JP2017095850A - メルトブロー口金および不織布の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
不織布を製造するにおいて、ポリマー吐出孔と気流吐出孔から構成される孔集合を多列に配置できるメルトブロー口金を提供する。
【解決手段】
本発明のメルトブロー口金は、口金吐出面に、ポリマーを吐出するための1つまたは複数のポリマー吐出孔と気流を吐出するための1つまたは複数の気流吐出孔とからなる孔集合が2つ以上形成されており、口金吐出面の孔集合と孔集合との間に、口金吐出面からポリマー吐出方向下流側に向かって延在する第一の突起部材が設けられている。
【選択図】図1
不織布を製造するにおいて、ポリマー吐出孔と気流吐出孔から構成される孔集合を多列に配置できるメルトブロー口金を提供する。
【解決手段】
本発明のメルトブロー口金は、口金吐出面に、ポリマーを吐出するための1つまたは複数のポリマー吐出孔と気流を吐出するための1つまたは複数の気流吐出孔とからなる孔集合が2つ以上形成されており、口金吐出面の孔集合と孔集合との間に、口金吐出面からポリマー吐出方向下流側に向かって延在する第一の突起部材が設けられている。
【選択図】図1
Description
本発明は、メルトブロー口金および不織布の製造方法に関する。
不織布の製造方法としては、口金から吐出されたポリマーに高速、かつ高温の気流を吹き付けることで、ポリマーを引っ張りつつ溶融接着させてウエブを形成し、それをネットコンベア上に捕集することで、不織布を得る方法が一般的であり、メルトブローと呼ばれている。この製造方法は、加熱された高温の空気を高圧力下にて高速で吹き出すことから、大量の空気を口金に供給する必要があり、省エネの観点からも様々な改善が進められている。また、近年、不織布の多種多様な用途へ展開される中で、生産性向上を図るべく、ポリマーを吐出する吐出孔を多列化する取り組みが盛んに行われている。なお、生産性向上のために、一つの吐出孔から吐出されるポリマー量を増加することも挙げられるが、その際には、口金自体の耐久性が高くないため、限界がある。
特許文献1および特許文献2では、パイプの中心からポリマーを吐出し、パイプ外側の環状流路の全周から気流を吹き出す吐出部を有した口金において、この吐出部が口金の一つの面に複数の孔を多列に配置することが記載されている。これにより、各々のポリマーに気流が均一に当たり、糸揺れを防止し、生産性を向上できることが開示されている。
しかしながら、本発明者らの知見によると、特許文献1、特許文献2に開示されている口金は、隣接するパイプから吐出されるポリマーが吐出直後に接触し、ポリマー同士の融着による紡糸不良が発生する場合があり、特に、吐出部同士を近接化させ、単位面積当たりの吐出部の個数を増加させる(吐出部を高密度に配置させる)と、より顕著となる。一方、吐出部同士の距離を離すと、ポリマー同士の融着は当然回避できるが、単位面積当たりの吐出部の個数を増やすことができず、ひいては、生産性向上が得られない。また、実施例に見られるように、内径φ0.3/外径φ0.5のパイプを前提としていることから、パイプそのものを高密度に配置できない場合がある。これは、口金の製作上、パイプを口金に圧入し溶接固定していることから、溶接代が必要であり、さらに、パイプを挿入するための孔を設けることから、強度上の問題によりパイプ間同士の間隙を狭化できない。また、この口金の構造は非常に複雑であるため、口金の製作に期間や手間、費用が必要となり、この点においても設備費が過大となる問題がある。
よって、本発明の目的は、吐出部(本発明では、ポリマー吐出孔と気流吐出孔から構成される孔集合)を高密度、すなわち多列に配置しても安定的に紡糸できるメルトブロー口金および不織布の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決する本発明のメルトブロー口金は、口金吐出面に、ポリマーを吐出するための1つまたは複数のポリマー吐出孔と気流を吐出するための1つまたは複数の気流吐出孔とからなる孔集合が2つ以上形成されており、口金吐出面の孔集合と孔集合との間に、口金吐出面からポリマー吐出方向下流側に向かって延在する第一の突起部材が設けられている。
また、本発明のメルトブロー口金は、さらに以下の構成を有することが好ましい。
・孔集合が、一方向に配列された複数のポリマー吐出孔と、これら複数のポリマー吐出孔を挟む長手方向がポリマー吐出孔の配列方向に平行な一対のスリット形状の気流吐出孔とからなること。
・第一の突起部材の、ポリマー吐出方向に垂直な平面で切断した断面積が、ポリマー吐出方向下流側に向かうにつれて小さいこと。
・第一の突起部材に、第一の突起部材の孔集合群に面している表面と他方の表面とを連通する1つ以上の貫通孔が形成されていること。
・第一の突起部材の孔集合に面しているそれぞれの表面に、複数の突起、窪み、又は突起と窪みが点在して形成されていること。また、それら突起と窪みが口金吐出面に平行方向に延在すること。
・第一の突起部材を挟む複数の孔集合を孔集合群とし、孔集合群の外側で、孔集合を挟んで第一の突起部材に対向する位置の片側または両側に、口金吐出面からポリマー吐出方向下流側に向かって延在する第二の突起部材が設けられていること。
・第二の突起部材に、第二の突起部材の孔集合群に面している表面と孔集合群に面していない表面とを連通する1つ以上の貫通孔が形成されていること。
・第二突起部材の孔集合群に面している表面に、口金吐出面に平行方向に延在する複数の突起、窪み、又は突起と窪みが形成されていること。
・1つのポリマー吐出孔と、このポリマー吐出孔から近接した順の3つの気流吐出孔であって、このポリマー吐出孔を中心とする同一の仮想円周上に中心角90度を越えて配置された3つの気流吐出孔とで孔集合を構成しており、孔集合が同一面に複数配置されていること。
・第一の突起部材を挟む複数の孔集合を孔集合群とし、孔集合群を囲む外周の一部または全部に、口金吐出面からポリマー吐出方向下流側に向かって延在する第三の突起部材が設けられていること。
・一つの前記ポリマー吐出孔を中心に、3つの気流吐出孔が中心角120度で等分配置されること。
・ポリマー吐出孔、またはポリマー吐出孔と気流吐出孔に連通した流路が、薄板の積層構造で形成されること。
・ポリマー吐出孔の配置密度が5孔/cm2以上であること。
・孔集合が、一方向に配列された複数のポリマー吐出孔と、これら複数のポリマー吐出孔を挟む長手方向がポリマー吐出孔の配列方向に平行な一対のスリット形状の気流吐出孔とからなること。
・第一の突起部材の、ポリマー吐出方向に垂直な平面で切断した断面積が、ポリマー吐出方向下流側に向かうにつれて小さいこと。
・第一の突起部材に、第一の突起部材の孔集合群に面している表面と他方の表面とを連通する1つ以上の貫通孔が形成されていること。
・第一の突起部材の孔集合に面しているそれぞれの表面に、複数の突起、窪み、又は突起と窪みが点在して形成されていること。また、それら突起と窪みが口金吐出面に平行方向に延在すること。
・第一の突起部材を挟む複数の孔集合を孔集合群とし、孔集合群の外側で、孔集合を挟んで第一の突起部材に対向する位置の片側または両側に、口金吐出面からポリマー吐出方向下流側に向かって延在する第二の突起部材が設けられていること。
・第二の突起部材に、第二の突起部材の孔集合群に面している表面と孔集合群に面していない表面とを連通する1つ以上の貫通孔が形成されていること。
・第二突起部材の孔集合群に面している表面に、口金吐出面に平行方向に延在する複数の突起、窪み、又は突起と窪みが形成されていること。
・1つのポリマー吐出孔と、このポリマー吐出孔から近接した順の3つの気流吐出孔であって、このポリマー吐出孔を中心とする同一の仮想円周上に中心角90度を越えて配置された3つの気流吐出孔とで孔集合を構成しており、孔集合が同一面に複数配置されていること。
・第一の突起部材を挟む複数の孔集合を孔集合群とし、孔集合群を囲む外周の一部または全部に、口金吐出面からポリマー吐出方向下流側に向かって延在する第三の突起部材が設けられていること。
・一つの前記ポリマー吐出孔を中心に、3つの気流吐出孔が中心角120度で等分配置されること。
・ポリマー吐出孔、またはポリマー吐出孔と気流吐出孔に連通した流路が、薄板の積層構造で形成されること。
・ポリマー吐出孔の配置密度が5孔/cm2以上であること。
また、本発明の不織布の製造方法は、本発明のメルトブロー口金を用いた製造方法である。
本発明のメルトブロー口金によれば、ポリマー吐出孔と気流吐出孔から構成される孔集合を多列に配置しても、吐出直後のポリマー同士の融着、それに伴う糸切れを回避し、安定的に紡糸することで生産性向上が可能となる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。図10は、本発明の実施形態に用いられる不織布の製造装置の概略側面図であり、図1は、図10の一部分であるメルトブロー口金の吐出面の側面拡大図であり、図2、24は、吐出面の平面図である。図3は、本発明の別の実施形態であるメルトブロー口金の吐出面の平面図である。図4、図5、図6、16、17、18、19、23は、本発明の別の実施形態であるメルトブロー口金の吐出面の側面拡大図である。図11は本発明の別の実施形態であるメルトブロー口金の平面図であり、図12は、この場合のメルトブロー口金の部分拡大断面図である。図14は、図5のA方向から見た側面図であり、図15は、図6のB方向から見た側面図である。なお、これらは、本発明の要点を正確に伝えるための概念図であり、図を簡略化しており、本発明のメルトブロー口金は、特に制限されるものでなく、吐出孔の数ならびにその寸法などは実施の形態に合わせて変更できる。また、本発明のメルトブロー口金には、ポリマー吐出孔1および気流吐出孔2にそれぞれ連通した流路10にて構成されているが、説明を簡略化するため、ポリマー102が通過する流路10のみで説明する。
本発明の実施形態に用いられる不織布の製造装置は、図1、図2、図10に示すように、口金4、捕集ネットコンベア7、ローラー8から構成されており、口金4の下面側、つまりは捕集ネットコンベア7に向かう側には、口金吐出面5が構成され、口金吐出面5には、複数個のポリマー吐出孔1と、複数個の気流吐出孔2からなる孔集合103が2つ以上(図2は2列)で配設されている。そこで、口金4に供給されたポリマー102と気流が、口金4の内部の流路10を通過し分配され、ポリマー吐出孔1からポリマー102が吐出され、気流吐出孔2から高速、かつ高温の気流が吐出される。ポリマー102は気流を吹き付けられることで延伸され、その後、ポリマー同士が接触して接着することによりウエブ6を形成し、それを捕集ネットコンベア7に捕集し、ローラー8に巻き取られ、不織布を形成することができる。なお、捕集ネットコンベア7が無く、直接、回転しているローラー8にポリマー102を吐出し、ウエブ6を形成してもよい。
初めに、本発明の最も重要なポイントである、ポリマー吐出孔1と気流吐出孔2から構成される孔集合103を多列に配置しても安定的に紡糸できる原理について説明する。
はじめに、従来技術と本発明の違いを明確にするために、従来技術にて孔集合103を多列に配置したメルトブロー口金について説明する。図13に従来技術の口金4、図8にその口金を用いた場合の気流の流れ形態を示す。従来技術の口金では、1つの孔集合103中において、ポリマー吐出孔1の両側に配置された気流吐出孔2から吐出された気流は、合流した後、一体となって1つの噴流を形成し、吐出方向下流側に向かって流れる。その際、噴流の周囲の気流を引き込む。噴流により引き込まれた気流を補うために、更に、その周囲の気流が流れ込むことで、噴流は絶えず周囲の気流を引き込みながら吐出方向下流側へと向かう。ここで、2つの孔集合103が多列に配置されていると、孔集合103に挟まれた列間領域104からも、噴流により気流が引き込まれるが、列間領域104は、孔集合103がそれぞれ形成する2つの噴流に挟まれているため、周辺気流を引き込み難くなり、気流の補填が不足して負圧が発生する。噴流は、この列間領域104の負圧に引っ張られることで、噴流同士が近接し、合流する。このとき、気流吐出孔2から吐出されたポリマー102は、噴流に沿って流れ、延伸されるため、噴流と同様に吐出直後に列間領域104側に急激に傾斜することで、延伸に偏りが生じ、ひいては糸切れが発生する。また、延伸が十分に進行しておらず、かつ高温のままのポリマー同士が合流して接触、融着することで、ウエブ6の目付斑が増大する。そこで、本発明者らは、従来の技術では、何の配慮もされていなかった、上記問題に関して、鋭意検討を重ねた結果、本発明の新たな技術を見出すに至った。
すなわち、本発明の実施形態の口金4は、図1に示すように、口金吐出面5に複数のポリマー吐出孔1と、複数の気流吐出孔2からなる孔集合103を2つ構成しており、2つの孔集合103に挟まれた空間に、口金吐出面5からポリマー吐出方向下流側に向かって延在する第一の突起部材101が設けられている。ここで、孔集合103の中のポリマー吐出孔1は、幅方向に一方向に配列されている。この口金を用いた場合の気流の形態とポリマー102の挙動について図7を用いて説明する。
本発明の口金4では、一つの孔集合103の気流吐出孔2から吐出された気流により形成される噴流は、孔集合103を挟み第一の突起部材101とは反対側からのみ気流を引き込みながら第一の突起部材101に沿ってポリマー吐出方向下流側に向かう。その後、噴流が第一の突起部材101の下端部に到達すると、上記と同様に、列間領域104からの気流の引き込みが生じ、負圧が発生し、噴流は列間領域側に大きく傾斜し、2つの噴流が合流する。但し、ポリマー吐出孔1から吐出され、噴流に沿って流れるポリマー102は、第一の突起部材101に沿ってポリマー吐出方向下流側に向かう間に、延伸が進行するとともに冷却され、一定レベルの表面の固化が完了し、その後に2つのポリマー同士が合流しても、適度な融着が発生することから、糸切れは発生しない。すなわち、ポリマー吐出孔1と気流吐出孔2から構成される孔集合103を多列に配置しても、ポリマー102を延伸するとともに、吐出直後のポリマー同士の融着を抑制し、糸切れを回避することができる。また、口金4に配置する気流吐出孔2の個数を最小限の数とすることができ、気流の吹き出し量の削減、ひいては省エネ化が可能となる。
また、図3に示すように、本発明の第2の実施形態においては、一つの孔集合103が、幅方向に一方向に配列された複数のポリマー吐出孔1と、これら複数のポリマー吐出孔1を挟み、長手方向がポリマー吐出孔1の配列方向に平行な一対のスリット形状の気流吐出孔2とで構成されている。そして、この孔集合103が平行に複数個配置されている。これにより、気流吐出孔2から吐出される気流を幅方向に均一にすることで、ウエブ6の延伸斑、ひいては目付斑を抑制することができる。また、口金の製作費を大幅に低減することが可能となる。
また、図4に示すように、本発明の第3の実施形態においては、第一の突起部材101の、ポリマー吐出方向に垂直な平面で切断した断面積が、ポリマー吐出方向下流側に向かうにつれて小さくなっている。これにより、気流吐出孔2から吐出された気流により形成される噴流が、第一の突起部材101に沿って傾斜しながらポリマー吐出方向下流側に向かうことで、第一の突起部材101のポリマー吐出方向下流側の下端部に到達した時点で、噴流同士は近接しており、流れ方向を急激に変えることなく、合流する。つまりは、本発明の第1、第2の実施形態に見られていた列間領域104が殆ど発生しない。そこで、噴流に沿って流れるポリマー102も同様に、第一の突起部材101のポリマー吐出方向下流側の端部で流れ方向を大きく変ないことにより、糸切れをより抑制することができる。
また、図5、図14に示すように、本発明の第4の実施形態においては、第一の突起部材101の孔集合103に面しているそれぞれの表面に、複数の突起、窪み、又は突起と窪みが点在して形成されている。こうすることで、第一の突起部材101の表面近くを噴流に乗って流れるポリマー102が第一の突起部材101側に寄った際、第一の突起部材101との接触面積が低減されることで、ポリマー102の融着を抑制することができる。
また、図22に示すように、本発明の第11の実施形態においては、第一の突起部材101の孔集合群105に面している表面と他方の表面とで連通する、少なくとも1つの貫通孔が形成されている。こうすることで第4の実施形態と同様、第一の突起部材101の表面近くを噴流に乗って流れるポリマー102が第一の突起部材101側に寄った際、第一の突起部材101との接触面積が低減されることで、ポリマー102の融着を抑制することができる。
また、図6、図15に示すように、本発明の第5の実施形態においては、第一の突起部材101の孔集合103に面しているそれぞれの表面に、口金吐出面5に平行方向に延在する複数の突起、窪み、又は突起と窪みが形成されていている。この場合、図9に示すように、気流吐出孔2から吐出された気流により形成される噴流は、第一の突起部材101の表面の突起と衝突し、流れ方向を変えることで、口金の幅方向に延在する渦を形成する。この複数の渦からなる空気層によって、噴流が第一の突起部材101の表面と接触することを抑制して、第一の突起部材101とのポリマー102の融着を防止することができる。
また、図16、図20に示すように、本発明の第6の実施形態においては、第一の突起部材101を挟む複数の孔集合103からなる孔集合群105の外側で、孔集合群103を挟んで第一の突起部材101に対向する位置に、口金吐出面5からポリマー吐出方向下流側に向かって延在する第二の突起部材106が設けられている。この第二の突起部材106は、孔集合群103を挟んで第一の突起部材101に対向する位置の両側に設けるのが最も好ましい形態であるが、片側に設けてもよい。
第二の突起部材106を両側に設ける場合、気流吐出孔2から吐出された気流によって形成される噴流は、孔集合群105の外側の周辺気流を引き込み難くなり、気流の補填が不足して、吐出孔群105と第二の突起部材106とに挟まれた外周領域107に負圧が発生する。噴流は負圧に引っ張られることで外側に傾斜して、第一の突起部材101を挟んで隣接する噴流との距離が広がることにより、2つの噴流の合流位置が下流側に移動し、すなわちポリマー同士の融着を防止することができる。
次に、第二の突起部材106を片側にのみに設ける実施形態について説明する。第一の突起部材101を挟む一方の孔集合103ともう一方の孔集合103とで、気流吐出孔2から吐出される気流の速度または流量が異なる場合には、速度または流量が少ない方にのみ第二の突起部材106を設けてもよい。これは、高流速(高流量)の方は運動エネルギーが大きく、噴流の流れ方向が変わりにくく安定しているが、低流速(低流量)の方は隣接する高流速(高流量)の噴流に引き寄せられるため、低流速(低流量)の方に第二の突起部材106を設けることで、低流速の噴流が外側に傾斜して、高流速の噴流との距離が広がることにより、合流位置が下流側に移動し、ポリマー同士の融着を防止することができるからである。
また、片側のみに第二の突起部材106を設ける実施形態として、第一の突起部材101を挟む一方の孔集合103ともう一方の孔集合103とで、孔集合103を形成するポリマー吐出孔1と気流吐出孔2との個数が異なる場合、個数が少ない方にのみ第二の突起部材106を設けてもよい。この理由は、上記の流速または流量が異なる場合と同じ理由である。
また、図17に示すように、本発明の第7の実施形態においては、第二の突起部材106の孔集合群105に面している表面と第二の突起部材106を挟んで孔集合群105の反対側の表面とで連通する、少なくとも1つの貫通孔が形成されている。この場合、貫通孔を通って流入する気流によって、噴流が第二の突起部材106の表面と接触することを抑制して、第二の突起部材106とのポリマー102の融着を防止することができる。
また、図18に示すように、本発明の第8の実施形態においては、第二の突起部材106の孔集合群105に面している表面に、複数の突起、窪み、又は突起と窪みが点在して形成されている。この場合、第二の突起部材106の表面近くを噴流に乗って流れるポリマー102が第二の突起部材106側に寄った際、第二の突起部材107との接触面積が低減されることで、ポリマー102の融着を抑制することができる。
また、図19、図21に示すように、本発明の第9の実施形態においては、第二の突起部材106の孔集合群105に面している表面に、口金吐出面5に平行方向に延在する複数の突起、窪み、又は突起と窪みが形成されていている。この場合、図21に示すように、気流吐出孔2から吐出された気流により形成される噴流の一部が、第二の突起部材106の表面の突起と衝突し、流れ方向を変えることで、口金の幅方向に延在する渦を形成する。この複数の渦からなる空気層によって、噴流が第二の突起部材106の表面と接触することを抑制して、第二の突起部材106とのポリマー102の融着を防止することができる。
また、図11に示すように、本発明の第10の実施形態においては、1つのポリマー吐出孔1と、ポリマー吐出孔1から近接した順の3つの気流吐出孔2とで孔集合103(1つのポリマー吐出孔1+3つの気流吐出孔2の集合体)を構成しており、ポリマー吐出孔1を中心とする同一仮想円周上に3つの気流吐出孔2が中心角90度を超えて配置されている。
この場合、一つの孔集合103の気流吐出孔2は、気流吐出孔2の中心点を連結する線が三角形11を形成するように配置されており、三角形11の内部にポリマー吐出孔1の中心点が存在していればよく、ポリマー吐出孔1の中心が、三角形11の重心に配置させる必要はない。なお、中心角αとは、図11に示すように、孔集合103を形成するポリマー吐出孔1の中心と、気流吐出孔2の中心とを結ぶ交線が成す角度をいう。これにより、ポリマー吐出孔1は、必ず3つの気流吐出孔2に包囲されることから、口金から吐出されたポリマー102は、3つの気流吐出孔2から吐出された気流に包囲されつつ、引っ張ることができ、隣り合う孔集合103から吐出された気流の流入を回避することができる。また、ポリマー吐出孔1と気流吐出孔2との距離が等しいので、吐出されたポリマー102をより均一に引っ張ることができる。さらに、孔集合103の3つの気流吐出孔2が、ポリマー吐出孔1を中心として中心角120度にて等分配置されている場合には、ポリマー吐出孔1から吐出されたポリマー102に対して、周囲の3方向に配置された気流吐出孔2から吹き出された気流が接触する角度が等しくなるため、吐出されたポリマー102をより均一に引っ張ることができる。さらには、口金4に配置する気流吐出孔2を最小限の数とすることができ、気流の吹き出し量の削減、ひいては省エネ化が可能となる。
ここで、中心角αの1つ角度が90度以下としては、ポリマー吐出孔1の中心が三角形11の辺上に配置される場合、または、三角形11が細長く形成される場合が想定されるが、前者は、隣り合う吐出孔群3から吐出される気流の影響を受けて、ウエブ6に乱れが発生し、また、後者では、隣り合う吐出孔群3からの気流の流入が発生し、いずれもポリマー102を均一に引っ張れない場合がある。
また、図23に示すように、本発明の第12の実施形態においては、第一の突起部材101を挟む複数の孔集合103からなる孔集合群105を囲む外周に口金吐出面5からポリマー吐出方向下流側に向かって延在する第三の突起部材108が設けられている。この第三の突起部材108は、孔集合群105を囲む外周全てに設けるのが最も好ましい形態であるが、外周の一部に設けてもよい。
第三の突起部材108を、孔集合群105を囲む外周全てに設ける場合、各々の孔集合103から吐出された気流によって形成されるそれぞれの噴流は、孔集合群105の外周側の周辺気流を引き込み難くなり、気流の補填が不足することで、吐出孔群105と第三の突起部材108とに挟まれた外周領域に負圧が発生する。噴流は負圧に引っ張られることでそれぞれが外周側に傾斜して、第一の突起部材101を挟んで隣接する噴流との距離が広がることにより、噴流の合流位置が下流側に移動し、すなわちポリマー同士の融着を防止することができる。
次に、第三の突起部材108を外周の一部にのみ設ける実施形態について説明する。孔集合群105を構成する一部の孔集合103とその他の孔集合103とで、気流吐出孔2から吐出される気流の速度または流量が異なる場合には、速度または流量が少ない方にのみ、第三の突起部材108を隣接して設けてもよい。これは、高流速(高流量)の方は運動エネルギーが大きく、噴流の流れ方向が変わりにくく安定しているが、低流速(低流量)の方は隣接する高流速(高流量)に引き寄せられるため、低流速(低流量)の方に第三の突起部材108を設けることにより、低流速の噴流が外側に傾斜して、高流速の噴流との距離が広がることにより、合流位置が下流側に移動し、ポリマー同士の融着を防止することができるからである。
また、片側にのみ第三の突起部材108を設ける実施形態として、孔集合群105を構成する一部の孔集合103とその他の孔集合103とで、孔集合103を形成するポリマー吐出孔1と気流吐出孔2の個数が異なる場合、個数が少ない方にのみ第三の突起部材108を隣接して設けてもよい。この理由は、上記の流速または流量が異なる場合と同じ理由である。
また、第三の突起部材108は第二の突起部材106と同様に、第三の突起部材108の表面において、貫通孔を設けてもよく、複数の突起、窪み、又は突起と窪みが点在もしくは延在して形成してもよい。
また、本発明の口金4の流路10の一部分は、図12に示すように、ポリマー吐出孔1に最終的に連通した流路10が形成されており、積層板9の積層構造となっている。積層板9の1枚は薄板であり、積層板9に孔、または/および溝が加工されており、これらを積層させることで流路10が形成されている。なお、図12では、説明を簡略化するため、ポリマー102のみの流路10を記載しているが、気流の通路も同様の構成としてもよい。積層板9は、薄板を使用するため、積層した後、ネジ、ボルト等で固定してもよいが、熱圧着により金属接合(拡散接合)するのが好ましい。
ここで、積層板9の厚みは、薄くすることで、加工できる孔の孔径や溝幅、そして孔間、溝間ピッチを小さくできるため、最終的なポリマー吐出孔1、気流吐出孔2の配置密度を大きくできる利点を有している。また、孔集合103の中のポリマー吐出孔1と気流吐出孔2との距離を近接化できるため、気流によるポリマー102の引っ張り効果が極めて高くなる。また、ポリマー吐出孔1と気流吐出孔2と間のデッドスペースが無くなるため、気流の乱れが低減し、ひいては、ウエブ6の揺れが抑制されることから、均質な不織布を製造できる。
次に、図1から図6、および図10から図12に示した本発明の実施形態の口金4に共通した各部材の形状について詳細に説明する。
本発明における口金4は、機幅方向に広い矩形が好ましいが、これに限定されず、丸形であってもよく、多角形であってもよい。また、図2では、口金4を捕集ネットコンベア7の上部に一機配置したものであるが、捕集ネットコンベア7の進行方向、または/および幅方向に複数機を配置してもよい。
本発明における口金吐出面5は、機幅方向に広い矩形が好ましいが、これに限定されず、丸形であってもよく、多角形であってもよい。また、口金吐出面5は、凹凸が無く、平面となることが好ましいが、これには限定されない。口金吐出面5の同一面上にポリマー吐出孔1と気流吐出孔2が配設されていれば、それを除く口金吐出面5には、凹凸を有していてもよい。
本発明におけるポリマー吐出孔1の配置は、捕集ネットコンベア7の走行方向に垂直な方向に複数列が配置されているのが好ましい。
本発明におけるポリマー吐出孔1は、ポリマー102の吐出方向に垂直な方向の断面は丸形状に限定されず、丸形以外の異形断面状であってもよい。この場合、口金吐出面5に配置されたポリマー吐出孔1の形状は、全て同形状とするのが好ましい。また、本発明における気流吐出孔2は、気流の吐出方向に垂直な方向の断面は丸形状に限定されず、丸形以外の異形断面状であってもよい。この場合、口金吐出面5に配置された気流吐出孔2の形状は、全て同形状とするのが好ましい。ポリマー吐出孔1、および気流吐出孔2が異形断面状の場合、各吐出孔の断面における重心を中心点とする。
本発明における第一の突起部材101、第二の突起部材106および第三の突起部材108は、ポリマー102の吐出方向に垂直な方向の断面は矩形状に限定されず、丸形、楕円型等であってもよい。
また、第一の突起部材101、第二の突起部材106および第三の突起部材108の長さ(口金吐出面5から第一の突起部材11の下端部までの距離)は、10mm以上500mm未満であるのが好ましい。長さが10mm以上であれば、ポリマー同士の固化、延伸がある程度完了しており、過度な融着が発生せず、紡糸不良となりにくい。長さが500mm未満であれば、ポリマー102の固化、延伸が完全には完了していないので、ポリマー同士が適度に融着でき、ウエブ6の目付斑が悪化しにくい。
本発明の第一の突起部材101、第二の突起部材106および第三の突起部材108の複数の突起、窪み又は突起と窪みは、金属性のパンチングメタルが最も好適であるが、スリット流路を持つ積層構造体でもよく、多孔質セラミックでもよく、金網であってもよく、ハニカム構造体であってもよい。
第一の突起部材101、第二の突起部材106および第三の突起部材108の表面は、ポリマー102の付着抑制の観点から、離型性を有しているのが好ましい。
次に、図1から図6、および図10から図12に示した本発明の実施形態の口金4に共通した不織布の製造方法について詳細に説明する。本発明の不織布の製造方法は、公知の紡糸機にて、本発明の口金4を使用すればよい。本発明の口金4で使用できるポリマー102は、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン等々の分子構造が異なるポリマー102を2種類以上使用するということが含まれるのは言うまでもないが、製糸安定性等を損なわない範囲で、二酸化チタン等の艶消し剤、酸化ケイ素、カオリン、着色防止剤、安定剤、抗酸化剤、消臭剤、難燃剤、糸摩擦低減剤、着色顔料、表面改質剤等の各種機能性粒子や有機化合物等の添加剤や粒子の添加量が異なること、また、分子量が異なること、あるいは、共重合がなされている等などが含まれる。また、セルロース、ポリスルホン、ポリエーテルイミド、ポリアクリルニトリル等のポリマー102を溶媒に溶解させたポリマー溶液であってもよい。また、ポリマー102の紡糸温度は、使用するポリマー102の融点が目安となり、融点+60℃以下で設定すればよい。
また、本発明の気流吐出孔2から吐出される気体は、高温、高圧の空気、または水蒸気が好適である。気体の温度は、吐出されるポリマー温度の+10〜+50℃の範囲で設定すればよい。
また、本発明の口金4に配置するポリマー吐出孔の個数に関しては、理論的には、1個からスペースを許す範囲で作製することができるが、実質的に可能な範囲としては、10から10000個が好ましい範囲である。また、本発明において、ポリマー吐出孔の個数が1000個以上であれば、従来のメルトブロー口金との差異がより明確となる。
以下実施例を挙げて、本実施形態の複合口金の効果を具体的に説明する。各実施例、比較例では、本発明のメルトブロー口金を使用して不織布を製造し、下記の通り、不織布の目付斑を判定した。
(1)不織布の平均繊維径および繊維径変動率
不織布を走査型電子顕微鏡による倍率2000倍にて撮影を行い、得られた画像の中から無作為に選定した100本の繊維を抽出し、これらの写真について画像処理ソフト(WINROOF)を用いて全ての外接円径(繊維径)を測定し、平均繊維径および繊維径の標準偏差を求めた。これらの結果から下記式に基づき繊維径変動率を算出した。以上の値は全て3ヶ所の各写真について測定を行い、3ヶ所の平均値とし、nm単位で小数点1桁目まで測定し、小数点以下を四捨五入する。
繊維径変動率(CV%)=(繊維径標準偏差/平均繊維径)×100。
不織布を走査型電子顕微鏡による倍率2000倍にて撮影を行い、得られた画像の中から無作為に選定した100本の繊維を抽出し、これらの写真について画像処理ソフト(WINROOF)を用いて全ての外接円径(繊維径)を測定し、平均繊維径および繊維径の標準偏差を求めた。これらの結果から下記式に基づき繊維径変動率を算出した。以上の値は全て3ヶ所の各写真について測定を行い、3ヶ所の平均値とし、nm単位で小数点1桁目まで測定し、小数点以下を四捨五入する。
繊維径変動率(CV%)=(繊維径標準偏差/平均繊維径)×100。
(2)不織布の目付斑
不織布を幅方向に、幅20mm×長さ100mmにカットすることでサンプルを採取し、それぞれの重量を測定し、平均重量および標準偏差を求めた。これらの結果から下記式に基づき目付斑を算出した。
目付斑(CV%)=(重量の標準偏差/平均重量)×100。
不織布を幅方向に、幅20mm×長さ100mmにカットすることでサンプルを採取し、それぞれの重量を測定し、平均重量および標準偏差を求めた。これらの結果から下記式に基づき目付斑を算出した。
目付斑(CV%)=(重量の標準偏差/平均重量)×100。
(3)ドリップ
メルトブロー口金から吐出されるポリマー同士が口金直下で合流し、ポリマー102の塊となって、不織布の中に混在することをドリップと言う。ポリマー102の塊があるものをドリップ有り、無いものをドリップ無しとした。
メルトブロー口金から吐出されるポリマー同士が口金直下で合流し、ポリマー102の塊となって、不織布の中に混在することをドリップと言う。ポリマー102の塊があるものをドリップ有り、無いものをドリップ無しとした。
[実施例1]
温度230℃、荷重2.160gにおけるMFRが300(MFR測定法:JISK7210:1999)のポリプロピレンを押出機にて加熱溶融し、以下の条件にてメルトブローを実施した。ポリマー吐出孔1から吐出量0.2g/分、紡糸温度280℃にてポリマー102を吐出し、気流吐出孔2から350℃、供給圧力3kg/cm2の空気を用いて引っ張り、溶融接着させることでウエブ6を形成し、捕集ネットコンベア7にて捕集することで不織布を製造した。この際、得られた不織布の平均繊維径1.2μm、不織布の目付は20g/cm2となった。
温度230℃、荷重2.160gにおけるMFRが300(MFR測定法:JISK7210:1999)のポリプロピレンを押出機にて加熱溶融し、以下の条件にてメルトブローを実施した。ポリマー吐出孔1から吐出量0.2g/分、紡糸温度280℃にてポリマー102を吐出し、気流吐出孔2から350℃、供給圧力3kg/cm2の空気を用いて引っ張り、溶融接着させることでウエブ6を形成し、捕集ネットコンベア7にて捕集することで不織布を製造した。この際、得られた不織布の平均繊維径1.2μm、不織布の目付は20g/cm2となった。
用いたメルトブロー口金の口金吐出面5には、図24に示すようにポリマー吐出孔1の周囲に2つの気流吐出孔2が配置された孔集合103が6つ★、孔集合103と孔集合103との間には第一の突起部材101が配置されている。ポリマー吐出孔1の孔径はφ0.15mm、気流吐出孔2の孔径はφ0.2mm、第一の突起部材101は紡出方向長さ200mmである。隣接するポリマー吐出孔1の中心間距離は1.2mmとし、ポリマー吐出孔1の中心と気流吐出孔2の中心との距離は4mmである。ポリマー吐出孔1の孔数は、1つの孔集合当たり400個、気流吐出孔2の孔数は800個であり、6つ孔集合103を有している。結果は、表1に記載の通り、ドリップの発生は無く、繊維径変動率15%、目付斑3%となった。
[実施例2]
気流吐出孔2をスリット形状としたパターンとして、実施例2を説明する。図3に示すように、ポリマー吐出孔1は、実施例1と同じ孔径、孔間ピッチにて配列され、これらポリマー吐出孔1を挟み、ポリマー吐出孔1の配列と平行にスリット形状の気流吐出孔2が一つの孔集合103として構成され、6つの孔集合103を有している。
この場合、ポリマー吐出孔1の中心と気流吐出孔2の中心との距離は4mmである。その他は実施例1と同じ口金構成、紡糸条件で不職布を製造した。結果は、表1に記載の通り、ドリップの発生は無く、繊維径変動率18%、目付斑2.5%となった。
気流吐出孔2をスリット形状としたパターンとして、実施例2を説明する。図3に示すように、ポリマー吐出孔1は、実施例1と同じ孔径、孔間ピッチにて配列され、これらポリマー吐出孔1を挟み、ポリマー吐出孔1の配列と平行にスリット形状の気流吐出孔2が一つの孔集合103として構成され、6つの孔集合103を有している。
この場合、ポリマー吐出孔1の中心と気流吐出孔2の中心との距離は4mmである。その他は実施例1と同じ口金構成、紡糸条件で不職布を製造した。結果は、表1に記載の通り、ドリップの発生は無く、繊維径変動率18%、目付斑2.5%となった。
[実施例3]
第一の突起部材101の形状が異なる別のパターンとして、実施例3を説明する。図4に示すように、ポリマー紡出方向の下流側に漸減する形状(ポリマー吐出方向に垂直な断面で切断した断面が下流側に向かい漸減する先絞り)として、凸な三角柱が構成されている。その他は実施例2と同じ口金構成、紡糸条件で不職布を製造した。結果は、表1に記載の通り、ドリップの発生は無く、繊維径変動率15%、目付斑2.6%となった。
第一の突起部材101の形状が異なる別のパターンとして、実施例3を説明する。図4に示すように、ポリマー紡出方向の下流側に漸減する形状(ポリマー吐出方向に垂直な断面で切断した断面が下流側に向かい漸減する先絞り)として、凸な三角柱が構成されている。その他は実施例2と同じ口金構成、紡糸条件で不職布を製造した。結果は、表1に記載の通り、ドリップの発生は無く、繊維径変動率15%、目付斑2.6%となった。
[実施例12]
第一の突起部材101の表面形態が異なる別のパターンとして、実施例12を説明する。図22に示すように、積層したパンチングメタル(φ2×ピッチ3、千鳥配置)を第一の突起部材101とした。その他は実施例2と同じ口金構成、紡糸条件で不職布を製造した。結果は、表1に記載の通り、ドリップの発生は無く、繊維径変動率15%、目付斑2.4%となった。
第一の突起部材101の表面形態が異なる別のパターンとして、実施例12を説明する。図22に示すように、積層したパンチングメタル(φ2×ピッチ3、千鳥配置)を第一の突起部材101とした。その他は実施例2と同じ口金構成、紡糸条件で不職布を製造した。結果は、表1に記載の通り、ドリップの発生は無く、繊維径変動率15%、目付斑2.4%となった。
[実施例4]
第一の突起部材101の表面形態が異なる別のパターンとして、実施例4を説明する。図5に示すように、平板の表面にパンチングメタル(φ2×ピッチ3、千鳥配置)を貼り付けたものを第一の突起部材101とした。その他は実施例2と同じ口金構成、紡糸条件で不職布を製造した。結果は、表1に記載の通り、ドリップの発生は無く、繊維径変動率15%、目付斑2.4%となった。
第一の突起部材101の表面形態が異なる別のパターンとして、実施例4を説明する。図5に示すように、平板の表面にパンチングメタル(φ2×ピッチ3、千鳥配置)を貼り付けたものを第一の突起部材101とした。その他は実施例2と同じ口金構成、紡糸条件で不職布を製造した。結果は、表1に記載の通り、ドリップの発生は無く、繊維径変動率15%、目付斑2.4%となった。
[実施例5]
第一の突起部材101の表面形態が異なる別のパターンとして、実施例5を説明する。図6に示すように、第一の突起部材101の表面には、口金吐出面5に平行に延在する波板で構成されている。波板の湾曲部はR10mmである。その他は実施例2と同じ口金構成、紡糸条件で不職布を製造した。結果は、表1に記載の通り、ドリップの発生は無く、繊維径変動率12%、目付斑2.2%となった。
第一の突起部材101の表面形態が異なる別のパターンとして、実施例5を説明する。図6に示すように、第一の突起部材101の表面には、口金吐出面5に平行に延在する波板で構成されている。波板の湾曲部はR10mmである。その他は実施例2と同じ口金構成、紡糸条件で不職布を製造した。結果は、表1に記載の通り、ドリップの発生は無く、繊維径変動率12%、目付斑2.2%となった。
[実施例6]
第二の突起部材106が配置されたパターンとして、実施例6を説明する。図16に示すように、第二の突起部材106は、孔集合群105の外側で、孔集合103を挟んで第一の突起部材101に対向する位置の両側に設置されている。第二の突起部材106の紡出方向長さは第一の突起部材101と同じ200mmである。その他は実施例2と同じ口金構成、紡糸条件で不職布を製造した。結果は、表2に記載の通り、ドリップの発生は無く、繊維径変動率20%、目付斑2.3%となった。
第二の突起部材106が配置されたパターンとして、実施例6を説明する。図16に示すように、第二の突起部材106は、孔集合群105の外側で、孔集合103を挟んで第一の突起部材101に対向する位置の両側に設置されている。第二の突起部材106の紡出方向長さは第一の突起部材101と同じ200mmである。その他は実施例2と同じ口金構成、紡糸条件で不職布を製造した。結果は、表2に記載の通り、ドリップの発生は無く、繊維径変動率20%、目付斑2.3%となった。
[実施例7]
第二の突起部材106の形状が異なるパターンとして、実施例7を説明する。図17に示すように、パンチングメタル(φ2×ピッチ3、千鳥配置)を第二の突起部材106とした。その他は実施例6と同じ口金構成、紡糸条件で不職布を製造した。結果は、表2に記載の通り、ドリップの発生は無く、繊維径変動率18%、目付斑1.9%となった。
第二の突起部材106の形状が異なるパターンとして、実施例7を説明する。図17に示すように、パンチングメタル(φ2×ピッチ3、千鳥配置)を第二の突起部材106とした。その他は実施例6と同じ口金構成、紡糸条件で不職布を製造した。結果は、表2に記載の通り、ドリップの発生は無く、繊維径変動率18%、目付斑1.9%となった。
[実施例8]
第二の突起部材106の表面形態が異なるパターンとして、実施例8を説明する。図18に示すように、パンチングメタル(φ2×ピッチ3、千鳥配置)と平板を張り合わせたものを第二の突起部材106とした。その他は実施例6と同じ口金構成、紡糸条件で不職布を製造した。結果は、表2に記載の通り、ドリップの発生は無く、繊維径変動率17%、目付斑2.1%となった。
第二の突起部材106の表面形態が異なるパターンとして、実施例8を説明する。図18に示すように、パンチングメタル(φ2×ピッチ3、千鳥配置)と平板を張り合わせたものを第二の突起部材106とした。その他は実施例6と同じ口金構成、紡糸条件で不職布を製造した。結果は、表2に記載の通り、ドリップの発生は無く、繊維径変動率17%、目付斑2.1%となった。
[実施例9]
第二の突起部材106の表面形態が異なる別のパターンとして、実施例9を説明する。図19に示すように、第二の突起部材106の表面には、口金吐出面5に平行に延在する波板で構成されている。波板の湾曲部はR10mmである。その他は実施例6と同じ口金構成、紡糸条件で不職布を製造した。結果は、表2に記載の通り、ドリップの発生は無く、繊維径変動率16%、目付斑1.9%となった。
第二の突起部材106の表面形態が異なる別のパターンとして、実施例9を説明する。図19に示すように、第二の突起部材106の表面には、口金吐出面5に平行に延在する波板で構成されている。波板の湾曲部はR10mmである。その他は実施例6と同じ口金構成、紡糸条件で不職布を製造した。結果は、表2に記載の通り、ドリップの発生は無く、繊維径変動率16%、目付斑1.9%となった。
[実施例10]
ポリマー吐出孔1と気流吐出孔2の別の配置パターンとして、実施例10を説明する。図11に示すように、ポリマー吐出孔1の周囲に3つの気流吐出孔2が配置され、これが1つの孔集合103を形成し、2400個の孔集合103が配置されている。気流吐出孔2はポリマー吐出孔1を中心に中心角120度にて等分に配設されている。ポリマー吐出孔1の中心と気流吐出孔2の中心との距離は3.1mmである。その他は実施例1と同じ口金構成、紡糸条件で不職布を製造した。結果は、表2に記載の通り、ドリップの発生は無く、繊維径変動率10%、目付斑1.8%となった。
ポリマー吐出孔1と気流吐出孔2の別の配置パターンとして、実施例10を説明する。図11に示すように、ポリマー吐出孔1の周囲に3つの気流吐出孔2が配置され、これが1つの孔集合103を形成し、2400個の孔集合103が配置されている。気流吐出孔2はポリマー吐出孔1を中心に中心角120度にて等分に配設されている。ポリマー吐出孔1の中心と気流吐出孔2の中心との距離は3.1mmである。その他は実施例1と同じ口金構成、紡糸条件で不職布を製造した。結果は、表2に記載の通り、ドリップの発生は無く、繊維径変動率10%、目付斑1.8%となった。
[実施例13]
第三の突起部材108が配置されたパターンとして、実施例13を説明する。図23に示すように、第三の突起部材108は、孔集合群105を囲む外周の全部に設置されている。第三の突起部材108の紡出方向長さは第一の突起部材101と同じ200mmである。その他は実施例10と同じ口金構成、紡糸条件で不職布を製造した。結果は、表2に記載の通り、ドリップの発生は無く、繊維径変動率20%、目付斑2.3%となった。
第三の突起部材108が配置されたパターンとして、実施例13を説明する。図23に示すように、第三の突起部材108は、孔集合群105を囲む外周の全部に設置されている。第三の突起部材108の紡出方向長さは第一の突起部材101と同じ200mmである。その他は実施例10と同じ口金構成、紡糸条件で不職布を製造した。結果は、表2に記載の通り、ドリップの発生は無く、繊維径変動率20%、目付斑2.3%となった。
[実施例11]
実施例10のポリマー吐出孔1と気流吐出孔2の配置が異なるパターンとして、実施例11を説明する。3つの気流吐出孔2をポリマー吐出孔1を中心として中心角100度と160度となるように配置した。ポリマー吐出孔1の孔径、気流吐出孔2の孔径、ポリマー吐出孔1の中心と気流吐出孔2の中心との距離は実施例6のメルトブロー口金と同じである。その他は実施例10と同じ口金構成、紡糸条件で不職布を製造した。結果は、表2に記載の通り、ドリップの発生は無く、繊維径変動率15%、目付斑2.1%となった。
実施例10のポリマー吐出孔1と気流吐出孔2の配置が異なるパターンとして、実施例11を説明する。3つの気流吐出孔2をポリマー吐出孔1を中心として中心角100度と160度となるように配置した。ポリマー吐出孔1の孔径、気流吐出孔2の孔径、ポリマー吐出孔1の中心と気流吐出孔2の中心との距離は実施例6のメルトブロー口金と同じである。その他は実施例10と同じ口金構成、紡糸条件で不職布を製造した。結果は、表2に記載の通り、ドリップの発生は無く、繊維径変動率15%、目付斑2.1%となった。
[比較例1]
比較例として、図13に示すように第一の突起部材101を設置しない構成とした。その他は実施例1と同じ紡糸条件で不職布を製造した。結果は、表2に記載の通り、ドリップが発生し、繊維径変動率38%、目付斑18%となった。
比較例として、図13に示すように第一の突起部材101を設置しない構成とした。その他は実施例1と同じ紡糸条件で不職布を製造した。結果は、表2に記載の通り、ドリップが発生し、繊維径変動率38%、目付斑18%となった。
本発明は、不織布の製造装置に関するもので、工業資材用フィルター、オムツ、生理用品、医療用マスク、花粉ガードマスク、医療用が運・ドレープといった衛生材料、電線押え巻き、自動車用資材、液体濾過用フィルター、合紙、洗車ブラシといった産業資材、食品包装材、ふろしき、テープヤーン、靴資材、カイロ、ティーバッグ、クリーニングカバーといった生活資材、べたがけ、農資ポットといった農業資材、屋根下材、土木安定シート、断熱材手段材、床材、ハウスラップといった建材、土木資材などに応用できるが、その応用範囲がこれらに限られるものでない。
1 ポリマー吐出孔
2 気流吐出孔
3 吐出孔群
4 口金
5 口金吐出面
6 ウエブ
7 捕集ネットコンベア
8 ローラー
9 積層板
10 流路
11 三角形
α 中心角
101 第一の突起部材
102 ポリマー
103 孔集合
104 列間領域
105 孔集合群
106 第二の突起部材
107 外周領域
108 第三の突起部材
2 気流吐出孔
3 吐出孔群
4 口金
5 口金吐出面
6 ウエブ
7 捕集ネットコンベア
8 ローラー
9 積層板
10 流路
11 三角形
α 中心角
101 第一の突起部材
102 ポリマー
103 孔集合
104 列間領域
105 孔集合群
106 第二の突起部材
107 外周領域
108 第三の突起部材
Claims (16)
- 溶融したポリマーを吐出するためのメルトブロー口金であって、
口金吐出面に、ポリマーを吐出するための1つまたは複数のポリマー吐出孔と気流を吐出するための1つまたは複数の気流吐出孔とからなる孔集合が2つ以上形成されており、
前記口金吐出面の前記孔集合と孔集合との間に、前記口金吐出面からポリマー吐出方向下流側に向かって延在する第一の突起部材が設けられた、メルトブロー口金。 - 前記孔集合が、一方向に配列された複数の前記ポリマー吐出孔と、これら複数のポリマー吐出孔を挟む、長手方向がポリマー吐出孔の配列方向に平行な一対のスリット形状の前記気流吐出孔とからなる、請求項1のメルトブロー口金。
- 前記第一の突起部材のポリマー吐出方向に垂直な平面で切断した断面積が、ポリマー吐出方向下流側に向かうにつれて小さい、請求項1または2のメルトブロー口金。
- 前記第一の突起部材に、第一の突起部材の前記孔集合に面している一方の表面と他方の表面とを連通する1つ以上の貫通孔が形成された、請求項1から3のいずれかのメルトブロー口金。
- 前記第一の突起部材の前記孔集合に面しているそれぞれの表面に、複数の突起、窪み、又は突起と窪みが点在して形成された、請求項1から3のいずれかのメルトブロー口金。
- 前記第一の突起部材の前記孔集合に面しているそれぞれの表面に、前記口金吐出面に平行方向に延在する複数の突起、窪み、又は突起と窪みが形成された、請求項1から3のいずれかのメルトブロー口金。
- 前記第一の突起部材を挟む複数の前記孔集合を孔集合群とし、孔集合群の外側で、孔集合を挟んで第一の突起部材に対向する位置の片側または両側に、前記口金吐出面からポリマー吐出方向下流側に向かって延在する第二の突起部材が設けられた、請求項1から6のいずれかのメルトブロー口金。
- 前記第二の突起部材に、第二の突起部材の前記孔集合群に面している表面と孔集合群に面していない表面とを連通する1つ以上の貫通孔が形成された、請求項7のメルトブロー口金。
- 前記第二の突起部材の前記孔集合群に面している表面に、複数の突起、窪み、又は突起と窪みが点在して形成された、請求項7のメルトブロー口金。
- 前記第二の突起部材の前記孔集合群に面している表面に、前記口金吐出面に平行方向に延在する複数の突起、窪み、又は突起と窪みが形成された、請求項7のメルトブロー口金。
- 1つの前記ポリマー吐出孔と、このポリマー吐出孔から近接した順の3つの前記気流吐出孔であって、このポリマー吐出孔を中心とする同一の仮想円周上に中心角90度を越えて配置された3つの前記気流吐出孔とで孔集合を構成しており、前記孔集合が同一面に複数配置されている、請求項1、または請求項3から6のいずれかのメルトブロー口金。
- 前記第一の突起部材を挟む複数の前記孔集合を孔集合群とし、孔集合群を囲む外周の一部又は全部に、前記口金吐出面からポリマー吐出方向下流側に向かって延在する第三の突起部材が設けられた、請求項11のメルトブロー口金。
- 一つの前記ポリマー吐出孔を中心に、3つの前記気流吐出孔が中心角120度で等分配置された、請求項11または12のメルトブロー口金。
- 前記ポリマー吐出孔、または前記ポリマー吐出孔と前記気流吐出孔に連通した流路が、薄板の積層構造で形成された、請求項11から13のいずれかのメルトブロー口金。
- 前記ポリマー吐出孔の配置密度が5孔/cm2以上である、請求項11から14のいずれかのメルトブロー口金。
- 請求項1から15のいずれかのメルトブロー口金を用いた不織布の製造方法。
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CN108677254B (zh) * | 2018-08-03 | 2023-12-15 | 南通纺织丝绸产业技术研究院 | 熔喷喷嘴和纤维制备装置 |
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