JP2017513506A - ハプロイドトウモロコシ形質転換 - Google Patents
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Abstract
部位特異的ヌクレアーゼを用いてアンドロゲン由来のハプロイド細胞株を形質転換するための方法が開示される。いくつかの実施形態では、アンドロゲン由来のハプロイド細胞株は、トウモロコシ小胞子由来植物組織培養物である。さらに、本開示は、例えば、ハプロイドまたはジハプロイド組織ゲノムの特定の遺伝子座を突然変異する、またはハプロイドまたはジハプロイド組織ゲノムの特定の遺伝子座を標的化し、それにドナーDNAを組み込むことによって修飾するための方法を提供する。本開示は、本開示から得ることができる、特定のゲノム遺伝子座での突然変異または特定のゲノム遺伝子座内に組み込まれたドナーDNAのいずれかを含有するハプロイドまたはジハプロイド組織から全植物体を再生するための方法をさらに提供する。
Description
本開示は、概して、植物、植物組織および細胞株、植物を再生することならびにそれに核酸を導入および/または再編成するための方法に関する。トウモロコシアンドロゲン由来のハプロイド細胞における、外因性DNAの部位特異的挿入を含めた形質転換および遺伝子編集のための方法が提供される。
トランスジェニックトウモロコシ製造は、通常、アグロバクテリウム同時培養または微粒子銃による導入遺伝子の、未熟接合体胚の胚盤領域などの2倍体体細胞組織への送達を含む。これらの手順は、通常、一次形質転換体(T0)において「ヘミ接合性」である組み込まれた導入遺伝子につながり、T1植物世代において分離する。導入遺伝子をその他の遺伝的背景に動かすことは、戻し交配による遺伝子移入を必要とする。したがって、2倍体体細胞組織または細胞のゲノム中に導入遺伝子を送達し、導入遺伝子をその他の遺伝的背景中に動かすためのこのような方法は、骨の折れることであり、資源集約的であり、時間のかかるものであり得る。
部位特異的ヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチドを使用する2倍体植物の、ゲノム中の1つまたは複数の所定の位置への導入遺伝子の部位特異的送達(ゲノム編集)は、相同染色体の2つの対応するセットを有する2倍体ゲノムおよびこれらのコードされる部位特異的ヌクレアーゼは、相同対の一方または両方の染色体のいずれかの切断によって標的部位を修飾するという事実によって、さらなるセットの課題を示し得る。切断された部位の不完全な修復に起因する突然変異は、珍しくはない。さらに、ゲノム修復プロセスは、鋳型ベースであるので、修復プロセスは、対応する相同染色体上の入ってくるドナーポリヌクレオチドまたは対立遺伝子配列のいずれかを鋳型として使用し得る。したがって、2倍体細胞では、対応する相同染色体上の対立遺伝子配列は、入ってくるドナーポリヌクレオチドと競合し得る。このプロセスが、対応する相同染色体に基づいて(ドナーポリヌクレオチドの代わりに)、切断された染色体の望ましくない修復をもたらす場合には、ターゲッティングされる導入遺伝子組込みの効率が、それによって低減される。
トウモロコシのハプロイドゲノムへの導入遺伝子のランダム組込みをもたらす、いくつかの植物形質転換法が記載されている。これらの方法は、ハプロイドプロトプラストのポリエチレングリコール処理(Sukhapinda et al., 1993, Plant Cell Reports, 13:63-68、Jardinaud et al., 1995)、小胞子由来胚様構造の微粒子銃Protoplasma, 187:138-143)および母系由来胚のアグロバクテリウム同時培養(米国特許第7,572,635号明細書)による導入遺伝子のランダム組込みを含む。しかし、トウモロコシのハプロイドゲノム中の選択された位置の安定な部位特異的(ターゲッティングされた)修飾は、未開拓のままである。
したがって、トウモロコシにおけるハプロイドゲノムの安定なターゲッティングされた修飾の作製方法が望まれている。
さらに、ハプロイド細胞では、単一セットの染色体のみがある、すなわち、各所与の遺伝子の対応する対立遺伝子配列はなく、入ってくるドナーポリヌクレオチドは、修復鋳型として働く対応する相同染色体からの干渉を伴わない相同性組換え修復の容易に利用可能な鋳型であり、突然変異は、容易に明らかにされる。多数の突然変異、例えば、ノックアウトの表現型は、2倍体組織では観察されず、ハプロイドにおいて見られ得るように劣性である。したがって、アンドロゲン由来のハプロイド細胞株内の部位特異的ヌクレアーゼによる形質転換および突然変異誘発とハプロイドゲノムDNAのその後の切断と、任意選択で、ドナーポリヌクレオチドのターゲッティングされた組込みまたは特定の配列のターゲッティングされた修飾、例えば、アンドロゲン由来のハプロイド細胞株、例えば、小胞子由来植物組織培養物のハプロイドゲノム内の突然変異のための組成物および方法は依然として必要である。
したがって、本開示は、アンドロゲン由来のハプロイド細胞株、例えば、小胞子由来植物組織培養物のハプロイドゲノム内の形質転換および部位特異的ヌクレアーゼの送達のための新規組成物および方法を提供する。小胞子由来植物組織培養形質転換法の適用は、植物ゲノム内の部位特異的ヌクレアーゼ組込みの効率の増大、それによる、多数の形質転換事象のスクリーニングの必要性の低減およびその後のこれらの種類の実験の完了に伴われる費用および人員の時間の低減をもたらし得る。例えば、小胞子由来植物のハプロイドゲノムの形質転換の配置を使用して、何万もの植物事象の高価な骨の折れるスクリーニングを必要とすることなく、特定のゲノム部位内にドナーDNAを組み込み、ホモ接合型植物を得ることができる。さらに、部位特異的ヌクレアーゼ媒介性のターゲッティングされた突然変異誘発のためのアンドロゲン性ハプロイド細胞株の使用は、劣性突然変異の効率的な同定および単離を可能にする。
本開示は、幾分かは、トウモロコシハプロイド組織または細胞における部位特異的突然変異誘発またはドナー導入遺伝子組込みによるハプロイドゲノムの安定なターゲッティングされた修飾のための方法の予期しない発見に基づいている。ゲノム修飾の開示される方法は、部位特異的突然変異または導入遺伝子を、完全に固定された遺伝的背景において即時的にホモ接合性にするよう染色体倍加するための方法とともに使用できる。さらに、ハプロイド組織または細胞における安定なゲノム修飾の開示される方法は、2倍体組織におけるその他の方法よりも効率的であり得る。2倍体組織では、第1の染色体上の各ゲノム配列は、第2の染色体上に対応する対立遺伝子配列を有し、これは、第1の染色体中に挿入された任意の突然変異または導入遺伝子を修復するよう進化した相同性組換え修復において鋳型として働く。対照的に、ハプロイド組織または細胞は、第2の対応する染色体を欠いており、すなわち、それらは、新規に導入された突然変異または導入遺伝子を除去するために相同性組換え修復によって使用される修復鋳型を欠く。いくつかの場合には、入ってくるドナーポリヌクレオチドは、相同性組換え修復の最も容易に利用可能な鋳型であり得、したがって、所望のターゲッティングされた修飾が、ハプロイドゲノム中に安定に組み込まれることを確実にするよう役立つ。さらに、開示される方法はまた、劣性表現型を有する、安定なゲノム修飾突然変異、例えば、ノックアウトおよび遺伝子不活性化を明らかにすることにとっても有用である。2倍体組織では、劣性表現型は現れないが、ハプロイド組織では、劣性表現型につながるこのようなターゲッティングされたゲノム修飾が観察され得る。
一態様では、本開示は、トウモロコシゲノムを修飾するための方法であって、ハプロイド組織ゲノムを含むトウモロコシ小胞子由来形質転換受容性ハプロイド組織を準備するステップと、部位特異的ヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチドを、形質転換受容性ハプロイド組織に送達するステップと、ハプロイド組織ゲノムが、コードされた部位特異的ヌクレアーゼによって修飾されていることを確認するステップとを含む、方法に関する。いくつかの実施形態では、形質転換受容性ハプロイド組織は、胚またはカルス組織である。開示される方法では、部位特異的ヌクレアーゼポリヌクレオチドをコードするポリヌクレオチドが、形質転換受容性ハプロイド組織に植物形質転換法によって送達される。特定の実施形態では、植物形質転換法は、微粒子銃形質転換法、アグロバクテリウム形質転換法、リン酸カルシウム形質転換法、ポリブレン形質転換法、エレクトロポレーション形質転換法、超音波形質転換法、リポソーム形質転換法、マイクロインジェクション形質転換法、裸のDNA形質転換法、プラスミドベクター形質転換法、ウイルスベクター形質転換法、シリコンカーバイド媒介性形質転換法、エアゾールビーミング形質転換法およびPEG形質転換法からなる群の任意の方法を含む。開示される方法のいずれかでは、部位特異的ヌクレアーゼポリヌクレオチドは、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、TALENヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼおよびCRISPRヌクレアーゼを含む、選択されたヌクレアーゼをコードする。いくつかの実施形態では、部位特異的ヌクレアーゼは、ハプロイドトウモロコシゲノムのゲノムDNA標的領域を優先的に切断する。特定の実施形態では、ゲノムDNAの2つの鎖が切断される。別の実施形態では、ゲノムDNAの単一鎖が切断される。さらなる実施形態では、前記の方法のいずれかは、ドナーポリヌクレオチドを送達し、ドナーポリヌクレオチドを修飾されたハプロイド組織ゲノム中に安定に組み込むことをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、各ドナーポリヌクレオチドは、ハプロイド組織ゲノムのゲノムDNA標的領域に対して少なくとも85%同一である少なくとも1つのドメインを含む。さらなる実施形態では、ドナーポリヌクレオチドは、ハプロイド組織ゲノムのゲノムDNA標的領域中の2つの異なる配列に対して少なくとも85%同一である2つのドメインを含む。ハプロイドトウモロコシゲノムを修飾するための本明細書に開示される方法のいずれかのさらなる実施形態では、小胞子由来形質転換受容性組織は、優良性能特性を有するトウモロコシに由来する。例えば、小胞子由来形質転換受容性組織は、優良トウモロコシ系統を、高い小胞子培養応答を有する異なるトウモロコシ系統と交雑することによって得られたハイブリッドトウモロコシに由来し得る。さらに、開示される方法のいずれかでは、ハプロイド組織ゲノムが修飾されていることを確認することは、PCRベースのアッセイ、サザンブロットアッセイ、ノーザンブロットアッセイ、タンパク質発現アッセイ、ウエスタンブロットアッセイ、ELISAアッセイまたは次世代配列決定アッセイを実施することを含む。
開示される方法のいずれかのトウモロコシ小胞子に由来する形質転換受容性ハプロイド組織は、トウモロコシから小胞子を含有する雄穂を収穫するステップと、雄穂を約4〜12℃の温度でインキュベートするステップと、雄穂から小胞子を含有する葯を単離するステップと、葯培養培地中で葯を培養して、小胞子由来胚を作製するステップと、小胞子由来胚をカルス培地中で培養し、それによって、小胞子由来形質転換受容性ハプロイド組織を作製するステップとによって得ることができる。
別の実施形態では、修飾されたハプロイド組織ゲノムを含むハプロイド組織は、染色体倍加剤でさらに処理され得、それによって、修飾されたジハプロイドトウモロコシゲノムを含むジハプロイドトウモロコシ組織を製造する。ジハプロイドトウモロコシ組織は、培養され、修飾されたジハプロイドトウモロコシゲノムを含むジハプロイドトウモロコシ植物体に再生され得る。さらに、このようなジハプロイドトウモロコシ植物体は、ハプロイド組織のゲノム修飾についてホモ接合性である。
さらに別の態様では、本開示は、ドナーのターゲッティングされた組込みのための方法であって、ハプロイド組織ゲノムを含むトウモロコシ小胞子由来形質転換受容性ハプロイド組織を準備するステップと、1種または複数のドナーポリヌクレオチドおよび部位特異的ヌクレアーゼをコードする1種または複数のポリヌクレオチドを、形質転換受容性ハプロイド組織に送達するステップと、1種または複数のドナーポリヌクレオチドがハプロイド組織ゲノム中に組み込まれていることおよびハプロイド組織ゲノムがそれによって修飾されていることを確認するステップとを含む、方法に関する。いくつかの実施形態では、形質転換受容性ハプロイド組織は、胚またはカルス組織である。これらの方法では、1種または複数のドナーポリヌクレオチドおよび部位特異的ヌクレアーゼをコードする1種または複数のポリヌクレオチドを、形質転換受容性ハプロイド組織に送達するステップは、植物形質転換法によって行われ得る。いくつかの実施形態では、植物形質転換法は、微粒子銃形質転換法、アグロバクテリウム形質転換法、リン酸カルシウム形質転換法、ポリブレン形質転換法、エレクトロポレーション形質転換法、超音波形質転換法、リポソーム形質転換法、マイクロインジェクション形質転換法、裸のDNA形質転換法、プラスミドベクター形質転換法、ウイルスベクター形質転換法、シリコンカーバイド媒介性形質転換法、エアゾールビーミング形質転換法およびPEG形質転換法を含む。さらなる実施形態では、部位特異的ヌクレアーゼポリヌクレオチドは、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、TALENヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼおよびCRISPRヌクレアーゼからなる群から選択されるヌクレアーゼをコードする。いくつかの実施形態では、部位特異的ヌクレアーゼをコードする1種または複数のポリヌクレオチドは、ハプロイド組織ゲノムのゲノムDNA標的領域を優先的に切断する。さらなる実施形態では、本明細書において開示される方法のいずれかは、ハプロイド組織ゲノム内の1種または複数のドナーポリヌクレオチドの安定な組込みをさらに含む。例えば、1種または複数のドナーポリヌクレオチドは、相同性組換え修復によって、または非相同末端結合修復によって標的領域内に組み込まれ得る。ハプロイドトウモロコシゲノムを修飾するための本明細書において開示される方法のいずれかでは、小胞子由来形質転換受容性組織は、優良性能特性を有するトウモロコシに由来する。例えば、小胞子由来形質転換受容性組織は、優良トウモロコシ系統を、高い小胞子培養応答を有する異なるトウモロコシ系統と交雑することによって得られたハイブリッドトウモロコシに由来する。ハプロイドトウモロコシゲノムを修飾するための本明細書において開示される方法のいずれかでは、ハプロイド組織ゲノムは、ハプロイド組織ゲノム中への組込みを確認するステップが、PCRベースのアッセイ、サザンブロットアッセイ、ノーザンブロットアッセイ、タンパク質発現アッセイ、ウエスタンブロットアッセイ、ELISAアッセイまたは次世代配列決定アッセイを実施するステップを含むことを含む。開示される実施形態のいずれかでは、1種または複数のドナーポリヌクレオチドは、ハプロイド組織ゲノム中に農学的形質を付与し得る(例えば、発現されると、農学的形質を有するトウモロコシを提供する遺伝子をコードする)。例えば、農学的形質は、殺虫剤耐性形質、除草剤許容性形質、窒素使用効率形質、水使用効率形質、栄養価形質、DNA結合形質および選択マーカー形質から選択され得る。開示される実施形態のいずれかでは、ドナーポリヌクレオチドは、トウモロコシ植物体内で安定に発現され得る。さらに、ドナーポリヌクレオチドがハプロイド組織ゲノムに組み込まれる開示される方法のいずれかは、ハプロイド組織を染色体倍加剤で処理して、組み込まれたドナーポリヌクレオチドを含み、それについてホモ接合性である倍加されたハプロイド組織を製造することをさらに含み得る。
別の態様では、本開示は、ドナーポリヌクレオチドを含む植物体に関する。一実施形態では、植物体は、ハプロイドゲノムを含む。さらなる実施形態では、植物体は、ジハプロイドゲノムを含む。このような植物体は、本明細書に開示される方法のいずれかの修飾されたハプロイド組織ゲノムまたは修飾されたジハプロイド組織ゲノムを含む組織から再生され得る。
別の態様では、本開示は、トウモロコシのハプロイドゲノム内に突然変異を導入するための方法であって、ハプロイド組織ゲノムを含むトウモロコシ小胞子由来形質転換受容性ハプロイド組織を準備するステップと、部位特異的ヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチドを、形質転換受容性ハプロイド組織に送達するステップと、ハプロイドトウモロコシゲノムが、コードされる部位特異的ヌクレアーゼポリヌクレオチドによって導入される突然変異を含むことを確認するステップとを含む、方法に関する。形質転換受容性ハプロイド組織は、胚またはカルス組織であり得る。部位特異的ヌクレアーゼをコードする1種または複数のポリヌクレオチドは、植物形質転換法によって形質転換受容性ハプロイド組織に送達され得る。植物形質転換法は、微粒子銃形質転換法、アグロバクテリウム形質転換法、リン酸カルシウム形質転換法、ポリブレン形質転換法、エレクトロポレーション形質転換法、超音波形質転換法、リポソーム形質転換法、マイクロインジェクション形質転換法、裸のDNA形質転換法、プラスミドベクター形質転換法、ウイルスベクター形質転換法、シリコンカーバイド媒介性形質転換法、エアゾールビーミング形質転換法およびPEG形質転換法から選択され得る。開示される方法のいずれかでは、部位特異的ヌクレアーゼポリヌクレオチドは、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、TALENヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼおよびCRISPRヌクレアーゼを含めたヌクレアーゼをコードする。コードされる部位特異的ヌクレアーゼポリヌクレオチドは、ハプロイドトウモロコシゲノムの標的領域でゲノムDNAを優先的に切断するものであり得る。開示される方法のいずれかでは、小胞子由来形質転換受容性組織は、優良性能特性を有するトウモロコシに由来し得る。例えば、小胞子由来形質転換受容性組織は、優良トウモロコシ系統を、高い小胞子培養応答を有する異なるトウモロコシ系統と交雑することによって得られたハイブリッドトウモロコシに由来し得る。開示される方法のいずれかでは、部位特異的ヌクレアーゼをコードする1種または複数のポリヌクレオチドが、突然変異をゲノム中に導入することを確認するステップは、PCRベースのアッセイ、サザンブロットアッセイ、ノーザンブロットアッセイ、タンパク質発現アッセイ、ウエスタンブロットアッセイ、ELISAアッセイまたは次世代配列決定アッセイによって行われ得る。開示される方法のいずれかでは、ハプロイドトウモロコシゲノムが修飾されていることを確認するステップは、PCRベースのアッセイ、サザンブロットアッセイ、ノーザンブロットアッセイ、タンパク質発現アッセイ、ウエスタンブロットアッセイ、ELISAアッセイまたは次世代配列決定アッセイを実施するステップを含む。開示される方法に従って導入される突然変異は、内因性遺伝子の発現を下方制御し得る。いくつかの実施形態では、内因性遺伝子の下方制御は、変更された代謝経路をもたらす。さらに、ドナーポリヌクレオチドがハプロイド組織ゲノム中に組み込まれる開示される方法のいずれかは、ハプロイド組織を、染色体倍加剤で処理して、組み込まれたドナーポリヌクレオチドを含み、それについてホモ接合性である倍加されたハプロイド組織を生成することをさらに含み得る。
一態様では、本開示は、導入された突然変異を含む植物体に関する。いくつかの実施形態では、植物体は、ハプロイド組織ゲノムを含む。その他の実施形態では、植物体は、ジハプロイド組織ゲノムを含む。このような植物は、本明細書に開示される方法に従って生成された、修飾されたハプロイド組織またはジハプロイド組織から再生され得る。
一態様では、本開示は、部位特異的ヌクレアーゼをコードする1種または複数のポリヌクレオチドを、アンドロゲン由来のハプロイド細胞株中に導入するための方法に関する。いくつかの実施形態では、方法は、形質転換受容性アンドロゲン由来ハプロイド細胞株を準備するステップと、部位特異的ヌクレアーゼをコードする1種または複数のポリヌクレオチドを形質転換受容性アンドロゲン由来ハプロイド細胞株に送達するステップと、部位特異的ヌクレアーゼをコードする1種または複数のポリヌクレオチドが、アンドロゲン由来のハプロイド細胞株のゲノムを修飾することを確認するステップとを含む。一実施形態では、アンドロゲン由来のハプロイド細胞株は、ハプロイド小胞子細胞株である。別の実施形態では、ハプロイド小胞子細胞株は、胚またはカルス組織に増殖される。さらなる実施形態では、方法は、部位特異的ヌクレアーゼをコードする1種または複数のポリヌクレオチドを、アンドロゲン由来のハプロイド細胞株に植物形質転換法によって送達するステップを含む。ポリヌクレオチドは、例えば、微粒子銃(biolistic)形質転換法、アグロバクテリウム形質転換法、リン酸カルシウム形質転換法、ポリブレン形質転換法、エレクトロポレーション形質転換法、超音波形質転換法、リポソーム形質転換法、マイクロインジェクション形質転換法、裸のDNA形質転換法、プラスミドベクター形質転換法、ウイルスベクター形質転換法、シリコンカーバイド媒介性形質転換法、エアゾールビーミング形質転換法およびPEG形質転換法などの植物形質転換法によって送達され得る。部位特異的ヌクレアーゼポリヌクレオチドの各々は、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、TALENヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼおよびCRISPRヌクレアーゼから選択されるヌクレアーゼをコードし得る。さらに別の実施形態では、方法は、ゲノムのゲノムDNA標的領域を優先的に修飾する部位特異的ヌクレアーゼをコードする1種または複数のポリヌクレオチドを送達するステップを含む。特定の実施形態では、ゲノムDNA標的領域の単一鎖2種の鎖が切断される。その他の実施形態では、ゲノムDNA標的領域の単一鎖が切断される。1種または複数のドナーポリヌクレオチドを送達するステップを含む開示される方法のいずれかでは、1種または複数のドナーポリヌクレオチドは、修飾されたゲノム内に安定に組み込まれ得る。特定の実施形態では、各ドナーポリヌクレオチドは、ゲノムのゲノムDNA標的領域に対して少なくとも85%同一である少なくとも1つのドメインを含む。さらなる実施形態では、各ドナーポリヌクレオチドは、ゲノムのゲノムDNA標的領域中の2つの異なる配列に対して少なくとも85%同一である2つのドメインを含む。ドナーポリヌクレオチドは、相同性組換え修復によって、または非相同末端結合修復によってゲノムDNA標的領域内に組み込まれ得る。別の実施形態では、部位特異的ヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチドがゲノムを修飾することを確認するステップは、PCRベースのアッセイ、サザンブロットアッセイ、ノーザンブロットアッセイ、タンパク質発現アッセイ、ウエスタンブロットアッセイ、ELISAアッセイまたは次世代配列決定アッセイによって実施される。別の実施形態では、1種または複数のドナーポリヌクレオチドがゲノムDNA標的領域中に組み込まれていることを確認するステップは、PCRベースのアッセイ、サザンブロットアッセイ、ノーザンブロットアッセイ、タンパク質発現アッセイ、ウエスタンブロットアッセイ、ELISAアッセイまたは次世代配列決定アッセイを実施するステップを含む。
なおさらなる実施形態では、開示される方法のいずれかは、アンドロゲン由来のハプロイド細胞株の修飾されたゲノムを含むハプロイド組織を得るステップと、ハプロイド組織を、染色体倍加剤で処理するステップと、修飾されたジハプロイドゲノムを含むジハプロイド組織を製造するステップと、ジハプロイド組織を、修飾されたジハプロイドゲノムを含むジハプロイド植物体に栽培するステップとをさらに含み得る。さらなる実施形態では、アンドロゲン由来のハプロイド細胞株は、トウモロコシ植物体から得られる。開示された実施形態のいずれかでは、修飾されたジハプロイドゲノムは、ゲノムの切断に起因する。
本開示は、トウモロコシ小胞子由来の形質転換受容性ハプロイド組織においてトウモロコシゲノムを修飾するための方法を提供する。方法は、部位特異的ヌクレアーゼをコードする1種または複数のポリヌクレオチドを、形質転換受容性ハプロイド組織に送達するステップと、1種または複数のコードされた部位特異的ヌクレアーゼが、ハプロイドトウモロコシゲノム修飾することを確認するステップとを含む。
アンドロゲン由来細胞株は、小胞子由来植物組織培養物として維持され得る。小胞子由来植物組織培養物は、1セットのみの染色体を含有するハプロイド組織培養物をもたらす。アンドロゲン由来のハプロイド細胞株は、小胞子および花粉などのアンドロゲン性組織もしくは胞子体組織(例えば、父系ハプロイド胚)から作製されるか、または胚もしくはカルス、懸濁液もしくはプロトプラスト培養物として維持され得る。トウモロコシでは、雄性発生およびハプロイド植物生成の報告は、1970年代に遡る(Ku et al., 1978, Proc. Symp. Plant Tissue Cult. 35-42)が、アンドロゲン性胚の低い生成頻度ならびに植物再生および染色体倍加と関連する困難性が、応用育種における葯または小胞子由来植物培養物の一般的な使用を妨げる。これらの基本的な問題の多くは、高度に反応性の生殖質の開発(Petolino et al., 1988, Theor. Appl. Genet. 76:157-159)および染色体倍加のためのin vitro技術(Wan et al., 1991, Theor. Appl. Genet. 77:889-892)で克服されたが、トウモロコシにおいては、大部分について、この技術はほとんど放棄された。
本開示はまた、トウモロコシ小胞子由来形質転換受容性ハプロイド組織におけるハプロイドトウモロコシゲノム中へのドナーポリヌクレオチドのターゲッティングされた組込みのための方法を提供する。方法は、1種または複数のドナーポリヌクレオチドおよび部位特異的ヌクレアーゼをコードする1種または複数のポリヌクレオチドを、形質転換受容性ハプロイド組織中に送達するステップと、1種または複数のドナーポリヌクレオチドが、トウモロコシのハプロイドゲノム中に組み込まれていることを確認するステップとを含む。
本開示は、トウモロコシ小胞子由来の形質転換受容性ハプロイド組織においてハプロイドトウモロコシゲノム内に突然変異を導入し、1種または複数の部位特異的ヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチドを、形質転換受容性ハプロイド組織に送達し、1種または複数のコードされた部位特異的ヌクレアーゼがハプロイドトウモロコシゲノムを修飾することを確認するための方法であって、ハプロイドトウモロコシゲノムが、ゲノムDNA内の挿入または欠失の存在によって示されるような切断によって突然変異される、方法をさらに提供する。
別の態様では、本開示は、形質転換受容性アンドロゲン由来ハプロイド細胞株のゲノムを修飾するための方法を提供する。方法は、部位特異的ヌクレアーゼをコードする1種または複数のポリヌクレオチドを、形質転換受容性アンドロゲン由来ハプロイド細胞株に送達するステップと、コードされた部位特異的ヌクレアーゼが、アンドロゲン由来ハプロイド細胞株のゲノムを修飾することを確認するステップとを含み、アンドロゲン由来ハプロイド細胞株のゲノムは、切断によって修飾される。
定義
別に定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が関連する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同一の意味を有する。矛盾する場合には、定義を含む本願が支配する。文脈によって別に必要とされない限り、単数形の用語は、複数形を含むものとし、複数形の用語は、単数形を含むものとする。本明細書において言及されるすべての刊行物、特許およびその他の参考文献は、特許または特許公報の特定の節のみが、参照により組み込まれると示されない限り、個々の刊行物または特許出願が各々、具体的に、個別に、参照により組み込まれるよう示されるように、すべての目的のために参照によりその全文が組み込まれる。
別に定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が関連する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同一の意味を有する。矛盾する場合には、定義を含む本願が支配する。文脈によって別に必要とされない限り、単数形の用語は、複数形を含むものとし、複数形の用語は、単数形を含むものとする。本明細書において言及されるすべての刊行物、特許およびその他の参考文献は、特許または特許公報の特定の節のみが、参照により組み込まれると示されない限り、個々の刊行物または特許出願が各々、具体的に、個別に、参照により組み込まれるよう示されるように、すべての目的のために参照によりその全文が組み込まれる。
この開示をさらに明らかにするために、以下の用語、略語および定義を提供する。
本明細書において使用される場合、用語「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「有する(has)」、「有している(having)」、「含有する(contains)」または「含有している(containing)」またはその任意のその他の変形は、非排他的である、または制約がないものとする。例えば、要素のリストを含む組成物、混合物、プロセス、方法、物品または装置は、必ずしもそれらの要素のみに限定されず、明確に列挙されていないか、またはこのような組成物、混合物、プロセス、方法、物品または装置に特有ではないその他の要素を含み得る。さらに、逆の意味が明確に記載されない限り、「または」とは、包含的またはを指し、排他的またはを指さない。例えば、条件AまたはBは、以下のいずれによっても満たされる:Aが真であり(または存在し)、Bは偽である(または存在しない)、Aが偽であり(または存在しない)、Bは真である(または存在する)、ならびにAおよびBの両方とも真である(または存在する)。
また、本開示の実施形態の要素または成分に先行する不定冠詞「a(1つの)」および「an(1つの)」は、要素または成分の例の数、すなわち、出現の数に関して非制限的であるものとする。したがって、「a(1つの)」および「an(1つの)」は、1つまたは少なくとも1つのを含むと読み取られなくてはならず、要素または成分の単数形の語形はまた、数が単数形であると明白に意図されない限り複数形を含む。
用語「発明」または「本発明」は、本明細書において、非制限的用語であり、特定の発明のいずれか単一の実施形態を指すものではなく、本願において開示されるようなすべての可能性ある実施形態を包含する。
本明細書において、用語「植物(体)」とは、全植物体および任意の子孫、細胞、組織または植物体の一部を含む。用語「植物の部分」は、例えば、限定するものではないが、種子(成熟種子および未熟種子を含む)、植物を切り取ったもの、植物細胞、植物細胞培養物、植物器官(例えば、花粉、胚、花、果実、シュート、葉、根、茎、および外植片)を含めた植物の任意の部分(単数または複数)を含む。植物組織または植物器官は、種子、プロトプラスト、カルスまたは構造的もしくは機能的単位に組織されている植物細胞の任意のその他の群であり得る。植物細胞または組織培養物は、細胞または組織が得られた植物の生理学的および形態学的特徴を有する植物を再生可能およびその植物と実質的に同一の遺伝子型を有する植物を再生可能であり得る。対照的に、いくつかの植物細胞は、植物体を生成するよう再生され得ない。植物細胞または組織培養物中の再生可能な細胞は、胚、プロトプラスト、成長点細胞、カルス、花粉、葉、葯、根、根端、トウモロコシの毛、花、穀粒、穂、トウモロコシの穂軸、外皮または柄であり得る。
植物の部分は、収穫可能な部分および後代植物の増殖にとって有用な部分を含む。増殖にとって有用な植物部分は、例えば、限定するものではないが、種子、果実、切り取ったもの、実生、塊茎、台木が挙げられる。植物の収穫可能な部分は、例えば、限定するものではないが、花、花粉、実生、塊茎、葉、茎、果実、種子および根を含めた植物の任意の有用な部分であり得る。
植物細胞は、植物の構造的および生理学的単位であり、細胞壁を有さないプロトプラスト細胞および細胞壁を有する植物細胞を含む。植物細胞は、単離された単細胞または細胞の凝集体(例えば、もろいカルスおよび培養細胞)の形態であり得、より高度に組織化された単位(例えば、植物組織、植物器官および植物)の一部であり得る。したがって、植物細胞は、全植物体に再生できる、プロトプラスト、生殖体生成細胞、または細胞もしくは細胞の集合であり得る。このようなものとして、複数の植物細胞を含み、全植物体に再生可能である種子が、本明細書における実施形態において「植物細胞」と考えられる。
本明細書において使用される場合、用語「単離された」とは、分離され、成分が天然に生じる生物の細胞中のその他の生物学的成分(すなわち、その他の染色体および染色体外DNAおよびRNAならびにタンパク質)から離れて製造された生物学的成分(核酸またはタンパク質を含む)を指す。
本明細書において使用される場合、核酸分子に関連して用語「精製された」は、絶対的な純度(均一な調製物など)を必要とせず、代わりに、その天然の細胞環境においてよりも相対的に純粋である(天然レベルと比較して、このレベルは、例えば、濃度または遺伝子発現レベルの点で少なくとも2〜5倍大きい)という指標に相当する。特許請求されるDNA分子は、全DNAから、または全RNAから直接的に得られる。さらに、cDNAクローンは、天然に存在せず、むしろ、部分精製された天然に存在する物質(メッセンジャーRNA)の操作によって得られることが好ましい。mRNAからのcDNAライブラリーの構築は、ライブラリーの作製を含む。個々のcDNAクローンは、cDNAライブラリーを保持する細胞のクローン選択によってライブラリーから製造され得る。したがって、mRNAからのcDNAライブラリーの構築およびそれぞれのcDNAクローンの選択を含むプロセスは、天然のメッセージのおよそ106倍の精製をもたらす。同様に、プロモーターまたは遺伝子DNA配列は、プラスミド中にクローニングされ得る。ゲノムDNAライブラリーなどのこのようなクローンは、天然に存在せず、むしろ、部分精製された、天然に存在する物質の操作によって得られることが好ましい。したがって、これらの技術では、少なくとも1桁の、好ましくは、2または3桁の、より好ましくは、4または5桁の精製が好ましい。
同様に、合成は、成分DNA配列の化学的または機能的変更が起こったという指標に相当する。「合成された」核酸分子およびタンパク質として、PCR増幅によって、または組換え法によって作製される核酸分子およびタンパク質が挙げられ、ここで、精製されたポリヌクレオチドは、プラスミドまたはベクター内の組込みによってさらに修飾される。用語「合成」はまた、宿主細胞(例えば、植物細胞)において組換えDNA法によって調製された核酸およびタンパク質ならびに化学的に合成された核酸分子、タンパク質およびペプチドを包含する。
植物における発現のための遺伝子の操作では、予定宿主植物(単数または複数)のコドンバイアスが、例えば、植物ゲノムのコドン分布または種々の植物遺伝子のタンパク質コーディング領域に関する情報を見出すための公的に入手可能なDNA配列データベースの使用によって決定され得る。ひとたび、最適化された(例えば、植物最適化された)DNA配列が、理論上で、またはコンピュータで設計されると、実際のDNA分子が、設計された配列に正確に対応するよう実験室で合成され得る。このような合成核酸分子は、クローニングされ得るか、そうでなければ、自然のまたは天然供給源に由来するかのように正確に操作され得る。
本明細書において使用される場合、用語「ポリヌクレオチド」、「核酸」および「核酸分子」は、同義的に使用され、単数形の核酸、複数形の核酸、核酸断片、その変異体または誘導体および核酸構築物(例えば、メッセンジャーRNA(mRNA)およびプラスミドDNA(pDNA)を包含し得る。ポリヌクレオチドまたは核酸は、非翻訳5’および/または3’配列およびコード配列を含む全長cDNA配列またはその断片のヌクレオチド配列を含有し得る。ポリヌクレオチドまたは核酸は、非修飾リボヌクレオチドもしくはデオキシリボヌクレオチドまたは修飾リボヌクレオチドもしくはデオキシリボヌクレオチドを含み得る、任意のポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシリボヌクレオチドからなり得る。例えば、ポリヌクレオチドまたは核酸は、一本鎖および二本鎖DNA、一本鎖および二本鎖領域の混合物であるDNA、一本鎖および二本鎖RNA、ならびに一本鎖および二本鎖領域の混合物であるRNAからなり得る。DNAおよびRNAを含むハイブリッド分子は、一本鎖、二本鎖または一本鎖および二本鎖領域の混合物であり得る。前記の用語はまた、ポリヌクレオチドまたは核酸の、化学的に、酵素によって、および代謝によって修飾された形態も包含する。
特定のDNAは、配列がデオキシリボヌクレオチド塩基対合のルールに従って決定されるその補体も指すということは理解される。
本明細書において使用される場合、用語「遺伝子」とは、機能的生成物(RNAまたはポリペプチド/タンパク質)をコードする核酸を指す。遺伝子は、機能的生成物をコードする配列に先行する(5’非コード配列)および/またはそれに続く(3’非コード配列)を含み得る。
本明細書において使用される場合、用語「コード配列」とは、特定のアミノ酸配列をコードする核酸配列を指す。「調節配列」とは、転写、RNAプロセシングもしくは安定性または関連コード配列の翻訳に影響を及ぼす、コード配列の上流(例えば、5’非コード配列)、コード配列内またはコード配列の下流(例えば、3’非コード配列)に位置するヌクレオチド配列を指す。調節配列として、例えば、限定するものではないが、プロモーター、翻訳リーダー配列、イントロン、ポリアデニル化認識配列、RNAプロセシング部位、エフェクター結合部位およびステム−ループ構造が挙げられる。
本明細書において使用される場合、用語「ポリペプチド」は、単数形のポリペプチド、複数形のポリペプチドおよびその断片を含む。この用語は、アミド結合(ペプチド結合としても知られる)によって直線的に連結しているモノマー(アミノ酸)からなる分子を指す。用語「ポリペプチド」とは、2個以上のアミノ酸の任意の鎖(単数または複数)を指し、特定の長さまたは大きさの生成物を指さない。したがって、ペプチド、ジペプチド、トリペプチド、オリゴペプチド、タンパク質、アミノ酸鎖または2個以上のアミノ酸の鎖(単数または複数)を指すために使用される任意のその他の用語は、「ポリペプチド」の定義内に含まれ、前記の用語は、本明細書における「ポリペプチド」と同義的に使用される。ポリペプチドは、自然の生物学的供給源から精製されてもよく、組換え技術によって製造されてもよいが、特定のポリペプチドは、必ずしも特定の核酸から翻訳されない。ポリペプチドは、例えば、限定するものではないが、化学合成によってを含め、任意の適当な方法で作製され得る。
本明細書において使用される場合、用語「天然の」とは、存在する場合には、その自身の調節配列とともに天然に見られるポリヌクレオチド、遺伝子またはポリペプチドの形態を指す。用語「内因性」とは、生物においてその自然の位置にある、または生物のゲノム中にあるポリヌクレオチド、遺伝子またはポリペプチドの天然形態を指す。
対照的に、用語「異種」とは、参照(宿主)生物においてその位置に普通見られない、ポリヌクレオチド、遺伝子またはポリペプチドを指す。例えば、異種核酸は、異なるゲノム位置で参照生物中に普通見られる核酸であり得る。さらなる例によって、異種核酸は、参照生物において普通見られない核酸であり得る。異種ポリヌクレオチド、遺伝子またはポリペプチドを含む宿主生物は、異種ポリヌクレオチド、遺伝子またはポリペプチドを宿主生物中に導入することによって製造され得る。特定の例では、異種ポリヌクレオチドは、対応する天然ポリヌクレオチドとは異なる形態で供給源生物中に再導入される天然コード配列またはその一部を含む。特定の例では、異種遺伝子は、対応する天然遺伝子とは異なる形態で供給源生物中に再導入される天然コード配列またはその一部を含む。例えば、異種遺伝子は、天然宿主中に再導入される非天然調節領域を含むキメラ遺伝子の一部である天然コード配列を含み得る。特定の例では、異種ポリペプチドは、対応する天然ポリペプチドとは異なる形態で供給源生物中に再導入される天然ポリペプチドである。
異種遺伝子またはポリペプチドは、キメラもしくは融合ポリペプチドまたはそれをコードする遺伝子を製造するために、別の遺伝子またはポリペプチドと融合している、機能的ポリペプチドまたは機能的ポリペプチドをコードする核酸配列を含む、遺伝子またはポリペプチドであり得る。特定の実施形態の遺伝子およびタンパク質は、具体的に例示される全長配列およびこれらの配列の部分、セグメント、断片(隣接する断片ならびに全長分子と比較した内部および/または末端欠失を含む)、変異体、突然変異体、キメラおよび融合物を含む。
「内因性」とは、生物または細胞内に起因する材料を指す。
「外因性」とは、生物または細胞の外側に起因する材料を指す。本明細書において使用される場合、外因性は、同様の(同一ではない)核酸が、レシピエント細胞または組織中にすでに存在し得るか否かに関わらず、レシピエント細胞または組織以外の供給源に由来する任意の核酸指すものとする。
本明細書において使用される場合、用語「修飾」は、参照ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドの低減された、実質的に排除されたまたは排除された活性をもたらす、特定の参照ポリヌクレオチドにおける変化を指し得る。あるいは、用語「修飾」は、参照ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドの増大されたまたは増強された活性をもたらす参照ポリヌクレオチドの変化および参照ポリペプチドの増大されたまたは増強された活性をもたらす参照ポリペプチドの変化を指し得る。部位特異的ヌクレアーゼの活性を説明するために使用される場合には、修飾は、参照分子の一部を切断すること(例えば、ゲノムDNAの切断、ゲノムDNAの二本鎖または一本鎖切断のいずれか)を意味し得る。前記のものなどの変化は、例えば、限定するものではないが、参照分子の一部を欠失すること、参照分子を突然変異すること(例えば、自発的突然変異誘発による、ランダム突然変異誘発による、突然変異誘発遺伝子によって引き起こされる突然変異誘発による、およびトランスポゾン突然変異誘発による)、参照分子の一部を置換すること、参照分子中に要素を挿入すること、参照分子の発現を下方制御すること、参照分子の細胞位置を変更すること、参照分子の状態を変更すること(例えば、参照ポリヌクレオチドのメチル化による、および参照ポリペプチドのリン酸化またはユビキチン化による)、参照分子の補因子を除去すること、参照分子をターゲッティングするアンチセンスRNA/DNAの導入、参照分子をターゲッティングする干渉RNA/DNAの導入、参照分子の化学的修飾、参照分子の共有結合による修飾、UV照射もしくはX線を用いる参照分子の照射、参照分子を変更する相同組換え、参照分子を変更する有糸分裂組換え、参照分子のプロモーターの置換および/または前記のいずれかの組合せをもたらし得る。
特定の実施例においてどのヌクレオチドまたはアミノ酸残基が修飾され得るかを調べることにおける手引きは、参照ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの配列を、相同(例えば、相同酵母または細菌)ポリヌクレオチドまたはポリペプチドのものと比較するおよび高い相同性の領域(保存された領域)またはコンセンサス配列において行われる修飾数を最大化することによって見い出され得る。
用語「プロモーター」とは、配列をコードする核酸の発現を制御可能なDNA配列または機能的RNAを指す。実施例において、制御されたコード配列は、プロモーター配列の3’に位置する。プロモーターは、全体として天然遺伝子に由来し得、プロモーターは、本来見られる異なるプロモーターに由来する異なる要素からなり得るか、またはプロモーターは、合成DNAセグメントをさらに含み得る。異なるプロモーターは、異なる組織または細胞種における、または異なる発達段階での、または異なる環境条件もしくは生理学的条件に応じた遺伝子の発現に向けることができるということは当業者によって理解される。前記のプロモーターのすべての例は、公知であり、当技術分野において、異種核酸の発現を制御するために使用される。ほとんどの時点でのほとんどの細胞種において遺伝子を発現させるプロモーターは、一般に「構成的プロモーター」と呼ばれる。さらに、当業者は(多くの場合、不成功であるが)、調節配列の正確な境界を説明するよう試みたが、種々の長さのDNA断片が同一プロモーター活性を有し得ると理解されるようになった。特定の核酸のプロモーター活性は、当業者が精通する技術を使用してアッセイされ得る。
用語「作動可能に連結された」とは、単一核酸での核酸配列の結合を指し、ここで、一方の核酸配列の機能が、もう一方によって影響を受ける。例えば、プロモーターは、プロモーターが、そのコード配列の発現に影響を及ぼすことが可能である(例えば、コード配列が、プロモーターの転写制御下にある)場合にコード配列と作動可能に連結されている。コード配列は、センスまたはアンチセンス配向で調節配列と作動可能に連結され得る。
用語「発現」または「発現している」とは、本明細書において使用される場合、DNAに由来するセンス(mRNA)またはアンチセンスRNAの転写および安定な蓄積を指し得る。発現はまた、mRNAのポリペプチドへの翻訳も指し得る。本明細書において使用される場合、用語「過剰発現」とは、同一遺伝子または関連遺伝子の内因性発現よりも高い発現を指す。したがって、異種遺伝子は、その発現が、匹敵する内因性遺伝子のものよりも高い場合に「過剰発現される」。
本明細書において使用される場合、用語「形質転換」または「形質転換する」とは、遺伝的に安定な継承をもたらす、宿主生物への核酸またはその断片の転移および組込みを指す。形質転換核酸を含有する宿主生物は、「トランスジェニック」、「組換え」または「形質転換された」生物と呼ばれる。形質転換の既知方法として、例えば、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)またはA.リゾゲネス(A. rhizogenes)媒介性形質転換、リン酸カルシウム形質転換、ポリブレン形質転換、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、超音波法(例えば、ソノポレーション)、リポソーム形質転換、マイクロインジェクション、裸のDNAを用いる形質転換、プラスミドベクターを用いる形質転換、ウイルスベクターを用いる形質転換、微粒子銃(biolistic)形質転換(微粒子銃形質転換)、シリコンカーバイドWHISKERS媒介性形質転換、エアゾールビーミングおよびPEG媒介性形質転換が挙げられる。
本明細書において使用される場合、用語「導入された」(核酸を細胞中に導入することに関連して)とは、細胞への形質転換ならびに従来の植物育種技術を利用して実施されるように、核酸を含む植物を第2の植物と掛け合わせ、その結果、第2の植物が核酸を含有することを含む。このような育種技術は、当業者に知られている。植物育種技術の考察については、Poehlman (1995) Breeding Field Crops, 4th Edition, AVI Publication Co., Westport CTを参照のこと。
戻し交配法を使用して、植物に核酸を導入してもよい。この技術は、植物に形質を導入するために数十年使用されてきた。戻し交配(およびその他の植物育種方法論)の説明の一例は、例えば、Poehlman(1995)、前掲およびJensen (1988) Plant Breeding Methodology, Wiley, New York, NYに見い出すことができる。例示的戻し交雑プロトコールでは、対象とする元の植物(「反復親」)を、導入される核酸を保持する第2の植物(「非反復親」)と交配する。この交配種から得られた後代を、次いで、反復親と再度交配し、非反復親に由来する核酸に加えて、反復親の所望の形態的および生理学的特徴の本質的にすべてが、変換された植物において回収される変換された植物が得られるまでこのプロセスを反復する。
本明細書において使用される場合、用語「同系の」とは、実質的に同一遺伝子型を有する(例えば、1種以下の遺伝子が個体間で異なっている)2種の個々の植物(またはその一部、例えば、種子、細胞)を指す。
本明細書において使用される場合、用語「安定な組込み」または「安定な形質転換」、「遺伝子的に安定な遺伝」または「安定に」とは、核酸またはポリヌクレオチドセグメントの、その核酸もしくはポリヌクレオチドセグメントをこれまでは含有していなかった、植物、植物組織、植物オルガネラ(すなわち、プラスチドまたは葉緑体)または植物細胞などの生物のゲノム(一般的に、異種核酸配列または遺伝子)内への導入を指す。得られた組込みは、植物のゲノムに追加され、後代植物に伝達され得る。好ましくは、形質転換は、核酸配列の、植物のゲノムへの安定な組込みをもたらす。本明細書において使用される場合、用語「ゲノム」は、核ゲノム、プラスチドゲノムおよびミトコンドリアゲノムを包含する。比較上、「一時的形質転換」とは、遺伝子的に安定な遺伝を伴わない遺伝子発現をもたらす、核酸断片の、宿主生物の核またはDNA含有オルガネラへの導入を指す。
「結合」とは、高分子間(例えば、タンパク質および核酸間)の配列特異的、非共有結合相互作用を指す。全体としての相互作用が、配列特異的である限り、結合相互作用のすべての成分が、配列特異的である(例えば、DNA骨格中のリン酸残基と接触する)必要はない。このような相互作用は、一般に、10−6M−1以下の解離定数(Kd)を特徴とする。「親和性」とは、結合の強度を指し、結合親和性の増大は、より低いKdと相関している。
「切断」とは、DNA分子の共有結合骨格の切断を指す。切断は、それだけには限らないが、リン酸ジエステル結合の酵素的または化学的加水分解を含めた種々の方法によって開始され得る。一本鎖切断および二本鎖切断の両方が可能であり、二本鎖切断は、2つの別個の一本鎖切断事象の結果として起こり得る。DNA切断は、平滑末端または付着末端のいずれかの生成をもたらし得る。特定の実施形態では、融合ポリペプチドは、ゲノムDNAが修飾されるようなターゲッティングされた二本鎖DNA切断のために使用される。
用語「プラスミド」および「ベクター」とは、本明細書において使用される場合、細胞の中央代謝の一部ではない1種または複数の遺伝子を保持し得る染色体外要素を指す。プラスミドおよびベクターは、通常、環状二本鎖DNA分子である。しかし、プラスミドおよびベクターは、一本鎖または二本鎖DNAまたはRNAの線形または環状核酸であり得、いくつかのヌクレオチド配列が、プロモーター断片およびコーディングDNA配列を、任意の適当な3’非翻訳配列とともに細胞中に導入可能である独特の構築物に結合または組換えられている任意の供給源に由来し得る。実施例では、プラスミドおよびベクターは、自立複製配列、ゲノム組込み配列および/またはファージもしくはヌクレオチド配列を含み得る。
用語「融合タンパク質」は、タンパク質が、2種以上の親タンパク質またはポリペプチドに由来するポリペプチド成分を含むことを示す。通常、融合タンパク質は、1種のタンパク質に由来するポリペプチド配列をコードするヌクレオチド配列が、異なるタンパク質に由来するポリペプチド配列をコードするヌクレオチド配列とインフレームで付加され、任意選択で、異なるタンパク質に由来するポリペプチド配列をコードするヌクレオチド配列からリンカーによって離れている融合遺伝子から発現される。次いで、融合遺伝子は、単一タンパク質として組換え宿主細胞によって発現され得る。
「ハプロイド」とは、1セットの染色体(n)を有する植物細胞、組織または植物を指す。
「ジハプロイド」または「倍加されたハプロイド」または「2倍体」とは、ハプロイドに由来する植物細胞、組織または植物を指す。ジハプロイドは、2セットの染色体(2n)を有し、通常、ホモ接合性である。しかし、突然変異、欠失または挿入またはDNA中の修飾のようなその他のものは、ジハプロイドにおいて通常観察される絶対的なホモ接合性からの幾分かの逸脱につながり得ることがあり得る。同様に、当業者は、ランダムまたはターゲッティングされた突然変異、欠失、挿入を行うことによって、またはDNAまたはその一部をシャッフルすることによってジハプロイドDNAを意図的に修飾できる。このような「修飾されたジハプロイド」は、開示内容によって包含される。ポリプロイドはまた、必要に応じて本開示の方法を使用して得ることができる。ポリプロイドは、3セット以上の染色体を有し、上記で論じられる修飾を除いてホモ接合性でなくてはならない。
「染色体倍加剤」とは、細胞中の染色体の数を倍加する(例えば、ハプロイドから2倍体または2倍体から4倍体など)化学物質を指す。このような薬剤は、通常、コルヒチン、プロナミドまたはAPM(アミプロホス−メチル)などの抗微小管剤である。亜酸化窒素は、倍加剤であると報告されている(参照によりその全文が本明細書に組み込まれる、米国特許出願第2003/0005479号)。当業者は、染色体倍加を引き起こし得る(例えば、正常な細胞周期分裂などを阻止することによって)化合物に精通している。
「カルス」とは、細胞または組織の脱分化した増殖塊を指す。
「I型カルス」とは、形態学的に緻密なトウモロコシカルスであるカルスを指し、それから、器官発生、胚発生または2者の組合せによって全植物体が再生され得る。
「II型カルス」とは、形態学的にもろい、高度に胚発生性のトウモロコシカルスを指す(Armstrong and Green, Planta. 164:207-214. 1985)。
「成熟胚」とは、受粉後およそ15日以上で得ることができる接合体胚を指し、in vitroで培養された場合に、通常、再生可能なカルスを生成しない。
「未熟胚」とは、受粉後およそ15日以下で得ることができる接合体胚を指し、in vitroで培養された場合に、通常、再生可能なカルスを生成する。
用語「接合体胚」は、発芽可能である種子、成熟胚または未熟胚から抽出される種子、成熟胚を包含するよう使用される。
「胚発生培養物」または「胚発生細胞」または「胚発生組織」または「胚」または「胚様構造」とは、植物体に再生できる培養された植物細胞および組織を指す。
「植物成長調節物質または植物ホルモン」とは、植物成長に影響を及ぼす化合物を指す。植物成長調節物質として、それだけには限らないが、オーキシン、サイトカイン、ABA、ジベレリン、エチレン、ブラシノステロイドおよびポリアミンが挙げられる。オーキシンは、低濃度ではシュートおよび根の伸長に影響を及ぼすが、高レベルでは成長を阻害する。よく使用されるオーキシンとして、ピクロラム(4−アミノ−3,5,6−トリクロロピコリン酸)、2,4−D(2,4−ジクロロフェノキシ酢酸)、IAA(インドール−3−酢酸)、NAA(α−ナフタレン酢酸)およびジカンバ(3,6−ジクロロアニス酸)が挙げられる。サイトカインは、細胞分裂、細胞分化およびシュート分化を引き起こす。よく使用されるサイトカインとして、カイネチン、BA(6−ベンジルアミノプリン)、2−ip(2−イソペンテニルアデニン)、BAP(6−ベンジルアミノプリン)、チジアズロン(TDZ)、ゼアチンリボシドおよびゼアチンが挙げられる。
「単子葉植物」または「単子葉の」とは、単一子葉を有する植物を指す。例として、トウモロコシ、イネ、コムギ、カラスムギおよびオオムギのような穀類が挙げられる。
「表現型」とは、生物のゲノム(プラスミドおよび人工染色体などの非ゲノムDNAおよびRNAを含む)および/またはオルガネラ中の核酸の発現(または発現の欠如)に起因する生物によって示される形質を指す。
「再生」とは、植物細胞または組織から植物を成長させるプロセスを指す。
「選択マーカー」または「スクリーニング可能なマーカー」とは、発現が、核酸配列を含有する細胞、組織または植物の同定を容易にする表現型を与える核酸配列を指す。
「胞子体の」とは、2倍の染色体数を有することを特徴とする生活環の相中にある植物を指す。これは、小胞子および花粉を含む「配偶体の」とは対照的である。
アンドロゲン由来のハプロイド細胞株由来の組織
一般に、ゲノムの倍数性レベルは、細胞の核内に存在する染色体セットの数に関する。倍数性レベルは、生物を構成する細胞の種類および/または細胞の供給源に応じて変わり得る。ハプロイド数(n)は、1セットのみの染色体が生物内に存在するという指標である。ジハプロイドまたは2倍体数(2n)は、2セットの染色体が生物内に存在するという指標である。さらに大きな数のセットの染色体、例えば、3倍体(3n)、4倍体(4n)、5倍体(5n)および6倍体(6n)を含有することは、いくつかの生物、特に、植物種にはよくある。増大されたセットの染色体、例えば、3倍体またはそれ以上のこのような例は、一般に、ポリプロイドとして知られている。
一般に、ゲノムの倍数性レベルは、細胞の核内に存在する染色体セットの数に関する。倍数性レベルは、生物を構成する細胞の種類および/または細胞の供給源に応じて変わり得る。ハプロイド数(n)は、1セットのみの染色体が生物内に存在するという指標である。ジハプロイドまたは2倍体数(2n)は、2セットの染色体が生物内に存在するという指標である。さらに大きな数のセットの染色体、例えば、3倍体(3n)、4倍体(4n)、5倍体(5n)および6倍体(6n)を含有することは、いくつかの生物、特に、植物種にはよくある。増大されたセットの染色体、例えば、3倍体またはそれ以上のこのような例は、一般に、ポリプロイドとして知られている。
通常、2倍体(2n)多細胞段階は、生物の生活環を通じて、ハプロイド(n)多細胞段階と交互に起こる。生物の生活環のハプロイド(n)段階は、配偶体段階、例えば、配偶子生成と見なされる。比較上、生物の生活環の2倍体(2n)段階は、胞子体段階、例えば、胞子生成と見なされる。胞子体段階の間に、生物は、減数分裂と呼ばれるプロセスによってハプロイド(n)である小胞子(すなわち、胞子)を生成する。得られた小胞子は、配偶子、例えば、精核を生成でき、これは、受精の際に、大胞子によって生成されるその他の配偶子、例えば、卵核と融合して、2倍体接合子を作製する。
植物では、小胞子は、雄性生殖器において生成される。雄性生殖器は、葯として知られている。葯は、精核を含有する花粉に成熟するハプロイド小胞子を生成する。花粉は、その間に、2つの精核が、2重の受精と、その後の胚および胚乳形成のために胚珠の胚嚢に送達される、植物生活環の短命の雄性配偶体相の始まりを表す。高等植物生活環のこの段階は、通常、2、3の細胞分裂のみからなるが、特定の実験条件下では、小胞子は、介在する受精を伴わずに胚様構造の生成につながる発達の変更を受けるよう誘導され得る。そのようなものとして、これらの胚様構造は、ハプロイド(n)である。このプロセスは、雄性発生と呼ばれ、葯または小胞子培養として知られるin vitro技術の生物学的機序である。
一実施形態では、形質転換受容性アンドロゲン由来細胞株が提供される。その後の実施形態では、形質転換受容性アンドロゲン由来細胞株からハプロイド小胞子細胞株が得られる。さらなる実施形態では、形質転換受容性ハプロイド組織は、トウモロコシ小胞子に由来する。葯由来培養物は、育種系統の製造にとって興味深い植物においてホモ接合性を誘導する迅速な方法を提供する。葯培養は、植物から未熟葯を単離すること、およびこの葯を、花粉粒になるよう運命づけられる葯内の細胞、小胞子を、分裂し始め、それから植物が再生され得る細胞培養物を形成するよう誘導する培地上に置くことを含む。葯培養の一般的な議論については、J. M. Dunwell, "Anther and Ovary Culture", In S. W. J. Bright and M. G. K. Jones, (eds.), Cereal Tissue and Cell Culture, Martinus Nijhoff Publisher, 1985, Dordrecht, pp. 1-44を参照のこと。得られた培養物は、ハプロイドであり、元の植物に由来する単一セットの染色体のみを含有する。これらの培養物に由来する植物は、自発的にか、誘導によってのいずれかで染色体倍加が起こって、2倍加されたハプロイドが生成されない限り不稔であり、2倍加されたハプロイドは十分に稔性であり、完全に近交である。
ここ数十年の間に、ハプロイド植物を製造することを目的とした配偶体細胞のin−vitro培養に関する多数の研究が報告されている。同様に、多数の概説、本の章およびシンポジウムの要旨が公開されてきた(全般的に、Chu, "Haploids in Plant Improvement", In I. K. Vasil, W. R. Scowcroft, K. J. Frey (eds.), Plant Improvement and Somatic Cell Genetics, New York: Academic Press, 1982, pp. 129-158、Heberle-Bors, 1985, "In Vitro Haploid Formation of Pollen: A Critical Review", Theor. Appl. Genet. 71:361-374、およびHu and Yang, "Haploids of Higher Plants in Vitro." Berlin, Heidelberg, Springer-Verlag, 1986を参照のこと)。
葯培養は、理論的には、in−vitroで多数のハプロイド個体が、葯および/または小胞子から直接的に製造され得る方法に相当する。Keller et al., "Haploids from gametophytic cells--recent developments and future prospects", In C. E. Green, D. A. Somers, W. P. Hackett, D. D. Biesoer (eds.), Plant Tissue and Cell Culture, Alan R Liss, New York, pp 223-241, 1986を参照のこと。ハプロイドは、葯、小胞子、子房および胚珠の培養によって雄性および雌性配偶体細胞の両方から再生され得る。陽性のin−vitro反応は、植物が再生できる胚および/またはカルスの発生につながる。in−vitro培養の間の初期事象は、細胞学的、超微細構造的および生化学的レベルで特性決定されてきた(Chen et al., 1984, "Segmentation Patterns and Mechanisms of Genome Multiplication in Cultured Microspores of Barley", J. Can、Genet. Cytol., 26:475-483、Raghavan, 1984, "Protein Synthetic Activity during Normal Pollen Development and During Induced Pollen Embryogenesis in Hyoscyamus niger", J. Can Bot., 62:2493-2513、Huang, "Ultrastructural Aspects of Pollen Embryogenesis in Hordeum, Triticum and Paeonia", 1986)。
さらなる実施形態では、アンドロゲン由来の細胞株、例えば、トウモロコシ小胞子に由来するハプロイド組織は、胚またはカルス組織である。さらなる実施形態では、提供される方法は、カルス形成段階を経る場合もそれを経ない場合もある。ハプロイド胚は、「非カルス促進培地」上に置かれ得る。用語「非カルス促進培地」とは、細胞または組織の脱分化した塊の増殖を支持しない培地を指す。好ましい「非カルス促進培地」は、胚救出のために使用され、当技術分野で周知の通常の塩およびビタミン処方を含有する。このような胚救出または胚培養、培地は、オーキシンをほとんど含有しないか、全く含有しない(概説については、Raghaven, V., 1986, Biol. Rev., 41:1-58を参照のこと)。いくつかの実施形態では、胚成熟培地はまた、別の好ましい「非カルス促進培地」に相当する。胚成熟培地は、in−vitro培養された胚の発達を促進し、早熟発芽を防止するために使用され、通常、標準塩/ビタミン処方(種に応じて)、増大した糖レベルおよび/または外因的に添加されるアブシジン酸を含有し、オーキシンはほとんどまたは全く有さない。シュート培養または複数のシュート増殖のために、別の種類の培地が使用される。この複数シュート培地は、やはり、オーキシンをほとんど含有しないか、または低減されたオーキシンを含有し得るが、代わりに、上昇したレベルの、成長点増殖および成長を促進するサイトカインを含有する。
葯培養は、200をはるかに上回る種において、小胞子由来カルス、胚および植物体を得るために使用されてきた(Maheshwari et al., 1982, "Haploids from Pollen Grains-Retrospect and Prospect", Amer. J. Bot., 69:865-879)。しかし、葯培養応答性は、種間で相当に変わる。応答性葯の最高収率(置かれた100個の葯あたりの、胚および/またはカルスを形成する葯)は、コムギにおいて87パーセント(A. M. Wei, 1982, "Pollen Callus Culture in Triticumaertivum", Theor. Appl. Genet., 63,pp. 71-73)、イネにおいて67パーセント(S. L. Lin and H. S. Tsay, 1983, J. Agr. Res., China, cited in Dunwell, 1985)、トウモロコシにおいて17パーセント(Ting et al., 1981, "Improved Anther Culture of Maize" (Zea mays L.), Plant Science Lett., 23,pp. 139-145)およびオオムギにおいて1パーセント(Z. H. Xu and N. Sunderland, 1982, "Innoculation Density in the Culture of Barley Anthers", Scient. Sinic., 25, pp. 961-968)であるとわかった。ライムギでは、100個の葯あたり43個の発達構造が観察された(G. Wenzel et al., 1977, "Increased Induction and Chromosome Doubling of Androgenetic Haploid Rye", Theor. Appl. Genet., 51, pp. 81-86)。100個の培養された葯あたりのカルス生成緑色植物の頻度は、コムギでは、72パーセント(J. W. Ouyang et al., 1983, "The Response of Anther Culture to Temperature in Triticum Aestivum", Theor. Appl. Genet., 66, pp. 101-109)、イネでは、12パーセント(L. J. Chen et al., "Medium Evaluation for Rice Anther Culture", in A. Fujiwara (ed.), "Plant Tissue Culture", pp. 551-551. Jap. Assoc. Plant Tissue Culture Tokyo, 1982)およびオオムギでは、10パーセント(K. N. Kao, "Plant Formation from Barley Anther Cultures with Ficoll Media", Z. Pflanzenzuchtg., 103, 1981, pp. 437-443)である。
さらなる実施形態では、小胞子は、優良性能特性を有するトウモロコシに由来する。実施形態の一態様では、小胞子は、優良トウモロコシ系統を、高い小胞子培養応答を有する異なるトウモロコシ系統と交雑することによって得られたハイブリッドトウモロコシに由来する。米国特許第5,306,864号明細書(その全文が参照により本明細書に組み込まれる)および米国特許第5,602,310号明細書(その全文が参照により本明細書に組み込まれる)に提供されるように、トウモロコシ(トウモロコシ(Zea mays L.))におけるハプロイド育種の手段としての葯培養の使用は、優良性能系統を含めた、種々のトウモロコシ遺伝子型に容易に適用可能である。葯培養に対して増強された応答を示すトウモロコシ生殖質を同定することを可能にするプロセスは、伝達可能であり、その他の選択遺伝子型において葯培養能を増大し得る。このようなプロセスは、当技術分野で容易に知られ、優良性能系統を含めたトウモロコシ生殖質を、培養された葯および/または小胞子から高レベルのハプロイドおよび/またはジハプロイド組織培養物を生成する植物に変換するために利用され得る。
染色体倍加
一実施形態では、修飾されたハプロイド組織ゲノムを有するハプロイド植物組織を製造する開示される方法のいずれかは、修飾されたハプロイド組織を染色体倍加剤で処理して、ジハプロイド植物組織を製造することをさらに含む。特定の実施形態では、このように製造されたジハプロイド組織は、ハプロイドゲノムにおいて作製された修飾(例えば、組み込まれたドナーポリヌクレオチドまたは突然変異)についてホモ接合性であるゲノムを含む。さらなる実施形態では、修飾されたジハプロイドゲノムを含むトウモロコシ組織は、ゲノム修飾についてホモ接合性である成熟植物に増殖される。
一実施形態では、修飾されたハプロイド組織ゲノムを有するハプロイド植物組織を製造する開示される方法のいずれかは、修飾されたハプロイド組織を染色体倍加剤で処理して、ジハプロイド植物組織を製造することをさらに含む。特定の実施形態では、このように製造されたジハプロイド組織は、ハプロイドゲノムにおいて作製された修飾(例えば、組み込まれたドナーポリヌクレオチドまたは突然変異)についてホモ接合性であるゲノムを含む。さらなる実施形態では、修飾されたジハプロイドゲノムを含むトウモロコシ組織は、ゲノム修飾についてホモ接合性である成熟植物に増殖される。
染色体倍加の方法は、開示内容が参照により本明細書に組み込まれる、Antoine-Michard, S. et at, Plant cell, tissue organ cult., Cordrecht, the Netherlands, Kluwer Academic Publishers, 1907, 48(3):203-207、Kato, A., Maize Genetics Cooperation Newsletter 1897, 38-37、およびWan, Y. et al., Theor. Appl. Genet., 1980, 77:889-892、Wan, Y, et al., Theor. Appl. Genet., 1991, 81:205-211に開示されている。通常の方法は、細胞をコルヒチン、抗微小管剤または抗微小管除草剤、プロナミド、亜酸化窒素または任意の有糸分裂阻害薬と接触させて、ホモ接合性倍加ハプロイド細胞を作製することを含む。その他の薬剤を、有糸分裂阻害剤とともに使用して、倍加効率を改善してもよい。このような薬剤は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アジュバント、界面活性剤などであり得る。
さらなる染色体倍加剤は、当技術分野で公知であり、その全文が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,866,513号明細書に列挙される化学物質が、ジハプロイド植物の作製において使用するために適用可能である。さらに、表1に種々に既知の染色体倍加剤を列挙する。
一実施形態では、本明細書において開示される実生浸漬法のための染色体倍加剤の適した投与量として、例えば、0.01μM、0.5μM、1μM、2μM、3μM、4μM、5μM、10μM、15μM、20μM、25μM、30μM、35μM、40μM、45μM、50μM、60μM、70μM、80μM、90μM、100μM、125μM、150μM、200μM、500μMおよび1000μMが挙げられる。適した範囲としてまた、例えば、0.1〜10μM、1〜100μM、5〜125μM、25〜200μM、50〜500μM、15〜150μMおよび1〜10,000μMが挙げられる。
別の実施形態では、染色体倍加剤は、実生浸漬法において使用される溶液の0.01%〜0.5%の範囲であり得る。例えば、染色体を倍加するために、0.01%、0.02%、0.025%、0.05%、0.075%、0.1%、0.125%、0.15%、0.175%、0.2%、0.225%、0.25%、0.275%、0.3%、0.325%、0.35%、0.375%、0.4%、0.425%、0.45%、0.475%または0.5%の染色体倍加剤が使用され得る。
さらなる実施形態では、本明細書において開示される染色体倍加剤の低い実生死滅率は、コルヒチン(例えば、0.025%での)と比較すると、例えば、処理された実生または植物細胞の総数の10%未満〜約40%または約5%未満〜約20%または約15%未満〜約25%または50%未満の範囲であり得る。
その他の実施形態では、本明細書において開示される実生葉適用法のための染色体倍加剤の適した投与量として、例えば、3.5g ai/ha、70g ai/ha、140 g ai/ha、280 g ai/haが挙げられる。適した適用率として、例えば、5g ai/ha〜1120g ai/ha、より好ましくは、〜2,800g ai/haが挙げられる。
語句「接触すること」は、「直接接触」および「間接接触」への言及を含む。例えば、倍加剤を含む培地は、ハプロイド細胞との直接接触を有する場合も、または倍加剤を含む培地は、濾紙、植物組織またはその他の細胞などの障壁によってハプロイド細胞から離れている場合もあり、したがって、倍加剤は、濾紙または細胞または組織を通ってハプロイド細胞に移動される。接触は、任意の適した方法、例えば、根の水耕栽培処理、噴霧、注入、浸潤、浸漬および湿潤で達成される。
ハプロイド細胞、ハプロイド胚、ハプロイド種子、ハプロイド実生またはハプロイド植物は、染色体倍加剤で処理され得る。ハプロイド胚細胞などのハプロイド細胞を染色体倍加剤と接触させることによって、ハプロイド細胞からホモ接合性植物を再生できる。ハプロイド細胞は、倍加剤と任意の時間量の間接触し得る。一実施形態では、ハプロイド細胞は、1分間、2分間、5分間、10分間、15分間、20分間、25分間、30分間、35分間、45分間、1時間、2時間、5時間、10時間、24時間または48時間、倍加剤と接触する。
ハプロイド胚は、単離されてもよい。穀粒、胚珠または種子内に含有され得、トウモロコシの穂(ears)中の穂(ear)に、または、コムギなどのその他の穀物の場合におけるように穂(spike)にもあり得る。ハプロイド胚を含む穂は、植物にある場合も、植物から単離される場合もある。穂はまた、切片にされてもよい。染色体倍加後、倍加されたハプロイド胚は、母系由来染色体の2コピーを含有することとなる。ハプロイド胚から倍加されたハプロイド植物を得るためのプロセスの効率は、10%、20%、30%、50%、60%、70%、80%または90%を超えるものであり得る。
植物形質転換
開示内容の開示される方法は、植物形質転換法を含む。開示内容の方法において使用され得る植物形質転換法として、それだけには限らないが、部位特異的微粒子銃、アグロバクテリウム形質転換法、リン酸カルシウム形質転換法、ポリブレン形質転換法、エレクトロポレーション形質転換法、超音波形質転換法、リポソーム形質転換法、マイクロインジェクション形質転換法、裸のDNA形質転換法、プラスミドベクター形質転換法、ウイルスベクター形質転換法、シリコンカーバイド媒介性形質転換法、エアゾールビーミング形質転換法またはPEG形質転換法が挙げられる。一般に、DNAまたは任意のその他のポリヌクレオチド配列を、宿主細胞のゲノム中に挿入するために、任意の植物形質転換法が使用され得る。したがって、効率的な形質転換/トランスフェクションを提供する任意の方法が使用され得る。
開示内容の開示される方法は、植物形質転換法を含む。開示内容の方法において使用され得る植物形質転換法として、それだけには限らないが、部位特異的微粒子銃、アグロバクテリウム形質転換法、リン酸カルシウム形質転換法、ポリブレン形質転換法、エレクトロポレーション形質転換法、超音波形質転換法、リポソーム形質転換法、マイクロインジェクション形質転換法、裸のDNA形質転換法、プラスミドベクター形質転換法、ウイルスベクター形質転換法、シリコンカーバイド媒介性形質転換法、エアゾールビーミング形質転換法またはPEG形質転換法が挙げられる。一般に、DNAまたは任意のその他のポリヌクレオチド配列を、宿主細胞のゲノム中に挿入するために、任意の植物形質転換法が使用され得る。したがって、効率的な形質転換/トランスフェクションを提供する任意の方法が使用され得る。
双子葉植物および単子葉植物のための植物形質転換のために、生物学的および物理的形質転換プロトコールを含めた多数の方法が開発されている(例えば、Goto-Fumiyuki et al., Nature Biotech 17:282-286 (1999);Miki et al., Methods in Plant Molecular Biology and Biotechnology, Glick, B. R. and Thompson、J. E.、Eds., CRC Press, Inc., Boca Raton, pp. 67-88 (1993))。さらに、遺伝子発現カセットを含むベクターおよびin vitro培養法は、例えば、Gruber et al., Methods in Plant Molecular Biology and Biotechnology, Glick, B. R. and Thompson, J. E. Eds., CRC Press, Inc., Boca Raton, pp. 89-119 (1993)において入手可能である。
遺伝子発現カセットを含むDNAを植物宿主細胞中に挿入するために多数の技術が利用可能である。それらの技術は、形質転換剤としてアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)またはアグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)を使用する武装解除したT−DNAを用いる形質転換、リン酸カルシウムトランスフェクション、ポリブレン形質転換、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、超音波法(例えば、ソノポレーション)、リポソーム形質転換、マイクロインジェクション、裸のDNA、プラスミドベクター、ウイルスベクター、微粒子銃(biolistic)(微粒子銃(microparticle bombardment))、シリコンカーバイドWHISKERS(商標)媒介性形質転換、エアゾールビーミングまたはポリエチレングリコール媒介性形質転換およびその他の可能性ある方法を含む。
例えば、遺伝子発現カセットを含むDNA構築物は、植物細胞プロトプラストのエレクトロポレーションおよびマイクロインジェクションなどの技術を使用して、植物細胞のゲノムDNA中に直接的に導入され得る。このような植物形質転換法として、例えば、塩化カルシウム沈殿によるプロトプラスト形質転換、DNAのポリエチレングリコール(PEG)またはエレクトロポレーション媒介性取り込み(Paszkowski et al. (1984) EMBO J 3:2717-2722、Potrykus et al. (1985) Molec. Gen. Genet. 199:169-177、Fromm et al. (1985) Proc. Nat. Acad. Sci. USA 82:5824-5828およびShimamoto (1989) Nature 338:274-276を参照のこと)および植物組織のエレクトロポレーション(D'Halluin et al. (1992) Plant Cell 4:1495-1505)が挙げられる。
DNA構築物は、DNA微粒子銃などの微粒子銃(biolistic)法を使用して植物組織に直接的に導入され得る(例えば、Klein et al. (1987) Nature 327:70-73を参照のこと)。微粒子銃(biolistic)法は、DNAが微粒子(microprojectile)の表面上に保持される微粒子(microprojectile)媒介性形質転換を含む。この方法では、発現ベクターは、微粒子(microprojectiles)を、植物細胞壁および細胞膜を透過するのに十分な速度に加速させる微粒子銃(biolistic)装置を用いて、植物組織中に導入される。Sanford et al., Part. Sci. Technol. 5:27 (1987), Sanford, J. C., Trends Biotech. 6:299 (1988), Sanford, J. C., Physiol. Plant 79:206 (1990), Klein et al., Biotechnology 10:268 (1992)。
植物細胞形質転換のためのさらなる方法として、シリコンカーバイドWHISKERS(商標)媒介性DNA取り込みによるマイクロインジェクション(Kaeppler et al. (1990) Plant Cell Reporter 9:415-418)が挙げられる。あるいは、DNA構築物は、ナノ粒子形質転換によって植物細胞中に導入され得る(例えば、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる米国特許出願第12/245,685号明細書を参照のこと)。
遺伝子発現カセットを含むベクターを植物中に導入するために利用されている方法は、アグロバクテリウムの天然形質転換システムに基づいている。Horsch et al. Science 227:1229 (1985)。A.ツメファシエンス(A. tumefaciens)およびA.リゾゲネス(A. rhizogenes)は、植物細胞を遺伝的に形質転換するのに有用であることが知られている植物病原性土壌細菌である。A.ツメファシエンス(A. tumefaciens)およびA.リゾゲネス(A. rhizogenes)のTiおよびRiプラスミドは、それぞれ、植物の遺伝子形質転換に関与する遺伝子を保持する。Kado, C. I., Crit. Rev. Plant. Sci. 10:1 (1991)。アグロバクテリウムベクター系およびアグロバクテリウム媒介性遺伝子導入のための方法の記載はまた、例えば、Gruber et al., 前掲、Miki et al., 前掲、Moloney et al., Plant Cell Reports 8:238 (1989)および米国特許第4,940,838号明細書および同5,464,763号明細書において入手可能である。
アグロバクテリウムが植物形質転換に使用される場合には、挿入されるべきDNAは、中間体ベクターと呼ばれる特定のプラスミド中に、またはバイナリーベクター中にクローニングされ得る。中間体ベクターは、ヘルパープラスミド(コンジュゲーション)の不在下ではアグロバクテリウムにおいて複製できない。日本たばこスーパーバイナリー系は、このような系の一例である(Komari et al., (2006) In: Methods in Molecular Biology No. 343: Agrobacterium Protocols (2nd Edition, Vol. 1) (K. Wang、ed.) HUMANA PRESS Inc., Totowa, NJ, pp.15-41;およびKomori et al. (2007) Plant Physiol. 145:1155-60による総説を参照のこと)。
バイナリーベクターは、大腸菌(e. coli)およびアグロバクテリウムの両方において複製できる。バイナリーベクターは、右および左のT−DNA境界領域によって囲まれている、選択マーカー遺伝子およびリンカーまたはポリリンカーを含む。バイナリーベクターは、アグロバクテリウム中に直接的に形質転換され得る(Holsters, 1978)。アグロバクテリウムは、プラスミド、例えば、通常、T−DNAを植物細胞中に転移するために必要であるvir領域を保持するTiまたはRIプラスミドを含む宿主細胞として使用され得る。
アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)宿主の病原性を使用して、、アグロバクテリウムバイナリーT DNAベクター技術(Bevan (1984) Nuc. Acid Res. 12:8711-8721)または同時培養手順(Horsch et al. (1985) Science 227:1229-1231)により感染したハプロイド組織または細胞中への、ドナーDNAを含有するT鎖の挿入を指示できる。一般に、アグロバクテリウム形質転換系は、双子葉植物を操作するために使用される(Bevan et al. (1982) Ann. Rev. Genet 16:357-384;Rogers et al. (1986) Methods Enzymol. 118:627-641)。アグロバクテリウム形質転換系はまた、単子葉植物および植物細胞を形質転換するため、ならびに単子葉植物および植物細胞にDNAを転移するために使用され得る。米国特許第5,591,616号明細書;Hernalsteen et al. (1984) EMBO J 3:3039-3041;Hooykass-Van Slogteren et al. (1984) Nature 311:763-764; Grimsley et al. (1987) Nature 325:1677-179;Boulton et al. (1989) Plant Mol. Biol. 12:31-40;およびGould et al. (1991) Plant Physiol. 95:426-434を参照のこと。
植物形質転換による遺伝子発現カセットを含む遺伝構築物の導入後に、植物細胞を成長させてもよく、シュートおよび根などの組織の分化が出現すると、成熟した植物が生成され得る。いくつかの実施形態では、複数の植物が生成され得る。植物を再生するための方法論は、当業者に公知であり、例えば、Plant Cell and Tissue Culture, 1994, Vasil and Thorpe Eds. Kluwer Academic Publishersにおいて、およびPlant Cell Culture Protocols (Methods in Molecular Biology 111, 1999 Hall Eds Humana Press)において見出すことができる。一般に、本明細書において記載される修飾された植物は、発酵培地において培養し、土壌などの適した培地において成長させてもよい。いくつかの実施形態では、高等植物の適した成長培地は、それだけには限らないが、土壌、砂、根成長または水耕培養を支持する任意のその他の粒状培地(例えば、バーミキュライト、パーライトなど)ならびに高等植物の成長を最適化する適した光、水および栄養補助物質を含めた、植物のための任意の成長培地を含み得る。
上記の植物形質転換技術のいずれかによって製造される形質転換された植物細胞を、培養して、形質転換された遺伝子型、ひいては、所望の表現型を有する全植物体を再生できる。このような再生技術は、組織培養成長培地中の特定の植物ホルモンの操作に頼るものであり、通常、所望のヌクレオチド配列と一緒に導入されている殺生物剤および/または除草剤マーカーに頼る。培養されたプロトプラストからの植物再生は、Evans, et al., "Protoplast Isolation and Culture" in Handbook of Plant Cell Culture, pp. 124-176, Macmillian Publishing Company, New York, 1983;およびBinding, Regeneration of Plants, Plant Protoplasts, pp. 21-73, CRC Press, Boca Raton, 1985に記載されている。再生はまた、植物カルス、外植片、器官、花粉、胚またはその一部からも得られ得る。このような再生技術は、Klee et al. (1987) Ann. Rev. of Plant Phys. 38:467-486に全般的に記載されている。
形質転換された植物細胞、カルス、組織または植物は、操作された植物材料を、形質転換DNA上に存在するマーカー遺伝子によってコードされる形質について選択またはスクリーニングすることによって同定および単離され得る。例えば、選択は、形質転換遺伝子構築物がそれに対する抵抗性を付与する抗生物質または除草剤の阻害量を含有する培地で、操作された植物材料を成長させることによって実施され得る。さらに、形質転換された植物および植物細胞はまた、組換え核酸構築物上に存在し得る、任意の目に見えるマーカー遺伝子(例えば、ベータ−グルクロニダーゼ、ルシフェラーゼまたはgfp遺伝子)の活性についてスクリーニングすることによって同定され得る。選択およびスクリーニング方法論は、当業者には周知である。
用語トランスジェニック「事象」とは、形質転換および異種DNA、例えば、対象の導入遺伝子を含む発現カセットを有する単一植物細胞の再生によって生成した組換え植物を指す。用語「事象」とは、異種DNAを含む、元の形質転換体および/または形質転換体の後代を指す。用語「事象」はまた、形質転換体と別の植物間の有性交雑によって生成した後代を指す。反復親への反復戻し交雑後でさえ、形質転換された親に由来する、挿入されたDNAおよびそれぞれの両端に位置するDNAは、同一染色体位置に交雑の後代中に存在する。普通、植物組織の形質転換は、各々が植物細胞のゲノム中の異なる位置へのDNA構築物の挿入を表す、複数の事象をもたらす。導入遺伝子の発現またはその他の望ましい特徴に基づいて、特定の事象が選択される。本開示の実施形態では、特定の事象は、ターゲッティングされたゲノム遺伝子座内に挿入されたドナーDNAポリヌクレオチドを含む。
本明細書において、「挿入DNA」とは、植物材料を形質転換するために使用された遺伝子発現カセットを含み得るドナーDNAポリヌクレオチド内の導入遺伝子などの異種DNAを指し、一方、「それぞれの両端に位置するDNA」または「接合部DNA」は、植物などの生物中に天然に存在するゲノムDNAまたは元の挿入DNA分子に対して外来性である、形質転換プロセスによって導入された外来(異種)DNA、例えば、形質転換事象と関連している断片のいずれかを含み得る。「接合部」または「それぞれの両端に位置する領域」または「それぞれの両端に位置する配列」とは、本明細書において、元の外来挿入DNA分子のすぐ上流に、およびそれと連続して、またはそのすぐ下流のいずれかに局在している少なくとも20、50、100、200、300、400、1000、1500、2000、2500または5000塩基対またはそれ以上の配列を指す。
上記の形質転換技術のいずれかによって得られる形質転換されたハプロイド胚を培養して、形質転換された遺伝子型を有する全植物体を再生できる。このような再生技術は、胚救出と呼ばれる。胚救出培地は、特定の植物ホルモンおよびエネルギー供給源またはエネルギー供給源だけを含み得る。成長培地はまた、殺生物剤および/または除草剤などの選択剤を含有し得る。この選択剤は、形質転換プロセスによって導入されているマーカーを示すよう使用され得る。トウモロコシの形質転換および再生は、例えば、Gordon-Kamm et al., The Plant Cell 2:603-618 (1990)に記載されている。
植物への胚の発生は、当技術分野で周知である。未熟倍加ハプロイド胚を植物体に発生させるために使用され得る胚救出技術もまた公知である(Recent Research Developments in Genetics & Breeding. Vol. 1, Part II, 237-303 2004)。その開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
ベクターおよびドナーポリヌクレオチド
一実施形態では、本開示は、ターゲッティングされたゲノム遺伝子座内に挿入される1種または複数のドナーDNAポリヌクレオチドの導入に関する。いくつかの実施形態では、ドナーポリヌクレオチドは、コード配列を含む。コード配列は、例えば、農学的形質を付与する遺伝子(例えば、導入遺伝子)をコードし得る。さらなる実施形態では、農学的形質は、殺虫剤耐性形質、除草剤許容性形質、窒素使用効率形質、水使用効率形質、栄養価形質、DNA結合形質および選択マーカー形質を含む群から選択される。さらなる実施形態では、ドナーポリヌクレオチドは、植物内で発現される。本開示の一実施形態は、1種または複数のドナーポリヌクレオチドを含む植物を含む。実施形態の一態様では、植物は、ハプロイドゲノムを含む。実施形態の別の態様では、植物は、ジハプロイドゲノムを含む。
一実施形態では、本開示は、ターゲッティングされたゲノム遺伝子座内に挿入される1種または複数のドナーDNAポリヌクレオチドの導入に関する。いくつかの実施形態では、ドナーポリヌクレオチドは、コード配列を含む。コード配列は、例えば、農学的形質を付与する遺伝子(例えば、導入遺伝子)をコードし得る。さらなる実施形態では、農学的形質は、殺虫剤耐性形質、除草剤許容性形質、窒素使用効率形質、水使用効率形質、栄養価形質、DNA結合形質および選択マーカー形質を含む群から選択される。さらなる実施形態では、ドナーポリヌクレオチドは、植物内で発現される。本開示の一実施形態は、1種または複数のドナーポリヌクレオチドを含む植物を含む。実施形態の一態様では、植物は、ハプロイドゲノムを含む。実施形態の別の態様では、植物は、ジハプロイドゲノムを含む。
いくつかの実施形態では、ドナーポリヌクレオチドは、遺伝子発現カセットを含む。ここで使用されるような遺伝子発現カセットの構築のための標準組換えDNAおよび分子クローニング技術は、当技術分野で周知であり、例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY (1989)によって;またSilhavy et al., Experiments with Gene Fusions, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY (1984)によって;またAusubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, published by Greene Publishing Assoc. and Wiley-Interscience (1987)によって記載されている。
植物において遺伝子の発現を指示するいくつかのプロモーターがドナーポリヌクレオチドで使用され得る。このようなプロモーターは、構成的、化学調節性、誘導性、組織特異的および種子優先プロモーターから選択され得る。核酸の発現を指示するために使用されるプロモーターは、個々の適用に応じて変わる。例えば、宿主細胞に適している強力な構成的プロモーターが、発現したタンパク質の発現および精製のために通常使用される。
植物プロモーターの限定されない例として、シロイヌナズナ(A.thaliana)ユビキチン−10(ubi-10)(Callis, et al., 1990, J. Biol. Chem., 265:12486-12493);A.ツメファシエンス(A.tumefaciens)マンノピンシンターゼ(Δmas)(Petolino et al.、米国特許第6,730,824号明細書);および/またはキャッサバ葉脈モザイクウイルス(CsVMV)(Verdaguer et al., 1996, Plant Molecular Biology 31:1129-1139)に由来するプロモーター配列が挙げられる。別の構成的プロモーターとして、例えば、コアカリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーター(Odell et al. (1985) Nature 313:810-812);イネアクチンプロモーター(McElroy et al. (1990) Plant Cell 2:163-171);トウモロコシユビキチンプロモーター(米国特許第5,510,474号明細書;Christensen et al. (1989) Plant Mol. Biol. 12:619-632およびChristensen et al. (1992) Plant Mol. Biol. 18:675-689);pEMUプロモーター(Last et al. (1991) Theor. Appl. Genet. 81:581-588);ALSプロモーター(米国特許第5,659,026号明細書);トウモロコシヒストンプロモーター(Chaboute et al. Plant Molecular Biology, 8:179-191 (1987))などが挙げられる。
有用な別の植物プロモーターは、組織特異的および誘導性プロモーターを含む。誘導性プロモーターは、誘導物質に応じて1種または複数のDNA配列または遺伝子の転写を直接的または間接的に活性化できるものである。誘導物質の不在下で、DNA配列または遺伝子は転写されない。通常、誘導性調節エレメントと特異的に結合して転写を活性化するタンパク質因子は、不活性形態で存在し、これは、次いで、誘導物質によって、直接的または間接的に活性形態に変換される。誘導物質は、熱、冷温、塩または毒性要素によって直接的に、またはウイルスなどの病原体もしくは病因物質の作用によって間接的に課せられる、タンパク質、代謝生成物、成長調節物質、除草剤またはフェノール系化合物などの化学物質または生理学的ストレスであり得る。通常、誘導性調節エレメントと特異的に結合して、転写を活性化するタンパク質因子は、不活性形態で存在し、これは、次いで、誘導物質によって、直接的または間接的に活性形態に変換される。誘導性調節エレメントを含有する植物細胞は、噴霧、灌水、加熱または同様の方法によってなど、細胞または植物に誘導物質を外的に適用することによって誘導物質に曝露され得る。
本開示の実施形態では、任意の誘導プロモーターが使用され得る。Ward et al., Plant Mol. Biol. 22: 361-366 (1993)を参照のこと。例示的な誘導プロモーターとして、エクジソン受容体プロモーター(米国特許第6,504,082号明細書);銅に反応するACE1系に由来するプロモーター(Mett et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 90: 4567-4571 (1993));ベンゼンスルホンアミド除草剤解毒剤に反応するトウモロコシ由来のIn2−1およびIn2−2遺伝子(米国特許第5,364,780号明細書;Hershey et al., Mol. Gen. Genetics 227: 229-237 (1991)およびGatz et al., Mol. Gen. Genetics 243: 32-38 (1994));Tn10由来のTetレプレッサー(Gatz et al., Mol. Gen. Genet. 227: 229-237 (1991);転写活性が糖質コルチコステロイドホルモンによって誘導される、ステロイドホルモン遺伝子に由来するプロモーター、Schena et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 88: 10421 (1991)およびMcNellis et al., (1998) Plant J. 14(2):247-257;発芽前除草剤として使用される疎水性求電子性化合物によって活性化されるトウモロコシGSTプロモーター(米国特許第5,965,387号明細書および国際特許出願公開第93/001294号パンフレット);およびサリチル酸によって活性化されるタバコPR−1aプロモーター(Ono S, Kusama M, Ogura R, Hiratsuka K., "Evaluation of the Use of the Tobacco PR-1a Promoter to Monitor Defense Gene Expression by the Luciferase Bioluminescence Reporter System", Biosci Biotechnol Biochem. 2011 Sep 23;75(9):1796-800)が挙げられる。その他の化学物質によって調節される対象とするプロモーターとして、テトラサイクリン誘導性およびテトラサイクリン抑制性プロモーター(例えば、Gatz et al., (1991) Mol. Gen. Genet. 227:229-237および米国特許第5,814,618号明細書および同5,789,156号明細書を参照のこと)が挙げられる。
対象とするその他の調節可能なプロモーターとして、転写が、それぞれ、冷温または熱に対する曝露に応じて達成され得る、冷温反応性調節エレメントまたは熱ショック調節エレメント(Takahashi et al., Plant Physiol. 99:383-390, 1992);嫌気性条件によって誘導可能な、アルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子のプロモーター(Gerlach et al., PNAS USA 79:2981-2985 (1982);Walker et al., PNAS 84(19):6624-6628 (1987));エンドウマメrbcS遺伝子またはエンドウマメpsaDb遺伝子に由来する光誘導性プロモーター(Yamamoto et al., (1997) Plant J. 12(2):255-265);光誘導性調節エレメント(Feinbaum et al., Mol. Gen. Genet. 226:449, 1991;Lam and Chua, Science 248:471, 1990;Matsuoka et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90(20):9586-9590;Orozco et al. (1993) Plant Mol. Bio. 23(6):1129-1138);植物ホルモン誘導性調節エレメント(Yamaguchi-Shinozaki et al., Plant Mol. Biol. 15:905, 1990; Kares et al., Plant Mol. Biol. 15:225, 1990)などが挙げられる。誘導性調節エレメントはまた、ベンゼンスルホンアミド除草剤解毒剤に応答するトウモロコシIn2−1またはIn2−2遺伝子のプロモーター(Hershey et al., Mol. Gen. Gene. 227:229-237, 1991; Gatz et al., Mol. Gen. Genet. 243:32-38, 1994)およびトランスポゾンTn10のTetレプレッサー(Gatz et al., Mol. Gen. Genet. 227:229-237, 1991)であり得る。ストレス誘導性プロモーターとして、P5CSなどの塩/水ストレス誘導性プロモーター(Zang et al., (1997) Plant Sciences 129:81-89);cor15aなどの冷温誘導性プロモーター(Hajela et al., (1990) Plant Physiol. 93:1246-1252)、cor15b(Wilhelm et al., (1993) Plant Mol Biol 23:1073-1077)、wsc1(Ouellet et al., (1998) FEBS Lett. 423-324-328)、ci7(Kirch et al., (1997) Plant Mol Biol. 33:897-909)およびci21A(Schneider et al., (1997) Plant Physiol. 113:335-45);Trg−31(Chaudhary et al., (1996) Plant Mol. Biol. 30:1247-57)およびrd29(Kasuga et al., (1999) Nature Biotechnology 18:287-291)などの乾燥誘導性プロモーター;Rab17などの浸透圧誘導性プロモーター(Vilardell et al., (1991) Plant Mol. Biol. 17:985-93)およびオスモチン(Raghothama et al., (1993) Plant Mol Biol 23:1117-28);熱ショックタンパク質などの熱誘導性プロモーター(Barros et al., (1992) Plant Mol. 19:665-75;Marrs et al., (1993) Dev. Genet. 14:27-41)、smHSP(Waters et al., (1996) J. Experimental Botany 47:325-338);およびパセリユビキチンプロモーターに由来する熱ショック誘導性エレメント(国際公開第03/102198号パンレット)が挙げられる。その他のストレス誘導性プロモーターとして、rip2(米国特許第5,332,808号明細書および米国特許公開第2003/0217393号明細書)およびrd29a(Yamaguchi-Shinozaki et al., (1993) Mol. Gen. Genetics 236:331-340)が挙げられる。アグロバクテリウムpMASプロモーター(Guevara-Garcia et al., (1993) Plant J. 4(3):495-505)およびアグロバクテリウムORF13プロモーター(Hansen et al., (1997) Mol. Gen. Genet. 254(3):337-343)を含めた特定のプロモーターは、創傷によって誘導可能である。
組織優先プロモーターは、特定の植物組織内での増強された転写および/または発現を標的とするために利用され得る。優先発現を指す場合には、意味されることは、特定の植物組織における、その他の植物組織においてよりも高レベルでの発現である。これらの種のプロモーターの例として、ファゼオリンプロモーターによって提供されるものなどの種子優先発現(Bustos et al., (1989) The Plant Cell Vol. 1, 839-853)およびトウモロコシグロブリン−1遺伝子、(Belanger, et al. (1991) Genetics 129:863-972)が挙げられる。双子葉植物について、種子優先プロモーターとして、それだけには限らないが、マメβ−ファゼオリン、ナピン(napin)、β−コングリシニン、ダイズレクチン、クルシフェリンなどが挙げられる。単子葉植物について、種子優先プロモーターとして、それだけには限らないが、トウモロコシ15kDaゼイン、22kDゼイン、27kDaゼイン、γ−ゼイン、ワキシー(waxy)、シュランケン(shrunken)1、シュランケン(shrunken)2、グロブリン1などが挙げられる。種子優先プロモーターとしてまた、例えば、γ−ゼインの胚乳優先プロモーターなどの種子内の特定の組織に遺伝子発現を主に向けるプロモーター、タバコ由来の隠れた(cryptic)プロモーター(Fobert et al., (1994) T-DNA tagging of a seed coat-specific cryptic promoter in tobacco. Plant J. 4: 567-577)、トウモロコシ由来のP遺伝子プロモーター(Chopra et al., (1996) Alleles of the maize P gene with distinct tissue specificities encode Myb-homologous proteinss with C-terminal replacements.Plant Cell 7:1149-1158, Erratum in Plant Cell.1997, 1:109)、トウモロコシ由来のグロブリン−1プロモーター(Belenger and Kriz (1991) Molecular basis for Allelic Polymorphism of the maize Globulin-1 gene. Genetics 129: 863-972)および種子皮またはトウモロコシ穀粒の殻に発現を向けるプロモーター、例えば、果皮特異的グルタミンシンセターゼプロモーター(Muhitch et al., (2002) Isolation of a Promoter Sequence From the Glutamine Synthetase1-2 Gene Capable of Conferring Tissue-Specific Gene Expression in Transgenic Maize. Plant Science 163:865-872)が挙げられる。
プロモーターに加えて、発現カセット(例えば、ベクターにあってもよい)は、通常、原核生物または真核生物いずれかの宿主細胞における核酸の発現に必要なさらなる要素のすべてを含有する転写単位または発現カセットを含有する。したがって、通常の発現カセットは、遺伝子産物(例えば、タンパク質)をコードする核酸配列と作動可能に連結されたプロモーターを含有する。発現カセットはまた、当技術分野で公知の方法に従って作動可能に連結されているさらなる要素:転写物の効率的なポリアデニル化、転写終結、リボソーム結合部位または翻訳終結に必要なシグナルを含み得る。さらに、発現カセットは、エンハンサーおよび/または異種スプライシングシグナルを含み得る。
ドナーポリヌクレオチドの意図される使用に応じて、ドナーポリヌクレオチドまたはベクターのその他の成分も含まれ得る。例として、選択マーカー、ターゲッティングまたは調節配列、最適化された輸送ペプチド配列などの輸送ペプチド配列(米国特許第5,510,471号明細書を参照のこと)RB7 MARなどの安定化配列(Thompson and Myatt, (1997) Plant Mol. Biol., 34: 687-692および国際特許公開第9727207号パンフレットを参照のこと)またはリーダー配列、イントロンなどが挙げられる。植物発現ベクターおよびリポーター遺伝子の一般的な説明および例は、Methods in Plant Molecular Biology and Biotechnology, Glick et al eds; CRC Press pp. 89-119 (1993)中のGruber, et al., "Vectors for Plant Transformation"に見出すことができる。適当な発現ベクターの選択は、宿主および発現ベクターを宿主に導入する方法に応じて変わる。発現カセットはまた、対象とする異種ヌクレオチド配列の3’末端に、植物において機能的である転写および翻訳終結領域を含むこととなる。終結領域は、本開示の実施形態のプロモーターヌクレオチド配列に関して生来的である場合も、対象とするDNA配列に関して生来的である場合も、または別の供給源に由来する場合もある。オクトピンシンターゼおよびノパリンシンターゼ(nos)終結領域などの好都合な終結領域は、A.ツメファシエンス(tumefaciens)のTiプラスミドから入手可能である(Depicker et al., Mol. and Appl. Genet. 1:561-573 (1982)およびShaw et al. (1984) Nucleic Acids Research vol. 12, No. 20 pp7831-7846(nos));Guerineau et al. Mol. Gen. Genet. 262:141-144 (1991);Proudfoot, Cell 64:671-674 (1991);Sanfacon et al. Genes Dev. 5:141-149 (1991);Mogen et al.Plant Cell 2:1261-1272 (1990);Munroe et al. Gene 91:151-158 (1990);Ballas et al., Nucleic Acids Res. 17:7891-7903 (1989); Joshi et al. Nucleic Acid Res. 15:9627-9639 (1987)も参照のこと。
発現カセットは、5’リーダー配列をさらに含有し得る。このようなリーダー配列は、翻訳を増強するよう作用し得る。翻訳リーダーは、当技術分野で公知であり、例として、ピコルナウイルスリーダー、EMCVリーダー(脳心筋炎5’非コーディング領域)、Elroy-Stein et al., Proc. Nat. Acad. Sci. USA 86:6126-6130 (1989);ポティウイルスリーダー、例えば、TEVリーダー(タバコエッチウイルス)Carrington and Freed Journal of Virology, 64:1590-1597 (1990)、MDMVリーダー(トウモロコシ萎縮モザイクウイルス)、Allison et al., Virology 154:9-20 (1986);ヒト免疫グロブリン重鎖結合タンパク質(BiP)、Macejak et al., Nature 353:90-94 (1991);アルファルファモザイクウイルスのコートタンパク質mRNA由来の非翻訳リーダー(AMV RNA 4)、Jobling et al., Nature 325:622-625 (1987);タバコモザイクウイルスリーダー(TMV)、Gallie et al., (1989) Molecular Biology of RNA、237-256頁;およびトウモロコシ退緑斑紋ウイルスリーダー(Maize chlorotic mottle virus leader)(MCMV)Lommel et al., Virology 81:382-385 (1991)が挙げられる。Della-Cioppa et al., Plant Physiology 84:965-968 (1987)も参照のこと。
発現カセット構築物はまた、イントロンなどの翻訳および/またはmRNA安定性を増強する配列を含有し得る。例として、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)のヒストンH3.III変異体の遺伝子IIの第1のイントロンがある。Chaubet et al., Journal of Molecular Biology, 225:569-574 (1992)。
発現カセットにとって、特定のオルガネラ、特に、プラスチド、アミロプラストに向けられた、または小胞体に向けられた、または細胞の表面でもしくは細胞外に分泌される遺伝子産物を発現することが望ましい場合には、発現カセットは、輸送ペプチドのコード配列をさらに含み得る。このような輸送ペプチドは、当技術分野で周知であり、それだけには限らないが、アシル担体タンパク質の輸送ペプチド、RUBISCO、植物EPSPシンターゼおよびヒマワリ(Helianthus annuus)の小サブユニット(米国特許第5,510,417号明細書)、トウモロコシBrittle−1葉緑体輸送ペプチド(Nelson et al., Plant Physiol 117(4):1235-1252 (1998); Sullivan et al., Plant Cell 3(12):1337-48; Sullivan et al., Planta (1995) 196(3):477-84; Sullivan et al., J. Biol. Chem. (1992) 267(26):18999-9004)などが挙げられる。さらに、最適化された輸送ペプチドなどのキメラ葉緑体輸送ペプチドは、当技術分野で公知である(米国特許第5,510,471号明細書)。さらなる葉緑体輸送ペプチドが、米国特許第5,717,084号明細書、および米国特許第5,728,925号明細書において、これまでに記載されている。当業者ならば、特定のオルガネラへ産物を発現させることにおいて利用可能な多数の選択肢を容易に理解する。例えば、オオムギアルファアミラーゼ配列は、発現を小胞体に向けるために使用されることが多い(Rogers, J. Biol. Chem. 260:3731-3738 (1985))。
当業者には、組換えDNA技術は、例えば、宿主細胞内の核酸分子のコピー数、核酸分子が転写される効率、得られた転写物が翻訳される効率および翻訳後修飾の効率を操作することによって、トランスフェクトされた核酸分子の発現の制御を改善し得るということは理解される。さらに、プロモーター配列は、天然プロモーターと比較して、発現のレベルを改善するよう遺伝子操作され得る。核酸分子の発現の制御に有用な組換え技術として、それだけには限らないが、1種または複数の宿主細胞染色体中への核酸分子の安定な組込み、プラスミドへのベクター安定性配列の付加、転写制御シグナル(例えば、プロモーター、オペレーター、エンハンサー)の置換または修飾、翻訳制御シグナル(例えば、リボソーム結合部位、シャイン・ダルガーノ配列またはコザック配列)の置換または修飾、宿主細胞のコドン使用に対応するための核酸分子の修飾および転写物を不安定化する配列の欠失が挙げられる。
形質転換された細胞または組織または植物部分または植物の選択のためのリポーターまたはマーカー遺伝子が、形質転換ベクター中に含まれ得る。選択マーカーの例として、除草剤または抗生物質などの代謝拮抗剤に対する抵抗性を付与するもの、例えば、メトトレキサートに対する抵抗性を付与するジヒドロ葉酸レダクターゼ(Reiss, Plant Physiol. (Life Sci. Adv.) 13:143-149, 1994;Herrera Estrella et al., Nature 303:209-213, (1983);Meijer et al., Plant Mol. Biol. 16:807-820, (1991));アミノグリコシドネオマイシン、カナマイシンおよびパロマイシン(paromycin)に対する抵抗性を付与するネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(Herrera-Estrella, EMBO J. 2:987-995, 1983およびFraley et al., Proc. Natl. Acad. Sci USA 80:4803 (1983))およびハイグロマイシンに対する抵抗性を付与するハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ(Marsh, Gene 32:481-485, (1984);Waldron et al., Plant Mol. Biol. 5:103-108, (1985);Zhijian et al., Plant Science 108:219-227, (1995)も参照のこと);細胞がトリプトファンの代わりにインドールを利用することを可能にするtrpB;細胞がヒスチジンの代わりにヒスチノールを利用することを可能にするhisD(Hartman, Proc. Natl. Acad. Sci., USA 85:8047, (1988));細胞がマンノースを利用することを可能にするマンノース−6−ホスフェートイソメラーゼ(国際特許出願第94/20627号パンフレット);オルニチンデカルボキシラーゼ阻害剤、2−(ジフルオロメチル)−DL−オルニチンに対する抵抗性を付与するオルニチンデカルボキシラーゼ(DFMO; McConlogue, 1987, In: Current Communications in Molecular Biology, Cold Spring Harbor Laboratory ed.);およびブラストサイジンSに対する抵抗性を付与する、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)由来のデアミナーゼ(Tamura, Biosci. Biotechnol. Biochem. 59:2336-2338, (1995))が挙げられる。
さらなる選択マーカーとして、例えば、イミダゾリノンまたはスルホニル尿素抵抗性を付与する突然変異体アセト乳酸シンターゼ(Lee et al., EMBO J. 7:1241-1248, (1988))、アトラジンに対する抵抗性を付与する突然変異体psbA(Smeda et al., Plant Physiol. 103:911-917, (1993))または突然変異体プロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ(米国特許第5,767,373号明細書を参照のこと)またはグルホシネートなどの除草剤に対する抵抗性を付与するその他のマーカーが挙げられる。適した選択マーカー遺伝子の例として、それだけには限らないが、クロラムフェニコール(Herrera Estrella et al., EMBO J. 2:987-992, (1983));ストレプトマイシン(Jones et al., Mol. Gen. Genet. 210:86-91, (1987));スペクチノマイシン(Bretagne-Sagnard et al., Transgenic Res. 5:131-137, (1996));ブレオマイシン(Hille et al., Plant Mol. Biol. 7:171-176, (1990));スルホンアミド(Guerineau et al., Plant Mol. Biol. 15:127-136, (1990));ブロモキシニル(Stalker et al., Science 242:419-423, (1988));グリホサート(Shaw et al., Science 233:478-481, (1986));ホスフィノトリシン(DeBlock et al., EMBO J. 6:2513-2518, (1987))に対する抵抗性をコードする遺伝子などが挙げられる。
選択遺伝子の使用のための1つの選択肢は、グルホシネート抵抗性をコードするDNAであり、一実施形態では、キャッサバ葉脈モザイクウイルスプロモーターの制御下の、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ(pat)、トウモロコシ最適化pat遺伝子またはbar遺伝子である。これらの遺伝子は、ビアラホスに対する抵抗性を付与する(Wohlleben et al., (1988) Gene 70: 25-37);Gordon-Kamm et al., Plant Cell 2:603; 1990; Uchimiya et al., Biotechnology 11:835, 1993;White et al., Nucl. Acids Res. 18:1062、1990; Spencer et al., Theor. Appl. Genet. 79:625-631, 1990;およびAnzai et al., Mol. Gen. Gen. 219:492、1989を参照のこと)を参照。pat遺伝子の1つのバージョンとして、トウモロコシ最適化pat遺伝子があり、米国特許第6,096,947号明細書に記載されている。
さらに、ポリヌクレオチドをコードするマーカーを含有する植物細胞の同定を容易にするマーカーが使用され得る。配列の存在が、測定可能な産物をもたらし、植物細胞の破壊を伴わずに産物をもたらし得る場合には、スコア化可能なまたはスクリーニング可能なマーカーは有用である。例として、種々の発色基質が公知である酵素をコードするβ−グルクロニダーゼまたはuidA遺伝子(GUS)(例えば、米国特許第5,268,463号明細書および同5,599,670号明細書);クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(Jefferson et al. The EMBO Journal vol. 6 No. 13 pp. 3901-3907);およびアルカリホスファターゼが挙げられる。好ましい実施形態では、使用されるマーカーは、ベータ−カロテンまたはプロビタミンA(Ye et al., Science 287:303-305-(2000))である。この遺伝子は、イネの栄養を増強するために使用されてきたが、この例では、代わりに、スクリーニング可能なマーカーとしてとして使用され、対象とする遺伝子と連結している遺伝子の存在は、提供される金色によって検出される。遺伝子が、植物へのその栄養的な貢献のために使用される状況とは異なり、マーキング目的には、少量のタンパク質で十分である。その他のスクリーニング可能なマーカーとして、例えば、中でも、植物組織におけるアントシアニン色素(赤色)の製造を調節する生成物をコードする、R−遺伝子座遺伝子(Dellaporta et al., in Chromosome Structure and Function, Kluwer Academic Publishers, Appels and Gustafson eds., pp. 263-282 (1988));トウモロコシC1遺伝子(Kao et al., Plant Cell (1996) 8: 1171-1179;Scheffler et al., Mol. Gen. Genet. (1994) 242:40-48)およびトウモロコシC2(Wienand et al., Mol. Gen. Genet. (1986) 203:202-207)などのフラボノイド色素の生合成を制御する遺伝子;B遺伝子(Chandler et al., Plant Cell(1989) 1:1175-1183)、p1遺伝子(Grotewold et al., Proc. Natl. Acad. Sci USA (1991) 88:4587-4591;Grotewold et al., Cell (1994) 76:543-553;Sidorenko et al., Plant Mol. Biol. (1999)39:11-19);bronze遺伝子座遺伝子(Ralston et al., Genetics (1988) 119:185-197;Nash et al., Plant Cell (1990) 2(11): 1039-1049)を含めた、全般的に、アントシアニン/フラボノイド遺伝子が挙げられる(Taylor and Briggs, The Plant Cell (1990)2:115-127での考察を参照のこと)。
適したマーカーのさらなる例として、シアン蛍光タンパク質(CYP)遺伝子(Bolte et al., (2004) J. Cell Science 117: 943-54およびKato et al., (2002) Plant Physiol 129: 913-42)、黄色蛍光タンパク質遺伝子(Evrogen製のPHIYFP(商標);Bolte et al., (2004) J. Cell Science 117: 943-54を参照のこと);ルシフェラーゼをコードし、例えば、X線フィルム、シンチレーション計数、蛍光分光光度測定、微光ビデオカメラ、光子計数カメラまたはマルチウェルルミノメトリーを使用してその存在が検出され得る、lux遺伝子(Teeri et al. (1989) EMBO J. 8:343);緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子(Sheen et al., Plant J. (1995) 8(5):777-84);およびマーカー遺伝子で形質転換された植物細胞が、赤色であり、したがって、視覚的に選択可能である、DsRed2(Dietrich et al., (2002) Biotechnologys 2(2):286-293)が挙げられる。さらなる例として、種々の発色基質(例えば、PADAC、発色性セファロスポリン)が公知である酵素をコードするβ−ラクタマーゼ遺伝子(Sutcliffe, Proc. Nat'l. Acad. Sci. U.S.A. (1978) 75:3737);発色性カテコールを変換できるカテコールジオキシゲナーゼをコードするxylE遺伝子(Zukowsky et al., Proc. Nat'l. Acad. Sci. U.S.A. (1983) 80:1101);α−アミラーゼ遺伝子(Ikuta et al., Biotech. (1990) 8:241)およびチロシンをDOPAおよびドーパキノンに酸化でき、順に、これが縮合して、容易に検出可能な化合物メラニンを形成する酵素をコードするチロシナーゼ遺伝子(Katz et al., J. Gen. Microbiol. (1983) 129:2703)が挙げられる。明確に、多数のこのようなマーカーが利用可能であり、当業者に公知である。
特定の実施形態では、発現カセット中に遺伝子産物をコードする導入遺伝子のヌクレオチド配列は、任意選択で、カセットおよび/または植物中で対象の別のヌクレオチド配列と組み合わされ得る。用語「対象とするヌクレオチド配列」とは、所望のポリペプチドまたはタンパク質をコードする、転写されたRNA分子およびDNA分子であり得る核酸分子(ポリヌクレオチドとも呼ばれ得る)を指し、必ずしもポリペプチドまたはタンパク質をコードしない、全遺伝子を構成しない核酸分子(例えば、プロモーター)も指し得る。例えば、特定の実施形態では、導入遺伝子は、グリホサートもしくは別の除草剤に対するさらなる抵抗性もしくは耐性、および/または選定された昆虫または疾患に対する抵抗性および/もしくは栄養強化および/もしくは改善された農学的特徴、および/またはタンパク質もしくは食餌、食物、工業的用途、医薬的用途もしくはその他の用途において有用なその他の生成物を提供する別の対象とするヌクレオチド配列と組み合わされ、または「積み重ねられ」得る。植物ゲノム内の対象とする2種以上の核酸配列の「スタッキング」は、例えば、2以上の事象、対象とする配列を含有する構築物を用いる植物の形質転換、トランスジェニック植物トランスジェニック植物の再形質転換または相同組換えを介した標的組込みによる新規形質の付加を使用する従来の植物育種によって達成され得る。
対象のこのようなヌクレオチド配列として、それだけには限らないが、(1)有害生物または疾患に対する耐性、(2)除草剤に対する耐性および(3)以下に提供される付加価値のある形質を付与する遺伝子またはコード配列の例が挙げられる。
1.有害生物または疾患に対して抵抗性を付与する遺伝子またはコード配列(例えば、iRNA)
(A)植物疾患抵抗性遺伝子。植物防御は、植物中の疾患抵抗性遺伝子(R)の生成物と、病原体中の対応する病原性(Avr)遺伝子の生成物間の特定の相互作用によって活性化されることが多い。ある植物の種類が、クローニングされた抵抗性遺伝子を用いて形質転換され、特定の病原体株に対して抵抗性である植物に操作できる。このような遺伝子の例として、クラドスポリウム・フルブム(Cladosporium fulvu)に対する抵抗性のための、トマトCf−9遺伝子(Jones et al., 1994 Science 266:789)、トマト斑葉細菌病に対する抵抗性のためのプロテインキナーゼをコードする、トマトPto遺伝子(Martin et al., 1993 Science 262:1432)およびシュードモナス・シリンゲ(Pseudomonas syringae)に対する抵抗性のための、アラビドプシス属(Arabidopsis)RSSP2遺伝子(Mindrinos et al., 1994 Cell 78:1089)が挙げられる。
(A)植物疾患抵抗性遺伝子。植物防御は、植物中の疾患抵抗性遺伝子(R)の生成物と、病原体中の対応する病原性(Avr)遺伝子の生成物間の特定の相互作用によって活性化されることが多い。ある植物の種類が、クローニングされた抵抗性遺伝子を用いて形質転換され、特定の病原体株に対して抵抗性である植物に操作できる。このような遺伝子の例として、クラドスポリウム・フルブム(Cladosporium fulvu)に対する抵抗性のための、トマトCf−9遺伝子(Jones et al., 1994 Science 266:789)、トマト斑葉細菌病に対する抵抗性のためのプロテインキナーゼをコードする、トマトPto遺伝子(Martin et al., 1993 Science 262:1432)およびシュードモナス・シリンゲ(Pseudomonas syringae)に対する抵抗性のための、アラビドプシス属(Arabidopsis)RSSP2遺伝子(Mindrinos et al., 1994 Cell 78:1089)が挙げられる。
(B)Bt δ−エンドトキシン遺伝子のヌクレオチド配列などの、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)タンパク質、その誘導体またはそれをモデルにした合成ポリペプチド(Geiser et al., 1986 Gene 48:109)および栄養型殺虫性(VIP)遺伝子(例えば、Estruch et al., (1996) Proc. Natl. Acad. Sci. 93:5389-94を参照のこと)。さらに、δ−エンドトキシン遺伝子をコードするDNA分子は、American Type Culture collection (Rockville、Md.)からATCC受託番号40098、67136、31995および31998の下で購入できる。
(C)いくつかのクンシラン(Clivia miniata)マンノース結合レクチン遺伝子のヌクレオチド配列などの、レクチン(Van Damme et al., 1994 Plant Molec. Biol. 24:825)。
(D)昆虫有害生物に対する殺うじ剤として有用であるアビジンおよびアビジン相同体などの、ビタミン結合タンパク質。米国特許第5,659,026号明細書を参照のこと。
(E)酵素阻害剤、例えば、プロテアーゼ阻害剤またはアミラーゼ阻害剤。
このような遺伝子の例として、イネシステインプロテイナーゼ阻害剤(Abe et al., 1987 J. Biol. Chem. 262:16793)、タバコプロテイナーゼ阻害剤I(Huub et al., 1993 Plant Molec. Biol. 21:985)およびα−アミラーゼ阻害剤(Sumitani et al., 1993 Biosci. Biotech. Biochem. 57:1243)が挙げられる。
このような遺伝子の例として、イネシステインプロテイナーゼ阻害剤(Abe et al., 1987 J. Biol. Chem. 262:16793)、タバコプロテイナーゼ阻害剤I(Huub et al., 1993 Plant Molec. Biol. 21:985)およびα−アミラーゼ阻害剤(Sumitani et al., 1993 Biosci. Biotech. Biochem. 57:1243)が挙げられる。
(F)昆虫特異的ホルモンまたはフェロモン、例えば、エクジステロイドおよび幼若ホルモンその変異体、それをベースとしたミメティックまたはそのアンタゴニストもしくはアゴニスト、例えば、クローニングされた幼若ホルモンエステラーゼのバキュロウイルス発現、幼若ホルモンの不活化(Hammock et al., 1990 Nature 344:458)。
(G)発現すると、影響を受ける有害生物の生理学を撹乱する、昆虫特異的ペプチドまたはニューロペプチド(J. Biol. Chem. 269:9)。このような遺伝子の例として、昆虫利尿ホルモン受容体(Regan, 1994)、ディプロプテラ・プンクタータ(Diploptera punctata)において同定されたアロスタチン(allostatin)(Pratt,1989)および昆虫特異的、麻痺性神経毒(米国特許第5,266,361号明細書)が挙げられる。
(H)蛇、スズメバチなどによって天然に産生される昆虫特異的毒液、例えば、サソリ昆虫毒ペプチド(Pang, (1992) Gene 116:165)。
(I)モノテルペン、セスキテルペン、ステロイド、ヒドロキサム酸、フェニルプロパノイド誘導体または殺虫活性を有する別の非タンパク質分子の高度集積に関与している酵素
(J)生物学的に活性な分子の翻訳後修飾を含めた、修飾に関与している酵素、例えば、天然または合成に関わらず、解糖酵素、タンパク質分解酵素、脂肪分解酵素、ヌクレアーゼ、シクラーゼ、トランスアミナーゼおよびエステラーゼ、ヒドロラーゼ、ホスファターゼ、キナーゼ、ホスホリラーゼ、ポリメラーゼ、エラスターゼ、キチナーゼおよびグルカナーゼ。このような遺伝子の例として、callas遺伝子(PCT公開出願第93/02197号パンフレット)、キチナーゼをコードする配列(例えば、ATCCから受託番号3999637および67152の下で入手できる)、タバコ鉤虫キチナーゼ(Kramer et al., (1993) Insect Molec. Biol. 23:691)およびパセリubi4−2ポリユビキチン遺伝子(Kawalleck et al., (1993) Plant Molec. Biol. 21:673)が挙げられる。
(K)シグナル変換をシミュレートする分子。このような分子の例として、リョクトウカルモジュリンcDNAクローンのヌクレオチド配列(Botella et al., (1994) Plant Molec. Biol. 24:757)およびトウモロコシカルモジュリンcDNAクローンのヌクレオチド配列(Griess et al., (1994) Plant Physiol. 104:1467)が挙げられる。
(L)疎水性モーメントペプチド。米国特許第5,659,026号明細書および同5,607,914号明細書を参照のこと;後者は、疾患抵抗性を付与する合成抗菌ペプチドを教示している。
(M)膜透過酵素、チャネル形成剤またはチャネル遮断剤、例えば、トランスジェニックタバコ植物をシュードモナス・ソラナセアラム(Pseudomonas solanacearum)に対して抵抗性にする、セクロピン−ベータ溶菌性ペプチド類似体(Jaynes et al., (1993) Plant Sci. 89:43)。
(N)ウイルス侵襲性タンパク質またはそれに由来する複合毒素。例えば、形質転換植物細胞におけるウイルスコートタンパク質の蓄積は、ウイルス感染および/またはコートタンパク質遺伝子が由来するウイルスによって、ならびに関連ウイルスによって達成される疾患発生に対する抵抗性を与える。アルファルファモザイクウイルス、キュウリモザイクウイルス、タバコ条斑ウイルス、ジャガイモウイルスX、ジャガイモウイルスY、タバコエッチウイルス、タバコ茎えそウイルスおよびタバコモザイクウイルスに対して、コートタンパク質媒介性抵抗性が形質転換植物に付与されている。例えば、Beachy et al., (1990) Ann. Rev. Phytopathol. 28:451を参照のこと。
(O)昆虫特異的抗体またはそれに由来する免疫毒素。したがって、昆虫腸において重大な代謝機能にターゲッティングされる抗体は、影響を受ける酵素を不活化し、昆虫を死滅させる。例えば、Taylor et al., (1994) Abstract #497、Seventh Intl. Symposium on Molecular Plant-Microbe Interactionsは、一本鎖抗体断片の製造によるトランスジェニックタバコにおける酵素性不活性化を示す。
(P)ウイルス特異的抗体。例えば、組換え抗体遺伝子を発現するトランスジェニック植物は、ウイルス攻撃から保護されるということを示すTavladoraki et al., (1993) Nature 266:469を参照のこと。
(Q)病原体または寄生生物によって天然に生成される発達遅延性タンパク質。したがって、真菌エンドα−1,4−Dポリガラクツロナーゼは、植物細胞壁ホモ−α−1,4−D−ガラクツロナーゼを可溶化することによって、真菌コロニー形成および植物栄養放出を促進する(Lamb et al., (1992) Biotechnology 10:1436)。マメエンドポリガラクツロナーゼ阻害性タンパク質をコードする遺伝子のクローニングおよび特性決定が、(Toubart et al., (1992) Plant J. 2:367)に記載されている。
(R)植物によって天然に生成される発達遅延性タンパク質、例えば、真菌疾患に対する増大した抵抗性を提供するオオムギリボソーム不活化遺伝子(Longemann et al., (1992). Biotechnology 10:3305)。
(S)RNA分子をコードするDNAポリヌクレオチドが、標的遺伝子の発現を阻害するために使用される、RNA干渉。一例では、RNA分子は、部分的または完全に二本鎖であり、サイレンシング反応を引き起こし、dsRNAの低分子干渉RNAへの切断をもたらし、次いで、これが、相同mRNAを破壊するターゲッティング複合体中に組み込まれる。例えば、Fire et al.、米国特許第6,506,559号明細書;Graham et al.、米国特許第6,573,099号明細書を参照のこと。
2.除草剤に対する抵抗性を付与する遺伝子またはコード配列
(A)成長点または分裂組織を阻害する除草剤、例えば、イミダゾリノン(imidazalinone)、スルホンアニリドまたはスルホニル尿素除草剤に対する抵抗性または耐性をコードする遺伝子。このカテゴリー中の例示的遺伝子は、突然変異体ALS酵素をコードし(Lee et al., (1988) EMBOJ. 7:1241)、これは、AHAS酵素としても知られている(Miki et al., (1990) Theor. Appl. Genet. 80:449)。
(A)成長点または分裂組織を阻害する除草剤、例えば、イミダゾリノン(imidazalinone)、スルホンアニリドまたはスルホニル尿素除草剤に対する抵抗性または耐性をコードする遺伝子。このカテゴリー中の例示的遺伝子は、突然変異体ALS酵素をコードし(Lee et al., (1988) EMBOJ. 7:1241)、これは、AHAS酵素としても知られている(Miki et al., (1990) Theor. Appl. Genet. 80:449)。
(B)突然変異体EPSPシンターゼおよびaroA遺伝子によって、またはGAT(グリホサートアセチルトランスフェラーゼ)もしくはGOX(グリホサートオキシダーゼ)などの遺伝子およびグルホシネート(patおよびbar遺伝子;DSM−2)などのその他のホスホノ化合物ならびにアリールオキシフェノキシプロピオン酸およびシクロヘキサンジオン(ACCアーゼ阻害剤をコードする遺伝子)による代謝不活性化によって与えられる、グリホサートに対する抵抗性または耐性をコードする1種または複数のさらなる遺伝子。例えば、グリホサート抵抗性を付与できるEPSPの形態のヌクレオチド配列を開示する米国特許第4,940,835号明細書を参照のこと。突然変異体aroA遺伝子をコードするDNA分子は、ATCC受託番号39256の下で得ることができ、突然変異体遺伝子のヌクレオチド配列は、米国特許第4,769,061号明細書に開示されている。欧州特許出願第0333033号明細書および米国特許第4,975,374号明細書には、L−ホスフィノトリシンなどの除草剤に対する抵抗性を付与するグルタミンシンセターゼ遺伝子のヌクレオチド配列が開示されている。ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ遺伝子のヌクレオチド配列は、欧州特許出願第0242246号明細書に提供されている。De Greef et al., (1989) Biotechnology 7:61には、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ活性のためにキメラbar遺伝子コーディングを発現するトランスジェニック植物の製造が記載されている。アリールオキシフェノキシプロピオン酸およびセトキシジムおよびハロキシホップなどのシクロヘキサンジオンに対する抵抗性を付与する遺伝子の例示的なものとして、Marshall et al., (1992) Theor. Appl. Genet. 83:435に記載される、Accl−S1、Accl−S2およびAccl−S3遺伝子がある。
(C)光合成を阻害する除草剤、例えば、トリアジンに対する抵抗性または耐性をコードする遺伝子(psbAおよびgs+遺伝子)およびベンゾニトリル(ニトリラーゼ遺伝子)。Przibilla et al., (1991) Plant Cell 3:169には、クラミドモナス(Chlamydomonas)を形質転換するための突然変異体psbA遺伝子をコードするプラスミドの使用が記載されている。ニトリラーゼ遺伝子のヌクレオチド配列は、米国特許第4,810,648号明細書に開示されており、これらの遺伝子を含有するDNA分子は、ATCC受託番号53435、67441および67442の下で入手可能である。グルタチオンS−トランスフェラーゼのDNAコーディングのクローニングおよび発現は、Hayes et al., (1992) Biochem. J. 285:173に記載されている。
(D)ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ(HPPD)、パラ−ヒドロキシフェニルピルビン酸(HPP)がホモゲンチジン酸に形質転換される反応を触媒する酵素と結合する除草剤に対する抵抗性または耐性をコードする遺伝子。これは、イソキサゾール(欧州特許第418175号明細書、欧州特許第470856号明細書、欧州特許第487352号明細書、欧州特許第527036号明細書、欧州特許第560482号明細書、欧州特許第682659号明細書、米国特許第5,424,276号明細書)、特に、トウモロコシの選択的除草剤であるイソキサフルトール、ジケトニトリル(欧州特許第496630号明細書、および欧州特許第496631号明細書)、特に、2−シアノ−3−シクロプロピル−1−(2−SO2CH3−4−CF3フェニル)プロパン−1,3−ジオンおよび2−シアノ−3−シクロプロピル−1−(2−SO2CH3−4−2,3Cl2フェニル)プロパン−1,3−ジオン、トリケトン(欧州特許第625505号明細書、欧州特許第625508号明細書、米国特許第5,506,195号明細書)、特に、スルコトリオンおよびピラゾリネートなどの除草剤を含む。例えば、米国特許第6,268,549号明細書および同6,245,968号明細書および米国特許出願公開第20030066102号明細書に記載される遺伝子を含めた、植物において過剰量のHPPDを生成する遺伝子は、このような除草剤に対する耐性または抵抗性を提供し得る。
(E)遺伝子。フェノキシオーキシン除草剤、例えば、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸(2,4−D)に対する抵抗性または耐性をコードし、アリールオキシフェノキシプロピオネート(AOPP)除草剤に対する抵抗性または耐性も付与する遺伝子。このような遺伝子の例として、米国特許第7,838,733号明細書に記載される、α−ケトグルタレート依存性ジオキシゲナーゼ酵素(aad−1)遺伝子が挙げられる。
(F)2,4−ジクロロフェノキシ酢酸(2,4−D)などのフェノキシオーキシン除草剤に対する抵抗性または耐性をコードし、フルロキシピルまたはトリクロピルなどのピリジルオキシオーキシン除草剤に対する抵抗性または耐性も付与し得る遺伝子。このような遺伝子の例として、国際公開第2007/053482 A2号パンフレットに記載されるα−ケトグルタレート依存性ジオキシゲナーゼ酵素遺伝子(aad−12)が挙げられる。
(G)ジカンバに対する抵抗性または耐性をコードする遺伝子(例えば、米国特許公開第20030135879号明細書を参照のこと)。
(H)プロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ(PPO)を阻害する除草剤に対する抵抗性または耐性を提供する遺伝子(米国特許第5,767,373号明細書を参照のこと)。
(I)光化学系II反応中心(PS II)のコアタンパク質と結合する、トリアジン除草剤(アトラジンなど)および尿素誘導体(ジウロンなど)除草剤に対する抵抗性または耐性を提供する遺伝子(Brussian et al., (1989) EMBO J. 1989, 8(4): 1237-1245を参照のこと。
3.価値が付加された形質を付与するか、またはそれに貢献する遺伝子
(A)植物のステアリン酸含量を増大させるために、例えば、アンチセンス遺伝子またはステアロイル−ACP不飽和化酵素を用いて、トウモロコシまたはアブラナ属(Brassica)を形質転換することによって修飾された脂肪酸代謝(Knultzon et al., (1992) Proc. Nat. Acad. Sci. USA 89:2624)。
(A)植物のステアリン酸含量を増大させるために、例えば、アンチセンス遺伝子またはステアロイル−ACP不飽和化酵素を用いて、トウモロコシまたはアブラナ属(Brassica)を形質転換することによって修飾された脂肪酸代謝(Knultzon et al., (1992) Proc. Nat. Acad. Sci. USA 89:2624)。
(B)減少したフィチン酸含量
(1)クロコウジカビ(Aspergillus niger)フィターゼ遺伝子などのフィターゼをコードする遺伝子の導入(Van Hartingsveldt et al., (1993) Gene 127:87)は、フィチン酸の分解を増強し、より多くの遊離リン酸を形質転換植物に付加する。
(2)フィチン酸含量を低下させる遺伝子は、導入され得る。トウモロコシでは、これは、例えば、クローニングすることおよび次いで、低レベルのフィチン酸を特徴とするトウモロコシ突然変異体と関連している単一の対立遺伝子と関連しているDNAを再導入することによって達成され得る(Raboy et al., (1990) Maydica 35:383)。
(1)クロコウジカビ(Aspergillus niger)フィターゼ遺伝子などのフィターゼをコードする遺伝子の導入(Van Hartingsveldt et al., (1993) Gene 127:87)は、フィチン酸の分解を増強し、より多くの遊離リン酸を形質転換植物に付加する。
(2)フィチン酸含量を低下させる遺伝子は、導入され得る。トウモロコシでは、これは、例えば、クローニングすることおよび次いで、低レベルのフィチン酸を特徴とするトウモロコシ突然変異体と関連している単一の対立遺伝子と関連しているDNAを再導入することによって達成され得る(Raboy et al., (1990) Maydica 35:383)。
(C)例えば、植物を、デンプンの分岐パターンを変更する酵素の遺伝子コーディングを用いて形質転換することによって達成される修飾された炭水化物組成物。このような酵素の例として、ストレプトコッカス・ミューカス(Streptococcus mucus)フルクトース転移酵素遺伝子(Shiroza et al., (1988) J. Bacteriol. 170:810)、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)レバンスクラーゼ遺伝子(Steinmetz et al., (1985) Mol. Gen. Genel. 200:220)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)α−アミラーゼ(Pen et al., (1992) Biotechnology 10:292)、トマトインベルターゼ遺伝子(Elliot et al., (1993)、オオムギアミラーゼ遺伝子(Sogaard et al., (1993) J. Biol. Chem. 268:22480)およびトウモロコシ胚乳デンプン分岐酵素II(Fisher et al., (1993) Plant Physiol. 102:10450)が挙げられる。
部位特異的ヌクレアーゼ
実施形態では、本明細書に記載される方法および組成物は、1種または複数の部位特異的ヌクレアーゼを使用する。開示される方法は、部位特異的ヌクレアーゼをコードする1種または複数のポリヌクレオチドを、トウモロコシ小胞子由来形質転換受容性ハプロイド組織に送達することを含む。これらの部位特異的ヌクレアーゼは、DNAを切断することまたは二本鎖切断または一本鎖切断であり得るDNA切断を誘導することによってゲノムDNAを修飾し得る。部位特異的ヌクレアーゼの実施形態は、TALEN、メガヌクレアーゼ、CRISPR−ヌクレアーゼまたはジンクフィンガーヌクレアーゼを含む。
実施形態では、本明細書に記載される方法および組成物は、1種または複数の部位特異的ヌクレアーゼを使用する。開示される方法は、部位特異的ヌクレアーゼをコードする1種または複数のポリヌクレオチドを、トウモロコシ小胞子由来形質転換受容性ハプロイド組織に送達することを含む。これらの部位特異的ヌクレアーゼは、DNAを切断することまたは二本鎖切断または一本鎖切断であり得るDNA切断を誘導することによってゲノムDNAを修飾し得る。部位特異的ヌクレアーゼの実施形態は、TALEN、メガヌクレアーゼ、CRISPR−ヌクレアーゼまたはジンクフィンガーヌクレアーゼを含む。
一実施形態では、開示される方法において使用される部位特異的ヌクレアーゼは、遺伝子操作された(天然に存在しない)TALENヌクレアーゼである。例えば、その全文が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第20110301073号明細書を参照のこと。ザントモナス(Xanthomonas)属の植物病原菌は、重要な作物において多数の疾患を引き起こすことが知られている。ザントモナス(Xanthomonas)属の病原性は、かなり異なるエフェクタータンパク質を植物細胞中に注入する保存されたIII型分泌(T3S)システムに応じて変わる。これらの中でも、注入されるタンパク質は、植物転写アクチベーターを模倣し、植物トランスクリプトームを操作する転写アクチベーター様(TALEN)エフェクターである(Kay et al (2007) Science 318:648-651を参照のこと)。これらのタンパク質は、TAL−エフェクターDNA結合ドメインおよび転写活性化ドメインを含有する。最も十分に特性決定されたTAL−エフェクターの1種として、ザントモナス・カンペストリス(Xanthomonas campestgris)病原型ベシカトリア(Vesicatoria)由来のAvrBs3がある(Bonas et al (1989) Mol Gen Genet 218: 127-136および国際公開第2010079430号パンフレットを参照のこと)。TAL−エフェクターは、各リピートがおよそ34個のアミノ酸を含有するタンデムリピートの集中ドメインを含有し、これが、これらのタンパク質のDNA結合特異性にとって重要である。さらに、それらは、核局在性配列および酸性転写活性化ドメインを含有する(概説については、Schornack S、et al (2006) J Plant Physiol 163(3): 256-272を参照のこと)。植物病原菌青枯病菌(Ralstonia solanacearum)では、青枯病菌(R.solanacearum)次亜種株GMI1000において、および次亜種4株RS1000において、ザントモナス属(Xanthomonas)のAvrBs3ファミリーと相同である、brg11およびhpx17と表される2種の遺伝子が見出されている(Heuer et al (2007) Appl and Enviro Micro 73(13): 4379-4384を参照のこと)。これらの遺伝子は、ヌクレオチド配列では互いに98.9%同一であるが、hpx17のリピートドメイン中の1,575bpの欠失によって異なる。しかし、両遺伝子産物は、ザントモナス属(Xanthomonas)のAvrBs3ファミリータンパク質と40%未満の配列同一性を有する。例えば、その全文が参照により組み込まれる、米国特許公開第20110301073号明細書を参照のこと。
これらのTALエフェクターの特異性は、タンデムリピートドメインの配列に応じて変わる。特定の実施例では、反復される配列は各々、およそ102bpを含み、リピートは、通常、互いに91〜100%相同である(Bonas et al、同書)。リピートは、通常、多型を含み、これは、普通、12および13位に局在し、12および13位の超可変二残基の同一性と、TAL−エフェクターの標的配列中の連続ヌクレオチドの同一性の間の1対1の対応であると思われる(Moscou and Bogdanove, (2009) Science 326:1501およびBoch et al (2009) Science 326:1509-1512を参照のこと)。実験的に、これらのTAL−エフェクターのDNA認識の天然のコードは、12および13位のHD配列が、シトシン(C)との結合につながり、NGがTと、NIがA、C、GまたはTと結合し、NNが、AまたはGと結合し、INGがTと結合するように決定された。これらのDNA結合リピートは、リピートの新規組合せおよび数を有するタンパク質にアセンブルされ、植物細胞において、新規配列と相互作用し、非内因性リポーター遺伝子の発現を活性化できる人工転写因子が作製された(Boch et al、同書)。遺伝子操作されたTALタンパク質は、FokI切断ハーフドメインと連結され、酵母リポーターアッセイ(プラスミドベースの標的)において活性を示すTALエフェクタードメインヌクレアーゼ融合物(TALEN)が得られた。
別の実施形態では、本開示の方法において使用される部位特異的ヌクレアーゼは、(天然に存在しない)メガヌクレアーゼ(ホーミングエンドヌクレアーゼとしても記載される)を含むよう遺伝子操作され得る。I−SceI、I−CeuI、PI−PspI、PI−Sce、I−SceIV、I−CsmI、I−PanI、I−SceII、I−PpoI、I−SceIII、I−CreI、I−TevI、I−TevIIおよびI−TevIIIなどのホーミングエンドヌクレアーゼまたはメガヌクレアーゼの認識配列は、公知である。米国特許第5,420,032号明細書;同6,833,252号明細書;Belfort et al. (1997) Nucleic Acids Res. 25:3379-30 3388;Dujon et al. (1989) Gene 82:115-118;Perler et al. (1994) Nucleic Acids Res. 22, 11127;Jasin (1996) Trends Genet. 12:224-228;Gimble et al. (1996) J. Mol. Biol. 263:163-180;Argast et al. (1998) J. Mol. Biol. 280:345-353およびNew England Biolabsカタログも参照のこと。さらに、ホーミングエンドヌクレアーゼおよびメガヌクレアーゼのDNA結合特異性は、非天然標的部位と結合するよう遺伝子操作され得る。例えば、Chevalier et al. (2002) Molec. Cell 10:895-905;Epinat et al. (2003) Nucleic Acids Res. 5 31:2952-2962;Ashworth et al. (2006) Nature 441:656-659;Paques et al. (2007) Current Gene Therapy 7:49-66;米国特許公開第20070117128号明細書を参照のこと。ホーミングエンドヌクレアーゼおよびメガヌクレアーゼのDNA結合性ドメインは、全体として(すなわち、ヌクレアーゼが同族切断ドメインを含むような)ヌクレアーゼとの関連で変更され得るか、または異種切断ドメインと融合され得る。
さらなる実施形態では、開示される方法において使用される部位特異的ヌクレアーゼは、遺伝子操作された(天然に存在しない)CRISPRヌクレアーゼである。CRISPR(クラスター化して規則的な配置の短い回文反復配列(Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic repeats)/Cas(CRISPR関連)ヌクレアーゼ系は、ゲノムエンジニアリングに使用され得る細菌系をベースとする最近遺伝子操作されたヌクレアーゼ系である。それは多数の細菌および古細菌の適応免疫応答の部分をベースとする。ウイルスまたはプラスミドが細菌に侵入する場合に、「免疫」応答によって侵入者のDNAのセグメントが、CRISPR RNA(crRNA)に変換される。このcrRNAは、次いで、部分相補性の領域によって、tracrRNAと呼ばれる別の種類のRNAと会合し、Casヌクレアーゼ(例えば、Cas9)を、「プロトスペーサー」と呼ばれる標的DNA中のcrRNAと相同な領域に案内する。Casヌクレアーゼは、DNAを切断して、crRNA転写物内に含有されるガイド配列によって特定される部位のDSBで平滑末端を作製する。Cas9は、部位特異的DNA認識および切断のためにcrRNAおよびtracrRNAの両方を必要とする。この系は、ここで、crRNAおよびtracrRNAが1分子(「単一ガイドRNA」)に組み合わされ得るよう遺伝子操作され、単一ガイドRNAのcrRNA相当部分は、Cas9ヌクレアーゼを標的の任意の望ましい配列に案内するよう遺伝子操作され得る(Jinek et al (2012) Science 337, p. 816-821, Jinek et al, (2013), eLife 2:e00471およびDavid Segal, (2013) eLife 2:e00563を参照のこと)。したがって、CRISPR/Cas系は、ゲノム中の所望の標的で二本鎖切断(DSB)を生成するよう遺伝子操作され得、DSBの修復は、エラープローン修復の増大を引き起こす修復阻害剤の使用によって影響を受け得る。
特定の実施形態では、Casヌクレアーゼは、天然に存在するCasヌクレアーゼの「機能的誘導体」であり得る。天然配列ポリペプチドの「機能的誘導体」は、天然配列ポリペプチドと共通する質的生物学的特性を有する化合物である。「機能的誘導体」として、それだけには限らないが、対応する天然配列ポリペプチドと共通するヌクレアーゼ活性を有するという条件で、天然配列の断片および天然配列ポリペプチドの誘導体およびその断片を含む。本明細書において考慮されるヌクレアーゼ活性は、機能的誘導体の、DNA基質とハイブリダイズして断片になる能力である。用語「誘導体」は、ポリペプチドのアミノ酸配列変異体、共有結合修飾およびその融合物の両方を包含する。Casヌクレアーゼまたはそのヌクレアーゼ断片の適した誘導体として、それだけには限らないが、Casタンパク質またはそのヌクレアーゼ断片の突然変異体、融合物、共有結合修飾が挙げられる。Casヌクレアーゼまたはその機能的誘導体は、細胞から得ることができる、または化学的に、もしくはこれら2種の手順の組合せによって合成され得る。細胞は、Casヌクレアーゼを天然に産生する細胞、またはCasヌクレアーゼを天然に産生し、内因性Casヌクレアーゼを高発現レベルで産生するよう、もしくは外因的に導入された、内因性Casと同一であるかもしくは異なっているCasヌクレアーゼをコードする核酸からCasヌクレアーゼを産生するよう遺伝子的に操作される細胞であり得る。いくつかの場合には、細胞は、Casタンパク質を天然に産生せず、Casヌクレアーゼを産生するよう遺伝子的に操作される。Casヌクレアーゼは、CasヌクレアーゼをガイドRNAと同時発現することによって哺乳類細胞中に(推定的に、植物細胞内に)配置される。Le Cong, F., et al., (2013) Science 339(6121):819-823に開示されるように、Cas媒介性ゲノム切断を促進するために、2種の形態のガイドRNAが使用され得る。
特定の実施形態では、細胞のゲノムのin vivo切断および/またはターゲッティングされた切断のために使用される1種または複数のヌクレアーゼのDNA結合ドメインは、ジンクフィンガータンパク質を含む。いくつかの実施形態では、ジンクフィンガータンパク質は天然に存在せず、選択の標的部位と結合するよう遺伝子操作される。例えば、参照によりその全文が、すべて本明細書に組み込まれる、Beerli et al. (2002) Nature Biotechnol. 20:135-141;Pabo et al. (2001) Ann. Rev. Biochem. 70:313-340;Isalan et al. (2001) Nature Biotechnol. 19:656-660;Segal et al. (2001) Curr. Opin. Biotechnol. 12:632-637;Choo et al. (2000) Curr. Opin. Struct. Biol. 10:411-416;米国特許第6,453,242号明細書;同6,534,261号明細書;同6,599,692号明細書;同6,503,717号明細書;同6689,558号明細書;同7,030,215号明細書;同6,794,136号明細書;同7,067,317号明細書;同7,262,054号明細書;同7,070,934号明細書;同7,361,635号明細書;同7,253,273号明細書;および米国特許公開第2005/0064474号明細書;同2007/0218528号明細書;同2005/0267061号明細書を参照のこと。
遺伝子操作されたジンクフィンガー結合ドメインは、天然に存在するジンクフィンガータンパク質と比較して、新規結合特異性を有し得る。操作する方法は、それだけには限らないが、合理的設計および種々の種類の選択を含む。合理的設計は、例えば、トリプレット(またはクアドルプレット)ヌクレオチド配列および個々のジンクフィンガーアミノ酸配列を含むデータベースを使用することを含み、これでは、各トリプレットまたはクアドルプレットヌクレオチド配列は、特定のトリプレットまたはクアドルプレット配列と結合するジンクフィンガーの1つまたは複数のアミノ酸配列と会合される。例えば、その全文が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,453,242号明細書および同6,534,261号明細書を参照のこと。
標的部位;ZFPの選択および融合タンパク質(およびそれをコードするポリヌクレオチド)の設計および構築のための方法は、当業者には公知であり、米国特許第6,140,0815号明細書;同789,538号明細書;同6,453,242号明細書;同6,534,261号明細書;同5,925,523号明細書;同6,007,988号明細書;同6,013,453号明細書;同6,200,759号明細書;国際公開第95/19431号パンフレット;国際公開第96/06166号パンフレット;国際公開第98/53057号パンフレット;国際公開第98/54311号パンフレット;国際公開第00/27878号パンフレット;国際公開第01/60970号パンフレット 国際公開第01/88197号パンフレット;国際公開第02/099084号パンフレット;国際公開第98/53058号パンフレット;国際公開第98/53059号パンフレット;国際公開第98/53060号パンフレット;国際公開第02/016536号パンフレットおよび国際公開第03/016496号パンフレットに詳細に記載されている。
さらに、ジンクフィンガードメインおよび/またはマルチフィンガー型ジンクフィンガータンパク質は、例えば、5個以上のアミノ酸の長さのリンカーを含めた任意の適したリンカー配列を使用して一緒に連結され得る。6個以上のアミノ酸の長さの例示的リンカー配列については、米国特許第6,479,626号明細書;同6,903,185号明細書;および同7,153,949号明細書も参照のこと。本明細書において記載されるタンパク質は、タンパク質の個々のジンクフィンガー間の適したリンカーの任意の組合せを含み得る。
したがって、本明細書において開示されるドナーポリヌクレオチドを組み込むための方法において、部位特異的ヌクレアーゼは、ドナーDNAポリヌクレオチド(少なくとも1種の導入遺伝子を含み得る)を挿入するよう望まれる、トウモロコシゲノム中の遺伝子座の標的部位と特異的に結合するDNA結合ドメインを含む。
任意の適した切断ドメインは、DNA結合ドメインと作動可能に連結され、ヌクレアーゼ融合タンパク質を形成し得る。例えば、ZFP DNA結合ドメインが、ZFN、つまり、その遺伝子操作された(ZFP)DNA結合ドメインによって、その意図される核酸標的を認識でき、DNAを、ヌクレアーゼ活性によってZFP結合部位の近くで切断されるようにする機能的実体を作製するために、ヌクレアーゼドメインと融合されている。例えば、Kim et al. (1996) Proc Natl Acad Sci USA 93(3):1156-1160を参照のこと。より最近は、ZFNは、種々の生物におけるゲノム修飾のために使用された。例えば、米国特許公開第20030232410号明細書;同20050208489号明細書;同20050026157号明細書;同20050064474号明細書;同20060188987号明細書;同20060063231号明細書;および国際公開公報第07/014275号パンフレットを参照のこと。同様に、TALEN DNA結合ドメインが、TALENを作製するためにヌクレアーゼドメインと融合された。例えば、米国特許公開第20110301073号明細書を参照のこと。
上記のように、切断ドメインは、DNA結合ドメインにとって異種であり得る、例えば、ジンクフィンガーDNA結合ドメインおよび異なるヌクレアーゼに由来する切断ドメインまたはTALEN DNA結合ドメインおよび異なるヌクレアーゼに由来する切断ドメインまたはメガヌクレアーゼDNA結合ドメインおよび異なるヌクレアーゼに由来する切断ドメイン。異種切断ドメインは、任意のエンドヌクレアーゼまたはエキソヌクレアーゼから得られ得る。切断ドメインが由来し得る例示的エンドヌクレアーゼとして、それだけには限らないが、制限エンドヌクレアーゼおよびホーミングエンドヌクレアーゼが挙げられる。例えば、2002−2003カタログ、New England Biolabs、Beverly、MA;およびBelfort et al. (1997) Nucleic Acids Res. 25:3379-3388を参照のこと。DNAを切断するさらなる酵素は、公知である(例えば、S1ヌクレアーゼ;マングビーンヌクレアーゼ;膵臓DNアーゼI;小球菌ヌクレアーゼ;酵母HOエンドヌクレアーゼ;Linn et al. (eds.) Nuclease, Cold Spring Harbor Laboratory Press,1993も参照のこと)。これらの酵素(またはその機能的断片)のうち1種または複数が、切断ドメインおよび切断ハーフドメインの供給源として使用され得る。
同様に、切断ハーフドメインは、切断活性のために二量化を必要とする、上記で示されるような、任意のヌクレアーゼまたはその一部に由来し得る。一般に、融合タンパク質が、切断ハーフドメインを含む場合には、その切断のために2種の融合タンパク質が必要である。あるいは、2種の切断ハーフドメインを含む単一のタンパク質が使用され得る。2種の切断ハーフドメインは、同一エンドヌクレアーゼ(またはその機能的断片)に由来し得るか、または各切断ハーフドメインは、異なるエンドヌクレアーゼ(またはその機能的断片)に由来し得る。さらに、2種の融合タンパク質の標的部位は、好ましくは、2種の融合タンパク質の、そのそれぞれの標的部位との結合が、切断ハーフドメインが、例えば、二量化によって機能的切断ドメインを形成するのを可能にする、互いに対する空間的方向に切断ハーフドメインを置くよう、互いに関して配置される。したがって、特定の実施形態では、標的部位の近位端部が、5〜8ヌクレオチドによって、または15〜18ヌクレオチド離れている。しかし、任意の整数のヌクレオチドまたはヌクレオチド対が、2種の標的部位の間に介在し得る(例えば、2〜50ヌクレオチド対またはそれ以上)。一般に、切断部位は、標的部位の間にある。
制限エンドヌクレアーゼ(制限酵素)は、多数の種に存在し、DNAと配列特異的に(認識部位で)結合でき、結合の部位で、または結合の付近でDNAを切断できる。特定の制限酵素(例えば、Type IIS)は、DNAを、認識部位から除かれた部位で切断し、分離可能な結合および切断ドメインを有する。例えば、Type IIS酵素Fok Iは、一方の鎖の認識部位から9ヌクレオチドで、またもう一方の鎖の認識部位から13ヌクレオチドでDNAの二本鎖切断を触媒する。例えば、米国特許第5,356,802号明細書;同5,436,150号明細書および同5,487,994号明細書;ならびにLi et al. (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:4275-4279;Li et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:2764-2768;Kim et al. (1994a) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:883-887;Kim et al. (1994b) J. Biol. Chem. 269:31,978-31,982を参照のこと。したがって、一実施形態では、融合タンパク質は、遺伝子操作されている場合も、遺伝子操作されていない場合もある、少なくとも1種のType IIS制限酵素由来の切断ドメイン(または切断ハーフドメイン)および1種または複数のジンクフィンガー結合ドメインを含む。
切断ドメインが結合ドメインから分離可能である例示的Type IIS制限酵素として、Fok Iがある。この特定の酵素は、二量体として活性である。Bitinaite et al.,(1998) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95: 10,570-10,575。したがって、本開示の目的上、開示される融合タンパク質において使用されるFok I酵素の一部は、切断ハーフドメインと考えられる。したがって、ジンクフィンガー−Fok I融合物を使用する細胞配列のターゲッティングされる二本鎖切断および/またはターゲッティングされる置換について、触媒的に活性な切断ドメインを再構築するために、各々、FokI切断ハーフドメインを含む2種の融合タンパク質が使用され得る。あるいは、ジンクフィンガー結合ドメインおよび2種のFok I切断ハーフドメインを含有する単一のポリペプチド分子も使用され得る。ジンクフィンガー−Fok I融合物を使用するターゲッティングされる切断およびターゲッティングされる配列変更のパラメータは、本開示中の別の場所に提供されている。
切断ドメインまたは切断ハーフドメインは、切断活性を保持するか、または多量化(例えば、二量化)して、機能的切断ドメインを形成する能力を保持するタンパク質の任意の一部であり得る。
例示的IIS型制限酵素は、その全文が本明細書に組み込まれる国際特許出願公開第07/014275号パンレットに記載されている。さらなる制限酵素も、分離可能な結合および切断ドメインを含有し、これらは、本開示によって考慮される。例えば、Roberts et al. (2003) Nucleic Acids Res. 31:418-420を参照のこと。
特定の実施形態では、切断ドメインは、例えば、そのすべての開示内容が参照によりその全文で本明細書に組み込まれる、米国特許公開第20050064474号明細書;同20060188987号明細書;同20070305346号明細書および同20080131962号に記載されるように、ホモ二量体化を最小化または防ぐ、1種または複数の遺伝子操作された切断ハーフドメイン(二量体化ドメイン突然変異体とも呼ばれる)を含む。Fok Iの446、447、479、483、484、486、487、490、491、496、498、499、500、531、534、537および538位のアミノ酸残基は、すべてFok I切断ハーフドメインの二量体化に影響を及ぼすための標的である。
偏性ヘテロ二量体を形成するFok Iの例示的な遺伝子操作された切断ハーフドメインは、第1の切断ハーフドメインが、Fok Iの490および538位にアミノ酸残基の突然変異を含み、第2の切断ハーフドメインがアミノ酸残基486および499に突然変異を含む対を含む。
したがって、一実施形態では、490での突然変異は、Glu(E)をLys(K)で置換し;538での突然変異は、Iso(I)をLys(K)で置換し;486での突然変異は、Gln(Q)をGlu(E)で置換し;499位での突然変異は、Iso(I)をLys(K)で置換する。具体的には、本明細書に記載された遺伝子操作された切断ハーフドメインは、一方の切断ハーフドメイン中で490位(E→K)および538位(I→K)を突然変異させて、「E490K:I538K」と表される遺伝子操作された切断ハーフドメインを製造することによって、および別の切断ハーフドメイン中で486位(Q→E)および499位(I→L)を突然変異させて、「Q486E:I499L」と表される遺伝子操作された切断ハーフドメインを製造することによって調製された。本明細書において記載された遺伝子操作された切断ハーフドメインは、異常な切断が最小化または消滅される偏性ヘテロ二量体突然変異体である。例えば、その開示内容が、すべての目的のために全文で組み込まれる米国特許公開第2008/0131962号明細書を参照のこと。特定の実施形態では、遺伝子操作された切断ハーフドメインは、486、499および496位(野生型FokIに対して番号付けされた)に突然変異を、例えば、486位の野生型Gln(Q)残基をGlu(E)残基で、499位の野生型Iso(I)残基をLeu(L)残基で、および496位の野生型Asn(N)残基をAsp(D)またはGlu(E)残基で(それぞれ、「ELD」および「ELE」ドメインとも呼ばれる)置換する突然変異を含む。その他の実施形態では、遺伝子操作された切断ハーフドメインは、490、538および537位(野生型FokIに対して番号付けされた)に突然変異を、例えば、490位の野生型Glu(E)残基をLys(K)残基で、538位の野生型Iso(I)残基をLys(K)残基で、537位の野生型His(H)残基をLys(K)残基またはArg(R)残基で(それぞれ、「KKK」および「KKR」ドメインとも呼ばれる)置換する突然変異を含む。その他の実施形態では、遺伝子操作された切断ハーフドメインは、490および537位(野生型FokIに対して番号付けされた)に突然変異を、例えば、490位の野生型Glu(E)残基をLys(K)残基で、537位の野生型His(H)残基をLys(K)残基またはArg(R)残基で(それぞれ、「KIK」および「KIR」ドメインとも呼ばれる)置換する突然変異を含む(米国特許公開第20110201055号明細書を参照のこと)。その他の実施形態では、遺伝子操作された切断ハーフドメインは、「Sharkey」および/または「Sharkey」突然変異を含む(Guo et al, (2010) J. Mol. Biol. 400(1):96-107を参照のこと)。
本明細書において記載された遺伝子操作された切断ハーフドメインは、任意の適した方法を使用して、例えば、米国特許公開第20050064474号明細書;同20080131962号明細書;および同20110201055号明細書に記載されるような、野生型切断ハーフドメイン(Fok I)の部位特異的突然変異誘発によって調製され得る。
あるいは、ヌクレアーゼは、いわゆる「スプリット酵素」技術(例えば、米国特許公開第20090068164号明細書を参照のこと)を使用して、核酸標的部位でin vivoでアセンブルされ得る。このようなスプリット酵素の構成成分は、別個の発現構築物で発現され得るか、または例えば、個々の構成成分が、自己切断性2AペプチドまたはIRES配列によって分かれている1つのオープンリーディングフレームに連結され得る。構成成分は、個々のジンクフィンガー結合ドメインまたはメガヌクレアーゼ核酸結合ドメインのドメインであり得る。
ヌクレアーゼは、例えば、国際公開第2009/042163号パンフレットおよび第20090068164号パンフレットに記載されるような酵母ベースの染色体系において、使用に先立って活性についてスクリーニングされ得る。ヌクレアーゼ発現構築物は、当技術分野で公知の方法を使用して容易に設計され得る。例えば、米国特許公開第20030232410号明細書;同20050208489号明細書;同20050026157号明細書;同20050064474号明細書;同20060188987号明細書;同20060063231号明細書;および国際公開第07/014275号パンフレットを参照のこと。ヌクレアーゼの発現は、構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターの制御下であり得る。
「標的」または「標的部位」または「ターゲッティングされるゲノム遺伝子座」または「ゲノムDNA標的領域」は、結合存在のための十分な条件のときに、結合分子(例えば、部位特異的ヌクレアーゼ)が結合する核酸の一部を規定する核酸配列である。
一実施形態では、ゲノム遺伝子座配列は、染色体、エピソーム、オルガネラゲノム(例えば、ミトコンドリア、葉緑体)、人工染色体ならびに例えば、増幅された配列、二重微小染色体および内因性または感染性細菌およびウイルスのゲノムなどの細胞中に存在する任意のその他の種類の核酸中に存在するものを含む。ゲノム遺伝子座配列は、正常(すなわち、野生型)または突然変異体であり得;突然変異体配列は、例えば、挿入(例えば、これまでに挿入された外因性ポリヌクレオチド)、欠失、転位置、再編成および/または点突然変異を含み得る。ゲノム遺伝子座配列はまた、いくつかの異なる対立遺伝子のうち1種も含み得る。
また、ドナーDNAポリヌクレオチド配列をゲノム遺伝子座内に挿入する方法も本開示の実施形態として本明細書において記載される。ターゲッティングされたゲノム修飾の報告された、観察された頻度は、植物内のゲノム遺伝子座をターゲッティングすることは、相対的に効率が悪いことを示す。このような方法の成功率は、幾分かは、相同組換えの不十分な効率および高頻度の、ドナーDNAの、標的部位以外のゲノムの領域への非特異的挿入のために低い。本開示は、ターゲッティングされたゲノム遺伝子座内のドナーDNAポリヌクレオチドを同定する方法を提供する。
部位特異的ヌクレアーゼ(例えば、遺伝子操作された、切断ドメインに融合されたジンクフィンガー結合ドメイン)を使用して、細胞DNAにおいて1つまたは複数のターゲッティングされた二本鎖切断を作製する方法が、本明細書において開示される。開示される方法は、特定の作用機序に左右されないが、細胞DNAにおける二本鎖切断は、切断部位の近くで細胞修復機序を数千倍刺激し、このようなターゲッティングされた切断によって、ゲノム中の実質的に任意の部位での配列の変更または置換(相同性組換え修復による)が可能になることがわかっている。
選択されたゲノム配列におけるターゲッティングされた置換(またはそれへの挿入)はまた、本明細書に記載される部位特異的ヌクレアーゼの使用に加えて、ドナーDNAポリヌクレオチドの導入を必要とする。ドナーDNAポリヌクレオチドは、部位特異的ヌクレアーゼ(複数可)の発現に先立って、それと同時に、それに続いて細胞中に導入され得る。ドナーDNAポリヌクレオチドは、ゲノム配列に対して、ドナーDNAポリヌクレオチドと相同ゲノム配列との間での相同組換え(または相同性によって指示される修復)を支持するのに十分な相同性を含有する。ドナーDNAポリヌクレオチドおよびゲノム遺伝子座間のおよそ25、50 100、200、500、750、1,000、1,500、2,000ヌクレオチドまたはそれ以上の配列相同性(または10から2,000ヌクレオチドの間またはそれ以上の任意の整数値)が、それらの間の相同組換えを支持する。ドナーDNAポリヌクレオチド配列は、10から5,000ヌクレオチド(または任意の整数値のそれらの間のヌクレオチド)またはそれ以上の長さの範囲であり得る。ドナーDNAポリヌクレオチド配列は、置き換わるゲノム配列と同一である必要はない。例えば、ドナーDNAポリヌクレオチドの配列は、染色体配列との十分な相同性が存在する限り、ゲノム配列に関して、1つまたは複数の単一塩基変更、挿入、欠失、逆位または再編成を含有し得る。あるいは、ドナーDNAポリヌクレオチド配列は、2つの相同性の領域が両側に位置する非相同配列を含有し得る。さらに、ドナーDNAポリヌクレオチド配列は、細胞クロマチン中の対象の領域と相同ではない配列を含有するベクター分子を含み得る。全般的に、ドナーDNAポリヌクレオチド配列の相同領域(複数可)は、組換えが望まれるゲノム遺伝子座に対して少なくとも50%の配列同一性を有する。特定の実施形態では、ドナーDNAポリヌクレオチド配列は、ドナーDNAポリヌクレオチドとゲノム遺伝子座間の配列相同性の25以上、50以上、100以上、200以上、300以上、400以上、500以上、750以上、1,000以上、1,500以上または2,000以上のヌクレオチドのスパンにわたって60%、70%、80%、85%、90%、95%、98%、99%または99.9%の配列同一性を有する。
ドナーDNAポリヌクレオチド分子は、細胞クロマチンに対して相同性の2以上の非連続領域を含有し得る。例えば、対象のゲノム領域中に普通は存在しない導入遺伝子配列のターゲッティングされた挿入のために、このような導入遺伝子配列は、ドナーDNAポリヌクレオチド中の対象のゲノム領域に対して相同性の領域が両側に位置し得る。
その他の実施形態では、選択されたゲノム配列のターゲッティングされた置換はまた、非相同末端結合機序(NHEJ)による、ターゲッティングされたゲノム遺伝子座内への置換またはドナーDNAポリヌクレオチド配列の導入を必要とする。その後、ドナー鎖は、ドナーポリヌクレオチド配列の組込みのために相同アームを必要としない。ターゲッティングされたゲノム遺伝子座内の二本鎖切断の結果として、ドナーポリヌクレオチド配列が、染色体内に組み込まれる。NHEJ修復経路は、ドナーポリヌクレオチドをゲノム内に組み込むための別の代替機序を提供する。参照によって本明細書に組み込まれる国際公開第2013/169802号パンフレットを参照のこと。
ドナーポリヌクレオチドは、DNAまたはRNA、一本鎖または二本鎖であり得、線形または環状形態で細胞中に導入され得る。線形形態で導入される場合には、ドナー配列の末端は、当業者に公知の方法によって保護され得る(例えば、エキソヌクレアーゼ分解から)。例えば、1種または複数のジデオキシヌクレオチド残基が、線形分子の3’末端に付加される、および/または自己相補性オリゴヌクレオチドが、末端の一方もしくは両方にライゲーションされる。例えば、Chang et al., (1987) Proc. Natl Acad. Sd. USA 84:4959-4963;Nehls et al., (1996) Science 272:886-889を参照のこと。外因性ポリヌクレオチドを分解から保護するためのさらなる方法として、それだけには限らないが、末端アミノ基(複数可)の付加および例えば、ホスホロチオエート、ホスホロアミド酸およびO−メチルリボースまたはデオキシリボース残基などの修飾ヌクレオチド間連結の使用が挙げられる。
ドナーDNAポリヌクレオチドは、例えば、複製起点、プロモーターおよび抗生物質耐性をコードする遺伝子などのさらなる配列を有するベクター分子の一部として細胞中に導入され得る。さらに、ドナーDNAポリヌクレオチドは、裸の核酸として、リポソームもしくはポロクサマーなどの薬剤と複合体を形成した核酸として導入され得るか、または細菌もしくはウイルスによって送達され得る(例えば、アグロバクテリウム(Agrobacterium)種、リゾビウム(Rhizobium)種NGR234、シノリゾビウム・メリロティ(Sinorhizoboium meliloti)、メゾリゾビウム・ロティ(Mesorhizobium loti)、タバコモザイクウイルス、ジャガイモウイルスX、カリフラワーモザイクウイルスおよびキャッサバ葉脈モザイクウイルス。例えば、Chung et al. (2006) Trends Plant Sd. 11(1): 1-4を参照のこと)。さらなる実施形態では、ドナーDNAポリヌクレオチドは、本明細書に記載されるような微粒子銃形質転換法によって細胞中(例えば、アンドロゲン性カルス組織中)に導入され得る。
本出願人らの方法は、遺伝子操作されたZFPの強力なターゲッティング能力を、切断ドメイン(または切断ハーフドメイン)と組み合わせて、二本鎖切断を、外因性配列の挿入が望まれるゲノムの領域に特異的にターゲッティングすることができる。本出願人らの方法によって必要とされないが、細胞配列中の二本鎖切断の存在は、切断に隣接するか、切断の周囲の領域に対して相同性を有する外因性DNA分子の存在と相まって、ドナー分子から細胞性(例えば、ゲノムまたは染色体)配列への配列情報の転移によって、すなわち、「遺伝子変換」としても知られる相同性組換え修復のプロセスによって切断を修復する細胞機序を活性化すると思われる。
染色体配列の変更のために、所望の配列変更を達成するためにドナー配列の十分な部分がコピーされる限り、ドナーの全配列が、染色体中にコピーされる必要はない。
相同組換えによるドナー配列の挿入の効率は、二本鎖切断と、組換えが望まれる部位の間の細胞DNA中の距離と逆相関している。通常、二本鎖切断が、組換えが望まれる部位に近い場合に、より高い相同組換え効率が観察される。組換えの正確な部位が要求されない(例えば、所望の組換え事象が、ゲノム配列の一定区間中で起こり得る)場合には、ドナー核酸の長さおよび配列は、切断部位(複数可)と一緒に、所望の組換え事象を得るよう選択され得る。所望の事象が、ゲノム配列中の単一ヌクレオチドの配列を変更するよう設計される場合には、細胞クロマチンは、そのヌクレオチドのいずれかの側の10,000ヌクレオチド内で切断される。例えば、切断は、ヌクレオチドのいずれかの側で2から1,000の間の任意の整数値のヌクレオチド内で起こり得る。特定の実施例では、切断は、ゲノム配列中で変更されるヌクレオチドのいずれかの側で1,000、500、200、100、90、80、70、60、50、40、30、20、10、5または2つのヌクレオチド内で起こる。
上記で詳述されるように、各々、ジンクフィンガー結合ドメインおよび切断ハーフドメインを含む2種の融合タンパク質の結合部位は、その他の結合部位に最も近い各結合部位の端から測定されるように5〜8または15〜18ヌクレオチド離れて局在し得、切断は結合部位の間で起こる。切断が、結合部位間の単一部位または複数の部位で起こるかどうかは、切断されたゲノム配列がドナー配列によって置換されるので重要ではない。したがって、ターゲッティングされた組換えによる、単一ヌクレオチド対の配列の効率的な変更のためには、結合部位間の領域の中間点は、そのヌクレオチド対の10,000ヌクレオチド内、好ましくは、1,000ヌクレオチドまたは500ヌクレオチドまたは200ヌクレオチドまたは100ヌクレオチドまたは50ヌクレオチドまたは20ヌクレオチドまたは10ヌクレオチドまたは5ヌクレオチドまたは2ヌクレオチド内、または1ヌクレオチドであるか、または対象のヌクレオチド対である。
特定の実施形態では、相同染色体は、ドナーDNAポリヌクレオチドとして働き得る。したがって、例えば、ヘテロ接合体中の突然変異の訂正は、一方の染色体上の突然変異体配列と結合し、切断するが、相同染色体上の野生型配列は切断しない融合タンパク質を遺伝子操作することによって達成され得る。突然変異を保有する染色体上の二本鎖切断は、相同染色体に由来する野生型配列が、切断された染色体中にコピーされ、したがって、野生型配列の2つのコピーが回復される相同性をベースとする「遺伝子変換」プロセスを刺激する。
例えば、それだけには限らないが、RAD52エピスタシス群のメンバー(例えば、Rad50、Rad51、Rad51B、RadSIC、RadSID、Rad52、Rad54、Rad54B、Mrell、XRCC2、XRCC3)などの相同組換えに関与する遺伝子、産物が前記遺伝子産物(例えば、BRCAl、BRCA2)と相互作用する遺伝子および/またはNBSl複合体中の遺伝子の発現を活性化するさらなるZFP機能性ドメイン融合物の使用を含めた、ターゲッティングされる組換えのレベルを増強し得る方法および組成物も提供される。例えば、Boyko et al. (2006) Plant Physiology 141 :488-497およびLaFarge et al. (2003) Nucleic Acids Res 31(4): 1148-1155を参照のこと。同様に、非相同性末端結合に関与する遺伝子(例えば、Ku70/80、XRCC4、ポリ(ADPリボース)ポリメラーゼ、DNAリガーゼ4)の発現を抑制するために、ZFP機能性ドメイン融合物が、本明細書において開示される方法および組成物と組み合わせて使用され得る。例えば、Riha et al. (2002) EMBO 21 :2819-2826;Freisner et al. (2003) Plant J. 34:427-440;Chen et al. (1994) European Journal of Biochemistry 224:135-142を参照のこと。ジンクフィンガー結合ドメインおよび機能性ドメインの間の融合物を使用して、遺伝子発現を活性化および抑制するための方法は、例えば、同一所有者の米国特許第6,534,261号明細書;同6,824,978号明細書および同6,933,113号明細書に開示されている。さらなる抑制方法として、抑制されるべき遺伝子の配列にターゲッティングされる、アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび/または低分子干渉RNA(siRNAまたはRNAi)の使用が挙げられる。
検出アッセイ
特定の実施形態では、本開示は、ターゲッティングされたトウモロコシゲノムの切断、ターゲッティングされたトウモロコシゲノム内のドナーDNAポリヌクレオチドの組込み、またはターゲッティングされたトウモロコシゲノム内に取り込まれた突然変異などのゲノムDNAの修飾を確認することを含む方法に関する。特定の実施形態では、ゲノムのこのような修飾を確認する方法は、PCRベースのアッセイ、サザンブロットアッセイ、ノーザンブロットアッセイ、タンパク質発現アッセイ、ウエスタンブロットアッセイ、ELISAアッセイまたは次世代配列決定アッセイによる確認を含む。
特定の実施形態では、本開示は、ターゲッティングされたトウモロコシゲノムの切断、ターゲッティングされたトウモロコシゲノム内のドナーDNAポリヌクレオチドの組込み、またはターゲッティングされたトウモロコシゲノム内に取り込まれた突然変異などのゲノムDNAの修飾を確認することを含む方法に関する。特定の実施形態では、ゲノムのこのような修飾を確認する方法は、PCRベースのアッセイ、サザンブロットアッセイ、ノーザンブロットアッセイ、タンパク質発現アッセイ、ウエスタンブロットアッセイ、ELISAアッセイまたは次世代配列決定アッセイによる確認を含む。
したがって、切断、組み込まれた導入遺伝子、またはゲノム中の突然変異などのゲノムDNAの修飾は、配列のプライマーまたはプローブを使用することを含めた、種々の方法で確認され得る。特定の実施形態では、安定に組み込まれた導入遺伝子は、植物のいくつかの組織における、もしくはいくつかの発達段階での導入遺伝子の構成的または選択的発現に基づいて検出され得るか、または導入遺伝子は、実質的にすべての植物組織において、実質的にその全生活環に沿って発現され得る。
ターゲッティングされたゲノム修飾、組み込まれた導入遺伝子または突然変異の確認は、任意の適した増幅方法によって行われ得る。全般的に、Kwoh et al., Am. Biotechnol. Lab. 8、14-25 (1990)を参照のこと。適した増幅技術の例として、それだけには限らないが、ポリメラーゼ連鎖反応、リガーゼ連鎖反応、鎖置換増幅(全般的に、G. Walker et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89, 392-396 (1992);G. Walker et al., Nucleic Acids Res. 20, 1691-1696 (1992)を参照のこと)、転写ベースの増幅(D. Kwoh et al., Proc. Natl. Acad Sci. USA 86, 1173-1177 (1989))、自家持続配列複製法(または「3SR」)(J. Guatelli et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87, 1874-1878 (1990))、Qβレプリカーゼ系(P. Lizardi et al., BioTechnology 6, 1197-1202(1988))、核酸配列ベースの増幅(または「NASBA」)(R. Lewis, Genetic Engineering News 12 (9), 1 (1992)参照のこと)、修復連鎖反応(または「RCR」)(R. Lewis、前掲を参照のこと)およびブーメランDNA増幅(または「BDA」)(R. Lewis、前掲を参照のこと)が挙げられる。ポリメラーゼ連鎖反応が、一般に好ましい。
「増幅」は、鋳型特異性を含む核酸複製の特別な場合である。非特異的鋳型複製と対比される(すなわち、鋳型依存性であるが、特定の鋳型には依存しない複製)。鋳型特異性は、本明細書では、複製の忠実性(すなわち、適切なポリヌクレオチド配列の合成)およびヌクレオチド(リボ−またはデオキシリボ−)特異性から区別される。鋳型特異性は、「標的」特異性の用語で記載されることが多い。
本明細書において、用語「ポリメラーゼ連鎖反応」および「PCR」は、一般に、クローニングまたは精製することなく、ゲノムDNAの混合物中の標的配列のセグメントの濃度を増大する方法を指す(米国特許第4,683,195号明細書;同4,683,202号明細書;および同4,965,188号明細書;参照により本明細書に組み込まれる)。標的配列を増幅するためのこのプロセスは、過剰の2種のオリゴヌクレオチドプライマーを、所望の標的配列を含有するDNA混合物中に入れること、続いて、DNAポリメラーゼの存在下での正確な順序の温度サイクリングを含む。2種のプライマーは、二本鎖標的配列のそれぞれの鎖と相補的である。増幅を達成するには、混合物が変性され、次いで、プライマーが、標的分子内のその相補的配列とアニーリングされる。アニーリング後に、プライマーをポリメラーゼを用いて伸長して、相補鎖の新規対を形成する。変性、プライマーアニーリングおよびポリメラーゼ伸長のステップは、所望の標的配列の高濃度の増幅されたセグメントを得るために、多数回反復され得る(すなわち、変性、アニーリングおよび伸長は、1「サイクル」を構成し;多数の「サイクル」があり得る)。所望の標的配列の増幅されたセグメントの長さは、プライマーの互いに関する相対位置によって決定され、したがって、この長さは制御可能なパラメータである。プロセスの反復態様によって、方法は、「ポリメラーゼ連鎖反応」(本明細書において以下、「PCR」)と呼ばれる。標的配列の所望の増幅されたセグメントは、混合物中で優性の(濃度の点で)配列になるので、それらは、「PCR増幅された」といわれる。
用語「逆転写酵素」または「RT−PCR」とは、出発材料がmRNAであるPCRの種類を指す。出発mRNAは、逆転写酵素を使用して相補的DNAまたは「cDNA」に酵素的に変換される。次いで、cDNAは、「PCR」反応の「鋳型」として使用される。
一実施形態では、増幅反応は、定量される。その他の実施形態では、増幅反応は、シグネチャープロファイルを使用して定量化され、これでは、シグネチャープロファイルは、融解温度および蛍光シグネチャープロファイルを含む群から選択される。
本開示の実施形態の核酸分子またはそのセグメントは、PCR増幅のためのプライマーとして使用され得る。PCR増幅の実施では、プライマーおよび鋳型間で特定のミスマッチ度が許容され得る。したがって、例示されたプライマーの突然変異、欠失および挿入(特に、5’または3’末端へのヌクレオチドの付加)は、本開示の範囲内に入る。当技術分野に公知の方法によって、所与のプライマー中に突然変異誘発、挿入および欠失が生じ得る。
分子ビーコン(Molecular Beacons)は、配列検出における使用のために記載されている。手短には、それぞれの両端に位置するゲノムおよび挿入部分DNA接合部分と重なるFRETオリゴヌクレオチドプローブが、設計される。FRETプローブの独特の構造が、蛍光および消光部分を極近接して維持する二次構造を含有するものをもたらす。FRETプローブおよびPCRプライマー(挿入部分DNA配列中の1種のプライマーおよびそれぞれの両端に位置するゲノム配列中の1種)が、熱安定性ポリメラーゼおよびdNTPの存在下で循環される。成功したPCR増幅後、FRETプローブ(複数可)の標的配列とのハイブリダイゼーションは、プローブ二次構造の除去および蛍光および消光部分の空間的分離をもたらす。蛍光シグナルは、成功した増幅およびハイブリダイゼーションによって、それぞれの両端に位置するゲノム/導入遺伝子挿入部分配列の存在を示す。増幅反応の検出のためのこのような分子ビーコンアッセイは、本開示の実施形態である。
加水分解プローブアッセイは、別に、TAQMAN(登録商標)(Life Technologies、Foster City、Calif.)としても知られる、DNA配列の存在を検出および定量化する方法である。手短には、事象特異的検出のために導入遺伝子内に1つのオリゴおよびそれぞれの両端に位置するゲノム配列中に1つを有するFRETオリゴヌクレオチドプローブが設計される。FRETプローブおよびPCRプライマー(挿入部分DNA配列中の1種のプライマーおよびそれぞれの両端に位置するゲノム配列中の1種)が、熱安定性ポリメラーゼおよびdNTPの存在下で循環される。FRETプローブのハイブリダイゼーションが、FRETプローブ上の消光部分から蛍光部分の切断および放出をもたらす。蛍光シグナルは、成功した増幅およびハイブリダイゼーションによって、それぞれの両端に位置する/導入遺伝子挿入部分配列の存在を示す。増幅反応の検出のためのこのような加水分解プローブアッセイは、本開示の実施形態である。
KASParアッセイは、DNA配列の存在を検出および定量化する方法である。手短には、ターゲッティングされるゲノム遺伝子座を含むゲノムDNAサンプルは、KASPar(登録商標)アッセイ系として知られるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)ベースのアッセイを使用してスクリーニングされる。本開示の実施において使用されるKASPar(登録商標)アッセイは、複数のプライマーを含有するKASPar(登録商標)PCRアッセイ混合物を使用し得る。PCRアッセイ混合物中で使用されるプライマーは、少なくとも1種のフォワードプライマーおよび少なくとも1種のリバースプライマーを含み得る。フォワードプライマーは、ドナーDNAポリヌクレオチドの特定の領域に対応する配列を含有し、リバースプライマーは、ゲノム配列の特定の領域に対応する配列を含有する。さらに、PCRアッセイ混合物中で使用されるプライマーは、少なくとも1種のフォワードプライマーおよび少なくとも1種のリバースプライマーを含み得る。例えば、KASPar(登録商標)PCRアッセイ混合物は、2種の異なる対立遺伝子に対応する2種のフォワードプライマーおよび1種のリバースプライマーを使用し得る。フォワードプライマーのうち1種は、内因性ゲノム配列の特定の領域に対応する配列を含有する。第2のフォワードプライマーは、ドナーDNAポリヌクレオチドの特定の領域に対応する配列を含有する。リバースプライマーは、ゲノム配列の特定の領域に対応する配列を含有する。増幅反応の検出のためのこのようなKASPar(登録商標)アッセイは、本開示の実施形態である。
いくつかの実施形態では、蛍光シグナルまたは蛍光色素は、HEX蛍光色素、FAM蛍光色素、JOE蛍光色素、TET蛍光色素、Cy3蛍光色素、Cy3.5蛍光色素、Cy5蛍光色素、Cy5.5蛍光色素、Cy7蛍光色素およびROX蛍光色素を含む群から選択される。
その他の実施形態では、増幅反応は、フローサイトメトリーによって検出可能な濃度範囲で細胞DNAを染色でき、リアルタイムサーモサイクラーによって検出可能である蛍光発光スペクトルを有する適した第2の蛍光DNA色素を使用して実施される。その他の核酸色素は公知であり、継続的に同定されていることは、当業者によって理解されるべきである。YO−PRO−1(登録商標)、SYTOX緑色(登録商標)、SYBR緑色I(登録商標)、SYTO11(登録商標)、SYTO12(登録商標)、SYTO13(登録商標)、BOBO(登録商標)、YOYO(登録商標)およびTOTO(登録商標)などの適当な励起および発光スペクトルを有する任意の適した核酸色素が使用され得る。一実施形態では、第2の蛍光DNA色素は、10μM未満、4μM未満または2.7μM未満で使用されるSYTO13(登録商標)である。
さらなる実施形態では、ゲノム修飾の確認のために次世代配列決定(NGS)が使用され得る。Brautigma et al., 2010によって記載されるように、単離され、増幅された断片のヌクレオチド配列を決定するために、DNA配列分析が使用され得る。増幅された断片は、単離され、ベクター中にサブクローニングされ、鎖ターミネーター法(サンガー配列決定とも呼ばれる)または色素ターミネーター配列決定を使用して配列決定され得る。さらに、アンプリコンは、次世代配列決定を用いて配列決定され得る。NGS技術は、サブクローニングステップを必要とせず、複数のシーケンシングリードが、単一反応において完了され得る。3種のNGSプラットフォームが市販されている、454 Life Sciences/Roche製のGenome Sequencer FLX、Solexa製のIllumina Genome AnalyserおよびApplied BiosystemsのSOLiD(「Sequencing by Oligo Ligation and Detection」のアクロニム)。さらに、現在開発中である2種の単一分子配列決定法がある。これらとして、Helicos Bioscience製のtrue Single Molecule Sequencing(tSMS)およびPacific Biosciences製のSingle Molecule Real Time sequencing(SMRT)が挙げられる。
454 Life Sciences/Rocheによって市販されているGenome Sequencher FLXは、ロングリードNGSであり、これは、シーケンシングリードを作製するためにエマルジョンPCRおよびピロシーケンシングを使用する。300〜800bpのDNA断片または3〜20kbpの断片を含有するライブラリーが使用され得る。反応は、250〜400メガ塩基の総収量のために、実施あたり約250〜400塩基の100万個を超えるリードを生成し得る。この技術は、最長リードをもたらすが、実施あたりの総シーケンスアウトプットは、その他のNGS技術と比較して低い。
Solexaによって市販されているIllumina Genome Analyserは、ショートリードNGSであり、蛍光色素標識された可逆的ターミネーターヌクレオチドを用いる合成アプローチによるシーケンシングを使用し、固相架橋PCRに基づいている。最大10kbのDNA断片を含有するペアエンドシーケンシングライブラリーの構築が使用され得る。反応は、35〜76塩基の長さの1億を超えるショートリードを生成する。このデータは、実施あたり3〜6ギガ塩基を生成し得る。
Applied Biosystemsによって市販されているOligo Ligation and Detection(SOLiD)システムによるシーケンシングは、ショートリード技術である。このNGS技術は、最大10kbpの長さの断片化された二本鎖DNAを使用する。このシステムは、色素標識されたオリゴヌクレオチドプライマーの連結によるシーケンシングおよび実施あたり最大30ギガ塩基の全シーケンスアウトプットをもたらす10億のショートリードを作製するエマルジョンPCRを使用する。
Helicos BioscienceのtSMSおよびPacific BiosciencesのSMRTは、シーケンス反応のために単一DNA分子を使用する異なるアプローチを適用する。tSMS Helicosシステムは、最大8億のショートリードを生成し、これは、実施あたり21ギガ塩基をもたらす。これらの反応は、「合成によるシーケンシング」アプローチとして記載されている蛍光色素標識されたバーチャルターミネーターヌクレオチドを使用して完了される。
Pacific Biosciencesによって市販されているSMRT次世代配列決定システムは、合成によってリアルタイムシーケンシングを使用する。この技術は、可逆的ターミネーターによって制限されていない結果として最大1000bpの長さのリードを生成し得る。この技術を使用して、1日あたり、2倍体ヒトゲノムの1倍のカバー度に相当する生リードリードスループットが生成され得る。
別の実施形態では、ゲノム修飾の確認は、ウエスタンブロット、ノーザンブロットおよびサザンブロットを含めたブロッティングアッセイを使用して完了され得る。このようなブロッティングアッセイは、生物学的サンプルの同定および定量化のために生物学的研究においてよく使用される技術である。これらのアッセイは、まず、電気泳動手段によるゲルにおけるサンプル成分の分離と、それに続く、電気泳動によって分離された成分の、ニトロセルロース、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)またはナイロンなどの材料からできているトランスファーメンブランへの移動を含む。分析物はまた、これらの支持体上に直接的にスポッティングされるか、または真空、毛細血管作用または圧力を適用することによって支持体上の特定の領域に向けられる。次いで、トランスファーメンブランは、一般的に、分析物が互いに区別され、視覚的にまたは自動化リーダーによってのいずれかで検出される能力を増強するためにトランスファー後処理に付される。
さらなる実施形態では、ゲノム修飾の確認は、液体サンプルまたは湿潤サンプル中の物質、通常、抗原の存在を検出するために、固相酵素イムノアッセイを使用するELISAアッセイを使用して完了され得る。サンプルに由来する抗原は、プレートの表面に結合される。次いで、さらなる特異的抗体が表面上に適用され、そのようにして抗原と結合し得る。この抗体は、酵素に連結され、最終ステップにおいて、酵素の基質を含有する物質が添加される。その後の反応は、検出可能なシグナル、最も一般的には、基質における色の変化をもたらす。
後代植物への導入遺伝子の遺伝子移入
本開示は、後代植物へのアンドロゲン性カルス誘導性ジハプロイド植物に由来する導入遺伝子を含むドナーポリヌクレオチドの遺伝子移入のための方法を提供する。導入遺伝子についてホモ接合性であるジハプロイド植物を含めたジハプロイド植物の製造が、本明細書において記載されている。一実施形態では、方法は、
i)雌性親植物を雄性親植物と交雑するステップであって、雄性親植物がジハプロイド植物であり、雌性親植物が稔性親植物である、ステップと、
ii)(a)の交雑種から後代種子を収穫するステップと、
iii)後代種子を植えるステップと、
iv)後代種子を成長させるステップであって、後代種子が、導入遺伝子を含むドナーポリヌクレオチドを含む、ステップと
を含む。
本開示は、後代植物へのアンドロゲン性カルス誘導性ジハプロイド植物に由来する導入遺伝子を含むドナーポリヌクレオチドの遺伝子移入のための方法を提供する。導入遺伝子についてホモ接合性であるジハプロイド植物を含めたジハプロイド植物の製造が、本明細書において記載されている。一実施形態では、方法は、
i)雌性親植物を雄性親植物と交雑するステップであって、雄性親植物がジハプロイド植物であり、雌性親植物が稔性親植物である、ステップと、
ii)(a)の交雑種から後代種子を収穫するステップと、
iii)後代種子を植えるステップと、
iv)後代種子を成長させるステップであって、後代種子が、導入遺伝子を含むドナーポリヌクレオチドを含む、ステップと
を含む。
方法の特定の実施形態では、雌性および雄性親植物は、トウモロコシ植物体である。さらなる実施形態では、雌性親植物は、優良トウモロコシ植物体である。
後代種子を作製するためのこのような交雑は、従来の植物育種技術を使用して行われ得る。植物育種技術の考察については、Poehlman (1995) Breeding Field Crops. AVI Publication Co., Westport Conn, 4th Editを参照のこと。戻し交配法は、植物中に遺伝子を導入するために使用され得る。この技術および植物中に形質を導入するためのその他の植物育種方法論の説明は、Poehlman、前掲およびPlant Breeding Methodology, edit. Neal Jensen, John Wiley & Sons, Inc. (1988)などの参考文献中に見い出され得る。通常の戻し交雑プロトコールでは、対象とする元の変種(反復親)を、導入されるべき対象とする単一遺伝子を保持する第2の変種(非反復親)と交配する。次いで、この交雑から得られた後代を、反復親と再度交雑し、非反復親に由来する単一の導入された遺伝子に加えて、反復親の所望の形態的および生理学的特徴の本質的にすべてが、変換された植物において回収される植物が得られるまでこのプロセスを反復する。
したがって、本開示は、本明細書における方法に従って製造されたジハプロイド植物を使用する交雑を含むトウモロコシ植物体を作製するプロセスを提供する。例えば、本開示は、ドナーポリヌクレオチドを含有するジハプロイド植物(本明細書において開示される方法に従って作製された)を、第2の遺伝子的に異なる植物(例えば、近交系親)と交雑し、得られた後代種子を収穫し、リアルタイムPCRなどの方法を使用して組み込まれたドナーポリヌクレオチドを検出して接合状態を調べることによって後代種子を製造するための方法を含む。
トウモロコシ植物は、(i)導入遺伝子を含むドナーポリヌクレオチドを含有する系統の種子から成長した第1の親のトウモロコシ植物体を、第2の親のトウモロコシ植物体と有性交雑し、それによって、複数の第1の後代植物を製造するステップと、(ii)次いで、導入遺伝子を含むドナーポリヌクレオチドを含有する第1の後代植物を選択するステップと、(iii)第1の後代植物を自殖させ、それによって、複数の第2の後代植物を製造するステップと、次いで、第2の後代植物から、農学的形質を含むドナーポリヌクレオチド含有する植物を選択するステップとによって育種され得る。これらのステップは、(iv)第1の後代植物または第2の後代植物を、第2の親のトウモロコシ植物体または第3の親のトウモロコシ植物体と戻し交雑するステップをさらに含み得る。
本開示のトウモロコシ植物体が、別の育種植物体と交雑されて、後代またはハイブリッドが得られる場合には、元親は、ハイブリッドにおいて基本的に同一の特徴を有する母系または父系植物のいずれかとして働き得る。時折、母系的に遺伝された特徴は、雌性として使用する親の決定に応じて異なって発現し得る。しかし、最適な種子の大きさおよび品質または雄穂除去の容易さなどの増大された種子収量および好ましい製造特徴のために、親植物の一方が母系植物として好ましいことが多い。いくつかの植物は、より堅固な穂外皮を生成し、例えば、腐敗によるより多くの損失につながり、または穂外皮が堅固であり、トウモロコシの毛が完全に先端から押し出ることができず、完全な受粉を妨げ、その結果より低い種子収量となることもある。トウモロコシの毛の形成の遅延があり、これが、親の近交系の対の生殖周期のタイミングに有害に影響を及ぼすことがあり得る。種皮特徴は、一方の植物において好ましいものであり得、これは、ハイブリッド種子製品の有効期間に影響を及ぼし得る。花粉が飛散し得、一方の植物によってより良好であり、したがって、その植物をより好ましい雄性親にし得る。
いくつかの実施形態では、雌性親植物を雄性ジハプロイド親植物と「交雑する」という第1のステップは、第1のトウモロコシ植物体および第2の別個の雌性近交系トウモロコシ植物体の種子を、好ましくは、受粉する近さに植えることを含む。いくつかの実施形態では、雄性および雌性親を交雑するために、人工授粉が使用されることもある。その他の実施形態では、雄性および雌性親を交雑するために使用される人工授粉は、ツールを用いて、または機械的手段によって実施される。さらなる実施形態では、雄性および雌性親を交雑するために使用される人工授粉は、雄性植物から花粉を得ることおよび花粉を雌性植物の柱頭に適用すること(花粉管によって)実施される。
さらなるステップは、雌性親植物および花をつける雄性親植物の種子を栽培することまたは成長させることを含む。親植物が成熟期のタイミングが異なる場合には、適当な切れ目を得るために、すなわち、雌性と指定された親トウモロコシ植物体上のトウモロコシの毛が花粉を受容性である時間に、雄性と指定された親トウモロコシ植物体から花粉を入手することを確実にするために、技術が使用され得る。所望の切れ目を得るために使用され得る方法として、より速く成熟する種子の植え付けを遅延させること、より速く成熟する植物の頂葉を切断することもしくは燃やすこと(植物を死滅させずに)などのより速く成熟する植物体の開花を遅延させること、または発芽および成長を加速するよう設計されたフィルムでより遅く成熟する植物を覆うこともしくはトウモロコシの毛を露出させるよう若い穂シュートの先端を切断することなどによってより遅く成熟する植物の開花をスピードアップさせることとが挙げられる。
特定の実施形態では、雌性親植物および雄性親植物は、栽培者によって適当と考えられる1種または複数の農業用化学物質を用いて処理される。
さらなるステップは、花粉を受け取った植物の穂から成熟付近または成熟で種子を収穫することを含む。特定の実施形態では、種子は雌性親植物から収穫され、望ましい場合には、収穫された種子は、後代または第1世代(F1)ハイブリッドトウモロコシ植物体を生成するよう成長され得る。
さらに別のステップは、乾燥させることならびに、種子の処理、サイズ分け(または等級づけ)および穀物または飼料の製造のために栽培者に販売するためのパッケージングを含めた、種子を条件付けすることを含む。近交系種子と同様に、ハイブリッド種子を、種子および実生を、悪条件に曝された場合により頑健にそれから成長させる組成物を用いて処理することが望ましいことがある。得られた後代またはハイブリッド種子は、穀物および飼料の製造のために、育種または種子製造のためではなく栽培者に販売され得る。
さらに、本開示は、雌性親植物で製造された収穫された種子を成長させることによって製造される後代トウモロコシ植物体ならびに後代トウモロコシ植物体によって製造された穀物を提供する。
その後の実施形態では、本開示は、所望の形質を後代植物中に付与するドナーポリヌクレオチドを導入する方法を提供する。実施形態の一態様では、所望の形質は、殺虫剤耐性形質、除草剤許容性形質、疾患抵抗性形質、収量増大形質、栄養価形質、農学的増大形質およびそれらの組合せを含む群から選択される。所望の形質のその他の例として、例えば、植物のステアリン酸含量を増大するために、植物をステアロイル−ACP不飽和化酵素のアンチセンス遺伝子を用いて形質転換することによって修飾された脂肪酸代謝が挙げられる。Knultzon et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 2624 (1992)を参照のこと。フィチン酸含量の減少;(i)フィチン酸をコードする遺伝子の導入は、フィチン酸の分解を増強し、形質転換された植物により多くの遊離リン酸を付加する。例えば、クロコウジカビ(Aspergillus niger)フィターゼ遺伝子のヌクレオチド配列の開示については、Van Hartingsveldt et al., Gene 127: 87 (1993)を参照のこと。(ii)フィチン酸含量を低下させる遺伝子が導入され得る。トウモロコシでは、これは、例えば、低レベルのフィチン酸を特徴とするトウモロコシ突然変異体に関与する単一の対立遺伝子と関連しているDNAをクローニングすること、次いで、再導入することによって達成され得る。Raboy et al., Maydica 35: 383 (1990)を参照のこと。(iii)例えば、植物をデンプンの分岐パターンを変更する酵素をコードする遺伝子を用いて形質転換することによって達成される、修飾された炭水化物組成物。Shiroza et al., J. Bacteriol. 170: 810 (1988)(ミュータンス菌フルクトース転移酵素遺伝子のヌクレオチド配列)、Steinmetz et al., Mol. Gen. Genet. 200: 220 (1985)(枯草菌(Bacillus subtilis)レバンスクラーゼ遺伝子のヌクレオチド配列)、Pen et al., Bio/Technology 10: 292 (1992)(バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)α−アミラーゼを発現するトランスジェニック植物の製造)、Elliot et al., Plant Molec. Biol. 21: 515 (1993)(トマトインベルターゼ遺伝子のヌクレオチド配列)、Sogaard et al., J. Biol. Chem. 268: 22480 (1993)(オオムギα−アミラーゼ遺伝子の部位特異的突然変異誘発)およびFisher et al., Plant Physiol. 102: 1045 (1993)(トウモロコシ胚乳デンプン分岐酵素II)を参照のこと。望まれる可能性のある特徴のさらなる例として、より多い収量、より良好な柄、より良好な根、作物成熟までの時間の低減、より良好な農学的品質、より高い栄養価、より高いデンプン抽出性またはデンプン発酵性、殺虫剤、除草剤、害虫、熱および渇水および疾患に対する耐性および/または許容性ならびに発芽時間、苗立ち、成長速度、成熟度および穀粒の大きさの均一性が挙げられる。
農学的形質を含むドナーポリヌクレオチドを含有するトウモロコシ種子を含むトウモロコシ作物またはその後代は、接合状態を調べるためのリアルタイムPCRアッセイを含めた方法を使用して迅速に検出され、次いで、植えられ得る。接合状態を調べるためのリアルタイムPCRアッセイを含む方法は、このプロセスの効率を改善し得る。
接合状態を調べるためのリアルタイムPCRアッセイを含む本方法は、例えば、トウモロコシ育種プログラムならびに特に、トウモロコシ種子の商業的製造のための品質管理において有用である。この方法はまた、製品登録およびプロダクト・スチュワードシップに恩恵をもたらす。この方法は、育種遺伝子移入戦略の加速のために使用され得る。本開示の検出技術は、農学的形質を後代に付与しようとして、事象を含有する親植物が別の植物系統と交雑された後に、どの後代植物が、農学的形質を含むドナーポリヌクレオチドを含むかを調べるために、植物育種遺伝子移入とともに特に有用である。接合状態を調べるためのリアルタイムPCRアッセイを含む開示される方法は、トウモロコシ育種遺伝子移入プログラムならびに特に、商業化されたトウモロコシ種子のための品質管理に恩恵をもたらす。
本開示は、マーカー関連育種(MAB)法のために使用され得る。本開示は、農学的形質を含むドナーポリヌクレオチドン近接している遺伝子連結しているマーカーを同定するその他の方法と組み合わせて使用され得る(AFLPマーカー、RFLPマーカー、RAPDマーカー、SNPおよびSSRなど)。接合状態を調べるためのリアルタイムPCRアッセイを含む方法によって、植物育種交雑の後代における農学的形質を含むドナーポリヌクレオチドの追跡が可能となる。本開示の接合状態を調べるためのリアルタイムPCRアッセイを含む方法は、農学的形質を含むドナーポリヌクレオチドを含有する任意のトウモロコシ変種を同定するために使用され得る。
本明細書に記載される実施例および実施形態は、単に例示目的であって、それを考慮して種々の修飾または変更は、当業者に示唆され、本願の趣旨および範囲ならびに添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれるものとするということは理解されなければならない。これらの実施例は、制限と解釈されてはならない。
小胞子由来ハプロイドカルスの作製
トウモロコシ(Zea mays)遺伝子型139/39−05(米国特許第5,306,864号明細書)の発芽前の雄花穂を、小胞子が発達の初期二核性段階にある時点(葯が約3mm長、明るい光沢のある黄色)で、温室で成長させたトウモロコシ植物体(約5〜6週齢)から収穫した。雄花の穂を湿ったペーパータオルおよびアルミホイルで包み、8℃に設定したインキュベーター中に7〜14日間入れた。表面滅菌(0.08%v/v Chlorox(商標)中で15分と、それに続く、滅菌水すすぎ)後、葯を無菌的に単離し、6ウェルディッシュ中の、液体「葯培養培地」(pH5.8に調整した、N6塩およびビタミン、60g/Lスクロース、5g/L活性炭、500mg/Lカゼイン加水分解物、0.1mg/L TIBA)の表面上に、ウェルあたり6mL培地中60個葯の密度で置き、暗所、28℃でインキュベートした。14〜28日の間に現れる小胞子由来胚様構造を「カルス培地」(pH5.8に調整した、MS塩およびビタミン、30g/Lスクロース、700mg/L L−プロリン、500mg/L MES、100mg/Lカゼイン加水分解物、15mg/L 硝酸銀、3.3mg/Lジカンバおよび2.5g/L Gelrite(商標))に移した。14日毎に結節状の胚発生カルスを、新鮮な「カルス培地」に継代培養して大きくし、その後、倍数性決定および形質転換した。
トウモロコシ(Zea mays)遺伝子型139/39−05(米国特許第5,306,864号明細書)の発芽前の雄花穂を、小胞子が発達の初期二核性段階にある時点(葯が約3mm長、明るい光沢のある黄色)で、温室で成長させたトウモロコシ植物体(約5〜6週齢)から収穫した。雄花の穂を湿ったペーパータオルおよびアルミホイルで包み、8℃に設定したインキュベーター中に7〜14日間入れた。表面滅菌(0.08%v/v Chlorox(商標)中で15分と、それに続く、滅菌水すすぎ)後、葯を無菌的に単離し、6ウェルディッシュ中の、液体「葯培養培地」(pH5.8に調整した、N6塩およびビタミン、60g/Lスクロース、5g/L活性炭、500mg/Lカゼイン加水分解物、0.1mg/L TIBA)の表面上に、ウェルあたり6mL培地中60個葯の密度で置き、暗所、28℃でインキュベートした。14〜28日の間に現れる小胞子由来胚様構造を「カルス培地」(pH5.8に調整した、MS塩およびビタミン、30g/Lスクロース、700mg/L L−プロリン、500mg/L MES、100mg/Lカゼイン加水分解物、15mg/L 硝酸銀、3.3mg/Lジカンバおよび2.5g/L Gelrite(商標))に移した。14日毎に結節状の胚発生カルスを、新鮮な「カルス培地」に継代培養して大きくし、その後、倍数性決定および形質転換した。
前記のものは、トウモロコシ小胞子由来アンドロゲン性形質転換受容性ハプロイド組織の一例を提供し、これは、ハプロイドトウモロコシゲノムを修飾する開示される方法において使用され得る。
カルスの倍数性決定
細胞倍数性レベルを調べるために、実施例1で作製した1gのカルス組織を、滅菌Petri(商標)ディッシュ(Fisher Scientific、St. Louis、MO)に移した。「MMG培地」(4mM MES [pH6.0]、0.6Mマンニトール、15mM MgCl2)および0.25%Triton X−100(商標)とともに、1〜2mLの濾過した氷冷Gailbraithバッファー(0.01M MgSO4、0.005M KCl、0.0005M HEPES、1mg/mL DTT)の存在下で、カルス組織を片刃カミソリを用いて切り刻むことによって核を放出させた。Petri(商標)ディッシュをさらに2mLのバッファーを用いてすすぎ、これを最初の核抽出物と組み合わせて、約5mLの最終スラリー容量を作製した。次いで、粗核抽出物を、ガラス組織ホモジナイザーに移し、プランジャーを上下に2、3回ポンピングすることによって穏やかにホモジナイズした。次いで、ホモジネートを茶漉し器を通して濾過し、得られた濾液を、40μm Steri−flip(商標)(Millipore;Billerica、Massachusetts、USA)によって吸引して、核を単離した。単離した核を、ヨウ化プロピジウム(Sigma−Aldrich;St.Louis、Missouri、USA)を用い、10μL/200μLサンプルを使用して染色し、Beckman Quanta(商標)フローサイトメーター(Beckman−Coulter、Brea、CA、USA)を用いて分析した。各サンプルについて、少なくとも50,000個の核を集め、75μLのサンプルを対数目盛り表示を使用する分析のために血球計算器に供給した。フローサイトメーター結果は、大きなハプロイド(G0/G1)ピークおよび小さい2倍体(G2)2倍体ピークを示した。結果から、実施例1に従って作製されたカルス組織は、ハプロイドトウモロコシゲノムを修飾する開示される方法において使用するのに適しているハプロイド細胞からなっていたと確認された。
細胞倍数性レベルを調べるために、実施例1で作製した1gのカルス組織を、滅菌Petri(商標)ディッシュ(Fisher Scientific、St. Louis、MO)に移した。「MMG培地」(4mM MES [pH6.0]、0.6Mマンニトール、15mM MgCl2)および0.25%Triton X−100(商標)とともに、1〜2mLの濾過した氷冷Gailbraithバッファー(0.01M MgSO4、0.005M KCl、0.0005M HEPES、1mg/mL DTT)の存在下で、カルス組織を片刃カミソリを用いて切り刻むことによって核を放出させた。Petri(商標)ディッシュをさらに2mLのバッファーを用いてすすぎ、これを最初の核抽出物と組み合わせて、約5mLの最終スラリー容量を作製した。次いで、粗核抽出物を、ガラス組織ホモジナイザーに移し、プランジャーを上下に2、3回ポンピングすることによって穏やかにホモジナイズした。次いで、ホモジネートを茶漉し器を通して濾過し、得られた濾液を、40μm Steri−flip(商標)(Millipore;Billerica、Massachusetts、USA)によって吸引して、核を単離した。単離した核を、ヨウ化プロピジウム(Sigma−Aldrich;St.Louis、Missouri、USA)を用い、10μL/200μLサンプルを使用して染色し、Beckman Quanta(商標)フローサイトメーター(Beckman−Coulter、Brea、CA、USA)を用いて分析した。各サンプルについて、少なくとも50,000個の核を集め、75μLのサンプルを対数目盛り表示を使用する分析のために血球計算器に供給した。フローサイトメーター結果は、大きなハプロイド(G0/G1)ピークおよび小さい2倍体(G2)2倍体ピークを示した。結果から、実施例1に従って作製されたカルス組織は、ハプロイドトウモロコシゲノムを修飾する開示される方法において使用するのに適しているハプロイド細胞からなっていたと確認された。
ハプロイドカルスから単離されたプロトプラストにおけるターゲッティングされたゲノム修飾のための構築物
ターゲッティングされたゲノム修飾のために、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)構築物、pDAB111879(図1に表される)を使用した。ZFNの発現は、トウモロコシubi1プロモーターによって駆動され、トウモロコシper5 3’UTRで終結された。この発現カセットは、単一コーディング領域によってコードされ、発現される2つのジンクフィンガー単量体ドメイン(zmPPL_1360−r23a1およびzmPPL_1360−30a1)を含む「T2A」構造を含有していた。発現された転写物は、翻訳の間に第1のポリペプチドを放出し、さらなる翻訳の際に、第1および第2のポリペプチドを等モル量で生成するよう設計されているリボソーマルスタッターを導入するためにT2Aスタッターシグナル(Mattion et al., 1996, J. Virol., 70:8124-7)を含んでいた。核にターゲッティングするために両ZF単量体中にopaque2核局在性配列(NLS)を含めた。2つのNLS−ZFドメイン融合物の各々は、表2に示されるトウモロコシゲノムの独特の配列に対する結合特異性を有する。ジンクフィンガー単量体はまた、単子葉植物が好むコドン表を使用してコドンバイアスをかけられたFokIヌクレアーゼ機能的ドメインを含んでいた(Kim et al., 1996, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 100:1156-1160)。
ターゲッティングされたゲノム修飾のために、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)構築物、pDAB111879(図1に表される)を使用した。ZFNの発現は、トウモロコシubi1プロモーターによって駆動され、トウモロコシper5 3’UTRで終結された。この発現カセットは、単一コーディング領域によってコードされ、発現される2つのジンクフィンガー単量体ドメイン(zmPPL_1360−r23a1およびzmPPL_1360−30a1)を含む「T2A」構造を含有していた。発現された転写物は、翻訳の間に第1のポリペプチドを放出し、さらなる翻訳の際に、第1および第2のポリペプチドを等モル量で生成するよう設計されているリボソーマルスタッターを導入するためにT2Aスタッターシグナル(Mattion et al., 1996, J. Virol., 70:8124-7)を含んでいた。核にターゲッティングするために両ZF単量体中にopaque2核局在性配列(NLS)を含めた。2つのNLS−ZFドメイン融合物の各々は、表2に示されるトウモロコシゲノムの独特の配列に対する結合特異性を有する。ジンクフィンガー単量体はまた、単子葉植物が好むコドン表を使用してコドンバイアスをかけられたFokIヌクレアーゼ機能的ドメインを含んでいた(Kim et al., 1996, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 100:1156-1160)。
ZFN構築物による部位特異的二本鎖切断およびその後のDNA修復によるハプロイドカルス由来プロトプラストへのターゲッティングされたDNA組込みのために、ドナーポリヌクレオチド構築物、pDAB111845(図2に表される)を使用した。この構築物は、2つのZF単量体、zmPPL_1360−r23a1およびzmPPL_1360−30a1のDNA結合配列を含有する。さらに、この構築物は、イン/アウトPCRによるターゲッティングされた挿入の下流分析、すなわち、プライマー部位設計において使用するための、「UZI」と呼ばれる110bpの配列を含有する。このプラスミドの、pDAB111879(ZFN構築物)との同時送達は、ZFN発現時に、独特のゲノム配列での、およびドナー構築物、pDAB118845内での切断をもたらし、これは、非相同末端結合DNA修復および組換えによる、ゲノム切断部位へのドナー構築物のターゲッティングされた組込みを促進する。
前記のものは、ハプロイドトウモロコシゲノムを修飾する開示される方法において使用できる構築物の例:部位特異的ジンクフィンガーヌクレアーゼの送達のためにpDAB111879およびドナーポリヌクレオチドのターゲッティングされた組込みのためにpDAB111845を提供する。
ハプロイドカルスから単離されたプロトプラストにおけるターゲッティングされたゲノム修飾
ハプロイドカルス(約5グラム)を、滅菌Petri(商標)ディッシュに移し、5mLの「MMG培地」を添加した。片刃カミソリを使用して、クリーム状のスラリーが得られるまでカルスを小片に薄くスライスした。滅菌スパーテルを使用して、スラリーを滅菌50mLコニカルチューブ(Fisher Scientific)に移し、20mLの「酵素溶液」(「MMG培地」に溶解した、3%Cellulase(商標)[Onozuka R10、Yakult Pharmaceuticals、Japan]、0.3%Pectolyase(商標)[MP Biomedicals、San Diego、CA])。チューブをParafilm(商標)で包み、Vari−Mix(商標)プラットフォームロッカー(Thermo Scientific、Waltham、MA)上に置き、暗所、24℃で約16〜18時間の激しい振動で設定した。滅菌50mLコニカルチューブ中で、「酵素溶液」を100μmのセルストレーナー(Falcon)を通してゆっくり濾過した。100μmのセルストレーナーを通して10mLの「W5+培地」(1.86mM MES[pH6.0]、0.5mLの0.2M MES[pH6.0]、192mM NaCl、6.7mLの1.54M NaCl、154mM CaCl2、8.3mLの1M CaCl2、4.7mM KCl、1.25mLの0.2M KClおよび37mLの水)をピペッティングすることによってセルストレーナー(細胞を含む)をすすいだ。このステップを70μmセルストレーナー(Falcon)を使用して反復して、より小さい細片を捕らえた。次いで、濾液を40μmセルストレーナー(Falcon)を使用して篩にかけ、再度、10mLの「W5+培地」を用いてすすぎ、その結果、40mLの最終濾液容量とした。次いで、チューブを穏やかに反転させ、8mLの「重い勾配溶液」(500mMスクロース、1mM CaCl2および5mM MES[pH6.0])を、チューブ中のプロトプラスト/「酵素溶液」/「W5+」混合物の真下の濾液中にゆっくりと加えた。次いで、スイングアームバケットローター(Eppendorf製、Hauppauge、NY)を用いてチューブを1500rpmで10分間遠心分離した。次いで、プロトプラスト層(「重い勾配溶液」と「酵素溶液」/「W5+培地」の間に見える)を、10mLの狭口径ピペットチップを使用してゆっくりと採取し、滅菌50mLコニカルチューブ中に入れた。次いで、チューブを「W5+培地」を使用して35mLの容量にし、数回ゆっくりと反転し、1000rpmで10分間遠心分離した。次いで、ペレットを乱さずに上清を除去した。次いで、プロトプラストを含有するペレットを5mLの「MMG培地」に再懸濁した。Beckman Quanta(商標)フローサイトメーターを使用して、最初に、5mLの「MMG培地」にペレットを再懸濁し、次いで、96ウェルプレートにおいて270μLの「MMG培地」に30μLを添加することによってmLあたりのプロトプラストの濃度を決定した。
ハプロイドカルス(約5グラム)を、滅菌Petri(商標)ディッシュに移し、5mLの「MMG培地」を添加した。片刃カミソリを使用して、クリーム状のスラリーが得られるまでカルスを小片に薄くスライスした。滅菌スパーテルを使用して、スラリーを滅菌50mLコニカルチューブ(Fisher Scientific)に移し、20mLの「酵素溶液」(「MMG培地」に溶解した、3%Cellulase(商標)[Onozuka R10、Yakult Pharmaceuticals、Japan]、0.3%Pectolyase(商標)[MP Biomedicals、San Diego、CA])。チューブをParafilm(商標)で包み、Vari−Mix(商標)プラットフォームロッカー(Thermo Scientific、Waltham、MA)上に置き、暗所、24℃で約16〜18時間の激しい振動で設定した。滅菌50mLコニカルチューブ中で、「酵素溶液」を100μmのセルストレーナー(Falcon)を通してゆっくり濾過した。100μmのセルストレーナーを通して10mLの「W5+培地」(1.86mM MES[pH6.0]、0.5mLの0.2M MES[pH6.0]、192mM NaCl、6.7mLの1.54M NaCl、154mM CaCl2、8.3mLの1M CaCl2、4.7mM KCl、1.25mLの0.2M KClおよび37mLの水)をピペッティングすることによってセルストレーナー(細胞を含む)をすすいだ。このステップを70μmセルストレーナー(Falcon)を使用して反復して、より小さい細片を捕らえた。次いで、濾液を40μmセルストレーナー(Falcon)を使用して篩にかけ、再度、10mLの「W5+培地」を用いてすすぎ、その結果、40mLの最終濾液容量とした。次いで、チューブを穏やかに反転させ、8mLの「重い勾配溶液」(500mMスクロース、1mM CaCl2および5mM MES[pH6.0])を、チューブ中のプロトプラスト/「酵素溶液」/「W5+」混合物の真下の濾液中にゆっくりと加えた。次いで、スイングアームバケットローター(Eppendorf製、Hauppauge、NY)を用いてチューブを1500rpmで10分間遠心分離した。次いで、プロトプラスト層(「重い勾配溶液」と「酵素溶液」/「W5+培地」の間に見える)を、10mLの狭口径ピペットチップを使用してゆっくりと採取し、滅菌50mLコニカルチューブ中に入れた。次いで、チューブを「W5+培地」を使用して35mLの容量にし、数回ゆっくりと反転し、1000rpmで10分間遠心分離した。次いで、ペレットを乱さずに上清を除去した。次いで、プロトプラストを含有するペレットを5mLの「MMG培地」に再懸濁した。Beckman Quanta(商標)フローサイトメーターを使用して、最初に、5mLの「MMG培地」にペレットを再懸濁し、次いで、96ウェルプレートにおいて270μLの「MMG培地」に30μLを添加することによってmLあたりのプロトプラストの濃度を決定した。
トランスフェクションのために、「MMG培地」を使用して1mLあたり167万個にプロトプラストを希釈した。300μLの各サンプル(約500,000個プロトプラスト)を、滅菌2mLチューブ中に移した。各チューブに、合計40μgのプラスミドDNA(36μgのpDAB111845[ドナーポリヌクレオチド]+4μgのpDAB11187[ZFNをコードするポリヌクレオチド])を添加し、チューブを反転することによってゆっくりと混合し、室温で5分間インキュベートした。プロトプラスト/DNA混合物にPEG4000(商標)(Sigma−Aldrich、St.Louis、MO)をゆっくりと添加し(300μL)、内容物が完全に混合するまでゆっくりと反転した。チューブを、時折、混合するために穏やかに反転しながら、室温で5分間インキュベートした。インキュベーション後、1mLの「W5+培地」をゆっくりと添加し、チューブを5〜10回穏やかに反転した。次いで、チューブを微小遠心分離機(Eppendorf)中、1500rpmで5分間遠心分離した。ペレットを乱さないことを確実にしながら、上清を注意深く除去した。上清を除去すると、各チューブに1mLの「WI培地」(4mM MES[pH6.0]、1mLの0.2mM MES[pH6.0]、0.6Mマンニトール、30mLの1Mマンニトール、20mM KCl、5mLの0.2M KClおよび14mLの水)を添加し、穏やかに反転して、ペレットを再懸濁した。次いで、チューブをアルミホイルで覆って、照明を除去し、一晩のインキュベーションの間横向きに置き、その後、ゲノムDNAを抽出し、ターゲッティングされたゲノム修飾について分析した。
前記のものは、ターゲッティングされた修飾の開示された方法の一例、例えば、ドナーポリヌクレオチドおよびジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)をコードするポリヌクレオチドを用いて形質転換された小胞子由来カルスから単離されたプロトプラスト中へのハプロイドトウモロコシゲノムの部位特異的組込みを実証する。
ターゲッティングされたゲノム修飾を用いるハプロイドプロトプラストの分子分析
非対称ネステッドイン−アウトPCR(ANIO)米国特許仮出願第61/873719号)を使用して、実施例4のトランスフェクトされたプロトプラストから抽出されたゲノムDNAにおいてターゲッティングされたゲノム修飾を検出した。検出に使用されるプライマー対のセットは、表3に示されている。1つのプライマー対を、ゲノム配列と特異的に結合するよう設計し、その他のプライマー対をドナーポリヌクレオチドDNA配列と結合するよう設計した。最初の変性後、増幅プログラムは、EX−TAQ HS(商標)PCRキット(Clontech Laboratories、Inc.;Mountain View、California、USA)を使用する、98℃で12秒間および66℃で30秒間の15サイクル、次いで、72℃で10分間および最後の4℃での保持を含んでいた。次いで、最初のPCR産物を、ネステッド第2PCR反応に使用した。第1PCR産物の最初の変性後、増幅プログラムは、98℃で12秒間、66℃で30秒間、次いで、68℃で1分間の30サイクル、次いで、72℃で10分間と、それに続く、最後の4℃での保持を含んでいた。PCR産物を、1%E−gel(商標)(Invitrogen、Carlsbad、CA)を使用するゲル電気泳動によって分離した。電気泳動の結果は、PCR産物の予測されたゲル断片の大きさ(5’および3’結合について、それぞれ、700および1053bp)をもたらし、これは、ターゲッティングされた挿入の存在を示した。したがって、前記のものは、開示された方法が、トウモロコシハプロイドゲノムにおいてドナーポリヌクレオチド導入遺伝子のターゲッティングされた挿入をもたらしたことを示す。
非対称ネステッドイン−アウトPCR(ANIO)米国特許仮出願第61/873719号)を使用して、実施例4のトランスフェクトされたプロトプラストから抽出されたゲノムDNAにおいてターゲッティングされたゲノム修飾を検出した。検出に使用されるプライマー対のセットは、表3に示されている。1つのプライマー対を、ゲノム配列と特異的に結合するよう設計し、その他のプライマー対をドナーポリヌクレオチドDNA配列と結合するよう設計した。最初の変性後、増幅プログラムは、EX−TAQ HS(商標)PCRキット(Clontech Laboratories、Inc.;Mountain View、California、USA)を使用する、98℃で12秒間および66℃で30秒間の15サイクル、次いで、72℃で10分間および最後の4℃での保持を含んでいた。次いで、最初のPCR産物を、ネステッド第2PCR反応に使用した。第1PCR産物の最初の変性後、増幅プログラムは、98℃で12秒間、66℃で30秒間、次いで、68℃で1分間の30サイクル、次いで、72℃で10分間と、それに続く、最後の4℃での保持を含んでいた。PCR産物を、1%E−gel(商標)(Invitrogen、Carlsbad、CA)を使用するゲル電気泳動によって分離した。電気泳動の結果は、PCR産物の予測されたゲル断片の大きさ(5’および3’結合について、それぞれ、700および1053bp)をもたらし、これは、ターゲッティングされた挿入の存在を示した。したがって、前記のものは、開示された方法が、トウモロコシハプロイドゲノムにおいてドナーポリヌクレオチド導入遺伝子のターゲッティングされた挿入をもたらしたことを示す。
前記のものは、トウモロコシ小胞子由来ハプロイド組織のゲノム中へのドナーポリヌクレオチドのターゲッティングされた組込みを確認するための開示される方法の一例を実証する。
ハプロイドカルスのターゲッティングされたゲノム修飾のための構築物
ハプロイドカルスへのターゲッティングされた導入遺伝子組込みのために、ドナー構築物、トウモロコシゲノム中の独特のzmPPL_1360−r23a1およびzmPPL_1360−30a1認識配列のそれぞれの両端に位置するものに相同な約500bpの配列を含有するpDAB118783を使用した(図3)。これらの配列は、「相同性アーム」と呼ばれる。このドナー構築物はまた、ハロキシホップ含有培地でのin vitro選択のためにaad−1発現カセットを含有する。aad−1遺伝子発現は、トウモロコシubi1プロモーターによって制御され、トウモロコシper5 3’UTRによって終結される。この構築物の、pDAB111879(ZFN構築物)との同時送達は、ZFN発現の結果として独特のゲノム配列で二本鎖ゲノムDNA切断をもたらす。「相同性アーム」は、相同性組換え修復の鋳型を提供し、それによって、aad−1発現カセットをゲノム切断部位中に組み込む。
ハプロイドカルスへのターゲッティングされた導入遺伝子組込みのために、ドナー構築物、トウモロコシゲノム中の独特のzmPPL_1360−r23a1およびzmPPL_1360−30a1認識配列のそれぞれの両端に位置するものに相同な約500bpの配列を含有するpDAB118783を使用した(図3)。これらの配列は、「相同性アーム」と呼ばれる。このドナー構築物はまた、ハロキシホップ含有培地でのin vitro選択のためにaad−1発現カセットを含有する。aad−1遺伝子発現は、トウモロコシubi1プロモーターによって制御され、トウモロコシper5 3’UTRによって終結される。この構築物の、pDAB111879(ZFN構築物)との同時送達は、ZFN発現の結果として独特のゲノム配列で二本鎖ゲノムDNA切断をもたらす。「相同性アーム」は、相同性組換え修復の鋳型を提供し、それによって、aad−1発現カセットをゲノム切断部位中に組み込む。
前記のものは、選択マーカー導入遺伝子、aad1を含み、導入遺伝子のハプロイドゲノムへのターゲッティングされた組込みによって、ハプロイドトウモロコシゲノムを修飾する開示される方法において使用するのに適しているドナーポリヌクレオチド(pDAB118783)の例を提供する。
ハプロイドカルスにおけるターゲッティングされたゲノム修飾
照射の3日前に、ハプロイドカルスを、使い捨てのメスを使用して約1〜2mmの小片に刻み、新鮮な「カルス培地」の表面に置き、暗所、28℃でインキュベートした。照射の約4時間前に、カルス片を、「浸透圧培地」(各45.5g/Lのソルビトールおよびマンニトールを添加した「カルス培地」)を含有する100x15mm Petri(商標)ディッシュの中心の1cmの直径の円内に配置し、暗所、28℃でインキュベートした。2.5MのCaCl2および0.1Mのスペルミジンを用いて900psiで150μgの0.6μ金の表面に沈殿させた、合計0.5μgのDNA(pDAB111879[ZFN]のみまたはpDAB118783[ドナー]およびpDAB111879[ZFN]の10:1の組合せのいずれか)およびPDS−1000 particle acceleration device(商標)(BioRad;Hercules、California、USA)を使用する6cmの飛行距離を用いてカルスを照射した。
照射の3日前に、ハプロイドカルスを、使い捨てのメスを使用して約1〜2mmの小片に刻み、新鮮な「カルス培地」の表面に置き、暗所、28℃でインキュベートした。照射の約4時間前に、カルス片を、「浸透圧培地」(各45.5g/Lのソルビトールおよびマンニトールを添加した「カルス培地」)を含有する100x15mm Petri(商標)ディッシュの中心の1cmの直径の円内に配置し、暗所、28℃でインキュベートした。2.5MのCaCl2および0.1Mのスペルミジンを用いて900psiで150μgの0.6μ金の表面に沈殿させた、合計0.5μgのDNA(pDAB111879[ZFN]のみまたはpDAB118783[ドナー]およびpDAB111879[ZFN]の10:1の組合せのいずれか)およびPDS−1000 particle acceleration device(商標)(BioRad;Hercules、California、USA)を使用する6cmの飛行距離を用いてカルスを照射した。
前記のものは、ZFNおよびドナーポリヌクレオドを用いる小胞子由来ハプロイドカルスの微粒子銃によるハプロイドトウモロコシゲノムのターゲッティングされた修飾のための開示される方法の一例を実証する。
ターゲッティングされたゲノム修飾を有するハプロイドカルスの分子分析
実施例7において微粒子銃によってpDAB111879(ZFN)のみを用いて形質転換されたカルス組織のサンプルを、Qiagen(Germantown、Maryland、USA)plant DNA extraction kit(商標)を製造業者の仕様書に従って使用するゲノムDNA抽出のために凍結乾燥した。ゲノムDNAを200μLの水に再懸濁し、Nanodrop(登録商標)(Invitrogen、Carlsbad、California、USA)によって濃度を調べた。0.8%アガロースE−gels(商標)(Invitrogen)にすべてのサンプルを流すことによってDNAの完全性を推定した。PCR増幅のためにすべてのサンプルを正規化して(25ng/μL)、Illumina(登録商標)(San Diego、CA)由来のシステムを使用するシーケンシングのためにアンプリコンを作製した。
実施例7において微粒子銃によってpDAB111879(ZFN)のみを用いて形質転換されたカルス組織のサンプルを、Qiagen(Germantown、Maryland、USA)plant DNA extraction kit(商標)を製造業者の仕様書に従って使用するゲノムDNA抽出のために凍結乾燥した。ゲノムDNAを200μLの水に再懸濁し、Nanodrop(登録商標)(Invitrogen、Carlsbad、California、USA)によって濃度を調べた。0.8%アガロースE−gels(商標)(Invitrogen)にすべてのサンプルを流すことによってDNAの完全性を推定した。PCR増幅のためにすべてのサンプルを正規化して(25ng/μL)、Illumina(登録商標)(San Diego、CA)由来のシステムを使用するシーケンシングのためにアンプリコンを作製した。
分取PCRのために、各repに由来する5μLをプールし、24μLの反応物中、0.2μMの適当なバーコード付加プライマー、Accuprime Pfx Supermix(登録商標)(Invitrogen)および25ngの鋳型ゲノムDNAを使用して、各鋳型について5個体の小規模PCR反応を実施した。サイクリングパラメータは、95℃での最初の変性(5分)と、それに続く、変性(95℃、15秒)、アニーリング(55℃、30秒)、伸長(68℃、1分)の35サイクルおよび最終伸長(72℃、7分)を含んでいた。PCR産物を一緒にプールし、Qiagen MinElute(商標)ゲル抽出/精製キットを使用して4%アガロースゲルでゲル精製した。ゲル精製したアンプリコンの濃度を調べ、ZFNターゲッティングされたものおよび対応する野生型対照からおよそ200ngのバーコード付加アンプリコンをプールすることによってPCRアンプリコンサンプルを調製した(表4)。
Illumina(登録商標)シーケンシングを実施し、シーケンス分析スクリプトを使用して分析した。低クオリティーシーケンス(クオリティースコアカットオフ<5を有するシーケンス)をフィルターにかけて除去し、残りのシーケンスをバーコードに従って解析した。次いで、バーコードディレクトリを参照シーケンスを用いてアラインし、挿入および/または欠失についてスコア化した。切断活性を、エラープローンNHEJ修復に起因する挿入および/または欠失を用いて高クオリティーシーケンスの関数として検出した。得られた欠失および付加を示すよう、変更された配列の代表的なセット(配列番号33〜配列番号45)を、ゲノムDNA標的配列(配列番号32)に対するアラインメントとして提供する(図4)。頻度の概要は、表5に示されている。
したがって、前記のものは、開示される方法が、トウモロコシハプロイドゲノムのPPL1遺伝子座でターゲッティングされた突然変異誘発をもたらしたことを示す。前記のものはまた、ハプロイドゲノムのターゲッティングされた突然変異誘発を確認するための開示される方法の一例を実証する。
ハプロイドカルスの染色体倍加、選択および植物再生
pDAB118783(ドナー)およびpDAB111879(ZFN)を同時照射した実施例7から得たカルスを、翌朝、新鮮な「カルス培地」を含有する100x25Petri(商標)ディッシュの表面に置いた濾紙(Whatman4番)の表面に移し、1mLの0.025%コルヒチン溶液を用いて浸漬し、暗所、28℃でインキュベートした。48時間後、100μセルストレーナー(Falcon352360)を使用し、4mLの液体「カルス培地」を用いてコルヒチン処理カルスをすすぎ、滅菌濾紙上で吸い取り乾燥させ、新鮮な「カルス培地」を含有する100x20mm Petri(商標)ディッシュに移した。暗所、28℃でさらに4日後(照射後8日)、カルスの2倍加ハプロイド性をフローサイトメーターによって確認し、その結果が図5に示されている。次いで、「選択培地」(100μMハロキシホップ(商標)を有する「カルス培地」)にカルスを移した。
pDAB118783(ドナー)およびpDAB111879(ZFN)を同時照射した実施例7から得たカルスを、翌朝、新鮮な「カルス培地」を含有する100x25Petri(商標)ディッシュの表面に置いた濾紙(Whatman4番)の表面に移し、1mLの0.025%コルヒチン溶液を用いて浸漬し、暗所、28℃でインキュベートした。48時間後、100μセルストレーナー(Falcon352360)を使用し、4mLの液体「カルス培地」を用いてコルヒチン処理カルスをすすぎ、滅菌濾紙上で吸い取り乾燥させ、新鮮な「カルス培地」を含有する100x20mm Petri(商標)ディッシュに移した。暗所、28℃でさらに4日後(照射後8日)、カルスの2倍加ハプロイド性をフローサイトメーターによって確認し、その結果が図5に示されている。次いで、「選択培地」(100μMハロキシホップ(商標)を有する「カルス培地」)にカルスを移した。
「選択培地」で14日後、カルスをさらなる14日間、新鮮な「選択培地」に移し、28℃で微光中に置いた。「選択培地」で合計4週間後(照射から5週間)、カルスを「プレ再生培地」(pH5.8に調整した、MS塩およびビタミン、45g/Lスクロース、350mg/L L−プロリン、250mg/L MES、100mg/Lミオイノシトール、2.5mg/L ABA、1mg/L BAP、0.5mg/L NAA、1mg/L硝酸銀、2.5g/L Gelrite(商標)および100μMハロキシホップ)を含有する100x25mm Petri(商標)ディッシュに移し、28℃で微光中に置いた。7日後、カルスを「再生培地」(pH5.8に調整した、pDAB118873+pDAB111879]のための、MS塩およびビタミン、60g/Lスクロース、100mg/Lミオイノシトール、2.5g/L Gelrite(商標)および100μM Haloxyfop(商標))を含有するPhytaTray(商標)II(Sigma−Aldrich;St.Louis、Missouri、USA)に移し、28℃、明所(160μM)に置いた。14〜21日後、シュートを「シュート伸長培地」(pH5.8に調整した、MS塩、N6ビタミン、30g/Lスクロース、500mg/L MES、5.5g/L寒天および100μM Haloxyfop(商標))に移し、28℃、明所(190μM)に置いた。
発根した植物を、Pro−Mix BX(商標)(Premier Tech;Riviere−du−Loup、Canada)を含有する10cmのプラスチックポットに移植し、成長チャンバー(Conviron;Winnipeg、Canada)中に入れ、16/8時間光周期および27/24℃の温度を用いた。次いで、植物を、95%Pro−Mix BX(商標)および5%粘度/ローム土壌の混合物を含有する5ガロンのポットに移植し、温室に移し、金属ハロゲン化物および高圧ナトリウムランプによって補助照明を提供し、16/8時間光周期および30/20℃の温度を用いた。次いで、植物を成熟まで成長させ、自家受粉させた。
前記のものは、ゲノム中に組み込まれたターゲッティングされた導入遺伝子を含む小胞子由来ハプロイドカルスから2倍加されたハプロイド植物を再生するための開示される方法の一例を実証する。
2倍加ハプロイドトランスジェニック植物の分子分析
実施例9の2倍加ハプロイド植物の組織サンプルを、96ウェルコレクションプレート中に集め、2日間凍結乾燥した。Genogrinder 2010(商標)(SPEXサンプル調製)およびステンレス鋼ビーズを用いて組織マセレーションを実施した。組織マセレーション後、ゲノムDNAを、BioSprint kit(商標)(Qiagen;Germantown、Maryland、USA)を製造業者によって提案されたプロトコールに従って使用してハイスループット形式で単離した。ゲノムDNAをQuant−IT Pico Green DNA assay kit(商標)(Molecular Probes;Invitrogen、Carlsbad、California、USA)によって定量化した。Biomek NXP(商標)自動化リキッドハンドラー(Beckman Coulter; Pasadena、California、USA)を使用して、加水分解プローブアッセイのために定量化したゲノムDNAを2ng/μLに調整した。
実施例9の2倍加ハプロイド植物の組織サンプルを、96ウェルコレクションプレート中に集め、2日間凍結乾燥した。Genogrinder 2010(商標)(SPEXサンプル調製)およびステンレス鋼ビーズを用いて組織マセレーションを実施した。組織マセレーション後、ゲノムDNAを、BioSprint kit(商標)(Qiagen;Germantown、Maryland、USA)を製造業者によって提案されたプロトコールに従って使用してハイスループット形式で単離した。ゲノムDNAをQuant−IT Pico Green DNA assay kit(商標)(Molecular Probes;Invitrogen、Carlsbad、California、USA)によって定量化した。Biomek NXP(商標)自動化リキッドハンドラー(Beckman Coulter; Pasadena、California、USA)を使用して、加水分解プローブアッセイのために定量化したゲノムDNAを2ng/μLに調整した。
LIGHTCYCLER(登録商標)480システム(Roche Applied Science;Indianapolis、Indiana、USA)を使用するリアルタイムPCRによって、加水分解プローブアッセイによる導入遺伝子コピー数を決定を実施した。アッセイは、aad−1および内部参照遺伝子、インベルターゼ(Genbank受託番号U16123.1)のためにLIGHTCYCLER(登録商標)プローブ設計ソフトウェア2.0を使用して設計した。増幅のために、LIGHTCYCLER(登録商標)480 Probes Masterミックス(Roche Applied Science)を、0.4μMの各プライマーおよび0.2μMの各プローブを含有する10μL容量マルチプレックス反応物中、1X最終濃度で調製した(表6)。aad−1/インベルターゼのために60℃で40秒間の延長を用いる2ステップ増幅反応を実施し、蛍光獲得した。リアルタイムPCRデータの分析は、相対定量モジュールを使用するLIGHTCYCLER(登録商標)ソフトウェアリリース1.5を使用して実施し、ΔΔCt法に基づいている。このために、各実施において、単一コピー標準物質からのgDNAのサンプルおよび既知2コピーチェックを含めた。
個々の「イン−アウト」PCR反応を使用してターゲッティングされた導入遺伝子が挿入された事象の検出を実施した。プライマー対、それぞれの両端に位置するゲノム配列に対して特異的な一方と、検出に使用されたドナー構築物に対して特異的なもう一方が、表7に示されている。最初の変性後、増幅プログラムは、94℃で30秒、60℃で30秒、72℃で1分の35サイクルと、それに続く72℃で10分間を含んでおり、その後、最後に、4℃で維持した。PCR反応は、EX−TAQ PCR kit(商標)(Clontech Laboratories、Inc)を使用した。PCR産物は、1%アガロースゲルを使用して分離し、同定した。
LIGHTCYCLER(登録商標)480システム(Roche Applied Science)を使用するリアルタイムPCRによる加水分解プローブアッセイによって切断部位のZFN媒介性破壊を調べた。アッセイは、ZFN結合部位および内部参照インベルターゼのそれぞれの両端に位置する配列に対してプライマーおよびプローブアニールを有するよう設計した。増幅のために、LIGHTCYCLER(登録商標)480 Probes Masterミックスを、0.4μMの各プライマーおよび0.2μMの各プローブを含有する10μL容量のマルチプレックス反応物中、1X最終濃度で調製した(表8)。60℃で30秒間の延長を用いる2ステップ増幅反応を実施し、蛍光獲得した。リアルタイムPCRデータの分析を、相対定量モジュールを使用し、標的を参照比に対して比較するLIGHTCYCLER(登録商標)ソフトウェアリリース1.5を用いて実施した。非トランスジェニック対照植物から得たゲノムDNAのサンプルを、各実施に含めた。
「イン−アウト」PCRおよび遺伝子座破壊qPCRアッセイによって決定されたようなターゲッティングされたaad−1構築物を含有していた2倍加ハプロイドトウモロコシ植物体を、サザンブロット分析のために選択した。サザンブロットを作製し、これまでに記載されるようにプロービングした。次いで、HindIII(New England BioLabs、Ipswich、MA)を使用して37℃で一晩サンプルを消化した。「相同性アーム」の外側のゲノム配列と結合する、表9に示されるプライマーを使用してプローブを作製した。得られたサザンブロットによって、トランスジェニック事象は、ターゲッティングされたaad−1構築物の全長コピーを含有していることが確認された。
前記のものは、2倍加されたハプロイド植物(小胞子由来ハプロイドカルスから再生した)が、ターゲッティングされた導入遺伝子組込みを示したことを確認するための開示される方法のいくつかの例を実証する。
Claims (22)
- トウモロコシゲノムを修飾するための方法であって、
(a)ハプロイド組織ゲノムを含むトウモロコシ小胞子由来形質転換受容性ハプロイド組織を準備するステップと、
(b)部位特異的ヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチドを、前記形質転換受容性ハプロイド組織に送達するステップと、
(c)前記ハプロイド組織ゲノムが、コードされた前記部位特異的ヌクレアーゼによって修飾されていることを確認するステップと
を含む、方法。 - 前記形質転換受容性ハプロイド組織が、胚またはカルス組織である、請求項1に記載の方法。
- 前記部位特異的ヌクレアーゼポリヌクレオチドをコードするポリヌクレオチドを、前記形質転換受容性ハプロイド組織に、微粒子銃形質転換法、アグロバクテリウム形質転換法、リン酸カルシウム形質転換法、ポリブレン形質転換法、エレクトロポレーション形質転換法、超音波形質転換法、リポソーム形質転換法、マイクロインジェクション形質転換法、裸のDNA形質転換法、プラスミドベクター形質転換法、ウイルスベクター形質転換法、シリコンカーバイド媒介性形質転換法、エアゾールビーミング形質転換法およびPEG形質転換法からなる群から選択される植物形質転換法によって送達するステップを含む、請求項1または2に記載の方法。
- 前記部位特異的ヌクレアーゼポリヌクレオチドが、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、TALENヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼおよびCRISPRヌクレアーゼからなる群から選択されるヌクレアーゼをコードする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
- (b)ドナーポリヌクレオチドを送達し、前記ドナーポリヌクレオチドを修飾された前記ハプロイド組織ゲノム中に安定に組み込むステップ
をさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。 - 前記ドナーポリヌクレオチドが、1つまたは2つのドメインを含み、各ドメインが、ハプロイド組織ゲノムのゲノムDNA標的領域中の配列に対して少なくとも85%同一である、請求項5に記載の方法。
- 前記小胞子由来形質転換受容性組織が、優良性能特性を有するトウモロコシに由来する、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
- 前記小胞子由来形質転換受容性組織が、優良トウモロコシ系統を、高い小胞子培養応答を有する異なるトウモロコシ系統と交雑することによって得られたハイブリッドトウモロコシに由来する、請求項7に記載の方法。
- 前記ハプロイド組織ゲノムが修飾されていることを、PCRベースのアッセイ、サザンブロットアッセイ、ノーザンブロットアッセイ、タンパク質発現アッセイ、ウエスタンブロットアッセイ、ELISAアッセイまたは次世代配列決定アッセイを実施することによって確認するステップを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
- (d)修飾された前記ハプロイド組織ゲノムを含むハプロイド組織を、染色体倍加剤で処理するステップと、
(e)修飾されたジハプロイドトウモロコシゲノムを含むジハプロイドトウモロコシ組織を製造するステップと、
(f)ジハプロイドトウモロコシ組織を、ホモ接合性の修飾されたジハプロイドトウモロコシゲノムを含むジハプロイドトウモロコシ植物体に再生させるステップと
を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。 - 前記小胞子由来形質転換受容性ハプロイド組織が、
(i)トウモロコシから小胞子を含有する雄穂を収穫するステップと、
(ii)前記雄穂を約4〜12℃の温度でインキュベートするステップと、
(iii)前記雄穂から小胞子を含有する葯を単離するステップと、
(iv)葯培養培地中で葯を培養して、小胞子由来胚を作製するステップと、
(v)前記小胞子由来胚をカルス培地中で培養し、それによって、前記小胞子由来形質転換受容性ハプロイド組織を作製するステップと
を含む方法によって作製される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。 - (b’)ドナーポリヌクレオチドを送達し、前記ドナーポリヌクレオチドを前記修飾されたハプロイド組織ゲノム中に安定に組み込むステップと、
(b’’)前記ドナーポリヌクレオチドを前記ハプロイド組織ゲノムの標的領域中に安定に組み込むステップと、
(c)前記ドナーポリヌクレオチドが、前記ハプロイド組織ゲノムの前記標的領域中に組み込まれていることを確認するステップと
を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。 - 組み込まれた前記ドナーポリヌクレオチドが、トウモロコシハプロイド組織内で発現される、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
- 組み込まれた前記ドナーポリヌクレオチドが、農学的形質を付与する、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
- (b)前記部位特異的ヌクレアーゼを発現させ、トウモロコシの前記ハプロイドゲノム中に突然変異を導入するステップと、
(c)前記ハプロイドトウモロコシゲノムが突然変異を含むことを確認するステップと
をさらに含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。 - 請求項1から15のいずれか一項に記載の修飾されたハプロイド組織ゲノムを含む組織から再生したトウモロコシ植物体。
- 請求項1から16のいずれか一項に記載の修飾されたジハプロイド組織から再生したトウモロコシ植物体であって、コードされた前記部位特異的ヌクレアーゼによって導入されたゲノム修飾を含む、トウモロコシ植物体。
- 請求項10に記載の修飾されたジハプロイド組織ゲノムから再生されたジハプロイドトウモロコシ植物体であって、コードされた前記部位特異的ヌクレアーゼによって導入された修飾を含む、トウモロコシ植物体。
- コードされた部位特異的ヌクレアーゼによって導入された修飾を含むトウモロコシ後代植物を製造する方法であって、
(a)請求項17に記載のトウモロコシ植物体を、異なる親トウモロコシ系統の植物体と交雑して、F1後代植物を製造するステップと、
(b)コードされた前記部位特異的ヌクレアーゼによって導入されたゲノム修飾を有する1種または複数のF1後代植物を選択して、コードされた前記部位特異的ヌクレアーゼによって導入された修飾を含む1種または複数のトウモロコシ後代植物を製造するステップと、
(c)任意選択で、(i)F1後代植物を、請求項18に記載のトウモロコシ植物体または異なる親トウモロコシ系統と戻し交雑して、戻し交雑後代植物を製造するステップと、(ii)コードされた前記部位特異的ヌクレアーゼによって導入されたゲノム修飾を含む戻し交雑後代植物を選択するステップと、(iii)さらに任意選択で、ステップ(i)および(ii)を反復して、コードされた前記部位特異的ヌクレアーゼによって導入された修飾を含む1種または複数のトウモロコシ後代植物を製造するステップと
を含む、方法。 - コードされた前記部位特異的ヌクレアーゼによって導入された修飾を含むトウモロコシ後代植物を製造する方法であって、
(a)請求項18に記載のトウモロコシ植物体を、異なる親トウモロコシ系統の植物体と交雑してF1後代植物を製造するステップと、
(b)コードされた前記部位特異的ヌクレアーゼによって導入されたゲノム修飾を有する1種または複数のF1後代植物を選択して、コードされた前記部位特異的ヌクレアーゼによって導入された修飾を含む1種または複数のトウモロコシ後代植物を製造するステップと、
(c)任意選択で、(i)F1後代植物を、請求項18に記載のトウモロコシ植物体または異なる親トウモロコシ系統と戻し交雑して、戻し交雑後代植物を製造するステップと、(ii)コードされた前記部位特異的ヌクレアーゼによって導入されたゲノム修飾を含む戻し交雑後代植物を選択するステップと、(iii)さらに任意選択で、ステップ(i)および(ii)を反復して、コードされた前記部位特異的ヌクレアーゼによって導入された修飾を含む1種または複数のトウモロコシ後代植物を製造するステップと
を含む、方法。 - 請求項19に記載の方法に従って製造された、コードされた前記部位特異的ヌクレアーゼによって導入された修飾を含むトウモロコシ後代植物から得られた穀粒。
- 請求項20に記載の方法に従って製造された、コードされた前記部位特異的ヌクレアーゼによって導入された修飾を含むトウモロコシ後代植物から得られた穀粒。
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