JP2018004557A - マイクロチップ電気泳動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】マイクロチップ電気泳動装置の構成を簡略化する。【解決手段】マイクロチップ電気泳動装置1は、内部に電気泳動により試料を分離するための分離用流路を少なくとも含む流路を備え、その流路の各端部にそれぞれ開口したリザーバを有するマイクロチップ5を保持するチップ保持部7と、チップ5のリザーバに液体を分注するための分注プローブ8を支持するプローブ支持体12と、プローブ支持体12を移動させるプローブ移動機構100と、チップ5のリザーバ内の液体を吸引するための吸引ノズルを支持するノズル支持体17と、プローブ支持体12又はノズル支持体17のいずれか一方の支持体を移動させる移動機構と、を備え、プローブ支持体12とノズル支持体17は着脱可能に接続された状態で移動機構によって両支持体が同時に移動される。【選択図】図4

Description

本発明は、マイクロチップ電気泳動装置に関するものである。
マイクロチップ電気泳動では、板状部材の内部に分離用流路を含む流路を有する電気泳動用のマイクロチップ(以下、チップとも言う)が使用される。チップの分離用流路に導入された例えばDNA、RNA又はタンパク質などの試料は、分離用流路の両端間に電圧が印加されて分離用流路内で電気泳動されることによって分離して検出される。
マイクロチップは、例えば、一対の板状部材を用い、流路を内側にして貼り合わせて形成される。マイクロチップ電気泳動は、高速に核酸やタンパク質などを分離検出できる手法であるが、ランニングコストをできるだけ抑えるためには1度に多検体を処理するか、チップを繰り返し再利用することが好ましい。利便性を損なうことなくチップを繰り返し再利用するためには、チップの分析前準備(チップの洗浄、分離バッファの充填)、サンプル分注、電気泳動、分析後の後処理(サンプルや分離バッファの吸引除去、チップの洗浄)を全自動で繰り返す必要があり、複雑な機構が必要である(特許文献1参照。)。
特許第4375031号公報
本発明は、マイクロチップ電気泳動装置の構成を簡略化することを目的とするものである。
本発明に係るマイクロチップ電気泳動装置の実施形態は、内部に電気泳動により試料を分離するための分離用流路を少なくとも含む流路を備え、上記流路の各端部にそれぞれ開口したリザーバを有するマイクロチップを保持するチップ保持部と、上記リザーバに液体を分注するための分注プローブを支持するプローブ支持体と、上記リザーバ内の液体を吸引するための吸引ノズルを支持するノズル支持体と、上記プローブ支持体又はノズル支持体のいずれか一方の支持体を移動させる移動機構と、を備え、プローブ支持体とノズル支持体は着脱可能に接続された状態で移動機構によって両支持体が同時に移動されるものである。
本発明に係るマイクロチップ電気泳動装置の実施形態は、ノズル支持体とプローブ支持体とが着脱可能に接続され、いずれか一方の支持体を移動させる移動機構によって、両支持体が接続された状態で同時に移動されるように構成されているので、各支持体を移動させるためのそれぞれの駆動装置を備えている必要がなく、一方の支持体を移動させるための移動機構によって両支持体を移動させることができる。これにより、構成を簡略化することができる。
マイクロチップ電気泳動装置の一実施形態における制御部に関する部分を概略的に示すブロック図である。 同実施形態の模式的な斜視図である。 同実施形態の模式的な平面図である。 同実施形態の動作を説明するための、一部断面を含む模式的な側面図である。 マイクロチップの一例を示す図であり、(A)と(B)はマイクロチップを構成する透明板状部材を示す平面図、(C)はマイクロチップの正面図である。 同マイクロチップの具体的な一例を示す平面図である。 チップが搭載された状態のチップ保持部を示す概略的な平面図である。 カバーを示す概略的な平面図である。 同実施形態の動作を工程順に説明するための概略的な斜視図である。 同実施形態の続きの動作を工程順に説明するための概略的な斜視図である。 同実施形態のさらに続きの動作を工程順に説明するための概略的な斜視図である。 同実施形態のさらに続きの動作を工程順に説明するための概略的な斜視図である。 同実施形態のさらに続きの動作を工程順に説明するための概略的な斜視図である。 加圧送液部とチップの接続状態を模式的に一部断面で示した側面図である。
本発明のマイクロチップ電気泳動装置の実施形態において、上記プローブ支持体又は上記ノズル支持体のいずれか一方の支持体は鉛直下方へ伸びるように設けられたピンを備え、上記両支持体がそのピンを介して接続されるようになっていてもよい。
上記実施形態の好ましい態様として、上記ピンは上記プローブ支持体に設けられたプレパンチピンであり、上記ノズル支持体にそのプレパンチピンの先端部が挿入される穴が設けられ、プレパンチピンがその穴に挿入されることによって上記両支持体が接続されるように構成されている態様を挙げることができる。マイクロチップ電気泳動装置に設置されるサンプル容器はサンプルの収容部分が例えばアルミニウム製や樹脂製の保護シートで覆われていることがある。そこで、マイクロチップ電気泳動装置には、保護シートに穴を開けるためのプレパンチピンが設けられることがある。この実施形態では、プローブ支持体に支持されるプレパンチピンを用いてプローブ支持体とノズル支持体が接続されるので、簡単な構成でプローブ支持体とノズル支持体を接続できる。なお、プローブ支持体とノズル支持体を接続する方法は、プレパンチピンを用いる方法に限定されず、例えばプローブ支持体に設けられた突起部又は凹部と、それに嵌め合わされるノズル支持体に設けられた凹部又は突起部を用いるなど、どのような方法であってもよい。
また、本発明のマイクロチップ電気泳動装置の実施形態において、例えば、ノズル支持体の移動方向を案内するノズル案内機構をさらに備え、上記プローブ移動機構は、互いに直交して鉛直方向を含む3軸方向に上記プローブ支持体を移動自在に支持するプローブ支持機構と、上記プローブ支持体を上記3軸方向に移動させるための駆動装置を備え、上記ノズル案内機構は、上記3軸方向のうち上記鉛直方向を含む2軸方向に上記ノズル支持体を移動自在に支持するノズル支持機構を備えているようにしてもよい。これにより、簡単な構成でプローブ移動機構とノズル案内機構を実現できる。ここで、鉛直方向とは厳密に鉛直な方向のみならず、おおよそ鉛直な方向も含む。なお、プローブ移動機構及びノズル案内機構の構成はこれらに限定されない。例えば、プローブ移動機構は、垂直又は水平多関節ロボットなど、プローブ支持体を三次元に自在に移動できるものであってもよい。また、ノズル案内機構は、例えば、ノズル支持体を直線に沿って案内するものに限定されず、曲線に沿って案内するものであってもよい。
以下、図面を用いてマイクロチップ電気泳動装置の一実施形態について説明する。
図1はマイクロチップ電気泳動装置の一実施形態における制御部に関する部分を概略的に示すブロック図である。図2は、この実施形態の模式的な斜視図である。図3は、この実施形態の模式的な平面図である。図4は、この実施形態の動作を説明するための、一部断面を含む模式的な側面図である。
マイクロチップ電気泳動装置1は、大まかに、分注プローブ部2と液面検知部3とシリンジポンプ部4を有する分注プローブ機構6、チップ保持部7、加圧送液部16と吸引ポンプ部18を有する吸引ノズル機構19、電圧印加部24、検出部31及び制御部38を備えている。
チップ保持部7に例えば1つのチップ5(マイクロチップ)が保持されている。チップ5に対向してカバー26が配置されている。カバー26はネジ27によってチップ保持部7に着脱可能に取り付けられている。チップ5については後述する。
分注プローブ機構6は、チップ5のリザーバへの分離バッファや試薬、試料の分注や、洗浄液の供給、分離バッファや試薬の残量の検知などを行うものである。分注プローブ機構6の分注プローブ部2は、分注プローブ8と、プレパンチピン11と、プローブ支持体12と、プローブ移動機構100を備えている。
分注プローブ8はプローブ支持体12に支持されている。プレパンチピン11は係脱可能にプローブ支持体12に支持される。プレパンチピン11をプローブ支持体12に支持する機構については後述する。
プローブ移動機構100はプローブ支持体12を移動させるものである。例えば、プローブ移動機構100は、互いに直交して鉛直方向(Z軸)を含む3軸方向(X軸、Y軸、Z軸)にプローブ支持体12を三次元移動させるものである。
図3及び図4に示すように、プローブ移動機構100は、上記3軸方向にプローブ支持体12を移動自在に支持するためのプローブ支持機構110,120,130と、プローブ支持体12を上記3軸方向に移動させるためのモーター111,121,131(駆動装置)を備えている。
プローブ支持機構110は、X軸方向に延びるレール112と、レール112に沿って移動するスライダー113と、レール112に平行に配置されたシャフト114と、シャフト114に沿って移動するブッシュ115と、スライダー113上に直立配置されたアーム116と、ブッシュ115上に直立配置されたアーム117を備えている。レール112とシャフト114はベース面300に対して位置固定されている。
モーター111、レール112及びスライダー113はベルト駆動方式の直動案内機構を構成する。アーム116と117は、プローブ支持機構120のレール122とシャフト124を介して連結されている。モーター111の駆動によってスライダー113、ブッシュ115及びアーム116,117がX軸方向に移動される。なお、プローブ支持機構110は、アーム116,117をボールねじ駆動又はラックアンドピニオン駆動方式等で移動させる構成であってもよい。
プローブ支持機構120は、Y軸方向に延びるレール122と、レール122に沿って移動するスライダー123と、レール122に平行に配置されたシャフト124と、シャフト124に沿って移動するブッシュ125と、スライダー123及びブッシュ125に連結されたZマウント126を備えている。レール122及びシャフト124の一端側はプローブ支持機構110のアーム116にそれぞれ支持され、他端側はアーム117にそれぞれ支持されている。
モーター121、レール122及びスライダー123はベルト駆動方式の直動案内機構を構成する。モーター121の駆動によってスライダー123、ブッシュ125及びZマウント126がY軸方向に移動される。なお、プローブ支持機構120は、Zマウント126をボールねじ駆動又はラックアンドピニオン駆動方式等で移動させる構成であってもよい。
プローブ支持機構130は、Z軸方向に沿って配置されたネジ軸132と、ネジ軸132に沿って移動するナットを含む可動体133を備えている。ネジ軸132はZマウント126に回転可能に軸支されている。可動体133にプローブ支持体12が取り付けられている。
また、Zマウント126には、モーター131と、モーター131の回転軸に接続されたプーリー134と、ネジ軸132の上端に接続されたプーリー135と、プーリー134の回転をプーリー135に伝達するベルト136が設置されている。
モーター131の駆動によって可動体133及びプローブ支持体12がZ軸方向に移動される。Zマウント126は、例えばシャフト114の中心軸の高さ位置をZマウント基準127とし、Zマウント基準127の高さ位置を基準として高さ位置調整される。なお、プローブ支持機構130は、プローブ支持体12をベルト駆動方式で移動させる構成であってもよい。
プローブ支持体12に分注プローブ8が支持されている。分注プローブ8は、圧縮コイルばね141が縮むことによって上下動可能にプローブ支持体12に支持されている。
プローブ支持体12には、プレパンチピン11がプレパンチシャフト142、シャフトカバー143及び係止機構144を介して係脱可能に支持される。プレパンチシャフト142の上端側はパイプ状のシャフトカバー143内に摺動可能に配置されている。
シャフトカバー143は、係止機構144によってプローブ支持体12とZマウント126のいずれかに係脱可能に係止される。例えば、係止機構144は、本体がシャフトカバー143に取り付けられており、本体に移動可能に取り付けられた係止部材をプローブ支持体12又はZマウント126に係脱可能に接続することにより、シャフトカバー143をプローブ支持体12とZマウント126のいずれかに係止する。
プレパンチシャフト142の上端側に、サンプル有無検知に用いられるセンサドグ145が固定されている。センサドグ145は、シャフトカバー143の上端面と接触することにより、プレパンチシャフト142の下方側への移動範囲を制限する機能を有する。
プレパンチシャフト142の下端側は圧縮コイルばね146内に配置されている。圧縮コイルばね146の復元力により、圧縮コイルばね146の下端面がプレパンチピン11の上端面に接触し、圧縮コイルばね146の上端面がシャフトカバー143の下端面に接触し、プレパンチシャフト142の上端側に固定されたセンサドグ145がシャフトカバー143の上端面に接触している。係止機構144によってプローブ支持体12とシャフトカバー143が同時に下降し、プレパンチピン11がサンプルチューブ上端部又は保護シートに接触すると、圧縮コイルばね146が縮むことにより、プレパンチピン11がシャフトカバー143に対して上下動し、サンプル有無検知センサ150で認識される。
また、プレパンチシャフト142には、プレパンチピン11とシャフトカバー143の間の位置に、プレパンチシャフト142の上方側への移動範囲を制限するためのストッパ147が固定して取り付けられている。ストッパ147は、圧縮コイルばね146と接触して移動が妨げられないようにして、圧縮コイルばね146内に配置されている。なお、係止機構144内にプレパンチシャフト142の上端部が接触するストッパを設けてもよい。
また、プローブ支持体12にはサンプル有無検知センサ148が設けられている。サンプル有無検知センサ148は、センサドグ145の一部分が配置されるスリットを備え、そのスリット内にセンサドグ145の一部分が位置しているか否かを例えば光学的に又は磁界の変化によって検出する。なお、サンプル有無検知センサは、センサドグ45及びサンプル有無検知センサ148を用いた構成に限定されず、例えばプレパンチピン11へのショック検知が可能なショックセンサなどであってもよい。
図2に示されるように、分注プローブ機構6は、例えば、計量ポンプ部4と、開閉バルブ9a,9bと、洗浄液容器10も備えている。分注プローブ8は開閉バルブ9aを介して計量ポンプ4に接続されている。洗浄液容器10は開閉バルブ9bを介して計量ポンプ4に接続されている。洗浄液容器10は洗浄液を収容している。洗浄液は例えば純水である。
また、分注プローブ機構6は、図1に示されるように、分離バッファや試薬の残量を検知するための液面検知部3を備えている。液面検知部3は、例えば、分注プローブ8全体の静電容量変化に基づいて液面を検知するセンサを備えている。
次に吸引ノズル機構19について説明する。吸引ノズル機構19は、チップ5のリザーバ内の分離バッファ、試料又は洗浄液の吸引除去と、チップ5の流路内への洗浄液や分離バッファの加圧送液を行うものである。
吸引ノズル機構19は、加圧送液部16と、チップ5のリザーバに対応して設けられた吸引ノズル22−1〜22−4と、加圧送液部16及び吸引ノズル22−1〜22−4を保持するノズル支持体17と、ノズル支持体17の移動方向を案内するノズル案内機構200を備えている。
図14も参照して説明すると、加圧送液部16はエアーシリンダ161を備え、チップ5に対向する面に設けられた吐出口162から空気を吸引及び吐出する。
吸引ノズル22−1〜22−4は吸引ポンプ部18に設けられたポンプにそれぞれ接続されている。
ノズル案内機構200は、例えば、鉛直方向(Z軸)を含む2軸方向(Y軸、Z軸)にプローブ支持体12を移動自在に支持するノズル支持機構210,220を備えている。
ノズル支持機構210は、Y軸方向に延びるレール211と、レール211に沿って移動するスライダー212と、レール211に平行に配置されたシャフト213と、シャフト213に沿って移動するブッシュ214と、スライダー212とブッシュ214を連結するテーブル215を備えている。レール211とシャフト213はベース面300に対して位置固定されている。
ノズル支持機構220は、テーブル215上に直立配置された2本のシャフト221と、シャフト221に沿って移動するブッシュ222を備えている。ブッシュ222にノズル支持体17が取り付けられている。シャフト221の上端側にストッパ223が固定されている。
テーブル215とブッシュ222の間には、シャフト221の外周に沿って圧縮コイルばね224が配置されている。圧縮コイルばね224の復元力により、圧縮コイルばね224の下端面がテーブル215の上面に接触し、圧縮コイルばね224の上端面がブッシュ222の下端面に接触し、ブッシュ222の上端面がストッパ223に接触している。圧縮コイルばね224が縮むことにより、ノズル支持体17がテーブル215に対して上下動する。
ノズル支持体17の上面に、プレパンチピン11の先端が嵌め込まれる穴401が設けられている。
吸引ノズル22−1〜22−4は、圧縮コイルばね402が縮むことによってノズル支持体17に対して先端位置がそれぞれノズル支持体17側へ移動できるようにして、ノズル支持体17に保持されている。なお、図4では吸引ノズル22−1のみを図示しているが、吸引ノズル22−2〜22−4も吸引ノズル22−1と同様に、先端位置がノズル支持体17側へ移動できるようになっている。
図2及び図3に示されるように、マイクロチップ電気泳動装置1には、分注プローブ8を洗浄するためのプローブ洗浄部14と、吸引ノズル22−1〜22−4を洗浄するためのノズル洗浄部28が設けられている。プローブ洗浄部14とノズル洗浄部28には洗浄液が供給される。
分注プローブ8の移動範囲内に、試料を収容した例えば96穴のウェルプレート13が配置される。また、分注プローブ8の移動範囲内に設けられた試薬配置部15に試薬や分離バッファを収容した容器が配置される。なお、試薬や分離バッファはウェルプレート13の穴に収容されてもよい。
電圧印加部24は、チップ5の流路端のそれぞれに所定の電圧を印加するものである。
検出部31は、チップ5内の分離用流路で分離された試料成分を例えば蛍光検出する。検出部31は、例えば、分離用流路の一部に励起光を照射するLED(発光ダイオード)30と、分離用流路を移動する試料成分がLED30からの励起光により励起されて発生した蛍光を受光する光ファイバ32を備えている。
また、検出部31は、光ファイバ32からの蛍光から励起光成分を除去して蛍光成分のみを透過させるフィルタ34を介して蛍光を受光する光電子増倍管36を備えている。なお、励起光の光源としては、LEDに限らず、例えばLD(レーザダイオード)を用いてもよい。
制御部38は、分注プローブ機構6、吸引ノズル機構19、電圧印加部24及び検出部31の動作を制御する。制御部38は、例えば、CPU(中央演算処理装置)や記憶装置などを搭載したマイコンによって実現される。制御部38はマイクロチップ電気泳動装置1の外部に設けられたコンピュータ40に接続されている。
コンピュータ40は例えばパーソナルコンピュータ(PC)や専用のコンピュータによって実現される。コンピュータ40は、マイクロチップ電気泳動装置1の動作を指示したり、検出部31が得たデータを取り込んで処理したりするための外部制御装置である。
図5と図6はチップ5の一例を示したものである。なお、本発明の実施形態におけるチップ(マイクロチップ)は、内部に形成された流路と流路端にそれぞれ開口したリザーバを有するチップを指しており、必ずしもサイズの小さいものに限定される意味ではない。
図5に示されるように、チップ5は、例えば一対の透明基板51,52からなる。透明基板51,52は例えば石英ガラスその他のガラス基板や樹脂基板で形成されている。
一方の基板52の表面に、(B)に示されるように、互いに交差する泳動用キャピラリ溝54,55が形成されている。他方の基板51には、(A)に示されるように、その溝54,55の端に対応する位置にリザーバ53−1〜53−4としての貫通孔が形成されている。(C)に示されるように、両基板51,52が重ねられて接合されてチップ5が形成される。キャピラリ溝54,55によって、チップ5内に、試料の電気泳動分離用の分離用流路55と、分離用流路55に試料を導入するための試料導入流路54が形成される。
チップ5は基本的には図5に示したものであるが、取扱いを容易にするために、図6に示されるように、電圧を印加するための電極端子を予めチップ上に形成したものを使用する。図6はチップ5の平面図を示したものである。
4つのリザーバ53−1〜53−4は流路54,55に電圧を印加するためのポートでもある。ポート#1と#2は試料導入流路54の両端に位置するポートである。ポート#3と#4は分離用流路55の両端に位置するポートである。
各ポートに電圧を印加するために、各ポートを構成するリザーバ53−1〜53−4の内壁面からチップ5の表面にわたって電極パターン56−1〜56−4が形成されている。電極パターン56−1〜56−4は電圧印加部24(図2を参照。)に接続されるようになっている。
チップ5の取り扱いを容易にするために、チップ5の3辺の周縁部は、平面視が略U字型の樹脂製のチップフレーム57に保持されている。
図7と図8を参照してチップ保持部とカバーについて説明する。図7は、チップが搭載された状態のチップ保持部を示す概略的な平面図である。図8は、カバーを示す概略的な平面図である。
図7に示されているように、チップ保持部7は、チップ5を保持するためのチップホルダ71と凹部74を備えている。チップ保持部7の対角の2ヶ所にカバー26を固定するためのネジ穴72が設けられている。図6に示されるように、カバー26の対角の2ヶ所にもネジ27を貫通させる穴62が設けられている。
また、チップ保持部7は、吸引ノズル22−4が挿入される逃げ穴73を備えている。逃げ穴73は、Y軸方向(図2を参照)でチップ5の保持位置からずれた位置に設けられている。
カバー26は、例えば樹脂製であり、チップ5のリザーバ53−1〜53−4に対応する位置に貫通孔64−1〜64−4を備えている。また、カバー26は、チップ保持部7の逃げ穴73に対応する位置に、吸引ノズル22−4が挿入される貫通孔からなる逃げ穴63を備えている。
貫通孔64−1〜64−3及び逃げ穴63の内径は、吸引ノズル22−1〜22−4を挿入可能な大きさである。また、貫通孔64−4の内径は、加圧送液部16を挿入可能な大きさである。
カバー26の裏面側に、チップ5の電極パターン56−1〜56−4と電気的に接続される電極66−1〜66−4が設けられている。電極66−1〜66−4は電気配線によって端子接続部67に接続されている。端子接続部67は電圧印加部24(図2を参照。)に接続される。
図4を参照して、プレパンチピン11、分注プローブ8、吸引ノズル22−1の移動例を説明する。
プレパンチピン11は、ウェルプレート13(サンプル容器)のサンプル収容部分を覆っている保護シート13aに対する穴開けや、サンプル有無検知、ノズル支持体17の移動などに使用される。
保護シート13aに対する穴開け動作では、まず、プローブ移動機構100のモーター111及び121が駆動されて、プレパンチピン11がウェルプレート13の穴開け対象のサンプル容器の上方に配置されるようにZマウント126が移動される。シャフトカバー143が係止機構144によってプローブ支持体12に係止されている状態で、モーター131が駆動されて、プローブ支持体12とともに、プレパンチピン11、プレパンチシャフト142、シャフトカバー143、係止機構144、センサドグ145及びサンプル有無検知センサ148が下降される。
プレパンチピン11の先端が保護シート13aに接触し、さらにプローブ支持体12が下降されると、圧縮コイルばね146が縮み、プローブ支持体12、シャフトカバー143及びサンプル有無検知センサ148がウェルプレート13に接近される。このとき、ウェルプレート13に対するプレパンチピン11、プレパンチシャフト142及びセンサドグ145の位置(高さ位置)は変化しない。これにより、センサドグ145がプローブ支持体12及びサンプル有無検知センサ148に対して押し上げられてサンプル有無検知センサ148のスリットから離れ、保護シート13aの存在(サンプルが有ること)が検知される。
さらにプローブ支持体12が下降されると、圧縮コイルばね146がさらに縮み、プレパンチシャフト142に固定されたストッパ147がシャフトカバー143に接触し、プレパンチシャフト142及びプレパンチピン11が下降されて保護シート13aに貫通穴が形成される。貫通穴の形成後、プローブ支持体12が上昇され、次の穴開け対象のサンプル容器の上方にプレパンチピン11が移動され、保護シート13aの穴開け及びサンプル有無検知が行われる。
なお、プレパンチピン11が下降される位置にサンプル容器や保護シート13aが配置されていない場合や、保護シート13aにすでに貫通穴が開けられている場合には、プレパンチピン11、プレパンチシャフト142及びセンサ部材145がプローブ支持体12、シャフトカバー143及びサンプル有無検知センサ148に対して押し上げられることはなく、センサ部材145はサンプル有無検知センサ148のスリットに配置されたままである。これにより、その位置にはサンプルが無いことが検知される。
次にノズル支持体17の移動について説明する。
ノズル支持体17の移動動作では、まず、モーター111及び121が駆動されて、プレパンチピン11がノズル支持体17の穴401の上方に配置されるようにZマウント126が移動される。シャフトカバー143が係止機構144によってプローブ支持体12に係止されている状態でモーター131が駆動されて、プローブ支持体12とともにプレパンチピン11等が下降される。
プレパンチピン11の先端が穴401内に挿入される。これにより、ノズル支持体17は、プレパンチピン11、プレパンチシャフト142、シャフトカバー143及び係止機構144を介してプローブ支持体12に接続される。
このとき、ストッパ147がシャフトカバー143に接触しない程度にプローブ支持体12を下降させてもよいし、ストッパ147がシャフトカバー143に接触する程度にプローブ支持体12を下降させてもよい。ただし、ストッパ147をシャフトカバー143に接触させる場合、プローブ支持体12が圧縮コイルばね146の復元力によって下降することがないように、圧縮コイルばね146の復元力と圧縮コイルばね224の復元力が選定される。
プレパンチピン11の先端が穴401内に挿入されてノズル支持体17がプローブ支持体12に接続されている状態でプローブ移動機構100のモーター111が駆動されてZマウント126がY軸方向に移動される。それにともなってプローブ支持体12及びノズル支持体17がY軸方向に移動されてノズル支持体17が所望の位置に配置される。例えば、チップ5の上に吸引ノズル22−1〜22−3及び加圧送液部16が配置され、吸引ノズル22−4が逃げ穴73上に配置されるように、Zマウント126及びノズル支持体17が移動される。
ノズル支持体17がプローブ支持体12に接続されている状態でプローブ移動機構100のモーター131が駆動されてプローブ支持体12とともにプレパンチピン11等が下降され、ノズル支持体17が押し下げられ、ノズル支持体17とともに吸引ノズル22−1〜22−4及び加圧送液部16が所定量だけ下降される。このとき、ノズル支持体17を正確な量だけ下降させるために、ストッパ147がシャフトカバー143に接触された状態が維持されるように圧縮コイルばね146の復元力と圧縮コイルばね224の復元力が選定されることが好ましい。
ノズル支持体17が下降された状態で所望の処理が行われた後、モーター131が駆動されてプローブ支持体12が所定量だけ上昇されることにより、圧縮コイルばね224の復元力によってノズル支持体17が上昇する。その後、モーター121が駆動されてプローブ支持体12及びノズル支持体17がY軸方向に移動される。
このように、吸引ノズル22−1〜22−4及び加圧送液部16はノズル支持体17がプローブ支持体12に着脱可能に接続された状態でプローブ移動機構100の駆動によって移動されるので、マイクロチップ電気泳動装置1はノズル支持体17を移動させるための専用の駆動装置を備えていない。これにより、吸引ノズル22−1〜22−4を例えば水平方向(Y軸方向)及び鉛直方向(Z軸方向)で移動させるための駆動軸が不要になり、マイクロチップ電気泳動装置1の構成を簡略化及び小型化することができる。
また、Zマウント126の位置決め精度(分注プローブ8のXYZ軸方向の位置決め)がそのまま吸引ノズル22−1〜22−4の位置決め精度になるので、吸引ノズル22−1〜22−4を移動させるための駆動軸が設けられている場合と比較して、位置決め調整が容易になる。
次に分注プローブ8の移動について説明する。
分注プローブ8は、サンプルや試薬、分離バッファの吸引及び分注や、洗浄液の分注などに使用される。分注プローブ8が使用される際、まず、プローブ移動機構100のモーター111及び121が駆動されて、分注プローブ8が所望の位置、例えばウェルプレート13の目的のサンプル容器の上方に配置されるようにZマウント126が移動される。
シャフトカバー143が係止機構144によってZマウント126に係止されている状態でモーター131が駆動されて、プローブ支持体12とともに分注プローブ8が降下される。このとき、プレパンチピン11、プレパンチシャフト142、シャフトカバー143等は下降されない。このように、分注プローブ8は、プレパンチピン11等に妨げられることなく、所望の位置に下降される。分注プローブ8が、ウェルプレート13のサンプル容器の底に接触された後、さらにプローブ支持体12が下降されると、圧縮コイルばね141が縮み、センサードグ150がチップ有無検知/サンプル容器底付検知センサ150のスリットから離れ、サンプル容器の底位置が検知される。これにより、サンプル容器内の微量サンプルを確実に吸引することが可能になる。
図9から図13を参照して、マイクロチップ電気泳動装置1の動作について説明する。マイクロチップ電気泳動装置1において、チップ5は移動されずにチップ保持部7に固定された状態で繰り返し使用されるものである。ここで説明する動作は、前回の分析で使用されたチップを洗浄し、流路及び各リザーバに分離バッファを充填し、その後試料を分注して電気泳動を行って分析を行う一連の工程である。これらの動作はマイクロチップ電気泳動装置1の制御部38による制御によって行われる。なお、図9から図13において、カバー26の図示は省略されている。また、図9から図13において、加圧送液部16の図示は説明が必要な場合を除いて省略されている。また、図9〜図13の(A)〜(U)は、以下に説明する工程(A)〜(U)に対応している。
(A)は1つのチップ5を示している。チップ5は図5及び図6に示されたものと同等である。分離用流路55と試料導入流路54が交差するように設けられ、各流路54,55の端部にリザーバ53−1〜53−4が形成されている。ここで、チップ5は前の試料の分析が終了した状態であり、流路及び各リザーバには分離バッファや試料溶液が残っている。また、流路55内の分離バッファに、分離された試料が残っている。
(B)まず、試料収容用のリザーバ53−1に収容されている試料溶液を除去するために、ノズル支持体17がチップ5の上に移動された後に下降されて、吸引ノズル22−1が貫通孔64−1(図8を参照。)を介してリザーバ53−1に挿入される。上述のように、吸引ノズル22−1〜22−4の移動は、ノズル支持体17がプローブ支持体12に着脱可能に接続された状態でプローブ移動機構100のモーター121,131が駆動されて行われる。
また、図2に示されるように、吸引ノズル22−1の長さは吸引ノズル22−2,22−3よりも長くなっている。また、吸引ノズル22−4の長さは吸引ノズル22−1よりも長くなっている。また、加圧送液部16の下端面は吸引ノズル22−2,22−3の先端よりもノズル支持体12側に配置されている。さらに、吸引ノズル22−1〜22−4及び加圧送液部16は、吸引ノズル22−1〜22−3及び加圧送液部16がリザーバ53−1〜53−4(貫通孔64−1〜64−4)の上方に配置されたときに、吸引ノズル22−4が逃げ穴63,73(図7及び図8も参照。)の上方に配置されるように、ノズル支持体17に保持されている。
このような吸引ノズル22−1〜22−4及び加圧送液部16の構成により、吸引ノズル22−1の先端がリザーバ53−1に挿入されてリザーバ53−1の底部に押しつけられ、吸引ノズル22−2,22−3の先端がリザーバ53−2,53−3には挿入されておらず、かつ、吸引ノズル22−4の先端が逃げ穴63,73に挿入されている状態を形成できる。また、加圧送液部16の下端面はチップ5に接触していない。
その状態で、吸引ポンプ部18(図2を参照。)が動作されることにより、リザーバ53−1内の分離バッファが吸引ノズル22−1を介して吸引除去される。このとき、吸引ポンプ部18において、例えば吸引ノズル22−1に接続されているポンプのみが動作される。
なお、この状態で、吸引ノズル22−2,22−3及び加圧送液部16の先端は貫通孔64−2,64−3,64−4(図8を参照。)の内部に位置していてもよいし、貫通孔64−2,64−3,64−4の上方に配置されていてもよい。
また、逃げ穴73に挿入された吸引ノズル22−4の先端は、逃げ穴73の底に接触していてもよいし、接触していなくてもよい。ただし、吸引ノズル22−4の先端の汚染を考慮すると、吸引ノズル22−4の先端は逃げ穴73の底に接触しないことが好ましい。また、逃げ穴73は底を有するものであってもよいし、貫通孔であってもよい。
(C)吸引ノズル22−1〜22−4がノズル洗浄部28に移動されて少なくとも吸引ノズル22−1が洗浄された後、分注プローブ8が貫通孔64−1(図8を参照。)を介してリザーバ53−1に挿入される。そして、リザーバ53−1に分注プローブ8から所定量の洗浄液が供給される。分注プローブ8からの洗浄液の供給は、図2を参照して説明すると、開閉バルブ9aを閉じ、開閉バルブ9bを開いた状態で計量ポンプ4を吸引動作させて計量ポンプ4内に洗浄液容器10から洗浄液を吸引した後、開閉バルブ9bを閉じ、開閉バルブ9aを開いた状態に切り替えて、計量ポンプ4を吐出動作させることにより行われる。
(D)分注プローブ8が移動された後、再びリザーバ53−1に吸引ノズル22−1が挿入され、洗浄液が吸引除去される。
(E)リザーバ53−1に分注プローブ8から再び洗浄液が供給される。
(F)吸引ノズル22−1〜22−3が貫通孔64−1〜64−3(図8を参照。)を介してリザーバ53−1〜53−3に挿入される。ノズル支持体17が下降されて吸引ノズル22−1の先端がリザーバ53−1の底に接触して押し付けられた後、さらにノズル支持体17が下降されて吸引ノズル22−2,22−3の先端がリザーバ53−2,53−3の底に接触して押し付けられる。また、吸引ノズル22−4は逃げ穴63,73に挿入される。このとき、加圧送液部16の下端面は、チップ5とは間隔をもって配置されてもよいし、チップ5に接触していてもよい。
吸引ポンプ部18が動作されて、リザーバ53−1内の洗浄液とリザーバ53−2,53−3内の分離バッファが吸引ノズル22−1〜22−3を介して吸引除去される。このとき、吸引ポンプ部18において、例えば吸引ノズル22−1〜22−3に接続されているポンプのみが動作される。
(G)ノズル支持体17が移動されて、吸引ノズル22−4が貫通孔64−4(図8を参照。)を介してリザーバ53−4に挿入され、吸引ノズル22−4の先端がリザーバ53−4の底に押し付けられる。このとき、吸引ノズル22−1〜22−3はリザーバ53−1〜53−3には挿入されない。吸引ノズル22−1〜22−3及び加圧送液部16の先端は、カバー26の上方に配置されてもよいし、カバー26に逃げ穴を別途設けてその逃げ穴に挿入されるようにしてもよい。
リザーバ53−4に吸引ノズル22−4が挿入された状態で、吸引ポンプ部18が動作されてリザーバ53−4内の分離バッファが吸引ノズル22−4を介して吸引除去される。このとき、吸引ポンプ部18において、例えば吸引ノズル22−4に接続されているポンプのみが動作される。
(H)リザーバ53−4に分注プローブ8から所定量の洗浄液が供給される。
(I)ノズル支持体17が移動されて、吸引ノズル22−1〜22−3がリザーバ53−1〜53−3に挿入され、加圧送液部16の下端面がリザーバ53−4の周囲のチップ5表面に接触される。加圧送液部16からリザーバ53−4に空気を加圧供給し、リザーバ53−4内の洗浄液を流路54,55内に加圧送液して、流路54,55内を洗浄する。流路54,55内の液体はリザーバ53−1〜53−3に押し出される。また、流路54,55内に供給された洗浄液は、リザーバ53−4の容量に対して過剰量の空気が加圧送液部16からリザーバ53−4に加圧供給されることによって流路54,55内からリザーバ53−1〜53−3に押し出される。リザーバ53−1〜53−3に押し出された液体は吸引ノズル22−1〜22−3を介して吸引除去される。
図14は加圧送液部16とチップ5の接続状態を模式的に一部断面で示した側面図である。
加圧送液部16はシリンジポンプ161を備えており、下端面に設けられた吐出口162から空気を吸引及び吐出する。加圧送液部16の下端面に、リザーバ53−4の周囲を囲んでチップ5の表面に密着される、弾性体からなる気密保持部材、例えばOリング163が設けられている。また、加圧送液部16は、圧縮コイルばね403が縮むことによってノズル支持体17に対して下端面位置がノズル支持体17側へ移動可能なようにしてノズル支持体17に保持されている。
加圧送液部16の下端面がチップ5のリザーバ53−4の周囲に押し付けられることにより、チップ5の流路55に対して加圧送液部16のシリンジポンプ161が気密を保って取り付けられる。なお、加圧送液部16の下端面がチップ5とは間隔をもっている状態でOリング163がチップ5に押し付けられることにより、加圧送液部16とチップ5の間の気密を確保することも可能である。
上記工程(H)と(I)の動作又は上記工程(G)から(I)の動作が複数回、例えば12回繰り返されてチップ5の流路54,55内及びリザーバ53−1〜53−4内が洗浄される。
(J)流路54,55内及びリザーバ53−1〜53−4内が洗浄された後、リザーバ53−4内に吸引ノズル22−4が挿入されて、リザーバ53−4内に残存する洗浄液が吸引除去される。
(K)分注プローブ8内に分離バッファが吸引された後、リザーバ53−4に分注プローブ8が挿入される。分注プローブ8から所定量の分離バッファが吐出されてリザーバ53−4内に分注される。
(L)上記工程(I)と同様に、吸引ノズル22−1〜22−3がリザーバ53−1〜53−3に挿入され、加圧送液部16の下端面がリザーバ53−4の周囲のチップ5表面に接触される。加圧送液部16からリザーバ53−4に空気が加圧供給され、リザーバ53−4内の分離バッファが流路54,55内に加圧送液されて充填される。過剰量の分離バッファはリザーバ53−1〜53−3に流出し、吸引ノズル22−1〜22−3を介して吸引除去される。流路54,55内に分離バッファが充填されるように、加圧送液部16からリザーバ53−4に加圧供給される空気量が調節される。
(M)流路54,55内に分離バッファが充填された後、リザーバ53−4に吸引ノズル22−4が挿入され、リザーバ53−4内に残っている分離バッファが吸引除去される。これにより流路54,55内にのみ分離バッファが残っている状態となる。
(N)〜(Q)分注プローブ8によりリザーバ53−1〜53−4に所定量の分離バッファが順次分注される。なお、リザーバ53−1〜53−4に分離バッファが分注される順序は、工程(N)〜(Q)の順序に限定されず、特に限定されない。
(R)電圧印加部24によって電極パターン56−1〜56−4及び電極66−1〜66−4(図2、図6及び図8を参照。)を介してリザーバ53−1〜53−4に所定のテスト用電圧が印加されて、泳動テストが行なわれる。この泳動テストでは、例えば、電極パターン間の電流値を検出することにより流路にゴミや気泡が混入していないかどうかが確認される。ここでテスト用電圧は、試料を分離するための泳動電圧と同じであってもよいが、それよりも低電圧としてもよい。
この泳動テスト工程で流路への分離バッファの充填が正常に行なわれたと判定されたときは、試料を注入して分析を行なうために次の工程(S)へ進む。また、流路への分離バッファの充填が正常に行なわれたと判定されなかったときは、流路への分離バッファの充填をやり直すために工程(J)に戻る。
例えば、流路54,55への分離バッファの充填のやり直しを許容する回数を予め設定しておく。その回数だけ分離バッファの充填のやり直しを行なっても流路54,55への分離バッファの充填が正常に行なわれたと判定されないときは、そのチップ5をチップ保持部7から取り外し、別のチップ5に交換する。分離バッファの充填のやり直しを許容する回数は特に限定されるものではないが、例えば2回又は3回が適当である。
(S)試料収容用のリザーバ53−1に吸引ノズル22−1が挿入され、リザーバ53−1内の分離バッファが吸引除去される。
(T)リザーバ53−1に分注プローブ8から所定量の試料溶液が分注される。試料溶液の分注量は、チップ5ごとに設定された量である。
(U)電圧印加部24によって電極パターン56−1〜56−4及び電極66−1〜66−4(図2、図6及び図8を参照。)を介してリザーバ53−1〜53−4に所定の試料導入用の電圧が印加されて、試料が流路54と55の交差位置(図6を参照。)へ導かれる。その後、印加電圧が所定の泳動分離用の電圧に切り換えられて、試料がリザーバ53−4側に向かって分離用流路55内へ導かれ、分離用流路55内で分離される。分離された試料は検出部31(図2を参照。)によって検出される。
以上、本発明の一実施形態を説明したが、実施形態における構成、配置、数値、材料等は一例であり、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内で種々の変更が可能である。
例えば、ノズル支持体17とプローブ支持体12を着脱可能に接続する方法は、プレパンチピン11を用いる方法に限定されず、どのような方法であってもよい。例えば、ノズル支持体17に突起部又は凹部が設けられ、それに嵌め合わされる凹部又は突起部がプローブ支持体12に設けられ、その突起部と凹部を用いてノズル支持体17とプローブ支持体12が着脱可能に接続されてもよい。
また、上記実施形態では、1つのチップ5がマイクロチップ電気泳動装置1に配置されているが、1つのマイクロチップ電気泳動装置に配置されるチップ数は2つ以上であってもよい。複数のチップが1つのマイクロチップ電気泳動装置に配置される場合、それらのチップは、ノズル案内機構によって案内されるノズル支持体の移動方向に沿って配置される。
また、本発明の実施形態のマイクロチップ電気泳動装置で用いられるチップは、図5や図6に示された構成に限定されず、内部に電気泳動により試料を分離するための分離用流路を少なくとも含む流路を備え、上記流路の各端部にそれぞれ開口したリザーバを有するチップであればよい。例えば、チップは、チップ5に対して試料導入流路54及びリザーバ54−1,54−2が設けられていない構成であってもよい。
1 マイクロチップ電気泳動装置
5 チップ(マイクロチップ)
7 チップ保持部
8 分注プローブ
12 プローブ支持体
11 プレパンチピン
17 ノズル支持体
22−1〜22−4 吸引ノズル
53−1〜53−4 リザーバ
54 流路
55 分離用流路
100 プローブ移動機構
110,120,130 プローブ支持機構
111,121,131 駆動装置
200 ノズル案内機構
210,220 ノズル支持機構

Claims (4)

  1. 内部に電気泳動により試料を分離するための分離用流路を少なくとも含む流路を備え、前記流路の各端部にそれぞれ開口したリザーバを有するマイクロチップを保持するチップ保持部と、
    前記リザーバに液体を分注するための分注プローブを支持するプローブ支持体と、
    前記リザーバ内の液体を吸引するための吸引ノズルを支持するノズル支持体と、
    前記プローブ支持体又は前記ノズル支持体のいずれか一方の支持体を移動させる移動機構と、を備え、
    前記プローブ支持体と前記ノズル支持体は着脱可能に接続された状態で前記移動機構によって前記両支持体が同時に移動されるマイクロチップ電気泳動装置。
  2. 前記プローブ支持体又は前記ノズル支持体のいずれか一方の支持体は鉛直下方へ伸びるように設けられたピンを備え、前記両支持体が前記ピンを介して接続される請求項1に記載のマイクロチップ電気泳動装置。
  3. 前記ピンは前記プローブ支持体に設けられたプレパンチピンであり、前記ノズル支持体に前記プレパンチピンの先端部が挿入される穴が設けられ、前記プレパンチピンが前記穴に挿入されることによって前記両支持体が接続されるように構成されている請求項2に記載のマイクロチップ電気泳動装置。
  4. 前記ノズル支持体の移動方向を案内するノズル案内機構をさらに備え、
    前記プローブ移動機構は、互いに直交して鉛直方向を含む3軸方向に前記プローブ支持体を移動自在に支持するプローブ支持機構と、前記プローブ支持体を前記3軸方向に移動させるための駆動装置を備え、
    前記ノズル案内機構は、前記3軸方向のうち前記鉛直方向を含む2軸方向に前記ノズル支持体を移動自在に支持するノズル支持機構を備えている請求項3に記載のマイクロチップ電気泳動装置。
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