JP2018002565A - 蛍光体封止用の封止材、及び波長変換部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は蛍光体を封止する封止材において、蛍光体の失活を抑制可能であり、さらに耐湿性を向上させたガラスの封止材を得ることを目的とした。
【解決手段】蛍光体を封止する封止材において、該封止材は、モル%で、SiOを0.1〜17、Bを20〜50、ZnOを10〜55、及びBiを5〜36、含むガラス材料を有するものであり、該ガラス材料の軟化点(Ts)と転移温度(Tg)との差(ΔTs−Tg)が40〜80℃であることを特徴とする蛍光体封止用の封止材
【選択図】図1

Description

本発明は、蛍光体をガラスで封止する用途に用いる封止材に関するものであり、特に窒化物蛍光体又は酸窒化物蛍光体を封止する為の封止材に関するものである。
発光ダイオード(LED)やレーザーダイオード(LD)等を光源として、該光源から発する光を蛍光体粒子によって波長変換し、所望の色や波長の光を発光させる発光装置が広く知られている。
上記のような発光装置の1つとして、例えばLEDを光源として用いて白色光を得る開発がなされており、省電力かつ高演色性な白色光源が実現されている。現在、市販されている白色光源は、青色GaN系LEDを光源とし、該LEDから発せられた励起光である青色光と、該励起光の一部を蛍光体によって黄色に変換した変換光とを発して、擬似白色光である合成光を得ている。
蛍光体をLED光源やLD光源と用いる場合、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、又はガラスなどを封止材として用いて、蛍光体を上記封止材内に混合し、混合物が光源の上を覆うような構造としていた。近年、上記の封止材の中でも、特に熱や光への耐久性が高く、水バリア性の高いガラスを用いる方法が検討されている。
しかし、一方でガラスを封止材として用いる場合、封止時の焼成工程を経ると蛍光体が失活してしまうため、発光効率が低下してしまうという問題があった。
例えば特許文献1には、酸化物蛍光体(セリウム添加YAG蛍光体)を、ガラス転移点が300〜470℃のガラスと混合して焼成して封止する蛍光体分散ガラスの製造方法が提案されている。当該文献では、ガラス転移点を低くすることによって蛍光体の熱的ダメージを抑えると記載されている。
また、特許文献2には、酸化物蛍光体(セリウム添加YAG蛍光体)を各種ガラスと混合して焼成して封止した波長変換部材が開示されている。当該文献には、PbOやBiをガラス組成中に含有させると、蛍光体とガラスが反応してしまい、発光効率を低下させるという別の問題も開示されている。
また、特許文献3には、ガラス転移点(Tg)が500℃以下であるビスマス系ガラスを用いて、蛍光体を封止する方法が提案されている。当該文献には、Tgが高いと蛍光体を封止する際の作業温度が高くなってしまうため、蛍光体の劣化の原因となると開示されている。また、実施例では酸化物蛍光体(セリウム添加YAG蛍光体)を使用している。
また、特許文献4には、ガラス軟化点(Ts)とガラス転移点(Tg)との差(ΔTgs)が50〜105℃である蛍光体分散ガラスシート用ガラス組成物が提案されている。当該文献では、ΔTgsを50〜105℃とし、焼成温度域において急峻な粘性曲線を示すガラスを使用することで、焼成後のガラスシートの内包泡を低減できると開示している。また、実施例では、Bi−ZnO−B系ガラスを用いて、酸化物蛍光体(セリウム添加YAG蛍光体)を封止している。
特開2008−019109号公報 特開2010−132922号公報 特開2012−158494号公報 特開2015−227252号公報
ガラスを封止材として用いる場合、ガラス材料を焼成して、ガラス層内に蛍光体を封止する。この時、前述したように蛍光体は熱により損傷し、失活してしまうという問題がある。また、蛍光体の種類によっても失活のし易さは異なっており、特に窒化物蛍光体や酸窒化物蛍光体は熱によって失活し易い為、このような蛍光体の発光効率は酸化物蛍光体ほど高い値に出来ないという問題があった。
蛍光体の熱による失活を抑制する場合、例えば特許文献1〜3に開示された通り、ガラス転移点やガラス軟化点の低いガラス材料を用いれば、焼成時の温度を下げる事が可能である。上記のようなガラス材料としては、PbOやBiを含むような一般的な低軟化点のガラスが挙げられるが、特許文献2に開示されているとおり、PbOやBiを含むようなガラスは、焼成時に蛍光体とガラス材料が反応してしまい、新たな失活の原因となってしまうという問題もあった。
また、上記のような軟化点の低いガラスは、軟化点の高いガラスと比較すると一般的に耐湿性に劣る傾向にある。特に湿度の高い環境下では、実使用時にガラス自体が変質して透過率が低下し、全体として発光効率が大幅に低下する問題がある。すなわち、ガラス材料を用いて蛍光体を封止する際は、焼成時の熱による蛍光体の失活と、耐湿性の不足とを両方解決するのは困難だった。
従って、本発明は蛍光体を封止する封止材において、蛍光体の失活を抑制可能であり、さらに耐湿性を向上させたガラスの封止材を得ることを目的とした。
本発明者が上記課題に対して検討を行ったところ、Biを含む特定組成のガラスで窒化物蛍光体及び酸窒化物蛍光体を封止すると、発光効率が格段に向上することがわかった。上記の知見についてさらに検討を行ったところ、発光効率が向上したガラス材料は、軟化点(Ts)と転移温度(Tg)との差(ΔTs−Tg)が特定の範囲内になることがわかった。また、上記の検討の中で、SiOがTgを高くする成分として有用であり、ガラス材料の耐湿性を効果的に向上させることが可能であることが明らかとなった。
従って、本発明は、蛍光体を封止する封止材において、該封止材は、モル%で、SiOを0.1〜17、Bを20〜50、ZnOを10〜55、及びBiを5〜36、含むガラス材料を有するものであり、該ガラス材料の軟化点(Ts)と転移温度(Tg)との差(ΔTs−Tg)が40〜80℃であることを特徴とする蛍光体封止用の封止材である。
また、本発明は、蛍光体がガラス層に封止された波長変換部材において、該ガラス層は、モル%で、SiOを0.1〜17、Bを20〜50、ZnOを10〜55、及びBiを5〜36、であり、該ガラス層の軟化点(Ts)と転移温度(Tg)との差(ΔTs−Tg)が40〜80℃であることを特徴とする波長変換部材である。
本発明により、蛍光体を封止する封止材において、蛍光体の失活を抑制可能であり、さらに耐湿性を向上させたガラスの封止材を得ることが可能となった。また、特に窒化物蛍光体や酸窒化物蛍光体を封止する封止材として特に有効である。
実施例1〜3及び比較例1〜6について、ΔTs−Tgに対する発光効率をプロットした図である。 実施例4〜6及び比較例7〜9について、ΔTs−Tgに対する発光効率をプロットした図である。
1:用語の説明
(軟化点)
本明細書の封止材の軟化点は、当該封止材のガラス粉末を作成して測定サンプルとし、該測定サンプルについて熱分析装置TG―DTA(リガク(株)製)を用いて測定した。
(転移温度)
本明細書の封止材の転移温度(以下、「転移点」と記載することもある)は、当該封止材のブロック体を作成して測定サンプルとし、該測定サンプルについて熱膨張計を用いて測定した。5℃/分で昇温したときの低温側と高温側の直線のそれぞれの延長線の交点に相当する温度を転移点として採用した。
(屈折率)
本明細書の屈折率は、ガラスのバルク体を測定サンプルとして用い、波長588nmの光に対する屈折率nを、カルニュー光学工業製KPR−200を用いて測定した。
(発光効率)
本明細書における発光効率の測定の仕方を以下に示す。まず、励起光である青色LEDの光(発光ピーク波長445nm)を校正した積分球内に入射させ、光ファイバーを通じて小型分光器(オーシャンオプティクス製 HR−4000)に取り込み、発光スペクトル(エネルギー分布曲線)を得た。得られたスペクトルから、入力した青色LEDのエネルギー出力を計算した。
次に、励起光を測定サンプルの片面に入射させ、該測定サンプルの反対側の面から射出した光を校正した積分球内に入射させ、光ファイバーを通じて小型分光器に取り込み、発光スペクトを得た。得られたスペクトルに標準比視感度を掛け合わせて全光束を計算し、得られた全光束を、前述した青色LEDのエネルギー出力で除して発光効率(lm/W)を算出した。
2:封止材
本発明は、蛍光体を封止する封止材において、該封止材は、モル%で、SiOを0.1〜17、Bを20〜50、ZnOを10〜55、及びBiを5〜36、含むガラス材料を有するものであり、該ガラス材料の軟化点(Ts)と転移温度(Tg)との差(ΔTs−Tg)が40〜80℃であることを特徴とする蛍光体封止用の封止材である。
(蛍光体)
蛍光体としては、粒子状の蛍光体粒子を用いるのが好ましい。また、酸化物、酸窒化物、窒化物、酸硫化物、硫化物、アルミン酸塩化物、ハロリン酸塩化物、フッ化物及びYAG系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることが可能である。特に、失活しやすいとされている窒化物蛍光体又は酸窒化物蛍光体について、本発明は特に好適に利用可能であるため好ましい。
上記の窒化物蛍光体としては、例えば赤色蛍光体として、(Sr,Ca)AlSiN:Eu蛍光体、CaAlSiN:Eu蛍光体、黄色蛍光体として、LaSi11:Ce蛍光体、酸窒化物蛍光としては、例えば赤色蛍光体として、CaAlSi(ON):Eu蛍光体、α−SiAlON:Eu蛍光体、緑色蛍光体として、β−SiAlON:Eu蛍光体、(Sr,Ba)Si:Eu蛍光体、BaSi12:Eu蛍光体が挙げられる。
また、酸化物蛍光体としては、例えば、黄色蛍光体として、(Y,Gd)Al12:Ce蛍光体、TbAl12:Ce蛍光体、LuAl12:Ce蛍光体、(Sr,Ca,Ba)SiO:Eu蛍光体、緑色蛍光体として、Y(Al,Ga)12:Ce3+蛍光体、(Ba,Sr)SiO:Eu蛍光体、CaSc:Ce蛍光体、BaMgAl1017:Eu、Mn蛍光体、SrAl:Eu蛍光体、赤色蛍光体として、(Sr,Ba)SiO:Eu蛍光体等が挙げられる。
蛍光体の含有量は発光効率、演色性が最適になるように調整すればよいが、蛍光体粒子が多くなりすぎると、封止材を焼成しにくくなったり、励起光が効率良く蛍光体に照射されない等の問題が生じる。また、含有量が少なすぎると十分に発光させることが難しくなる。よって、蛍光体の含有量が蛍光体とガラス材料との合計値に対して0.01〜95体積%となるように混合することが好ましい。より好ましくは0.5〜95体積%としてもよい。
(ガラス材料)
本明細書におけるガラス材料とは、粉末状、ペレット状、バルク状等のガラス材料を指すものとする。当該ガラス材料を焼成することによって蛍光体を封止するガラス層となる。
本発明では、軟化点が高過ぎず、着色等がないガラス材料としてBiを含有するガラスを用いた。前述したように、窒化物蛍光体や酸窒化物蛍光体とBiを共存させると、蛍光体の熱による失活は抑制されるが、一方で蛍光体とガラス材料とが反応してしまい、新たな失活の原因となってしまう。しかし、本発明者が鋭意検討を行ったところ、ガラス材料の軟化点(Ts)と転移温度(Tg)の差であるΔTs−Tgの値が40〜80℃の範囲内となるガラスを用いると、ガラス材料と蛍光体との反応を抑制出来ることが新たにわかった。
上記の詳細なメカニズムは不明だが、ΔTs−Tgの値が小さい程、温度に対するガラス材料の粘度の変化が大きく、より短時間で封止が可能となる為に、加熱環境下でガラス材料と蛍光体との接触時間が短くなり、ガラス材料と蛍光体との反応が抑えられたと推測される。
以下に本発明のガラス材料の組成について記載する。また、組成比はモル%を示し、「%」と記載することもある。
SiOはガラス形成成分であり、別のガラス形成成分であるBと共存させることにより、安定したガラス材料とすることができ、0.1〜17%の範囲で含有させる。本発明のガラス材料においては、Tgを上昇させる効果と、得られるガラス層の耐湿性を向上させる効果とを有する。特に本実施例において耐湿性を測定したところ、SiOを含まない組成と比較すると、大幅に劣化が抑制されることが明らかとなった。含有量が0.1%未満だと上記の効果を奏さず、17%を超えると軟化点が高くなり過ぎることがある。好ましくは1〜15%としてもよい。
はガラス形成成分であり、ガラス溶融を容易とし、焼成時にガラス材料に適度の流動性を与えるものであり、組成中に20〜50%の範囲で含有させる。
本発明のガラス材料においては、Tgを上昇させる効果と、適度の流動性を与える効果を有する。20%未満では他の成分との関係によっては、ガラス材料の流動性が不充分となることがある。他方50%を越えると、化学的耐久性が低下する傾向にある。上限値を好ましくは45%以下としてもよい。
ZnOはガラス材料の軟化点を下げるもので、組成中に10〜50%の範囲で含有させる。10%未満だと上記の効果が期待できず、50%を越えるとガラス材料が不安定となり失透を生じ易い。好ましくは下限値を20%以上としてもよい。また上限値を好ましくは40%以下としてもよい。
Biはガラス材料に流動性を与え、軟化点を下げるもので、組成中に5〜36%で含有させるのが好ましい。5%未満では上記の作用を発揮し得ず、36%を超えると蛍光体とガラス材料との反応性が上がってしまい、蛍光体の失活を抑制出来ないことがある。また、上記の範囲内でも、当然Biの含有量が増えるに伴って、ガラス材料と蛍光体との反応性は上昇する傾向にある。本発明はΔTs−Tgを特定の範囲内とすることによって、本来反応性が高い組成範囲内において、蛍光体の失活抑制を可能とした。よって、好ましくは20〜35%としてもよい。
本発明は、上記のSiO+B+ZnO+Biが90〜100%となるものでもよい。また、上記の必須成分以外の任意成分として、ガラス材料の軟化点や線膨張係数、流動性等を調整する目的で、Sb、CeO、SnO、SnO、MnO、WO、Nb、TeO、La、Al、MgO、CaO、SrO、BaO及びTiOからなる群から選ばれる少なくとも1つを、0.1〜10%の範囲内で含有させてもよい。
(無機フィラー)
封止材は、無機フィラーを含有するものであってもよい。無機フィラーを含有することにより、ガラス材料を焼成する時の線膨張係数や軟化点等の熱的性質を調整することが可能である。該無機フィラーとしては、例えば酸化マグネシウム、窒化アルミ、窒化ホウ素、ジルコン、ムライト、シリカ、チタニア、及びアルミナ等が使用できる。また、該無機フィラーの含有量は適宜調整すれば良いが、例えば蛍光体、ガラス材料、及び無機フィラーの質量の合計値に対して、0.1質量%以上、40質量%以下となるように混合してもよい。また無機フィラーの粒径としては、平均粒子径D50が10nm〜10μmのものを用いてもよい。
(ガラスペースト)
封止材は、粉末状のガラス材料と、結合剤、及び溶剤等を混練してペースト状のガラスペーストとしてもよい。使用する結合剤や溶剤は、焼成時の加熱温度で揮発するものであれば特に限定するものではない。また、焼成後はペースト内の結合剤や溶剤は大部分が揮発しており、ガラス層内には残留しない。
(グリーンシート)
また、封止材はグリーンシートでもよい。グリーンシートは、粉末状のガラス材料、蛍光体、可塑剤、結合剤、及び溶剤等を混練してスラリー状とし、該スラリーをドクターブレード法によってポリエチレンテレフタレート(PET)等のフィルム上に成型し、乾燥させて得る事が出来る。該グリーンシートを焼成することによって、可塑剤や結合剤等が揮発し、蛍光体を封止したガラス層を得ることが可能となる。
3:波長変換部材
本発明は、蛍光体がガラス層に封止された波長変換部材において、該ガラス層は、モル%で、SiOを0.1〜17、Bを20〜50、ZnOを10〜55、及びBiを5〜36、であり、該ガラス層の軟化点(Ts)と転移温度(Tg)との差(ΔTs−Tg)が40〜80℃であることを特徴とする波長変換部材である。
(ガラス層)
本明細書におけるガラス層とは、蛍光体を覆う層である。当該ガラス層は、ガラス材料内に蛍光体を混合した後、前述したように焼成することによって得られる層であり、蛍光体を封止しているのであれば形状は特に限定しない。また、蛍光体を封止するのであれば2以上の部材を接着するものでもよい。
また、本発明のガラス層は、ガラス層の屈折率と、前記蛍光体の屈折率とは異なるものであり、588nmにおける屈折率の差が0.25以下であるのが好ましい。屈折率の差を0.25以下とすることによって、発光効率を向上させることが可能である。好ましくは0.15以下としてもよい。また、屈折率の差が大きいと前述したような効果が得られない。
また、窒化物蛍光体や酸窒化物蛍光体を封止する場合、窒化物蛍光体や酸窒化物蛍光体の波長588nmにおける屈折率は約2.0程度なので、使用するガラス層は上記の屈折率に併せて適宜選択すればよい。例えば、前記蛍光体が窒化物蛍光体又は酸窒化物蛍光体の時、ガラス層の屈折率は、波長588nmにおいて1.75〜2.15とすることが好ましい。
(波長変換部材)
波長変換部材は、ガラス層内に蛍光体が封止されたものである。該波長変換部材は、光源からの励起光を蛍光体に入射させ、該蛍光体で光の波長を変換させた変換光とし、該変換光をガラス層外に発光させる。
上記の光源の種類は、LEDやLDであればよく、発光させる光の波長は蛍光体の励起波長に併せて適宜選択すればよい。例えば、前述したように光源が青色光の場合は波長が350〜500nm程度、近紫外光や紫外光の場合は波長が400nm以下の光が光源となる。
以下に本発明の実施例及び比較例を記載する。
1:ガラス材料の製造
まず、表1に記載したA〜Iの組成となるように各種無機原料を秤量、混合して原料バッチを作製した。この原料バッチを白金ルツボに投入し、電気加熱炉内で1000〜1400℃、1〜2時間で加熱溶融して表1のガラス試料を得た。得られたガラスの一部は型に流し込み、ブロック状にして熱物性(軟化点、転移温度)測定用に供した。残余のガラスは急冷双ロール成形機にてフレーク状とし、粉砕装置で平均粒径D501〜30μmのガラス粉末に整粒した。なお、表1においては各成分の含有量を、小数点以下第1位を四捨五入した値を記載したため、見かけ上の合計値が100にならないこともある。
上記の平均粒径D50はレーザー回折型粒子径測定装置(日機装株式会社製、マイクロトラック)を用いて測定した。測定は水にガラス粉末を分散させた後、レーザー光を照射することで散乱・回折光を得て、その光強度分布から装置に設定されたプログラムに準じてガラス粉末の粒子の大きさを算出して求めた。
上記の軟化点は、熱分析装置TG―DTA(リガク(株)製)を用いて測定した。また、上記の転移温度は、熱膨張計を用いて測定し、5℃/分で昇温したときの低温側と高温側の直線のそれぞれの延長線の交点に相当する温度を転移温度とした。
(屈折率の測定)
ガラスの屈折率は、ガラスのバルク体を測定サンプルとして作成し、波長588nmの光に対する屈折率nを、カルニュー光学工業製KPR−200を用いて測定した。
Figure 2018002565
2:波長変換部材の作製
まず、得られたA〜Fのガラス粉末と、蛍光体の粉末とをガラス粒子:蛍光体粒子=74体積%:26体積%となるように混合した。次に、得られた混合粉末に結合剤、可塑剤、溶剤を混錬することによりスラリーを得た。このスラリーをドクターブレード法を用いてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗布し、乾燥させることにより、波長変換部材用グリーンシートを作製した。ブレードのギャップを150μmとして、得られた波長変換部材用グリーンシートの厚みは75μmとなった。
次に、平均粒子径が1μmのアルミナ粉末を用いて同様にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗布し、乾燥させることにより拘束層用グリーンシートを作製した。得られた拘束層用グリーンシートの厚みは75μmであった。
次に、作成した波長変換部材用グリーンシートと拘束層用グリーンシートを、拘束層用グリーンシート、波長変換部材用グリーンシート、拘束層用グリーンシートの順で重ね合わせ、120℃で10分間熱圧着させることにより積層体を得た。
次に、大気中において、作製した積層体を430℃で2時間焼成し、脱脂処理した。次に、脱脂処理した積層体を500℃で30分間焼成した後、拘束層を超音波洗浄機にて分離し、波長変換部材を得た。得られた波長変換部材の厚みは270μmであった。その後上下面を研磨加工し、厚みが200μmの波長変換部材を得た。
3:光学特性の測定
得られたサンプルの外部量子効率、内部量子効率、発光効率をそれぞれ測定し、得られた結果を表2に記載した。また、ΔTs−Tgに対する発光効率を示した図を、α−SiAlON蛍光体については図1、CASN蛍光体については図2にそれぞれ示した。
<量子効率の測定>
得られた波長変換部材について内部量子効率(ηint)及び外部量子効率(ηext)を測定した。測定は、積分球(日本分光製ILF−533)が接続された蛍光分光光度計(日本分光製FP−6500)を用いて、積分球内に進入した励起光スペクトルの積分強度をA、サンプルで吸収された励起光スペクトルの積分強度をB、サンプルから放出された蛍光スペクトルの積分強度をCとして、内部量子効率をC/B、外部量子効率をC/Aで求めた。
<発光効率測定>
まず、励起光である青色LEDの光(発光ピーク波長445nm)を校正した積分球内に入射させ、光ファイバーを通じて小型分光器(オーシャンオプティクス製 HR−4000)に取り込み、発光スペクトル(エネルギー分布曲線)を得た。得られたスペクトルから、入力した青色LEDのエネルギー出力を計算した。
次に、励起光を測定サンプルの片面に入射させ、該測定サンプルの反対側の面から射出した光を校正した積分球内に入射させ、光ファイバーを通じて小型分光器に取り込み、発光スペクトを得た。得られたスペクトルに標準比視感度を掛け合わせて全光束を計算し、得られた全光束を、前述した青色LEDのエネルギー出力で除して発光効率(lm/W)を算出した。
Figure 2018002565
4:耐候性の評価
耐候性に関して評価を行う為に、ガラス粉末:α−SiAlON蛍光体=80体積%:20体積%の割合で混合してグリーンシートを作成し、前述した方法と同様の方法でサンプルを作成した。
次に、以下の方法で耐湿性試験を行った。まず測定サンプルの発光効率を測定し、その後PCT(飽和加圧蒸気試験)にて温度121℃、湿度95%の条件下で200時間放置した後の発光効率を測定した。試験後の発光効率を、試験前の発光効率で除して、100を掛けた値(%)を算出し、耐湿性を評価した。
Figure 2018002565
以上より、本発明の封止材は、失活し易い窒化物蛍光体及び酸窒化物蛍光体において、高い発光効率を有することがわかった。さらに、本発明の封止材は、高い耐湿性を有しているものだった。また、組成Gは実施例と近い組成だが、実施例よりも耐湿性が不足するものとなった。

Claims (5)

  1. 蛍光体を封止する封止材において、該封止材は、モル%で、
    SiOを0.1〜17、
    を20〜50、
    ZnOを10〜55、及び
    Biを5〜36、含むガラス材料を有するものであり、
    該ガラス材料の軟化点(Ts)と転移温度(Tg)との差(ΔTs−Tg)が40〜80℃であることを特徴とする蛍光体封止用の封止材。
  2. 前記蛍光体が窒化物蛍光体又は酸窒化物蛍光体であることを特徴とする請求項1に記載の蛍光体封止用の封止材。
  3. 蛍光体がガラス層に封止された波長変換部材において、
    該ガラス層は、モル%で、
    SiOを0.1〜17、
    を20〜50、
    ZnOを10〜55、及び
    Biを5〜36、であり、
    該ガラス層の軟化点(Ts)と転移温度(Tg)との差(ΔTs−Tg)が40〜80℃であることを特徴とする波長変換部材。
  4. 前記蛍光体が窒化物蛍光体又は酸窒化物蛍光体であることを特徴とする請求項3に記載の波長変換部材。
  5. 前記ガラス層の屈折率と、前記蛍光体の屈折率とは異なるものであり、588nmにおける屈折率の差が0.25以下であることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の波長変換部材。
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