定義
本明細書で使用される「原発性のプロゲステロン受容体陰性(PR−)癌」という用語は、
(i)プロゲステロン受容体(PR)作動薬治療に曝露されておらず、かつ最初に1mgのサイトゾルタンパク質当たり10fmol未満のPR受容体を有する癌(例えば、凍結させた組織切片において放射性標識したプロメゲストン(例えば、R5020)を用いる定量化によって測定した場合、例えば、Pichon and Milgrom, Cancer Res 1977; 37:464-471; De Goeijら, J Steroid Biochem 1988; 29(5):465-74を参照)、または
(ii)免疫組織化学染色(例えば、2010 ASCO/CAP ERおよびPgRガイドライン勧告; Hammondら, Arch Pathol Lab Med. 2010; 134:907-922; Fitzgibbonsら, Arch Pathol Lab Med. 2010; 134:930-935に記載されているような方法)によって決定した場合に1%未満のPR陽性(PR+)癌細胞を有する癌、または
(iii)腫瘍組織における非機能的PR受容体の存在を特徴とする癌(Bonneterre, Jら, Gynecol Oncol. 2015 Sep; 138(3):663-7)、または
(iv)その治療に適切であるとみなされたプロゲスチン療法に最初に臨床的に応答しなかった癌(すなわち、最初の治療過程後に以下に定義するRECIST基準による「完全奏効」もしくは「部分奏効」または「安定」が生じなかった癌)
を指す。
「続発性のプロゲステロン受容体陰性(PR−)癌」という用語は、最初にPR陽性(PR+)癌であったが、PR作動薬への曝露後にホルモン耐性(後天性のホルモン耐性)になった癌を指す。
「原発性のエストロゲン受容体陰性(ER−)癌」という用語は、
(i)エストロゲン受容体(ER)調節薬治療に曝露されておらず、最初に1mgのサイトゾルタンパク質当たり10fmol未満のER受容体を有する癌(例えば、PichonおよびMilgrom, Cancer Res 1977; 37:464-471 ; De Goeijら, J Steroid Biochem 1988; 29(5):465-74に記載されているように決定)、または
(ii)免疫組織化学染色(例えば、2010 ASCO/CAP ERおよびPgRガイドライン勧告; Hammondら, Arch Pathol Lab Med. 2010; 134:907-922; Fitzgibbonsら, Arch Pathol Lab Med. 2010; 134:930-935に記載されているような方法)によって決定した場合に1%未満のER陽性(ER+)癌細胞を有する癌、または
(iii)その治療に適切であるとみなされたホルモン(例えば、抗エストロゲン薬またはアロマターゼ阻害剤)療法に最初に臨床的に応答しなかった癌(すなわち、最初の治療過程後に以下に定義するRECIST基準による「完全奏効」もしくは「部分奏効」または「安定」が生じなかった癌)
を指す。
「続発性のエストロゲン受容体陰性(ER−)癌」という用語は、最初にER+癌であったが、ER調節薬への曝露後にホルモン耐性(後天性のホルモン耐性)になった癌を指す。
「トリプルネガティブ乳癌」という用語は、その癌細胞がエストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PR)およびHER2タンパク質を発現しない癌を指す。例えばIHC(免疫組織化学)法および/またはISH(in situハイブリダイゼーション)法(例えば、2013 ASCO-CAP HER2試験ガイドライン勧告; Wolff, J Clin Oncol. 2013; 31(31):3997-4013を参照)により、単一の試験IHCまたはISHがそれに応じて、または両試験が、(i)>10%の浸潤性腫瘍細胞にかすかな/かろうじて知覚できる不完全な膜染色が認められるIHC1+、(ii)染色が観察されない、または≦10%の浸潤性腫瘍細胞に不完全であり、かつかすかな/かろうじて知覚できる膜染色が認められるIHC0、(iii)単一プローブによる平均HER2コピー数が<4.0シグナル/細胞であるISH陰性、(iv)デュアルプローブによるHER2/CEP17比が<2.0であり、かつ平均HER2コピー数が<4.0シグナル/細胞であることを示す場合に、HER2陰性であることを決定することができる。
「プロゲステロン受容体(PR)作動薬」という用語は、プロゲステロン受容体に結合して活性化させる薬剤を意味する。
「選択的エストロゲン受容体調節薬」または「SERM」という用語は、幾種かのエストロゲン受容体を活性化させるがそれ以外は活性化させず、それにより標的組織に対してエストロゲン様作用を有するがエストロゲン受容体を有する他の組織に対して作用を有しないか抗エストロゲン作用を有し、それらの作用は各種組織において異なるため、各種組織においてエストロゲン様作用を選択的に阻害または刺激できるようにする薬剤を意味する。
「選択的エストロゲン受容体抑制薬」または「SERD」という用語は、エストロゲン受容体に競合的に結合し、それらの受容体をエストロゲンまたはエストロゲン作動薬に利用不可能または無応答にさせる薬剤(そのような薬剤を「純粋な拮抗薬」とも呼ぶ)を意味する。
「RESICT」または「固形腫瘍における応答評価基準(Response Evaluation Criteria In Solid Tumors)」という用語は、癌患者が治療中に改善している(「応答している」)、同じままである(「安定である」)、または悪化している(「進行している」)ときを定義する公開されている規則集を指す。最初の基準RECIST1.0は、欧州癌研究・治療機構(EORTC:European Organization for Research and Treatment of Cancer)、米国の国立癌研究所(NCI)およびカナダ臨床試験グループの国立癌研究所を含む国際共同研究によって2000年2月に公開された(Therasseら, J. Natl. Cancer Inst., 2000, 92(3):205-216)。2009年1月に公開されたRECIST1.1 (Eisenhauerら, Eur. J. Cancer, 2009, 45:228-247)は、最初の基準が更新されたものである。現在のところ、固形腫瘍における客観的応答について癌治療を評価する臨床試験の大部分がRECISTを使用している。
本明細書で使用される用量または量に用いられる「治療的に有効な」という用語は、それを必要としている対象に投与した際に所望の活性を生じさせるのに十分な化合物または医薬組成物の量を指す。本発明の文脈内では、「治療的に有効な」という用語が(例えば、PR作動薬あるいはSERMまたはSERDの量に関連して)使用される場合、これは、発現を遅らせ、進行を食い止め、本発明の方法によって治療される癌の少なくとも1つの症状を軽減または緩和させるのに十分な化合物またはそのような化合物を含む医薬組成物の量を指す。なお、有効成分の組み合わせを投与する場合、その組み合わせの有効量は個々に投与された場合に有効となる各成分の量を含んでいても含んでいなくてもよい。
「薬学的に許容される」という用語は、本発明の組成物に関連して使用される場合、哺乳類(例えば、ヒト)に投与した場合に生理学的に忍容性があり、かつ典型的には有害反応を生じない分子的実体およびそのような組成物の他の成分を指す。好ましくは、本明細書で使用される「薬学的に許容される」という用語は、哺乳類、より詳細にはヒトにおいて使用するために連邦政府または州政府の規制当局によって認可されているか米国薬局方または他の一般に認められている薬局方に列挙されていることを意味する。
本明細書で使用される「対象」という用語はあらゆる哺乳類を指す。好ましい実施形態では、対象はヒトである。
本発明によれば、当該技術分野の技術の範囲内の従来の分子生物学、微生物学および組換え型DNA技術を用いることができる。そのような技術は文献中に完全に説明されている。特に、例えば、Sambrook, Fritsch & Maniatis, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition (1989) Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York (本明細書では"Sambrookら, 1989")、DNA Cloning: A practical Approach, Volumes I and II (D.N. Glover ed. 1985)、Oligonucleotide Synthesis (MJ. Gait ed. 1984)、 Nucleic Acid Hybridization (B.D. Hames & S.J. Higgins eds. (1985)、Transcription and Translation (B.D. Hames & S.J. Higgins, eds. (1984)、 Animal Cell Culture (R.I. Freshney, ed. (1986); Immobilized Cells and Enzymes (1RL Press, (1986)、 B. Perbal, A practical Guide To Molecular Cloning (1984)、F.M. Ausubelら (eds.), Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, Inc. (1994)を参照されたい。
本発明の方法
一実施形態では、本発明は、(i)対象の癌細胞をプロゲステロン受容体(PR)作動薬の阻害作用に対して感作させるのに十分な有効量のクリダニモドまたはその塩もしくはエステルおよび(ii)治療的有効量のPR作動薬を対象に投与する工程を含む、それを必要としている対象における原発性のプロゲステロン受容体陰性(PR−)子宮内膜癌の治療方法を提供する。
別の実施形態では、本発明は、(i)対象の癌細胞を選択的エストロゲン受容体調節薬(SERM)または選択的エストロゲン受容体抑制薬(SERD)の阻害作用に対して感作させるのに十分な有効量のクリダニモドまたはその塩もしくはエステルおよび(ii)治療的有効量の選択的ER調節薬またはSERDを対象に投与する工程を含む、それを必要としている対象における原発性のエストロゲン受容体陰性(ER−)乳癌の治療方法を提供する。具体的な実施形態では、原発性のER−乳癌はトリプルネガティブ乳癌である。
本発明の上記方法において、クリダニモドまたはその塩もしくはエステルを単回1日量で、あるいは1日置きまたは1週間に2回投与することができる。1日量は0.5〜1000mg/kg/日、好ましくは1〜200mg/kg/日、最も好ましくは1〜50mg/kg/日(9−オキソアクリジン−10−酢酸に基づいて計算)の間で異なってもよい。具体的な1日投与量は、通常は処方医師によって決定され、その投与量は一般に個々の患者の年齢、体重および応答ならびに患者の症状の重症度によって異なる。
本発明の方法では、当該技術分野でよく知られている治療プロトコルに従ってPR作動薬あるいはSERMまたはSERDを投与することができる。これらの薬剤の投与は治療されている疾患、個々の患者のパラメータおよび観察される応答に応じて変更可能であることは当業者には明らかであろう。
上記方法のそれぞれの具体的な実施形態では、本方法は、原発性のPR−または原発性のER−癌状態を確認するために、対象から得られた癌試料におけるPRまたはERの発現レベルを決定する工程を含む。
好適な癌試料は、例えば限定されるものではないが、新鮮な組織試料、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)試料および凍結試料などの生検試料であってもよい。PRまたはERの発現レベルを決定するための各種方法としては、mRNAを用いる方法およびタンパク質を用いる方法が挙げられる。mRNAを用いる方法の非限定的な例としては、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(例えば、定量的リアルタイムPCR(qRT−PCR))を用いる方法、マイクロアレイ分析、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)アッセイ、ノーザンブロッティングおよび次世代配列決定法が挙げられる。タンパク質を用いる方法の非限定的な例としては、例えば、放射性標識したリガンドを用いる定量化(例えば、PichonおよびMilgrom, Cancer Res 1977; 37:464-471; De Goeijら, J Steroid Biochem 1988; 29(5):465-74に記載されている)または免疫検出(例えば、免疫ブロット法、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫組織化学染色(例えば、Fitzgibbonsら, Arch Pathol Lab Med. 2010; 134:930-935に記載されている))が挙げられる。PRまたはERを認識する抗体(ポリクローナルまたはモノクローナル)は、様々な商業的供給業者から購入したり、例えば、Harlowら, Antibodies: A Laboratory Manual, 2nd Ed; Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (1988)に記載されているような周知の方法を用いて製造したりすることができる。
本発明の治療方法を腫瘍の種類、患者の状態、他の健康問題および様々な因子に応じて、例えば外科手術、放射線療法、化学療法またはそれらの組み合わせなどのさらなる抗癌療法と併用することができる。特定の態様では、本発明の阻害剤との併用癌療法に有用な他の治療薬としては血管新生阻害剤が挙げられる。例えば、TNP−470、血小板因子4、トロンボスポンジン−1、組織メタロプロテアーゼ阻害物質(TIMP1およびTIMP2)、プロラクチン(16Kdの断片)、アンジオスタチン(プラスミノーゲンの38Kdの断片)、エンドスタチン、bFGF可溶性受容体、形質転換増殖因子β、インターフェロンα、可溶性KDRおよびFLT−1受容体、胎盤のプロリフェリン関連タンパク質、VEGF拮抗薬、VEGF受容体拮抗薬(抗VEGF抗体など)、VEGF変異体、可溶性VEGF受容体断片、VEGFまたはVEGFRを阻害することができるアプタマー、中和抗VEGFR抗体、VEGFRチロシンキナーゼ阻害剤およびそれらの任意の組み合わせ(例えば、抗hVEGF抗体A4.6.1、ベバシズマブまたはラニビズマブ)などの多くの血管新生阻害剤が同定されており、当該技術分野で知られている。Carmeliet and Jain (2000)も参照されたい。
本発明の併用療法で使用することができる化学療法化合物の非限定的な例としては、例えば、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナストロゾール、アスパラギナーゼ、bcg、ビカルタミド、ブレオマイシン、ブセレリン、ブスルファン、カンプトテシン(campothecin)、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、クロドロネート、コルヒチン、シクロホスファミド、シプロテロン、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ジエネストロール、ジエチルスチルベストロール、ドセタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、エストラムスチン(estramnustine)、エトポシド、エキセメスタン、フィルグラスチム、フルダラビン、フルオロウラシル、フルオキシメステロン、フルタミド、ゲムシタビン、ゲニステイン、ゴセレリン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イホスファミド、イマチニブ、インターフェロン、イリノテカン、イロノテカン(ironotecan)、レトロゾール、ロイコボリン、ロイプロリド、レバミゾール、ロムスチン、メクロレタミン、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、ニルタミド、ノコダゾール、オクトレオチド、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロネート、ペントスタチン、プリカマイシン、ポルフィマー、プロカルバジン、ラルチトレキセド、リツキシマブ、ストレプトゾシン、スラミン、テモゾロミド、テニポシド、チオグアニン、チオテパ、二塩化チタノセン、トポテカン、トラスツズマブ、トレチノイン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシンおよびビノレルビンが挙げられる。
これらの化学療法化合物をそれらの作用機序によって、例えば以下の群:代謝拮抗/抗癌剤、例えば、ピリミジン類似体(5−フルオロウラシル、フロクスウリジン、カペシタビン、ゲムシタビンおよびシタラビン)およびプリン類似体、葉酸拮抗剤および関連する阻害剤(メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチンおよび2−クロロデオキシアデノシン(クラドリビン))、抗増殖/有糸分裂阻害剤、例えば、ビンカアルカロイド(ビンブラスチン、ビンクリスチンおよびビノレルビン)を含む天然物、タキサン(パクリタキセル、ドセタキセル)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ノコダゾール、エポチロンおよびナベルビンなどの微小管阻害剤、エピジポドフィロトキシン(epidipodophyllotoxin)(エトポシド、テニポシド)、DNA損傷剤(アクチノマイシン、アムサクリン、アントラサイクリン、ブレオマイシン、ブスルファン、カンプトテシン、カルボプラチン、クロラムブシル、シスプラチン、シクロホスファミド、シトキサン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、ヘキサメチルメラミンオキサリプラチン(hexamethyhnelamineoxaliplatin)、イホスファミド(iphosphamide)、メルファラン、メクロレタミン(merchlorehtamine)、マイトマイシン、ミトキサントロン、ニトロソ尿素、プリカマイシン、プロカルバジン、タキソール、タキソテール、テニポシド、トリエチレンチオホスホルアミドおよびエトポシド(VP16))、抗生物質、例えば、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、イダルビシン、アントラサイクリン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)およびマイトマイシン、酵素(全身的にL−アスパラギンを代謝し、かつそれ自身のアスパラギンを合成する能力を有しない細胞を栄養枯渇させるL−アスパラギナーゼ)、抗血小板剤、抗増殖/抗有糸分裂アルキル化剤、例えば、ナイトロジェンマスタード(メクロレタミン、シクロホスファミドおよび類似体、メルファラン、クロラムブシル)、エチレンイミンおよびメチルメラミン(ヘキサメチルメラミンおよびチオテパ)、スルホン酸アルキル−ブスルファン、ニトロソ尿素(カルムスチン(BCNU)および類似体、ストレプトゾシン)、トラゼン−ダカルバジン(trazenes−dacarbazinine)(DTIC)、抗増殖/抗有糸分裂代謝拮抗剤、例えば、葉酸類似体(メトトレキサート)、白金配位複合体(シスプラチン、カルボプラチン)、プロカルバジン、ヒドロキシ尿素、ミトタン、アミノグルテチミド、アロマターゼ阻害剤(レトロゾール、アナストロゾール)、抗凝固剤(ヘパリン、合成のヘパリン塩および他のトロンビン阻害剤)、線維素溶解剤(例えば、組織プラスミノーゲン活性化因子、ストレプトキナーゼおよびウロキナーゼ)、アスピリン、ジピリダモール、チクロピジン、クロピドグレル、アブシキシマブ、抗遊走剤(antimigratory agent)、抗分泌剤(ブレベルジン(breveldin))、免疫抑制剤(シクロスポリン、タクロリムス(FK−506)、シロリムス(ラパマイシン)、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル)、抗血管新生化合物(例えば、TNP−470、ゲニステイン、ベバシズマブ)および増殖因子阻害剤(例えば、線維芽細胞増殖因子(FGF)阻害剤)、アンジオテンシン受容体遮断薬、一酸化窒素供与体、アンチセンスオリゴヌクレオチド、抗体(トラスツズマブ)、細胞周期阻害剤および分化誘導剤(トレチノイン)、mTOR阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤(ドキソルビシン(アドリアマイシン)、アムサクリン、カンプトテシン、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、エニポシド(eniposide)、エピルビシン、エトポシド、イダルビシンおよびミトキサントロン、トポテカン、イリノテカン)、増殖因子シグナル伝達キナーゼ阻害剤、ミトコンドリア機能障害誘導物質、およびクロマチン阻害剤(chromatin disrupter)に分類することができる。
本発明の医薬組成物および投与
上記方法に関連して、本発明は、(i)クリダニモドまたはその塩もしくはエステルおよび(ii)プロゲステロン受容体(PR)作動薬を含む医薬組成物を提供する。別の実施形態では、本発明は、(i)クリダニモドまたはその塩もしくはエステルおよび(ii)選択的エストロゲン受容体調節薬(SERM)または選択的エストロゲン受容体抑制薬(SERD)を含む医薬組成物を提供する。
2つ以上の組成物(1つがクリダニモドまたはその塩もしくはエステルである)が本発明の方法において同時投与される、単一の有効成分(すなわち、クリダニモドまたはその塩もしくはエステル、PR作動薬あるいはSERMまたはSERD)を含む医薬組成物も提供する。
クリダニモド(9−オキソアクリジン−10−酢酸、(9−オキソアクリジン10(9H)−イル)酢酸、9−オキソ−10(9H)アクリジン酢酸、2−(9−オキソアクリジン−10−イル)酢酸、および10−(カルボキシメチル)−9(10H)アクリドン(CMA)としても知られている、CAS38609−97−1、米国特許第3,681,360号も参照)は以下の構造を有する。
本出願で使用されるクリダニモドについて言及する場合、特に明記していない限り、その薬学的に許容される塩およびエステルも意味するものと理解すべきである。
クリダニモド塩を含む多数の医薬組成物が知られている。非限定的な例としては、クリダニモドナトリウム塩(Neovir製剤、ロシアの薬物登録(Register of Drugs of Russia)、薬物百科事典(Drugs Encyclopedia)、RDR−第11版、Chief-Redactor Vishkovskiy A.L., Moscow, RDR-2004, 1503)、9−オキソアクリジン−10−酢酸および塩形成剤/可溶化剤の混合物、例えば、メチルアミノアルコール(可溶化剤として1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトール(メグルミン)を含むシクロフェロン(Cycloferon)製剤、ロシアの薬物登録、薬物百科事典、RDR−第11版、Chief-Redactor Vishkovskiy A.L., Moscow, RDR-2004, 1503 pp.)またはN,N−ジメチルアミノイソプロピルグルコース、すなわち3−O−(N,N−ジメチルアミノ−n−プロピル−1,2:5,6−ジ−O−イソプロピリデン−α−,D−グルコフラノース(Anandin製剤、ロシア特許第2197248号)が挙げられる。
塩を形成する塩基から得られる薬学的に許容される塩を無機もしくは有機塩基を用いて得ることができる。無機塩基との塩としては、限定されるものではないが、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウムおよびマグネシウム塩が挙げられる。有機塩基との塩としては、限定されるものではないが、第一級、第二級、第三級および第四級アミン、例えば、アルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、置換アルキルアミン、ジ(置換アルキル)アミン、トリ(置換アルキル)アミン、アルケニルアミン、ジアルケニルアミン、トリアルケニルアミン、置換アルケニルアミン、ジ(置換アルケニル)アミン、トリ(置換アルケニル)アミン、シクロアルキルアミン、ジ(シクロアルキル)アミン、トリ(シクロアルキル)アミン、置換シクロアルキルアミン、ジ(置換シクロアルキル)アミン、トリ(置換シクロアルキル)アミン、シクロアルケニルアミン、ジ(置換シクロアルケニル)アミン、ジ(置換シクロアルケニル)アミン、アリールアミン、ジアリールアミン、トリアリールアミン、ヘテロアリールアミン、ジヘテロアリールアミン、トリヘテロアリールアミン、ヘテロシクリルアミン、ジヘテロシクリルアミン、トリヘテロシクリルアミン、混合されたジアミンおよびトリアミン(ここでは、アミン上の置換基の少なくとも1つは異なり、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルなどを含む群から選択される)の塩が挙げられる。2つまたは3つの置換基がそれらが結合する窒素原子と一緒になってヘテロシクリルまたはヘテロアリールを形成するアミンもここに含まれる。適当なアミンの非限定的な例としては、特に、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリ(イソプロピル)アミン、トリ(<<−プロピル)アミン、エタノールアミン、2−ジメチルアミノエタノール、トロメタミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、N−アルキルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、モルホリン、N−エチルピペリジンなどが挙げられる。適当なカチオンの非限定的な例は、特に、3−O−(N,N−ジメチルアミノ−n−プロピル)−1,2:5,6−ジ−O−イソプロピリデン−α,D−グルコフラノース、1−デオキシ−1−(エチルアミノ)−D−グルシトール(すなわち、エグルミン(eglumine))、1−デオキシ−1−(プロピルアミノ)−D−グルシトール、1−デオキシ−1−(ブチルアミノ)−D−グルシトール、1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−L−グルシトール、1−デオキシ−1−(エチルアミノ)−L−グルシトール、1−デオキシ−1−(プロピルアミノ)−L−グルシトールおよび1−デオキシ−1−(ブチルアミノ)−L−グルシトールのカチオンである。
クリダニモドのエステルとしては、限定されるものではないが、有機基Rによる酸のOH基の水素原子置換によって得られる化合物が挙げられる。好適なエステルの非限定的な例としては、限定されるものではないが、低級アルキル(すなわち、(CrC12)アルキル、特に、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチルおよびアミルエステル)、ならびにコリンおよび他の脂溶性アルコールとの9−オキソアクリジン−10−酢酸のエステルが挙げられる。生体内での生体膜を通る急速な浸透後に、これらの化合物は容易に加水分解されて遊離9−オキソアクリジン−10−酢酸になる。
本発明の組成物で使用することができるPR作動薬の非限定的な例としては、例えば、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、レボノルゲストレル、フロ酸モメタゾン、合成のプロゲスチンR5020およびプロゲステロンが挙げられる。本発明の組成物に使用することができるSERMの非限定的な例としては、例えば、タモキシフェン、トレミフェン、ラソフォキシフェン、ドロロキシフェン、ヨードキシフェンおよびEM800(Tremblayら, Endocrinology, 1998, 139: 111-118)が挙げられる。本発明の組成物に使用することができるSERDの非限定的な例としては、例えば、フルベストラント(フェソロデックス)(Wakelingら, Cancer Res., 1991, 51 :3867-3873; Howellら, Cancer, 2000, 89:817-825)、SR16234(TAS108)(Buzdar, Clinical Cancer Research, January 15, 2005 (Suppl.) ll :906s-908s)、ZK703(Hoffmannら, J. Natl. Cancer Inst., 2004, 96(3): 210-218)およびZK253(Hoffmannら, J. Natl. Cancer Inst., 2004, 96(3): 210-218)が挙げられる。
本発明の医薬組成物中の有効成分(クリダニモドまたはその塩もしくはエステル、PR作動薬あるいはSERMまたはSERD)を標準的な薬務に従って薬学的に許容される担体、賦形剤または希釈液と組み合わせてもよい。
本発明の医薬組成物を静脈内、筋肉内、腹膜内、皮下、直腸内および局所投与経路などで、経口または非経口的に投与することができる。本発明の医薬組成物を、治療を必要としている領域に局所的に投与することができる。例えば、限定されるものではないが、外科手術中の局所注入、注射、カテーテルまたは埋込物によって、これを達成してもよい。前記埋込物は例えば多孔性、無孔またはゼラチン状材料で作られていてもよく、シリコンゴム膜または繊維などの膜を含む。当該投与は、腫瘍または新生物組織あるいは新生物発生前組織を有する部位(または以前の部位)における直接注射によるものであってもよい。
本発明の方法で使用される医薬組成物は、経口使用に適した形態、例えば、錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性もしくは油性懸濁液、分散性粉末または顆粒、乳濁液、硬もしくは軟カプセル、シロップまたはエリキシル剤の形態で有効成分を含有することができる。経口使用を目的とした組成物は、医薬組成物の製造のための当該技術で知られている任意の方法に従って調製してもよく、そのような組成物は、薬学的に見た目および味の良い製剤を提供するために甘味料、着香料、着色料および保存料からなる群から選択される1種以上の薬剤を含有していてもよい。錠剤は、錠剤の製造に適した毒性のない薬学的に許容される賦形剤と混合された有効成分を含有する。これらの賦形剤は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウムなどの不活性な希釈液、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、コーンスターチまたはアルギン酸などの造粒剤および崩壊剤、例えば澱粉、ゼラチン、ポリビニルピロリドンまたはアカシアなどの結合剤、および例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクなどの滑沢剤であってもよい。錠剤はコーティングされていなくてもよく、あるいは薬物の味を隠すため、または消化管における崩壊や吸収を遅らせるために公知の技術によってコーティングされていてもよく、それにより、より長期間にわたる持続作用を得る。例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはヒドロキシプロピル−セルロースなどの水溶性の矯味材料またはエチルセルロースまたは酢酸酪酸セルロースなどの時間遅延材料を用いてもよい。
また、経口使用のための製剤は、有効成分が不活性な固体の希釈剤(solid diluent)、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリンと混合された硬ゼラチンカプセル、あるいは有効成分がポリエチレングリコールなどの水溶性担体または例えば落花生油、液体パラフィンまたはオリーブ油などの油媒体と混合された軟ゼラチンカプセルとして提供されてもよい。水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適した賦形剤と混合された活性材料を含有する。そのような賦形剤は、懸濁化剤、例えば、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴムおよびアラビアゴムであり、分散剤または湿潤剤は、天然に生じるホスファチド(例えば、レシチン)、またはアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合物(例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン)、またはエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合物(例えば、ヘプタデカエチレン−オキシセタノール(heptadecaethylene−oxycetanol))、またはエチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトールから得られる部分エステルとの縮合物(例えば、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール)、またはエチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトール無水物から得られる部分エステルとの縮合物(例えば、モノオレイン酸ポリエチレンソルビタン)である。水性懸濁液は、1種以上の防腐剤、例えばエチルまたはp−ヒドロキシ安息香酸n−プロピル、1種以上の着色料、1種以上の着香料、および1種以上の甘味料、例えばスクロース、サッカリンまたはアスパルテームも含有していてもよい。有効成分を植物油(例えば、落花生油、オリーブ油、胡麻油またはヤシ油)あるいは鉱油(例えば、液体パラフィン)に懸濁させることにより、油性懸濁剤を製剤化してもよい。油性懸濁剤は増粘剤、例えば蜜蝋、固形パラフィンまたはセチルアルコールを含有していてもよい。
味の良い経口製剤を得るために、上に記載したような甘味料および着香料を添加してもよい。ブチル化ヒドロキシアニソールまたはα−トコフェロールなどの抗酸化剤を添加して、これらの組成物を保存してもよい。
水の添加による水性懸濁液の調製に適した分散性粉末および顆粒により、分散剤または湿潤剤、懸濁化剤および1種以上の防腐剤と混合された有効成分が得られる。好適な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤は既に上に述べたものによって例示されている。さらなる賦形剤、例えば甘味料、着香料および着色料も存在していてもよい。アスコルビン酸などの抗酸化剤を添加して、これらの組成物を保存してもよい。
また、本発明の方法で使用される医薬組成物は水中油型油エマルションの形態であってもよい。油性相は植物油(例えば、オリーブ油または落花生油)、鉱油(例えば、液体パラフィン)またはこれらの混合物であってもよい。好適な乳化剤は、天然に生じるホスファチド(例えば、大豆レシチン)、および脂肪酸およびヘキシトール無水物から得られるエステルまたは部分エステル(例えば、モノオレイン酸ソルビタン)、および前記部分エステルとエチレンオキシドとの縮合物(例えば、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン)であってもよい。乳濁液は甘味料、着香料、防腐剤および抗酸化剤も含有していてもよい。
シロップおよびエリキシル剤は甘味料、例えばグリセリン、プロピレングリコール、ソルビトールまたはスクロースと共に製剤化してもよい。そのような製剤は粘滑剤、防腐剤、着香料、着色料および抗酸化剤も含有していてもよい。
本医薬組成物は無菌の注射用水溶液の形態であってもよい。用いることができる許容される媒体および溶媒は、水、リンゲル液および等張性塩化ナトリウム溶液である。また、無菌の注射用製剤は、有効成分が油性相に溶解された無菌の注射用水中油型マイクロエマルションであってもよい。例えば、最初に有効成分を大豆油およびレシチンの混合物に溶解してもよい。次いで油溶液を水およびグリセリン混合物の中に入れて処理し、マイクロエマルションを形成してもよい。局所ボーラス注射によって、注射用溶液またはマイクロエマルションを患者の血流に導入してもよい。
あるいは、本化合物の一定の循環血中濃度を維持するように溶液またはマイクロエマルションを投与すると有利であり得る。そのような一定の濃度を維持するために、連続的な静脈内送達装置を利用してもよい。そのような装置の例はDeltec CADD-PLUS(商標)モデル5400静脈内ポンプである。
本医薬組成物は、筋肉内および皮下投与のための無菌の注射用水性もしくは油性懸濁液の形態であってもよい。上に述べた好適な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を用いる公知の技術に従って、この懸濁液を製剤化してもよい。
また、無菌の注射用製剤は、例えば1,3−ブタンジオール溶液などの毒性のない非経口的に許容される希釈液または溶媒で調製した無菌の注射用溶液または懸濁液であってもよい。また、溶媒または懸濁媒として用いられる無菌の不揮発性油を従来通りに用いてもよい。この目的のために、合成のモノグリセリドまたはジグリセリドなどのあらゆる無刺激性の不揮発性油を用いてもよい。また、オレイン酸などの脂肪酸は注射剤の調製に使用される。
また、本発明の方法で使用される医薬組成物は、薬物の直腸内投与のための坐薬の形態であってもよい。これらの組成物は、本阻害剤と通常の温度では固体であるが直腸内温度では液体である好適な非刺激性の賦形剤とを混合して調製することができ、従ってそれが直腸で溶解して薬物が放出される。そのような材料としては、カカオ脂、グリセリンゼラチン、水添植物油、各種分子量のポリエチレングリコールとポリエチレングリコールの脂肪酸エステルとの混合物が挙げられる。
局所使用のために、クリーム、軟膏、ゼリー、溶液または懸濁液などを使用することができる。本明細書で使用される局所使用は、洗口剤および含嗽剤を含むことができる。
異なる医薬組成物として使用される場合、(i)クリダニモドまたはその塩もしくはエステルおよび(ii)PR作動薬あるいはSERMまたはSERD(「第2の薬剤」)を異なる経路で投与することができる。例えば、クリダニモドまたはその塩もしくはエステルを経口で投与してその良好な血中濃度を生じさせて維持してもよく、第2の薬剤を静脈内投与してもよい。可能であれば同じ医薬組成物としての投与様式および投与の適否の決定は、熟練した臨床医の知識の範囲に十分含まれる。当該技術分野で知られている確立されたプロトコルに従って初回投与を行うことができ、次いで、観察される効果に基づいて、熟練した臨床医によって投与量、投与様式および投与時間を修正することができる。第2の薬剤の具体的な選択は、担当医の診断および患者の状態および適当な治療プロトコルの担当医の判断によって決まる。
クリダニモドまたはその塩もしくはエステルおよび化学療法剤および/または放射線を同時に(1つ、2つまたはそれ以上の組成物として同時または本質的に同時に)投与しても連続的に投与してもよい。
治療効率を監視するために、放射線学的検査(例えば、CATまたはMRIスキャン)などの標準的な方法によって腫瘍(または転移)の大きさを測定することができ、連続測定値を使用して腫瘍の成長が減速またはさらには停止したか否かを判断することができる。治療の有効性の判断を助けるために疼痛などの疾患関連症状の軽減および全身状態の改善も使用することができる。
本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されている治療処置薬により、子宮内膜癌および/または乳癌腫瘍の大きさを、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%減少させる。本実施形態のさらに他の態様では、本明細書に開示されている治療処置薬により、子宮内膜癌および/または乳癌腫瘍の大きさを、例えば、約5%〜約100%、約10%〜約100%、約20%〜約100%、約30%〜約100%、約40%〜約100%、約50%〜約100%、約60%〜約100%、約70%〜約100%、約80%〜約100%、約10%〜約90%、約20%〜約90%、約30%〜約90%、約40%〜約90%、約50%〜約90%、約60%〜約90%、約70%〜約90%、約10%〜約80%、約20%〜約80%、約30%〜約80%、約40%〜約80%、約50%〜約80%または約60%〜約80%、約10%〜約70%、約20%〜約70%、約30%〜約70%、約40%〜約70%または約50%〜約70%減少させる。
本明細書に開示されている医薬組成物は、個体への通例の投与を可能にするのに十分な量で治療処置薬を含んでいてもよい。本実施形態の態様では、本明細書に開示されている医薬組成物は、例えば、少なくとも5mg、少なくとも10mg、少なくとも15mg、少なくとも20mg、少なくとも25mg、少なくとも30mg、少なくとも35mg、少なくとも40mg、少なくとも45mg、少なくとも50mg、少なくとも55mg、少なくとも60mg、少なくとも65mg、少なくとも70mg、少なくとも75mg、少なくとも80mg、少なくとも85mg、少なくとも90mg、少なくとも95mgまたは少なくとも100mgの治療処置薬であってもよい。本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されている医薬組成物は、例えば、少なくとも5mg、少なくとも10mg、少なくとも20mg、少なくとも25mg、少なくとも50mg、少なくとも75mg、少なくとも100mg、少なくとも200mg、少なくとも300mg、少なくとも400mg、少なくとも500mg、少なくとも600mg、少なくとも700mg、少なくとも800mg、少なくとも900mg、少なくとも1,000mg、少なくとも1,100mg、少なくとも1,200mg、少なくとも1,300mg、少なくとも1,400mgまたは少なくとも1,500mgの治療処置薬であってもよい。本実施形態のさらに他の態様では、本明細書に開示されている医薬組成物は、例えば、約5mg〜約100mg、約10mg〜約100mg、約50mg〜約150mg、約100mg〜約250mg、約150mg〜約350mg、約250mg〜約500mg、約350mg〜約600mg、約500mg〜約750mg、約600mg〜約900mg、約750mg〜約1,000mg、約850mg〜約1,200mgまたは約1,000mg〜約1,500mgの範囲であってもよい。本実施形態のさらに他の態様では、本明細書に開示されている医薬組成物は、例えば、約10mg〜約250mg、約10mg〜約500mg、約10mg〜約750mg、約10mg〜約1,000mg、約10mg〜約1,500mg、約50mg〜約250mg、約50mg〜約500mg、約50mg〜約750mg、約50mg〜約1,000mg、約50mg〜約1,500mg、約100mg〜約250mg、約100mg〜約500mg、約100mg〜約750mg、約100mg〜約1,000mg、約100mg〜約1,500mg、約200mg〜約500mg、約200mg〜約750mg、約200mg〜約1,000mg、約200mg〜約1,500mg、約5mg〜約1,500mg、約5mg〜約1,000mgまたは約5mg〜約250mgの範囲であってもよい。
本明細書に開示されている医薬組成物は、本明細書に開示されている治療処置薬を溶解するのに十分な量で溶媒、乳濁液または他の希釈液を含んでいてもよい。本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されている医薬組成物は、例えば、約90%(v/v)未満、約80%(v/v)未満、約70%(v/v)未満、約65%(v/v)未満、約60%(v/v)未満、約55%(v/v)未満、約50%(v/v)未満、約45%(v/v)未満、約40%(v/v)未満、約35%(v/v)未満、約30%(v/v)未満、約25%(v/v)未満、約20%(v/v)未満、約15%(v/v)未満、約10%(v/v)未満、約5%(v/v)未満または約1%(v/v)未満の量で溶媒、乳濁液または希釈液を含んでいてもよい。本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されている医薬組成物は、例えば、約1%(v/v)〜90%(v/v)、約1%(v/v)〜70%(v/v)、約1%(v/v)〜60%(v/v)、約1%(v/v)〜50%(v/v)、約1%(v/v)〜40%(v/v)、約1%(v/v)〜30%(v/v)、約1%(v/v)〜20%(v/v)、約1%(v/v)〜10%(v/v)、約2%(v/v)〜50%(v/v)、約2%(v/v)〜40%(v/v)、約2%(v/v)〜30%(v/v)、約2%(v/v)〜20%(v/v)、約2%(v/v)〜10%(v/v)、約4%(v/v)〜50%(v/v)、約4%(v/v)〜40%(v/v)、約4%(v/v)〜30%(v/v)、約4%(v/v)〜20%(v/v)、約4%(v/v)〜10%(v/v)、約6%(v/v)〜50%(v/v)、約6%(v/v)〜40%(v/v)、約6%(v/v)〜30%(v/v)、約6%(v/v)〜20%(v/v)、約6%(v/v)〜10%(v/v)、約8%(v/v)〜50%(v/v)、約8%(v/v)〜40%(v/v)、約8%(v/v)〜30%(v/v)、約8%(v/v)〜20%(v/v)、約8%(v/v)〜15%(v/v)または約8%(v/v)〜12%(v/v)の範囲の量で溶媒、乳濁液または他の希釈液を含んでいてもよい。
本明細書に開示されている医薬組成物中の本明細書に開示されている治療処置薬の最終濃度は、あらゆる所望の濃度であってもよい。本実施形態の一態様では、医薬組成物中の治療処置薬の最終濃度は治療的有効量であってもよい。本実施形態の他の態様では、医薬組成物中の治療処置薬の最終濃度は、例えば、少なくとも0.00001mg/mL、少なくとも0.0001mg/mL、少なくとも0.001mg/mL、少なくとも0.01mg/mL、少なくとも0.1mg/mL、少なくとも1mg/mL、少なくとも10mg/mL、少なくとも25mg/mL、少なくとも50mg/mL、少なくとも100mg/mL、少なくとも200mg/mL、少なくとも500mg/mL、少なくとも700mg/mL、少なくとも1,000mg/mLまたは少なくとも1,200mg/mLであってもよい。本実施形態の他の態様では、溶液中の本明細書に開示されている治療処置薬の濃度は、例えば、最大で1,000mg/mL、最大で1,100mg/mL、最大で1,200mg/mL、最大で1,300mg/mL、最大で1,400mg/mL、最大で1,500mg/mL、最大で2,000mg/mL、最大で2,000mg/mLまたは最大で3,000mg/mLであってもよい。本実施形態の他の態様では、医薬組成物中の治療処置薬の最終濃度は、例えば、約0.00001mg/mL〜約3,000mg/mL、約0.0001mg/mL〜約3,000mg/mL、約0.01mg/mL〜約3,000mg/mL、約0.1mg/mL〜約3,000mg/mL、約1mg/mL〜約3,000mg/mL、約250mg/mL〜約3,000mg/mL、約500mg/mL〜約3,000mg/mL、約750mg/mL〜約3,000mg/mL、約1,000mg/mL〜約3,000mg/mL、約100mg/mL〜約2,000mg/mL、約250mg/mL〜約2,000mg/mL、約500mg/mL〜約2,000mg/mL、約750mg/mL〜約2,000mg/mL、約1,000mg/mL〜約2,000mg/mL、約100mg/mL〜約1,500mg/mL、約250mg/mL〜約1,500mg/mL、約500mg/mL〜約1,500mg/mL、約750mg/mL〜約1,500mg/mL、約1,000mg/mL〜約1,500mg/mL、約100mg/mL〜約1,200mg/mL、約250mg/mL〜約1,200mg/mL、約500mg/mL〜約1,200mg/mL、約750mg/mL〜約1,200mg/mL、約1,000mg/mL〜約1,200mg/mL、約100mg/mL〜約1,000mg/mL、約250mg/mL〜約1,000mg/mL、約500mg/mL〜約1,000mg/mL、約750mg/mL〜約1,000mg/mL、約100mg/mL〜約750mg/mL、約250mg/mL〜約750mg/mL、約500mg/mL〜約750mg/mL、約100mg/mL〜約500mg/mL、約250mg/mL〜約500mg/mL、約0.00001mg/mL〜約0.0001mg/mL、約0.00001mg/mL〜約0.001mg/mL、約0.00001mg/mL〜約0.01mg/mL、約0.00001mg/mL〜約0.1mg/mL、約0.00001mg/mL〜約1mg/mL、約0.001mg/mL〜約0.01mg/mL、約0.001mg/mL〜約0.1mg/mL、約0.001mg/mL〜約1mg/mL、約0.001mg/mL〜約10mg/mLまたは約0.001mg/mL〜約100mg/mLの範囲であってもよい。
本明細書の態様は一つには、子宮内膜癌および/または乳癌に罹患している個体の治療を開示する。本明細書で使用される「治療すること」、「治療する」、「治療」などの用語は、個体における子宮内膜癌および/または乳癌の臨床的症状を減少させるか排除すること、あるいは個体における子宮内膜癌および/または乳癌の臨床的症状の発症を遅延させるか防止すること、あるいは子宮内膜癌および/または乳癌の進行を減速または停止させることを指す。例えば、「治療すること」という用語は、限定されるものではないが、腫瘍の大きさを、例えば、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも100%減少させること、あるいは患者の腫瘍量を排除するか減少させること、あるいは転移を防止、遅延または阻害することを含む、子宮内膜癌および/または乳癌の症状の減少を意味することができる。別の例として、「治療すること」という用語は、例えば所与の期間当たりの症状の数および/または症状の重症度を低下させることなど、子宮内膜癌および/または乳癌の症状を制御することを意味することができる。子宮内膜癌および/または乳癌に伴う実際の症状は良く知られており、限定されるものではないが、癌の位置、子宮内膜癌および/または乳癌の原因、子宮内膜癌および/または乳癌の重症度および/または子宮内膜癌および/または乳癌による影響を受けている細胞、組織もしくは器官などの因子を考慮して当業者によって決定することができる。当業者であれば、特定の種類の子宮内膜癌および/または乳癌に関連する適当な症状または指標を知っており、個体が本明細書に開示されているような治療の候補であるか否かを決定する方法を知っているであろう。
本実施形態の態様では、治療的有効量の本明細書に開示されている治療処置薬により、子宮内膜癌および/または乳癌に伴う症状を、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも100%減少させる。本実施形態の他の態様では、治療的有効量の本明細書に開示されている治療処置薬により、子宮内膜癌および/または乳癌に伴う症状を、例えば、最大で10%、最大で15%、最大で20%、最大で25%、最大で30%、最大で35%、最大で40%、最大で45%、最大で50%、最大で55%、最大で60%、最大で65%、最大で70%、最大で75%、最大で80%、最大で85%、最大で90%、最大で95%または最大で100%減少させる。本実施形態のさらに他の態様では、治療的有効量の本明細書に開示されている治療処置薬により、子宮内膜癌および/または乳癌に伴う症状を、例えば、約10%〜約100%、約10%〜約90%、約10%〜約80%、約10%〜約70%、約10%〜約60%、約10%〜約50%、約10%〜約40%、約20%〜約100%、約20%〜約90%、約20%〜約80%、約20%〜約20%、約20%〜約60%、約20%〜約50%、約20%〜約40%、約30%〜約100%、約30%〜約90%、約30%〜約80%、約30%〜約70%、約30%〜約60%または約30%〜約50%減少させる。
本実施形態のさらに他の態様では、本明細書に開示されている治療処置薬の治療的有効量は一般に約0.001mg/kg/日〜約100mg/kg/日の範囲である。本実施形態の態様では、本明細書に開示されている治療処置薬の有効量は、例えば、少なくとも0.001mg/kg/日、少なくとも0.01mg/kg/日、少なくとも0.1mg/kg/日、少なくとも1.0mg/kg/日、少なくとも5.0mg/kg/日、少なくとも10mg/kg/日、少なくとも15mg/kg/日、少なくとも20mg/kg/日、少なくとも25mg/kg/日、少なくとも30mg/kg/日、少なくとも35mg/kg/日、少なくとも40mg/kg/日、少なくとも45mg/kg/日または少なくとも50mg/kg/日であってもよい。本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されている治療処置薬の有効量は、例えば、約0.001mg/kg/日〜約10mg/kg/日、約0.001mg/kg/日〜約15mg/kg/日、約0.001mg/kg/日〜約20mg/kg/日、約0.001mg/kg/日〜約25mg/kg/日、約0.001mg/kg/日〜約30mg/kg/日、約0.001mg/kg/日〜約35mg/kg/日、約0.001mg/kg/日〜約40mg/kg/日、約0.001mg/kg/日〜約45mg/kg/日、約0.001mg/kg/日〜約50mg/kg/日、約0.001mg/kg/日〜約75mg/kg/日または約0.001mg/kg/日〜約100mg/kg/日の範囲であってもよい。本実施形態のさらに他の態様では、本明細書に開示されている治療処置薬の有効量は、例えば、約0.01mg/kg/日〜約10mg/kg/日、約0.01mg/kg/日〜約15mg/kg/日、約0.01mg/kg/日〜約20mg/kg/日、約0.01mg/kg/日〜約25mg/kg/日、約0.01mg/kg/日〜約30mg/kg/日、約0.01mg/kg/日〜約35mg/kg/日、約0.01mg/kg/日〜約40mg/kg/日、約0.01mg/kg/日〜約45mg/kg/日、約0.01mg/kg/日〜約50mg/kg/日、約0.01mg/kg/日〜約75mg/kg/日または約0.01mg/kg/日〜約100mg/kg/日の範囲であってもよい。本実施形態のさらに他の態様では、本明細書に開示されている治療処置薬の有効量は、例えば、約0.1mg/kg/日〜約10mg/kg/日、約0.1mg/kg/日〜約15mg/kg/日、約0.1mg/kg/日〜約20mg/kg/日、約0.1mg/kg/日〜約25mg/kg/日、約0.1mg/kg/日〜約30mg/kg/日、約0.1mg/kg/日〜約35mg/kg/日、約0.1mg/kg/日〜約40mg/kg/日、約0.1mg/kg/日〜約45mg/kg/日、約0.1mg/kg/日〜約50mg/kg/日、約0.1mg/kg/日〜約75mg/kg/日または約0.1mg/kg/日〜約100mg/kg/日の範囲であってもよい。
本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されている治療処置薬の有効量は、例えば、約1mg/kg/日〜約10mg/kg/日、約1mg/kg/日〜約15mg/kg/日、約1mg/kg/日〜約20mg/kg/日、約1mg/kg/日〜約25mg/kg/日、約1mg/kg/日〜約30mg/kg/日、約1mg/kg/日〜約35mg/kg/日、約1mg/kg/日〜約40mg/kg/日、約1mg/kg/日〜約45mg/kg/日、約1mg/kg/日〜約50mg/kg/日、約1mg/kg/日〜約75mg/kg/日または約1mg/kg/日〜約100mg/kg/日の範囲であってもよい。本実施形態のさらに他の態様では、本明細書に開示されている治療処置薬の有効量は、例えば、約5mg/kg/日〜約10mg/kg/日、約5mg/kg/日〜約15mg/kg/日、約5mg/kg/日〜約20mg/kg/日、約5mg/kg/日〜約25mg/kg/日、約5mg/kg/日〜約30mg/kg/日、約5mg/kg/日〜約35mg/kg/日、約5mg/kg/日〜約40mg/kg/日、約5mg/kg/日〜約45mg/kg/日、約5mg/kg/日〜約50mg/kg/日、約5mg/kg/日〜約75mg/kg/日または約5mg/kg/日〜約100mg/kg/日の範囲であってもよい。
液体および半固体製剤では、本明細書に開示されている子宮内膜癌および/または乳癌治療薬の濃度は典型的には約50mg/mL〜約1,000mg/mLであってもよい。本実施形態の態様では、本明細書に開示されている子宮内膜癌および/または乳癌治療薬の治療的有効量は、例えば、約50mg/mL〜約100mg/mL、約50mg/mL〜約200mg/mL、約50mg/mL〜約300mg/mL、約50mg/mL〜約400mg/mL、約50mg/mL〜約500mg/mL、約50mg/mL〜約600mg/mL、約50mg/mL〜約700mg/mL、約50mg/mL〜約800mg/mL、約50mg/mL〜約900mg/mL、約50mg/mL〜約1,000mg/mL、約100mg/mL〜約200mg/mL、約100mg/mL〜約300mg/mL、約100mg/mL〜約400mg/mL、約100mg/mL〜約500mg/mL、約100mg/mL〜約600mg/mL、約100mg/mL〜約700mg/mL、約100mg/mL〜約800mg/mL、約100mg/mL〜約900mg/mL、約100mg/mL〜約1,000mg/mL、約200mg/mL〜約300mg/mL、約200mg/mL〜約400mg/mL、約200mg/mL〜約500mg/mL、約200mg/mL〜約600mg/mL、約200mg/mL〜約700mg/mL、約200mg/mL〜約800mg/mL、約200mg/mL〜約900mg/mL、約200mg/mL〜約1,000mg/mL、約300mg/mL〜約400mg/mL、約300mg/mL〜約500mg/mL、約300mg/mL〜約600mg/mL、約300mg/mL〜約700mg/mL、約300mg/mL〜約800mg/mL、約300mg/mL〜約900mg/mL、約300mg/mL〜約1,000mg/mL、約400mg/mL〜約500mg/mL、約400mg/mL〜約600mg/mL、約400mg/mL〜約700mg/mL、約400mg/mL〜約800mg/mL、約400mg/mL〜約900mg/mL、約400mg/mL〜約1,000mg/mL、約500mg/mL〜約600mg/mL、約500mg/mL〜約700mg/mL、約500mg/mL〜約800mg/mL、約500mg/mL〜約900mg/mL、約500mg/mL〜約1,000mg/mL、約600mg/mL〜約700mg/mL、約600mg/mL〜約800mg/mL、約600mg/mL〜約900mg/mLまたは約600mg/mL〜約1,000mg/mLであってもよい。
投与は単回投与または累積的(連続投与)であってもよく、当業者によって容易に決定することができる。例えば、子宮内膜癌および/または乳癌の治療は、本明細書に開示されている医薬組成物の有効用量の1回限りの投与を含んでもよい。あるいは、子宮内膜癌および/または乳癌の治療は、例えば、1日1回、1日2回、1日3回、2、3日ごとに1回または1週間に1回などのある範囲の期間にわたって行われる医薬組成物の有効用量の複数回投与を含んでもよい。投与のタイミングは個体の症状の重症度などの因子によって個体ごとに異なってもよい。例えば、本明細書に開示されている医薬組成物の有効用量を不確定な期間にわたって1日1回または個体がもやは治療を必要としなくなるまで個体に投与することができる。当業者であれば、個体の状態を治療過程の全期間にわたって監視することができ、かつそれに応じて投与される本明細書に開示されている医薬組成物の有効量を調節することができることが分かるであろう。
本実施形態の態様では、本明細書に開示されている治療処置薬により、子宮内膜癌および/または乳癌の症状の頻度を、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%減少させる。本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されている治療処置薬により、所与の期間にわたる子宮内膜癌および/または乳癌の症状の頻度を、例えば、約10%〜約100%、約20%〜約100%、約30%〜約100%、約40%〜約100%、約50%〜約100%、約60%〜約100%、約70%〜約100%、約80%〜約100%、約10%〜約90%、約20%〜約90%、約30%〜約90%、約40%〜約90%、約50%〜約90%、約60%〜約90%、約70%〜約90%、約10%〜約80%、約20%〜約80%、約30%〜約80%、約40%〜約80%、約50%〜約80%、約60%〜約80%、約10%〜約70%、約20%〜約70%、約30%〜約70%、約40%〜約70%または約50%〜約70%減少させる。
一実施形態では、本明細書に開示されている子宮内膜癌および/または乳癌治療薬は、子宮内膜癌および/または乳癌に罹患している個体における癌細胞の数または腫瘍の大きさを同じ治療を受けていない患者と比較して、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%減少させることができる。本実施形態の他の態様では、子宮内膜癌および/または乳癌治療薬は、子宮内膜癌および/または乳癌に罹患している個体における癌細胞の数または腫瘍の大きさを同じ治療を受けていない患者と比較して、例えば、約10%〜約100%、約20%〜約100%、約30%〜約100%、約40%〜約100%、約50%〜約100%、約60%〜約100%、約70%〜約100%、約80%〜約100%、約10%〜約90%、約20%〜約90%、約30%〜約90%、約40%〜約90%、約50%〜約90%、約60%〜約90%、約70%〜約90%、約10%〜約80%、約20%〜約80%、約30%〜約80%、約40%〜約80%、約50%〜約80%、約60%〜約80%、約10%〜約70%、約20%〜約70%、約30%〜約70%、約40%〜約70%または約50%〜約70%減少させることができる。
薬物送達プラットフォームとしては、徐放薬物送達プラットフォームおよび持続放出薬物送達プラットフォームの両方が挙げられる。本明細書で使用される「徐放」という用語は、約7日間以上の期間にわたる本明細書に開示されている治療処置薬の放出を指す。本明細書で使用される「持続放出」という用語は、約7日間未満の期間にわたる本明細書に開示されている治療処置薬の放出を指す。
本実施形態の態様では、徐放薬物送達プラットフォームは本明細書に開示されている治療処置薬を、例えば、投与後約7日間、投与後約15日間、投与後約30日間、投与後約45日間、投与後約60日間、投与後約75日間または投与後約90日間の期間にわたって実質的にゼロ次放出動態で放出する。本実施形態の他の態様では、徐放薬物送達プラットフォームは本明細書に開示されている治療処置薬を、例えば、投与後少なくとも7日間、投与後少なくとも15日間、投与後少なくとも30日間、投与後少なくとも45日間、投与後少なくとも60日間、投与後少なくとも75日間または投与後少なくとも90日間の期間にわたって実質的にゼロ次放出動態で放出する。
本実施形態の態様では、徐放薬物送達プラットフォームは本明細書に開示されている治療処置薬を、例えば、投与後約7日間、投与後約15日間、投与後約30日間、投与後約45日間、投与後約60日間、投与後約75日間または投与後約90日間の期間にわたって実質的に1次放出動態で放出する。本実施形態の他の態様では、徐放薬物送達プラットフォームは本明細書に開示されている治療処置薬を、例えば、投与後少なくとも7日間、投与後少なくとも15日間、投与後少なくとも30日間、投与後少なくとも45日間、投与後少なくとも60日間、投与後少なくとも75日間または投与後少なくとも90日間の期間にわたって実質的に1次放出動態で放出する。
本実施形態の態様では、薬物送達プラットフォームは本明細書に開示されている治療処置薬を、例えば、投与後約1日間、投与後約2日間、投与後約3日間、投与後約4日間、投与後約5日間または投与後約6日間の期間にわたって実質的にゼロ次放出動態で放出する。本実施形態の他の態様では、薬物送達プラットフォームは本明細書に開示されている治療処置薬を、例えば、投与後最大で1日間、投与後最大で2日間、投与後最大で3日間、投与後最大で4日間、投与後最大で5日間または投与後最大で6日間の期間にわたって実質的にゼロ次放出動態で放出する。
本実施形態の態様では、薬物送達プラットフォームは本明細書に開示されている治療処置薬を、例えば、投与後約1日間、投与後約2日間、投与後約3日間、投与後約4日間、投与後約5日間または投与後約6日間の期間にわたって実質的に1次放出動態で放出する。本実施形態の他の態様では、薬物送達プラットフォームは本明細書に開示されている治療処置薬を、例えば、投与後最大で1日間、投与後最大で2日間、投与後最大で3日間、投与後最大で4日間、投与後最大で5日間または投与後最大で6日間の期間にわたって実質的に1次放出動態で放出する。
さらなる実施形態では、子宮内膜癌および/または乳癌治療薬およびその誘導体は、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、1週間、2週間、3週間、4週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月またはそれ以上の半減期を有する。
一実施形態では、子宮内膜癌および/または乳癌治療薬の投与期間は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月またはそれ以上である。さらなる実施形態では、投与が停止される期間は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月またはそれ以上である。
本実施形態の態様では、治療的有効量の本明細書に開示されている子宮内膜癌および/または乳癌治療薬により、個体における癌細胞集団および/または腫瘍細胞の大きさを、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも100%減少させる。本実施形態の他の態様では、治療的有効量の本明細書に開示されている子宮内膜癌および/または乳癌治療薬により、個体における癌細胞集団および/または腫瘍細胞の大きさを、例えば、最大で10%、最大で15%、最大で20%、最大で25%、最大で30%、最大で35%、最大で40%、最大で45%、最大で50%、最大で55%、最大で60%、最大で65%、最大で70%、最大で75%、最大で80%、最大で85%、最大で90%、最大で95%または最大で100%減少させる。本実施形態のさらに他の態様では、治療的有効量の本明細書に開示されている子宮内膜癌および/または乳癌治療薬により、個体における癌細胞集団および/または腫瘍細胞の大きさを、例えば、約10%〜約100%、約10%〜約90%、約10%〜約80%、約10%〜約70%、約10%〜約60%、約10%〜約50%、約10%〜約40%、約20%〜約100%、約20%〜約90%、約20%〜約80%、約20%〜約20%、約20%〜約60%、約20%〜約50%、約20%〜約40%、約30%〜約100%、約30%〜約90%、約30%〜約80%、約30%〜約70%、約30%〜約60%または約30%〜約50%減少させる。
医薬組成物または子宮内膜癌および/または乳癌治療薬は個体に投与される。個体は典型的にはヒトであるが、限定されるものではないが、飼い慣らされているか否かを問わずイヌ、ネコ、トリ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、爬虫類および他の動物などの動物であってもよい。典型的には、治療候補であるあらゆる個体はある種の子宮内膜癌および/または乳癌を有する候補である。処置前の評価は典型的には、当該処置の全ての関連するリスクおよび利点を開示する徹底的なインフォームドコンセントに加えて所定の問診(routine history)および身体検査を含む。
本明細書に開示されている治療処置薬またはそのような治療処置薬を含む組成物を固体製剤に調製してもよい。腸内投与または非経口投与に適した固体製剤としては、限定されるものではないが、カプセル、錠剤、丸剤、トローチ、ロゼンジ、吸入あるいは無菌の注射用溶液または分散液への再構成に適した粉末および顆粒が挙げられる。そのような投与を目的とした本明細書に開示されている治療処置薬または組成物を医薬組成物の製造の技術分野で知られているあらゆる方法に従って調製してもよい。そのような固体剤形では、治療処置薬は、(a)例えば、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウムなどの少なくとも1種の不活性な通例の賦形剤(または担体)あるいは(b)例えば、澱粉、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、イソマルトおよびケイ酸などの充填剤または増量剤、(c)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギナート(alignate)、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよびアカシアなどの結合剤、(d)例えばグリセリンなどの保水剤、(e)例えば、寒天、炭酸カルシウム、コーンスターチ、ジャガイモ澱粉、タピオカ澱粉、アルギン酸、ケイ酸塩と炭酸ナトリウムとの特定の複合体などの崩壊剤、(f)例えば、パラフィンなどの溶解遅延剤(solution retarder)、(g)例えば第四級アンモニウム処理剤(treatment)などの吸収促進剤(absorption accelerator)、(h)例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセリンなどの湿潤剤、(i)例えば、カオリンおよびベントナイトなどの吸着剤、(j)例えば、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムまたはそれらの混合物などの滑沢剤、および(k)緩衝剤と混合されていてもよい。錠剤はコーティングされていなくてもよく、消化管における崩壊や吸収を遅らせるために公知の技術によってコーティングされていてもよく、それにより、より長期間にわたる持続作用を得る。例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延材料を用いてもよい。固体製剤では、本明細書に開示されている治療処置薬の治療的有効量は、典型的には約0.0001%(w/w)〜約60%(w/w)、約0.001%(w/w)〜約40.0%(w/w)または約0.01%(w/w)〜約20.0%(w/w)であってもよい。
本明細書に開示されている治療処置薬またはそのような治療処置薬を含む組成物を半固体製剤に調製してもよい。半固体製剤としては、限定されるものではないが、軟膏、クリーム、硬膏(salve)およびゲルが挙げられる。そのような投与を目的とした本明細書に開示されている治療処置薬または組成物を医薬組成物の製造の技術分野で知られているあらゆる方法に従って調製してもよい。半固体製剤では、本明細書に開示されている治療処置薬の治療的有効量は、典型的には約0.0001%(w/v)〜約60%(w/v)、約0.001%(w/v)〜約40.0%(w/v)または約0.01%(w/v)〜約20.0%(w/v)であってもよい。また、半固体製剤では、本明細書に開示されている治療処置薬の治療的有効量は、典型的には約0.0001%(w/w)〜約60%(w/w)、約0.001%(w/w)〜約40.0%(w/w)または約0.01%(w/w)〜約20.0%(w/w)であってもよい。
本明細書に開示されている治療処置薬またはそのような治療処置薬を含む組成物を液体製剤に調製してもよい。腸内もしくは非経口投与に適した液体製剤としては、限定されるものではないが、溶液、シロップ、エリキシル剤、分散液、乳濁液および懸濁液が挙げられる。そのような投与を目的とした本明細書に開示されている治療処置薬または組成物を医薬組成物の製造の技術分野で知られているあらゆる方法に従って調製してもよい。そのような液体剤形としては、本明細書に開示されている治療処置薬または組成物は、(a)好適な水性もしくは非水性担体、(b)希釈液、(c)例えば、水、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、植物油(例えば、菜種油およびオリーブ油など)および注射可能な有機エステル(オレイン酸エチルなど)などの溶媒、および/または例えばレシチンのような界面活性剤または被覆剤などの流動化剤(fluidity agent)と混合されていてもよい。分散液および懸濁液の場合、特定の粒径を維持することにより流動性を制御することもできる。液体製剤では、本明細書に開示されている治療処置薬の治療的有効量は、典型的には約0.0001%(w/v)〜約60%(w/v)、約0.001%(w/v)〜約40.0%(w/v)または約0.01%(w/v)〜約20.0%(w/v)であってもよい。
シロップおよびエリキシル剤を甘味料、例えばグリセリン、プロピレングリコール、ソルビトールまたはスクロースと共に製剤化してもよい。そのような製剤は粘滑剤、防腐剤、着香料および着色料も含有していてもよい。
本明細書に開示されている治療処置薬を水性懸濁液の製造に適した賦形剤との混合物に懸濁させて液体懸濁剤を製剤化してもよい。そのような賦形剤は、懸濁化剤、例えばカルボキシルメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、天然ゴム、寒天、トラガカントゴムおよびアラビアゴムであり、分散剤または湿潤剤は、天然に生じるホスファチド(例えば、レシチン)、またはアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合物(例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン)、またはエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合物(例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール)、またはエチレンオキシドと脂肪酸由来の部分エステルとの縮合物(例えば、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン)であってもよい。
一実施形態では、各治療薬を、限定されるものではないが個々すなわち別個の剤形(例えば、カプセルまたは錠剤)としてそれのみで投与する例では、当該キットは、限定されるものではないが、本発明の組成物を構成している各治療薬を使用説明書と共に含む。さらなる実施形態では、当該包装が、投与のための説明書に沿って検討される場合に、限定されるものではないが治療薬の成分をそれぞれ投与する方法を明確に示す限り、治療薬の成分は、限定されるものではないが投与に適したあらゆる様式で包装されていてもよい。さらなる実施形態では、各治療薬またはそのような治療薬の組み合わせは、限定されるものではないが、カプセル、錠剤または他の固体もしくは液体製剤などの単一の投与可能な剤形に組み合わせられていてもよい。治療薬をパッケージとして個体に提供することができる。当該パッケージは容器であってもよく、例えば、限定されるものではないが、瓶、小缶、管または他の封入容器であってもよい。また、当該パッケージはブリスターパックなどの小包であってもよい。一実施形態では、個々または別個の投与量はブリスターパックの形態であってもよい。本実施形態の一態様では、ブリスターパックは、小さい消費財、食品および医薬品に使用されるいくつかの種類の既製のプラスチック包装用語である。さらなる実施形態では、ブリスターパックは、成形可能なウェブ、通常は熱成形可能なプラスチックでできた空洞またはポケットからなり、典型的には厚紙の台紙あるいはアルミニウム箔またはプラスチック製の蓋となるシールを含む。さらなる実施形態では、それ自体の上に折り重なるブリスターはクラムシェル型である。本実施形態の一態様では、ブリスターパックは医薬錠剤、カプセルまたはロゼンジのための単位用量包装として一般に使用される。一実施形態では、ブリスターパックは、貯蔵寿命要件およびある程度の異物混入防止のために防護壁を提供することができ、かつ癌治療薬の医師用のサンプルを包装するために使用することができる。
また、以下の実施例により本発明について説明および実証する。但し、本明細書のあらゆる箇所でのこれらおよび他の実施例の使用は単に例示のためのものであって、本発明またはあらゆる例示的用語の範囲および意味を決して限定するものではない。同様に、本発明は、本明細書に記載されているあらゆる特定の好ましい実施形態に限定されない。実際に、本明細書を読めば本発明の多くの修飾および変形が当業者には明らかになり得、趣旨または範囲において本発明から逸脱することなく、そのような変形を行うことができる。従って本発明は、添付の特許請求の範囲が権利を有する均等物の全範囲に沿ったそれらの特許請求の範囲の用語によってのみ限定されるものとする。
ホルモン療法は原発性の受容体陰性子宮内膜または乳癌患者において使用禁忌であり、かつ非論理的であるため、本発明まで、クリダニモドはこの特定の患者サブセットに使用されることはなかった(NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology(腫瘍学におけるNCCN臨床診療ガイドライン), Uterine Neoplasms, Version 1.2014, NCCN.orgおよびEndometrial Cancer: ESMO Clinical Practice Guidelines(子宮内膜癌:ESMO臨床診療ガイドライン), Ann Oncol 2013; 24 (Suppl 6))。
方法
細胞懸濁液および組織中のエストロゲン受容体(ER)およびプロゲステロン受容体(PR)を、放射性リガンド結合アッセイ(LBA)EORTC(1980年)参照法(ヒトの乳癌におけるホルモン受容体の評価のための基準の改訂版、オランダ癌協会において1979年3月16〜17日に開かれた第2回E.O.R.T.C.ワークショップのレポート、Eur J Cancer 16: 1513-1515)を用いてサイトゾルにおいてアッセイした。結果を1mgのサイトゾルタンパク質当たりのfmolとして表した。受容体陽性状態の分類のカットオフは10fmol/mgであった。
Dako ER/PR pharmDxキット(ER/PR pharm DXキット、Dako Corporation C; CA: 2008)を用いてERおよびPR受容体状態の免疫組織化学染色(IHC)アッセイを行った。免疫組織化学染色によって決定した場合に1%未満のER陽性(ER+)癌細胞を有する腫瘍を「エストロゲン受容体陰性(ER−)」とみなした。免疫組織化学染色によって決定した場合に1%未満のPR陽性(PR+)癌細胞を有する腫瘍を「プロゲステロン受容体陰性(PR−)」とみなした。
実施例1:PR作動薬とナトリウムクリダニモドとの併用は、PR作動薬に対する獲得耐性を有する続発性のPR陰性子宮内膜癌において限られた有効性しか有しないが、原発性のPR陰性子宮内膜癌において非常に有効である。
進行性および転移性子宮内膜癌(FIGOステージIII〜IV; Mutch. Gynecol Oncol. 2009, 115:325-328)を有する8人の患者を本研究に含めた。全ての患者が外科手術、化学療法または放射線療法の治療に適していなかった。当該患者の腫瘍組織試料をPRレベルについて評価した。3人の患者において原発性のプロゲステロン受容体陰性(PR−)癌が記録され、5人の患者において続発性のプロゲステロン受容体陰性(PR−)癌が記録された。全ての患者を、1日1回の500mgの用量の経口PR作動薬である酢酸メドロキシプロゲステロン(MPA)、および1週間に2回の500mgの用量の筋肉内注射によるナトリウムクリダニモド(SC)で治療した。全ての患者について本研究中にREC1ST1.0(www.recist.com; Therasseら, J. Natl. Cancer Inst., 2000, 92(3):205-216)基準による応答(「完全奏効」、「部分奏効」または「安定」)ならびに進行のない期間を推定した。当該治験の暫定結果を以下の表1に示す。
続発性のプロゲステロン受容体陰性(PR−)癌を有する患者において、5人の患者のうち2人のみが臨床的応答(1人が「部分的寛解」、もう1人が84〜136日間続く「安定」)を示した。対照的に、原発性のプロゲステロン受容体陰性(PR−)癌を有する3人全ての患者が239〜1414日間続く顕著な臨床的応答を示した。
実施例2:PR作動薬とナトリウムクリダニモドとの併用は、ヒトの原発性のPR陰性子宮内膜癌の動物モデルにおいて有意な抗腫瘍効果を有し、ヒトの続発性のPR陰性子宮内膜癌の動物モデルにおいて限られた有効性を有する。
上記臨床的所見を確認するために、ヒトの原発性および続発性のPR陰性癌の動物モデルにおいてクリダニモド/PR作動薬療法を試験した。
原発性のPR陰性子宮内膜癌のマウスモデル:40匹の8週齢の雌の免疫不全BNXヌードマウス(Harlan Laboratories社)に、5×106個のヒトの原発性のPR陰性子宮内膜癌細胞HEC−1Bを含む0.1mlのマトリゲルを両脇腹に皮下注射して、1匹のマウス当たり2つの腫瘍を形成した。注射の翌日に治療を開始し、5週間後に中止した。コホート(10匹のマウス/群)に以下のいずれかを投与した。
1)ビヒクル対照群:ビヒクルのみ、0.9%塩化ナトリウムを1日置きに筋肉内注射し、かつ5日/週で腹腔内注射する
2)MAのみの対照群:酢酸メゲストロール(MA)(10mg/日)を5日/週で腹腔内注射する
3)SCのみの対照群:ナトリウムクリダニモド(SC)(0.3mg/kg)を1日置きに筋肉内注射する
4)併用群(MA+SC):酢酸メゲストロール(MA)(10mg/日)を5日/週で腹腔内注射し、かつナトリウムクリダニモド(SC)(0.3mg/kg)を1日置きに筋肉内注射する
腫瘍を1週に1回ノギスで測定した。腫瘍の大きさを式:A(長さ)×B(幅)×C(身長)×0.5236を用いて計算した。各動物コホートにおける20個の腫瘍の平均±SDを以下の表2に示す。
表2に示すように、腫瘍体積は、実験群(MA+SC併用治療)と3週目に開始する対照群との間で有意に異なった(P<0.05)。従って、PR作動薬とナトリウムクリダニモドとの併用は、ヒトの原発性のPR陰性子宮内膜癌に対する抗腫瘍効果を顕著に高めた。
続発性のPR陰性子宮内膜癌のモデル:ヒトの子宮内膜癌細胞の続発性のプロゲスチン耐性サブクローンを得るために、最初にプロゲスチン感受性のPR陽性結果の親のIshikawa細胞を、5%CO2の加湿雰囲気中37℃で、4週間ごとにMPA濃度を2.5μΜずつ増加させながら(1.0〜10μΜ)、5%ウシ胎児血清および酢酸メドロキシプロゲステロン(MPA)を添加したDMEM/F12培地中で通常通りに培養した。生存細胞が高密度まで増殖したが、まだ集密未満である場合、ハンクス液で調製した0.02%EDTAおよび0.25%トリプシンを用いて細胞をサブクローニングした。MPAを含む培地を2〜3日ごとに交換した。MPAを含まない培地中で増殖している最初のIshikawa細胞と同じ倍加時間で10μΜのMPA中で増殖している細胞を続発性のプロゲスチン耐性Ishikawa細胞とみなした。細胞のPRレベルをLBAで測定すると1mgのタンパク質当たり2fmolであり、得られた細胞をPR陰性として分類した。
2×106個の続発性のPR陰性Ishikawa細胞を含む100μlのマトリゲルを雌のMF−1ヌードマウスの脇腹に接種した。腫瘍が約100mm3に達したら(「0」日目)、動物を6匹のマウスからなる4つの群にランダムに割り当て、以下のいずれかで治療した。
1)ビヒクル対照群:ビヒクルのみ、0.9%塩化ナトリウムを1日置きに筋肉内注射し、かつ5日/週で腹腔内注射する
2)MPAのみの対照群:酢酸メドロキシプロゲステロン(MPA)(250mg/kg/日)を5日/週で腹腔内注射する
3)SCのみの対照群:ナトリウムクリダニモド(SC)(0.3mg/kg)を1日置きに筋肉内注射する
4)併用群(MPA+SC):MPA250mg/kg/日を5日/週で腹腔内注射し、かつSC0.3mg/kgを1日置きに筋肉内注射する
腫瘍を1週に1回ノギスで測定した。修正された楕円体の式:(長さ(mm)×幅(mm)2)/2を用いて、腫瘍体積(mm3)計算した。各動物について「n日目における腫瘍体積」の「0日目における腫瘍体積」に対する比(割合)を計算した。実験の終了時(35日目)に動物を安楽死させた。これらの治療の結果を以下の表3に示す。
表3に示すように、ビヒクル対照治療群における腫瘍は治療の開始時である「0日目」と比較して35日後に大きさが1112±118%増加した。MPAとSCとの併用(MPA+SC)群は、対応する対照群との統計的有意差を示さなかった。従って、PR作動薬とナトリウムクリダニモドとの併用は、ヒトの続発性のPR陰性子宮内膜癌に対して統計的に有意な抗腫瘍効果を有していない。
上記動物データは、PR作動薬とナトリウムクリダニモドとの併用が原発性のPR陰性子宮内膜癌において有意な抗腫瘍効果を有し、かつ続発性のPR陰性子宮内膜癌において限られた有効性を有するという本発明者らの臨床所見を確証している。
実施例3:タモキシフェンとナトリウムクリダニモドとの併用は、原発性のER陰性の乳癌の治療にとって非常に有効である。
外科手術、化学療法または放射線療法に適していない原発性のPR/ER陰性(LBAおよびICH法を用いて診断)およびHER2陰性(IHC、Dako(DakoCytomation)社のHercepTestで測定)、すなわちステージIII〜IVのトリプルネガティブ乳癌(TNBC)を有する9人の女性(48〜69歳)を、最初の4週間の間に500mgの用量で1週間に2回筋肉内(i.m.)注射されるナトリウムクリダニモド溶液と併用されるタモキシフェン(経口で40mg/日)で治療した。ナトリウムクリダニモドの中断後、患者はタモキシフェンのみを摂取し続けた。その応答を8週間ごとにRECIST1.0基準(www.recist.com; Therasseら, J. Natl. Cancer Inst., 2000, 92(3):205-216)に従って評価した。当該治験の暫定結果を以下の表4に示す。
表4に実証されているように、9人の女性のうち7人が2〜8ヶ月間継続する「部分奏効」を示し、2人の症例において「安定」が記録された。これらのデータは、現在不治とみなされているTNBCステージIII〜IVの患者のための治療法としてのクリダニモドとタモキシフェンなどの選択的ER調節薬とを併用するための基礎を提供する。
実施例4:抗エストロゲン薬タモキシフェンとナトリウムクリダニモドとの併用は、ヒトの原発性のER陰性乳癌の動物モデルにおいて有意な抗腫瘍効果を有する。
MDA−MB−468(ATCC寄託番号ATCC(登録商標)HTB−132、Neveら, Cancer Cell 2006, 10:515-527)腫瘍細胞(ヒトの原発性のER陰性乳癌の異種移植片)を、空気中に5%CO2の雰囲気下37℃で、10%熱不活性化ウシ胎児血清、100U/mlペニシリンおよび100μg/mlストレプトマイシンおよびL−グルタミン(2mM)を添加したL−15培地において単層培養物として生体外で維持した。腫瘍細胞を通常通りに1週間に2回トリプシン−EDTA処理によって継代培養した。腫瘍接種のために、指数増殖相において増殖する細胞を回収して計数した。
6〜8週齢の雌のBALB/cヌードマウス(Shanghai Sino-British SIPPR/BK Laboratory Animal社)の右脇腹に、腫瘍成長のためにMDA−MB−468腫瘍細胞(1×107)を含むBDマトリゲルを添加した0.2mlのPBS(1:1)を皮下接種した。平均的な腫瘍の大きさが約170mm3に達した腫瘍の接種から17日目に、当該治療を開始した。タモキシフェン(TAMのクエン酸塩として)を0.5%メチルセルロース水溶液として強制経口投与によって毎日投与し、クリダニモド(ナトリウム塩として、SC)をpH8.1のクエン酸緩衝液として1週間に2回(月曜日および木曜日)筋肉内注射した。各群は8匹の腫瘍を有するマウスからなっていた。
腫瘍の大きさをノギスを用いて2箇所の寸法で1週間に2回測定し、その体積を式:V=0.5a×b2(式中、aおよびbはそれぞれ腫瘍の長い直径および短い直径である)を用いてmm3で表した。
式:TGI(%)=[1−(Ti−T0)/(Vi−V0)]×100%(Tiは所定の日における治療群の平均腫瘍体積であり、T0は治療開始日における治療群の平均腫瘍体積であり、ViはTiと同日におけるビヒクル対照群の平均腫瘍体積であり、V0は治療開始日におけるビヒクル群の平均腫瘍体積である)を用いて、腫瘍成長阻害率(TGI)を各群について計算した。有意性のレベルを0.05と推定した。試験物を投与し、異なるマウス群における21日目における用量および腫瘍成長阻害データを表5に示す。
表5に示すように、腫瘍体積は、実験(SC+TAM併用治療)群と対照群との間で有意に異なった。従って、抗エストロゲン薬とナトリウムクリダニモドとの併用は、ヒトの原発性のER陰性乳癌に対する抗腫瘍効果を顕著に高めた。
締め括りとして、当然のことながら、本明細書の態様は具体的な実施形態を参照することにより強調されているが、当業者にはこれらの開示されている実施形態は本明細書に開示されている主題の原理の単なる例示であることが容易に分かるであろう。従って、当然のことながら、開示されている主題は本明細書に記載されている特定の方法、プロトコルおよび/または試薬などに決して限定されない。従って、本明細書の趣旨から逸脱することなく本明細書中の教示に従って、開示されている主題の他の構成への各種修飾または変形を行うことができる。最後に、本明細書で使用される用語は、単に特定の実施形態について説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するためのものではなく、本発明の範囲は特許請求の範囲によってのみ定義される。従って、本発明は詳細に図示および説明されているものに限定されない。
本発明者らに知られている本発明を実施するための最良の形態を含む本発明の特定の実施形態が本明細書に記載されている。当然ながら、これらの記載されている実施形態の変形は、上記説明を読めば当業者には明らかになるであろう。本発明者らは、当業者がそのような変形を必要に応じて採用することを想定しており、本発明者らは、本明細書に具体的に記載されているものとは異なる方法で本発明が実施されることを意図している。従って、本発明は、本明細書に添付されている特許請求の範囲に列挙されている主題の全ての修正および均等物を適用法により認められるものとして含む。さらに、本明細書に特に指示がない限り、あるいはそうでなければ文脈に明らかに矛盾しない限り、その全ての可能な変形における上記実施形態の任意の組み合わせが本発明により包含される。
本発明の他の実施形態、要素または工程のグループ化は、限定として解釈されるべきではない。各グループの構成要素は、個々に、あるいは本明細書に開示されている他のグループの構成要素と任意に組み合わせて参照および特許請求することができる。グループの1つ以上の構成要素は、利便性および/または特許性のために、グループに含めたり、そこから削除したりすることができるものと想定される。任意のそのような包含または削除が生じた場合、本明細書は、そのグループを修正されたものとして含むため、添付の特許請求の範囲で使用されている全てのマーカッシュ群の記載を満たすものとみなされる。
特に指示がない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用されている特徴、項目、量、パラメータ、性質、用語などを表す全ての数は、「約」という用語により全ての場合において修正されるものとして理解されるべきである。本明細書で使用される「約」という用語は、そのように修飾された特徴、項目、量、パラメータ、性質または用語が当業者によって決定され、かつ一つには値の測定または決定方法、すなわち測定システムの限界によって決まる特定の値の許容される誤差範囲内であることを意味する。例えば、「約」は、当該技術分野における実施に関して許容される標準偏差内であることを意味することができる。あるいは、「約」は、所与の値の最大±20%、好ましくは最大±10%、より好ましくは最大±5%、より好ましくはさらに最大±1%の範囲であることを意味することができる。あるいは、特に生物系または生物学的プロセスに関して、その用語は、値の倍数、好ましくは2倍以内であることを意味することができる。従って、特にそれに反する指示がない限り、本明細書および添付の特許請求の範囲に記載されている数値パラメータは変動し得る近似値である。少なくとも、特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限しようとするものではなく、各数値表示は、少なくとも、報告されている有効数字の数を考慮し、かつ通常の丸め技術を適用して解釈されるべきである。本発明の広い範囲を示す数値範囲および値は近似値であるにも関わらず、具体的な実施例に記載されている数値範囲および値は、可能な限り正確に報告されている。但し、任意の数値範囲または値は、それらの各試験測定値に見られる標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を本質的に含む。本明細書における値の数値範囲の記載は単に、その範囲に含まれる各別個の数値を個々に述べるのを省略する方法としての役割を担うものである。本明細書に特に指示がしない限り、数値範囲の各個々の値は、あたかも本明細書に個々に列挙されているかのように本明細書に組み込まれている。
本発明を記載する文脈(特に、以下の特許請求の範囲の文脈)で使用される「1つの(a)」「1つの(an)」「その(前記)(the)」という用語および同様の指示対象は、本明細書に特に指示がない限り、あるいは文脈に明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方を包含するものと解釈されるべきである。本明細書に記載されている全ての方法は、本明細書に特に指示がない限り、あるいは文脈に明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で実施することができる。本明細書に提供されているありとあらゆる例または例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、単に本発明をより良く理解するためのものであり、特許請求の範囲に別段の記載がない限り、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書中のいずれの言葉も、あらゆる特許請求されていない要素を本発明の実施に必須なものであることを示すものとして解釈されるべきではない。
本明細書に開示されている具体的な実施形態は、「〜からなる(consist of language)」または「本質的に〜からなる(consist essentially of language)」を使用して、特許請求の範囲においてさらに限定することができる。特許請求の範囲で使用されている場合、出願であるか補正による追加であるかに関わらず、「〜なる(consist of)」という移行用語は、特許請求の範囲に明記されていないあらゆる要素、工程または成分を排除する。「本質的に〜からなる(consist essentially of)」という移行語は、請求項を明記されている材料または工程および基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を与えないものに限定する。そのように特許請求されている本発明の実施形態は、本明細書中に本質的かつ明確に記載されており、実施可能である。
本明細書において参照および特定されている全ての特許、特許公開公報および他の刊行物は、例えば、本発明に関連して使用され得るそのような刊行物に記載されている組成物および方法論を記述および開示するために、個々に、かつ明確に参照により本明細書に組み込まれる。これらの刊行物は単に、本出願の出願日より前のそれらの開示のために提供されている。この点に関してはいずれも、先願発明であるという理由で、あるいはあらゆる他の理由のために、本発明者らがそのような開示に先行する権利がないということを認めるものとして解釈されるべきではない。これらの文献の内容に関して日付または表現に関する全ての記載は、本出願人に利用可能な情報に基づくものであり、これらの文献の日付または内容の正確性について認めるものではない。