JP2017226927A - メルトブロー用口金、これを用いた極細繊維製造装置及びその製造方法 - Google Patents
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さらに、特許文献1では、図16に示すように、こうしたノズルを多数円周上に配列させた構成についても示されている。
それに対し、特許文献1にみられるような構成の口金の場合、溶融樹脂を延伸させるのに大量の高温ガスを必要とし、特に図16のようにノズルを多数配列した場合顕著であった。このため、紡糸時に吹き出しノズルを通過するガス温度が低下しないよう、口金の上流側に設けるガス加熱装置を大型にしたり、口金に直接加熱できる装置を取り付けるなどの対策が必要であった。それにより、エネルギーコストの上昇や口金の大型化・複雑化を招き、ひいては製造コストが上昇するという問題があった。
このように構成すると、少ない熱風ガスの量であっても安定して溶融樹脂を微細な繊維に紡糸することができる。また、口金内の吐出ノズルと熱風ノズルの配置の自由度が増すこととなる。
図1に示すように、不織製造装置は、溶融樹脂を押し出す押出機200と、熱風を生成する熱風生成装置300と、押出機200から押し出された溶融樹脂を繊維状にして吐出する口金20とを備えている。
さらに、口金20の下方にはメッシュ状のベルトコンベアが設けられており、微細化された樹脂繊維が走行中のベルト上に集積されることで極細繊維が形成される。
ここで、液ノズル22と熱風ノズル24は、それぞれ一定の断面形状を有する柱状中空体であり、互いに近接して配置されている。さらに、図4に示すように、液ノズル22の中心軸Orと熱風ノズル24の中心軸Ogが同一平面上に存在するとともに、口金20において中心軸Orが傾斜し、中心軸Orの延長線と中心軸Ogの延長線が口金下面20aの下方側の点Xにおいて角度θ1で交差するように構成されている。
これにより、熱風ノズル24から吹き出される熱風ガスが少ない量であっても、液ノズル22から吐出された溶融樹脂が熱風ノズル24から吹き出される熱風ガスにより延伸され微細な繊維が得られる。
また、図示していないが、口金20の外周部分には、口金20を押出機200のシリンダーに固定するために何箇所か穴加工が施されてもよい。
なお、液ノズル22の断面の大きさは、必ずしもすべて同じとする必要はなく、繊維径に分布をもたせるため、上記範囲内で変えても良い。
なお、互いに隣接する液ノズル22同士の間隔は、近接する熱風ノズル24との最短距離t1よりも大きいことが好ましい。
このような配置をとることにより、溶融樹脂と熱風ガスのそれぞれの導入経路の切り分けが容易となり、口金の加工や小型化に有利となる。
図5及び図6に、互いに近接する液ノズル32と熱風ノズル34を示す。
ここで、熱風ノズル34は、口金下面30a近くにおいて、その一部がテーパー形状からなるテーパー部34aを有してことが、第一の実施形態のメルトブロー用口金20における熱風ノズル24と異なっている。
これにより、熱風ノズル34から吹き出される熱風ガスが少ない量であっても、液ノズル32から吐出された溶融樹脂が熱風ノズルのテーパー部34aに沿って吹き出す熱風ガスにより効果的に延伸され微細な繊維となる。
さらに、図5において、テーパー部34aにおいて、熱風ノズルの中心軸とテーパー方向の成す角度θ2は、35度以内が好ましく、25度以内がより好ましく、15度以内がさらに好ましい。35度を超えると、熱風ガスによる溶融樹脂の延伸が不十分で微細な繊維が得られ難くなるためである。
また、図5及び図6において、テーパー形状34aは、口金下面30aにおいて、液ノズル32の出口とほぼ接するように設けているが、角度θ2を小さくして液ノズル32の出口に近づけるように設けてもよい。
さらに、液ノズル42の中心軸Prと熱風ノズル44の中心軸Pgが同一平面上に存在するとともに、中心軸Prの延長線と中心軸Pgの延長線が口金下面40aの下方側の点Yにおいて角度θ3で交差するように構成されてり、第1の実施形態によるメルトブロー用口金と同様である。
なお、熱風ノズル44の中心軸Pgは、それぞれの液ノズル42の中心軸Prから熱風ノズル44を最短距離で結んだ直線と直径D2Bの円周との交点を起点とし、図8に示すように熱風ノズル44の断面の中心を通過する直線としている。
ちなみに、液ノズル42と熱風ノズル44を最短距離で結んだ直線の延長線は、図7に示すように円の中心を通過していることがわかる。
また、また、口金40において、溶融樹脂の導入経路を直径D2Bの円周付近の厚み方向に、一方、熱風ガスの導入経路を直径D2Bの円周付近の厚み方向に、分けて配置している。これにより、溶融樹脂と熱風ガスのそれぞれの導入経路の切り分けが容易となり、口金の加工や小型化に有利となる。
さらに、熱風ノズル44が細長い四角形を直径D2Bの円周上に沿うよう湾曲した形状であるため、液ノズル42から吐出された微細な繊維が直径D2Bの円周の内側に飛び込むことを効果的に防止でき安定的に紡糸する上で好ましい。
なお、図7において、熱風ノズル44の断面は、およそ長方形を直径D2Bの円周上に沿うよう湾曲させた形状としたが、加工のしやすさなどからコーナー部に面取り加工を施しても良い。
図7及び図8では、口金40において、液ノズル42を傾斜させている。代わりに熱風ノズル44を傾斜させても良いし、両方とも傾斜させても良い。ただし、これらの場合でも、中心軸Prの延長線と中心軸Pgの延長線が成す角度θ3は、30度以内が好ましい。
逆に、直径D2Bが直径D1Bより大きい場合でも、同じく微細な繊維からなる極細繊維を多数得ることができ、また、溶融樹脂と熱風ガスのそれぞれの導入経路の切り分けが容易であることなど同様である。
さらに、液ノズル52の中心軸Qrと熱風ノズル54の中心軸Qgが同一平面上に存在するとともに、中心軸Qrの延長線と中心軸Qgの延長線が口金下面50aの下方側の点Zにおいて角度θ4で交差するように構成されている。
なお、熱風ノズル54の中心軸Qgは、それぞれの液ノズル52の中心軸Qrから熱風ノズル54を最短距離で結んだ直線と直径D2Cの円周との交点を起点とし、図10に示すように熱風ノズル54の断面の中心を通過する直線としている。
ちなみに、液ノズル52と熱風ノズル54を最短距離で結んだ直線の延長線は、図9に示すように円の中心を通過していることがわかる。
また、図7に示す口金40に比較し、液ノズル52を設ける箇所を増やすことができる点で好ましい。さらに、液ノズル52から吐出された微細な繊維が直径D2Cの円周の内側に飛び込むことを効果的に防止でき安定的に紡糸する上で好ましい。
図9及び図10では、口金50において、液ノズル52を傾斜させている。代わりに熱風ノズル54を傾斜させても良いし、両方とも傾斜させても良い。ただし、これらの場合でも、中心軸Qrの延長線と中心軸Qgの延長線が成す角度θ4は、30度以内が好ましい。
逆に、直径D2Cが直径D1Cより大きい場合でも、同じく微細な繊維からなる極細繊維を多数得ることができ、また、溶融樹脂と熱風ガスのそれぞれの導入経路の切り分けが容易であることなど同様である。
押出機から押し出された溶融樹脂は、液導入配管210aより液導入口210bを経て口金40に多数形成されている液ノズル42から繊維状に吐出される。一方、熱風生成装置から出された熱風ガスは、熱風導入配管310aより熱風導入口310bを経て口金40に多数形成されている熱風ノズル44より吹き出す。これにより、液ノズル42から吐出された樹脂繊維は延伸され微細化された極細繊維が得られる。
また、複数の口金40に同種の樹脂材料からなる溶融樹脂を供給してもよい。一方、口金40ごとに種類や特性が異なる樹脂材料からなる溶融樹脂を供給することで、複合化した極細繊維とすることもできる。
また、複数の口金40に同種の樹脂材料からなる溶融樹脂を供給してもよい。一方、口金40ごとに種類や特性が異なる樹脂材料からなる溶融樹脂を供給することで、複合化した極細繊維とすることもできる。
しかしながら、こうした微細な繊維からなる極細繊維は、へたりやすく、嵩高性を保持することが難しい。そこで、保形性の高い極細繊維の骨格となるよう、太い繊維を混ぜても良いし、ポリオレフィン系樹脂とは相溶しない、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリメチレンテレフタレートなどを混ぜても良い。
なお、液ノズルの断面の大きさを変える場合、上述したような同一のメルトブロー用口金の中で行っても良いし、メルトブロー用口金ごとに行っても良い。
すなわち、本発明のメルトブロー用口金の下方に設けられたメッシュ状のベルトンベア表面に、その太い繊維を適量分散させた状態で、その口金に多数設けた液ノズルから吐出され熱風ノズルにより延伸させた微細な繊維を堆積させることで可能となる。細い繊維と太い繊維の割合は、ベルトコンベア表面の太い繊維の分散量や口金からの吐出量などによりコントロールすることができる。
断熱材の場合では、理想的な断熱媒体である空気を繊維間にできるだけ封じ込めることがもっとも効果的である。例えば、比較的太い繊維を骨格として空間を作り、さらにその空間に細い微細な繊維を充填することにより、大量のデッドエア(動かない空気)を封じ込めすぐれた断熱性を発揮することが可能となる。
一方、吸音材の場合では、音である空気の振動が微細な繊維にぶつかることにより、熱エネルギーへ変換され音声エネルギーを失うこととなる。そのため、例えば、比較的太い繊維を骨格として広い空間を作り、さらにその空間に細い微細な繊維を充填することにより、すぐれた吸音性を発揮することが有効である。
かかる断熱材及び吸音材にも、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレン−ポリエチレン共重合体などのポリオレフィン系樹脂などが好適に用いられる。
布団や衣類の場合では、羽毛や羊毛など天然繊維が保温性や軽量性に優れ好ましい。これらの天然繊維は比較的太い繊維であるため骨格として空間を作り、さらにその空間に細い微細な繊維を充填することで、保温性などを維持しながら高価な天然繊維の使用量を減らすことができ好ましい。
まず、紡糸にあたり、繊維径が15〜30μmの太いポリプロピレン繊維をメルトブロー用口金の下方に設けられたメッシュ状のベルトコンベア表面にあらかじめ分散させた。
そして、ポリプロピレンを溶融した樹脂を図7に示すメルトブロー用口金40を用い以下の口金条件及び運転条件により紡糸した。
<口金条件>
口金形状 φ70mm×15mm
D1B 26mm
D2B 23mm
液ノズル φ0.45mm×22
熱風ノズル 4×0.8mm(長方形を円周状に湾曲)×11
θ3 10度
<運転条件>
押出機温度 250℃
樹脂吐出量 5〜10kg/hr
熱風(空気)温度 300℃
熱風(空気)流量 0.5〜1.1Nm3/分
ここで、口金にヒーターなど加熱できる装置を特に設けなかったが、口金の温度は約300℃であり、紡糸の開始から終了まであまり変動がみられずほぼ一定であった。
メルトブロー用口金より吐出された溶融したポリプロピレン樹脂は、熱風ノズルより吹出した高速高温気流により延伸され、微細な樹脂繊維がベルトコンベア上に堆積するとともに、すでにベルトコンベア表面に分散させてあった15〜30μmのポリエチレンテレフタレート繊維を含む状態で互いに複雑に絡み合いながらところどころ繊維同士が熱融着した極細繊維が得られた。
図13は、本実施例により得られた極細繊維の走査型電子顕微鏡の写真である。繊維径が15〜30μmの太い繊維が分散した状態で存在し、空いた空間に繊維径が約0.8〜2μmの細い繊維が充填されていた。
得られた極細繊維の細い繊維と太い繊維の重量割合は、細い繊維:太い繊維=60:40であった。また、嵩密度は、0.025g/cm3であった。
次に、得られた極細繊維の給油量を以下の方法により行った。すなわち、規定量の給油材(1.5g)を装填したステンレス製円筒金網(φ90mm)を廃エンジンオイルに5分間浸透させた後、廃エンジンオイルから取り出し、5分間放置した。その前後の質量変化を測定し、吸油量を求めた。その結果、本実施例による吸油材の吸油量は60gであった。これは、市販品されているA社製のポリプロピレン系吸油材よりも約2.5倍大きい値であった。
20a、30a、40a:口金下面
22、32、42:液ノズル
24、34、44:熱風ノズル
34a:熱風ノズルのテーパー部
200:押出機
200a、210a、220a:液導入配管
200b、210b:液導入口
300:熱風生成装置
300a、310a、320a:熱風導入配管
300b、310b、320b:熱風導入口
このように構成すると、少ない熱風ガスの量であっても安定して溶融樹脂を微細な繊維に紡糸することができる。また、口金内の吐出ノズルと熱風ノズルの配置の自由度が増すこととなる。
Claims (7)
- 加熱した溶融樹脂を吐出できる2箇所以上の液ノズルと、前記液ノズルから吐出される溶融樹脂に熱風を吹き出して繊維状に延伸する1箇所以上の熱風ノズルを備えるメルトブロー用口金であって、
前記液ノズルと前記熱風ノズルは、それぞれ一定の断面形状を有する柱状中空体であり、互いに近接し、
前記液ノズルの中心軸と前記熱風ノズルの中心軸は同一平面上に存在するとともに、前記液ノズルの中心軸の延長線と前記熱風ノズルの中心軸の延長線が前記口金下面の下方側において交差するように配置されており、
前記液ノズルが直径D1の円周上に配置され、前記熱風ノズルが、前記液ノズルが配置されている円と同じ中心を有する直径D2の円周上に配置され、D2はD1よりも小さいか又は大きいことを特徴とするメルトブロー用口金。 - 前記熱風ノズルは、直径D2の円周上に、前記熱風ノズルの断面形状がおよそ長方形を湾曲させた形状で配置することを特徴とする、請求項1に記載のメルトブロー用口金。
- 前記熱風ノズルは、1箇所とし、直径D2の円周方向全体に広げた形状で配置することを特徴とする、請求項2に記載のメルトブロー用口金。
- 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のメルトブロー用口金を備え、前記液ノズルより溶融樹脂を吐出するとともに、吐出された溶融樹脂に対して前記熱風ノズルから熱風を吹き出して繊維状に延伸された樹脂繊維によって極細繊維を製造することを特徴とする極細繊維製造装置。
- 前請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のメルトブロー用口金を用いて、
前記液ノズルから吐出された加熱した溶融樹脂に対して、前記熱風ノズルから吹き出した熱風により繊維状に延伸させた樹脂繊維を、捕集板上に堆積させた極細繊維の製造方法。 - 前記溶融樹脂がオレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項5に記載の極細繊維の製造方法。
- 請求項5又は請求項6のいずれかに記載の極細繊維の製造方法を用いて、吸油材、断熱材、吸音材、布団及び衣類のいずれかを製造することを特徴とする極細繊維の製造方法。
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