JP2017507977A - 痙縮を治療するためのピペラジンフェノチアジン誘導体 - Google Patents

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Abstract

本発明は、特に虚血若しくは外傷性損傷、又は圧迫症候群後の、痙縮を治療するための治療剤として有用なピペラジンフェノチアジン誘導体に関する。本発明は更に、痙縮を治療するための本発明の化合物を含む医薬組成物に関する。

Description

本発明は、医学分野に関し、詳細には痙縮を治療するためのピペラジンフェノチアジン誘導体の使用に関する。
外傷性又は虚血性の脳、脊髄及び末梢神経系の損傷は、患者の深刻な身体的(片麻痺、対麻痺、四肢麻痺)、感覚的(神経障害性疼痛、痺れ、視力喪失)又は認知的(精神的変化)な帰結を伴う。これらのハンディキャップは自律性の喪失及び生涯にわたる重度の医療を必要とする完全な依存を生じるので、これらは公衆衛生上の問題である。例えば、医療及び医療補助、在宅介護者、住居及び車両の変更並びに生産性の喪失を含む脊髄損傷の経済的帰結は、アメリカ合衆国(USA)で毎年100億ドル近くになると見積もられている。加えて、椎間板ヘルニアによる末梢神経の圧迫は、慢性疼痛を引き起こす。USAでは、腰痛(腰痛症とも呼ばれる)は医師の受診理由の5番目に多い理由である。成人の10人に約9人が、人生のいつかの時点で背部痛を経験しており、社会人の10人に5人が毎年背部痛を患っている。腰痛はUSAにおいて欠勤日の40%の原因となっている。また、腰痛は世界中で障害の主要な原因となっている。末梢神経の圧迫を引き起こす椎間板ヘルニアは、腰痛のこの状態と関連する最もよくみられる神経学的障害である。
痙縮は、伸張反射の過興奮性、筋肉のこわばり、拮抗筋の同時収縮及び痛みを伴う痙攣を特徴とし、脊髄損傷(SCI、患者の75%)又は脳血管発作(CVA又は脳卒中)の一般的な結果である。神経障害性疼痛を伴って(SCIの場合)又は伴わずに(脳卒中の場合)、痙縮は患者の生活の質に大きく影響する。
バクロフェンは、重度の痙縮を治療するのに一般に使用され、経口投与が無効となるかその副作用(例えば眠気、めまい等)が多くなり過ぎたときに、埋め込み式ポンプによって患者に投与することができる。しかしながら、バクロフェンを用いる治療は、ポンプを埋め込む手術を計算に入れなくとも、非常に高価である。
モルフィン、ガバペンチン、プレガバリン(Lyrica)、クロナゼパム、ジアゼパム(Valium)、及び/又はケタミン等の他の薬物もまた神経障害性疼痛及び/又は痙縮を治療するのに使用することができるが、依存性問題等のいくつかの副作用を一般的に誘発する。ボツリヌス毒素(Botox(登録商標))の筋肉内注射もまた摘出筋において痙縮を治療するのに効果を示したものの、副作用として注射された筋肉の弱化を誘発し、これが隣接する筋肉に広がる可能性がある。
上述したように、どの患者の医薬も副作用を回避しながら効果的かつ長期的に痙縮に対処できそうにないので、新規な治療アプローチ、治療薬及び/又は治療法を調査する必要がある。
痙縮は、運動ニューロンの興奮性の増加と、脊髄の神経ネットワークにおける抑制の強さの減少の両方から生じる。最近になって、ニューロン抑制の変化の原因となる機構が確認された。抑制作用は、標的細胞中の低い塩化物イオン濃度に基づく(Payneら、2003;Vinay、2008)。この低い濃度は、ニューロンの膜で特異的に発現されるタンパク質、カリウムクロライド共輸送体2(KCC2)により制御され、このタンパク質はカリウムイオン及び塩化物イオンを細胞外に排出する。KCC2発現は脊髄損傷後に大きく減少する(Boulenguezら、2010)。KCC2輸送体の量における同様の減少もまた、脊髄損傷(Luら、2008;Cramerら、2008)又は末梢神経結紮(Coullら、2003;Coullら、2005)後の神経障害性疼痛の原因となる。
WO2004/0962312
J. Pharm. Sci. 1977、66、2頁 Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use、P. Heinrich Stahl及びCamille G. Wermuth編、2002 Delpireら、2009、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、106、5383〜88頁
したがって、KCC2は痙縮又は慢性疼痛を治療するのに魅力的のように見えるが、現在までにその発現又は機能を増強することによってKCC2に対する肯定的な活性を有する薬物又は薬理学的ツールは未だ開発されていない。
このような背景において、本発明者らは、驚くべきことに、一般式(I)の化合物、詳細にはピペラジンフェノチアジン誘導体が、KCC2を活性化し、特に虚血若しくは外傷性損傷、又は圧迫症候群後の、痙縮又は神経障害性疼痛を治療するのに有用であることを確認した。
本発明は、痙縮又は神経障害性疼痛を治療するのに使用するための、より具体的には痙縮の治療のための使用のための、式(I):
Figure 2017507977
[式中、
・Aは直鎖又は分岐鎖状(C1〜C6)アルキル鎖を表し;
・R1は、
・水素原子、
・ハロゲン原子、
・アシル基CO-R7若しくはスルホニル基SO2-R7{式中、R7は(C1〜C6)アルキル基を表す}、
・スルホンアミド基SO2-NR8R9{式中、R8及びR9は独立して、水素原子又は(C1〜C6)アルキル基を表す}、又は
・少なくとも1個のハロゲン原子により置換されていてもよい(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)アルコキシ、(C1〜C6)アルキルメルカプト、チオ-(C1〜C6)アルキル若しくは(C1〜C6)アルキルスルホニル基を表し;
・R1'は、水素原子又はヒドロキシル基、好ましくは水素原子を表し;
・R2、R3、R4及びR5は同一又は異なって、それぞれ、水素原子又は(C1〜C6)アルキル基を表し;
・R6は、
・水素原子、
・アルキル鎖の末端で少なくとも1個のヒドロキシル基により置換されていてもよい(C1〜C6)アルキル基、
・(C1〜C4)アルキルアシルオキシ基、
・(C1〜C4)アルキル-OR10
を表し、式中、R10は、
- 鎖の末端で少なくとも1個のヒドロキシル基により置換されていてもよい(C1〜C4)アルキル基、又は
- COR11基{R11は、アルキル鎖の末端でアミノ基により置換されていてもよい(C1〜C6)アルキル基である}
を表す]
の化合物又はその薬学的に許容される塩の1種に関する。
特定の実施形態によれば、本発明の化合物は、Aが直鎖又は分岐鎖状(C3〜C4)アルキル鎖を表す、式(I)の化合物である。
好ましくは、R1は、
・水素原子、
・ハロゲン原子、好ましくは塩素原子、
アシル基CO-R7{式中、R7は、(C1〜C6)アルキル基、好ましくはメチル又はn-プロピル基を表す}、
スルホンアミド基SO2-NR8R9{式中、R8及びR9は独立して、水素原子、若しくは(C1〜C6)アルキル基を表し、好ましくはR8及びR9はメチル基を表す}、
・少なくとも1個のフッ素原子により置換されていてもよい(C1〜C6)アルキル基、好ましくはトリフルオロメチル基、又は
・チオ-(C1〜C6)アルキル基、好ましくはチオ-エチル(-SCH2CH3)基を表す。
好ましくは、R1'、R2、R3、R4及びR5は水素原子を表す。
好ましくは、R6は、
・アルキル鎖の末端で少なくとも1個のヒドロキシル基により置換されていてもよい(C1〜C6)アルキル基、好ましくはメチル又はエチル基、
・-OR10基により置換されたエチル基
を表し、式中、R10は、
- 鎖の末端で少なくとも1個のヒドロキシル基により置換されていてもよいエチル基、又は
- COR11基{R11はアルキル鎖の末端でアミノ基により置換されていてもよい(C1〜C6)アルキル基を表す}
を表す。
極めて特定の態様では、式(I)の化合物は、
- 2-[2-[4-[2-メチル-3-(10H-フェノチアジン-10-イル)プロピル]-1-ピペラジニル]エトキシ]エタノール;
- 2-[4-[3-[2-(トリフルオロメチル)-10H-フェノチアジン-10-イル]プロピル]-ピペラジン-1-イル]エタノール(化合物3);
- 2-[4-[3-(2-クロロ-10H-フェノチアジン-10-イル)プロピル]ピペラジン-1-イル]エタノール(化合物1);
- 2-(4-(3-(2-クロロ-10H-フェノチアジン-10-イル)プロピル)ピペラジン-1-イル)エチルヘプタノエート;
- 2-クロロ-10-[3-(4-メチル-1-ピペラジニル)プロピル]-10H-フェノチアジン(化合物2);
- 2-[4-[3-(2-クロロ-10H-フェノチアジン-10-イル)プロピル]ピペラジン-1-イル]エチルアセテート;
- 10-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロピル]-2-(トリフルオロメチル)-10H-フェノチアジン(化合物4);
- 2-(エチルチオ)-10-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロピル]-10H-フェノチアジン(化合物8);
- 1-[10-[3-[4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-イル]プロピル]-10H-フェノチアジン-2-イル]エタノン(化合物5);
- N,N-ジメチル-10-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロピル]-10H-フェノチアジン-2-スルホンアミド(化合物6);
- 1-[10-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロピル]-10H-フェノチアジン-2-イル]ブタン-1-オン;及び
- 10-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロピル]-10H-フェノチアジン(化合物7)
からなる群から選択される。
特定の一実施形態では、本発明の化合物は、虚血若しくは外傷性損傷、又は圧迫症候群後の痙縮を治療するのに使用される。
更に別の特定の実施形態では、本発明の化合物は、虚血若しくは外傷性損傷、又は圧迫症候群後の神経障害性疼痛を治療するのに使用される。
本発明者らは、痙縮を治療するための治療的利益を有する、ピペラジンフェノチアジン誘導体に相当する一般式(I)の化合物:
Figure 2017507977
の新規な使用を確認した。
具体的には、本発明者らは、驚くべきことに、ピペラジン誘導置換基により置換されたフェノチアジン誘導体が、KCC2カリウム/クロライド輸送、KCC2発現を増強することによって、且つ/又はそのような輸送体の細胞内局在を調節することによって、KCC2を活性化することを発見した。本発明者らはまた、本発明の化合物が、KCC2発現及び機能を上方制御する結果として、塩化物イオンの細胞内濃度、痙縮及び慢性神経障害性疼痛を低減させることが可能であることを実証した。
特に、より良好なKCC2活性化プロファイルが、本発明の式(I)の化合物で観察されたことは驚くべきことである。
したがって、本発明は、痙縮又は神経障害性疼痛を治療するのに使用するための、式(I):
Figure 2017507977
[式中、
・Aは直鎖又は分岐鎖状(C1〜C6)アルキル鎖を表し;
・R1は、
・水素原子、
・ハロゲン原子、
・アシル基CO-R7若しくはスルホニル基SO2-R7{式中、R7は(C1〜C6)アルキル基を表す}、
・スルホンアミド基SO2-NR8R9{式中、R8及びR9は独立して、水素原子又は(C1〜C6)アルキル基を表す}、又は
・少なくとも1個のハロゲン原子により置換されていてもよい(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)アルコキシ、(C1〜C6)アルキルメルカプト、チオ-(C1〜C6)アルキル若しくは(C1〜C6)アルキルスルホニル基を表し;
・R1'は、水素原子又はヒドロキシル基、好ましくは水素原子を表し;
・R2、R3、R4及びR5は同一又は異なって、それぞれ、水素原子又は(C1〜C6)アルキル基を表し;
・R6は、
・水素原子、
・アルキル鎖の末端で少なくとも1個のヒドロキシル基により置換されていてもよい(C1〜C6)アルキル基、
・(C1〜C4)アルキルアシルオキシ基、
・(C1〜C4)アルキル-OR10
を表し、式中、R10は、
- 鎖の末端で少なくとも1個のヒドロキシル基により置換されていてもよい(C1〜C4)アルキル基、又は
- COR11基{R11は、アルキル鎖の末端でアミノ基により置換されていてもよい(C1〜C6)アルキル基である}
を表す]
の化合物又はその薬学的に許容される塩の1種に関する。
本発明によれば、以下の用語は以下の意味を有する。
例えばC1〜C3、C1〜C4、C1〜C6等の接頭辞が付く本明細書で言及された用語は、C1〜C2、C1〜C3、C1〜C5又はC3〜C4等のより低い数の炭素原子で使用することもできる。例えば、C1〜C3という用語が使用された場合、これは対応する炭化水素鎖が1〜3個の炭素原子、とりわけ1、2又は3個の炭素原子を含んでもよいことを意味する。例えば、C1〜C6という用語が使用された場合、これは対応する炭化水素鎖が1〜6個の炭素原子、とりわけ1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を含んでもよいことを意味する。例えば、C3〜C4という用語が使用された場合、これは対応する炭化水素鎖が3又は4個の炭素原子を含んでもよいことを意味する。
「アルキル」という用語は、飽和した直鎖又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基を指す。「(C1〜C3)アルキル」という用語は、より具体的にはメチル(「Me」とも称される)、エチル(「Et」とも称される)、プロピル、又はイソプロピルを意味する。「(C1〜C6)アルキル」という用語は、より具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル又はヘキシルを意味する。
「アルキレン」という用語は、不飽和の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基を指す。「プロピレン」という用語は、3個の炭素原子を有する不飽和の直鎖又は分岐鎖状脂肪族基を指す。
「アルコキシ」又は「アルキルオキシ」という用語は、-O-(エーテル)結合により分子に結合した上述のアルキル基に対応する。例えば、(C1〜C6)アルコキシには、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、ブチルオキシ、イソブチルオキシ、tert-ブチルオキシ、ペンチルオキシ及びヘキシルオキシが含まれる。
「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素原子、好ましくは塩素又はフッ素原子、更により好ましくは塩素原子に対応する。
「少なくとも〜により置換された」又は「により置換された」という表現は、基が列挙されたものの1個又は数個の基により置換されていることを意味する。
「アミノ」という用語は、-NH2基に対応する。
薬学的に許容される塩には、無機酸塩並びに有機酸塩が含まれる。適切な無機酸の代表例としては、塩酸(又は塩化水素酸)、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸等が挙げられる。適切な有機酸の代表例としては、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、安息香酸、ケイ皮酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、メタンスルホン酸等が挙げられる。本発明の化合物の薬学的に許容される塩にはまた多塩、例えば、二塩酸塩、三塩酸塩等の多塩酸塩(polyhydrochlorate)、ジ又はトリメシル酸塩等のポリメシル酸塩、ジ又はトリマレイン酸塩等のポリマレイン酸塩が含まれる。
薬学的に許容される無機又は有機酸付加塩のさらなる例としては、J. Pharm. Sci. 1977、66、2頁、並びにHandbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use、P. Heinrich Stahl及びCamille G. Wermuth編、2002に列挙された薬学的に許容される塩が挙げられる。
好ましい実施形態では、該塩は、塩酸塩、マレイン酸塩、及びメタンスルホン酸塩(又はメシル酸塩)からなる群から選択される。より好ましい実施形態では、該塩は、二塩酸塩、ジメシル酸塩、及びジマレイン酸塩からなる群から選択される。
フェノチアジンは、統合失調症の興奮及び躁病的行動を緩和する等のそれらの効果について神経遮断薬として知られている。いくつかのフェノチアジン誘導体は、抗精神病薬、制吐剤、抗パーキンソン病薬及び抗片頭痛薬として製造販売承認を得ている。特に、ピペラジン系はフェノチアジン系抗精神病薬化合物の最も代表的なものである。フェノチアジン薬は、少なくとも40年間は存在し、その標的、作用機序、コンプライアンス、副作用が調査され明らかにされている。
Callizot及びCollin(WO2004/0962312)は、特にパーキンソン病、アルツハイマー病等の中枢及び末梢神経変性疾患又は筋萎縮性側索硬化症(ALS)疾患等の末梢神経障害疾患を治療するための、中枢神経系(CNS)及び/又は末梢神経系に神経保護及び/又は神経栄養効果を有するピペラジンフェノチアジン誘導体の使用を報告した。
しかしながら、特筆すべきはKCC2輸送体の活性化によって、痙縮を治療するためのピペラジンフェノチアジン誘導体の使用は先行技術において開示も示唆もされていない。更に、これらの化合物の使用は、KCC2の活性化を伴う機構を介する神経障害性疼痛の治療において記載されたことはない。
特に、Aは、直鎖又は分岐鎖状(C3〜C4)アルキル鎖、好ましくはプロピル又はイソブチル鎖を表す。
好ましくは、R1は、
・水素原子、
・ハロゲン原子、
・アシル基CO-R7又はスルホニル基SO2-R7{式中、R7は(C1〜C6)アルキル基を表す}、
・スルホンアミド基SO2-NR8R9{式中、R8及びR9は独立して、水素原子、若しくは(C1〜C6)アルキル基を表す}、又は
・少なくとも1個のハロゲン原子により置換されていてもよい(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)アルコキシ、(C1〜C6)アルカノイル、(C1〜C6)アルキルメルカプト、チオ-(C1〜C6)アルキル若しくは(C1〜C6)アルキルスルホニル基を表す。
より好ましくは、R1は、
・水素原子、
・ハロゲン原子、好ましくは塩素原子、
・アシル基CO-R7{式中、R7は、(C1〜C6)アルキル基、好ましくはメチル又はn-プロピル基を表す}、
・スルホンアミド基SO2-NR8R9{式中、R8及びR9は独立して、水素原子、若しくは(C1〜C6)アルキル基を表し、好ましくはR8及びR9はメチル基を表す}、
・少なくとも1個のフッ素原子により置換されていてもよい(C1〜C6)アルキル基、好ましくはトリフルオロメチル基、又は
・チオ-(C1〜C6)アルキル基、好ましくはチオ-エチル(-SCH2CH3)基を表す。
更により好ましくは、R1は、
・水素原子、
・塩素原子、
・アシル基CO-R7{式中、R7はメチル又はn-プロピル基を表す}、
・スルホンアミド基SO2-NR8R9{式中、R8及びR9はメチル基を表す}、又は
・トリフルオロメチル、若しくはチオ-エチル(-SCH2CH3)基を表す。
有利には、R1は塩素原子である。
さらなる実施形態では、R1'、R2、R3、R4及びR5は水素原子を表す。この特定の実施形態では、ピペラジニル環はR6置換基のみにより置換されている。
別の特定の実施形態では、R6は、
・水素原子、
・アルキル鎖の末端で少なくとも1個のヒドロキシル基により置換されていてもよい(C1〜C6)アルキル基、
・(C1〜C4)アルキルアシルオキシ基、
・(C1〜C4)アルキル-OR10
を表し、式中、R10は、
- 鎖の末端で少なくとも1個のヒドロキシ基により置換されていてもよい(C1〜C4)アルキル基、又は
- COR11基{R11は、アルキル鎖の末端でアミノ基により置換されていてもよい(C1〜C6)アルキル基である}
を表す。
好ましくは、R6は、
・アルキル鎖の末端で少なくとも1個のヒドロキシル基により置換されていてもよい、(C1〜C6)アルキル基、好ましくはメチル又はエチル基、
・-OR10単位により置換されたエチル基{式中、R10は好ましくは
- アルキル鎖の末端で少なくとも1個のヒドロキシル基により置換されていてもよいエチル、又は
- COR11基{R11はアルキル鎖の末端でアミノ基により置換されていてもよい(C1〜C6)アルキル基である}
を表す}
を表す。
更により好ましくは、R6は、アルキル鎖の末端でヒドロキシルにより置換されたエチル基又はメチル基を表す。
有利な一実施形態では、Aは直鎖状プロピル鎖を表し、R1は塩素原子であり、R1'、R2、R3、R4及びR5は水素原子であり、R6はアルキル鎖の末端でヒドロキシル基により置換されたエチル基又はメチル基を表す。
極めて特定の態様では、使用のための化合物は、
- 2-[2-[4-[2-メチル-3-(10H-フェノチアジン-10-イル)プロピル]-1-ピペラジニル]エトキシ]エタノール;
- 2-[4-[3-[2-(トリフルオロメチル)-10H-フェノチアジン-10-イル]プロピル]-ピペラジン-1-イル]エタノール;
- 2-[4-[3-(2-クロロ-10H-フェノチアジン-10-イル)プロピル]ピペラジン-1-イル]エタノール;
- 2-(4-(3-(2-クロロ-10H-フェノチアジン-10-イル)プロピル)ピペラジン-1-イル)エチルヘプタノエート;
- 2-クロロ-10-[3-(4-メチル-1-ピペラジニル)プロピル]-10H-フェノチアジン;
- 2-[4-[3-(2-クロロ-10H-フェノチアジン-10-イル)プロピル]ピペラジン-1-イル]エチルアセテート;
- 10-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロピル]-2-(トリフルオロメチル)-10H-フェノチアジン;
- 2-(エチルチオ)-10-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロピル]-10H-フェノチアジン;
- 1-[10-[3-[4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-イル]プロピル]-10H-フェノチアジン-2-イル]エタノン;
- N,N-ジメチル-10-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロピル]-10H-フェノチアジン-2-スルホンアミド;
- 1-[10-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロピル]-10H-フェノチアジン-2-イル]ブタン-1-オン;及び
- 10-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロピル]-10H-フェノチアジン
からなる群から選択される。
好ましくは、使用のための化合物は、図1Aに示されており、
- 2-[4-[3-[2-(トリフルオロメチル)-10H-フェノチアジン-10-イル]プロピル]-ピペラジン-1-イル]エタノール;
- 2-[4-[3-(2-クロロ-10H-フェノチアジン-10-イル)プロピル]ピペラジン-1-イル]エタノール;
- 2-クロロ-10-[3-(4-メチル-1-ピペラジニル)プロピル]-10H-フェノチアジン;
- 10-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロピル]-2-(トリフルオロメチル)-10H-フェノチアジン;
- 2-(エチルチオ)-10-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロピル]-10H-フェノチアジン;
- 1-[10-[3-[4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-イル]プロピル]-10H-フェノチアジン-2-イル]エタノン;
- N,N-ジメチル-10-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロピル]-10H-フェノチアジン-2-スルホンアミド;及び
- 10-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロピル]-10H-フェノチアジン
からなる群から選択される。
更により好ましくは、使用のための化合物は、
- 2-[4-[3-(2-クロロ-10H-フェノチアジン-10-イル)プロピル]ピペラジン-1-イル]エタノール;及び
- 2-クロロ-10-[3-(4-メチル-1-ピペラジニル)プロピル]-10H-フェノチアジン
からなる群から選択される。
医薬的使用
本発明は、特に虚血若しくは外傷性損傷、又は圧迫症候群後の痙縮を治療するのに使用するための、開示した実施形態のいずれかを含む少なくとも1つの上記式の化合物と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物にも関する。
本発明はまた、神経障害性疼痛を治療するのに使用するための、開示した実施形態のいずれかを含む少なくとも1つの上記式の化合物と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物にも関する。
特定の一実施形態では、医薬組成物は、疼痛又は痙縮を治療するためのさらなる化合物を含む。
前記さらなる化合物は、例えば、バクロフェン、チザニジン、ダントロレンナトリウム、シクロベンザプリン、オナボツリヌス毒素A、アボボツリヌス毒素A、インコボツリヌス毒素A、モルフィン、ガバペンチン、プレガバリン(Lyrica)、クロナゼパム、ジアゼパム(Valium)、ケタミン、トリヘキシフェニジル塩酸塩、及び/又はプリジノールを含む群において選択することができるが、これらに限定されない。
前記さらなる化合物は、より詳細には、KCC2輸送体を活性化し得る。この文脈において、さらなる化合物は、好ましくは別の式(I)の化合物である。本発明の医薬組成物は、より具体的には、前記化合物、即ち、式(I)の化合物及びさらなる化合物を同時、個別又は逐次投与するためのものである。
次に、医薬組成物は経口的に又は非経口的に、例えば腸管外、静脈内、経皮、経鼻的に、又はエアゾール送達によって患者に投与される。化合物が独立して製剤化される場合、対応する製剤は、例えば希釈剤を使用して、その場で混ぜ合わせることができ、次いで投与されるか、連続的又は逐次的に、ことによると異なる投与経路によって、例えば一方は経口経路で、他方は注射でというように、各々独立して投与することができる。
本発明は更に、特に虚血若しくは外傷性損傷、又は圧迫症候群後の痙縮の治療用医薬を製造するための、上記医薬組成物又は開示した実施形態のいずれかを含む上記式(I)の化合物の使用に関する。
本発明は更に、神経障害性疼痛の治療用医薬を製造するための、上記医薬組成物又は開示した実施形態のいずれかを含む上記式(I)の化合物の使用に関する。
本発明はまた、特に虚血若しくは外傷性損傷、又は圧迫症候群後の痙縮を治療するための方法であって、それを必要とする患者において、有効量の開示した実施形態のいずれかを含む上記式の化合物又は上記医薬組成物を投与する工程を含む方法にも関する。
特定の一実施形態では、前記方法は、有効量の痙縮及び/又は疼痛を治療するための別の化合物を投与する工程を更に含む。前記別の化合物は、上記の通り定義され得る。
より詳細には、本発明は、KCC2輸送若しくはKCC2発現を活性化する、且つ/又はKCC2輸送体の細胞内局在を調節する、且つ/又は塩化物イオンの細胞内濃度を減少させる方法であって、それを必要とする患者において、有効量の少なくとも開示した実施形態のいずれかを含む上記式(I)の化合物又は上記医薬組成物を投与する工程を含む方法に関する。
本明細書では、「患者」という用語は、痙縮又はことによると神経障害性疼痛に罹患しているか、罹患しやすい任意の対象(好ましくはヒト)を指す。
「痙縮」という用語は、本明細書では、多数の一般的な病態の1つ又は複数の骨格筋の制御下にない不随意収縮に対応する。
本明細書では、「神経障害性疼痛」という用語は、中枢又は末梢神経系に影響する損傷又は疾患の直接の結果として生じる疼痛と定義される。神経障害性疼痛は、虚血、外傷性損傷又は圧迫症候群から起こり得る。
特定の一実施形態では、痙縮は、外傷性若しくは虚血性神経障害、又は圧迫症候群の結果として起こる。
本発明の文脈では、「虚血性損傷」の例として、心血管発作及び/又は脊髄虚血が挙げられる。
本発明の文脈では、「外傷性損傷」の例として、頭部(若しくは脳)又は脊髄損傷、末梢神経損傷が挙げられる。
本発明の文脈では、「圧迫症候群」の例として、椎間板ヘルニア誘発性神経圧迫等の神経圧迫、典型的には椎間板ヘルニア誘発性脊髄神経圧迫が挙げられる。
特定の一実施形態では、本発明の化合物は、虚血性又は外傷性一次的損傷、好ましくは脳損傷、脊髄損傷、及び/又は末梢神経損傷後の痙縮を治療するのに使用される。
虚血性又は外傷性一次的損傷後の痙縮の治療に加えて、本発明は、神経圧迫、好ましくは椎間板ヘルニア誘発性神経圧迫後の神経障害性疼痛を治療するためにも使用することができる。
「治療」とは、痙縮又は疼痛の治癒的治療及び予防的治療を意味する。治癒的治療は、痙縮、苦痛又は疼痛を緩和、改善且つ/又は消滅、軽減且つ/又は安定化する治療と定義される。予防的治療は、外傷性又は虚血性損傷後の疼痛又は痙縮を予防する治療、並びに痙縮若しくは疼痛又は疼痛若しくは痙縮の発生のリスクを軽減する且つ/又は遅らせる治療を含む。
「有効量」とは、ヒトにおける治療される疾患の有害作用を予防、除去又は軽減する上述の化合物又はそれを含む医薬組成物の量を意味する。投与量は、患者、病状、投与様式等によって当業者により適合することができることが理解される。例えば、本発明の化合物は、ヒト患者に対して0.0001〜5000mg/日の用量で使用することができる。特定の一実施形態では、本発明による医薬組成物は、0.01〜500mgの本発明の化合物を含み、好ましくは0.1〜500mg/日、より好ましくは2〜200mg/kg/日である。
特定の態様では、本発明の化合物は、経口経路又は筋肉内注射により0.1〜500mg、好ましくは2〜200mgの一日用量で投与することができる。本発明の化合物は、1、2、3、4、5、6又は7週の間に週4、5、6又は7日投与することができる。任意選択で、数回の治療サイクルを実施することができ、任意選択で2回の治療サイクルの間に例えば1、2、3、4又は5週の休薬期間を設けてもよい。
投与経路は、局所、経皮、経口、直腸、舌下、鼻腔内、髄腔内、腫瘍内又は腸管外(皮下、筋肉内、静脈内及び/若しくは皮内を含む)とすることができる。好ましくは、投与経路は腸管外又は経口である。医薬組成物は、上述の経路の1つ又は数個に適合される。医薬組成物は、好ましくは注射又は静脈内注入により、又は適切な無菌溶液、又は消化管を経由する液状若しくは固形薬の形態で投与される。
医薬組成物は、薬学的に相溶性の溶媒中で液剤として、又は適切な薬学的溶媒若しくはビヒクル中で乳剤、懸濁剤若しくは分散体として、又は固形ビヒクルを含有する丸剤、錠剤若しくはカプセル剤として、当技術分野において公知の方法で製剤化することができる。
経口投与に適した本発明の製剤は、所定の量の有効成分をそれぞれ含有するカプセル剤、サシェ剤、錠剤若しくはトローチ剤として別個の単位の形態;粉剤若しくは顆粒剤の形態;水性液体若しくは非水性液体中の液剤若しくは懸濁剤の形態;又は水中油型乳剤若しくは油中水型乳剤の形態とすることができる。
腸管外投与に適した製剤は、好都合には、好ましくはレシピエントの血液と等張な、無菌で油性又は水性の有効成分の調製物を含む。そのような製剤は全て、他の薬学的に相溶性で無毒性の助剤、例えば、安定剤、酸化防止剤、結合剤、色素、乳化剤又は香味物質等も含有することができる。
本発明の製剤は、薬学的に許容される担体と共に有効成分、任意選択で他の治療成分を含む。担体は、製剤の他の成分と相溶性であり、そのレシピエントにとって有害とならないという意味で、「許容される」ものでなければならない。医薬組成物は、有利には、適切な無菌溶液の注射若しくは静脈内注入により、又は消化管を経由する経口薬として適用される。これらの化学療法剤の大半の安全で有効な投与方法が、当業者に公知である。更に、これらの投与は標準的な文献に記載されている。
ピペラジンフェノチアジン誘導化合物1〜8の化学構造。 ピペラジンフェノチアジン誘導化合物1〜8の細胞毒性。細胞毒性は、いくつかの濃度の薬物と1時間インキュベートしたHEK細胞株についての蛍光生存率アッセイで評価した。TC50:個体群の50%に対する毒性の濃度。 KCC2活性に対する30μMでの8種の化合物の効果の比較。データは未処置(すなわち、薬物なし、DMSOのみ)に対して正規化した。各薬物の効果は、化合物1、ペルフェナジンで得られた最大の効果(100%)に正規化した。 HEK Wt及びHEK KCC2について、化合物1(ペルフェナジン)(a)及び化合物2(プロクロルペラジン)(b)で得られた用量反応曲線。3回の独立した実験に基づいた±s.d.(n=3)。 プロクロルペラジン(化合物2)又はDMSO(-)で処置したHEK Wt及びHEK KCC2由来の全細胞溶解物抽出物におけるKCC2のウエスタンブロットによる検出。 プロクロルペラジン(化合物2)又はDMSO(-)で処置したNSC-34 KCC2由来の全細胞溶解物抽出物におけるKCC2のウエスタンブロットによる検出。 新生仔P4〜6ラットの腰髄MNにおけるプロクロルペラジン(化合物2)により誘発されたEIPSPの過分極シフト。20〜25分のプロクロルペラジン(2)(10μM、n=6;*p<0.05 Wilcoxon検定)の前(CTL)及び後にラットから測定したEIPSP(a)、Vrest(b)及び駆動力(EIPSP-Vrest;(c))。 プロクロルペラジン(化合物2)は、出生時に脊髄横断したP5〜7動物から摘出したin vitroの脊髄標本における相互抑制の用量依存性強化を誘発する。エラーバーはs.e.mを表す;各群においてn=6。 痙縮に対するプロクロルペラジン(化合物2)の効果。ホフマン(H)反射の振動数依存性抑圧がSCIの4週後の成体ラットにおいて10μg/kgのプロクロルペラジン(2)(i.v.)(n=6)又はビヒクル(n=5)の注射の80分後に誘起された。エラーバーはs.e.mを表す(各周波数でp<0.05 Mann Whitney検定)。プロクロルペラジン(2)は脊髄損傷後の痙縮を軽減する。 機械刺激に応じた足逃避閾値に対するプロクロルペラジン(化合物2)による効果。損傷の21日後に、Wistarラットにプロクロルペラジン(2)(又はプラセボ)を腹腔内(2mg/kg)(図5A)又は静脈内(50ng/kg)(図5B)注射した。疼痛閾値を薬物注射の前並びに10、40、70及び100分後に決定した。エラーバーはs.e.mを表す。プロクロルペラジン(2)は脊髄損傷後の機械的痛覚過敏を軽減する。
以下の実験の部において、本発明のさらなる態様及び利点を開示する。
(実施例1)
化合物1〜8によるカリウムクロライド共輸送体KCC2の特異的活性化。
1.材料及び方法
1.1.化合物
化合物1〜8の化学構造を図1Aに示す。化合物1〜4、6及び8はPrestwick Chemical社から購入した。化合物5はSigma Aldrich社(St Louis、MO、USA)から購入し、化合物7はSanta Cruz Biotechnology社(Dallas、TX、USA)から購入した。これらの化合物の全てをDMSO溶液(アルゴン下)中に入れ、冷凍保存して、正確に20mM濃度で供給する。
1.2.細胞モデル及び細胞培養
野生型又はKCC2発現型ヒト胎児由来腎臓(HEK)293細胞(提供:麻酔科教授Eric Delpire、Vanderbilt University Medical Center、Nashville、TN)を、10%FBS(Life technologies社)、50ユニット/mLペニシリン、及び50pg/mLストレプトマイシン(Life technologies社)を補充したDMEM/Ham's F-12培地(1:l)(Life technologies社、Carlsbad、CA、USA)で80〜90%コンフルエントに達するまで培養した。KCC2発現型クローンはピューロマイシン選択下に置いた(20μg/ml、Life technologies社)。
1.3.蛍光ベースのタリウム(TI+)流入アッセイ
KCC2活性を評価するために、FluxOR(商標)カリウムイオンチャネルアッセイ(Life technologies社、Carlsbad、CA、USA)を、製品情報シート及び先に公開された論文(Delpireら、2009、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、106、5383〜88頁)に概説されている通りに行い、半自動ハイスループットスクリーニングに適合した。実験は、Na+/K+ポンプ及びNKCC1共輸送体をそれぞれ遮断するために、全てのバッファー中にウアバイン200μM及びブメタニド10μMの存在下で行った。簡潔には、色素を含有するローディングバッファー中で、室温で90分(FluxOR試薬の1/2000希釈)100,000細胞/75μlの密度で懸濁細胞をインキュベートした後、遠心分離し、アッセイバッファーに同じ細胞密度で再懸濁した。いくつかの100,000細胞(75μl)を、96ウェル黒壁μclearボトムプレート(Greiner Bio-One社、Monroe、NC、USA)の各ウェルに手動で入れ、Biomek(登録商標)NX Laboratory automation workstation(Beckman Coulter社、Villepinte、フランス)を使用して、PBS1%DMSO(5、30及び50μM)中異なる濃度の化合物1〜8(5μl)をプレートに加えた。15分間のインキュベーション後、ベースライン蛍光シグナルをPolarstar omegaマイクロプレートリーダー(490nm励起及び520nm発光、BMG Labtech社)で測定した。次いで、20μL/ウェルの5×タリウム刺激用バッファー(最終濃度:Tl+:2mM、K+:10mM)を注入し、蛍光シグナルを30分後に読み取った。
各プレートにつき、2列を対照用に使用した(0.25〜1.105細胞の範囲の細胞密度;ブランクとしてローディングバッファー;未処理又はNEM(33μM、15分)で処理された野生型及びKCC2発現型HEK293細胞)。
1.4.細胞生存率アッセイ
刺激用バッファーにより誘発されたシグナル取得の後、PrestoBlue(登録商標)Cell Viability Reagent(Life technologies社)、細胞膜透過性レサズリンベースの溶液を製造業者の手順に従って、細胞生存率指示薬(励起/発光(nm):535〜560/590〜615)として使用した。次いで、細胞数の範囲を使用して生成した蛍光曲線を使用して、各ウェル中の生存細胞数を計算するための方程式を定義し、それによって化合物1〜8の細胞毒性を評価した。
1.5.データ分析
各ウェルにつき刺激用バッファー注入の30分後に測定した蛍光値からベースライン蛍光値を差し引き、この差を細胞数に正規化した。化合物は、被処理細胞/未処理細胞シグナル比>1.10で、KCC2発現型細胞に対する選択的活性を示し、野生型細胞に対してわずかな影響を示した(被処理細胞/未処理細胞シグナル比=1±0.2)。比の最大が100%となるよう、値を百分率に換算した。
2.結果
各化合物についてのFluxOR蛍光アッセイの結果を図1Cに示す。(-)は対照アッセイ(すなわち、薬物なし、DMSOのみ)を表し、細胞毒性の濃度は除外し、図1Bにおける70%までの細胞生存率についてのデータのみを考慮した。
本発明者らは、化合物(1)〜(8)の全てが、異なる有効性でKCC2活性を増強することを実証した。最も強い効果は、30μMのペルフェナジン(1)(100%)及びペラジン(7)(55%)で得られた。30μMのジマレイン酸チエチルペラジン(8)では、この濃度では細胞毒性があるので、結果は得られなかった。
細胞毒性のないことを基準として選択した用量範囲にわたってWT HEK細胞と比較したKCC2発現型HEK細胞に対するペルフェナジン(1)及びプロクロルペラジン(2)の効果もまた評価した(図1D)。
本発明者らは、本発明の化合物、特に化合物(1)ペルフェナジン及び(2)プロクロルペラジンが、用量依存的にKCC2を特異的に活性化することを実証した。
(実施例2)
プロクロルペラジン(2)によるKCC2発現の促進。
1.材料及び方法
1.1.細胞モデル及び細胞培養
野生型又はKCC2発現型ヒト胎児由来腎臓(HEK)293細胞(提供:麻酔科教授Eric Delpire、Vanderbilt University Medical Center、Nashville、TN)を、10%FBS(Life technologies社)、50ユニット/mLペニシリン、及び50pg/mLストレプトマイシン(Life technologies社)を補充したDMEM/Ham's F-12培地(1:l)(Life technologies社、Carlsbad、CA、USA)で80〜90%コンフルエントまで培養した。KCC2発現型クローンはピューロマイシン選択下に置いた(20μg/ml、Life technologies社)。
KCC2を内在的に発現しないNSC-34運動ニューロン細胞株(CELutions Biosystem Inc社、Ontario)に、KCC2をコードするヒト免疫不全ウイルス-1(HIV-1)由来のレンチウイルスを感染させ、クローン単離後に数週培養して、NSC-34 KCC2安定発現細胞株を確立した。NSC-34野生型及びKCC2型を、10%FBS(Life technologies社)、50ユニット/mLペニシリン、及び50pg/mLストレプトマイシン(Life technologies社)を補充したDMEM(Life technologies社、Carlsbad、CA、USA)で培養した。
1.2ウエスタンブロット
野生型及びKCC2発現型HEK293細胞又はNSC-34を採取し、溶解バッファー(1% Igepal CA-630、0.1%SDS、10mMピロリン酸ナトリウム、10mM NaF、10mM NaVO4、10mMヨードアセトアミド及びプロテアーゼインヒビターカクテルを含有するPBS)中でホモジナイズし、4℃で30分間18000gで遠心分離した。DCプロテインアッセイ(Bio-rad社)を使用して上清中のタンパク質濃度を決定した。同量の総タンパク質を6%又は7%SDS PAGEで分離し、PVDF膜に転写した。0.05%Tween、5%脱脂粉乳を含むトリス緩衝生理食塩水でブロッキングした後、膜をKCC2抗体(1/1000希釈、Merck-Millipore社、Billerica、MA、USA)、又は抗ホスホセリン940 KCC2(1/1000希釈、PhosphoSolutions社)又は抗Actin抗体(1/500希釈、Sigma Aldrich社)で4℃で一晩プローブした。HRPコンジュゲート抗ウサギ二次抗体を、化学発光系における検出に使用した(Thermo Scientific、Waltham、MA、USA)。シグナル強度を画像解析ソフトウェアImage lab(Bio-rad社、Hercules、CA、USA)で測定した。
2.結果
HEK KCC2及びNSC-34 KCC2細胞株におけるKCC2の総発現に対するプロクロルペラジン(2)の効果(10μM)をウエスタンブロット分析によって試験した(それぞれ、図2A及び図2B)。
本発明者らは、全細胞溶解物において、総KCC2タンパク質レベル(モノマー+オリゴマー)とセリン940でリン酸化されたKCC2との両方が、プロクロルペラジン(2)による30分の細胞処置後に増加したことを示した。これらの結果によって、本発明者らは、化合物(2)が、スクリーニングに使用したHEK細胞においても、またニューロン的な性質をより示すNSC34細胞株においても、KCC2タンパク質の発現を上方制御することを実証した。
(実施例3)
プロクロルペラジン(2)による電気生理学的記録及びIn vivo試験
1.材料及び方法
1.1.動物
新生仔及び成体(150〜250g)雌性Wistarラット(Charles River社、Burlington MA USA)を使用した。動物は、12時間の明暗周期の温度を管理した動物ケア施設に収容した。本発明者らは、動物の苦痛及び動物の使用数を最小限にするのに尽力した。新生仔を低体温法により麻酔した。本発明者らは、フランス法規(Ministry of Food, Agriculture and Fisheries、Division of Health and Protection of Animals)に従って実験を行った。地方のDirection of Veterinary Services及びEthical Committee(Marseille、Provence)がそれぞれ、適切なライセンスを交付し、プロトコールを承認した。
1.2.細胞内記録
生後4日又は5日目の新生仔ラットから摘出した脊髄を脊髄根と共に切断した。簡潔には、断頭及び内臓摘出後に、冷人工脳脊髄液(ACSF;130 NaCl、4 KCl、3.75 CaCl2、1.3 MgSO4、0.58 NaH2PO4、25 NaHCO3及び10グルコースを含有(mM単位)(全ての化合物はSigma社から入手した);95%O2/5%CO2で酸素化した、pH=7.4)中で、背側椎弓切除術及び硬膜の素早い除去により脊髄を露出させた。次いで仙髄節からT8までの脊髄を、末梢神経根と共に脊柱から取り出した。次いで標本を記録チャンバーに移し、sylgard(Dow-Corning社;USA)で被覆した記録チャンバー内で標本を腹側を上にしてピンで固定し、ACSF溶液で連続的に灌流した。軟膜を除去した後、2M酢酸K(70〜100-MΩ抵抗)を充填したガラス微小電極を使用して腰髄運動ニューロン(MN)を細胞内記録した。不連続カレントクランプ(DCC)モード(Axoclamp 2B増幅器;Digidata 1200インターフェース;pClamp9ソフトウェア;Axon Instruments社、Sunnyvale、CA、USA)で細胞内電位を記録した。ガラス吸引電極を使用して、記録したものから2〜3分節吻側の同側の腹索を刺激した。そのような刺激は、DL-2-アミノ-5-ホスホノ吉草酸(DL-APV、50μM)及び6-シアノ-7-ニトロキノキサリン-2,3-ジオン(CNQX、10μM)の存在下でGABAA及びGly介在性抑制性シナプス後電位(IPSP)を誘発した(Bosら、2013;Boulenguezら、2010;Jean-Xavierら、2006)。本発明者らは、様々な保持電位(500ms長電流パルス)でIPSPを記録し、各MNについて少なくとも20個の値を収集した。IPSPの振幅を測定し、保持電位に対してプロットし、回帰直線からEIPSPを得た。
1.3.細胞外記録及び相互抑制の評価
新生仔の脊髄損傷及びin vitroの電気生理学用の標本
ラットに出生時に低体温法により深く麻酔をかけた。背側正中線の皮膚切開を胸椎にかけて行い、それを覆う筋膜と筋肉を引っ込め、脊椎の背面を露出させた。部分椎弓切除術の後、脊髄をハサミでT8胸椎レベルで完全に離断した。次いで損傷部の空洞を滅菌吸収性局所止血材Surgicoll(Medical Biomaterial Products社;Neustadt-Glewe、ドイツ)で埋めた。皮膚切開を縫合糸(PDSII 6.0、Ethicon;Johnson and Johnson社;Brussels、ベルギー)で閉じ、Steri-Strips(3M Health Care社;St. Paul、MN)で覆った。外科手術全体は麻酔後に10分未満で行われた。偽手術ラットを脊髄離断を除いて同じように処置した。手術後に、新生仔は温度を35±1℃に維持した暖かい環境で45分回復させた。次いで創傷を清潔にし、ラットを暖かい環境で40分間保った後、巣に戻した。
新生仔ラットから摘出した脊髄を1.2節に記載のように「記録」まで準備した。
In vitroの細胞外記録及び相互抑制の評価
腰椎VR及びDRの応答の細胞外電気生理学的シグナルを、ワセリンで浴から絶縁されたステンレス鋼製接触電極により記録した。データは、Clampex 10.2ソフトウェア(Molecular Devices社;Sunnyvale、CA、USA)を使用して、AC結合増幅器(帯域幅:70〜3kHz)及びDigidata 1440Aインターフェースによって取得した。
単一パルスをDRに伝え、同側VRにおける応答を誘起した。本発明者らは、Drにおいて入力斉射(incoming volley)を誘起する閾値(T)強度の2〜3倍で刺激した。最大応答を誘起するのに必要な電流パルス(0.3ms持続時間)は、標本間で変動した(0.6〜1.2V)。この標本において記載されている疲労及びシナプス抑圧を回避するため、刺激を20s毎に伝えた(Lev-Tov及びPinco、1992)。試験及び条件刺激をそれぞれL5 DR及びL3 DRに伝えた。2つの刺激間の遅延は0〜40msの範囲であった。各遅延を以下の方法で少なくとも2回試験した:5つの対照(試験のみ)の後に、5つの対(条件+試験)刺激。遅延を試験する順序は、起こり得る順序依存効果を防ぐために、シリーズ毎に無作為化した。データ分析をオフラインで実施し、L5単シナプス反射のピーク反ピーク振幅を測定した(Clampfit 10.2ソフトウェア)。単シナプス成分のみを考慮するために、応答開始後最初の3msに測定を制限した(Kudo及びYamada、1987)。
1.4.脊髄損傷後の痙縮の評価
手術:ラットの胸髄節をSCIモデルとして使用した。成体雌性Wistarラット(225/250g、Charles River社)に、50mg/kgケタミン(Imalgen(登録商標)、Merial社、Duluth、Georgia、USA)及び0.25mg/kgメデトミジン(Domitor(登録商標)、Janssen Pharmaceutica社、Beerse、ベルギー)で腹腔内麻酔をかけた。抗生物質アモキシシリン(Duphamox LA(登録商標)、Pfizer社、150mg/kg)を手術前に皮下注射した。T8〜T10脊椎にわたって皮膚を縦に切り、局所麻酔剤(2%プロカイン塩酸塩、Pharmy H社、Saint-Germain-en-Laye、フランス)を筋肉内注射した後、傍脊柱筋を切開した。椎弓切除術を脊椎分節T9で行った。脊髄をマイクロ剪刀でT8脊髄分節のレベルで離断した。最後に、傍脊柱筋及び皮膚を縫合し、ラットを鎮痛のためにブプレノルフィンで処置した(麻酔から覚醒する前に1回の注射及びその後の48時間の期間にわたって更に4回の注射)。ラットの体重、体温及び水の摂取量を確認し、自律性が回復されるまで、ラットの膀胱を手で1日2回空にした。
In vivo電気生理学的記録及びプロクロルペラジン(2)による治療。
損傷後29日目に、ケタミン麻酔(100mg/kg、i.p.)下のラットにおけるH反射を、脛骨神経刺激の付近に経皮的に挿入したステンレス鋼製針電極対を使用して、測定した。記録電極は足首の下の指屈筋に入れ、参照電極は足にs.c.で入れた。H反射は、そのベースライン値を得るために、0.2Hz 1Hz、2Hz及び5Hzの周波数で3回測定した。次いで、プロクロルペラジンジマレイン酸塩(2)(0.1%DMSO、0.9%NaCl中10μg/kg i.v.、n=6)又はそのビヒクル(0.1%DMSO、0.9%NaCl、n=5)のいずれかでラットを処置した。H反射を各20分、0.2Hz 1Hz、2Hz及び5Hzの周波数で5回測定した。
1.5.脊髄損傷後の行動実験
手術:ラットの胸髄片側切断をSCIモデルとして使用した。成体雌性Wistarラット(Charles River社)に、50mg/kgケタミン(Imalgen(登録商標)、Merial社、Duluth、Georgia、USA)及び0.25mg/kgメデトミジン(Domitor(登録商標)、Janssen Pharmaceutica社、Beerse、ベルギー)で腹腔内麻酔した。抗生物質アモキシシリン(Duphamox LA(登録商標)、Pfizer社、150mg/kg)を手術の前に皮下注射した。T8〜T10脊椎にわたって縦に皮膚を切り、局所麻酔剤(2%プロカイン塩酸塩、Pharmy H社、Saint-Germain-en-Laye、フランス)を筋肉内注射した後、傍脊柱筋を切開した。椎弓切除術を脊椎分節T9で実施した。脊髄を、マイクロ剪刀によってT8脊髄分節のレベルで左側で半切断した。最後に、傍脊柱筋及び皮膚を縫合し、ラットを鎮痛のためにブプレノルフィンで処置した(麻酔から覚醒する前に1回の注射及びその後の24時間の期間にわたって更に2回の注射)。アスピリンをラットの給水瓶に3日間希釈した(aspegic、150ml中200mg)。ラットの体重、体温及び水の摂取量を確認し、自律性が回復するまで、ラットの膀胱を手で1日2回空にした。
プロクロルペラジン(2)による治療。
損傷後21日目に、ベースライン値を得るために、ラットをVon Freyの毛及び足底試験で1回試験した。5分後に、プロクロルペラジンジマレイン酸塩(2)(0.9%NaCl中2mg/kg ip、若しくは0.9%NaCl、0.1%DMSO中50ng/kg iv)又はそのビヒクルのいずれかでラットを処置した。実験は動物が受けた処置にブラインドであった。次いで、薬物の効果を機械的及び熱的痛覚過敏について交互に15分毎に、即ち注射後10、30、40、及び100分にそれぞれ測定した。
Von Frey試験:左後足、次いで右後足の足底表面を、曲がった時に異なる較正された力を加えるvon Freyモノフィラメント(Bioseb社、Paris、フランス)を使用して検査した。試験は、8gのVon Freyの毛を3sec間適用することによって開始し、アップアンドダウン法(Chaplanら、1994)を使用して、触覚刺激に応じた各後肢の50%逃避閾値を測定した。
2.結果
2.1プロクロルペラジン(2)によるEIPSPの過分極(in vitro試験)
新生仔ラットから摘出したin vitroの脊髄標本において、KCC2機能を調査する方法は、運動ニューロン(MN)を細胞内記録し、抑制性シナプス電位(EIPSP)の逆転電位により与えられるクロライド平衡電位を測定することにより提供される。EIPSPの値が過分極する程、塩化物イオンの細胞内濃度が低くなり、結果として、KCC2機能が強くなる。
本発明者らは、P4〜6ラットにおける腰髄MNのEIPSPに対する10μMプロクロルペラジン(2)の効果を検討した(図3)。これは、5〜10分以内にEIPSPを過分極させ、測定はプロクロルペラジン(2)適用の開始の20〜25分後に行った。対照条件(平均-3.3mV;n=6;図3A;p<0.05、ウィルコクソン検定)と比較して、プロクロルペラジン(2)の存在下でMNを記録したときに、EIPSPは有意により過分極した。プロクロルペラジン(2)は、静止膜電位(Vrest;n=6;図3B;p>0.05、ウィルコクソン検定)には有意な影響を与えなかった。したがって、駆動力が有意に増加した(平均-3.5mV;n=6;図3C;p<0.05、ウィルコクソン検定)。
これらの結果は、化合物(2)が、KCC2の活性増強の結果として、塩化物イオンの細胞内濃度を減少させることによって、脊髄におけるシナプス後抑制を強化することが可能であることを実証する。
2.2.相互抑制に対するプロクロルペラジン(2)の効果
本発明者らは、P5〜7ラットにおいてそれぞれ肢の屈筋及び伸筋に投射する腰髄MN(L3及びL5分節)の相互抑制に対する5、10及び20μMプロクロルペラジン(2)の効果を検討した(Nicolopoulos-Stournaras及びIles、1983)(図3D)。脊髄を出生日に横断したが、これはシナプス後抑制の強さを減少させるプロトコールである(SCIを無傷と比較)。プロクロルペラジン(2)適用の開始から20分後に測定を行った。プロクロルペラジン(2)は、用量依存的に相互抑制の強さを顕著に増加させたので、無傷の脊髄と同等の抑制が20μMのプロクロルペラジン(2)で観察された(n=6;図3D;ANOVA)。
2.3.プロクロルペラジン(2)による痙縮の軽減
筋電図中の神経学的に無傷及び痙性の個体の記録におけるホフマン反射(H反射)、脊髄が介在する単シナプス反射。
H反射は、痙縮を患う個体において、一次(Ia型)求心性神経介在性運動ニューロン興奮性を評価するのに一般的に使用される。筋電図は、典型的には2つの反応、運動軸索の直接の活性化から生じる最初のM波及びIa求心性神経による運動ニューロンの単シナプス活性化から生じる遅れたH波を示す。H波の大きさは、0.2Hzより高い周波数での反復される活性化により通常減衰され、ラットにおいては5Hzで80%超の減少となる。H反射はSCIを患う個体において段々と増強し、この効果は痙縮の発症との信頼性が高い相関物である。プロクロルペラジン(2)は、10μg/kg、i.vの注射の80分後に、様々な周波数でH反射を約30%減少させる(Mann Whitney検定、1、2及び5Hzでそれぞれp=0.0043、p=0.0303、p=0.0173)。これらのデータは、プロクロルペラジン(2)が脊髄損傷後の痙縮を治療するための良好な候補薬であることを実証している(図4)。
2.4.プロクロルペラジン(2)による痛覚過敏の軽減
Von Frey試験は、脊髄損傷後のものを含め、神経障害性疼痛に対する治療の効果を評価するのに典型的に使用される。この試験は、足逃避を誘発し得る機械刺激の閾値を測定する。この閾値は脊髄損傷後にかなり低減され、慢性疼痛の構成要素である痛覚過敏を反映する。
Von Frey試験の結果は、腹腔内又は静脈内によるプロクロルペラジン(2)の急性投与が、損傷後3週目の動物における機械的痛覚過敏を一時的に軽減することを示した(図5)。効果は注射開始から40分後に顕著であった。
結論
本発明者らは、本発明の化合物が細胞モデルでカリウム/クロライド輸送(FluxORアッセイによって明らかにされたように)及びKCC2細胞の発現を増強することが可能であることを実証した。
新生哺乳動物の脊髄のニューロンへの移行は、本発明の化合物が、おそらくはKCC2発現/機能の上方制御の結果として、塩化物イオンの細胞内濃度を低減する(クロライド平衡電位の過分極シフトにより明らかにされた)ことが可能であることを明らかにした。
脊髄損傷等の病態にある成体哺乳動物への転換は、本発明の化合物が、KCC2発現/機能の上方制御の予期される結果として、おそらくは内在性抑制を回復させることによって、痙縮及び慢性神経障害性疼痛を軽減することが可能であることを実証した。
これらの結果は、KCC2が、外傷又は圧迫症候群に関連する神経障害性疼痛及び痙縮(例えば、椎間板ヘルニア誘発性神経圧迫により引き起こされる持続的な疼痛等)を治療するための新規な治療戦略の開発についてドラッガブルな標的であることを確認するものである。
(参考文献)
Figure 2017507977
Figure 2017507977

Claims (8)

  1. 痙縮の治療のための使用のための、式(I):
    Figure 2017507977
    [式中、
    ・Aは直鎖又は分岐鎖状(C1〜C6)アルキル鎖を表し;
    ・R1は、
    ・水素原子、
    ・ハロゲン原子、
    ・アシル基CO-R7若しくはスルホニル基SO2-R7{式中、R7は(C1〜C6)アルキル基を表す}、
    ・スルホンアミド基SO2-NR8R9{式中、R8及びR9は独立して、水素原子又は(C1〜C6)アルキル基を表す}、又は
    ・少なくとも1個のハロゲン原子により置換されていてもよい(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)アルコキシ、(C1〜C6)アルキルメルカプト、チオ-(C1〜C6)アルキル若しくは(C1〜C6)アルキルスルホニル基を表し;
    ・R1'は、水素原子又はヒドロキシル基、好ましくは水素原子を表し;
    ・R2、R3、R4及びR5は同一又は異なって、それぞれ、水素原子又は(C1〜C6)アルキル基を表し;
    ・R6は、
    ・水素原子、
    ・アルキル鎖の末端で少なくとも1個のヒドロキシル基により置換されていてもよい(C1〜C6)アルキル基、
    ・(C1〜C4)アルキルアシルオキシ基、
    ・(C1〜C4)アルキル-OR10
    を表し、式中、R10は、
    - 鎖の末端で少なくとも1個のヒドロキシル基により置換されていてもよい(C1〜C4)アルキル基、
    - 又はCOR11基{R11は、アルキル鎖の末端でアミノ基により置換されていてもよい(C1〜C6)アルキル基である}
    を表す]
    の化合物又はその薬学的に許容される塩の1種。
  2. Aが直鎖又は分岐鎖状(C3〜C4)アルキル鎖を表す、請求項1に記載の使用のための化合物。
  3. R1が、
    ・水素原子、
    ・ハロゲン原子、好ましくは塩素原子、
    ・アシル基CO-R7{式中、R7は、(C1〜C6)アルキル基、好ましくはメチル基若しくはn-プロピル基を表す}、
    ・スルホンアミド基SO2-NR8R9{式中、R8及びR9は独立して、水素原子、若しくは(C1〜C6)アルキル基を表し、好ましくはR8及びR9はメチル基を表す}、
    ・少なくとも1個のフッ素原子により置換されていてもよい(C1〜C6)アルキル基、好ましくはトリフルオロメチル基、又は
    ・チオ-(C1〜C6)アルキル基、好ましくはチオ-エチル(-SCH2CH3)基
    を表す、請求項1又は2に記載の使用のための化合物。
  4. R1'、R2、R3、R4及びR5が水素原子を表す、請求項1から3のいずれか一項に記載の使用のための化合物。
  5. R6が、
    ・アルキル鎖の末端で少なくとも1個のヒドロキシル基により置換されていてもよい、(C1〜C6)アルキル基、好ましくはメチル又はエチル基、
    ・-OR10基により置換されたエチル基
    を表し、式中、R10は、
    - 鎖の末端で少なくとも1個のヒドロキシル基により置換されていてもよいエチル基、又は
    - COR11基{R11はアルキル鎖の末端でアミノ基により置換されていてもよい(C1〜C6)アルキル基である}
    を表す、請求項1から4のいずれか一項に記載の使用のための化合物。
  6. 前記化合物が、
    - 2-[2-[4-[2-メチル-3-(10H-フェノチアジン-10-イル)プロピル]-1-ピペラジニル]エトキシ]エタノール;
    - 2-[4-[3-[2-(トリフルオロメチル)-10H-フェノチアジン-10-イル]プロピル]-ピペラジン-1-イル]エタノール;
    - 2-[4-[3-(2-クロロ-10H-フェノチアジン-10-イル)プロピル]ピペラジン-1-イル]エタノール;
    - 2-(4-(3-(2-クロロ-10H-フェノチアジン-10-イル)プロピル)ピペラジン-1-イル)エチルヘプタノエート;
    - 2-クロロ-10-[3-(4-メチル-1-ピペラジニル)プロピル]-10H-フェノチアジン;
    - 2-[4-[3-(2-クロロ-10H-フェノチアジン-10-イル)プロピル]ピペラジン-1-イル]エチルアセテート;
    - 10-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロピル]-2-(トリフルオロメチル)-10H-フェノチアジン;
    - 2-(エチルチオ)-10-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロピル]-10H-フェノチアジン;
    - 1-[10-[3-[4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-イル]プロピル]-10H-フェノチアジン-2-イル]エタノン;
    - N,N-ジメチル-10-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロピル]-10H-フェノチアジン-2-スルホンアミド;
    - 1-[10-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロピル]-10H-フェノチアジン-2-イル]ブタン-1-オン;及び
    - 10-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロピル]-10H-フェノチアジン
    からなる群から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の使用のための化合物。
  7. 前記化合物が、
    - 2-[4-[3-[2-(トリフルオロメチル)-10H-フェノチアジン-10-イル]プロピル]-ピペラジン-1-イル]エタノール;
    - 2-[4-[3-(2-クロロ-10H-フェノチアジン-10-イル)プロピル]ピペラジン-1-イル]エタノール;
    - 2-クロロ-10-[3-(4-メチル-1-ピペラジニル)プロピル]-10H-フェノチアジン;
    - 10-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロピル]-2-(トリフルオロメチル)-10H-フェノチアジン;
    - 2-(エチルチオ)-10-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロピル]-10H-フェノチアジン;
    - 1-[10-[3-[4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-イル]プロピル]-10H-フェノチアジン-2-イル]エタノン;
    - N,N-ジメチル-10-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロピル]-10H-フェノチアジン-2-スルホンアミド;及び
    - 10-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロピル]-10H-フェノチアジン
    からなる群から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の使用のための化合物。
  8. 虚血若しくは外傷性損傷、又は圧迫症候群後の痙縮を治療するための、請求項1から7のいずれか一項に記載の使用のための化合物。
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