JP2018004034A - 摩擦ダンパ - Google Patents

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Atsushi Toyouchi
敦士 豊内
太田 晶久
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晶久 太田
伸一 関根
Shinichi Sekine
伸一 関根
宏和 氷沢
Hirokazu Hisawa
宏和 氷沢
祐二 福沢
Yuji Fukuzawa
祐二 福沢
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Abstract

【課題】 液漏れの問題を排除できるとともに、温度変化による減衰力変化を抑制できるダンパを提供する。
【解決手段】 摩擦ダンパD1が軸方向に移動可能なロッド2と、ロッド2に接触し、ロッド2との間に発生する摩擦力でロッド2の移動を抑制する摩擦部材3と、ロッド2を軸方向へ附勢する附勢ばね部とを備え、摩擦部材3が附勢ばね部としても機能する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、摩擦ダンパに関する。
車椅子、又は台車等に利用されるキャスタの中には、車輪の上下動を許容する構造を採用し、車輪を回転自在に支持するリンクと、このリンクを揺動自在に保持するブラケットとの間に、小型のダンパを介在させたものがある。このようなキャスタによれば、当該キャスタを装着した車が凹凸のある路面を走行する際に、車体側へ振動が伝わるのを抑制できる。
このようなキャスタに使用されるダンパは、シリンダと、シリンダ内に出入り自在に挿入されるロッドと、シリンダ内に摺動自在に挿入されるピストンと、シリンダの一端を閉塞するとともにロッドを軸支するロッドガイドと、ロッドガイドの内周に装着されてロッドの外周をシールする環状のシールリングとを備えて構成され、シリンダ内にシリコンオイルを充填している。また、シリンダ内は、ピストンによって二つの部屋に区画されており、これらの部屋はシリンダとピストンとの間に形成される環状隙間によって連通されている。
シリコンオイルは、作用する圧力が大きくなると粘度を増す物性を持っており、ロッドがシリンダ内に出入すると、圧力の作用により粘度が高くなったシリコンオイルが上記環状隙間を通って二つの部屋を行き来する。すると、これら部屋の圧力に差圧が生じて、ダンパがロッドとシリンダの相対移動を抑制する減衰力を発揮する(例えば、特許文献1)。
特開2012−149690号公報
しかしながら、従来のダンパのようにシリコンオイル等のオイルを減衰力発生用に利用する場合、オイルの流出を阻止するシールリングを備えてはいるものの、不測の事態によってシールリングが傷付く可能性は否定できず、液漏れの可能性を指摘される虞がある。さらに、シリコンオイル等のオイルは、温度変化により粘度が変化するので、オイルを利用するダンパでは、減衰力が温度変化の影響を受け易く、温度変化による減衰力の変化が大きい。
そこで、本発明は、液漏れの問題を排除できるとともに、温度変化による減衰力変化を抑制できるダンパの提供を目的とする。
上記課題を解決する請求項1に記載の摩擦ダンパは、軸方向に移動可能なロッドに接触し、前記ロッドとの間に発生する摩擦力で前記ロッドの移動を抑制する摩擦部材と、前記ロッドを軸方向へ附勢する附勢ばね部とを備える。このため、オイルを利用せず、摩擦部材とロッドとの間に生じる摩擦力を利用して、附勢ばね部の伸縮運動を抑制する減衰力を発揮できる。
請求項2に記載の摩擦ダンパでは、請求項1に記載の構成を備えるとともに、前記摩擦部材が弾性を有して前記附勢ばね部としても機能し、前記ロッドには、前記摩擦部材を圧縮する押当部が設けられている。つまり、摩擦部材がロッドを軸方向へ附勢する附勢ばね部としても機能できるので、摩擦ダンパのコストを低減できる。
請求項3に記載の摩擦ダンパでは、請求項1又は2に記載の構成を備えるとともに、前記摩擦部材が筒状であり、前記摩擦部材の内径が軸方向で異なる。このため、摩擦部材を形成するのが容易であるとともに、チューニング要素が増えて所望の減衰力に調整し易い。
請求項4に記載の摩擦ダンパでは、請求項1から3の何れか一項に記載の構成を備えるとともに、前記ロッドには、径方向外方へ突出して前記摩擦部材に接触するピストン部が設けられている。そして、前記ピストン部の両端部は、先端へ向かうに従って外径が徐々に縮径し、前記ピストン部の両端部外周には、テーパ面が形成されている。さらに、前記附勢ばね部を伸長させる方向へ前記ロッドが移動する場合において、進行方向前方に位置する前記テーパ面の傾斜角度が他の前記テーパ面の傾斜角度よりも大きい。このため、附勢ばね部が伸長する場合の減衰力を大きくして、附勢ばね部が急激に伸長するのを防止できる。
本発明の摩擦ダンパによれば、液漏れの問題を排除できるとともに、温度変化による減衰力変化を抑制できる。
本発明の第一の実施の形態に係る摩擦ダンパの取付状態を簡略的に示した正面図である。 本発明の第一の実施の形態に係る摩擦ダンパを示した縦断面図である。 第一の実施の形態に係る摩擦ダンパの第一の変形例を示し、変更部を示した縦断面図である。 第一の実施の形態に係る摩擦ダンパの第二の変形例を示し、変更部を示した縦断面図である。 第一の実施の形態に係る摩擦ダンパの第三の変形例を示し、変更部を示した縦断面図である。 第一の実施の形態に係る摩擦ダンパの第四の変形例を示し、変更部を示した縦断面図である。 第一の実施の形態に係る摩擦ダンパの第五の変形例を示し、変更部を示した横断面図である。 本発明の第二の実施の形態に係る摩擦ダンパを示した縦断面図である。 (a)は、本発明の第三の実施の形態に係る摩擦ダンパを示した縦断面図である。(b)は、(a)のピストン部を示した図である。
以下に本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。いくつかの図面を通して付された同じ符号は、同じ部品か対応する部品を示す。
<第一の実施の形態>
図1に示すように、本発明の第一の実施の形態に係る摩擦ダンパD1は、例えば、荷物を運搬する台車、車椅子、又はベビーカー等(以下、車椅子等という)のキャスタCに利用されている。具体的に、キャスタCは、車椅子等の車体側に固定されるブラケットBと、ブラケットBに揺動可能に連結されるリンクLと、リンクLの先端部に回転可能に支持される車輪Wとを備え、ブラケットBとリンクLとの間に摩擦ダンパD1を介在させている。
摩擦ダンパD1は、図2に示すように、アウターシェル1と、右端がアウターシェル1の内側に挿入されるとともに左端がアウターシェル1の外側へ突出するロッド2と、アウターシェル1の内側に収容される筒状の摩擦部材3と、アウターシェル1の左端部に取り付けられてロッド2を摺動自在に支持する環状のロッドガイド4と、ロッド2の右端部に設けられて摩擦部材3の内側に摺動可能に挿入されるピストン部2bと、ロッド2の軸方向の中央に設けられて摩擦部材3の左端に接する押当部2cとを備える。
アウターシェル1は、有底筒状であり、底部1aと、底部1aの図2中左側の外周縁から左方へ延びる筒部1bとを有する。底部1aには、ピン5を挿通可能な取付孔1cが形成されている。アウターシェル1は、ピン5を介してブラケットB(図1)に回転可能に連結される。また、筒部1bの図2中左端部の内周には、雌螺子加工が施され、当該部分にロッドガイド4が螺合する。ロッドガイド4の内周には、環状のブッシュ40が設けられ、ロッドガイド4は、ブッシュ40を介してロッド2を支える。
ロッド2は、円柱状の軸部2aと、この軸部2aの図2中右端に設けられて外径が軸部2aの外径よりも大きいピストン部2bと、軸部2aの軸方向の中央部外周に設けられ、外径がピストン部2bの外径よりも大きい押当部2cとを有する。ロッド2は、軸部2aをロッドガイド4で支持された状態で軸方向に移動自在となっている。
アウターシェル1外へ突出する軸部2aの図2中左端部には、ブラケット6が取り付けられている。ブラケット6には、ピン7を挿通可能な取付孔6aが形成されている。ロッド2は、ブラケット6及びピン7を介してリンクL(図1)に回転可能に連結される。このように、摩擦ダンパD1では、アウターシェル1が車椅子等の車体側に連結され、ロッド2が車輪側に連結されているが、逆向きに取り付けられてもよい。
アウターシェル1とロッドガイド4とで囲われる空間を部屋Rとすると、当該部屋Rの中に軸部2aの図2中左端が挿入されるとともに、ピストン部2bと押当部2cが配置される。前述のように、ピストン部2bと押当部2cの外径は軸部2aの外径よりも大きく、ピストン部2bと押当部2cが軸部2aから径方向外側へ張り出す。ピストン部2bの軸方向の両端部外周と、押当部2cの少なくとも摩擦部材側(図2中右側)の端部は、それぞれ丸み面取りされていて、摩擦部材3を傷付けないようになっている。
図2に示すように、押当部2cがロッドガイド4に当接した状態では、アウターシェル1に対するロッド2の左方への移動が阻止されて、摩擦ダンパD1のそれ以上の伸長が阻止される。つまり、押当部2cは摩擦ダンパD1の伸長を制限する伸切規制部材としても機能する。反対に、摩擦ダンパD1の収縮は、ブラケット6とロッドガイド4の当接により制限される。このように、摩擦ダンパD1が最収縮することを底付きという。
つづいて、筒状の摩擦部材3は、部屋Rの中に配置される。摩擦部材3は、ニトリルゴム(NBR)等のエラストマであり、弾性を有する。摩擦部材3の内径は、ピストン部2bの外径よりも若干小さく形成されており、摩擦部材3がピストン部2bに対して所定の締め代を持つ。そして、摩擦部材3に対してロッド2が軸方向に移動する場合、摩擦部材3とピストン部2bとの間に生じる摩擦力により、ロッド2の移動が妨げられる。
また、押当部2cの外径は、摩擦部材3の内側に挿入されない程度に大きく形成されており、押当部2cで摩擦部材3の図2中左端を支える。その一方、摩擦部材3の図2中右端はアウターシェル1の底部1aで支えられる。そして、摩擦部材3に対してロッド2が図2中右方へ移動すると、押当部2cで摩擦部材3が圧縮される。このように、摩擦部材3が圧縮されると弾性力を発揮し、当該弾性力は圧縮量の増加に伴い大きくなる。
アウターシェル1とロッド2は、金属又は合成樹脂等で形成されており、少なくとも摩擦部材3よりも高い剛性を有する。そして、押当部2cにより摩擦部材3が圧縮されたとき、摩擦部材3の外周をアウターシェル1で支えられるとともに、軸部2aでピストン部2bを押し進められるようになっている。
以下、本実施の形態に係る摩擦ダンパD1の作動について説明する。
キャスタCが凹凸のある路面を走行する等して車輪Wが上下に動くと、ロッド2がアウターシェル1に出入りして摩擦ダンパD1が伸縮し、リンクLが揺動する。
ロッド2がアウターシェル1に進入する摩擦ダンパD1の収縮時には、押当部2cがアウターシェル1内を図2中右方へ移動する。すると、摩擦部材3が圧縮されて圧縮量に見合った弾性力を発揮する。また、摩擦ダンパD1では、摩擦部材3の内側であってピストン部2bと底部1aとの間に形成される空間Pが密閉されている。そして、摩擦ダンパD1が収縮すると、ピストン部2bが摩擦部材3内を図2中右方へ移動するので空間Pが縮小し、空間P内のエアが圧縮されて反発力が大きくなる。つまり、摩擦ダンパD1は、摩擦ダンパD1を伸長方向へ附勢する附勢ばね部として、摩擦部材3とエアばねS1とを備え、これらで路面凹凸による衝撃を吸収する。
また、前述のように摩擦ダンパD1が収縮したり、ロッド2の軸部2aがアウターシェル1から退出して摩擦ダンパD1が伸長したりすると、ピストン部2bが摩擦部材3に対して図2中左右に移動し、ピストン部2bと摩擦部材3との間に生じる摩擦力によりロッド2の移動が妨げられる。つまり、当該摩擦力は、ロッド2が摩擦部材3に対して移動する際の抵抗となり、摩擦部材3とエアばねS1の伸縮運動を減衰させる。このように、摩擦ダンパD1は、ピストン部2bと摩擦部材3との間に生じる摩擦力を減衰力として利用して、キャスタCが取り付けられる車椅子等の車体とキャスタCの車輪Wとの上下方向の相対移動を抑制する。
また、摩擦部材3が押当部2cによって圧縮されると、摩擦部材3の外径が拡径するとともに内径が縮小する。このため、摩擦ダンパD1の収縮量が大きくなるに従ってピストン部2bに対する摩擦部材3の締め代が大きくなり、摩擦ダンパD1の減衰係数(伸縮速度に対する減衰力の傾き)が大きくなる。すると、摩擦ダンパD1の収縮量が大きくなるストロークの後半で大きな減衰力を得られ、摩擦ダンパD1の底付きを抑制できる。さらに、ブラケット6がロッドガイド4に突き当たるときの速度を減速できるので、摩擦ダンパD1の最収縮時の衝撃を小さくできる。
また、摩擦部材3の外径は、アウターシェル1の内径以上には大きくなれない。つまり、摩擦部材3の圧縮量が大きくなると、摩擦部材3の拡径がアウターシェル1で制限された状態で摩擦部材3が圧縮される。このような場合には、摩擦部材3の内径の縮小が促進されるとともに、摩擦部材3がピストン部2bとアウターシェル1との間で圧縮されるので摩擦力が増大し、ストローク後半の減衰力を一層大きくできる。よって、摩擦ダンパD1の底付きを一層抑制できるとともに、摩擦ダンパD1の最収縮時の衝撃を極めて小さくできる。
以下、本実施の形態に係る摩擦ダンパD1の作用効果について説明する。
摩擦ダンパD1のロッド2には、径方向外方へ突出して摩擦部材3に接触するピストン部2bが設けられている。そして、ピストン部2bの両端部外周縁は、丸み面取りされている。このため、ピストン部2bが摩擦部材3の内部を摺動する際に、摩擦部材3の内周を傷付けるのを抑制し、摩擦部材3の耐久性を向上できる。加えて、ロッド2にピストン部2bを設けると、当該ピストン部2bにおいて摩擦部材3に当接する部分の表面粗さ、及び軸方向長さの変更等により減衰力を調整できる。つまり、減衰力をチューニングするための要素(減衰力のチューニング要素)が増えるので、所望の減衰力に設定し易い。
なお、ロッド2の構成は、上記の限りではなく、適宜変更できる。例えば、ピストン部2bを廃し、軸部2aを摩擦部材3に接触させるとしてもよい。また、後に詳細に説明する摩擦ダンパD3(図9)のように、ピストン部の軸方向の両端部外周にテーパ面を形成し、これらテーパ面の傾斜角度を異なる角度に設定して、伸長時と圧縮時の一方の減衰力を他方の減衰力よりも大きくしてもよい。
また、摩擦ダンパD1では、摩擦部材3が筒状に形成されており、摩擦部材3の内径が軸方向で略一定となっている。このため、摩擦部材3の形成が容易である。しかし、摩擦部材3の形状は、所望の減衰力の特性に合わせて適宜変更できる。例えば、図3−5には、内径が軸方向に変化する筒状の摩擦部材30,31,32を示している。
図3に示す摩擦部材30では、図3中左側の内径が右側の内径よりも大きく、摩擦部材30の内径が段階的に変化する。このような場合には、ピストン部2bが内径の大きい部分30aを移動する場合と、内径の小さい部分30bを移動する場合とで減衰力を変えられる。さらに、図3に示すように、ロッド2が摩擦部材30における内径の大きい部分30aに接触しないように設定すると、ピストン部2bの位置(ピストン位置)よっては減衰力が生じない。つまり、摩擦部材30を備える摩擦ダンパでは、ストローク範囲の一部で減衰力を発揮しない設定にできる。
また、図4に示す摩擦部材31では、内周の縦断面形状が鋸歯状となっており、断面三角状の歯部31aが軸方向に並ぶ。各歯部31aにおいて、最も内側に突出する部分を頂部31b、その両側をテーパ面31c,31dとすると、図4に示す摩擦部材31では、各歯部31aにおいてロッド2の退出時にピストン部2bに先に接触する右側のテーパ面31cの勾配が左側のテーパ面31dの勾配よりも急である。このため、ロッド2が提出する際の抵抗の方が進入する際の抵抗よりも大きくなる。よって、摩擦部材31を備える摩擦ダンパでは、伸長時の減衰力を圧縮時と比較して大きくできる。
また、図5に示す摩擦部材32では、摩擦部材32の内周に軸方向に並ぶ複数の突起32aを有しており、各突起32aの縦断面形状が半円状となっている。このような場合には、内周面が滑らかな摩擦部材(例えば、摩擦部材3)内をピストン部2bが移動する場合と比較して、ピストン部2bが移動する際の抵抗を大きくできる。よって、摩擦部材32を備える摩擦ダンパでは、伸圧両側の減衰力を大きくできる。
そして、図4,5に示す歯部31a又は突起32aのような凸部は、摩擦部材の軸方向の全域に設けても、一部に設けてもよい。また、歯部31aと突起32aは、摩擦部材の内周に沿って環状に形成されているが、この限りではなく、周方向の一部に設けられるとしてもよい。
このように、摩擦部材30,31,32を筒状にして内径を軸方向で変化させると、減衰力のチューニング要素というが増えて、減衰力を細かく調整できるとともに、摩擦部材30,31,32の形成も容易である。具体的には、半割筒状の部材を組み合わせたり、シート状の部材を丸めたりすると、内周形状が複雑であっても、筒状の摩擦部材30,31,32を容易に形成できる。
また、図6に示すように、摩擦部材33に気泡33aを形成してもよい。このように気泡を摩擦部材33の軸方向の一部に形成すると、当該気泡33aが形成される部分では摩擦部材33の剛性が下がり、ピストン部2bに対する緊縛力が低下する。よって、ピストン部2bが摩擦部材33における気泡33aが形成される部分を通過する際の抵抗が小さくなり、当該ストローク範囲での減衰力を小さくできる。つまり、摩擦部材33を備える摩擦ダンパでは、摩擦部材33の内周形状を変えずして、ピストン位置に依存した減衰力を発揮できる。
なお、摩擦部材33が発泡ウレタンで形成される場合には、気泡の形成が容易である。また、摩擦部材33の剛性を下げるための方法も、上記の限りではなく、摩擦部材の肉厚を貫通する貫通孔を形成する等、適宜変更できる。
さらに、摩擦部材3の形状は、円筒状に限られず、例えば、図7に示すように、長尺な摩擦部材34をアウターシェル10の内周に形成した溝10aに嵌めてもよい。そして、ピストン部2bをアウターシェル10の内周に接触させるようにすると、摩擦部材34の圧縮量が制限される。当該構成によれば、摩擦部材34が過度に圧縮されるのを防止して、摩擦部材34の耐久性を向上できる。図7に示す摩擦ダンパでは、アウターシェル10が摩擦部材34を支えるケースとしても機能するが、摩擦部材34を装着したケースをアウターシェル内に収容するようにしてもよい。
そして、摩擦部材34において、内側を向く面に図3−5に示すような凹凸を設けたり、図6に示すような気泡33aを設けたりしてもよいのは勿論であり、このような変更は、ピストン部2bの形状、及びピストン部2bの有無によらず可能である。
また、摩擦ダンパD1では、摩擦部材3が弾性を有し、ロッド2には摩擦部材3を圧縮する押当部2cが設けられている。このように、摩擦部材3が弾性を有する場合には、ロッド2に対する摩擦部材3の締め代の調整により減衰力を調整できるので、減衰力のチューニング要素が増え、所望の減衰力に調整するのが容易になる。
さらに、上記構成によれば、摩擦部材3がロッド2を軸方向へ附勢する附勢ばね部として機能できる。よって、摩擦ダンパD1を構成する部品数を削減し、摩擦ダンパD1のコストを低減できる。また、摩擦部材3が圧縮されると、ピストン部2bに対する締め代が大きくなるので、摩擦ダンパD1の収縮量が大きくなるのに従って減衰力が大きくなる。よって、摩擦ダンパD1の底付きを抑制するとともに、底付き時の衝撃を小さくできる。
さらに、摩擦ダンパD1の摩擦部材3は、アウターシェル1に収容されている。このため、摩擦ダンパD1が横方向からの力(横力)を受けた際、アウターシェル1で横力を受けられる。よって、摩擦部材3として、例えば、ニトリルゴム等の弾性変形し易い(剛性の低い)素材を利用できる。つまり、アウターシェル1を設けると摩擦部材3の剛性を低くできるので、摩擦部材3を附勢ばね部として利用し易い。
また、アウターシェル1で摩擦部材3の拡径を制限できるので、摩擦ダンパD1の収縮量が大きくなったときの減衰力を一層大きくし、摩擦ダンパD1の底付きを一層抑制できるとともに、底付き時の衝撃を一層小さくできる。この場合、アウターシェル1の素材として、摩擦部材3の線膨張係数と近い素材を選択すると、アウターシェル1を設けたとしても、温度変化による減衰力の変化を抑制し、温度変化による減衰力特性の変化を抑制できる。なお、アウターシェル1の素材は適宜変更できるとともに、摩擦部材3の素材は、ニトリルゴムに限らず、オレフィン系又はスチレン系のエラストマであってもよい。
また、摩擦ダンパD1では、ロッド2を軸方向に附勢する附勢ばね部として摩擦部材3の他にエアばねS1を備えている。このため、後に詳細に説明する図8に示す摩擦ダンパD2のように、空間Pにエアを給排するエアバルブVを設けると、附勢ばね部のばね力の調整を容易にできる。しかし、附勢ばね部として摩擦部材3のみを利用し、空間Pを大気解放してもよい。さらに、後に詳細に説明する図8,9に示す摩擦ダンパD2,D3ように、押当部2cを廃し、摩擦部材3を附勢ばね部として機能させなくてもよい。そして、このような変更は、ピストン部2bの形状、ピストン部2bの有無、摩擦部材3の構成、アウターシェル1の構成によらず可能である。
また、摩擦ダンパD1において、摩擦部材3とエアばねS1は、ロッド2を図2中左方へ附勢して、摩擦ダンパD1を伸長させる方向へ附勢する。よって、摩擦ダンパD1がキャスタCに利用される場合には、キャスタCが取り付けられる車椅子等の車体を弾性支持して路面凹凸による衝撃が車体に伝わるのを抑制できる。
しかし、摩擦ダンパD1の用途によっては、附勢ばね部が摩擦ダンパD1を収縮させる方向に附勢するとしてもよい。また、摩擦ダンパD1の収縮量が所定量以上の状態では、附勢ばね部が摩擦ダンパD1を伸長方向へ附勢するが、所定量以下の状態では摩擦ダンパD1を収縮方向へ附勢するとしてもよい。そして、このような変更は、ピストン部2bの形状、ピストン部2bの有無、摩擦部材3の構成、及びアウターシェル1の構成によらず可能である。
また、摩擦ダンパD1は、軸方向に移動可能なロッド2と、ロッド2に接触し、ロッド2との間に発生する摩擦力でロッド2の移動を抑制する摩擦部材3と、ロッド2を軸方向へ附勢する附勢ばね部とを備え、摩擦部材3が当該附勢ばね部としても機能する。つまり、摩擦ダンパD1では、ロッド2と摩擦部材3との間に生じる摩擦力により軸方向に移動するロッド2に抵抗を与え、摩擦部材(附勢ばね部)3の伸縮運動を減衰する。
このように、摩擦ダンパD1では、シリコンオイル、鉱物油等のオイルを利用せずに減衰力を発揮できるので、油漏れの問題を排除できる。さらに、オイルの流れに抵抗を与えて減衰力を発揮するダンパでは、温度変化によってオイルの粘度が変化するので、当該オイルダンパの減衰力は、温度変化による影響を受け易い。これに対して、固体であって、ゴム等で形成される摩擦部材3を利用した摩擦ダンパD1の減衰力は、温度によって摩擦部材3が膨縮するので多少は変化するものの、オイルダンパの減衰力と比較すると温度変化による影響を受け難い。よって、摩擦ダンパD1によれば、温度変化による減衰力変化を抑制できる。
さらに、ロッド2と摩擦部材3との接触部の形状及び素材は、前述のように自由に変更でき、当該変更により摩擦ダンパD1の減衰力を調整できるので、上記構成によれば、減衰力の細やかな調整が可能となる。
<第二の実施の形態>
次に、図8に示す本発明の第二の実施の形態に係る摩擦ダンパD2について説明する。当該摩擦ダンパD2の構成は、主に、摩擦部材がロッドを軸方向に附勢する附勢ばね部として機能せず、当該附勢ばね部がエアばねのみによって構成される点において摩擦ダンパD1と異なるものの、基本的な構造は当該摩擦ダンパD1と同様である。そこで、以下、本実施の形態に係る摩擦ダンパD2において、摩擦ダンパD1と異なる構成について詳細に説明し、共通の構成については同一符号を付して詳細な説明を省略する。
摩擦ダンパD2のロッド2Aは、押当部2cを有しておらず、円柱状の軸部2aと、この軸部2aの図8中右端に設けられて外径が軸部2aの外径よりも大きいピストン部2bとを有する。そして、ロッド2Aにおけるピストン部2bが部屋R内に配置され、同じく部屋R内に配置された筒状の摩擦部材3の内周に当接する。当該摩擦部材3の軸方向の一端は、ロッドガイド4で支えられ、他端はアウターシェル1の底部1aで支えられている。
また、摩擦部材3の内側であってピストン部2bと底部1aとの間に形成される空間Pが密閉されており、ピストン部2bが摩擦部材3内を図8中右方へ移動すると空間Pが縮小し、空間P内のエアが圧縮されて反発力が大きくなる。つまり、摩擦ダンパD2においても、上記空間Pを有してエアばねS1が構成されており、当該エアばねP1でロッド2Aを図8中左方へ附勢する。
また、アウターシェル1の底部1aには、空間Pの内部に通じるエア給排通路1dが形成されており、当該エア給排通路1dにエアバルブVが設けられている。そして、当該エアバルブVを介して空間P内にエアを給排することで、エアばねS1のばね特性を変更できる。
以下、本実施の形態に係る摩擦ダンパD2の作動について説明する。
キャスタが凹凸のある路面を走行する等して車輪が上下に動くと、ロッド2Aがアウターシェル1に出入りして摩擦ダンパD2が伸縮し、キャスタのリンクが揺動する。
摩擦ダンパD2が伸縮すると、エアばねS1が伸縮して圧縮量に見合った弾性力を発揮して、路面凹凸による衝撃を吸収する。さらに、摩擦ダンパD2が伸縮する場合、ピストン部2bが摩擦部材3に対して図8中左右に移動して、ピストン部2bと摩擦部材3との間に生じる摩擦力によりロッド2Aの移動が妨げられる。つまり、当該摩擦力は、ロッド2Aが摩擦部材3に対して移動する際の抵抗となり、エアばねS1の伸縮運動を減衰させる。このように、摩擦ダンパD2は、ピストン部2bと摩擦部材3との間に生じる摩擦力を減衰力として利用して、キャスタが取り付けられる車椅子等の車体とキャスタの車輪との上下方向の相対移動を抑制する。
以下、本実施の形態に係る摩擦ダンパD2の作用効果について説明する。なお、第一の実施の形態と同様の構成については同様の効果を得られるとともに、同様の変更が可能であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
摩擦ダンパD2では、摩擦部材3の内側に、ピストン部2bによってエアが密閉される空間Pが形成されており、当該空間Pを有してエアばねS1が形成されている。このように、摩擦ダンパD2では、ロッド2Aを軸方向へ附勢する附勢ばね部としてエアばねS1を利用している。このため、附勢ばね部のばね力の調整が容易である。
加えて、摩擦ダンパD2では、摩擦部材3を附勢ばね部として機能させないので、摩擦部材3として弾性変形し難い(剛性の高い)合成樹脂、又は金属等の素材を利用できる。よって、摩擦部材3の設計自由度が高く、所望の減衰力を得るのに適した摩擦部材3の素材を選定し易い。つまり、摩擦部材3の材料は、ニトリルゴムに限られず、適宜変更できる。そして、剛性の高い摩擦部材3を利用する場合には、アウターシェル1を廃するとしてもよい。なお、附勢ばね部の構成を適宜変更できるのは、先に述べた通りであり、摩擦部材3を図3−7に示す摩擦部材30−34に変更できるのは勿論である。
また、摩擦ダンパD2は、軸方向に移動可能なロッド2Aと、ロッド2Aに接触し、ロッド2Aとの間に発生する摩擦力でロッド2Aの移動を抑制する摩擦部材3と、ロッド2Aを軸方向へ附勢するエアばね(附勢ばね部)S1とを備える。つまり、摩擦ダンパD2は、ロッド2Aと摩擦部材3との間に生じる摩擦力により軸方向に移動するロッド2Aに抵抗を与え、エアばね(附勢ばね部)S1の伸縮運動を減衰できる。
このように、摩擦ダンパD2では、シリコンオイル、鉱物油等のオイルを利用せずに減衰力を発揮できるので、油漏れの問題を排除できる。さらに、減衰力の発生に、通路を流れるオイルの抵抗ではなく、摩擦部材3とロッド2Aとの間に生じる摩擦力を利用するので、温度変化による減衰力変化を抑制できる。
さらに、ロッド2Aと摩擦部材3との接触部の形状及び素材は、前述のように自由に変更でき、当該変更により摩擦ダンパD2の減衰力を調整できるので、上記構成によれば、減衰力の細やかな調整が可能となる。
<第三の実施の形態>
次に、図9に示す本発明の第三の実施の形態に係る摩擦ダンパD3について説明する。以下の説明において、第一、第二の実施の形態に係る摩擦ダンパD1,D2と共通の構成については同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図9(a)に示すように、摩擦ダンパD3は、アウターシェル1Aと、右端がアウターシェル1Aの内側に挿入されるとともに左端がアウターシェル1Aの外側へ突出するロッド2Bと、アウターシェル1Aの内側に収容される筒状の摩擦部材3と、ロッド2Bの中央部に設けられて摩擦部材3の内側に摺動可能に挿入されるピストン部2dと、アウターシェル1Aの左端部に取り付けられてロッド2Bを摺動自在に支持する環状のロッドガイド4と、アウターシェル1Aの外周に設けられるコイルばねS2と、アウターシェル1Aの外周に設けられてコイルばねS2の右端を支持するばね受け8と、ロッド2Bの左端部に取り付けられてコイルばねS2の左端を支持する有底筒状のばね受け9とを備える。
アウターシェル1Aは、筒部1eと、筒部1eの図9(a)中右側に連なり内径が筒部1eの内径よりも小さい環状のガイド部1fと、ガイド部1fの右側に連なり内径がガイド部1fの内径よりも大きい筒状のカバー部1gとを有する。カバー部1gには、ピン5を挿通可能な取付孔1hが形成されている。アウターシェル1Aは、ピン5を介してキャスタのブラケットに回転可能に連結される。また、カバー部1gにおける図9(a)中右側の外径が左側の外径よりも大きく形成されており、これらの境界に環状の段差1iが形成される。そして、当該段差1iにばね受け8が設けられる。
アウターシェル1Aの筒部1eの図9(a)中左端部内周には、雌螺子加工が施され、当該部分にロッドガイド4が螺合する。当該ロッドガイド4の内周と、ガイド部1fの内周にそれぞれ環状のブッシュ40,41が設けられる。ロッドガイド4は、ブッシュ40を介してロッド2Bの図9(a)中左側を支え、ガイド部1fは、ブッシュ41を介してロッド2Bの図9(a)中右側を支える。
ロッド2Bは、円柱状の軸部2fと、この軸部2fの軸方向の中央部外周に設けられて外径が軸部2fの外径よりも大きいピストン部2dと、軸部2fの図9(a)中右端部に設けられて外径が軸部2fの外径よりも大きいストッパ部2eとを有する。ロッド2Bは、軸部2fをロッドガイド4とガイド部1fとで支えられた状態で軸方向に移動自在となっている。
アウターシェル1A外へ突出するロッド2Bの図9(a)中左端部には、ばね受け9が固定され、当該ばね受け9にブラケット6が取り付けられている。ブラケット6には、ピン7を挿通可能な取付孔6aが形成されている。ロッド2Bは、ばね受け9、ブラケット6及びピン7を介してキャスタのリンクに回転可能に連結される。このように、摩擦ダンパD3では、アウターシェル1Aが車椅子等の車体側に連結され、ロッド2Bが車輪側に連結されているが、逆向きに取り付けられてもよい。
アウターシェル1Aにおける筒部1e及びガイド部1fと、ロッドガイド4とで囲われる空間を部屋Rとすると、当該部屋Rの中をロッド2Bが貫通するとともに、部屋Rの中にピストン部2dが配置される。その一方、ロッド2Bのストッパ部2eは、カバー部1gの内側に配置される。図9(a)に示すように、ストッパ部2eがガイド部1fに当接した状態では、アウターシェル1Aに対するロッド2Bの図9(a)中左側への移動が阻止されて、摩擦ダンパD3のそれ以上の伸長が阻止される。つまり、ストッパ部2eは、摩擦ダンパD3の伸長を制限する伸切規制部材として機能する。反対に、摩擦ダンパD3の収縮は、ばね受け9の底部9aとロッドガイド4の当接により制限される。このように、ばね受け9がロッドガイド4に突き当たり、摩擦ダンパD3が最収縮することを底付きという。
前述のように、ピストン部2dの外径は軸部2fの外径よりも大きく、ピストン部2dが軸部2fから径方向外側へ張り出すようになっている。また、ピストン部2dの軸方向の両端部は、先端へ向かうに従って外径が徐々に小さくなっており、図9(b)に示すように、両端部外周にテーパ面2g,2hが形成される。ピストン部2dにおいて、両端部の間に挟まれて、外径が一定の部分を胴部2iとし、胴部2iの外周面とテーパ面2g,2hとの外角を、それぞれテーパ面2g,2hの傾斜角度θ1,θ2とすると、図9(b)中左側のテーパ面2gの傾斜角度θ1が右側のテーパ面2hの傾斜角度θ2よりも大きい。また、ピストン部2dの胴部2iと両端部との境界部分は、それぞれ丸み面取りされていて、摩擦部材3を傷付けないようになっている。
つづいて、筒状の摩擦部材3は、部屋Rの中に配置され、内側にピストン部2dが挿入されるとともに、軸方向の一端をロッドガイド4で支えられ、他端をアウターシェル1Aのガイド部1fで支えられている。摩擦部材3は、前述のように、ニトリルゴム(NBR)等のエラストマであり、弾性を有する。摩擦部材3の内径は、ピストン部2dの外径よりも若干小さく形成されており、摩擦部材3は、ピストン部2dに対して締め代を持つ。
アウターシェル1Aとロッド2Bは、金属又は合成樹脂等で形成されており、少なくとも摩擦部材3よりも高い剛性を有する。そして、ロッド2Bをアウターシェル1Aに対して軸方向に移動させたとき、アウターシェル1Aで摩擦部材3の外周を支えつつ、軸部2fでピストン部2dを押し進められるようになっている。
つづいて、アウターシェル1Aの外周に設けたコイルばねS2は、圧縮ばねであり、圧縮量に応じた弾性力を発揮する。コイルばねS2の一端はばね受け9を介してロッド2Bで支えられ、他端はばね受け8を介してアウターシェル1Aで支えられる。つまり、コイルばねS2はロッド2Bとアウターシェル1Aとの間に介装される。
ばね受け9は、有底筒状であり、筒部9bの先端にコイルばねS2の図9(a)中左端が当接する。また、筒部9bの内側にアウターシェル1Aが摺動可能に挿入される。摩擦ダンパD3が最伸長した状態であっても、アウターシェル1Aが筒部9bから完全に抜け出ないようになっている。このため、アウターシェル1A外へ突出するロッド2Bの外周に、土、埃等の異物が付着するのをばね受け9で抑制できる。つまり、ばね受け9がロッド2Bの外周を保護するダストカバーとしても機能する。その一方、ばね受け8は環状であり、アウターシェル1Aの外周に形成される段差1iに積層されており、コイルばねS2で段差1iに押し付けられる。
以下、本実施の形態に係る摩擦ダンパD3の作動について説明する。
キャスタが凹凸のある路面を走行する等して車輪が上下に動くと、ロッド2Bがアウターシェル1Aに出入りして摩擦ダンパD3が伸縮し、キャスタのリンクが揺動する。
摩擦ダンパD3が伸縮する場合、ばね受け9内にアウターシェル1Aが出入りして、ばね受け8,9が遠近する。すると、コイルばねS2が伸縮して圧縮量に見合った弾性力を発揮して、路面凹凸による衝撃を吸収する。さらに、摩擦ダンパD3が伸縮する場合、ピストン部2dが摩擦部材3に対して図9(a)中左右に移動して、ピストン部2dと摩擦部材3との間に生じる摩擦力によりロッド2Bの移動が妨げられる。つまり、当該摩擦力は、ロッド2Bが摩擦部材3に対して移動する際の抵抗となり、コイルばねS2の伸縮運動を減衰させる。このように、摩擦ダンパD3は、ピストン部2dと摩擦部材3との間に生じる摩擦力を減衰力として利用して、キャスタが取り付けられる車椅子等の車体とキャスタの車輪との上下方向の相対移動を抑制する。
また、摩擦ダンパD3の伸長時において、ピストン部2dの進行方向前方に位置するテーパ面2gの傾斜角度θ1が、収縮時においてピストン部2dの進行方向前側に位置するテーパ面2hの傾斜角度θ2よりも大きい。このため、摩擦ダンパD3が伸長する際の抵抗の方が収縮する際の抵抗と比較して大きくなる。つまり、摩擦ダンパD3は、伸長時の方が収縮時よりも大きな減衰力を発揮する。コイルばねS2は、摩擦ダンパD3を伸長方向へ附勢するようになっているので、伸長時の減衰力を大きくすることで、摩擦ダンパD3の伸長速度を減速し、摩擦ダンパD3が急激に伸長するのを防止できる。
以下、本実施の形態に係る摩擦ダンパD3の作用効果について説明する。なお、第一、第二の実施の形態と同様の構成については同様の効果を得られるとともに、同様の変更が可能であるのでここでの詳細な説明は省略する。
摩擦ダンパD3において、ロッド2Bには、径方向外方へ突出して摩擦部材に接触するピストン部2dが設けられている。そして、ピストン部2dの両端部は先端へ向かうに従って外径が徐々に縮径し、ピストン部2dの両端部外周にテーパ面2g,2hが形成されている。これらテーパ面2g,2hのうち、コイルばね(附勢ばね部)S2を復元させる方向、即ち、図9(b)中左方へロッド2Bが移動する場合において、進行方向前方に位置するテーパ面2gの傾斜角度θ1が他のテーパ面2hの傾斜角度θ2よりも大きい。このため、コイルばね(附勢ばね部)S2が復元する伸長時の減衰力を圧縮時の減衰力と比較して大きくして、コイルばねS2の復元力により摩擦ダンパD3が急激に伸長するのを防止できる。
さらに、ロッド2Bにピストン部2dを設けると、ピストン部2d外周面(摩擦部材に当接する部分)の表面粗さ、ピストン部2dの軸方向長さの変更等により減衰力を調整できる。つまり、減衰力のチューニング要素が増えるので、所望の減衰力に設定し易い。しかし、ピストン部2dの構成は上記の限りではなく適宜変更できる。また、ピストン部2dを廃し、ロッド2Bの軸部2fを摩擦部材3に接触させるとしてもよい。
また、摩擦ダンパD3は、コイルばねS2を備え、ロッド2Bを軸方向へ附勢する附勢ばね部として摩擦部材3を機能させない構造となっている。このため、摩擦部材3として弾性変形し難い合成樹脂、又は金属等の素材を利用できる。よって、摩擦部材3の設計自由度が高く、所望の減衰力を得るのに適した摩擦部材3の素材を選定し易い。つまり、摩擦部材3の材料は、ニトリルゴムに限られず、適宜変更できる。
さらに、附勢ばね部がコイルばねS2であって、摩擦部材3の内側にできる空間をエアばねとして利用しないので、ピストン部2dの両側へ軸部2fを延ばして摩擦ダンパD3を両ロッド型(スルーロッド型)にできる。なお、附勢ばね部の構成を適宜変更できるのは先に述べた通りであり、摩擦部材3を図3−7に示す摩擦部材30−34に変更できるのは勿論である。そして、このような変更は、ピストン部2dの形状、ピストン部2dの有無によらず可能である。
また、摩擦ダンパD3では、摩擦部材3がアウターシェル1Aに収容されている。このため、摩擦ダンパD3が横方向からの力(横力)を受けた際、アウターシェル1Aで横力を受けられる。よって、摩擦部材3として、例えば、ニトリルゴム等の弾性変形し易い(剛性の低い)素材を利用できる。つまり、アウターシェル1Aを設けると摩擦部材3の剛性を低くできるので、摩擦部材3の設計自由度が向上し、所望の減衰力を得るのに適した摩擦部材3の素材を選定し易い。
また、アウターシェル1Aの素材として、摩擦部材3の線膨張係数と近い素材を選択すると、アウターシェル1Aを摩擦部材3の外周に当接させたとしても、温度変化による減衰力の変化を抑制し、温度変化による減衰力特性の変化を抑制できる。なお、アウターシェル1Aの素材は適宜変更できるとともに、摩擦部材3の剛性が高い場合には、アウターシェル1Aを廃し、摩擦部材3がアウターシェル1Aとしての機能を有するとしてもよい。そして、このような変更は、ピストン部2dの形状、ピストン部2dの有無、附勢ばね部の構成、及び摩擦部材3の構成によらず可能である。
また、摩擦ダンパD3は、軸方向に移動可能なロッド2Bと、ロッド2Bに接触し、ロッド2Bとの間に発生する摩擦力でロッド2Bの移動を抑制する摩擦部材3と、ロッド2Bを軸方向の一方側へ附勢するコイルばね(附勢ばね部)S2とを備える。つまり、摩擦ダンパD3は、ロッド2Bと摩擦部材3との間に生じる摩擦力により軸方向に移動するロッド2Bに抵抗を与え、コイルばね(附勢ばね部)S2の伸縮運動を減衰できる。
このように、摩擦ダンパD3では、シリコンオイル、鉱物油等のオイルを利用せずに減衰力を発揮できるので、油漏れの問題を排除できる。さらに、減衰力の発生に、通路を流れるオイルの抵抗ではなく、摩擦部材3とロッド2Bとの間に生じる摩擦力を利用するので、温度変化による減衰力変化を抑制できる。
さらに、ロッド2Bと摩擦部材3との接触部の形状及び素材は、前述のように自由に変更でき、当該変更により摩擦ダンパD3の減衰力を調整できるので、上記構成によれば、減衰力の細やかな調整が可能となる。
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱しない限り、改造、変形、及び変更が可能である。
D1,D2,D3・・・摩擦ダンパ、S1・・・エアばね(附勢ばね部)、S2・・・コイルばね(附勢ばね部)、θ1、θ2・・・傾斜角度、1,1A・・・アウターシェル、2,2A,2B・・・ロッド、2c・・・押当部、2d・・・ピストン部、2g,2h・・・テーパ面、3・・・摩擦部材

Claims (4)

  1. 軸方向に移動可能なロッドと、
    前記ロッドに接触し、前記ロッドとの間に発生する摩擦力で前記ロッドの移動を抑制する摩擦部材と、
    前記ロッドを軸方向へ附勢する附勢ばね部とを備える
    ことを特徴とする摩擦ダンパ。
  2. 前記摩擦部材は、弾性を有して前記附勢ばね部としても機能し、
    前記ロッドには、前記摩擦部材を圧縮する押当部が設けられている
    ことを特徴とする請求項1に記載の摩擦ダンパ。
  3. 前記摩擦部材は、筒状であり、
    前記摩擦部材の内径は、軸方向で異なる
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の摩擦ダンパ。
  4. 前記ロッドには、径方向外方へ突出して前記摩擦部材に接触するピストン部が設けられ、
    前記ピストン部の両端部は、先端へ向かうに従って外径が徐々に縮径し、
    前記ピストン部の両端部外周には、テーパ面が形成されており、
    前記附勢ばね部を伸長させる方向へ前記ロッドが移動する場合において、進行方向前方に位置する前記テーパ面の傾斜角度が他の前記テーパ面の傾斜角度よりも大きい
    ことを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の摩擦ダンパ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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