熱ブロックHB1〜HB7に電力を供給し、被加熱領域A1〜A7を加熱する。LETTERサイズ(縦279mm、横216mm)の記録材を縦方向が記録材の搬送方向と平行になるように搬送する場合は、発熱ブロックHB2〜HB6に電力を供給し、被加熱領域A2〜A6を加熱する。
このように、記録材が通過する領域のみ発熱ブロックに電力供給することによって、記録材が通過しない領域(非通過部)が加熱されることにより昇温する非通過部昇温を抑制することが可能になる。
本実施例では、片ループの発生を検知した時に、上述したヒータ300の発熱ブロックHB1〜HB7への電力供給を制御することで、ループ状態を適正に戻す制御を行う。以下、その制御方法について、A3サイズの記録材を搬送した場合を例にして説明する。
実施例1と同様に、左側のループセンサ10Lでフォトインタラプタ8LがOFF、右側のループセンサ10Rでフォトインタラプタ8RがONになっていることを制御部30が判断する。このように左右のループセンサ10L,10Rで検知結果が逆であると判断する。すると、制御部30は、フォトインタラプタがONとなっている側、ここでは右側のループセンサ10R側に位置する発熱ブロックHB7の電力供給量を減少させる。具体的には、発熱ブロックHB7の設定温度を元々の設定温度よりも10deg下げることで、発熱ブロックHB7の電力供給量を減少させる。
尚、フィルム20表面は記録材Pのトナー画像担持面に直接接触するため、フィルムの温度は定着性に対する感度が高く、温度低下による定着不良が発生し易い。従って、設定温度を下げる量は、温度低下による定着不良が発生しない範囲で決める必要がある。このことを考慮して、本実施例では、元々の設定温度よりも10deg下げる設定とした。
上述のように、左右のループセンサ10L,10Rで検知される記録材Pの幅方向における左側と右側の領域のループ量において、ループ量が相対的に小さい側(記録材Pの右側の領域)の発熱ブロックHB7の設定温度を下げる。これによって加圧ローラ22の全体領域でなく右側のループセンサ10Rに対応する加圧ローラの右側の領域のみ温度を下げる。これにより、フォトインタラプタがONとなっている右側のループセンサ10Rに対応する加圧ローラ22の右側の領域の温度が下がる。
一方、フォトインタラプタがOFFとなっている左側のループセンサ10Lに対応する加圧ローラ22の左側の領域はそのままの温度を維持する。
これにより、記録材Pの幅方向Yにおいて、加圧ローラ22は、加圧ローラの右側のループセンサ10R側に対応する領域と左側のループセンサ10L側に対応する領域で温度差が生じる。この温度差は加圧ローラ22の弾性層22bの熱膨張の差となる。即ち、発熱ブロックの設定温度を下げた加圧ローラ22の右側の領域は、設定温度を下げていない加圧ローラの左側の領域に対して外径が小さくなる。
このため、記録材Pの幅方向Yにおいて、加圧ローラ22による記録材Pの定着速度は、加圧ローラの右側の領域と左側の領域で差が生じる。つまり、発熱ブロックの設定温度を下げた加圧ローラ22の右側の領域の方が定着速度が遅くなる。発熱ブロックの設定温度を下げた加圧ローラ22の右側の領域は、定着速度が遅くなることで、二次転写部Mと定着装置12間の記録材Pのループ量が増大する。
フォトインタラプタがONとなっていた右側のループセンサ10Rに対応する加圧ローラ22の右側の領域は、元々ループ量が極端に小さかったわけであるから、これによって適正なループ量に近づいていく。これに対して、元々フォトインタラプタがOFFとなっていた左側のループセンサ10Lに対応する加圧ローラ22の左側の領域は、そのままのループ量を維持する。この結果、左右のループ量の差が小さくなり、片ループが解消されていく。
右側のループセンサ10Rのフォトインタラプタ8RがONからOFFに切り替わり、左右のループセンサ10L,10Rのフォトインタラプタ8L,8Rの検知結果が同じになったと判断された時点で、発熱ブロックHB7の設定温度を元の値に戻す。本実施例の制御による発熱ブロックの設定温度の変更は、片ループによって左右のループセンサ10L,10Rによる検知結果が異なると判断された時にのみ実行する。左右の検知結果が同じと判断され、共にON又はOFFの時には、本実施例の制御による発熱ブロックの設定温度の変更は行わない。
本実施例では、左右でフォトインタラプタがONとなっている側に位置する発熱ブロックの設定温度を元々の設定温度よりも下げたが、OFFとなっている側に位置する発熱ブロックの設定温度を元々の設定温度よりも上げても片ループを解消できる。
即ち、左右のループセンサ10L,10Rで検知される記録材Pの幅方向における左側と右側の領域のループ量において、ループ量が相対的に大きい側の発熱ブロックHB1の設定温度を上げる。これによって加圧ローラ22の全体領域でなく左側のループセンサ10Lに対応する加圧ローラの左側の領域のみ温度を上げる。これにより、フォトインタラプタがOFFとなっている左側のループセンサ10Lに対応する加圧ローラ22の左側の領域の温度が上がる。
一方、フォトインタラプタがONとなっている右側のループセンサ10Rに対応する加圧ローラ22の右側の領域はそのままの温度を維持する。
これにより、発熱ブロックの設定温度を上げた加圧ローラ22の左側の領域は、設定温度を下げていない加圧ローラの右側の領域に対して外径が大きくなる。このため、記録材Pの幅方向Yにおいて、加圧ローラ22による記録材Pの定着速度は、加圧ローラの右側の領域と左側の領域で差が生じる。つまり、発熱ブロックの設定温度を上げた加圧ローラ22の左側の領域の方が定着速度が速くなる。
発熱ブロックの設定温度を上げた加圧ローラ22の右側の領域は、定着速度が速くなることで、二次転写部Mと定着装置12間の記録材Pのループ量が減少する。これによって、左右のループ量の差が小さくなり、片ループが解消される。
尚、記録材Pのループ量は、中央のループセンサ10Cによる、モータ27の速度制御により適正に保つことができる。また、設定温度を上げる量は、温度上昇によるホットオフセットが発生しない範囲で決める必要がある。
以上のように、本実施例の画像形成装置100は、記録材Pの幅方向において、左右のループセンサ10L,10Rの検知結果が異なる場合に、ループ量が少ない側の発熱ブロックの設定温度を下げる。これにより、片ループを解消することができる。よって、実施例1と同様の効果を得ることができる。
[変形例]
上述した実施例では、板状のヒータを用いたフィルム加熱方式の定着装置を用いたが、定着装置はこれに限らない。例えば、電磁誘導加熱方式の定着装置でもよいし、ハロゲンヒータでフィルムを加熱する方式の定着装置を用いてもよい。
フィルムをハロゲンヒータで加熱する方式の定着装置においては、配向が異なる複数のハロゲンヒータをフィルム内面側に設ける。そして、それぞれのヒータへの通電デューティ比率を変更することにより、ヒータの記録材の幅方向における左側と右側の発熱分布に差を作ることが可能である。例えば、記録材の幅方向において、中央搬送基準から左側の発熱量が大きい配向特性を持ったハロゲンヒータと、中央搬送基準から右側の発熱量が大きい配向特性を持ったハロゲンヒータと、を有する。そして、それぞれのヒータへの電力供給量が同じ場合に、フラットな発熱分布が得られるような構成としてもよい。
このような構成においても、2本のヒータへの通電量を変えることで、ヒータの記録材の幅方向における左側と右側の発熱量に差を付けることができる。したがって、片ループが検知された場合、ループ量が小さい側の発熱量が小さくなるような発熱分布にすることで、片ループを解消することが可能となる。
また、電磁誘導加熱方式の定着装置を用いる場合でも本発明は適用可能である。電磁誘導加熱方式とは、磁場の作用によって発熱する発熱層を有するフィルムの内側あるいは外側に励磁コイルを配置し、励磁コイルに通電することでフィルムを電磁誘導発熱させる方式のことである。この方式においても、記録材の幅方向に分割して励磁コイルを配置し、それぞれのコイルへの通電量を変えることで、フィルムの記録材の幅方向における左側と右側の発熱分布に差を作ることが可能である。例えば、記録材の幅方向で3分割するように3つの励磁コイルを配置し、3つの励磁コイルへの通電量を変えることで、フィルムの記録材の幅方向における左側と右側の発熱分布を変えることが可能である。