JP2017503895A - 硫黄系ポリマー - Google Patents
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Abstract
本発明は、元素状硫黄とポリマー成分とをベースとする硬化性組成物に関する。本発明の組成物は元素状硫黄の存在下で硬化し、それにより、特にシーリングおよびコーティング用途に有用である、化学的および物理的特性が向上した新規の組成物を提供する。
Description
発明の分野
本発明は、様々な分野や用途において有用である硬化性組成物に関する。特に、本発明の組成物および方法はシーリングおよびコーティング用途において有用であり、特にフィルム、接着剤、膜等として有用であり、特に化学物質、燃料および他の石油系炭化水素に対して高い耐久性を示すバリアフィルムとして有用である。さらに、本発明の硬化性組成物は貯蔵安定性を長期にわたって維持し、かつ基材への施与後にすぐに硬化しうる。
本発明は、様々な分野や用途において有用である硬化性組成物に関する。特に、本発明の組成物および方法はシーリングおよびコーティング用途において有用であり、特にフィルム、接着剤、膜等として有用であり、特に化学物質、燃料および他の石油系炭化水素に対して高い耐久性を示すバリアフィルムとして有用である。さらに、本発明の硬化性組成物は貯蔵安定性を長期にわたって維持し、かつ基材への施与後にすぐに硬化しうる。
発明の背景
一般に、従来の硬化性組成物の多くは高分子製品や高分子体の方法において使用されており、例えばフィルム、コーティング、接着剤およびシーラントの製造に使用されている。
一般に、従来の硬化性組成物の多くは高分子製品や高分子体の方法において使用されており、例えばフィルム、コーティング、接着剤およびシーラントの製造に使用されている。
末端にメルカプタンを有するポリスルフィドポリマーをベースとする従来の硬化性組成物は、硬化剤と反応する。この硬化剤は、通常は例えば過ホウ酸ナトリウム、水酸化バリウム、酸化バリウムまたは酸化マンガン等の酸化剤かまたは金属過酸化物であり、これは、酸化によるジスルフィド結合の形成により液体ポリスルフィドポリマーを固体状態へと硬化させる。さらにこうした硬化剤は、通常は、活性化を行うべき触媒を必要とする。一般に、市販の液体ポリスルフィドポリマーは、遊離メルカプタン末端を有する(−S−アルキル−O−アルキル−S−)の繰り返し単位から構成されており、その際、このアルキルは同一であっても異なっていてもよく、また様々な長さのものであってよい。一般には、こうした液体ポリスルフィドポリマーは酸化により硬化して固体のエラストマーが生じる。こうした液体ポリスルフィドポリマーをベースとする硬化性組成物の早期の固化を避けるためには、硬化剤とポリマーとを別々に格納し、何らかの表面に施与する前に混合する必要がある。使用前に各々の硬化性組成物を調製する際に2つのパッケージを使用しなければならないという制約を解消するために、一液型の開発が行われてきた。この一液型自体には、物理的特性が制限されている硬化性ポリスルフィドポリマーが選択されるという制約が課されている。
ポリスルフィド系材料は、多くの有用な機能を提供する。こうした材料は、有機化学物質や、例えばディーゼル、ガソリンおよび灯油といった燃料に対して優れた耐久性を示し、優れたUV耐久性を示し、さらには破断点伸びが高く強固である。したがって、こうした材料は、潜在的な危険性を有する液体を特定の領域や格納容器に密閉する必要があるガソリンスタンドや空港等においてシーラントとして広く用いられている。上述の通り、こうした材料は少なくとも2種の成分からなる配合物である。成分の1つは例えばMnO2等の酸化剤であることが多く、これは混合物中に含まれるポリスルフィドポリマー鎖が酸化により架橋されるように導くかまたは補助する。しかしこうした配合物は、こうした酸化性成分ゆえに、その製造、貯蔵および最終硬化生成物の外観において問題が生じるという欠点を有している。硬化性組成物の酸化マンガン成分は硬化材料の着色の要因となる場合が極めて多く、これにより製品の暗褐色の着色が生じてしまう。
EP0,702,072には、急速硬化性の一液型液体ポリスルフィドポリマーシーラントが開示されており、その際、この組成物は、末端にメルカプタンを有するポリスルフィドポリマー、硬化触媒としての水酸化ナトリウム5〜25%、および例えば過ホウ酸ナトリウム等の酸化硬化剤を含む。これは、過ホウ酸塩系硬化剤が有毒性であり、またホウ酸塩を含有する組成物の貯蔵寿命が制限されるという欠点を有する。水酸化ナトリウム分は風解傾向にあり、審美的な問題が生じ、また各組成物の利用可能性が制限される。
EP1,462,501には、接着剤およびシーラントとして有用な組成物が記載されており、その際、硬化反応はマイケル付加反応に基づいている。基本的には、少なくとも1つの多官能性マイケル供与体、少なくとも1つの多官能性マイケル受容体、マイケル供与体の少なくとも1つのアニオン、および150℃以下の沸点を有する非反応性成分5%以下を含む硬化性混合物が開示されている。こうした揮発性の非反応性化合物の存在は、一般には望ましくない。末端にメルカプタンを有するポリマーが関与する硬化反応は記載されていない。さらに、開示されている硬化性組成物を多液型系において使用することが記載されており、すなわち、内容物が一緒に混合されて硬化性混合物が形成されるまでは様々な成分が2つ以上の容器内で貯蔵される。また、開示されているこの硬化性組成物は、ポリスルフィドポリマーに典型的に付随する有益な化学的特性を提供しない。
US4,096,131には、湿気硬化性の一液型ポリスルフィドシーラントが記載されている。このシーラントは、シラン化ポリスルフィドとジスルフィド含有基との反応生成物である。このシーラント組成物は未反応のSH基を含んでおり、これがシランと反応する。この生成物は次のような欠点を有しており、すなわち、試薬の製造方法には、シラン化ポリスルフィドを得るべくシランとポリスルフィドとを無水条件下に反応させることが必要であり、この反応が特定の温度で特定の時間の長さにわたって行われるという欠点を有している。これには、通常は反応混合物を数時間沸騰させることが必要である。
US4,100,148は、末端にメルカプトを有する液体ポリスルフィドポリマーを含む貯蔵安定な急速硬化型の一液型シーラントを提供している。このポリスルフィドポリマーは、例えばPbO2やMnO2等のマイクロカプセル化酸化剤を使用した酸化機序により硬化する。
US4,939,218には、架橋ポリマー物品の製造方法において使用される硫黄含有脂肪族アクリル系化合物が開示されている。このような硫黄含有脂肪族アクリル系化合物は、エチレン性結合を有する重合性モノマーで架橋される。生成物は、屈折率の高い硫黄含有ポリマーである。類似の硫黄含有ポリマーが、R.OkutsuらによりChem.Mater.2008,20,4017−4023に開示されている。この硫黄含有高分子材料は、環状ジチオカーボネート、ノルボルネンおよび(メタ)アクリレート単位からなり、これによって重合後に高屈折率の生成物が得られる。さらに、どちらの文献に開示されている硫黄含有ポリマーも、30%を上回る硫黄含分を提供しうる。しかし、硫黄はこれらのポリマーに元素状硫黄として導入されているわけではなく、さらに本発明の意味でのポリスルフィド鎖を提供するわけではない。開示されているこうした硫黄含有ポリマーは、注型重合や、例えばレンズ等の屈折率の高い物品の製造に使用される。したがって、こうした硫黄含有脂肪族アクリル系化合物を硬化性液体ポリマーシーラントとして利用することはできない。
WO2013/1023216には高硫黄含有ポリマーが開示されており、その際、この高分子組成物は、元素状硫黄を、総じてラジカル重合に供された共重合体として該共重合体の少なくとも50質量%の水準で含む。1種以上の共単量体をエチレン性不飽和化合物から選択することができる。しかし、開示されているこの硫黄共重合体は、プレポリマーを得るべく200℃を上回る範囲の温度への激しい加熱を行う複数の反応ステップを必要とする。その後、このプレポリマーをさらに熱処理することによって最終的な成形品が得られる。マイケル反応により遊離可能な化合物をベースとする硫黄共重合体組成物は、開示されていない。
硫黄コンクリートの製造においては、元素状硫黄の溶融重合が利用されている。硫黄コンクリートとは、硫黄と、例えば砂利等の粗骨材と、例えば砂等の細骨材とを構成要素とする建築用複合材料である。通常の水硬性バインダーをベースとするコンクリートのベース成分であるセメントや水は、硫黄コンクリートの要素ではない。硫黄コンクリート材料は、重合のために、硫黄の融点である約140℃を上回るように加熱される。冷却および凝固後に、このコンクリートは通常のコンクリートのような長時間の硬化を必要とせずに高強度に達する。硫黄コンクリートは、例えば耐酸性構造物等の特殊な建築用材料として用いられている。Blightらは、Brit.Polymer J.,March 1980,5−11において、元素状硫黄とオレフィン系物質との反応によってポリスルフィドと未反応の元素状硫黄との混合物が生じることを報告しており、さらに、ジシクロペンタジエンとスチレンと元素状硫黄との相互作用によって形成されるポリスルフィドの特性決定を行っている。ジシクロペンタジエンおよびスチレンは、硫黄コンクリート製造において、元素状硫黄の同素体組成を制御するための添加剤として使用されることが知られている。
従来のポリスルフィドポリマーをベースとする硬化性組成物または樹脂には、多くの欠点が存在する。一般に、酸化による硬化機序に基づく一液型(1K)配合物はいずれも、特に貯蔵安定性や反応性プロファイルに関する性能において著しい不足を示す。さらに、既存のポリスルフィドポリマー系に関しては、製造、調製および施与が容易でない。なぜならば、こうした硬化性組成物は多液型系として提供されるか、または一液型系の製造が高コストで困難であるためである。
発明の概要
少なくとも従来の二液型(2K)系の有益な特性と1K硬化性組成物の使用し易さとを併せ持つ、改良された硬化性組成物または樹脂の提供が引き続き求められている。
少なくとも従来の二液型(2K)系の有益な特性と1K硬化性組成物の使用し易さとを併せ持つ、改良された硬化性組成物または樹脂の提供が引き続き求められている。
アクリレートベースの代替物は、はるかに良好な機械的特性と施与可能性の向上とを示すものの、化学物質、酸、アルカリ、または苛性剤、特に燃料、または他の石油系炭化水素に対する耐久性が著しくより低い。したがって、アクリル系ポリマーを、上記のような従来のポリスルフィドポリマー系樹脂の実用性が見出される要求の厳しい用途において使用することはできない。
本発明の目的の一つは、長期間にわたる貯蔵に際して安定性を保ち、かつ周囲条件下での使用や表面への施与時に極めて良好な物理的および化学的特性を示すシールまたはコーティングを提供する一液型のコーティングおよびシーリング組成物として有用な硬化性組成物を提供することであった。
驚くべきことに、アクリレート系のポリマー、オリゴマーまたはモノマーを元素状硫黄と共に架橋することにより、従来のポリスルフィドポリマーの優れた耐久性の特徴とアクリレート系樹脂の有益な機械的または物理的特性とを併せ持つポリスルフィドベースの材料が得られることが判明した。
したがって、本発明は、周囲温度で調製し易くかつ使用し易い、水をトリガとする硬化機序に基づく貯蔵安定な1Kポリスルフィド系を提供する。本発明の1Kポリスルフィド系の特性によって、本発明の1Kポリスルフィド系は、当業者が考えうる例えば表面のコーティングやシーリング等のその場での施与に特に有用なものとなる。
先行技術には、メルカプト基を用いたジスルフィド橋の形成によるポリマーの架橋方法が記載されている。この架橋反応は、総じて酸化重合に基づくものである。
本発明の一態様は、反応混合物中のチオール基をその場で生成するための方法を提供することにあり、本方法では、元素状硫黄と一緒に、マイケル様付加反応においてエチレン性不飽和ポリマー、オリゴマーまたはモノマーを架橋させる。本発明の方法の利点の一つは、モノマーの重合が付加反応に基づくものであり、これにより大気中の酸素に対して基本的に感受性を示さない系が提供されるという点にある。この反応は水により開始される。総じて、数時間、通常は0.5〜72時間でポリマー混合物を完全に硬化させるには、標準的な湿度で十分である。本発明のさらなる一態様は、この硬化プロセスが相対的に温度感受性を示さないという点に見出される。このことによって、例えば冷涼または寒冷な気候、低温の部屋、冷却室、または他の任意の冷却された状況といった低温用途だけではなく、例えば冷蔵庫や冷凍庫等といった電化製品においてもこの樹脂の利用が可能となる。
本発明の硬化性の混合物または組成物は、最終製品の特性向上のためにこうした混合物中に通常含まれる、例えば粘着付与剤、乳化剤、可塑剤、増粘剤等の1種以上の添加剤を含有してもよい。
発明の詳細な説明
本発明の目的の一つは、水を含まない状態が維持される限り貯蔵寿命が実質的に無制限である一液型の系として配合可能な、新規の硬化性組成物を提供することであった。さらに、この新規の硬化性組成物は、使用し易く、不快な臭気や強い臭気を有しない。
本発明の目的の一つは、水を含まない状態が維持される限り貯蔵寿命が実質的に無制限である一液型の系として配合可能な、新規の硬化性組成物を提供することであった。さらに、この新規の硬化性組成物は、使用し易く、不快な臭気や強い臭気を有しない。
上述の課題は、少なくとも1種の多官能性チオエステル、硫黄、および少なくとも1種のエチレン性不飽和成分を含む本発明の硬化性組成物によって解決され、これにより水感受性組成物が得られる。水との接触によりこのチオエステル成分が加水分解して、末端にメルカプトを有する成分がその場で遊離する。この末端にメルカプトを有する成分が、すぐに、組成物中に存在するエチレン性不飽和成分とチオールベースのマイケル様付加でさらに反応することにより、硬化ポリマー生成物となる。このような組成物は製造が容易であり、かつ、水や水分を含まない条件下で保持される場合には極めて貯蔵安定性が高い。
したがって、本発明は、水をトリガとする硬化機序に基づく貯蔵安定性1Kポリスルフィド組成物を提供する。本発明の組成物のもう一つの利点は、硬化機序が非酸化性でかつ非ラジカル性であって、大気中の酸素や他の任意の酸化剤および還元剤に対して非感受性であるという点にある。これによって、新規の1K硬化性組成物の貯蔵寿命が概して大幅に延長される。
ベースとなるバインダー系は、少なくとも1種の多官能性チオエステル化合物と、硫黄粉末と、触媒と、架橋剤としての、および場合により反応性希釈剤としての少なくとも1種のエチレン性不飽和化合物とを含み、ここで、この少なくとも1種のエチレン性不飽和化合物は、特に有利には、モノ−、ジ−、トリ−、テトラ−またはペンタ−アクリレートから選択可能なアクリレート化合物であるものとする。
本発明の目的のために、硫黄または元素状硫黄という用語は、当業者に知られている、単純な、配合されていない、または天然の遊離形態および/または任意の同素体形態の非金属の元素状硫黄を指すものと理解される。
アクリレートとは、アクリレートモノマーから構成されるビニルポリマーの種類の一つであるポリマーのファミリーである。アクリレートモノマーとは、カルボニル炭素に直接結合したビニル基を含むエステルである。好ましくは、アクリレートは、1〜20回エトキシル化若しくはプロポキシル化された、または混合してエトキシル化若しくはプロポキシル化された、またはオキシル化されていない、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、またはペンタエリトリトールである。
有利なアクリレート成分は、エチレングリコールジアクリレート、1,2−プロパンジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,8−オクタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,1−、1,2−、1,3−若しくは1,4−シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、1,2−、1,3−若しくは1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンペンタ−若しくはヘキサアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、グリセリンジアクリレート、グリセリントリアクリレート、糖アルコールのジ−若しくはポリアクリレート、好ましくは、ソルビトール、マンニトール、ジグリセロール、トレイトール、エリトリトール、アドニトール(リビトール)、アラビトール(リキシトール)、キシリトール、ダルシトール(ガラクチトール)、マルチトールまたはイソマルチトール、またはポリエステルポリオール、ポリエーテロール、ポリ−THF、ポリ−1,3−プロパンジオール、ポリエチレングリコール、ウレタンアクリレート、またはポリカーボネートアクリレートから選択することができる。
メタクリレートが使用される場合には、これは通常は、溶媒として、すなわち反応性希釈剤として作用する。典型的には、反応性希釈剤は、メタクリル酸と1〜20個の炭素原子のアルコールとのエステルである。
好適なアクリレートは、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ジペンタエリトリトールペンタアクリレート、グリセロールホルマールメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレートである。
一般的に言えば、チオエステルとはカルボン酸とチオールとのエステル化反応の生成物であり、これは官能基R−S−CO−Rを有する化合物である。ジチオエステルとは、一般式R−CO−S−R−S−CO−R[式中、Rは炭化水素基または単結合である]の2官能性エステルに類似している。多官能性チオエステルとはカルボン酸とポリチオールとのエステル化反応の生成物であり、これは官能性部分−S−CO−を2つまたは複数有する化合物である。
多官能性チオエステル化合物の好ましい一群は、ポリオールから誘導される。ポリオールとは、有機反応を生じうる複数のヒドロキシル官能基を有する化合物である。これには、2つのヒドロキシル基を有する化合物であるジオール、3つのヒドロキシル基を有する化合物であるトリオール、4つのヒドロキシル基を有する化合物であるテトラオール等が含まれる。例えばグリセリン、ペンタエリトリトール、エチレングリコールおよびスクロース等の単量体ポリオールが特に重要であるが、重合体ポリオールを使用することもできる。多官能性チオエステル化合物は、それぞれの官能価を有する、好ましくは少なくとも2の官能価を有する、例えばポリオール、ポリエーテロール、ポリエステロールまたはポリアクリレートポリオール等の多価アルコールから誘導されてもよい。1,4−ブタンジチオールのアジペート、1,4−ブタンジチオールのスクシネート、ペンタエリトリトール−テトラキス−メルカプトプロピオネートのテトラアセテート、ペンタエリトリトール−テトラキス−メルカプトプロピオネートのテトラベンゾエート、ポリ(エチレングリコール)ジチオールのジアセテート、ポリ(エチレングリコール)ジチオールのジステアレート、アジペートとポリ(エチレングリコール)ジチオールとの高分子エステル、ベンゼンジチオールのジアセテート、トルエンジチオールのジアセテート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)のトリアセテート、またはポリ(エチレングリコール)ジチオールのマレエートも有利に利用することができる。好適な多官能性チオエステルの一つは、ペンタエリトリトール−テトラメルカプトプロピオネートから誘導される。ジメルカプタンから誘導される2官能性チオエステルとは、例えばジステアロイル−1,4−ブタンチオレートを想定することもでき、また、例えばジステアロイルジスルファンやジベンゾイルジスルファンといったジスルファンをベースとしたものも想定でき、すなわち、一般構造ステアロイル−S−S−ステアロイルまたはベンゾイル−S−S−ベンゾイルのチオエステル化合物も想定できる。さらに、多官能性チオエステルは、2〜20個の加水分解可能な官能基、好ましくは2〜6個の加水分解可能な官能基、より好ましくは4〜6個の加水分解可能な官能基を提供することができ、その際、こうした官能基は好ましくは分岐部分を構成することもできる。
多官能性チオエステルには、式I、II、およびIIIにより表される以下の化合物も包含されうる:
[式中、
Xは、独立して、H、RCO−S−R1−であるか;または式HS[(CH2(R’)bCH2Sa)c(R’’Sa)d(SH)f]CH2(R’)bCH2SHのポリマーであり、ここで、aは1〜5であり、bは0または1であり、cは5〜10であり、dは0〜0.05cであり、かつ0.05c≧f≧dであり、1>fであり、ここで、fは、d×(R’’中の遊離原子価数−2)であり、R’は、Oであるか、Sであるか、または2価の飽和有機基であり、ここで、前記2価の飽和有機基は、C原子と、H原子と、任意にCOC結合、CSaC結合またはOH結合におけるOおよび/またはSとからなるものとし、
R1は、独立して、置換されていてもよい直鎖状、環状または分岐状のC1〜C20アルキル、アリール、アルキルアリール、アラルキルであり;
R2は、独立して、置換されていてもよい直鎖状、環状または分岐状のC1〜C20アルキル、アリール、アルキルアリール、アラルキルであり、好ましくは−(CH2)1〜6−CO−であり、より好ましくは−(CH2)2〜6CO−であり、最も好ましくは−CH2−CH2−CO−であり、
R2は、HかまたはC1〜C20アルキルのいずれかである]。
Xは、独立して、H、RCO−S−R1−であるか;または式HS[(CH2(R’)bCH2Sa)c(R’’Sa)d(SH)f]CH2(R’)bCH2SHのポリマーであり、ここで、aは1〜5であり、bは0または1であり、cは5〜10であり、dは0〜0.05cであり、かつ0.05c≧f≧dであり、1>fであり、ここで、fは、d×(R’’中の遊離原子価数−2)であり、R’は、Oであるか、Sであるか、または2価の飽和有機基であり、ここで、前記2価の飽和有機基は、C原子と、H原子と、任意にCOC結合、CSaC結合またはOH結合におけるOおよび/またはSとからなるものとし、
R1は、独立して、置換されていてもよい直鎖状、環状または分岐状のC1〜C20アルキル、アリール、アルキルアリール、アラルキルであり;
R2は、独立して、置換されていてもよい直鎖状、環状または分岐状のC1〜C20アルキル、アリール、アルキルアリール、アラルキルであり、好ましくは−(CH2)1〜6−CO−であり、より好ましくは−(CH2)2〜6CO−であり、最も好ましくは−CH2−CH2−CO−であり、
R2は、HかまたはC1〜C20アルキルのいずれかである]。
第1のステップでは、多官能性チオエステル化合物が、水(これは、混合物に添加されるか、または単に空中の湿気若しくは環境の水分に由来するものである)との接触時に加水分解する。この反応は、例えばアミン、ホスフィン、ルイス酸、カルボキシレート、スズ(Sn)オルガニル、ランタニド(Ln)オルガニル、亜鉛(Zn)オルガニル、ビスマス(Bi)オルガニル、チタン(Ti)オルガニル、ジルコニウム(Zr)オルガニルといった触媒や、コーティングおよびシーリング組成物において反応速度を高めるかまたは付加反応を促進するために使用される公知の任意の触媒によって補助される。こうした触媒は、第1級、第2級若しくは第3級アミン、および第4級アンモニウム塩、イミンまたはイミニウム塩から選択することができる。これらは脂肪族であっても芳香族であってもよいが、脂肪族が好ましい。好ましい第3級アミンは、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、エチル−ジ−イソプロピルアミン、メチル−ジ−イソプロピルアミン、N−メチルモルホリン、N−メチルピペリジン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−メチルジシクロヘキシルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジエチルシクロヘキシルアミン、メチルジシクロヘキシルアミン、エチルジシクロヘキシルアミン、4−N,N−ジメチルアミノピリジン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−ノン−5−エン(DBN)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−ウンデカ−7−エン(DBU)、テトラメチルグアニジン、ピロコリン、キヌクリジン、3−アミノキヌクリジン、または3−ヒドロキシキヌクリジンから選択することができる。特に好ましい触媒は、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−ノン−5−エン(DBN)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−ウンデカ−7−エン(DBU)、N−メチルジシクロヘキシルアミン、キヌクリジン、3−アミノキヌクリジン、3−ヒドロキシキヌクリジン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、Ti(IV)イソプロポキシド、Ti(IV)アセチルアセトネート、四塩化Ti(IV)、酢酸Zr(IV)、Zr(IV)イソプロポキシド、塩化Sn、硝酸Sn、ジブチルスズラウレート、塩化Zn(II)である。チオエステルの加水分解によって、端末多官能性チオール、少なくとも1種のジチオール、例えばHS−R−SHが遊離する。続いて、この多官能性チオール、少なくとも1種のジチオール、例えばHS−R−SHが元素状硫黄と反応して、末端にSHを有するポリスルフィドHS−(Sx)n−R−SH(ここで、xは1〜8の任意の整数であることができ、nは1〜100、好ましくは1〜50から選択される任意の整数であることができ、ほとんどの場合1〜25の整数であることができる)が形成される。Rは、炭化水素基かまたは単結合のいずれかである。本発明の文脈において使用する場合に、「ポリスルフィド」という用語は、硫黄原子の鎖を含む化合物のクラスの一つを表すことを意図している。S5を上回るポリスルフィドは一般的に不安定であるため、得られるポリスルフィドは、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8のポリスルフィドおよび/または複数のこれらのポリスルフィドを含む混合物を含むものと考えられる。
配合物中では、形成されたこのポリスルフィドが、その後、このポリスルフィドからエチレン性不飽和結合を有する化合物へのSH基のマイケル型付加で、アルカリ性触媒(アミン、ホスフィン、または上記で挙げた触媒のいずれか)の存在下に反応するものと考えられる。特に有利であるのは、例えばビニル結合のようなオレフィン性結合であり、さらに有利であるのは、活性化されたエチレン性不飽和化合物や、例えばアクリル酸エステル、アクロレイン、アクリルアミド、アクリロニトリルおよびビニルケトン中の二重結合であり、これらは配合物中で架橋ポリマー系を形成する。活性化されたエチレン性不飽和化合物は二重結合基を含んでおり、これは、例えばハロゲン、C=O、CN、C≡C、Oまたはアリール等の電気的に陰性な基に直接結合することによって活性化される。隣接する基によってこの二重結合の分極が増大し、それによってその反応性や活性化が生じる。
所定量の水捕捉剤または乾燥剤(例えば、イソシアネート、トリアルコキシシラン、シラザン、モレキュラーシーブ)を添加することによって、貯蔵寿命、硬化速度およびポットライフを所望通りに調節または調整することができる。
好ましくは、チオエステル:硫黄:アクリレートの質量を基準とする比は、4:1:4〜1:2:1の範囲であることができ、その際、所与の比の範囲が本発明の硬化性組成物に特に適している。
硬化性組成物は、典型的に、1〜20質量%のチオエステル、1〜70質量%、好ましくは5〜60質量%、より好ましくは10〜50質量%の硫黄、10〜60質量%のアクリレート、および5質量%までの添加剤といった個々の成分を含み、ここで、質量%は該組成物の総質量を基準としたものである。
典型的には、本明細書で使用する場合に、アクリレート成分という用語にはメタクリレートも包含されることが意図される。アクリレート成分は、1つ以上でかつ好ましくは8個までのアクリレート基を提供することができる。アクリレート成分は、例えばポリオール、ポリエーテルオール、ポリエステルオール、ポリアクリレートポリオール等の多価アルコールのアクリル酸エステルから選択することができる。
アクリレート成分は、モノマーであってもよいし、オリゴマーであってもよいし、ポリマーであってもよい。適切なモノマーとしては、例えばジエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオールトリメタクリレート等が挙げられる。様々な長さの様々なアクリレート成分の選択や組み合わせによって、官能性アクリレート混合物は所望の粘度を有している。アクリレート成分の分子量は、典型的には72〜2000g/モルである。
混合物の硬化は水により活性化されるため、本発明の組成物の配合を水または水分を含まない雰囲気中で行うことや、使用するまで硬化性組成物または混合物をそのような雰囲気中で保持することが重要である。このことは、乾燥剤の使用により達成できる。乾燥剤は、例えばモレキュラーシーブ乾燥剤であってもよいが、水を結合または捕捉する他の物質や薬剤を利用することもできる。得られた混合物を、水および湿気を通さない容器、折り畳み可能な容器、袋またはカートリッジに充填することができる。この混合物は、この封じ込めが湿気の排除を保持してなされる場合に限って数カ月間貯蔵安定性である。貯蔵後に、しかもこの貯蔵を長期間にわたって所定の温度で行った後であっても、容器の開放時に、硬化性混合物の粘度は新たに調製された硬化性混合物の粘度と同等である。したがって、このように調製しかつパッケージした硬化性組成物は優れた貯蔵安定性を特徴とする。貯蔵温度は、−40℃未満〜50℃で可変である。表面や基材への適用後に、硬化性組成物または混合物の硬化は、水の添加によって、または単に環境中に存在する湿気や水分によって活性化される。混合物が利用されるとすぐに、そして存在する場合には水捕捉剤が消費された後に、バインダー系が架橋および硬化を開始する。なお、「硬化」という用語はこの処理や化学反応の意味であると理解され、かつ、上に硬化性混合物を施与する基材間に有用な接着結合が形成されるものと考えられることが企図される。硬化プロセスは、実質的にタックフリーのフィルムや皮膜が比較的迅速に生成されることを特徴とし、こうしたフィルムや皮膜は、経時的に、またこの皮膜の下方の液体材料の重合によって、強化される。水や水分の量によってはほぼ瞬時に生成される皮膜もあるが、他のものは24時間程度を要する。硬化期間は数分間から数カ月間の範囲から選択することができ、主に、硬化プロセスや硬化中の周囲温度で利用可能な水または水分の量や、使用される硬化性組成物の露出面積の割合に依存する。本発明の硬化性組成物は、0℃または0℃近傍の条件という低温であっても特に有用である。すぐに施与可能な配合物の中に、追加の化合物、例えば可塑剤、反応性希釈剤、顔料、充填剤、例えば炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、二酸化チタン、スート、第3級アミン、チキソトロープ剤、促進剤、消泡剤、接着促進剤等を添加することができる。硬化性組成物に使用される成分に応じて、機械的特性は、硬質でかつ脆性である特性から軟質でかつ弾性である特性まで可変である。
総じて、本発明の硬化性組成物は、例えばコーキング、シーリング、ポッティング、コーティング、多孔性材料の含浸等の従来の2Kまたは通常の1Kポリスルフィドポリマー組成物の使用目的のいずれでも使用可能である。製造された硬化材料は、木材、ガラス、金属や、例えばコンクリート、石、プラスチック、皮革といった建築材料等の清浄な表面に粘り強く付着する。さらにこの硬化材料は、例えば弾性率、引張強さ、低いガス透過性や、日光、大気酸化、酸、腐食剤、溶剤、燃料および油による分解に対する耐久性といった、硬化ポリスルフィドポリマーの周知の特性を示す。本発明の組成物は、極端な温度や化学的に過酷な環境、機械的応力に曝されるような用途に非常に適している。したがって、本発明の組成物は、例えば化学物質や燃料の貯蔵タンク等の一次的な封じ込めと、例えば化学物質や燃料の流出等に曝されるプロセス領域内のコンクリート、土堤防または床におけるクラックブリッジング性を有するコーティング等の二次的な封じ込めとに関する高性能のコーティングとして特に有用である。例えば、航空宇宙用シーラントや燃料タンク用シーラント、胴体のライニング等の航空宇宙用途や、船舶のバラストおよび燃料タンクまたは鉄道車両のライニング等のためのコーティングにおける使用も想定できる。
本願発明を、以下の具体的な項目の非排他的な列挙を参照することによって部分的に特徴づけることができる。
1 以下:
a)多官能性チオエステル、
b)元素状硫黄、および
c)少なくとも1種のエチレン性不飽和化合物
を含む、硬化性または重合性組成物。
a)多官能性チオエステル、
b)元素状硫黄、および
c)少なくとも1種のエチレン性不飽和化合物
を含む、硬化性または重合性組成物。
2 少なくとも1種のエチレン性不飽和化合物が、活性化されたエチレン性不飽和化合物であり、好ましくはアクリレート化合物である、項目1の組成物。
3 多官能性チオエステルが、以下:
(i)RCO−S−R’−S−COR、ここで、Rは、独立して、直鎖状、分岐状または環状のC1〜C10アルキル、アリール、ヘテロアリールであり;R’は、直鎖状、環状または分岐状のC1〜C10アルキル、アルコキシであるか、または単結合である;または、
(ii)式
[式中、
Xは、独立して、H、またはRCO−S−R1−であるか;または式HS[(CH2(R’)bCH2Sa)c(R’’Sa)d(SH)f]CH2(R’)bCH2SHのポリマーであり、ここで、aは1〜5であり、bは0または1であり、cは5〜10であり、dは0〜0.05cであり、かつ0.05c≧f≧dであり、1>fであり、ここで、fは、d×(R’’中の遊離原子価数−2)であり、R’は、Oであるか、Sであるか、または2価の飽和有機基であり、ここで、前記2価の飽和有機基は、C原子と、H原子と、任意にCOC結合、CSaC結合またはOH結合におけるOおよび/またはSとからなるものとし、
Rは、独立して、置換されていてもよい直鎖状、環状または分岐状のC1〜C20アルキル、アリール、アルキルアリール、アラルキルであり;
R1は、独立して、置換されていてもよい直鎖状、環状または分岐状のC1〜C20アルキル、アリール、アルキルアリール、アラルキルであり、好ましくは−(CH2)1〜5−CO−であり、最も好ましくは−CH2−CH2−CO−であり、かつ、
R2は、HかまたはC1〜C20アルキルのいずれかである]
の化合物
から選択される、項目1または2に記載の組成物。
(i)RCO−S−R’−S−COR、ここで、Rは、独立して、直鎖状、分岐状または環状のC1〜C10アルキル、アリール、ヘテロアリールであり;R’は、直鎖状、環状または分岐状のC1〜C10アルキル、アルコキシであるか、または単結合である;または、
(ii)式
Xは、独立して、H、またはRCO−S−R1−であるか;または式HS[(CH2(R’)bCH2Sa)c(R’’Sa)d(SH)f]CH2(R’)bCH2SHのポリマーであり、ここで、aは1〜5であり、bは0または1であり、cは5〜10であり、dは0〜0.05cであり、かつ0.05c≧f≧dであり、1>fであり、ここで、fは、d×(R’’中の遊離原子価数−2)であり、R’は、Oであるか、Sであるか、または2価の飽和有機基であり、ここで、前記2価の飽和有機基は、C原子と、H原子と、任意にCOC結合、CSaC結合またはOH結合におけるOおよび/またはSとからなるものとし、
Rは、独立して、置換されていてもよい直鎖状、環状または分岐状のC1〜C20アルキル、アリール、アルキルアリール、アラルキルであり;
R1は、独立して、置換されていてもよい直鎖状、環状または分岐状のC1〜C20アルキル、アリール、アルキルアリール、アラルキルであり、好ましくは−(CH2)1〜5−CO−であり、最も好ましくは−CH2−CH2−CO−であり、かつ、
R2は、HかまたはC1〜C20アルキルのいずれかである]
の化合物
から選択される、項目1または2に記載の組成物。
4 多官能性チオエステル成分がポリオールから誘導される、項目1から3までのいずれかに記載の組成物。ポリオールとは、有機反応を生じうる複数のヒドロキシル官能基を有する化合物である。これには、2つのヒドロキシル基を有する化合物であるジオール、3つのヒドロキシル基を有する化合物であるトリオール、4つのヒドロキシル基を有する化合物であるテトラオール等が含まれる。例えばグリセリン、ペンタエリトリトール、エチレングリコールおよびスクロース等の単量体ポリオールが特に重要であるが、重合体ポリオールを使用することもできる。多官能性チオエステル化合物は、それぞれの官能価を有する、好ましくは少なくとも2の官能価を有する、例えばポリオール、ポリエーテルオール、ポリエステルオールまたはポリアクリレートポリオール等の多価アルコールから誘導されてもよい。好適な多官能性チオエステルの一つは、ペンタエリトリトール−テトラメルカプトプロピオネートから誘導される。ジメルカプタンから誘導される2官能性チオエステルとは、例えばジステアロイル−1,4−ブタンチオレートを想定することもでき、また、例えばジステアロイルジスルファンやジベンゾイルジスルファンといったジスルファンをベースとしたものも想定でき、すなわち、一般構造ステアロイル−S−S−ステアロイルまたはベンゾイル−S−S−ベンゾイルのチオエステル化合物も想定できる。さらに、多官能性チオエステルは、2〜20個の加水分解可能な官能基、好ましくは2〜6個の加水分解可能な官能基、より好ましくは4〜6個の加水分解可能な官能基を提供することができ、その際、こうした官能基は好ましくは分岐部分を構成することもできる。有利なチオエステル化合物は、ジステアロイルジスルファン、ジベンゾイルジスルファン、1,4−ブタンジチオールのステアロイルジエステル、または1,4−ブタンジチオールのアジペート、1,4−ブタンジチオールのスクシネート、ペンタエリトリトール−テトラキス−メルカプトプロピオネートのテトラアセテート、ペンタエリトリトール−テトラキス−メルカプトプロピオネートのテトラベンゾエート、ポリ(エチレングリコール)ジチオールのジアセテート、ポリ(エチレングリコール)ジチオールのジステアレート、アジペートとポリ(エチレングリコール)ジチオールとの高分子エステル、ベンゼンジチオールのジアセテート、トルエンジチオールのジアセテート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)のトリアセテート、またはポリ(エチレングリコール)ジチオールのマレエートから選択することができる。
5 アクリレート成分が、1〜20回エトキシル化若しくはプロポキシル化された、または混合してエトキシル化若しくはプロポキシル化された、またはオキシル化されていない、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンまたはペンタエリトリトールであるアクリレートから選択される、項目1から4までのいずれかに記載の組成物。有利なアクリレート成分はさらに、エチレングリコールジアクリレート、1,2−プロパンジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,8−オクタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,1−、1,2−、1,3−若しくは1,4−シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、1,2−、1,3−若しくは1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンペンタ−若しくはヘキサアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、グリセリンジアクリレート、グリセリントリアクリレート、糖アルコールのジ−若しくはポリアクリレート、好ましくは、ソルビトール、マンニトール、ジグリセロール、トレイトール、エリトリトール、アドニトール(リビトール)、アラビトール(リキシトール)、キシリトール、ダルシトール(ガラクチトール)、マルチトールまたはイソマルチトールのジ−若しくはポリアクリレート、またはポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリテトラヒドロフラン、ポリ−1,3−プロパンジオール、ポリエチレングリコールのジ−若しくはポリアクリレート、ウレタンアクリレート、またはポリカーボネートアクリレートから選択することができる。
6 アクリレート成分が、好適な成分である1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、1〜20回エトキシル化されたトリメチロールプロパンのトリアクリレート、または1〜20回エトキシル化されたペンタエリトリトールのテトラアクリレートから選択される、項目1から5までのいずれかに記載の組成物。
7 さらに1種以上の触媒を含む、項目1から6までのいずれかに記載の組成物。
8 1種以上の触媒が、アミン、ホスフィン、ルイス酸、カルボキシレート、スズ(Sn)オルガニル、ランタニド(Ln)オルガニル、亜鉛(Zn)オルガニル、ビスマス(Bi)オルガニル、チタン(Ti)オルガニル、ジルコニウム(Zr)オルガニル、またはコーティングおよびシーリング組成物において反応速度を高めるかまたは付加反応を促進するために使用される公知の任意の触媒から選択される、項目7に記載の組成物。こうした触媒は、第1級、第2級若しくは第3級アミン、および第4級アンモニウム塩、イミン、またはイミニウム塩から選択することができる。これらは脂肪族であっても芳香族であってもよいが、脂肪族が好ましい。好ましい第3級アミンは、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、エチル−ジ−イソプロピルアミン、メチル−ジ−イソプロピルアミン、N−メチルモルホリン、N−メチルピペリジン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−メチルジシクロヘキシルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジエチルシクロヘキシルアミン、メチルジシクロヘキシルアミン、エチルジシクロヘキシルアミン、4−N,N−ジメチルアミノピリジン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−ノン−5−エン(DBN)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−ウンデカ−7−エン(DBU)、テトラメチルグアニジン、ピロコリン、キヌクリジン、3−アミノキヌクリジン、または3−ヒドロキシキヌクリジンから選択することができる。特に好ましい触媒は、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−ノン−5−エン(DBN)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−ウンデカ−7−エン(DBU)、N−メチルジシクロヘキシルアミン、キヌクリジン、3−アミノキヌクリジン、3−ヒドロキシキヌクリジン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、Ti(IV)イソプロポキシド、Ti(IV)アセチルアセトネート、四塩化Ti(IV)、酢酸Zr(IV)、Zr(IV)イソプロポキシド、塩化Sn、硝酸Sn、ジブチルスズラウレート、または塩化Zn(II)である。
9 1種以上の触媒が、好ましくは、DABCO、DBN、DBU、N−メチルジシクロヘキシルアミン、キヌクリジン、3−アミノキヌクリジン、または3−ヒドロキシキヌクリジン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、Ti(IV)イソプロポキシド、Ti(IV)アセチルアセトネート、四塩化Ti(IV)、酢酸Zr(IV)、Zr(IV)イソプロポキシド、塩化Sn、硝酸Sn、ジブチルスズラウレート、塩化Zn(II)から選択され、最も好ましいのは、DBN、またはN−メチルジシクロヘキシルアミンである、項目7に記載の組成物。
10 さらに水捕捉剤または乾燥剤を含む、項目1から9までのいずれか1つに記載の組成物。
11 チオエステル:硫黄:アクリレートの質量比が、4:1:4〜1:2:1の範囲であり、好ましくは1:1:1である、項目1から10までのいずれか1つに記載の組成物。
12 以下:
チオエステル 1〜20質量%、
硫黄 1〜70質量%、
アクリレート 10〜50質量%、
添加剤 0〜5質量%
を含む、項目1から11までのいずれか1つに記載の組成物。
チオエステル 1〜20質量%、
硫黄 1〜70質量%、
アクリレート 10〜50質量%、
添加剤 0〜5質量%
を含む、項目1から11までのいずれか1つに記載の組成物。
13 項目1から12までのいずれか1つに記載の重合性組成物。
14 項目1から13までのいずれか1つに記載の組成物の硬化により得られるポリマー。
15 一液型硬化性ポリマー組成物としての、項目1から13までのいずれか1つに記載の組成物の使用。
16 接着剤、シーラント、またはコーティング材料としての、項目1から13までのいずれか1つに記載の組成物の使用。
17 項目1から12までのいずれか1つに記載の成分を混合するステップを含む、一液型硬化性組成物の製造方法。
18 項目1から12までのいずれか1つに記載の選択された成分を合一するステップを含む、一液型硬化性組成物の製造方法であって、水を含まない条件下に、チオエステル、硫黄、およびエチレン性不飽和化合物を混合して均質なペーストを取得し、次いで水捕捉剤および触媒を添加して、得られた混合物を水および湿気を通さない容器に詰める、前記方法。
19 項目17または18に記載の成分を混合するステップを含む、項目1から12までのいずれかに記載の硬化性または重合性組成物の製造方法。
20 以下:
(i)水を含まない環境を作り、かつ維持するステップ、
(ii)項目1から12までのいずれかに記載の成分(a)、(b)および(c)を混合するステップ、
(iii)得られた混合物を、
任意に
(iv)さらなる添加剤を撹拌添加しながら
連続的に混合および粉砕するステップ、次いで、
(v)水捕捉剤を添加するステップ、および
(vi)得られた混合物を、水および水分を通さない容器に詰めるステップ
を含む、項目1から12までのいずれか1つに記載の硬化性または重合性組成物の製造方法。
(i)水を含まない環境を作り、かつ維持するステップ、
(ii)項目1から12までのいずれかに記載の成分(a)、(b)および(c)を混合するステップ、
(iii)得られた混合物を、
任意に
(iv)さらなる添加剤を撹拌添加しながら
連続的に混合および粉砕するステップ、次いで、
(v)水捕捉剤を添加するステップ、および
(vi)得られた混合物を、水および水分を通さない容器に詰めるステップ
を含む、項目1から12までのいずれか1つに記載の硬化性または重合性組成物の製造方法。
21 項目19または20に記載の方法により得られる、項目1から12までのいずれか1つに記載の一液型硬化性組成物を収容している、水および湿気を通さない容器。
22 項目1から12までのいずれか1つに記載の組成物の硬化により得られる、または項目17若しくは18のいずれかに記載の方法により得られる、または項目19若しくは20に記載の方法により得られる、架橋ポリマー製品。
実施例
実施例1:
硫黄粉末6.0gおよびジベンゾイルジスルファン1.2gをグリセロールホルマールメタクリレート2.0gと混合し、かつジペンタエリトリトールペンタアクリレート5.0gを混合し、かつ粉砕することにより、均質なペーストを得た。その後、4−トルエンスルホニルイソシアネート100mgおよび1,8−ジアザビシクロウンデカ−7−エン140mgを添加した。この混合物を撹拌し、施与の準備が整った。
実施例1:
硫黄粉末6.0gおよびジベンゾイルジスルファン1.2gをグリセロールホルマールメタクリレート2.0gと混合し、かつジペンタエリトリトールペンタアクリレート5.0gを混合し、かつ粉砕することにより、均質なペーストを得た。その後、4−トルエンスルホニルイソシアネート100mgおよび1,8−ジアザビシクロウンデカ−7−エン140mgを添加した。この混合物を撹拌し、施与の準備が整った。
湿潤環境(相対湿度100%、23℃)に曝した場合に、ポットライフは約60分間であった。この材料は24時間後にタックフリーであり、厚さ5mmの板が3日後に完全に硬化した。湿気や水に曝さない場合、この混合物は閉鎖容器内で5カ月超にわたって安定であった。この完全に硬化した材料は、ショアA80の硬さを示した。
実施例2:
硫黄粉末6.0gおよびジベンゾイルジスルファン1.2gをポリ(プロピレングリコール)−ジアクリレート(Mn=900g/モル)2.0gと混合し、かつジペンタエリトリトールペンタアクリレート5.0gを混合し、かつ粉砕することにより、均質なペーストを得た。その後、4−トルエンスルホニルイソシアネート100mgおよび1,8−ジアザビシクロウンデカ−7−エン140mgを添加した。この混合物を撹拌し、施与の準備が整った。
硫黄粉末6.0gおよびジベンゾイルジスルファン1.2gをポリ(プロピレングリコール)−ジアクリレート(Mn=900g/モル)2.0gと混合し、かつジペンタエリトリトールペンタアクリレート5.0gを混合し、かつ粉砕することにより、均質なペーストを得た。その後、4−トルエンスルホニルイソシアネート100mgおよび1,8−ジアザビシクロウンデカ−7−エン140mgを添加した。この混合物を撹拌し、施与の準備が整った。
湿潤環境(相対湿度100%、23℃)に曝した場合に、ポットライフは約60分間であった。この材料は24時間後にタックフリーであり、厚さ5mmの板が3日後に完全に硬化した。湿気や水に曝さない場合、この混合物は閉鎖容器内で5カ月超にわたって安定であった。この完全に硬化した材料は、ショアA60の硬さを示した。
実施例3:
硫黄粉末6.0gおよびジステアロイルジスルファン1.2gをグリセロールホルマールメタクリレート2.0gと混合し、かつジペンタエリトリトールペンタアクリレート5.0gを混合し、かつ粉砕することにより、均質なペーストを得た。その後、4−トルエンスルホニルイソシアネート100mgおよび1,8−ジアザビシクロウンデカ−7−エン140mgを添加した。この混合物を撹拌し、施与の準備が整った。
硫黄粉末6.0gおよびジステアロイルジスルファン1.2gをグリセロールホルマールメタクリレート2.0gと混合し、かつジペンタエリトリトールペンタアクリレート5.0gを混合し、かつ粉砕することにより、均質なペーストを得た。その後、4−トルエンスルホニルイソシアネート100mgおよび1,8−ジアザビシクロウンデカ−7−エン140mgを添加した。この混合物を撹拌し、施与の準備が整った。
湿潤環境(相対湿度100%、23℃)に曝した場合に、ポットライフは約60分間であった。この材料は24時間後にタックフリーであり、厚さ5mmの板が3日後に完全に硬化した。湿気や水に曝さない場合、この混合物は閉鎖容器内で5カ月超にわたって安定であった。この完全に硬化した材料は、ショアA55の硬さを示した。
実施例4:
硫黄粉末6.0g、BaSO4粉末2gおよびジベンゾイルジスルファン1.2gをグリセロールホルマールメタクリレート2.0gと混合し、かつジペンタエリトリトールペンタアクリレート5.0gを混合し、かつ粉砕することにより、均質なペーストを得た。その後、4−トルエンスルホニルイソシアネート100mgおよび1,8−ジアザビシクロウンデカ−7−エン140mgを添加した。この混合物を撹拌し、施与の準備が整った。
硫黄粉末6.0g、BaSO4粉末2gおよびジベンゾイルジスルファン1.2gをグリセロールホルマールメタクリレート2.0gと混合し、かつジペンタエリトリトールペンタアクリレート5.0gを混合し、かつ粉砕することにより、均質なペーストを得た。その後、4−トルエンスルホニルイソシアネート100mgおよび1,8−ジアザビシクロウンデカ−7−エン140mgを添加した。この混合物を撹拌し、施与の準備が整った。
湿潤環境(相対湿度100%、23℃)に曝した場合に、ポットライフは約60分間であった。この材料は24時間後にタックフリーであり、厚さ5mmの板が3日後に完全に硬化した。湿気や水に曝さない場合、この混合物は閉鎖容器内で5カ月超にわたって安定であった。この完全に硬化した材料は、ショアA89の硬さを示した。
実施例5:
硫黄粉末6.0gおよびジベンゾイルジスルファン1.2gを反応性希釈剤としてのグリセロールホルマールメタクリレート1.0gと混合し、かつ液状ゴム LIR 30(供給元:Kuraray、Mn=30000g/モルのポリイソプレン)1.0g、およびジペンタエリトリトールペンタアクリレート5.0gを混合し、かつ粉砕することにより、均質なペーストを得た。その後、4−トルエンスルホニルイソシアネート100mgおよび1,8−ジアザビシクロウンデカ−7−エン140mgを添加した。この混合物を撹拌し、施与の準備が整った。
硫黄粉末6.0gおよびジベンゾイルジスルファン1.2gを反応性希釈剤としてのグリセロールホルマールメタクリレート1.0gと混合し、かつ液状ゴム LIR 30(供給元:Kuraray、Mn=30000g/モルのポリイソプレン)1.0g、およびジペンタエリトリトールペンタアクリレート5.0gを混合し、かつ粉砕することにより、均質なペーストを得た。その後、4−トルエンスルホニルイソシアネート100mgおよび1,8−ジアザビシクロウンデカ−7−エン140mgを添加した。この混合物を撹拌し、施与の準備が整った。
湿潤環境(相対湿度100%、23℃)に曝した場合に、ポットライフは約60分間であった。この材料は24時間後にタックフリーであり、厚さ5mmの板が3日後に完全に硬化した。湿気や水に曝さない場合、この混合物は閉鎖容器内で5カ月超にわたって安定であった。この完全に硬化した材料は、ショアA30の硬さを示した。
実施例6:
アジピン酸ジクロリド29.9gを、乾燥条件下に、塩化ステアロイル33.0gおよび1,4−ブタンチオール20.0gと混合し、固体物質であるチオポリマーが得られるまで30℃に1時間温めた。
アジピン酸ジクロリド29.9gを、乾燥条件下に、塩化ステアロイル33.0gおよび1,4−ブタンチオール20.0gと混合し、固体物質であるチオポリマーが得られるまで30℃に1時間温めた。
硫黄粉末9.0gおよびチオポリマー1.8gを、反応性希釈剤としてのグリセロールホルマールメタクリレート3.0gと混合し、ジペンタエリトリトールペンタアクリレート7.5gを混合し、かつ粉砕することにより、均質なペーストを得た。その後、4−トルエンスルホニルイソシアネート120mgおよび1,8−ジアザビシクロウンデカ−7−エン860mgを添加した。この混合物を撹拌し、施与の準備が整った。
湿潤環境(相対湿度100%、23℃)に曝した場合に、ポットライフは約60分間であった。この材料は24時間後にタックフリーであり、厚さ5mmの板が3日後に完全に硬化した。湿気や水に曝さない場合、この混合物は閉鎖容器内で5カ月超にわたって安定であった。この完全に硬化した材料は、ショアA68の硬さを示した。
Claims (15)
- 以下:
a)多官能性チオエステル、
b)元素状硫黄、および
c)少なくとも1種のエチレン性不飽和化合物
を含む、硬化性組成物。 - 少なくとも1種のエチレン性不飽和化合物が、活性化されたエチレン性不飽和化合物であり、好ましくはアクリレート化合物である、請求項1に記載の組成物。
- 多官能性チオエステルが、以下:
(i)RCO−S−R’−S−COR、ここで、Rは、独立して、直鎖状、分岐状または環状のC1〜C10アルキル、アリール、ヘテロアリールであり;R’は、直鎖状、環状または分岐状のC1〜C10アルキル、アルコキシであるか、または単結合である;または、
(ii)式
Xは、独立して、H、またはRCO−S−R1−であるか;または式HS[(CH2(R’)bCH2Sa)c(R’’Sa)d(SH)f]CH2(R’)bCH2SHのポリマーであり、ここで、aは1〜5であり、bは0または1であり、cは5〜10であり、dは0〜0.05cであり、かつ0.05c≧f≧dであり、1>fであり、ここで、fは、d×(R’’中の遊離原子価数−2)であり、R’は、Oであるか、Sであるか、または2価の飽和有機基であり、ここで、前記2価の飽和有機基は、C原子と、H原子と、任意にCOC結合、CSaC結合またはOH結合におけるOおよび/またはSとからなるものとし、
Rは、独立して、置換されていてもよい直鎖状、環状または分岐状のC1〜C20アルキル、アリール、アルキルアリール、アラルキルであり;
R1は、独立して、置換されていてもよい直鎖状、環状または分岐状のC1〜C20アルキル、アリール、アルキルアリール、アラルキルであり、好ましくは−(CH2)1〜5−CO−であり、最も好ましくは−CH2−CH2−CO−であり、かつ、
R2は、HかまたはC1〜C20アルキルのいずれかである]
の化合物
から選択される、請求項1または2に記載の組成物。 - 多官能性チオエステル成分が、ジステアロイルジスルファン、ジベンゾイルジスルファン、1,4−ブタンジチオールのステアロイルジエステル、1,4−ブタンジチオールのアジペート、1,4−ブタンジチオールのスクシネート、ペンタエリトリトール−テトラキス−メルカプトプロピオネートのテトラアセテート、ペンタエリトリトール−テトラキス−メルカプトプロピオネートのテトラベンゾエート、ポリ(エチレングリコール)ジチオールのジアセテート、ポリ(エチレングリコール)ジチオールのジステアレート、アジペートとポリ(エチレングリコール)ジチオールとの高分子エステル、ベンゼンジチオールのジアセテート、トルエンジチオールのジアセテート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)のトリアセテート、ポリ(エチレングリコール)ジチオールのマレエートから選択される、請求項1から3までのいずれか1項に記載の組成物。
- アクリレート成分が、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、1〜20回エトキシル化されたトリメチロールプロパンのトリアクリレート、または1〜20回エトキシル化されたペンタエリトリトールのテトラアクリレートから選択される、請求項1から4までのいずれか1項に記載の組成物。
- さらに1種以上の触媒を含む、請求項1から5までのいずれか1項に記載の組成物。
- 1種以上の触媒が、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−ノン−5−エン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−ウンデカ−7−エン、N−メチルジシクロヘキシルアミン、キヌクリジン、3−アミノキヌクリジン、または3−ヒドロキシキヌクリジン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、Ti(IV)イソプロポキシド、Ti(IV)アセチルアセトネート、四塩化Ti(IV)、酢酸Zr(IV)、Zr(IV)イソプロポキシド、塩化Sn、硝酸Sn、ジブチルスズラウレート、塩化Zn(II)から選択され、好ましくは、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−ウンデカ−7−エン、またはN−メチルジシクロヘキシルアミンから選択される、請求項6に記載の組成物。
- さらに水捕捉剤または乾燥剤を含む、請求項1から7までのいずれか1項に記載の組成物。
- チオエステル:硫黄:アクリレートの比が、4:1:4〜1:2:1の範囲であり、好ましくは1:1:1である、請求項1から8までのいずれか1項に記載の組成物。
- 以下:
チオエステル 1〜20質量%、
硫黄 1〜70質量%、
アクリレート 10〜50質量%、
添加剤 0〜5質量%
を含む、請求項1から9までのいずれか1項に記載の組成物。 - 一液型硬化性ポリマー組成物としての、請求項1から10までのいずれか1項に記載の組成物の使用。
- 接着剤、シーラント、またはコーティング材料としての、請求項1から10までのいずれか1項に記載の組成物の使用。
- 請求項1から10までのいずれか1項に記載の成分を混合するステップを含む、一液型硬化性組成物の製造方法。
- 請求項1から10までのいずれか1項に記載の成分を合一するステップを含む、一液型硬化性組成物の製造方法であって、水を含まない条件下に、チオエステル、硫黄、およびエチレン性不飽和化合物を混合して均質なペーストを取得し、次いで水捕捉剤および触媒を添加して、得られた混合物を水および湿気を通さない容器に詰める、前記方法。
- 請求項1から10までのいずれか1項に記載の一液型硬化性組成物を収容している、水および湿気を通さない容器。
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