JP2015528456A - Staphylococcusaureusに対する免疫化のための安定化されたタンパク質 - Google Patents
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Abstract
システイン含有S.aureus抗原のジスルフィド結合形成の排除は、抗原安定性を増強する。本発明は、システイン残基を置き換えるか、欠失させるか、または修飾する点変異を有する、システイン含有S.aureus抗原の改変体形態を提供する。本発明によって提供されるポリペプチドは、配列番号7に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、ここで該ポリペプチドは、遊離チオール基を有さず、かつ配列番号5を認識する抗体を惹起することができる。
Description
本願は、2012年8月31日に出願された米国仮特許出願第61/695,759号の利益を主張し、その全ての完全な内容は、これにより、全ての目的のために本明細書中で参考として援用される。
技術分野
本発明は、Staphylococcus aureusに由来する抗原を含む免疫原性組成物、および免疫化におけるそれらの使用に関する。
本発明は、Staphylococcus aureusに由来する抗原を含む免疫原性組成物、および免疫化におけるそれらの使用に関する。
背景技術
S.aureusは、グラム陽性球菌であり、血流、下気道、ならびに皮膚およびその他の軟組織の感染の主要な原因である。それは、些細な皮膚感染症から、生命を脅かす疾患(肺炎および敗血症が挙げられる)までの範囲の病気を引き起こし、米国において、1年につきS.aureusに関連付けられる死亡数は、任意のその他の感染症(HIV/AIDSが挙げられる)の死亡数を超える。
S.aureusは、グラム陽性球菌であり、血流、下気道、ならびに皮膚およびその他の軟組織の感染の主要な原因である。それは、些細な皮膚感染症から、生命を脅かす疾患(肺炎および敗血症が挙げられる)までの範囲の病気を引き起こし、米国において、1年につきS.aureusに関連付けられる死亡数は、任意のその他の感染症(HIV/AIDSが挙げられる)の死亡数を超える。
現在、S.aureusに対する認可されたワクチンは存在しない。細菌型5および8由来の表面多糖の混合物に基づくワクチンであるStaphVAXTMは、2005年におけるフェーズIII臨床試験において、プラシーボ群と比較した場合、感染症を低減しなかった。参考文献1は、MerckおよびIntercellからの「V710」ワクチンにおけるデータを報告しており、このワクチンは、保存的鉄イオン封鎖細胞表面タンパク質(conserved iron−sequestering cell−surface protein)である単一の抗原IsdBに基づいている[2、3]。しかし、V710の臨床試験は、V710が統計的に有意な臨床的利益を実証する見込みがないという観測、ならびにプラシーボレシピエントと比較して、ワクチンレシピエントにおいてより高い頻度で生じた全死亡率および多臓器機能障害に関しての安全性への懸念に基づいて、2011年に終わった[4]。
参考文献5は、ワクチン戦略として、種々のS.aureus抗原およびそれらの組み合わせを開示している。参考文献6は、S.aureusポリペプチド抗原が単純な緩衝溶液中で不安定であり得ること、および抗原が安定化添加剤(例えば、EDTA)の存在によって安定化され得ることを開示している。抗原の不安定性は望ましくない。なぜなら、それは、(1)抗原の不安定性により、ワクチンが投与前に長期間保存され得ないこと、および(2)ワクチンがバッチ間で一貫していないことにより、品質および規制当局の承認要件に影響し得るからである。さらに、これらの不安定な抗原を含有するワクチンの製造は複雑であり得、複数の精製ステップを含み得る。したがって、免疫原性組成物中でS.aureusポリペプチド抗原を安定化するさらなる戦略を特定することが本発明の目的である。
Harroら、Clin Vaccine Immunol(2010)17:1868〜74
Kuklinら、Infect Immun.(2006)74(4):2215〜23
発明の開示
本発明者らは、抗原のオリゴマー化を防止することが、抗原安定性を増強する有効な戦略であることを見出した。種々のS.aureus抗原は、システイン残基を含有し、それらは、標準的な緩衝溶液中でオリゴマー(システイン残基間のジスルフィド結合によって形成される共有結合ダイマーが挙げられる)を形成し得る。本発明者らは、これらの共有結合ダイマーを含有する組成物が不安定であり得、凝集体を形成し得るか、または組成物中にその他の抗原が存在する場合、それらの安定性に影響を及ぼし得ることを見出した。共有結合ダイマー形成は、ジスルフィド結合形成が排除されるように、システイン残基を置き換えること、修飾すること、または欠失させることによって防止され得る。興味深いことに、これらの抗原が共有結合ダイマーを形成することを防止することにより、抗原安定性を改善し、組成物の高い総選択性(すなわち、総抗原に対して、高い割合の単一のアイソフォーム)および純度を保持する。さらに、本発明者らは、これらのシステイン欠損抗原が、野生型システイン含有抗原に対する免疫応答を惹起することにおいて有効な状態のままであることを見出した。したがって、システイン欠損抗原は、抗原安定性を改善するために、ワクチン処方物中に含まれ得る。
本発明者らは、抗原のオリゴマー化を防止することが、抗原安定性を増強する有効な戦略であることを見出した。種々のS.aureus抗原は、システイン残基を含有し、それらは、標準的な緩衝溶液中でオリゴマー(システイン残基間のジスルフィド結合によって形成される共有結合ダイマーが挙げられる)を形成し得る。本発明者らは、これらの共有結合ダイマーを含有する組成物が不安定であり得、凝集体を形成し得るか、または組成物中にその他の抗原が存在する場合、それらの安定性に影響を及ぼし得ることを見出した。共有結合ダイマー形成は、ジスルフィド結合形成が排除されるように、システイン残基を置き換えること、修飾すること、または欠失させることによって防止され得る。興味深いことに、これらの抗原が共有結合ダイマーを形成することを防止することにより、抗原安定性を改善し、組成物の高い総選択性(すなわち、総抗原に対して、高い割合の単一のアイソフォーム)および純度を保持する。さらに、本発明者らは、これらのシステイン欠損抗原が、野生型システイン含有抗原に対する免疫応答を惹起することにおいて有効な状態のままであることを見出した。したがって、システイン欠損抗原は、抗原安定性を改善するために、ワクチン処方物中に含まれ得る。
Sta011抗原は、天然に、その成熟した形態において、N末端システインを有する。Sta011は、ダイマーおよびタンパク質アイソフォーム(6.0、7.8、および8.0におけるpI)を形成し、それらは、バッチ間で割合が変動する。本発明者らは、システインの欠失が、免疫原性にマイナスの影響を及ぼすことなく、単一のアイソフォーム(pI8.0)の二量体化を止め、より容易に特徴付けおよび分析するためのタンパク質を提供することを見出した。したがって、本発明は、配列番号7に対して少なくとも90%(例えば、≧91%、≧92%、≧93%、≧94%、≧95%、≧96%、≧97%、≧98%、≧99%、≧99.5%)の同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドを提供し、ここでポリペプチドは、遊離チオール基を有さず、野生型Sta011抗原(例えば、配列番号5からなるS.aureusタンパク質)を認識する抗体を惹起することができる(例えば、ヒトに投与されると)。上記ポリペプチドは、ジスルフィド結合を介して共有結合ダイマーを形成できない。
本発明は、本発明のポリペプチドを含む免疫原性組成物を提供する。組成物は、水性形態であり得、その場合、理想的には、5と8との間のpHを有する。組成物は、アジュバント(例えば、アルミニウム塩)も含み得る。
本発明の一部の実施形態では、免疫原性組成物は、ポリペプチドおよび/または糖類であり得るさらなる抗原を含む。例えば、それらはまた、例えば、血清型5および/または血清型8株に対する1種または複数のS.aureus莢膜糖結合体(複数可)を含み得る。その他の実施形態では、組成物は、さらなるブドウ球菌ポリペプチド抗原を含まない。その他の実施形態では、組成物は、さらなるブドウ球菌抗原を含まない。さらに別の実施形態では、組成物は、さらなる抗原を含まない。
本発明はまた、本発明の免疫原性組成物の凍結乾燥物(lyophilizate)を提供する。この凍結乾燥物は、本発明の水性免疫原性組成物を提供するために水性材料で再構成され得る。したがって、投与のために、凍結乾燥物は、適切な液体希釈剤(例えば、緩衝液、食塩水溶液、注射用水(WFI))で再構成される。液体希釈剤は、アジュバント(例えば、アルミニウム塩または水中油型エマルジョンアジュバント)を含み得る。
Sta011
「Sta011」抗原は、有用な免疫原として参考文献5に開示されている。それは、もともと単に「リポタンパク質」として注記された。NCTC8325株において、Sta011は、SAOUHSC_00052であり、アミノ酸配列の配列番号1(GI:88193872)を有する。公知のSta011抗原は、その成熟した形態において、脂質付加され得るN末端システインを有する。野生型システイン含有Sta011は、モノマーまたはオリゴマー(例えば、共有結合ダイマー)として存在し得、ここで、Ca++イオンがオリゴマー化を促進する。
「Sta011」抗原は、有用な免疫原として参考文献5に開示されている。それは、もともと単に「リポタンパク質」として注記された。NCTC8325株において、Sta011は、SAOUHSC_00052であり、アミノ酸配列の配列番号1(GI:88193872)を有する。公知のSta011抗原は、その成熟した形態において、脂質付加され得るN末端システインを有する。野生型システイン含有Sta011は、モノマーまたはオリゴマー(例えば、共有結合ダイマー)として存在し得、ここで、Ca++イオンがオリゴマー化を促進する。
本発明は、Sta011の改変体形態を使用し、このSta011の改変体形態は、ジスルフィド結合を介して共有結合ダイマーを形成できない。ポリペプチドは、(還元条件下で)いかなる遊離チオール基も含有しない。それは、野生型Sta011抗原(例えば、配列番号5、13、14、または15)を認識する抗体を惹起することができる(例えば、ヒトに投与されると)。ポリペプチドは、配列番号7〜12のうちの任意のものに対して80%以上(例えば、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより高い)の同一性を有するアミノ酸配列を含んでよい。
配列番号7は、配列番号1のアミノ酸残基26〜256である。配列番号7と比較して、配列番号8は、N末端において、さらなるアミノ酸残基「X」を有し、ここで「X」は、遊離チオール基を含有しないアミノ酸である(例えば、Ser=配列番号12である)。配列番号9は、配列番号7のN末端において、Met−Gly−配列を有する。配列番号10は、配列番号8のN末端において、Met−Gly−配列を有する。配列番号11は、配列番号10の配列を有し、ここで「X」は、セリンである。配列番号7〜12のうちの任意のものを含むSta011ポリペプチドが、本発明で使用され得る。
本発明のSta011ポリペプチドを調製するために使用され得る配列番号1の改変体形態として、これだけに限定されないが、種々のIle/Val/Leu置換を有する配列番号2、3、および4が挙げられる。配列番号1と比較して、配列番号2は、Ile−146の代わりにLeu−146を有し、Leu−165の代わりにIle−165を有する。配列番号1と比較して、配列番号3は、Ile−146の代わりにVal−146を有し、Leu−165の代わりにIle165を有する。配列番号1と比較して、配列番号4は、Ile−146の代わりにLeu−146を有し、Leu−165の代わりにVal−165を有する。配列番号1〜4の最初の23個のN末端アミノ酸(すなわち、シグナルペプチド)は、それぞれ、配列番号5、13、14、および15を提供するために、有用に省かれ得る。したがって、本発明のSta011ポリペプチドは、配列番号1〜4のうちの任意のものの残基26〜256を含み得、それは、成熟Sta011抗原(例えば、配列番号5、13、14、または15)を認識する抗体を惹起することができる(例えば、ヒトに投与されると)。
Sta011の有用な改変体形態は、抗原の野生型形態に存在するシステイン残基を置き換えるか、修飾するか、または欠失させる少なくとも1つの点変異を含み得る。例えば、Sta011ポリペプチドは、配列番号6を有するアミノ酸配列を含み得、ここで配列番号6の3位におけるシステイン残基が、置き換えられるか、修飾されるか、または欠失させられる。好ましくは、置き換えは、セリン残基(例えば、配列番号11を提供する)またはアラニン残基とのものである。あるいは、システイン残基は、欠失させられる。
ハイブリッドポリペプチド
本発明で使用される抗原は、個々の別個のポリペプチドとして組成物中に存在し得る。しかし、2種以上の抗原が使用される場合、それらは、別個のポリペプチドとして存在しなくてもよい。代わりに、参考文献5に記載の通り、少なくとも2種(例えば、2種、3種、4種、5種またはそれより多い)の抗原が、単一のポリペプチド鎖(「ハイブリッド」ポリペプチド)として発現させられ得る。本発明で使用されるハイブリッドポリペプチドは、理想的には、(還元条件下で)遊離チオール基を含まない。
本発明で使用される抗原は、個々の別個のポリペプチドとして組成物中に存在し得る。しかし、2種以上の抗原が使用される場合、それらは、別個のポリペプチドとして存在しなくてもよい。代わりに、参考文献5に記載の通り、少なくとも2種(例えば、2種、3種、4種、5種またはそれより多い)の抗原が、単一のポリペプチド鎖(「ハイブリッド」ポリペプチド)として発現させられ得る。本発明で使用されるハイブリッドポリペプチドは、理想的には、(還元条件下で)遊離チオール基を含まない。
2種、3種、4種またはそれより多くの抗原からのアミノ酸配列からなるハイブリッドが有用である。特に、2種、3種、4種、または5種の抗原(例えば、2種の抗原)からのアミノ酸配列からなるハイブリッドが好ましい。
異なるハイブリッドポリペプチドが、単一の処方物中で一緒に混合され得る。ハイブリッドポリペプチドはまた、本明細書中における他の場所に記載されるように、結合体または非S.aureus抗原と組み合わせられ得る。
有用には、これらのハイブリッドポリペプチドは、ハイブリッドにおいて代表される野生型ブドウ球菌タンパク質のそれぞれを認識する抗体を惹起することができる(例えば、ヒトに投与されると)。
一部の実施形態では、単一のハイブリッドポリペプチドにおける抗原は、リンカーアミノ酸配列によって一緒に合わせられる。リンカーアミノ酸配列は、典型的には短い(例えば、20アミノ酸以下、すなわち、20アミノ酸、19アミノ酸、18アミノ酸、17アミノ酸、16アミノ酸、15アミノ酸、14アミノ酸、13アミノ酸、12アミノ酸、11アミノ酸、10アミノ酸、9アミノ酸、8アミノ酸、7アミノ酸、6アミノ酸、5アミノ酸、4アミノ酸、3アミノ酸、2アミノ酸、1アミノ酸)。例は、クローニングを容易にする短いペプチド配列、またはポリグリシンリンカーを含む。その他の適切なリンカーアミノ酸配列は、当業者には明らかになるであろう。
本発明で使用されるポリペプチド
本発明は、ジスルフィド結合を形成しないS.aureus抗原の改変体形態を使用する。遊離チオール基(例えば、システインアミノ酸)を含有するS.aureus抗原は、標準的な緩衝液において、オリゴマー(共有結合ホモダイマーまたは共有結合ヘテロダイマーが挙げられる)を形成し得る。共有結合ダイマーは、通常、システイン残基のチオール基の酸化によって生成され、ジスルフィド結合(すなわち、シスチンの形成)をもたらす。共有結合ダイマー形成を排除するために、本発明のポリペプチドは、反応してジスルフィド結合を形成し得る(還元条件下で)いかなる遊離チオール基も含有しない。保護されていないチオール基、または遊離もしくは保護されていない−SHとしても公知の遊離チオール基は、反応性硫黄原子を有する。システインアミノ酸残基は、(還元条件下で)遊離チオール基を有し、したがって、本発明のポリペプチドは、いかなるシステインアミノ酸残基も含有しない。システイン残基は、例えば、チオール保護基を加えることによって、チオール基が保護され、かつ、チオール基がジスルフィド結合を形成するために反応できないように、誘導体化され得る。チオール保護基は、当技術分野で公知である(例えば、チオエーテル、チオエステル、またはそれらの誘導体)[7]。したがって、本発明のポリペプチドは、誘導体化されたシステインアミノ酸残基を含有し得るが、ただし、誘導体化されたシステインアミノ酸残基は、ジスルフィド結合を形成し得る(還元条件下で)遊離チオール基を有さないことを条件とする。
本発明は、ジスルフィド結合を形成しないS.aureus抗原の改変体形態を使用する。遊離チオール基(例えば、システインアミノ酸)を含有するS.aureus抗原は、標準的な緩衝液において、オリゴマー(共有結合ホモダイマーまたは共有結合ヘテロダイマーが挙げられる)を形成し得る。共有結合ダイマーは、通常、システイン残基のチオール基の酸化によって生成され、ジスルフィド結合(すなわち、シスチンの形成)をもたらす。共有結合ダイマー形成を排除するために、本発明のポリペプチドは、反応してジスルフィド結合を形成し得る(還元条件下で)いかなる遊離チオール基も含有しない。保護されていないチオール基、または遊離もしくは保護されていない−SHとしても公知の遊離チオール基は、反応性硫黄原子を有する。システインアミノ酸残基は、(還元条件下で)遊離チオール基を有し、したがって、本発明のポリペプチドは、いかなるシステインアミノ酸残基も含有しない。システイン残基は、例えば、チオール保護基を加えることによって、チオール基が保護され、かつ、チオール基がジスルフィド結合を形成するために反応できないように、誘導体化され得る。チオール保護基は、当技術分野で公知である(例えば、チオエーテル、チオエステル、またはそれらの誘導体)[7]。したがって、本発明のポリペプチドは、誘導体化されたシステインアミノ酸残基を含有し得るが、ただし、誘導体化されたシステインアミノ酸残基は、ジスルフィド結合を形成し得る(還元条件下で)遊離チオール基を有さないことを条件とする。
一部の例外的な実施形態では、ポリペプチドは、チオール基を含み得るが、このチオール基は、システイン残基における側鎖の一部ではない。しかし、理想的には、ポリペプチドは、チオール基を全く含まない。
好ましくは、ポリペプチドは、システインもシスチンも含有しない。
一部の実施形態では、ポリペプチドは、アミノ酸「X」を含有し得る。「X」は、任意のアミノ酸であり得るが、ただし、それは、遊離チオール基を含有しないことを条件とする。アミノ酸は、天然または非天然のアミノ酸であり得る。天然アミノ酸は、当技術分野で公知である(例えば、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、またはバリン)。システインは、遊離チオール基を有するので、「X」は、システイン残基のはずがない。非天然アミノ酸は、誘導体化されたアミノ酸または修飾されたアミノ酸であり得る。「X」は、遊離チオール基を含有しない誘導体化されたアミノ酸(例えば、メチル−システイン)であり得る。
本発明で使用されるポリペプチドは、種々の形態をとることができる(例えば、天然形態、融合形態、グリコシル化形態、非グリコシル化形態、脂質付加形態、非脂質付加形態、リン酸化形態、非リン酸化形態、ミリストイル化形態、非ミリストイル化形態、モノマー形態、マルチマー形態、粒子状形態、変性形態など)。
本発明で使用されるポリペプチドは、種々の手段(例えば、組換え発現、細胞培養物からの精製、化学合成など)によって調製できる。特にハイブリッドポリペプチドに関して、組換えによって発現されたタンパク質が好ましい。
本発明の組成物中の抗原は、それらが、発現していた生物体から分離されている。したがって、Sta011ポリペプチドは、使用される前に、精製または実質的に精製された状態で提供され、すなわち、その他のブドウ球菌のまたは宿主細胞のポリペプチドを実質的に含まない。Sta011ポリペプチドは、一般に、本発明で使用される前に少なくとも約80%純粋(重量で)であり、通常は少なくとも約90%純粋である、すなわち、Sta011組成物の約20%未満、好ましくは約10%未満(例えば、<5%)が、その他のポリペプチドで構成されている。
本発明で使用される好ましいポリペプチドは、N末端メチオニンを有するが、一部の実施形態では、新生ポリペプチドのN末端に存在したメチオニンは、本発明の組成物中のポリペプチドに存在しなくてもよい。
本発明で使用されるポリペプチドは、好ましくは、ブドウ球菌ポリペプチドである。
用語「ポリペプチド」とは、任意の長さのアミノ酸ポリマーを指す。ポリマーは、直鎖であっても、分岐していてもよく、修飾されたアミノ酸を含んでいてもよく、非アミノ酸によって割り込まれていてもよい。この用語はまた、天然に、または介入によって、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質付加、アセチル化、リン酸化または標識成分との結合体化などの任意のその他の操作または修飾によって修飾されているアミノ酸ポリマーも包含する。例えば、1個または複数のアミノ酸の類似体(例えば、非天然アミノ酸などを含めた)、ならびに当技術分野で公知のその他の修飾を含有するポリペプチドも包含される。ポリペプチドは、単一鎖または会合している鎖として生じ得る。
本発明は、配列−P−Q−または−Q−P−を含むポリペプチドを提供し、ここで−P−は上で定義されているアミノ酸配列であり、−Q−は、上で定義されているものではない配列である、すなわち、本発明は、融合タンパク質を提供するが、ただし、ポリペプチドが、いかなる遊離チオール基も含有しないことを条件とする。−P−のN末端コドンがATGではないが、このコドンがポリペプチドのN末端に存在しない場合、これは、Metとしてではなく、そのコドンに対する標準のアミノ酸として翻訳される。しかし、このコドンがポリペプチドのN末端にある場合には、Metとして翻訳される。−Q−部分の例として、これだけに限定されないが、ヒスチジンタグ(すなわち、Hisn、n=3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上)、マルトース結合性タンパク質、またはグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)が挙げられる。
本発明のポリペプチドの発現は、Staphylococcusにおいて起こり得るが、本発明では、通常、発現(組換え発現)のために異種宿主を使用する。異種宿主は、原核生物(例えば、細菌)または真核生物であり得る。異種宿主はE.coliであり得るが、その他の適切な宿主として、Bacillus subtilis、Vibrio cholerae、Salmonella typhi、Salmonella typhimurium、Neisseria lactamica、Neisseria cinerea、マイコバクテリア(例えば、M.tuberculosis)、酵母などが挙げられる。本発明のポリペプチドをコードする野生型S.aureus遺伝子と比較して、コドンを変化させて、そのような宿主における発現効率を、コードされるアミノ酸に影響を及ぼすことなく最適化することが有益である。
核酸
本発明は、本発明のポリペプチドまたはハイブリッドポリペプチドをコードする核酸を提供する。本発明は、本発明の1種または複数のポリペプチドまたはハイブリッドポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸も提供する。
本発明は、本発明のポリペプチドまたはハイブリッドポリペプチドをコードする核酸を提供する。本発明は、本発明の1種または複数のポリペプチドまたはハイブリッドポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸も提供する。
本発明は、本発明の核酸を作出するためのプロセスであって、核酸を一部または全部において化学的手段を使用して合成するプロセスを提供する。
本発明は、本発明のヌクレオチド配列を含むベクター(例えば、クローニングベクターまたは発現ベクター)およびそのようなベクターで形質転換した宿主細胞を提供する。
核酸を操作し、コードされるタンパク質を発現させる方法は、当技術分野で公知であり、参考文献41および65に記載されるものを含む。核酸配列は、システインのコドンを別のアミノ酸のコドンと置き換えることによって修飾され得る。システインは、任意のその他のアミノ酸(セリン、アラニン、グリシン、バリン、ロイシン、またはイソロイシンが挙げられる)、または遊離チオール基を有さないアミノ酸の修飾された形態(すなわち、ジスルフィド結合を容易に形成できない)で置き換えられ得る。あるいは、システイン残基は、単に、配列から欠失させられ得る。したがって、欠失は、フレームシフトを導入することなく、核酸配列からシステインのコドンを除去しなければならない。公知の配列を有する核酸中の所定の部位において、置換および欠失変異を作製する技術は周知であり、それには、これだけに限定されないが、プライマー変異誘発、および他の形態の部位特異的変異誘発が挙げられる。
本発明はまた、そのようなヌクレオチド配列に対する配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。配列間の同一性は、好ましくは、上記のSmith Waterman相同性検索アルゴリズムによって決定される。そのような核酸は、同じアミノ酸をコードする代替のコドンを用いるものを含む。
本発明による核酸は、種々の形態をとることができる(例えば、一本鎖、二本鎖、ベクター、プライマー、プローブ、標識されたものなど)。本発明の核酸は環状であっても分枝していてもよいが、一般に、直鎖である。別段の指定または必要性がない限り、核酸を利用する本発明の任意の実施形態では、二本鎖形態および二本鎖形態を構成する2つの相補的な一本鎖形態のそれぞれのどちらも利用できる。本発明の核酸は、精製または実質的に精製された形態、すなわち、その他の核酸、特にその他のブドウ球菌の核酸または宿主細胞核酸を実質的に含まず(例えば、天然に存在する核酸を含まず)、一般に、少なくとも約50%純粋(重量で)であり、通常は少なくとも約90%純粋である形態で提供されることが好ましい。本発明の核酸は、好ましくはブドウ球菌核酸である。
本発明の核酸は、多くの方法で、例えば、全体または部分的な化学合成によって(例えば、DNAのホスホラミダイト合成)、ヌクレアーゼ(例えば、制限酵素)を使用してより長い核酸を消化することによって、より短い核酸またはヌクレオチドをつなぐことによって(例えば、リガーゼまたはポリメラーゼを使用して)、ゲノムライブラリーまたはcDNAライブラリーなどから調製できる。
用語「核酸」とは、一般的な意味で、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、および/またはそれらの類似体を含有する任意の長さのヌクレオチドのポリマーの形態を包含する。核酸は、DNA、RNA、DNA/RNAハイブリッドを包含する。核酸は、修飾された骨格(例えば、ペプチド核酸(PNA)またはホスホロチオエート)または修飾された塩基を含有するものなどのDNA類似体またはRNA類似体も包含する。したがって、本発明は、mRNA、tRNA、rRNA、リボザイム、DNA、cDNA、組換え核酸、分枝核酸、プラスミド、ベクター、プローブ、プライマーなどを包含する。本発明の核酸がRNAの形態をとる場合、5’キャップを有しても有さなくてもよい。
本発明の核酸は、ベクターの一部、すなわち、1種または複数の細胞型を形質導入/トランスフェクションするために設計された核酸構築物の一部であってよい。ベクターは、例えば、挿入されたヌクレオチドを単離、増幅および複製するために設計された「クローニングベクター」、ヌクレオチド配列を宿主細胞において発現させるために設計された「発現ベクター」、組換えウイルスまたはウイルス様粒子の産生をもたらすために設計された「ウイルスベクター」、または2種類以上のベクターの特質を含む「シャトルベクター」であってよい。好ましいベクターはプラスミドである。「宿主細胞」は、外因核酸のレシピエントになり得るまたはなっている個々の細胞または細胞培養物を包含する。宿主細胞とは、単一の宿主細胞の子孫を含み、子孫は、天然の、偶発的な、または意図的な変異および/または変化に起因して、元の親細胞と完全に同一である必要はない(形態または総DNA量(complement)において)。宿主細胞とは、in vivoまたはin vitroにおいて本発明の核酸を用いてトランスフェクトしたまたは感染させた細胞を包含する。
核酸がDNAである場合、RNA配列における「U」は、DNAにおける「T」によって置き換えられることが認識される。同様に、核酸がRNAである場合、DNA配列における「T」は、RNAにおける「U」によって置き換えられることが認識される。
用語「相補体」または「相補的な」とは、核酸に関して使用される場合、ワトソン・クリック塩基対合を指す。したがって、Cの相補体はGであり、Gの相補体はCであり、Aの相補体はT(またはU)であり、T(またはU)の相補体は、Aである。I(プリンイノシン)などの塩基を使用して、例えば、ピリミジン(CまたはT)を相補することも可能である。
株および改変体
本明細書中に記載される抗原についての例示的なアミノ酸配列およびヌクレオチド配列は、例えば、それらのGI番号を用いて、NCTC8325および/またはNewman S.aureus株から公共の配列データベースにおいて容易に見出すことができるが、本発明は、NCTC8325株および/またはNewman S.aureus株からの配列に限定されない。いくつかのその他のS.aureus株のゲノム配列が利用可能であり、それには、MRSA株N315およびMu50[8]、MW2、N315、COL、MRSA252、MSSA476、RF122、USA300(非常にビルレント)、JH1およびJH9のものが挙げられる。標準の検索およびアラインメント技法を使用して、これらの(またはその他の)さらなるゲノム配列のいずれかにおいてNewmanまたはNCTC8325株から任意の特定の配列のホモログが同定され得る。さらに、Newman株およびNCTC8325株からの利用可能な配列を使用して、その他の株由来の相同な配列を増幅するためのプライマーを設計できる。したがって、本発明は、これらの2つの株に限定されるのではなく、その他のS.aureus株由来のそのような改変体およびホモログ、ならびに非天然改変体を包含する。一般に、特定の配列番号の適切な改変体として、その対立遺伝子改変体、その多型形態、そのホモログ、そのオルソログ、そのパラログ、その変異体などが挙げられるが、ただし、それらが、いかなる遊離チオール基も含有しないことを条件とする。
本明細書中に記載される抗原についての例示的なアミノ酸配列およびヌクレオチド配列は、例えば、それらのGI番号を用いて、NCTC8325および/またはNewman S.aureus株から公共の配列データベースにおいて容易に見出すことができるが、本発明は、NCTC8325株および/またはNewman S.aureus株からの配列に限定されない。いくつかのその他のS.aureus株のゲノム配列が利用可能であり、それには、MRSA株N315およびMu50[8]、MW2、N315、COL、MRSA252、MSSA476、RF122、USA300(非常にビルレント)、JH1およびJH9のものが挙げられる。標準の検索およびアラインメント技法を使用して、これらの(またはその他の)さらなるゲノム配列のいずれかにおいてNewmanまたはNCTC8325株から任意の特定の配列のホモログが同定され得る。さらに、Newman株およびNCTC8325株からの利用可能な配列を使用して、その他の株由来の相同な配列を増幅するためのプライマーを設計できる。したがって、本発明は、これらの2つの株に限定されるのではなく、その他のS.aureus株由来のそのような改変体およびホモログ、ならびに非天然改変体を包含する。一般に、特定の配列番号の適切な改変体として、その対立遺伝子改変体、その多型形態、そのホモログ、そのオルソログ、そのパラログ、その変異体などが挙げられるが、ただし、それらが、いかなる遊離チオール基も含有しないことを条件とする。
したがって、例えば、本発明で使用されるポリペプチドは、本明細書中の配列番号と比較して、1つまたは複数(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つなど)のアミノ酸置換、例えば、保存された置換(すなわち、あるアミノ酸の、関連する側鎖を有する別のアミノ酸への置換)などを含むことができるが、ただし、新しいアミノ酸残基は、遊離チオール基を含有しないことを条件とする。本発明のポリペプチドは、いかなるシステイン残基も含有しない。遺伝子にコードされるアミノ酸は、一般に、4つのファミリー:(1)酸性、すなわち、アスパラギン酸、グルタミン酸;(2)塩基性、すなわち、リジン、アルギニン、ヒスチジン;(3)非極性、すなわち、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン;および(4)非荷電極性、すなわち、グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、トレオニン、チロシンに分けられる。フェニルアラニン、トリプトファン、およびチロシンは、時には、一緒に芳香族アミノ酸に分類される。一般に、これらのファミリー内の単一のアミノ酸の置換は、生物学的活性に大きな影響を及ぼさない。本発明のポリペプチドは、システインで置換され得ない。ポリペプチドは、配列番号配列と比較して1つまたは複数(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つなど)の単一のアミノ酸欠失も含んでよい。ポリペプチドは、配列番号配列と比較して1つまたは複数(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つなど)の挿入(例えば、1アミノ酸、2アミノ酸、3アミノ酸、4アミノ酸または5アミノ酸のそれぞれ)も含んでよいが、ただし、挿入されたアミノ酸残基が、いかなる遊離チオール基も含有しない(例えば、挿入されたアミノ酸は、システインではない)ことを条件とする。
同様に、本発明で使用されるポリペプチドは、以下:
・配列表に開示されている配列と同一(すなわち、100%同一)である;
・配列表に開示されている配列と配列同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより高い)を共有する;
・(a)または(b)の配列と比較して、別々の位置におけるものであってもよく、連続していてもよい1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つまたは10(またはそれより多い)の単一のアミノ酸の変更(欠失、挿入、置換)を有する;そして
・ペアワイズアラインメントアルゴリズムを使用して配列表からの特定の配列とアラインメントした場合に、xアミノ酸のN末端からC末端への各ムービングウィンドウ(したがって、pアミノ酸まで延びるアラインメントに関して、p>xである場合、そのようなウインドウがp−x+1個存在する)は、少なくともx・yの同一のアラインメントされたアミノ酸を有し、ここでxは20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、200から選択され、yは0.50、0.60、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99から選択され、また、x・yが整数でない場合には最も近い整数に切り上げる。好ましいペアワイズアラインメントアルゴリズムは、デフォルトのパラメータ(例えば、ギャップ開始ペナルティ=10.0、およびギャップ伸長ペナルティ=0.5、EBLOSUM62スコアリング行列を使用する)を使用したNeedleman−Wunschグローバルアラインメントアルゴリズム[9]である。このアルゴリズムは、EMBOSSパッケージ内のニードルツールで都合よく実装される[10];
アミノ酸配列を含み得るが、ただし、ポリペプチドは、いかなる遊離チオール基も含有しないことを条件とする。
・配列表に開示されている配列と同一(すなわち、100%同一)である;
・配列表に開示されている配列と配列同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%またはそれより高い)を共有する;
・(a)または(b)の配列と比較して、別々の位置におけるものであってもよく、連続していてもよい1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つまたは10(またはそれより多い)の単一のアミノ酸の変更(欠失、挿入、置換)を有する;そして
・ペアワイズアラインメントアルゴリズムを使用して配列表からの特定の配列とアラインメントした場合に、xアミノ酸のN末端からC末端への各ムービングウィンドウ(したがって、pアミノ酸まで延びるアラインメントに関して、p>xである場合、そのようなウインドウがp−x+1個存在する)は、少なくともx・yの同一のアラインメントされたアミノ酸を有し、ここでxは20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、200から選択され、yは0.50、0.60、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99から選択され、また、x・yが整数でない場合には最も近い整数に切り上げる。好ましいペアワイズアラインメントアルゴリズムは、デフォルトのパラメータ(例えば、ギャップ開始ペナルティ=10.0、およびギャップ伸長ペナルティ=0.5、EBLOSUM62スコアリング行列を使用する)を使用したNeedleman−Wunschグローバルアラインメントアルゴリズム[9]である。このアルゴリズムは、EMBOSSパッケージ内のニードルツールで都合よく実装される[10];
アミノ酸配列を含み得るが、ただし、ポリペプチドは、いかなる遊離チオール基も含有しないことを条件とする。
ハイブリッドポリペプチドを使用する場合、ハイブリッド内の個々の抗原(すなわち、個々の−X−部分)は、1種または複数の株由来であってよい。n=2である場合、例えば、X2は、X1と同じ株由来であってもよく、異なる株由来であってもよい。n=3の場合、株は、(i)X1=X2=X3(ii)X1=X2≠X3(iii)X1≠X2=X3(iv)X1≠X2≠X3または(v)X1=X3≠X2などであってよい。
群(c)の中で、欠失または置換はN末端および/またはC末端におけるものであってもよく、2つの末端の間におけるものであってもよい。したがって、切断は欠失の一例である。切断は、N末端および/またはC末端における最大40個(またはそれより多い)のアミノ酸の欠失を伴ってよい。N末端切断により、例えば、異種宿主における組換え発現を容易にするためにリーダーペプチドを除去できる。C末端切断により、例えば、異種宿主における組換え発現を容易にするためにアンカー配列を除去できる。
一般に、抗原が、配列表からの完全なS.aureus配列と同一ではない配列を含む場合(例えば、抗原が、それと<100%配列同一性を有する配列表を含む場合、またはその断片を含む場合)、個々の例において、抗原により、それぞれの完全なS.aureus配列を認識する抗体が惹起され得ることが好ましい。
糖類との組み合わせ
本発明の免疫原性組成物は、糖抗原(例えば公知の糖抗原には、ポリ−N−アセチルグルコサミン(PNAG)であるS.aureusの菌体外多糖と、例えば、5型、8型または336型に由来し得るS.aureusの莢膜糖とが含まれる)をさらに含み得る。一部の実施形態では、組成物は、S.aureus糖抗原を含まない。
本発明の免疫原性組成物は、糖抗原(例えば公知の糖抗原には、ポリ−N−アセチルグルコサミン(PNAG)であるS.aureusの菌体外多糖と、例えば、5型、8型または336型に由来し得るS.aureusの莢膜糖とが含まれる)をさらに含み得る。一部の実施形態では、組成物は、S.aureus糖抗原を含まない。
非ブドウ球菌抗原との組み合わせ
本発明の免疫原性組成物は、非ブドウ球菌抗原をさらに含み、特に、院内感染と関連付けられる細菌由来の抗原を有する。例えば、免疫原性組成物は、Clostridium difficile;Pseudomonas aeruginosa;Candida albicans;および腸管外病原性Escherichia coliからなる群から選択される1種または複数の抗原(複数可)をさらに含み得る。本発明のブドウ球菌抗原と組み合わせた使用のためのさらなる適切な抗原は、参考文献11の33頁〜46頁に列挙されている。
本発明の免疫原性組成物は、非ブドウ球菌抗原をさらに含み、特に、院内感染と関連付けられる細菌由来の抗原を有する。例えば、免疫原性組成物は、Clostridium difficile;Pseudomonas aeruginosa;Candida albicans;および腸管外病原性Escherichia coliからなる群から選択される1種または複数の抗原(複数可)をさらに含み得る。本発明のブドウ球菌抗原と組み合わせた使用のためのさらなる適切な抗原は、参考文献11の33頁〜46頁に列挙されている。
好ましい組成物
一部の実施形態では、組成物は、1種または複数のさらなるポリペプチドを含み得る。組成物が1種または複数のさらなるポリペプチドを含む場合、これらが、いかなる遊離チオール基も含有しないことが好ましい。好ましくは、さらなるポリペプチドは、ブドウ球菌ポリペプチド、例えば、参考文献5に開示されるS.aureusポリペプチドである。
一部の実施形態では、組成物は、1種または複数のさらなるポリペプチドを含み得る。組成物が1種または複数のさらなるポリペプチドを含む場合、これらが、いかなる遊離チオール基も含有しないことが好ましい。好ましくは、さらなるポリペプチドは、ブドウ球菌ポリペプチド、例えば、参考文献5に開示されるS.aureusポリペプチドである。
式(K)のTLR7アゴニストを使用する場合に、本発明の組成物は特に有用である。これらのアゴニストは、参考文献12において詳細に考察されている:
式中、
R1は、H、C1〜C6アルキル、−C(R5)2OH、−L1R5、−L1R6、−L2R5、−L2R6、−OL2R5または−OL2R6であり;
L1は、−C(O)−または−O−であり;
L2は、C1〜C6アルキレン、C2〜C6アルケニレン、アリーレン、ヘテロアリーレンまたは−((CR4R4)pO)q(CH2)p−であり、ここで、L2の前記C1〜C6アルキレンおよびC2〜C6アルケニレンは、1から4個のフルオロ基で置換されていてもよく;
L3はそれぞれ独立に、C1〜C6アルキレンおよび−((CR4R4)pO)q(CH2)p−から選択され、ここで、L3の前記C1〜C6アルキレンは、1から4個のフルオロ基で置換されていてもよく;
L4は、アリーレンまたはヘテロアリーレンであり;
R2は、HまたはC1〜C6アルキルであり;
R3は、C1〜C4アルキル、−L3R5、−L1R5、−L3R7、−L3L4L3R7、−L3L4R5、−L3L4L3R5、−OL3R5、−OL3R7、−OL3L4R7、−OL3L4L3R7、−OR8、−OL3L4R5、−OL3L4L3R5および−C(R5)2OHから選択され;
R4はそれぞれ独立に、Hおよびフルオロから選択され;
R5は、−P(O)(OR9)2であり、
R6は、−CF2P(O)(OR9)2または−C(O)OR10であり;
R7は、−CF2P(O)(OR9)2または−C(O)OR10であり;
R8は、HまたはC1〜C4アルキルであり;
R9はそれぞれ独立に、HおよびC1〜C6アルキルから選択され;
R10は、HまたはC1〜C4アルキルであり;
pはそれぞれ独立に、1、2、3、4、5および6から選択され、かつ
qは、1、2、3または4である。
R1は、H、C1〜C6アルキル、−C(R5)2OH、−L1R5、−L1R6、−L2R5、−L2R6、−OL2R5または−OL2R6であり;
L1は、−C(O)−または−O−であり;
L2は、C1〜C6アルキレン、C2〜C6アルケニレン、アリーレン、ヘテロアリーレンまたは−((CR4R4)pO)q(CH2)p−であり、ここで、L2の前記C1〜C6アルキレンおよびC2〜C6アルケニレンは、1から4個のフルオロ基で置換されていてもよく;
L3はそれぞれ独立に、C1〜C6アルキレンおよび−((CR4R4)pO)q(CH2)p−から選択され、ここで、L3の前記C1〜C6アルキレンは、1から4個のフルオロ基で置換されていてもよく;
L4は、アリーレンまたはヘテロアリーレンであり;
R2は、HまたはC1〜C6アルキルであり;
R3は、C1〜C4アルキル、−L3R5、−L1R5、−L3R7、−L3L4L3R7、−L3L4R5、−L3L4L3R5、−OL3R5、−OL3R7、−OL3L4R7、−OL3L4L3R7、−OR8、−OL3L4R5、−OL3L4L3R5および−C(R5)2OHから選択され;
R4はそれぞれ独立に、Hおよびフルオロから選択され;
R5は、−P(O)(OR9)2であり、
R6は、−CF2P(O)(OR9)2または−C(O)OR10であり;
R7は、−CF2P(O)(OR9)2または−C(O)OR10であり;
R8は、HまたはC1〜C4アルキルであり;
R9はそれぞれ独立に、HおよびC1〜C6アルキルから選択され;
R10は、HまたはC1〜C4アルキルであり;
pはそれぞれ独立に、1、2、3、4、5および6から選択され、かつ
qは、1、2、3または4である。
式(K)の化合物は好ましくは、式(K’):
の化合物であり、式中、
P1は、H、COOHで置換されていてもよいC1〜C6アルキルおよび−Y−L−X−P(O)(ORX)(ORY)から選択され;
P2は、H、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシおよび−Y−L−X−P(O)(ORX)(ORY)から選択されるが;
ただし、P1およびP2のうちの少なくとも1個が−Y−L−X−P(O)(ORX)(ORY)であることを条件とし;
RBは、HおよびC1〜C6アルキルから選択され;
RXおよびRYは独立に、HおよびC1〜C6アルキルから選択され;
Xは、共有結合、OおよびNHから選択され;
Yは、共有結合、O、C(O)、SおよびNHから選択され;
Lは、共有結合、ハロ、OH、C1〜C4アルキル、−OP(O)(OH)2および−P(O)(OH)2から独立に選択される1から4個の置換基でそれぞれ置換されていてもよいC1〜C6アルキレン、C1〜C6アルケニレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、C1〜C6アルキレンオキシおよび−((CH2)pO)q(CH2)p−から選択され;
pはそれぞれ独立に、1、2、3、4、5および6から選択され;かつ
qは、1、2、3および4から選択される。
P1は、H、COOHで置換されていてもよいC1〜C6アルキルおよび−Y−L−X−P(O)(ORX)(ORY)から選択され;
P2は、H、C1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシおよび−Y−L−X−P(O)(ORX)(ORY)から選択されるが;
ただし、P1およびP2のうちの少なくとも1個が−Y−L−X−P(O)(ORX)(ORY)であることを条件とし;
RBは、HおよびC1〜C6アルキルから選択され;
RXおよびRYは独立に、HおよびC1〜C6アルキルから選択され;
Xは、共有結合、OおよびNHから選択され;
Yは、共有結合、O、C(O)、SおよびNHから選択され;
Lは、共有結合、ハロ、OH、C1〜C4アルキル、−OP(O)(OH)2および−P(O)(OH)2から独立に選択される1から4個の置換基でそれぞれ置換されていてもよいC1〜C6アルキレン、C1〜C6アルケニレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、C1〜C6アルキレンオキシおよび−((CH2)pO)q(CH2)p−から選択され;
pはそれぞれ独立に、1、2、3、4、5および6から選択され;かつ
qは、1、2、3および4から選択される。
式(K’)の一部の実施形態では:P1は、COOHで置換されていてもよいC1〜C6アルキルおよび−Y−L−X−P(O)(ORX)(ORY)から選択され;P2は、C1〜C6アルコキシおよび−Y−L−X−P(O)(ORX)(ORY)から選択され;RBはC1〜C6アルキルであり;Xは共有結合であり;Lは、ハロ、OH、C1〜C4アルキル、−OP(O)(OH)2および−P(O)(OH)2から独立に選択される1から4個の置換基でそれぞれ置換されていてもよいC1〜C6アルキレンおよび−((CH2)pO)q(CH2)p−から選択され;pはそれぞれ独立に、1、2および3から選択され;qは、1および2から選択される。
本発明で使用するための式(K)の好ましい化合物は、3−(5−アミノ−2−(2−メチル−4−(2−(2−(2−ホスホノエトキシ)エトキシ)エトキシ)フェネチル)ベンゾ[f][1,7]ナフチリジン−8−イル)プロパン酸、または化合物「K1」:
である。
この化合物は、遊離塩基として、または薬学的に許容される塩(例えば、アルギニン塩)の形態で使用され得る。
式(K)の化合物は、不溶性金属塩(好ましくは、水酸化アルミニウムなどのアルミニウム塩)と混合され得、化合物は、典型的には、金属塩に吸着されている。Sta011抗原(および場合により、組成物中のさらなる抗原(複数可))も金属塩に吸着され得る。したがって、好ましい組成物は、(i)本明細書中で定義されるSta011抗原、(ii)式(K1)などの式(K)のTLR7アゴニスト、および(iii)水酸化アルミニウムなどの不溶性金属塩を含む。TLR7アゴニストおよびSta011抗原は、好ましくは、金属塩に吸着される。
安定化添加剤
本発明の一部の実施形態では、免疫原性組成物は、安定化添加剤を含む。そのような添加剤として、これだけに限定されないが、二価金属カチオンのキレート化剤(例えば、EDTA、エチレンジアミン四酢酸)、糖(例えば、スクロースまたはトレハロースなどの二糖類)、糖アルコール(例えば、マンニトール)、遊離アミノ酸(例えば、アルギニン)、緩衝塩(buffer salt)(例えば、リン酸塩、クエン酸塩)、ポリオール(例えば、グリセロール、マンニトール)、またはプロテアーゼインヒビターが挙げられる。
本発明の一部の実施形態では、免疫原性組成物は、安定化添加剤を含む。そのような添加剤として、これだけに限定されないが、二価金属カチオンのキレート化剤(例えば、EDTA、エチレンジアミン四酢酸)、糖(例えば、スクロースまたはトレハロースなどの二糖類)、糖アルコール(例えば、マンニトール)、遊離アミノ酸(例えば、アルギニン)、緩衝塩(buffer salt)(例えば、リン酸塩、クエン酸塩)、ポリオール(例えば、グリセロール、マンニトール)、またはプロテアーゼインヒビターが挙げられる。
EDTAは、好ましい添加剤である。本発明の免疫原性組成物中のEDTAの最終濃度は、約1mM〜約50mM、約1mM〜約10mM、または約1mM〜約5mMであり得、好ましくは、約2.5mMであり得る。
緩衝液は、組成物のpHを制御するための別の有用な添加剤である。これは、凍結乾燥された材料の再構成後、特に重要であり得る。本発明の組成物は、1または複数の緩衝液(複数可)を含んでよい。典型的な緩衝液は、リン酸緩衝液、Tris緩衝液、ホウ酸緩衝液、コハク酸緩衝液、ヒスチジン緩衝液、またはクエン酸緩衝液を含む。リン酸緩衝液緩衝液が、好ましい。緩衝液は、典型的には、5〜20mMの範囲で含まれる。本発明の水性組成物は、好ましくは、5と8との間のpH(例えば、5.5〜6.5のpH、または5.9〜6.1のpH)、またはpH6を有する。
糖類または糖アルコール(またはそれらの混合物(例えば、マンニトール/スクロース混合物))も、特に凍結乾燥を用いる場合に有用である。適切な材料として、これだけに限定されないが、マンニトール、ラクトース、スクロース、トレハロース、デキストロースなどが挙げられる。スクロースの使用は、特に好ましい。そのような材料は、重量/体積で約1%、または重量/体積で約3%〜約6%、または重量/体積で最大約10%もしくは約12.5%、好ましくは、重量/体積で約5%の濃度で存在し得る。
凍結乾燥
本発明の免疫原性組成物を保存する1つの手法は、凍結乾燥された形態におけるものである。この手順は、金属キレート化剤(例えば、EDTA)の添加ありで、または金属キレート化剤(例えば、EDTA)の添加なしで使用され得る。発明者らはまた、EDTAがワクチンの熱的特徴に重大な影響を与えないこと、およびEDTAがいかなる所望されない可塑化効果も導入しないことを示しており、したがって、EDTA含有組成物が、保存安定性をさらに増強させるために凍結乾燥され得ることを意味する。
本発明の免疫原性組成物を保存する1つの手法は、凍結乾燥された形態におけるものである。この手順は、金属キレート化剤(例えば、EDTA)の添加ありで、または金属キレート化剤(例えば、EDTA)の添加なしで使用され得る。発明者らはまた、EDTAがワクチンの熱的特徴に重大な影響を与えないこと、およびEDTAがいかなる所望されない可塑化効果も導入しないことを示しており、したがって、EDTA含有組成物が、保存安定性をさらに増強させるために凍結乾燥され得ることを意味する。
したがって、一般に、本発明はまた、二価金属カチオンキレート化剤(例えば、EDTA)および少なくとも1種の抗原(例えば、少なくとも1種のポリペプチド抗原)を含む凍結乾燥物を提供する。
本発明はまた、本発明の水性免疫原性組成物の凍結乾燥物を提供する。これは、本発明の水性組成物を凍結乾燥させることによって調製される。それは、次いで、水性材料で再構成されて、本発明の水性免疫原性組成物を提供する。凍結乾燥された材料に存在する材料は、凍結乾燥物中にとどまり、したがって、再構成後にも存在する(例えば、緩衝塩、リオプロテクタント(lyoprotectant)(例えば、スクロースおよび/またはマンニトール)、キレート化剤など)。材料が、凍結乾燥前のものよりも小さい体積の材料で再構成される場合、これらの材料は、より濃縮された形態で存在する。再構成された凍結乾燥物は、好ましくは、リオプロテクタント(例えば、スクロースおよび/またはマンニトール)を、重量/体積で最大約2.5%、好ましくは、重量/体積で約1%〜約2%の濃度で含有する。凍結乾燥前に組成物中に存在するEDTAの量は、理想的には、少なくとも0.75mMであり、好ましくは、少なくとも2.5mMである。最大50mMが想定される。
凍結乾燥物を再構成するために有用である液体材料として、これだけに限定されないが、生理的食塩水などの塩溶液;PBSなどの緩衝液;wfiなどの水が挙げられる。それらは、4.5と7.5との間のpH(例えば、6.8と7.2との間のpH)を有用に有する。再構成された凍結乾燥物は、好ましくは、5〜6.5のpH(例えば、5.8〜6.2のpH、または5.9〜6.1のpH)、またはpH6を有する。再構成のための液体材料は、アジュバント(例えば、アルミニウム塩アジュバント)を含み得る。アジュバントの水性懸濁物(場合により、ヒスチジン緩衝液などの緩衝液を含む)は、凍結乾燥されたポリペプチドを同時に再構成および吸着するために有用である。その他の実施形態では、液体材料は、アジュバントを含まない。典型的には、凍結乾燥物は、不溶性金属塩アジュバントを含まない。
本発明はまた、EDTAおよび少なくとも1種の抗原を含む凍結乾燥物を提供する。
免疫原性組成物および医薬
本発明の免疫原性組成物はワクチンとして有用であり得る。本発明によるワクチンは、予防的(すなわち、感染症を予防するためのもの)であっても治療的(すなわち、感染症を処置するためのもの)であってもよいが、典型的には予防的なものである。
本発明の免疫原性組成物はワクチンとして有用であり得る。本発明によるワクチンは、予防的(すなわち、感染症を予防するためのもの)であっても治療的(すなわち、感染症を処置するためのもの)であってもよいが、典型的には予防的なものである。
したがって、組成物は、薬学的に許容され得る。組成物は、通常、抗原に加えて成分を含み、例えば、組成物は、典型的には、1種または複数の薬学的担体および/または賦形剤を含む。そのような成分の徹底的な考察が参考文献38において利用可能である。
組成物は、一般に、哺乳動物に水性形態で投与される。しかし、投与の前に、組成物は非水性形態であってよい。例えば、いくつかの免疫原性組成物は水性形態で製造され、次いで充填および配布され、同じく水性形態で投与されるが、その他の免疫原性組成物は製造中に凍結乾燥され、使用時に水性形態に再構成される。よって、本発明の組成物は、凍結乾燥処方物のように乾燥され得る。
本発明の組成物が2種以上のポリペプチドを含む場合、各異なるポリペプチドの質量は、同じであっても異なっていてもよい。理想的には、それらは、実質的に等しい質量で存在し、すなわち、それらのそれぞれの質量は、全てのポリペプチドの平均質量の±5%以内である。2種の抗原がハイブリッドポリペプチドとして存在する実施形態では、ハイブリッドは、この目的のために、単一のポリペプチドとみなされる。多価処方物中に含まれるべきポリペプチドの量に影響し得る要因は、免疫応答を惹起するために十分なポリペプチドの量、および(それ自体で、またはその他のポリペプチドと)凝集を引き起こす量、またはその他のポリペプチドの安定性に影響する量を含む。免疫原性組成物中のポリペプチドの典型的な質量は、1μg〜100μgである。
組成物は、チオメルサールまたは2−フェノキシエタノールのような防腐剤を含んでよい。しかし、好ましくは、免疫原性組成物は、水銀物質を実質的に含まない(すなわち5μg/ml未満)、例えばチオメルサールを含まないようにすべきである。水銀を含まない組成物がより好ましい。防腐剤を含まない組成物が特に好ましい。
熱安定性を改善するために、組成物は、温度保護剤(temperature protective agent)を含んでよい。そのような薬剤のさらなる詳細は以下に提供される。張度を制御するために、ナトリウム塩のような生理的な塩を含むことが好ましい。塩化ナトリウム(NaCl)が好ましく、これは、1〜20mg/ml、例えば約10±2mg/ml NaClで存在してよい。存在し得るその他の塩は、塩化カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二ナトリウム無水物(disodium phosphate dehydrate)、塩化マグネシウム、塩化カルシウムなどを含む。
組成物は、一般に、200mOsm/kgと400mOsm/kgとの間、好ましくは240〜360mOsm/kgの質量オスモル濃度を有し、より好ましくは、290〜310mOsm/kgの範囲内にある。
組成物は、1または複数の緩衝液を含んでよい。典型的な緩衝液は、リン酸緩衝液、Tris緩衝液、ホウ酸緩衝液、コハク酸緩衝液、ヒスチジン緩衝液(特に水酸化アルミニウムアジュバントとともに)またはクエン酸緩衝液を含む。緩衝液は、典型的には、5〜20mMの範囲で含まれる。緩衝液は、好ましくは、10mMのリン酸カリウムである。
組成物のpHは、好ましくは、約5と約8との間であり、より好ましくは、約5.5と約6.5の間であり、最も好ましくは、約6である。
組成物は、好ましくは無菌である。組成物は、好ましくは非発熱性であり、例えば用量あたり<1EU(内毒素単位、標準的な尺度)、好ましくは用量あたり<0.1EUを含有する。組成物は、好ましくは、グルテンを含まない。
組成物は、単回の免疫化のための材料を含んでも、複数回の免疫化(すなわち「複数回用量(multidose)」キット)のための材料を含んでもよい。複数回用量の構成(arrangement)において、防腐剤を含むことが好ましい。複数回用量組成物に防腐剤を含める代わりに(またはそれに加えて)、組成物を、材料を取り出すための無菌アダプタを有する容器中に入れてよい。
ヒトワクチンは、典型的には、約0.5mlの投与体積で投与されるが、小児には半分の用量(すなわち約0.25ml)を投与してよい。
本発明の免疫原性組成物は、1種または複数の免疫調節剤も含んでよい。好ましくは、免疫調節剤のうちの1種または複数は、1種または複数のアジュバントを含む。アジュバントは、以下にさらに考察するTH1アジュバントおよび/またはTH2アジュバントを含んでよい。したがって、免疫原性組成物は、アルミニウム塩アジュバントなどのアジュバントをさらに含む(例えば、1種または複数の抗原は、アルミニウム塩に吸着され得る)。より一般的には、本発明の組成物中で使用され得るアジュバントとして、これだけに限定されないが、参考文献5に既に列挙されているものが挙げられる。これらは、無機質含有アジュバントおよび水中油型エマルジョンを含む。
無機質含有アジュバント
無機質含有アジュバントは、アルミニウム塩およびカルシウム塩(またはそれらの混合物)などの無機塩を含む。好ましくは、組成物は、アルミニウム塩アジュバントを含有する。アルミニウム塩は、水酸化物、リン酸塩などを含み、塩は、任意の適切な形態(例えば、ゲル、結晶性、アモルファスなど)をとる。カルシウム塩には、リン酸カルシウム(例えば、参考文献13に開示されている「CAP」粒子)が含まれる。これらの塩への吸着が好ましい(例えば、全ての抗原は、吸着され得る)。無機質含有組成物は、金属塩の粒子としても処方され得る[14]。
無機質含有アジュバントは、アルミニウム塩およびカルシウム塩(またはそれらの混合物)などの無機塩を含む。好ましくは、組成物は、アルミニウム塩アジュバントを含有する。アルミニウム塩は、水酸化物、リン酸塩などを含み、塩は、任意の適切な形態(例えば、ゲル、結晶性、アモルファスなど)をとる。カルシウム塩には、リン酸カルシウム(例えば、参考文献13に開示されている「CAP」粒子)が含まれる。これらの塩への吸着が好ましい(例えば、全ての抗原は、吸着され得る)。無機質含有組成物は、金属塩の粒子としても処方され得る[14]。
水酸化アルミニウムおよびリン酸アルミニウムとして公知のアジュバントが使用され得る。これらの名称は従来のものであるが、いずれも、存在する実際の化学的化合物についての正確な記載ではないので、簡便さのみのために使用される(例えば、参考文献15の9章を参照のこと)。本発明は、アジュバントとして一般に使用される「水酸化物」アジュバントまたは「リン酸塩」アジュバントのうちの任意のものを使用し得る。「水酸化アルミニウム」として公知のアジュバントは、典型的にはオキシ水酸化アルミニウム塩であり、これは、通常、少なくとも部分的に結晶性である。「リン酸アルミニウム」として公知のアジュバントは、典型的には、ヒドロキシリン酸アルミニウムであり、しばしば、少量の硫酸塩(すなわち、アルミニウムヒドロキシホスフェートスルフェート)も含有する。それらは、沈殿によって得られ得、沈殿中の反応条件および濃度が、塩中のヒドロキシルに対するホスフェートの置換の程度に影響する。
繊維状形態(例えば透過電子顕微鏡写真において見られる通りの)が、水酸化アルミニウムアジュバントでは典型的である。水酸化アルミニウムアジュバントのpIは典型的には、約11であり、すなわち、そのアジュバント自体が、生理学的pHで正の表面電荷を有する。pH7.4でAl+++1mg当たりタンパク質1.8〜2.6mgの吸着能が、水酸化アルミニウムアジュバントでは報告されている。
リン酸アルミニウムアジュバントは、一般に、0.3と1.2との間、好ましくは0.8と1.2との間、より好ましくは0.95±0.1のPO4/Alモル比を有する。リン酸アルミニウムは、一般に、特にヒドロキシリン酸塩ではアモルファスである。典型的なアジュバントは、0.84と0.92との間のPO4/Alモル比を有するアモルファスのヒドロキシリン酸アルミニウムであり、0.6mgAl3+/mlで含まれる。リン酸アルミニウムは、一般に、粒子状である(例えば、透過電子顕微鏡写真で見られる通りプレート様の形態である)。粒子の典型的な直径は、任意の抗原の吸着後に、0.1〜10μmの範囲(例えば、約0.1〜5μm)である。pH7.4でAl+++1mg当たりタンパク質0.7〜1.5mgの吸着能が、リン酸アルミニウムアジュバントでは報告されている。
リン酸アルミニウムのゼロ電荷点(PZC)は、ヒドロキシルに対するホスフェートの置換の程度に逆に関連し、この置換度は、沈殿によって塩を調製するために使用される反応条件および反応物の濃度に応じて変えることができる。溶液中の遊離ホスフェートイオンの濃度を変化させることによって(より多くのホスフェート=より酸性のPZC)、またはヒスチジン緩衝液などの緩衝液を添加する(PZCをより塩基性にする)ことによって、PZCを変える。本発明に従って使用されるリン酸アルミニウムは、一般に、4.0と7.0との間のPZC、より好ましくは、5と6.5との間のPZC、例えば、約5.7のPZCを有する。
本発明の組成物を調製するために使用されるアルミニウム塩の懸濁物は、緩衝液(例えば、リン酸緩衝液、またはヒスチジン緩衝液、またはTris緩衝液)を含有し得るが、これは、必ずしも必要であるとは限らない。懸濁物は、好ましくは、滅菌であり、発熱物質を含まない。懸濁物は、例えば、1.0mMと20mMとの間、好ましくは、5mMと15mMとの間、より好ましくは、約10mMの濃度で存在する遊離水性ホスフェートイオンを含み得る。懸濁物は、塩化ナトリウムも含み得る。
好ましいアルミニウム塩アジュバントは、水酸化アルミニウムアジュバントである。
本発明では、水酸化アルミニウムおよびリン酸アルミニウム両方の混合物を用いることができる。この場合、水酸化アルミニウムよりリン酸アルミニウムが多くてよい、例えば、少なくとも2:1、例えば、≧5:1、≧6:1、≧7:1、≧8:1、≧9:1などの重量比であり得る。
患者へと投与するための組成物中のAl+++の濃度は、10mg/ml未満、例えば、≦5mg/ml、≦4mg/ml、≦3mg/ml、≦2mg/ml、≦1mg/mlなどであることが好ましい。好ましい範囲は、0.3mg/mlと1mg/mlとの間である。1用量当たり最大0.85mgが好ましい。
無機塩は、それに吸着されるTLR7アゴニストなどのTLRアゴニストを有用に有し得る(例えば、参考文献16を参照のこと)。吸着されたTLR7アゴニストは、有用には、上記の式(K)の化合物である。
油および水エマルジョン
本発明でのアジュバントとしての使用に適した油エマルジョン組成物として、MF59(参考文献15の10章;参考文献17も参照のこと)およびAS03などの水中油型エマルジョンが挙げられる。完全フロイントアジュバント(CFA)および不完全フロイントアジュバント(IFA)も使用され得る。
本発明でのアジュバントとしての使用に適した油エマルジョン組成物として、MF59(参考文献15の10章;参考文献17も参照のこと)およびAS03などの水中油型エマルジョンが挙げられる。完全フロイントアジュバント(CFA)および不完全フロイントアジュバント(IFA)も使用され得る。
種々の水中油型エマルジョンアジュバントが公知であり、それらは、典型的には、少なくとも1つの油および少なくとも1つの界面活性剤を含み、油(複数可)および界面活性剤(複数可)は、生分解性(代謝性)および生体適合性である。エマルジョン中の油滴は、一般に直径が5μm未満であり、理想的には、サブミクロンの直径を有し、これらの小型のサイズは、安定的なエマルジョンを提供するマイクロフルイダイザーにより達成される。サイズが220nm未満の液滴は、濾過滅菌にかけ得るので好ましい。
エマルジョンは、動物(魚類など)供給源または植物供給源からのものなどの油を含み得る。植物油のための供給源は、堅果、種子、および穀類を含む。最も一般的に利用可能であるラッカセイ油、大豆油、ココナッツ油、およびオリーブ油が堅果油のよい例となる。例えば、ホホバ豆から得られるホホバ油が、使用され得る。種子油は、サフラワー油、綿実油、ヒマワリ種子油、ゴマ種子油などを含む。穀類群において、トウモロコシ油が最も容易に利用可能であるが、その他の穀物粒(cereal grains)(例えば、コムギ、オートムギ、ライムギ、イネ、テフ、ライコムギなど)の油も使用され得る。グリセロールおよび1,2−プロパンジオールの6〜10炭素脂肪酸エステルは、種子油中に天然には存在しないが、堅果油および種子油から開始して、適切な材料の加水分解、分離、およびエステル化によって調製され得る。哺乳動物の乳汁からの脂肪および油は、代謝性であり、したがって、本発明の実施において使用され得る。動物供給源から純粋な油を得るために必要とされる分離、精製、けん化、およびその他の手段のための手順は、当技術分野で周知である。ほとんどの魚類は、容易に回収され得る代謝性油を含有する。例えば、タラ肝油、サメ肝油、および鯨ろうなどの鯨油は、本明細書中で使用され得る魚油のうちのいくつかのよい例となる。ある数の分枝鎖状油は、5−炭素イソプレンユニットにおいて生化学的に合成され、一般にテルペノイドと呼ばれる。サメ肝油は、本明細書中で特に好ましいものであるスクアレン、2,6,10,15,19,23−ヘキサメチル−2,6,10,14,18,22−テトラコサヘキサエンとして公知である分枝不飽和テルペノイドを含有する。スクアレンに対する飽和類似体であるスクアランも好ましい油である。スクアレンおよびスクアランを含む魚油は、商業的な供給源から容易に利用可能であるか、または当技術分野で公知の方法によって得られ得る。その他の好ましい油は、トコフェロールである(下記を参照のこと)。油の混合物が使用され得る。
界面活性剤は、それらの「HLB」(親水性/親油性バランス)によって分類され得る。本発明の好ましい界面活性剤は、少なくとも10のHLB、好ましくは、少なくとも15のHLB、およびより好ましくは、少なくとも16のHLBを有する。本発明は、界面活性剤とともに使用され得、それには、これだけに限定されないが、ポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤(一般的にTweenと呼ばれる)、特にポリソルベート20およびポリソルベート80;直鎖EO/POブロックコポリマーなどの、DOWFAXTMの商品名の下で販売されているエチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)、および/またはブチレンオキシド(BO)のコポリマー;反復エトキシ(オキシ−1,2−エタンジイル)基の数が変動し得るオクトキシノール(オクトキシノール−9(Triton X−100、またはt−オクチルフェノキシポリエトキシエタノール)が、特に目的のものである);(オクチルフェノキシ)ポリエトキシエタノール(IGEPAL CA−630/NP−40);ホスファチジルコリン(レシチン)などのリン脂質;TergitolTMNPシリーズなどのノニルフェノールエトキシレート;トリエチレングリコールモノラウリルエーテル(Brij 30)などのラウリル、セチル、ステアリル、およびオレイルアルコール由来のポリオキシエチレン脂肪エーテル(Brij界面活性剤として公知);ならびにソルビタントリオレエート(Span 85)およびソルビタンモノラウレートなどのソルビタンエステル(一般的にSPANとして公知である)が挙げられる。非イオン性界面活性剤が好ましい。エマルジョン中に含むための好ましい界面活性剤は、Tween 80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)、Span 85(ソルビタントリオレエート)、レシチンおよびTriton X−100である。
界面活性剤の混合物(例えば、Tween 80/Span 85混合物)が使用され得る。ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween 80)などのポリオキシエチレンソルビタンエステルと、t−オクチルフェノキシポリエチレンエタノール(Triton X−100)などのオクトキシノールとの組み合わせも適している。別の有用な組み合わせは、ラウレス9とポリオキシエチレンソルビタンエステルおよび/またはオクトキシノールとを含む。
界面活性剤の好ましい量(重量%で)は、ポリオキシエチレンソルビタンエステル(Tween 80など)0.01%〜1%、特に約0.1%;オクチル−またはノニルフェノキシポリオキシエタノール(Triton X−100、またはTritonシリーズにおけるその他の洗浄剤など)0.001%〜0.1%、特に0.005%〜0.02%;ポリオキシエチレンエーテル(ラウレス9など)0.1%〜20%、好ましくは0.1%〜10%、および特に0.1%〜1%、または約0.5%である。
好ましいエマルジョンアジュバントは、<1μm(例えば、≦750nm、≦500nm、≦400nm、≦300nm、≦250nm、≦220nm、≦200nmまたはそれより小さい)平均液滴サイズを有する。これらの液滴サイズは、マイクロフルイダイゼーションなどの技術によって都合よく達成され得る。
本発明で有用な特定の水中油型エマルジョンアジュバントとして、これだけに限定されないが、以下が挙げられる:
・スクアレン、ポリソルベート80、およびソルビタントリオレエートのサブミクロンエマルジョン。これらの3つの成分は、10:1:1の体積比または39:47:47の重量比で存在し得る。エマルジョンの体積による組成は、約5%のスクアレン、約0.5%のポリソルベート80、および約0.5%のソルビタントリオレエートであり得る。重量では、これらの比が、4.3%のスクアレン、0.5%のポリソルベート80、および0.48%のソルビタントリオレエートとなる。このアジュバントは、参考文献21の10章および参考文献22の12章により詳細に記載される通り、「MF59」[18〜20]として公知である。MF59エマルジョンは、クエン酸イオン、例えば10mMのクエン酸ナトリウム緩衝液を包含すると有利である。
・スクアレン、ポリソルベート80、およびソルビタントリオレエートのサブミクロンエマルジョン。これらの3つの成分は、10:1:1の体積比または39:47:47の重量比で存在し得る。エマルジョンの体積による組成は、約5%のスクアレン、約0.5%のポリソルベート80、および約0.5%のソルビタントリオレエートであり得る。重量では、これらの比が、4.3%のスクアレン、0.5%のポリソルベート80、および0.48%のソルビタントリオレエートとなる。このアジュバントは、参考文献21の10章および参考文献22の12章により詳細に記載される通り、「MF59」[18〜20]として公知である。MF59エマルジョンは、クエン酸イオン、例えば10mMのクエン酸ナトリウム緩衝液を包含すると有利である。
・スクアレン、トコフェロール、およびポリソルベート80のエマルジョン。エマルジョンは、リン酸緩衝食塩水を含むことができる。エマルジョンはまた、Span 85(例えば1%で)および/またはレシチンを含むこともできる。これらのエマルジョンは、2〜10%のスクアレン、2〜10%のトコフェロール、および0.3〜3%のポリソルベート80を有してもよく、スクアレン:トコフェロールの重量比は、これがより安定的なエマルジョンを提供するので、≦1であることが好ましい。スクアレンとポリソルベート80とは、約5:2の体積比、または約11:5の重量比で存在し得る。したがって、3つの成分(スクアレン、トコフェロール、ポリソルベート80)は、1068:1186:485または約55:61:25の重量比で存在し得る。1つのこのようなエマルジョン(「AS03」)は、Tween 80をPBS中に溶解させて2%の溶液をもたらし、次いで、90mlのこの溶液を、(5gのDL−α−トコフェロールおよび5mlのスクアレン)の混合物と混合し、次いで、この混合物をマイクロフルイダイズすることにより作製することができる。結果として得られるエマルジョンは、例えば平均直径が100nmと250nmとの間、好ましくは約180nmであるサブミクロンの油滴を有し得る。エマルジョンはまた、3−脱−O−アシル化モノホスホリル脂質A(3d−MPL)を含み得る。このタイプの別の有用なエマルジョンは、例えば、上で考察される比で、ヒト1用量当たり、0.5〜10mgのスクアレン、0.5〜11mgのトコフェロール、および0.1〜4mgのポリソルベート80[23]を含み得る。
・スクアレン、トコフェロール、およびTriton洗浄剤(例えばTriton X−100)のエマルジョン。エマルジョンはまた、3d−MPL(下記を参照のこと)も含むことができる。エマルジョンは、リン酸緩衝液を含有し得る。
・ポリソルベート(例えばポリソルベート80)、Triton洗浄剤(例えばTriton X−100)、およびトコフェロール(例えばコハク酸α−トコフェロール)を含むエマルジョン。エマルジョンは、これらの3つの成分を、約75:11:10(例えば750μg/mlのポリソルベート80、110μg/mlのTriton X−100、および100μg/mlのコハク酸α−トコフェロール)の質量比で含むことができ、これらの濃度は、抗原に由来するこれらの成分のあらゆる寄与を包含するものとする。エマルジョンはまた、スクアレンも含むことができる。エマルジョンはまた、3d−MPL(下記を参照のこと)も含むことができる。水性相は、リン酸緩衝液を含有し得る。
・スクアラン、ポリソルベート80、およびポロキサマー401(「Pluronic(商標)L121」)のエマルジョン。エマルジョンは、pH7.4のリン酸緩衝食塩水中で処方することができる。このエマルジョンは、ムラミルジペプチドに有用な送達ビヒクルであり、「SAF−1」アジュバント[24](0.05〜1%のThr−MDP、5%のスクアラン、2.5%のPluronic L121、および0.2%のポリソルベート80)中でトレオニル−MDPとともに用いられている。このエマルジョンはまた、「AF」アジュバント[25](5%のスクアラン、1.25%のPluronic L121、および0.2%のポリソルベート80)中のように、Thr−MDPを伴わずに用いることもできる。マイクロフルイダイゼーションが好ましい。
・スクアレン、水性溶媒、ポリオキシエチレンアルキルエーテル親水性非イオン性界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレン(12)セトステアリルエーテル)、および疎水性非イオン性界面活性剤(例えば、ソルビタンモノオレエートまたは「Span 80」などのソルビタンエステルまたはマンニドエステル)を含むエマルジョン。エマルジョンは、好ましくは、熱可逆性であり、かつ/または200nm未満のサイズを有する油滴を少なくとも90%(体積で)有する[26]。エマルジョンは、アルジトール;凍結保護剤(例えば、ドデシルマルトシドおよび/またはスクロースなどの糖);および/またはアルキルポリグリコシドのうちの1種または複数も含み得る。エマルジョンは、TLR4アゴニストを含み得る[27]。そのようなエマルジョンは、凍結乾燥され得る。
・スクアレン、ポロキサマー105、およびAbil−Careのエマルジョン[28]。アジュバント化(adjuvanted)ワクチンにおけるこれらの成分の最終濃度(重量)は、5%のスクアレン、4%のポロキサマー105(pluronicポリオール)、および2%のAbil−Care 85(Bis−PEG/PPG−16/16 PEG/PPG−16/16ジメチコーン;カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド)である。
・0.5〜50%の油、0.1〜10%のリン脂質、および0.05〜5%の非イオン性界面活性剤を有するエマルジョン。参考文献29に記載される通り、好ましいリン脂質成分は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、スフィンゴミエリン、およびカルジオリピンである。サブミクロンの液滴サイズが有利である。
・非代謝性油(軽鉱油(light mineral oil)など)と少なくとも1つの界面活性剤(レシチン、Tween 80、またはSpan 80など)とによるサブミクロンの水中油型エマルジョン。QuilAサポニン、コレステロール、サポニン親油性結合体(参考文献30に記載され、脂肪族アミンを、グルクロン酸のカルボキシル基を介して、デスアシルサポニンへと付加することにより作製されるGPI−0100など)、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(dimethyidioctadecylammonium bromide)、および/またはN,N−ジオクタデシル−N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)プロパンジアミンなどの添加剤も含まれ得る。
・サポニン(例えばQuilAまたはQS21)とステロール(例えばコレステロール)とをヘリックスミセルとして会合させたエマルジョン[31]。
・鉱油、非イオン性親油性エトキシ化脂肪アルコール、および非イオン性親水性界面活性剤(例えば、エトキシ化脂肪アルコールおよび/またはポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー)を含むエマルジョン[32]。
・鉱油、非イオン性親水性エトキシ化脂肪アルコール、および非イオン性親油性界面活性剤(例えば、エトキシ化脂肪アルコールおよび/またはポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー)を含むエマルジョン[32]。
一部の実施形態では、エマルジョンは、送達時に即席で抗原と混合され得、したがって、アジュバントおよび抗原は、パッケージされた組成物または配布された組成物中に別個に保持され得、使用時に最終処方物の準備ができている。その他の実施形態では、エマルジョンは、製造中に抗原と混合され、したがって、組成物は、液体アジュバント化形態でパッケージされる。抗原は、組成物が2つの液体を混合することによって最終的に調製されるように、一般に水性形態である。混合のための2つの液体の体積比は、変化し得る(例えば、5:1と1:5との間)が、一般に、約1:1である。成分の濃度が特定のエマルジョンの上記記載において与えられる場合、これらの濃度は、典型的には、希釈していない組成物のためのものであり、したがって、抗原溶液と混合した後の濃度は低下する。
組成物がトコフェロールを含む場合、α、β、γ、δ、ε、またはξトコフェロールのうちの任意のものが使用され得るが、α−トコフェロールが好ましい。トコフェロールは、いくつかの形態(例えば、異なる塩および/または異性体)をとり得る。塩は、コハク酸塩、酢酸塩、ニコチン酸塩などの有機塩を含み、D−α−トコフェロールおよびDL−α−トコフェロールは、両方とも使用され得る。トコフェロールは、有利には、高齢の患者(例えば、60歳以上の年齢)における使用のための組成物中に含まれる。なぜなら、この患者群において、ビタミンEが免疫応答にプラスの効果を及ぼすこと報告されているからである[33]。これらは、エマルジョンを安定化させることを助け得る抗酸化特性も有する[34]。好ましいα−トコフェロールは、DL−α−トコフェロールであり、このトコフェロールの好ましい塩は、コハク酸塩である。
水酸化アルミニウムおよび/またはリン酸アルミニウムアジュバントの使用が特に好ましく、抗原は、一般に、これらの塩に吸着される。
本発明の組成物は、細胞媒介性免疫応答ならびに体液性免疫応答の両方を惹起できる。この免疫応答により、長く続く(例えば、中和性)抗体およびS.aureusに曝露されると直ちに応答することができる細胞媒介性免疫が好ましく誘導される。
免疫応答は、TH1免疫応答およびTH2応答の一方または両方であってよい。好ましくは、免疫応答は、増強されたTH1応答および増強されたTH2応答の一方または両方をもたらす。
増強された免疫応答は、全身免疫応答および粘膜免疫応答の一方または両方であり得る。好ましくは、免疫応答は、増強された全身免疫応答および増強された粘膜免疫応答の一方または両方をもたらす。好ましくは、粘膜免疫応答は、TH2免疫応答である。好ましくは、粘膜免疫応答は、IgAの生成の増加を含む。
S.aureus感染は、身体の種々の領域を侵し得、そのため本発明の組成物は、種々の形態で調製してよい。例えば、組成物は、液体溶液または懸濁物のいずれかとしての注射剤として調製してよい。注射前に液体ビヒクルに溶解または懸濁するために適切な固体の形態も調製できる(例えば凍結乾燥組成物または噴霧凍結乾燥組成物)。組成物は、局部投与用に、例えば軟膏剤、クリームまたは散剤として調製してよい。組成物は、経口投与用に、例えば錠剤もしくはカプセル剤として、噴霧剤として、またはシロップ剤(所望により矯味矯臭して)として調製してよい。組成物は、肺投与用に、例えば微細粉末または噴霧剤を用いる吸入器として調製してよい。組成物は、坐剤または膣坐剤として調製してよい。組成物は、鼻、耳または眼の投与用に、例えば滴剤として調製してよい。組成物は、組み合わせ組成物が、患者への投与の直前に再構成されるように設計されたキットの形態であってよい。このようなキットは、液体の形態の1または複数の抗原と、凍結乾燥された1または複数の抗原とを含んでよい。
組成物が使用前に即席で調製され(例えば成分が凍結乾燥された形態である場合)、かつキットとして提示される場合、キットは2つのバイアルを含んでも、1つの充填済み(ready−filled)シリンジと1つのバイアルとを含んでもよく、シリンジの内容物は、注射前にバイアルの内容物を再活性化するために用いられる。
ワクチンとして用いられる免疫原性組成物は、免疫学的有効量の抗原(複数可)と、必要に応じて任意のその他の成分とを含む。「免疫学的有効量」により、単回用量または一連のものの一部のいずれかとしてその量を個体に投与することが、処置または予防のために有効であることを意味する。この量は、処置される個体の健康および身体の状態、年齢、処置される個体の分類群(例えば非ヒト霊長類、霊長類など)、抗体を合成する個体の免疫系の能力、所望される防御の程度、ワクチンの処方、医学的状況についての処置医師の評価、およびその他の関連する要因に依存して変動する。この量は、日常的な試験により決定できる比較的広い範囲内にあると予測される。組成物中に2種以上の抗原が含まれる場合には、2種の抗原は互いと同じ用量で存在しても異なる用量で存在してもよい。
上記の通り、組成物は温度保護剤を含んでよく、この成分は、アジュバント化組成物(特にアルミニウム塩などの無機アジュバントを含有するもの)において特に有用であり得る。参考文献35に記載の通り、液体温度保護剤を水性ワクチン組成物に添加して、その凝固点を低下させること、例えば、凝固点を0℃未満まで低下させることができる。したがって、組成物を、0℃を下回るがその凝固点を上回る温度で保存して、熱による分解を阻害することができる。温度保護剤により、無機塩アジュバントを凍結および解凍後の凝塊形成または沈降から保護しながら組成物を凍結させることも可能になり、また、組成物を高温、例えば、40℃超で保護することもできる。出発水性ワクチンおよび液体温度保護剤を、液体温度保護剤が体積で最終混合物の1〜80%を形成するように混合することができる。適切な温度保護剤は、ヒト投与のために安全であるべきであり、水に対して易混和性/可溶性であるべきであり、組成物中のその他の成分(例えば抗原およびアジュバント)を損傷させるものではないべきである。例として、グリセリン、プロピレングリコール、および/またはポリエチレングリコール(PEG)が挙げられる。適切なPEGの平均分子量は、200〜20,000Daにわたり得る。好ましい実施形態では、ポリエチレングリコールの平均分子量は約300Daであり得る(「PEG−300」)。
処置方法、およびワクチンの投与
本発明はまた、哺乳動物において免疫応答を上昇させる方法を提供し、上記方法は、本発明の組成物を哺乳動物に投与するステップを含む。免疫応答は、好ましくは、防御的であり、好ましくは、抗体および/または細胞性免疫を含む。上記方法は、追加免疫応答を引き起こし得る。
本発明はまた、哺乳動物において免疫応答を上昇させる方法を提供し、上記方法は、本発明の組成物を哺乳動物に投与するステップを含む。免疫応答は、好ましくは、防御的であり、好ましくは、抗体および/または細胞性免疫を含む。上記方法は、追加免疫応答を引き起こし得る。
本発明に従って投与されるポリペプチドに対する応答が上昇させられた抗体のうちの少なくともいくつかは、防御的であるべきである。
本発明はまた、Sta011抗原の改変体形態の使用を提供するが、ただし、哺乳動物において免疫応答を上昇させるための医薬の製造において、改変体が、いかなる遊離チオール基も含有しないことを条件とする。アジュバントの使用も含み得る。
これらの使用および方法により、哺乳動物において免疫応答を上昇させることによって、哺乳動物は、S.aureus感染(院内感染が挙げられる)に対して防御され得る。より詳しくは、哺乳動物は、皮膚感染症、肺炎、髄膜炎、骨髄炎 心内膜炎、トキシックショック症候群、および/または敗血症に対して防御され得る。
本発明はまた、第1の成分および第2の成分を含むキットであって、第1の成分も第2の成分も上記の本発明の組成物ではないが、第1の成分と第2の成分を組み合わせて上記の本発明の組成物をもたらすことができるキットを提供する。キットは、説明書、シリンジまたはその他の送達デバイス、アジュバント、または薬学的に許容される処方溶液のうちの1つまたは複数を含む第3の成分をさらに含んでよい。
本発明はまた、本発明の免疫原性組成物で予め充填された送達デバイスを提供する。
哺乳動物は、好ましくは、ヒトである。ワクチンが予防用使用のためのものである場合、ヒトは、好ましくは、小児(例えば、よちよち歩きの幼児(toddler)または乳児)またはティーンエイジャーであり、ワクチンが治療用使用のためのものである場合には、ヒトは、好ましくは、ティーンエイジャーまたは成人である。小児のために意図されたワクチンはまた、例えば、安全性、投与量、免疫原性などを評価するために、成人に投与され得る。本発明に従って有用に免疫化され得るその他の哺乳動物は、ウシ、イヌ、ウマ、およびブタである。
治療処置の有効性を調べる1つの方法は、本発明の組成物の投与後にS.aureus感染をモニタリングすることを含む。予防処置の有効性を調べる1つの方法は、組成物の投与後の、本発明の組成物中の抗原に対する免疫応答を、全身的に(IgG1およびIgG2a生成のレベルをモニタリングすることなど)および/または粘膜的に(IgA生成のレベルをモニタリングすることなど)モニタリングすることを含む。典型的に、抗原特異的血清抗体反応は免疫化後であるがチャレンジ前に決定されるが、抗原特異的粘膜抗体反応は免疫化後かつチャレンジ後に決定される。
本発明の組成物の免疫原性を評価する別の方法は、イムノブロットおよび/またはマイクロアレイによって患者血清または粘膜分泌物をスクリーニングするために組換えによってタンパク質を発現させることである。タンパク質と患者試料との間の陽性の反応は、患者が、問題のタンパク質に対する免疫応答を開始したことを示す。この方法はまた、免疫優性抗原および/または抗原内のエピトープを同定するために用いてもよい。
免疫原性組成物の有効性はまた、S.aureus感染の動物モデル、例えば、モルモットまたはマウスを免疫原性組成物でチャレンジすることによって、in vivoで決定され得る。特に、S.aureus感染症の研究のための3つの有用な動物モデルが存在する、すなわち、(i)ネズミ膿瘍モデル[36]、(ii)ネズミ致死的感染症モデル[36]、および(iii)ネズミ肺炎モデル[37]である。膿瘍モデルは、静脈内チャレンジ後、マウスの腎臓における膿瘍を調べる。致死的感染症モデルは、静脈内経路または腹腔内経路によって通常致死量のS.aureusにより感染させられた後に生存しているマウスの数を調べる。肺炎モデルも生存率を調べるが、鼻腔内感染を使用する。有用な免疫原性組成物は、これらのモデルのうちの1つまたは複数において有効であり得る。例えば、いくつかの臨床的状況について、血液拡散(hematic spread)を防止する必要なく、またはオプソニン作用を促進する必要なく、肺炎に対して防御することが望ましい場合があり、その他の状況において、主要な望みは、血液拡散を防止することであり得る。異なる抗原、および異なる抗原の組み合わせは、有効な免疫原性組成物の異なる局面の一助となり得る。
本発明の組成物は、一般に、患者に直接投与される。直接送達は、非経口注射(例えば、皮下、腹腔内、静脈内、筋肉内、または組織の間質腔への注射)、または粘膜、例えば、直腸、経口(例えば、錠剤、噴霧剤)、膣、局部、経皮(transdermal)または経皮(transcutaneous)、鼻腔内、眼、耳、肺またはその他の粘膜投与によって達成され得る。
本発明は、全身免疫および/または粘膜免疫を惹起するため、好ましくは増強された全身免疫および/または粘膜免疫を惹起するために使用され得る。
好ましくは、増強された全身免疫および/または粘膜免疫は、増強されたTH1免疫応答および/またはTH2免疫応答に反映される。好ましくは、増強された免疫応答は、IgG1および/またはIgG2aおよび/またはIgAの生成の増加を含む。
投薬は、単回用量スケジュールによるものであっても、複数回用量スケジュールによるものであってもよい。複数回用量は、一次免疫スケジュールにおいて、および/または追加免疫スケジュールにおいて使用され得る。複数回用量スケジュールでは、種々の用量を、同一または異なる経路、例えば、非経口初回刺激(prime)および粘膜追加刺激(boost)、粘膜初回刺激および非経口追加刺激などによって与えてもよい。複数回用量は、典型的には、少なくとも1週間隔てて(例えば、約2週間、約3週間、約4週間、約6週間、約8週間、約10週間、約12週間、約16週間など)投与される。
本発明に従って調製されたワクチンは、小児および成人の両方を処置するために用いてよい。したがって、ヒト患者は、1歳未満、1〜5歳、5〜15歳、15〜55歳または少なくとも55歳であってよい。ワクチンを受ける好ましい患者は、高齢者(例えば、≧50歳、≧60歳、好ましくは、≧65歳)、年少者(例えば、≦5歳)、入院患者、医療従事者、軍隊および軍人、妊娠中の女性、慢性の病人または免疫不全患者である。しかし、ワクチンは、これらの群に対してのみ適しているわけではなく、集団において、より一般的に使用され得る。
本発明によって作出されるワクチンは、その他のワクチンと実質的に同時に(例えば、医療専門家またはワクチン接種センターへの同一の医療相談または訪問中に)、例えば、インフルエンザワクチン、麻疹ワクチン、流行性耳下腺炎ワクチン、風疹ワクチン、MMRワクチン、水痘ワクチン、MMRVワクチン、ジフテリアワクチン、破傷風ワクチン、百日咳ワクチン、DTPワクチン、結合体化H.influenzae b型ワクチン、不活化ポリオウイルスワクチン、B型肝炎ウイルスワクチン、髄膜炎菌結合体ワクチン(四価A−C−W135−Yワクチンなど)、呼吸器系合胞体ウイルスワクチンなどと実質的に同時に患者に投与してよい。同時投与に適したさらなる非ブドウ球菌ワクチンとして、参考文献11の33頁〜46頁に列挙されている1種または複数の抗原が挙げられ得る。
一般
本発明の実施は、特に断りのない限り、当技術分野の技術の範囲内の化学、生化学、分子生物学、免疫学および薬理学の従来の方法を使用する。このような技術は、文献において完全に説明されている。例えば、参考文献38〜45などを参照のこと。
本発明の実施は、特に断りのない限り、当技術分野の技術の範囲内の化学、生化学、分子生物学、免疫学および薬理学の従来の方法を使用する。このような技術は、文献において完全に説明されている。例えば、参考文献38〜45などを参照のこと。
「GI」番号付けが、上で使用されている。GI番号または「GenInfo Identifier」は、そのデータベースに配列が追加された場合に、NCBIにより処理される各配列記録に連続的に割り当てられる一連の数字である。GI番号は、配列記録の受託番号と類似しない。配列が更新される(例えば修正のために、またはさらなる注記もしくは情報を追加するために)と、その配列は、新しいGI番号を受け取る。したがって、与えられたGI番号に関連付けられる配列は、決して変更されない。
本発明で「エピトープ」に関する場合、このエピトープは、B細胞エピトープおよび/またはT細胞エピトープであり得る。そのようなエピトープは経験的に同定することもでき(例えば、PEPSCAN[46、47]または同様の方法を使用して)、予測することもできる(例えば、Jameson−Wolf抗原性指数(antigenic index)[48]、マトリックスに基づく手法[49]、MAPITOPE[50]、TEPITOPE[51、52]、ニューラルネットワーク(neural network)[53]、OptiMer&EpiMer[54、55]、ADEPT[56]、Tsites[57]、親水性[58]、抗原性指数[59]または参考文献60〜64に開示されている方法などを使用して)。エピトープは、抗体またはT細胞受容体の抗原結合部位により認識され、それが結合する抗原の部分であり、「抗原決定基」とも呼ばれ得る。
抗原「ドメイン」が省かれる場合、これには、シグナルペプチドの省略、細胞質ドメインの省略、膜貫通ドメインの省略、細胞外ドメインの省略などが含まれ得る。
用語「含む(comprising)」とは、「含む(including)」ならびに「からなる(consisting)」を包含し、例えば、Xを「含む(comprising)」組成物は、排他的にXからなってもよく、追加的な何かを含んでもよい、例えば、X+Yであってよい。
用語「約」とは、数値xとの関連では、任意選択であり、例えば、x±10%を意味する。
2種のアミノ酸配列間の配列同一性パーセンテージへの言及は、アラインメントされた場合に、アミノ酸のそのパーセンテージが、2種の配列の比較において同じであることを意味する。このアラインメントおよび相同性または配列同一性パーセントは、当技術分野で公知のソフトウェアプログラム、例えば、参考文献65の7.7.18節に記載のものを使用して決定できる。好ましいアラインメントは、12のギャップオープンペナルティおよび2のギャップ伸長ペナルティ、62のBLOSUMマトリックスを用いるアフィンギャップ検索を使用するSmith−Waterman相同性検索アルゴリズムによって決定される。Smith−Waterman相同性検索アルゴリズムは、参考文献66に開示されている。異なる長さの2種の配列間の配列同一性パーセンテージは、好ましくは、より長い配列の長さと比較して算出される。
本発明で使用されるリン(phosphorous)含有アジュバントは、周囲環境のpH、例えばそれらが溶解している溶媒のpHに応じていくつかのプロトン化および脱プロトン化形態で存在することがある。したがって、特定の形態を例示することはできるが、これらの例示は、単なる代表であり、具体的なプロトン化または脱プロトン化形態に限定するものではないことが意図されている。例えばホスフェート基の場合には、これは−OP(O)(OH)2として例示されるが、定義には、酸性条件下で存在し得るプロトン化形態[OP(O)(OH2)(OH)]+および−[OP(O)(OH)2]2+ならびに塩基性条件下で存在し得る脱プロトン化形態−[OP(O)(OH)(O)]−および[OP(O)(O)2]2−が含まれる。
化合物は、薬学的に許容される塩として存在してよい。したがって、化合物(例えば、アジュバント)は、その薬学的に許容される塩、すなわち、生理学的または毒物学的に耐容される塩(適切には、薬学的に許容される塩基付加塩および薬学的に許容される酸付加塩が含まれる)の形態で使用され得る。
「実質的に」という語は、「完全に」を排除するものではない。例えば、Yを「実質的に含まない」組成物は、Yを完全に含まないこともある。必要に応じて、「実質的に」という語は、本発明の定義から省かれていることもある。
熱変性アッセイ
下記の実験で使用するSta011 Cys(+)抗原を、配列番号6によって表し、Sta011 Cys(−)抗原を、配列番号11によって表す。両方の抗原は、E.coliから精製した組換えタンパク質であった。
下記の実験で使用するSta011 Cys(+)抗原を、配列番号6によって表し、Sta011 Cys(−)抗原を、配列番号11によって表す。両方の抗原は、E.coliから精製した組換えタンパク質であった。
示差走査型蛍光定量法(DSF)によって、Sta011システイン含有Cys(+)抗原の熱安定性を、Sta011システイン欠損Cys(−)抗原と比較した。抗原(PBS中10μM)を含有するサンプルを、制御された条件下で、Strategen Mx3000pリアルタイムPCR機器において1℃/分のランプ速度で加熱した。色素SyproOrange 5×を使用し、蛍光における変化を監視した。10℃〜100℃の温度範囲にわたってアッセイを実施した。
図1は、試験した抗原の融解曲線を報告している。それは、Cys(−)抗原についてのピークが、Cys(+)抗原と比較して、上方および左方にわずかにシフトしていることを示している。実験の曲線の微分係数をフィットさせることによって、融解温度(Tm)を決定した。Sta011 Cys(+)抗原のTmは、40.6℃であり、Sta011 Cys(−)抗原のTmは、39.12℃であった。
したがって、Sta011 Cys(−)抗原の熱安定性プロフィールは、Sta011 Cys(+)抗原と同等である。システイン残基を欠失させるか、または置き換えることによって抗原を修飾することは、Sta011抗原の熱安定性に重大な影響を及ぼさない。
精製プロセス
Sta011についての精製ステップを以下に説明する。
1.溶解および清澄化−細胞溶解および清澄化;DNA、内毒素、およびタンパク質不純物を低減する凝集剤(PEI)を加えること。
2.CaptoQクロマトグラフィー−HCPおよびその他の不純物の除去、Cys(+)抗原の二量体化。
3.cHTクロマトグラフィー−HCPおよびその他の不純物の除去、ならびにダイマーからのモノマーの分離。
4.最終10kDa透析濾過(diafiltration)−最終緩衝液における透析濾過。
Sta011についての精製ステップを以下に説明する。
1.溶解および清澄化−細胞溶解および清澄化;DNA、内毒素、およびタンパク質不純物を低減する凝集剤(PEI)を加えること。
2.CaptoQクロマトグラフィー−HCPおよびその他の不純物の除去、Cys(+)抗原の二量体化。
3.cHTクロマトグラフィー−HCPおよびその他の不純物の除去、ならびにダイマーからのモノマーの分離。
4.最終10kDa透析濾過(diafiltration)−最終緩衝液における透析濾過。
Sta011 Cys(−)を精製するために、抗原がモノマーとして精製され得るので、CaptoQクロマトグラフィーステップを簡単にした。もはやダイマーからモノマーを分離する必要がないので、cHTクロマトグラフィーステップも簡単にした。
上で説明されるプロセスから得られる抗原の純度および収量を決定し、結果を表1に示す。検出器PDA 214nmを用いて純度を決定する。収量を総タンパク質(mBCA含有量(mg/ml))×純度(RPC(%)214nm)によって算出する。
精製したSta011 Cys(−)抗原は、Sta011 Cys(+)抗原に対して、同等の純度および収量を有した。分析的パネルは、内部規格限界(in−house specification limits)と一致した。システインの除去は、精製プロセスにおけるより高い柔軟性を可能にし、したがって、ワクチン生成中、より容易な特徴付けを手助けする。純度および収量を改善するために、精製プロセスはさらに最適化され得る。
熱安定性評価
参考文献5の開示に基づくワクチンの組み合わせにおけるSta011 Cys(−)抗原の安定性を調査した。抗原は、72μg/mLの濃度で存在した。ワクチンの組み合わせを、アジュバントあり、またはアジュバントなしで試験した。0週間〜4週間の間、2℃〜8℃、15℃、25℃、37℃の温度にワクチンの組み合わせを曝した。試験した最も高い温度(37℃)は、Sta011 Cys(−)抗原のTm(約40℃)よりも低かった。したがって、タンパク質のアンフォールディング(unfolding)によって駆動されるタンパク質の不安定性は、この実験において、影響を与える要因ではなかった。
参考文献5の開示に基づくワクチンの組み合わせにおけるSta011 Cys(−)抗原の安定性を調査した。抗原は、72μg/mLの濃度で存在した。ワクチンの組み合わせを、アジュバントあり、またはアジュバントなしで試験した。0週間〜4週間の間、2℃〜8℃、15℃、25℃、37℃の温度にワクチンの組み合わせを曝した。試験した最も高い温度(37℃)は、Sta011 Cys(−)抗原のTm(約40℃)よりも低かった。したがって、タンパク質のアンフォールディング(unfolding)によって駆動されるタンパク質の不安定性は、この実験において、影響を与える要因ではなかった。
RP−HPLCを用いてサンプルを分析し、pHおよび質量オスモル濃度も分析した(各温度および時点において、3つの異なるバイアルにおける3つの測定)。脱着のために、300mMのKH2PO4、pH6.8で、25℃にて一晩サンプルを処理した。全ての時点において、同じ条件をサンプル処理のために適用した(仮定:処方物老化の影響なし)。
Sta011 Cys(−)抗原が、Alum上に、>96%の吸着で完全に吸着されることを観測した。質量オスモル濃度およびpHは、時間の経過とともに一定のままであり、許容される範囲内であった。Sta011 Cys(−)抗原は、4週間の間、2℃〜8℃、15℃、および25℃で保存した場合、安定していた。しかし、4週間の間、37℃で保存した場合、20%〜30%の抗原の損失があった。
試験したどの条件においても(T=37℃を除いて)、脱着したサンプルのHPLCプロフィール中にさらなるピーク(例えば、分解生成物)は見られなかった。図2は、25℃で4週間保存した後のSta011 Cys(−)抗原(非アジュバント化)が、対照と同じくらい安定していることを示している。図3は、37℃で4週間保存した後のSta011 Cys(−)抗原(非アジュバント化)が、対照と比較して、相対的により安定でないことを示している。Sta011 Cys(−)抗原のRP−HPLCプロフィールにおいて、さらなるピーク(*)が存在し、分解生成物の存在を示唆している。総面積に対するさらなるピークの面積は、4.2%である。
図3はまた、37℃で4週間保存した後、水酸化アルミニウムでアジュバント化したSta011 Cys(−)抗原が、非アジュバント化Sta011 Cys(−)抗原よりも安定していることを示している。
したがって、Sta011 Cys(−)抗原は、最大4週間の間、2℃〜8℃、15℃、および25℃で安定していた。Sta011 Cys(−)は、37℃で4週間保存すると、より安定ではなかったが、その安定性は、アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム)の存在下で改善された。
マウスにおける免疫原性研究
Sta011 Cys(+)抗原の免疫原性を、Sta011 Cys(−)抗原と比較した。抗原を水酸化アルミニウムでアジュバント化し、一価のワクチンとして、または参考文献5の開示に基づく組み合わせワクチンにおいて使用した。各ワクチンは、30μgの各抗原と2mg/mlにおける水酸化アルミニウムとを含有する。
Sta011 Cys(+)抗原の免疫原性を、Sta011 Cys(−)抗原と比較した。抗原を水酸化アルミニウムでアジュバント化し、一価のワクチンとして、または参考文献5の開示に基づく組み合わせワクチンにおいて使用した。各ワクチンは、30μgの各抗原と2mg/mlにおける水酸化アルミニウムとを含有する。
16匹のCD1マウス(5週齢)を皮下で3回(t=0、14日目、および28日目において)免疫化した。第1の免疫化の直前、ならびに第1の免疫化後13日目、27日目、および42日目に動物から採血した。精製したタンパク質に対して指向されているIgG抗体について、Luminex技術を用いて血清を調べた。アッセイの読み出しは、任意Relative Luminex Units(RLU/mL)として表される蛍光強度の測定値である。
図4は、免疫化後42日目のマウスの抗体力価を報告している。抗Sta011抗体を、Sta011 Cys(−)抗原を含有しているワクチンおよびSta011 Cys(+)抗原を含有しているワクチンによって特異的に惹起した。Sta011 Cys(−)抗原を含有しているワクチン(一価および組み合わせ)およびSta011 Cys(+)抗原を含有しているワクチン(一価および組み合わせ)によって惹起される抗体間に有意差はない。
表2は、免疫原性研究のGMT値を示している。免疫化後42日目において、Sta011 Cys(−)抗原を含有しているワクチン(一価および組み合わせ)とSta011 Cys(+)抗原を含有しているワクチン(一価および組み合わせ)との間に有意差はない。
本発明は、例としてのみ上に記載されているが、本発明の範囲および趣旨内にとどまりながら、改変がなされ得ることが理解される。
参考文献
「実質的に」という語は、「完全に」を排除するものではない。例えば、Yを「実質的に含まない」組成物は、Yを完全に含まないこともある。必要に応じて、「実質的に」という語は、本発明の定義から省かれていることもある。
例えば、本発明は、以下の項目を提供する:
(項目1)
ポリペプチドであって、該ポリペプチドは、配列番号7に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、ここで該ポリペプチドは、遊離チオール基を有さず、かつ配列番号5を認識する抗体を惹起することができる、ポリペプチド。
(項目2)
項目1に記載のポリペプチドを含むハイブリッドタンパク質。
(項目3)
前述の項目のいずれかに記載のポリペプチドまたは項目2に記載のハイブリッドタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子。
(項目4)
前述の項目のいずれかに記載の核酸分子を含むベクター。
(項目5)
前述の項目のいずれかに記載の核酸分子、または項目4に記載のベクターを含む宿主細胞。
(項目6)
前述の項目のいずれかに記載のポリペプチド、または項目3に記載のハイブリッドタンパク質を調製するための方法であって、該方法は、該タンパク質が発現させられる条件下で、項目5に記載の宿主細胞を培養するステップと、そのように生成された該タンパク質を回収するステップとを含む、方法。
(項目7)
前述の項目のいずれかに記載のポリペプチドを含む免疫原性組成物。
(項目8)
(i)S.aureus菌体外多糖と(ii)担体タンパク質との1種または複数の結合体をさらに含む、項目7に記載の免疫原性組成物。
(項目9)
(i)S.aureus莢膜多糖と(ii)担体タンパク質との1種または複数の結合体をさらに含む、前述の項目のいずれかに記載の免疫原性組成物。
(項目10)
アジュバント(例えば、水酸化アルミニウムアジュバント)および/または糖類(例えば、スクロース)をさらに含む、前述の項目のいずれかに記載の免疫原性組成物。
(項目11)
安定化添加剤をさらに含む、前述の項目のいずれかに記載の免疫原性組成物。
(項目12)
凍結乾燥された形態における、前述の項目のいずれかに記載の免疫原性組成物。
(項目13)
水性形態における、項目7〜11のうちのいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
(項目14)
項目12に記載の組成物を水性材料で再構成することによって、項目13に記載の組成物を調製するための方法。
(項目15)
前述の項目のいずれかに記載のポリペプチドまたは免疫原性組成物を含む薬学的組成物。
(項目16)
哺乳動物において免疫応答を上昇させるための方法であって、該方法は、有効量の前述の項目のいずれかに記載のポリペプチドまたは組成物を該哺乳動物に投与するステップを含む、方法。
例えば、本発明は、以下の項目を提供する:
(項目1)
ポリペプチドであって、該ポリペプチドは、配列番号7に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、ここで該ポリペプチドは、遊離チオール基を有さず、かつ配列番号5を認識する抗体を惹起することができる、ポリペプチド。
(項目2)
項目1に記載のポリペプチドを含むハイブリッドタンパク質。
(項目3)
前述の項目のいずれかに記載のポリペプチドまたは項目2に記載のハイブリッドタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子。
(項目4)
前述の項目のいずれかに記載の核酸分子を含むベクター。
(項目5)
前述の項目のいずれかに記載の核酸分子、または項目4に記載のベクターを含む宿主細胞。
(項目6)
前述の項目のいずれかに記載のポリペプチド、または項目3に記載のハイブリッドタンパク質を調製するための方法であって、該方法は、該タンパク質が発現させられる条件下で、項目5に記載の宿主細胞を培養するステップと、そのように生成された該タンパク質を回収するステップとを含む、方法。
(項目7)
前述の項目のいずれかに記載のポリペプチドを含む免疫原性組成物。
(項目8)
(i)S.aureus菌体外多糖と(ii)担体タンパク質との1種または複数の結合体をさらに含む、項目7に記載の免疫原性組成物。
(項目9)
(i)S.aureus莢膜多糖と(ii)担体タンパク質との1種または複数の結合体をさらに含む、前述の項目のいずれかに記載の免疫原性組成物。
(項目10)
アジュバント(例えば、水酸化アルミニウムアジュバント)および/または糖類(例えば、スクロース)をさらに含む、前述の項目のいずれかに記載の免疫原性組成物。
(項目11)
安定化添加剤をさらに含む、前述の項目のいずれかに記載の免疫原性組成物。
(項目12)
凍結乾燥された形態における、前述の項目のいずれかに記載の免疫原性組成物。
(項目13)
水性形態における、項目7〜11のうちのいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
(項目14)
項目12に記載の組成物を水性材料で再構成することによって、項目13に記載の組成物を調製するための方法。
(項目15)
前述の項目のいずれかに記載のポリペプチドまたは免疫原性組成物を含む薬学的組成物。
(項目16)
哺乳動物において免疫応答を上昇させるための方法であって、該方法は、有効量の前述の項目のいずれかに記載のポリペプチドまたは組成物を該哺乳動物に投与するステップを含む、方法。
Claims (16)
- ポリペプチドであって、該ポリペプチドは、配列番号7に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、ここで該ポリペプチドは、遊離チオール基を有さず、かつ配列番号5を認識する抗体を惹起することができる、ポリペプチド。
- 請求項1に記載のポリペプチドを含むハイブリッドタンパク質。
- 前述の請求項のいずれかに記載のポリペプチドまたは請求項2に記載のハイブリッドタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子。
- 前述の請求項のいずれかに記載の核酸分子を含むベクター。
- 前述の請求項のいずれかに記載の核酸分子、または請求項4に記載のベクターを含む宿主細胞。
- 前述の請求項のいずれかに記載のポリペプチド、または請求項3に記載のハイブリッドタンパク質を調製するための方法であって、該方法は、該タンパク質が発現させられる条件下で、請求項5に記載の宿主細胞を培養するステップと、そのように生成された該タンパク質を回収するステップとを含む、方法。
- 前述の請求項のいずれかに記載のポリペプチドを含む免疫原性組成物。
- (i)S.aureus菌体外多糖と(ii)担体タンパク質との1種または複数の結合体をさらに含む、請求項7に記載の免疫原性組成物。
- (i)S.aureus莢膜多糖と(ii)担体タンパク質との1種または複数の結合体をさらに含む、前述の請求項のいずれかに記載の免疫原性組成物。
- アジュバント(例えば、水酸化アルミニウムアジュバント)および/または糖類(例えば、スクロース)をさらに含む、前述の請求項のいずれかに記載の免疫原性組成物。
- 安定化添加剤をさらに含む、前述の請求項のいずれかに記載の免疫原性組成物。
- 凍結乾燥された形態における、前述の請求項のいずれかに記載の免疫原性組成物。
- 水性形態における、請求項7〜11のうちのいずれか一項に記載の免疫原性組成物。
- 請求項12に記載の組成物を水性材料で再構成することによって、請求項13に記載の組成物を調製するための方法。
- 前述の請求項のいずれかに記載のポリペプチドまたは免疫原性組成物を含む薬学的組成物。
- 哺乳動物において免疫応答を上昇させるための方法であって、該方法は、有効量の前述の請求項のいずれかに記載のポリペプチドまたは組成物を該哺乳動物に投与するステップを含む、方法。
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