JP2018002886A - 樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】難燃性、導体層とのピール強度及びリフロー耐性に優れる絶縁層が得られる樹脂組成物;それを用いた樹脂シート、回路基板、半導体チップパッケージ、及び半導体装置の提供。【解決手段】(a)(i)水素添加されていてもよいブタジエン構造単位、並びに(ii)ビフェニレン型フェノール構造単位及びナフトールアラルキル構造単位からなる群から選択される1種以上の構造単位を有する化合物、(b)1分子中に、2以上のエポキシ基及び1以上の芳香環を有するエポキシ樹脂、並びに(c)無機充填材を含む樹脂組成物であって、(c)無機充填材が、樹脂組成物の不揮発成分を100質量%とした場合、30質量%以上である、樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物に関する。さらには、樹脂組成物を使用した、樹脂シート、回路基板、半導体チップパッケージ、及び半導体装置に関する。
近年、スマートフォン、タブレットデバイスといった小型の高機能電子機器の需要が増大しており、それに伴い、これら小型の電子機器に用いられる絶縁材料(絶縁層)も更なる高機能化が求められている。
このような絶縁層は、樹脂組成物を硬化して形成されるもの等が知られている(例えば特許文献1参照)。
特開2015−82535号公報
近年、電気電子業界では、臭素及び塩素を含まなくても難燃性に優れる材料が求められており、上記電子機器に用いる絶縁層も臭素及び塩素を含まなくても難燃性に優れることが求められる。また、絶縁層は、ピール強度、及びリフロー耐性が優れることも求められている。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、難燃性、銅箔等の導体層とのピール強度及びリフロー耐性に優れる絶縁層が得られる樹脂組成物;それを用いた樹脂シート、回路基板及び半導体チップパッケージ、及び半導体装置を提供することにある。
本発明者らは、(a)(i)水素添加されていてもよいブタジエン構造単位、並びに(ii)ビフェニレン型フェノール構造単位及びナフトールアラルキル構造単位からなる群から選択される1種以上の構造単位を有する化合物、(b)1分子中に、2以上のエポキシ基及び1以上の芳香環を有するエポキシ樹脂、並びに(c)無機充填材を含む樹脂組成物であって、(c)成分の含有量を樹脂組成物の不揮発成分を100質量%とした場合、30質量%以上とすることで、難燃性、導体層とのピール強度及びリフロー耐性に優れる絶縁層が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の内容を含む。
[1] (a)(i)水素添加されていてもよいブタジエン構造単位、並びに(ii)ビフェニレン型フェノール構造単位及びナフトールアラルキル構造単位からなる群から選択される1種以上の構造単位を有する化合物、
(b)1分子中に、2以上のエポキシ基及び1以上の芳香環を有するエポキシ樹脂、並びに
(c)無機充填材を含む樹脂組成物であって、
(c)無機充填材が、樹脂組成物の不揮発成分を100質量%とした場合、30質量%以上である、樹脂組成物。
[2] (b)成分が、1分子中に、2以上のエポキシ基、1以上の芳香環及びフッ素原子を有するエポキシ樹脂;ビスフェノールA型エポキシ樹脂;ビスフェノールF型エポキシ樹脂;1分子中に、2以上のエポキシ基及び1以上のビフェニル構造を有するエポキシ樹脂;1分子中に、2以上のエポキシ基及び1以上の縮合環を有するエポキシ樹脂;1分子中に、2以上のエポキシ基及び1以上のキシレン構造を有するエポキシ樹脂;1分子中に、1以上のグリシジルアミノ基、1以上のエポキシ基及び1以上の芳香環を有するエポキシ樹脂;1分子中に、2以上のエポキシ基、1以上の芳香環及びジシクロペンタジエニル構造を有するエポキシ樹脂;及び1分子中に、2以上のグリシジルオキシベンゼン構造を有するエポキシ樹脂;からなる群から選択される1以上である、[1]に記載の樹脂組成物。
[3] (b)成分が、1分子中に、2以上のエポキシ基、1以上の芳香環及びフッ素原子を有するエポキシ樹脂;1分子中に、2以上のエポキシ基及び1以上のビフェニル構造を有するエポキシ樹脂;1分子中に、2以上のエポキシ基及び1以上の縮合環を有するエポキシ樹脂;1分子中に、2以上のエポキシ基及び1以上のキシレン構造を有するエポキシ樹脂;及び1分子中に、2以上のエポキシ基、1以上の芳香環及びジシクロペンタジエニル構造を有するエポキシ樹脂;からなる群から選択される1以上である、[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4] (a)成分の数平均分子量が、1000〜20000である、[1]〜[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[5] (a)成分の含有量が、樹脂組成物の不揮発成分を100質量%とした場合、3質量%〜40質量%である、[1]〜[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[6] (b)成分の含有量が、樹脂組成物の不揮発成分を100質量%とした場合、2質量%〜30質量%である、[1]〜[5]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[7] (b)成分のエポキシ等量が、200以上である、[1]〜[6]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[8] さらに、(d)フェノキシ樹脂を含む、[1]〜[7]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[9] (d)成分が、ビスフェノールAF構造を含むフェノキシ樹脂である、[8]に記載の樹脂組成物。
[10] (d)成分の含有量が、樹脂組成物の不揮発成分を100質量%とした場合、1質量%〜20質量%である、[8]又は[9]に記載の樹脂組成物。
[11] さらに(e)硬化剤を含む、[1]〜[10]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[12] さらに、(g)難燃剤を含む、[1]〜[11]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[13] (g)成分の含有量が、樹脂組成物の不揮発成分を100質量%とした場合、1質量%〜20質量%である、[12]に記載の樹脂組成物。
[14] 支持体と、該支持体上に設けられた、[1]〜[13]のいずれかに記載の樹脂組成物を含む樹脂組成物層と、を有する樹脂シート。
[15] 半導体チップパッケージの絶縁層用樹脂シートである、[14]に記載の樹脂シート。
[16] [1]〜[13]のいずれかに記載の樹脂組成物の硬化物により形成された絶縁層を含む、回路基板。
[17] [16]に記載の回路基板上に、半導体チップが搭載された、半導体チップパッケージ。
[18] [1]〜[13]のいずれかに記載の樹脂組成物、または[14]又は[15]に記載の樹脂シートにより封止された半導体チップを含む半導体チップパッケージ。
本発明によれば、難燃性、導体層とのピール強度及びリフロー耐性に優れる絶縁層が得られる樹脂組成物;それを用いた樹脂シート、回路基板、半導体チップパッケージ、及び半導体装置を提供することができる。
図1は、本発明の回路基板の製造方法において、工程(3)が絶縁層にビアホールを形成し、導体層を形成して配線層を層間接続する工程である場合の一例を示した概略断面図である。 図2は、本発明の回路基板の製造方法において、工程(3)が絶縁層を研磨又は研削し、配線層を露出させて配線層を層間接続する工程である場合の一例を示した概略断面図である。 図3は、本発明の半導体チップパッケージ(Fan−out型WLP)の一例を示した概略断面図である。
以下、本発明の樹脂組成物、樹脂シート、回路基板、半導体チップパッケージ、及び半導体装置について詳細に説明する。
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は、(a)(i)水素添加されていてもよいブタジエン構造単位、並びに(ii)ビフェニレン型フェノール構造単位及びナフトールアラルキル構造単位からなる群から選択される1種以上の構造単位を有する化合物、(b)1分子中に、2以上のエポキシ基及び1以上の芳香環を有するエポキシ樹脂、並びに(c)無機充填材を含む樹脂組成物であって、(c)無機充填材が、樹脂組成物の不揮発成分を100質量%とした場合、30質量%以上である。
本発明者らは、鋭意研究の結果、芳香環を1以上有するエポキシ樹脂を含有させることにより、樹脂組成物を硬化させた絶縁層の耐熱性、難燃性が向上することを見出した。また、(b)成分を樹脂組成物に含有させることで、(a)成分の樹脂組成物に対する相溶性が向上することを見出した。(b)成分を含有させて(a)成分の相溶性を高め、さらに所定量の(c)成分を含有させることで、樹脂組成物を硬化させた絶縁層と導体層との間の界面で(a)成分の分離等・析出が抑制されることからピール強度及びリフロー耐性が向上すると考えられる。
樹脂組成物は、必要に応じて、さらに(d)フェノキシ樹脂、(e)硬化剤、(f)硬化促進剤、および(g)難燃剤を含み得る。以下、樹脂組成物に含まれる各成分について詳細に説明する。
<(a)(i)水素添加されていてもよいブタジエン構造単位、並びに(ii)ビフェニレン型フェノール構造単位及びナフトールアラルキル構造単位からなる群から選択される1種以上の構造単位を有する化合物>
樹脂組成物は、(a)(i)水素添加されていてもよいブタジエン構造単位、並びに(ii)ビフェニレン型フェノール構造単位及びナフトールアラルキル構造単位からなる群から選択される1種以上の構造単位を有する化合物を含む。(a)成分を含むことで、フィルム製膜性に優れるようになる。(a)成分は、(i)構造単位と(ii)構造単位とを含む共重合体であり、(i)構造単位と(ii)構造単位とを含むブロック共重合体、(i)構造単位と(ii)構造単位とを含むランダム共重合体、(i)構造単位と(ii)構造単位とを含むグラフト共重合体等であってもよく、(a)成分としては、(i)構造単位の両末端に(ii)構造単位を有することが好ましい。
(a)成分の数平均分子量(Mn)は、他成分との相溶性と硬化物の物性を高める観点から、好ましくは1000〜20000、より好ましくは2000〜15000、さらに好ましくは2500〜10000である。数平均分子量(Mn)は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)を使用して測定されるポリスチレン換算の数平均分子量である。
(a)成分としては、後述する(b)成分と反応し得る官能基を有することが好ましい。なお、(b)成分と反応し得る官能基としては、加熱によって現れる官能基も含めるものとする。
好適な一実施形態において、(b)成分と反応し得る官能基は、カルボキシ基、酸無水物基、イソシアネート基及びウレタン基からなる群から選択される1種以上の官能基である。中でも、当該官能基としては、酸無水物基、イソシアネート基が好ましい。
(a)成分に含まれる(i)構成単位及び(ii)構成単位の含有比率((i)構成単位/(ii)構成単位)は、他成分との相溶性と硬化物の物性を高める観点から、好ましくは0.2〜10、より好ましくは0.4〜8、さらに好ましくは0.8〜5である。
(i)ブタジエン構造単位は、1,3−ブタジエン単量体に由来する構造単位であり、ブタジエン構造単位は一部または全てが水素添加されていてもよい。また、ブタジエン構造単位は置換基を有していてもよい。
ブタジエン構造単位としては、例えば、水素化ポリブタジエン骨格を含有する構造単位、ヒドロキシ基を含有するブタジエン構造単位、カルボキシ基を含有するブタジエン構造単位、酸無水物基を含有するブタジエン構造単位、エポキシ基を含有するブタジエン構造単位、イソシアネート基を含有するブタジエン構造単位、及びウレタン基を含有するブタジエン構造単位等が挙げられ、ヒドロキシ基を含有するブタジエン構造単位が好ましい。
(ii)成分は、ビフェニレン型フェノール構造単位及びナフトールアラルキル構造単位からなる群から選択される1種以上の構造単位である。(ii)成分としては、ビフェニレン型フェノール構造単位、又はナフトールアラルキル構造単位を単独で用いることが好ましい。
ビフェニレン型フェノール構造単位は、ビフェニレン基とフェノール類基とを有する構造単位であり、ビフェニレン基とフェノール類基とは直接結合していてもよく、メチレン基等の2価の連結基を介して結合していてもよい。フェノール類基とは、ヒドロキシベンゼン由来の2価の基であり、ヒドロキシベンゼンは、フェノール、カテコール、及びヒドロキノンを含む概念である。
ビフェニレン型フェノール構造単位の具体的な構造は、下記式(1)に表される構造単位である。
Figure 2018002886
(式(1)中、m1及びn2はそれぞれ独立に0又は1を表し、p1は1又は2を表す。)
m1及びn1はそれぞれ独立に0又は1を表し、それぞれ1を表すことが好ましい。p1は1又は2を表し、1を表すことが好ましい。
ナフトールアラルキル構造単位は、ナフトール類基とアラルキレン基とを有する構造単位であり、ナフトール類基は、アラルキレン基のアルキレン部位と結合していてもよく、アラルキレン基のアリーレン部位と結合していてもよく、メチレン基等の2価の基を介して結合していてもよい。アラルキレン基としては、ベンジレン基などが挙げられる。ナフトール類基とは、ヒドロキシナフタレン由来の2価の基であり、ヒドロキシナフタレンは、ナフトール及びジヒドロキシナフタレンを含む概念である。
ナフトールアラルキル構造単位の具体的な構造は、下記式(2)に表される構造単位である。
Figure 2018002886
(式(2)中、m2及びn2はそれぞれ独立に0又は1を表し、p2は1又は2を表す。)
m2及びn2はそれぞれ独立に0又は1を表し、それぞれ1を表すことが好ましい。p2は1又は2を表し、1を表すことが好ましい。式(2)中の「(OH)p2」はナフタレン縮合環のいずれの部位に結合していてもよい。
(a)成分は、(i)構成単位及び(ii)構成単位以外のその他の構造単位を有していてもよい。その他の構造単位としては、特に制限されないが、(i)構成単位及び(ii)構成単位と共重合可能な任意の単量体由来の構造単位であることが好ましい。このような単量体としては、例えば、ジアリルアミン、ジメチルアリルアミン、メトキシカルボニル化アリルアミン、メチルカルボニル化アリルアミン、尿素化アリルアミン、イソホロンジシアネート、4塩基酸無水物等が挙げられる。
(a)成分の合成方法は特に限定されず、公知の合成方法にて行うことができる。好適な一実施形態として、(a)成分は、(i)構成単位の原料となるブタジエン樹脂とジイソシアネート化合物とを反応させた後に、残存するイソシアネート基と(ii)構成単位の原料とを反応させることで得られる。
(i)構成単位の原料となるブタジエン樹脂としては、25℃で液状またはガラス転移温度が25℃以下のブタジエン樹脂が好ましく、水素化ポリブタジエン骨格含有樹脂(例えば水素化ポリブタジエン骨格含有エポキシ樹脂)、ヒドロキシ基含有ブタジエン樹脂、カルボキシ基含有ブタジエン樹脂、酸無水物基含有ブタジエン樹脂、エポキシ基含有ブタジエン樹脂、イソシアネート基含有ブタジエン樹脂及びウレタン基含有ブタジエン樹脂からなる群から選択される1種以上の樹脂がより好ましい。ブタジエン樹脂におけるブタジエン構造は主鎖に含まれていても側鎖に含まれていてもよい。ブタジエン構造は一部または全てが水素添加されていてもよい。ここで、「水素化ポリブタジエン骨格含有樹脂」とは、ポリブタジエン骨格の少なくとも一部が水素化された樹脂をいい、必ずしもポリブタジエン骨格が完全に水素化された樹脂である必要はない。
ブタジエン樹脂の数平均分子量(Mn)は、好ましくは1,000〜100,000、より好ましくは5,000〜50,000、より好ましくは7,500〜30,000、さらに好ましくは10,000〜15,000である。である。ここで、樹脂の数平均分子量(Mn)は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)を使用して測定されるポリスチレン換算の数平均分子量である。
ブタジエン樹脂が官能基を有する場合の官能基当量は、好ましくは100〜10000、より好ましくは200〜5000である。なお、官能基当量とは、1グラム当量の官能基を含む樹脂のグラム数である。例えば、エポキシ基当量は、JIS K7236に従って測定することができる。水酸基当量はJIS K1557−1に従って測定した水酸基価でKOHの分子量を割ることで算出することができる。
ブタジエン樹脂の具体例としては、クレイバレー社製の「Ricon 657」(エポキシ基含有ポリブタジエン)、「Ricon 130MA8」、「Ricon 130MA13」、「Ricon 130MA20」、「Ricon 131MA5」、「Ricon 131MA10」、「Ricon 131MA17」、「Ricon 131MA20」、「Ricon 184MA6」(酸無水物基含有ポリブタジエン)、日本曹達社製の「JP−100」、「JP−200」(エポキシ化ポリブタジエン)、「GQ−1000」(水酸基、カルボキシル基導入ポリブタジエン)、「G−1000」、「G−2000」、「G−3000」(両末端水酸基ポリブタジエン)、「GI−1000」、「GI−2000」、「GI−3000」(両末端水酸基水素化ポリブタジエン)、ダイセル社製の「PB3600」、「PB4700」(ポリブタジエン骨格エポキシ樹脂)、「エポフレンドA1005」、「エポフレンドA1010」、「エポフレンドA1020」(スチレンとブタジエンとスチレンブロック共重合体のエポキシ化物)、ナガセケムテックス社製の「FCA−061L」(水素化ポリブタジエン骨格エポキシ樹脂)、「R−45EPT」(ポリブタジエン骨格エポキシ樹脂)、等が挙げられる。
(ii)構成単位の原料となるビフェニレン型フェノール樹脂としては、明和化成社製の「MEH−7851SS」、「MEH−7851M」等のMEH−7851シリーズ、日本化薬社製のKAYAHARD GPHシリーズ等が挙げられる。
(ii)構成単位の原料となるナフトールアラルキル樹脂としては、新日鉄住金化学社製の「SN−475」、「SN−485」、「SN−495V」等が挙げられる。
ビフェニレン型フェノール樹脂及びナフトールアラルキル樹脂の数平均分子量(Mn)は、好ましくは360〜10000、より好ましくは380〜5000、さらに好ましくは400〜3000である。ここで、樹脂の数平均分子量(Mn)は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)を使用して測定されるポリスチレン換算の数平均分子量である。
ビフェニレン型フェノール樹脂及びナフトールアラルキル樹脂の水酸基当量は、好ましくは100〜1000、より好ましくは200〜500である。水酸基当量はJIS K1557−1に従って測定した水酸基価でKOHの分子量を割ることで算出することができる。
樹脂組成物中の(a)成分の含有量は、リフロー耐性を向上させる観点から、樹脂組成物の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下、さらにより好ましくは25質量%以下である。また、下限は、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上、さらにより好ましくは15質量%以上である。
<(b)1分子中に、2以上のエポキシ基及び1以上の芳香環を有するエポキシ樹脂>
樹脂組成物は、(b)1分子中に、2以上のエポキシ基及び1以上の芳香環を有するエポキシ樹脂を含む。芳香環とは、多環芳香族及び芳香族複素環をも含む概念である。(b)成分を樹脂組成物中に含有させることで(a)成分の相溶性が向上し、その結果、導体層のピール強度及びリフロー耐性に優れた樹脂組成物が得られる。
(b)成分は、1分子中に、2以上のエポキシ基及び1以上の芳香環を有し、温度20℃で液状のエポキシ樹脂、及び1分子中に、3以上のエポキシ基及び1以上の芳香環を有し、温度20℃で固体状のエポキシ樹脂のいずれかであることが好ましい。中でも、製膜した樹脂シートの樹脂組成物層の表面タック性(タック性が軽いことが後述する積層する工程において好ましい。)、及び耐熱性を向上させる観点から、固体状のエポキシ樹脂であることが好ましい。
(b)成分の具体例としては、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂等の1分子中に、2以上のエポキシ基、1以上の芳香環及びフッ素原子を含むエポキシ樹脂;ビスフェノールF型エポキシ樹脂;1分子中に、2以上のエポキシ基及び1以上のビフェニル構造を有するエポキシ樹脂;1分子中に、2以上のエポキシ基及び1以上の縮合環を有するエポキシ樹脂;1分子中に、2以上のエポキシ基及び1以上のキシレン構造を有するエポキシ樹脂;1分子中に、1以上のグリシジルアミノ基、1以上のエポキシ基及び1以上の芳香環を有するエポキシ樹脂;1分子中に、2以上のエポキシ基、1以上の芳香環及びジシクロペンタジエニル構造を有するエポキシ樹脂;及び1分子中に、2以上のグリシジルオキシベンゼン構造を有するエポキシ樹脂;からなる群から選択される1以上であることが好ましく、1分子中に、2以上のエポキシ基、1以上の芳香環及びフッ素原子を含むエポキシ樹脂;1分子中に、2以上のエポキシ基及び1以上のビフェニル構造を有するエポキシ樹脂;1分子中に、2以上のエポキシ基及び1以上の縮合環を有するエポキシ樹脂;1分子中に、2以上のエポキシ基及び1以上のキシレン構造を有するエポキシ樹脂;及び1分子中に、2以上のエポキシ基、1以上の芳香環及びジシクロペンタジエニル構造を有するエポキシ樹脂;からなる群から選択される1以上であることがより好ましく、1分子中に、2以上のエポキシ基、1以上の芳香環及びフッ素原子を含むエポキシ樹脂;及び1分子中に、2以上のエポキシ基及び1以上のビフェニル構造を有するエポキシ樹脂;からなる群から選択される1以上であることがさらに好ましい。
(b)成分の具体例としては、DIC社製の「HP4032」、「HP4032D」、「HP4032SS」、「HP4032H」(ナフタレン型エポキシ樹脂)、三菱化学社製の「828US」、「jER828EL」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、「jER806」、「jER807」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂)、「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂)、「630」、「630LSD」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂)、新日鉄住金化学社製の「ZX1059」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品)、ナガセケムテックス社製の「EX−721」(グリシジルエステル型エポキシ樹脂)、ダイセル社製の「セロキサイド2021P」(エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂)、新日鐵化学社製の「ZX1658」、「ZX1658GS」(液状1,4−グリシジルシクロヘキサン)、「HP−4700」、「HP−4710」(ナフタレン型4官能エポキシ樹脂)、「N−690」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「N−695」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「HP−7200」、「HP−7200L」、「HP−7200HH」、「HP−7200H」、「HP−7200HHH」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂)、「EXA7311」、「EXA7311−G3」、「EXA7311−G4」、「EXA7311−G4S」、「HP6000」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂)、日本化薬社製の「EPPN−502H」(トリスフェノール型エポキシ樹脂)、「NC7000L」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、「NC3000H」、「NC3000」、「NC3000L」、「NC3100」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、新日鉄住金化学社製の「ESN475V」(ナフトール型エポキシ樹脂)、「ESN485」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、三菱化学社製の「YX4000H」、「YL6121」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、「YX4000HK」(ビキシレノール型エポキシ樹脂)、「YL7760」(ビスフェノールAF型エポキシ樹脂)、「YX8800」(アントラセン型エポキシ樹脂)、大阪ガスケミカル社製の「PG−100」、「CG−500」、三菱化学社製の「YL7800」(フルオレン型エポキシ樹脂)、三菱化学社製の「jER1010」(固体状ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、「jER1031S」(テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂)、「157S70」(ビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂)、三菱化学社製の「YX4000HK」(ビキシレノール型エポキシ樹脂)、「YX8800」(アントラセン型エポキシ樹脂)、大阪ガスケミカル社製の「PG−100」、「CG−500」、三菱化学社製の「YL7800」(フルオレン型エポキシ樹脂)、三菱化学社製の「jER1031S」(テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂)、三菱化学社製の「YX7700」(キシレン構造含有エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(b)成分の含有量は、リフロー耐性を向上させる観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上である。上限は本発明の効果が奏される限りにおいて特に限定されないが、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。
(b)成分のエポキシ当量は、好ましくは200以上、より好ましくは300以上、さらに好ましくは400以上である。上限は特に限定されないが、好ましくは3000以下、より好ましくは2000以下、さらに好ましくは1000以下である。この範囲となることで、硬化物の架橋密度が十分となり表面粗さの小さい絶縁層をもたらすことができる。なお、エポキシ当量は、JIS K7236に従って測定することができ、1当量のエポキシ基を含む樹脂の質量である。
(b)成分の重量平均分子量は、好ましくは100〜5000、より好ましくは250〜3000、さらに好ましくは400〜1500である。ここで、(b)成分の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量であり、後述する(d)成分の重量平均分子量と同様の方法にて測定することができる。
本発明の樹脂組成物は、(b)成分を含むことから(a)成分の樹脂組成物に対する相溶性が向上する。このため、本発明の樹脂組成物は、フィルム製膜性に優れるという特性を示す。フィルム製膜性の評価は、後述する<フィルムの製膜性の評価>に記載の方法に従って測定することができる。
<(c)無機充填材>
樹脂組成物は(c)無機充填材を含む。無機充填材の材料は特に限定されないが、例えば、シリカ、アルミナ、ガラス、コーディエライト、シリコン酸化物、硫酸バリウム、炭酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化マンガン、ホウ酸アルミニウム、炭酸ストロンチウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、及びリン酸タングステン酸ジルコニウム等が挙げられる。これらの中でもシリカが特に好適である。またシリカとしては球形シリカが好ましい。無機充填材は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
無機充填材の平均粒径は、回路埋め込み性を向上させ、表面粗度の低い絶縁層を得る観点から、好ましくは5μm以下、より好ましくは2.5μm以下、さらに好ましくは2.2μm以下、より好ましくは2μm以下である。該平均粒径の下限は、特に限定されないが、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上、さらに好ましくは0.1μm以上である。このような平均粒径を有する無機充填材の市販品としては、例えば、アドマテックス社製「YC100C」、「YA050C」、「YA050C−MJE」、「YA010C」、電気化学工業社製「UFP−30」、トクヤマ社製「シルフィルNSS−3N」、「シルフィルNSS−4N」、「シルフィルNSS−5N」、アドマテックス社製「SC2500SQ」、「SO−C6」、「SO−C4」、「SO−C2」、「SO−C1」等が挙げられる。
無機充填材の平均粒径はミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的にはレーザー回折散乱式粒度分布測定装置により、無機充填材の粒度分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機充填材を超音波により水中に分散させたものを好ましく使用することができる。レーザー回折散乱式粒度分布測定装置としては、堀場製作所社製「LA−500」等を使用することができる。
無機充填材は、耐湿性及び分散性を高める観点から、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、アルコキシシラン化合物、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤等の1種以上の表面処理剤で処理されていることが好ましい。表面処理剤の市販品としては、例えば、信越化学工業社製「KBM403」(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM803」(3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBE903」(3−アミノプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM573」(N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「SZ−31」(ヘキサメチルジシラザン)、信越化学工業社製「KBM103」(フェニルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM−4803」(長鎖エポキシ型シランカップリング剤)等が挙げられる。
表面処理剤による表面処理の程度は、無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量によって評価することができる。無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、無機充填材の分散性向上の観点から、0.02mg/m以上が好ましく、0.1mg/m以上がより好ましく、0.2mg/m以上が更に好ましい。一方、樹脂ワニスの溶融粘度やシート形態での溶融粘度の上昇を防止する観点から、1mg/m以下が好ましく、0.8mg/m以下がより好ましく、0.5mg/m以下が更に好ましい。
無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、表面処理後の無機充填材を溶剤(例えば、メチルエチルケトン(MEK))により洗浄処理した後に測定することができる。具体的には、溶剤として十分な量のMEKを表面処理剤で表面処理された無機充填材に加えて、25℃で5分間超音波洗浄する。上澄液を除去し、固形分を乾燥させた後、カーボン分析計を用いて無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量を測定することができる。カーボン分析計としては、堀場製作所社製「EMIA−320V」等を使用することができる。
樹脂組成物中の無機充填材の含有量は、リフロー耐性に優れ熱膨張率が低い絶縁層を得る観点から、30質量%以上であり、好ましくは35質量%以上、より好ましくは40質量%以上である。上限は、絶縁層の機械強度、特に伸びの観点から、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、さらに好ましくは85質量%以下、よりさらに好ましくは80質量%以下である。
<(d)フェノキシ樹脂>
本発明の樹脂組成物は、(d)フェノキシ樹脂を含み得る。
(d)成分のポリスチレン換算の重量平均分子量は8,000〜70,000の範囲が好ましく、10,000〜60,000の範囲がより好ましく、20,000〜60,000の範囲がさらに好ましい。(d)成分のポリスチレン換算の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定される。具体的には、(d)成分のポリスチレン換算の重量平均分子量は、測定装置として島津製作所社製LC−9A/RID−6Aを、カラムとして昭和電工社製Shodex K−800P/K−804L/K−804Lを、移動相としてクロロホルム等を用いて、カラム温度を40℃にて測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて算出することができる。
フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールAF構造、ビスフェノールA構造、ビスフェノールF構造、ビスフェノールS構造、ビスフェノールアセトフェノン構造、ノボラック構造、ビフェニル構造、フルオレン構造、ジシクロペンタジエン構造、ノルボルネン構造、ナフタレン構造、アントラセン構造、アダマンタン構造、テルペン構造、及びトリメチルシクロヘキサン構造、ビキシレノール構造、及びビスフェノールフルオレン構造からなる群から選択される1種以上の構造を有するフェノキシ樹脂が挙げられ、ビスフェノールAF構造、ビキシレノール構造、及びビスフェノールフルオレン構造からなる群から選択される1種以上の構造を有するフェノキシ樹脂であることが好ましく、ビスフェノールAF構造を含むフェノキシ樹脂であることがより好ましい。フェノキシ樹脂の末端は、フェノール性水酸基、エポキシ基等のいずれの官能基でもよい。フェノキシ樹脂は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
フェノキシ樹脂の具体例としては、三菱化学社製の「1256」及び「4250」(いずれもビスフェノールA構造含有フェノキシ樹脂)、「YX8100」(ビスフェノールS骨格含有フェノキシ樹脂)、及び「YX6954」(ビスフェノールアセトフェノン構造含有フェノキシ樹脂)が挙げられ、その他にも、新日鉄住金化学社製の「FX280」及び「FX293」、三菱化学社製の「YX6954BH30」、「YX7553BH30」、「YL7769BH30」、「YL6794」、「YL7213」、「YL7290」、「YL7891BH30」及び「YL7482」等が挙げられる。
樹脂組成物が(d)成分を含有する場合、(d)成分の含有量は、樹脂組成物の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは1質量%〜20質量%、より好ましくは3質量%〜18質量%、さらに好ましくは5質量%〜15質量%である。
<(e)硬化剤>
樹脂組成物は(e)硬化剤を含み得る。硬化剤としては、(b)成分等の樹脂を硬化する機能を有する限り特に限定されず、例えば、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、活性エステル系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤、シアネートエステル系硬化剤、及びカルボジイミド系硬化剤などが挙げられる。硬化剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。(e)成分は、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、活性エステル系硬化剤及びシアネートエステル系硬化剤から選択される1種以上であることが好ましく、フェノール系硬化剤、及び活性エステル系硬化剤から選択される1種以上であることがより好ましい
フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤としては、耐熱性及び耐水性の観点から、ノボラック構造を有するフェノール系硬化剤、又はノボラック構造を有するナフトール系硬化剤が好ましい。また、導体層との密着性の観点から、含窒素フェノール系硬化剤が好ましく、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤がより好ましい。中でも、耐熱性、耐水性、及び導体層との密着性を高度に満足させる観点から、トリアジン骨格含有フェノールノボラック硬化剤が好ましい。
フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤の具体例としては、明和化成社製の「MEH−7700」、「MEH−7810」、「MEH−7851」、日本化薬社製の「NHN」、「CBN」、「GPH」、新日鉄住金社製の「SN−170」、「SN−180」、「SN−190」、「SN−475」、「SN−485」、「SN−495V」、「SN−375」、「SN−395」、DIC社製の「TD−2090」、「LA−7052」、「LA−7054」、「LA−1356」、「LA−3018−50P」、「EXB−9500」、「HPC−9500」、「KA−1160」、「KA−1163」、「KA−1165」、群栄化学社製の「GDP−6115L」、「GDP−6115H」等が挙げられる。
導体層との密着性に優れる絶縁層を得る観点から、活性エステル系硬化剤も好ましい。活性エステル系硬化剤としては、特に制限はないが、一般にフェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N−ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する化合物が好ましく用いられる。当該活性エステル系硬化剤は、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得られるものが好ましい。特に耐熱性向上の観点から、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物とから得られる活性エステル系硬化剤が好ましく、カルボン酸化合物とフェノール化合物及び/又はナフトール化合物とから得られる活性エステル系硬化剤がより好ましい。カルボン酸化合物としては、例えば安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。フェノール化合物又はナフトール化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、カテコール、α−ナフトール、β−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物、フェノールノボラック等が挙げられる。ここで、「ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物」とは、ジシクロペンタジエン1分子にフェノール2分子が縮合して得られるジフェノール化合物をいう。
具体的には、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物が好ましく、中でもナフタレン構造を含む活性エステル化合物、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物がより好ましい。「ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造」とは、フェニレン−ジシクロペンチレン−フェニレンからなる2価の構造単位を表す。
活性エステル系硬化剤の市販品としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物として、「EXB9451」、「EXB9460」、「EXB9460S」、「HPC−8000−65T」、「HPC−8000H−65TM」、「EXB−8000L−65TM」(DIC社製)、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物として「EXB9416−70BK」(DIC社製)、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物として「DC808」(三菱化学社製)、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物として「YLH1026」(三菱化学社製)、フェノールノボラックのアセチル化物である活性エステル系硬化剤として「DC808」(三菱化学社製)、フェノールノボラックのベンゾイル化物である活性エステル系硬化剤として「YLH1026」(三菱化学社製)、「YLH1030」(三菱化学社製)、「YLH1048」(三菱化学社製)等が挙げられる。
ベンゾオキサジン系硬化剤の具体例としては、昭和高分子社製の「HFB2006M」、四国化成工業社製の「P−d」、「F−a」が挙げられる。
シアネートエステル系硬化剤としては、例えば、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート、オリゴ(3−メチレン−1,5−フェニレンシアネート)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルフェニルシアネート)、4,4’−エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2−ビス(4−シアネート)フェニルプロパン、1,1−ビス(4−シアネートフェニルメタン)、ビス(4−シアネート−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,3−ビス(4−シアネートフェニル−1−(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4−シアネートフェニル)チオエーテル、及びビス(4−シアネートフェニル)エーテル等の2官能シアネート樹脂、フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等から誘導される多官能シアネート樹脂、これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。シアネートエステル系硬化剤の具体例としては、ロンザジャパン社製の「PT30」及び「PT60」(いずれもフェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂)、「BA230」、「BA230S75」(ビスフェノールAジシアネートの一部又は全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー)等が挙げられる。
カルボジイミド系硬化剤の具体例としては、日清紡ケミカル社製の「V−03」、「V−07」等が挙げられる。
樹脂組成物が(e)成分を含有する場合、樹脂組成物中の硬化剤の含有量は特に限定されないが、樹脂組成物の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。また、下限は特に制限はないが1質量%以上が好ましい。
<(f)硬化促進剤>
樹脂組成物は、(f)硬化促進剤を含み得る。硬化促進剤としては、例えば、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤、金属系硬化促進剤等が挙げられ、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、金属系硬化促進剤が好ましく、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、金属系硬化促進剤がより好ましい。硬化促進剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
リン系硬化促進剤としては、例えば、トリフェニルホスフィン、ホスホニウムボレート化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、n−ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩、(4−メチルフェニル)トリフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、ブチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート等が挙げられ、トリフェニルホスフィン、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩が好ましい。
アミン系硬化促進剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のトリアルキルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6,−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン等が挙げられ、4−ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセンが好ましい。
イミダゾール系硬化促進剤としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズイミダゾール、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライド、2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン等のイミダゾール化合物及びイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体が挙げられ、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾールが好ましい。
イミダゾール系硬化促進剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、三菱化学社製の「P200−H50」等が挙げられる。
グアニジン系硬化促進剤としては、例えば、ジシアンジアミド、1−メチルグアニジン、1−エチルグアニジン、1−シクロヘキシルグアニジン、1−フェニルグアニジン、1−(o−トリル)グアニジン、ジメチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、ペンタメチルグアニジン、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、1−メチルビグアニド、1−エチルビグアニド、1−n−ブチルビグアニド、1−n−オクタデシルビグアニド、1,1−ジメチルビグアニド、1,1−ジエチルビグアニド、1−シクロヘキシルビグアニド、1−アリルビグアニド、1−フェニルビグアニド、1−(o−トリル)ビグアニド等が挙げられ、ジシアンジアミド、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エンが好ましい。
金属系硬化促進剤としては、例えば、コバルト、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、スズ等の金属の、有機金属錯体又は有機金属塩が挙げられる。有機金属錯体の具体例としては、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト錯体、銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅錯体、亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛錯体、鉄(III)アセチルアセトナート等の有機鉄錯体、ニッケル(II)アセチルアセトナート等の有機ニッケル錯体、マンガン(II)アセチルアセトナート等の有機マンガン錯体等が挙げられる。有機金属塩としては、例えば、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸スズ、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
樹脂組成物が(f)成分を含有する場合、樹脂組成物中の硬化促進剤の含有量は特に限定されないが、樹脂組成物の不揮発成分を100質量%とした場合、0.01質量%〜3質量%が好ましく、0.03質量%〜2質量%がより好ましく、0.05質量%〜1質量%がさらに好ましい。
<(g)難燃剤>
樹脂組成物は、(g)難燃剤を含み得る。難燃剤としては、例えば、有機リン系難燃剤、有機系窒素含有リン化合物、窒素化合物、シリコーン系難燃剤、金属水酸化物等が挙げられる。難燃剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
難燃剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、三光社製の「HCA−HQ」、大八化学工業社製の「PX−200」等が挙げられる。
樹脂組成物が難燃剤を含有する場合、難燃剤の含有量は特に限定されないが、樹脂組成物の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは1質量%〜20質量%、より好ましくは1.5質量%〜15質量%、さらに好ましくは2質量%〜10質量%がさらに好ましい。
<(h)任意の添加剤>
樹脂組成物は、さらに必要に応じて、他の添加剤を含んでいてもよく、斯かる他の添加剤としては、例えば、有機銅化合物、有機亜鉛化合物及び有機コバルト化合物等の有機金属化合物、並びに、バインダー、増粘剤、消泡剤、レベリング剤、密着性付与剤、及び着色剤等の樹脂添加剤等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、プリント配線板及び半導体パッケージの製造に際して、難燃性、銅箔等とのピール強度及びリフロー耐性に優れる絶縁層をもたらすことができる。したがって本発明の樹脂組成物は、半導体チップパッケージの絶縁層を形成するための樹脂組成物(半導体チップパッケージの絶縁層用樹脂組成物)、回路基板(プリント配線板を含む)の絶縁層を形成するための樹脂組成物(回路基板の絶縁層用樹脂組成物)として好適に使用することができ、その上にメッキにより導体層が形成される層間絶縁層を形成するための樹脂組成物(メッキにより導体層を形成する回路基板の層間絶縁層用樹脂組成物)としてさらに好適に使用することができる。
また、半導体チップを封止するための樹脂組成物(半導体チップ封止用樹脂組成物)、半導体チップに配線を形成するための樹脂組成物(半導体チップ配線形成用樹脂組成物)としても好適に使用することができる。
[樹脂シート]
本発明の樹脂シートは、支持体と、該支持体と接合している樹脂組成物層とを含んでなり、樹脂組成物層が本発明の樹脂組成物からなる。
樹脂組成物層の厚さは、薄型化の観点から、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下、さらに好ましくは60μm以下、特に好ましくは50μm以下である。樹脂組成物層の厚さの下限は、特に限定されないが、通常、1μm以上、5μm以上、10μm以上等とし得る。
支持体としては、例えば、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔、離型紙が挙げられ、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔が好ましい。
支持体としてプラスチック材料からなるフィルムを使用する場合、プラスチック材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート(以下「PEN」と略称することがある。)等のポリエステル、ポリカーボネート(以下「PC」と略称することがある。)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルファイド(PES)、ポリエーテルケトン、ポリイミド等が挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、安価なポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
支持体として金属箔を使用する場合、金属箔としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられ、銅箔が好ましい。銅箔としては、銅の単金属からなる箔を用いてもよく、銅と他の金属(例えば、スズ、クロム、銀、マグネシウム、ニッケル、ジルコニウム、ケイ素、チタン等)との合金からなる箔を用いてもよい。
支持体は、樹脂組成物層と接合する面にマット処理、コロナ処理を施してあってもよい。
また、支持体としては、樹脂組成物層と接合する面に離型層を有する離型層付き支持体を使用してもよい。離型層付き支持体の離型層に使用する離型剤としては、例えば、アルキド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、及びシリコーン樹脂からなる群から選択される1種以上の離型剤が挙げられる。離型層付き支持体は、市販品を用いてもよく、例えば、アルキド樹脂系離型剤を主成分とする離型層を有するPETフィルムである、リンテック社製の「SK−1」、「AL−5」、「AL−7」、東レ社製「ルミラーT6AM」等が挙げられる。
支持体の厚みとしては、特に限定されないが、5μm〜75μmの範囲が好ましく、10μm〜60μmの範囲がより好ましい。なお、離型層付き支持体を使用する場合、離型層付き支持体全体の厚さが上記範囲であることが好ましい。
樹脂シートは、例えば、有機溶剤に樹脂組成物を溶解した樹脂ワニスを調製し、この樹脂ワニスを、ダイコーター等を用いて支持体上に塗布し、更に乾燥させて樹脂組成物層を形成させることにより製造することができる。
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)及びシクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びカルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ及びブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド(DMAc)及びN−メチルピロリドン等のアミド系溶媒等を挙げることができる。有機溶剤は1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
乾燥は、加熱、熱風吹きつけ等の公知の方法により実施してよい。乾燥条件は特に限定されないが、樹脂組成物層中の有機溶剤の含有量が10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。樹脂ワニス中の有機溶剤の沸点によっても異なるが、例えば30質量%〜60質量%の有機溶剤を含む樹脂ワニスを用いる場合、50℃〜150℃で3分間〜10分間乾燥させることにより、樹脂組成物層を形成することができる。
樹脂シートにおいて、樹脂組成物層の支持体と接合していない面(即ち、支持体とは反対側の面)には、支持体に準じた保護フィルムをさらに積層することができる。保護フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、1μm〜40μmである。保護フィルムを積層することにより、樹脂組成物層の表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができる。樹脂シートは、ロール状に巻きとって保存することが可能である。樹脂シートが保護フィルムを有する場合、保護フィルムを剥がすことによって使用可能となる。
本発明の樹脂シートの代わりに、シート状繊維基材に本発明の樹脂組成物を含浸させて形成されたプリプレグを用いてもよい。
プリプレグに用いるシート状繊維基材は特に限定されず、ガラスクロス、アラミド不織布、液晶ポリマー不織布等のプリプレグ用基材として常用されているものを用いることができる。薄型化の観点から、シート状繊維基材の厚さは、好ましくは900μm以下であり、より好ましくは800μm以下、さらに好ましくは700μm以下、さらにより好ましくは600μm以下である。特に本発明はめっきもぐり深さを小さく抑えることができるため、30μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましく、10μm以下がさらに好ましい。シート状繊維基材の厚さの下限は特に限定されないが、通常、1μm以上、1.5μm以上、2μm以上等とし得る。
プリプレグは、ホットメルト法、ソルベント法等の公知の方法により製造することができる。
プリプレグの厚さは、上述の樹脂シートにおける樹脂組成物層と同様の範囲とし得る。
本発明の樹脂シートにおける樹脂組成物層(又は樹脂組成物)の最低溶融粘度は、樹脂組成物層が薄くとも厚みを安定して維持するという観点から、500poise以上が好ましく、1000poise以上がより好ましく、1500poise以上がさらに好ましい。最低溶融粘度の上限は、良好な部品埋め込み性を得る観点から、好ましくは10000poise以下、より好ましくは8000poise以下、さらに好ましくは6500poise以下、5000poise以下、又は4000poise以下である。
樹脂組成物層の最低溶融粘度とは、樹脂組成物層の樹脂が溶融した際に樹脂組成物層が呈する最低の粘度をいう。詳細には、一定の昇温速度で樹脂組成物層を加熱して樹脂を溶融させると、初期の段階は溶融粘度が温度上昇とともに低下し、その後、ある程度を超えると温度上昇とともに溶融粘度が上昇する。最低溶融粘度とは、斯かる極小点の溶融粘度をいう。樹脂組成物層の最低溶融粘度は、動的粘弾性法により測定することができ、例えば、後述する<最低溶融粘度の測定>に記載の方法に従って測定することができる。
本発明の樹脂シートにおける樹脂組成物層(又は樹脂組成物)を用いて形成された絶縁層は、導体層とのピール強度(銅箔ピール強度)に優れるという特性を示す。ピール強度としては、好ましくは0.4kgf/cm以上、より好ましくは0.5kgf/cm以上、さらに好ましくは0.6kgf/cm以上である。一方、ピール強度の上限値は特に限定されないが、1.2kgf/cm以下、1kgf/cm以下等とし得る。銅箔ピール強度の評価は、後述する<銅箔との密着強度(銅箔ピール強度)の測定及びリフロー耐性の評価>に記載の方法に従って測定することができる。
本発明の樹脂シートにおける樹脂組成物層(又は樹脂組成物)を用いて形成された絶縁層は、リフロー耐性に優れるという特性を示す。本発明の樹脂シートにおける樹脂組成物層(又は樹脂組成物)を用いて形成された絶縁層を、ピーク温度260℃の半田リフロー温度を再現するリフロー装置に3回以上通しても、全く異常がないことが好ましい。リフロー耐性の評価は、後述する<銅箔との密着強度(銅箔ピール強度)の測定及びリフロー耐性の評価>に記載の方法に従って測定することができる。
本発明の樹脂シートにおける樹脂組成物層(又は樹脂組成物)を用いて形成された絶縁層は、難燃性に優れるという特性を示す。難燃性は、UL耐炎性試験規格(UL−94)にて「V1」、「V0」又はそれより優れることが好ましい。難燃性の評価は、後述する<難燃性の評価>に記載の方法に従って測定することができる。
本発明の樹脂シートは、半導体チップパッケージの製造において絶縁層を形成するため(半導体チップパッケージの絶縁用樹脂シート)に好適に使用することができる。
例えば、本発明の樹脂シートは、回路基板の絶縁層を形成するため(回路基板の絶縁層用樹脂シート)に好適に使用することができ、その上にメッキにより導体層が形成される層間絶縁層を形成するため(メッキにより導体層を形成する回路基板の層間絶縁層用)にさらに好適に使用することができる。このような基板を使ったパッケージの例としては、FC−CSP、MIS−BGAパッケージ、ETS−BGAパッケージが挙げられる。
また本発明の樹脂シートは、半導体チップを封止するため(半導体チップ封止用樹脂シート)、または半導体チップに配線を形成するため(半導体チップ配線形成用樹脂シート)に好適に使用することができ、例えばFan−out型WLP(Wafer Level Package)、Fan−in型WLP、Fan−out型PLP(Panel Level Package)、Fan−in型PLP等に好適に使用することができる。また、半導体チップを基板に接続した後に用いるMUF(Molding Under Filling)材料等にも好適に使用することができる。
本発明の樹脂シートはまた、高い絶縁信頼性が要求される他の広範な用途、例えば、プリント配線板等の回路基板の絶縁層を形成するために好適に使用することができる。
[回路基板]
本発明の回路基板は、本発明の樹脂組成物の硬化物により形成された絶縁層を含む。
本発明の回路基板の製造方法は、図1及び図2に一例を示すように、
(1)基材と、該基材の少なくとも一方の面に設けられた配線層とを有する配線層付き基材を準備する工程、
(2)本発明の樹脂シートを、配線層が樹脂組成物層に埋め込まれるように、配線層付き基材上に積層し、熱硬化させて絶縁層を形成する工程、
(3)配線層を層間接続する工程を含む。また、回路基板の製造方法は、(4)基材を除去する工程、を含んでいてもよい。
工程(3)は、配線層を層間接続することができれば特に限定されないが、絶縁層にビアホールを形成し、導体層を形成する工程、及び絶縁層を研磨又は研削し、配線層を露出させる工程の少なくともいずれかの工程であることが好ましい。
<工程(1)>
工程(1)は、基材と、該基材の少なくとも一方の面に設けられた配線層とを有する配線層付き基材を準備する工程である。図1(A)及び図2(A)に一例を示すように、配線層付き基材10は、基材11の両面に基材11の一部である第1金属層12、第2金属層13をそれぞれ有し、第2金属層13の基材11側の面とは反対側の面に配線層14を有する。詳細は、基材上にドライフィルム(感光性レジストフィルム)を積層し、フォトマスクを用いて所定の条件で露光、現像しパターンドライフィルムを形成する。現像したパターンドライフィルムをめっきマスクとして電解めっき法により配線層を形成した後、パターンドライフィルムを剥離する。なお、図1及び図2では、第1金属層12、第2金属層13を有する態様となっているが、第1金属層12、第2金属層13は有していなくてもよい。
基材としては、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板(ステンレスや冷間圧延鋼板(SPCC)など)、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等の基板が挙げられ、基板表面に銅箔等の金属層が形成されていてもよい。また、図1(A)、図2(A)に示すように、表面に剥離可能な第1金属層12及び第2金属層13(例えば、三井金属社製のキャリア銅箔付極薄銅箔、商品名「Micro Thin」)等の金属層が形成されていてもよい。
ドライフィルムとしては、フォトレジスト組成物からなる感光性のドライフィルムである限り特に限定されず、例えば、ノボラック樹脂、アクリル樹脂等のドライフィルムを用いることができる。ドライフィルムは市販品を用いてもよい。
基材とドライフィルムとの積層条件は、後述する工程(2)の樹脂シートを配線層に埋め込まれるように積層させる際の条件と同様であり、好ましい範囲も同様である。
ドライフィルムを基材上に積層後、ドライフィルムに対して所望のパターンを形成するためにフォトマスクを用いて所定の条件で露光、現像を行う。
配線層のライン(回路幅)/スペース(回路間の幅)比は特に制限されないが、好ましくは20/20μm以下(即ちピッチが40μm以下)、より好ましくは10/10μm以下、さらに好ましくは5/5μm以下、よりさらに好ましくは1/1μm以下、特に好ましくは0.5/0.5μm以上である。ピッチは、配線層の全体にわたって同一である必要はない。配線層の最小ピッチは、40μm以下、36μm以下、又は30μm以下であってもよい。
ドライフィルムのパターンを形成後、配線層を形成し、ドライフィルムを剥離する。ここで、配線層の形成は、所望のパターンを形成したドライフィルムをめっきマスクとして使用し、めっき法により実施することができる。
配線層に使用する導体材料は特に限定されない。好適な実施形態では、配線層は、金、白金、パラジウム、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ及びインジウムからなる群から選択される1種以上の金属を含む。配線層は、単金属層であっても合金層であってもよく、合金層としては、例えば、上記の群から選択される2種以上の金属の合金(例えば、ニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金及び銅・チタン合金)から形成されたものが挙げられる。中でも、配線層形成の汎用性、コスト、パターニングの容易性等の観点から、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金、銅・チタン合金の合金層が好ましく、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層がより好ましく、銅の単金属層が更に好ましい。
配線層の厚みは、所望の配線板のデザインによるが、好ましくは3μm〜35μm、より好ましくは5μm〜30μm、さらに好ましくは10〜20μm、又は15μmである。工程(3)において絶縁層を研磨又は研削し、配線層を露出させて配線層を層間接続する工程を採用する場合は、層間接続する配線と、接続しない配線の厚みは異なっていることが好ましい。配線層の厚みは、前述のパターン形成を繰り返すことで調整することができる。各配線層のうち、最も厚みがある配線層(導電性ピラー)の厚みは、所望の配線板のデザインによるが、好ましくは100μm以下2μm以上である。また層間接続する配線は凸型となっていてもよい。
配線層を形成後、ドライフィルムを剥離する。ドライフィルムの剥離は、例えば、水酸化ナトリウム溶液等のアルカリ性の剥離液を使用して実施することができる。必要に応じて、不要な配線パターンをエッチング等により除去して、所望の配線パターンを形成することもできる。形成する配線層のピッチについては、先述のとおりである。
<工程(2)>
工程(2)は、本発明の樹脂シートを、配線層が樹脂組成物層に埋め込まれるように、配線層付き基材上に積層し、熱硬化させて絶縁層を形成する工程である。図1(B)に一例を示すように、前述の工程(1)で得られた配線層付き基材の配線層14が、樹脂シート20の樹脂組成物層21に埋め込まれるように積層させ、樹脂シート20の樹脂組成物層21を熱硬化させ絶縁層(図1(C)又は図2(B)の符号21’)を形成する。樹脂シート20は、樹脂組成物層21と、支持体22との順で積層されてなる。
配線層と樹脂シートの積層は、樹脂シートの保護フィルムを除去後、例えば、支持体側から樹脂シートを配線層に加熱圧着することにより行うことができる。樹脂シートを配線層に加熱圧着する部材(以下、「加熱圧着部材」ともいう。)としては、例えば、加熱された金属板(SUS鏡板等)又は金属ロール(SUSロール)等が挙げられる。なお、加熱圧着部材を樹脂シートに直接プレスするのではなく、配線層の表面凹凸に樹脂シートが十分に追随するよう、耐熱ゴム等の弾性材を介してプレスするのが好ましい。
配線層と樹脂シートの積層は、樹脂シートの保護フィルムを除去後、真空ラミネート法により実施してよい。真空ラミネート法において、加熱圧着温度は、好ましくは60℃〜160℃、より好ましくは80℃〜140℃の範囲であり、加熱圧着圧力は、好ましくは0.098MPa〜1.77MPa、より好ましくは0.29MPa〜1.47MPaの範囲であり、加熱圧着時間は、好ましくは20秒間〜400秒間、より好ましくは30秒間〜300秒間の範囲である。積層は、好ましくは圧力13hPa以下の減圧条件下で実施する。
積層の後に、常圧下(大気圧下)、例えば、加熱圧着部材を支持体側からプレスすることにより、積層された樹脂シートの平滑化処理を行ってもよい。平滑化処理のプレス条件は、上記積層の加熱圧着条件と同様の条件とすることができる。なお、積層と平滑化処理は、上記の市販の真空ラミネーターを用いて連続的に行ってもよい。
樹脂組成物層を、配線層が埋め込まれるように配線層付き基材上に積層した後、樹脂組成物層を熱硬化して絶縁層を形成する。例えば、樹脂組成物層の熱硬化条件は、樹脂組成物の種類等によっても異なるが、硬化温度は120℃〜240℃の範囲、硬化時間は5分間〜120分間の範囲とすることができる。樹脂組成物層を熱硬化させる前に、樹脂組成物層を硬化温度よりも低い温度にて予備加熱してもよい。
樹脂シートの支持体は、配線層付き基材上に樹脂シートを積層し熱硬化した後に剥離してもよく、図2(B)に一例を示すように、配線層付き基材上に樹脂シートを積層する前に支持体を剥離してもよい。また、後述する粗化処理工程の前に、支持体を剥離してもよい。
<工程(3)>
工程(3)は、配線層を層間接続する工程である。詳細は、絶縁層にビアホールを形成し、導体層を形成して配線層を層間接続する工程である(図1(C)、(D)参照)。または絶縁層を研磨又は研削し、配線層を露出させて配線層を層間接続する工程である(図2(C)参照)。
絶縁層にビアホールを形成し、導体層を形成して配線層を層間接続する工程を採用する場合、ビアホールの形成は特に限定されないが、レーザー照射、エッチング、メカニカルドリリング等が挙げられるが、レーザー照射によって行われることが好ましい。このレーザー照射は、光源として炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー等を用いる任意好適なレーザー加工機を用いて行うことができる。詳細は、図1(C)に一例を示すように、工程(3)は、支持体22の面側からレーザー照射を行って、支持体22、絶縁層21’を貫通して配線層14を露出させるビアホール31を形成する。
レーザー照射の条件は特に限定されず、レーザー照射は選択された手段に応じた常法に従う任意好適な工程により実施することができる。
ビアホールの形状、すなわち延在方向でみたときの開口の輪郭の形状は特に限定されないが、一般的には円形(略円形)とされる。
ビアホール形成後、ビアホール内のスミア除去工程である、いわゆるデスミア工程を行なってもよい。後述する導体層の形成をめっき工程により行う場合には、ビアホールに対して、例えば湿式のデスミア処理を行ってもよく、導体層の形成をスパッタ工程により行う場合には、例えばプラズマ処理工程などのドライデスミア工程を行ってもよい。また、デスミア工程は粗化処理工程を兼ねていてもよい。
導体層を形成する前に、ビアホール及び絶縁層に対して粗化処理を行ってもよい。粗化処理は通常行われる公知の手順、条件を採用することができる。乾式の粗化処理の例としてはプラズマ処理等が挙げられ、湿式の粗化処理の例としては膨潤液による膨潤処理、酸化剤による粗化処理及び中和液による中和処理をこの順に行う方法が挙げられる。
ビアホールを形成後、図1(D)に一例を示すように、導体層40を形成する。導体層を構成する導体材料は特に限定されず、導体層は、めっき、スパッタ、蒸着等従来公知の任意好適な方法により形成することができ、めっきにより形成することが好ましい。好適な一実施形態は、例えば、セミアディティブ法、フルアディティブ法等の従来公知の技術により絶縁層の表面にめっきして、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。また、樹脂シートにおける支持体が金属箔である場合、サブトラクティブ法等の従来公知の技術により、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。導体層は、単層構造であっても、異なる種類の金属若しくは合金からなる単金属層又は合金層が2層以上積層した複層構造であってもよい。
詳細は、絶縁層の表面に、無電解めっきによりめっきシード層41を形成する。次いで、形成されためっきシード層上に、所望の配線パターンに対応してめっきシード層の一部を露出させるマスクパターンを形成する。露出しためっきシード層上に、電解めっきにより電解めっき層42を形成する。その際、電解めっき層42の形成とともに、ビアホール31を電解めっきにより埋め込んでフィルドビア61を形成してもよい。電解めっき層42を形成した後、マスクパターンを除去する。その後、不要なめっきシード層をエッチング等により除去して、所望の配線パターンを有する導体層40を形成することができる。なお、導体層を形成する際、マスクパターンの形成に用いるドライフィルムは、上記ドライフィルムと同様である。
導体層は、線状の配線のみならず、例えば外部端子が搭載され得る電極パッド(ランド)なども含み得る。また導体層は、電極パッドのみから構成されていてもよい。
また、導体層は、めっきシード層形成後、マスクパターンを用いずに電解めっき層及びフィルドビアを形成し、その後、エッチングによるパターニングを行うことにより形成してもよい。
絶縁層を研磨又は研削し、配線層を露出させて配線層を層間接続する工程を採用する場合、絶縁層の研磨方法又は研削方法としては、配線層を露出させることができ、研磨又は研削面が水平であれば特に限定されず、従来公知の研磨方法又は研削方法を適用することができ、例えば、化学機械研磨装置による化学機械研磨方法、バフ等の機械研磨方法、砥石回転による平面研削方法等が挙げられる。絶縁層にビアホールを形成し、導体層を形成して配線層を層間接続する工程と同様に、スミア除去工程、粗化処理を行う工程を行ってもよく、導体層を形成してもよい。また、図2(C)に一例を示すように、全ての配線層14を露出させる必要はなく、配線層14の一部を露出させてもよい。
<工程(4)>
回路基板の製造方法は、工程(1)〜(3)以外に工程(4)を含んでいてもよい。工程(4)は、図1(E)、図2(D)に一例を示すように基材を除去し、本発明の回路基板1を形成する工程である。基材の除去方法は特に限定されない。好適な一実施形態は、第1及び第2金属層の界面で回路基板から基材を剥離し、第2金属層を例えば塩化銅水溶液などでエッチング除去する。必要に応じて、導体層を保護フィルムで保護した状態で基材を剥離してもよい。
[半導体チップパッケージ]
本発明の半導体チップパッケージの第1の態様は、上記本発明の回路基板上に、半導体チップが搭載された、半導体チップパッケージである。上記本発明の回路基板に、半導体チップを接合することにより半導体チップパッケージを製造することができる。
半導体チップの端子電極が回路基板の回路配線と導体接続する限り、接合条件は特に限定されず、半導体チップのフリップチップ実装において使用される公知の条件を使用してよい。また、半導体チップと回路基板間に絶縁性の接着剤を介して接合してもよい。
好適な一実施形態は、半導体チップを回路基板に圧着する。圧着条件としては、例えば、圧着温度は120℃〜240℃の範囲(好ましくは130℃〜200℃の範囲、より好ましくは140℃〜180℃の範囲)、圧着時間は1秒間〜60秒間の範囲(好ましくは5秒間〜30秒間)とすることができる。
また、他の好適な一実施形態は、半導体チップを回路基板にリフローして接合する。リフロー条件としては、例えば、120℃〜300℃の範囲とすることができる。
半導体チップを回路基板に接合した後、例えば、半導体チップをモールドアンダーフィル材で充填することで半導体チップパッケージを得ることも可能である。モールドアンダーフィル材で充填する方法は公知の方法で実施することができる。本発明の樹脂組成物または樹脂シートはモールドアンダーフィル材としても使用することができる。
本発明の半導体チップパッケージの第2の態様は、例えば、図3に一例を示すような半導体チップパッケージ(Fan−out型WLP)100は、封止層120を、本発明の樹脂組成物または樹脂シートで製造した半導体チップパッケージである。半導体チップパッケージ100は、半導体チップ110、半導体チップ110の周囲を覆うように形成された封止層120、半導体チップ110の封止層に覆われている側とは反対側の面に再配線形成層(絶縁層)130、導体層(再配線層)140、ソルダーレジスト層150、及びバンプ160を備える。このような半導体チップパッケージの製造方法は、
(A)基材に仮固定フィルムを積層する工程、
(B)半導体チップを、仮固定フィルム上に仮固定する工程、
(C)本発明の樹脂シートの樹脂組成物層を、半導体チップ上に積層、又は本発明の樹脂組成物を半導体チップ上に塗布し、熱硬化させて封止層を形成する工程、
(D)基材及び仮固定フィルムを半導体チップから剥離する工程、
(E)半導体チップの基材及び仮固定フィルムを剥離した面に再配線形成層(絶縁層)を形成する工程、
(F)再配線形成層(絶縁層)上に導体層(再配線層)を形成する工程、及び
(G)導体層上にソルダーレジスト層を形成する工程、を含む。また、半導体チップパッケージの製造方法は、(H)複数の半導体チップパッケージを個々の半導体チップパッケージにダイシングし、個片化する工程を含み得る。
<工程(A)>
工程(A)は、基材に仮固定フィルムを積層する工程である。基材と仮固定フィルムの積層条件は、回路基板の製造方法における工程(2)における配線層と樹脂シートとの積層条件と同様であり、好ましい範囲も同様である。
基材に使用する材料は特に限定されない。基材としては、シリコンウェハー;ガラスウェハー;ガラス基板;銅、チタン、ステンレス、冷間圧延鋼板(SPCC)等の金属基板;ガラス繊維にエポキシ樹脂等をしみこませ熱硬化処理した基板(例えばFR−4基板);ビスマレイミドトリアジン樹脂(BT樹脂)からなる基板などが挙げられる。
仮固定フィルムは、後述する工程(D)において半導体チップから剥離することができるとともに、半導体チップを仮固定することができれば材料は特に限定されない。仮固定フィルムは市販品を用いることができる。市販品としては、日東電工社製のリヴァアルファ等が挙げられる。
<工程(B)>
工程(B)は、半導体チップを、仮固定フィルム上に仮固定する工程である。半導体チップの仮固定は、フリップチップボンダー、ダイボンダー等の公知の装置を用いて行うことができる。半導体チップの配置のレイアウト及び配置数は、仮固定フィルムの形状、大きさ、目的とする半導体パッケージの生産数等に応じて適宜設定することができ、例えば、複数行で、かつ複数列のマトリックス状に整列させて仮固定することができる。
<工程(C)>
工程(C)は、発明の樹脂シートの樹脂組成物層を、半導体チップ上に積層、又は本発明の樹脂組成物を半導体チップ上に塗布し、熱硬化させて封止層を形成する工程である。工程(C)では、本発明の樹脂シートの樹脂組成物層を、半導体チップ上に積層し、熱硬化させて封止層を形成することが好ましい。
半導体チップと樹脂シートの積層は、樹脂シートの保護フィルムを除去後、例えば、支持体側から樹脂シートを半導体チップに加熱圧着することにより行うことができる。樹脂シートを半導体チップに加熱圧着する部材(以下、「加熱圧着部材」ともいう。)としては、例えば、加熱された金属板(SUS鏡板等)又は金属ロール(SUSロール)等が挙げられる。なお、加熱圧着部材を樹脂シートに直接プレスするのではなく、半導体チップの表面凹凸に樹脂シートが十分に追随するよう、耐熱ゴム等の弾性材を介してプレスするのが好ましい。
また、半導体チップと樹脂シートの積層は、樹脂シートの保護フィルムを除去後、真空ラミネート法により実施してもよい。真空ラミネート法における積層条件は、回路基板の製造方法における工程(2)における配線層と樹脂シートとの積層条件と同様であり、好ましい範囲も同様である。
樹脂シートの支持体は、半導体チップ上に樹脂シートを積層し熱硬化した後に剥離してもよく、半導体チップ上に樹脂シートを積層する前に支持体を剥離してもよい。
樹脂組成物の塗布条件としては、本発明の樹脂シートにおける樹脂組成物層を形成する際の塗布条件と同様であり、好ましい範囲も同様である。
<工程(D)>
工程(D)は、基材及び仮固定フィルムを半導体チップから剥離する工程である。剥離する方法は、仮固定フィルムの材質等に応じて適宜変更することができ、例えば、仮固定フィルムを加熱、発泡(又は膨張)させて剥離する方法、及び基材側から紫外線を照射させ、仮固定フィルムの粘着力を低下させ剥離する方法等が挙げられる。
仮固定フィルムを加熱、発泡(又は膨張)させて剥離する方法において、加熱条件は、通常、100℃〜250℃で1秒間〜90秒間又は5分間〜15分間である。また、基材側から紫外線を照射させ、仮固定フィルムの粘着力を低下させ剥離する方法において、紫外線の照射量は、通常、10mJ/cm〜1000mJ/cmである。
<工程(E)>
工程(E)は、半導体チップの基材及び仮固定フィルムを剥離した面に再配線形成層(絶縁層)を形成する工程である。
再配線形成層(絶縁層)を形成する材料は、再配線形成層(絶縁層)形成時に絶縁性を有していれば特に限定されず、半導体チップパッケージの製造のしやすさの観点から、感光性樹脂、熱硬化性樹脂が好ましい。熱硬化性樹脂としては、本発明の樹脂シートを形成するための樹脂組成物と同じ組成の樹脂組成物を用いてもよい。
再配線形成層(絶縁層)を形成後、半導体チップと後述する導体層を層間接続するために、再配線形成層(絶縁層)にビアホールを形成してもよい。
ビアホールを形成するにあたって、再配線形成層(絶縁層)を形成する材料が感光性樹脂である場合、まず、再配線形成層(絶縁層)の表面にマスクパターンを通して活性エネルギー線を照射し、照射部の最配線層を光硬化させる。
活性エネルギー線としては、例えば、紫外線、可視光線、電子線、X線等が挙げられ、特に紫外線が好ましい。紫外線の照射量、照射時間は、感光性樹脂に応じて適宜変更することができる。露光方法としては、マスクパターンを再配線形成層(絶縁層)に密着させて露光する接触露光法と、マスクパターンを再配線形成層(絶縁層)に密着させずに平行光線を使用して露光する非接触露光法のいずれを用いてもよい。
次に、再配線形成層(絶縁層)を現像し、未露光部を除去することで、ビアホールを形成する。現像は、ウェット現像、ドライ現像のいずれも好適である。ウェット現像で用いる現像液は公知の現像液を用いることができる。
現像の方式としては、例えば、ディップ方式、パドル方式、スプレー方式、ブラッシング方式、スクラッピング方式等が挙げられ、解像性の観点から、パドル方式が好適である。
再配線形成層(絶縁層)を形成する材料が熱硬化性樹脂である場合、ビアホールの形成は特に限定されないが、レーザー照射、エッチング、メカニカルドリリング等が挙げられるが、レーザー照射によって行われることが好ましい。レーザー照射は、光源として炭酸ガスレーザー、UV−YAGレーザー、エキシマレーザー等を用いる任意好適なレーザー加工機を用いて行うことができる。
レーザー照射の条件は特に限定されず、レーザー照射は選択された手段に応じた常法に従う任意好適な工程により実施することができる。
ビアホールの形状、すなわち延在方向でみたときの開口の輪郭の形状は特に限定されないが、一般的には円形(略円形)とされる。ビアホールのトップ径(再配線形成層(絶縁層)表面の開口の直径)は、好ましくは50μm以下、より好ましくは30μm以下、さらに好ましくは20μm以下である。下限は特に限定されないが、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上、さらに好ましくは20μm以上である。
<工程(F)>
工程(F)は、再配線形成層(絶縁層)上に導体層(再配線層)を形成する工程である。再配線形成層(絶縁層)上に導体層を形成する方法は、回路基板の製造方法における工程(3)の絶縁層にビアホールを形成した後の導体層を形成する方法と同様であり、好ましい範囲も同様である。なお、工程(E)及び工程(F)を繰り返し行い、導体層(再配線層)及び再配線形成層(絶縁層)を交互に積み上げて(ビルドアップ)もよい。
<工程(G)>
工程(G)は、導体層上にソルダーレジスト層を形成する工程である。
ソルダーレジスト層を形成する材料は、ソルダーレジスト層形成時に絶縁性を有していれば特に限定されず、半導体チップパッケージの製造のしやすさの観点から、感光性樹脂、熱硬化性樹脂が好ましい。熱硬化性樹脂としては、本発明の樹脂シートを形成するための樹脂組成物と同じ組成の樹脂組成物を用いてもよい。
また、工程(G)では、必要に応じて、バンプを形成するバンピング加工を行ってもよい。バンピング加工は、半田ボール、半田めっきなど公知の方法で行うことができる。また、バンピング加工におけるビアホールの形成は工程(E)と同様に行うことができる。
<工程(H)>
半導体チップパッケージの製造方法は、工程(A)〜(G)以外に工程(H)を含んでいてもよい。工程(H)は、複数の半導体チップパッケージを個々の半導体チップパッケージにダイシングし、個片化する工程である。
半導体チップパッケージを個々の半導体チップパッケージにダイシングする方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
本発明の半導体チップパッケージの第3の態様は、例えば、図3に一例を示すような半導体チップパッケージ(Fan−out型WLP)における再配線形成層(絶縁層)130、ソルダーレジスト層150を本発明の樹脂組成物または樹脂シートで製造した半導体チップパッケージである。
[半導体装置]
本発明の半導体チップパッケージを実装することとなる半導体装置としては、電気製品(例えば、コンピューター、携帯電話、スマートフォン、タブレット型デバイス、ウェラブルデバイス、デジタルカメラ、医療機器、及びテレビ等)及び乗物(例えば、自動二輪車、自動車、電車、船舶及び航空機等)等に供される各種半導体装置が挙げられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の記載において、「部」及び「%」は、別途明示のない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。
<銅箔との密着強度(銅箔ピール強度)の測定及びリフロー耐性の評価>
(1)積層板の下地処理
ガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板の銅箔をエッチアウトした基板(パナソニック社製「R1515A」、基板厚み0.2mm)を190℃の温度条件で、190℃のオーブンに投入後30分間、加熱乾燥した。
(2)樹脂シートのラミネート
実施例及び比較例で作製した樹脂シートから保護フィルムを剥離して露出した樹脂組成物層を、バッチ式真空加圧ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ社製、2ステージビルドアップラミネーター「CVP700」)を用いて、樹脂組成物層が基板と接合するように、基板両面に積層した。積層は、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とした後、110℃、圧力0.74MPaにて30秒間圧着させることにより実施した。
(3)銅箔のラミネート
樹脂シートの積層後、支持体である離型PETフィルムを剥離し、超低粗度電解銅箔(三井金属鉱業社製「TQ−M4−VSP」、厚さ12μm)のラミネート面を樹脂組成物層上に配置し、バッチ式真空加圧ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ社製、2ステージビルドアップラミネーター「CVP700」)を用いて、銅箔と樹脂組成物層が接合するように、基板両面に積層した。積層は、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とした後、110℃、圧力0.74MPaにて30秒間圧着させることにより実施した。次いで、積層された樹脂組成物層を、大気圧下、100℃、圧力0.5MPaにて60秒間熱プレスして平滑化した。
(4)樹脂組成物層の熱硬化
超低粗度電解銅箔の積層後、100℃の温度条件で、100℃のオーブンに投入後30分間、次いで190℃の温度条件で、190℃のオーブンに移し替えた後90分間、熱硬化して絶縁層を形成し、基板を作製した。
(5)銅箔(導体層)との密着強度(銅箔ピール強度)の測定
上記(4)で作製した基板を150mm×30mmの小片に切断した。小片の銅箔部分に、幅10mm、長さ100mmの部分の切込みをいれ、銅箔の一端を剥がしてつかみ具(ティー・エス・イー社製、オートコム型試験機 AC−50C−SL)で掴み、インストロン万能試験機を用いて、室温中にて、50mm/分の速度で垂直方向に35mmを引き剥がした時の荷重を測定し、銅箔ピール強度とした。測定は3つの小片で行い、その平均値を示した。
(6)リフロー耐性の評価
上記(4)で作製した基板を100mm×50mmの小片に切断した。その後、ピーク温度260℃の半田リフロー温度を再現するリフロー装置(日本アントム社製「HAS−6116」)に3回通した(リフロー温度プロファイルはIPC/JEDEC J−STD−020Cに準拠)。評価は3つの小片で行い、目視観察により銅箔の一部にでも剥離等異常があるものを×、全ての小片で全く異常のないもの○と評価した。
<難燃性の評価>
(1)積層板の下地処理
ガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板の銅箔をエッチアウトした基板(パナソニック社製「R1515A」、基板厚み0.2mm)を190℃の温度条件で、190℃のオーブンに投入後30分間、加熱乾燥した。
(2)樹脂シートのラミネート
実施例及び比較例で作製した樹脂シートから保護フィルムを剥離して露出した樹脂組成物層を、バッチ式真空加圧ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ社製、2ステージビルドアップラミネーター「CVP700」)を用いて、樹脂組成物層が基板と接合するように、基板両面に積層した。積層は、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とした後、110℃、圧力0.74MPaにて30秒間圧着させることにより実施した。次いで、積層された樹脂シートを、大気圧下、100℃、圧力0.5MPaにて60秒間熱プレスして平滑化した。
(3)樹脂組成物層の熱硬化
樹脂シートの積層後、支持体である離型PETフィルムを剥離し、100℃の温度条件で、100℃のオーブンに投入後30分間、次いで190℃の温度条件で、190℃のオーブンに移し替えた後90分間、熱硬化して絶縁層を形成し、基板を作製した。
(4)難燃性の評価
上記(3)で作製した基板を使用して、UL難燃性の試験用に12.7mm×127mmのサイズに切断し、端面をサンドペーパー(#1200その後、#2800)にて研磨し、基材厚み0.2mm、片側に絶縁層40μmが積層された燃焼性試験用テストピースを作製した。その後、UL耐炎性試験規格(UL−94)に従って、V0、V1の評価を行った。なお、10秒間接炎後の燃え残りサンプルがない場合は「×」と示した。
<樹脂組成物層の最低溶融粘度の測定>
実施例及び比較例で作製した樹脂シートの離型PETフィルム(支持体)から樹脂組成物層のみを剥離し、金型で圧縮することにより測定用ペレット(直径18mm、1.2〜1.3g)を作製した。その後、動的粘弾性測定装置(ユー・ビー・エム社製「Rheosol−G3000」)を用い、試料樹脂組成物層1gについて、直径18mmのパラレルプレートを使用して、開始温度60℃から200℃まで昇温速度5℃/分にて昇温し、測定温度間隔2.5℃、振動数1Hz、ひずみ1degの測定条件にて動的粘弾性率を測定し、最低溶融粘度(poise)を算出した。
<フィルムの製膜性の評価>
支持体として、アルキド樹脂系離型剤(リンテック社製「AL−5」)で離型処理したPETフィルム(東レ社製「ルミラーR80」、厚み38μm、軟化点130℃、「離型PET」)を用意した。その離型面上に、作製した樹脂ワニスを乾燥後の樹脂組成物層の厚みが40μmとなるように塗布し、80〜120℃(平均100℃)で5分間乾燥させた後、樹脂組成物層が均一に製膜できているかを目視にて観察し、樹脂組成物層が均一に製膜できているものを「○」、樹脂組成物層が均一に製膜できていないものを「×」とした。
<合成例1>
(ブタジエン構造及びビフェニレン型フェノール構造を有する樹脂の合成)
反応容器に2官能性ヒドロキシ基末端ポリブタジエン(日本曹達社製G−3000、数平均分子量=3000、ヒドロキシ基当量=1800g/eq.)70gと、ジエチレングリコールジメチルエーテル(東京化成工業社製)40g、ジブチル錫ラウレート0.005gを混合し均一に溶解させた。均一になったところで50℃に昇温し、更に撹拌しながら、イソホロンジイソシアネート(エボニックデグサジャパン社製IPDI、イソシアネート基当量=113g/eq.)8gを添加し約3時間反応を行った。次いで、この反応物を室温まで冷却してから、これにビフェニレン型フェノール樹脂(明和化成社製MEH−7851SS、水酸基当量=203g/eq.)22gと、ジエチレングリコールジメチルエーテル(東京化成工業社製)60gを添加し、攪拌しながら80℃まで昇温し、約4時間反応を行った。FT−IRより2250cm−1のNCOピークの消失の確認を行った。NCOピーク消失の確認をもって反応の終点とみなし、反応物を室温まで降温してから100メッシュの濾布で濾過して、ブタジエン構造及びビフェニレン型フェノール構造を有する樹脂(以下、「樹脂1」ということがある)(不揮発分50質量%)を得た。樹脂1の数平均分子量は5200であった。
<合成例2>
(ブタジエン構造及びビフェニレン型フェノール構造を有する樹脂の合成)
反応容器に2官能性ヒドロキシ基末端ポリブタジエン(日本曹達社製G−2000、数平均分子量=2000、ヒドロキシ基当量=1200g/eq.)59gと、ジエチレングリコールジメチルエーテル(東京化成工業社製)40g、ジブチル錫ラウレート0.005gを混合し均一に溶解させた。均一になったところで50℃に昇温し、更に撹拌しながら、イソホロンジイソシアネート(エボニックデグサジャパン社製IPDI、イソシアネート基当量=113g/eq.)12gを添加し約3時間反応を行った。次いで、この反応物を室温まで冷却してから、これにビフェニレン型フェノール樹脂(明和化成社製、MEH−7851M、水酸基当量=210g/eq.)29gと、ジエチレングリコールジメチルエーテル(東京化成工業社製)60gを添加し、攪拌しながら80℃まで昇温し、約4時間反応を行った。FT−IRより2250cm−1のNCOピークの消失の確認を行った。NCOピーク消失の確認をもって反応の終点とみなし、反応物を室温まで降温してから100メッシュの濾布で濾過して、ブタジエン構造及びビフェニレン型フェノール構造を有する樹脂(以下、「樹脂2」ということがある)(不揮発分50質量%)を得た。樹脂2の数平均分子量は4100であった。
<合成例3>
(水添ブタジエン構造及びナフトールアラルキル構造を有する樹脂の合成)
反応容器に2官能性ヒドロキシ基末端水添ポリブタジエン(日本曹達社製、GI−1000、数平均分子量=1500、ヒドロキシ基当量=830g/eq.)47gと、ジエチレングリコールジメチルエーテル(東京化成工業社製)40g、ジブチル錫ラウレート0.005gを混合し均一に溶解させた。均一になったところで50℃に昇温し、更に撹拌しながら、イソホロンジイソシアネート(エボニックデグサジャパン社製IPDI、イソシアネート基当量=113g/eq.)15gを添加し約3時間反応を行った。次いで、この反応物を室温まで冷却してから、これにナフトールアラルキル樹脂(新日鉄住金化学社製SN−485、水酸基当量=215g/eq.)38gと、ジエチレングリコールジメチルエーテル(東京化成工業社製)60gを添加し、攪拌しながら80℃まで昇温し、約4時間反応を行った。FT−IRより2250cm−1のNCOピークの消失の確認を行った。NCOピーク消失の確認をもって反応の終点とみなし、反応物を室温まで降温してから100メッシュの濾布で濾過して、ブタジエン構造及びナフトールアラルキル構造を有する樹脂(以下、「樹脂3」ということがある)(不揮発分50質量%)を得た。樹脂3の数平均分子量は3100であった。
<合成例4>
(ビキシレノール構造及びビスフェノールAF構造を有するフェノキシ樹脂の合成)
反応容器に、ビキシレノール型エポキシ樹脂(三菱化学社製YX4000、エポキシ当量185)190g、ビスフェノールAF(東京化成工業社製、分子量336)168g、シクロヘキサノン200gを入れ、攪拌して溶解させた。次いで、テトラメチルアンモニウムクロライド溶液0.5gを滴下し、窒素雰囲気下、180℃5時間にて反応させた。反応終了後、濾布を用いて濾過して、溶剤により希釈することでフェノキシ樹脂(固形分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)を得た(以下、ビキシレノール構造及びビスフェノールフルオレン構造を有するフェノキシ樹脂を「樹脂A」ということがある)。樹脂Aのエポキシ当量は11200、重量平均分子量は33000であった。なお、樹脂Aは、以下の構造単位を有していた。
Figure 2018002886
<実施例1>
ビスフェノールAF型エポキシ樹脂(三菱化学社製「YL7760」、エポキシ当量238)5部、フェノキシ樹脂(三菱化学社製「YX7553BH30」、固形分30質量%のシクロヘキサノン:MEKの1:1溶液)10部、シクロヘキサノン1.5部、メチルエチルケトン(MEK)1.5部、を撹拌しながら加熱溶解させた。加熱溶解させたものを室温まで冷却し、そこへ、樹脂1を10部、硬化促進剤(四国化成工業社製「1B2PZ−10M」、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、固形分10質量%のMEK溶液)0.5部、及び難燃剤(三光社製「HCA−HQ−HST」、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10−ヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オキサイド、平均粒径1.5μm)2部、及びアミノシラン系カップリング剤(信越化学工業社製「KBM573」)で表面処理された球状シリカ(アドマテックス社製「SO−C2」、平均粒径0.5μm、単位表面積当たりのカーボン量0.38mg/m)15部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、カートリッジフィルター(ROKITECHNO社製「SHP050」)で濾過して、樹脂ワニス1を作製した。
支持体として、アルキド樹脂系離型剤(リンテック社製「AL−5」)で離型処理したPETフィルム(東レ社製「ルミラーR80」、厚み38μm、軟化点130℃、「離型PET」)を用意した。その離型面上に、樹脂ワニス1を乾燥後の樹脂組成物層の厚みが40μmとなるように樹脂ワニス1を均一に塗布し、80〜120℃(平均100℃)で5分間乾燥させた後、保護フィルムとしてポリプロピレンフィルム(王子エフテックス社製「アルファンMA−411」、厚み15μm)の粗面を樹脂組成物層と接合するように貼り合わせ、樹脂シート1を作製した。
<実施例2>
ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬社製「NC3000L」、エポキシ当量272)3部、シクロヘキサノン2.5部、MEK2.5部、を撹拌しながら加熱溶解させた。加熱溶解させたものを室温まで冷却し、そこへ、樹脂1を15部、硬化促進剤(四国化成工業社製、「1B2PZ−10M」、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、固形分10質量%のMEK溶液)0.5部、及び、アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業社製「KBM573」)で表面処理された球状シリカ(アドマテックス社製「SO−C4」、平均粒径1μm、単位表面積当たりのカーボン量0.31mg/m)35部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、カートリッジフィルター(ROKITECHNO社製「SHP050」)で濾過して、樹脂ワニス2を作製した。
樹脂シート1の作製において、樹脂ワニス1を樹脂ワニス2に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして樹脂シート2を作製した。
<実施例3>
ビスフェノールAF型エポキシ樹脂(三菱化学社製「YL7760」、エポキシ当量238)4部、ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬社製「NC3100」、エポキシ当量258)1部、樹脂Aを12部、シクロヘキサノン1部、メチルエチルケトン(MEK)1部、を撹拌しながら加熱溶解させた。加熱溶解させたものを室温まで冷却し、そこへ、樹脂2を20部、硬化促進剤(四国化成工業社製、「1B2PZ−10M」、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、固形分10質量%のMEK溶液)0.5部、及びアミノシラン系カップリング剤(信越化学工業社製「KBM573」)で表面処理された球状シリカ(アドマテックス社製「SO−C2」、平均粒径0.5μm、単位表面積当たりのカーボン量0.38mg/m)10部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、カートリッジフィルター(ROKITECHNO社製「SHP050」)で濾過して、樹脂ワニス3を作製した。
樹脂シート1の作製において、樹脂ワニス1を樹脂ワニス3に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして樹脂シート3を作製した。
<実施例4>
ビスフェノールAF型エポキシ樹脂(三菱化学社製「YL7760」、エポキシ当量238)2部、ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬社製「NC3000L」、エポキシ当量272)2部、樹脂Aを12部、シクロヘキサノン1.5部、メチルエチルケトン(MEK)1.5部、を撹拌しながら加熱溶解させた。加熱溶解させたものを室温まで冷却し、そこへ、樹脂3を10部、硬化促進剤(四国化成工業社製、「1B2PZ−10M」、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、固形分10質量%のMEK溶液)0.5部、及び難燃剤(三光社製「HCA−HQ−HST」、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10−ヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オキサイド、平均粒径1.5μm)1部、及びアミノシラン系カップリング剤(信越化学工業社製「KBM573」)で表面処理された球状シリカ(アドマテックス社製「SO−C2」、平均粒径0.5μm、単位表面積当たりのカーボン量0.38mg/m)20部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、カートリッジフィルター(ROKITECHNO社製「SHP050」)で濾過して、樹脂ワニス4を作製した。
樹脂シート1の作製において、樹脂ワニス1を樹脂ワニス4に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして樹脂シート4を作製した。
<実施例5>
キシレン構造含有エポキシ樹脂(三菱化学社製「YX7700」、エポキシ当量270)3部、シクロヘキサノン2.5部、MEK2.5部、を撹拌しながら加熱溶解させた。加熱溶解させたものを室温まで冷却し、そこへ、樹脂1を15部、硬化促進剤(四国化成工業社製、「1B2PZ−10M」、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、固形分10質量%のMEK溶液)0.5部、及び、アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業社製「KBM573」)で表面処理された球状シリカ(アドマテックス社製「SO−C4」、平均粒径1μm、単位表面積当たりのカーボン量0.31mg/m)35部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、カートリッジフィルター(ROKITECHNO社製「SHP050」)で濾過して、樹脂ワニス5を作製した。
樹脂シート1の作製において、樹脂ワニス1を樹脂ワニス5に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして樹脂シート5を作製した。
<実施例6>
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(DIC社製「HP−7200」、エポキシ当量258)4部、難燃剤(大八化学工業社製「PX−200」)2部、シクロヘキサノン2.5部、MEK2.5部、を撹拌しながら加熱溶解させた。加熱溶解させたものを室温まで冷却し、そこへ、樹脂1を15部、活性エステル硬化剤(DIC社製「EXB−8000L−65TM」、固形分65質量%のMEK/トルエン溶液、活性エステル当量220)2部、硬化促進剤(四国化成工業社製、「1B2PZ−10M」、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、固形分10質量%のMEK溶液)0.5部、及び、アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業社製「KBM573」)で表面処理された球状シリカ(アドマテックス社製「SO−C4」、平均粒径1μm、単位表面積当たりのカーボン量0.31mg/m)35部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、カートリッジフィルター(ROKITECHNO社製「SHP050」)で濾過して、樹脂ワニス6を作製した。
樹脂シート1の作製において、樹脂ワニス1を樹脂ワニス6に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして樹脂シート6を作製した。
<実施例7>
ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC社製「HP4032SS」、エポキシ当量142)3部、樹脂Aを12部、シクロヘキサノン1.5部、メチルエチルケトン(MEK)1.5部、を撹拌しながら加熱溶解させた。加熱溶解させたものを室温まで冷却し、そこへ、樹脂3を10部、硬化促進剤(四国化成工業社製、「1B2PZ−10M」、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、固形分10質量%のMEK溶液)0.5部、及び難燃剤(三光社製「HCA−HQ−HST」、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10−ヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オキサイド、平均粒径1.5μm)2部、及びアミノシラン系カップリング剤(信越化学工業社製「KBM573」)で表面処理された球状シリカ(アドマテックス社製「SO−C2」、平均粒径0.5μm、単位表面積当たりのカーボン量0.38mg/m)20部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、カートリッジフィルター(ROKITECHNO社製「SHP050」)で濾過して、樹脂ワニス7を作製した。
樹脂シート1の作製において、樹脂ワニス1を樹脂ワニス7に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして樹脂シート7を作製した。
<比較例1>
ビスフェノールAF型エポキシ樹脂(三菱化学社製「YL7760」、エポキシ当量238)5部、フェノキシ樹脂(三菱化学社製「YX7553BH30」、固形分30質量%のシクロヘキサノン:MEKの1:1溶液)10部、シクロヘキサノン1.5部、メチルエチルケトン(MEK)1.5部、を撹拌しながら加熱溶解させた。加熱溶解させたものを室温まで冷却し、そこへ、2官能性ヒドロキシ基末端ポリブタジエン(日本曹達社製G−3000、数平均分子量=3000、ヒドロキシ基当量=1800g/eq.)4部、ビフェニレン型フェノール樹脂(明和化成社製MEH−7851M溶液(水酸基当量=210g/eq.)、不揮発分60質量%のMEK溶液)2部、及び難燃剤(三光社製「HCA−HQ−HST」、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10−ヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オキサイド、平均粒径1.5μm)2部、及びアミノシラン系カップリング剤(信越化学工業社製「KBM573」)で表面処理された球状シリカ(アドマテックス社製「SO−C2」、平均粒径0.5μm、単位表面積当たりのカーボン量0.38mg/m)15部を混合し、高速回転ミキサーで分散し樹脂ワニス8を作製したが、分離物が見られ、濾過することができなかった。
樹脂シート1の作製のように、樹脂ワニス1を樹脂ワニス8に変えて樹脂シート8の作製を試みたが、均一な塗膜を形成する(フィルム製膜性)ことができず、樹脂シート8を作製することができなかった。このため、樹脂組成物層の最低溶融粘度、銅箔ピール強度、リフロー耐性、及び難燃性の評価を行うことができなかった。
<比較例2>
樹脂1を20部、硬化促進剤(四国化成工業社製、「1B2PZ−10M」、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、固形分10質量%のMEK溶液)0.5部、及び、アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業社製「KBM573」)で表面処理された球状シリカ(アドマテックス社製「SO−C4」、平均粒径1μm、単位表面積当たりのカーボン量0.31mg/m)35部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、カートリッジフィルター(ROKITECHNO社製「SHP050」)で濾過して、樹脂ワニス9を作製した。
樹脂シート1の作製において、樹脂ワニス1を樹脂ワニス9に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして樹脂シート9を作製した。
<比較例3>
ビスフェノールAF型エポキシ樹脂(三菱化学社製「YL7760」、エポキシ当量238)3部、フェノキシ樹脂(三菱化学社製「YX7553BH30」、固形分30質量%のシクロヘキサノン:MEKの1:1溶液)10部、フェノキシ樹脂(三菱化学社製「1256B40」、固形分40質量%のMEK溶液)5部、シクロヘキサノン1部、メチルエチルケトン(MEK)1部、を撹拌しながら加熱溶解させた。加熱溶解させたものを室温まで冷却し、そこへ、樹脂1を20部、硬化促進剤(四国化成工業社製、「1B2PZ−10M」、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、固形分10質量%のMEK溶液)0.5部、及びアミノシラン系カップリング剤(信越化学工業社製「KBM573」)で表面処理された球状シリカ(アドマテックス社製「SO−C2」、平均粒径0.5μm、単位表面積当たりのカーボン量0.38mg/m)5部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、カートリッジフィルター(ROKITECHNO社製「SHP050」)で濾過して、樹脂ワニス10を作製した。
樹脂シート1の作製において、樹脂ワニス1を樹脂ワニス10に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして樹脂シート10を作製した。
下記表中の略語等は以下のとおりである。
樹脂1:合成例1で合成した、ブタジエン構造とビフェニレン型フェノール構造とを有する樹脂
樹脂2:合成例2で合成した、ブタジエン構造とビフェニレン型フェノール構造とを有する樹脂
樹脂3:合成例3で合成した、水添ブタジエン構造とナフトールアラルキル構造とを有する樹脂
YL7760:ビスフェノールAF型エポキシ樹脂(三菱化学社製、エポキシ当量238)
NC3000L:ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬社製、エポキシ当量272)
NC3100:ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬社製、エポキシ当量258)
YX7700:キシレン構造含有エポキシ樹脂(三菱化学社製、エポキシ当量270)
HP−7200:ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(DIC社製、エポキシ当量258)
HP4032SS:ナフタレン型エポキシ樹脂(DIC社製、エポキシ当量142)
SO−C2:アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業社製「KBM573」)で表面処理された球状シリカ(アドマテックス社製「SO−C2」、平均粒径0.5μm、単位表面積当たりのカーボン量0.38mg/m
SO−C4:アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業社製「KBM573」)で表面処理された球状シリカ(アドマテックス社製「SO−C4」、平均粒径1μm、単位表面積当たりのカーボン量0.31mg/m
YX7553BH30:フェノキシ樹脂(三菱化学社製、固形分30質量%のシクロヘキサノン:MEKの1:1溶液)
1256B40:フェノキシ樹脂(三菱化学社製、固形分40質量%のMEK溶液)
樹脂A:合成例4で合成した、ビキシレノール構造及びビスフェノールフルオレン構造を有するフェノキシ樹脂
1B2PZ−10M:硬化促進剤(四国化成工業社製、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、固形分10質量%のMEK溶液)
HCA−HQ−HST:難燃剤(三光社製、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10−ヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナンスレン−10−オキサイド、平均粒径1.5μm)
PX−200:難燃剤(大八化学工業社製)
G−3000:2官能性ヒドロキシ基末端ポリブタジエン(日本曹達社製、数平均分子量=3000、ヒドロキシ基当量=1800g/eq.)
MEH−7851M:ビフェニレン型フェノール樹脂(明和化成社製、水酸基当量=210g/eq.)
(a)成分の含有量:樹脂組成物の不揮発成分を100質量%とした場合の(a)成分の含有量(質量%)を表す。
(b)成分の含有量:樹脂組成物の不揮発成分を100質量%とした場合の(b)成分の含有量(質量%)を表す。
(c)成分の含有量:樹脂組成物の不揮発成分を100質量%とした場合の(c)成分の含有量(質量%)を表す。
Figure 2018002886
1 回路基板
10 配線層付き基材
11 基材(コア基板)
12 第1金属層
13 第2金属層
14 配線層(埋め込み型配線層)
20 樹脂シート
21 樹脂組成物層
21’ 絶縁層
22 支持体
31 ビアホール
40 導体層
41 めっきシード層
42 電解めっき層
61 フィルドビア
100 半導体チップパッケージ
110 半導体チップ
120 封止層
130 再配線形成層(絶縁層)
140 導体層(再配線層)
150 ソルダーレジスト層
160 バンプ

Claims (18)

  1. (a)(i)水素添加されていてもよいブタジエン構造単位、並びに(ii)ビフェニレン型フェノール構造単位及びナフトールアラルキル構造単位からなる群から選択される1種以上の構造単位を有する化合物、
    (b)1分子中に、2以上のエポキシ基及び1以上の芳香環を有するエポキシ樹脂、並びに
    (c)無機充填材を含む樹脂組成物であって、
    (c)無機充填材が、樹脂組成物の不揮発成分を100質量%とした場合、30質量%以上である、樹脂組成物。
  2. (b)成分が、1分子中に、2以上のエポキシ基、1以上の芳香環及びフッ素原子を有するエポキシ樹脂;ビスフェノールA型エポキシ樹脂;ビスフェノールF型エポキシ樹脂;1分子中に、2以上のエポキシ基及び1以上のビフェニル構造を有するエポキシ樹脂;1分子中に、2以上のエポキシ基及び1以上の縮合環を有するエポキシ樹脂;1分子中に、2以上のエポキシ基及び1以上のキシレン構造を有するエポキシ樹脂;1分子中に、1以上のグリシジルアミノ基、1以上のエポキシ基及び1以上の芳香環を有するエポキシ樹脂;1分子中に、2以上のエポキシ基、1以上の芳香環及びジシクロペンタジエニル構造を有するエポキシ樹脂;及び1分子中に、2以上のグリシジルオキシベンゼン構造を有するエポキシ樹脂;からなる群から選択される1以上である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. (b)成分が、1分子中に、2以上のエポキシ基、1以上の芳香環及びフッ素原子を有するエポキシ樹脂;1分子中に、2以上のエポキシ基及び1以上のビフェニル構造を有するエポキシ樹脂;1分子中に、2以上のエポキシ基及び1以上の縮合環を有するエポキシ樹脂;1分子中に、2以上のエポキシ基及び1以上のキシレン構造を有するエポキシ樹脂;及び1分子中に、2以上のエポキシ基、1以上の芳香環及びジシクロペンタジエニル構造を有するエポキシ樹脂;からなる群から選択される1以上である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. (a)成分の数平均分子量が、1000〜20000である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. (a)成分の含有量が、樹脂組成物の不揮発成分を100質量%とした場合、3質量%〜40質量%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  6. (b)成分の含有量が、樹脂組成物の不揮発成分を100質量%とした場合、2質量%〜30質量%である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  7. (b)成分のエポキシ等量が、200以上である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  8. さらに、(d)フェノキシ樹脂を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  9. (d)成分が、ビスフェノールAF構造を含むフェノキシ樹脂である、請求項8に記載の樹脂組成物。
  10. (d)成分の含有量が、樹脂組成物の不揮発成分を100質量%とした場合、1質量%〜20質量%である、請求項8又は9に記載の樹脂組成物。
  11. さらに(e)硬化剤を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  12. さらに、(g)難燃剤を含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  13. (g)成分の含有量が、樹脂組成物の不揮発成分を100質量%とした場合、1質量%〜20質量%である、請求項12に記載の樹脂組成物。
  14. 支持体と、該支持体上に設けられた、請求項1〜13のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含む樹脂組成物層と、を有する樹脂シート。
  15. 半導体チップパッケージの絶縁層用樹脂シートである、請求項14に記載の樹脂シート。
  16. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の樹脂組成物の硬化物により形成された絶縁層を含む、回路基板。
  17. 請求項16に記載の回路基板上に、半導体チップが搭載された、半導体チップパッケージ。
  18. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の樹脂組成物、または請求項14又は15に記載の樹脂シートにより封止された半導体チップを含む半導体チップパッケージ。
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