JP2017227724A - トナー用結着樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】低温定着性、高温高湿下での保存性、及び帯電安定性に優れるトナー用結着樹脂組成物、その製造方法、及び該結着樹脂組成物を含有する電子写真用トナーに関すること。【解決手段】第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールを含有するアルコール成分とカルボン酸成分との重縮合物であるポリエステル系樹脂と、スチレン化合物を含有する原料モノマーの付加重合物であるスチレン系樹脂とが、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルから選ばれた1種又は2種以上の両反応性モノマーを介して化学結合された複合樹脂を含有する、トナー用結着樹脂組成物、その製造方法及び該結着樹脂組成物を含有した電子写真用トナー。【選択図】なし

Description

本発明は、例えば、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられるトナー用結着樹脂組成物、その製造方法及び該結着樹脂組成物を含有した電子写真用トナーに関する。
近年、装置の高速化、小型化等の要求に対し、より低温定着可能なトナー用結着樹脂が望まれている。トナー用結着樹脂としてはスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂が汎用されているが、低温定着性の観点からは、ポリエステル系樹脂が好ましいとされている。低温定着性の改善には、樹脂の軟化点やガラス転移点の低下が有効であることが知られているが、反面、高温高湿下での保存性や帯電安定性の点では未だ十分に満足の行くレベルではない。
特許文献1には、連続相を形成する縮重合系樹脂(樹脂a)と分散相を形成する付加重合系樹脂(樹脂b)とからなるトナー用結着樹脂であって、樹脂bのガラス転移点が-30〜35℃であり、45〜65℃に結着樹脂のガラス転移点を有し、35℃以下に結着樹脂のガラス転移点を有していないトナー用結着樹脂が開示されている。
特許文献2には、少なくとも結着樹脂、ワックス及び着色剤を含有するトナー粒子を有するトナーにおいて、該結着樹脂は少なくとも2種以上の樹脂A及び樹脂Bを含有し、
該樹脂Aは、縮重合系モノマーの存在下でビニル系モノマーを付加重合させ、付加重合反応が終了後に、該縮重合系モノマーを縮重合させて得られる樹脂、または、ビニル系モノマーを付加重合させて得られるビニル系樹脂の存在下で、縮重合系モノマーを縮重合させることにより得られる樹脂であり、
該樹脂Bは、縮重合系モノマーを縮重合させることにより得られる縮重合樹脂に、ビニル系モノマーを添加、混合して付加重合させることにより得られる樹脂であり、
該樹脂Aの軟化点が該樹脂Bの軟化点よりも5℃以上低く、該樹脂Aと該樹脂Bが10:90〜60:40の質量比で含有されていることを特徴とするトナーが開示されている。
特開2007−187997号公報 特開2008−102396号公報
原料モノマーにビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を使用していない、いわゆるノンビス系樹脂は親水性の高さから高温高湿下での保存性が低い。そのため疎水性のスチレン系樹脂との複合化が従来検討されている。しかしながら、従来技術ではノンビス系樹脂とスチレン系樹脂の親疎水性が異なるため複合化反応が十分ではない。その要因は、従来使用されてきた両反応性モノマーが比較的親水性であるため、スチレン系樹脂の原料モノマーとの複合化が十分に進行しないためと推察される。また、帯電安定性についてもさらなる改善が求められる。
本発明は、低温定着性、高温高湿下での保存性、及び帯電安定性に優れるトナー用結着樹脂組成物、その製造方法、及び該結着樹脂組成物を含有する電子写真用トナーに関する。
本発明は、
〔1〕 第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールを含有するアルコール成分とカルボン酸成分との重縮合物であるポリエステル系樹脂と、スチレン化合物を含有する原料モノマーの付加重合物であるスチレン系樹脂とが、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルから選ばれた1種又は2種以上の両反応性モノマーを介して化学結合された複合樹脂を含有する、トナー用結着樹脂組成物、
〔2〕 アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルから選ばれた1種又は2種以上の両反応性モノマーの存在下でスチレン化合物を含有する原料モノマーを付加重合する工程の後に、第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールを含有するアルコール成分とカルボン酸成分とを重縮合する工程を含む、トナー用結着樹脂組成物の製造方法、並びに
〔3〕 前記〔1〕記載のトナー用結着樹脂組成物を含有する、電子写真用トナー
に関する。
本発明の結着樹脂組成物を含有した電子写真用トナーは、低温定着性、高温高湿下での保存性、及び帯電安定性において優れた効果を奏するものである。
本発明の電子写真用トナー(以下、単にトナーともいう。)は、結着樹脂として、第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールを含有するアルコール成分とカルボン酸成分との重縮合物であるポリエステル系樹脂と、スチレン化合物を含有する原料モノマーの付加重合物であるスチレン系樹脂とが、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルから選ばれた1種又は2種以上の両反応性モノマーを介して化学結合された複合樹脂を含有する樹脂組成物を含有するものである。ここで、両反応性モノマーとは、付加重合系モノマーと共重合可能な不飽和二重結合有し、かつ水酸基またはカルボシキル基と反応可能な官能基を有する化合物を指す。
本発明の樹脂組成物が、低温定着性、高温高湿下での保存性、及び帯電安定性に優れる理由は定かではないが、次のように考えられる。
本発明では、疎水的なアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルを両反応性モノマーとして使用することで、両反応性モノマーと疎水的なスチレン系樹脂の原料モノマーとの馴染が良く、複合化反応が十分に進行し、均一な樹脂の合成が可能となった。その結果、複合化されていない親水性のポリエステル系樹脂が低減し、高温高湿下での保存性が大きく向上した。また、帯電安定性も大きく向上したが、これは複合化反応によって、帯電を悪化させるフリーのスチレン系樹脂が低減したためと推察される。
ポリエステル系樹脂の原料モノマーとして、アルコール成分とカルボン酸成分とが用いられるが、これらは、2価以上のアルコールを含有するアルコール成分と2価以上のカルボン酸系化合物を含有するカルボン酸成分であることが好ましく、アルコール成分とカルボン酸成分との重縮合反応により、ポリエステルが形成される。
アルコール成分は、第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールを含有する。
第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールとしては、1,2-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、2,3-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール等が挙げられ、これらの中では、1,2-プロパンジオール又は2,3-ブタンジオールが好ましく、1,2-プロパンジオールがより好ましい。
第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールの炭素数は、好ましくは3以上であり、そして、好ましくは6以下、より好ましくは4以下である。
第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールの含有量は、アルコール成分中、高温高湿下での保存性の観点から、好ましくは50モル%以上、より好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上である。
また、アルコール成分は、第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールに加えて、低温定着性の観点から、水酸基を炭素鎖の末端に有しているα,ω-脂肪族ジオールを含有していることが望ましい。
α,ω-脂肪族ジオールは、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-ブテンジオール、ネオペンチルグリコール等が挙げられ、これらの中では、α,ω-直鎖アルカンジオールが好ましく、1,4-ブタンジオールがより好ましい。
α,ω-脂肪族ジオール、好ましくはα,ω-直鎖アルカンジオールの炭素数は、好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、そして、好ましくは6以下、より好ましくは5以下である。
α,ω-脂肪族ジオール、好ましくはα,ω-直鎖アルカンジオールの含有量は、アルコール成分中、低温定着性の観点から、好ましくは10モル%以上、より好ましくは20モル%以上であり、そして、高温高湿下での保存性の観点から、好ましくは50モル%以下、より好ましくは40モル%以下、さらに好ましくは30モル%以下、さらに好ましくは20モル%以下である。
また、アルコール成分中、第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールとα,ω-脂肪族ジオールのモル比(第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオール/α,ω-脂肪族ジオール)は、高温高湿下での保存性の観点から、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、さらに好ましくは3以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは10以下、より好ましくは8以下、さらに好ましくは5以下である。
他のアルコール成分としては、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族ジオール、前記以外の脂肪族ジオール、グリセリン等の3価以上のアルコール等が挙げられる。
一方、2価のカルボン酸系化合物としては、耐久性の観点から、芳香族ジカルボン酸系化合物が好ましい。また、低温定着性の観点からは、脂肪族ジカルボン酸系化合物が好ましい。なお、本発明において、カルボン酸系化合物には、遊離酸だけでなく、反応中に分解して酸を生成する無水物、及び炭素数1以上3以下のアルキルエステルも含まれる。
芳香族ジカルボン酸系化合物としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸;それらの酸の無水物及びそれらの酸のアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられるが、これらの中では、テレフタル酸又はイソフタル酸が好ましく、テレフタル酸がより好ましい。
芳香族ジカルボン酸系化合物の含有量は、カルボン酸成分中、トナーの保存性の観点から、好ましくは30モル%以上、より好ましくは40モル%以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは80モル%以下である。
一方、脂肪族ジカルボン酸系化合物の炭素数は、好ましくは4以上であり、そして、入手性の観点から、好ましくは14以下、より好ましくは12以下である。脂肪族ジカルボン酸系化合物としては、コハク酸(炭素数:4)、フマル酸(炭素数:4)、グルタル酸(炭素数:5)、アジピン酸(炭素数:6)、スベリン酸(炭素数:8)、アゼライン酸(炭素数:9)、セバシン酸(炭素数:10)、ドデカン2酸(炭素数:12)、テトラデカン2酸(炭素数:14)、側鎖にアルキル基又はアルケニル基を有するコハク酸、これらの酸の無水物、それらの炭素数1〜3のアルキルエステル等が挙げられる。なお、アルキルエステル部のアルキル基の炭素数は、脂肪族ジカルボン酸系化合物の炭素数には含めない。
脂肪族ジカルボン酸系化合物の含有量は、カルボン酸成分中、低温定着性の観点から、好ましくは5モル%以上、より好ましくは10モル%以上であり、そして、保存性の観点から、好ましくは50モル%以下、より好ましくは40モル%以下、さらに好ましくは30モル%以下である。
また、カルボン酸成分は、保存性及び耐久性の観点から、3価以上の芳香族カルボン酸系化合物を含有していることが好ましい。
3価以上の芳香族カルボン酸系化合物としては、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸及びこれらの酸無水物、低級アルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられ、これらの中では、トリメリット酸系化合物が好ましい。
3価以上の芳香族カルボン酸系化合物の含有量は、アルコール成分100モルに対して、軟化点を向上させる観点から、好ましくは3モル以上、より好ましくは5モル以上、さらに好ましくは7モル以上であり、そして、軟化点を低下させ、低温定着性の観点から、好ましくは20モル以下、より好ましくは15モル以下、さらに好ましくは13モル以下である。
また、アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸系化合物が、分子量調整等の観点から、適宜含有されていてもよい。
ポリエステル系樹脂におけるカルボン酸成分とアルコール成分との当量モル比(COOH基/OH基)は、樹脂の軟化点を調整する観点から、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.8以上であり、そして、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.1以下である。
アルコール成分とカルボン酸成分の重縮合は、例えば、不活性ガス雰囲気中にて、好ましくはエステル化触媒の存在下、さらに必要に応じて、エステル化助触媒、重合禁止剤等の存在下、好ましくは180℃以上250℃以下程度の温度で行うことができる。エステル化触媒としては、酸化ジブチル錫、2-エチルヘキサン酸錫(II)等の錫化合物、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のチタン化合物等が挙げられる。これらの中では、2-エチルヘキサン酸錫(II)等の錫化合物が好ましい。エステル化触媒の使用量は、原料総量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であり、そして、好ましくは1.5質量部以下、より好ましくは1.0質量部以下である。エステル化助触媒としては、没食子酸等が挙げられる。エステル化助触媒の使用量は、原料総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、そして、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下である。重合禁止剤としては、tert-ブチルカテコール等が挙げられる。重合禁止剤の使用量は、原料総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、そして、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下である。なお、原料総量とは、アルコール成分、カルボン酸成分、両反応性モノマー、スチレン系樹脂の原料モノマー、必要に応じて用いられるエステル化触媒、エステル化助触媒、重合禁止剤等の全ての原料の総量を意味する。
スチレン系樹脂の原料モノマーは、少なくとも、スチレン化合物を含有する。スチレン化合物としては、スチレン以外に、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体等が挙げられ、スチレンが好ましい。
スチレン化合物の含有量は、帯電安定性の観点から、スチレン系樹脂の原料モノマー中、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。
スチレン化合物以外に用いられるスチレン系樹脂の原料モノマーとしては、エチレン、プロピレン等のエチレン性不飽和モノオレフィン類;ブタジエン等のジオレフィン類;塩化ビニル等のハロビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル等のエチレン性モノカルボン酸エステル;ビニルメチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニリデンクロリド等のビニリデンハロゲン化物;N-ビニルピロリドン等のN-ビニル化合物類等が挙げられる。
スチレン系樹脂の原料モノマーの付加重合反応は、例えば、ジクミルパーオキサイド等の重合開始剤、架橋剤等の存在下、有機溶媒存在下又は無溶媒下で、常法により行うことができるが、温度条件としては、好ましくは110℃以上、より好ましくは140℃以上であり、そして、好ましくは200℃以下、より好ましくは170℃以下である。
付加重合反応の際に有機溶媒を使用する場合、キシレン、トルエン、メチルエチルケトン、アセトン等を用いることができる。有機溶媒の使用量は、付加重合系樹脂成分の原料モノマー100質量部に対して、10質量部以上50質量部以下が好ましい。
本発明で用いられる両反応性モノマーは、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルから選ばれた1種又は2種以上である。
(メタ)アクリル酸エステルは、エステル交換に対する反応性の観点から、(メタ)アクリル酸アルキルエステルであることが好ましく、アルキル基の炭素数は、好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、そして、好ましくは6以下、より好ましくは4以下である。なお、アルキル基の炭素数が7以上であっても、分岐鎖を有するアルキルエステルや、アルキルエステルでなくても、環状の炭化水素基を有するエステルのように、アルコール残基が嵩高くエステル交換により脱離しやすい構造を有するエステルであれば、両反応性モノマーとして使用することができる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸(イソ)プロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸(イソ又はターシャリー)ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸(イソ)オクチル等が挙げられる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸、メタクリル酸、又はその両者を示す。また、「(イソ又はターシャリー)」、「(イソ)」は、これらの基が存在している場合とそうでない場合の双方を含むことを意味し、これらの基が存在していない場合には、ノルマルであることを示す。
本発明において、アクリル酸エステルは、好ましくはアルキル基の炭素数が2以上6以下であるアクリル酸アルキルエステル、より好ましくはアクリル酸ブチルであり、メタクリル酸エステルは、好ましくはアルキル基の炭素数が2以上6以下であるメタクリル酸アルキルエステル、より好ましくはメタクリル酸ブチルである。
両反応性モノマーとスチレン系樹脂の原料モノマーの質量比(両反応性モノマー/スチレン系樹脂の原料モノマー)は、帯電安定性の観点から、好ましくは5/95以上、より好ましくは10/90以上、さらに好ましくは20/80以上、さらに好ましくは25/75以上、さらに好ましくは30/70以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは95/5以下、より好ましくは70/30以下、さらに好ましくは60/40以下、さらに好ましくは50/50以下、さらに好ましくは40/60以下である。
本発明において、複合樹脂は、
第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールを含有するアルコール成分とカルボン酸成分とを重縮合して、ポリエステル系樹脂を得る工程(A)、及び
スチレン化合物を含有するスチレン系樹脂の原料モノマーを、付加重合して、スチレン系樹脂を得る工程(B)
を含む方法により、得ることが好ましい。ポリエステル系樹脂のアルコール成分とカルボン酸成分の重縮合反応とスチレン系樹脂の原料モノマーの付加重合反応は、それぞれ順次行っても、同時に進行させてもよいが、本発明では、低温定着性の観点から、工程(A)の後、工程(B)を行う方法よりも、工程(B)の後、工程(A)を行うことが好ましい。
即ち、本発明の樹脂組成物は、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルから選ばれた1種又は2種以上の両反応性モノマーの存在下でスチレン化合物を含有する原料モノマーを付加重合する工程の後に、第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールを含有するアルコール成分とカルボン酸成分とを重縮合する工程を含む方法により、得ることが好ましく、スチレン化合物を含有する原料モノマーを付加重合する工程を、第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールを含有するアルコール成分、カルボン酸成分、及びアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルから選ばれた1種又は2種以上の両反応性モノマーの存在下で行うことがより好ましい。これにより、アルコール成分とカルボン酸成分との重縮合反応を付加重合反応の前に行う方法では、エステル交換反応に用いられるアルコール成分量が減少するのに対し、両反応性モノマーと脂肪族ジオールの末端水酸基とがより効率よくエステル交換され、架橋構造が生じると考えられる。
なお、工程(A)の後、工程(B)を行う際、ポリエステル系樹脂の原料モノマーとして不飽和アルコールや不飽和カルボン酸系化合物を用いる場合、付加重合反応物に、不飽和アルコールや不飽和カルボン酸系化合物を添加して、さらに重縮合反応させることが、低温定着性の観点から好ましい。
また、複合樹脂の製造において、両反応性モノマーは、スチレン系樹脂の原料モノマーとともに使用することが好ましい。
なお、重縮合反応と付加重合反応は、同一反応容器中で行うことが好ましく、重縮合反応は、付加重合系樹脂の原料モノマーの存在下で、付加重合反応は、重縮合系樹脂の原料モノマーの存在下で、行ってもよい。
複合樹脂におけるポリエステル系樹脂とスチレン系樹脂の質量比(ポリエステル系樹脂/スチレン系樹脂)は、帯電安定性の観点から、好ましくは95/5以下、より好ましくは90/10以下、さらに好ましくは85/15以下であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは50/50以上、より好ましくは55/45以上、さらに好ましくは60/40以上、さらに好ましくは65/35以上、さらに好ましくは70/30以上である。なお、上記の計算において、ポリエステル系樹脂の質量は、用いられるポリエステル系樹脂の原料モノマーの質量から、重縮合反応により脱水される反応水の量(計算値)を除いた量であり、両反応性モノマーの量は、ポリエステル系樹脂の原料モノマー量に含める。また、スチレン系樹脂の量は、スチレン系樹脂の原料モノマー量であり、重合開始剤の量は含めない。
複合樹脂の軟化点は、耐久性の観点から、好ましくは100℃以上、より好ましくは105℃以上、さらに好ましくは110℃以上、さらに好ましくは115℃以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは150℃以下、より好ましくは145℃以下、さらに好ましくは140℃以下、さらに好ましくは135℃以下である。
複合樹脂のガラス転移温度は、トナーの耐久性を向上させる観点から、好ましくは50℃以上であり、そして、トナーの低温定着性を向上させる観点から、好ましくは80℃以下、より好ましくは75℃以下、さらに好ましくは70℃以下である。なお、ガラス転移温度は非晶質相に特有の物性である。
複合樹脂の酸価は、トナーの帯電量の環境安定性を向上させる観点から、好ましくは40mgKOH/g以下、より好ましくは30mgKOH/g以下、さらに好ましくは25mgKOH/g以下、さらに好ましくは20mgKOH/g以下であり、そして、好ましくは1mgKOH/g以上、より好ましくは2mgKOH/g以上、さらに好ましくは5mgKOH/g以上である。
複合樹脂の水酸基価は、高温高湿下での保存性の観点から、好ましくは80mgKOH/g以下、より好ましくは70mgKOH/g以下、さらに好ましくは60mgKOH/g以下、さらに好ましくは50mgKOH/g以下、さらに好ましくは40mgKOH/g以下であり、そして、好ましくは5mgKOH/g以上、より好ましくは10mgKOH/g以上、さらに好ましくは15mgKOH/g以上である。
本発明のトナーは、本発明の樹脂組成物以外の結着樹脂、例えば、複合樹脂における前記ポリエステル系樹脂以外のポリエステル系樹脂、ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂等を含有してもよい。複合樹脂の含有量は、結着樹脂中、トナーの低温定着性及び耐久性を向上させる観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。
本発明のトナーには、着色剤、離型剤、荷電制御剤、磁性粉、流動性向上剤、導電性調整剤、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤が含有されていてもよい。
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等を使用することができる。例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、イソインドリン、ジスアゾエロー等が挙げられる。なお、本発明において、トナー粒子は、黒用トナー、カラー用トナーのいずれであってもよい。
着色剤の含有量は、トナーの画像濃度及び低温定着性を向上させる観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上であり、そして、好ましくは40質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。
離型剤としては、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンポリエチレン共重合体ワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、サゾールワックス等の炭化水素系ワックス及びそれらの酸化物;カルナウバワックス、モンタンワックス及びそれらの脱酸ワックス、脂肪酸エステルワックス等のエステル系ワックス;脂肪酸アミド類、脂肪酸類、高級アルコール類、脂肪酸金属塩等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を用いることができる。
離型剤の融点は、トナーの転写性の観点から、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは160℃以下、より好ましくは140℃以下、さらに好ましくは120℃以下、さらに好ましくは110℃以下である。
離型剤の含有量は、トナーの低温定着性と耐オフセット性の観点及び結着樹脂中への分散性の観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、さらに好ましくは1.5質量部以上であり、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは8質量部以下、さらに好ましくは7質量部以下である。
荷電制御剤は、特に限定されず、正帯電性荷電制御剤及び負帯電性荷電制御剤のいずれを含有していてもよい。
正帯電性荷電制御剤としては、ニグロシン染料、例えば「ニグロシンベースEX」、「オイルブラックBS」、「オイルブラックSO」、「ボントロンN-01」、「ボントロンN-04」、「ボントロンN-07」、「ボントロンN-09」、「ボントロンN-11」(以上、オリエント化学工業(株)製)等;3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、例えば「ボントロンP-51」(オリエント化学工業(株)製)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、「COPY CHARGE PX VP435」(クラリアント社製)等;ポリアミン樹脂、例えば「AFP-B」(オリエント化学工業(株)製)等;イミダゾール誘導体、例えば「PLZ-2001」、「PLZ-8001」(以上、四国化成工業(株)製)等;スチレン−アクリル系樹脂、例えば「FCA-701PT」(藤倉化成(株)製)等が挙げられる。
また、負帯電性荷電制御剤としては、含金属アゾ染料、例えば「バリファーストブラック3804」、「ボントロンS-31」、「ボントロンS-32」、「ボントロンS-34」、「ボントロンS-36」(以上、オリエント化学工業(株)製)、「アイゼンスピロンブラックTRH」、「T-77」(保土谷化学工業(株)製)等;ベンジル酸化合物の金属化合物、例えば、「LR-147」、「LR-297」(以上、日本カーリット(株)製)等;サリチル酸化合物の金属化合物、例えば、「ボントロンE-81」、「ボントロンE-84」、「ボントロンE-88」、「ボントロンE-304」(以上、オリエント化学工業(株)製)、「TN-105」(保土谷化学工業(株)製)等;銅フタロシアニン染料;4級アンモニウム塩、例えば「COPY CHARGE NX VP434」(クラリアント社製)、ニトロイミダゾール誘導体等;有機金属化合物等が挙げられる。
荷電制御剤の含有量は、トナーの帯電安定性の観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.2質量部以上であり、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは3質量部以下、さらに好ましくは2質量部以下である。
本発明のトナーは、溶融混練法、乳化転相法、重合法等の従来より公知のいずれの方法により得られたトナーであってもよいが、生産性や着色剤の分散性の観点から、溶融混練法による粉砕トナーが好ましい。溶融混練法による粉砕トナーの場合、例えば、結着樹脂、着色剤、離型剤、荷電制御剤等の原料をヘンシェルミキサー等の混合機で均一に混合した後、密閉式ニーダー、1軸もしくは2軸の押出機、オープンロール型混練機等で溶融混練し、冷却、粉砕、分級して製造することができる。
本発明のトナーには、転写性を向上させるために、外添剤を用いることが好ましい。外添剤としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化亜鉛等の無機微粒子や、メラミン系樹脂微粒子、ポリテトラフルオロエチレン樹脂微粒子等の樹脂粒子等の有機微粒子が挙げられ、2種以上が併用されていてもよい。これらの中では、シリカが好ましく、トナーの転写性の観点から、疎水化処理された疎水性シリカであることがより好ましい。
シリカ粒子の表面を疎水化するための疎水化処理剤としては、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、ジメチルジクロロシラン(DMDS)、シリコーンオイル、オクチルトリエトキシシラン(OTES)、メチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
外添剤の平均粒子径は、トナーの帯電性や流動性、転写性の観点から、好ましくは10nm以上、より好ましくは15nm以上であり、そして、好ましくは250nm以下、より好ましくは200nm以下、さらに好ましくは90nm以下である。
外添剤の含有量は、トナーの帯電性や流動性、転写性の観点から、外添剤で処理する前のトナー100質量部に対して、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは0.3質量部以上であり、そして、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下である。
本発明のトナーの体積中位粒径(D50)は、好ましくは3μm以上、より好ましくは4μm以上であり、そして、好ましくは15μm以下、より好ましくは10μm以下である。なお、本明細書において、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。また、トナーを外添剤で処理している場合には、外添剤で処理する前のトナー粒子の体積中位粒径をトナーの体積中位粒径とする。
本発明のトナーは、そのまま一成分現像用トナーとして、又はキャリアと混合して用いられる二成分現像用トナーとして、それぞれ一成分現像方式又は二成分現像方式の画像形成装置に用いることができる。
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。樹脂等の物性は、以下の方法により測定した。
〔樹脂の軟化点〕
フローテスター「CFT-500D」((株)島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
〔樹脂のガラス転移温度〕
示差走査熱量計「DSC Q20」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで昇温し、吸熱ピークを測定する。吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とする。
〔樹脂の酸価及び水酸基価〕
JIS K0070の方法に基づき測定する。ただし、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更する。
〔離型剤の融点〕
示差走査熱量計「DSC Q20」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、昇温速度10℃/minで200℃まで昇温し、その温度から降温速度5℃/minで-10℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで180℃まで昇温し測定する。そこで得られた融解吸熱カーブから観察される吸熱の最高ピーク温度を離型剤の融点とする。
〔外添剤の平均粒子径〕
平均粒子径は、個数平均粒子径を指し、走査型電子顕微鏡(SEM)写真から500個の粒子の粒径(長径と短径の平均値)を測定し、それらの数平均値とする。
〔トナーの体積中位粒径〕
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター(株)製)
アパチャー径:100μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター(株)製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター(株)製)
分散液:電解液にエマルゲン109P(花王(株)製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB(グリフィン):13.6)を溶解して5質量%に調整したもの
分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機(機械名:(株)エスエヌディー製US-1、出力:80W)にて1分間分散させ、その後、前記電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記電解液100mLに、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度となるように、前記試料分散液を加え、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
樹脂製造例1〔樹脂1〜9〕
表1、2に示す無水トリメリット酸以外のポリエステル系樹脂の原料モノマーを、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、160℃まで昇温した。そこに、スチレン系樹脂の原料モノマー、両反応性モノマー及び重合開始剤の混合物を滴下し、重合を行った。その後、エステル化触媒を添加し、210℃まで5時間かけて昇温を行った。その後、無水トリメリット酸を投入し、220℃まで昇温し、8.0kPaにて表1、2に示す軟化点に達するまで反応を行い、複合樹脂を得た。
樹脂製造例2〔樹脂10〕
表2に示す無水トリメリット酸以外のポリエステル系樹脂の原料モノマー及び両反応性モノマーを、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、160℃まで昇温した。そこに、スチレン系樹脂の原料モノマー及び重合開始剤の混合物を滴下し、重合を行った。その後、エステル化触媒を添加し、210℃まで5時間かけて昇温を行った。その後、無水トリメリット酸を投入し、220℃まで昇温し、8.0kPaにて表2に示す軟化点に達するまで反応を行い、複合樹脂を得た。
樹脂製造例3〔樹脂11〕
表2に示す無水トリメリット酸以外のポリエステル系樹脂の原料モノマーを、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、210℃まで5時間かけて昇温を行った。その後、無水トリメリット酸を投入し、220℃まで昇温し、8.0kPaにて表2に示す軟化点に達するまで反応を行い、ポリエステル系樹脂を得た。
Figure 2017227724
Figure 2017227724
実施例1〜8及び比較例1〜3
表3に示す結着樹脂100質量部、着色剤「ECB-301」(大日精化工業(株)製)5質量部、荷電制御剤「LR-147」(日本カーリット(株)製)1質量部、及び離型剤「カルナウバワックス C1」((株)加藤洋行製、融点:80℃)2質量部を、ヘンシェルミキサーでよく攪拌した後、混練部分の全長1560mm、スクリュー径42mm、バレル内径43mmの同方向回転二軸押出機を用いて溶融混練した。ロールの回転速度は200r/min、ロール内の加熱設定温度は90℃であり、混練物の温度は140℃、混練物の供給速度は10kg/h、平均滞留時間は約18秒であった。得られた混練物を140℃から50℃まで1.5時間で冷却し、50℃で、冷却ローラーで圧延冷却した後、45℃で4時間静置後、ジェットミルで粉砕、分級し、体積中位粒径(D50)5.5μmのトナー粒子を得た。
得られたトナー粒子100質量部に対し、外添剤として、「アエロジル R-972」(疎水性シリカ、日本アエロジル(株)製、疎水化処理剤:DMDS、平均粒子径:16nm)1.5質量部、及び「RY-50」(疎水性シリカ、日本アエロジル(株)製、疎水化処理剤:シリコーンオイル、平均粒子径:40nm)1.0質量部を添加し、ヘンシェルミキサーで3600r/min、5分間混合することにより、外添処理を行い、トナーを得た。
試験例1〔低温定着性〕
複写機「AR-505」(シャープ(株)製)の定着機を装置外での定着が可能なように改良した装置にトナーを実装し、未定着画像を得た。
その後、総定着圧が40kgfになるように調整した定着機(定着速度390mm/sec)で、100℃から240℃へと5℃ずつ順次上昇させながら、各温度で未定着画像の定着試験を行った。定着画像に「ユニセフセロハン」(三菱鉛筆社、幅:18mm、JISZ-1522)を貼り付け、30℃に設定した定着ローラーに通過させた後、テープを剥がした。テープを貼る前と剥がした後の光学反射密度を反射濃度計「RD-915」(マクベス社製)を用いて測定し、両者の比率(剥離後/貼付前)が最初に90%を越える定着ローラーの温度を最低定着温度とし、以下の評価基準に従って、低温定着性を評価した。結果を表3に示す。なお、定着試験に用いた紙は、シャープ(株)製のCopyBond SF-70NA(75g/m2)である。
最低定着温度は、155℃未満、好ましくは145℃未満であれば良好と評価できる。
試験例2〔高温高湿下での保存性〕
トナー4gを、温度50℃、相対湿度85%の環境下で72時間放置した。放置後、トナー凝集の発生程度を目視にて観察し、以下の評価基準に従って、保存性を評価した。結果を表3に示す。
〔評価基準〕
A:48時間後及び72時間後も凝集は全く認められない。
B:48時間後で凝集は認められないが72時間後では凝集が認められる。
C:48時間以内で既に凝集が認められる。
試験例3〔帯電安定性〕
温度25℃、相対湿度50%の環境下で、トナー0.6gと、体積平均粒径60μmのシリコーンコートフェライトキャリア(関東電化工業(株)製)9.4gを20mL容の円柱状のポリエチレン製の容器に入れ、容器をターブラシェイカーミキサー中に固定し、90r/minの速度にて回転させた。混合開始から、1分、3分、5分、10分後のトナーの帯電量をq/mメータ(Epping社製)にて測定し、各混合時間(1分、3分、5分、10分)での帯電量の平均値(帯電量平均値)から、以下の基準に従って帯電安定性を評価した。結果を表3に示す。
〔q/mメーターの設定〕
メッシュサイズ:400メッシュ(ステンレス製)
ソフトブロー吸引時間(ブロー圧 1050V):90秒
帯電量(μC/g)=トナー吸引時間90秒後の総電気量(μC)/吸引されたトナー量(g)
〔評価基準〕
A:帯電量平均値と各混合時間の帯電量の差の最大値が、2μC/g未満である。
B:帯電量平均値と各混合時間の帯電量の差の最大値が、2μC/g以上、5μC/g未満である。
C:帯電量平均値と各混合時間の帯電量の差の最大値が、5μC/g以上である。
Figure 2017227724
以上の結果から、実施例1〜8のトナーは、低温定着性、高温高湿下での保存性、及び帯電安定性のいずれもが良好であることが分かる。
これに対し、両反応性モノマーとしてアクリル酸又はフマル酸を用いた比較例1、2では、低温定着性及び帯電安定性が不十分であり、複合樹脂ではなくポリエステル樹脂を含有した比較例3のトナーは、高温高湿下での保存性及び帯電安定性が不十分であることが分かる。
本発明のトナー用結着樹脂組成物は、例えば、静電荷像現像法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像等に用いられる電子写真用トナーの結着樹脂として好適に用いられるものである。

Claims (9)

  1. 第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールを含有するアルコール成分とカルボン酸成分との重縮合物であるポリエステル系樹脂と、スチレン化合物を含有する原料モノマーの付加重合物であるスチレン系樹脂とが、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルから選ばれた1種又は2種以上の両反応性モノマーを介して化学結合された複合樹脂を含有する、トナー用結着樹脂組成物。
  2. 両反応性モノマーとスチレン系樹脂の原料モノマーの質量比(両反応性モノマー/スチレン系樹脂の原料モノマー)が5/95以上50/50以下である、請求項1記載のトナー用結着樹脂組成物。
  3. ポリエステル系樹脂とスチレン系樹脂の質量比(ポリエステル系樹脂/スチレン系樹脂)が、60/40以上95/5以下である、請求項1又は2記載のトナー用結着樹脂組成物。
  4. アクリル酸エステルが、アルキル基の炭素数が2以上6以下であるアクリル酸アルキルエステルである、請求項1〜3いずれか記載のトナー用結着樹脂組成物。
  5. メタクリル酸エステルが、アルキル基の炭素数が2以上6以下であるメタクリル酸アルキルエステルである、請求項1〜4いずれか記載のトナー用結着樹脂組成物。
  6. アクリル酸エステルが、アクリル酸ブチルである、請求項1〜3いずれか記載のトナー用結着樹脂組成物。
  7. メタクリル酸エステルが、メタクリル酸ブチルである、請求項1〜3、又は6記載のトナー用結着樹脂組成物。
  8. アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルから選ばれた1種又は2種以上の両反応性モノマーの存在下でスチレン化合物を含有する原料モノマーを付加重合する工程の後に、第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールを含有するアルコール成分とカルボン酸成分とを重縮合する工程を含む、トナー用結着樹脂組成物の製造方法。
  9. 請求項1〜7いずれか記載のトナー用結着樹脂組成物を含有する、電子写真用トナー。
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