JP2017228388A - 酸化物超電導線材 - Google Patents

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Abstract

【課題】超電導コイルとして加工して含浸樹脂により固めた構造として超電導線材に熱収縮等の力が作用したとしても、酸化物超電導層等の剥離を防止することができる酸化物超電導線材を提供する。
【解決手段】テープ状の基材11の一方の面上に、中間層12と酸化物超電導層13とがこの順に積層され、さらに、少なくとも酸化物超電導層13の表面を覆う保護層14が設けられた構成の超電導積層体16を備え、金属テープ17が超電導積層体16の側面又は下面に接合材18により接合され、金属テープ17と積層体上面部16aとの間が固着されていない状態となっており、超電導積層体16の周囲に設けられる安定化層と酸化物超電導層13との間が、積層体上面部16aと安定化層との間の非固着的接触、又は、超電導積層体16の側面と安定化層との固着により、電気的に接続されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、酸化物超電導線材に関する。
REBaCu(RE123)等の一般式で表されるRE−Ba−Cu−O系超電導体(ただし、REは希土類を表す。)は、液体窒素温度(77K)を超える温度(〜90K)で超電導性を示す。この酸化物超電導体は、他の高温超電導体に比べて磁場中での臨界電流密度が高いことから、コイルや電力ケーブル等の応用が期待されている。この酸化物超電導体を用いた超電導線材は、基板上に中間層を形成し、その表面に酸化物超電導層を成膜し、更にその表面にAg,Cu等の保護層を形成することにより製造される。
また、特許文献1には、基板と中間層と酸化物超電導層と保護層を有する積層体の周囲に、酸化物超電導層への水分の浸入を抑えるため、2重のカバー部材を設けた酸化物超電導線材が記載されている。この構造の場合、第1カバー部材と第2カバー部材との間は、一面(底面)のみで接合され、他の面(両側面及び上面)には隙間が設けられている。
特開2013−186966号公報
酸化物超電導線材をコイルにして樹脂に含浸して用いる場合、超電導性を示す温度に冷却した際の線材と樹脂との熱収縮差や、通電時のフープ応力等により、剥離応力が作用して線材が劣化する可能性がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、超電導コイルとして加工して含浸樹脂により固めた構造として超電導線材に熱収縮等の力が作用したとしても、酸化物超電導層等の剥離を防止することができる酸化物超電導線材を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は、テープ状の基材の一方の面上に、中間層と酸化物超電導層とがこの順に積層され、さらに、少なくとも前記酸化物超電導層の表面を覆う保護層が設けられた構成の超電導積層体を備え、前記超電導積層体の周囲に、前記酸化物超電導層の表面を前記保護層が覆う部分である積層体上面部と前記超電導積層体の側面及び下面とを覆う金属テープが設けられ、前記金属テープが前記超電導積層体の側面又は下面に接合材により接合され、前記金属テープと前記積層体上面部との間が固着されていない状態となっており、前記超電導積層体の周囲に設けられる安定化層と前記酸化物超電導層との間が、前記積層体上面部と前記安定化層との間の非固着的接触、又は、前記超電導積層体の側面と前記安定化層との固着により、電気的に接続されていることを特徴とする酸化物超電導線材を提供する。
前記超電導積層体の側面に、又は側面及び下面に、めっきによる安定化層が形成されている構成を採用することも可能である。
前記金属テープが安定化層である構成を採用することも可能である。
前記金属テープが銅箔より高強度の金属箔である構成を採用することも可能である。
前記積層体上面部と前記金属テープとの間に、前記接合材に対して非付着性である非付着層が設けられている構成を採用することも可能である。
前記非付着層が、前記接合材が液体となる温度で密着力を有し、前記接合材が固体となる温度で密着力を有しないテープである構成を採用することも可能である。
前記非付着層が、酸化膜からなる構成を採用することも可能である。
前記非付着層が、シリコーン樹脂又はフッ素樹脂からなる構成を採用することも可能である。
前記金属テープの幅方向の両端部は、前記金属テープ同士が重なり合うことなく、前記超電導積層体の下面に接合されている構成を採用することも可能である。
本発明によれば、超電導コイルとして加工して含浸樹脂により固めた構造として超電導線材に熱収縮等の応力が作用したとしても、酸化物超電導層等の剥離を防止することができる。
第1実施形態の酸化物超電導線材を例示する断面図である。 第2実施形態の酸化物超電導線材を例示する断面図である。 第3実施形態の酸化物超電導線材を例示する断面図である。
以下、好適な実施形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
図1に、第1実施形態の酸化物超電導線材の断面図を示す。この断面図は、酸化物超電導線材10の長手方向に垂直な断面の構造を模式的に示している。酸化物超電導線材10は、超電導積層体16と、超電導積層体16の周囲に設けられた金属テープ17と、金属テープ17を超電導積層体16の周囲と接合する接合材18を含む。
超電導積層体16は、テープ状の基材11と、基材11の一方の面上に、中間層12と酸化物超電導層13と保護層14がこの順に積層された構成を有する。本明細書において、基材11、中間層12、酸化物超電導層13、保護層14等の各層が積層される方向が厚さ方向である。また、幅方向は、長手方向及び厚さ方向に垂直な方向である。超電導積層体16の側面は、幅方向の両側の各側面(一方又は両方)である。
基材11は、テープ状の金属基材であり、厚さ方向の両側に、それぞれ主面(一方の面及びこれに対向する裏面)を有する。基材11を構成する金属の具体例として、ハステロイ(登録商標)に代表されるニッケル合金、ステンレス鋼、ニッケル合金に集合組織を導入した配向Ni−W合金などが挙げられる。基材11の厚さは、目的に応じて適宜調整すれば良く、例えば10〜500μmの範囲である。基材11の裏面、側面、またはその両方には、接合材18に対する接合性を改善するため、Ag,Cu等の金属薄膜15をスパッタ等により形成してもよい。また、この金属薄膜15(第2の保護層)は、酸化物超電導層13の表面に形成される保護層14と一体化してもよい。
中間層12は、基材11と酸化物超電導層13との間に設けられる。中間層12は、多層構成でもよく、例えば基材11側から酸化物超電導層13側に向かう順で、拡散防止層、ベッド層、配向層、キャップ層等を有してもよい。これらの層は必ずしも1層ずつ設けられるとは限らず、一部の層を省略する場合や、同種の層を2以上繰り返し積層する場合もある。
拡散防止層は、基材11の成分の一部が拡散し、不純物として酸化物超電導層13側に混入することを抑制する機能を有する。拡散防止層は、例えば、Si、Al、GZO(GdZr)等から構成される。拡散防止層の厚さは、例えば10〜400nmである。
拡散防止層の上には、基材11と酸化物超電導層13との界面における反応を低減し、その上に形成される層の配向性を向上するためにベッド層を形成しても良い。ベッド層の材質としては、例えばY、Er、CeO、Dy、Eu、Ho、La等が挙げられる。ベッド層の厚さは、例えば10〜100nmである。
配向層は、その上のキャップ層の結晶配向性を制御するために2軸配向する物質から形成される。配向層の材質としては、例えば、GdZr、MgO、ZrO−Y(YSZ)、SrTiO、CeO、Y、Al、Gd、Zr、Ho、Nd等の金属酸化物を例示することができる。この配向層はIBAD(Ion-Beam-Assisted Deposition)法で形成することが好ましい。
キャップ層は、上述の配向層の表面に成膜されて、結晶粒が面内方向に自己配向し得る材料からなる。キャップ層の材質としては、例えば、CeO、Y、Al、Gd、ZrO、YSZ、Ho、Nd、LaMnO等が挙げられる。キャップ層の厚さは、50〜5000nmの範囲が挙げられる。
酸化物超電導層13は、酸化物超電導体から構成される。酸化物超電導体としては、特に限定されないが、例えば一般式REBaCu(RE123)で表されるRE−Ba−Cu−O系酸化物超電導体が挙げられる。希土類元素REとしては、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luのうちの1種又は2種以上が挙げられる。中でも、Y、Gd、Eu、Smの1種か、又はこれら元素の2種以上の組み合わせが好ましい。一般に、Xは、7−x(酸素欠損量x:約0〜1程度)である。超電導層の厚さは、例えば0.5〜5μm程度である。この厚さは、長手方向に均一であることが好ましい。
保護層14は、事故時に発生する過電流をバイパスしたり、酸化物超電導層13と保護層14の上に設けられる層との間で起こる化学反応を抑制したりする等の機能を有する。保護層14の材質としては、例えば銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、金と銀との合金、その他の銀合金、銅合金、金合金などが挙げられる。保護層14は、少なくとも酸化物超電導層13の表面(厚さ方向で、基材11側に対する反対側の面)を覆っている。さらに、保護層14が、酸化物超電導層13の側面、中間層12の側面、基材11の側面及び裏面から選択される領域の一部または全部を覆ってもよい。保護層14は2種以上又は2層以上の金属層から構成されてもよい。保護層14の厚さは、例えば1〜30μm程度であり、保護層14を薄くする場合は、10μm以下でもよい。
金属テープ17は、超電導積層体16の周囲で、積層体上面部16a側から幅方向に屈曲した断面形状を有する。これにより、酸化物超電導層13の側面を安定に覆うことができるため、酸化物超電導線材10の耐水性を向上することができる。本明細書において、積層体上面部16aとは、基材11上に酸化物超電導層13が積層された側の外面であり、例えば酸化物超電導層13の表面を保護層14が覆う部分である。また、積層体下面部16cとは、積層体上面部16aの反対側にあたる下面であり、例えば基材11の裏面あるいはその上に積層された金属薄膜15である。
金属テープ17に用いられる材料は、酸化物超電導線材10の用途により異なってもよい。例えば、超電導ケーブルや超電導モータなどに使用する場合は、常電導状態への転移時に発生する過電流を転流させるバイパスのメイン部として機能する必要があるため、良導電性の金属が好適に用いられる。良導電性の金属として、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属が挙げられる。この場合、金属テープ17が安定化層として機能する。
また、超電導線材を超電導限流器に使用する場合は、常電導状態への転移時に発生する過電流を瞬時に抑制する必要があるため、金属テープ17に高抵抗金属が好適に用いられる。高抵抗金属として、例えば、Ni−Cr等のNi系合金などが挙げられる。また、超電導積層体16の剥離強度をさらに向上するため、金属テープ17として、Cu箔等よりも高強度なSUS等の金属テープを用いることもできる。
本実施形態の場合、金属テープ17は、積層体上面部16aを覆うテープ上面部17aと、超電導積層体16の側面を覆うテープ側面部17bと、積層体下面部16cを覆うテープ下面部17cを含む。金属テープ17の展開状態では、テープ上面部17aの幅方向の両側にそれぞれテープ側面部17b及びテープ下面部17cをこの順で有することができる。テープ下面部17cは、積層体下面部16cの幅方向の両端部を覆うように、金属テープ17の両端部から構成することが好ましい。テープ上面部17a及びテープ下面部17cは略平坦で、例えば、テープ上面部17aとテープ下面部17cとが互いに平行であることが好ましい。金属テープ17の厚さは、例えば15〜300μm程度である。
金属テープ17は、接合材18により、超電導積層体16に接合されている。ただし、金属テープ17は、接合材18により超電導積層体16の側面又は下面に接合されているが、金属テープ17と積層体上面部16aとの間は固着されていない。これにより、外力が金属テープ17に作用しても、超電導積層体16の内部(特に酸化物超電導層13及びその周囲との界面)では外力を受けないため、酸化物超電導層13が剥離しにくく、高強度の酸化物超電導線材10となる。接合材18は、超電導積層体16の両側面及び下面の3面に対して金属テープ17を接合してもよく、これにより水分に対する密閉性を向上できる。
接合材18を構成する接合材としては、例えばSn−Pb系、Pb−Sn−Sb系、Sn−Pb−Bi系、Bi−Sn系、Sn−Cu系、Sn−Pb−Cu系、Sn−Ag系などの半田、Sn、Sn合金、In、In合金、Zn、Zn合金、Ga、Ga合金などの金属が挙げられる。接合材の融点は、例えば500℃以下、さらには300℃以下が挙げられる。接合材18の厚さは、例えば1〜10μmである。
金属テープ17が銅箔等の良導電性材料である場合、超電導積層体16の周囲に設けられる金属テープ17と酸化物超電導層13との間を電気的に接続することにより、金属テープ17を安定化層(テープ安定化層)として機能させることができる。電気的接続の手法としては、例えば、積層体上面部16aと金属テープ17との間が非固着的に接触する、又は、超電導積層体16の側面が金属テープ17と固着される等が挙げられる。超電導積層体16の側面又は下面と金属テープ17との固着は、接合材18を介した接合でもよい。
超電導積層体16の側面に、Cu,Ag,Al等の金属めっき(図示せず)による安定化層(めっき安定化層)が形成されてもよい。めっき安定化層が、超電導積層体16の側面と金属テープ17の側面との間に形成されることにより、めっき安定化層が酸化物超電導層13及び保護層14の側面に固着され、電気的にも接続される。めっき安定化層を超電導積層体16の側面から下面に延長してもよい。テープ安定化層とめっき安定化層とを併用することも可能である。安定化層の材料としては、分流回路として機能するように電気抵抗が低い材料が好ましく、さらに冷媒との熱交換を確保するため、熱伝導性が高い材料が好ましい。めっき安定化層の厚さは、例えば15〜300μm程度である。
なお、金属テープ17は、上述したように、高抵抗金属、高強度金属等から構成されてもよい。この場合、酸化物超電導層13の剥離防止や防水のため、積層体上面部16aと金属テープ17との間を非固着的に接触させてもよいが、超電導状態の安定化のため、超電導積層体16の側面にめっき安定化層を設けることが好ましい。
超電導積層体16の周囲に金属テープ17及び接合材18を設ける方法としては、超電導積層体16の周囲に金属テープ17を配置する工程、超電導積層体16の外形に沿って金属テープ17を折り曲げる工程(フォーミング)、超電導積層体16及び金属テープ17を加熱及び加圧して接合材18の一部又は全部を溶融させる工程(再溶融、リフロー)、加圧を継続しながら全体を冷却して接合材を固化させる工程を含む方法が挙げられる。
接合材18の供給方法は特に限定されず、あらかじめ超電導積層体16または金属テープ17の一方または両方に付着させておいてもよく、あるいは、超電導積層体16と金属テープ17との間に液体または固体状の接合材を供給してもよい。2種以上の供給方法を併用することも可能である。超電導積層体16または金属テープ17に接合材18を付着させる方法としては、接合材をスパッタする方法、接合材をめっきする方法(電気めっき等)、溶融した接合材を用いる方法(溶融めっき等)、これらの2以上の組み合わせ等が挙げられる。
金属テープ17の展開状態における幅は、超電導積層体16の外周よりも短いことが好ましい。これにより、金属テープ17が超電導積層体16の外周を囲むように成形したとき、金属テープ17の幅方向の両端部同士が重なり合わないので、金属テープ17の端部が超電導積層体16から浮き上がりにくくなる。金属テープ17の幅方向の両端部の間に生じる隙間は、半田や溶接等により閉鎖部19を設けて密閉することが好ましい。
閉鎖部19は、この部位に充填された接合材により形成されてもよい。閉鎖部19を充填する接合材は、超電導積層体16と金属テープ17との接合後に形成することができる。このほか、溶接部により閉鎖部19を構成することもできる。溶接部は、溶接時に周囲の部材から拡散した材料、例えば基材11、金属テープ17、接合材18等の材料を含んでもよい。溶接部を形成する際、さらに外部から金属等の材料が供給されてもよい。閉鎖部19の外面は、金属テープ17の外面から突出または凹んでもよく、あるいは同一平面でもよい。
フォーミングの具体例として、平坦な金属テープ17の上に超電導積層体16を配置した後、フォーミングロール等を用いて、金属テープ17の幅方向の両端部をそれぞれ超電導積層体16の側面に向けて折り曲げ、さらに、金属テープ17の幅方向の両端部を積層体下面部16cに向かって折り曲げる工程が挙げられる。フォーミングによれば、同様の断面形状が超電導線材の長手方向に連続した製品を効率よく製造することができる。
金属テープ17と積層体上面部16aとの間を非固着とする手法としては、接合材18による接合の際に、積層体上面部16a又はそれに対向するテープ上面部17aのいずれか一方又は両方にフラックスが塗布されない面(非塗布面)を設ける等により、いずれか一方又は両方の面が接合材18で濡れないようにする方法が挙げられる。フラックスとしては、樹脂系フラックス、無機系フラックス、有機系フラックス、水溶性フラックス、溶剤系フラックス等があり、一般には、酸類、塩類等の活性剤が含まれている。例えば、塗布時に金属表面が活性化され、乾燥等により活性剤の機能が失活する液状フラックスの場合は、フラックス塗布面が、対向する金属面に触れても、対向面はフラックスにより活性化されにくい。例えば、積層体上面部16a上を非塗布面とし、金属テープ17は内面全体にフラックスを塗布すると、フラックス塗布面および非塗布面の位置合わせが容易になり、好ましい。
また、非塗布面を設ける代わりに、または非塗布面と併用して、積層体上面部16a又はテープ上面部17aの内面(いずれか一方又は両方の面)に、接合材18に対して非付着性を有する材料(非付着性材料)を介在させてもよい。
非付着性材料としては、酸化膜、シリコーン樹脂、テフロン(登録商標)等のフッ素樹脂等が挙げられる。酸化膜を非付着性材料とする場合は、積層体上面部16a又は金属テープ17の表面部で金属を酸化させて酸化膜を形成することもでき、アルミナ等の金属酸化物を外部から成膜することもできる。シリコーン樹脂、フッ素樹脂等の樹脂を非付着性材料とする場合は、液状、ゲル状、ゾル状、固体状等の各種性状から選択して用いることができる。また、非付着性材料として、接合材18が液体となる温度で密着力を有し、接合材18が固体となる温度で密着力を有しないテープ、例えば感温性の粘着剤、接着剤等を採用することも可能である。
図2に、第2実施形態の酸化物超電導線材の断面図を示す。この酸化物超電導線材20は、積層体上面部16aとテープ上面部17aとの間に、隙間21を有する以外は、第1実施形態の酸化物超電導線材10と同様に構成されている。本実施形態の酸化物超電導線材20の場合、金属テープ17が積層体上面部16aに対して非接触であってもよい。
図3に、第3実施形態の酸化物超電導線材の断面図を示す。この酸化物超電導線材30は、積層体上面部16aとテープ上面部17aとの間に非付着層31を有する以外は、第1実施形態の酸化物超電導線材10と同様に構成されている。非付着層31は、例えば上述の非付着性材料から構成することができる。
第2、第3実施形態の場合も、第1実施形態と同様、金属テープ17は、接合材18により超電導積層体16の側面又は下面に接合されているが、金属テープ17と積層体上面部16aとの間は固着されていない。このため、酸化物超電導層13が剥離しにくく、高強度の酸化物超電導線材20,30となる。積層体上面部16aに対して金属テープ17が接合していない場合、接合材18の一部がテープ上面部17aの内面に付着していてもよい。
テープ状の酸化物超電導線材を使用して超電導コイルを作製するには、超電導線材を巻き枠の外周面に沿って必要な層数巻き付けてコイル形状(多層巻きコイル)とした後、巻き付けた超電導線材を覆うようにエポキシ樹脂等の樹脂を含浸させて、超電導線材を固定することができる。
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
超電導線材は、外部端子を有することができる。外部端子を有する箇所では、他の箇所と異なる断面構造を有してもよい。
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
(1)ハステロイ(登録商標)C−276(米国ヘインズ社商品名)の基材(幅12mm×長さ1000mm×厚さ0.75mm)の表面を研磨した。
(2)アセトンで基材の表面を脱脂・洗浄した。
(3)イオンビームスパッタにより、基材上にAlの拡散防止層を100nm成膜した。
(4)イオンビームスパッタにより、拡散防止層上にYのベッド層を30nm成膜した。
(5)イオンビームアシスト蒸着法により、ベッド層上にMgOの配向層を5〜10nm成膜した。
(6)パルスレーザー蒸着法により、配向層上にCeOのキャップ層を500nm成膜した。
(7)パルスレーザー蒸着法により、キャップ層上にGdBaCu7−xの酸化物超電導層を2μm成膜した。
(8)酸化物超電導層の上面側(表面方向)からのスパッタにより、主として酸化物超電導層上に、Agの保護層を2μm成膜した。
(9)超電導積層体の酸素アニールを行った。
(10)超電導積層体を4mm幅にスリット加工した。
(11)超電導積層体の上面(表面)及び下面(裏面)にスパッタにより、Cuを1μm成膜した。
(12)超電導積層体の全周にめっきにより、Cuを20μm成膜した。
なお、保護層としては、(8)のAgスパッタのみでもよく、(11)のCuスパッタ、(12)のCuめっきを省略してもよい。
(13)厚さ20μmの無酸素銅箔を金属テープとして用いて、超電導積層体の周囲に半田付けし、酸化物超電導線材を得た。接合の際、超電導積層体の酸化物超電導層側の面(積層体上面部)にはフラックスを塗らず、半田が付着しないようにした。なお、接合に用いる半田は合金に限らず、Snでもよい。また、積層体上面部に、半田が付着しない材料を積層してもよい。
これらの実施例によれば、酸化物超電導線材において、積層体上面部と金属テープとの間が固着されていないので、超電導積層体の層間剥離を抑制することができる。また、金属テープにより確実に超電導積層体が封止され、水分の侵入による酸化物超電導層の劣化を抑制することができる。
10,20,30…酸化物超電導線材、11…基材、12…中間層、13…酸化物超電導層、14…保護層、15…金属薄膜、16…超電導積層体、16a…積層体上面部、17…金属テープ、18…接合材、21…隙間、31…非付着層。

Claims (9)

  1. テープ状の基材の一方の面上に、中間層と酸化物超電導層とがこの順に積層され、さらに、少なくとも前記酸化物超電導層の表面を覆う保護層が設けられた構成の超電導積層体を備え、
    前記超電導積層体の周囲に、前記酸化物超電導層の表面を前記保護層が覆う部分である積層体上面部と前記超電導積層体の側面及び下面とを覆う金属テープが設けられ、前記金属テープが前記超電導積層体の側面又は下面に接合材により接合され、前記金属テープと前記積層体上面部との間が固着されていない状態となっており、
    前記超電導積層体の周囲に設けられる安定化層と前記酸化物超電導層との間が、前記積層体上面部と前記安定化層との間の非固着的接触、又は、前記超電導積層体の側面と前記安定化層との固着により、電気的に接続されていることを特徴とする酸化物超電導線材。
  2. 前記超電導積層体の側面に、又は側面及び下面に、めっきによる安定化層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の酸化物超電導線材。
  3. 前記金属テープが安定化層であることを特徴とする請求項1又は2に記載の酸化物超電導線材。
  4. 前記金属テープが銅箔より高強度の金属箔であることを特徴とする請求項1又は2に記載の酸化物超電導線材。
  5. 前記積層体上面部と前記金属テープとの間に、前記接合材に対して非付着性である非付着層が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の酸化物超電導線材。
  6. 前記非付着層が、前記接合材が液体となる温度で密着力を有し、前記接合材が固体となる温度で密着力を有しないテープであることを特徴とする請求項5に記載の酸化物超電導線材。
  7. 前記非付着層が、酸化膜からなることを特徴とする請求項5に記載の酸化物超電導線材。
  8. 前記非付着層が、シリコーン樹脂又はフッ素樹脂からなることを特徴とする請求項5に記載の酸化物超電導線材。
  9. 前記金属テープの幅方向の両端部は、前記金属テープ同士が重なり合うことなく、前記超電導積層体の下面に接合されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の酸化物超電導線材。
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