JP2017227118A - 排水シート及びその壁面構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の排水シートAは、水を誘導し、排水するための導水部10と、該導水部10を壁面に取り付けるための取り付け部20とよりなる排水シートAであって、前記導水部10及び前記取り付け部20が不透水性の合成樹脂で形成されており、取り付け部20に水侵入防止機能を備えている。また、導水部10は底面板11と該底面板11より起立形成された多数本の導水リブ12が形成されている。
【選択図】図1
Description
そして、周囲壁からの湧き水対策として、排水シートが設けられる。
このように、壁面に排水シートが取り付けられることにより、湧き水は排水シートを伝い、効率よく壁の足元へと誘導される。
ところで、最近、山岳トンネル等の建設工事では、従来の方法とは、異なった新しい施工方法が採用されるようになった。
この施工方法は、「吹付けコンクリート施工」→「ロックボルト施工」→「排水シート取り付け」→「防水シート取り付け用型枠設置」→「裏込め充填材注入」→「型枠取り外し」→「覆工コンクリート打設」の工程にて遂行される。
すなわち、排水シートと防水シートの間に裏込め充填材が介在することになる。
そのため、壁面に対する排水シートの取り付け部分から裏側(すなわち排水シートの壁面側)に充填材が入り込む問題が生じる。
このような問題は、導水部が網状構造のものであっても、やはり、生じる現象である。
これらは、従来と異なった手順の新しい施工方法が開発されたから、必然的に生じた課題である。
すなわち、本発明は、裏側にまで裏込め充填材が入り込まず、排水機能を損なうことのない排水シートを提供することを目的とする。
そのため導水部が充填材で埋まることはなく排水シート本来の排水機能が維持される。
本発明の一実施形態を、図面を用いて説明する。
図1は、本実施形態の排水シートを示す斜視図であり、また図2は、本実施形態の排水シートの横方向の断面図である。
図1に示すように、本実施形態の排水シートAは、水を誘導し、排水するための導水部10と、該導水部1の両端に設けられた排水シートAを壁面に取り付けるための二つの取り付け部20とよりなる。
そして、導水部10は底面板11と、底面板11から垂直に起立形成された多数本の導水リブ12とを備える。
導水リブ12の高さ及び導水リブ12同士の間隔は特に限定されるものではなく、実際の作業現場における湧き水の単位時間当たりの湧き出し量、湧き出し箇所の周囲の環境等に応じて必要とするものを適宜選択することが好ましい。
なお、排水シートAの排水能力を上げる場合には、底面板11と導水リブ12とに撥水処理加工を施すことが好ましい。
そのため、施工対象となる壁面の形状(例えば、トンネル壁面の曲率面形状)に沿った取り付け操作が容易に行える。
少なくとも底面板11を半透明または透明な材質で形成することで、導水部10を流れる湧き水の排水状況を視認できるようになり、施工時或いは施工後における排水シートAの管理が簡便になる。
また、排水シートAが遊離石灰の析出が発生し易い施工場所に取り付けられた場合には、導水部10の目詰まりを一見して確認できるので、能率的な保守作業やメンテナンスが可能になる。
以上の観点から、導水部10及び取り付け部20を形成する材料として好適な材質は、ポリプロピレン、ポリエチレン等である。
取り付け部20と底面板11とは一体になっており、さらに、取り付け部20は底面板11から外方に延長するように形成されている。
取り付け部20は底面板11と同一平面上に形成される。
この取り付け部20は、その一部が肉厚になっていることが強度の観点から好ましい。
この場合、排水シートAは、押し出し成形により製造できるので、取り付け部20の一部を肉厚にすることは容易に可能である。
封止リブ21が間隔を開けて複数本備わっているので、多段的に裏込め充填材の内部への侵入を防止することができる。
この封止リブ21は、その肉厚が先端部に行くに従って漸減するように形成されており、柔軟性があり壁面に沿って馴染み易い。
取り付け部20は、打ち込みピンP等を使って吹付けコンクリート面K1に取り付けられるが、その際、封止リブ21がコンクリート面K1を弾圧的に押圧する。
このため取り付け部20と吹付けコンクリート面K1との間に間隙が生じないので、裏込め充填材K2が、裏側に入り込み、排水シートAに設けられた水の導水部にまで侵入するようなことはない。
4本の封止リブ21は、両端側(両外側)にある2本の封止リブ21より内側にある2本の封止リブ21の方が肉厚が薄いことが好ましい。
肉厚が薄いと柔軟性が増して屈曲性が大きくなるが、両端側にある封止リブ21の間に打ち込みピンPを打ち込む際、内側にある封止リブ21(2本)の屈曲が大きいと打ち込んだ場合に両端側にある封止リブ21が面を強く押圧することができる。
内側にある封止リブ21(2本)を押圧することで、両端側の封止リブ21が強く吹付けコンクリート面K1に接し、バネ効果が発揮される。
また4本の封止リブ21は、内側にある2本の封止リブ21を、両端側(両外側)にある封止リブ21の高さより距離Lだけ低くすることが好ましく、これにより同様にバネ効果が大きくなる。
また内側にある2本の封止リブ21を両端側(両外側)にある封止リブ21の高さより距離Lだけ低く、且つ肉厚を薄くすることで、より大きいバネ効果を発揮できる。
また封止リブ21は、先端の方が外側に向かって傾斜していることが好ましい。
最初から、封止リブ21が傾斜を備えているので、吹付けコンクリート面K1に取り付け部20が押し付けられた場合に、傾斜の方向が外側に一致し、裏込め充填材K2の侵入を確実に防止する。
この状態で封止リブ21に液圧が加わると封止リブ21がより傾斜し封止力が増すこととなる。
ところで、排水シートは、打ち込みピンPを打ち込んで固定するが、打ち込みピンPは的確に打ち込まれることが重要である。
このように、排水シートの取り付け部20の裏面(封止リブ21が設けられている側と反対側)に細溝Gが長さ方向に沿って形成されていることが好ましい。
この細溝Gは、打ち込みピンを打ち込む場合に位置決めするためのもので、打ち込みピンを滑らずに安定した状態で固定できる。
すなわち排水シートAに入った水は、導水リブ12に誘導されるように、個々の導水路14に沿って真っ直ぐに流れるため、水の流れ道が整理され、水流同士の衝突が起きない。
その結果、水の排水能力が大きく高まることとなる。
図11は本実施形態の排水シートの取り付け施工例を示すブロック図である。
排水シートの取り付けは、「新トンネル工法」の一工程の中で施工されるものである。
そして吹き付けにより形成された吹付けコンクリート面K1に強度保持のため、適宜箇所にロックボルト(図省略)が打ち込まれる。
次に吹付けコンクリート面の上に排水シートAを取り付けるが、排水シートAの取り付け面20の部分が固着具である打ち込みピンP等を使って固定される。
次に排水シートAと防水シートBとの間に裏込め充填材K2(主にモルタル材等)が充填される。
その後、型枠が取り外されて防水シートAの上から更に覆工コンクリートK3が打設される。
また図13は、図12のX−X断面を示す。
このように、本実施形態の排水シートAは、導水リブ12が曲面状の壁面(例えばトンネルの掘削面に吹き付けられた吹付けコンクリート面)の内周に沿うように取り付けられている。
その上に裏込め充填材K2の層が形成され、更に防水シートBが設けられており、その上には覆工コンクリート層K3が形成されている。
排水シートAは、このようにアーチ状の壁面に沿って取り付けられることにより、湧き水が矢印の方向に誘導され、トンネル壁の根元方向に流し落とされる。
また、掘削面から土粒子の流出が起こる可能性が懸念される場合は、不織布等の通水性を有するフィルター材料を掘削面に配置してから、排水シートAを取り付ける。
このことにより、土粒子が導水部10へ落下し、目詰まりを引き起こす可能性を極力排除することができる。
次に本発明の第2実施形態を説明する。
図15は、第2実施形態の排水シートを示す斜視図である。また図16は、本実施形態の排水シートの横方向の断面図である。
図に示すように、本実施形態の排水シートAは、水を誘導し、排水するための導水部10と、該導水部10の両端(両側)に設けられた排水シートAを壁面に取り付けるための二つの取り付け部20とよりなる。
すなわち、取り付け部20には、封止リブ21がなくて断面が矩形の中空部20Aとなっており、該中空部20Aが変形することによって弾圧性を発揮するものである。
中空部20Aの上から打ち込みピン等を打ち込んでコンクリート面に取り付け部20を固定するが、この場合、中空部20Aがコンクリート面を強く押圧し、侵入防止機能を発揮する。
次に本発明の第3実施形態を説明する。
本実施形態の排水シートAは、水を誘導し、排水するための導水部10と、該導水部10の両端(両側)に設けられた排水シートAを壁面に取り付けるための二つの取り付け部20とよりなることは、前述した実施の形態と同じである。
しかし底面板11の裏面に裏込め充填材K2との接合性を強化するための接合強化部11Aが形成されている点が異なっている。
そもそも底面板11は、裏込め充填材K2との接合性が悪いと、施工後、振動等を受けるうちに両者間に剥離現象が生じることがある。
この剥離現象は底面板11と裏込め充填材K2との接合強度が高いほど生じにくい。
この実施形態では、底面板11の裏面に裏込め充填材K2との接合性を強化する部分、すなわち接合強化部11Aを形成したものである。
この場合、短繊維Fが接着剤Rを介して底面板11の裏面に固定されている。
短繊維Fは底面板11の裏面に接着剤Rを塗布した状態で吹き付けて固定すればよい。
このような構造とすることにより、短繊維Fが裏込め充填材K2に絡みついて埋まり、裏込め充填材K2と底面板11の間の接合力が強化される。
この場合、不織布Nが接着剤Rを介して底面板11の裏面に固定されている。
図18(A)は排水シート全体、また図18(B)は接合強化部11Aの一部を拡大して示す。
これら短繊維Fや不織布Nは、底面板11の押出し成形の際、すぐに底面板11の裏面に融着させて固定させることも可能である。
別なる方法として、底面板11の押し出し成形の際、押し出された後、すぐ底面板11の裏面に粒状体Sを吹き付けて融着固定することも可能である。
粒状体Sが存在することで裏込め充填材K2との接触面積が大きくなり両者間の接合性が強化される。
ここで粒状体Sとしては、砂等が好ましく採用される。
底面板11は押し出し成形されるため、押し出し口金の設計により食い込みリブLを一体形成したものを同時に押し出すことが可能である。
食い込みリブLが裏込め充填材K2に埋まることにより底面板11と裏込め充填材K2との接合性が大きく向上する。
この食い込みリブLは、図では、先端に曲げ部を有するが、必ずしもこの曲げ部を有する必要はなく、投錨効果を発揮できればよい。
また先端の曲げを大きく鋭くすることによって、逆止状リブとなり、より効果的な投錨効果が得られる。
例えば、取り付け部20の封止リブ21は、数量、及び高さ関係、肉厚関係は、変更可能であり、その封止リブ21の傾斜の度合い、或いは傾斜の有無は自由である。
11・・・・底面板11
11A・・・接合強化部
12・・・・導水リブ
14・・・・導水路
20・・・・取り付け部
20A・・・中空部
21・・・・封止リブ
A・・・・・排水シート
B・・・・・防水シート
K1・・・・吹付けコンクリート面(吹付けコンクリート)
K2・・・・裏込め充填材
K3・・・・覆工コンクリート
P・・・・・打ち込みピン
G・・・・・細溝
N・・・・・不織布
R・・・・・接着剤
F・・・・・短繊維
S・・・・・粒状体
L・・・・・食い込みリブ
そして、周囲壁からの湧き水対策として、排水シートが設けられる。
このように、壁面に排水シートが取り付けられることにより、湧き水は排水シートを伝い、効率よく壁の足元へと誘導される。
ところで、最近、山岳トンネル等の建設工事では、従来の方法とは、異なった新しい施工方法が採用されるようになった。
この施工方法は、「吹付けコンクリート施工」→「ロックボルト施工」→「排水シート取り付け」→「防水シート取り付け用型枠設置」→「裏込め充填材注入」→「型枠取り外し」→「覆工コンクリート打設」の工程にて遂行される。
すなわち、排水シートと防水シートの間に裏込め充填材が介在することになる。
そのため、壁面に対する排水シートの取り付け部分から裏側(すなわち排水シートの壁面側)に充填材が入り込む問題が生じる。
このような問題は、導水部が網状構造のものであっても、やはり、生じる現象である。
これらは、従来と異なった手順の新しい施工方法が開発されたから、必然的に生じた課題である。
すなわち、本発明は、裏側にまで裏込め充填材が入り込まず、排水機能を損なうことのない排水シートを提供することを目的とする。
また、本発明は、(2)、取り付け部に水侵入防止機能を有する複数本の封止リブが形成されている上記(1)に記載の排水シートに存する。
また、本発明は、(3)、取り付け部は導水部に対して肉厚になっている上記(1)に記載の排水シートに存する。
また、本発明は、(4)、導水部は底面板と該底面板より起立形成された多数本の導水リブとよりなる上記(1)に記載の排水シートに存する。
また、本発明は、(5)、封止リブは、両端より内側にある方が肉厚が薄い上記(2)に記載の排水シートに存する。
また、本発明は、(6)、封止リブは、両端より内側にある方が高さが低い上記(2)に記載の排水シートに存する。
また、本発明は、(7)、封止リブは、外側に向かって傾斜している上記(2)に記載の排水シートに存する。
また、本発明は、(8)、前記底面板が半透明又は透明な合成樹脂で形成されている上記(1)に記載の排水シートに存する。
また、本発明は、(10)、取り付け部の裏面に形成された細溝を介して打ち込みピンが打ち込まれて排水シートが壁面に固定される上記(9)に記載の壁面構造に存する。
そのため、取り付け部の裏面に打ち込みピンを打ち込む際に細溝が打ち込みピンの滑りを防止して排水シートを確実に固定することができる。
さらに水侵入防止機能を有する複数本の封止リブが形成され取り付け部に打ち込みピンを打ち込んで確実に壁面に固定して、封止リブにより多段的に裏込め充填材の侵入を阻止できるので、排水シートの裏側(すなわち排水シートの壁面側)にまで、裏込め充填材が入り込まず、排水シートに設けられた水の導水部にまで充填材が侵入することはない。
そのため導水部が充填材で埋まることはなく排水シート本来の排水機能が維持される。
封止リブは、両端より内側にある方が肉厚が薄いことにより、内側の封止リブは柔軟となり、細溝を通じて打ち込みピンを打ち込んだ場合に、両端の封止リブが壁面を強く押圧する効果(バネ効果)を発揮する。
同様に、封止リブは、両端より内側にある方が高さが低いことにより、バネ効果を発揮する。
封止リブは、外側に向かって傾斜していることにより、強い封止力を発揮する。
本発明の一実施形態を、図面を用いて説明する。
図1は、本実施形態の排水シートを示す斜視図であり、また図2は、本実施形態の排水シートの横方向の断面図である。
図1に示すように、本実施形態の排水シートAは、水を誘導し、排水するための導水部10と、該導水部1の両端に設けられた排水シートAを壁面に取り付けるための二つの取り付け部20とよりなる。
そして、導水部10は底面板11と、底面板11から垂直に起立形成された多数本の導水リブ12とを備える。
導水リブ12の高さ及び導水リブ12同士の間隔は特に限定されるものではなく、実際の作業現場における湧き水の単位時間当たりの湧き出し量、湧き出し箇所の周囲の環境等に応じて必要とするものを適宜選択することが好ましい。
なお、排水シートAの排水能力を上げる場合には、底面板11と導水リブ12とに撥水処理加工を施すことが好ましい。
そのため、施工対象となる壁面の形状(例えば、トンネル壁面の曲率面形状)に沿った取り付け操作が容易に行える。
少なくとも底面板11を半透明または透明な材質で形成することで、導水部10を流れる湧き水の排水状況を視認できるようになり、施工時或いは施工後における排水シートAの管理が簡便になる。
また、排水シートAが遊離石灰の析出が発生し易い施工場所に取り付けられた場合には、導水部10の目詰まりを一見して確認できるので、能率的な保守作業やメンテナンスが可能になる。
以上の観点から、導水部10及び取り付け部20を形成する材料として好適な材質は、ポリプロピレン、ポリエチレン等である。
取り付け部20と底面板11とは一体になっており、さらに、取り付け部20は底面板11から外方に延長するように形成されている。
取り付け部20は底面板11と同一平面上に形成される。
この取り付け部20は、その一部が肉厚になっていることが強度の観点から好ましい。
この場合、排水シートAは、押し出し成形により製造できるので、取り付け部20の一部を肉厚にすることは容易に可能である。
封止リブ21が間隔を開けて複数本備わっているので、多段的に裏込め充填材の内部への侵入を防止することができる。
この封止リブ21は、その肉厚が先端部に行くに従って漸減するように形成されており、柔軟性があり壁面に沿って馴染み易い。
取り付け部20は、打ち込みピンP等を使って吹付けコンクリート面K1に取り付けられるが、その際、封止リブ21がコンクリート面K1を弾圧的に押圧する。
このため取り付け部20と吹付けコンクリート面K1との間に間隙が生じないので、裏込め充填材K2が、裏側に入り込み、排水シートAに設けられた水の導水部にまで侵入するようなことはない。
4本の封止リブ21は、両端側(両外側)にある2本の封止リブ21より内側にある2本の封止リブ21の方が肉厚が薄いことが好ましい。
肉厚が薄いと柔軟性が増して屈曲性が大きくなるが、両端側にある封止リブ21の間に打ち込みピンPを打ち込む際、内側にある封止リブ21(2本)の屈曲が大きいと打ち込んだ場合に両端側にある封止リブ21が面を強く押圧することができる。
内側にある封止リブ21(2本)を押圧することで、両端側の封止リブ21が強く吹付けコンクリート面K1に接し、バネ効果が発揮される。
また4本の封止リブ21は、内側にある2本の封止リブ21を、両端側(両外側)にある封止リブ21の高さより距離Lだけ低くすることが好ましく、これにより同様にバネ効果が大きくなる。
また内側にある2本の封止リブ21を両端側(両外側)にある封止リブ21の高さより距離Lだけ低く、且つ肉厚を薄くすることで、より大きいバネ効果を発揮できる。
また封止リブ21は、先端の方が外側に向かって傾斜していることが好ましい。
最初から、封止リブ21が傾斜を備えているので、吹付けコンクリート面K1に取り付け部20が押し付けられた場合に、傾斜の方向が外側に一致し、裏込め充填材K2の侵入を確実に防止する。
この状態で封止リブ21に液圧が加わると封止リブ21がより傾斜し封止力が増すこととなる。
ところで、排水シートは、打ち込みピンPを打ち込んで固定するが、打ち込みピンPは的確に打ち込まれることが重要である。
このように、排水シートの取り付け部20の裏面(封止リブ21が設けられている側と反対側)に細溝Gが長さ方向に沿って形成されていることが好ましい。
この細溝Gは、打ち込みピンを打ち込む場合に位置決めするためのもので、打ち込みピンを滑らずに安定した状態で固定できる。
すなわち排水シートAに入った水は、導水リブ12に誘導されるように、個々の導水路14に沿って真っ直ぐに流れるため、水の流れ道が整理され、水流同士の衝突が起きない。
その結果、水の排水能力が大きく高まることとなる。
図11は本実施形態の排水シートの取り付け施工例を示すブロック図である。
排水シートの取り付けは、「新トンネル工法」の一工程の中で施工されるものである。
そして吹き付けにより形成された吹付けコンクリート面K1に強度保持のため、適宜箇所にロックボルト(図省略)が打ち込まれる。
次に吹付けコンクリート面の上に排水シートAを取り付けるが、排水シートAの取り付け面20の部分が固着具である打ち込みピンP等を使って固定される。
次に排水シートAと防水シートBとの間に裏込め充填材K2(主にモルタル材等)が充填される。
その後、型枠が取り外されて防水シートAの上から更に覆工コンクリートK3が打設される。
また図13は、図12のX−X断面を示す。
このように、本実施形態の排水シートAは、導水リブ12が曲面状の壁面(例えばトンネルの掘削面に吹き付けられた吹付けコンクリート面)の内周に沿うように取り付けられている。
その上に裏込め充填材K2の層が形成され、更に防水シートBが設けられており、その上には覆工コンクリート層K3が形成されている。
排水シートAは、このようにアーチ状の壁面に沿って取り付けられることにより、湧き水が矢印の方向に誘導され、トンネル壁の根元方向に流し落とされる。
また、掘削面から土粒子の流出が起こる可能性が懸念される場合は、不織布等の通水性を有するフィルター材料を掘削面に配置してから、排水シートAを取り付ける。
このことにより、土粒子が導水部10へ落下し、目詰まりを引き起こす可能性を極力排除することができる。
次に本発明の第2実施形態を説明する。
図15は、第2実施形態の排水シートを示す斜視図である。また図16は、本実施形態の排水シートの横方向の断面図である。
図に示すように、本実施形態の排水シートAは、水を誘導し、排水するための導水部10と、該導水部10の両端(両側)に設けられた排水シートAを壁面に取り付けるための二つの取り付け部20とよりなる。
すなわち、取り付け部20には、封止リブ21がなくて断面が矩形の中空部20Aとなっており、該中空部20Aが変形することによって弾圧性を発揮するものである。
中空部20Aの上から打ち込みピン等を打ち込んでコンクリート面に取り付け部20を固定するが、この場合、中空部20Aがコンクリート面を強く押圧し、侵入防止機能を発揮する。
次に本発明の第3実施形態を説明する。
本実施形態の排水シートAは、水を誘導し、排水するための導水部10と、該導水部10の両端(両側)に設けられた排水シートAを壁面に取り付けるための二つの取り付け部20とよりなることは、前述した実施の形態と同じである。
しかし底面板11の裏面に裏込め充填材K2との接合性を強化するための接合強化部11Aが形成されている点が異なっている。
そもそも底面板11は、裏込め充填材K2との接合性が悪いと、施工後、振動等を受けるうちに両者間に剥離現象が生じることがある。
この剥離現象は底面板11と裏込め充填材K2との接合強度が高いほど生じにくい。
この実施形態では、底面板11の裏面に裏込め充填材K2との接合性を強化する部分、すなわち接合強化部11Aを形成したものである。
この場合、短繊維Fが接着剤Rを介して底面板11の裏面に固定されている。
短繊維Fは底面板11の裏面に接着剤Rを塗布した状態で吹き付けて固定すればよい。
このような構造とすることにより、短繊維Fが裏込め充填材K2に絡みついて埋まり、裏込め充填材K2と底面板11の間の接合力が強化される。
この場合、不織布Nが接着剤Rを介して底面板11の裏面に固定されている。
図18(A)は排水シート全体、また図18(B)は接合強化部11Aの一部を拡大して示す。
これら短繊維Fや不織布Nは、底面板11の押出し成形の際、すぐに底面板11の裏面に融着させて固定させることも可能である。
別なる方法として、底面板11の押し出し成形の際、押し出された後、すぐ底面板11の裏面に粒状体Sを吹き付けて融着固定することも可能である。
粒状体Sが存在することで裏込め充填材K2との接触面積が大きくなり両者間の接合性が強化される。
ここで粒状体Sとしては、砂等が好ましく採用される。
底面板11は押し出し成形されるため、押し出し口金の設計により食い込みリブLを一体形成したものを同時に押し出すことが可能である。
食い込みリブLが裏込め充填材K2に埋まることにより底面板11と裏込め充填材K2との接合性が大きく向上する。
この食い込みリブLは、図では、先端に曲げ部を有するが、必ずしもこの曲げ部を有する必要はなく、投錨効果を発揮できればよい。
また先端の曲げを大きく鋭くすることによって、逆止状リブとなり、より効果的な投錨効果が得られる。
例えば、取り付け部20の封止リブ21は、数量、及び高さ関係、肉厚関係は、変更可能であり、その封止リブ21の傾斜の度合い、或いは傾斜の有無は自由である。
11・・・・底面板11
11A・・・接合強化部
12・・・・導水リブ
14・・・・導水路
20・・・・取り付け部
20A・・・中空部
21・・・・封止リブ
A・・・・・排水シート
B・・・・・防水シート
K1・・・・吹付けコンクリート面(吹付けコンクリート)
K2・・・・裏込め充填材
K3・・・・覆工コンクリート
P・・・・・打ち込みピン
G・・・・・細溝
N・・・・・不織布
R・・・・・接着剤
F・・・・・短繊維
S・・・・・粒状体
L・・・・・食い込みリブ
Claims (12)
- 水を誘導し、排水するための導水部と、該導水部を壁面に取り付けるための取り付け部とよりなる排水シートであって、前記導水部及び前記取り付け部が不透水性の合成樹脂で形成されており、取り付け部に水侵入防止機能を備えていることを特徴とする排水シート。
- 導水部は底面板と該底面板より起立形成された多数本の導水リブとよりなり、該取り付け部に水侵入防止機能を有する複数本の封止リブが形成されていることを特徴とする請求項1記載の排水シート。
- 封止リブは、両端より内側にある方が肉厚が薄いことを特徴とする請求項2記載の排水シート。
- 封止リブは、両端より内側にある方が高さが低いことを特徴とする請求項2記載の排水シート。
- 封止リブは、外側に向かって傾斜していることを特徴とする請求項2記載の排水シート。
- 取り付け部に水侵入防止機能を有する中空部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の排水シート。
- 前記底面板が半透明又は透明な合成樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1記載の排水シート。
- 底面板の裏面に裏込め充填材との接合性を強化するための接合強化部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の排水シート。
- 接合強化部が底面板の裏面に短繊維又は不織布を接着又は融着させたものであることを特徴とする請求項1記載の排水シート。
- 接合強化部が底面板の裏面に粒状体を接着又は融着させたものであることを特徴とする請求項1記載の排水シート。
- 接合強化部が底面板の裏面に食い込みリブを形成させたものであることを特徴とする請求項1記載の排水シート。
- 請求項1〜11のいずれか一項に記載の排水シートの導水リブの先端が、曲面状の壁面に沿って当接するようにして取り付けられていることを特徴とする壁面構造。
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