JP2018001208A - 連続鋳造の二次冷却装置および二次冷却方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】二次冷却装置は、鋳造方向に沿う上下方向に並んで配置されたロール2と、ロール2の間から鋳片表面41に冷却水Wを噴射する噴射ノズル3とを備え、噴射ノズル3は、鋳片表面41と当該噴射ノズル3の冷却水噴射軸線J1との交差位置Q1が、当該噴射ノズル3の上方のロール2との接触位置42と下方のロール2との接触位置43の中間位置44よりも上方に位置するように設けられている。
【選択図】図3
Description
この特許文献1の二次冷却方法では、図1に示すような冷却メカニズムで鋳片が冷却される。
噴射ノズル9は、一点鎖線で示す冷却水噴射軸線J9が水平面(重力方向に直角な平面)Pと平行となるように設けられている。また、噴射ノズル9は、鋳片表面41と冷却水噴射軸線J9との交差位置Q9が、当該噴射ノズル9の上方のロール2との接触位置42と下方のロール2との接触位置43の中間位置44と一致するように設けられている。
冷却水Wが吹き付け範囲45に噴射されると、鋳片表面41における水量密度は、図1の中央の図に破線で示すように、中間位置44で水量密度が最大になる。また、吹き付け範囲45に噴射された冷却水Wは、下方に流れ、鋳片表面41における吹き付け範囲45より下側の部分と下方のロール2との間に、垂れ水W1としてたまる。
その後、冷却水Wの吹き付け範囲45に入るまで、鋳片表面41の温度は、復熱(以下、吹き付け範囲とその上方のロールとの間での復熱を「第1復熱」という)により上昇し、吹き付け範囲45に入ると、そこを通過するまでスプレー冷却により下がり続ける。
そして、吹き付け範囲45を通過すると、鋳片表面41の温度は、2番目のロール2との接触位置43に近づくまで、復熱(以下、吹き付け範囲とその下方のロールとの間での復熱を「第2復熱」という場合)により上昇し、接触位置43に近づくと、当該接触位置43から所定距離以上離れるまで、当該ロール2のロール冷却により下がり続ける。
その後、上述の第1復熱、スプレー冷却、第2復熱、ロール冷却のサイクルが繰り返されることにより、鋳片4の温度が徐々に下がり冷却される。
しかしながら、特許文献1の方法では、ポンプの増設や高圧対応型の配管などの新しい設備が必要になり、コストが上昇してしまう。
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
なお、本実施形態において方向を表す場合、図1に示す座標軸の+X方向、−X方向、+Y方向、−Y方向、+Z方向、−Z方向を、それぞれ「左」、「右」、「前」、「後」、「上」、「下」という。
まず、連続鋳造の二次冷却装置の構成について説明する。
図2に示すように、連続鋳造の二次冷却装置1は、鋳造方向DCに沿う上下方向に並んで配置されたロール2と、ロール2の間から鋳片表面41に冷却水Wを噴射する噴射ノズル3とを備えている。
ロール2の直径Rとしては、100mm以上400mm以下が好ましい。ロール2のピッチL1(ロール2の中心C間の距離)としては、100mm以上450mm以下で、かつ、噴射ノズル3の先端部が挿入可能なことが好ましい。
このような構成により、冷却水Wは、図3の中央の図に実線で示すように、中間位置44よりも上方の位置を上下方向の中心とした横長の楕円形状の吹き付け範囲46、すなわち、図1の従来の吹き付け範囲45(図3の中央の図では破線で示す)よりも上方にシフトした吹き付け範囲46に噴射される。
噴射ノズル3から噴射される冷却水Wの上下方向の広がり角度θ1は、5°以上70°以下が好ましい。吹き付け範囲46は、鋳片表面41の中間位置44を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。吹き付け範囲46の上端位置461から、鋳片表面41における上方のロール2との接触位置42までの距離L3は、0mm以上200mm以下が好ましい。冷却水Wは、上方のロール2に接触するように噴射されてもよいが、接触しないことが好ましい。
次に、連続鋳造の二次冷却装置1の作用について説明する。なお、以下において、図3の左側の図における上側のロール2が、二次冷却装置1の最初のロール2であることを前提として説明を行う。
このとき、最初のロール2によるロール冷却後の効果代(本実施形態と従来の構成のロール冷却直後の温度の差)ΔTr1は0℃となる。
このとき、図3の中央の図に実線で示す吹き付け範囲46が、同図に破線で示す従来の吹き付け範囲45よりも上方にシフトしているため、図3の左側の図に実線で示す第1復熱期間が、同図に破線で示す従来の構成よりも短くなり、スプレー冷却が従来の構成よりも早く始まる。このため、従来の構成と比べて復熱量が低減し、スプレー冷却開始時の鋳片表面41の温度が低くなり、スプレー冷却時の熱伝達係数が大きくなる。その結果、冷却効率E1が従来の構成の冷却効率E9よりも高くなり、鋳片表面41はスプレー冷却によってより低い温度まで冷却される。
この冷却過程において、ロール冷却後の効果代が鋳造方向下流に向かうにしたがって徐々に大きくなるため、従来の構成と比べて鋳片の冷却時間が短縮される。
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
冷却水量を従来と比べて増やさなくても、鋳片表面41と冷却水噴射軸線J1との交差位置Q1を中間位置44よりも上方に位置させるだけの簡単な方法で、コスト上昇を招くことなく生産性の向上を図ることができる。
また、噴射ノズル3の配置スペースを従来から大きく変更することなく、冷却水噴射軸線J1を水平面Pに対して傾斜させるだけの簡単な方法で、上述の効果を得ることができる。
なお、本発明は上記実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の改良ならびに設計の変更などが可能であり、その他、本発明の実施の際の具体的な手順、及び構造などは本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などとしてもよい。
このような構成でも、従来の構成と比べて、冷却水Wの吹き付け範囲46を上方にシフトさせることができ、コスト上昇を招くことなく生産性の向上を図ることができる。
実施例と比較例とで共通するパラメータとして、以下の設定を行った。
ロールの直径R:150mm〜360mm
ロールのピッチL1:190mm〜430mm
噴射ノズル先端から鋳片表面までの距離L2:80mm〜430mm
冷却水の上下方向の広がり角度θ1:11°〜67°
冷却水の左右方向の広がり角度:64°〜133°
噴射水量:ノズル1本当り8L/min〜80L/min
ロール間あたりの幅方向ノズル本数:1本〜16本
鋳造速度:2.0m/min
炭素量:0.04%
鋳片幅:1500mm
鋳片厚み:250mm
また、水平面に対する冷却水噴射軸線の傾きを、実施例では7°に設定し、比較例では0°に設定した。さらに、実施例において、鋳片表面における冷却水噴射軸線との交差位置から上下のロールとの接触位置の中間位置までの距離を、10mmに設定した。
そして、連続鋳造の二次冷却のシミュレーションを行った。その結果を図4,5に示す。
また、比較例におけるスプレー冷却による降下温度ΔTscは113℃であり、実施例における降下温度ΔTspは173℃であり、スプレー冷却直後の効果代(実施例と比較例のスプレー冷却直後の温度の差)ΔTbは71℃となった。
さらに、2番目のロールによるロール冷却後の効果代ΔTr2は20℃となった。また、図5に示すように、3番目のロールによるロール冷却後の効果代ΔTr3は32℃となり、その後、鋳造方向下流に向かうにしたがって、ロール冷却後の効果代が徐々に大きくなった。
その結果、実施例は、比較例と比べて、鋳片の冷却時間が0.2min短縮されることが確認できた。
Claims (3)
- 鋳造方向に沿う上下方向に並んで配置されたロールと、
前記ロールの間から鋳片表面に冷却水を噴射する噴射ノズルとを備え、
前記噴射ノズルは、前記鋳片表面と当該噴射ノズルの冷却水噴射軸線との交差位置が、当該噴射ノズルの上方のロールとの接触位置と下方のロールとの接触位置の中間位置よりも上方に位置するように設けられていることを特徴とする連続鋳造の二次冷却装置。 - 請求項1に記載の連続鋳造の二次冷却装置において、
前記噴射ノズルは、前記冷却水噴射軸線が水平面に対して傾斜し、斜め上方に向けて冷却水を噴射可能に設けられていることを特徴とする連続鋳造の二次冷却装置。 - 鋳造方向に沿う上下方向に並んで配置されたロールと、前記ロールの間から鋳片表面に冷却水を噴射する噴射ノズルとを用い、
前記鋳片表面と前記噴射ノズルの冷却水噴射軸線との交差位置が、当該噴射ノズルの上方のロールとの接触位置と下方のロールとの接触位置の中間位置よりも上方に位置するように、前記噴射ノズルから冷却水を噴射して鋳片を冷却することを特徴とする連続鋳造の二次冷却方法。
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