以下、本発明を詳細に説明する。なお、以下の記載は本発明の実施形態の一例であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらに特定されない。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル及び/又はメタクリル」を意味するものとし、また、「全固形分」とは、溶剤を除く感光性樹脂組成物の成分の全量を意味するものとする。さらに、本発明において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
また、本発明において、「(共)重合体」とは、単一重合体(ホモポリマー)と共重合体(コポリマー)の双方を含むことを意味し、また、「(酸)無水物」、「(無水)…酸」とは、酸とその無水物の双方を含むことを意味する。
本発明において、隔壁材とはバンク材、壁材、ウォール材をさし、同様に、隔壁とはバンク、壁、ウォールをさす。
本発明において、重量平均分子量とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)をさす。
[1]隔壁形成用感光性樹脂組成物
本発明の隔壁形成用感光性樹脂組成物は、(A)光重合開始剤、(B)エチレン性不飽和化合物及び(C)アルカリ可溶性樹脂を含有する隔壁形成用感光性樹脂組成物であって、前記(A)光重合開始剤がヘキサアリールビイミダゾール化合物を含有し、さらに(D)増感剤を含有することを特徴とする。必要に応じてさらにその他の成分を含んでいてもよく、例えば(E)撥液剤、(F)チオール化合物、(G)重合禁止剤、(H)紫外線吸収剤を含んでいてもよい。
本発明において隔壁とは、例えば、アクティブ駆動型有機電界発光素子における機能層(有機層)を区画するためのものであり、区画された領域に機能層を構成するための材料であるインクを吐出、乾燥することで、機能層及び隔壁からなる画素等を形成させていくために使用されるものである。
[1−1]隔壁形成用感光性樹脂組成物の成分及び組成
本発明の隔壁形成用感光性樹脂組成物を構成する成分及びその組成について説明する。
本発明の隔壁形成用感光性樹脂組成物(以下、単に「感光性樹脂組成物」という場合がある)は、(A)光重合開始剤、(B)エチレン性不飽和化合物及び(C)アルカリ可溶性樹脂を含有し、さらに(D)増感剤を含有する。通常は、さらに溶剤も含有する。また、本発明の隔壁形成用感光性樹脂組成物は、撥液性の隔壁を形成するために用いることが好ましく、係る観点からは(E)撥液剤を含有していることが好ましく、また、前記(A)〜(D)成分として撥液剤としての作用を示すものを用いてもよい。
[1−1−1](A)成分;光重合開始剤
本発明の隔壁形成用感光性樹脂組成物は、(A)光重合開始剤を含有し、該光重合開始剤は、ヘキサアリールビイミダゾール化合物を含む。ヘキサアリールビイミダゾール化合物は、吸光度が高いことから表面硬化性が高いため、高いテーパー角度が得られると考えられる。特に、エネルギー移動を受けやすいエネルギー順位を有することから、(D)増感剤を用いることによって表面硬化性が高くなり、高いテーパー角度が得られると考えられる。
また、ヘキサアリールビイミダゾールは、チオール化合物と共に用いた際には、チオールからチイルラジカルの生成が効率的に起こる傾向がある。チイルラジカルは酸素によって、失活されにくいため、通常酸素失活の影響を受けやすい表面においても十分に硬化するために、テーパー角度が大きくなる傾向がある。
ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、テーパー角度増大の観点から、下記一般式(1−1)及び/又は下記一般式(1−2)で表されるヘキサアリールビイミダゾール系光ラジカル開始剤が好ましい。
上記式中、R1〜R3は、各々独立に置換基を有してもよい炭素数1〜4のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数1〜4のアルコキシ基、又はハロゲン原子を表し、l、m及びnは、各々独立に0〜5の整数を表す。
R1〜R3のアルキル基の炭素数は1〜4の範囲内であれば特に限定されないが、テーパー角度増大の観点から、好ましくは3以下、より好ましくは2以下である。アルキル基は鎖状のものでも、環状のものでもよい。アルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が挙げられ、中でもメチル基、エチル基が好ましい。R1〜R3の炭素数1〜4のアルキル基が有してもよい置換基としては、水素を除く1価の非金属原子団の基が用いられ、好ましい例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基が挙げられる。
また、R1〜R3のアルコキシ基の炭素数は1〜4の範囲内であれば特に限定されないが、テーパー角度増大の観点から、好ましくは3以下、より好ましくは2以下である。アルコキシ基のアルキル基部分は鎖状のものでも、環状のものでもよい。アルコキシ基の具体例とは、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基が挙げられ、中でもメトキシ基、エトキシ基が好ましい。R1〜R3の炭素数1〜4のアルコキシ基が有してもよい置換基としてはアルキル基、アルコキシ基が挙げられるが、好ましくはアルキル基である。
また、R1〜R3のハロゲン原子とは、例えば、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子、フッ素原子が挙げられ、中でも合成容易性の観点から、塩素原子又はフッ素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
これらの中でも、感度や合成容易性の観点から、R1〜R3は各々独立にハロゲン原子であることが好ましく、塩素原子であることがより好ましい。
m、n及びlは、各々独立に0〜5の整数を表すが、合成容易性の観点から、m、n及びlの少なくとも1つが1以上の整数であることが好ましく、m、n及びlのうちいずれか2つが0であり、かつ、残りの1つが1であることがより好ましい。
一般式(1−1)及び/又は一般式(1−2)で表されるヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、例えば、2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4′,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−メチルフェニル)−4,5,4′,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラ(o,p−ジクロロフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラ(o,p−ジクロロフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラ(p−フルオロフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラ(o,p−ジブロモフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4′,5,5′−テトラ(o,p−ジクロロフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラ(p−クロロナフチル)ビイミダゾール等が挙げられる。中でも、ヘキサフェニルビイミダゾール化合物が好ましく、そのイミダゾール環上の2,2′−位に結合したベンゼン環のo−位がメチル基、メトキシ基、又はハロゲン原子で置換されたものが更に好ましく、そのイミダゾール環上の4,4′,5,5′−位に結合したベンゼン環が無置換、又は、ハロゲン原子若しくはメトキシ基で置換されたもの等が好ましい。
(A)光重合開始剤として、一般式(1−1)で表されるヘキサアリールビイミダゾール化合物と一般式(1−2)で表されるヘキサアリールビイミダゾール化合物のいずれかを用いても良く、両者を併用して用いても良い。併用して用いる場合には、その比率については特に限定されない。なお、実施例で用いた(A−1)は、一般式(1−1)を満足する構造を有する。
本発明の隔壁形成用感光性樹脂組成物の(A)光重合開始剤は、ヘキサアリールビイミダゾール化合物以外のその他の光重合性開始剤を含有していてもよい。
その他の光重合開始剤としては、この分野で通常用いられている光重合開始剤を使用することができる。このような光重合開始剤としては、例えば、アシルホスフィンオキサイド系光ラジカル開始剤、オキシム系光ラジカル開始剤、トリアジン系光ラジカル開始剤、アセトフェノン系光ラジカル開始剤、ベンゾフェノン系光ラジカル開始剤、ヒドロキシベンゼン系光ラジカル開始剤、チオキサントン系光ラジカル開始剤、アントラキノン系光ラジカル開始剤、ケタール系光ラジカル開始剤、チタノセン系光ラジカル開始剤、ハロゲン化炭化水素誘導体系光ラジカル開始剤、有機硼素酸塩系光ラジカル開始剤、オニウム塩系光ラジカル開始剤、スルホン化合物系光ラジカル開始剤、カルバミン酸誘導体系光ラジカル開始剤、スルホンアミド系光ラジカル開始剤、トリアリールメタノール系光ラジカル開始剤が挙げられる。
アシルホスフィンオキサイド系光ラジカル開始剤としては、例えば、下記に示す化合物を挙げることができる
(上記構造式中、Meはメチル基を示す。)
上記化合物のなかではビスアシルホスフィンオキサイド誘導体が好ましく、より好ましくはビスアシルフェニルホスフィンオキサイド誘導体であり、最も好ましいのは長波長に吸収領域をもつ(a−1)に示す化合物である。
オキシム系光ラジカル開始剤としては、特表2004−534797号公報、特開2000−80068号公報、特開2006−36750号公報、特開2008−179611号公報、特表2012−526185号公報、特表2012−519191号公報等に記載されているオキシムエステル化合物が挙げられる。中でも感度の観点からN−アセトキシ−N−{4−アセトキシイミノ−4−[9−エチル−6−(o−トルオイル)−9H−カルバゾール−3−イル]ブタン−2−イル}アセトアミド、N−アセトキシ−N−{3−(アセトキシイミノ)−3−[9−エチル−6−(1−ナフトイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−メチルプロピル}アセトアミド、4−アセトキシイミノ−5−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−5−オキソペンタン酸メチルが、また製品名として、OXE−01、OXE−02(BASF社製)、TR−PBG−304、TR−PBG−305(常州強力電子新材料社製)、NCI−831、NCI−930(ADEKA社製)等を好ましいものとして挙げることができる。
トリアジン系光ラジカル開始剤としては、感度の観点から2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシカルボニルナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等を好ましいものとして挙げることができる。
アセトフェノン系光ラジカル開始剤としては、例えば、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1−ヒドロキシ−1−(p−ドデシルフェニル)ケトン、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル−(p−イソプロピルフェニル)ケトン、1−トリクロロメチル−(p−ブチルフェニル)ケトン、α−ヒドロキシ−2−メチルフェニルプロパノン、及びαーアミノアセトフェノン等が、また、ベンゾフェノン系光ラジカル開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、ミヒラーケトン等が、また、ヒドロキシベンゼン系光ラジカル開始剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルベンゾフェノン、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が、また、チオキサントン系光ラジカル開始剤としては、例えば、チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン等が、また、アントラキノン系光ラジカル開始剤としては、例えば、2−メチルアントラキノン等が、また、ケタール系光ラジカル開始剤としては、例えば、ベンジルジメチルケタール等が、それぞれ挙げられる。
チタノセン系光ラジカル開始剤としては、例えば、ジシクロペンタジエニルチタニウムジクロライド、ジシクロペンタジエニルチタニウムビスフェニル、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,4−ジフルオロフェニル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,6−ジフルオロフェニル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,4,6−トリフルオロフェニル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)、ジ(メチルシクロペンタジエニル)チタニウムビス(2,6−ジフルオロフェニル)、ジ(メチルシクロペンタジエニル)チタニウムビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス〔2,6−ジフルオロ−3−(1−ピロリル)フェニル〕等が挙げられる。中でも、感度の観点からジシクロペンタジエニル構造とビスフェニル構造を有するチタン化合物が好ましく、ビスフェニル環のo−位がハロゲン原子で置換されたものが特に好ましい。
ハロゲン化炭化水素誘導体系光ラジカル開始剤としては、ハロメチル化s−トリアジン誘導体類が挙げられ、例えば、2,4,6−トリス(モノクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−n−プロピル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロロエチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3,4−エポキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔1−(p−メトキシフェニル)−2,4−ブタジエニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシ−m−ヒドロキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−i−プロピルオキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−エトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−エトキシカルボニルナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ベンジルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(ジブロモメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メトキシ−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン等のハロメチル化s−トリアジン誘導体類が挙げられ、中でも感度の観点から、ビス(トリハロメチル)−s−トリアジン類が好ましい。
また、有機硼素酸塩系光ラジカル開始剤としては、例えば、有機硼素アンモニウム錯体、有機硼素ホスホニウム錯体、有機硼素スルホニウム錯体、有機硼素オキソスルホニウム錯体、有機硼素ヨードニウム錯体、有機硼素遷移金属配位錯体等が挙げられ、その有機硼素アニオンとしては、例えば、n−ブチル−トリフェニル硼素アニオン、n−ブチル−トリス(2,4,6−トリメチルフェニル)硼素アニオン、n−ブチル−トリス(p−メトキシフェニル)硼素アニオン、n−ブチル−トリス(p−フルオロフェニル)硼素アニオン、n−ブチル−トリス(m−フルオロフェニル)硼素アニオン、n−ブチル−トリス(3−フルオロ−4−メチルフェニル)硼素アニオン、n−ブチル−トリス(2,6−ジフルオロフェニル)硼素アニオン、n−ブチル−トリス(2,4,6−トリフルオロフェニル)硼素アニオン、n−ブチル−トリス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)硼素アニオン、n−ブチル−トリス(p−クロロフェニル)硼素アニオン、n−ブチル−トリス(2,6−ジフルオロ−3−ピロリルフェニル)硼素アニオン等のアルキル−トリフェニル硼素アニオンが感度の観点から好ましく、又、対カチオンとしては、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、スルホニウムカチオン、ヨードニウムカチオン等のオニウム化合物が感度の観点から好ましく、テトラアルキルアンモニウム等の有機アンモニウムカチオンが感度の観点から特に好ましい。
また、オニウム塩系光ラジカル開始剤としては、例えば、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムブロマイド等のアンモニウム塩、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムp−トルエンスルホネート、ジフェニルヨードニウムカンファースルホネート、ジシクロヘキシルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ジシクロヘキシルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジシクロヘキシルヨードニウムp−トルエンスルホネート、ジシクロヘキシルヨードニウムカンファースルホネート等のヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウムカンファースルホネート、トリシクロヘキシルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、トリシクロヘキシルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリシクロヘキシルスルホニウムp−トルエンスルホネート、トリシクロヘキシルスルホニウムカンファースルホネート等のスルホニウム塩等が挙げられる。
また、スルホン化合物系光ラジカル開始剤としては、例えば、ビス(フェニルスルホニル)メタン、ビス(p−ヒドロキシフェニルスルホニル)メタン、ビス(p−メトキシフェニルスルホニル)メタン、ビス(α−ナフチルスルホニル)メタン、ビス(β−ナフチルスルホニル)メタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)メタン、ビス(t−ブチルスルホニル)メタン、フェニルスルホニル(シクロヘキシルスルホニル)メタン等のビス(スルホニル)メタン化合物、フェニルカルボニル(フェニルスルホニル)メタン、ナフチルカルボニル(フェニルスルホニル)メタン、フェニルカルボニル(ナフチルスルホニル)メタン、シクロヘキシルカルボニル(フェニルスルホニル)メタン、t−ブチルカルボニル(フェニルスルホニル)メタン、フェニルカルボニル(シクロヘキシルスルホニル)メタン、フェニルカルボニル(t−ブチルカルボニル)メタン等のカルボニル(スルホニル)メタン化合物、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−ヒドロキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−メトキシフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(α−ナフチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(β−ナフチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(t−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルスルホニル(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(スルホニル)ジアゾメタン化合物、フェニルカルボニル(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ナフチルカルボニル(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルカルボニル(ナフチルスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルカルボニル(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、t−ブチルカルボニル(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルカルボニル(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、フェニルカルボニル(t−ブチルカルボニル)ジアゾメタン等のカルボニル(スルホニル)ジアゾメタン化合物等が挙げられる。
また、カルバミン酸誘導体系光ラジカル開始剤としては、例えば、ベンゾイルシクロヘキシルカルバメート、2−ニトロベンジルシクロヘキシルカルバメート、3,5−ジメトキシベンジルシクロヘキシルカルバメート、3−ニトロフェニルシクロヘキシルカルバメート等が、又、そのスルホンアミド系光ラジカル開始剤としては、例えば、N−シクロヘキシル−4−メチルフェニルスルホンアミド、N−シクロヘキシル−2−ナフチルスルホンアミド等が、又、そのトリアリールメタノール系光ラジカル開始剤としては、例えば、トリフェニルメタノール、トリ(4−クロロフェニル)メタノール等が、それぞれ挙げられる。
これらの光重合開始剤は、感光性樹脂組成物中にその1種が単独で含まれていてもよく、2種以上が含まれていてもよい。ヘキサアリールビイミダゾール化合物を2種以上用いてもよいし、その他の光重合開始剤を2種以上用いてもよい。
本発明の感光性樹脂組成物中の(A)光重合開始剤の含有割合としては、感光性樹脂組成物の全固形分に対して、通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上、特に好ましくは2質量%以上であり、通常25質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下、特に好ましくは4質量%以下である。前記下限値以上とすることで表面が十分に硬化し、テーパー角度が高くなる傾向があり、また、前記上限値以下とすること内部硬化性が抑制され、テーパー角度が高くなる傾向がある。
本発明の感光性樹脂組成物中のヘキサアリールビイミダゾール化合物の含有割合は特に限定されないが、感光性樹脂組成物の全固形分に対して、通常25質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下、特に好ましくは4質量%以下であり、また、通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上、特に好ましくは2質量%以上である。前記下限値以上とすることで表面が十分に硬化し、テーパー角度が高くなる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで内部硬化性が抑制され、テーパー角度が高くなる傾向がある。
また、感光性樹脂組成物中の(B)エチレン性不飽和化合物に対する(A)光重合開始剤の配合比としては、(B)エチレン性不飽和化合物100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、2質量部以上がより好ましく、4質量部以上がさらに好ましく、また、200質量部以下が好ましく、100質量部以上がより好ましく、50質量部以下がさらに好ましく、20質量部以下がよりさらに好ましく、10質量部以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで表面が十分に硬化し、テーパー角度が高くなる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで内部硬化性が抑制され、テーパー角度が高くなる傾向がある。
[1−1−2](B)成分;エチレン性不飽和化合物
本発明の隔壁形成用感光性樹脂組成物は、(B)エチレン性不飽和化合物を含有する。(B)エチレン性不飽和化合物を含むことで、高感度となると考えられる。
ここで使用されるエチレン性不飽和化合物としては、エチレン性不飽和結合を分子内に1個以上有する化合物を意味するが、重合性、架橋性、およびそれに伴う露光部と非露光部の現像液溶解性の差異を拡大できる等の点から、エチレン性不飽和結合を分子内に2個以上有する化合物であることが好ましく、また、その不飽和結合は(メタ)アクリロイルオキシ基に由来するもの、つまり、(メタ)アクリレート化合物であることがさらに好ましい。
本発明においては、特に、1分子中にエチレン性不飽和結合を2個以上有する多官能エチレン性単量体を使用することが望ましい。多官能エチレン性単量体が有するエチレン性不飽和基の数は特に限定されないが、通常2個以上、好ましくは3個以上、より好ましくは4個以上であり、また、好ましくは15個以下、より好ましくは10個以下である。前記下限値以上とすることで重合性が向上して高感度となる傾向があり、前記上限値以下とすることで現像性がより良好となる傾向がある。
多官能エチレン性単量体の例としては、例えば脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;脂肪族ポリヒドロキシ化合物、芳香族ポリヒドロキシ化合物等の多価ヒドロキシ化合物と、不飽和カルボン酸及び多塩基性カルボン酸とのエステル化反応により得られるエステルなどが挙げられる。
前記脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、グリセロールアクリレート等の脂肪族ポリヒドロキシ化合物のアクリル酸エステル、これら例示化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたメタクリル酸エステル、同様にイタコネートに代えたイタコン酸エステル、クロネートに代えたクロトン酸エステルもしくはマレエートに代えたマレイン酸エステル等が挙げられる。
芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、ハイドロキノンジアクリレート、ハイドロキノンジメタクリレート、レゾルシンジアクリレート、レゾルシンジメタクリレート、ピロガロールトリアクリレート等の芳香族ポリヒドロキシ化合物のアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル等が挙げられる。
多塩基性カルボン酸及び不飽和カルボン酸と、多価ヒドロキシ化合物のエステル化反応により得られるエステルとしては必ずしも単一物ではないが、代表的な具体例を挙げれば、アクリル酸、フタル酸、及びエチレングリコールの縮合物、アクリル酸、マレイン酸、及びジエチレングリコールの縮合物、メタクリル酸、テレフタル酸及びペンタエリスリトールの縮合物、アクリル酸、アジピン酸、ブタンジオール及びグリセリンの縮合物等が挙げられる。
その他、本発明に用いられる多官能エチレン性単量体の例としては、ポリイソシアネート化合物と水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル又はポリイソシアネート化合物とポリオール及び水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルを反応させて得られるようなウレタン(メタ)アクリレート類;多価エポキシ化合物とヒドロキシ(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリル酸との付加反応物のようなエポキシアクリレート類;エチレンビスアクリルアミド等のアクリルアミド類;フタル酸ジアリル等のアリルエステル類;ジビニルフタレート等のビニル基含有化合物等が有用である。
上記ウレタン(メタ)アクリレート類としては、例えば、DPHA−40H、UX−5000、UX−5002D−P20、UX−5003D、UX−5005(日本化薬社製)、U−2PPA、U−6LPA、U−10PA、U−33H、UA−53H、UA−32P、UA−1100H(新中村化学工業社製)、UA−306H、UA−510H、UF−8001G(協栄社化学社製)、UV−1700B、UV−7600B、UV−7605B、UV−7630B、UV7640B(日本合成化学社製)等が挙げられる。
これらの中でも、適正なテーパー角度と感度の観点から(B)エチレン性不飽和化合物として、エステル(メタ)アクリレート類又はウレタン(メタ)アクリレート類を用いることが好ましく、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、2−トリスアクリロイロキシメチルエチルフタル酸、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートの二塩基酸無水物付加物、ペンタエリスリトールトリアクリレートの二塩基酸無水物付加物等を用いることがより好ましい。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明において、(B)エチレン性不飽和化合物の分子量は特に限定されないが、感度、撥液性、テーパー角度の観点から、好ましくは100以上、より好ましくは150以上で、さらに好ましくは200以上、よりさらに好ましくは300以上、特に好ましくは400以上、最も好ましくは500以上であり、好ましくは1000以下、より好ましくは700以下である。また、(B)エチレン性不飽和化合物の炭素数は特に限定されないが、感度、撥液性、テーパー角度の観点から、好ましくは7以上、より好ましくは10以上、さらに好ましくは15以上、よりさらに好ましくは20以上、特に好ましくは25以上であり、好ましくは50以下、より好ましくは40以下、さらに好ましくは35以下、特に好ましくは30以下である。
また、感度、撥液性、テーパー角度の観点から、エステル(メタ)アクリレート類、エポキシ(メタ)アクリレート類、およびウレタン(メタ)アクリレート類が好ましく、中でも、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなど4官能以上のエステル(メタ)アクリレート類、2−トリスアクリロイロキシメチルエチルフタル酸、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートの二塩基酸無水物付加物等の4官能以上のエステル(メタ)アクリレート類への酸無水物の付加物が、感度、撥液性、テーパー角度の面でさらに好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物中の(B)エチレン性不飽和化合物の含有割合は、全固形分に対して通常10質量%以上、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上、通常80質量%以下、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは55質量%以下である。前記下限値以上とすることで露光時の感度やテーパー角度が良好となる傾向があり、前記上限値以下とすることで現像性やテーパー角度が良好となる傾向がある。
また、(C)アルカリ可溶性樹脂100質量部に対する(B)エチレン性不飽和化合物の含有割合は、通常15質量部以上、好ましくは30質量部以上、より好ましくは50質量部以上、さらに好ましくは80質量部以上、特に好ましくは100質量部以上、通常150質量部以下、好ましくは140質量部以下、より好ましくは130質量部以下、さらに好ましくは125質量部以下であることが好ましい。前記上限値以下とすることでテーパー角度が良好となり、有機EL素子としたときの電極の断線の発生を抑制できる傾向があり、前記下限値以上とすることで露光時に感度が良好となり、テーパー角度が良好となる傾向がある。
[1−1−3](C)成分;アルカリ可溶性樹脂
本発明の隔壁形成用感光性樹脂組成物は、(C)アルカリ可溶性樹脂を含有する。本発明において、アルカリ可溶性樹脂としては現像液で現像可能なものであれば特に限定されないが、現像液としてはアルカリ現像液が好ましいため、本発明においてはアルカリ可溶性樹脂を用いる。アルカリ可溶性樹脂としては、カルボキシル基又は水酸基含有の各種樹脂などが挙げられる。中でも、適度なテーパー角度の隔壁が得られること及び隔壁の熱溶融による流出が抑えられ撥液性を保持できることなどより、カルボキシル基を有するのが好ましく、エチレン性不飽和基を有するものであることがより好ましい。
以下に、(C−1)カルボキシル基含有(共)重合体、(C−2)側鎖にエチレン性不飽和基を有するカルボキシル基含有(共)重合体、(C−3)カルボキシル基及びエチレン性不飽和基含有樹脂について詳述する。
[1−1−3−a](C−1)カルボキシル基含有(共)重合体
[1−1−3−a−1]カルボキシル基含有(共)重合体(1)
カルボキシル基含有(共)重合体の代表的なものとしては、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸などの不飽和カルボン酸と、スチレン、α−メチルスチレン、ヒドロキシスチレンなどのスチレン類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−(メタ)アクリロイルモルホリンなどの(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリロニトリルなどの(メタ)アクリロニトリル類、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類、酢酸ビニルなどのビニル化合物類、などとの共重合体が挙げられる。
これらの中で、感度の観点から、(メタ)アクリレート−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリレート−(メタ)アクリル酸共重合体が好ましい。そして、(メタ)アクリレート−(メタ)アクリル酸共重合体においては、(メタ)アクリレート5〜80モル%と、(メタ)アクリル酸20〜95モル%とからなる共重合体が更に好ましく、(メタ)アクリレート10〜70モル%と、(メタ)アクリル酸30〜90モル%とからなる共重合体が特に好ましい。また、スチレン−(メタ)アクリレート−(メタ)アクリル酸共重合体においては、スチレン3〜60モル%、(メタ)アクリレート10〜70モル%、(メタ)アクリル酸10〜60モル%からなる共重合体がさらに好ましく、スチレン5〜50モル%、(メタ)アクリレート20〜60モル%、(メタ)アクリル酸15〜55モル%からなる共重合体が特に好ましい。
[1−1−3−a−2]カルボキシル基含有(共)重合体(2)
また、前記の不飽和カルボン酸に代えて、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに多塩基酸(無水物)を付加させた化合物と、前記のスチレン類、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリロニトリル類、(メタ)アクリルアミド類、ビニル化合物類、などとの共重合体が挙げられる。
そのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、また、多塩基酸(無水物)としては、コハク酸(無水物)、アジピン酸(無水物)、フタル酸(無水物)、テトラヒドロフタル酸(無水物)、ヘキサヒドロフタル酸(無水物)、マレイン酸(無水物)などが挙げられ、両者の反応化合物としては、コハク酸〔2−(メタ)アクリロイルエチル〕エステル、アジピン酸〔2−(メタ)アクリロイルエチル〕エステル、フタル酸〔2−(メタ)アクリロイルエチル〕エステル、ヘキサヒドロフタル酸〔2−(メタ)アクリロイルエチル〕エステル、マレイン酸〔2−(メタ)アクリロイルエチル〕エステル、コハク酸〔2−(メタ)アクリロイルプロピル〕エステル、アジピン酸〔2−(メタ)アクリロイルプロピル〕エステル、フタル酸〔2−(メタ)アクリロイルプロピル〕エステル、ヘキサヒドロフタル酸〔2−(メタ)アクリロイルプロピル〕エステル、マレイン酸〔2−(メタ)アクリロイルプロピル〕エステル、コハク酸〔2−(メタ)アクリロイルブチル〕エステル、アジピン酸〔2−(メタ)アクリロイルブチル〕エステル、フタル酸〔2−(メタ)アクリロイルブチル〕エステル、ヘキサヒドロフタル酸〔2−(メタ)アクリロイルブチル〕エステル、マレイン酸〔2−(メタ)アクリロイルブチル〕エステルなどが挙げられる。
これらのカルボキシル基含有(共)重合体は、現像溶解性の観点から、酸価が50〜500mg・KOH/gであることが好ましく、現像溶解性の観点から、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が1,000〜300,000であるのが好ましい。
[1−1−3−b](C−2)側鎖にエチレン性不飽和基を有するカルボキシル基含有(共)重合体
[1−1−3−b−1]不飽和カルボン酸と2種以上のエチレン性不飽和基を有する化合物との共重合体
側鎖にエチレン性不飽和基を有するカルボキシル基含有(共)重合体として、例えば、アリル(メタ)アクリレート、3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シンナミル(メタ)アクリレート、クロトニル(メタ)アクリレート、メタリル(メタ)アクリレート、N,N−ジアリル(メタ)アクリルアミドなどの2種以上のエチレン性不飽和基を有する化合物、または、ビニル(メタ)アクリレート、1−クロロビニル(メタ)アクリレート、2−フェニルビニル(メタ)アクリレート、1−プロペニル(メタ)アクリレート、ビニルクロトネート、ビニル(メタ)アクリルアミドなどの2種以上のエチレ性不飽和基を有する化合物と、(メタ)アクリル酸などの不飽和カルボン酸、またはさらに不飽和カルボン酸エステルなどとを、前者のエチレン性不飽和基を有する化合物の全体に占める割合を10〜90モル%、好ましくは30〜80モル%程度となるように共重合させて得られた共重合体などが挙げられる。
なお、この不飽和カルボン酸と2種以上のエチレン性不飽和基を有する化合物との共重合体の酸価は、現像溶解性の観点から、好ましくは30〜250mg・KOH/gであり、重量平均分子量(Mw)は、現像溶解性の観点から、好ましくは1,000〜300,000である。
[1−1−3−b−2]エポキシ基含有不飽和化合物変性カルボキシル基含有(共)重合体
また、側鎖にエチレン性不飽和基を有するカルボキシル基含有(共)重合体として、例えば、カルボキシル基含有(共)重合体に、エポキシ基含有不飽和化合物を反応させて、カルボキシル基含有(共)重合体のカルボキシル基の一部にエポキシ基含有不飽和化合物のエポキシ基を付加させて変性した変性カルボキシル基含有(共)重合体が挙げられる。
そのカルボキシル基含有(共)重合体としては、感度の観点から、前述したカルボキシル基含有(共)重合体の(メタ)アクリレート−(メタ)アクリル酸共重合体、及び、スチレン−(メタ)アクリレート−(メタ)アクリル酸共重合体などが好ましい。
また、そのエポキシ基含有不飽和化合物としては、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、α−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルクロトネート、グリシジルイソクロトネート、クロトニルグリシジルエーテル、イタコン酸モノアルキルモノグリシジルエステル、フマル酸モノアルキルモノグリシジルエステル、マレイン酸モルアルキルモノグリシジルエステルなどの脂肪族エポキシ基含有不飽和化合物、および、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、2,3−エポキシシクロペンチルメチル(メタ)アクリレート、7,8−エポキシ〔トリシクロ[5.2.1.0]デシ−2−イル〕オキシエチル(メタ)アクリレートなどの脂環式エポキシ基含有不飽和化合物が挙げられる。
そして、これらのエポキシ基含有不飽和化合物を、カルボキシル基含有(共)重合体の有するカルボキシル基の5〜90モル%、好ましくは30〜70モル%程度を反応させることにより得られる。なお、反応は公知の方法により実施することができる。
なお、このエポキシ基含有不飽和化合物変性カルボキシル基含有(共)重合体の酸価は、現像性の観点から、好ましくは30〜250mg・KOH/gであり、現像性の観点から、重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1,000〜300,000である。
[1−1−3−b−3]不飽和カルボン酸変性エポキシ基およびカルボキシル基含有(共)重合体
また、側鎖にエチレン性不飽和基を有するカルボキシル基含有(共)重合体として、例えば、(メタ)アクリル酸などの不飽和カルボン酸と、前述の脂肪族エポキシ基含有不飽和化合物または脂環式エポキシ基含有不飽和化合物、またはさらに不飽和カルボン酸エステルやスチレンなどとを、前者のカルボキシル基含有不飽和化合物の全体に占める割合を10〜90モル%、好ましくは30〜80モル%程度となるように共重合させて得られた共重合体に、(メタ)アクリル酸などの不飽和カルボン酸を反応させて、該共重合体のエポキシ基に不飽和カルボン酸のカルボキシル基を付加させて変性した変性エポキシ基およびカルボキシル基含有(共)重合体が挙げられる。
なお、この不飽和カルボン酸変性エポキシ基およびカルボキシル基含有(共)重合体の酸価は、現像性の観点から、好ましくは30〜250mg・KOH/gであり、現像性の観点から、重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1,000〜300,000である。
[1−1−3−b−4]酸変性エポキシ基含有(共)重合体
また、側鎖にエチレン性不飽和基を有するカルボキシル基含有(共)重合体として、エポキシ基含有(メタ)アクリレートとエチレン性不飽和化合物との共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部にエチレン性不飽和モノカルボン酸を付加し、さらに付加により生じた水酸基の少なくとも一部に多塩基酸(無水物)を付加して得られる酸変性エポキシ基含有(共)重合体が挙げられる。
具体的には、グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有(メタ)アクリレート5〜99モル%と、(メタ)アクリル酸エステルなどのエチレン性不飽和化合物通常2〜95モル%との共重合体を、共重合体に含まれるエポキシ基の通常10〜100モル%に、エチレン性不飽和モノカルボン酸を付加し、さらに付加したときに生成する水酸基の通常10〜100モル%に、多塩基酸(無水物)を付加して得られる酸変性エポキシ基含有(共)重合体が挙げられる。
ここで、前記共重合体におけるエポキシ基含有(メタ)アクリレートの共重合割合は特に限定されないが、通常5モル%以上、好ましくは20モル%以上、より好ましくは40モル%以上、さらに好ましくは60モル%以上、よりさらに好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上であり、通常99モル%以下、好ましくは98モル%以下、より好ましくは95モル%以下である。前記下限値以上とすることで高感度となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで適度な現像溶解性となる傾向がある。
一方、前記共重合体におけるエチレン性不飽和化合物の共重合割合は特に限定されないが、通常1モル%以上、好ましくは3モル%以上、より好ましくは5モル%以上であり、通常90モル%以下、好ましくは70モル%以下、より好ましくは50モル%以下、さらに好ましくは30モル%以下、特に好ましくは10モル%以下である。前記下限値以上とすることで高感度となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで適度な現像溶解性となる傾向がある。
エポキシ基含有(メタ)アクリレートとしては、グリシジル(メタ)アクリレート、α−エチルグリシジル(メタ)アクリレートなどの脂肪族エポキシ基含有(メタ)アクリレート;3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、2,3−エポキシシクロペンチルメチル(メタ)アクリレート、7,8−エポキシ〔トリシクロ[5.2.1.0]デシ−2−イル〕オキシエチル(メタ)アクリレートなどの脂環式エポキシ基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。
ここで、エチレン性不飽和化合物としては、例えば、下記式(II)で表される部分構造を有するモノ(メタ)アクリレートの1種または2種以上を用いることが好ましい。
式(II)中、R1d〜R4dは、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表し、R5d及びR6dは、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表す。また、R5dとR6dとは連結して環を形成していてもよい。R5dとR6dとが連結して形成される環は、好ましくは脂肪族環であり、飽和又は不飽和の何れでもよく、該環の炭素数は好ましくは5〜6である。
R1d〜R4dにおけるアルキル基の炭素数は通常1以上であり、通常10以下、好ましくは8以下、より好ましくは5以下である。前記上限値以下とすることで適切な現像溶解性となる傾向がある。
これらの中でも、溶解性の観点から、R1d〜R4dは水素原子であることが好ましい。
R5d及びR6dにおけるアルキル基の炭素数は通常1以上であり、また、通常10以下、好ましくは8以下、より好ましくは5以下である。前記下限値以上とすることで適切な溶解性を示す傾向があり、また、前記上限値以下とすることで親水性が保持される傾向がある。
これらの中でも、現像溶解性の観点から、R5d及びR6dが水素原子であるか、R5dとR6dとが連結して炭素数5〜6の脂肪族環を形成していることが好ましい。
上記式(II)の中では、下記式(IIa)、(IIb)、または(IIc)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートが好ましい。これらの部分構造を導入することによって、モノ(メタ)アクリレートの耐熱性や強度を増すことが可能である。なお、これらのモノ(メタ)アクリレートは、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
前記の式(II)で表される部分構造を有するモノ(メタ)アクリレートとしては、公知の各種のものが使用できるが、硬化性の観点から、特に次の式(III)で表されるものが好ましい。
式(III)中、R9dは水素原子又はメチル基を表し、R10dは前記式(II)の部分構造を表す。
前記式(II)で表される部分構造を有するモノ(メタ)アクリレートを含有する場合、その共重合割合は、通常1モル%以上、好ましくは2モル%以上、また、通常、70モル%以下、好ましくは50モル%以下、より好ましくは30モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下、特に好ましくは5モル%以下である。前記下限値以上とすることで残膜率が高くなる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで残渣が少なくなる傾向がある。
一方で、エチレン性不飽和化合物としては、上述した式(II)で表される部分構造を有するモノ(メタ)アクリレート以外のエチレン性不飽和化合物(以下、「その他のエチレン性不飽和化合物」と称することがある)、例えば、スチレンのα−、o−、m−、p−アルキル、ニトロ、シアノ、アミド、エステル誘導体などのスチレン類、ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどのジエン類、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸−iso−プロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−sec−ブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボロニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸プロパギル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ナフチル、(メタ)アクリル酸アントラセニル、(メタ)アクリル酸アントラニノニル、(メタ)アクリル酸ピペロニル、(メタ)アクリル酸サリチル、(メタ)アクリル酸フリル、(メタ)アクリル酸フルフリル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフリル、(メタ)アクリル酸ピラニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェネチル、(メタ)アクリル酸クレジル、(メタ)アクリル酸−1,1,1−トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオルエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロ−n−プロピル、(メタ)アクリル酸パーフルオロ−iso−プロピル、(メタ)アクリル酸トリフェニルメチル、(メタ)アクリル酸クミル、(メタ)アクリル酸3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピルなどの(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジプロピルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジ−iso−プロピルアミド、(メタ)アクリル酸アントラセニルアミドなどの(メタ)アクリル酸アミド類、(メタ)アクリル酸アニリド、(メタ)アクリロイルニトリル、アクロレイン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン、酢酸ビニルなどのビニル化合物類、シトラコン酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチルなどの不飽和ジカルボン酸ジエステル類、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミドなどのモノマレイミド類、N−(メタ)アクリロイルフタルイミドなどのようなラジカル重合性化合物も挙げられる。
これらの中でも、より優れた耐熱性および強度を付与させるためには、その他のエチレン性不飽和化合物としては、スチレン、ベンジル(メタ)アクリレートおよびモノマレイミドから選択された少なくとも1種を使用することが有効である。この場合、耐熱性の観点から、スチレン、ベンジル(メタ)アクリレートおよびモノマレイミドから選択された少なくとも1種の共重合割合は、通常1モル%以上、好ましくは3モル%以上、また、通常、70モル%以下、好ましくは50モル%以下、より好ましくは30モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下である。
エポキシ基含有(メタ)アクリレートとエチレン性不飽和化合物との共重合体に含まれるエポキシ基に付加させるエチレン性不飽和モノカルボン酸としては、公知のものを使用することができ、硬化性の観点から、(メタ)アクリル酸が好ましい。前記共重合体に含まれるエポキシ基にエチレン性不飽和モノカルボン酸を付加させる量は、該共重合体に含まれるエポキシ基の通常10モル%以上、好ましくは30モル%以上、より好ましくは50モル%以上であり、さらに好ましくは70モル%以上であり、通常100モル%以下である。エチレン性不飽和モノカルボン酸の付加割合を前記下限値以上とすることで、硬化性を高めることができる傾向がある。なお、前記共重合体にエチレン性不飽和モノカルボン酸を付加させる方法としては公知の方法を採用することができる。
前記共重合体にエチレン性不飽和モノカルボン酸を付加させたときに生成する水酸基に付加させる多塩基酸(無水物)としては、特に限定されず公知のものを用いることができ、例えば、フタル酸(無水物)、テトラヒドロフタル酸(無水物)、ヘキサヒドロフタル酸(無水物)、コハク酸(無水物)、トリメリット酸(無水物)等が挙げられる。アウトガス低減の観点からはコハク酸(無水物)が好ましく、一方で、残膜率向上と残渣低減の観点からは、テトラヒドロフタル酸(無水物)が好ましい。多塩基酸(無水物)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。このような成分を付加させることにより、共重合体にアルカリ可溶性を付与することができる。
多塩基酸(無水物)を付加させる量は、前記共重合体にエチレン性不飽和モノカルボン酸を付加させたときに生成する水酸基の、通常5モル%以上、好ましくは10モル%以上である。また、通常100モル%以下、好ましくは、90モル%以下、より好ましくは80モル%以下である。前記下限値以上とすることで現像性を付与できる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像が進みすぎ膜溶解するのを抑制する傾向がある。なお、前記共重合体にエチレン性不飽和モノカルボン酸を付加させたときに生成する水酸基に多塩基酸(無水物)を付加させる方法としては、公知の方法を任意に採用することができる。
以上のエポキシ基含有(共)重合体のエチレン性不飽和モノカルボン酸および多塩基酸(無水物)による変性物には、多塩基酸(無水物)付加後に生成したカルボキシル基の一部に、グリシジル(メタ)アクリレートやエチレン不飽和基を有するグリシジルエーテル化合物を付加させることにより、さらに光感度を向上させることができる。また、多塩基酸(無水物)付加後に生成したカルボキシル基の一部にエチレン性不飽和基を有さないグリシジルエーテル化合物を付加させることにより、現像性を向上させることもできる。さらに、多塩基酸(無水物)付加後にこれらの両者を付加させてもよい。
なお、上述したエポキシ基含有(共)重合体のエチレン性不飽和モノカルボン酸および多塩基酸(無水物)による変性物としては、例えば、特開平8−297366号公報や特開2001−89533号公報に記載の樹脂が挙げられる。
また、酸変性エポキシ基含有(共)重合体の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、通常3,000以上、好ましくは5,000以上、また、通常100,000以下、好ましくは50,000以下、より好ましくは30,000以下、さらに好ましくは20,000以下、よりさらに好ましくは15,000以下、特に好ましくは10,000以下である。前記下限値以上とすることで相溶性を向上できる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで溶解性を確保できる傾向がある。また、分子量分布〔重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)〕は、硬化性の観点から、2.0〜5.0が好ましい。
また、酸変性エポキシ基含有(共)重合体の酸価は特に限定されないが、5mg・KOH/g以上が好ましく、10mg・KOH/g以上がより好ましく、20mg・KOH/g以上がさらに好ましく、また、150mg・KOH/g以下が好ましく、100mg・KOH/g以下がより好ましく、50mg・KOH/g以下がさらに好ましく。前記下限値以上とすることで溶解性を担保できる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで減膜を向上させることができる傾向がある。
[1−1−3−c](C−3)カルボキシル基及びエチレン性不飽和基含有樹脂
[1−1−3−c−1]酸変性エポキシ樹脂
カルボキシル基およびエチレン性不飽和基含有樹脂として、例えば、エポキシ樹脂のエチレン性不飽和基モノカルボン酸付加体に、多塩基酸(無水物)が付加された、カルボキシル基およびエチレン性不飽和基含有エポキシ樹脂、つまりいわゆるエポキシ(メタ)アクリレート樹脂が挙げられる。即ち、エポキシ樹脂のエポキシ基に、エチレン性不飽和モノカルボン酸のカルボキシ基が開環付加されることにより、エポキシ樹脂にエステル結合(−COO−)を介してエチレン性不飽和結合が付加されると共に、その際生じた水酸基に、多塩基酸(無水物)の一方のカルボキシ基が付加されたものが挙げられる。
ここで、エポキシ樹脂とは、熱硬化により樹脂を形成する以前の原料化合物をも含めて言うこととし、そのエポキシ樹脂としては、公知のエポキシ樹脂の中から適宜選択して用いることができる。具体的には、例えば、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂、ビスフェノールSエポキシ樹脂、フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ビフェニルノボラックエポキシ樹脂、トリスフェノールエポキシ樹脂、フェノールとジシクロペンタンとの重合エポキシ樹脂、ジハイドロオキシルフルオレン型エポキシ樹脂、ジハイドロオキシルアルキレンオキシルフルオレン型エポキシ樹脂、9,9−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)フルオレンのジグリシジルエーテル化物、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)アダマンタンのジグリシジルエーテル化物、などが挙げられる。中でも、高い硬化膜強度の観点から、ビスフェノールAエポキシ樹脂、フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、フェノールとジシクロペンタジエンとの重合エポキシ樹脂、9,9−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)フルオレンのジグリシジルエーテル化物、などが好ましく、ビスフェノールAエポキシ樹脂が更に好ましい。
また、エチレン性不飽和モノカルボン酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等、および、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート無水琥珀酸付加物、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートテトラヒドロ無水フタル酸付加物、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート無水琥珀酸付加物、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート無水フタル酸付加物、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートテトラヒドロ無水フタル酸付加物、(メタ)アクリル酸とε−カプロラクトンとの反応生成物などが挙げられる。中でも、感度の観点から、(メタ)アクリル酸が好ましい。
また、多塩基酸(無水物)としては、例えば、琥珀酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、3−メチルテトラヒドロフタル酸、4−メチルテトラヒドロフタル酸、3−エチルテトラヒドロフタル酸、4−エチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、3−メチルヘキサヒドロフタル酸、4−メチルヘキサヒドロフタル酸、3−エチルヘキサヒドロフタル酸、4−エチルヘキサヒドロフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、およびそれらの無水物などが挙げられる。中でも、画像再現性、現像性の観点から、コハク酸無水物、マレイン酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、またはヘキサヒドロフタル酸無水物が好ましく、コハク酸無水物又はテトラヒドロフタル酸無水物がより好ましく、コハク酸無水物が更に好ましい。
本発明における酸変性エポキシ樹脂の酸価は特に限定されないが、10mg・KOH/g以上が好ましく、20KOH/g以上がより好ましく、30mg・KOH/g以上がさらに好ましく、また、200mg・KOH/g以下が好ましく、180mg・KOH/g以下がより好ましく、150mg・KOH/g以下がさらに好ましく、100mg・KOH/g以下がよりさらに好ましく、80mg・KOH/g以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで密着性を向上できる傾向があり、また、前記上限値以下とすること溶解性を向上できる傾向がある。
また、酸変性エポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)は特に限定されないが、通常1,000以上、好ましくは2,000以上、より好ましくは3,000以上、さらに好ましくは4,000以上、よりさらに好ましくは5,000以上、特に好ましくは6,000以上であり、また、通常30,000以下、好ましくは20,000以下、より好ましくは15,000以下、さらに好ましくは10,000以下である。前記下限値以上とすることで密着性を向上できる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで適正な溶解性を維持できる傾向がある。
上記酸変性エポキシ樹脂は、従来公知の方法により合成することができる。具体的には、前記エポキシ樹脂を有機溶剤に溶解させ、触媒と熱重合禁止剤の共存下、前記エチレン性不飽和モノカルボン酸を加えて付加反応させ、更に多塩基酸(無水物)を加えて反応を続ける方法を用いることができる。
ここで、反応に用いる有機溶剤としては、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの有機溶剤の1種または2種以上が挙げられる。また、上記触媒としては、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、トリベンジルアミン等の第3級アミン類、テトラメチルアンモニウムクロライド、メチルトリエチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライドなどの第4級アンミニウム塩類、トリフェニルホスフィンなどの燐化合物、トリフェニルスチビンなどのスチビン類などの1種または2種以上が挙げられる。更に、熱重合禁止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、メチルハイドロキノンなどの1種または2種以上が挙げられる。
また、エチレン性不飽和モノカルボン酸の使用量としては、エポキシ樹脂のエポキシ基の1化学当量に対して通常0.7〜1.3化学当量、好ましくは0.9〜1.1化学当量となる量とすることができる。また、付加反応時の温度としては、通常60〜150℃、好ましくは80〜120℃の温度とすることができる。更に、多塩基酸(無水物)の使用量としては、前記付加反応で生じた水酸基の1化学当量に対して、通常0.1〜1.2化学当量、好ましくは0.2〜1.1化学当量となる量とすることができる。
本発明における前記酸変性エポキシ樹脂について、構成繰返し単位の具体例を以下に示す。
[1−1−3−c−2]変性フェノール樹脂
カルボキシル基及びエチレン性不飽和基含有樹脂として、例えば、フェノール樹脂のエチレン性不飽和基含有エポキシ化合物付加体に、多塩基酸(無水物)が付加された、カルボキシル基およびエチレン性不飽和基含有フェノール樹脂が挙げられる。即ち、フェノール樹脂のフェノール性水酸基に、エチレン性不飽和基含有エポキシ化合物のエポキシ基が開環付加されることにより、フェノール樹脂にエステル結合(−COO−)を介してエチレン性不飽和結合が付加されると共に、その際生じた水酸基に、多塩基酸(無水物)の一方のカルボキシ基が付加されたものが挙げられる。
ここで、フェノール樹脂としては、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,5−キシレノール、3,5−キシレノール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、プロピルフェノール、n−ブチルフェノール、t−ブチルフェノール、1−ナフトール、2−ナフトール、4,4’−ビフェニルジオール、ビスフェノール−A、ピロカテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、ピロガロール、1,2,4−ベンゼントリオール、安息香酸、4−ヒドロキシフェニル酢酸、サリチル酸、フロログルシノールなどのフェノール類の少なくとも1種を、酸触媒下、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、パラアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、フルフラールなどのアルデヒド類、または、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、の少なくとも1種と重縮合させたノボラック樹脂、および、その重縮合における酸触媒に代えてアルカリ触媒を用いる以外は同様にして重縮合させたレゾール樹脂などが挙げられる。ここで、上記フェノール類とアルデヒド類との縮合反応は、無溶剤下または溶剤中で行われる。
これらのノボラック樹脂、レゾール樹脂の重量平均分子量(Mw)は通常1,000〜20,000であり、好ましくは1,000〜10,000であり、更に好ましくは1,000〜8,000である。重量平均分子量を前記下限値以上とすることで画像強度が確保しやすい傾向があり、前記上限値以下とすることで現像性が確保しやすい傾向がある。
また、エチレン性不飽和基含有エポキシ化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、グリシジルオキシ(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)ビニルなどが挙げられる。これらのうち、特にグリシジル(メタ)クリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレートが好ましい。
ノボラック樹脂、レゾール樹脂などとエチレン性不飽和基含有エポキシ化合物との反応には公知の方法を用いることができる。例えばトリエチルアミン、ベンジルメチルアミンなどの3級アミン、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライドなどの4級アンモニウム塩、ピリジン、トリフェニルホスフィンなどの1種または2種以上を触媒として、有機溶剤中、反応温度50〜150℃で数〜数十時間反応させることにより、ノボラック樹脂、レゾール樹脂などにエチレン性不飽和基含有エポキシ化合物を付加することができる。
該触媒の使用量は、反応原料混合物(ノボラック樹脂、レゾール樹脂とエチレン性不飽和基含有エポキシ化合物との合計)に対して好ましくは0.01〜10質量%、特に好ましくは0.3〜5質量%である。また反応中の重合を防止するために、重合防止剤(例えばメトキノン、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ピロガロール、tert−ブチルカテコール、ジブチルヒドロキシトルエン、フェノチアジンなどの1種または2種以上)を使用することが好ましく、その使用量は、反応原料混合物に対して好ましくは0.01〜10質量%、特に好ましくは0.03〜5質量%である。
なお、ノボラック樹脂、レゾール樹脂などのフェノール性水酸基にエチレン性不飽和基含有エポキシ化合物を付加させる好ましい割合は、1〜99モル%である。この割合はフェノール性水酸基に対して加えるエチレン性不飽和基含有エポキシ化合物の量で調整できる。
また、多塩基酸(無水物)としては、例えば、公知のものが使用でき、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、クロレンド酸、メチルテトラヒドロフタル酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸などの二塩基性カルボン酸またはその無水物、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸などの多塩基性カルボン酸またはその無水物などが挙げられる。中でも好ましくは、テトラヒドロ無水フタル酸または無水コハク酸が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
多塩基酸(無水物)の付加率は、ノボラック樹脂、レゾール樹脂などとエチレン性不飽和基含有エポキシ化合物の反応物の水酸基の、通常10〜100モル%、好ましくは20〜100モル%、より好ましくは30〜100モル%である。この付加率を前記範囲内とすることで現像性が確保しやすい傾向がある。
[1−1−3−d]その他のアルカリ可溶性樹脂
その他、アルカリ現像液に対して劣化しやすい基板の有機電界素子に隔壁を設けようとする場合であって、弱アルカリ性のアルカリ性化合物の現像液、或いはアルカリ性化合物を含有しない現像液を用いる場合においては、アルカリ可溶性樹脂として、ポリビニルアルコール、あるいは前記[1−1−3−a−1]カルボキシル基含有(共)重合体(1)で挙げた共単量体(好ましい例としては、酢酸ビニルなど)を0.1〜40モル%、好ましくは1〜30モル%共重合させたビニルアルコール共重合体、あるいは前記[1−1−3−a−1]カルボキシル基含有(共)重合体(1)で挙げた共重合体をエステル化反応により0.1〜40モル%、好ましくは1〜30モル%導入した変性ポリビニルアルコールが好ましく用いられる。
また、さらに、適度なテーパー角形成と撥液性の保持を目的として、前記[1−1−3−c−1]酸変性エポキシ樹脂で挙げたエチレン性不飽和モノカルボン酸(好ましい例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸とε−カプロラクトンとの反応物など)、あるいはさらに多塩基酸(無水物)(好ましい例としては、テトラヒドロフタル酸無水物など)をエステル化反応により0.1〜30モル%、好ましくは0.5〜20モル%導入した変性ポリビニルアルコール、または、特開2008−45047号公報に記載の、(メタ)アクリロイル(オキシ)基あるいは(メタ)アクリルアミド基を有しアルデヒド基を有する化合物(好ましい例としては、4−アクリロイルオキシブタナールなど)、あるいはジアルキルアセタール基を有する化合物(好ましい例としては、N−(2,2−ジメトキシエチル)メタクリルアミドなど)をフォルマール反応により0.1〜30モル%、好ましくは0.5〜20モル%導入した変性ポリビニルアルコール、などが好ましく用いられる。
(C)アルカリ可溶性樹脂として、上述のものの中でも、テーパー角度の観点から、(C−2)側鎖にエチレン性不飽和基を有するカルボシキル基含有(共)重合体又は(C−3)カルボキシル基及びエチレン性不飽和基含有樹脂が好ましく、(C−2)側鎖にエチレン性不飽和基を有するカルボシキル基含有(共)重合体がより好ましく、酸変性エポキシ基含有(共)重合体がさらに好ましい。
以上の(C)成分のアルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)は特に限定されないが、2,000以上が好ましく、3,000以上がより好ましく、5,000以上がさらに好ましく、7,000以上が特に好ましく、また、50,000以下が好ましく、30,000以下がより好ましく、20,000以下がさらに好ましく、10,000以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで現像が進みすぎ膜溶解するのを抑制する傾向があり、前記上限値以下とすることで適度な現像溶解性を示す傾向がある。
また、(C)成分のアルカリ可溶性樹脂の酸価は特に限定されないが、10mg・KOH/g以上が好ましく、20mg・KOH/g以上がより好ましく30mg・KOH/g以上が好ましく、また、200mg・KOH/g以下が好ましく、150mg・KOH/g以下がより好ましく、100mg・KOH/g以下がさらに好ましく、70mg・KOH/g以下がよりさらに好ましく、50mg・KOH/g以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで適度な現像溶解性が得られる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで現像が進みすぎ膜溶解するのを抑制する傾向がある。
特には、剛直、高耐熱性、疎水性に優れる前記式(IIa)、(IIb)、(IIc)等の多環脂環骨格を有し側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリレート樹脂、具体的には、スチレン/グリシジルメタクリレート/トリシクロデカン骨格を有するモノメタアクリレート共重合体〔後記実施例に記載のアルカリ可溶性バインダー(C−1)〕が好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物中における(C)アルカリ可溶性樹脂の含有割合は、全固形分に対して、通常5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上、特に好ましくは40質量%以上、また、通常90質量%以下、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、特に好ましくは50質量%以下である。前記下限値以上とすることで適度な現像溶解性と感度にできる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで適度な現像溶解性と感度にできる傾向がある。
また、全固形分中における(B)エチレン性不飽和化合物及び(C)アルカリ可溶性樹脂の含有割合は、全固形分に対して、通常5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上、よりさらに好ましくは70質量%以上、特に好ましくは80質量%以上であり、また、通常99質量%以下、好ましくは97質量%以下、より好ましくは95質量%以下である。前記下限値以上とすることで適度な現像溶解性と感度にできる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで適度な現像溶解性と感度にできる傾向がある。
[1−1−4](D)成分;増感剤
本発明の隔壁形成用感光性樹脂組成物は、(D)増感剤を含有する。増感剤により感度が向上すると同時に、感光性樹脂組成物内部への光透過率が減少することで、テーパー角度が大きくなる傾向がある。特に、本発明の隔壁形成用感光性樹脂組成物は、ヘキサアリールビイミダゾール化合物を含有するものであるため、表面硬化性が大きくなり、テーパー角度が大きくなると考えられる。
本発明の感光性樹脂組成物は、(D)増感剤として、この分野で通常用いられている増感剤を使用することができる。このような増感剤としては、例えば、カルコン誘導体やジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2−ジケトン系化合物、ベンゾイン系化合物、フルオレン系化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、キサンテン系化合物、チオキサンテン系化合物、キサントン系化合物、チオキサントン系化合物、クマリン系化合物、ケトクマリン系化合物、シアニン系化合物、メロシアニン系化合物、オキソノ−ル誘導体等のポリメチン色素、アクリジン系化合物、アジン系化合物、チアジン系化合物、オキサジン系化合物、インドリン系化合物、アズレン系化合物、アズレニウム系化合物、スクアリリウム系化合物、ポルフィリン系化合物、テトラフェニルポルフィリン系化合物、トリアリールメタン系化合物、テトラベンゾポルフィリン系化合物、テトラピラジノポルフィラジン系化合物、フタロシアニン系化合物、テトラアザポルフィラジン系化合物、テトラキノキサリロポルフィラジン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、サブフタロシアニン系化合物、ピリリウム系化合物、チオピリリウム系化合物、テトラフィリン系化合物、アヌレン系化合物、スピロピラン系化合物、スピロオキサジン系化合物、チオスピロピラン系化合物、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体、ベンゾフェノン系化合物等が挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、感度向上とテーパー角度増大の観点から、チオキサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物が好ましい。
チオキサントン系化合物としては、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、4−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、4−エチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、4−クロロチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントンなどが挙げられる。これらの中でも、感度向上とテーパー角度増大の観点から2,4−ジエチルチオキサントンが好ましい。
ベンゾフェノン系化合物としては、ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノンなどが挙げられる。これらの中でも、感度向上とテーパー角度増大の観点から4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。
感光性樹脂組成物中の増感剤の含有割合は、感光性樹脂組成物の全固形分に対して、通常0.1質量%以上、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは0.8質量%以上、よりさらに好ましくは1質量%以上、特に好ましくは1.2質量%以上であり、また通常10質量%以下、好ましくは7質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。前記下限値以上とすることで感度を向上し、テーパー角度を高くすることができる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで所望のパターンを形成しやすくなる傾向がある。
[1−1−5](E)成分;撥液剤
本発明の隔壁形成用感光性樹脂組成物は、(F)撥液剤を含有していてもよい。特に、インクジェット法で有機電界発光素子を作成する場合には(E)撥液剤を含有することが好ましく、(E)撥液剤を含有することでそれが隔壁の表面に撥液性を付与できることから、得られる隔壁を有機層の画素ごとの混色を防ぐものとすることができると考えられる。
撥液剤としては、シリコーン含有化合物やフッ素系化合物が挙げられ、好ましくは、架橋基を含有する撥液剤(以下、「架橋基含有撥液剤」と称す場合がある。)が挙げられる。架橋基としては、エポキシ基又はエチレン性不飽和基が挙げられ、現像液の撥液成分の流出抑制の観点から、好ましくはエチレン性不飽和基である。
架橋基含有撥液剤を用いる場合には、形成した塗布膜を露光する際にその表面での架橋反応を加速することができ、撥液剤が現像処理で流出しにくくなり、その結果、得られる隔壁を高い撥液性を示すものとすることができると考えられる。
撥液剤としてフッ素系化合物を用いた場合には、当該フッ素化合物が隔壁の表面に配向して、インキのにじみや混色を防止する働きをする傾向がある。さらに詳しくは、フッ素原子を有する基が、インキをはじき、インキが隔壁を越えて隣接する領域に進入することによるインキのにじみや混色を防ぐ働きをする傾向がある。
架橋基含有撥液剤、特にエチレン性不飽和基含有フッ素系化合物の具体例としては、例えばパーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルアルキレンオキシド付加物、パーフルオロアルキルトリアルキルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル基と親水基を含むオリゴマー、パーフルオロアルキル基と親油基を含むオリゴマー、パーフルオロアルキル基と親水基と新油基を含むオリゴマー、パーフルオロアルキルと親水基を含むウレタン、パーフルオロアルキルエステル、パーフルオロアルキル燐酸エステルなどのフッ素含有有機化合物を挙げることができる。これらのフッ素含有化合物の市販品としては、DIC社製「メガファックF116」、「同F120」、「同F142D」、「同F144D」、「同F150」、「同F160」、「同F171」、「同F172」、「同F173」、「同F177」、「同F178A」、「同F178K」、「同F179」、「同F183」、「同F184」、「同F191」、「同F812」、「同F815」、「同F824」、「同F833」、「DEFENSAMCF300」、「同MCF310」、「同MCF312」、「同MCF323」、「同RS72K」、「同RS304」、「同RS202」、「同RS201」、「同RS102」、「同RS101」、「同RS105」、「同RS401」、「同RS402」、「同RS501」、「同RS502」、「同RS301」、「同RS303」、スリーエムジャパン社製「フロラードFC430」、「同FC431」、「ノベックFC−4430」、「同FC4432」、旭硝子社製「アサヒガードAG710」、「サーフロンS−382」、「同SC−101」、「同SC−102」、「同SC−103」、「同SC−104」、「同SC−105」、「同SC−106」、ダイキン工業社製「オブツールDAC―HP」などの商品名で市販されている含フッ素有機化合物を使用することができる。
このように、撥液剤としてフッ素系化合物を用いる場合において、撥液剤中のF原子含有量は特に制限されないが、好ましくはフッ素原子含有量が1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、また、50質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましい。前記下限値以上とすることで画素部への流出を抑制できる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで高い接触角を示す傾向がある。
撥液剤の分子量は特に制限されず、低分子量の化合物でも、高分子量体であってもよい。
高分子量体の撥液剤の方が、焼成による撥液剤の流動性が抑えられるため、バンクから撥液剤の流出を抑えることができるため好ましく、係る観点から撥液剤の数平均分子量は、100以上が好ましく、500以上がより好ましく、100000以下が好ましく、10000以下がより好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物中の(E)撥液剤の含有割合は、全固形分に対して通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、通常1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.35質量%以下である。前記下限値以上とすることで高い撥液性を示す傾向があり、また、前記上限値以下とすることで画素部への流出を抑制できる傾向がある。
一方で、本発明の隔壁形成用感光性樹脂組成物は、(E)撥液剤と共に界面活性剤を用いてもよく、また、(E)撥液剤に代えて界面活性剤を用いてもよい。界面活性剤は、隔壁形成用感光性樹脂組成物の塗布液としての塗布性、および塗布膜の現像性の向上などを目的として用いることができ、中でもフッ素系又はシリコーン系の界面活性剤が好ましい。
特に、現像の際、未露光部から感光性樹脂組成物の残渣を除去する作用があり、また、濡れ性を発現する機能を有することから、シリコーン系界面活性剤が好ましく、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤がさらに好ましい。
フッ素系界面活性剤としては、末端、主鎖および側鎖の少なくとも何れかの部位にフルオロアルキルまたはフルオロアルキレン基を有する化合物が好適である。具体的には、1,1,2,2−テトラフロロオクチル(1,1,2,2−テトラフロロプロピル)エーテル、1,1,2,2−テトラフロロオクチルヘキシルエーテル、オクタエチレングリコールジ(1,1,2,2−テトラフロロブチル)エーテル、ヘキサエチレングリコールジ(1,1,2,2,3,3−ヘキサフロロペンチル)エーテル、オクタプロピレングリコールジ(1,1,2,2−テトラフロロブチル)エーテル、ヘキサプロピレングリコールジ(1,1,2,2,3,3−ヘキサフロロペンチル)エーテル、パーフロロドデシルスルホン酸ナトリウム、1,1,2,2,8,8,9,9,10,10−デカフロロドデカン、1,1,2,2,3,3−ヘキサフロロデカンなどを挙げることができる。これらの市販品としては、例えば、BM Chemie社製「BM−1000」、「BM−1100」、DIC社製「メガファックF142D」、「メガファックF17F172」、「メガファックF173」、「メガファックF183」、「メガファックF470」、「メガファックF475」、スリーエムジャパン社製「FC430」、ネオス社製「DFX−18」などを挙げることができる。
また、シリコーン系界面活性剤としては、例えば、東レ・ダウコーニング社製「DC3PA」、「SH7PA」、「DC11PA」、「SH21PA」、「SH28PA」、「SH29PA」、「8032Additive」、「SH8400」、ビックケミー社製「BYK323」、「BYK330」などの市販品を挙げることができる。
界面活性剤として、フッ素系界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤以外のものを含んでいてもよく、その他、界面活性剤としては、ノニオン性、アニオン性、カチオン性、両性界面活性剤などが挙げられる。
上記ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類、ペンタエリスリット脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンペンタエリスリット脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ソルビット脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル類などが挙げられる。これらの市販品としては、例えば、花王社製の「エマルゲン104P」、「エマルゲンA60」などのポリオキシエチレン系界面活性剤などが挙げられる。
また、上記アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルスルホン酸塩類、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、アルキル硫酸エステル塩類、高級アルコール硫酸エステル塩類、脂肪族アルコール硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩類、アルキル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩類、特殊高分子系界面活性剤などが挙げられる。中でも、特殊高分子系界面活性剤が好ましく、特殊ポリカルボン酸型高分子系界面活性剤がさらに好ましい。このようなアニオン性界面活性剤としては市販品を用いることができ、例えば、アルキル硫酸エステル塩類では、花王社製「エマール10」等、アルキルナフタレンスルホン酸塩類では花王社製「ペレックスNB−L」など、特殊高分子系界面活性剤では花王社製「ホモゲノールL−18」、「ホモゲノールL−100」などが挙げられる
さらに、上記カチオン性界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩類、イミダゾリン誘導体類、アルキルアミン塩類などが、また、両性界面活性剤としては、ベタイン型化合物類、イミダゾリウム塩類、イミダゾリン類、アミノ酸類などが挙げられる。これらのうち、第4級アンモニウム塩類が好ましく、ステアリルトリメチルアンモニウム塩類がさらに好ましい。市販のものとしては、例えば、アルキルアミン塩類では花王社製「アセタミン24」など、第4級アンモニウム塩類では花王社製「コータミン24P」、「コータミン86W」などが挙げられる。
また、界面活性剤は2種類以上の組み合わせで用いてもよく、例えば、シリコーン系界面活性剤/フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤/特殊高分子系界面活性剤、フッ素系界面活性剤/特殊高分子系界面活性剤の組み合わせなどが挙げられる。中でも、シリコーン系界面活性剤/フッ素系界面活性剤の組み合わせが好ましい。このシリコーン系界面活性剤/フッ素系界面活性剤の組み合わせでは、例えば、/ネオス社製「DFX−18」、ビックケミー社製「BYK−300」または「BYK−330」/AGCセイミケミカル社製「S−393」、信越シリコーン社製「KP340」/DIC社製「F−478」または「F−475」、東レ・ダウコーニング社製「SH7PA」/ダイキン社製「DS−401」、NUC社製「L−77」/スリーエムジャパン社製「FC4430」などが挙げられる。
[1−1−6](F)成分;チオール化合物
本発明の隔壁形成用感光性樹脂組成物は、(F)チオール化合物を含有してもよい。チオール化合物のS−H結合は、エネルギーが小さいことによって、結合開裂が起こりやすく、水素引抜移動や連鎖移動反応が生じやすいため、感度や表面硬化性が高くなる傾向にある。
チオール化合物としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、2−メルカプト−4(3H)−キナゾリン、β−メルカプトナフタレン、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、へキサンジチオール、デカンジチオール、ブタンジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリスヒドロキシエチルトリスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールトリス(3−メルカプトプロピオネート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトブチレート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールトリス(3−メルカプトブチレート)、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、等が挙げられる。
このうち、テーパー角度及び感度を高める観点から、芳香族環をもつ化合物の中では、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾールが好ましく、脂肪族系化合物の中では、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールトリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールトリス(3−メルカプトブチレート)、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンが好ましい
また感度の面から、脂肪族多官能化合物がより好ましく、具体的には、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールトリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールトリス(3−メルカプトブチレート)、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンが好ましく、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)がより好ましい。
これらは種々のものが1種を単独で、或いは2種以上を混合して使用できる。
これらの中でも、テーパー角度を高める観点から、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、及び2−メルカプトベンゾオキサゾールよりなる群から選択された1又は2以上と、光重合開始剤とを組み合わせて、光重合開始剤系として使用することが好適である。例えば、2−メルカプトベンゾチアゾールを用いても良く、2−メルカプトベンゾイミダゾールを用いても良く、2−メルカプトベンゾチアゾールと2−メルカプトベンゾイミダゾールとを併用して用いても良い。
また、感度の観点から、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)よりなる群から選択された1又は2を用いることが好ましい。さらに、感度の観点から、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、及び2−メルカプトベンゾオキサゾールよりなる群から選択された1又は2以上と、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)よりなる群から選択された1又は2以上と、光重合開始剤とを組み合わせて用いることが好ましい。
本発明の感光性組成物中の、(F)チオール化合物の含有割合としては、感光性樹脂組成物の全固形分に対して、通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上、特に好ましくは1.5質量%以上であり、通常5質量%以下、好ましくは4質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。前記下限値以上とすることで感度が高くなる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで所望のパターンを形成しやすくなる傾向がある。
また、感光性樹脂組成物中の(A)光重合開始剤に対する(F)チオール化合物の配合比としては、(A)光重合開始剤100質量部に対して、10質量部以上が好ましく、25質量部以上がより好ましく、50質量部以上がさらに好ましく、また、500質量部以下が好ましく、400質量部以上がより好ましく、300質量部以下がさらに好ましく、200質量部以下が特に好ましい。前記下限値以上とすることで高感度となる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで所望のパターンを形成しやすくなる傾向がある。
[1−1−7](G)成分;重合禁止剤
本発明の隔壁形成用感光性樹脂組成物は、(G)重合禁止剤を含有してもよい。(G)重合禁止剤を含有することでそれがラジカル重合を阻害することから、得られる隔壁のテーパー角度を大きくすることができると考えられる。
重合禁止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、メチルヒドロキノン、メトキシフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−クレゾール(BHT)などが挙げられる。これらの中でも重合禁止能力の観点から、ハイドロキノン又はメトキシフェノールが好ましく、メチルハイドロキノンがより好ましい。
重合禁止剤は、1種又は2種以上を含有することが好ましい。通常、(C)アルカリ可溶性樹脂を製造する際に、当該樹脂中に重合禁止剤が含まれることがあり、それを本発明の(G)重合禁止剤として用いてもよいし、樹脂中に重合禁止剤の他に、それと同一、又は異なる重合禁止剤を感光性樹脂組成物製造時に添加してもよい。
感光性樹脂組成物中の重合禁止剤の含有割合は、感光性樹脂組成物の全固形分に対して、通常0.0005質量%以上、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上であり、また通常0.3質量%以下、好ましくは0.2質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下である。前記下限値以上とすることでテーパー角度を高くすることができる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで高感度を保つことができる傾向がある。
[1−1−8](H)成分;紫外線吸収剤
本発明の隔壁形成用感光性樹脂組成物は、(H)紫外線吸収剤を含有してもよい。紫外線吸収剤は、露光に用いられる光源の特定の波長を紫外線吸収剤によって吸収させることにより、光硬化分布を制御する目的で添加されるものである。紫外線吸収剤の添加により、現像後のテーパー角度形状を改善したり、現像後に非露光部に残る残渣をなくしたりするなどの効果が得られる。紫外線吸収剤としては、開始剤の光吸収の阻害の観点から、例えば、波長250nmから400nmの間に吸収極大を有する化合物を用いることができる。
紫外線吸収剤の例としては、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾフェノン化合物、ベンゾエート化合物、桂皮酸誘導体、ナフタレン誘導体、アントラセン及びその誘導体、ジナフタレン化合物、フェナントロリン化合物、染料等が挙げられる。
これらの紫外線吸収剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、テーパー角度を高める観点から、ベンゾトリアゾール化合物及び/又はヒドロキシフェニルトリアジン化合物が好ましく、ベンゾトリアゾール化合物が特に好ましい。
ベンゾトリアゾール系化合物としては、2−(5メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、オクチル−3[3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル]プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−[3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル]プロピオネートの混合物、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−tブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ベンゼンプロパン酸,3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ,C7−9側鎖及び直鎖アルキルエステルの化合物、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、が挙げられる。
市販されているベンゾトリアゾール系化合物としては例えば、スミソーブ200、スミソーブ250、スミソーブ300、スミソーブ340、スミソーブ350(住友化学製)、JF77、JF78、JF79、JF80、JF83(城北化学工業製)、TINUVIN PS、TINUVIN99−2、TINUVIN109、TINUVIN384−2、TINUVIN 326、TINUVIN900、「TINUVIN 928」、TINUVIN928、TINUVIN1130(BASF製)、EVERSORB70、EVERSORB71、EVERSORB72、EVERSORB73、EVERSORB74、EVERSORB75、EVERSORB76、EVERSORB234、EVERSORB77、EVERSORB78、EVERSORB80、EVERSORB81(台湾永光化学工業製)、トミソーブ100、トミソーブ600(エーピーアイコーポレーション製)、SEESORB701、SEESORB702、SEESORB703、SEESORB704、SEESORB706、SEESORB707、SEESORB709(シプロ化成製)、RUVA−93(大塚化学株式会社)などが挙げられる。
トリアジン系化合物としては、2−[4,6−ジ(2,4−キシリル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−オクチルオキシフェノール、2‐[4,6‐ビス(2,4‐ジメチルフェニル)‐1,3,5‐トリアジン‐2‐イル]‐5‐[3‐(ドデシルオキシ)‐2‐ヒドロキシプロポキシ]フェノール、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンと(2−エチルヘキシル−グリシド酸エステルの反応生成物、2,4−ビス「2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル」−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3−5−トリアジン等が挙げられる。これらの中でも、テーパー角度と露光感度の観点から、ヒドロキシフェニルトリアジン化合物が好ましい。
市販されているトリアジン系化合物としては例えば、TINUVIN400、TINUVIN405、TINUVIN460、TINUVIN477、TINUVIN479(BASF製)などを挙げることができる。
その他の紫外線吸収剤としては、例えば、スミソーブ130(住友化学製)、EVERSORB10、EVERSORB11、EVERSORB12(台湾永光化学工業製)、トミソーブ800(エーピーアイコーポレーション製)、SEESORB100、SEESORB101、SEESORB101S、SEESORB102、SEESORB103、SEESORB105、SEESORB106、SEESORB107、SEESORB151(シプロ化成製)などのベンゾフェノン化合物;スミソーブ400(住友化学製)、サリチル酸フェニルなどのベンゾエート化合物;桂皮酸2−エチルヘキシル、パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル、メトキシケイ皮酸イソプロピル、メトキシケイ皮酸イソアミル等の桂皮酸誘導体;α−ナフトール、β−ナフトール、α−ナフトールメチルエーテル、α−ナフトールエチルエーテル、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン等のナフタレン誘導体;アントラセン、9,10−ジヒドロキシアントラセン等のアントラセン及びその誘導体;アゾ系染料、ベンゾフェノン系染料、アミノケトン系染料、キノリン系染料、アントラキノン系染料、ジフェニルシアノアクリレート系染料、トリアジン系染料、p−アミノ安息香酸系染料等の染料;等が挙げられる。これらの中でも、露光感度の観点から、桂皮酸誘導体、ナフタレン誘導体を用いることが好ましく、桂皮酸誘導体を用いることが特に好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物中の(H)紫外線吸収剤の含有割合は、全固形分に対して、通常0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上、特に好ましくは1質量%以上であり、また、通常15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。前記下限値以上とすることでテーパー角度は大きくなる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで高感度となる傾向がある。
また、(A)光重合開始剤に対する配合比としては、(A)光重合開始剤100質量部に対する(H)紫外線吸収剤の配合量として、通常1質量部以上、好ましくは10質量部以上、より好ましくは30質量部以上、さらに好ましくは50質量部以上、特に好ましくは80質量部以上であり、通常500質量部以下、好ましくは300質量部以下、より好ましくは200質量部以下、さらに好ましくは150質量部以下である。前記下限値以上とすることでテーパー角度が大きくなる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで高感度となる傾向がある。
[1−1−9]熱重合開始剤
さらに、本発明の隔壁形成用感光性樹脂組成物には、熱重合開始剤が含有されていてもよい。熱重合開始剤を含有することで、膜の架橋度を高くできる傾向がある。このような熱重合開始剤の具体例としては、例えば、アゾ系化合物、有機過酸化物および過酸化水素などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、光重合開始剤に感度向上や膜の架橋密度の増大を期待して熱重合開始剤を併用する場合、これらの含有割合の合計が、前述の感光性樹脂組成物中の光重合開始剤の含有割合となるようにすることが好ましく、また、光重合開始剤と熱重合開始剤との併用割合としては、感度の観点から、光重合開始剤100質量部に対して熱重合開始剤を5〜300質量部とすることが好ましい。
[1−1−10]アミノ化合物
本発明の隔壁形成用感光性樹脂組成物には、熱硬化を促進するためにアミノ化合物が含まれていてもよい。この場合、感光性樹脂組成物中のアミノ化合物の含有量としては、感光性樹脂組成物の全固形分に対して、通常40質量%以下、好ましくは30質量%以下である。また、通常0.5質量%以上、好ましくは1質量%以上である。前記上限値以下とすることで保存安定性を維持できる傾向があり、前記下限値以上とすることで十分な熱硬化性を確保できる傾向がある。
アミノ化合物としては、例えば、官能基としてメチロール基、それを炭素数1〜8のアルコール縮合変性したアルコキシメチル基を少なくとも2個有するアミノ化合物が挙げられる。具体的には、例えば、メラミンとホルムアルデヒドとを重縮合させたメラミン樹脂;ベンゾグアナミンとホルムアルデヒドとを重縮合させたベンゾグアナミン樹脂;グリコールウリルとホルムアルデヒドとを重縮合させたグリコールウリル樹脂;尿素とホルムアルデヒドとを重縮合させた尿素樹脂;メラミン、ベンゾグアナミン、グリコールウリル、または尿素などの2種以上とホルムアルデヒドとを共重縮合させた樹脂;上述の樹脂のメチロール基をアルコール縮合変性した変性樹脂などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。アミノ化合物としては中でも、メラミン樹脂およびその変性樹脂が好ましく、メチロール基の変性割合が、70%以上の変性樹脂が更に好ましく、80%以上の変性樹脂が特に好ましい。
上記アミノ化合物の具体例として、メラミン樹脂およびその変性樹脂としては、例えば、サイテック社製の「サイメル」(登録商標)300、301、303、350、736、738、370、771、325、327、703、701、266、267、285、232、235、238、1141、272、254、202、1156、1158、および、三和ケミカル社製の「ニカラック」(登録商標)MW−390、MW−100LM、MX−750LM、MW−30M、MX−45、MX−302などが挙げられる。また、上記ベンゾグアナミン樹脂およびその変性樹脂としては、例えば、サイテック社製の「サイメル」(登録商標)1123、1125、1128などが挙げられる。また、上記グリコールウリル樹脂およびその変性樹脂としては、例えば、サイテック社製の「サイメル」(登録商標)1170、1171、1174、1172、および、三和ケミカル社製の「ニカラック」(登録商標)MX−270などが挙げられる。また、上記尿素樹脂およびその変性樹脂としては、例えば、サイテック社製の「UFR」(登録商標)65、300、および、三和ケミカル社製の「ニカラック」(登録商標)MX−290などが挙げられる。
[1−1−11]着色剤
本発明の隔壁形成用感光性樹脂組成物には、隔壁を着色させる目的で着色剤が含まれていてもよい。着色剤としては、顔料、染料等公知の着色剤を用いることができる。また、例えば、顔料を用いる際に、その顔料が凝集したりせずに安定して感光性組成物中に存在できるように、公知の分散剤や分散助剤が併用されてもよい。特に撥液性隔壁を黒色に着色することで、鮮明な画素表示が得られる効果がある。黒色着色剤としては黒色染料や黒色顔料、カーボンブラック、チタンブラックなどの他、有機顔料を混合させて黒く着色することも低導電性を持たせる効果として有効である。着色剤の含有量としては製版性と色特性の観点から、感光性樹脂組成物の全固形分に対して、通常60質量%以下、好ましくは40質量%以下である。
一方で、隔壁からのアウトガスを低減させる目的の場合、隔壁を透明にするのが望ましく、その場合の着色剤の含有割合は、感光性樹脂組成物の全固形分に対して、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
[1−1−12]塗布性向上剤、現像改良剤
本発明の隔壁形成用感光性樹脂組成物には、塗布性や現像溶解性を向上するために塗布性向上剤や現像改良剤が含まれていてもよい。塗布性向上剤あるいは現像改良剤としては、例えば公知の、カチオン性、アニオン性、ノニオン性、フッ素系、シリコーン系界面活性剤を用いることができる。また、現像改良剤として、有機カルボン酸或いはその無水物など公知のものを用いることもできる。また、その含有量は、感度の観点から、感光性樹脂組成物の全固形分に対して、通常20質量%以下、好ましくは10質量%以下である。
[1−1−13]シランカップリング剤
本発明の隔壁形成用感光性樹脂組成物には、基板との密着性を改善するため、シランカップリング剤を添加することも好ましい。シランカップリング剤の種類としては、エポキシ系、メタクリル系、アミノ系、イミダゾール系など種々の物が使用できるが、密着性向上の観点から、特にエポキシ系、イミダゾール系のシランカップリング剤が好ましい。その含有量は、密着性の観点から、感光性樹脂組成物の全固形分に対して、通常20質量%以下、好ましくは15質量%以下である。
[1−1−14]リン酸系密着向上剤
本発明の隔壁形成用感光性樹脂組成物には、基板との密着性を改善するため、リン酸系密着向上剤を添加することも好ましい。リン酸系密着向上剤としては、(メタ)アクリロイルオキシ基含有ホスフェート類が好ましく、中でも下記一般式(Va)、(Vb)、(Vc)で表されるものが好ましい。
上記一般式(Va)、(Vb)、(Vc)において、R8は水素原子又はメチル基を示し、r及びr’は1〜10の整数、sは1、2又は3である。
[1−1−15]無機充填剤
また、本発明の隔壁形成用感光性樹脂組成物は、さらに、硬化物としての強度の向上と共に、アルカリ可溶性樹脂との適度な相互作用(マトリックス構造の形成)による塗布膜の優れた平坦性とテーパー角の向上等を目的として、無機充填剤を含有していてもよい。そのような無機充填剤としては、例えば、タルク、シリカ、アルミナ、硫酸バリウム、酸化マグネシウム、或いは、これらを各種シランカップリング剤により表面処理したものなどが挙げられる。
これら無機充填剤の平均粒子径としては、通常0.005〜20μm、好ましくは0.01〜10μmである。ここで本実施の形態にいう平均粒子径とは、ベックマン・コールター社製などのレーザ回折散乱粒度分布測定装置にて測定した値である。これらの無機充填剤のうち、特に、シリカゾルおよびシリカゾル変性物は、分散安定性と共にテーパー角の向上効果に優れる傾向があるため、好ましく配合される。本発明の隔壁形成用感光性樹脂組成物がこれらの無機充填剤を含む場合、その含有量としては、感度の観点から、全固形分に対して、通常5質量%以上、好ましくは10質量%以上であり、通常80質量%以下、好ましくは70質量%以下である。
[1−1−16]溶剤
本発明の隔壁形成用感光性樹脂組成物は、通常溶剤を含有し、前述の各成分を溶剤に溶解または分散させた状態で使用される(以下、溶剤を含む感光性樹脂組成物を「感光性樹脂組成物溶液」と記すことがある)。その溶剤としては、特に制限は無いが、例えば、以下に記載する有機溶剤が挙げられる。
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコール−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、メトキシメチルペンタノール、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、3−メトキシ−1−ブタノール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテルのようなグリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルのようなグリコールジアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メトキシ−1−ブチルアセテートのようなグリコールアルキルエーテルアセテート類;エチレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサノールジアセテートなどのグリコールジアセテート類;シクロヘキサノールアセテートなどのアルキルアセテート類;アミルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジアミルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジヘキシルエーテルのようなエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソアミルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチルアミルケトン、メチルブチルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルノニルケトン、メトキシメチルペンタノンのようなケトン類;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、メトキシメチルペンタノール、グリセリン、ベンジルアルコールのような1価又は多価アルコール類;n−ペンタン、n−オクタン、ジイソブチレン、n−ヘキサン、ヘキセン、イソプレン、ジペンテン、ドデカンのような脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキセン、ビシクロヘキシルのような脂環式炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、クメンのような芳香族炭化水素類;アミルホルメート、エチルホルメート、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸アミル、メチルイソブチレート、エチレングリコールアセテート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、イソ酪酸メチル、エチルカプリレート、ブチルステアレート、エチルベンゾエート、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトンのような鎖状又は環状エステル類;3−メトキシプロピオン酸、3−エトキシプロピオン酸のようなアルコキシカルボン酸類;ブチルクロライド、アミルクロライドのようなハロゲン化炭化水素類;メトキシメチルペンタノンのようなエーテルケトン類;アセトニトリル、ベンゾニトリルのようなニトリル類:テトラヒドロフラン、ジメチルテトラヒドロフラン、ジメトキシテトラヒドロフランのようなテトラヒドロフラン類などである。
上記に該当する市販の溶剤としては、ミネラルスピリット、バルソル#2、アプコ#18ソルベント、アプコシンナー、ソーカルソルベントNo.1およびNo.2、ソルベッソ#150、シェルTS28 ソルベント、カルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート、ジグライム(いずれも商品名)などが挙げられる。
上記溶剤は、感光性樹脂組成物中の各成分を溶解または分散させることができるもので、本発明の感光性樹脂組成物の使用方法に応じて選択されるが、塗布性の観点から、大気圧下における沸点が60〜280℃の範囲のものを選択するのが好ましい。より好ましくは70℃以上、260℃以下の沸点をもつものであり、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシ−1−ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−1−ブチルアセテート、が好ましい。
これらの溶剤は1種を単独でもしくは2種以上を混合して使用することができる。また、これらの溶剤は、感光性樹脂組成物溶液中の全固形分の割合が、通常10質量%以上、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上、通常90質量%以下、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下となるように使用されることが好ましい。前記下限値以上とすることで適度な塗布均一性が得られる傾向があり、また、前記上限値以下とすることで適度な塗布均一性が得られる傾向がある。
[1−2]隔壁形成用感光性樹脂組成物の調製方法
本発明の隔壁形成用感光性樹脂組成物は、上記の各成分を撹拌機で混合することにより調製される。なお、調製された感光性樹脂組成物が均一なものとなるよう、メンブランフィルタ等を用いて濾過してもよい。
[2]隔壁及び隔壁の形成方法
本発明の感光性樹脂組成物は隔壁、特に有機電界発光素子の有機層を区画するための隔壁を形成するために好適に用いることができる。
以上説明した隔壁形成用感光性樹脂組成物を用いて隔壁(バンク)を形成する方法は特に限定されず、従来公知の方法を採用することができる。隔壁の形成方法としては、例えば、隔壁形成用感光性樹脂組成物を、基板上に塗布し、感光性樹脂組成物層を形成する塗布工程と、感光性樹脂組成物層を露光する露光工程と、を含む方法が挙げられる。このようなバンクの形成方法の具体例としては、インクジェット法とフォトリソグラフィー法とが挙げられる。
インクジェット法では、溶剤による希釈等により粘度調整された隔壁形成用感光性樹脂組成物をインクとして用い、所定の隔壁のパターンに沿ってインクジェット法によりインク液滴を基板上に吐出することで感光性樹脂組成物を基板上に塗布して未硬化の隔壁のパターンを形成する。そして、未硬化の隔壁のパターンを露光して、基板上に硬化した隔壁を形成する。未硬化の隔壁のパターンの露光は、マスクを用いないことの他は、後述するフォトリソグラフィー法における露光工程と同様に行われる。
フォトリソグラフィー法では、隔壁形成用感光性樹脂組成物を、基板の隔壁が形成される領域全面に塗布して感光性樹脂組成物層を形成する。形成された感光性樹脂組成物層を、所定の隔壁のパターンに応じて露光した後、露光された感光性樹脂組成物層を現像して、基板上に隔壁が形成される。
フォトリソグラフィー法における、感光性樹脂組成物を基板上に塗布する塗布工程では、隔壁が形成されるべき基板上に、ロールコーター、リバースコーター、バーコーター等の接触転写型塗布装置やスピンナー(回転式塗布装置)、カーテンフローコーター等の非接触型塗布装置を用いて感光性樹脂組成物を塗布し、必要に応じて、乾燥により溶媒を除去して、感光性樹脂組成物層を形成する。
次いで、露光工程では、ネガ型のマスクを利用して、感光性樹脂組成物に紫外線、エキシマレーザー光等の活性エネルギー線を照射し、感光性樹脂組成物層をバンクのパターンに応じて部分的に露光する。露光には、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、カーボンアーク灯等の紫外線を発する光源を用いることができる。露光量は感光性樹脂組成物の組成によっても異なるが、例えば10〜400mJ/cm2程度が好ましい。
次いで、現像工程では、隔壁のパターンに応じて露光された感光性樹脂組成物層を現像液で現像することにより隔壁を形成する。現像方法は特に限定されず、浸漬法、スプレー法等を用いることができる。現像液の具体例としては、ジメチルベンジルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機系のものや、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア、4級アンモニウム塩等の水溶液が挙げられる。又、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。
その後、現像後の隔壁にポストベークを施して加熱硬化する。ポストベークは、150〜250℃で15〜60分間が好ましい。
隔壁の形成に用いる基板は特に限定されず、隔壁が形成された基板を用いて製造される有機電界発光素子の種類に合わせて適宜選択される。好適な基板の材料としては、ガラスや、各種の樹脂材料が挙げられる。樹脂材料の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリエチレン、及びポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリカーボネート;ポリ(メタ)メタアクリル樹脂;ポリスルホン;ポリイミドが挙げられる。これらの基板の材料の中では、耐熱性に優れることからガラス、及びポリイミドが好ましい。また、製造される有機電界発光素子の種類に応じて、隔壁が形成される基板の表面には、予めITOやZnO等の透明電極層を設けておいてもよい。
[3]有機電界発光素子
本発明の有機電界発光素子は、前述の隔壁形成用感光性樹脂組成物で構成される隔壁を備える。
以上説明した方法により製造された隔壁パターンを備える基板を用いて、種々の光学素子が製造される。有機電界発光素子を形成する方法は特に限定されないが、好ましくは、上記方法により基板上に隔壁のパターンを形成した後に、基板上の隔壁により囲まれた領域内にインクを注入して画素等の有機層を形成することによって、有機電界発光素子が製造される。
隔壁がすそ引き形状である場合、有機層形成用のインクが隔壁のすそ部分で弾かれるため、隔壁により囲まれた領域内が有機層形成用のインクにより十分に被覆されない場合がある。それに対して、すそ引きのない良好な形状とすることで、隔壁により囲まれた領域内を有機層形成用のインクにより十分に被覆することができる。これにより、例えば、有機EL表示素子におけるハレーションの問題を解消することができる。
有機層形成用のインクを形成する際に使用される溶媒としては、水、有機溶剤、及びこれらの混合溶剤を用いることができる。有機溶剤は、インクの注入後に形成された皮膜から除去可能であれば特に限定されない。有機溶剤の具体例としては、トルエン、キシレン、アニソール、メシチレン、テトラリン、シクロヘキシルベンゼン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、及び酢酸ブチル、3−フェノキシトルエン、等が挙げられる。また、インクには、界面活性剤、酸化防止剤、粘度調整剤、紫外線吸収剤等を添加することができる。
隔壁により囲まれた領域内にインクを注入する方法としては、少量のインクを所定の個所に容易に注入可能であることから、インクジェット法が好ましい。有機層の形成に使用されるインクは、製造される有機電界発光素子の種類に応じて適宜選択される。インクをインクジェット法により注入する場合、インクの粘度はインクをインクジェットヘッドから良好に吐出できる限り特に限定されないが、4〜20mPa・sが好ましく、5〜10mPa・sがより好ましい。インクの粘度は、インク中の固形分含有量の調整、溶媒の変更、粘度調整剤の添加等により調整することができる。
[4]画像表示装置
本発明の画像表示装置は、前述の有機電界発光素子を含むものである。有機電界発光素子を含むものであれば、画像表示装置の型式や構造については特に制限はなく、例えばアクティブ駆動型有機電界発光素子を用いて常法に従って組み立てることができる。例えば、「有機ELディスプレイ」(オーム社、平成16年8月20日発行、時任静士、安達千波矢、村田英幸著)に記載されているような方法で、本発明の画像表示装置を形成することができる。例えば、白色光を発光する有機電界発光素子とカラーフィルターとを組み合わせて画像表示させてもよいし、RGB等の発光色の異なる有機電界発光素子を組み合わせて画像表示させてもよい。
[5]照明
本発明の照明は、前述の有機電界発光素子を含むものである。型式や構造については特に制限はなく、本発明の有機電界発光素子を用いて常法に従って組み立てることができる。有機電界発光素子としては、単純マトリックス駆動方式としてもよいし、アクティブマトリックス駆動方式としてもよい。
本発明の照明が白色光を発光するものとするために、白色光を発光する有機電界発光素子を用いてもよい。また、発光色の異なる有機電界発光素子を組み合わせて、各色が混色して白色となるよう構成してもよいし、混色比率を調整できるように構成して調色機能を付与してもよい。
以下、本発明の隔壁形成用感光性樹脂組成物について、具体的な実施例を挙げて説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
[1] 隔壁形成用感光性樹脂組成物の作製
各成分を表1に記載の配合割合(質量部)で用い、かつ、全固形分の含有割合が25質量%となるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを用いて各成分を均一になるまで撹拌して、実施例及び比較例の隔壁形成用感光性樹脂組成物を調製した。
なお、表中の記号は以下のものを表す。
A−1:2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール(保土谷化学工業社製)
A−2:2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(IRGACURE907)(BASF社製)
B−1:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)(日本化薬社製)
C−1:以下のアクリル共重合樹脂
ジシクロペンタニルメタクリレート/スチレン/グリシジルメタクリレート(モル比0.02/0.05/0.93)を構成モノマーとする共重合樹脂に、アクリル酸をグリシジルメタクリレートと等量付加反応させ、さらに無水テトラヒドロフタル酸を上記の共重合樹脂1モルに対してモル比0.1になるように付加した、アルカリ可溶性のアクリル共重合樹脂。重量平均分子量は7,700、固形分酸価は28.5mg−KOH/g。
D−1:2,4−ジエチルチオキサントン(DETX−S)(日本化薬社製)
E−1:RS72K(DIC社製、フッ素系、エチレン性二重結合を有するオリゴマー)
F−1:2−メルカプトベンゾイミダゾール(東京化成社製)
F−2:ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオナート)(淀化学社製)
G−1:メチルヒドロキノン(精工化学社製)
H−1:TINUVIN384−2(BASF社製)
I−1:PM21(日本化薬社製)
[2] 隔壁の形成及び評価
以下に性能評価の方法を説明する。
(接触角測定用基板作成)
表面にITO膜を形成したガラス基板の該ITO膜上にスピナーを用いて、焼成後に2.0μmの厚みになるように塗布液(前記隔壁形成用感光性樹脂組成物)を塗布した。その後100℃で2分間ホットプレート上で加熱乾燥し、得られた塗膜をマスクを使用せずに、露光量を50〜1150mJ/cm2の範囲で振って露光した(100mJ未満は10mJおき、100〜500mJは20mJおき、500mJ超過は50mJおき)。この時の波長365nmにおける強度は25mW/cm2であった。次いで24℃の2.38質量%TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)水溶液で60秒間スプレー現像した後、純水で10秒間洗浄した。この基板を、オーブン中230℃で30分間加熱硬化させ、硬化物を形成した各種の接触角測定用基板を得た。
(接触角の評価)
組成物の感度により硬化性が異なるため、撥液性が生じる露光量は組成物の組成により異なる。ここで撥液性が生じる露光量とは接触角が10度以上になる露光量のことを表す。露光量が異なる各種の接触角測定用基板を用いて、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに対する接触角を測定し、撥液性が生じる最小露光量を求め、表1に記載した。なお、接触角は、協和界面科学(株)製Drop Master 500接触角測定装置により、23℃、湿度50%の条件下で測定した。
(隔壁の作成)
表面にITO膜を形成したガラス基板の該ITO膜上にスピナーを用いて、焼成後に2.0μmの厚みになるように塗布液(前記隔壁形成用感光性樹脂組成物)を塗布した。その後100℃で2分間ホットプレート上で加熱乾燥した。得られた塗膜をフォトマスクを用いて露光を行った。露光量は撥液性が生じる最小露光量とし、露光ギャップは16μmにした。フォトマスクは格子状の開口部を有するマスク(80μm×280μmの被覆部を40μm間隔で複数有するマスク)を使用した。次いで、接触角測定用基板作成と同様に、TMAH水溶液で現像を行った後、加熱硬化を行い、格子状の隔壁が得られた。
(隔壁のテーパ角度測定)
断面観察用のSEM観察サンプルを作成し、走査型電子顕微鏡(SEM、キーエンス社製)を用いて隔壁の断面形状を観察し、そのテーパー角度を測定した。その結果を表1に記載した。
この断面において、図1のように隔壁1とITO膜2との境界面をS、隔壁の高さをHとした。隔壁の斜辺においてHの1/2となる高さの点をAとし、点Aにおける斜辺との接線をTとし、接線Tと境界面Sのなす角を測定し、テーパー角度とした。
表1より、光重合開始剤としてヘキサアリールビイミダゾール化合物を用い、さらに増感剤を用いた実施例の感光性樹脂組成物から得られた隔壁物は、テーパー角度が大きく良好であった。これは、ヘキサヘキサアリールビイミダゾール化合物による高い表面硬化性に加えて、増感剤により感光性樹脂組成物内部への光透過率が減少することによる低い内部硬化性が組み合わされたためであると考えられる。一方、比較例の各感光性樹脂組成物は、テーパー角度が低くなったが、これは表面硬化性の低い開始剤を使用したことや、増感剤を用いず内部硬化が抑制されなかったことが原因と考えられる。