[0025]様々な図面中の同様の参照番号および名称は同様の要素を示す。
[0026]以下の説明は、本開示の発明の観点について説明する目的で、いくつかの実装形態を対象とする。ただし、本明細書の教示が多数の異なる方法で適用され得ることを、当業者は容易に認識されよう。説明する実装形態は、動いていようと(ビデオなど)、静止していようと(静止画像など)、およびテキストであろうと、グラフィックであろうと、絵であろうと、画像を表示するように構成され得る任意のデバイス、装置、またはシステムにおいて実装され得る。より詳細には、説明する実施形態は、限定はしないが、携帯電話、マルチメディアインターネット対応セルラー電話、モバイルテレビジョン受信機、ワイヤレスデバイス、スマートフォン、Bluetooth(登録商標)デバイス、携帯情報端末(PDA)、ワイヤレス電子メール受信機、ハンドヘルドまたはポータブルコンピュータ、ネットブック、ノートブック、スマートブック、タブレット、プリンタ、コピー機、スキャナ、ファクシミリデバイス、全地球測位システム(GPS)受信機/ナビゲータ、カメラ、デジタルメディアプレーヤ(MP3プレーヤなど)、カムコーダ、ゲーム機、腕時計、クロック、計算器、テレビジョンモニタ、フラットパネルディスプレイ、電子リーディングデバイス(たとえば、電子リーダー)、コンピュータモニタ、自動車ディスプレイ(オドメータおよびスピードメータディスプレイなどを含む)、コックピットコントロールおよび/またはディスプレイ、カメラビューディスプレイ(車両における後部ビューカメラのディスプレイなど)、電子写真、電子ビルボードまたは標示、プロジェクタ、アーキテクチャ構造物、電子レンジ、冷蔵庫、ステレオシステム、カセットレコーダまたはプレーヤ、DVDプレーヤ、CDプレーヤ、VCR、ラジオ、ポータブルメモリチップ、洗濯機、乾燥機、洗濯機/乾燥機、パーキングメータ、(マイクロ電気機械システム(MEMS)適用例を含む電気機械システム(EMS)適用例、ならびに非EMS適用例などにおける)パッケージング、審美構造物(1つの宝飾品または衣類上の画像のディスプレイなど)、ならびに様々なEMSデバイスなど、様々な電子デバイス中に含まれるかまたはそれらに関連付けられ得ると考えられる。また、本明細書の教示は、限定はしないが、電子スイッチングデバイス、無線周波フィルタ、センサー、加速度計、ジャイロスコープ、動き感知デバイス、磁力計、コンシューマーエレクトロニクスのための慣性構成要素、コンシューマーエレクトロニクス製品の部品、バラクタ、液晶デバイス、電気泳動デバイス、駆動方式、製造プロセスおよび電子テスト機器など、非ディスプレイ適用例において使用され得る。したがって、本教示は、単に図に示す実装形態に限定されるものではなく、代わりに、当業者に容易に明らかになるであろう広い適用性を有する。
[0027]たとえば、本明細書で説明する開示する実装形態は、MEMSデバイスパッケージ、およびラミネートフィルムを使用してそのようなパッケージを密閉することに関する。MEMS装置は、基板と、基板上のMEMS構造のアレイと、MEMS構造のアレイの上の保護層と、保護層の上のラミネートフィルムとを含むことができる。基板は、デバイス領域とデバイス領域を囲む縁領域とを含むことができる。ラミネートフィルムは、基板の縁領域において密封を形成するために基板に接触することができ、ラミネートフィルムは、基板のデバイス領域において基板とラミネートフィルムとの間に空洞を形成することができる。いくつかの実装形態では、ラミネートフィルムは、MEMS構造のアレイに背を向けた水分遮断層と、MEMS構造のアレイの方に向いた乾燥剤層とを含む複数の層を有することができる。ラミネートフィルムは、カバープレートまたはバックプレートを使用せずに、および薄膜封止を使用せずにMEMSデバイスパッケージを形成するようにMEMS装置を密閉することができる。
[0028]いくつかの実装形態では、ラミネートフィルムは、ラミネートフィルムと保護層との間にエアギャップを残すために保護層の上に配置され得るか、またはラミネートフィルムは、保護層の直接上に配置され得る。ラミネートフィルムが保護層の直接上に配置される場合、ラミネートフィルムは、保護層中の1つまたは複数の穴を塞ぐことができる。いくつかの実装形態では、防湿層および乾燥剤層に加えて、ラミネートフィルムはまた、基板の縁領域において基板と少なくとも一部分が接触しているMEMS構造のアレイの方に向いた接着剤層を含むことができる。ラミネートフィルムの特性は、低脱ガス性と水蒸気の低透過率性とを有するように選定され得る。さらに、ラミネートフィルムの厚さは、基板の縁領域においてよりもデバイス領域においてより厚くなり得る。
[0029]本開示で説明する主題の特定の実装形態は、以下の潜在的な利点のうちの1つまたは複数を実現するように実装され得る。ラミネートフィルムを使用してMEMS構造のアレイをパッケージングすることは、比較的軽い重量とスモールフォームファクタとを達成することができる。スモールフォームファクタは、ディスプレイおよびイメージングセンサーなどのインピクセルデバイス応用のために有利であり得る。スモールフォームファクタはまた、ピクセルと、薄膜トランジスタ(TFT)、蓄積キャパシタ、または抵抗などの電子的構成要素との間の相互接続のためのオンパネルまたはインチップ統合ソリューションのために有利であり得る。単一の基板にわたるラミネートでMEMS構造のアレイをパッケージングすることは、高スループットをもたらし、コストがかかる材料および複雑な製作プロセスの使用を回避することができる。さらに、ラミネートフィルムは、デバイスパッケージ中により多くの使用可能な領域を設けるために、デバイスパッケージの縁領域において比較的狭い空間を占有し得る。ラミネートフィルムは、湿気を吸収する乾燥剤層を含む複数の層を有することができる。いくつかの実装形態では、これにより、乾燥剤をMEMSデバイスパッケージの縁領域に沿って、またはMEMSデバイスパッケージ中の他の場所に置かなければならないことが回避され得る。さらに、ラミネートフィルムは、汚染ガスから保護するための低脱ガス性と、湿気進入から保護するための水蒸気の低透過率性とを有することができる。
[0030]説明する実装形態が適用され得る好適なEMSまたはMEMSデバイスまたは装置の一例は反射型ディスプレイデバイスである。反射型ディスプレイデバイスは、光学干渉の原理を使用してそれに入射する光を選択的に吸収および/または反射するために実装され得る干渉変調器(IMOD)ディスプレイ要素を組み込むことができる。IMODディスプレイ要素は、部分光吸収体(absorber)と、吸収体に対して可動である反射体(reflector)と、吸収体と反射体との間に画定された光共振キャビティとを含むことができる。いくつかの実装形態では、反射体は、2つ以上の異なる位置に移動され得、このことは、光共振キャビティのサイズを変化させ、それによってIMODの反射率(reflectance)に影響を及ぼすことができる。IMODディスプレイ要素の反射スペクトルは、異なる色を生成するために可視波長にわたってシフトされ得るかなり広いスペクトルバンドをもたらすことができる。スペクトルバンドの位置は、光共振キャビティの厚さを変更することによって調整され得る。光共振キャビティを変更する1つの方法は、吸収体に関して反射体の位置を変更することによる方法である。
[0031]図1は、干渉変調器(IMOD)ディスプレイデバイスのディスプレイ要素のシリーズまたはアレイ中の2つの隣接するIMODディスプレイ要素を示す等角図である。IMODディスプレイデバイスは、1つまたは複数の干渉EMSディスプレイ要素、たとえば干渉MEMSディスプレイ要素を含む。これらのデバイスでは、干渉MEMSディスプレイ要素は、明状態または暗状態のいずれかに構成され得る。明(「緩和」、「開」または「オン」など)状態では、ディスプレイ要素は入射可視光の大部分を反射する。逆に、暗(「作動」、「閉」または「オフ」など)状態では、ディスプレイ要素は入射可視光をほとんど反射しない。MEMSディスプレイ要素は、黒および白に加えて、主にカラーディスプレイを可能にする光の特定の波長で反射するように構成され得る。いくつかの実装形態では、複数のディスプレイ要素を使用することによって、原色の様々な強度およびグレーの様々な濃淡が達成され得る。
[0032]IMODディスプレイデバイスは、行と列に構成され得るIMODディスプレイ要素のアレイを含むことができる。アレイ中の各ディスプレイ要素は、(光ギャップ、キャビティまたは光共振キャビティとも呼ばれる)エアギャップを形成するように互いから可変で制御可能な距離をおいて配置された、可動反射層(すなわち、機械層とも呼ばれる可動層)と固定部分反射層(すなわち、固定層)など、少なくとも反射層と半反射層のペアを含むことができる。可動反射層は少なくとも2つの位置の間で移動され得る。たとえば、第1の位置、すなわち、緩和位置では、可動反射層は、固定部分反射層から距離をおいて配置され得る。第2の位置、すなわち、作動位置では、可動反射層は、部分反射層により近接して配置され得る。2つの層から反映する入射光は、可動反射層の位置と入射光の波長とに応じて強め合うようにおよび/または弱め合うように干渉し、ディスプレイ要素ごとに全体的な反射または無反射状態のいずれかをもたらすことができる。いくつかの実装形態では、ディスプレイ要素は、作動していないときに反射状態にあり、可視スペクトル内の光を反射し得、また、作動しているときに暗状態にあり、可視範囲内の光を吸収し、および/または弱め合うようにそれに干渉し得る。ただし、いくつかの他の実装形態では、IMODディスプレイ要素は、作動していないときに暗状態にあり、作動しているときに反射状態にあり得る。いくつかの実装形態では、印加電圧の導入が、状態を変更するようにディスプレイ要素を駆動することができる。いくつかの他の実装形態では、印加電荷が、状態を変更するようにディスプレイ要素を駆動することができる。
[0033]図1中のアレイの図示の部分は、IMODディスプレイ要素12の形態の2つの隣接する干渉MEMSディスプレイ要素を含む。(図示のような)右側のディスプレイ要素12では、可動反射層14は、光学スタック16の近くの、それに隣接する、またはそれに接触する作動位置に示されている。右側のディスプレイ要素12の両端間に印加された電圧Vbiasは、可動反射層14を移動させ、またそれを作動位置に維持するのに十分である。(図示のような)左側のディスプレイ要素12では、可動反射層14は、部分反射層を含む光学スタック16から(設計パラメータに基づいてあらかじめ決定され得る)ある距離をおいた緩和位置に示されている。左側のディスプレイ要素12の両端間に印加された電圧V0は、右側のディスプレイ要素12の作動位置などの作動位置への可動反射層14の作動を引き起こすには不十分である。
[0034]図1では、IMODディスプレイ要素12の反射特性が、概して、IMODディスプレイ要素12に入射する光13と、左側のディスプレイ要素12から反射する光15とを示す矢印を用いて示されている。ディスプレイ要素12に入射する光13の大部分は透明基板20を透過し、光学スタック16に向かい得る。光学スタック16に入射する光の一部分は光学スタック16の部分反射層を透過し得、一部分は反射され、透明基板20を通って戻ることになる。光学スタック16を透過した光13の部分は、可動反射層14から反射され、透明基板20に向かって(およびそれを通って)戻り得る。光学スタック16の部分反射層から反射された光と可動反射層14から反射された光との間の(強め合うおよび/または弱め合う)干渉が、デバイスの閲覧側または基板側のディスプレイ要素12から反射される光15の波長の強度を部分的に決定することになる。いくつかの実装形態では、透明基板20は(ガラスプレートまたはパネルと呼ばれることがある)ガラス基板であり得る。ガラス基板は、たとえば、ホウケイ酸ガラス、ソーダ石灰ガラス、石英、パイレックス(登録商標)、または他の好適なガラス材料であるかまたはそれらを含み得る。いくつかの実装形態では、ガラス基板は、0.3、0.5または0.7ミリメートルの厚さを有し得るが、いくつかの実装形態では、ガラス基板は(数十ミリメートルなど)より厚いことも(0.3ミリメートル未満など)より薄いこともある。いくつかの実装形態では、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタラート(PET)またはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)基板など、非ガラス基板が使用され得る。そのような実装形態では、非ガラス基板は0.7ミリメートル未満の厚さを有する可能性があるが、基板は設計考慮事項に応じてより厚いことがある。いくつかの実装形態では、金属箔またはステンレス鋼ベースの基板など、不透明基板が使用され得る。たとえば、固定反射層と、部分透過性で部分反射性である可動層とを含む逆方向(reverse)IMODベースのディスプレイは、図1のディスプレイ要素12として基板の反対側から見られるように構成され得、不透明基板によってサポートされ得る。
[0035]光学スタック16は、単一の層またはいくつかの層を含むことができる。その層は、電極層と、部分反射層および部分透過層と、透明な誘電体層とのうちの1つまたは複数を含むことができる。いくつかの実装形態では、光学スタック16は、電気伝導性があり、部分的に透明で部分反射性であり、たとえば、透明基板20上に上記の層のうちの1つまたは複数を堆積させることによって、作製され得る。電極層は、様々な金属、たとえば酸化インジウムスズ(ITO)など、様々な材料から形成され得る。部分反射層は、様々な金属(たとえば、クロムおよび/またはモリブデン)、半導体、および誘電体など、部分反射性である様々な材料から形成され得る。部分反射層は、材料の1つまたは複数の層から形成され得、それらの層の各々は、単一の材料または材料の組合せから形成され得る。いくつかの実装形態では、光学スタック16のいくつかの部分は、部分光吸収体と電気導体の両方として働く、金属または半導体の単一の半透明の膜(thickness)を含むことができるが、一方で(たとえば、光学スタック16の、またはディスプレイ要素の他の構造の)異なる、電気的により伝導性の高い層または部分が、IMODディスプレイ要素間で信号をバスで運ぶ(bus)ように働くことができる。光学スタック16は、1つまたは複数の導電層または電気伝導性/部分吸収層をカバーする、1つまたは複数の絶縁層または誘電体層をも含むことができる。
[0036]いくつかの実装形態では、光学スタック16の層の少なくともいくつかは、以下でさらに説明するように、平行ストリップにパターニングされ得、ディスプレイデバイスにおける行電極を形成し得る。当業者によって理解されるように、「パターニング」という用語は、本明細書では、マスキングプロセスならびにエッチングプロセスを指すために使用される。いくつかの実装形態では、アルミニウム(Al)などの高伝導性および反射性材料が可動反射層14のために使用され得、これらのストリップはディスプレイデバイスにおける列電極を形成し得る。可動反射層14は、図示されたポスト18など、支持体の上に堆積された列と、ポスト18間に位置する介在する犠牲材料とを形成するために、(光学スタック16の行電極に直交する)1つまたは複数の堆積された金属層の平行ストリップのシリーズとして形成され得る。犠牲材料がエッチング除去されると、画定されたギャップ19または光キャビティが可動反射層14と光学スタック16との間に形成され得る。いくつかの実装形態では、ポスト18間の間隔は約1〜1000μmであり得、一方でギャップ19は約10,000オングストローム(Å)未満であり得る。
[0037]いくつかの実装形態では、各IMODディスプレイ要素は、作動状態にあろうと緩和状態にあろうと、固定反射層および可動反射層によって形成されるキャパシタと見なされ得る。電圧が印加されないとき、可動反射層14は、図1中の左側のディスプレイ要素12によって示されるように、機械的に緩和した状態にとどまり、可動反射層14と光学スタック16との間にギャップ19がある。しかしながら、電位差、すなわち電圧が、選択された行および列のうちの少なくとも1つに印加されたとき、対応するディスプレイ要素における行電極と列電極との交差部に形成されたキャパシタは帯電し、静電力がそれらの電極を引き合わせる。印加された電圧がしきい値を超える場合、可動反射層14は、変形し、光学スタック16の近くにまたはそれに対して移動することができる。光学スタック16内の誘電体層(図示せず)が、図1中の右側の作動ディスプレイ要素12によって示されるように、短絡を防ぎ、層14と層16との間の分離距離を制御し得る。その挙動は、印加電位差の極性にかかわらず同じであり得る。いくつかの事例ではアレイ中のディスプレイ要素のシリーズが「行」または「列」と呼ばれることがあるが、ある方向を「行」と呼び、別の方向を「列」と呼ぶことは恣意的であることを、当業者は容易に理解されよう。言い換えれば、いくつかの配向では、行は列と見なされ得、列は行であると見なされ得る。いくつかの実装形態では、行は「コモン」ラインと呼ばれることがあり、列は「セグメント」ラインと呼ばれることがあり、その逆も同様である。さらに、ディスプレイ要素は、直交する行および列に一様に配置されるか(「アレイ」)、または、たとえば、互いに対して一定の位置オフセットを有する、非線形構成で配置され得る(「モザイク」)。「アレイ」および「モザイク」という用語は、いずれかの構成を指すことがある。したがって、ディスプレイは、「アレイ」または「モザイク」を含むものとして言及されるが、その要素自体は、いかなる事例においても、互いに直交して配置される必要がなく、または一様な分布で配置される必要がなく、非対称形状および不均等に分布された要素を有する配置を含み得る。
[0038]図2は、IMODディスプレイ要素の3要素×3要素アレイを含むIMODベースのディスプレイを組み込んだ電子デバイスを示すシステムブロック図である。電子デバイスは、1つまたは複数のソフトウェアモジュールを実行するように構成され得るプロセッサ21を含む。オペレーティングシステムを実行することに加えて、プロセッサ21は、ウェブブラウザ、電話アプリケーション、電子メールプログラム、または任意の他のソフトウェアアプリケーションを含む、1つまたは複数のソフトウェアアプリケーションを実行するように構成され得る。
[0039]プロセッサ21は、アレイドライバ22と通信するように構成され得る。アレイドライバ22は、たとえばディスプレイアレイまたはパネル30に信号を与える行ドライバ回路24と列ドライバ回路26とを含むことができる。図2には、図1に示されたIMODディスプレイデバイスの断面が線1−1によって示されている。図2は明快のためにIMODディスプレイ要素の3×3アレイを示しているが、ディスプレイアレイ30は、極めて多数のIMODディスプレイ要素を含んでいることがあり、列におけるIMODディスプレイ要素の数とは異なる数のIMODディスプレイ要素を行において有し得、その逆も同様である。
[0040]図3Aおよび図3Bは、EMS要素のアレイ36と裏板92とを含むEMSパッケージ91の一部分の概略分解部分斜視図である。図3Aは、裏板92の特定の部分をより良く示すために裏板92の2つの隅が切り取られて示されている一方、図3Bは、隅が切り取られずに示されている。EMSアレイ36は、基板20と、支持ポスト18と、可動層14とを含むことができる。いくつかの実装形態では、EMSアレイ36は、透明基板上に1つまたは複数の光学スタック16を有するIMODディスプレイ要素のアレイを含むことができ、可動層14は、可動反射層として実装され得る。
[0041]裏板92は、基本的に平面とすることができ、または少なくとも1つの輪郭形成された(contoured)表面を有することができる(たとえば、裏板92は、凹みおよび/または突出を伴って形成され得る)。裏板92は、透明であるか不透明であるか、導電性であるか絶縁性であるかを問わず、任意の好適な材料で作られ得る。裏板92に好適な材料としては、限定はしないが、ガラス、プラスチック、セラミック、ポリマー、積層体、金属、金属箔、コバール、およびめっきコバールがある。
[0042]図3Aおよび図3Bに示すように、裏板92は、裏板92に部分的にまたは全体的に埋め込まれ得る1つまたは複数の裏板構成要素94aおよび94bを含み得る。図3Aでわかるように、裏板構成要素94aは裏板92に埋め込まれる。図3Aおよび図3Bでわかるように、裏板構成要素94bは、裏板92の表面に形成された凹み93内に配置される。いくつかの実装形態では、裏板構成要素94aおよび/または94bは、裏板92の表面から突出し得る。裏板構成要素94bは、裏板92の、基板20に面した側に配置されるが、他の実装形態では、裏板構成要素は裏板92の反対側に配置され得る。
[0043]裏板構成要素94aおよび/または94bは、トランジスタ、キャパシタ、インダクタ、抵抗、ダイオード、スイッチ、などの1つまたは複数の能動または受動電気構成要素、および/またはパッケージングされた集積回路(IC)、標準もしくはディスクリートIC、を含むことができる。様々な実装形態で使用され得る裏板構成要素の他の例としては、アンテナ、バッテリー、電気センサー、タッチセンサー、光学センサーもしくは化学センサーなどのセンサーまたは薄膜堆積デバイス(thin-film deposited device)がある。
[0044]いくつかの実装形態では、裏板構成要素94aおよび/または94bは、EMSアレイ36の部分と電気通信し得る。トレース、バンプ、ポストまたはビアなどの導電性構造は、裏板92または基板20の一方または両方に形成されてよく、EMSアレイ36と裏板構成要素94aおよび/または94bとの間に電気接続を形成するために互いまたは他の導電性構成要素と接触し得る。たとえば、図3Bは、EMSアレイ36内の可動層14から上方に延びる電気接点98と整合し得る、裏板92上の1つまたは複数の導電性ビア96を含む。いくつかの実装形態では、裏板92はまた、EMSアレイ36の他の構成要素から裏板構成要素94aおよび/または94bを電気絶縁する1つまたは複数の絶縁層を含むことができる。裏板92が蒸気透過性材料から形成されるいくつかの実装形態では、裏板92の内表面は蒸気バリア(図示せず)でコーティングされ得る。
[0045]裏板構成要素94aおよび/または94bは、EMSパッケージ91に入り得る湿気を吸収するように働く1つまたは複数の乾燥剤を含むことができる。いくつかの実装形態では、乾燥剤(またはゲッターなどの他の湿気吸収材料)が、たとえば、接着剤により裏板92に装着された(またはその中に形成された凹み内の)シートとして、任意の他の裏板構成要素とは別個に提供され得る。代替的に、乾燥剤は裏板92に統合され得る。いくつかの他の実装形態では、乾燥剤は、たとえば、スプレーコーティング、スクリーン印刷、または任意の他の好適な方法によって、他の裏板構成要素の上で直接的にまたは間接的に適用され得る。
[0046]いくつかの他の実装形態では、EMSアレイ36および/または裏板92は、裏板構成要素とディスプレイ要素との間の距離を維持し、それによってそれらの構成要素間の機械的干渉を防止するための機械的なスタンドオフ(standoff)97を含むことができる。図3Aおよび図3Bに示す実装形態では、機械的なスタンドオフ97は、EMSアレイ36の支持ポスト18と整合した裏板92から突出したポストとして形成される。代替的にまたは追加として、レールまたはポストなどの機械的なスタンドオフは、EMSパッケージ91の縁に沿って設けられ得る。
[0047]図3Aおよび図3Bに示されていないが、EMSアレイ36を部分的にまたは完全に取り囲むシールが設けられ得る。裏板92および基板20とともに、シールは、EMSアレイ36を密閉する保護キャビティを形成することができる。シールは、従来のエポキシベースの接着剤などの半気密シールであり得る。いくつかの他の実装形態では、シールは、薄膜金属溶接またはガラスフリットなどのなどの気密シールであり得る。いくつかの他の実装形態では、シールは、ポリイソブチレン(PIB)、ポリウレタン、液体スピンオンガラス、はんだ、ポリマー、プラスチック、または他の材料を含み得る。いくつかの実装形態では、機械的なスタンドオフを形成するために強化されたシーリング材が使用され得る。
[0048]代替実装形態では、シールリングは、裏板92または基板20のいずれか一方または両方の延長部を含むことができる。たとえば、シールリングは、裏板92の機械的延長部(図示せず)を含むことができる。いくつかの実装形態では、シールリングは、Oリングまたは他の環状部材などの別個の部材を含むことができる。
[0049]いくつかの実装形態では、EMSアレイ36および裏板92は、互いに取り付けられる前または結合される前に別個に形成される。たとえば、基板20の縁は、上述のように裏板92の縁に取り付けられ、シールされ得る。代替的に、EMSアレイ36および裏板92は、EMSパッケージ91として形成され、互いに接合され得る。いくつかの他の実装形態では、EMSパッケージ91は、任意の他の好適な方法で、たとえば、堆積によってEMSアレイ36の上で裏板92の構成要素を形成することによって、作製され得る。
[0050]MEMSおよび他のEMS構造は、環境的影響力に耐え、湿気および他の環境要因の進入を制限するようにパッケージングされ得る。MEMS構造は、温度、圧力、湿度、汚染物質、振動、および衝撃を含む様々な環境要因に反応する要素を有し得る。たとえば、MEMSデバイスへの湿気の侵入は、「張り付き(stiction)」をもたらし得、張り付きは、可動層がMEMSデバイス中の基板または固定層に張り付く傾向を指し得る。これは、MEMSデバイスについての重要な信頼性問題になり得る。MEMSデバイスは、気密シールの使用によって、または場合によっては水蒸気の透過率の低い材料を適用することによって湿気の侵入から保護され得る。以下の説明がMEMSデバイスをパッケージングすることに言及するが、様々な実装形態は、他のタイプのEMS構造をパッケージングすることを含み、パッケージは、他のタイプのEMS構造を含む。
[0051]いくつかのMEMSデバイスは、基板とカバープレートまたはバックプレートとの間にシーラントを適用することによって、デバイスパッケージ中に密封され得る。ただし、シーラントおよびカバープレートの使用は、比較的厚く重いデバイスパッケージをもたらし得る。デバイスパッケージの縁に沿ったシーラントは望ましくない厚い縁をもたらし得る。さらに、そのような方法で製造されたデバイスパッケージは、低いスループットを有すること、比較的高価な材料を使用すること、機械的強度が不十分になること、高すぎる脱ガス性を有すること、および/または湿気進入に透過的になりすぎることがある。
[0052]いくつかのMEMSデバイスは、密封薄膜封止を適用することによってデバイスパッケージ中に密封され得る。ただし、そのような方法で製造されたデバイスパッケージは、低いスループットを有し得、物理蒸着(PVD:physical vapor deposition)、化学蒸着(CVD:chemical vapor deposition)、スピンコーティング、および/または硬化プロセスなど、比較的コストがかかるプロセスによって製造される。
[0053]MEMSデバイスまたはMEMS構造は、装置またはデバイスパッケージではアレイとして構成され得る。装置は、複数のMEMS構造のアレイを含むことができる。たとえば、ディスプレイは、IMODを含む、MEMS構造などのいくつかのピクセルデバイスを含むピクセルアレイを含むことができる。マトリックス化されたアクティブスイッチおよびドライバ、ならびに蓄積/検知キャパシタおよび抵抗器などの受動デバイスなどの他の構成要素が含まれ得る。
[0054]装置は、比較的高いスループット、低コスト、軽量性、狭額縁、および薄型のフォームファクタを達成しながら、環境要因および外力から保護するデバイスパッケージ中に密封され得るMEMS構造のアレイを含むことができる。さらに、デバイスパッケージは、カバープレートまたはバックプレートを使用せずに、および薄膜封止を使用せずに密封され得る。
[0055]図4に、MEMS構造のアレイをもつMEMS装置の断面概略図の一例を示す。MEMS装置400は、基板410と、基板410上のMEMS構造420のアレイと、MEMS構造420のアレイの上のラミネートフィルム430とを含むことができる。ラミネートフィルム430は、MEMS構造420のアレイを密閉するために、基板410とラミネートフィルム430との間に密封を形成することができる。
[0056]いくつかの実装形態では、基板410は、透明材料と不透明材料とを含む、任意の数の異なる基板材料で作られ得る。たとえば、基板410は、ガラス、プラスチック、または他の透明材料で作られた透明基板であり得る。(ガラスプレートまたはパネルと呼ばれることがある)ガラス基板は、ホウケイ酸ガラス、ソーダ石灰ガラス、フォトガラス、石英、パイレックス、または他の好適なガラス材料であるかまたはそれらを含み得る。ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタラート(PET)またはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)基板など、非ガラス基板が使用され得る。いくつかの実装形態では、基板410は、約10ミクロンから約1100ミクロンの間の厚さを有し得る。基板410の厚さは実装形態により異なり得る。
[0057]複数のMEMS構造420が基板410上でアレイに構成され得る。MEMS構造420の各々は、環境要因および外力の影響を受けやすいことがある電気部分、光学部分、および機械的稼働部分を含むことができる。保護層422は、MEMS構造420の上にアレイで配置され得る。いくつかの実装形態では、保護層422は、約1〜3ミクロンよりも厚いなど、比較的厚くなり得、誘電材料を含むことができる。より厚い保護層も可能である。いくつかの実装形態では、保護層422は、第1の誘電体層(たとえば、0.5〜2.0ミクロンの厚さ)と、第1の誘電体の上の金属膜(たとえば、0.5ミクロンの厚さ)と、金属膜の上の第2の誘電体層(たとえば、0.5〜2.0ミクロンの厚さ)とを含み得る層のスタックである。保護層422は、1つまたは複数の穴424を含むことができる。1つまたは複数の穴424は、エッチャントが通り抜けるための通路を与え、1つまたは複数の犠牲層をエッチングすることを可能にするリリース穴であり得る。1つまたは複数の穴424は、その後塞がれるか、または密封され得る。いくつかの実装形態では、保護層422は、さらに、1つまたは複数の穴424を塞ぐための随意のキャップ426を含む。たとえば、キャップ426は、穴424の周りのはんだリングを画定し、はんだをリフローして、穴424をつぶして塞ぐことによって作られ得る。いくつかの実装形態では、穴は、ラミネートフィルム430を使用して「塞がれる」かまたは「密封される」。MEMS構造420および保護層422の例について、図5に関して以下でより詳細に説明する。
[0058]ラミネートフィルム430は、保護層422の上に、したがって、MEMS構造420のアレイの上に配置され得る。いくつかの実装形態では、ラミネートフィルム430は、保護層422の直接上にラミネートされ、1つまたは複数の穴424を覆い得る。いくつかの実装形態では、ラミネートフィルム430は、ラミネートフィルム430と保護層422との間にエアギャップ432を画定し、それによって、「エアバブル」を作成するためにラミネートされ得る。図4中の例に示したように、ラミネートフィルム430は、ラミネートフィルム430と保護層422との間にエアギャップ432を確定するためにキャップ426の上にラミネートされ得る。キャップ426がないいくつかの実装形態では、ラミネートフィルム430は、保護層422と直接接触し、保護層422中の穴424を密封する。エアバブルを用いる実装形態では、穴424は、塞がれずに残され得る。
[0059]基板410は、デバイス領域410aとデバイス領域410aを囲む縁領域410bとを含み得る。MEMS構造420のアレイは、デバイス領域410a中に配置され得る。基板410と接触しているラミネートフィルム430は、基板410の縁領域410b中で密封を形成することができる。ラミネートフィルム430は、MEMSデバイスパッケージを形成するために、MEMS構造420のアレイを密閉する。いくつかの実装形態では、ラミネートフィルム430は、ディスプレイデバイスにバックカバーを与え、基板410は、ディスプレイデバイスにフロントカバーを与える。
[0060]いくつかの実装形態では、指タッチなどの外力が、ラミネートフィルム430に圧力を加えることができる。外力は、基板410を含むMEMS装置400の任意の部分に加えられ得る。基板410に加えられた外力は、MEMS構造420の上の保護層422をラミネートフィルム430に対して押し付け得る。いくつかの実装形態では、外力は、ラミネートフィルム430を圧縮するために、ラミネートフィルム430に対して直接加えられ得る。ラミネートフィルム430は、外力に抵抗することが可能であり得るが、外力があるしきい値を越えて増加する場合、ラミネートフィルム430は、外力に耐えることができず、MEMS構造420のアレイを十分に保護することができないことがある。ラミネートフィルム430の圧縮は、MEMS構造420のいずれかの1つまたは複数の部分に損傷を生じ得る。しかしながら、MEMS装置400中のいくつかの設計変数は、MEMS構造420のアレイの密度、保護層422の厚さおよび/またはキャップ426の厚さを構成することなど、MEMS構造420のアレイをさらに保護するように構成され得る。
[0061]外力に抵抗するMEMS装置400の能力は、MEMS構造420のアレイの密度に依存することができる。MEMS構造420のアレイの密度が高くなればなるほど、外力がMEMS構造420のアレイにわたってより多く分散され得、MEMS構造420のアレイは、より多くの外力に耐えることができる。MEMS構造420のアレイの密度は、MEMS構造420のアレイのピッチを調整することによってチューニングされ得る。いくつかの実装形態では、MEMS構造420の各々の間のピッチは、約20ミクロンから約80ミクロンの間であり得る。ピッチは、MEMS構造の各々の間の中心間距離を指すことができる。したがって、MEMS構造420の各々の間のピッチを小さくすると、MEMS装置400の外圧に対する抵抗を改善することができる。
[0062]MEMS装置400の外力に対する抵抗は、保護層422の厚さを調整することによってさらに増加され得る。いくつかの実装形態では、保護層422の厚さは約3ミクロンよりも厚くなり得る。
[0063]図5に、基板上のMEMS構造の断面概略図の一例を示す。MEMS構造500は、基板510の上の固定電極520と固定電極520の上の可動電極540とを含むことができ、ここで、固定電極520および可動電極540は、それらの間にギャップ550を画定する。ヒンジまたはテザー(tether)530は、可動電極540をサポートするために可動電極540と基板510との間に配置され得る。いくつかの実装形態では、MEMS構造500は、アナログまたは多状態IMODなどのIMODであり得る。
[0064]保護層560は、MEMS構造500の上に配置され得、ここで、保護層560は、穴570を有し得る。穴570は、犠牲材料を除去するためにエッチャントに通路を与えるリリース穴であり得る。犠牲材料の除去は、ギャップ550の形成を生じる。保護層560は、テザー530の一部分の上に形成され、可動電極540の上に広がり得る。
[0065]いくつかの実装形態では、ギャップ550は、さらに、可動電極540と保護層560との間の空間555を含み得る。可動電極540は、ギャップ550を横切って固定電極520に向けて移動するように構成され得る。いくつかの実装形態では、可動電極540はまた、空間555を横切って保護層560に向けて移動するように構成され得る。可動電極540は、静電引力によって保護層560または固定電極520に向けて作動し得る。
[0066]いくつかの実装形態では、固定電極520は、光学スタックの一部であり得、ここで、光スタックは、導電性であるか、または導電層を含み得る。光スタックはまた、可視光の少なくとも部分的な吸収であるか、または光吸収材料を含むことができる。いくつかの実装形態では、固定電極520は、同じく導電性である光吸収材料を含むことができる。吸収材料は、約20Åから約100Åの間の厚さを有することができ、モリブデンクロム(MoCr)などの導電性材料で作られ得る。
[0067]可動電極540は、導電性であるか、または導電層を含み得る。いくつかの実装形態では、可動電極は、反射層など、1つまたは複数の層を含み得る。反射層自体は、誘電体副層および金属副層など、1つまたは複数の副層を含むことができる。誘電体副層は、可動電極540に構造剛性を与えることができ、亜酸化窒素、二酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、および窒化ケイ素などの誘電材料で作られ得る。金属副層は、アルミニウム、銅、アルミニウム銅合金、または他の導電性材料で作られ、約100Åから約500Åの間の厚さを有することができる。いくつかの実装形態では、反射層は、固定電極520中の光吸収材料で光を干渉的に変調するためのミラーを与えることができる。
[0068]ヒンジまたはテザー530は、可動電極540が固定電極520または保護層560に向けて作動することを可能にするために曲がるか、または場合によっては変形することが可能であり得る。可動電極540は、作動中に固定電極520または保護層560に実質的に平行のままであり得る。テザー530は、可動電極540の周りに対称的に配置され得る。いくつかの実装形態では、テザー530は、アルミニウムおよびチタン、またはシリコン、酸化物、窒化物、およびオキシナイトライドなどの他の材料などの金属で作られ得る。
[0069]可動電極540と固定電極520との間のギャップ距離は、MEMS構造500の反射特性に影響を及ぼし得る。いくつかの実装形態では、可動電極540は、ギャップ550を横切って3つ以上の位置に移動することができる。可動電極540の位置に応じて、光の異なる波長が基板510を通して反射して戻され得、これは、異なる色の見た目を与えることができる。たとえば、可動電極540は、赤緑青の色スペクトル内の色を反射するように構成され得る。電圧が保護層560中の電極または固定電極520中の電極のいずれかに印加されるとき、可動電極540は、保護層560または固定電極520のいずれかに向けて異なる位置に移動し得る。いくつかの実装形態では、MEMS構造500は、3端末デバイスであり得、これは、MEMS構造500が、固定電極520、可動電極540、および保護層560の各々の中に電極を備え得ることを意味する。
[0070]保護層560は、MEMS構造500に構造剛性保護を与えることができ、1つまたは複数の誘電材料を含むことができる。たとえば、保護層560は、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、または他の好適な誘電材料を含むことができる。保護層560は、導電層を含む1つまたは複数の層を含むことができる。導電層は、アルミニウム銅などの金属を含むことができる。いくつかの実装形態では、保護層560は、約1ミクロンよりも厚い、約3ミクロンよりも厚い、約1ミクロンから約3ミクロンの間、または約3ミクロンから約10ミクロンの間など、比較的厚くなり得る。
[0071]図6Aに、MEMSアレイ上の多層ラミネートフィルムの断面概略図の一例を示す。ラミネートフィルム600は、防湿層650および乾燥剤層640を含む複数の層を含むことができる。防湿層650は、基板610上のアレイMEMS構造620に背を向けていることがあり、したがって、防湿層650は、周囲環境に露出され得る。乾燥剤層640は、基板610上のMEMS構造620のアレイの方に向いていることがある。いくつかの実装形態では、ラミネートフィルム600は、さらに、1つまたは複数の接着剤層630aおよび/または630bを含む。第1の接着剤層630aは、基板610と乾燥剤層640との間にあり得、第2の接着剤層630bは、乾燥剤層640と防湿層650との間にあり得る。したがって、乾燥剤層640は、2つの接着剤層630aおよび630bの間にはさまれ得る。第1の接着剤層630aの部分は、基板610と接触していることがある。
[0072]いくつかの実装形態では、防湿層650は、金属または金属箔などの無機材料を含むことができる。たとえば、防湿層650は、アルミニウムで作られ得る。金属は、概して、水を通さないので、防湿層650は、外部周囲環境に面して位置し得る。いくつかの実装形態では、防湿層650は、約1ミクロンから約30ミクロンの間など、または約10ミクロンから約30ミクロンの間など、約1ミクロンよりも厚くなり得る。
[0073]いくつかの実装形態では、乾燥剤層640は、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、シリカゲル、モンモリロナイト粘土、分子篩、ゼオライト、または硫酸カルシウムを含む任意の好適な乾燥剤材料で作られ得る。いくつかの実装形態では、乾燥剤層640は、デバイス領域610aの上に配置され、基板610の縁領域610bまでデバイス領域610aに連続的に広がり得る。乾燥剤層640は、縁領域610bを覆わず、ここで、密封は、基板610を用いて形成される。したがって、ラミネートフィルム600は、基板610の縁領域610bにおいて乾燥剤または乾燥剤層を含まない。乾燥剤層640は、湿気および汚染物質ガスを吸収して、MEMS構造620のアレイへのそのような物質の進入を低減し得る。図6A中の例に示すように、縁領域610bからデバイス領域610aに向けて防湿層650と基板610との間に入るあらゆる湿気および汚染物質ガスは、乾燥剤層640によって吸収され得る。したがって、湿気および汚染物質ガスは、第1の接着剤層630aとMEMS構造620のアレイとの間のインターフェースにおいて乾燥剤層640によって吸収され得る。
[0074]いくつかの実装形態では、1つまたは複数の接着剤層630aおよび/または630bが、それの機械的強度、熱に対する抵抗力、湿気に対する抵抗力、および脱ガスへの抵抗力のために選択され得る。いくつかの実装形態では、1つまたは複数の接着剤層630aおよび/または630bは、ガラス上に付着するそれの能力のために選択され得る。1つまたは複数の接着剤層630aおよび/または630bはまた、乾燥剤層640を含んでいるそれの能力のために選択され得る。比較的低い水蒸気に対する透過性をもち、低い脱ガス性をもつ1つまたは複数の接着剤層630aおよび/または630bも選択され得る。たとえば、1つまたは複数の接着剤層630aおよび/または630bは、Tyvek(登録商標)(DuPont Corporation)またはポリエチレンを含むことができる。他の接着剤は、1液型または2液型エポキシ、ポリウレタン、ホットメルト接着剤(HMA:hot-melt adhesive)、および1液型または2液型アクリレートを含むことができる。いくつかの実装形態では、接着剤層630aおよび630bのいずれかの厚さは、約20ミクロン未満など、または約10ミクロン未満など、約50ミクロン未満になり得る。
[0075]第1の接着剤層630aは、基板610のデバイス領域610aと縁領域610bとの上に配置され得る。第1の接着剤層630aは、デバイス領域610a中のMEMS構造620のアレイを覆い、縁領域610b中で基板610と接触していることがある。第1の接着剤層630aの一部は、基板610の縁領域610bに沿って密封または密封リングを形成し得る。第2の接着剤層630bは、デバイス領域610a中で防湿層650と乾燥剤層640との間に配置され得る。
[0076]図6Bに、図6A中のMEMSアレイ上の多層ラミネートフィルムの平面図の一例を示す。図6Bでは、乾燥剤層640および第2の接着剤層630bは、基板610のデバイス領域610aの上にあり、防湿層650および第1の接着剤層630aは、基板610のデバイス領域610aおよび縁領域610bの上にある。乾燥剤層640は、縁領域610bを覆わず、ここで、密封が形成される。防湿層650および第1の接着剤層630aは、MEMS構造620のアレイを密閉するために、基板610のデバイス領域610aの周りに外周または密封リングを形成することができる。縁領域610bにおいて基板610と接触している防湿層650と第1の接着剤層630aとは、約2mm未満の比較的狭い縁を形成することができる。
[0077]いくつかの実装形態では、複数の層を用いるラミネートフィルム600は、接着剤層しか用いないシーラント構造または接着剤層と水分遮断層との組合せを用いるシーラント構造よりも、湿気進入および脱ガスに対して増加した保護をもつシーラント構造を与えることができる。いくつかの実装形態では、ラミネートフィルム600は、150℃で2時間後に重量損失によって約1%未満の脱ガスを有し得る。いくつかの実装形態では、ラミネートフィルム600は、40℃および90%の湿度で100ミクロン幅の膜を横切って約10-5g/m2/日未満の水蒸気の透過率を有し得る。いくつかの実装形態では、縁領域にある接着剤層630aおよび630bは、40℃および90%の湿度で100ミクロン幅の膜(図6A中の縁領域610bにおける膜を参照)を横切って約40g/m2/日未満の水蒸気の透過率を有し得る。いくつかの実装形態では、縁領域にある接着剤層630aおよび630bは、40℃および90%の湿度で100ミクロン幅の膜(図6A中の縁領域610bにおける膜を参照)を横切って約10g/m2/日未満の水蒸気の透過率を有し得る。
[0078]防湿層650と第1の接着剤層630aとの間の乾燥剤層640を含む多層膜構造の使用は、湿気進入および脱ガスに対してそのような増加した保護を与えることができる。防湿層と接着剤層との間に乾燥剤層を有する多層膜構造の一例は、日本、東京にある共同印刷株式会社からのMoistCatch(商標)に発見され得る。
[0079]ラミネートフィルム600は、ラミネートフィルム600の厚さが縁領域610b中でよりもデバイス領域610a中でより厚くなるように、MEMS構造620のアレイおよび基板610の上に配置され得る。たとえば、ラミネートフィルム600は、デバイス領域610aの上に乾燥剤層640を含むことができるが、縁領域610b中に乾燥剤層640を含まず、その結果、ラミネートフィルム600の厚さは、デバイス領域610aの上よりも縁において薄くなる。言い換えれば、デバイス領域610aにおける厚さと縁領域610bにおける厚さの比率は1:1よりも大きくなる。いくつかの実装形態では、縁領域610bにおけるラミネートフィルム600の厚さは、約50ミクロン未満など、約30ミクロン未満など、または約5ミクロンから約30ミクロンの間など、約100ミクロン未満になり得る。いくつかの実装形態では、デバイス領域610aにおけるラミネートフィルム600の厚さは、約50ミクロンよりも厚いなど、約30ミクロンよりも厚いなど、または約30ミクロンから約100ミクロンの間など、約100ミクロンよりも厚くなり得る。たとえば、ラミネートフィルム600は、約10ミクロンから約50ミクロンの間または約30ミクロン〜約50ミクロンの厚さを有する防湿層650と、約30ミクロンから約100ミクロンの間の厚さを有する乾燥剤層640と、各々が約10ミクロンから約30ミクロンの間の厚さを有する1つまたは複数の接着剤層630とを有することができる。
[0080]いくつかの実装形態では、ラミネートフィルム600は、縁領域610bに広がるラミネートフィルム600の幅を指すことができる密封幅を画定することができる。ラミネートフィルム600は、比較的狭い密封幅を与えることができる。比較的狭い密封幅により、ディスプレイデバイスの表示領域において使用可能な/閲覧可能な領域を増加することを可能にできる。たとえば、密封幅は、約1mm未満、または0.5mmから約3mmの間になり得る。いくつかの実装形態では、密封幅は、約3mmよりも広くなり得る。
[0081]図7に、MEMS装置を製造する方法の例示的な流れ図を示す。図7に示されていない追加の段階も存在し得ることを、当業者ならば容易に理解されよう。たとえば、犠牲層、ブラックマスク層、バス層など、下または上にある層を堆積する追加のプロセスが存在し得ることを容易に理解されよう。いくつかの実装形態は、異なる順序でおよび/または図7に示したステップとは異なるか、それより少ないか、またはそれに追加のステップとともにステップを実行し得る。図7について、図8および図9を参照して説明し得る。
[0082]プロセス700のブロック710において、基板が与えられ、ここで、基板は、デバイス領域と、デバイス領域を囲む縁領域とを含む。基板は、ガラスなどの透明材料を含む、任意の数の異なる基板材料で作られ得る。いくつかの実装形態では、基板は、その上に形成される集積回路、能動デバイス、または受動デバイスを含み得る。
[0083]プロセス700のブロック720において、MEMS構造のアレイが、基板上のデバイス領域に設けられる。MEMS構造の各々は、いくつかの光学構成要素、機械構成要素、および電気構成要素を含むことができる。いくつかの実装形態では、MEMS構造の各々は、IMODなどの反射型ディスプレイ要素のためのものであり得る。IMODは、アナログまたは多状態IMODであり得る。
[0084]MEMS構造を形成することは、一連の堆積ステップ、パターニングステップ、エッチングステップ、および/または平坦化ステップを含むことができる。いくつかの実装形態では、堆積ステップは、PVD、CVD、プラズマ促進化学蒸着(PECVD:plasma enhanced chemical vapor deposition)、原子層蒸着(ALD:atomic layer deposition)、電気めっき、およびスピンコーティングなど、任意の好適な堆積技法を使用して実行され得る。フォトリソグラフィなどのパターニング技法は、マスク上のパターンを材料の層に転送するために使用され得る。エッチングプロセスは、不要な材料を除去するために、パターニングの後に実行され得る。
[0085]いくつかの実装形態では、MEMS構造を形成することは、固定電極を堆積することを含み、ここで、固定電極は、光吸収材料を含むことができる。固定電極は、いくつかの実装形態に従って光スタックの一部であり得る。MEMS構造を形成することは、さらに、固定電極の上に犠牲層を堆積することを含むことができる。犠牲層は、限定はしないが、モリブデンまたはアモルファスシリコンなどのエッチング可能材料を含むことができる。堆積される犠牲層の厚さは、MEMS構造をリリースするときに形成されるギャップの所望のサイズに対応することができる。1つまたは複数のテザーまたはヒンジは、固定電極および犠牲層の上に堆積およびパターニングされ得る。テザーは、1つまたは複数の酸化物から形成され得、固定電極と可動電極との間に分離を与え得る。可動電極は、テザーの上におよび犠牲層の上に堆積およびパターニングされ得る。可動電極は、アルミニウム合金などの反射性材料で作られ反射層を含む1つまたは複数の層を含み得る。いくつかの実装形態では、MEMS構造の上に保護層を設ける前に、別の犠牲層が、可動電極の上に堆積およびパターニングされ得る。MEMS構造は、犠牲層の除去まで固定が解除されない。
[0086]プロセス700のブロック730において、MEMS構造のアレイの上の保護層が設けられる。いくつかの実装形態では、保護層は、保護層を通って延びた1つまたは複数の穴を含む。保護層を形成するために、1つまたは複数の層が、テザーの上、ならびに犠牲層または可動電極の上に堆積およびパターニングされ得る。1つまたは複数の層は、誘電体層および/または導電層を含むことができる。保護層は、保護層を通って延びた1つまたは複数のリリース穴を設けるようにパターニングされ得る。保護層は、製造プロセスが完了した後に可動電極が移動することができる保護空洞を設けるために柱と天井とを含むことができる。いくつかの実装形態では、保護層は、約1〜3ミクロンよりも厚い厚さを有するなど、比較的厚くなり得る。より厚い保護層も可能である。いくつかの実装形態では、保護層は、約0.5〜約2.0ミクロンの厚さの誘電体層、第1の誘電体層の上の約0.5ミクロンの厚さの金属膜、および金属膜の上の約0.5〜約2.0ミクロンの厚さの第2の誘電体層などの層のスタックであり得る。
[0087]いくつかの実装形態では、犠牲層がエッチングによって除去され得る。たとえば、フッ化キセノン(XeF2)などのフッ素ベースのエッチャントが、MEMS構造中の犠牲層を除去するために保護層のリリース穴を通して導入され得る。犠牲層をエッチングすると、MEMS構造がリリースされ、可動電極と固定電極との間にギャップが形成され得る。いくつかの実装形態では、可動電極と保護層との間に別のギャップが形成され得る。
[0088]いくつかの実装形態では、キャップが保護層の上に堆積およびパターニングされ得る。キャップは、保護層中のリリース穴を塞ぎ得る。いくつかの実装形態では、キャップは、保護層に構造剛性を増すための追加の厚さを与え得る。キャップは、誘電材料で作られ得る。
[0089]ブロック740において、縁領域において密封を形成するために保護層の上におよび基板上にフィルムがラミネートされる。いくつかの実装形態では、フィルムをラミネートすることは、保護層の直接上にフィルムをラミネートすることを含むことができる。ラミネートは、キャップと接触していることがあり、ここで、キャップがリリース穴を塞ぐ働きをするか、またはラミネートがリリース穴自体を塞ぐことができる。いくつかの実装形態では、フィルムをラミネートすることは、フィルムと保護層との間にエアギャップまたはエアバブルを形成するために保護層の上にフィルムをラミネートすることを含むことができる。
[0090]図8に、いくつかの実装形態による、MEMSアレイの上にフィルムをラミネートするための製造機器の断面概略図の一例を示す。いくつかの実装形態では、フィルム830は、ホットロールラミネータ800を使用してラミネートされ得る。ホットロールラミネータ800は、第1および第2のローラー840aおよび840bを含むことができる。いくつかの実装形態では、第1および第2のローラー840aおよび840bは、ゴムで作られ得る。シリコンなどの他の材料が使用され得る。動作中、第1および第2のローラー840aおよび840bは、加熱され、回転される。第1および第2のローラー840aおよび840bは、基板810を引き出すために、矢印によって示されるように反対方向に回転する。基板810は、その上に形成されるMEMS構造820のアレイを含むことができる。
[0091]基板810が第1および第2のローラー840aおよび840bを通して引かれる際に、フィルム830は、加熱され、MEMS構造820のアレイの表面上に圧縮される。第1および第2のローラー840aおよび840bによって加えられる圧力は、MEMS構造820を破砕または損傷することなしにMEMS構造820のアレイのシーリングを容易にするように構成され得る。第1および第2のローラー840aおよび840bの速度は、MEMS構造820のアレイを密封するためのフィルム830の完全なラミネートを保証するように調整され得る。図8に示すラミネートプロセスは、スループットを増加させ、コストを低減するために連続処理を行うように構成され得る。
[0092]しかしながら、いくつかの事例では、ラミネートのための機器は、1つまたは複数のMEMS構造を損傷しうる方法で1つまたは複数のMEMS構造に圧力を加えることができる。たとえば、図8では、基板810が第1および第2のローラー840aおよび840bを通して引かれる際に、MEMS構造820のうちのいくつかが破砕されるか、あるいは損傷し得る。第1および第2のローラー840aおよび840bは、基板810に加えられる圧力を一貫して制御することができないことがある。
[0093]MEMS構造820に加えられた圧力を分散させ、MEMS構造820への損傷の可能性を低減するために、MEMS構造の各々の間のピッチが低減され得るか、またはMEMS構造の各々の保護層および/またはキャップの厚さが増加され得る。いくつかの実装形態では、MEMS構造の各々の間のピッチは、約20ミクロンから約80ミクロンの間であり得る。いくつかの実装形態では、保護層の厚さは1〜3ミクロンよりも厚くなり得る。
[0094]アクティブ領域中のMEMS構造に対する圧力は、ローラーをパターニングすることによって低減され得る。図9Aに、いくつかの実装形態による、MEMSアレイの上にフィルムをラミネートするためのホットロールラミネータの断面概略図の一例を示す。圧力をより良く制御するために、ローラー940をもつホットロールラミネータ900は、凹部950付きで設計され得る。凹部950は、ローラー940によって保持されたプレート上にパターニングされ得る。フィルム930は、ローラー940の周りにラッピングされ、基板910上にラミネートされるためにほどかれ得る。ローラー940が、基板910の非アクティブ領域920bに圧力を加え、基板910のアクティブ領域920aにほとんど圧力を加えないように、凹部950は選択的に位置決めされ得る。ローラー940の硬さおよび凹部950の深さは、ローラー940によって加えられる圧力の量を調整することができる。したがって、ローラー940から加えられる圧力は、基板910のアクティブ領域920a中のMEMS構造の上で低減され得、したがって、それらが破砕されるか、あるいは損傷する可能性は低い。
[0095]図9Bに、いくつかの実装形態による、MEMSアレイの上にフィルムをラミネートするためのヒートプレスラミネータの断面概略図の一例を示す。フィルム930に圧力を瞬時に加えるために、ヒートプレスラミネータ905は、1つまたは複数の凹部955をもつヒートプレス945を含むことができる。凹部955は、基板910の非アクティブ領域920bに圧力を加え、基板910のアクティブ領域920aにほとんど圧力を加えないように構成され得る。加えられた圧力は、基板910のアクティブ領域920a中のMEMS構造を破砕あるいは損傷することなしにMEMSアレイ上にフィルム930をラミネートすることができる。ヒートプレスラミネータ905は、基板910上にフィルムをラミネートするために、切抜きをもつスタンプのように挙動することができる。
[0096]いくつかの実装形態では、図9Aおよび図9Bで説明したものなど、凹部を有するホットロールラミネータまたはヒートプレスラミネータは、保護層とラミネートフィルムとの間にエアギャップまたはエアバブルを形成するために基板上でMEMS構造のアレイをカプセル化することができる。ラミネートフィルムは、MEMS構造の上の保護層との接点を回避し得る。したがって、ラミネートフィルムは、MEMS構造の上の保護層中でリリース穴を塞がずに残し得る。
[0097]いくつかの実装形態では、MEMSアレイの上にフィルムをラミネートすることは、真空ラミネートを使用して実行され得る。MEMS構造のアレイをもつ基板は、エアがポンピングされるチャンバ中に置かれ得る。エアがチャンバの外にポンピングされると、フィルムは、圧力差によりMEMS構造のアレイの直接上にまたは保護層上に押圧され得る。したがって、フィルムは、MEMS構造のアレイを密閉するために、MEMS構造のアレイの直接上に、または、保護層上にラミネートされ得る。
[0098]図7に戻ると、プロセス700のブロック750において、フィルムをラミネートするとき、デバイス領域における基板とフィルムとの間の空洞が形成され、ここで、フィルムは、MEMS構造のアレイに背を向けた防湿層とMEMS構造のアレイの方に向いた乾燥剤層とを含む。いくつかの実装形態では、デバイス領域における基板とフィルムとの間の空洞は、MEMS構造の各々の固定電極と可動電極との間に形成されたギャップ、ならびにリリース時にMEMS構造の各々の可動電極と保護層との間に形成されたギャップを含むことができる。
[0099]フィルムは、接着剤層をさらに含む多層膜であり得る。接着剤層の少なくとも一部分は、縁領域において密封を形成するために基板に接触することができる。乾燥剤層は、基板の縁領域までデバイス領域に連続的に広がることができる。いくつかの実装形態では、プロセス700は、基板のデバイス領域においてラミネートされるときのフィルムの厚さが縁領域においてラミネートされるときのフィルムの厚さよりも厚くなるように、ラミネートより前にフィルムをパターニングすることを含むことができる。
[0100]図10Aおよび図10Bは、複数のIMODディスプレイ要素を含むディスプレイデバイス40を示すシステムブロック図である。ディスプレイデバイス40は、たとえば、スマートフォン、セルラー電話または携帯電話であり得る。ただし、ディスプレイデバイス40の同じ構成要素またはそれの軽微な変形は、テレビジョン、コンピュータ、タブレット、電子リーダー、ハンドヘルドデバイスおよびポータブルメディアデバイスなど、様々なタイプのディスプレイデバイスをも示す。
[0101]ディスプレイデバイス40は、ハウジング41と、ディスプレイ30と、アンテナ43と、スピーカー45と、入力デバイス48と、マイクロフォン46とを含む。ハウジング41は、射出成形と真空成形とを含む様々な製造プロセスのうちのいずれかから形成され得る。さらに、ハウジング41は、限定はしないが、プラスチック、金属、ガラス、ゴム、およびセラミック、またはそれらの組合せを含む、様々な材料のうちのいずれかから作られ得る。ハウジング41は、異なる色の、または異なるロゴ、ピクチャ、もしくはシンボルを含んでいる、他の取外し可能な部分と交換され得る、取外し可能な部分(図示せず)を含むことができる。
[0102]ディスプレイ30は、本明細書で説明する、双安定またはアナログディスプレイを含む様々なディスプレイのうちのいずれかであり得る。ディスプレイ30はまた、プラズマ、EL、OLED、STN LCD、またはTFT LCDなど、フラットパネルディスプレイ、あるいはCRTまたは他の管デバイスなど、非フラットパネルディスプレイを含むように構成され得る。さらに、ディスプレイ30は、本明細書で説明するIMODベースのディスプレイを含むことができる。
[0103]ディスプレイデバイス40の構成要素が図10Aに概略的に示されている。ディスプレイデバイス40は、ハウジング41を含み、それの中に少なくとも部分的に密閉された追加の構成要素を含むことができる。たとえば、ディスプレイデバイス40は、トランシーバ47に結合され得るアンテナ43を含むネットワークインターフェース27を含む。ネットワークインターフェース27は、ディスプレイデバイス40上に表示され得る画像データのためのソースであり得る。したがって、ネットワークインターフェース27は画像ソースモジュールの一例であるが、プロセッサ21および入力デバイス48も画像ソースモジュールとして働き得る。トランシーバ47はプロセッサ21に接続され、プロセッサ21は調整ハードウェア52に接続される。調整ハードウェア52は、(信号をフィルタ処理するかまたはさもなければ操作するなど)信号を調整するように構成され得る。調整ハードウェア52はスピーカー45とマイクロフォン46とに接続され得る。プロセッサ21はまた、入力デバイス48とドライバコントローラ29とに接続され得る。ドライバコントローラ29はフレームバッファ28とアレイドライバ22とに結合され得、アレイドライバ22はディスプレイアレイ30に結合され得る。図10Aに特に示されていない要素を含む、ディスプレイデバイス40中の1つまたは複数の要素が、メモリデバイスとして機能するように構成され、プロセッサ21と通信するように構成され得る。いくつかの実装形態では、電源50が、特定のディスプレイデバイス40設計において実質的にすべての構成要素に電力を与えることができる。
[0104]ネットワークインターフェース27は、ディスプレイデバイス40がネットワークを介して1つまたは複数のデバイスと通信することができるように、アンテナ43とトランシーバ47とを含む。ネットワークインターフェース27はまた、たとえば、プロセッサ21のデータ処理要件を軽減するための、何らかの処理能力を有し得る。アンテナ43は信号を送信および受信することができる。いくつかの実装形態では、アンテナ43は、IEEE16.11(a)、(b)、または(g)を含むIEEE16.11規格、あるいはIEEE802.11a、b、g、nを含むIEEE802.11規格、およびそれらのさらなる実装形態に従って、RF信号を送信および受信する。いくつかの他の実装形態では、アンテナ43は、Bluetooth規格に従ってRF信号を送信および受信する。セルラー電話の場合、アンテナ43は、3G、4Gまたは5G技術を利用するシステムなどのワイヤレスネットワーク内で通信するために使用される、符号分割多元接続(CDMA)、周波数分割多元接続(FDMA)、時分割多元接続(TDMA)、モバイル通信用グローバルシステム(GSM(登録商標):Global System for Mobile communications)、GSM/汎用パケット無線サービス(GPRS:General Packet Radio Service)、拡張データGSM環境(EDGE:Enhanced Data GSM(登録商標) Environment)、地上基盤無線(TETRA:Terrestrial Trunked Radio)、広帯域CDMA(W−CDMA(登録商標))、エボリューションデータオプティマイズド(EV−DO:Evolution Data Optimized)、1xEV−DO、EV−DO RevA、EV−DO RevB、高速パケットアクセス(HSPA:High Speed Packet Access)、高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA:High Speed Downlink Packet Access)、高速アップリンクパケットアクセス(HSUPA:High Speed Uplink Packet Access)、発展型高速パケットアクセス(HSPA+:Evolved High Speed Packet Access)、ロングタームエボリューション(LTE(登録商標):Long Term Evolution)、AMPS、または他の知られている信号を受信するように設計され得る。トランシーバ47は、アンテナ43から受信された信号がプロセッサ21によって受信され、プロセッサ21によってさらに操作され得るように、それらの信号を前処理することができる。トランシーバ47はまた、プロセッサ21から受信された信号がアンテナ43を介してディスプレイデバイス40から送信され得るように、それらの信号を処理することができる。
[0105]いくつかの実装形態では、トランシーバ47は受信機によって置き換えられ得る。さらに、いくつかの実装形態では、ネットワークインターフェース27は、プロセッサ21に送られるべき画像データを記憶または生成することができる画像ソースによって置き換えられ得る。プロセッサ21は、ディスプレイデバイス40の全体的な動作を制御することができる。プロセッサ21は、ネットワークインターフェース27または画像ソースから圧縮された画像データなどのデータを受信し、そのデータを生画像データに、または生画像データに容易に処理され得るフォーマットに、処理する。プロセッサ21は、処理されたデータをドライバコントローラ29に、または記憶のためにフレームバッファ28に送ることができる。生データは、一般に、画像内の各ロケーションにおける画像特性を識別する情報を指す。たとえば、そのような画像特性は、色、飽和およびグレースケールレベルを含むことができる。
[0106]プロセッサ21は、ディスプレイデバイス40の動作を制御するためのマイクロコントローラ、CPU、または論理ユニットを含むことができる。調整ハードウェア52は、スピーカー45に信号を送信するための、およびマイクロフォン46から信号を受信するための、増幅器およびフィルタを含み得る。調整ハードウェア52は、ディスプレイデバイス40内の個別構成要素であり得、あるいはプロセッサ21または他の構成要素内に組み込まれ得る。
[0107]ドライバコントローラ29は、プロセッサ21によって生成された生画像データをプロセッサ21から直接、またはフレームバッファ28から取ることができ、アレイドライバ22への高速送信のために適宜に生画像データを再フォーマットすることができる。いくつかの実装形態では、ドライバコントローラ29は、生画像データを、ラスタ様フォーマットを有するデータフローに再フォーマットすることができ、その結果、そのデータフローは、ディスプレイアレイ30にわたって走査するのに好適な時間順序を有する。次いで、ドライバコントローラ29は、フォーマットされた情報をアレイドライバ22に送る。LCDコントローラなどのドライバコントローラ29は、しばしば、スタンドアロン集積回路(IC)としてシステムプロセッサ21に関連付けられるが、そのようなコントローラは多くの方法で実装され得る。たとえば、コントローラは、ハードウェアとしてプロセッサ21中に埋め込まれるか、ソフトウェアとしてプロセッサ21中に埋め込まれるか、またはハードウェアにおいてアレイドライバ22と完全に一体化され得る。
[0108]アレイドライバ22は、ドライバコントローラ29からフォーマットされた情報を受信することができ、ビデオデータを波形の並列セットに再フォーマットすることができ、波形の並列セットは、ディスプレイのディスプレイ要素のx−y行列から来る、数百の、および時には数千の(またはより多くの)リード線に毎秒何回も印加される。
[0109]いくつかの実装形態では、ドライバコントローラ29、アレイドライバ22、およびディスプレイアレイ30は、本明細書で説明するディスプレイのタイプのうちのいずれにも適している。たとえば、ドライバコントローラ29は従来のディスプレイコントローラまたは双安定ディスプレイコントローラ(IMODディスプレイ要素コントローラなど)であり得る。さらに、アレイドライバ22は従来のドライバまたは双安定ディスプレイドライバ(IMODディスプレイ要素ドライバなど)であり得る。その上、ディスプレイアレイ30は従来のディスプレイアレイまたは双安定ディスプレイアレイ(IMODディスプレイ要素のアレイを含むディスプレイなど)であり得る。いくつかの実装形態では、ドライバコントローラ29はアレイドライバ22と一体化され得る。そのような実装形態は、高集積システム、たとえば、モバイルフォン、ポータブル電子デバイス、ウォッチまたは小面積ディスプレイにおいて、有用であることがある。
[0110]いくつかの実装形態では、入力デバイス48は、たとえば、ユーザがディスプレイデバイス40の動作を制御することを可能にするように、構成され得る。入力デバイス48は、QWERTYキーボードまたは電話キーパッドなどのキーパッド、ボタン、スイッチ、ロッカー、タッチセンシティブスクリーン、ディスプレイアレイ30と一体化されたタッチセンシティブスクリーン、あるいは感圧膜または感熱膜を含むことができる。マイクロフォン46は、ディスプレイデバイス40のための入力デバイスとして構成され得る。いくつかの実装形態では、ディスプレイデバイス40の動作を制御するために、マイクロフォン46を介した音声コマンドが使用され得る。
[0111]電源50は様々なエネルギー蓄積デバイスを含むことができる。たとえば、電源50は、ニッケルカドミウムバッテリーまたはリチウムイオンバッテリーなどの充電式バッテリーであり得る。充電式バッテリーを使用する実装形態では、充電式バッテリーは、たとえば、壁コンセント(wall socket)あるいは光起電性デバイスまたはアレイから来る電力を使用して充電可能であり得る。代替的に、充電式バッテリーはワイヤレス充電可能であり得る。電源50はまた、再生可能エネルギー源、キャパシタ、あるいはプラスチック太陽電池または太陽電池塗料を含む太陽電池であり得る。電源50はまた、壁コンセントから電力を受け取るように構成され得る。
[0112]いくつかの実装形態では、電子ディスプレイシステム中のいくつかの場所に置かれ得るドライバコントローラ29中に制御プログラマビリティが存在する。いくつかの他の実装形態では、制御プログラマビリティがアレイドライバ22中に存在する。上記で説明した最適化は、任意の数のハードウェアおよび/またはソフトウェア構成要素において、ならびに様々な構成において実施され得る。
[0113]本明細書で使用する、項目のリスト「のうちの少なくとも1つ」を指す句は、単一のメンバーを含む、それらの項目の任意の組合せを指す。一例として、「a、b、またはcのうちの少なくとも1つ」は、aと、bと、cと、a−bと、a−cと、b−cと、a−b−cとを包含するものとする。
[0114]本明細書で開示する実装形態に関して説明した様々な例示的な論理、論理ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズムステップは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、またはその両方の組合せとして実装され得る。ハードウェアとソフトウェアの互換性が、概して機能に関して説明され、上記で説明した様々な例示的な構成要素、ブロック、モジュール、回路およびステップにおいて示された。そのような機能がハードウェアで実装されるか、ソフトウェアで実装されるかは、特定の適用例および全体的なシステムに課された設計制約に依存する。
[0115]本明細書で開示する観点に関して説明した様々な例示的な論理、論理ブロック、モジュール、および回路を実装するために使用される、ハードウェアおよびデータ処理装置は、汎用シングルチップまたはマルチチッププロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または他のプログラマブル論理デバイス、個別ゲートまたはトランジスタ論理、個別ハードウェア構成要素、あるいは本明細書で説明した機能を実行するように設計されたそれらの任意の組合せを用いて実装または実行され得る。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサ、あるいは任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、または状態機械であり得る。プロセッサはまた、DSPとマイクロプロセッサとの組合せなどのコンピューティングデバイスの組合せ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連携する1つまたは複数のマイクロプロセッサ、あるいは任意の他のそのような構成として実装され得る。いくつかの実装形態では、特定のステップおよび方法が、所与の機能に固有である回路によって実行され得る。
[0116]1つまたは複数の観点では、説明した機能は、本明細書で開示する構造を含むハードウェア、デジタル電子回路、コンピュータソフトウェア、ファームウェア、およびそれらの上記構造の構造的等価物において、またはそれらの任意の組合せにおいて実装され得る。また、本明細書で説明した主題の実装形態は、1つまたは複数のコンピュータプログラムとして、すなわち、データ処理装置が実行するためにコンピュータ記憶媒体上に符号化された、またはデータ処理装置の動作を制御するための、コンピュータプログラム命令の1つまたは複数のモジュールとして、実施され得る。
[0117]本開示で説明した実装形態への様々な修正は当業者には容易に明らかであり得、本明細書で定義した一般原理は、本開示の趣旨または範囲から逸脱することなく他の実装形態に適用され得る。したがって、特許請求の範囲は、本明細書で示した実装形態に限定されるものではなく、本開示と、本明細書で開示する原理および新規の特徴とに一致する、最も広い範囲を与えられるべきである。さらに、「上側」および「下側」という用語は、図の説明を簡単にするために時々使用され、適切に配向されたページ上の図の配向に対応する相対位置を示すが、たとえば、実装されたIMODディスプレイ要素の適切な配向を反映しないことがあることを、当業者は容易に諒解されよう。
[0118]別個の実装形態に関して本明細書で説明したいくつかの特徴は、単一の実装形態において組合せで実装され得る。また、逆に、単一の実装形態に関して説明した様々な特徴は、複数の実装形態において別個に、あるいは任意の好適な部分組合せで実施され得る。その上、特徴は、いくつかの組合せで働くものとして上記で説明され、初めにそのように請求されることさえあるが、請求される組合せからの1つまたは複数の特徴は、場合によってはその組合せから削除され得、請求される組合せは、部分組合せ、または部分組合せの変形形態を対象とし得る。
[0119]同様に、動作は特定の順序で図面に示されているが、そのような動作は、望ましい結果を達成するために、示される特定の順序でまたは順番に実行される必要がないことを、あるいはすべての図示の動作が実行される必要があるとは限らないことを、当業者は容易に認識されよう。さらに、図面は、流れ図の形態でもう1つの例示的なプロセスを概略的に示し得る。ただし、図示されていない他の動作が、概略的に示される例示的なプロセスに組み込まれ得る。たとえば、1つまたは複数の追加の動作が、図示の動作のうちのいずれかの前に、後に、同時に、またはそれの間で、実行され得る。いくつかの状況では、マルチタスキングおよび並列処理が有利であり得る。その上、上記で説明した実装形態における様々なシステム構成要素の分離は、すべての実装形態においてそのような分離を必要とするものとして理解されるべきでなく、説明するプログラム構成要素およびシステムは、概して、単一のソフトウェア製品において互いに一体化されるか、または複数のソフトウェア製品にパッケージングされ得ることを理解されたい。さらに、他の実装形態が以下の特許請求の範囲内に入る。場合によっては、特許請求の範囲に記載される動作は、異なる順序で実行されてよく、それでも望ましい結果を達成することができる。