JP2017518024A - 電気式の駆動モータ - Google Patents

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Abstract

本発明は、自動車の移動エレメント(3)をモータによって移動させる駆動装置(2)用の電気式の駆動モータであって、ステータ(4)に対応配置されたモータハウジング(5)と、ロータ軸(7)を備えたロータ(6)とを有していて、ステータ(4)とロータ(6)とが駆動運動を生ぜしめるために相互作用する、駆動モータに関する。本発明の構成では、駆動モータ(1)は、ロータ(6)に対応配置されたブレーキエレメント(9)を備えたブレーキ装置(8)を有しており、該ブレーキエレメント(9)は、少なくとも1つのブレーキ・摩擦結合式結合部(10,11)を介してステータ(4)と持続的に連結されていて、これによって停止時および、手動またはモータによる移動運転中に、ロータ(6)の回転をロックするブレーキ力を、ステータ(4)とロータ(6)との間において生ぜしめる。

Description

本発明は、請求項1の前段部に記載の、自動車の移動エレメントをモータによって移動させる電気式の駆動モータ、請求項16記載の駆動装置、および請求項20記載の、自動車の移動エレメント装置、特にフラップ装置に関する。
話題の電気式の駆動モータは、第1にコンフォート機能を実現するために、自動車の移動エレメントを移動させるのに用いられる。ここでは、自動車の閉鎖エレメント、特にテールゲート、トランクリッド、ドア、特にサイドドア、ボンネットまたはこれに類したものをモータによって移動させることが、関心の的である。このことは、狭い範囲で理解されるべきではない。
本発明の先行技術である、公知の駆動モータ(欧州特許出願公開第2202377号明細書(EP2202377A2))は、自動車のテールゲートをモータによって移動させる駆動装置の構成部分である。駆動モータは、通常の形式で、モータハウジングと、その中に配置されたステータおよび、ロータ軸を備えたロータとを有している。このような駆動モータは、通常、直流モータの形式で構成されている。
上に述べた駆動装置のパワートレーン全体は、セルフロック式にではなく、つまり逆転駆動可能に構成されているので、テールゲートのモータによる移動の他に、テールゲートの手動による移動も可能である。テールゲートが中間位置でもその位置を保持することを保証するために、駆動モータのモータ軸には、双方向に作用するラップスプリングブレーキ(Schlingfederbremse)が対応配置されている。ラップスプリングブレーキは、駆動モータの外側において別体の固定支持部に支持されている。
公知の駆動モータにおける欠点は、ラップスプリングブレーキを別個に支持することに起因して構造上のコストが高いこと、生じるブレーキ作用を不正確にしか調節できないことおよび小型化に乏しいことにある。
切換え可能なブレーキ装置の分野から、基本的に公知なことは、ブレーキ装置を駆動モータに一体に組み込むことである(欧州特許出願公開第1011188号明細書(EP1011188A1))。しかしながらこのような切換え可能なブレーキ装置は、構造的にも制御技術的にも、高価であり、かつその構造はあまりコンパクトではない。
ゆえに本発明の課題は、公知の駆動モータを改良して、単純かつコンパクトな構造上の構成を得ることができ、しかもブレーキ作用の調節可能性が良好な、駆動モータを提供することである。
この課題は、請求項1の前段部に記載の電気式の駆動モータにおいて、請求項1の特徴部に記載の特徴的な構成によって解決される。
ステータとロータとの間において持続的に作用するブレーキ力の実現によって、話題の駆動モータのための新しい構造上の自由度が得られる、という基本的な考えが重要である。詳しく述べると、本発明の構成では、駆動モータは、ロータに対応配置されたブレーキエレメントを備えたブレーキ装置を有しており、ブレーキエレメントは、少なくとも1つのブレーキ・摩擦結合式結合部を介してステータと持続的に連結されていて、これによって停止時および、手動またはモータによる移動運転中に、ロータの回転をロックするブレーキ力を、ステータとロータとの間において生ぜしめる。
「持続的に」という概念は、ここでは、少なくとも1つのブレーキ・摩擦結合式結合部が、ひいてはステータとロータとの間におけるブレーキ力が消滅し得ないということを意味する。しかしながら、ブレーキ力がその都度の運転形式に関連して変化するようになっていてよい。
手動による移動運転は、常に、外からロータ軸に作用する力に由来する。つまりこのとき生じるロータ軸の運動は、ステータとロータとの間における相互作用に由来しない。これは、モータによる移動運転の場合とは異なっている。モータによる移動運転の場合には、駆動力を生ぜしめるのに、ひいては駆動運動を生ぜしめるのに、ステータとロータとの間における相互作用が生じる。駆動力の発生は、ここでは、電気式の駆動モータのために通常の、磁界における通電性の導体の作用に、由来する。
停止時において、少なくとも1つのブレーキ・摩擦結合式結合部は、もっぱら静止摩擦に由来する。手動またはモータによる移動運転において、少なくともブレーキ・摩擦結合式結合部では滑り摩擦が生じる。
ロータの回転を阻止するために加えられるブレーキ力が、本発明によればステータとロータとの間において作用することによって、ブレーキエレメントを別個に支持することを省くことができる。これによって簡単に、駆動モータの構造上のコストを低減し、かつ小型化を促進することができる。さらに、ブレーキ作用の高さを、単に駆動モータの適宜な設計だけによって調節することができるので、駆動モータのパラメータ変更の可能性が簡単になる。
請求項4記載の好適な態様では、少なくとも1つのブレーキ・摩擦結合式結合部は、ブレーキエレメントとステータとの間におけるブレーキ・予荷重力に由来している。このことは、ブレーキ・摩擦結合式結合部を形成するためには、互いに対応配置された摩擦面が基本的に互いに対して予荷重を加えられていなくてはならず、これによってブレーキ・摩擦結合式結合部を形成することができる、という事情を勘案している。予荷重力の大きさは、最も簡単な場合には、生じる摩擦力、ひいては生じるブレーキ力に対して直線的な関係にある。
ブレーキ・予荷重力は、極めて様々な形式で実現することができる。1つの可能性としては、ブレーキ・予荷重力が弾性的なばね装置に由来しているということがある。しかしながら請求項9記載の特に好適な態様では、ブレーキ・予荷重力は、ブレーキ・永久磁石装置の磁界に由来している。このような構成は、特にコンパクトにかつ機械的に頑丈に実現することができる。
請求項12記載の特に好適な別の態様では、中間エレメントがブレーキエレメントとステータとの間に設けられていて、この中間エレメントの幾何学形状によって、ブレーキ・予荷重力の大きさが調節可能である。ブレーキ面の設計およびブレーキ・永久磁石装置の設計の他に、中間エレメントの幾何学形状の設計によって、ブレーキ力の調節の別の可能性が得られる。
独自の意味を有する、請求項16記載の別の発明によれば、本発明に係る駆動モータを備えた、自動車の移動エレメントをモータによって移動させる駆動装置が、請求される。
本発明に係る駆動装置は、駆動モータに後置された、駆動運動を生ぜしめるための送り伝動装置を有しており、このとき当該駆動装置のパワートレーンは、セルフロック式に構成されているのではなく、つまり逆転駆動可能に構成されているので、当該駆動装置は取り付けられた状態において、移動エレメントの手動による移動を可能にし、該移動に、パワートレーン全体はスリップなしに追従する。本発明に係る駆動モータに対するすべての記述を参照することが許される。
請求項17記載の特に好適な態様では、送り伝動装置は、スピンドル・スピンドルナット伝動装置を有しているので、駆動装置は全体としてリニア駆動装置として構成されている。スピンドル・スピンドルナット伝動装置における通常高い変速比に基づいて、ブレーキ装置からは、特に小さなブレーキ力をもたらすことができる。このことは特に、請求項18において提案されるように、移動エレメントが駆動モータの遮断時に、ブレーキ装置によって、その都度の位置を保持するようになっている場合に対して言える。
同様に独自の意味を有する、請求項20記載の別の発明によれば、自動車の移動エレメント装置、特にフラップ装置が請求される。
本発明に係る移動エレメント装置は、自動車のボディに旋回可能に枢着された移動エレメントと、フラップをモータによって移動させる少なくとも1つの本発明に係る駆動装置とを備えている。本発明に係る駆動装置に対するすべての記述を参照することが許される。
次に図面に示した実施形態を参照しながら、本発明を詳説する。
本発明に係る駆動モータを備えた本発明に係る駆動装置が対応配置されている、テールゲートを備えた自動車のリヤ領域を概略的に示す図である。 図1に示した駆動装置の縦断面図である。 図2に示した駆動装置の駆動モータを、取り外した状態で示す図である。
本発明に係る電気式の駆動モータ1は、自動車の移動エレメント3をモータによって移動させる可能なすべての駆動装置2のために使用することができる。ここではかつ好ましくは、移動エレメント3は、自動車の閉鎖エレメント、特にテールゲートである。自動車のテールゲートに対するすべての記載は、考えられる他のすべての移動エレメント3に対しても相応に通用する。
電気式の駆動モータ1は、図3に示すように、ステータ4を備えており、このステータ4はモータハウジング5を有している。モータハウジング5は、複数部分から構成されていてよい。これについては、さらに後で説明する。
モータハウジング5内には、ロータ軸7を備えたロータ6が配置されており、このときステータ4およびロータ6は、電気式の駆動モータにとって汎用の形式で、ロータ軸7の駆動運動を生ぜしめるために相互作用する。電気式の駆動モータ1が直流モータとして構成されている場合、ステータ4はモータハウジング5内において駆動・永久磁石装置を有し、ロータ6はコイル装置を有している。コイル装置は、このとき整流子装置(図示せず)を介して給電される。電気式の駆動モータ1のための他の構造形式、例えば同期モータ、非同期モータまたはこれに類したもののような構造形式が可能である。
図3に示した詳細図から分かるように、駆動モータ1は、ロータ6に対応配置されたブレーキエレメント9を備えたブレーキ装置8を有している。ブレーキエレメント9は、少なくとも1つのブレーキ・摩擦結合式結合部10,11を介してステータ4に持続的に連結されており、これによって停止状態においても、手動またはモータによる移動運転中においても、ロータ6の回転を阻止するブレーキ力をステータ4とロータ6との間において生ぜしめる。
そのためにブレーキエレメント9とステータ4との間において予荷重が加えられており、これについては、さらに後で詳しく説明する。
「ブレーキ力」という概念はここでは、広く理解されるべきである。図示の実施形態ではブレーキ力は、厳密に言えば、ステータ4とロータ6との間におけるブレーキモーメントのことである。
ここではかつ好ましくは、ブレーキエレメント9はモータハウジング5の内部において、このモータハウジング5に直に配置されている。ブレーキエレメント9がモータハウジング5の内部においてかつ同時にモータハウジング5から離して配置されているような構成も可能である。最後に、ブレーキエレメント9がモータハウジング5の外に配置されているような構成も可能である。
ここではかつ好ましくは、モータハウジング5は極ハウジング12を有しており、このときブレーキエレメント9は、少なくとも部分的に極ハウジング12内に配置されている。極ハウジング12は、好ましくはステータ4の前記駆動・永久磁石装置を収容するために用いられ、かつさらに好ましくは少なくとも部分的に、透磁性の金属薄板から形成される。
モータハウジング5は、別のハウジング部分を有していてよい。例えばモータハウジング5は、終端シールドを備えていてよく、この終端シールドは、図3において左側の、駆動モータ1の端部(図示せず)に配置されている。
図3においてさらに示すように、ステータ4は、ロータ軸7を回転支持するための軸受装置13を有している。この軸受装置13は、ここでは軸受ブシュ14を備えており、この軸受ブシュ14は、モータハウジング5内に挿入されていて、ロータ軸7のための滑り軸受を提供する。軸受ブシュは、好ましくは焼結部材である。
同様に図3の記載から分かるように、軸受装置13は、モータハウジング5の一部をも提供する。基本的には、軸受装置13、特に軸受ブシュ14は、この軸受ブシュ14が相応に寸法設定されている限りは、モータハウジング5の十分に大きな部分を提供する。
好ましくは、少なくとも1つのブレーキ・摩擦結合式結合部10,11は、ブレーキエレメント9とステータ4との間におけるブレーキ・予荷重力Fに由来する。このとき、その限りにおいて好適な図示の実施形態では、ブレーキ・予荷重力Fはロータ軸7に関連して軸方向に方向付けられている。
その限りにおいて好適な図示の実施形態では、さらに、ブレーキエレメント9はロータ軸7に回動不能に連結されている。このとき基本的には、ブレーキエレメント9がロータ軸7に関連して軸方向に移動可能であるように構成されていてよい。しかしながら図示の実施形態では、ブレーキエレメント9はロータ軸7に不動に結合されている。
ブレーキエレメント9とロータ軸7との結合は、形状結合式(formschluessig)に、力結合式(kraftschluessig)に、または素材結合式(stoffschluessig)に行われていてよい。特に簡単な製造方法では、ブレーキエレメント9はプラスチック射出成形法によってロータ軸7に一体に射出成形されている。図示の実施形態では、ロータ軸7には、ブレーキエレメント9に対応配置されたリング15が配置されており、このリング15は好ましくはプレス嵌めでロータ軸7に被せ嵌められている。リング15は、まったく異なった形式で実現されてもよい。ここではかつ好ましくは、リング15は焼結リングである。
リング15はここでは、軸方向において、ロータ軸7とステータ4との間における軸方向遊びを制限しており、この軸方向遊びについては、さらに後で詳しく述べる。ブレーキエレメント9は通常、プレス嵌めでリング15に被せ嵌められているか、またはプラスチック射出成形法によってリング15に一体に射出成形されている。ブレーキエレメント9とロータ軸7とを結合するための他の可能性も、考えられる。
ブレーキ・摩擦結合式結合部10,11を実現するためには、種々様々な可能性が考えられる。図示されていない実施形態では、ブレーキ・摩擦結合式結合部10,11は、ブレーキエレメント9とステータ4との間における摩擦係合によって、特にブレーキエレメント9とモータハウジング5との間および/またはブレーキエレメント9とロータ軸7のための軸受装置13との間における摩擦係合によって形成されるようになっている。
その限りにおいて好適な図示の実施形態では、しかしながらブレーキエレメント9とステータ4との間には中間エレメント16が配置されていて、ブレーキ・予荷重力Fが中間エレメント16を介して延びるようになっている。このときここでは、第1のブレーキ・摩擦結合式結合部10がブレーキエレメント9と中間エレメント16との間における摩擦係合によって生ぜしめられ、第2のブレーキ・摩擦結合式結合部11が中間エレメント16とステータ4との間において生ぜしめられるようになっている。
少なくとも1つのブレーキ・摩擦結合式結合部10,11を実現するためには、数多くの構造的な変化形態が可能である。基本的にはここにおいて、摩擦対「ブレーキエレメント9の外側領域17」/「中間エレメント16」、「リング15」/「中間エレメント16」、「極ハウジング12」/「中間エレメント16」および「軸受ブシュ14」/「中間エレメント16」を使用することができる。適宜な構造上の構成によって、ステータ4とロータ6との間において所望のブレーキ力を生ぜしめるために、どの摩擦対をここで互いに係合させるのが望ましいかを、正確に調節することができる。例えば軸受ブシュ14は軸方向において極ハウジング12の前に突出していてよいので、中間エレメント16は、図3においてその右側でもっぱら軸受ブシュ14と摩擦係合することになる。同様なことは、ブレーキエレメント9の外側領域17およびリング15に対しても言える。
中間エレメント16の設計のためには、多数の構造上の変化形態が可能である。重要なことは、中間エレメント16がブレーキエレメント9の側かまたはステータ5の側において各摩擦対と摩擦係合していることである。相応に、中間エレメント16は例えばステータ4と形状結合式に、力結合式にまたは素材結合式に係合していてよい。中間エレメント16がステータ4に不動に結合されていて、これに対して中間エレメント16がブレーキエレメント9に摩擦係合しているような構成も可能である。
ブレーキ・予荷重力Fがばね装置によって実現されている場合には、適宜な設計時に、ブレーキ・予荷重力Fの大きさを、中間エレメント16の幾何学形状によって、特に中間エレメント16の軸方向幅によって調節することができる。好ましくは、中間エレメント16の軸方向幅は、2mm未満、好ましくは1mm未満であり、さらに好ましくは、中間エレメント16の軸方向幅は、約0.1mm〜約0.5mmの範囲である。
ここではかつ好ましくは、ブレーキ・予荷重力Fは磁力によって生ぜしめられる。特にそのために、中間エレメント16が非透磁性に構成されているかまたは低い透磁性で構成されていると好適である。例えば中間エレメント16は少なくとも部分的に、相応のプラスチック材料から形成されていてよい。詳しく述べると、中間エレメント16は少なくとも部分的に、好ましくはPEEK材料、POM材料またはこれに類した材料から形成されている。
ブレーキ装置8は、好ましくはブレーキ・永久磁石装置18を有しており、このときブレーキ・予荷重力Fは、ブレーキ・永久磁石装置18の磁界Bに由来する。このときここではかつ好ましくは、ブレーキ・永久磁石装置18の双極子軸線19は、ロータ軸7に関連して軸方向に方向付けられている。好ましくは、ブレーキエレメント9は図3に示すように、リング形の外側領域17を有しており、この外側領域17は、ブレーキ・永久磁石装置18として形成されている。ブレーキ・永久磁石装置18は相応に、リング磁石装置として形成されている。ブレーキ・永久磁石装置18は、少なくともブレーキエレメント9の一部を提供する。
ブレーキ・永久磁石装置18は、好ましくはプラスチックによって結合された磁性材料から形成されているので、少なくとも部分的にブレーキ・永久磁石装置18によって形成されたブレーキエレメント9は、上において述べたように、プラスチック射出成形法において製造可能である。
ブレーキ・永久磁石装置18の磁界Bは、常に存在していて、ロータ軸7の回転位置とは十分に無関係であるので、磁界Bは、ひいてはブレーキ力は、相応に永久に、上に述べたように作用する。
モータハウジング5の透磁性を、ブレーキ・予荷重力Fを生ぜしめるために使用することによって、特にコンパクトな構成が得られる。モータハウジング5の少なくとも1つの壁部分20、ここではかつ好ましくは、極ハウジング12の少なくとも1つの壁部分20が、透磁性に構成されている場合には、ブレーキ・予荷重力Fは、ブレーキ・永久磁石装置18とモータハウジング5の壁部分20との間における磁気による引付けに由来する。このときここではかつ好ましくは、壁部分20はほぼロータ軸7に対して横方向に延びているので、ブレーキエレメント9は、中間エレメント16を介して、ロータ軸7に関連して軸方向のブレーキ・予荷重力Fでブレーキを掛けるように特にモータハウジング5に対して作用することができる。基本的にはまた、壁部分は、上に述べた終端シールドまたはこれに類したものの構成部分であってよい。
図3に示した詳細図から最も良く分かるように、中間エレメント16は、ロータ軸7に関連して軸方向のスペーサを、ブレーキ・永久磁石装置18、ここではブレーキエレメント9と壁部分20との間において提供するので、中間エレメント16の、ロータ軸7に関連して軸方向の幅bは、ブレーキ・予荷重力Fの大きさを確定する。適宜な設計において、中間エレメント16がブレーキ・永久磁石装置18と壁部分20との間における空隙を確定するようになっていてよい。これにより、中間エレメント16を適宜に選択することによって、ブレーキ・予荷重力Fを、ひいてはステータ4とロータ6との間におけるブレーキ力を、広い範囲において調節することが可能である。
図3に示した詳細図から、ブレーキエレメント9に関して既に明らかに分かるように、ブレーキエレメント9および中間エレメント16はそれぞれ、少なくとも部分的に、ここではかつ好ましくはリング形状の円板として構成されている。このときさらに好ましくは、ブレーキエレメント9および中間エレメント16はそれぞれロータ軸7に対して同軸的に方向付けられている。特にリング形状でかつ円板形状の構成および同軸的な方向付けは、基本的に、前記両エレメント9,16のうちの1つに対してだけ設定されていてもよい。
図示の実施形態において興味深いのは、図3に示すように、ブレーキエレメント9および中間エレメント16は、それぞれほぼ平らな摩擦面を、少なくとも1つのブレーキ・摩擦結合式結合部10,11を生ぜしめるために提供していることである。このような平らな摩擦面によって、生じるブレーキ特性を特に簡単に調節することができる。
ブレーキエレメント9とステータ4との間においてブレーキ・予荷重力Fを生ぜしめるためには、ブレーキエレメント9のある程度の移動可能性が必要である。これは、例えばロータ軸7に沿ったブレーキエレメント9の軸方向における摺動可能性によって実現することができる。ここでは軸受装置13が、特にリング15との関連において、ロータ軸7に対する軸方向遊びを提供し、この軸方向遊びは、ブレーキエレメント9とステータ4との間における僅かな軸方向運動を可能にする。このような処置は、ブレーキエレメント9の移動可能性を実現するために追加的な構造上のコストを必要としない点で特に好適である。
駆動運動を導き出すために、ロータ軸7は被動エレメント21を備えている。この被動エレメント21の構造上の構成に関連して、この被動エレメント21が駆動モータ1の運転形式に応じて逆向きの軸方向力をロータ軸7に対して作用することが可能である。例えば、取り付けられた状態において移動エレメント3の手動による移動が被動エレメント21に作用して、ブレーキエレメント9の軸方向運動が図3において右に向かって、つまり壁部分20に向かって生じるようになっていてよい。このような移動は、上に述べたように、ロータ軸7において存在する軸方向遊びによって可能である。これによってブレーキ・予荷重力Fが、ひいてはステータ4とロータ6との間におけるブレーキ力が高まる。これは適切である。それというのは、移動エレメント3の、外側から生ぜしめられる移動には、ある程度のレベルに到るまで逆向きの作用が加えられるようになっているからである。上に述べた被動エレメント21のためには、ウォーム状の歯列またははす歯列の実現が有利であることが証明されている。
独自の意味を有する別の発明によれば、本発明に係る駆動モータ1を備えた、自動車の移動エレメント3をモータによって移動させる駆動装置2自体が請求される。本発明に係る駆動装置2は、駆動モータ1に後置された送り伝動装置22を、駆動運動を生ぜしめるために有している(図2参照)。駆動装置2のパワートレーン23は、セルフロック式にではなく、つまり逆転駆動可能(ruecktreibbar)に構成されているので、駆動装置2は取り付けられた状態において、移動エレメント3の手動による移動を可能にし、このとき全パワートレーン23は、移動エレメント3の手動による移動にスリップなしに追従する。
その限りにおいて好適な図示の実施形態では、駆動モータ1と送り伝動装置22との間に、中間伝動装置24が接続されている。この中間伝動装置24は、好ましくは遊星伝動装置である。特に好適な構成では、中間伝動装置24は少なくとも1つの遊星伝動装置段を、好ましくは少なくとも2つの遊星伝動装置段を有している。このように構成されていると、パワートレーン23の逆転駆動可能性を、コンパクトでかつ同時に頑丈な形式で保証することができる。
図2に示すように、送り伝動装置22は、スピンドル・スピンドルナット伝動装置25を備えており、このスピンドル・スピンドルナット伝動装置25は、駆動装置2の長手方向軸線26に沿って、駆動モータ1およびここに設けられた中間伝動装置24の後ろに配置されている。駆動装置2の長手方向軸線26に沿って駆動モータ1、中間伝動装置24およびスピンドル・スピンドルナット伝動装置25が順番に配置されていることによって、駆動装置2の、長く延在しかつ特に細い構成が得られる。
スピンドル・スピンドルナット伝動装置25は、同様に図2に示すように、スピンドル27を備えていて、このスピンドル27は、中間伝動装置24を介して駆動モータ1によって駆動可能である。スピンドル27は、図2においても同様に認識することができるスピンドルナット28と噛み合っている。図面においてリニア駆動装置として構成された駆動装置2は、図1によれば一方で移動エレメント3に、かつ他方で自動車のボディ29に係合しており、この係合箇所はそれぞれ、移動エレメント3の旋回軸線30から間隔をおいて位置している。特に好適な構成では、このような2つの駆動装置2が、移動エレメント3の互いに反対側に配置されて設けられている。
移動エレメント3、ここでは自動車のテールゲートは、重力によって、その閉鎖位置へと下方に向かって降下しようとする。他方において、ここでは駆動装置2にばね装置31が対応配置されていて、このばね装置31は、移動エレメント3の少なくとも1つの移動領域において移動エレメント3の重量に抗して作用する。移動エレメント3がその全移動領域にわたってその都度の位置を保つような、最適なバランス状態を実現することは不可能なので、移動エレメント3の自動的な、ひいてはコントロールされない移動を回避するような処置を講じる必要がある。詳しく述べると、そのために、駆動装置2のパワートレーン23は、駆動装置2の駆動コンポーネントの間における摩擦とブレーキ装置8とによってブレーキを掛けられ、移動エレメント3、ここではテールゲートが、駆動モータ1の遮断時に移動エレメント3の移動領域の少なくとも一部にわたってその都度の位置を保つようになっていることが、提案される。ブレーキ装置8は移動エレメント3から見て送り伝動装置22および中間伝動装置24の後ろに位置しているという事実を勘案すれば、移動エレメント3の保持を保証するためには、小さなブレーキ力しか必要でない。
駆動モータ1の本発明に係る構成は、特に駆動装置2がスピンドル・スピンドルナット伝動装置25を備えている場合に、特に好適である。それというのは、このような構成では、駆動装置2の長さが全体的に減じられることに特別な意味があるからである。特に、ブレーキエレメント9の円板状の構成に基づいて特に僅かな軸方向における構造空間しか要しない、図3に示した実施形態では、本発明に係る駆動モータ1は、スピンドル・スピンドルナット伝動装置25を有する送り伝動装置22と、特に良好に組み合わせることができる。
既に述べたように、本発明に係る駆動モータ1および本発明に係る駆動装置2は、自動車のすべての形式の移動エレメント3に使用可能である。しかしながら特に好適な構成では、移動エレメント3は、特にテールゲート、トランクリッド、ドア、特にサイドドア、ボンネットまたはこれに類したものといった、自動車の閉鎖エレメント3である。
同様に独自の意味を有する別の発明によれば、移動エレメント装置32、特に自動車のフラップ装置自体が請求される。
本発明に係る移動エレメント装置32は、自動車のボディ29に旋回可能に枢着された移動エレメント3と、この移動エレメント3をモータによって移動させる、少なくとも1つの本発明に係る駆動装置2とを備えている。特に好適な構成では、移動エレメント3は、上に述べたように、自動車のフラップ、特にテールゲートである。本発明に係る駆動モータ1および本発明に係る駆動装置2に対するすべての記述を参照することが許される。

Claims (20)

  1. モータハウジング(5)を備えたステータ(4)と、ロータ軸(7)を備えたロータ(6)とを有していて、前記ステータ(4)と前記ロータ(6)とが駆動運動を生ぜしめるために相互作用する、自動車の移動エレメント(3)をモータによって移動させる駆動装置(2)用の電気式の駆動モータであって、
    当該駆動モータ(1)は、前記ロータ(6)に対応配置されたブレーキエレメント(9)を備えたブレーキ装置(8)を有しており、前記ブレーキエレメント(9)は、少なくとも1つのブレーキ・摩擦結合式結合部(10,11)を介して前記ステータ(4)と持続的に連結されていて、これによって停止時および、手動またはモータによる移動運転中に、前記ロータ(6)の回転をロックするブレーキ力を、前記ステータ(4)と前記ロータ(6)との間において生ぜしめることを特徴とする、電気式の駆動モータ。
  2. 前記ブレーキエレメント(9)は、前記モータハウジング(5)の内部におよび/または前記モータハウジング(5)に直に配置されており、好ましくは、前記モータハウジング(5)は、極ハウジング(12)を有しており、前記ブレーキエレメント(9)は、少なくとも部分的に前記極ハウジング(12)内に配置されており、好ましくは、前記極ハウジング(12)は、少なくとも部分的に、透磁性の金属薄板から形成されている、請求項1記載の駆動モータ。
  3. 前記ステータ(4)は、前記ロータ軸(7)を回転支持するための軸受装置(13)を有しており、好ましくは、前記軸受装置(13)は、前記モータハウジング(5)の一部を成している、請求項1または2記載の駆動モータ。
  4. 前記少なくとも1つのブレーキ・摩擦結合式結合部(10,11)は、前記ブレーキエレメント(9)と前記ステータ(4)との間におけるブレーキ・予荷重力(F)に由来しており、好ましくは、前記ブレーキ・予荷重力(F)は、前記ロータ軸(7)に関連して軸方向に方向付けられている、請求項1から3までのいずれか1項記載の駆動モータ。
  5. 前記ブレーキエレメント(9)は、前記ロータ軸(7)に回動不能に連結されており、好ましくは、前記ブレーキエレメント(9)は、前記ロータ軸(7)に不動に結合されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の駆動モータ。
  6. 前記ブレーキ・摩擦結合式結合部(10,11)は、前記ブレーキエレメント(9)と前記ステータ(4)との間、特に前記ブレーキエレメント(9)と前記モータハウジング(5)との間、および/または前記ブレーキエレメント(9)と前記ロータ軸(7)のための前記軸受装置(13)との間における摩擦結合によって生じる、請求項1から5までのいずれか1項記載の駆動モータ。
  7. 前記ブレーキエレメント(9)と前記ステータ(4)との間に中間エレメント(16)が配置されていて、前記ブレーキ・予荷重力(F)が前記中間エレメント(16)を介して延びており、かつ前記少なくとも1つのブレーキ・摩擦結合式結合部(10,11)が、前記ブレーキエレメント(9)と前記中間エレメント(16)との間および/または前記中間エレメント(16)と前記ステータ(4)との間、特に前記中間エレメント(16)と前記モータハウジング(5)との間および/または前記中間エレメント(16)と前記ロータ軸(7)のための前記軸受装置(13)との間における摩擦結合によって生じる、請求項1から6までのいずれか1項記載の駆動モータ。
  8. 前記中間エレメント(16)は、非透磁性に、または低い透磁性を有するように構成されており、好ましくは、前記中間エレメント(16)は、少なくとも部分的にプラスチック材料から形成されている、請求項7記載の駆動モータ。
  9. 前記ブレーキ装置(8)は、ブレーキ・永久磁石装置(18)を有しており、前記ブレーキ・予荷重力(F)は、前記ブレーキ・永久磁石装置(18)の磁界に由来しており、好ましくは、前記ブレーキ・永久磁石装置(18)の双極子軸線(19)は、前記ロータ軸(7)に関連して軸方向に方向付けられている、請求項1から8までのいずれか1項記載の駆動モータ。
  10. 前記ブレーキ・永久磁石装置(18)は、前記ブレーキエレメント(9)の少なくとも一部を成している、請求項9記載の駆動モータ。
  11. 前記モータハウジング(5)、特に前記極ハウジング(12)の少なくとも1つの壁部分(20)が、透磁性に構成されており、かつ前記ブレーキ・予荷重力(F)は、前記ブレーキ・永久磁石装置(18)と前記モータハウジング(5)の前記壁部分(20)との間における磁気による引付け力に由来する、請求項1から10までのいずれか1項記載の駆動モータ。
  12. 前記中間エレメント(16)は、前記ロータ軸(7)に関連して軸方向におけるスペーサを、前記ブレーキ・永久磁石装置(18)、特に前記ブレーキエレメント(9)と、前記壁部分(20)との間において提供し、これによって前記中間エレメント(16)の、前記ロータ軸(7)に関連した軸方向における幅(b)が、前記ブレーキ・予荷重力(F)の大きさを確定し、好ましくは、前記中間エレメント(16)は、前記ブレーキ・永久磁石装置(18)と前記壁部分(20)との間における空隙を確定する、請求項7または11記載の駆動モータ。
  13. 前記ブレーキエレメント(9)および/または前記中間エレメント(16)は、少なくとも部分的に、特にリング状の円板として形成されており、好ましくは、前記ブレーキエレメント(9)および/または前記中間エレメント(16)は、前記ロータ軸(7)に対して同軸的に方向付けられている、請求項1から12までのいずれか1項記載の駆動モータ。
  14. 前記軸受装置(13)は、前記ロータ軸(7)のための軸方向遊びを提供し、該軸方向遊びは、前記ブレーキエレメント(9)と前記ステータ(4)との間における僅かな軸方向運動を可能にする、請求項1から13までのいずれか1項記載の駆動モータ。
  15. 前記ロータ軸(7)は被動エレメント(21)を有していて、該被動エレメント(21)は、前記駆動モータ(1)の運転形式に応じて逆向きの軸方向力を、前記ロータ軸(7)に対して生ぜしめ、好ましくは、前記被動エレメント(21)は、ウォーム状の歯列またははす歯列を有している、請求項1から14までのいずれか1項記載の駆動モータ。
  16. 自動車の移動エレメント(3)をモータによって移動させる駆動装置であって、請求項1から15までのいずれか1項記載の駆動モータ(1)と、該駆動モータ(1)に後置された、駆動運動を生ぜしめるための送り伝動装置(22)とを備えており、このとき当該駆動装置(2)のパワートレーン(23)は、セルフロック式に構成されておらず、当該駆動装置(2)は取り付けられた状態において、前記移動エレメント(3)の手動による移動を可能にし、該移動に、前記パワートレーン(23)全体はスリップなしに追従することを特徴とする、駆動装置。
  17. 前記送り伝動装置(22)は、スピンドル・スピンドルナット伝動装置(25)を有している、請求項16記載の駆動装置。
  18. 当該駆動装置(2)の前記パワートレーン(23)は、当該駆動装置(2)の駆動コンポーネントの間における摩擦によって、かつブレーキ装置(8)によってブレーキを掛けられ、前記移動エレメント(3)が前記駆動モータ(1)の遮断時に、その移動領域の少なくとも一部にわたってその都度の位置を保持するようになっている、請求項16または17記載の駆動装置。
  19. 前記移動エレメント(3)は、閉鎖エレメントとして、特に自動車のテールゲートとして、トランクリッドとして、ドア、特にサイドドアとして、ボンネットまたはこれに類したものとして形成されている、請求項16から18までのいずれか1項記載の駆動装置。
  20. 自動車の移動エレメント装置、特にフラップ装置(32)であって、自動車のボディ(29)に旋回可能に枢着された移動エレメント(3)と、請求項16から19までのいずれか1項記載の、前記移動エレメント(3)をモータによって移動させる少なくとも1つの駆動装置(2)とを備えていることを特徴とする、移動エレメント装置。
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