JP2017226437A - プレススルーパック蓋材及びプレススルーパック包装体 - Google Patents

プレススルーパック蓋材及びプレススルーパック包装体 Download PDF

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Abstract

【課題】服薬管理機能を有するプレススルーパック(PTP)包装体において、密封性が低下せず、薬剤の取出しが困難とならず、蓋の溶着時に、服薬管理機能を破壊しないPTP蓋材及びPTP包装体を提供する。
【解決手段】内容物に近い側から順に、熱接着層2、アルミニウム箔1、樹脂層3、回路パターン状の導体層4を備え、前記導体層は厚みが5μm以上、かつ前記導体層と前記アルミニウム箔の厚みが合計で15μm以上55μm以下、前記樹脂層は厚みが3μm以上22μm以下、かつ突刺強度が3N以上20N以下、であることを特徴とする、プレススルーパック蓋材。
【選択図】図1

Description

本発明は、プレススルーパック蓋材及び該蓋材を用いたプレススルーパック包装体に関する。
従来から市販されているプレススルーパック(以下、「PTP」と呼ぶことがある)包装体において、その蓋材は主としてアルミニウム箔と熱接着層とで構成されている(例えば特許文献1参照)。蓋材と、薬剤(錠剤またはカプセルなど)を収容可能なポケットを備えた樹脂シートとが、熱接着層を介して接着されることによって、PTP包装体となる。PTP包装体の容器(ポケット)の部分に指で圧力をかけることにより、内容物である薬剤が蓋材を突き破り、容易に取り出せることから、病院、薬局、薬店などに広く普及している。
近年、患者に処方された薬剤が適切に服用されているかどうかを管理することが望まれている。そのような情報を管理する為に、例えば、特許文献2においては、薬剤が排出されることにより一部が断線する回路を蓋材表面に設けることが、また特許文献3においては、ICチップが実装されたモジュールを蓋材表面に取り付けることが提案されている。どちらの提案においても、蓋材を含めたPTP包装体は従来技術のものが使用されており、具体的には、PTP包装体とは別に用意した回路やICモジュールを粘着質の材料で蓋材表面に取り付けることで情報管理を可能にしている。
特許文献2、3のどちらにおいても、PTP包装体とは別に用意した部材を表面に取り付けることから、粘着材料の使用は必須となる。このため、薬剤を取り出した時に粘着材料が薬剤表面に付着して、薬剤と一緒に誤飲してしまうリスクがある。また、PTP包装体に対する回路やICモジュールの取り付け位置がずれた場合に粘着材料が露出して手に付き、そのまま誤飲する可能性もある。更には、蓋材表面には、薬剤名称や用量、バーコード等の表示が義務付けられているところ、回路やICモジュールを取り付けると、これらの情報を読み取ることができなくなる。
特開2006−1591号公報 特開2013−31638号公報 特開2015−170247号公報
上述した、特許文献2、3の技術の問題点を解決する為に、PTP包装体となる前の蓋材に予め回路やICモジュールのような情報管理を可能にする部材(以下、「服薬管理部材」と呼ぶことがある)を組み込んでおき、その蓋材を樹脂フィルムと熱接着することで、目的とするPTP包装体を得ることが考えられる。ただ、その場合であっても下記の問題が生じ得る。
(A)従来の蓋材とは異なり服薬管理部材が内部に追加される為、服薬管理部材を持たない蓋材と比較すると、接着工程時に熱接着層への熱の伝わりが悪くなる。その結果、樹脂シートと蓋材の接着が弱くなることで密封性が低下し、薬剤が外気中の酸素や水分と反応して効能が低下する。
(B)服薬管理部材を蓋材に組み込んだことで蓋材の強度が高くなり、薬剤の取り出し(以下、薬剤取り出し性能を「プレススルー性」と呼ぶことがある)が困難になる(すなわち、プレススルー性が低下する)。
(C)樹脂シートとの熱接着の際に蓋材に対して強い熱と圧力が加わるため、服薬管理部材が破壊されてしまい、想定した機能が得られない。
本発明は、上述した特許文献2、3の技術の問題点を解決しつつ、上記(A)〜(C)の問題も生じさせないPTPの蓋材及びPTP包装体を提供することを課題とする。
本発明者らは、特定の素材を、特定の順序で、特定の厚みを有するように積層させることで、上記課題を解決できないかを検討し、得られた知見にさらに改良を重ねて本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は例えば以下の項に記載の主題を包含する。
項1.
内容物に近い側から順に、熱接着層、アルミニウム箔、樹脂層、回路パターン状の導体層を備え、
前記導体層は厚みが5μm以上、かつ前記導体層と前記アルミニウム箔の厚みが合計で15μm以上55μm以下、
前記樹脂層は厚みが3μm以上22μm以下、かつ突刺強度が3N以上20N以下、
であることを特徴とする、プレススルーパック蓋材。
項2.
前記樹脂層が、ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンナフタレートを含有する、項1に記載のプレススルーパック蓋材。(前記樹脂層が、ポリエチレンテレフタレートフィルム又はポリエチレンナフタレートフィルムを含有するものがより好ましく、前記樹脂層が、ポリエチレンテレフタレートフィルム又はポリエチレンナフタレートフィルムの両面に接着剤層を備えるものが、さらに好ましい。)
項3.
前記導体層が、アルミニウム箔、銅箔、若しくは導電性ペーストからなる、項1又は2に記載プレススルーパック蓋材。
項4.
前記導体層の少なくとも一部分が樹脂で被覆されている、項1〜3のいずれかに記載のプレススルーパック蓋材。
項5.
前記熱接着層が、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂を含有する、項1〜4のいずれかに記載のプレススルーパック蓋材。
項6.
内容物を収納可能な収納部が設けられた樹脂シートと、
前記樹脂シートに対して前記収納部の開口を閉塞するように積層された項1〜5のいずれかに記載のプレススルーパック蓋材と、
を備えたプレススルーパック包装体。
本発明においては、上述した特許文献2、3の技術の問題点を解決する為に、PTP包装体となる前の蓋材に予め回路やICモジュールのような服薬管理部材を組み込んでるにも関わらず、その蓋材を樹脂フィルムと熱接着したとしても、上記の問題(A)〜(C)が生じることが防止されている。
実施例1〜4、7〜9及び比較例1〜2、4〜6で作製したPTP蓋材の模式図を示す。 実施例5で作製したPTP蓋材の模式図を示す。 実施例6及び比較例3で作製したPTP蓋材の模式図を示す。
以下、本発明に係るPTP蓋材(プレススルーパック蓋材)及びPTP包装体(プレススルーパック包装体)について、さらに詳細に説明する。
本発明に係るPTP蓋材は、熱接着層、アルミニウム箔、樹脂層、回路パターン状の導体層、をこの順に備える。ここでの回路パターン状の導体層は、上述の服薬管理部材として働き得るものである。熱接着層は、内容物を収納可能な収納部が設けられた樹脂シートと当該PTP蓋材とを接着させるための層であり、これらを熱接着させることでPTP包装体を製造できる。言い換えれば、PTP包装体とした際に内容物に近い側が熱接着層である。
また、当該PTP蓋材において、前記導体層は厚みが5μm以上、かつ前記導体層と前記アルミニウム箔の厚みが合計で15μm以上55μm以下である。また、前記樹脂層は厚みが3μm以上22μm以下、かつ突刺強度が3N以上20N以下である。なお、熱接着層、アルミニウム箔、樹脂層、回路パターン状の導体層は、本発明の効果を損なわない限り、それぞれの層の間に他の層を備えてもよいが、これら4層は順に接している(言い換えれば、それぞれの層の間に他の層を備えない)ことが好ましい。
以下、各層についてより具体的に説明する。
前記熱接着層としては、公知のPTPで用いられている熱接着層(熱接着剤)を使用することができる。例えば、ポリプロピレン系接着剤、塩化ビニル系接着剤(特に好ましくは塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体)などを使用することができる。これらは、本発明の効果を損なわない範囲で、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。熱接着剤の塗布量は乾燥後重量で0.5〜15g/m程度とするのが好ましく、1〜10g/m程度とするのがより好ましい。包装体製造時のヒートシール条件としては、140〜260℃程度で1〜3秒程度が例示できる。密封性の点から、シール後の断面形状は、連続する凹凸状(好ましくはギザギザ状)のメッシュシールとすることが好ましい。当該熱接着層の厚さとしては、接着剤塗布量にもよるが、例えば4〜10μm程度とするのが好ましい。
前記アルミニウム箔としては、例えば、従来からPTPで用いられている公知のアルミニウム箔を使用することができる。より具体的には、JIS規格における1N30材、8021材、8079材などが例示できる。また、アルミニウム箔の調質に関しては、軟質材、半硬質材、または硬質材を採用することができ、なかでも硬質材が好ましい。
当該アルミニウム箔の厚みは、10〜35μm程度が好ましく、15〜35μm程度がより好ましい。アルミニウム箔の厚みが10μm未満では耐湿性に乏しくなるおそれがあり、逆に35μmを超えるとプレススルー性を阻害するおそれがある。
前記樹脂層としては、公知の樹脂フィルムを用いることができる。公知の樹脂フィルムとしては、例えばポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド(ナイロン)樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、アセタール樹脂等の樹脂フィルムが挙げられる。
また、これらのフィルムに対して穴あけ加工を施したものも好適に用いることができる。穴あけ加工の方法は特に制限されるものではなく、レーザー加工、熱針による溶融加工、溶剤による溶解穿孔、突起ロールによる機械加工などで穿孔することができる。
ポリエチレン系樹脂としては、例えば高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状ポリエチレンなどが挙げられる。ポリプロピレン系樹脂としては、例えばホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレンが挙げられる。ポリエステル系樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが挙げられる。
さらに、前記樹脂層として、公知の接着剤やインキを塗布・乾燥させたものも好適に用いることができる。このような接着剤としては、例えばエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、ポリイミド樹脂、塩化ビニル樹脂等が挙げられる。また、これらのフィルムに対して穴あけ加工を施したものも好適に用いることができる。
また、当該樹脂層は、突刺強度が3〜20Nであり、好ましくは5〜15Nであり、より好ましくは6〜12Nである。また、厚みが3〜22μmであり、好ましくは5〜18μmであり、より好ましくは6〜15μmである。
樹脂層の突刺強度及び厚みは、それぞれ、3〜20N及び3〜22μmの範囲であれば、任意に設定できるが、特に6〜12N及び6〜15μmであることが好ましい。
なお、突刺強度は、先端が半球状でその直径がφ5mmのポンチを、50mm/分の速度で樹脂層に突き刺し、ポンチの貫通に要した最大荷重をその数値とする。なお、突刺強度は、樹脂層(特に、樹脂フィルム及び/又は接着剤層)を、穴あけ加工における貫通孔の数を変更することで調整することができる。特に、円錐状の突起を用いた穿孔加工により穴あけ加工して、貫通孔数を調整することが、突刺強度の調整のため好ましい。
特に好ましい前記樹脂層として、前記樹脂フィルムの両面に接着剤層が備えられた樹脂層を挙げることができる。上記の通り、樹脂層はアルミニウム箔と導体層とに挟まれているところ、前記樹脂フィルムをアルミニウム箔及び導体層と接着させるために用いる接着剤が接着剤層として樹脂フィルムとアルミニウム箔との間、並びに樹脂フィルムと導体層との間、にそれぞれ存在する形態が、好ましい。この場合、樹脂フィルム及び接着剤層を合わせた部分が前記樹脂層に相当する。従って、この場合、樹脂フィルム及び接着剤層の合計厚みが、3〜22μmであり、また、樹脂フィルム及び接着剤層の突刺強度が、3〜20Nである。なお、これらの接着剤層に用いられる接着剤は、同一又は異なってよく、同一であることが好ましい。
前記導体層は、導電性材料により形成された回路状のパターンを有する。導電性材料としては、例えば、アルミニウム箔や銅箔等の金属箔や、Agインキやカーボンインキ等の導電性ペースト等が挙げられる。アルミニウム箔は純アルミニウム箔、アルミニウム合金箔のいずれであってもよく、同様に銅箔も純銅箔、銅合金箔のいずれであってもよい。導体層の厚みは5μm以上であり、熱接着層と樹脂層との間に存在する前記アルミニウム箔の厚みと導体層の厚みの合計が55μm以下になるよう設定される。当該範囲内であれば導体層の厚みは任意に設定できるが、5〜20μmにすることが好ましく、6〜15μmにすることがより好ましい。つまり、熱接着層と樹脂層との間に存在する前記アルミニウム箔の厚みは10〜35μm程度が好ましく、当該導体層の厚みは5μm以上45μm以下(好ましくは5〜20μm、より好ましくは6〜15μm)であり、但しこれら(前記アルミニウム箔及び当該導体層)の合計厚みは15μm以上55μm以下、である。
導体層の回路状パターンは、公知の方法により形成できる。例えば、フォトリソグラフィーにより、金属箔を回路状パターンに形成することができる。より具体的には、例えば、金属箔の上にレジストを印刷し、さらにエッチング処理を施した後、レジストを剥離することにより、回路状パターンを形成することができる。また伝導ペースト層については、例えばシルクスクリーン印刷法により、回路状パターンを形成することができる。
また、当該回路状パターンは、保護のため、その一部又は全部が保護用樹脂で被覆されていることが好ましい。つまり、本発明において、導体層上に樹脂からなる保護層が設けられていてもよい。保護用樹脂としては、公知のものを使うことができる。例えば、ポリエステル樹脂、ニトロセルロース樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
また、導体層の表層には、必要に応じて、印刷層や着色層等が設けられてもよい。印刷層や着色層は、前記保護層上に設けられてもよい。
本発明に係るPTP蓋材は、例えば、次のようにして製造することができる。すなわち、樹脂フィルムに必要に応じて貫通孔を形成して突刺強度を調整した後、その片面にアルミニウム箔を接着剤を用いて接着させ、もう一方の片面に予め回路状パターンが形成された伝導層(例えば回路状パターン形成済み金属箔)を接着剤を用いて接着させ、さらに前記アルミニウム箔の樹脂フィルムとは反対側の面に熱接着剤を塗布することにより、本発明に係る好ましいPTP蓋材を製造することができる。あるいは、伝導層については、樹脂フィルムに接着させた後に回路状パターンを形成することもできる。
また、本発明に係るPTP包装体は、内容物を収納可能な収納部が設けられた樹脂シートと、
前記樹脂シートに対して前記収納部の開口を閉塞するように積層された上記PTP蓋材とを備える。当該樹脂シートとしては、公知のPTP包装体に用いられる樹脂シートを用いることができる。
当該PTP包装体は、上記PTP蓋材と当該樹脂シートとを熱接着することで得ることができる。この場合、上記PTP蓋材が備える熱接着層によりPTP蓋材と当該樹脂シートが接着される。熱接着は公知の方法により行うことができる。例えば、150℃〜200℃程度の温度を0.5〜数秒(例えば1、2、又は3秒程度)加えることで行い得る。
本発明によれば、上記の問題(A)〜(C)が生じることが防止され得る。
上記問題点(A)については、樹脂層および導体層の厚みを上記のようにすることで、服薬管理部材を持たない蓋材と同等の熱を熱接着層へ加えることが可能になる。
内容物を収納可能な収納部が設けられた樹脂シートとPTP蓋材との接着は、アルミニウム箔の熱接着層が存在していない面(樹脂層および導体層が存在している面)から熱を加えることで行われ、強固な接着を得る為には、導体層/樹脂層/アルミニウム箔を介して熱接着層に十分な熱を加える必要がある。樹脂層が22μmより厚くなると熱接着層への熱伝導が悪くなり、当該樹脂シートと蓋材の接着および密封性が不十分になる。またアルミニウム箔と導体層の厚みの合計が55μmを超えると蓋材に加えられた熱の内、これらの層に蓄積される熱が大きくなってしまい、同様に熱接着層の加熱が不足して密封性が不十分になる。
上記問題点(B)については、樹脂層の突刺強度を3〜20Nとすることで、服薬管理部材を蓋材に組み込んでも錠剤の取り出しを問題なく行えるようになる。突刺強度が20Nを超える場合、プレススルー性が大きく低下する。
上記問題点(C)については、突刺強度が3N未満である場合、樹脂シートと蓋材の熱接着を行う時に樹脂層の破断が発生し、アルミニウム箔と導体層が接触することで設計通りの回路を得ることができなくなる。また樹脂層の突刺強度が3〜20Nの範囲内であっても、その厚みが3μm未満である場合には、同様の不具合が発生する。
また導体層の厚さが5μm未満である場合には回路の断線が発生して、想定した機能を得ることができなくなる。
なお、本明細書において「含む」とは、「本質的にからなる」と、「からなる」をも包含する(The term "comprising" includes "consisting essentially of” and "consisting of.")。
以下、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の例に限定されるものではない。
本発明にかかる実施例と比較例とについて、下記の評価確認を行った。試験体は、下記の実施例1〜9および比較例1〜6に示される合計15体を用いた。なお、突刺強度については、先端が半球状でその直径がφ5mmのポンチを、50mm/分の速度で樹脂層に突き刺し、ポンチの貫通に要した最大荷重をその数値とした。
(i)密封性
色素(メチレンブルー)で着色した水を張った密閉容器内にPTP包装体を浸漬させた後、減圧設定値−500mmHGまで減圧して5分間放置した。その後、常圧に戻して、PTP包装体内部への浸水の有無を確認した。評価結果は次の記号により表示した。
○:包装体内部への浸水無し。
×:包装体内部への浸水有り。
(ii)プレススルー性
各包装体の容器の底(蓋材と反対側のポケット部分)を手指で圧迫し、錠剤が蓋材を突き破って錠剤を取り出せるかを確認した。評価結果は次の記号により表示した。
○:問題なく錠剤を取り出せる。
×:蓋材を突き破ることができず、錠剤を取り出せない。
(iii)回路パターンの断線、およびアルミニウム箔と導体層の接触
目視観察および電気抵抗値測定を行い、回路パターンの断線、およびアルミニウム箔と導体層の接触が無いかを確認した。結果は次のとおりに表示する。
○:どちらの不具合も発生していない。
×(断線):回路パターンが断線している。
×(短絡):アルミニウム箔と導体層が接触している。
(実施例1)
厚み14μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡株式会社製「ティアファイン(登録商標)TF110」」に、円錐状の突起を用いて1900個/cmの貫通孔を穿孔させた。また、導体層として、厚さ10μmのアルミニウム箔(東洋アルミ二ウム株式会社製、1N30、軟質材)を用い、当該アルミニウム箔の片面に、接着性樹脂(DIC株式会社製ウレタン樹脂系接着剤:LX500を100部と、硬化剤であるKW75を10部混合した)を塗工し乾燥させた後、前記ポリエチレンテレフタレートフィルムと重ねて貼り合わせた。
次に、フォトリソグラフィー法によりアルミニウム箔を回路パターン状に形成した後に、ポリエチレンテレフタレートフィルムの、回路が形成されていない側の面に接着性樹脂(上記と同様)を塗工し乾燥させた後、厚さ20μmのアルミニウム箔(東洋アルミ二ウム株式会社製、1N30、硬質材)と重ねて貼り合わせた。
この時、接着性樹脂とポリエチレンテレフタレートフィルムをあわせた層が樹脂層であり、当該樹脂層の厚みは約18μmで、その突刺強度は10Nであった。なお、突刺強度の測定を行うためのサンプルは、上記の「厚さ10μmのアルミニウム箔(導体層)/接着性樹脂/ポリエチレンテレフタレートフィルム14μm/接着性樹脂/厚さ20μmのアルミニウム箔」サンプルを濃度8%の塩酸(温度35℃)に5分間浸漬して、両面のアルミニウム箔を溶解させることで得た。
厚さ20μmのアルミニウム箔の貼り合わされていない面(つまり、ポリエチレンテレフタレートフィルム側とは反対の面)に、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系熱接着剤(乾燥後重量5g/m)をグラビアロールを用いて塗布・乾燥させ、熱接着層とし、蓋材を作製した。
複数のポケットを形成した塩化ビニル製のPTP用樹脂シートに直径8mmの錠剤を収納し、この蓋材を180℃×1秒でヒートシールしPTP包装体を作製した。
(実施例2〜4、7〜9および比較例1〜2、4〜6)
導体層及びアルミニウム箔の厚さ、並びに樹脂層の厚さと突刺強度を表1のとおりにした以外は、実施例1と同様にしてPTP包装体を作製した。なお、実施例4においては、導体としてアルミニウム箔の代わりに銅箔(三井金属鉱業株式会社性 電解銅箔:3EC−M1S−VLP)を使用した。樹脂層の突刺強度は、円錐状の突起を用いた穿孔加工において貫通孔の数を変更することで調整した。
(実施例5)
アルミニウム箔の片面に、接着性樹脂(DIC株式会社製エポキシ樹脂系コート剤:TF−610)を塗布し、更にその上に導電性Agインキ(藤倉化成株式会社製、ドータイトFA−323)を使用してシルクスクリーン印刷法により回路パターンを形成した以外は、実施例1と同様にしてPTP包装体を作製した。
(実施例6および比較例3)
アルミニウム箔と導体層を接着性樹脂(東亞合成株式会社製エポキシ樹脂系接着剤、アロンマイティBX−60)で直接貼り合わせて目的とする樹脂層を得た後、フォトリソグラフィー法により導体層を回路パターン状に形成した以外は、実施例1と同様にしてPTP包装体を作製した。
実施例1〜4、7〜9及び比較例1〜2、4〜6で作製したPTP蓋材の模式図を図1に、実施例5で作製したPTP蓋材の模式図を図2に、実施例6及び比較例3で作製したPTP蓋材の模式図を図3に、それぞれ示す。

Claims (6)

  1. 内容物に近い側から順に、熱接着層、アルミニウム箔、樹脂層、回路パターン状の導体層を備え、
    前記導体層は厚みが5μm以上、かつ前記導体層と前記アルミニウム箔の厚みが合計で15μm以上55μm以下、
    前記樹脂層は厚みが3μm以上22μm以下、かつ突刺強度が3N以上20N以下、
    であることを特徴とする、プレススルーパック蓋材。
  2. 前記樹脂層が、ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンナフタレートを含有する、請求項1に記載のプレススルーパック蓋材。
  3. 前記導体層が、アルミニウム箔、銅箔、若しくは導電性ペーストからなる、請求項1又は2に記載プレススルーパック蓋材。
  4. 前記導体層の少なくとも一部分が樹脂で被覆されている、請求項1〜3のいずれかに記載のプレススルーパック蓋材。
  5. 前記熱接着層が、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂を含有する、請求項1〜4のいずれかに記載のプレススルーパック蓋材。
  6. 内容物を収納可能な収納部が設けられた樹脂シートと、
    前記樹脂シートに対して前記収納部の開口を閉塞するように積層された請求項1〜5のいずれかに記載のプレススルーパック蓋材と、
    を備えたプレススルーパック包装体。
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