詳細な説明
Clostridium difficileバイナリトキシンは、2つの異なるタンパク質、CDTaおよびCDTbを含んでなる。CDTaは2つのドメインを含んでなるが、C末端ドメインはADPリボシルトランスフェラーゼ活性に関与し、N末端ドメインはCDTbとの相互作用に関与する。
感染時に、CDTbはキモトリプシン様プロテアーゼによるタンパク質分解性切断により活性化され、プロドメインを欠いたCDTbタンパク質を生じる(CDTb”と称される)。CDTb”はCDTbシグナル配列も欠失していることに注目すべきである。シグナル配列を欠失しているがプロドメインは欠失していないCDTbタンパク質はCDTb’と称される。タンパク質分解による活性化後、CDTbはオリゴマー化し、CDTaと結合して完全なC.ディフィシルバイナリトキシン(CDT)を形成する。バイナリトキシンと細胞受容体との結合は、受容体依存性エンドサイトーシスを引き起こす。エンドソームは酸性となっているので、CDTb結合ドメインは、CDTbオリゴマーの膜孔形成を可能にする立体構造変化を受け、その膜孔形成がADPリボシルトランスフェラーゼドメイン(CDTa)の標的細胞内への移行を引き起こす。
ある態様において、本発明は、膜孔形成能力を改変するように変異させた、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質を含有する免疫原性組成物を提供する。
「膜孔形成能力を改変するように変異させたCDTbタンパク質」という用語は、CDTbタンパク質が膜孔を形成する能力を改変するように変異させたCDTbタンパク質を表す。
ある実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質は、膜孔形成能力を低下させるように変異していた。
膜孔形成能力は、The J. of Biol. Chem. 2001, vol. 276 : 8371-8376, PNAS 2004, vol. 101 : 16756-16761、またはThe J. of Biol. Chem. 2008, vol. 283 : 3904-3914に記載の方法に従って分析することができる。
この態様において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質は、βバレル構造の形成を防ぐように変異している可能性があるが、このβバレル構造は、CDTbのオリゴマー化で生じる七量体の中に含まれる、それぞれのCDTbモノマーで共有されるβストランドで構成されるものである。この態様において、CDTbタンパク質は、シグナルペプチドが除去されたトランケート型CDTbタンパク質であってもよい。
「シグナルペプチドが除去されたトランケート型CDTbタンパク質」という用語は、実質的にシグナルペプチドのすべてが除去されたCDTbタンパク質を意味する(したがって、このタンパク質はシグナルペプチドの実質的にすべてに相当するアミノ酸を含まない)。たとえば、「シグナルペプチドが除去されたトランケート型CDTbタンパク質」という用語は、シグナルペプチドのアミノ酸のうち少なくとも25個が除去されたCDTbタンパク質を指す。シグナルペプチドのアミノ酸が少し残存していてもよい。たとえば、シグナルペプチドの2、5、10、15、または20個のアミノ酸が残存していてもよい。
「シグナルペプチドが除去されプロドメインが除去されたトランケート型CDTbタンパク質」という用語は、シグナルペプチドおよびプロドメインの実質的にすべてが除去されたCDTbタンパク質を表す(したがって、このタンパク質は、シグナルペプチドの実質的にすべて、およびプロドメインの実質的にすべてに相当するアミノ酸を含まない)。たとえば、「シグナルペプチドが除去されプロドメインが除去されたトランケート型CDTbタンパク質」という用語は、シグナルペプチドのすべてが除去され、プロドメインのアミノ酸のうち少なくとも85個が除去された、CDTbタンパク質を表す。シグナルペプチドおよび/またはプロドメインの少数のアミノ酸が残存していてもよい。たとえば、シグナルペプチドの2、5、10、15、または20個のアミノ酸が残存していてもよい。たとえば、プロドメインの2、5、10、15、または20個のアミノ酸が残存していてもよい。CDTbのシグナルペプチドは、配列番号3のアミノ酸1-48(アミノ酸1-42を包含する)に相当するか、または、C.ディフィシルの別の菌株から単離されたバイナリトキシンタンパク質において同等なもの、たとえばCD196株由来CDTbのアミノ酸配列のアミノ酸1-42に相当する(Perelle, M. et al Infect. Immun., 65 (1997), pp. 1402-1407)。CDTbのプロドメインは、配列番号3のアミノ酸48-211(アミノ酸48-166を包含する)に相当するか、または、C.ディフィシルの別の菌株から単離されたバイナリトキシンタンパク質において同等なものに相当する。
ある実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質は、配列番号3の455位、またはC.ディフィシルの別の菌株においてそれと同等の位置に変異を有する。この態様の別の実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質は、配列番号3の426位、またはC.ディフィシルの別の菌株においてそれと同等の位置に変異を有する。この態様の別の実施形態において、クロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質は、配列番号3の453位、またはC.ディフィシルの別の菌株においてそれと同等の位置に変異を有する。この態様の別の実施形態において、クロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質は、配列番号3の426位および453位、またはC.ディフィシルの別の菌株においてそれと同等の位置に変異を有する。
ある実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質は、F455R、F455G、E426A、およびD453Aからなる1群から選択される少なくとも1つの変異を有する。「F455R」は、配列番号3のCDTb配列の455位のフェニルアラニン(F)がアルギニン(R)に変異していることを意味する。「F455G」は、配列番号3のCDTb配列の455位のフェニルアラニン(F)がグリシン(G)に変異していることを意味する。「E426A」は、配列番号3のCDTb配列の426位のグルタミン酸(E)がアラニン(A)に変異していることを意味する。「D453A」は、配列番号3のCDTb配列の453位のアスパラギン酸(D)がアラニン(A)に変異していることを意味する。この態様のある実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質は、変異F455R、またはC.ディフィシルの別の菌株における同等の変異を有する。この態様のある実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質は、変異F455G、またはC.ディフィシルの別の菌株における同等の変異を有する。この態様のある実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質は、変異E426AおよびD453A、またはC.ディフィシルの別の菌株における同等の変異を有する。
ある実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質は、
(i)配列番号10もしくは配列番号11もしくは配列番号25もしくは配列番号26;または
(ii)配列番号10もしくは配列番号11もしくは配列番号25もしくは配列番号26に対して少なくとも80%、85%、88%、90%、92%、95%、98%、99%、100%の配列同一性を有する、CDTbのバリアント;または
(iii)配列番号10もしくは配列番号11もしくは配列番号25もしくは配列番号26の少なくとも30、50、80、100、120、150、200、250、または300個の隣接するアミノ酸を有する、CDTbの断片
であるかまたは、それを含む。
ある実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質は、
(i)配列番号43もしくは配列番号44;または
(ii)配列番号43もしくは配列番号44に対して少なくとも80%、85%、88%、90%、92%、95%、98%、99%、100%の配列同一性を有する、CDTbのバリアント;または
(iii)配列番号43もしくは配列番号44の少なくとも30、50、80、100、120、150、200、250、または300個の隣接するアミノ酸を有する、CDTbの断片
であるかまたは、それを含む。
このような態様において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質が、配列番号10もしくは配列番号11もしくは配列番号25もしくは配列番号26に対して少なくとも80%、85%、88%、90%、92%、95%、98%、99%、100%の配列同一性を有するCDTbのバリアントである、免疫原性組成物が与えられる。
このような態様において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質が、配列番号43もしくは配列番号44に対して少なくとも80%、85%、88%、90%、92%、95%、98%、99%、100%の配列同一性を有するCDTbのバリアントである、免疫原性組成物が与えられる。
別の態様において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質が、配列番号10もしくは配列番号11もしくは配列番号25もしくは配列番号26の少なくとも30、50、80、100、120、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、または850個の隣接するアミノ酸を有するCDTbの断片である、免疫原性組成物が与えられる。
別の態様において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質が、配列番号43もしくは配列番号44の少なくとも30、50、80、100、120、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、または650個の隣接するアミノ酸を有するCDTbの断片である、免疫原性組成物が与えられる。
本発明はまた、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質を含有する免疫原性組成物を与えるが、このタンパク質は、シグナルペプチドおよびプロドメインが除去され、受容体結合ドメインも除去され、ならびに/またはCDTa結合ドメインが除去されたトランケート型CDTbタンパク質である。
「シグナルペプチドおよびプロドメインが除去され、受容体結合ドメインも除去され、ならびに/またはCDTa結合ドメインが除去されたトランケート型CDTbタンパク質」という用語は、シグナルペプチドおよびプロドメインが除去されたトランケート型CDTbタンパク質であって、その受容体結合ドメインおよび/またはCDTa結合ドメインも除去されている前記タンパク質を意味する。それは、配列番号3、またはその断片もしくはバリアントを指すが、この断片もしくはバリアントは、シグナルペプチドおよびプロドメインの実質的にすべてが除去され(したがって、シグナル配列の実質的にすべて、およびプロドメインの実質的にすべてに相当するアミノ酸を含有せず)、さらに受容体結合ドメインも実質的にすべて除去されており、ならびに/またはCDTa結合ドメインの実質的にすべてが除去されている(したがってこれは、受容体結合ドメインの実質的にすべてに相当するアミノ酸を含有せず、ならびに/またはCDTa結合ドメインの実質的にすべてに相当するアミノ酸を含有しない)。たとえば、「シグナルペプチドが除去されプロドメインが除去されたトランケート型CDTbタンパク質」という用語は、シグナルペプチドのすべてが除去され、プロドメインのアミノ酸のうち少なくとも85個が除去された、CDTbタンパク質を表す。シグナルペプチド、プロドメイン、受容体結合ドメイン、またはCDTa結合ドメインの少数のアミノ酸が残存していてもよい。たとえば、シグナルペプチドの2、5、10、15、または20個のアミノ酸が残存していてもよい。たとえば、プロドメインの2、5、10、15、または20個のアミノ酸が残存していてもよい。たとえば、受容体結合ドメインの2、5、10、15、または20個のアミノ酸が残存していてもよい。たとえば、CDTa結合ドメインの2、5、10、15、または20個のアミノ酸が残存していてもよい。
CDTbのシグナルペプチドは、配列番号3のアミノ酸1-48(アミノ酸1-42を包含する)に相当するか、または、C.ディフィシルの別の菌株から単離されたバイナリトキシンタンパク質において同等なもの、たとえばCD196株由来CDTbのアミノ酸配列のアミノ酸1-42に相当する(Perelle, M. et al Infect. Immun., 65 (1997), pp. 1402-1407)。
CDTbのプロドメインは、配列番号3のアミノ酸48-211(アミノ酸48-166を包含する)に相当するか、または、C.ディフィシルの別の菌株から単離されたバイナリトキシンタンパク質において同等なものに相当する。
ある実施形態において、CDTbの受容体結合ドメインは、配列番号3のアミノ酸620-876に相当するか、または、C.ディフィシルの別の菌株から単離されたバイナリトキシンタンパク質において同等なものに相当する。別の実施形態において、受容体結合ドメインは、配列番号3のアミノ酸636-876に相当するか、または、C.ディフィシルの別の菌株から単離されたバイナリトキシンタンパク質において同等なものに相当する。
CDTbのCDTa結合ドメインは、配列番号3のアミノ酸212-296に相当するか、または、C.ディフィシルの別の菌株から単離されたバイナリトキシンタンパク質において同等なものに相当する。
この態様のある実施形態において、免疫原性組成物は単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質を含有するが、これは、シグナルペプチドおよびプロドメインが除去され、受容体結合ドメインかCDTa結合ドメインのいずれか一方も除去された、トランケート型CDTbタンパク質である。
この態様の別の実施形態において、免疫原性組成物は単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質を含有するが、これは、シグナルペプチドおよびプロドメインが除去され、受容体結合ドメインおよびCDTa結合ドメインも除去された、トランケート型CDTbタンパク質である。
単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質は、
(i)配列番号8もしくは配列番号9もしくは配列番号37;
(ii)配列番号8もしくは配列番号9もしくは配列番号37に対して少なくとも80%、85%、88%、90%、92%、95%、98%、99%、100%の配列同一性を有するCDTbのバリアント;または
(iii)配列番号8もしくは配列番号9もしくは配列番号37の少なくとも30、50、80、100、120、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、もしくは800個の隣接するアミノ酸を有するCDTbの断片
であるかまたは、それを含むことが適切である。
単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質は、
(i)配列番号8もしくは配列番号9もしくは配列番号37;
(ii)配列番号8もしくは配列番号9もしくは配列番号37に対して少なくとも80%、85%、88%、90%、92%、95%、98%、99%、100%の配列同一性を有するCDTbのバリアント;または
(iii)配列番号8の少なくとも30、50、80、100、120、150、200、250、300、350、もしくは400個の隣接するアミノ酸、または配列番号9の少なくとも30、50、80、100、120、150、200、250、300、350、400、450、500、もしくは550個の隣接するアミノ酸、または配列番号37の少なくとも30、50、80、100、120、150、200、250、もしくは300個の隣接するアミノ酸を有するCDTbの断片
であるかまたは、それを含むことが適切である。
このような態様において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質が、配列番号8もしくは配列番号9もしくは配列番号37に対して少なくとも80%、85%、88%、90%、92%、95%、98%、99%、100%の配列同一性を有するCDTbのバリアントである、免疫原性組成物が与えられる。
別の態様において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質が、配列番号8もしくは配列番号9もしくは配列番号37の少なくとも30、50、80、100、120、150、200、250、300、350、400、450、500、550個の隣接するアミノ酸を有するCDTbの断片である、免疫原性組成物が与えられる。
本発明の第3の態様において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質を含有する免疫原性組成物が与えられるが、この単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質は変異して七量体形成能力が改変されている。
七量体形成能を改変するように変異させたCDTbタンパク質は、そのCDTbタンパク質が変異して、それ自身が集合して七量体折り畳み構造を形成する能力が変化していることを意味する。この七量体形成は、βバレル構造を形成するために個々のCDTbモノマーに由来するβストランドを共有することによって可能となる。この態様において、CDTbタンパク質は、シグナルペプチドが除去されたトランケート型CDTbタンパク質とすることができる。この態様において、CDTbタンパク質は、シグナルペプチドが除去され、さらにプロドメインが除去されたトランケート型CDTbタンパク質であってもよい。
ある実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質は、七量体形成能力を低下させるように変異していた。
CDTbタンパク質の七量体形成能力は、動的光散乱(DLS)などの技術によって測定することができる。DLSは、均一性に関する情報を与えることに加えて、それを用いてCDTb精製タンパク質の溶液中の流体力学半径を評価し、タンパク質試料中の(七量体のような)高分子量凝集物の存在を検出することができる。これは、光散乱のゆらぎを測定することで得られる、異なる分子種の拡散係数の算出に基づくものであるが、この光散乱のゆらぎは、タンパク質分子の大きさおよび形、ならびにサンプルの他の微量成分によって決まる。
CDTbのために得られた三次元構造モデルを深く解析した上で、オリゴマー形成ドメインのループは、CDTbの七量体形成に関与する可能性がある。このループにおいて、七量体CDTbの他のモノマー中にあるアミノ酸と静電相互作用する可能性のある4つのアミノ酸が特定された。この残基は、配列番号3のAsp537、Glu539、Asp540、およびLys541である。
ある実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質は、七量体形成能力を変化させる、少なくとも1つの変異および/またはトランケーションを、オリゴマー形成ドメイン中に含有する。
オリゴマー形成ドメインは、配列番号3のアミノ酸297-619に相当し、またはC.ディフィシルの別の菌株から単離されたCDTbタンパク質の同等物に相当する。
ある実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質は、少なくとも1つの変異および/またはトランケーションを、配列番号3のアミノ酸533-542を含むCDTbの領域、またはC.ディフィシルの別の菌株における同等領域に含有する。
ある実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質は、配列番号3のAsp537、Glu539、Asp540、およびLys541、またはC.ディフィシルの別の菌株の同等位置に、少なくとも1つの変異を有する。ある実施形態において、Asp537、Glu539、Asp540、および/またはLys541のいずれか1つ、またはいくつかが、Glyまたは別の小残基に変異していることは好ましい。
別の実施形態において、オリゴマー形成ドメインがトランケートされている。たとえば、配列番号3のアミノ酸533-542、またはC.ディフィシルの別の菌株から単離されたCDTbタンパク質中の同等のものが、欠失している可能性があり、必要に応じて他の残基、たとえば、3、4、5、または6個以上のGlyおよび/またはAla残基で置き換えられていてもよい。ある実施形態において、配列番号3のアミノ酸533-542、またはC.ディフィシルの別の菌株から単離されたCDTbタンパク質中の同等のものが欠失し、必要に応じて3つのGly残基または3つのAla残基で置き換えられていることがある。
ある実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質は、4つのアミノ酸に変異を有する。たとえば、CDTbタンパク質は、変異D537G-E539G-D540G-K541G、またはC.ディフィシルの別の菌株における同等な変異を有する。「D537G」は、配列番号3のCDTb配列の537位のアスパラギン酸がグリシンに変異していることを意味する。「E539G」は、配列番号3のCDTb配列の539位のグルタミン酸がグリシンに変異していることを意味する。「D540G」は、配列番号3のCDTb配列の540位のアスパラギン酸がグリシンに変異していることを意味する。「K541G」は、配列番号3のCDTb配列の541位のリジンがグリシンに変異していることを意味する。
この態様の別の実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質は、配列番号3のアミノ酸533-542、またはC.ディフィシルの別の菌株から単離されたCDTbタンパク質中の同等のアミノ酸が3つのGly残基で置き換えられる変異を有する。
ある実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質は、
(i)配列番号12もしくは配列番号13;または
(ii)配列番号12もしくは配列番号13に対して少なくとも80%、85%、88%、90%、92%、95%、98%、99%、100%の配列同一性を有するCDTbのバリアント;または
(iii)配列番号12もしくは配列番号13の少なくとも30、50、80、100、120、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、もしくは850個の隣接するアミノ酸を有するCDTbの断片
であるかまたは、それを含む。
このような態様において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質が、配列番号12もしくは配列番号13に対して少なくとも80%、85%、88%、90%、92%、95%、98%、99%、100%の配列同一性を有するCDTbのバリアントである、免疫原性組成物が与えられる。
別の態様において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質が、配列番号12もしくは配列番号13の少なくとも30、50、80、100、120、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、もしくは850個の隣接するアミノ酸を有するCDTbの断片である、免疫原性組成物が与えられる。
CDTbおよびCDTaタンパク質は異なる菌株間でアミノ酸配列が異なっており、このため、アミノ酸ナンバリングは菌株間で異なることがある。したがって、「異なる菌株の同等なもの」という表現は、基準菌株(たとえば、配列番号1および配列番号3が導かれるC.ディフィシルR20291)のアミノ酸に相当するアミノ酸を指しているが、そうしたアミノ酸は別の菌株由来の毒素にも存在し、したがって異なる番号付けがなされることがある。「同等な」アミノ酸の領域は、異なる菌株由来の毒素の配列をアラインすることによって決定することができる。C.ディフィシルの典型的なバイナリトキシン産生菌株には、CD196、CCUG 20309、R8637、IS81、IS93、IS51、IS58、R6786、R7605、R10456、およびR5989がある。特に記載のない限り、全体を通じて与えられるアミノ酸番号は、配列番号1(CDTa)および配列番号3(CDTb)に記載の基準菌株R20291のアミノ酸番号を指す。
ある実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質は、CDTbの単量体である。他の実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質は、CDTbの多量体である。さらに他の実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質は、CDTbの七量体である。
ある実施形態において、免疫原性組成物は、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTaタンパク質を含有しない/追加して含有しない。
本発明は、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTbタンパク質を、唯一のC.ディフィシル抗原として含有する免疫原性組成物を提供する。本明細書で使用される「唯一のC.ディフィシル抗原」という表現は、免疫原性組成物がC.ディフィシル由来の別の抗原を含有しないこと、たとえば、免疫原性組成物がトキシンA、トキシンB、またはCDTaタンパク質を含有しないことを意味する。
ある実施形態において、免疫原性組成物は、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTaタンパク質を含有する/追加して含有する。
好適な、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTaタンパク質はトランケート型CDTaタンパク質である。本明細書で使用される「トランケート型CDTaタンパク質」は、その全長またはその適正な形態に達しないCDTaタンパク質であって、配列番号1の全長CDTaもしくは異なる菌株の同等物中に存在するアミノ酸残基の一部を失ったものであるが、このタンパク質は、その構造が、たとえばADPリボシルトランスフェラーゼ活性、および/またはCDTbとの相互作用などを実施できないので、目的とする機能を果たすことができない。ADPリボシルトランスフェラーゼ活性のための適当なアッセイは、PLOS pathogens 2009, vol 5(10) : e1000626に記載されている。
好適な、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTaタンパク質は、C末端ドメインを含有しないトランケート型CDTaタンパク質である。「C末端ドメインを含有しないトランケート型CDTaタンパク質」という表現は、C末端ドメインのかなりの部分を含有しない配列番号1の断片またはバリアントを意味するが、C末端ドメインの少数のアミノ酸が残存してもよく、たとえば、C末端ドメインの2、5、10、15、20、25、30、35、または50個のアミノ酸が残存することもある。C末端ドメインは、配列番号1のアミノ酸269-463、またはC.ディフィシルの別の菌株から単離されたCDTaタンパク質中の同等物に相当する。この実施形態において、トランケート型クロストリジウム・ディフィシルCDTaタンパク質は、
(i)配列番号18もしくは配列番号19;または
(ii)配列番号18もしくは配列番号19に対して少なくとも80%、85%、88%、90%、92%、95%、98%、99%、100%の配列同一性を有するCDTaのバリアント;または
(iii)配列番号18もしくは配列番号19の少なくとも30、50、80、100、120、150、もしくは190個の隣接するアミノ酸を有するCDTaの断片
であるかまたは、それを含むことが適切である。
ある実施形態において、C末端ドメインを含有しないトランケート型CDTaタンパク質は、配列番号20に対して少なくとも80%、85%、88%、90%、92%、95%、98%、99%、100%の配列同一性を有するCDTaのバリアントである。他の実施形態において、C末端ドメインを含有しないトランケート型CDTaタンパク質は、配列番号20の少なくとも30、50、80、100、120、150、もしくは190個の隣接するアミノ酸を有するCDTaのバリアントである。
本発明のいずれかの態様のさらに他の実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTaタンパク質は、そのADPリボシルトランスフェラーゼ活性を低下させる変異を有することが好ましい。たとえば、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTaタンパク質は、配列番号1の428位においてグルタミン酸から別のアミノ酸への変異、またはC.ディフィシルの別の菌株における同等の変異を有する。「428位において変異を有する」という表現は、まさにこの位置に変異を有するCDTaタンパク質を意味するが、異なる菌株から単離され、同等の位置に変異を有するCDTaタンパク質も指している。CDTaタンパク質は異なる菌株間でアミノ酸配列が異なるので、アミノ酸ナンバリングは菌株間で異なる可能性があり、したがって、異なる菌株由来のCDTaタンパク質は、順番通りの428番ではない対応するグルタミン酸を有する可能性がある。ある実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTaタンパク質は、配列番号1の428位においてグルタミン酸からグルタミンへの変異を有する。
本発明のいずれかの態様の他の実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTaタンパク質は、好ましくは、配列番号1の430位においてグルタミン酸から別のアミノ酸への変異、またはC.ディフィシルの別の菌株において同等の変異を有する。「430位において変異を有する」という表現は、まさにこの位置に変異を有するタンパク質を意味するが、異なる菌株から単離され、同等の位置に変異を有するCDTaタンパク質も指している。ある実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシルCDTaタンパク質は、配列番号1の430位においてグルタミン酸からグルタミンへの変異を有する。
本発明のいずれかの態様の他の実施形態において、単離されたCDTaタンパク質は、好ましくは、
(i)配列番号21:配列番号22;配列番号23;もしくは配列番号24;または
(ii)配列番号21:配列番号22;配列番号23;もしくは配列番号24に対して少なくとも80%、85%、88%、90%、92%、95%、98%、99%、100%の配列同一性を有するCDTaのバリアント;または
(iii)配列番号21:配列番号22;配列番号23;もしくは配列番号24の少なくとも30、50、80、100、120、150、200、250、300、350、もしくは400個の隣接するアミノ酸を有するCDTaの断片
であるかまたは、それを含む。
本発明のいずれかの態様の他の実施形態において、単離されたCDTaタンパク質は、好ましくは、
(i)配列番号22;または
(ii)配列番号22に対して少なくとも80%、85%、88%、90%、92%、95%、98%、99%、100%の配列同一性を有するCDTaのバリアント;または
(iii)配列番号22の少なくとも30、50、80、100、120、150、200、250、300、350、もしくは400個の隣接するアミノ酸を有するCDTaの断片
であるかまたは、それを含む。
CDTaタンパク質およびCDTbタンパク質を含んでなる融合タンパク質
別の態様において、本発明は、全長CDTaタンパク質、およびCDTbタンパク質を含んでなる融合タンパク質を含有する免疫原性組成物を提供する。この態様において、「全長CDTa」は、配列番号36の全長CDTa、もしくはC.ディフィシルの別の菌株由来の同等物、または配列番号36に対して少なくとも80%、85%、88%、90%、92%、95%、98%、99%、100%の配列同一性を有するCDTaのバリアントを意味する。
「融合ポリペプチド」または「融合タンパク質」は、直接、またはアミノ酸リンカーを介して、共有結合した少なくとも2つの異種ポリペプチド(たとえば、少なくとも2つのクロストリジウム・ディフィシルポリペプチド)を有するタンパク質を指す。それはまた、非共有結合で結合した少なくとも2つの異種ポリペプチドを有するタンパク質を指すこともある。融合タンパク質を形成するポリペプチドは、典型的にはC末端からN末端に連結されているが、ただし、C末端からC末端、N末端からN末端、またはN末端からC末端に連結されることもある。融合タンパク質のポリペプチドは任意の順序とすることができる。この用語はまた、保存的に改変されたバリアント、多型バリアント、アレル、変異体、免疫原性断片、ならびに融合タンパク質を構成する抗原の種間ホモログも表す。
「融合した」という用語は、結合、たとえば、融合タンパク質における2つのポリペプチド間の共有結合を表す。ポリペプチドは、典型的にはペプチド結合によって連結され、これは相互に直接連結されるか、またはアミノ酸リンカーを介して連結されるかのいずれかである。場合によっては、ペプチドは、当業者に知られている非ペプチド共有結合によって連結されることもある。
ペプチドリンカー配列を用いて、第1および第2のポリペプチド成分を、それぞれのポリペプチドの二次および三次構造へのフォールディングを保証するのに十分な距離で隔てることができる。このようなペプチドリンカー配列は、当技術分野でよく知られている標準的な技法を用いて融合タンパク質に組み入れることができる。適当なペプチドリンカー配列は、次の要因に基づいて選択することができる:(1)可動性のある延長された高次構造をとることができること;(2)第1および第2のポリペプチド上の機能的エピトープと相互作用する可能性のある二次構造をとることができないこと;ならびに(3)ポリペプチドの機能的エピトープと反応する可能性のある疎水性残基もしくは荷電残基を欠いていること。好ましいペプチドリンカー配列は、Gly、Asn、およびSer残基を含有する。他の中性に近いアミノ酸、ThrおよびAlaなども、リンカー配列に使用することができる。リンカーとして有効に使用することができるアミノ酸としては、Maratea et al., Gene 40:39-46 (1985); Murphy et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83:8258-8262 (1986); U.S. Patent No. 4,935,233 and U.S. Patent No. 4,751,180に記載のものがある。リンカー配列は通常1から約50個までのアミノ酸長とすることができるが、たとえば、1、5、10、15、20、25、30、35、または40アミノ酸長とすることができる。第1および第2のポリペプチドが、その機能ドメインを引き離して立体障害が起こらないようにするために利用できる、非必須N末端アミノ酸残基を有する場合には、リンカー配列は必要ない。
この態様において、融合タンパク質は適宜、リンカーを含有することができる。適当なリンカーの例は、6つの連続したGly残基を含み、あるいは6つの連続したGly残基からなる。
この態様において、CDTaタンパク質は、融合物の中で最初であることが適当である。これはすなわち、CDTaタンパク質がCDTbタンパク質の位置に対して、融合タンパク質のN末端に位置することを意味する。
ある実施形態において、CDTaタンパク質は、配列番号1の45位において、またはC.ディフィシルの別の菌株の同等のアミノ酸において、システインから別のアミノ酸への変異を有する。「45位に変異を有する」という表現は、配列番号1のまさにその位置に変異を有するCDTaタンパク質を指すが、別の菌株から単離されたCDTaタンパク質であって、同等の位置に変異を有するCDTaタンパク質も指している。ある実施形態において、CDTaタンパク質は、45位においてシステインからチロシンへの変異を有する。この変異は、2つのCDTaタンパク質間でのジスルフィド結合の形成を防止/回避するためになされる。
ある実施形態において、全長CDTaタンパク質は、そのADPリボシルトランスフェラーゼ活性を低下させる1つもしくは複数の変異を有する。
たとえば、CDTaタンパク質は、WO2013/112867に記載の変異セットのいずれかを有することができる。たとえば、CDTaタンパク質は、WO2013/112867に記載の2、67、69、253、255、258、302、307、342、345、356、359、382、385および387位(本明細書の配列番号36の配列の3、68、70、254、256、259、303、308、343、346、357、360、383、386および388位に相当する)において、C2A、Y67A、Y69A、Y253A、R255A、Y258A、R302A、Q307E、N342A、S345F、F356A、R359A、Y382A、E385Q、E385A、E387QおよびE387Dの変異から選択される少なくとも2つの変異を含有することができる。「C2A」は、WO2013/112867に記載のCDTaタンパク質配列の2位のシステイン(本明細書の配列番号36の3位に相当する)がアラニンに変異していることを意味し、上記の一群に記載された他の変異も同様に理解されるべきである。一部の実施形態において、CDTa変異は、C2A、R302A、S345F、E385Q、E385A、E387Q、およびE387Dから選択される。本発明のこの態様の実施形態において、CDTaタンパク質は、(a) S345F、E385QおよびE387Q;(b) R302A、E385A、E387D;(c) C2A、S345F、E385QおよびE387Q;(d) R302A、S345F、E385QおよびE387Q;(e) Y67A、Y69A、およびR255A;(f) R359A、Y67A、およびQ307E;(g) Y258A、F356A、S345F;ならびに(h) N342A、Y253AおよびY382A;からなる一群から選択される変異セットを含有する。
ある実施形態において、CDTaタンパク質は、そのADPリボシルトランスフェラーゼ活性を低下させる1つの変異を含有する。
「CDTaタンパク質は、そのADPリボシルトランスフェラーゼ活性を低下させる1つの変異を含有する」という表現は、ADPリボシルトランスフェラーゼ活性を低下させることだけを目的とする1か所の変異を含有する、CDTaタンパク質を表す。CDTaタンパク質は、必要に応じて、そのADPリボシルトランスフェラーゼ活性を低下させることを特異的に目的としない他の変異を含有してもよい。ADPリボシルトランスフェラーゼ活性を低下させることを特異的に目的とする変異には、E428QおよびE430Q(配列番号1に関するアミノ酸ナンバリング)、またはWO2013/112867に記載のC2A、Y67A、Y69A、Y253A、R255A、Y258A、R302A、Q307E、N342A、S345F、F356A、R359A、Y382A、E385Q、E385A、E387Q、およびE387D (配列番号36に関して 3、68、70、254、256、259、303、308、343、346、357、360、383、386および388位に相当するアミノ酸ナンバリング)がある。
たとえば、CDTaタンパク質は、配列番号1の428位において、またはC.ディフィシルの別の菌株の同等のアミノ酸において、グルタミン酸から別のアミノ酸への変異を有する。「428位に変異を有する」という表現は、配列番号1のまさにその位置に変異を有するCDTaタンパク質を指すが、別の菌株から単離されたCDTaタンパク質であって、同等の位置に変異を有するCDTaタンパク質も指している。CDTaタンパク質は、異なる菌株間でアミノ酸配列が異なるので、アミノ酸ナンバリングは菌株間で異なル可能性があり、したがって、異なる菌株に由来するCDTaタンパク質は、順番通りの428番ではない、対応するグルタミン酸を有する可能性がある。ある実施形態において、CDTaタンパク質は、428位にグルタミン酸からグルタミンへの変異を有する。他の態様において、CDTaタンパク質は、配列番号1の430位において、またはC.ディフィシルの別の菌株の同等のアミノ酸において、グルタミン酸から別のアミノ酸への変異を有することが適当である。「430位に変異を有する」という表現は、まさにその位置に変異を有するタンパク質を指すが、別の菌株から単離されたCDTaタンパク質であって、同等の位置に変異を有するCDTaタンパク質も指している。ある実施形態において、CDTaタンパク質は、430位にグルタミン酸からグルタミンへの変異を有する。
ある実施形態において、全長CDTaタンパク質は、下記であるかまたは下記を含むことが適当である:
(i)配列番号39;または
(ii)配列番号39に対して少なくとも80%、85%、88%、90%、92%、95%、98%、99%、100%の配列同一性を有するCDTaのバリアント;または
(iii)配列番号39の少なくとも30、50、80、100、120、150、200、250、300、350もしくは400個の隣接するアミノ酸を有するCDTaの断片。
別の実施形態において、全長CDTaタンパク質は、下記であるかまたは下記を含むことが適当である:
(i) WO2013/112867の配列番号40、42もしくは67に記載のアミノ酸配列;または
(ii)(i)の配列のいずれかに対して少なくとも80%、85%、88%、90%、92%、95%、98%、99%、100%の配列同一性を有するCDTaのバリアント;または
(iii)(i)の配列のいずれかの、少なくとも30、50、80、100、120、150、200、250、300、350もしくは400個の隣接するアミノ酸を有するCDTaの断片。
ある実施形態において、CDTbタンパク質は全長CDTbタンパク質である。この態様において、「全長CDTb」は、配列番号7の全長CDTb、すなわちプロドメインを除去したCDTbを意味する。
この態様のこの実施形態において、全長CDTaタンパク質およびCDTbタンパク質を含有する融合タンパク質は、下記であるかまたは下記を含むことが適当である:
(i) 配列番号14;または
(ii) 配列番号14に対して少なくとも80%、85%、88%、90%、92%、95%、98%、99%、100%の配列同一性を有するバリアント融合タンパク質;または
(iii)配列番号14の少なくとも30、50、80、100、120、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800もしくは850個の隣接するアミノ酸を有する断片。
別の実施形態において、CDTbタンパク質は、CDTa結合ドメインを除去したトランケート型CDTbタンパク質である。「CDTa結合ドメインを除去した」という表現は、CDTa結合ドメインの実質的にすべてを除去した(したがって、CDTa結合ドメインの実質的にすべてに相当するアミノ酸を含有しない)、配列番号3の断片もしくはバリアント、またはC.ディフィシルの別の菌株におけるそれと同等のものを意味する。たとえば、「CDTa結合ドメインを除去したトランケート型CDTbタンパク質」という表現は、CDTa結合ドメインの少なくとも65個のアミノ酸を除去したCDTbタンパク質を意味する。CDTa結合ドメインの少数のアミノ酸が残存する可能性がある。たとえば、CDTa結合ドメインの2、5、10、15または20個のアミノ酸が残存することがある。
CDTbのCDTa結合ドメインは、配列番号3のアミノ酸212-295、またはC.ディフィシルの別の菌株から単離されたバイナリトキシンタンパク質における同等のものに相当する。
この実施形態において、CDTa結合ドメインを除去したトランケート型CDTbタンパク質は、下記であるかまたは下記を含むことが適当である:
(i)配列番号9;または
(ii)配列番号9に対して少なくとも80%、85%、88%、90%、92%、95%、98%、99%、100%の配列同一性を有するバリアント融合タンパク質;または
(iii)配列番号9の少なくとも30、50、80、100、120、150、200、250、300、350もしくは400個の隣接するアミノ酸を有する断片。
この実施形態において、全長CDTaタンパク質、およびCDTa結合ドメインを除去したトランケート型CDTbタンパク質を含有する融合タンパク質は、下記であるかまたは下記を含むことが適当である:
(i) 配列番号15;または
(ii) 配列番号15に対して少なくとも80%、85%、88%、90%、92%、95%、98%、99%、100%の配列同一性を有するバリアント融合タンパク質;または
(iii)配列番号15の少なくとも30、50、80、100、120、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800もしくは850個の隣接するアミノ酸を有する断片。
別の実施形態において、CDTbタンパク質は、受容体結合ドメインを含有するトランケート型CDTbタンパク質である。「受容体結合ドメインを含有するトランケート型CDTbタンパク質」という用語は、受容体結合ドメイン以外の実質的にすべてを除去した(したがって、受容体結合ドメイン以外のタンパク質の実質的にすべてに相当するアミノ酸を含有しない)、配列番号3の断片もしくはバリアント、またはC.ディフィシルの別の菌株におけるそれと同等のものを意味し、受容体結合ドメインに加えて少数のアミノ酸、たとえば、受容体結合ドメインを除いて/に加えて2、5、10、15または20個のアミノ酸が残存してもよい。一説には、受容体結合ドメインは、配列番号3のアミノ酸620-876、またはC.ディフィシルの別の菌株から単離されたバイナリトキシンタンパク質における同等のものに相当する。また一説には、受容体結合ドメインは、配列番号3のアミノ酸636-876、またはC.ディフィシルの別の菌株から単離されたバイナリトキシンタンパク質における同等のものに相当する。
この実施形態において、CDTbタンパク質は下記であるかまたは下記を含むことが適当である:
(i)配列番号27もしくは配列番号28;または
(ii)配列番号27もしくは配列番号28に対して少なくとも80%、85%、88%、90%、92%、95%、98%、99%、100%の配列同一性を有するCDTbのバリアント;または
(iii)配列番号27もしくは配列番号28の少なくとも30、50、80、100、120、150もしくは200個の隣接するアミノ酸を有するCDTbの断片。
この実施形態において、全長CDTaタンパク質、および受容体結合ドメインを含有するトランケート型CDTbタンパク質を含んでなる融合タンパク質は、下記であるかまたは下記を含むことが適当である:
(i)配列番号16もしくは配列番号17;または
(ii)配列番号16もしくは配列番号17に対して少なくとも80%、85%、88%、90%、92%、95%、98%、99%、100%の配列同一性を有するバリアント融合タンパク質;または
(iii)配列番号16もしくは配列番号17の少なくとも30、50、80、100、120、150、200、250、300、350もしくは400個の隣接するアミノ酸を有する断片。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の新規ポリペプチドおよびポリヌクレオチドを提供する。
ある実施形態において、本発明は、配列番号8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、25、26、37、43、44、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、66、67もしくは71のいずれかに示されるアミノ酸配列を含有するポリペプチドを提供する。
本発明の任意の態様のある実施形態において、免疫原性組成物は、CDTaもしくはCDTbもしくはその両方を中和する抗体を誘導する。さらに他の実施形態において、この組成物は、バイナリトキシンを中和する抗体を誘導する。組成物が毒素に対する抗体を誘導するかどうかは、その免疫原性組成物でマウスを免疫化し、血清を採取し、ELISA法を用いて血清の抗毒素力価を分析することによって評価することができる。血清は、免疫化されていないマウスから採取された基準サンプルと比較すべきである。本発明の組成物は、ポリペプチドに対する血清が基準サンプルより10%、20%、30%、50%、70%、80%、90%または100%高いELISA計測値を与えるならば、CDTaを中和する抗体を誘導する。
さらに他の実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、哺乳動物宿主においてC.ディフィシル菌株に対する防御免疫反応を引き起こす。ある実施形態において、哺乳動物宿主は、マウス、ウサギ、モルモット、非ヒト霊長類、サルおよびヒトからなる一群から選択される。ある実施形態において、哺乳動物宿主はマウスである。他の実施形態において、哺乳動物宿主はヒトである。
免疫原性組成物が哺乳動物宿主においてC.ディフィシル菌株に対する防御免疫反応を誘導するかどうかは、負荷試験によって判定することができる。そうした試験において、哺乳動物宿主は、免疫原性組成物によるワクチン接種を受けてから、C.ディフィシルへの暴露による攻撃を受けるが、攻撃後にその哺乳動物が生存する期間を、免疫原性組成物による免疫化を受けていない対照哺乳動物が生存する期間と比較する。免疫原性組成物で免疫化された哺乳動物が、C.ディフィシルによる攻撃後に、免疫化を受けていない対照哺乳動物より10%、20%、30%、50%、70%、80%、90%または100%長く生存するならば、免疫原性組成物は防御免疫反応を誘導している。
トキシンAおよびトキシンB
本発明の任意の態様の、ある実施形態において、本発明の免疫原性組成物はさらに、単離されたクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)トキシンAタンパク質および/または単離されたC.ディフィシル トキシンBタンパク質を含有する。
「単離されたクロストリジウム・ディフィシル トキシンAタンパク質」という用語は、配列番号29のアミノ酸配列を有するタンパク質、または配列番号29の断片もしくはバリアントを表す。ある実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシル トキシンAタンパク質は、配列番号29の50、100、150、200、250、300、500、750、1000、1250、1500、1750、2000もしくは2500個の隣接するアミノ酸を含有する断片である。ある実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシル トキシンAタンパク質は、配列番号29に対して80%、85%、90%、92%、95%、98%、99%、100%の同一性を有するバリアントである。
「単離されたクロストリジウム・ディフィシル トキシンBタンパク質」という用語は、配列番号30のアミノ酸配列を有するタンパク質、または配列番号30の断片もしくはバリアントを表す。ある実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシル トキシンBタンパク質は、配列番号30の50、100、150、200、250、300、500、750、1000、1250、1500、1750もしくは2000個を含有する断片である。ある実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシル トキシンAタンパク質は、配列番号30に対して80%、85%、90%、92%、95%、98%、99%、100%の同一性を有するバリアントである。
ある実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシル トキシンAタンパク質は、繰り返しドメイン断片を含有する。「トキシンA繰り返しドメイン」という用語は、C.ディフィシル由来トキシンAタンパク質のC末端ドメインを指し、これは反復配列を含んでいる。トキシンA繰り返しドメインは、VPI10463 (ATCC43255)株由来トキシンAのアミノ酸1832-2710、および別の菌株の同等のものを表す。VPI10463 (ATCC43255)株由来のアミノ酸1832-2710の配列は、配列番号29の1832-2710に対応する。
さらに他の実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシル トキシンAタンパク質は、トキシンA N末端ドメインの断片を含有する。トキシンA N末端ドメインは、VPI10463 (ATCC43255)株由来トキシンAのアミノ酸1-1831、および別の菌株の同等のものを指す。VPI10463 (ATCC43255)株由来トキシンAのアミノ酸1-1831の配列は、配列番号29のアミノ酸1-1831に対応する。
ある実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシル トキシンBタンパク質はトキシンBリピートドメイン断片を含む。「トキシンB繰り返しドメイン」という用語は、C. ディフィシル由来トキシンBタンパク質のC末端ドメインを指す。このドメインは、菌株VPI10463 (ATCC43255)由来のアミノ酸1834−2366、および異なる菌株での同等なものを指すが、この菌株VPI10463 (ATCC43255)由来のアミノ酸1834−2366の配列は、配列番号30のアミノ酸1834−2366に相当する。
さらなる実施形態において、単離されたクロストリジウム・ディフィシル トキシンBタンパク質はトキシンBのN末端ドメインの断片を含む。該トキシンBのN末端ドメインのは株VBI10463 (ATCC43255)由来のトキシンBのアミノ酸1-1833、及び別の株におけるその同等物をいう。株VBI10463 (ATCC43255)由来のトキシンBのアミノ酸1-1833の配列は、配列番号30のアミノ酸1-1833に対応する。
C. ディフィシルのトキシンAおよびBは、保存されたタンパク質であるが、その配列は、菌株間で少し異なっており、その上、異なる菌株のトキシンAおよびBのアミノ酸配列は、アミノ酸の数が異なる可能性がある。
こうした理由から、トキシンA繰り返しドメインおよび/またはトキシンB繰り返しドメインという用語は、配列番号29のアミノ酸1832−2710に対して90%、95%、98%、99%、もしくは100%の配列同一性を有する変異体、または配列番号30のアミノ酸1834-2366に対して90%、95%、98%、99%、もしくは100%の配列同一性を有する変異体である配列をいう。同様にトキシンA N末端ドメインおよび/またはトキシンB N末端ドメインという用語は配列番号29のアミノ酸1-1831に対して90%、95%、98%、99%、もしくは100%の配列同一性を有する変異体、または配列番号30のアミノ酸1-1833に対して90%、95%、98%、99%、もしくは100%の配列同一性を有する変異体である配列をいう。
さらに、アミノ酸ナンバリングは、ある菌株由来のトキシンA(またはトキシンB)と別の菌株由来のトキシンA(またはトキシンB)との間で異なることがある。この理由により、「異なる菌株における同等なもの」という用語は、基準となる菌株(たとえばC. ディフィシル VPI10463)のアミノ酸に相当するが、異なる菌株由来の毒素中に見いだされ、したがって異なる番号付けがなされる可能性のある、アミノ酸を意味する。「同等な」アミノ酸の領域は、異なる菌株に由来する毒素の、配列のアラインメントを行うことによって、決定することができる。全体を通して与えられるアミノ酸番号は、菌株VPI10463の番号を指している(これらは配列番号29及び配列番号30に示されている)。
本発明の任意の態様のさらに他の実施形態において、単離されたC.ディフィシルトキシンAタンパク質および単離されたC.ディフィシルトキシンBタンパク質は融合タンパク質を形成する。ある実施形態において、融合タンパク質は、配列番号31、32、33、34、および35からなる一群から選択される配列と80%、85%、90%、95%、98%、99%もしくは100%同一である。さらに他の実施形態において、融合タンパク質は、配列番号31、32、33、34、および35からなる一群から選択される配列の少なくとも800、850、900、もしくは950個の隣接するアミノ酸からなる断片である。
断片
本明細書に記載の「断片」という用語は、T細胞エピトープを含んでなる断片を指すことができる。T細胞エピトープは、T細胞(たとえば、CD4+もしくはCD8+ T細胞)によって認識される短い一続きのアミノ酸である。T細胞エピトープの同定は、当業者によく知られているエピトープマッピング実験によって達成することができる(たとえば、Paul, Fundamental Immunology, 3rd ed., 243-247 (1993); Beissbarth et al Bioinformatics 2005 21(Suppl. 1):i29-i37を参照されたい)。
「断片」という用語は、ヒスチジンタグを含有するポリペプチドに関連して使用される場合、ヒスチジンタグを含まないポリペプチド、たとえばヒスチジンタグを切断したポリペプチドを含める。たとえば、配列番号5、7-28もしくは36-42(これらはいずれもヒスチジンタグを含有する)のいずれかによって表されるアミノ酸配列を含有するポリペプチドの適当な断片としては、次の用語索引に示す配列番号47-76によって表されるヒスチジンタグなしの対応するポリペプチドが挙げられる;
本発明の断片は、免疫原性断片であることが適当である。本発明の「免疫原性断片」は、典型的には、全長ポリペプチド配列に由来する少なくとも9個の隣接するアミノ酸(たとえば少なくとも10個)を含んでなり、たとえば、少なくとも12個の隣接するアミノ酸(たとえば、少なくとも15個もしくは少なくとも20個の隣接するアミノ酸)、特に、少なくとも50個の隣接するアミノ酸、たとえば少なくとも100個の隣接するアミノ酸(たとえば少なくとも200個の隣接するアミノ酸)を含有するものである。免疫原性断片は、全長ポリペプチド配列の少なくとも20%、たとえば少なくとも50%、少なくとも70%、または少なくとも80%の長さであることが適当である。
当然のことながら、ヒトなどの多様な非近交系集団において、HLA型の相違は、特異的エピトープが必ずしも集団のすべてのメンバーからは認識されない可能性があることを意味する。そこで、認識レベル、およびポリペプチドに対する免疫反応のスケールを最大にするために、免疫原性断片は全長配列に由来する複数のエピトープを含有することが総じて望ましい(全エピトープが好ましい)。
バリアント
「バリアント」または「保存的に改変されたバリアント」は、アミノ酸配列にも核酸配列にも適用される。特定の核酸配列に関して、保存的に改変されたバリアントとは、同一もしくは基本的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸バリアントを意味する。核酸がアミノ酸配列をコードしていない場合、「保存的に改変されたバリアント」は基本的に同一の配列を表す。
タンパク質配列のバリアントについては、当業者には当然のことながら、ポリペプチドに対する個々の置換、欠失もしくは付加は、1つのアミノ酸もしくはごく一部のアミノ酸を変更、付加し、もしくは欠失させるものであるが、その(1つもしくは複数の)変更が結果として機能的に類似したアミノ酸によるアミノ酸置換をもたらすか、またはバリアントの生物学的機能に実質的に影響を与えない残基の置換/欠失/付加をもたらす限り、「保存的に改変されたバリアント」となる。
機能的に類似したアミノ酸を与える保存的置換表は当技術分野でよく知られている。このような保存的に改変されたバリアントは、本発明の多型バリアント、種間ホモログ、およびアレルに付け加えられ、これらを排除しない。
本発明のポリペプチド(たとえばCDTaタンパク質またはCDTbタンパク質)は、基準配列と比較して多数の保存的置換(たとえば、1-50、1-25など、具体的には1-10、そして特に1アミノ酸残基が変更されていることがある)を含有する可能性がある。一般に、こうした保存的置換は、状況次第で、抗原の免疫原性に事実上影響を及ぼすことなしに他の置換も可能であるかもしれないが、下記のアミノ酸分類の範囲に含まれるであろう。以下の8群はそれぞれ、典型的に相互に保存的置換となるアミノ酸を包含する:
1)アラニン(A)、グリシン(G);
2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
4)アルギニン(R)、リジン(K);
5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);
6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);
7)セリン(S)、スレオニン(T);および
8)システイン(C)、メチオニン(M)
(たとえば、Creighton, Proteins 1984を参照されたい)。
適切にはかかる置換はエピトープの領域には生じず、したがって抗原の免疫原性特性に有意の影響を及ぼさない。
ポリペプチドバリアントには、また、基準の配列に対して追加のアミノ酸が挿入されているバリアントも含めることができるが、このような挿入は、1-10か所(たとえば、1-5か所であるが1または2か所が適当であり、特に1か所)で起こっていてもよく、たとえば、1か所につき50個以下(たとえば20個以下、特に10個以下、さらに5個以下)のアミノ酸の付加を含んでいてもよい。こうした挿入は、当然のことながらエピトープの領域には生じないので、抗原の免疫原性に重大な影響は与えない。挿入の一例としては、当該抗原の発現および/または精製を助ける短い一連のヒスチジン残基(たとえば2-6残基)が挙げられる。
ポリペプチドバリアントには、基準の配列に対してアミノ酸が欠失しているバリアントも含められるが、たとえば、こうした欠失は、1-10か所(たとえば、1-5か所であるが1または2か所が適当であり、特に1か所)で起こっていてもよく、たとえば、1か所につき50個以下(たとえば20個以下、特に10個以下、さらに5個以下)のアミノ酸の欠失を含んでいてもよい。こうした欠失は、当然のことながらエピトープの領域には生じないので、抗原の免疫原性に重大な影響は与えない。
当業者には当然のことながら、特定のポリペプチドバリアントは、置換、欠失および付加を(またはそれらを任意に組み合わせて)含んでいてもよい。
バリアントは、関連する基準配列に対して、少なくとも約70%の同一性を示すことが好ましいが、少なくとも約80%の同一性を示すことがより好ましく、少なくとも約90%(たとえば少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%)の同一性を示すことがもっとも好ましい。
2つ以上の核酸もしくはポリペプチド配列に関して、「同一の」またはパーセント「同一性」という用語は、配列比較アルゴリズムを用いて、または手作業で並べて見比べることによって評価して、比較ウィンドウまたは指定領域にわたって最大の一致を求めて比較およびアラインしたとき、同一であるか、または所定のパーセンテージのアミノ酸残基もしくはヌクレオチドが同一(すなわち、特定の領域にわたって、70%同一、適宜75%、80%、90%、95%、98%、または99%同一)である2つ以上の配列もしくは部分配列を指す。このような配列は、「実質的に同一」であるといわれる。またこの定義は、テスト配列の相補体も表す。同一性は、必要に応じて、少なくとも約25から約50個のアミノ酸もしくはヌクレオチドの長さの領域にわたって存在するが、場合によっては75-100アミノ酸もしくはヌクレオチド長の領域に存在する。比較は、基準配列の完全長に相当するウィンドウ上で実施することが適当である。
配列比較のために、通常は、片方の配列が基準の配列となり、それに対してテスト配列を比較する。配列比較アルゴリズムを使用する場合、テスト配列および基準配列をコンピューターに入力し、必要に応じて部分配列の座標を指定し、配列アルゴリズムプログラムパラメーターを指定する。デフォルトのプログラムパラメーターを使用することができるが、別のパラメーターを指定することもできる。次に配列比較アルゴリズムが、プログラムパラメーターに基づいて、基準配列と対比してテスト配列についてパーセント配列同一性を算出する。
本明細書で使用される「比較ウィンドウ」は、2つの配列が最適にアラインされたのち、配列を、同数の隣接する位置の基準配列と比較することができるセグメントのことをいう。比較のための配列アラインメントの方法は当技術分野でよく知られている。比較のための最適な配列アラインメントは、たとえば、Smith & Waterman, Adv. Appl. Math. 2:482 (1981)のローカルホモロジーアルゴリズムによって行われ、Needleman & Wunsch, J. Mol. Biol. 48:443 (1970)のホモロジーアラインメントアルゴリズムによって行われ、Pearson & Lipman, Proc. Nat’l. Acad. Sci. USA 85:2444 (1988)の類似性検索法によって行われ、上記アルゴリズム(Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, WI におけるGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)のコンピューターによる実行によって行われ、または手作業で並べて見比べることによって(たとえば、Current Protocols in Molecular Biology (Ausubel et al., eds. 1995 supplement)を参照されたい)行うことができる。
有用なアルゴリズムの一例はPILEUPである。PILEUPは、一群の関連配列から、プログレッシブ・ペアワイズアラインメントを用いて、多重配列アラインメントを作成し、関係性およびパーセント配列同一性を示す。それはまた、アラインメントを作成するために使用されるクラスタリングの関係性を示すツリーまたはデンドログラムをプロットする。PILEUPはFeng & Doolittle, J. Mol. Evol. 35:351-360 (1987)のプログレッシブアラインメント法の単純化によるものである。使用される方法は、Higgins & Sharp, CABIOS 5:151-153 (1989)に記載の方法に類似する。そのプログラムは、最大長がそれぞれ5,000ヌクレオチドもしくはアミノ酸である配列を300個までアラインすることができる。マルチプルアラインメント法は、2つの最も類似した配列のペアワイズアラインメントから始まり、2つのアラインされた配列のクラスターを作成する。その後このクラスターを、次に最も関連する配列もしくはアラインされた配列のクラスターに対してアラインする。2つの配列クラスターは、2つの個別の配列のペアワイズアラインメントの単純な拡張によってアラインされる。最後のアラインメントは、一連のプログレッシブ・ペアワイズアラインメントによって行われる。プログラムは、具体的な配列、および配列比較の領域に関するアミノ酸もしくはヌクレオチド座標を指定し、さらにプログラムパラメーターを指定することによって実行される。PILEUPを使用して、基準配列を他のテスト配列と比較し、以下のパラメーターを用いてパーセント配列同一性の関係を判定する:デフォルトgap weight(3.00)、デフォルトgap length weight (0.10)、およびweighted end gaps。PILEUPは、GCG配列分析ソフトウェアパッケージ、たとえばバージョン7.0(Devereaux et al., Nuc. Acids Res. 12:387-395 (1984))から得られる。
パーセント配列同一性および配列類似性を決定するのに適したアルゴリズムの別の例は、BLASTおよびBLAST 2.0アルゴリズムであるが、これはそれぞれ、Altschul et al., Nuc. Acids Res. 25:3389-3402 (1977) および Altschul et al., J. Mol. Biol. 215:403-410 (1990)に記載されている。BLAST分析を実行するためのソフトウェアはNational Center for Biotechnology Information (ウェブサイトwww.ncbi.nlm.nih.gov/)により公開され利用可能である。このアルゴリズムは、まず、クエリ配列中の長さWのショートワードを識別することによって、高スコアの配列ペア(HSP)を特定することを含むが、これは、データベース配列中の同じ長さのワードとアラインしたときに正の閾値Tに一致するかまたはそれを満足するワードである。Tは隣接ワードスコア閾値(Altschul et al.,上記)と呼ばれる。こうした初期隣接ワードヒットが、それを含む、より長いHSPを見いだす検索を開始するためのシードとなる。このワードヒットは、累積アラインメントスコアが増加しうる限り、各配列に沿って両方向に伸長される。累積スコアは、ヌクレオチド配列についてはパラメーターM(一致する残基ペアの報酬スコア;常に>0)およびN(不一致残基のペナルティスコア;常に<0)を用いて算出される。アミノ酸配列については、スコア行列を用いて累積スコアを計算する。ワードヒットの両方向への伸長は次の場合に停止する:累積アラインメントスコアがその最大達成値からX量だけ下落した場合;累積スコアが、1つもしくは複数の負のスコアの残基アラインメントの蓄積により、ゼロ以下となった場合;または、どちらかの配列の末端に到達した場合。BLASTアルゴリズムパラメーターW、T、およびXは、アラインメントの感度およびスピードを決定する。BLASTプログラム(核酸用)は、デフォルトとして、ワード長(W)11、期待値(E)10、M=5、N=-4、および両ストランドの比較を用いる。アミノ酸配列用には、BLASTプログラムはデフォルトとして、ワード長(W)3、期待値(E)10、およびBLOSUM62スコア行列(Henikoff & Henikoff, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915 (1989)を参照されたい)アラインメント(B)50、期待値(E)10、M=5、N=-4、および両ストランドの比較を用いる。
BLASTアルゴリズムは2配列間の類似性に関する統計分析を行う(たとえば、Karlin & Altschul, Proc. Nat’l. Acad. Sci. USA 90:5873-5787 (1993)を参照されたい)。BLASTアルゴリズムにより与えられる類似性の1つの尺度は、最小和確率(smallest sum probability)(P(N))であるが、これは2つのヌクレオチドもしくはアミノ酸配列間の一致が偶然生じる確率を示すものである。たとえば、テスト核酸を基準核酸と比較した場合に最小和確率が約0.2未満、より好ましくは約0.01未満、そして最も好ましくは約0.001未満であるならば、核酸は基準配列に類似していると見なされる。
ポリヌクレオチドの同定および特性解析
本発明のクロストリジウム・ディフィシルCDTa、CDTb、トキシンAおよびトキシンBタンパク質は、十分に確立された任意の技術によって、同定、調製、および/または操作することができる。たとえば、ポリヌクレオチドは、cDNAのマイクロアレイをスクリーニングすることによって、より詳細に以下に記載するように同定することができる。このようなスクリーニングは、たとえば、Synteni microarray (Palo Alto, CA) を用いて、メーカーの説明書に従って(そして基本的には、Schena et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:10614-10619 (1996) and Heller et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94:2150-2155 (1997)に記載のように)実施することができる。あるいはまた、ポリヌクレオチドは、M. tuberculosis細胞のように、本明細書に記載のタンパク質を発現する細胞から調製されたcDNAから増幅することができる。こうしたポリヌクレオチドは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅することができる。この方法に関しては、本明細書で与えられる配列に基づいて配列特異的プライマーをデザインすることができるが、購入しても合成してもよい。
ポリヌクレオチドの増幅された部分を用いて、適当なライブラリ(たとえば、M. tuberculosis cDNAライブラリ)から、公知の技術によって全長遺伝子を単離することができる。こうした技術において、増幅に適した1つもしくは複数のポリヌクレオチドプローブまたはプライマーを用いて、ライブラリ(cDNAまたはゲノム)をスクリーニングする。ライブラリは比較的大きい分子を含むようにサイズ選択されることが好ましい。遺伝子の5’および上流領域を同定するために、ランダムプライムドライブラリも好ましいといえる。ゲノムライブラリは、イントロンを得るために、また5’配列を伸長するために好ましい。
ハイブリダイゼーション法のために、公知の技術を用いて(たとえば、ニックトランスレーションまたは32Pによる末端標識化によって)部分配列を標識することができる。そこで通常、変性させた細菌コロニーを含有するフィルター(またはファージプラークを含有する菌叢)を、標識化プローブでハイブリダイズすることによって、細菌もしくはバクテリオファージライブラリをスクリーニングする(Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2000)を参照されたい)。ハイブリダイズしたコロニーもしくはプラークを選択して増殖させ、次の分析のためにDNAを単離する。cDNAクローンを分析し、たとえば部分配列由来のプライマーおよびベクター由来のプライマーを用いたPCRによって、追加配列の量を決定することができる。制限酵素地図および部分配列を作製して、1つもしくは複数のオーバーラップクローンを同定することができる。標準的な技術を用いて、完全な配列を決定することができるが、これには一連の欠失クローンの作製を含めることができる。次に、得られたオーバーラップ配列を一続きの配列に構成することができる。公知の技術を用いて、適当な断片をライゲートすることによって、全長cDNA分子を作製することができる。
あるいはまた、部分的なcDNA配列から全長コード配列を得るために、数多くの増幅技術がある。こうした技術において、増幅は通常PCRによって行われる。さまざまな市販キットのいずれかを用いて、増幅ステップを行うことができる。プライマーはたとえば、当技術分野でよく知られているソフトウェアを用いてデザインすることができる。プライマーは好ましくは22-30ヌクレオチドの長さであって、GC含量は少なくとも50%であり、約68℃から72℃の温度で標的配列とアニールする。増幅された領域を上記のように配列決定し、オーバーラップ配列を一続きの配列に構成することができる。
こうした技術の1つがインバースPCR(Triglia et al., Nucl. Acids Res. 16:8186 (1988)を参照されたい)であるが、これは、遺伝子の既知領域内の断片を作製するために制限酵素を使用する。次に断片を分子内ライゲーションによって環状とし、既知領域に由来する互いに異なるプライマーによるPCRのための鋳型として使用する。別の方法では、部分配列に隣接する配列を、リンカー配列に対するプライマーおよび既知領域に特異的なプライマーによる増幅によって取り出すことができる。増幅された配列は、典型的には、同じリンカープライマーおよび既知領域に特異的な第2のプライマーによる増幅の第2ラウンドに供される。この方法の変法は、既知配列から逆方向に伸長を開始する2つのプライマーを使用するものであって、WO 96/38591に記載されている。こうした技法の別法は、「cDNA末端の迅速増幅法(rapid amplification of cDNA ends)」すなわちRACE法として知られている。この方法では、内部プライマーおよび外部プライマーを使用するが、この外部プライマーは、既知配列の5’および3’側にある配列を同定するために、ポリA領域またはベクター配列とハイブリダイズする。他の技法には、キャプチャーPCR(Lagerstrom et al., PCR Methods Applic. 1:111-19 (1991))およびウォーキングPCR(Parker et al., Nucl. Acids. Res. 19:3055-60 (1991))がある。他の増幅を用いる方法も、全長cDNA配列を得るために使用することができる。
場合によっては、たとえばGenBankから入手できるような、発現配列タグ(EST)データベースで与えられる配列の解析によって、全長cDNA配列を得ることができる。オーバーラップESTの検索は、通常、公知のプログラム(たとえばNCBI BLAST検索)を用いて行うことが可能であり、こうしたESTを用いて、連続した全長配列を作成することができる。全長DNA配列はまた、ゲノム断片の分析によっても得られる。
宿主細胞におけるポリヌクレオチド発現
クロストリジウム・ディフィシルCDTa、CDTb、トキシンA およびトキシンBタンパク質、もしくは融合タンパク質、またはそれらと同等の機能を有するものをコードするポリヌクレオチド配列もしくはその断片は、適当な宿主細胞においてポリペプチドの発現を指示する組換えDNA分子として使用することができる。遺伝子コードの本来の縮重により、同じアミノ酸配列または機能的に同等のアミノ酸配列を実質的にコードする他のDNA配列を作成することが可能であり、こうした配列を用いて、所与のポリペプチドをクローニングして発現させることができる。
当業者には当然のことであるが、場合によっては、非天然起源のコドンを有するポリペプチドコード核酸配列を作製することが有利な場合がある。たとえば、特定の原核宿主もしくは真核宿主に好ましいコドンを選択して、タンパク質発現率を高めたり、望ましい特性、たとえば天然由来配列から生成する転写物より長い半減期を有する組換えRNA転写物を作製することができる。
そのうえ、さまざまな目的のためにポリペプチドをコードする配列を改変することを目的として、当技術分野で一般に知られている方法を用いてポリヌクレオチド配列を操作することができるが、これには遺伝子産物のクローニング、プロセシング、および/または発現を改変する変更を含み、しかしそれに限定されない。たとえば、ランダム断片化、ならびに遺伝子断片および合成オリゴヌクレオチドのPCR再構築によるDNAシャフリングを用いて、ヌクレオチド配列を操作することができる。それに加えて、部位特異的変異誘発を用いて新たな制限酵素部位を挿入し、グリコシル化パターンを変更し、コドン優先性を変更し、スプライスバリアントを作製し、または変異を導入することなどができる。
天然核酸配列、改変核酸配列、もしくは組換え核酸配列を、融合タンパク質をコードする異種配列とライゲートすることができる。たとえば、ポリペプチド活性の阻害剤を求めてペプチドライブラリをスクリーニングするために、市販の抗体で認識されるキメラタンパク質をコードしていることは有用であると考えられる。融合タンパク質は、ポリペプチドコード配列と異種タンパク質配列の間に位置する切断部位を含有するように操作してもよく、その結果ポリペプチドは切断され、異種部分から切り離して精製することができる。
当技術分野で周知の化学的方法を用いて、望ましいポリペプチドをコードする配列を、全体でも、部分的にも、合成することができる(Caruthers, M. H. et al., Nucl. Acids Res. Symp. Ser. pp. 215-223 (1980), Horn et al., Nucl. Acids Res. Symp. Ser. pp. 225-232 (1980))。あるいはまた、タンパク質そのものを、ポリペプチドもしくはその一部分のアミノ酸配列を合成する化学的方法によって、作製することができる。たとえば、ペプチド合成は、さまざまな固相技術(Roberge et al., Science 269:202-204 (1995))を用いて行うことができ、たとえば、ABI 431 A ペプチドシンセサイザー(Perkin Elmer, Palo Alto, CA)を用いて自動合成を実現することができる。
新たに合成されたペプチドを、調製用高速液体クロマトグラフィー(たとえば、Creighton, Proteins, Structures and Molecular Principles (1983))または当技術分野で利用できる他の同等の技術によって実質的に精製することができる。合成ペプチドの組成は、アミノ酸分析または配列決定(たとえば、エドマン分解法)によって確認することができる。加えて、ポリペプチド、またはその任意の部分のアミノ酸配列を、バリアントポリペプチドを作製するために、直接合成の際に変更してもよく、ならびに/または、化学的な方法を用いて他のタンパク質由来の配列もしくはその任意の部分と組み合わせてもよい。
望ましいポリペプチドを発現させるために、そのポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、または機能的に同等のものを適当な発現ベクター、すなわち挿入されたコード配列の転写および翻訳に必要な要素を含有するベクターに挿入することができる。当業者によく知られている方法を用いて、目的のポリペプチドをコードする配列、ならびに適当な転写および翻訳調節エレメントを含有する発現ベクターを構築することができる。こうした方法には、in vitro組換えDNA法、合成法、およびin vivo遺伝子組み換えがある。こうした方法は、Sambrook et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual (2000), and Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology (updated annually)に記載されている。
ポリヌクレオチド配列を含有して発現させるために、さまざまな発現ベクター/宿主系を利用することができる。こうした系には、組換えバクテリオファージ、プラスミド、もしくはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌などの微生物;酵母発現ベクターで形質転換された酵母;ウイルス発現ベクター(たとえば、バキュロウイルス)による感染を受けた昆虫細胞系;ウイルス発現ベクター(たとえば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)または細菌発現ベクター(たとえば、TiもしくはpBR322プラスミド)で形質転換された植物細胞系;または動物細胞系があるが、それらに限定されない。
発現ベクター中に存在する「調節エレメント」または「制御配列」は、転写および翻訳を実行するために宿主の細胞タンパク質と相互作用する、ベクターの非翻訳領域、すなわちエンハンサー、プロモーター、5’および3’非翻訳領域である。こうしたエレメントは、長さや特異性がさまざまに異なる可能性がある。利用するベクター系および宿主に応じて、任意の数の適当な転写および翻訳エレメントを使用することができるが、これには構成的プロモーターおよび誘導性プロモーターが含まれる。たとえば、細菌系でクローニングする場合、PBLUESCRIPTファージミド(Stratagene, La Jolla, Calif.)またはPSPORT1プラスミド(Gibco BRL, Gaithersburg, MD)のハイブリッドlacZプロモーターなどの誘導性プロモーターを使用することができる。哺乳動物細胞系において、哺乳動物遺伝子由来の、または哺乳動物ウイルス由来のプロモーターが一般に好ましい。ポリペプチドをコードする配列を複数コピー含有する細胞系を作製する必要がある場合には、SV40またはEBVに基づくベクターを適当な選択可能マーカーとともに使用することが有利であると考えられる。
細菌系では、発現されるポリペプチドの使用目的に応じて、数多くの発現ベクターを選択することができる。たとえば、抗体誘導のためなど、大量に必要となる場合には、精製が容易な融合タンパク質の高レベル発現を指示するベクターを使用することができる。このようなベクターには、BLUESCRIPT(Stratagene)などの多機能性E. coliクローニングおよび発現ベクター;pINベクター(Van Heeke &Schuster, J. Biol. Chem. 264:5503-5509 (1989))などがあり、これらに限定されないが、前者のベクターにおいて目的のポリペプチドをコードする配列は、ハイブリッドタンパク質が作製されるように、βガラクトシダーゼのアミノ末端Metおよびそれに続く7残基の配列とともにインフレームでベクター中にライゲーションすることができる。pGEXベクター(Promega, Madison, Wis; GE Healthcare.)を使用して、外来ポリペプチドを、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として発現させることもできる。一般に、このような融合タンパク質は可溶性であって、グルタチオン-アガロースビーズへの吸着後に遊離型のグルタチオン存在下で溶出することによって、溶解細胞から容易に精製することができる。こうした系で作製されるタンパク質は、クローニングされた目的ポリペプチドを随意にGST部分から遊離することができるように、ヘパリン、トロンビン、または第Xa因子のプロテアーゼ切断部位を含有するようデザインすることができる。
酵母、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)もしくはピキア属(Pichia)、たとえばピキア・パストリス(Pichia pastoris)では、α因子、アルコールオキシダーゼ、およびPGHなどの、構成的または誘導性プロモーターを含有する多くのベクターを使用することができる。構成的または誘導性プロモーターを含有する他のベクターは、GAP、PGK、GAL、およびADHを含む。総説として、Ausubel et al.(上記)、および Grant et al., Methods Enzymol. 153:516-544 (1987) 、およびRomas et al. Yeast 8 423-88 (1992)を参照されたい。
植物発現ベクターを使用する場合、ポリペプチドをコードする配列の発現は、多数のプロモーターのいずれで駆動してもよい。たとえば、CaMVの35Sおよび19Sプロモーターなどのウイルスプロモーターを単独で使用することができるが、TMV由来のオメガリーダー配列とともに使用してもよい(Takamatsu, EMBO J. 6:307-311 (1987))。あるいはまた、RUBISCOの小サブユニットまたは熱ショックプロモーターなどの植物プロモーターを使用することができる(Coruzzi et al., EMBO J. 3:1671-1680 (1984); Broglie et al., Science 224:838-843 (1984); and Winter et al., Results Probl. Cell Differ. 17:85-105 (1991))。こうした構築物は、直接DNA形質転換または病原体によるトランスフェクションによって植物細胞に導入することができる。このような技法は、一般に利用可能な総説に記載されている(たとえば、Hobbs in McGraw Hill Yearbook of Science and Technology pp. 191-196 (1992)を参照されたい)。
昆虫系を用いて、目的のポリペプチドを発現させることもできる。たとえば、ある昆虫系において、Autographa californica(キンウワバ科)核多角体病ウイルス(AcNPV)をベクターとして使用し、外来遺伝子をヨトウガ(Spodoptera frugiperda)細胞またはキンウワバ類(Trichoplusia)幼虫で発現させる。ポリペプチドをコードする配列を、ポリヘドリン遺伝子などといったウイルスの非必須領域内にクローニングして、ポリヘドリンプロモーターの制御下におくことができる。ポリペプチドをコードする配列の挿入の成功は、ポリヘドリン遺伝子を不活化し、コートタンパク質を欠いた組換えウイルスを生成させる。次に、その組換えウイルスを用いて、たとえば、ヨトウガ(S. frugiperda)細胞またはキンウワバ類(Trichoplusia)幼虫に感染させ、そこで目的のポリペプチドを発現させることができる(Engelhard et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 91 :3224-3227 (1994))。
哺乳動物宿主細胞において、数多くのウイルスによる発現系が広く利用できる。たとえば、発現ベクターとしてアデノウイルスを使用する場合、目的のポリペプチドをコードする配列は、後期プロモーターおよびトリパータイトリーダー配列からなるアデノウイルス転写/翻訳複合体にライゲーションすることができる。ウイルスゲノムの非必須E1およびE3領域内への挿入によって、感染した宿主細胞においてポリペプチドを発現することができる生存ウイルスを得ることができる(Logan & Shenk, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 81:3655-3659 (1984))。それに加えて、ラウス肉腫ウイルス(RSV)エンハンサーなどの転写エンハンサーを用いて、哺乳動物宿主細胞での発現を増加させることができる。アデノウイルスベクターを用いて作業するための方法およびプロトコルは、Wold, Adenovirus Methods and Protocols, 1998に概説されている。アデノウイルスベクターの使用に関するその他の参考文献は、Adenovirus: A Medical Dictionary, Bibliography, and Annotated Research Guide to Internet References, 2004に見出すことができる。
特異的な開始シグナルを使用して、目的のポリペプチドをコードする配列のもっと効率の良い翻訳を達成することができる。このようなシグナルには、ATG開始コドンおよび隣接配列がある。ポリペプチドをコードする配列、その開始コドン、および上流配列が適当な発現ベクターに挿入される場合、追加の転写もしくは翻訳調節シグナルは必要がないかもしれない。しかしながら、コード配列のみ、またはその一部だけが挿入される場合には、ATG開始コドンなどの外来転写調節シグナルが提供されるべきである。さらに、開始コドンは、確実に挿入物全体の翻訳が行われるように正しい読み枠に存在しなければならない。外来翻訳エレメントおよび開始コドンは、さまざまな起源、天然でも合成であってよい。例えば文献に記載されるような、使用される個別の細胞系に適したエンハンサーを含有することによって、発現効率を高めることができる(Scharf. et al., Results Probl. Cell Differ. 20:125-162 (1994))。
それに加えて、挿入された配列の発現を調節する能力、または発現されたタンパク質を望ましいように加工処理する能力がある宿主細胞株を選択することができる。このようなポリペプチドの修飾には、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質付加、およびアシル化があるが、これに限定されない。「プレプロ」型のタンパク質を切断する翻訳後プロセシングを用いて、適正な挿入、フォールディングおよび/または機能を助けることもできる。CHO、HeLa、MDCK、HEK293、およびWI38などのさまざまに異なる宿主細胞は、こうした翻訳後活性について、固有の細胞機構および特有のメカニズムを有するので、外来タンパク質の適正な修飾およびプロセシングを確保するように選択することができる。
組換えタンパク質を長期間高収率で生産するために、安定した発現が通常好まれる。たとえば、目的のポリペプチドを安定して発現する細胞株を、発現ベクターを用いて形質転換することができるが、この発現ベクターは、ウイルスの複製開始点および/または内在性発現エレメント、ならびに選択可能なマーカー遺伝子を同一ベクター上か、または別々のベクター上に含有することができるものである。ベクター導入後に、細胞を強化培地で1-2日間増殖させてから選択培地に移すことができる。選択可能マーカーの目的は、選択への耐性を与えることであり、その存在は、導入配列がうまく発現している細胞の増殖および回収を可能にする。安定に形質転換された細胞の耐性クローンは、細胞型に適合した組織培養法を用いて増殖させることができる。
形質転換細胞株を回収するために、いくつもの選択系を使用することができる。これには、それぞれtk.sup.- またはaprt.sup.- 細胞において使用することができる、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wigler et al., Cell 11:223-32 (1977))およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowy et al., Cell 22:817-23 (1990))遺伝子があるが、それらに限定されない。また、代謝拮抗物質、抗生物質または除草剤に対する耐性を選択の根拠として用いることができる;たとえば、メトトレキサートに対する耐性を与えるdhfr(Wigler et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 77:3567-70 (1980));アミノグリコシド、ネオマイシン、およびG-418に対する耐性を与えるnpt(Colbere-Garapin et al., J. Mol. Biol. 150:1-14 (1981));ならびに、それぞれクロルスルフロンおよびホスフィノトリシン・アセチルトランスフェラーゼに対する耐性を与えるalsまたはpat(Murry、上記)。そのほかの選択可能遺伝子、たとえば、細胞がトリプトファンの代わりにインドールを利用できるようにするtrpB、または細胞がヒスチジンの代わりにヒスチノール(histinol)を利用できるようにするhisDが報告されている(Hartman & Mulligan, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 85:8047-51 (1988))。近年、可視化マーカーの使用が、アントシアニン、βグルクロニダーゼおよびその基質GUS、ならびにルシフェラーゼおよびその基質ルシフェリンなどのマーカーで高評価を得ており、形質転換体を同定するためだけでなく、特定のベクター系による一過性または安定的タンパク質発現量を定量するためにも広く使用されている(Rhodes et al., Methods Mol. Biol. 55:121-131 (1995))。
マーカー遺伝子発現の有無は目的の遺伝子の存在も示唆するが、その存在および発現は、確認する必要があると考えられる。たとえば、ポリペプチドをコードする配列がマーカー遺伝子配列内に挿入されている場合、配列を含有する組換え細胞は、マーカー遺伝子機能がないことによって同定することができる。あるいはまた、マーカー遺伝子は、1つのプロモーターの制御下で、ポリペプチドをコードする配列とタンデムに配置されていることもある。誘導もしくは選択に反応してマーカー遺伝子が発現することは、同様にタンデム遺伝子も発現していることを意味する。
あるいはまた、望ましいポリヌクレオチド配列を含有して発現する宿主細胞は、当業者に公知のさまざまな方法によって同定することができる。こうした方法には、DNA-DNAもしくはDNA-RNAハイブリダイゼーションおよびタンパク質バイオアッセイもしくはイムノアッセイ法があり、これには膜、溶液、もしくはチップによる核酸もしくはタンパク質の検出および/または定量法が含まれるが、それらに限定されない。
生成産物に特異的なポリクローナルもしくはモノクローナル抗体のいずれかを使用する、ポリヌクレオチドによりコードされる産物の発現を検出および測定するためのさまざまなプロトコルが当技術分野で知られている。例としては、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ、および蛍光活性化セルソーティング(FACS)がある。所与のポリペプチド上の2つの干渉しないエピトープと反応するモノクローナル抗体を使用する、モノクローナル抗体によるtwo-siteイムノアッセイは、用途によっては好ましいかもしれないが、競合的結合アッセイも使用することができる。上記および他のアッセイが報告されており、なかでも、Hampton et al., Serological Methods, a Laboratory Manual (1990) and Maddox et al., J. Exp. Med. 158:1211-1216 (1983)に記載されている。
さまざまな標識ならびに結合法が当業者に知られており、さまざまな核酸およびアミノ酸アッセイに使用することができる。ポリヌクレオチドに関係する配列を検出するための、標識化されたハイブリダイゼーションプローブまたはPCRプローブを作製する方法には、オリゴラベリング、ニックトランスレーション、末端標識化、または標識化ヌクレオチドを使用するPCR増幅がある。あるいはまた、その配列またはその任意の部分を、mRNAプローブ作製用のベクターにクローニングすることができる。このようなベクターは当技術分野で周知であって、市販されており、それを用いて、T7、T3、もしくはSP6などの適当なRNAポリメラーゼおよび標識化ヌクレオチドを加えることによって、in vitroでRNAプローブを合成することができる。こうした方法は、さまざまな市販キットを用いて実行することができる。使用することができる適当なレポーター分子もしくは標識には、放射性核種、酵素、蛍光、化学発光、もしくは発色物質、ならびに基質、コファクター、阻害剤、磁性粒子などがある。
目的のポリヌクレオチド配列で形質転換された宿主細胞を、細胞培養物からのタンパク質の回収および発現に適した条件下で、培養することができる。組換え細胞で産生されるタンパク質は、使用する配列および/またはベクターに応じて、分泌されるか、または細胞内に収容されている可能性がある。当業者には当然のことながら、ポリヌクレオチドを含有する発現ベクターは、コードされたポリペプチドの、原核細胞もしくは真核細胞の膜を通した分泌を指示するシグナル配列を含有するようにデザインすることができる。他の組換え構築物を用いて、目的のポリペプチドをコードする配列を、可溶性タンパク質の精製を容易にするポリペプチドドメインをコードするヌクレオチド配列に、結合することもできる。このような精製を容易にするドメインには、固定化金属上での精製を可能にするヒスチジン-トリプトファンモジュールなどの金属キレートペプチド類、固定化免疫グロブリン上での精製を可能にするプロテインAドメイン、ならびにFLAGS伸長/アフィニティ精製システムに用いられるドメイン(Immunex Corp., Seattle, Wash.)があるがこれらに限定されない。第Xa因子またはエンテロキナーゼ(Invitrogen. San Diego, Calif.)に特異的な配列などの切断可能リンカー配列を、コードされたポリペプチドと精製ドメインとの間に入れることによって、精製を容易にすることができる。このようなベクターの1つは、チオレドキシンおよびエンテロキナーゼ切断部位に先行する6つのヒスチジン残基をコードする核酸、ならびに目的のポリペプチドを含有する融合タンパク質の発現をもたらす。ヒスチジン残基は、Porath et al., Prot. Exp. Purif. 3:263-281 (1992)に記載のようにIMIAC(固定化金属イオンアフィニティークロマトグラフィー)上での精製を容易にするが、一方、エンテロキナーゼ切断部位は、融合タンパク質から、求めるタンパク質を精製するための手段を提供する。融合タンパク質を含むベクターについての論考は、Kroll et al., DNA Cell Biol. 12:441-453 (1993)で与えられる。
ポリペプチド組成物
概して、本発明に用いられるポリペプチド(たとえば、クロストリジウム・ディフィシルCDTa、CDTb、トキシンAおよびトキシンBタンパク質)は、単離されたポリペプチドである(すなわち、通常天然に存在する成分から分離されている)。
たとえば、天然に存在するタンパク質は、それが天然の系において共存する物質の一部またはすべてから分離されているならば、単離されている。好ましくは、こうしたポリペプチドは、少なくとも約90%の純度であり、より好ましくは少なくとも約95%の純度であり、もっとも好ましくは少なくとも約99%の純度である。ポリヌクレオチドは、たとえば、それが天然環境の一部ではないベクター中にクローニングされているならば、単離されているとみなされる。
ポリペプチドは、さまざまな周知の技法のいずれかを用いて調製することができる。上記DNA配列によりコードされる組換えポリペプチドは、当業者に知られているさまざまな発現ベクターのいずれかを用いて、そのDNA配列から容易に調製することができる。発現は、組換えポリペプチドをコードするDNA分子を含有する発現ベクターにより形質転換またはトランスフェクトされた、適当な宿主細胞内で成し遂げることができる。適当な宿主細胞には原核生物、酵母、ならびに高等な真核細胞、たとえば哺乳動物細胞および植物細胞がある。使用される宿主細胞は、好ましくは、大腸菌(E. coli)、酵母、または哺乳動物細胞株、たとえばCOSもしくはCHOである。組換えタンパク質もしくはポリペプチドを培養液中に分泌する適当な宿主/ベクター系から得られる上清を、最初に、市販のフィルターを用いて濃縮することができる。濃縮後、その濃縮物を、適当な精製マトリクス、たとえばアフィニティマトリクスまたはイオン交換樹脂にアプライすることができる。最後に、1回または複数回の逆相HPLCステップを行って、組換えポリペプチドをさらに精製することができる。
本発明に用いられるポリペプチド、その免疫原性断片、ならびに約100個未満、通常約50個未満のアミノ酸を有するその他のバリアントは、当業者によく知られた技法を用いて、合成法によって作製することもできる。たとえば、こうしたポリペプチドは、Merrifield固相合成法などの市販の固相法のいずれかを用いて合成することができるが、この場合アミノ酸は成長アミノ酸鎖に順次付加される。Merrifield, J. Am. Chem. Soc. 85:2149-2146 (1963)を参照されたい。ポリペプチドの自動合成装置は、Perkin Elmer/Applied BioSystems Division (Foster City, CA)などの供給業者から市販されており、メーカーの説明書に従って稼働させることができる。
ある特定の実施形態において、ポリペプチドは、本明細書に記載の複数のポリペプチドを含んでなる融合タンパク質、または本明細書に記載の少なくとも1つのポリペプチドおよび無関係の配列を含んでなる融合タンパク質とすることができるが、こうしたタンパク質の例には、破傷風、結核および肝炎タンパク質がある(たとえば、Stoute et al., New Engl. J. Med. 336:86-91 (1997)を参照されたい)。融合パートナーはたとえば、Tヘルパーエピトープ(免疫原性融合パートナー)、好ましくはヒトによって認識されるTヘルパーエピトープの提供に役立つか、または天然型の組換えタンパク質より高収率のタンパク質の発現に役立つものとすることができる(発現エンハンサー)。好ましい融合パートナーは、免疫原性であって発現も高める融合パートナーである。他の融合パートナーは、タンパク質の溶解性を高めるように選択してもよく、タンパク質が望ましい細胞内区画をターゲットとすることができるように選択することもできる。さらに他の融合パートナーとしてはアフィニティタグがあるが、これはタンパク質の精製を容易にする。
融合タンパク質は通常、化学的結合を含めた、標準的な方法を用いて調製することができる。好ましくは、融合タンパク質は組換えタンパク質として発現されるが、そのことが発現系において、非融合タンパク質に比べて増大した製造レベルを可能にする。手短に述べると、ポリペプチド成分をコードするDNA配列は別々に構築され、適当な発現ベクター中にライゲートすることができる。ポリペプチド成分をコードするDNA配列の3’末端は、ペプチドリンカーを用いて、またはペプチドリンカーなしで、第2のポリペプチド成分をコードするDNA配列の5’末端に、読み枠が一致するようにライゲートされる。これによって、2つの成分ポリペプチドの生物活性をともに保持する1つの融合タンパク質への翻訳が可能になる。
ペプチドリンカー配列を用いて、第1および第2のポリペプチド成分を、それぞれのポリペプチドの二次および三次構造へのフォールディングを保証するのに十分な距離で隔てることができる。このようなペプチドリンカー配列は、当技術分野で周知の標準技術によって融合タンパク質に組み込まれる。適当なペプチドリンカー配列は、以下の要因に基づいて選択することができる:(1)可動性のある延長された高次構造をとることができること;(2)第1および第2のポリペプチド上の機能的エピトープと相互作用する可能性のある二次構造をとることができないこと;(3)ポリペプチドの機能的エピトープと反応しうる疎水性残基または荷電残基がないこと。好ましいペプチドリンカー配列は、Gly ,Asn、およびSer残基を含有する。他の中性に近いアミノ酸、ThrもしくはAlaなどもリンカー配列に使用することができる。リンカーとして有効に使用することができるアミノ酸配列には、Maratea et al., Gene 40:39-46 (1985); Murphy et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83:8258-8262 (1986); U.S. Patent No. 4,935,233 および U.S. Patent No. 4,751,180に記載のものが含まれる。リンカー配列の長さは通常1から50アミノ酸までとすることができる。第1および第2ポリペプチドが非必須N末端アミノ酸領域を有し、それによって機能ドメインを分離して立体障害を防ぐことができるならば、リンカー配列は必要ない。
アジュバント
本発明の態様のいずれかの他の実施形態において、免疫原性組成物はさらにアジュバントを含んでなる。ある実施形態において、アジュバントは水酸化アルミニウムまたはリン酸アルミニウムを含有する。あるいはまた、本発明の免疫原性組成物は、アルミニウムを含まないアジュバントを含有してもよく、免疫原性組成物はアルミニウムもしくはアルミニウム塩を含まないアジュバント、すなわちアルミニウムを含まないアジュバントもしくはアジュバント系とともに調剤される。
ある実施形態において、免疫原性組成物は、リポソームの形で与えられる免疫学的に活性のあるサポニン画分を含有するアジュバントとともに調剤される。アジュバントはさらに、リポ多糖を含んでいてもよい。アジュバントはQS21を含んでいてもよい。たとえば、ある実施形態において、アジュバントはリポソーム製剤中にQS21を含有する。ある実施形態において、アジュバント系は3D-MPLおよびQS21を含む。たとえば、ある実施形態において、アジュバントはリポソーム製剤中に3D-MPLおよびQS21を含有する。必要に応じて、アジュバント系はコレステロールも含有する。ある特定の実施形態において、アジュバントはQS21およびコレステロールを含む。必要に応じて、アジュバント系は、1,2-ジオレイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)を含有する。たとえば、ある特定の実施形態において、アジュバント系はコレステロール、DOPC、3D-MPLおよびQS21を含有する。
ある特定の例において、免疫原性組成物は、約0.1〜約0.5 mgコレステロール;約0.25〜約2 mg DOPC;約10μg〜約100μg 3D-MPL;および約10μg〜約100μg QS21を含む用量で調剤されたアジュバントを含有する。別の特定の例において、免疫原性組成物は、約0.1〜約0.5 mgコレステロール;約0.25〜約2 mg DOPC;約10μg〜約70μg 3D-MPL;および約10μg〜約70μg QS21を含む用量で調剤されたアジュバントを含有する。ある特定の製剤において、アジュバントは、約0.25 mgコレステロール;約1.0 mg DOPC;約50μg 3D-MPL;および約50μg QS21を含有する1回量として調剤される。他の実施形態において、免疫原性組成物は分割用量として製剤される(すなわち、前記単回投与製剤の分割された部分用量、たとえば、前記成分量(コレステロール、DOPC、3D-MPLおよびQS21)の2分の1、前記成分量の1/4、または前記成分量の別の分割量(たとえば1/3、1/6など)である)。
ある実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、たとえば、EP0671948にすでに記載されている、リポ多糖およびキラヤサポニンを組み合わせて含有するアジュバントを含む。前記特許は、リポ多糖(3D-MPL)をキラヤサポニン(QS21)と組み合わせた場合に強い相乗作用を明らかにした。
アジュバントは、さらに免疫賦活性オリゴヌクレオチド(たとえば、CpG)または基剤を含有することができる。
本発明での使用に特に適したサポニンは、Quil Aおよびその誘導体である。Quil Aは南米のシャボンノキ(Quillaja Saponaria Molina)から単離されたサポニン標品であって、アジュバント活性を有することが、Dalsgaardらによって1974年に最初に報告された(“Saponin adjuvants”, Archiv. fuer die gesamte Virusforschung, Vol. 44, Springer Verlag, Berlin, p243-254)。Quil Aの精製断片は、HPLCによって単離されているが、これは、Quil Aに付随する毒性なしにアジュバント活性を保持しており(EP 0 362 278)、たとえばQS7およびQS21(QA7およびQA21としても知られる)である。QS21は、シャボンノキの樹皮に由来する天然サポニンであって、これはCD8+細胞傷害性T細胞(CTL)、Th1細胞、および主要IgG2a抗体反応を誘導し、本発明において好ましいサポニンである。
アジュバントが、リポソームの形で提供される免疫学的に活性のあるサポニン画分を含有する場合、アジュバントはさらにステロールを含有してもよい。ステロールは、サポニン:ステロールが1;1〜1:100 w/wの割合で提供されることが適当であり、たとえば1:1〜1:10 w/w;または1:1〜1:5 w/wである。
特定の実施形態において、QS21は、たとえばコレステロールなどの外因性ステロールによってクエンチされる、反応性の低い組成物に与えられる。QS21が外因性コレステロールでクエンチされる、反応性の低い組成物のいくつかの特別な形が存在する。特定の実施形態において、サポニン/ステロールは、リポソーム構造の形をとる(WO 96/33739、実施例1)。この実施形態において、リポソームは中性脂肪、たとえばホスファチジルコリンを含有することが適当であるが、これは好ましくは室温で非結晶性であって、たとえば卵黄ホスファチジルコリン、ジオレイルホスファチジルコリン(DOPC)、またはジラウリルホスファチジルコリンである。リポソームは、荷電脂質も含有していてもよいが、これは、飽和脂質からなるリポソームのためにリポソーム-QS21構造の安定性を高める。こうした場合、荷電脂質の量は1-20% w/wが適当であるが、好ましくは5-10%である。リン脂質に対するステロールの割合は、1-50%(mol/mol)であるが、20-25%が適当である。
適当なステロールとしては、βシトステロール、スチグマステロール、エルゴステロール、エルゴカルシフェロールおよびコレステロールがある。ある特定の実施形態において、アジュバント組成物は、ステロールとしてコレステロールを含有する。これらのステロールは当技術分野でよく知られており、たとえばコレステロールは、動物脂肪にみられる天然由来ステロールとして、Merck Index、第11版、341ページに記載されている。
活性サポニン画分がQS21である場合、QS21:ステロールの割合は、典型的には1:100〜1:1 (w/w) 程度であるが、1:10〜1:1 (w/w) が適当であり、1:5〜1:1 (w/w) であることが好ましい。ある実施形態において、QS21:ステロール比は1:5 (w/w) である。ステロールは、コレステロールが適当である。
ある実施形態において、本発明は、免疫学的に活性のあるサポニン、好ましくはQS21を投与量当たり約1〜約70μg程度、たとえば約50μgの量で含有する免疫原性組成物の用量を与える。
ある実施形態において、本発明は、免疫学的に活性のあるサポニン、好ましくはQS21を約60μg以下、たとえば約1〜60μgのレベルで含有する免疫原性組成物の用量を与える。ある実施形態において、1回投与分の免疫原性組成物は、約50μg程度のレベルのQS21を含有し、例えば45〜55μgであるが、46〜54μg、または47〜53μg、または48〜52μg、または49〜51μg、または50μgであることが適当である。
別の実施形態において、1回投与分の免疫原性組成物は、約25μg程度のレベルのQS21を含有し、例えば20〜30μgであるが、21〜29μg、または22〜28μg、または23〜27μg、または24〜26μg、または25μgであることが適当である。
別の実施形態において、1回投与分の免疫原性組成物は、約10μg程度のレベルのQS21を含有し、例えば5〜15μgであるが、6〜14μg、または7〜13μg、または8〜12μg、または9〜11μg、または10μgであることが適当である。
具体的には、ワクチン1回投与分の容量0.5 mlには、投与量当たり25μgまたは50μgのQS21が含まれる。具体的には、ワクチン1回分の容量0.5 mlには、投与量当たり50μgのQS21が含まれる。
リポ多糖を含有する組成物において、リポ多糖は用量当たり約1〜70μgの量で存在しうるが、たとえば、その量は約50μgである。
リポ多糖は、リピドAの無毒な誘導体、具体的にはモノホスホリルリピドA、もしくはより詳細には3-脱アシル化モノホスホリルリピドA(3D-MPL)とすることができる。
3D-MPLは、GlaxoSmithKline Biologicals S.A.からMPLの名称で販売されており、あらゆる文書を通じてMPLもしくは3D-MPLと呼ばれている。たとえば、US Patent No. 4,436,727; 4,877,611; 4,866,034および4,912,094を参照されたい。3D-MPLは主としてIFN-γ(Th1)表現型を有するCD4+ T細胞の反応を促進する。3D-MPLはGB 2 220 211 Aに記載の方法に従って作製することができる。化学的には、それは、3、4、5もしくは6アシル化鎖を有する3-脱アシル化モノホスホリルリピドAの混合物である。本発明の組成物において、小粒子3D-MPLを使用することが好ましい。小粒子3D-MPLは0.22μmフィルターを通して無菌ろ過することができるような粒径を有する。こうした製品はWO 94/21292に記載されている。
したがって、本発明は、リポ多糖、好ましくは3D-MPLを、75μg以下のレベルで、たとえば1〜60μg程度含有する免疫原性組成物の投与量を与える。
ある実施形態において、1回投与分の免疫原性組成物は、約50μg程度の3D-MPLを含有するが、たとえば45〜55μgであり、46〜54μg、または47〜53μg、または48〜52μg、または49〜51μg、または50μgであることが適当である。
ある実施形態において、1回投与分の免疫原性組成物は、約25μg程度の3D-MPLを含有するが、たとえば20〜30μgであり、21〜29μg、または22〜28μg、または23〜27μg、または24〜26μg、または25μgであることが適当である。
別の実施形態において、1回投与分の免疫原性組成物は、約10μg程度の3D-MPLを含有し、例えば5〜15μgであるが、6〜14μg、または7〜13μg、または8〜12μg、または9〜11μg、または10μgであることが適当である。
ある実施形態において、投与量の容積は0.5 mlである。他の実施形態において、免疫原性組成物は、0.5 mlより高い容積の投与に適した量、たとえば0.6、0.7、0.8、0.9もしくは1 mlとする。他の実施形態において、ヒト投与量は1 ml〜1.5mlである。
具体的には、ワクチン1回投与分の容量0.5 mlには、投与量当たり25μgまたは50μgの3D-MPLが含まれる。具体的には、ワクチン1回投与分の容量0.5 mlには、投与量当たり50μgのQS21が含まれる。
本発明の任意の態様の免疫原性組成物の投与量は、当然のごとく、ヒト用量を指している。「ヒト用量」という用語は、ヒトに使用するのに適した容積とした投与量を意味する。通常、これは0.3〜1.5 mlである。ある実施形態において、ヒト用量は0.5 mlである。他の実施形態において、ヒト用量は0.5 mlより高く、たとえば、0.6、0.7、0.8、0.9、もしくは1 mlである。さらに他の実施形態において、ヒト用量は1 ml〜1.5 mlである。
本発明の適当な組成物は、最初にMPLなしでリポソームを調製(WO 96/33739に記載のように)してからMPLを添加するものであって、当然のことながらMPLは100 nm未満の小粒子として、または0.22μmメンブランを通過して無菌ろ過を受けられる粒子として、添加される。したがって、MPLは、ベシクル膜の内部には含まれない(MPLアウトとして知られる)。MPLがベシクル膜の内部に含まれている組成物(MPLインとして知られる)も本発明の一態様をなす。C.ディフィシルトキシンA断片および/またはC.ディフィシルトキシンB断片を含有するポリペプチドは、ベシクル膜の内側に収容することができるが、ベシクル膜の外側に含めることもできる。
具体的な実施例において、QS21および3D-MPLは、免疫原性組成物の用量当たり同じ終濃度で存在し、すなわちQS21:3D-MPL比は、1:1である。ある実施形態において、投与量の免疫原性組成物は、終濃度25μgの3D-MPLおよび25μgのQS21、または50μgの3D-MPLおよび50μgのQS21を含有する。
ある実施形態において、アジュバントは水中油型エマルションを含んでいる。ある実施形態において、アジュバントは水中油型エマルションを含んでなるが、この水中油型エマルションは、代謝可能な油、トコール(tocol)、および乳化剤を含有する。たとえば、水中油型エマルションは、代謝可能な油を混合した油相、およびトコールなどの追加の油相を含有する。水中油型エマルションはまた、緩衝生理食塩溶液(たとえばリン酸緩衝生理食塩水)などの水性成分を含有することができる。それに加えて、水中油型エマルションは典型的には、乳化剤を含有する。ある実施形態において、代謝可能な油はスクアレンである。ある実施形態において、トコールはαトコフェロールである。ある実施形態において、乳化剤は、(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート、ポリソルベート80(Polysorbate(登録商標)20)、TWEEN80(商標名)などの)非イオン界面活性乳化剤である。例示的な実施形態において、水中油型エマルションはスクアレンおよびαトコフェロールを同割かまたは1未満の割合(w/w)で含有する。
代謝可能な油は、水中油型エマルション中に0.5〜10 mgの量で含まれる。トコールは、水中油型エマルション中に0.5〜11 mgの量で含まれる。乳化剤は0.4〜4 mgの量で含まれていてよい。
任意の水中油型組成物がヒトへの投与に適合するために、エマルション系の油相は、代謝可能な油を含有する必要がある。代謝可能な油という用語の意味は当技術分野でよく知られている、代謝可能は、「代謝によって別の物質に変化させることができること」と定義することができる(Dorland’s Illustrated Medical Dictionary, W.B. Sanders Company, 25th edition (1974))。油は任意の植物油、魚油、動物油または合成油とすることができるが、これはレシピエントに対して毒性がなく、代謝によって別の物質に変化させることができる。ナッツ類、種子類、および穀類は植物油の通常の起源である。合成油も本発明の一部をなしており、NEOBEE(登録商標) (植物油起源のグリセロール、およびヤシ油もしくはパーム核油由来の中鎖脂肪酸(MCT)を用いて製造されるトリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル)などの市販の油を含めることができる。特に好適な代謝可能な油はスクアレンである。スクアレン(2,6,10,15,19,23-ヘキサメチル-2,6,10,14,18,22-テトラコサヘキサエン)は、サメ肝油に大量に存在し、オリーブ油、コムギ胚芽油、コメぬか油、および酵母に比較的少量存在する不飽和油であるが、本発明での使用に特に好ましい油である。スクアレンはコレステロール生合成の中間体であることから、代謝可能な油である(Merck index, 10th Edition, entry no.8619)。
代謝可能な油は、アジュバント組成物中に用量当たり0.5-10 mg、好ましくは1-10、2-10、3-9、4-8、5-7、または5-6 mg(たとえば2-3、5-6、または9-10mg)、特に約5.35 mgまたは約2.14 mgの量で存在することが適当である。
トコールは当技術分野でよく知られており、EP0382271に記載されている。適当なトコールはαトコフェロールもしくはその誘導体、コハク酸αトコフェロール(ビタミンEコハク酸エステルとしても知られる)などである。前記トコールは、0.5-11 mg、好ましくは1-11、2-10、3-9、4-8、5-7、5-6 mg(たとえば、10-11、5-6、2.5-3.5、または1-3 mg)の量で存在することが適当である。具体的な実施形態において、トコールは用量当たり約5.94 mgまたは約2.38 mg存在する。
水中油型エマルションはさらに乳化剤を含有する。乳化剤はポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートとすることができる。具体的な実施形態において、乳化剤はポリソルベート80(Polysorbate(登録商標)80)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレアート)もしくはTween(登録商標)80とすることができる。
前記乳化剤は、アジュバント組成物中に、0.1-5、0.2-5、0.3-4、0.4-3または2-3 mg(たとえば0.4-1.2、2-3または4-5 mg)の乳化剤量で存在することが適当である。具体的な実施形態において、乳化剤は約0.97 mgまたは約2.425 mg存在する。
ある実施形態において、組成物中に存在する特定の成分の量は、0.5 mlのヒト用量中に存在する量である。他の実施形態において、免疫原性組成物は、ヒト用量に適した容積とするが、その容積は0.5 mlより大きく、たとえば、0.6、0.7、0.8、0.9または1 mlである。他の実施形態において、ヒト用量は1 ml〜1.5 mlである。
アジュバントが液体状であって、液体状のポリペプチド組成物と混合されることになっている場合、ヒト用量中のアジュバント組成物は、ヒト用量の予定最終容積の一部、たとえばヒト用量の予定最終容積の約半分、たとえば予定のヒト用量0.7 mlに対して350μlの容積であり、または予定のヒト用量0.5 mlに対して250μgの容積となる。アジュバント組成物はポリペプチド抗原組成物と混合すると希釈されて、最終的なヒト用量のワクチンを与える。このような用量の最終容積は、当然、アジュバント組成物の最初の容積、およびアジュバント組成物に添加されるポリペプチド抗原組成物の容積に応じてさまざまとなる。他の実施形態において、液体アジュバントを使用して、凍結乾燥ポリペプチド組成物が再構成される。この実施形態において、アジュバント組成物のヒト用量は、ヒト用量の最終容積とほぼ等しい。液体アジュバント組成物を、凍結乾燥ポリペプチド組成物を入れたバイアルに添加する。最終ヒト用量は、0.5〜1.5 mlの間でさまざまとすることができる。
水中油型エマルションを作製する方法は当業者によく知られている。通常、その方法は、トコール含有油相をPBS/ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート溶液などの界面活性剤と混合した後、ホモジナイザーを用いてホモジナイズすることを含む。混合物を2回注射針に通すことを含む方法が、少量の液体をホモジナイズするのに適していることは当業者には明白であろう。同様に、当業者は、マイクロフリュイダイザー(M110S Microfluidics装置、最大通過回数50回、最大入力圧力6バールにて2分間(出力圧力、約850バール))における乳化プロセスを適合させて、少量または大量のエマルションを製造することができる。求める直径の油滴を有する標品が得られるまで、得られたエマルションを評価することを含む日常の実験によって、適合化を達成することができる。
水中油型エマルションにおいて、油および乳化剤は水性基剤に含まれている必要がある。水性基剤はたとえば、リン酸緩衝生理食塩水とすることができる。
本発明の水中油型エマルション系は、油滴サイズが小さく、μm未満に収まることが好ましい。液滴サイズは120〜750 nmの範囲内が適当であるが、より好ましくは直径120〜600 nmのサイズである。水中油型エマルションは、油滴の少なくとも70%(強度パーセント)が直径500 nm未満であり、より好ましくは少なくとも80%(強度パーセント)が直径300 nm未満であり、さらに好ましくは少なくとも90%(強度パーセント)が直径120〜200 nmの範囲内であるような、油滴を含有していることが、最も好ましい。
ある実施形態において、免疫原性組成物は、0.5 ml用量あたり0.125 ml SB62エマルション(総容量)、5.35 mgスクアレン、5.94 mg DL-αトコフェロール、および2.425 mgポリソルベート80を有する水中油型エマルションを含有するアジュバントと混合された、3μgまたは10μgの配列番号1から7のいずれでもない。ある実施形態において、免疫原性組成物は、0.5 ml用量あたり5.35 mgスクアレン、5.94 mg DL-αトコフェロール、および2.425 mgポリソルベート80を有する水中油型エマルションを含有するアジュバントと混合された3μgまたは10μgの配列番号1から7のいずれでもない。ある実施形態において、免疫原性組成物は、スクアレン、DL-αトコフェロールおよびポリソルベート80を有する水中油型エマルションを含んでなるアジュバントを含有しない。
本発明の免疫原性組成物およびワクチン
ある実施形態において、免疫原性組成物は、0.5 ml〜1.5 mlの容量である。
ある実施形態において、免疫原性組成物は、追加の抗原をさらに含有する。ある実施形態において、追加の抗原は、肺炎レンサ球菌(S.pneumoniae)、インフルエンザ菌(H.influenzae)、髄膜炎菌(N.meningitidis)、大腸菌(E.coli)、モラクセラ・カタラーリス(M.catarrhalis)、破傷風菌(Clostridium tetani)(破傷風)、ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheria)(ジフテリア)、百日咳菌(百日咳)、表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)、腸球菌、黄色ブドウ球菌(S.aureus)、および緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)からなる1群から選択される細菌に由来する抗原である。
他の実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、C.ディフィシル由来の他の抗原、たとえばS層タンパク質(WO01/73030)を含有していてもよい。場合により、該免疫原性組成物は、C.ディフィシル由来の多糖類をさらに含む。
さらに、本発明の免疫原性組成物及び製薬上許容される賦形剤を含むワクチンが提供される。
本発明の免疫原性組成物を含有するワクチン製剤を用いて、当該ワクチンを全身経路または粘膜経路で投与することによって、C.ディフィシル感染を起こしやすい哺乳動物を保護し、またはC.ディフィシル感染症にかかった哺乳動物を治療することができる。これらの投与には、筋肉内、腹腔内、皮内、または皮下経路による注射;または口道/消化管、気道、尿生殖路への粘膜投与を含めることができる。本発明のワクチンは、単回投与として与えることができるが、その成分を、同時に併用投与しても、異なる時に併用投与してもよい(たとえば、肺炎球菌糖類コンジュゲートは、相互の免疫反応を調整するために、別々に、同時に、またはワクチンのなんらかの細菌タンパク質成分を投与した1-2週間後に、投与することができる)。単一の投与経路に加えて、2つの異なる投与経路を使用することもできる。たとえば、糖類または糖コンジュゲートは、筋肉内(IM)または皮内(ID)投与することができるが、細菌タンパク質は、鼻腔内(IN)または皮内(ID)投与することができる。さらに、本発明のワクチンは、プライミング(初回抗原刺激)用量についてはIM投与し、ブースター(追加免疫)用量についてはIN投与することができる。
ワクチン中の毒素の含量は、典型的には1-250μg、好ましくは5-50μg、もっとも典型的には5-25μgの範囲内とする。初回接種後、被験体は、適切な間隔をおいて1回または数回の追加免疫接種を受けることができる。ワクチン製剤は、一般的にはVaccine Design (“The subunit and adjuvant approach” (eds Powell M.F. & Newman M.J.) (1995) Plenum Press New York)に記載されている。リポソーム内カプセル化はFullerton, US Patent 4,235,877に記載されている。
本発明のある態様においてワクチンキットが与えられるが、これは、場合によっては凍結乾燥された状態にある、本発明の免疫原性組成物の入ったバイアルを含んでなり、本明細書に記載のアジュバントの入ったバイアルをさらに含んでいる。本発明のこの態様では、アジュバントは凍結乾燥された免疫原性組成物を再構成するために使用されることが想定される。
本発明の他の態様は、免疫保護用量の、本発明の免疫原性組成物もしくはワクチンもしくはキットを宿主に投与することを含む、C.ディフィシル感染を予防もしくは治療するための方法である。ある実施形態において、免疫保護用量の、本発明の免疫原性組成物もしくはワクチンもしくはキットを宿主に投与することを含む、C.ディフィシル感染の最初の症状発現および/または再発の症状発現を予防または治療する方法が提供される。
本発明のある実施形態において、C.ディフィシルによって引き起こされる病的状態もしくは疾患の治療もしくは予防に使用するための、本発明の免疫原性組成物もしくはワクチンが与えられる。「C.ディフィシル疾患」は、完全に、または部分的に、C.ディフィシルに起因する疾患を意味する。本発明の他の実施形態において、完全に、または部分的に、C.ディフィシル菌株に起因する病的状態もしくは疾患の治療もしくは予防に使用するための、本発明の免疫原性組成物もしくはワクチンが与えられるが、この菌株は078、019、023、027、033、034、036、045、058、059、063、066、075、078、080、111、112、203、250および571からなる一群から選択される。その菌株は菌株078であることが好ましい。
本明細書で使用される「治療」は、被験体において病的状態もしくは疾患の症状の発現を防止すること、被験体において病的状態もしくは疾患の症状の再発を防止すること、被験体において病的状態もしくは疾患の症状の再発を遅らせること、被験体において病的状態もしくは疾患の症状の重症度および頻度を減らすこと、被験体において病的状態の進行を緩やかするかまたはなくすこと、ならびに被験体において疾患もしくは病的状態の症状を部分的または全体的に取り除くことを意味する。
本発明の他の態様において、本発明の免疫原性組成物もしくはワクチンを、C.ディフィシル疾患の予防用または治療用の薬剤の調製に使用することが与えられる。他の実施形態において、疾患は、078、019、023、027、033、034、036、045、058、059、063、066、075、078、080、111、112、203、250および571からなる一群から選択されるC.ディフィシル菌株によって引き起こされる疾患である。その菌株は菌株078であることが好ましい。
本発明の他の態様において、C.ディフィシル疾患を予防もしくは治療する方法が与えられるが、その方法は、本発明の免疫原性組成物または本発明のワクチンをヒト被験者などの哺乳動物被験体に投与することを含む。他の実施形態において、その疾患は、078、019、023、027、033、034、036、045、058、059、063、066、075、078、080、111、112、203、250および571からなる一群から選択されるC.ディフィシル菌株によって引き起こされる疾患である。その菌株は菌株078であることが好ましい。
通則
「約」もしくは「およそ」は、本発明の上で、与えられた数字の上下10%の範囲内と定義される。
「含んでなる」という用語は、「含む」(include)を意味する。したがって、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、「含んでいる」という用語、ならびに「含む」および「含んでなる」のような語形変化は、当然のことながら、言明された化合物もしくは組成物(たとえば核酸、ポリペプチド、抗原)もしくはステップ、または一群の化合物もしくはステップの包含を意味するが、他のいかなる化合物、組成物、ステップ、またはそれらの一群の除外を意味するものではない。略語"e.g."(たとえば)は、ラテン語の"exempli gratia"(たとえば)に由来し、本明細書では、限定されない例を示すために使用される。したがって、略語"e.g."は、"for example"(たとえば)という用語と同義である。
本明細書に使用されるアミノ酸ナンバリングは、それぞれ配列番号1、配列番号3、配列番号29及び配列番号30として本明細書に示されるCDTa、CDTb、トキシンA及びトキシンBの配列から導かれ、これらは、これらのタンパク質のレファレンス配列として考慮されるべきである。
本明細書において、本発明の「ワクチン組成物」に関する実施形態は、本発明の「免疫原性組成物」に関する実施形態に適用可能であるし、逆もまた同様である。
他に説明のない限り、本明細書で使用されるあらゆる科学技術用語は、本明細書の属する技術分野の当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。分子生物学の一般用語の定義は、Benjamin Lewin, Genes V, published by Oxford University Press, 1994 (ISBN 0-19-854287-9); Kendrew et al. (編), The Encyclopedia of Molecular Biology, published by Blackwell Science Ltd., 1994 (ISBN 0-632-02182-9); およびRobert A. Meyers (編), Molecular Biology and Biotechnology: a Comprehensive Desk Reference, published by VCH Publishers, Inc., 1995 (ISBN 1-56081-569-8)に見いだすことができる。
単数の用語“a”、“an”、および“the” は、文脈上明白に別の指示がない限り、複数の指示対象を含む。同様に、"or"(または/もしくは)という単語は、文脈上明白に別の指示がない限り、"and"(および/ならびに)を包含するものとする。「複数」という用語は、2個以上を指す。さらに当然のことながら、核酸もしくはポリペプチドに関して与えられる、すべての塩基サイズもしくはアミノ酸サイズ、およびすべての分子量もしくは分子質量値は概数であり、説明のために与えられる。加えて、抗原などの物質の濃度もしくはレベルに関して与えられる数値限定は、概算であると考えられる。
この特許明細書の中で引用された参考文献もしくは特許出願はすべて、参考としてその全内容が本明細書に組み入れられる。
本発明がよりよく理解されるように、以下の実施例を示す。これらの実施例は、説明だけを目的としており、いかなる形でも本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
(実施例)
言及されるAS01Bアジュバントは、0.5 ml用量あたり、リポソームの形で提供される50μg QS21、50μg 3D-MPL、0.25 mgコレステロール、および1.0 mg DOPCを有するアジュバントである。マウスの免疫化に適した50μlの用量は、5μg QS21、5μg 3D-MPL、0.025mg コレステロール、および0.1mg DOPCを含有する。
バイナリトキシン抗原のデザイン
バイナリトキシン(別称:ADP-リボシルトランスフェラーゼ毒素)は、二成分で構成される:CDTaと称される酵素成分、ならびにCDTbと称される輸送および結合成分。
他の細菌バイナリトキシンの成分について入手できる文献データおよび情報に基づいて、CDTbは5つのドメインに分けられる。第1はプロドメインであるが、キモトリプシン活性を有する酵素によるその切断は、成熟タンパク質の六量体化を可能にする。第2のドメインはCDTaとの結合を可能にする。第3および第4のドメインは、オリゴマー化および膜内挿入に関与する。終わりに、最後のドメインは宿主細胞受容体結合ドメインである。
CDTb成熟
CDTbプロセスにおいてキモトリプシン活性化を回避するために、(シグナルペプチドおよびプロドメインがない)成熟CDTbタンパク質だけを発現させることを試みた。
文献において(Protein Expression and Purification, 2010, vol. 74 : 42-48)、成熟CDTbは、配列番号3のロイシン210から始まると記載されている。この成熟CDTbはCDTb”と命名された。
他の実験データから、活性化されたCDTbは、配列番号3のセリン212から始まることが示唆されている。この結果は、CDTbの三次元モデル化構造分析によって裏付けられた。このモデルは、SwissModel (Bioinformatics, 2006, vol. 22 : 195-201)を用いて作成された。ホモロジーモデリングに用いるテンプレートは、防御抗原もしくはPAと称される、炭疽菌(Bacillus anthracis)のB成分とした(Protein Data Bank 受入番号:3TEW)。
単独のCDTb受容体結合ドメイン
炭疽菌(B. anthraxis)由来PA抗原を用いて、CDTbについて得られた三次元ホモロジー構造モデルは、CDTbの最初の4つのドメインについては正確であるが、受容体結合ドメインについては正確でない(これらのCDTbドメインとPAはあまりにも違いすぎる)。受容体結合ドメインだけを発現する構築物をデザインするために、第4のドメインのC末端を、最後のドメインがどこから始まるのかを判断するために三次元構造モデルで分析した。
2つの型のCDTb受容体結合ドメインをデザインした。第1の型では、このドメインは第4ドメインのモデル化三次元構造のすぐ後から始まる。この型では、CDTb受容体結合ドメインはおそらくそのN末端部分に長い可動性ペプチドを有している。受容体結合ドメインの第2の型は、CDTbのC末端部分でなされた二次元予測構造(予測はPsipredプログラム、Bioinformatics, 2000, vol. 16 : 404-405を用いて行われる)が、予測二次構造の欠失後に、より小型になる所から始まる。これは、新たな構造ドメインの始まりを示す可能性がある。この第2の型において、単離されたCDTb受容体結合ドメインのN末端部分に可動性ペプチドは存在しない。
CDTb Ca 2+ 結合モチーフの変異
文献情報を受けて、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)ι(イオタ)毒素B成分(Ib)のCa2+結合ドメインの変異は、このバイナリトキシンのA成分(Ia)との結合を消失させる。こうした変異は、成熟CDTbタンパク質と野生型CDTaタンパク質の混合物を含有するワクチン組成物の場合には、非常に興味深いといえる。
多重タンパク質配列アラインメントによれば、上記変異はCDTb配列上にあり、変異していた。それは、配列番号3の残基Asp220、Asp222 およびAsp224 に関する。それらはAla残基に変異した。
CDTbプロドメイン
ゲル中で構築物C55(プロドメインを除去したCDTb)について観察される分解の問題を減らすよう試みるために、いくつかの同時発現テストを評価した。それを行うことに関する作業仮説は、成熟CDTbのフォールディングの改善である。
プロドメインの2つの境界が提案された。第1は配列番号3のCDTbの残基43から始まり(シグナルペプチド切断後)、残基Met211で終わる(成熟CDTbの実験的に決定された最初の残基がSer212であることから)。第2のプロドメインはCDTbの予測三次元構造に基づいてデザインされた。成熟CDTbのプロドメインと第1構造ドメインとの間にあるリンカーが、この構築物では除去されている。
C.ディフィシルCDTbタンパク質のクローニング、発現、および精製
発現プラスミドおよび組換え菌株:C37およびC55(表Aに示したとおり)。
標準的な方法を用いて、シグナルペプチドを欠いたトランケート型CDTbタンパク質(Pro-CDTb’、C37)およびC末端のHisタグをコードする遺伝子を、BamHI/XhoI 制限酵素部位を利用してpGEX-6p1発現ベクター(GE Healthcare)にクローニングした。このベクターはCDTb`のN末端に、融合パートナーとしてGST(グルタチオンSトランスフェラーゼ)を含有した(GST-Pro-CDTb’)。CaCl2処理細胞を用いた標準的な方法にしたがって、大腸菌株BL21(DE3)を組換え発現ベクターで形質転換することによって第1の構築物が作製された(Hanahan D. <<Plasmid transformation by Simanis. >> In Glover, D. M. (Ed), DNA cloning. IRL Press London. (1985): p. 109-135.)。
標準的な方法を用いて、シグナルペプチドおよびプロドメインのないトランケート型CDTbタンパク質(CDTb”: C55)およびC末端のHisタグをコードする遺伝子を、NdeI/XhoI制限酵素部位を利用してpET24b(+)発現ベクター(Novagen)にクローニングした。CaCl2処理細胞を用いた標準的な方法にしたがって大腸菌B834 (DE3)改変菌株を適当な組換え発現ベクターで形質転換することによって、最終的な構築物が作製された(Hanahan D. << Plasmid transformation by Simanis. >> In Glover, D. M. (Ed), DNA cloning. IRL Press London. (1985): p. 109-135.)。
宿主菌株
BL21(DE3)。BL21(DE3)はB834から誘導された非メチオニン要求株である。(DE3)の名称を有する菌株は、IPTG誘導性T7 RNAポリメラーゼを含有するλプロファージに対して溶原性である。λDE3溶原菌は、pETベクターからのタンパク質発現のためにデザインされている。この菌株はまた、lonおよびompTプロテアーゼを欠失している。
遺伝子型:大腸菌(E. coli)BL21::DE3株、F- ompT hsdSB(rB -mB -) gal dcm(DE3)
B834はBL21の親株である。このプロテアーゼ欠損宿主はメチオニン要求性である。λDE3溶原菌は、pETベクターからのタンパク質発現のためにデザインされている。この菌株はまた、lonおよびompTプロテアーゼを欠失している。
改変:ホスホグルコノイル化を避けるためにPGL遺伝子をビオチン遺伝子座に含める(菌株はビオチン要求性となる)。
遺伝子型:B834 ::DE3株、F- ompT hsdSB(rB - mB -) gal dcm met (DE3)
改変:Δ(bioA-bioD)::PGL
組換えタンパク質の発現:
大腸菌(E.coli)形質転換体を寒天プレートから掻き取り、それを用いて200 mlのLBT培養液 ± 1% (w/v)グルコース + カナマイシン(50μg/ml)またはアンピシリン(100μg/ml)に接種して、0.1 - 0.2の間のO.D.600 nmを得た。培養物を37℃にて250 rpmで一晩インキュベートした。
この一夜培養物を、+/-カナマイシン(50μg/ml)またはアンピシリン(100μg/ml)含有LBT培地500 mlで1:20に希釈し、37℃にて250 rpmの撹拌速度で、O.D.620が0.5/0.6に達するまで増殖させた。
およそ0.6のO.D. 600 nmで、培養物を冷却してから、1 mMイソプロピルβ-D-1-チオガラクトピラノシド(IPTG; EMD Chemicals Inc., カタログ番号: 5815)の添加によって組換えタンパク質の発現を誘導し、23℃にて250 rpmで一晩インキュベートした。
一晩(約16時間)誘導した後、O.D. 600 nmを誘導後に調べてから、培養物を14000 rpmで15分間遠心分離し、ペレットを別々に-20℃にて凍結した。
精製
C37 (配列番号5)
細菌のペレットを、500 mM NaCl、5mM TCEP (Thermo Scientific Pierce、(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩)およびプロテアーゼインヒビター混合物(コンプリート(Complete)、Roche)を含有する50 mMビシン(bicine)バッファー(pH 8.0)中に再懸濁した。フレンチプレスシステム3 x 20000 PSIによって細菌を溶解させた。可溶性(上清)および不溶性(ペレット)成分を、20 000gで30分間4℃にて遠心分離することによって分離した。
6-Hisタグのついたタンパク質は、IMACによって非変性条件下で精製された。可溶性成分を、細菌の再懸濁に使用したのと同じバッファーであらかじめ平衡化した5ml GE HisTrapカラム(GE)にロードした。カラムにロードした後、カラムを、150 mM NaCl、25mMイミダゾール、1mM TCEPを含有する50 mMビシン(bicine)バッファー(pH 8.0)で洗浄した。溶出は、150 mM NaCl、250mMイミダゾール、1mM TCEPを含有する50 mMビシン(bicine)バッファー(pH 8.0)を用いて行った。
150 mM NaClおよび1mM TCEPを含有する50 mMビシン(bicine)バッファー(pH 8.0)中での脱塩ステップ(BIORAD Bio-Gel P6 Desalting)後、GSTタグを切断するために産物をPreScission Protease (GE-Healthcare)で処理した(4℃にて一晩)。一晩処理した後、0.2% Tween 20を消化混合物に添加した。
次に、切断されたタグ、未切断の融合タンパク質、およびPreScission Proteaseを除去するために、150mM NaCl、1mM TCEP、0.2% tween20および20mM還元型グルタチオンを含有する50 mMビシン(bicine)バッファー(pH 8.0)であらかじめ平衡化したGSTアフィニティカラム(GE GSTrap FF)にタンパク質を通した。
GSTのないタンパク質は通り抜けた流量中に集められ、それを再び、150mM NaCl、1mM TCEP、0.2% tween20を含有する50 mMビシン(bicine)バッファー(pH 8.0)であらかじめ平衡化した5ml GE HisTrapカラム(GE)にロードした。カラムにロードした後、カラムを、150 mM NaCl、0.2% tween20、1mM TCEPおよび10 mMイミダゾールを含有する50 mMビシン(bicine)バッファー(pH 8.0)で洗浄した。溶出は、150 mM NaCl、0.2% tween20、1mM TCEPおよび500 mMイミダゾールを含有する50 mMビシン(bicine)バッファー(pH 8.0)を用いて行った。
150 mM NaCl、1mM TCEPおよび0.2% tween 20を含有する50 mMビシン(bicine)バッファー(pH 8.0)中での脱塩ステップ(BIORAD Bio-Gel P6 Desalting)後、産物をαキモトリプシン(ウシ膵臓由来 - Sigma)で処理し、続いてトリプシンインヒビター(卵白由来 - Sigma)で処理した。キモトリプシンによるCDTbの完全な活性化は、SDS-PAGEでモニターした。
完全に活性化された産物を、300 mM NaCl、1mM TCEPを含有する50 mMビシン(bicine)バッファー(pH 8.0)中でSECクロマトグラフィー(SUPERDEX(商標名)75)にロードした。CDTb抗原を含有する画分を、SDS-PAGEによる純度に基づいて選択した。タンパク質濃度は、バイオラッド(BioRad)のLowry RC/DCプロテインアッセイを用いて測定した。精製バルクを0.22μmで無菌濾過して、-80℃で保存した。
C55 (配列番号7)
細菌のペレットを、150 mM NaCl、5mM TCEP (Thermo Scientific Pierce、 (2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩)、0.4% Empigenおよびプロテアーゼインヒビター混合物(コンプリート(Complete)、Roche)を含有する50 mMビシン(bicine)バッファー(pH 8.0)中に再懸濁した。フレンチプレスシステム3 x 20000 PSIによって細菌を溶解させた。可溶性(上清)および不溶性(ペレット)成分を、20 000gで30分間4℃にて遠心分離することによって分離した。
6-Hisタグのついたタンパク質は、IMACによって非変性条件下で精製された。可溶性成分を、150 mM NaCl、0.15% Empigen、1mM TCEPを含有する50 mMビシン(bicine)バッファー(pH 8.0)であらかじめ平衡化した5ml GE HisTrapカラム(GE)にロードした。カラムにロードした後、カラムを、150 mM NaCl、0.2% tween 20、20mMイミダゾール、および1mM TCEPを含有する50 mMビシン(bicine)バッファー(pH 8.0)で洗浄した。溶出は、150 mM NaCl、0.2% tween 20、500mMイミダゾール、および1mM TCEPを含有する50 mMビシン(bicine)バッファー(pH 8.0)を用いて行った。
300 mM NaCl、1mM TCEPを含有する50 mMビシン(bicine)バッファー(pH 8.0)中での脱塩ステップ(BIORAD Bio-Gel P6 Desalting)後、産物を同じバッファー中でSECクロマトグラフィー(SUPERDEX(商標名)75)にロードした。CDTb抗原を含有する画分を、SDS-PAGEによる純度に基づいて選択した。タンパク質濃度は、バイオラッド(BioRad)のLowry RC/DCプロテインアッセイを用いて測定した。精製バルクを0.22μmで無菌濾過して、-80℃で保存した。
CDTaタンパク質のクローニング、発現および精製
発現プラスミドおよび組換え菌株:CDTa全長(表Aに記載のC34、C44、C49、C50、C54、C67、C68、C69、C107、C108、C110)
CDTaのシグナルペプチドがなく、変異あり、および変異なしの全長タンパク質、ならびにC末端のHisタグをコードする遺伝子を、標準的な方法を用いて、NdeI/XhoI制限酵素部位を利用してpET24b(+)発現ベクター(Novagen)にクローニングした。最終的な構築物は、CaCl2処理細胞を用いた標準的な方法にしたがって大腸菌株HMS174 (DE3)またはBLR (DE3) pLysS (C34)をそれぞれの組換え発現ベクターで別々に形質転換することによって作製された(Hanahan D. << Plasmid transformation by Simanis. >> In Glover, D. M. (Ed), DNA cloning. IRL Press London. (1985): p. 109-135.)。
宿主菌株:
HMS 174 (DE3)。HMS174菌株は、K-12バックグラウンドにrecA変異を提供する。(DE3)の名称を有する菌株は、IPTG誘導性T7 RNAポリメラーゼを含有するλプロファージに対して溶原性である。λDE3溶原菌は、pETベクターからのタンパク質発現のためにデザインされている。
遺伝子型:F- recA1 hsdR(rK12 -mK12 +) (Rif R)。
BLR(DE3) pLysS。BLRは、BL21のrecA誘導株である。(DE3)の名称を有する菌株は、IPTG誘導性T7 RNAポリメラーゼを含有するλプロファージに対して溶原性である。λDE3溶原菌は、pETベクターからのタンパク質発現のためにデザインされている。この菌株はまた、lonおよびompTプロテアーゼを欠失している。pLysS菌株は、誘導前にT7 RNAポリメラーゼの基底発現をさらに抑制するT7リゾチームを発現する。
遺伝子型;大腸菌(E.coli)
BLR::DE3株、F- ompT hsdSB(rB -mB -) gal dcm(DE3) Δ(srl-recA)306::Tn10pLysS (CamR, TetR)。
組換えタンパク質の発現:
大腸菌(E.coli)形質転換体を寒天プレートから掻き取り、それを用いて200 mlのLBT培養液 ± 1% (w/v)グルコース + カナマイシン(50μg/ml)に接種して、0.1 - 0.2の間のO.D. 600 nmを得た。培養物を37℃にて250 RPMで一晩インキュベートした。
それぞれの一夜培養物を、カナマイシン(50μg/ml)含有LBT培地500 mlで1:20に希釈し、37℃にて250 rpmの撹拌速度で、O.D.620が0.5/0.6に達するまで増殖させた。
およそ0.6のO.D. 600 nmにおいて、培養物を冷却した後、1 mMイソプロピルβ-D-1-チオガラクトピラノシド(IPTG; EMD Chemicals Inc., カタログ番号: 5815)の添加によって組換えタンパク質の発現を誘導し、23℃にて250 rpmで一晩インキュベートした。
一晩(約16時間)インキュベートした後、誘導後のO.D.600nmを調べ、培養物を14 000 rpmで15分間遠心分離して、ペレットを-20℃で別々に凍結した。
発現プラスミドおよび組換え菌株:CDTa- N末端(表Aに記載のC49およびC50)
CDTaのシグナルペプチドのないN末端のタンパク質(表Aを参照されたい)およびC末端Hisタグをコードする遺伝子を、標準的な手順により、pFT24b(+)発現ベクター(Novagen)内に、NdeI/XhoI制限酵素部位を用いてクローニングした。CaCl2処理細胞による標準的な方法にしたがって、大腸菌(E. coli)HMS174 (DE3)株をそれぞれの組換え発現ベクターで別々に形質転換することによって、最終的な構築物が作製された(Hanahan D. << Plasmid transformation by Simanis. >> In Glover, D. M. (Ed), DNA cloning. IRL Press London. (1985): p. 109-135.)。
宿主細胞:
HMS 174 (DE3)。HMS174株はK-12バックグラウンドにrecA変異を提供する。(DE3)の名称を有する菌株は、IPTG誘導性T7 RNAポリメラーゼを含有するλプロファージに対して溶原性である。λDE3溶原菌は、pETベクターからのタンパク質発現のためにデザインされている。
遺伝子型:F-recA1 hsdR(rK12 -mK12 +) (Rif R)。
組換えタンパク質の発現:
大腸菌(E.coli)形質転換体を寒天プレートから掻き取り、それを用いて200 mlのLBT培養液 ± 1% (w/v)グルコース + カナマイシン(50μg/ml)に接種して、0.1 - 0.2の間のO.D. 600 nmを得た。培養物を37℃にて250 RPMで一晩インキュベートした。
この一夜培養物を、カナマイシン(50μg/ml)含有LBT培地500 mlで1:20に希釈し、37℃にて250 rpmの撹拌速度で、O.D.620が0.5/0.6に達するまで増殖させた。
およそ0.6のO.D. 600 nmにおいて、培養物を冷却した後、1 mMイソプロピルβ-D-1-チオガラクトピラノシド(IPTG; EMD Chemicals Inc., カタログ番号: 5815)の添加によって組換えタンパク質の発現を誘導し、23℃にて250 rpmで一晩インキュベートした。
一晩(約16時間)インキュベートした後、誘導後のO.D.600nmを調べ、培養物を14 000 rpmで15分間遠心分離して、ペレットを-20℃で別々に凍結した。
精製
構築物C34、C44、C49、C50、C54、C67、C69、C107およびC110を精製するために以下の方法を用いた。
500 mM NaCl、0mMもしくは5mM TCEP(Thermo Scientific Pierce、(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩)、およびプロテアーゼインヒビター混合物(コンプリート(Complete)、Roche、EDTAなし)を含有する、20 mMまたは50 mMビシンバッファー(pH 7.5またはpH 8.0)中に、細菌ペレットを再懸濁した。フレンチプレスシステム3 X 20000 PSIによって細菌を溶解した。可溶性(上清)および不溶性(ペレット)成分を、20 000gで30分間4℃にて遠心することによって分離した。
6-Hisタグのついたタンパク質は、IMACによって非変性条件下で精製された。可溶性成分を、細菌の再懸濁に使用したのと同じバッファーであらかじめ平衡化した5 ml GE HisTrapカラム(GE)にロードした。カラムにロードした後、そのカラムを、500mM NaCl、10mMイミダゾール、5mM TCEPを含有する20 mMまたは50 mMビシンバッファー(pH 7.5またはpH 8.0)で洗浄した。溶出は、50 mMビシンバッファー pH 7.6 、500mM NaCl、1mM TCEP、およびイミダゾール(250mMまたは500mM)を用いて行った。
脱塩(BIORAD Bio-Gel P6 Desalting)および濃縮(Amicon Ultra 10kDa)ステップ後、産物を次のステップのために、20 mMまたは50 mMビシンバッファー(pH 7.5またはpH 8.0)、150mM NaCl、1mM TCEP中でSECクロマトグラフィー(SUPERDEX(商標名)75または200)にロードした。
CDTa抗原を含有する画分を、SDS-PAGEによる純度に基づいて選択した。タンパク質濃度は、バイオラッド(BioRad)のLowry RC/DCプロテインアッセイを用いて測定した。精製バルクを0.22μmで無菌濾過して、-80℃で保存した。
膜孔形成能が改変されたC.ディフィシルCDTbタンパク質のデザイン、クローニング、発現および精製
第1のストラテジーは、CDTb単独で観察される細胞毒性を低下させる目的で、すなわち、CDTbがエンドソームの膜内に入って孔を形成するためにエンドソーム内でその構造を変化させる可能性を回避するために評価された。このアプローチで採られる2つの方策は、炭疽菌(Bacillus anthracis)(C123およびC149)およびボツリヌス菌(Clostridium botulinum)(C126、C152、C164、およびC166)のバイナリトキシン由来B成分について利用可能な公開データを基にした。以下のCDTbタンパク質をデザインした:
* 開始コドンのMetおよびHisタグを考慮に入れる
クローニングおよび生産
C末端Hisタグ/ BamH1-Xho1部位でのpGEX-6p1ベクターへのクローニング/菌株B834(DE3):遺伝子型:大腸菌(E.coli)BL21::DE3株、F- ompT hsdSB(rB- mB-) gal dcm (DE3)。
B834はBL2の親株である。これらのプロテアーゼ欠損宿主はメチオニン要求株である。λDE3溶原菌は、pETおよびpGEXベクターからのタンパク質発現のためにデザインされている。この菌株はlonおよびompTプロテアーゼも欠損している。選択抗生物質:アンピシリン:50μg/ml/ 16℃にて一晩生産。
精製(C123、C126、C149およびC152):
フレンチプレスでの溶解バッファー:50mM Bicine-500mM NaCl, - 5mMTCEP , Complete- pH8.0
Ni-NTA GE HisTrap 5ml (Profinia) + 脱塩
平衡化:50mM Bicine - 500mM NaCl , 1mMTCEP - pH8.0
洗浄:50mM Bicine - 150mM NaCl ,1mMTCEP - イミダゾール 0mM pH8.0
溶出:50mM Bicine - 150mM NaCl , 1mMTCEP - イミダゾール 250mM pH8.0
脱塩:50mMBicine-150mMNaCl-1mMTCEP pH8.0
PreScission切断(GSTタグ):
+375μl (500UI/250μl):750 UI
4℃にて一晩 + Tween 20添加 終濃度0.2%。
GSTrap FF (1ml)
平衡化バッファー:50mM Bicine - 150mM NaCl- 1mMTCEP - 0.2%Tween20 pH8.0
フロースルー(FT)を保存する
洗浄バッファー:平衡化バッファーと同じ
溶出バッファー:50mM Bicine - 150mM NaCl- 1mMTCEP- 0.2%Tween 20 -250mMイミダゾール、-pH8.0
IMAC GE 5ml + 脱塩
平衡化バッファー:50mM Bicine - 150mM NaCl- 1mMTCEP 0.2%Tween20, -pH8.0
洗浄バッファー:50mM Bicine - 150mM NaCl- 1mMTCEP- 10mM イミダゾール 0.2%Tween20 , -pH8.0
溶出バッファー:50mM Bicine - 150mM NaCl- 1mMTCEP- 250mM イミダゾール -0.2%Tween 20, -pH8.0
脱塩バッファー:50mM Bicine - 150mM NaCl- 1mMTCEP - 0.2%Tween20, -pH8.0
RC/DC 測定
活性化:キモトリプシン処理:
100μg キモトリプシン(1μg/μl)活性型 1mgタンパク質
(42mg + 3.6mgキモトリプシン、最終容量12.5ml中)
室温にて50分
+ 不活化:キモトリプシン阻害剤12.6mg
SEC Superdex 200
平衡化:50mM Bicine - 150mM NaCl- 1mMTCEP, -pH8.0
IMAC GE 1mlで濃縮 + 脱塩
平衡化バッファー:50mM Bicine - 150mM NaCl- 1mMTCEP, -pH8.0
洗浄バッファー:50mM Bicine - 150mM NaCl- 1mMTCEP, -pH8.0
平衡化バッファー:50mM Bicine - 150mM NaCl- 1mMTCEP- 250mM イミダゾール、 -pH8.0
脱塩バッファー:50mM Bicine - 150mM NaCl- 1mMTCEP, -pH8.0
濾過0.22μm、RC/DC 測定
C164の精製は、次の模式図1にしたがって行った。
性質検討(特徴付):
動的光散乱を用いて、均一性に関する情報を提供し、タンパク質サンプル中の高分子量凝集物の存在を検出するのに加えて、CDTb精製タンパク質の溶液中の流体力学半径を調べた。これは、光散乱のゆらぎを測定することで得られる、異なる分子種の拡散係数の算出に基づくものであるが、この光散乱のゆらぎは、タンパク質分子の大きさおよび形、ならびにサンプルの他の微量成分によって決まる。
タンパク質サンプルは、Dynapro plate reader (Wyatt technology)で25℃にて15秒で5回データ取得して分析した。
a-バッファー:50mM Bicine - 150mM NaCl- 1mMTCEP, -pH8.0
結果を図3に示す。
シグナルペプチドおよびプロドメインが除去され、受容体結合ドメインおよび/またはCDTa結合ドメインも除去された、C.ディフィシルCDTbタンパク質のデザイン、クローニング、発現および精製
CDTbの異なる構造ドメインを単独で発現させる理由は、どのドメインが分解および凝集の問題を引き起こすのかを理解するためであった。この方法によって2つのドメインを評価した:構築物116および117上では、それぞれ、受容体結合ドメインおよびCDTa結合ドメインが除去された。CDTbの「オリゴマー化」および「膜内挿入」ドメインは、構造的に関係している可能性があるので、別々に発現されなかった。次のCDTbタンパク質をデザインした:
*開始コドンのMetおよびHisタグを考慮に入れる
クローニングおよび生産
C末端Hisタグ/ Nde1-Xho1部位でのpET24bベクターへのクローニング/菌株B834(DE3):遺伝子型:大腸菌(E.coli)BL21::DE3株、F- ompT hsdSB(rB- mB-) gal dcm (DE3)。
B834はBL2の親株である。これらのプロテアーゼ欠損宿主はメチオニン要求株である。λDE3溶原菌は、pETベクターからのタンパク質発現のためにデザインされている。この菌株はlonおよびompTプロテアーゼも欠損している。選択抗生物質:カナマイシン:50μg/ml/ 16℃にて一晩生産。
精製および性質検討
C116
フレンチプレス
溶解バッファー:50mM Bicine-500mM NaCl, - 5mMTCEP , Complete- pH8.0
Ni-NTA GE HisTrap 5ml
平衡化:8M尿素 - 50mM Bicine - 500mM NaCl , 1mMTCEP - pH8.0
洗浄:8M尿素 - 50mM Bicine - 500mM NaCl ,1mMTCEP - 5mMイミダゾール - pH8.0
HisTrapカラムでのリフォールディング
グラジエント:100min at 1ml/分で100分:
8M尿素 -50mM Bicine - 150mM NaCl - 1mM TECP - pH 8.0から0M 尿素 50mM Bicine - 150mM NaCl - 1mM TECP - pH 8.0
溶出
50mM Bicine - 150mM NaCl , 1mMTCEP - イミダゾール500mM pH7.5
SEC : Superdex 200
50mM Bicine - 150mM NaCl - 1mMTCEP - pH7.5
0.22μm - Lowry RC/DC測定
C117
フレンチプレス
溶解バッファー:50mM Bicine-500mM NaCl, - 5mMTCEP , Complete- pH8.0
Ni-NTA GE HisTrap 5ml (profinia)
平衡化:50mM Bicine - 500mM NaCl , 1mMTCEP - pH8.0
洗浄:50mM Bicine - 500mM NaCl ,1mMTCEP - イミダゾール 0mM pH8.0
溶出:50mM Bicine - 150mM NaCl , 1mMTCEP - イミダゾール 500mM pH7.5
SEC Superdex 200
平衡化:50mM Bicine - 150mM NaCl- 1mMTCEP, -pH7.5
濾過 0.22μm 、RC/DC 測定
七量体形成能が改変されたC.ディフィシルCDTbタンパク質のデザイン、クローニング、発現および精製
CDTb単独で観察される細胞毒性を低下させる目的で、すなわち、CDTbの七量体形成を回避するために、第2のストラテジーを用いた。CDTbの七量体複合体の3Dモデルをデザインした。このモデルを用いて、単量体間で相互作用する可能性があるとして1つのループを特定した。2つのアプローチを調べた:このループの除去(C127)、または単量体間相互作用に関与する可能性のある、このループに含まれる残基の変異(C128)。次のタンパク質をデザインした:
* 開始コドンのMetおよびHisタグを考慮に入れる
クローニングおよび生産
C末端Hisタグ/ Nde1-Xho1部位でのpET24bベクターへのクローニング/菌株B834(DE3):遺伝子型:大腸菌(E.coli)BL21::DE3株、F- ompT hsdSB(rB- mB-) gal dcm (DE3)。
B834はBL2の親株である。これらのプロテアーゼ欠損宿主はメチオニン要求株である。λDE3溶原菌は、pETベクターからのタンパク質発現のためにデザインされている。この菌株はlonおよびompTプロテアーゼも欠損している。選択抗生物質:カナマイシン:50μg/ml/ 16℃にて一晩生産。
精製および性質検討
フレンチプレス
溶解バッファー:50mM Bicine-150mM NaCl- 0.4% Empigen- 5mMTCEP - Complete- pH8.0
Ni-NTA GE HisTrap 1ml (Profinia)
平衡化:50mM Bicine - 150mM NaCl -0.15% Empigen - 1mMTCEP - pH8.0
洗浄:50mM Bicine - 150mM NaCl - 0.2% Tween 20 - 1mMTCEP - イミダゾール10mM pH8.0
溶出:50mM Bicine - 150mM NaCl - 0.2% Tween 20 - 1mMTCEP - イミダゾール 500mM pH8.0
脱塩Desalting G-25: 50mM Bicine - 150mM NaCl - 0.2% Tween 20 - 1mMTCEP pH8.0
キモトリプシン活性化
SEC : Superdex 200 XK16/60 (120ml)
平衡化:50mM Bicine - 150mM NaCl - 1mMTCEP, -pH8.0
濃縮: GE-HisTrap (1ml) + 脱塩
50mM Bicine - 150mM NaCl - 1mMTCEP, -pH8.0
0.22μm - Lowry RC/DC測定
性質検討:
動的光散乱を用いて、均一性に関する情報を提供し、タンパク質サンプル中の高分子量凝集物の存在を検出するのに加えて、CDTb精製タンパク質の溶液中の流体力学半径を調べた。これは、光散乱のゆらぎを測定することで得られる、異なる分子種の拡散係数の算出に基づくものであるが、この光散乱のゆらぎは、タンパク質分子の大きさおよび形、ならびにサンプルの他の微量成分によって決まる。
タンパク質サンプルは、Dynapro plate reader (Wyatt technology)で25℃にて15秒で5回データ取得して分析した。
a-バッファー:50mM Bicine - 150mM NaCl- 1mMTCEP, -pH8.0
CDTbタンパク質のHT29細胞に対する細胞毒性
キモトリプシン活性化CDTbサブユニット(C37)は単独でHT29細胞に対して細胞毒性を示すと思われる。これは、膜孔形成が細胞毒性の原因となることを示唆する。
個々のタンパク質のβシート間の疎水性相互作用を妨げることによって膜孔形成ステップを阻害するために、第2世代の抗原デザインを作成した。
バイナリトキシン類のこのバイナリトキシンサブユニットB(細胞結合部分)を、ヒト結腸上皮細胞(HT29細胞)に単独で加えるか、またはその細胞上でバイナリトキシンサブユニットA(酵素部分)と混合し、残存する細胞毒性を評価した。
候補のC123、C126、C128、C164、C166、C116、C117、C149およびC152の細胞毒性をHT29細胞株について検討した。
バイナリトキシン細胞毒性アッセイ
ヒト結腸上皮細胞(HT29細胞)を、DMEM + 10% ウシ胎仔血清 + 1% グルタミン + 1% 抗生物質(ペニシリン-ストレプトマイシン-アムホテリシン)中で37℃にて5% CO2により培養し、HT29細胞4×103/ウェルの密度で96ウェルブラック組織培養プレート(Greiner Bio-one, Ref:655090)に播種した。
24時間後、細胞培養物50μlをウェルから採取した。
性質検討するバイナリトキシン候補は、2μg/ml CDTaおよび6μg/ml CDTbとなるように希釈した。マイクロプレート(NUNC, Ref: 163320)内でさらに3倍希釈を行った。段階希釈したバイナリトキシン標品50μlをブラックプレートに添加し、そのマイクロプレートを37℃にて5% CO2により6日間インキュベートした。
6日後、バイナリトキシンおよび培地の混合物をウェルから取り出し、リン酸緩衝食塩水(PBS)で1:500に希釈した100μlのHoechst染色剤(BD Pharmingen, Ref. 561908)を各ウェルに添加して、室温にて暗下で2時間おいた。
呈色後、Hoechst染色剤をウェルから除去し、細胞の蛍光をAxiovision顕微鏡を用いて測定した。
細胞毒性は、各ウェルにおいて蛍光染色でカバーされる表面のパーセンテージで表される。細胞無毒性(回収率100%)作用は、細胞単独で得られる。そして高レベルの細胞毒性は、完全に活性化されたバイナリトキシン(CDTa C34+ CDTb C37)で得られる。結果を図1、図2、およびず8に示す。
DLSによるCDTbタンパク質の分析
動的光散乱を用いて、均一性に関する情報を提供し、タンパク質サンプル中の高分子量凝集物の存在を検出するのに加えて、CDTb精製タンパク質C123、C126、およびC128の溶液中の流体力学半径を調べた。これは、光散乱のゆらぎを測定することで得られる、異なる分子種の拡散係数の算出に基づくものであるが、この光散乱のゆらぎは、タンパク質分子の大きさおよび形、ならびにサンプルの他の微量成分によって決まる。
次のタンパク質サンプルを、Dynapro plate reader (Wyatt technology)で25℃にて15秒で5回データ取得して分析した。
すべてのタンパク質は、50mM Bicine - 150mM NaCl- 1mMTCEPからなるバッファーpH8.0中とする。測定は、凍結されることなく4℃に保持された精製バルクで行った。
図3に示すように、C126 KO膜孔形成構築物およびC128 KO七量体形成構築物はいずれも、主要集団の流体力学半径が単量体と合致する約3nmである。C123 KO七量体形成構築物は、15.7nmの流体力学半径を持つ均一な高分子量オリゴマーもしくは凝集物として存在する。
全サンプルの平均流体力学半径が主要集団の半径に近いことは、それらの多分散性が低いことと合わせて、C123、C126およびC128 Hisタグ付き精製タンパク質がいずれも均一なサイズ分布を有することを示唆する。
全長CDTaタンパク質およびCDTbタンパク質を含んでなるC.ディフィシルCDTb融合タンパク質のデザイン、クローニング、発現、および精製
CDTaおよびCDTbの融合については2つの大きな利点がある:第1の利点は、1つだけのプロセスによって2つのタンパク質が得られることである。第2の利点:CDTaがCDTbより作製しやすいので、融合タンパク質の第1パートナーとしてCDTaを加えることは、融合の全体としての処理性にプラスの影響を及ぼす。C139において、成熟CDTa(シグナルペプチドなし)およびCDTb(シグナルペプチドなし、プロドメインなし)タンパク質の2つを融合させた。
C139において、CDTaパートナーは、CDTaの細胞毒性を変化させるために、428位において変異しており(グルタミン酸がグルタミンへと変異)、この融合物のCDTaパートナーはCDTaの二量体形成が観測されないようにするために、45位において変異している(CysがTyr残基に変異)。
C145において、融合タンパク質のCDTa部分はC139と同じである。CDTbパートナーのCDTa結合ドメインは、このドメインとCDTaパートナーとの相互作用を可能性として回避するために除去された。パートナー間の構造的可動性を改善し、2つのタンパク質の独立した適正なフォールディングを可能にするために、2つのパートナーの間にリンカー/スペーサー(6 Gly残基)を加えた。
CDTbの受容体結合ドメインは、発現収率に非常に優れており、均一であるが、CDTb成熟型より免疫原性に劣る。このドメインを成熟CDTaパートナーと融合させることによって、その免疫原性を高めることを試みた。2つの異なる範囲をこの受容体結合ドメインのためにデザインし、2つの融合物を評価した。C155およびC156において、CDTaパートナーはC139およびC145と同一である。C156において、融合物の2つのパートナー間に、スペーサー/リンカーを加えた(6 Gly残基)。このリンカーは、C155構築物では必要なかったが、それはC155で使用されるCDTbの受容体結合ドメインが、リンカー/スペーサーとして使用しうる長い非構造化可動性ペプチドから始まるからである。
次の融合タンパク質をデザインした:
* 開始コドンのMetおよびHisタグを考慮に入れる
クローニングおよび生産
実施例5と同様。
CDTbおよびCDTa-CDTb融合構築物の分子量評価
分析用超遠心を用いて、分子が遠心力に応じて移動する割合を測定することによって、タンパク質サンプル中の異なる分子種の、溶液中の均一性およびサイズ分布を測定することができる。これは、沈降速度実験により得られる異なる分子種の沈降係数の計算に基づくものであって、それは分子の形および質量で決まる。
1. タンパク質サンプルを、Beckman-Coulter ProteomeLab XL-1分析用超遠心分離機において、目的とするタンパク質のサイズに応じて8000RPM、25000RPMまたは42000RPMで回転させるが、事前にAN-60Tiローターを15℃に合わせて調整しておいた。
2.データ収集のため、5分ごとに280nmでスキャンを記録する。
3.データ解析は、C(S)分布を測定するためのプログラムSEDFITを用いて行う。タンパク質の部分比容の測定は、それらのアミノ酸配列からSEDNTERPソフトウェアにより行う。SEDNTERPを用いて、バッファーの粘度および密度を測定することもできる。
4.異なる分子種の分子量は、混合物のサイズ分布を特徴づけるためにC(S)分布プロット(濃度vs沈降係数)のほうがC(M)分布(濃度vs分子量)よりも優れた生データ表示であることを考慮して、C(S)分布プロットから求めることができる。
AS01B製剤中のC.ディフィシルCDTaおよびCDTbサブユニットタンパク質によるマウスの免疫化
マウス免疫化
25匹の雌Balb/Cマウス群を、5μgの完全なCDTaおよびCDTbバイナリトキシン精製サブユニットを用いて、0、14、および28日目にIM(筋肉内)にて免疫化した。これらの抗原は、AS01B製剤として注入された。
抗CDTaおよび抗CDTb ELISA力価を、42日目に採取された個々の血清で測定した(Post III 14)。結果を図4-5に示す。
プールしたPost III血清(42日目)に対してバイナリトキシン細胞毒性阻害アッセイも行った。結果を図6-7に示す。
抗CDTaおよび抗CDTb ELISA反応:プロトコール
完全なCDTa(C34)または完全なCDTb(C37)サブユニットを、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中1μg/ml(CDTa)または2μg/ml(CDTb)として、4℃にて一晩、高結合マイクロタイタープレート(Nunc MAXISORP(商標名))上にコーティングした。PBS-BSA 1%を用いて、撹拌しながら室温にて30分間プレートをブロックした。マウス抗血清をあらかじめPBS-BSA0.2%-TWEEN(商標名)0.05%で1/500に希釈した後、マイクロプレート内でさらに2倍希釈を行って、室温で30分間インキュベートした。洗浄した後、PBS-BSA0.2%-tween 0.05%で1:5000希釈したJackson ImmunoLaboratories Inc.製のペルオキシダーゼ結合抗マウス(ref: 115-035-003)を用いて、結合したマウス抗体を検出した。検出抗体は、室温にて30分間、撹拌しながらインキュベートした。10 mlの 0.1Mクエン酸バッファーpH 4.5当たり4 mg O-フェニレンジアミン(OPD) + 5μl H2O2を用いて、室温にて暗下で15分間、呈色させた。反応は、50μl HClによって止め、光学密度(OD)を490nmにおいて620nmに対して読み取った。
抗CDTaまたは抗CDTb抗体レベルは、階級値の力価で表される。GMTは、各処置群の25サンプルについて計算した。
バイナリトキシン細胞毒性阻害アッセイ
ヒト結腸上皮細胞(HT29もしくはHCT-116細胞)は、DMEM +10% ウシ胎仔血清 + 1% グルタミン + 1% 抗生物質(ペニシリン-ストレプトマイシン-アムホテリシン)中で37℃にて5% CO2により培養し、HT29については4.104 細胞/ウェル、HCT116については1.104細胞/ウェルの密度で96ウェルブラック組織培養プレート(Greiner Bio-one, Ref : 655090)に播種した。
24時間後、細胞培養液をウェルから取り出した。
マウス抗血清を細胞培養液で1:50にあらかじめ希釈した後、マイクロプレート(NUNC, Ref : 163320)内でさらに3倍希釈を行った。マウス抗血清プールを段階希釈した50μlをブラックプレートに添加した。次にCDTa (25ng/ml) およびキモトリプシン活性化CDTb (75 ng/ml)の混合物50μlを添加し、ブラックプレートを37℃にて5% CO2で6日間インキュベートした。
6日後、抗血清および毒素の混合物をウェルから除去し、リン酸緩衝食塩水(PBS)で1:500に希釈したHoechst染色剤(BD Pharmingen, Ref. 561908)100μlを各ウェルに添加して、室温にて暗下で2時間おいた。
呈色後、Hoechst染色剤をウェルから除去し、細胞の蛍光をAxiovision顕微鏡を用いて測定した。
各ウェルにおいて蛍光染色でカバーされる表面を測定し、細胞毒性阻害の力価は、蛍光シグナルの50% 阻害を引き起こす希釈度の逆数として定義された。
HCT116細胞に対するCDTbタンパク質の細胞毒性
キモトリプシン活性化CDTbサブユニット(C37)は単独で、HCT116細胞に対して細胞毒性を示す。
個々のタンパク質のβシート間の疎水性相互作用を妨げることによって、膜孔形成ステップを阻害するために、第2世代の抗原デザインを作成した。
バイナリトキシン類のこのバイナリトキシンサブユニットB(細胞結合部分)を、ヒト結腸上皮細胞(HCT116細胞)に単独で加えるか、またはその細胞上でバイナリトキシンサブユニットA(酵素部分)と混合し、残存する細胞毒性を評価した。
候補のC123、C126、C128、C164、C166、C116、C117、C149およびC152の細胞毒性をHCT116細胞株について検討した。
バイナリトキシン細胞毒性アッセイ
ヒト結腸上皮細胞(HCT116細胞)を、DMEM + 10% ウシ胎仔血清 + 1% グルタミン + 1% 抗生物質(ペニシリン-ストレプトマイシン-アムホテリシン)中で37℃にて5% CO2により培養し、HCT116細胞について103細胞/ウェルの密度で96ウェルブラック組織培養プレート(Greiner Bio-one, Ref:655090)に播種した。
24時間後、細胞培養物50μlをウェルから採取した。
性質検討するバイナリトキシン候補は、2μg/ml CDTaおよび6μg/ml CDTbとなるように希釈した。マイクロプレート(NUNC, Ref: 163320)内でさらに3倍希釈を行った。段階希釈したバイナリトキシン標品50μlをブラックプレートに添加し、そのマイクロプレートを37℃にて5% CO2により6日間インキュベートした。
6日後、バイナリトキシンおよび培地の混合物をウェルから取り出し、リン酸緩衝食塩水(PBS)で1:500に希釈したHoechst染色剤(BD Pharmingen, Ref. 561908)100μlを各ウェルに添加して、室温にて暗下で2時間おいた。
呈色後、Hoechst染色剤をウェルから除去し、細胞の蛍光をAxiovision顕微鏡を用いて測定した。
細胞毒性は、各ウェルにおいて蛍光染色でカバーされる表面のパーセンテージで表される。細胞無毒性(回収率100%)作用は、細胞単独で得られる。そして高レベルの細胞毒性は、完全に活性化されたバイナリトキシン(CDTa C34+ CDTb C37)で得られる。結果を図9に示す。
HT29細胞に対するCDTa-CDTb融合タンパク質の細胞毒性
HT29細胞に対する融合物C139、C145、C155、およびC156の細胞毒性を検討した。完全なCDTaサブユニットと混合することによって、CDTbサブユニットに付随して残存する可能性のある細胞毒性を評価した。全長CDTaおよび全長CDTbを対照として使用した。
バイナリトキシン細胞毒性アッセイ
ヒト結腸上皮細胞(HT29細胞)を、DMEM + 10% ウシ胎仔血清 + 1% グルタミン + 1% 抗生物質(ペニシリン-ストレプトマイシン-アムホテリシン)中で37℃にて5% CO2により培養子、HT29細胞4×103/ウェルの密度で96ウェルブラック組織培養プレート(Greiner Bio-one, Ref:655090)に播種した。
24時間後、細胞培養物50μlをウェルから採取した。
性質検討するバイナリトキシン候補は、2μg/ml CDTaおよび6μg/ml CDTbとなるように希釈した。マイクロプレート(NUNC, Ref: 163320)内でさらに3倍希釈を行った。段階希釈したバイナリトキシン標品50μlをブラックプレートに添加し、そのマイクロプレートを37℃にて5% CO2により6日間インキュベートした。
6日後、バイナリトキシンおよび培地の混合物をウェルから取り出し、リン酸緩衝食塩水(PBS)で1:500に希釈したHoechst染色剤(BD Pharmingen, Ref. 561908)100μlを各ウェルに添加して、室温にて暗下で2時間おいた。
呈色後、Hoechst染色剤をウェルから除去し、細胞の蛍光をAxiovision顕微鏡を用いて測定した。
細胞毒性は、各ウェルにおいて蛍光染色でカバーされる表面のパーセンテージで表される。細胞無毒性(回収率100%)作用は、細胞単独で得られる。そして高レベルの細胞毒性は、完全に活性化されたバイナリトキシン(CDTa C34+ CDTb C37)で得られる。
融合物はいずれも細胞毒性がなく、融合物のCDTbサブユニットに付随する残存細胞毒性は観察されなかった。全CDTa-全CDTb融合物(C139)においてCDTaサブユニットに付随する残存細胞毒性は観察されなかった。CDTaサブユニットに付随するごくわずかな残存細胞毒性が、全長CDTbを含まない3つの融合物(C145、C155、C156)で見られた。
結果を図10および11に示す。
AS01B製剤中のC.ディフィシルCDTbタンパク質またはCDTa-CDTb融合物によるマウスの免疫化
マウス免疫化
12匹の雌Balb/Cマウス群を、1μgのCDTaおよびCDTbバイナリトキシン精製サブユニットを用いて、ならびに2μgのCDTa-CDTb融合物を用いて、0、14、および28日目にIM(筋肉内)にて免疫化した。これらの抗原は、AS01B製剤として注入された。
抗CDTaおよび抗CDTb ELISA力価を、42日目に採取された個々の血清で測定した(Post III 14)。結果を図12-13に示す。
プールしたPost III血清(42日目)についてHT29およびHCT116細胞に及ぼすバイナリトキシン細胞毒性阻害アッセイも行った。結果を図14に示す。
抗CDTaおよび抗CDTb ELISA反応:プロトコール
E-428変異型CDTa(C44)または未活性化CDTb(C46)サブユニットを、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中1μg/mlとして、4℃にて一晩、高結合マイクロタイタープレート(Nunc MAXISORP(商標名))上にコーティングした。PBS-BSA 1%を用いて、撹拌しながら室温にて30分間プレートをブロックした。マウス抗血清をあらかじめPBS-BSA0.2%-TWEEN(商標名)0.05%で1/500に希釈した後、マイクロプレート内でさらに2倍希釈を行って、室温で30分間インキュベートした。洗浄した後、PBS-BSA0.2%-tween 0.05%で1:5000希釈したJackson ImmunoLaboratories Inc.製のペルオキシダーゼ結合抗マウス(ref: 115-035-003)を用いて、結合したマウス抗体を検出した。検出抗体は、室温にて30分間、撹拌しながらインキュベートした。10 mlの 0.1Mクエン酸バッファーpH 4.5当たり4 mg O-フェニレンジアミン(OPD) + 5μl H2O2を用いて、室温にて暗下で15分間、呈色させた。反応は、50μl HClによって止め、光学密度(OD)を490nmにおいて620nmに対して読み取った。
抗CDTaまたは抗CDTb抗体レベルは、階級値の力価で表される。GMTは、各処置群の12サンプルについて計算した。
得られた抗CDTa抗体力価を図12に示す。
得られた抗CDTb抗体力価を図13に示す。
CDTbまたはCDTa-CDTb融合物細胞毒性阻害アッセイ
バイナリトキシン細胞毒性アッセイ
ヒト結腸上皮細胞(HT29もしくはHCT-116細胞)は、DMEM +10% ウシ胎仔血清 + 1% グルタミン + 1% 抗生物質(ペニシリン-ストレプトマイシン-アムホテリシン)中で37℃にて5% CO2により培養し、HT29については4.103 細胞/ウェル、HCT116については1.103細胞/ウェルの密度で96ウェルブラック組織培養プレート(Greiner Bio-one, Ref : 655090)に播種した。
24時間後、細胞培養液をウェルから取り出した。
マウス抗血清を細胞培養液で1:50にあらかじめ希釈した後、マイクロプレート(NUNC, Ref : 163320)内でさらに3倍希釈を行った。マウス抗血清プールの段階希釈物50μlをブラックプレートに添加した。次にCDTa (25ng/ml) およびキモトリプシン活性化CDTb (75 ng/ml)の混合物50μlを添加し、ブラックプレートを37℃にて5% CO2で6日間インキュベートした。
6日後、抗血清および毒素の混合物をウェルから除去し、リン酸緩衝食塩水(PBS)で1:500に希釈したHoechst染色剤(BD Pharmingen, Ref. 561908)100μlを各ウェルに添加して、室温にて暗下で2時間おいた。
呈色後、Hoechst染色剤をウェルから除去し、細胞の蛍光をAxiovision顕微鏡を用いて測定した。
各ウェルにおいて蛍光染色でカバーされる表面を測定し、細胞毒性阻害の力価は、蛍光シグナルの50% 阻害を引き起こす希釈度の逆数として定義された。