JP2017512197A - ニトロン化合物及びパーソナルケアにおけるその使用 - Google Patents

ニトロン化合物及びパーソナルケアにおけるその使用 Download PDF

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Abstract

パーソナルケア製剤中の抗酸化剤として有用な化合物及びその組成物が提供される。化合物は、式(I)(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、及びR10は、独立して、H、C1−C10アルキル、−OH、C1−C6アルコキシ、−COOH、−COO−M+、または−O−M+であり、M+は、ナトリウム、カリウム、またはアンモニウムイオンであるが、但し、R6、R7、R8、R9、またはR10の少なくとも1つは、−OHである)の化合物である。

Description

本発明は、概して、パーソナルケア製剤中の抗酸化剤として有用である化合物及び組成物に関する。化合物は、ニトロン及びフェノール官能基の両方を含有する。
パーソナルケア組成物は、ほとんどの消費者にとって重要な製品である。パーソナルケア組成物は、組成物に広範な利点を提供する様々な添加剤を含有する。
抗酸化剤は、パーソナルケア組成物中に一般的に使用される添加剤の1つである。抗酸化剤は、紫外線への曝露等の様々な環境ストレスによりもたらされるフリーラジカルの損傷効果から皮膚を保護するのを助ける。フリーラジカルは、例えば、一重項酸素を含む。フリーラジカルは、皮膚への損傷を引き起こし、最終的には皮膚の弾力性が失われて小皺が出現し、皮膚の早期老化がもたらされる。
老化プロセスの生理学的メカニズムに基づいて、特に生理学的ストレスまたは太陽紫外線により引き起こされる活性酸素種(ROS)レベルの増加に起因する酸化ストレスは、皮膚老化を加速し得る。内因性及び外因性老化(すなわち光老化)は、いくつかの重複する生化学的及び分子メカニズムを有する証拠がある。I型コラーゲンは、真皮結合組織の主要構造成分を構成し、真皮に引張強度及び安定性を提供する。真皮中のコラーゲンの分解は、内因性老化及び光老化した皮膚において報告されている。さらに、ROSによる光老化に寄与する主要シグナル伝達経路は、マトリックスメタロプロテアーゼ−1(MMP−1)の上方制御であり、これは、老化斑及び小皺に関連する真皮コラーゲンの分解をもたらす。したがって、保護を提供する潜在的老化防止成分として、より強い抗酸化剤が必要とされている。
WO2012/150370において開示されているように、研究されている1つのそのような抗酸化剤は、レスベラトロール(3,5,4’−トリヒドロキシ−trans−スチルベン)である。レスベラトロールは、ブドウ及び他の果物の皮に見られる自然発生的ポリフェノール化合物である。この化合物は、脳機能、心臓疾患、及びがんに関連する、紫外線曝露からの皮膚損傷に対する、及びROS誘引損傷に対するその潜在的化学予防特性に関して調査されている。しかしながら、レスベラトロールの天然存在度は低く、したがってこれは非常に高価である。
結果として、皮膚中のコラーゲンの分解を軽減する組成物を含む、パーソナルケアにおける使用のための新たな抗酸化組成物を開発することが必要である。
我々は、ここで、式(I)のニトロン化合物が、従来の抗酸化剤と比較して、より低い濃度でラジカルスカベンジャーとしての同等の有効性(抗酸化保護の期間により測定される)を有する、または同等の濃度でより高い有効性(より少ない酸化損傷及び/もしくはより長い抗酸化保護)を有することを見出した。また、ニトロンの性能は、例えば1つはフェノール官能基を有し、もう1つはニトロン官能基を有する2種の異なる抗酸化剤を添加するだけでは達成され得ないことが見出された。むしろ、同じ分子中に両方の官能基が存在することが、その有利な性能の重要な態様である。
したがって、本発明の一態様は、式(I):
Figure 2017512197
(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、及びR10は、独立して、H、C−C10アルキル、−OH、C−Cアルコキシ、−COOH、−COO、または−Oであり、Mは、ナトリウム、カリウム、またはアンモニウムイオンであるが、但し、R、R、R、R、またはR10の少なくとも1つは、−OHである)の化合物を提供する。ある特定の好ましい実施形態において、R、R、R、R、R、R、R、R、R、またはR10の少なくとも2つは、−OHである。
本発明の別の態様は、(a)式(I)の抗酸化化合物と、(b)皮膚科学的に許容される担体とを含むパーソナルケア組成物を提供する。
別の態様において、本発明は、皮膚を処置する美容方法であって、本明細書に記載のような組成物を皮膚に塗布することを含む方法を提供する。
さらなる態様において、コラーゲンの分解を阻害するための方法であって、有効量の本明細書に記載のような組成物を皮膚に局所投与することを含む方法が提供される。
さらなる態様において、老化の目に見える兆候を低減するための方法であって、本明細書に記載のような組成物を、そのような処置を必要とする皮膚に塗布することを含む方法が提供される。
別段に指定されない限り、例えば「2から10」の場合のような数値範囲は、範囲を画定する数(例えば2及び10)を含む。
別段に指定されない限り、比、パーセンテージ、部等は、重量基準である。
「室温」は、本明細書において使用される場合、周囲温度、例えば20〜25℃である。
「アルキル」は、本明細書において使用される場合、示された数の炭素原子を有する直鎖及び分岐鎖脂肪族炭化水素基を包含する。数が示されていない場合、1〜6個のアルキル炭素が企図される。別段に指定されない限り、アルキル基は、本明細書に記載の合成に適合する、1つ、2つ、または3つ、好ましくは1つまたは2つ、より好ましくは1つの置換基で任意選択で置換されている。そのような置換基は、ニトロ、ハロゲン、カルボン酸(例えば、C−C−COOH)、C−Cアルケン、シアノ、アミド、及び/またはエステルを含むが、それらに限定されない。別段に指定されない限り、上記置換基は、それ自体はさらに置換されていない。
上述のように、一態様において、本発明は、式(I)の化合物を提供する。別の態様において、本発明は、式(I)の化合物と、皮膚科学的に許容される担体とを含む組成物を提供する。
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物中のR、R、R、R、R、R、R、R、R、またはR10の少なくとも3つは、−OHである。いくつかの実施形態において、式(I)の化合物中のR、R、R、R、R、R、R、R、R、またはR10の少なくとも4つは、−OHである。
いくつかの実施形態において、R、R、R、R、またはR10の少なくとも2つは、−OHである。
いくつかの実施形態において、Rは、−OHであり、R、R、RまたはR10の少なくとも1つは、−OHである。
いくつかの実施形態において、Rは、−OHであり、R、R、RまたはR10の少なくとも1つは、−OHであり、R、R、R、R、R、R、R、R、またはR10のいずれも、C−Cアルコキシではない。
いくつかの実施形態において、RまたはRの少なくとも1つは、−OHである。
いくつかの実施形態において、R、R、またはR10の少なくとも1つは、−OHである。
いくつかの実施形態において、R及び/またはRは、H、OH、またはC−Cアルコキシ(好ましくはメトキシ)である。
本発明の組成物のいくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、表1に示される通りである。
Figure 2017512197
当業者は、必要に応じて該当分野の一般的知識及び慣例的実験を組み合わせることで、本明細書に記載の利益(例えば、フリーラジカル捕捉及びコラーゲン分解の阻害)を提供するために特定の組成物中に使用されるべき式(I)の抗酸化化合物の有効量を容易に決定することができる。限定されない例として、本発明の組成物中の式(I)の化合物の量は、組成物の総重量を基準として、0.01から5重量%、好ましくは0.05から3重量%、より好ましくは0.1から1重量%の範囲内であってもよい。
式(I)の化合物は、既知の合成技術を使用して当業者により容易に調製され得る。例えば、化合物は、フェニルアルデヒド化合物(フェニル上に1つ以上のヒドロキシル基を含有する、例えば4−ヒドロキシベンズアルデヒド)とフェニルヒドロキシルアミン化合物(同じくフェニル上に1つ以上のヒドロキシル基を含有する、例えば3,4−ジヒドロキシベンジルヒドロキシルアミン)との反応、続いて所望の生成物の単離おより精製により調製され得る。
本発明の組成物はまた、皮膚科学的に許容される担体を含む。そのような材料は、典型的には、皮膚に著しい刺激をもたらさず、また組成物中の活性薬剤(複数種を含む)の活性及び特性を無効化しない担体または希釈剤として特徴付けられる。本発明において有用である皮膚科学的に許容される担体の例は、限定されることなく、エマルション、クリーム、水溶液、オイル、軟膏、ペースト、ゲル、ローション、乳剤、フォーム、懸濁液、粉末、またはそれらの混合物を含む。いくつかの実施形態において、組成物は、組成物の総重量を基準として、約99.99〜約50重量%の皮膚科学的に許容される担体を含有する。
本発明の皮膚科学的に許容される担体はまた、例えば、水、増粘剤、軟化剤、乳化剤、保湿剤、界面活性剤、懸濁剤、塗膜形成剤、起泡剤、保存剤、消泡剤、香料、低級モノアルコールポリオール、高沸点溶媒、噴射剤、着色剤、顔料、グリセリン、ミネラルオイル、シリコン感覚調整剤、保存剤、軟化剤、またはそれらの混合物を含み得る。
他の添加剤、例えば、これらに限定されないが、研磨剤、吸収剤、美的成分、例えば香料、顔料、着色料/着色剤、エッセンシャルオイル、皮膚知覚調整剤(skin sensates)、収斂剤(例えば、丁子油、メントール、樟脳、ユーカリ油、オイゲノール、乳酸メンチル、アメリカマンサク蒸留物)、固結防止剤、消泡剤、抗菌剤(例えば、ヨードプロピルブチルカルバメート)、他の抗酸化剤、結合剤、生物学的添加剤、緩衝剤、増量剤、キレート剤、化学添加剤、着色剤、美容収斂剤、美容殺生物剤、変性剤、薬物収斂剤、外用鎮痛薬、組成物の塗膜形成特性及び持続性を補助するための塗膜形成剤または材料、例えばポリマー(例えば、エイコセン及びビニルピロリドンのコポリマー)、乳白剤、pH調整剤、噴射剤、還元剤、金属イオン封鎖剤、皮膚漂白及び増白剤(例えば、ヒドロキノン、コウジ酸、アスコルビン酸、リン酸アスコルビルマグネシウム、アスコルビルグルコサミン)、皮膚調整剤(例えば、種々の、及び閉塞性を含む保湿剤)、皮膚沈静及び/または治癒剤(例えば、パンテノール及び誘導体(例えば、エチルパンテノール)、アロエベラ、パントテン酸及びその誘導体、アラントイン、ビサボロール、及びグリチルリチン酸2カリウム)、皮膚処置剤、増粘剤、ならびにビタミン(例えばビタミンC)及びそれらの誘導体等が本発明の組成物中に含まれてもよい。
本発明の組成物は、例えば、オイル、ゲル、固形スティック、ローション、クリーム、乳剤、エアロゾル、噴霧剤、フォーム、ムース、軟膏もしくは油性軟膏、または粉末の形態であってもよい。
本発明の組成物は、様々なパーソナルケア用途において、例えば美容及びスキンケア(例えば、ローション、クリーム、オイル、局所医薬品、及び日焼け止め)において使用され得る。
本発明の組成物は、当該技術分野において周知のプロセスにより、例えば、従来の混合、溶解、造粒、乳化、カプセル化、捕捉または凍結乾燥プロセスを用いて製造され得る。
上述のように、式(I)の化合物を含有する本発明の組成物は、ラジカルスカベンジャーとして極めて効果的である。それらは、従来知られているパーソナルケア用途の抗酸化剤と比較して、大幅に良好な抗酸化属性を示す。さらに、フェノール基を有するニトロンの性能は、1つはフェノール官能基を有し、もう1つはニトロン官能基を有する2種の異なる抗酸化剤を添加するだけでは達成され得ないことが見出された。むしろ、同じ分子中に両方の官能基が存在することが、その有利な性能の重要な態様である。
本発明の美容組成物は、例えば、UVA及びUVB線等の紫外線、ならびに長波長赤外線等の他の有害な形態の放射線への曝露により引き起こされるフリーラジカルからの皮膚の処置及び保護に有用である。
したがって、例えば、美容組成物は、コラーゲンの分解を阻害するための方法において使用され得る。そのような方法によれば、有効量の組成物が、そのような処置を必要とする皮膚に局所投与され得る。
組成物はまた、そのような処置を必要とする皮膚に組成物を塗布することにより、皮膚中のコラーゲンのラジカル誘引分解から生じ得る老化の目に見える兆候を低減するための方法において使用され得る。老化の目に見える兆候は、例えば、組織の不連続性、例えば小皺及び粗く深い皺、皮膚の線、割れ目、隆起部、大きな毛穴、または不均一性または粗さの増加、微細な線の低減、皮膚の弾力性の喪失(機能的な皮膚エラスチンの喪失及び/または不活性化)、たるみ(目及び顎の領域における腫脹を含む)、皮膚のハリの喪失、皮膚の締まりの喪失、変形からの皮膚の回復の喪失、変色(目の下のくまを含む)、しみ、黄ばみ、色素過剰の皮膚領域、例えば老化斑及びそばかす、角質、異常分化、過剰角質化、弾性線維症、ならびに、角質層、真皮、表皮、皮膚血管系(例えば、毛細管拡張症またはクモ状血管)、及び下層組織、特に皮膚に近い組織における他の組織学的変化を含み得る。
本発明の方法の実践において、美容組成物は、一般に、皮膚に組成物を塗布または伸ばすことにより、局所投与される。当業者は、美容組成物が塗布されるべき頻度を容易に決定することができる。頻度は、例えば、個人が所与の日に遭遇する可能性のある日光の量、及び/または日光に対する個人の感受性に依存し得る。限定されない例として、1日に少なくとも1回の頻度での投与が望ましくなり得る。
ここで、以下の実施例において、本発明のいくつかの実施形態を詳細に説明する。
実施例1
オキシム前駆体3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒドオキシム(34DHBzOx)の合成
Figure 2017512197
100mLの3口フラスコに、磁気撹拌器、還流冷却器、添加用漏斗、熱電対、氷浴、及び窒素ブランケットを取り付けた。フラスコに、13.81グラム(0.10モル)の3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド及び50mLの100%エタノールを投入した。混合物を窒素下で室温で撹拌すると、透明暗褐色溶液が得られた。溶液を<15℃に冷却した。添加用漏斗に、6.63グラム(0.10モル)の50wt.%ヒドロキシルアミン水溶液を投入した。ヒドロキシルアミン溶液を、冷却されたアルデヒド溶液に、約45分の期間にわたり添加した。添加中、反応混合物温度を<20℃に維持した。ヒドロキシルアミン溶液添加の完了後、GC分析によりアルデヒドが本質的に消失したことが示されるまで(約7時間)、反応混合物を55℃で加熱した。回転蒸発により反応混合物から溶媒を除去すると、定量的収率のオキシムが褐色固体として得られた。融点:161〜163℃。GCでは、>98%の純度が示された。IR、NMR、及びGC/MS分析により構造を確認した。
実施例2
ヒドロキシルアミン前駆体4−((ヒドロキシアミノ)メチル)ベンゼン−1,3−ジオール(34DHBzHA)の合成
Figure 2017512197
125mLの3口フラスコに、磁気撹拌器、焼結ガラス散布管、メーター付きpH電極、ならびに熱電対及びガス出口を装着したクライゼンアダプタを取り付けた。フラスコに、4.59グラム(0.03モル)の上記の3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒドオキシム(34DHBzOx)、及び40mLのメタノールを投入した。混合物を室温で撹拌すると、透明褐色溶液が得られた。次いで、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(1.89グラム、0.03モル)を一度にオキシム溶液に添加した。塩化水素ガスのレクチャーボトルを、間に安全トラップを介して散布管に接続した。HClボトルを、ガスの細流が反応混合物中に散布され得るだけの量となるように開いた。混合物のpHは、約7から<3まで急速に低下した。同時に、反応混合物は激しく発泡し、固体が沈殿し始めた。HClの散布を止め、pHを監視した。pHが≦3で1時間安定化した後、反応混合物を濾過し、白色固体をフィルタ上で少量のメタノールで洗浄した。乾燥後、1.38グラムの白色固体が得られた。濾液及びメタノール洗浄物を合わせ、回転蒸発により溶媒を除去すると、6.27グラムのベージュ色の固体が得られた。これらの固体を、濾過により得られた固体と合わせ、約25mLの水に溶解すると、約5のpHを有する透明褐色溶液が得られた。重炭酸ナトリウムの飽和水溶液を添加することにより、pHを約8に上昇させた。この時点で、固体が分離し始めた。混合物を氷浴中で約1時間冷却し、次いで濾過した。固体をフィルタ上で一部の水で洗浄した。真空下で55℃で約1時間乾燥させた後、暗褐色固体としてのヒドロキシルアミンの収量は、2.56グラムであった(収率55%)。融点=149〜151℃。構造を、IR及びNMR分析により確認した。HPLC分析では、>75%の純度が示された。
実施例3
ニトロン1−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジリデン)メタンアミン酸化物(VAN−34DHBzHA)の合成
Figure 2017512197
500mLの1口フラスコに、磁気撹拌器及びセプタムを取り付けた。フラスコに、7.76グラム(0.05モル)の3,4−ジヒドロキシベンジルヒドロキシルアミン、175mLのメタノール、及び7.61グラム(0.05モル)のバニリンを投入した。反応混合物を、室温で2日間撹拌した。回転蒸発により反応混合物から溶媒を除去すると、14.52グラムの淡褐色固体生成物が得られた(理論値の100%)。融点=約129℃から>150℃。HPLC分析では、約94%の純度が示された。
溶出溶媒系として酢酸エチル−メタノール(95:5、v/v)を使用した、115グラムのシリカゲル60でのカラムクロマトグラフィーにより、4.22グラムの粗生成物の試料を精製した。カラム分画は、TLCにより監視した。得られた精製された生成物の収量は、1.10グラムであった(カラムへの投入量を基準として26%)。融点=190〜191℃。IR、NMR、及びGC/MS分析により構造を確認した。HPLC分析では、>99%の純度が示された。
実施例4
ニトロン1−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−N−(2−ヒドロキシベンジリデン)メタンアミンオキシド(SAL−34DHBzHA)の合成
Figure 2017512197
250mLの1口フラスコに、磁気撹拌器及びセプタムを取り付けた。フラスコに、3.88グラム(0.025モル)の3,4−ジヒドロキシベンジルヒドロキシルアミン、75mLのメタノール、及び3.05グラム(0.025モル)のサリチルアルデヒドを投入した。反応混合物を、室温で3日間撹拌した。回転蒸発により反応混合物から溶媒を除去すると、11.86グラムの暗褐色タール状生成物が得られた(理論値の180%)。粗生成物を、100mLのメタノールと共に室温で撹拌したが、生成物の全てが溶解したわけではなかった。混合物を濾過した。回転蒸発により濾液から溶媒を除去すると、7.59グラムの褐色固体生成物が得られた(理論値の117%)。HPLC分析では、高分子量及び低分子量不純物の両方を有する約87面積%の生成物もまた存在することが示された。
溶出溶媒系として酢酸エチル−メタノール(95:5、v/v)を使用した、100グラムのシリカゲル60でのカラムクロマトグラフィーにより、4.15グラムの粗生成物の試料を精製した。カラム分画は、TLCにより監視した。得られた精製された生成物の収量は、1.51グラムであった(カラムへの投入量を基準として36%)。融点=157〜161℃。IR、NMR、及びGC/MS分析により構造を確認した。
実施例5
ニトロン1−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−N−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジリデン)メタンアミンオキシド(VAN−24DHBzHA)の合成
Figure 2017512197
100mLの1口フラスコに、磁気撹拌器及びゴムセプタムを取り付けた。フラスコに、1.05グラム(0.0068モル)の4−((ヒドロキシアミン)メチル)ベンゼン−2,4−ジオール、1.1グラム(0.0072モル)のバニリン、及び20mLのメタノールを投入した。50℃で2時間加熱した後でも、固体の全てが溶解したわけではなかった。混合物を、室温で3日間撹拌した。混合物を濾過し、固体をフィルタ上で少量のメタノールで洗浄した。空気中で数時間乾燥させた後、生成物の収量は、1.7グラムであった(収率87%)。融点=175〜177℃。構造を、IR及びNMR分析により確認した。
実施例6
ニトロンN−(4−ヒドロキシベンジリデン)−1−(4−ヒドロキシフェニル)メタンアミンオキシド(pHBz−pHBzHA)の合成
Figure 2017512197
100mLの1口フラスコに、磁気撹拌器及びゴムセプタムを取り付けた。フラスコに、1.6グラム(0.01モル)のp−ヒドロキシベンジルヒドロキシアミン塩酸塩、0.36グラム(0.1モル)の水酸化ナトリウムペレット、及び10mLのメタノールを投入した。混合物を室温で撹拌すると、塩化ナトリウムが沈殿し始めた。均質な溶液が得られるまで、水を添加した。約4mLが必要であった。次いで、p−ヒドロキシベンズアルデヒド(1.2グラム、0.01モル)を添加し、透明溶液を60℃で6時間加熱した。次いで、混合物を、室温で3日間撹拌した。得られた白色スラリーを濾過し、固体をフィルタ上で少量の水で洗浄した。真空下で35℃で乾燥させた後、生成物の収量は1.8グラムであった(収率79.3%)。融点=196〜196℃。構造を、IR及びNMR分析により確認した。
実施例7
ニトロンN−ベンジリデン−1−(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタンアミンオキシド(Bz−24DHBzHA)の合成
Figure 2017512197
100mLの1口フラスコに、磁気撹拌器及びゴムセプタムを取り付けた。フラスコに、1.55グラム(0.01モル)の2,4−ジヒドロキシベンジルヒドロキシルアミン、1.06グラム(0.01モル)のベンズアルデヒド、10mLのメタノール、及び2mLの水を投入した。混合物を50℃で2時間撹拌すると、透明褐色溶液が得られた。混合物を室温で一晩撹拌した。得られたスラリーを濾過した。固体をフィルタ上で少量の温水で洗浄し、次いで真空下で35℃で乾燥させた。生成物の収量は、1.65グラムであった(収率67.9%)。融点=158℃。構造を、IR及びNMR分析により確認した。
実施例8
ニトロンN−ベンジリデン−1−(4−ヒドロキシフェニル)メタンアミンオキシド(Bz−pHBzHA)の合成
Figure 2017512197
100mLの1口フラスコに、磁気撹拌器及びゴムセプタムを取り付けた。フラスコに、1.39グラム(0.01モル)のp−ヒドロキシベンジルヒドロキシルアミン、1.06グラム(0.01モル)のベンズアルデヒド、10mLのメタノール、及び2mLの水を投入した。混合物を50℃で6時間加熱し、次いで、室温で一晩撹拌した。得られた白色スラリーを濾過し、固体をフィルタ上で少量の水で洗浄した。固体を真空下で35℃で乾燥させた。生成物の収量は、1.8グラムであった(収率79%)。融点=191℃。構造を、IR及びNMR分析により確認した。
実施例9
ニトロンN−(2,4−ジヒドロキシベンジリデン)−1−(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタンアミンオキシド(24DHBz−24DHBzHA)の合成
Figure 2017512197
100mLの1口フラスコに、磁気撹拌器及びゴムセプタムを取り付けた。フラスコに、1.55グラム(0.01モル)の2,4−ジヒドロキシベンジルヒドロキシルアミン、1.38グラム(0.01モル)の2,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、10mLのメタノール、及び2mLの水を投入した。混合物を50℃で6時間加熱し、次いで、室温で一晩撹拌した。得られた白色スラリーを濾過し、固体をフィルタ上で少量の水で洗浄した。固体を真空下で35℃で乾燥させた。生成物の収量は、2.4グラムであった(収率87%)。融点=203〜204℃。構造を、IR及びNMR分析により確認した。
実施例10
抗酸化力
抗酸化力は、酸素ラジカル吸収能(ORAC)プロトコルを使用して評価される。ORACは、水素原子移動(HAT)機構に基づく化学的インビトロ法である(N.Re et al.,Free Radical Biology & Medicine,26(9/10),1231(1997)を参照されたい)。ORACは、ペルオキシルラジカル誘導酸化の抗酸化阻害の目安であり、したがって、H原子移動による古典的ラジカル鎖切断抗酸化活性を反映する。このアッセイにおいて、ペルオキシルラジカルは、蛍光プローブと反応して、非蛍光生成物を形成する。これは、蛍光測定を使用して定量される。抗酸化能は、経時的に形成される生成物の割合及び量の低下により決定される。このアッセイは、蛍光強度の変化をもたらす蛍光プローブへのフリーラジカル損傷に依存する。蛍光強度の変化は、フリーラジカル損傷の度合いの指標である。抗酸化剤の存在下では、フリーラジカル損傷の阻害は、より高い蛍光強度として反映され、フリーラジカルに対する抗酸化能として測定され得る。ORACアッセイの独自性は、反応が完了まで駆動されることである。これにより、曲線下面積(AUC)を計算することができ、また多くの他のアッセイにおける相対的測定と対照的に、抗酸化性の絶対的定量が得られる。
上述のように、蛍光の低下が観察される時間が長いほど、抗酸化(AO)力が高い。所与の抗酸化剤のAUCから、ブランクのAUCが差し引かれて、ORAC値が得られる。Troloxと同じAUC値を得るために必要なAOの濃度を計算及び使用して、Trolox等価AO能(TEAC)が示される。Troloxは、((±)−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸、CAS#53188−07−1)であり、内部標準として使用される。
ORAC試験は、上記表1の化合物(本発明の化合物)、ならびにビタミンC、ビタミンE、及び以下の比較化合物において行う。
Figure 2017512197
ORAC試験溶液中の本発明のニトロンは、30マイクロモルの濃度であり、一方、Trolox、ビタミンC、ビタミンE、BHT、PBN+BHT、及びVAL−IPHAの濃度は、100マイクロモルであった。ORAC値から計算されたTEAC値を、表2に列挙する。
Figure 2017512197
驚くべきことに、本発明の化合物は、既知の抗酸化剤ビタミンEまたはCと比較して、大幅により高いORAC値を示したことが分かる。また、BHT等のフェノールAO、VAL−IPHA等の非芳香族ニトロン、またはPBN等の芳香族ニトロンのTEAC値は、ポリヒドロキシスチルベノイド類似構造にフェノール及びニトロン部分の両方を含有する本発明の化合物のTEAC値と比較して、それほど高くはないことも明らかである。芳香族ニトロン及びフェノールAO(PBN+BHT)の物理的ブレンドのTEAC値もまた、比較的小さい。このことから、再生機構が生じるためには、ニトロン及びフェノール官能基が同じ分子の一部である必要があると考えられる。

Claims (10)

  1. 式(I):
    Figure 2017512197
    (式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、及びR10は、独立して、H、C−C10アルキル、−OH、C−Cアルコキシ、−COOH、−COO、または−Oであり、Mは、ナトリウム、カリウム、またはアンモニウムイオンであるが、但し、R、R、R、R、R、R、R、R、R、またはR10の少なくとも2つは、−OHであり、R、R、R、R、またはR10の少なくとも1つは、−OHである)の化合物。
  2. 、R、R、R、R、R、R、R、R、またはR10の少なくとも3つは、−OHである、請求項1に記載の前記化合物。
  3. 、R、R、R、またはR10の少なくとも2つは、−OHである、請求項1に記載の前記化合物。
  4. は、−OHであり、R、R、R、R、R、R、R、R、またはR10のいずれも、C−Cアルコキシではない、請求項3に記載の前記化合物。
  5. Figure 2017512197
    からなる群から選択される、請求項1に記載の前記化合物。
  6. Figure 2017512197
    からなる群から選択される、請求項5に記載の前記化合物。
  7. (a)式(I):
    Figure 2017512197
    (式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、及びR10は、独立して、H、C−C10アルキル、−OH、C−Cアルコキシ、−COOH、−COO、または−Oであり、Mは、ナトリウム、カリウム、またはアンモニウムイオンであるが、但し、R、R、R、R、またはR10の少なくとも1つは、−OHである)の抗酸化化合物と;
    (b)皮膚科学的に許容される担体と
    を含む、パーソナルケア組成物。
  8. 皮膚を処置する美容方法であって、請求項7に記載の組成物を前記皮膚に塗布することを含む前記方法。
  9. 皮膚中のコラーゲンの分解を阻害するための方法であって、有効量の請求項7に記載の前記組成物を前記皮膚に局所投与することを含む前記方法。
  10. 老化の目に見える兆候を低減するための方法であって、請求項7に記載の前記組成物を、そのような処置を必要とする皮膚に塗布することを含む前記方法。
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