JP2016150296A - 触媒の製造方法、および触媒 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温での触媒性能に優れた触媒の製造方法および触媒を提供する。【解決手段】本発明は、担体に触媒機能付き材料を担持させた触媒の製造方法であって、前記担体の表面を被覆する膜と、前記膜の表面に分散して配置され、前記膜と一体である複数の粒子と、を有する膜構造であって、前記触媒機能付き材料からなる膜構造を形成するステップを含む。前記膜構造は、1.0×109〜2.0×1012個/cm2の密度で前記粒子を含む。前記粒子のサイズは500nm未満であり、前記粒子は、前記担体の表面からの高さが10nm以上のものを含む。【選択図】図1

Description

本発明は、触媒の製造方法、および触媒に関する。
液化天然ガス(LNG)を燃料として用いるガスエンジンにおいて、未燃焼のメタンが排ガス中に含まれるメタンスリップが問題となっている。このようなメタンスリップを抑制するために、メタンが大気中に放出されないよう、未燃焼メタンを直接高温で燃焼させる方法がある。しかし、メタンの分解温度は高温であるため、この方法を用いて、例えばディーゼルエンジンの排ガス中のメタンを分解する場合は、ディーゼルエンジンの排気側の部分を加熱する必要があり、メタンを燃焼させるために大型の装置が必要になる。このため、ランニンコストが高くなり、この方法をディーゼルエンジンに適用することは困難である。そこで、未燃焼メタンを触媒を用いて比較的低温で分解する技術の検討が進められている。
メタンを分解するために用いられる触媒としては、一般的に、含浸法などにより、溶液を用いて金属を担体に担持させた担持触媒が用いられ、例えば、ハニカム構造の基材等に保持された状態で使用される(非特許文献1)。しかし、含浸法等で作製された触媒は、メタン分解性能が十分でないため、十分な量のメタンを分解するには、触媒を保持する装置全体としてのサイズを大きくする必要がある。
ところで、微細な形態の金属粒子を形成する技術として、ナノメートルサイズの白金の微粒子(ナノドット)を担体の表面に形成することが知られている(非特許文献2)。サイズの小さい触媒を用いて高いメタン分解性能を達成するためには、触媒機能を有する金属と、メタンとの接触面積を大きくすることが有効と考えられる。この点で、担体の表面に所定の密度で形成されたナノドットは、メタンとの接触面積を大きくすることに貢献すると考えられる。
触媒燃焼による燃料改質ガス由来排気中残存メタンの効率的除去に関する研究、赤間弘 Atomic layer deposition of high-density Pt nanodots on Al2O3film using (MeCp)Pt(Me)3 and O2 precursors for nonvolatile memory applications, Shi-Jin Ding et al
触媒によるメタン分解反応は、500℃以上の高温で効率的に進行する。このため、触媒は、高温でも触媒性能が発揮されることが望ましい。
本発明は、高温での触媒性能に優れた触媒の製造方法および触媒を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、担体に触媒機能付き材料を担持させた触媒の製造方法であって、
前記担体の表面を被覆する膜と、前記膜の表面に分散して配置され、前記膜と一体である複数の粒子と、を有する膜構造であって、前記触媒機能付き材料からなる膜構造を形成するステップを含み、
前記膜構造は、1.0×10〜2.0×1012個/cmの密度で前記粒子を含み、
前記粒子のサイズは500nm未満であり、前記粒子は、前記担体の表面からの高さが10nm以上のものを含むことを特徴とする。
前記膜構造を形成するステップでは、前記担体を300℃以下の温度に維持することが好ましい。
前記膜構造を形成するステップでは、前記触媒機能付き材料として白金族金属を含有する原料ガスと、オゾンとを用いて前記膜構造を形成することが好ましい。
前記膜構造を形成するステップでは、前記膜構造を形成するステップでは、前記担体を配置した処理空間内に前記原料ガスを供給することと、前記処理空間内に前記オゾンを供給することと、を交互に行いながら、前記処理空間に前記原料ガスを供給した後、前記原料ガスを前記処理空間内に保持すること、および、前記処理空間に前記オゾンを供給した後、前記オゾンを前記処理空間内に保持することを行うことが好ましい。
前記原料ガスの供給および前記オゾンの供給を交互に行うこと90回以上繰り返すことが好ましい。
前記担体の表面の表面粗さRaは0.3〜30μmであってもよい。
本発明の別の一態様は、触媒であって、
担体と、
前記担体に担持された触媒機能付き材料と、を含み、
前記触媒機能付き材料は、前記担体の表面を被覆する膜と、前記膜の表面に分散して配置され、前記膜と一体である複数の粒子と、を有する膜構造を備え、
前記膜構造は、1.0×10〜2.0×1012個/cmの密度で前記粒子を含み、
前記粒子のサイズは500nm未満であり、前記粒子は、前記担体の表面からの高さが10nm以上のものを含むことを特徴とする。
本発明によれば、高温での触媒性能に優れた触媒の製造方法およびそのような触媒が提供される。
(a)は、本実施形態の触媒の製造方法の比較的初期の段階の様子を模式的に説明する図である。(b)は、本実施形態の触媒を模式的に示す図である。 本実施形態の触媒の膜構造を観察したAFM像である。 本実施形態の触媒を用いてメタン分解試験を行ったときの、反応温度とメタン分解率との関係を示すグラフである。 本実施形態の触媒のメタン分解率と、触媒を構成する基板の枚数との関係を示すグラフである。 本実施形態の触媒のメタン分解率と反応時間の長さとの関係を示すグラフである。
以下、本実施形態の触媒、および触媒の製造方法について詳細に説明する。
(触媒)
本実施形態の触媒について説明する。
図1(b)に、本実施形態の触媒1の例を模式的に示す。図1(b)の例の触媒1は、後述する触媒の製造方法によって製造されたものである。
本実施形態の触媒1は、担体2と、担体2に担持された触媒機能付き材料(以降、触媒材料という)5と、を含む触媒である。触媒材料5は、図示されるように、担体2の表面を被覆する膜7と、膜7の表面に分散して配置され、膜7と一体である複数の粒子9と、を有する膜構造を備える。膜構造は、粒子9を、1.0×10〜2.0×1012個/cmの密度で含んでいる。粒子9の密度は、例えば、原子間力顕微鏡を用いて得られる画像(AFM像)を粒子解析ソフトウェアを用いて得ることができる。粒子9のサイズは500nm未満(以降の説明で、ナノメートルサイズともいう)である。そして、粒子9は、担体2の表面からの高さが10nm以上のものを含む。
担体の形態は、板状、粒状、または、ハニカム構造を有する多孔体等のいずれの形態であってもよい。以下、板状である場合を例に説明する。図1(b)に示される担体2は、基板3と、基板3の片側の表面に形成された酸化膜4とで構成されるが、本実施形態の担体は、例えば、アルミナ等の金属酸化物のバルクのように、1種の材料で構成されたものであってもよい。
基板3の材質には、例えば、アルミナ、シリコン、ゼオライト、酸化錫等が用いられる。中でも、耐熱性に優れる点で、アルミナが好ましく用いられる。なお、図1(b)に示される基板3は、シリコン基板である。基板3の厚みは、例えば0.5〜1mmのものが用いられる。酸化膜4が形成される側の担体2の表面は、低コストで触媒を製造できる点で、算術表面粗さRaが0.3〜30μmの比較的粗いものであってもよいが、例えば鏡面研磨されたものであってもよい。
酸化膜4は、金属酸化物からなる膜であり、その材質は特に制限されないが、例えばアルミナが用いられる。酸化膜4の厚みは、触媒材料5を良好に担持させ、生産性を確保する観点から適宜定められ、例えば3〜20nmである。
触媒材料5とは、メタン等の炭化水素ガスを、直接燃焼させるよりも低い温度で分解できる機能を有する材料をいう。本実施形態の触媒材料5には、金属または金属酸化物が用いられる。金属としては、好ましくは、貴金属(金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム)や、ニッケル、コバルト、銅等の他の遷移金属、または、これらの中から選択された2種以上からなる合金が用いられる。貴金属の中では、白金族元素(ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金)が好ましい。金属酸化物としては、クロム、コバルト、チタン等の酸化物が用いられる。以下の説明では、触媒材料5として白金を例に説明する。
触媒材料5は、上記したように、膜7と、複数の粒子9と、を有する膜構造を有している。膜7の厚みは、1〜30nm、好ましく2〜10nmである。また、膜7の厚みは、触媒1の全域にわたり均一でなくてもよく、均一であってもよい。粒子9は、膜7と一体に形成され、膜7の表面から突出する形状を有しており、その形状は、半球状等、球状の一部の形状のほか、平面方向(膜7が延在する方向)の最大長さと高さ(担体2の表面からの高さ)と比が、0.1:1〜5:1の範囲にあるものも含まれる。粒子9のサイズは、500nm未満であり、好ましくは100nm以下、より好ましくは10nm以下である。粒子9のサイズとは、平面方向および高さ方向のうちの最大長さをいう。粒子9には、500nm未満のサイズの全ての粒子が該当し、粒子9のサイズの下限値は、特に制限されないが、例えば1nmである。複数の粒子9のサイズは、図1(b)では、説明の便宜のため略均一に示されているが、分布していることが好ましい。また、膜7の厚みに対する、粒子9の大きさや、酸化膜3、基板4の厚さは、図1に示されるとおりでなくてよく、これに制限されない。複数の粒子9には、高さが膜7の厚みより高く、かつ、高さが10nm以上、好ましくは50nm以上のものが含まれる。膜構造に含まれる粒子9のうち、膜7の膜厚より高く、かつ、高さ10nm以上のものが占める割合は、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上である。粒子9の密度は、1.0×10〜2.0×1012個/cmであり、好ましくは2.0×10個/cm〜2.0×1012個/cmである。粒子9の密度が上記範囲にあることで、触媒1の触媒性能(例えばメタン分解性能)が良好に発揮される。粒子9の高さの基準となる位置は、担体2の表面である。このような構成の膜構造は、後述する触媒の製造方法によって製造することができる。
本実施形態の触媒1の粒子9には、高さが膜7の膜厚より高くかつ10nm以上であることで表面積が大きく、排ガスとの接触面積が大きいものが含まれており、排ガス浄化用の触媒として好ましく用いられる。そして、このような高さが膜7の膜厚よりも高くかつ10nm以上の粒子9は、他の粒子9とともに、膜7と一体に形成されているため、高温時に粒子同士が凝集して、表面積が小さくなるのを抑えることができる。本発明者の研究によれば、メタンの分解反応が進行しやすい500℃以上の温度条件では、触媒材料の粒子が直接担体の表面に担持された触媒では、粒子が担体の表面を転がるように集まって凝集し、塊になるために、触媒材料の表面積が小さくなる場合があることが分かった。本実施形態の触媒1では、触媒材料5の粒子9が、担体2を被覆する膜7の表面に、膜7と一体に形成されていることで、比較的高温で使用されても、膜7上の粒子9の位置が変わらず、凝集しないために、これら粒子9の表面積が小さくなることが抑えられている。本実施形態の触媒1は、粒子9が凝集し難いことによって、比較的高温で使用されても、触媒性能が低下することが抑制される。このため、良好な触媒性能が長時間にわたって持続する。
本実施形態の触媒1は、メタンを分解する機能を有するほか、エタン、プロパン等の他の炭化水素ガスを分解する機能を有するものであってもよく、これら炭化水素ガスを含んだ排ガスの浄化に好ましく用いられる。排ガスの種類は、特に制限されず、例えば、ディーゼルエンジン(例えば、2ストロークサイクルの低速ディーゼルエンジン)、点火プラグを備えるレシプロエンジン、ガスエンジン等から排出されるものが用いられる。これらエンジンの燃料は、メタン等の炭化水素ガスを含む液化天然ガス(LNG)や液化石油ガス(LPG)であってもよく、メタン等の炭化水素ガスを発生しうる他の燃料(例えば、高オクタン価のガソリン)であってもよい。LNGおよびLPGは、燃料として積載されたものであってもよく、積み荷として積載されたものの一部が気化したもの(ボイルオフガス)であってもよい。また、触媒1は、上記エンジンの排ガスの流路上に配置して使用される。例えば、エンジンに排ガス再循環(EGR)システムが接続されている場合、排ガスの流路の任意の位置(例えば、システム内に設けられた過給機の上流側または下流側)に配置できる。
(触媒の製造方法)
次に、本実施形態の触媒の製造方法について説明する。
本実施形態の触媒の製造方法は、担体に触媒材料を担持させた触媒の製造方法であって、膜構造を形成するステップを含む。膜構造は、担体の表面を被覆する膜と、膜の表面に分散して配置され、膜と一体である複数の粒子と、を有し、触媒材料(触媒機能付き材料)からなる。担体、触媒材料、および膜構造の具体的な構成は、上記説明したものと同様である。なお、触媒材料として、以下、白金を例に説明する。
膜構造を形成するステップは、種々の方法を用いて行うことができるが、ここでは原子層堆積法(ALD)を用いて、ALD装置の成膜室(処理空間)内で行う場合を例に説明する。
膜構造を形成するステップでは、成膜室内に配置された担体を、300℃以下、好ましくは270〜300℃の温度に維持することが好ましい。担体の温度が300℃を超えると、膜構造が形成される比較的初期の段階で担体の表面に形成される、白金の粒同士が、担体の表面に沿って移動し、凝集し(癒着し)やすくなり、粒子が膜上に独立して形成され難くなる。本実施形態では、担体の温度が300℃以下に維持されることによって、担体の表面に形成された粒同士が癒着し難く、独立して成長しやすくなる。なお、比較的初期の段階とは、後述するサイクル数が50回未満である場合をいう。
ここで、本実施形態の方法によって膜構造が形成される過程を説明する。膜構造が形成される過程のごく初期の段階(例えば40サイクル以下)では、担体2の表面に、多数の白金の核が形成され、隣接する核同士が凝集して、図1(a)に示されるように、後で粒子9に成長する粒9aが形成される。なお、図1(a)において、粒9aは、説明の便宜のため、略均一に示されるとともに、図1(b)の粒子9と略同じサイズで示される。担体2の表面に形成された多数の粒9aのうち一部は、図1(b)に示されるように、癒着して担体2の表面を覆う膜7になるとともに、残りの一部は、それぞれ成長して、よりサイズの大きい粒子9になり、結果として、複数の粒子9が膜7上に独立して配置された膜構造が形成される。
また、膜構造を形成するステップでは、成膜室に配置された担体を、250℃以上、好ましくは270℃以上の温度に維持することが好ましい。担体の温度が250℃未満であると、粒9aが高さ方向に成長し難く、複数の粒子を有する膜構造が得られにくい。したがって、本実施形態では、多数の粒子を膜の表面に独立した状態で含む膜構造を形成する観点からは、膜構造を形成するステップにおいて維持される担体の温度領域は、250〜300℃であることが望ましく、270〜300℃であることがより望ましい。
膜構造を形成するステップでは、白金を含む原料ガスと、オゾンとを用いて膜構造を形成することが好ましい。白金を含む原料ガスには、例えば、白金に炭化水素基が配位した有機白金化合物を用いることができる。オゾンは、原料ガスと反応して触媒材料を形成するための反応ガス(酸化剤)である。本発明者は、反応ガスとして特にオゾンを用いることで、担体の温度が300℃以下の条件下でも、上記説明したように担体の表面に形成された白金の粒が成長しやすくなることを見出した。また、オゾンは酸化力が強く、原料ガスとの反応が進行しやすいため、反応ガスとしてそのまま用いることができ、例えばプラズマにする必要がない。なお、膜構造を形成するステップにおいて、酸素等、オゾン以外の反応ガスを用いてもよい。酸素を反応ガスとして用いる場合は、反応を促進するために、酸素プラズマとしてもよい。
膜構造を形成するステップは、具体的には、成膜室への原料ガスの供給、および、成膜室への反応ガスの供給、を交互に行いながら、好ましくは、成膜室内に原料ガスを供給した後、原料ガスを成膜室内に保持すること、および、処理空間にオゾンを供給した後、オゾンを成膜室内に保持すること、を行う。原料ガス、オゾンの保持は、具体的には、原料ガス、オゾンを成膜室内に供給した後、ALD装置に設けられた後述するバルブを閉じて成膜室を密閉(封止)することで行われる。原料ガス、オゾンは、成膜室内で保持された後、それぞれ成膜室から排気される。このように、膜構造を形成するステップでは、原料ガスの供給、原料ガスの保持、原料ガスの排気、オゾンの供給、オゾンの保持、オゾンの排気を行うことを1つのサイクルとして、このサイクルを繰り返す。原料ガスの排気は、オゾンの成膜室への供給と並行して行われてもよい。
なお、本実施形態で用いられるALD装置の成膜室には、原料ガスの供給源およびオゾンの供給源がそれぞれ接続されている。原料ガスは、成膜室に至る経路の途中で、N等のキャリアガスと混合され、混合ガスとして成膜室に供給される。また、成膜室には、成膜室を減圧するための減圧装置(例えば真空ポンプ)がバルブを介して接続されており、バルブを開くことにより、原料ガス、オゾンの供給、排気を行い、バルブを閉じることにより、原料ガス、オゾンの保持を行うことができる。
上記サイクルにおいて、例えば、原料ガスの供給を1〜5秒、原料ガスの保持を3〜10秒、オゾンの供給(並行して行われる原料ガスの排気)を2〜5秒、オゾンの保持を5〜15秒、オゾンの排気を1〜10秒、順に行う。このように、成膜室に供給した原料ガス、オゾンを排気せずに、そのまま成膜室内に留め保持することで、担体の表面に形成された粒の高さ方向への成長を促進することができる。ALDは、表面粗さRaが小さい平坦な膜を、必要な膜厚分だけ精度よく成膜する手法である。このため、ALDでは、精度の良い成膜を行うために、通常は、成膜室を封止せず、成膜に関与しない余分な原料ガスと酸化剤をすぐに排気できるようにして成膜が行われる。本発明者は、ALDを用いて成膜を行う際に、敢えて成膜室を封止することで、担体の表面に形成された粒の高さ方向への成長を促進できることを見出した。また、このような原料ガスの保持を行うことにより、原料ガスの供給量が少なくても膜構造を形成することができる。
膜構造を形成するステップでは、上記サイクルを、好ましくは90回以上、より好ましくは120回以上繰り返される。
非特許文献2では、サイクル数を増やしていくと、粒子同士が繋がって連続膜が形成されることが記載されているが、本発明者の研究によれば、反応ガスとしてオゾンを用いることにより、成膜プロセスにおける担体の温度(成膜温度)を300℃以下に下げることができ、その結果、サイクル数を90回以上に増やしても粒子が癒着しない膜を作れることが見出された。しかも、このようなサイクルを繰り返す過程で、低サイクル数(例えば50回、80回)の段階では、粒子の高さは10nmにも満たないところ、90回以上繰り返すことで、期せずして、高さ方向に急激に成長を開始し、高さが100nmを超える粒子を含む、表面積の大きい複数の粒子を形成できることが見出された。
なお、サイクル数の上限値は、特に制限されないが、例えば200回である。
本実施形態の触媒の製造方法では、以上説明した膜構造を形成するステップの前に、例えば、基板の表面に酸化膜を形成するステップを行って、担体を作製してもよい。酸化膜を形成するステップは、基板を配置した成膜室内で、ALD法を用いて行うことができ、この場合、酸化膜を形成するステップおよび膜構造を形成するステップを、同じ成膜室内で連続して行うことができる。なお、酸化膜を形成するステップにおいて、例えば、アルミナ酸化膜を形成する場合は、原料ガスとしてトリメチルアルミニウム、反応ガスとしてオゾンを用いることができる。
本実施形態において、担体の表面の算術表面粗さRaは0.3〜30μmであってもよい。ここでいう担体の表面は、担体が酸化膜および基板で構成される場合は基板の表面をいう。このような表面粗さRaの担体は、低コストで作製できる反面、表面凹凸が大きいため、担体の表面を膜によって漏れなく被覆し難くなる、あるいは、基板の表面を酸化膜によって漏れなく被覆し難くなる場合がある。しかし、例えば段差被覆性に優れたALD法によって、膜構造を形成するステップや酸化膜を形成するステップを行うことによって、表面粗さが上記範囲にある担体であっても、表面のすべてを膜で被覆することができる。このため、低コストで触媒を製造することができる。
なお、本実施形態において、ALD法には、より高速に成膜を行うことのできる公知のSpatialALD法が用いられてもよい。SpatialALD法は、薄膜を構成する元素を主成分とする2種類の前駆体をそれぞれ含んだガスを空間的に分離して供給することを行う成膜方法である。
本実施形態の触媒の製造方法によれば、高温でも粒子が凝集せず、粒子の表面積が損なわれない膜構造を有する触媒、すなわち、高温での触媒性能に優れた触媒が得られる。
膜構造を形成するステップにおいて、担体の温度を300℃以下に維持した場合は、担体の表面に形成された粒同士は、癒着し難く、独立して成長しやすくなる。特に、オゾンを反応ガスとして用いた場合は、担体の温度をこのように比較的低温に維持した場合であっても、オゾンの強い酸化力によって粒の成長が促進される。
また、膜構造を形成するステップにおいて、原料ガスの供給後に、原料ガスを成膜室内で保持すること、および、オゾンの供給後に、成膜室内で保持すること、を行うことで、担体の表面に形成された粒の高さ方向への成長を促進することができる。また、このような原料ガスの保持を行うことにより、原料ガスの供給量が少なくても膜構造を形成することができる。
さらに、原料ガスの供給、保持、排気、オゾンの供給、保持、排気を行うことを1つのサイクルとして、このサイクルを90回以上行うことによって、高さが100nmを超える粒子を含む、表面積の大きい複数の粒子を形成できる。
また、担体の表面の表面粗さRaが0.3〜30μmである場合は、上記膜構造を有する触媒を低コストで作製することができる。
さらに、本実施形態の方法によれば、含浸法により担持触媒を作製した場合と比べ、触媒に含まれる触媒材料の重量を小さくできる。これは、含浸法では、担体の表面にサイズの小さい粒子を形成するのが極めて難しく、粒子のサイズが大きくなるのに対し、本実施形態の方法では、例えばALDを用いることで、上記したサイズの小さい粒子を簡単に形成できるためである。同じ程度の触媒性能を発揮する、本実施形態の方法で作製した触媒と含浸法で作製した触媒とを比較した場合、本実施形態の方法によって作製した触媒に含まれる触媒材料は、含浸法で作製した触媒に含まれる触媒材料の重量の1/100程度である。
本実施形態の触媒の製造方法は、ALD法により行うことに制限されず、例えば、水素プラズマまたは酸素プラズマを用いる方法、ゾルゲル法等によって行うことができる。例えば、触媒材料として、コバルト、ニッケルを含む合金を用いる場合、水素プラズマ法によって行うことができる。
(実施例)
以下、実施例を示して、本発明をより具体的に説明する。
上記説明したALD装置を用いて、成膜室内に、6インチ四方のシリコン基板を配置し、まず、シリコン基板上にアルミナ酸化膜を成膜し、続けて、アルミナ酸化膜の表面に白金の膜構造を形成した。シリコン基板には、厚さ0.7mm、表面粗さRa0.1〜2nmのものを用いた。アルミナ酸化膜は、成膜室を100Paに減圧し、シリコン基板を150〜200℃に加熱した状態で、トリメチルアルミニウムとオゾンを交互に成膜室内に供給しながら作製した。アルミナ酸化膜の厚さは20nmであった。また、白金の膜構造は、アルミナ酸化膜付きシリコン基板を270℃に加熱した状態で、トリメチルメチルシクロペンタジエニルプラチナ((CH(CH)Pt)とNとの混合ガスと、オゾンガスとを交互に成膜室内に供給しながら作製した。その際、原料ガスの供給を1.5秒、その後の成膜室の封止を5秒、オゾンの供給(並行して原料ガスの排気)を2秒、その後の成膜室の封止を10秒、オゾンの排気を5秒、順に行うことを1サイクルとして、このサイクルを140回繰り返した。成膜室の圧力は、オゾン供給時の圧力で5kPaとした。
(膜構造の確認)
上記の要領で得られた触媒のAFM像を観察したところ、図2に示されるように、担体の表面がすべての領域にわたって白金で覆われていること、および、ナノメートルサイズの粒子が2.7×10個/cmの密度で形成されていることが確認された。図2は、触媒の膜構造を平面視して観察したAFM像である。図2のグレースケールのバーは、位相の遅れ(ドットの高さ)を表し、明るい部分であるほど、高さの高い粒子(ドット)であることを示す。このバーの水平方向には、ドットの高さごとの頻度を表す。なお、AFMには、島津製作所社製SPM−9600を用いた。測定は、走査範囲1μmで行った。この結果、粒子には、高さが10nm以上のもの(最大111.38nm)が含まれていることが確認された。高さが10nm以上の粒子は、膜構造に含まれる全ての粒子の70%を占めていた。また、図2において、暗く見えている部分も白金であり、担体の表面は見られなかった。
なお、得られた触媒を、X線光電子分光(XPS)装置を用いて分析したところ、70.9eVと74eVの2箇所で白金の鋭いピークが現れ、白金からなる膜構造が形成されていることを確認できた。
(メタン分解試験)
得られた触媒を用いて、下記要領でメタン分解試験を行った。
矩形状断面の流路を有する反応管内に、流路の方向と平行に触媒1枚をセットし、反応管を400〜600℃の範囲で種々の温度に加熱し、メタンとNとの混合ガス(メタン濃度2500ppm)を1L/分で、酸素を0.1L/分で同時に反応管内に流し、120分間反応を行った。反応管の入口側および出口側で濃度計を用いてメタン濃度を測定し、下記式:
メタン分解率(%)=(1―出口側のメタン濃度/入口側のメタン濃度)×100
に従って、反応温度ごとにメタン分解率を計算した。結果を、図3に、◆のプロットで示す。図3は、反応温度ごとのメタン分解率を示すグラフである。これとは別に、反応管内に触媒をセットしなかった点を除いて同様の試験を行い、反応温度ごとにメタン分解率を計算した結果を、図3に、■のプロットで示す。
図3から分かるように、反応管内に触媒をセットした場合は、触媒によるメタン分解性能が確認された。特に、500℃以上の温度域においてメタン分解率が大きく上昇し、600℃では分解率が22%に上昇した。なお、触媒をセットしなかった場合において、高温域でメタン分解率が数%程度になっているのは、温度が高いためにメタンの一部が、酸素ガスによってCOに酸化され、分解したものと考えられる。
次に、4枚の触媒を反応管内にセットし、反応管を600℃に加熱した状態で、上記と同じ要領でメタン分解試験を行った。結果を、図4に示す。図4は、メタン分解率の、触媒の個数(白金の膜構造およびアルミナ酸化膜が形成された基板の枚数)の依存性を示すグラフである。図4から分かるように、触媒の個数に比例して、メタン分解率が増加していることが分かる。なお、触媒を4枚用いた場合は、メタン分解率は90%近くに達していた。
また、触媒4枚を用いてメタン分解試験を行ったときの、反応時間の長さによるメタン分解率の変化を、図5に示す。4枚の触媒は、反応管内に、流路の方向と平行に、等間隔に離してセットした。図5は、120分間、メタン分解反応を行う間、所定時間ごとにメタン分解率を計算し、プロットしたものである。図5から分かるように、メタン分解率は殆ど低下せず、維持できていることが分かった。このことから、触媒の膜構造において、高温でも粒子が凝集せず、表面積の大きさが維持されているために、メタン分解率が維持されたと推察される。
以上、本発明の触媒の製造方法、および触媒について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態および例に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
1 触媒
2 担体
5 触媒材料(触媒機能付き材料)
7 膜
9 粒子

Claims (7)

  1. 担体に触媒機能付き材料を担持させた触媒の製造方法であって、
    前記担体の表面を被覆する膜と、前記膜の表面に分散して配置され、前記膜と一体である複数の粒子と、を有する膜構造であって、前記触媒機能付き材料からなる膜構造を形成するステップを含み、
    前記膜構造は、1.0×10〜2.0×1012個/cmの密度で前記粒子を含み、
    前記粒子のサイズは500nm未満であり、前記粒子は、前記担体の表面からの高さが10nm以上のものを含むことを特徴とする触媒の製造方法。
  2. 前記膜構造を形成するステップでは、前記担体を300℃以下の温度に維持する、請求項1に記載の触媒の製造方法。
  3. 前記膜構造を形成するステップでは、前記触媒機能付き材料として白金族金属を含有する原料ガスと、オゾンとを用いて前記膜構造を形成する、請求項1または2に記載の触媒の製造方法。
  4. 前記膜構造を形成するステップでは、前記担体を配置した処理空間内に前記原料ガスを供給することと、前記処理空間内に前記オゾンを供給することと、を交互に行いながら、前記処理空間に前記原料ガスを供給した後、前記原料ガスを前記処理空間内に保持すること、および、前記処理空間に前記オゾンを供給した後、前記オゾンを前記処理空間内に保持することを行う、請求項3に記載の触媒の製造方法。
  5. 前記原料ガスの供給および前記オゾンの供給を交互に行うこと90回以上繰り返す、請求項4に記載の触媒の製造方法。
  6. 前記担体の表面の表面粗さRaは0.3〜30μmである、請求項1から5のいずれか1項に記載の触媒の製造方法。
  7. 担体と、
    前記担体に担持された触媒機能付き材料と、を含み、
    前記触媒機能付き材料は、前記担体の表面を被覆する膜と、前記膜の表面に分散して配置され、前記膜と一体である複数の粒子と、を有する膜構造を備え、
    前記膜構造は、1.0×10〜2.0×1012個/cmの密度で前記粒子を含み、
    前記粒子のサイズは500nm未満であり、前記粒子は、前記担体の表面からの高さが10nm以上のものを含むことを特徴とする触媒。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2018154872A1 (ja) * 2017-02-22 2018-08-30 東京瓦斯株式会社 熱回収を伴う排ガス浄化装置
CN115515711A (zh) * 2020-05-15 2022-12-23 田中贵金属工业株式会社 甲烷燃烧催化剂及其制造方法、以及燃烧废气的净化方法

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