JP2017504471A - アンモニアの酸化のための触媒 - Google Patents

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Abstract

本発明は、アンモニアの酸化のためのバイメタル触媒、アンモニアの酸化のためのバイメタル触媒の製造方法および遷移金属の触媒活性を調節する方法に関する。触媒活性の低い金属を上層として、触媒活性の高い金属上に積層することによって、触媒全体の活性が高まる。

Description

本発明はアンモニアの酸化のためのバイメタル触媒に関する。
本発明はまた、アンモニアの酸化のためのバイメタル触媒を製造する方法、および金属の触媒反応性を調節する方法に関する。
アンモニアの酸化反応には多くの重要な用途がある。
重要な用途の1つには、例えばWO2011/107279に記載されているような、アンモニアの燃焼を利用してアンモニア分解反応のための熱を発生させ、アンモニアから水素を製造するアンモニア分解システムがある。
上記の用途よりもさらに需要の大きな別の用途は、自動車のディーゼルエンジン排ガスを、アンモニアを補助的に用いて選択的触媒還元(SCR)した後の、スリップアンモニアの除去である。ディーゼルエンジンは、ヒトの健康に極めて有害な窒素酸化物(NOx)を発生させるため、規制に従うことを目的として、NOxを除去する処理を行う。広く用いられている処理法の1つが、まさにアンモニアを排ガスに添加するSCRである。NOxの濃度レベルを、要求されるレベルとするために、通常は反応に必要な量よりも多くのアンモニアを添加する。その結果、燃焼によって除去する必要のあるアンモニアスリップが生じる。
第3の重要な用途は、バイオガス発生植物からのアンモニアの除去であり、これを除去しておかなければ、燃焼後にNOxを生じる。
これらの用途のいずれにおいても、アンモニアの酸化の低温着火が必要とされている。現在これらのアンモニア酸化処理に用いられている触媒は、例えばUS5,587,134やUS7,722,845に記載されているように、PtやPdなどの希少かつ高価な金属に基づいている。
したがって、改良された触媒があれば有利であり、特に、より高い触媒活性を有する効率的な、かつ/または安価な触媒があれば有利である。
本発明の目的は、より高い触媒活性を有する、アンモニアの酸化のための触媒を提供することである。
本発明の目的はまた、金属層の触媒反応性を調節する方法を提供することである。
本発明のさらなる目的は、先行技術の代案を提供することである。
特に、本発明の目的は、より豊富に存在する安価な金属に基づく、アンモニアの酸化のための新規な触媒材料を用いた、先行技術の問題を解決する触媒を提供することである。
したがって、上記の目的および別のいくつかの目的は、アンモニアの酸化のためのバイメタル触媒を提供する本発明の第1の態様において達成されることが意図される。このバイメタル触媒は、第1の金属層、第2の金属層および担体を含み、第1の金属層が第2の金属層上に位置し、第2の金属層が担体上に位置することを特徴とする。
バイメタルとは、少なくとも2種の金属層を含むものとして定義される。金属層は、純金属の形態にある金属元素を含むか、あるいは純金属の形態にある金属元素から構成されるものであり、純金属の形態とは、酸化状態がゼロの、すなわち化合していない遊離の元素であることをいう。
金属元素は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、ポスト遷移金属、ランタノイドまたはアクチニドであってよい。
本発明の金属元素は、好ましくは遷移金属である。
いくつかの実施形態において、第1の金属層は、貴金属ではない金属元素を含むか、あるいは貴金属ではない金属元素から構成され、第2の金属層は、貴金属元素を含むか、あるいは貴金属元素から構成される。
別のいくつかの実施形態において、第1の金属層および第2の金属層は、貴金属元素を含むか、あるいは貴金属元素から構成される。
別のいくつかの実施形態において、第1の金属層および第2の金属層は、非白金族金属元素を含むか、あるいは非白金族金属元素から構成される。
第1の金属層は第2の金属層上に位置するため、第1の金属層は触媒の外表面となり、作用時にアンモニアの流れに接触することになる。
作用時の触媒は、アンモニアおよび酸素の流れに接触することになる。
いくつかの実施形態において、第1の金属層は、第2の金属層の金属よりもアンモニアの酸化に対する触媒活性が低い金属の層である。
本発明は、上層の触媒活性が下層のそれよりも低い2つの金属層を含む触媒の、アンモニアの酸化に対する触媒活性が、単一の金属層を有する触媒の活性よりも高いという意外な発見に端を発するものである。
意外なことに、触媒活性の低い金属層を触媒活性の高い金属層上に積層することで、この触媒全体の触媒活性は、単層の触媒と比べて高くなる。
したがっていくつかの実施形態において、第2の金属層は、第1の金属層の金属よりもアンモニアの酸化に対する触媒活性が高い金属の層である。
通常、Ruなどの貴金属の金属層を有する触媒は、Cuなどの卑金属の単層を有する触媒よりも、アンモニアの酸化に対してより高い触媒活性を示す。
しかしながら、意外なことに、担体上にRu層、さらにその上にCu層を有する触媒の、アンモニアの酸化に対する触媒活性は、同じ担体上にCuの単層またはRuの単層のいずれかを有する触媒よりも高い。
したがっていくつかの実施形態において、第1の金属層はCu層である。
いくつかの実施形態において、このCu層は、酸化状態ゼロ、すなわち化合していない遊離の元素としての金属Cuのみからなる。
別のいくつかの実施形態において、第1の金属層すなわち金属上層は、Fe、CoまたはAgから構成されていてもよい。
別のいくつかの実施形態において、第2の金属層はRu層である。
いくつかの実施形態において、このRu層は、酸化状態ゼロ、すなわち化合していない遊離の元素としての金属Ruのみからなる。
別のいくつかの実施形態において、第2の金属層すなわち金属下層は、Rh、PtまたはPdから構成されていてもよい。
したがってバイメタル層の例としては、Cu/Ru、Cu/Rh、Fe/Ru、Co/Ru、Ag/PtまたはAg/Pdを挙げることができる。いくつかの実施形態において、第1の層は第2の層上で偏析しており、第1の層すなわち上層のdバンドは、第1の層が第2の金属層の上に積層されている場合のフェルミ準位と比較して上または下へシフトするなど、変化している。
特に、望ましい厚さの第1の金属層を第2の金属層上に有するバイメタル触媒は、高い触媒活性を示す。
いくつかの実施形態において、第1の金属層の厚さは0.1〜10原子層、例えば0.5〜5原子層である。
いくつかの実施形態において、第1の金属層の厚さは0.1〜3原子層である。
いくつかの実施形態において、第1の金属層の厚さは0.8原子層である。
別のいくつかの実施形態において、第1の金属層の厚さは1原子層である。
製造した触媒を試験した結果、Cuの上層がRu層の触媒活性に影響することがわかり、また意外なことに、最適な厚さ、例えばRu上のCuの場合であれば0.8原子層という厚さを見出し得ることがわかった。この触媒のアンモニアに対する触媒活性は、単層の触媒と比較すると2倍である。
本明細書中、厚さは原子層で表される。厚さはまた、オングストローム、すなわち10−10mでも表される。1原子層は、Cu層の厚さとしては2.56Åに相当する。ここでの厚さは、第2の金属層上への第1の金属層の積層が二次元(2D)の形状、すなわち連続した単層であると仮定している。しかし積層は非連続的であってもよく、すなわち島が形成されていてもよい。したがって、単位長さ、すなわちÅまたは原子層で表される厚さは、積層が2Dの形状で起こっていると仮定した、平均厚さと見なされるものとする。
いくつかの実施形態において、第2の金属層と第1の金属層の重量比は1:0.05〜1:0.5の範囲にある。例えば、RuとCuの重量比が1:0.3であるバイメタル触媒では、より高い活性が示されている。
いくつかの実施形態において、第1の金属層の金属は、第2の金属層上で偏析している。
第1の金属層は第2の金属層の表面上で偏析した状態にあり、第2の金属層上において第1の金属層の安定な上層表面を形成している。
別のいくつかの実施形態において、第1の金属層の金属は第2の金属層の金属との合金を形成しない。第1の金属層の金属は、ホストとも呼ばれる第2の金属層の金属との合金を形成しない。
合金形成熱が正であることから、2種の金属は熱力学的に混ざり合わず、第1の金属層と第2の金属層は混和し得ない。したがって、担体上に位置する第2の金属の層と、該第2の金属層上にある第1の金属の上層とによって特徴付けられる明確な構造となる。
意外なことに、アンモニアの酸化に対する触媒活性が下層の金属よりも低い金属の偏析した上層によって、この触媒全体の触媒活性は単一金属層の触媒と比べて高くなる。
概して、担体は、触媒を担持する機能を有する。
いくつかの実施形態において、担体は金属酸化物である。
例えば、担体としての金属酸化物は、チタニア、アルミナ、シリカまたはセリアであってよい。
別の実施形態において、担体はゼオライトまたはゼオライト材料の組み合わせである。
例えば、担体のゼオライトは、ベータゼオライトまたはYゼオライトであってよい。
本発明は特に、現在の触媒よりも高い触媒活性を有し、かつ安価な触媒を得るのに有利であるが、利点はこれに限定されない。
本発明の第2の態様において、本発明の第1の態様によるバイメタル触媒を製造する方法が提供される。この方法は、第2の金属層を担体上に積層すること、次いで第1の金属層を第2の金属層上に積層することを含む。
本発明はまた、ルテニウムなどの第2の金属層を担持する、アルミナ(Al)担体などの担体を準備した後、銅などの第1の金属層を積層することによる、触媒の製造方法に関する。
本方法は、各積層後に水素ガス還元を含んでもよい。
積層ステップを行う順序によって、触媒の活性は変化する。
実際に、第1の金属層および第2の金属層の共蒸着によって製造された触媒は、最初に第2の金属層を積層し、次いで第1の金属層を積層することにより製造された積層構造体ほどの活性を示さない。
第1の金属層および第2の金属層の共蒸着は同時に行われる。
共蒸着により製造された触媒の活性は、銅などの活性の低い金属の単層からなる触媒よりは高いが、ルテニウムなどの活性の高い純金属の単層からなる触媒よりは低い。
また、活性の低い金属をバルクに加えても、第2の態様、すなわち逐次的積層によって製造された触媒と比較すると、全体の触媒活性は改善されない。
本発明の第3の態様において、金属のdバンドセンターの位置を変えることによって金属層の触媒活性を調節する方法が提供される。
本発明のこの態様は、安価な金属層を上層として用いることによってその触媒活性を調節することができるため、触媒活性を高めたり、使用材料の価格が安価であることによって最終コストを下げたりできるという点において有利であるが、利点はこれに限定されない。
本発明の第3の態様によるいくつかの実施形態において、本発明の方法は、金属層を上層として遷移金属層上に積層することを含む。
いくつかの実施形態において、積層は、望ましい厚さの上層を積層することを含む。例えば、望ましい厚さは0.1〜3原子層であってよい。別のいくつかの実施形態において、望ましい厚さは1原子層である。別のいくつかの実施形態において、望ましい厚さは0.8原子層である。
第3の態様のいくつかの実施形態において、遷移金属層と金属上層の重量比は、1:0.1〜1:0.5の範囲である。
本発明のさらなる態様において、本発明の第1の態様によるバイメタル触媒の触媒活性を調節する方法が提供される。この方法は、第1の金属層を第2の金属層上に積層させることにより、第1の金属層の金属のdバンドセンターの位置を変えることを含む。
本発明の第1の態様、第2の態様、第3の態様、別の態様および/または実施形態はそれぞれ、任意の別の態様および/または実施形態と組み合わせてもよい。これらの、およびまた別の、本発明の態様および/または実施形態は、以下に記載する実施形態から明らかになり、また以下に記載する実施形態を参照することにより理解されるであろう。
本発明の触媒および方法を、図面を参照しながらより詳細に説明する。図面は本発明を実施する1つの方法を示すものであり、添付の特許請求の範囲内にある他の可能な実施形態を限定するものとして解釈されるべきではない。
本発明のいくつかの実施形態において、50Åのルテニウム層上で銅の厚さを変化させたときの、Cu/Ruの積層構造体の活性を示す図である。 2種の金属の共蒸着により製造された共蒸着薄膜の活性を示す図である。 本発明の実施形態における、2種の金属の重量%比と、正規化触媒変換率との関係を示す図である。 本発明のいくつかの実施形態における方法を示すフローチャートである。
複数のCu/Ru触媒系を製造し、試験を行った。
いくつかの例において、材料、すなわちCu/Ruを、管理された雰囲気下、表面科学実験条件において合成した。超真空(UHV)での実験条件は、基底圧1×10−10Torrとした。Eビーム蒸着装置と、X線光電子分光法(XPS)やイオン散乱分光法(ISS)などの表面科学実験法とを組み合わせて、1bar以下の反応ガスによる触媒試験の可能な高圧セル(HPC)を用いた特性決定を実施した。
50ÅのRu薄膜上のCu上層の厚さを変えて、複数のCu/Ru系をTiO担体上に蒸着させる。蒸着後、触媒Cu/Ruスポットの特性をXPSによって確認した後、スポットが反応ガスに暴露されるHPCに移し、温度を段階的に上下させた。
触媒活性を試験するために、反応ガスの組成と流量を流量調節器によって調節可能なHPC中に、TiOサンプルを移す。このHPCの出口は、圧力を1barに調整する圧力調節器を介してラフラインに接続されている。高圧でのアンモニアの酸化反応のために、アルゴンにより5000ppmに希釈したNHおよびアルゴンにより5000ppmに希釈したOのN6ガスを使用する。HPC中のガス組成は1:1である。HPC中におけるアンモニアの酸化を、Balzers四重極質量分析計を用いて追跡した。隣接する金属スポットからの影響を除くために、ノズル装置に挿入したガラスキャピラリーを用いて圧力を10−6Torrまで下げた。実験中、アンモニアの酸化に関連するいくつかの質量を測定し、アンモニアと水とを区別できるようにし、またNOxの生成を観測する。
UHV条件下、触媒スポットを、タングステンフィラメント上に保持した10×10mmのTiO(110)ルチル単結晶上に蒸着させる。TiO担体側に接着した熱電対で、温度を測定する。蒸着装置にはEビームを用い、1種以上の金属への物理蒸着(PVD)を同時に行う。円形のマスクを用いることにより、スポットは、直径1mmの明確な円形となる。蒸着した触媒スポットの割合、比率および厚さを、水晶発振子マイクロバランス(QCM)を用いて測定する。得られる膜の厚さは50Åである。
測定後、触媒スポットをさらにXPSおよびISSによって分析し、測定中の変化を調べる。積層構造体の活性を図1に示す。ガラスキャピラリーからのリークは温度に依存するため、四重極質量分析計(QMS)によって測定されたシグナルを、アルゴンシグナルを用いて正規化する。
活性を28AMUシグナルの増加として測定し、COの寄与を除く。同時に、32AMUのシグナルは減少するが、これはアンモニアが酸化される過程において消費される酸素を表している。アンモニアレベルは17、16および15AMUとして測定され、温度が上昇するにつれて低下する。NOxが、TiO上の触媒Cu/Ruスポットのいずれにも観察されないことから、このモデルシステムは清浄燃焼に対して100%選択的であるといえる。
Cu/Ru系は、純粋なルテニウムと比べても、純粋な銅と比べても、アンモニア燃焼に対する活性が高い。ルテニウム上に積層した銅の厚さに関しては、山なりの曲線が得られ、最適の厚さは0.8原子層(ML)であることがわかる。おおよそ1原子層のCu上層をルテニウム薄膜に積層すると、Cu/Ru系の触媒活性は、Ru触媒と比べてほぼ100%上昇する。純粋なルテニウムは高い活性を示すが、Cu上層を有することにより、モデル系においても高表面積触媒においてもその活性はさらに高められる。図1において、Cu上層の厚さは0〜2ML、すなわち0〜5Åであり、Cu上層が0.25〜2ML、すなわち0.6〜5Åの範囲で系の活性は高くなっている。Cu/Ru系の触媒活性は、Cu上層の厚さに極めて影響を受けやすい。Cu上層をRu上に積層することで、触媒活性は高められる。
さらに共蒸着金属の薄膜について調べる。活性試験の結果を図2に示す。共蒸着膜の活性は積層構造体ほどではなく、純粋なCuの活性よりは高いが、純粋なRu薄膜の活性よりは低い。銅をバルクに加えても、上層が銅である場合のようには薄膜の触媒活性は上昇しない。
共蒸着薄膜の活性が低いことは、ISSおよびXPSの分析結果を考慮すると、試験段階において平衡構造に達していないことに起因すると説明することができる。偏析における明らかな傾向から、積層構造が、アンモニアの酸化に対して最も活性が高くかつ安定したCu/Ru系の配置であることがわかる。
実際の触媒における活性を調べるために、Cu/Ru系をさらに高表面積アルミナ担体に適用した。高表面積触媒をインシピエントウェットネス含浸により調製した。水和物であるRuCl・xHOをミリポア水に溶解させ、これをバッチサイズに適した量のアルミナ粉末に加え、アルミナ上に1重量パーセントのRuが担持されるようにする。この触媒を室温で少なくとも一晩乾燥する。その後、触媒を約20ml/分の純粋なH気流中、500℃で2時間還元する。CuとRuの割合が様々になるように硝酸銅(II)の量を変えながら、還元直後の触媒に硝酸銅(II)を含浸させる。この触媒を室温で一晩乾燥し、試験の直前にその場で還元する。
調製した高表面積触媒を、プラグフロー反応器中で試験した。触媒を、ガラス管に詰めた石英ウールで保持する。この反応器をオーブン内に入れ、触媒とオーブンの温度をk型熱電対でそれぞれ測定する。反応器の入り口を、反応物を混合し、ガスの組成を流量調節器で調節するガスマニホールドに接続する。実験では、化学量論状態を保つために、5000ppmのNHを含むアルゴンの流量を10.75ml/分、1%のOを含むアルゴンの流量を4ml/分、アルゴンの流量を10ml/分に調節する。反応器の出口側をFTIR分光計で測定し、圧力は圧力調節器により1barに調節する。
図3に、50ÅのRu層にCuを積層したことで達成された、正規化触媒変換率を示す。Cu0%,Ru100%では、触媒活性は純粋なRuの活性と一致する。Cuの量を30重量%まで(すなわちRuが70重量%となるまで)増加させることで触媒変換率が上昇することは明らかである。Cu100%、すなわちRu0%における、純粋なCuの触媒変換率は約0.5%であり、積層構造体の変換率よりも低く、かつ純粋なRu層の変換率よりも低い。
高表面積触媒では、触媒に担持されるCuを変化させると、触媒活性の規則的な変化が観察され得る。CuとRuそれぞれの活性と比較して、CuをRuに積層した場合の著しい活性の増加が観察され得る。この場合、図1および図3に示すように、RuとCuの重量比が1:0.3であるときに最大となる。
この高表面積触媒を共含浸によっても合成したが、Cu/Ru粒子の示す活性は低かった。Cu/Ru系がアンモニアの酸化に対して高い活性を示すようにするためには、ルテニウムおよび銅を順に含浸させる必要がある。
図4は、本発明のいくつかの実施形態における方法を示すフローチャートである。
バイメタル触媒を製造するための本発明の方法は、
ステップS1:アルミナなどの担体上にRu層などの第2の金属層を積層するステップ、および
ステップS2:次いでCu層などの第1の金属層を第2の金属層上に積層するステップ
を含む。
本発明を、特定の実施形態を参照しつつ説明してきたが、本発明は示された例に何ら限定されるものではない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって明示される。請求項における用語「含む」、「備える」は、別の可能な要素やステップを排除するものではない。また、「1つの」や「1種の」などは、複数を排除するものと解釈すべきではない。図面に示された要素に関する、請求項における参照符号の使用は、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。さらに、異なる請求項に記載される個々の特徴を有利に組み合わせることも可能であり、異なる請求項において言及されていることは、そのような特徴の組み合わせが可能であったり有利であったりすることを排除するものではない。

Claims (13)

  1. アンモニアの酸化のためのバイメタル触媒であって、
    第1の金属層;
    第2の金属層;および
    担体を備え、
    第1の金属層が第2の金属層上に位置し、かつ第2の金属層が担体上に位置すること;
    第1の金属層が、第2の金属層の金属よりもアンモニアの酸化に対する触媒活性が低い金属の層であること;および
    第1の金属層の金属が第2の金属層上で偏析しているため、触媒全体の触媒活性が単一金属層の触媒と比べて高くなっていること
    を特徴とする、バイメタル触媒。
  2. 第2の金属層が、第1の金属層の金属よりもアンモニアの酸化に対する触媒活性が高い金属の層である、請求項1に記載のバイメタル触媒。
  3. 第1の金属層の金属が第2の金属層の金属との合金を形成していない、請求項1または2に記載のバイメタル触媒。
  4. 第1の金属層がCu層である、請求項1〜3のいずれかに記載のバイメタル触媒。
  5. 第2の金属層がRu層である、請求項1〜4のいずれかに記載のバイメタル触媒。
  6. 担体が金属酸化物である、請求項1〜5のいずれかに記載のバイメタル触媒。
  7. 第1の金属層の厚さが0.1〜3原子層である、請求項1〜6のいずれかに記載のバイメタル触媒。
  8. 第2の金属層と第1の金属層の重量比が1:0.05〜1:0.5の範囲にある、請求項1〜7のいずれかに記載のバイメタル触媒。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載のバイメタル触媒を製造する方法であって、
    第2の金属層を担体上に積層すること、および
    次いで、第1の金属層を第2の金属層上に積層すること
    を含む方法。
  10. 遷移金属層の触媒活性を調節する方法であって、望ましい厚さの前記金属層を上層として遷移金属層上に積層することによって、前記金属上層のdバンドセンターの位置を変えることを含む方法。
  11. 望ましい厚さが0.1〜3原子層である、請求項9または10に記載の方法。
  12. 遷移金属層と金属上層の重量比が1:0.05〜1:0.5の範囲にある、請求項10または11に記載の方法。
  13. 請求項1〜8のいずれかに記載のバイメタル触媒の触媒活性を調節する方法であって、第1の金属層を第2の金属層上に積層することによって、第1の金属層の金属のdバンドセンターの位置を変えることを含む方法。
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