JP2005324834A - ブリスターパック包装用蓋材 - Google Patents

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Abstract

【課題】ガスバリア性、防湿性、易開封性、印刷適性を有するとともに、優れた透明性による紫外線殺菌性や内容物の視認性、確認性を有する蓋材を提供すること。
【解決手段】分子配向を有する層と実質的に分子配向がない層とからなる易突刺し性2軸延伸ポリエステル系積層フィルムであって、該ポリエステル系積層フィルムの少なくともその一方の面に無機蒸着層が積層され、突刺し強度が2.0〜8.0N、酸素透過度が10mL/m・d・MPa以下であることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明はブリスターパック包装用蓋材に関する。さらに詳しくは、歯ブラシ等のトイレタリー製品、注射針パック等の医療用用具、錠剤、カプセル等の医薬品、電子部品、ボタン電池、文房具等の包装体として使用される易突刺し性2軸延伸ポリエステル系積層フィルムからなるブリスターパック包装用蓋材に関するものであり、特に衛生性が求められるトイレタリー製品、細菌を排除する必要性のある医療用用具や医薬品、防錆性が必要な電子部品等を包装するのに有用な、ガスバリア性や防湿性に優れた2軸延伸ポリエステル系積層フィルムからなるブリスターパック包装用蓋材に関するものである。
従来から、ボタン電池や文房具等を内容物とする包装体として、内容物収納用の凹部が形成されているプラスチックシートの成形体からなる底材と、該底材における内容物収納用の凹部開口部を閉塞する紙製の蓋材とからなるブリスターパック包装が利用されている。
このブリスターパック包装からの内容物の取出しは、紙製の蓋材を引裂くか、あるいは紙製の蓋材と底材との間の貼着部分を剥離する等の方法によって行われる。
なお、前記ブリスターパック包装の底材には、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂等による厚さ0.1〜0.5mm程度のプラスチックシートを成形用素材とする内容物収納用の凹部を有する成形体が使用されている。
ところで、従来の紙製の蓋材を使用したブリスターパック包装は、内容物の取出しを紙製の蓋材の引裂き、あるいは紙製の蓋材と底材との間の貼着部分の剥離によって行うものであるため、内容物の取出し操作が容易でなく、また紙製の蓋材を使用しているために防湿性が完全ではない等の欠点を有する。
このような、従来の紙製の蓋材を使用したブリスターパック包装は、内容物の取出しに際して紙粉が発生したり、また、ブリスターパック包装が濡れたときには、内容物が濡れたり、内容物の無菌状態を維持することができない等により、内容物の品質に影響を与える等の問題があった。
上記問題を解決する手段として、少なくともA層及びB層の2種以上の層からなる複合ポリエステルフィルムであって、微細な空洞を含有するB層とこれに隣接する最外層に実質的に空洞を含有しないA層とを有する不透明度が0.3以上、見掛け密度が1.3g/cm以下、厚みが25μm以上であるブリスター包装用フィルム台紙が提案されている。
特開2001−158072号公報
しかしながら、少なくともA層及びB層の2種以上の層からなる複合ポリエステルフィルムであって、微細な空洞を含有するB層とこれに隣接する最外層には実質的に空洞を含有しないA層とを有する不透明度が0.3以上、見掛け密度が1.3g/cm以下、厚みが25μm以上であるブリスターパック包装用フィルム台紙を使用したブリスターパック包装は、不透明なため、蓋材側からの光等による内容物の自動検知を行うことができない等の欠点を有し、かつ易突刺し性を有していないため、プレススルー性がなく、開封にはハサミを用いたり、ミシン目加工が必要であった。
このような、ミシン目加工は、フィルムに穴開け加工を施すので強度を弱めプレススルー性を付与するものであることから幅広く用いられている。
しかしながら、フィルムに穴開け加工をすることでフィルムのガスバリア性、防湿性を著しく損なうもので、特に衛生性が求められる歯ブラシ等のトイレタリー製品、注射針パック等の医療用用具、防錆性が必要な電子部品等には不適であった。
上記の問題点である透明性とプレススルー性を両立する方法として、蓋材にポリオレフィン系フィルム、好ましくはポリプロピレン系フィルム、より好ましくは延伸ポリプロピレン系フィルムを使用し、γ線照射による殺菌処理を行うことにより、蓋材を劣化させて、プレススルー機能、すなわち、イージーピール性及び突破り取出し性に優れた機能を付与したブリスターパック包装の蓋材が提案されている。
特開平07−257640号公報
しかしながら、蓋材にポリオレフィン系フィルムを使用する場合は、殺菌処理の不要なボタン電池、文房具等の包装に対してはγ線照射による蓋材の劣化がないため、プレススルー機能を発現させることはできず、別途、ノッチやミシン目加工あるいは部分的な放射線照射によりプレススルー性を付与する必要があった。
さらに、γ線照射の際に、全ての製品に均一なγ線を照射することは困難であり、照射量の違いによって開封性に差が生じる等の問題があった。
また、ブリスターパック包装では、内容品の性状により、窒素ガス置換、脱酸素剤封入、脱気状態とする包装が提案されている。
しかしながら、従来のポリエステル系樹脂あるいはポリオレフィン系樹脂を用いたブリスターパック包装用蓋材は、ガスバリア性が低いため、窒素ガス置換、脱酸素剤封入、脱気状態とした包装が、保管によって酸素や空気の混入して酸化や劣化が生じ、品質保持期限が短いという問題があった。
さらに、従来の包装では酸素あるいは水蒸気を遮断することが困難であり、無菌状態での取扱いが必要とされる医療品、あるいは防錆性が必要な電子部品等の蓋材として用いるのに最適なものではなかった。
ガスバリア性とプレススルー性に優れたブリスターパック包装用蓋材として、アルミ箔を用いることが行われており、錠剤、カプセル等の医薬品等にはよく用いられている。
しかしながら、蓋材としてアルミ箔を用いたものは、優れたプレススルー性とガスバリア性を有するものの、伸縮性がないために非常に裂けやすく、成型部に不用意な力が加わったときに破れてしまう等の問題があり、錠剤、カプセル等軽量で、表面が滑らかなものの蓋材としては有用であったが、医療用用具や電子部品等の包装には適したものではなかった。
また、アルミ箔はプラスチックフィルムに比べて遥かに高価である点も問題であり、改善の要求が強い。
また、ブリスターパック包装では、通常、蓋材側に印刷が行われるが、アルミ箔への印刷は難度が高く、困難である。さらに、意匠性を高めるための詳細な印刷は非常に困難であった。
また、意匠性を高める方策として印刷を施したフィルムとアルミ箔とを接着・積層することで、ガスバリア性と意匠性を高める方法も用いられている。
しかしながら、印刷を施したフィルムとアルミ箔とを積層したブリスターパック用蓋材は、優れた意匠性とガスバリア性を有するものの、プレススルー性が発現しないという問題があった。
さらに、蓋材としてアルミ箔を用いた場合、プラスチックとして分別回収に供することが困難となり、埋め立てや、焼却にて処分される。しかしながら、埋め立て処分では、埋め立て用地の確保が難しく、また、焼却処分では焼却時に炉を傷めることが指摘されている。
本発明は上記従来のブリスターパック包装用蓋材の有する問題点に鑑み、ガスバリア性、防湿性、易開封性、印刷適性を有するとともに、優れた透明性による紫外線殺菌性や内容物の視認性、確認性を有する蓋材を提供するものである。
上記目的を達成するため、本発明のブリスターパック包装用蓋材は、分子配向を有する層と実質的に分子配向がない層とからなる易突刺し性2軸延伸ポリエステル系積層フィルムであって、該ポリエステル系積層フィルムの少なくともその一方の面に無機蒸着層が積層され、突刺し強度が2.0〜8.0N、酸素透過度が10mL/m・d・MPa以下であることを特徴とする。
この場合において、2軸延伸ポリエステル系積層フィルムの150℃雰囲気に30分間曝したときの長手方向の熱収縮率を5%以下とすることができる。
また、2軸延伸ポリエステル系積層フィルムの長手方向の屈折率(Nx)と幅方向の屈折率(Ny)との差(Nx−Ny)を−0.005〜0.005とすることができる。
また、最外層に、熱接着層を積層したものとすることができる。
また、最外層に、感圧接着剤層を積層したものとすることができる。
本発明のブリスターパック包装用蓋材によれば、かかる蓋材として、無機蒸着層が積層され特定の積層構造と強度を有する2軸延伸ポリエステル系積層フィルムを採用していることから取扱い性が優れた蓋材とすることができる。
また、優れたプレススルー性を有しており、ハサミやノッチ、あるいはミシン目加工等の必要がなく内容物を容易に取出しすことができる。
また、優れたガスバリア性を有しており、雑菌の繁殖や錆の発生を抑制することが可能となる。
また、印刷は、アルミ箔への印刷に比べ鮮明な画像を印刷することが可能となり、例えば、菓子類等美麗な印刷によりアイキャッチ効果が向上することで販売量が増加する商品への適用を考えると、意匠性の点で有利であり、好適に使用することができる。
さらに、ポリエステル樹脂は放射線に曝された際にもその特性変化がほとんど発生せず、γ線殺菌等の殺菌工程を経た後にも安定した特性が得られるという利点を有する。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明に用いる易突刺し性2軸延伸ポリエステル系フィルムは、分子配向を有する層と実質的に分子配向がない層とからなるポリエステル系積層フィルムである。
分子配向を有する層を構成するポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、あるいはそれらの構成成分を主成分とする共重合体等が挙げられる。かかるポリエステル系樹脂は、好ましくはテレフタル酸を主たる酸成分とし、エチレングリコールを主たるアルコール成分とするポリエステルであり、さらに好ましくはテレフタル酸が95モル%以上、エチレングリコールが95モル%以上からなるポリエステル系樹脂である。
また、実質的に分子配向がない層を構成するポリエステル系樹脂としては、テレフタル酸−イソフタル酸−エチレングリコール共重合体、テレフタル酸−イソフタル酸−ブチレングリコール共重合体、テレフタル酸−エチレングリコール−ネオペンチルグリコール共重合体等のテレフタル酸及びグリコールを主成分とし、他の酸成分及び/又は他のグリコール成分を共重合成分として含有するポリエステルが好ましく、その融点は、分子配向を有する層を構成するポリエステル系樹脂の融点より低い融点、特に20℃以上低い融点であることが好ましい。ここで、他の酸成分としては、脂肪族の二塩基酸(例えば、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸)や芳香族の二塩基酸(例えば、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、5−第3ブチルイソフタル酸、2,2,6,6−テトラメチルビフェニル−4,4−ジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,1,3−トリメチル−3−フェニルインデン−4,5−ジカルボン酸)等が用いられる。また、グリコール成分としては、脂肪族ジオール(例えば、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール等)、脂環族ジオール(例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノール等)又は芳香族ジオール(例えば、キシリレングリコール、ビス(4−β−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン誘導体)等が用いられる。
また、実質的に分子配向がない層に、印刷、ラミネート等、加工時の柔軟性を維持させるために上記ポリエステル系樹脂にエラストマー成分を配合することが好ましい。エラストマー成分としては、ガラス転移温度が、実質的に分子配向がない層に用いられるポリエステル系樹脂より低く、該ポリエステル系樹脂に対して海島構造を形成して分散する熱可塑性樹脂であれば特に限定されず、具体例としては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、ポリアミド及びポリアミド−ポリエチレンオキサイドブロック共重合体、ポリアミド−ポリテトラメチレンオキサイドブロック共重合体、ポリアミド−ポリエチレンオキサイドブロック共重合体等のポリアミド系エラストマーの他、ブロック共重合ポリエステル樹脂等を挙げることができる。
上記のブロック共重合ポリエステルとしては、融点170℃以上の結晶セグメント及び融点又は軟化点が100℃以下、分子量が400〜8000の軟質重合体からなるブロック共重合ポリエステルが典型的なものであり、この結晶セグメントとしては、その成分だけで重合体としたときに、融点が170℃以上のものであるが、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸の残基と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタメチレングリコール、p−キシレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族、芳香族、脂環族ジオールの残基とからなるポリエステル等を用いることができるが、特にテレフタル酸残基が80モル%以上を占めることが望ましい。また、分子量400〜8000の軟質ポリエステルは、該セグメント構成成分だけで測定した場合の融点あるいは軟化点が100℃以下のものであって、低融点軟質重合体としては、ポリエチレンオキサイドグリコール、ポリテトラメチレンオキサイドグリコール、ポリプロピレンオキサイドグリコール、エチレンオキサイドとテトラヒドロフランとの共重合グリコール等のポリエーテル、ポリネオペンチルアゼレート、ポリネオペンチルアジペート、ポリネオペンチルセバケート等の脂肪族ポリエステル、ポリ−ε−カプロラクトン等のポリラクトンを示すことができる。好ましくは、ポリエチレンオキサイドグリコール、ポリテトラメチレンオキサイドグリコール等が実用的である。ブロック共重合体ポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート−ポリエチレンオキサイドブロック共重合体、ポリエチレンテレフタレート−ポリテトラメチレンオキサイドブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート−ポリエチレンオキサイドブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート−ポリテトラメチレンオキサイドブロック共重合体、ポリエチレンテレフタレート−ポリエチレンオキサイド・ポリプロピレンオキサイドブロック共重合体、ポリテトラメチレンテレフタレート・イソフタレート−ポリテトラメチレンオキサイドブロック共重合体、ポリエチレンテレフタレート−ポリ−ε−カプロラクトンブロック共重合体、ポリエチレンテレフタレート−ポリネオペンチルセバケートブロック共重合体等を挙げることができる。
本発明に用いるポリエステル系積層フィルムを構成するポリエステル系樹脂の固有粘度は、好ましくは0.55〜1.3dL/g、さらに好ましくは0.60〜0.74dL/gであり、分子配向を有する層と実質的に分子配向がない層はこれらの範囲内の固有粘度を有する樹脂から選ばれた2種以上のポリエステル系樹脂からなる層であることが好ましい。
さらに、本発明に用いるフィルムの層構成は、縦延伸工程でのロールへの融着や粘着、また、横延伸工程での破断の際のテンターへの粘着等の製膜性より、外層の少なくとも一方が分子配向を有する層からなることが好ましく、両方の外層が分子配向を有する層であることがさらに好ましい。
本発明に用いるポリエステル系積層フィルムが良好な突刺し性を発現し、かつ、安定した生産性を得るためには、分子配向を有する層と実質的に分子配向がない層とを両方有することが必要である。本発明のポリエステル系積層フィルムの分子配向を有する層の分子配向の程度については、複屈折率の測定、IR分析における吸光度の測定等の公知の方法によって確認できるが、簡便的には、突刺す際の抵抗力及びその異方性の程度や、鉛筆等を突刺す際の強度で判定することができる。
本発明に用いるポリエステル系積層フィルムの積層構成を得るためには、2種類以上の融点の異なるポリエステル系樹脂からなる層が積層された未延伸積層フィルムを延伸後、熱処理して最も低い融点を示す樹脂からなる層の分子配向を解消させ、高い融点を示す樹脂からなる層の分子配向を残す方法や、最も高い融点を示す層となる延伸フィルムに最も低い融点を示す層となる未延伸フィルムを積層する方法等によることができる。
本発明に用いるポリエステル系積層フィルムに於いて、積層フィルムの厚み方向の屈折率Nzは、通常、1.480以上、好ましくは1.485〜1.492である。Nzが1.480未満の場合、接着剤を用いて接着層をポリエステル系積層フィルムにラミネートした際に、接着剤と本発明のポリエステル系積層フィルム表面あるいは接着層フィルム表面との接着力及びフィルム層の厚み方向の凝集力が不足し、剥離や層内での凝集破壊の原因となる傾向にある。
このことを、本発明に用いるポリエステル系積層フィルムの製造工程との関係で説明する。ポリエステル系積層フィルムを製造するに当たり、積層フィルムを延伸する方法について説明すると、延伸工程において全ての層は縦方向、横方向にそれぞれ配向し、厚み方向の配向が著しく減少する。
ついで、熱固定ゾーンに於いて、分子配向を有する層を構成する樹脂層は結晶化が進行し、縦方向、横方向及び厚み方向、すなわち全ての方向の屈折率が増加して分子配向を有する層となる。しかしながら、実質的に分子配向がない層を構成する樹脂層は熱固定ゾーンに於いて溶融状態となることで縦方向及び横方向の配向が概ね消滅し、厚み方向の配向が著しく増加するという挙動をとるため、厚み方向の配向のみが分子配向を有する層の配向より大きくなる。この結果、厚み方向の屈折率は、分子配向を有する層の値を示していることとなるのである。
アッベ屈折計を用いて測定することで、易突刺し性の指標となる実質的に分子配向がない層の分子配向が消失した状態と、接着性の指標となる分子配向を有する層の結晶化度を測定することができる。
本発明に用いるポリエステル系積層フィルムに於いて、積層フィルムの突刺し強度は2.0〜8.0Nであり、好ましくは3.0〜6.0Nである。
突刺し強度が2.0N未満の場合、フィルム強度が低すぎるため、ブリスターパック包装する際に蓋材に破断等のトラブルを生じる。また、8.0Nを超えた場合、フィルムの強度が強くなり、プレススルー性が悪化し好ましくない。
本発明に用いるポリエステル系積層フィルムの突刺し強度を2.0〜8.0Nとするには、前記の分子配向を有する層と実質的に分子配向がない層との層厚み比の調整及び分子配向のない層の分子配向の消失度合い、さらに、分子配向を有する層のポリエステル系樹脂の樹脂組成割合及びその厚み等により調整することができる。
例えば、実質的に分子配向がない層と分子配向を有する層では、突刺し強度への寄与率は、分子配向を有する層が大きいため、突刺し強度は実質的に分子配向がない層の配向が一定とした場合、分子配向を有する層の層厚みにより決定される。このとき、分子配向を有する層の厚みは1〜8μm程度が好ましい。また、積層フィルムのNzは分子配向を有する層に支配されているため、実質的に分子配向がない層の融点を分子配向を有する層の融点−25℃程度にし、分子配向を有する層の融点より20〜23℃低い温度で熱処理することが好ましい。
なお、プレススルー性を調整する方法として、実質的に分子配向がない層の配向の消失度合いをコントロールする方法も挙げられるが、配向の消失度合いはその融点近傍で著しい変化を示すため実用的ではない。
本発明に用いる積層フィルムの分子配向を有する層は、アッベ屈折計を用いて測定した積層フィルムの厚み方向の屈折率Nzが、通常、1.480以上であることで確認されるが、これは、つぎの理由による。すなわち、積層フィルムが、2軸延伸後の熱固定ゾーンに於いて、分子配向を有する層を構成する樹脂層の結晶化が進行し、縦方向、横方向及び厚み方向、すなわち全ての方向の屈折率が増加して分子配向を有する層となるのに対し、実質的に分子配向がない層を構成する樹脂層は熱固定ゾーンに於いて溶融状態となることから縦方向及び横方向の配向が概ね消滅し、厚み方向の配向が著しく増加するという挙動をとるため、厚み方向の配向のみが分子配向を有する層の配向より大きくなり、この結果、厚み方向の屈折率は、分子配向を有する層の値を示すのである。
また、本発明に用いる積層フィルムの実質的に分子配向がない層は、アッベ屈折計を用いて測定した積層フィルムの縦方向の屈折率(Nx)及び横方向の屈折率(Ny)が、通常、1.580以下であることで確認されるが、これは、上記の理由、すなわち、積層フィルムが、2軸延伸後の熱固定ゾーンに於いて、分子配向を有する層を構成する樹脂層の結晶化が進行し、縦方向、横方向及び厚み方向すなわち全ての方向の屈折率が増加して分子配向を有する層となるのに対し、実質的に分子配向がない層を構成する樹脂層は熱固定ゾーンに於いて溶融状態となることから縦方向及び横方向の配向が概ね消滅し、このことから、測定された(Nx),(Ny)の値は実質的に分子配向がない層の値を示すことになるのである。
なお、アッベ屈折計は屈折率の異なる層が積層されている場合、測定する方向に最も屈折率の低い層の屈折を示す特性を有する。
本発明においては、実質的に分子配向がない層の配向度は分子配向を有する層の配向度より低い配向度であればよく、配向度の消失度合いを厳密に調整することは実用的でない。
そのため、本発明で用いるポリエステル系積層フィルムは、その長手方向の屈折率(Nx)と幅方向の屈折率(Ny)との差(Nx−Ny)を−0.005以上0.005以下とすることが好ましい。分子配向のない層の配向度の消失度合いを一定とすることが好ましい。ここで、より好ましいのは−0.002以上0.002以下である。
長手方向の屈折率(Nx)と幅方向の屈折率(Ny)との差(Nx−Ny)が−0.005未満あるいは0.005を超えた場合、実質的に分子配向がない層とはいえず、分子配向を有する層の積層構成からなる積層フィルムとなり、本発明の意図であるプレススルー性を得ることが困難となる。
本発明に於いて、突刺し強度を調整するためには、分子配向を有する層と実質的に分子配向がない層との層厚み比及び分子配向を有する層の処方により調整することが好ましい。
本発明に用いるポリエステル系積層フィルムにおいて、分子配向を有する層の印刷性を改良するために分子配向を有する層を構成するポリエステル系樹脂に、非相溶の樹脂、例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート−ポリテトラメチレングリコール共重合体等を少量配合することができる。しかし、分子配向を有する層に接着層としてシーラントフィルム等を積層した場合、分子配向を有する層と接着層とを接着する接着剤との間の接着力は強くても、分子配向を有する層を構成するポリエステル系樹脂と非相溶樹脂との界面の凝集力が著しく小さいために、分子配向を有する層の内部で凝集破壊が生じ、結果としてラミネート強度が小さなフィルムとなる場合があることを考慮する必要がある。
本発明に用いるポリエステル系積層フィルムは分子配向を有する層と実質的に分子配向がない層とからなり、その層構成は分子配向を有する層と実質的に分子配向がない層の2層構成、分子配向を有する層、実質的に分子配向がない層と分子配向を有する層とからなる3層構成が代表的であるが、さらに、層数を加えることもできる。
また、本発明に用いるポリエステル系積層フィルムの厚みは、一般的に9〜50μmであるのが好ましいが、特に限定されるものではなく、ブリスターパック包装物の内容物の容積や重量に応じて厚みを選択することができる。また、実質的に分子配向がない層と分子配向を有する層(両外層が分子配向を有する層のときはその合計)の厚み比は95:5〜40:60好ましくは、85:15〜65:35程度であるが、特に限定するものではない。
本発明に用いるポリエステル系積層フィルムは、本発明の効果を阻害しない範囲で、公知の各種配合剤、例えば、滑剤、顔料、酸化防止剤、帯電防止剤等が配合されていてもよいが、例えば、有機高分子の帯電防止剤等は、フィルム表面にブリードアウトすることでフィルムと無機蒸着層との接着性を阻害することがあり、好ましくない。
ついで、本発明に於いて、基材となる易突刺し性2軸延伸ポリエステル系積層フィルムの少なくとも一方の面に、ガスバリア層である無機蒸着層が形成される。
無機蒸着層は、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムやこれらの混合物等を含有するものである。なお、本発明でいう酸化珪素とはSiOやSiO等の各種珪素酸化物の混合物からなり、酸化アルミニウムとはAlOやAl等の各種アルミニウム酸化物の混合物からなり、酸化マグネシウムとはMgO等の各種マグネシウム酸化物の混合物からなるものである。各酸化物中の酸素の結合量はそれぞれの形成条件によって異なってくる。
特に、酸化アルミニウムと酸化珪素の混合物を含有する無機蒸着層は、透明で、ボイル処理やレトルト処理あるいは耐屈曲性試験にも耐え得る、優れたガスバリア性を付与できることから、本発明におけるガスバリア層として特に好ましい。この場合、無機蒸着層中の酸化アルミニウムの含有率は、好ましくは20〜90重量%、より好ましくは25〜80重量%、特に好ましくは30〜75重量%である。酸化アルミニウム量含有率が20重量%未満の場合、無機蒸着層中に格子欠陥が生じて十分なガスバリア性が得られないおそれがあり、逆に90重量%を超えると、無機蒸着層の柔軟性が低下し、ガスバリア性フィルムをボイル処理したときに、基材となる2軸延伸ポリエステル系積層フィルムの寸法変化により、無機蒸着層の破壊(割れや剥離)が生じやすくなってガスバリア性が低下するおそれがあり、好ましくない。
上記の場合、無機蒸着層の特性を損なわない範囲で、酸化アルミニウムと酸化珪素以外に他の酸化物等を極微量(3重量%以下程度)は含んでいてもよい。
上記無機蒸着層の膜厚は、通常1〜500nm、好ましくは5〜200nmである。膜厚が1nm未満では満足できるガスバリア性が得られ難く、また500nmを超えて過度に厚くしても、それに相当するガスバリア性向上の効果は得られず、耐屈曲性や製造コストの点で不利となる。
無機蒸着層の形成には、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理蒸着法又はCVD等の化学蒸着法等が適宜用いられる。例えば、真空蒸着法を採用する場合は、蒸着原料としての混合物、例えば、SiOとAlの混合物等が用いられる。加熱には、抵抗加熱、誘導加熱、電子線加熱等を採用することができ、また、反応ガスとして酸素、窒素、水素、アルゴン、炭酸ガス、水蒸気等を導入したり、オゾン添加、イオンアシスト等の手段を用いた反応性蒸着を採用することも可能である。さらに、ポリエステル系積層フィルムにバイアスを印加したり、加熱したりあるいは冷却する等、成膜条件も任意に変更することができる。上記蒸着材料、反応ガス、基板バイアス、加熱・冷却等は、スパッタリング法やCVD法を採用する場合にも同様に変更可能である。
本発明の蓋材を形成する易突刺し性2軸延伸ポリエステル系積層フィルムのガスバリア性は、基材となるポリエステル系積層フィルムと無機蒸着層との密着強度が大きく関係しており、密着強度が大きいほどガスバリア性は向上する。そして、本発明者らの検討結果によれば、ガスバリア性が酸素透過度10mL/m・d・MPa以下であり、かつ、ボイル処理後においてもその優れたガスバリア性を維持させるには、95℃の熱水中で30分間のボイル処理後の密着強度を100g/15mm以上、好ましくは150g/15mm以上、より好ましくは200g/15mm以上、特に好ましくは250g/15mm以上にすることが好ましいことを確認している。密着強度が100g/15mm未満の場合、ボイル処理やレトルト処理によりガスバリア性が低下することがある。この理由は、密着強度が大きければ、ボイル処理やレトルト処理によって基材ポリエステル系フィルムに若干の収縮が起った場合でも、無機蒸着層の剥離が起こり難くなるためと考えられる。
このように、優れた密着強度を得るための手段としては、無機蒸着層の形成前に、基材となる2軸延伸ポリエステル系積層フィルムの表面にコロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、グロー放電処理、逆スパッタ処理、粗面化処理等を施したり、あるいは基材となるポリエステル系積層フィルム上に接着改質層を形成する等の方法があり、なかでも、接着力の持続性の点から接着改質層を形成することが好ましい。
基材となる2軸延伸ポリエステル系積層フィルムに上記接着改質層を形成するために塗布液を塗布する場合、該ポリエステル系積層フィルムと接着改質層との接着性を、さらによくするため、接着改質層の形成前に該ポリエステル系フィルムにコロナ放電処理、火炎処理、電子線照射等による表面処理をしてもよい。
接着改質層は各種材料と良好な接着性を有し、本発明においては、その表面には無機蒸着層が形成してもよいが、さらに接着性をよくするために、無機蒸着層形成前に当該接着改質層に、さらにコロナ放電処理、火炎処理、電子線照射等による表面処理をしてもよい。
また、本発明において、2軸延伸ポリエステル系積層フィルムの150℃における長さ方向の熱収縮率は5.0%以下であることが好ましく、好ましくは3.0%以下、さらに好ましくは2.0%以下である。150℃における長さ方向の熱収縮率が5.0%より大きいと、さらに印刷層等の表面加工層を形成するときに平面性の乱れが発生することがあり好ましくないばかりか、ブリスターパック底材との接着の際に変形が生じやすく、蓋材表面加工層の割れや剥がれの原因となる。
また、本発明において、2軸延伸ポリエステル系積層フィルムの、長さ方向の熱収縮率の幅方向におけるバラツキは、長さ方向の熱収縮率の最大値と最小値の差が1.0%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがさらに好ましい。幅方向における熱収縮率のバラツキが1.0%より大きいと無機蒸着層を形成するときに平面性の乱れが発生することがあり好ましくない。
本発明で得られた蓋材は、ブリスターパック底材との組み合わせで使用することにより、ブリスター包装用材料として好適に使用できる。
本発明のブリスターパック包装用蓋材を用いる場合、ブリスターパック底材としては、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂等からなるフィルムが用いられるが、特にブリスターパック包装としてガスバリア性が求められる場合は、EVOH、PVAあるいはPVDC等からなるガスバリア性に優れた樹脂を積層した底材が好ましい。
本発明に於いて、ブリスターパック包装用蓋材の最外層に底材とシールするために熱接着層又は感圧接着層を設けることが好ましい。いずれの面に積層するかは任意であるが、特に無機蒸着層の表面側に設けることにより無機蒸着層を摩擦剥離から保護することができる。
かかる熱接着層を形成する樹脂としては、テレフタル酸エチレングリコール共重合体系ポリエステル、テレフタル酸1,4−ブタンジオール系共重合体系ポリエステル、テレフタル酸エチレングリコール共重合体系ポリエステル低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メチルメタアクリレート共重合体、アイオノマー等公知のものを用いることができる。これらは、例えば、押出しラミネート法によりポリエチレンイミン層等の接着層上に直接溶融押出し積層することができる。熱接着層の厚みとしては、3〜10μm程度、好ましくは5〜7μm程度であるのが一般的である。また、感圧接着剤層を形成する原料としては、合成ゴムやアクリル系の樹脂等公知のものを用いることができる。これらは例えば、印刷機等を用いてコートすることができる。また、感圧接着剤の反対側の面には、剥離層を設けることが好ましい。感圧接着剤層の厚みとしては、5〜15μm程度、好ましくは7〜10μm程度であるのが一般的である。
ブリスターパック包装用蓋材に、任意の印刷層を形成することは何ら制限されるものではなく、公知の方法を用いることができる。
つぎに、本発明に用いるポリエステル系積層フィルムの製造方法の一例を説明する。
真空乾燥した融点の異なる2種のポリエステル系樹脂をそれぞれ別の2台の押出機に供給し、それぞれのポリエステル系樹脂の融点以上の温度で溶融押出しし、複合アダプターを通過させ、2種3層(高融点/低融点/高融点)として口金から押出し冷却固化させて未延伸積層フィルムを成形する。
このようにして得られた未延伸積層フィルムを、高融点側のポリエステル系樹脂のガラス転移温度〜ガラス転移温度+30℃の温度で縦方向に2〜4倍延伸し、直ちに20〜40℃に冷却する。
ついで、縦方向の延伸温度+10〜+40℃の温度で横方向に3〜4.5倍延伸する。
このようにして得られた2軸延伸後のフィルムを、低融点側のポリエステル系樹脂からなる層が溶融する温度であって、かつ、高融点側のポリエステル系樹脂からなる層の融点よりも低い温度により熱処理を行う。この熱処理では、必要に応じて弛緩処理を行ってもよい。
かかる熱処理の条件を選択することにより、厚み方向の屈折率Nzが1.480以上のフィルムを得ることができる。
本発明で用いるポリエステル系積層フィルムは、前記した如く、製膜工程での熱処理により分子配向がほとんど消失した、易突刺し性を付与する層と、分子配向を維持しポリエステル本来の特性を有しながら易突刺し性を有する層のバランスにより目的とするフィルム特性を広範囲に設定できる利点を有するとともに、分子配向を有する層が存在するために製膜での破断トラブル等も防止できる利点を有する。
かかる本発明で用いるポリエステル系積層フィルムは、突刺し強度が2.0〜8.0Nであることにより、生産・加工性に優れ、かつ突刺し性に優れたフィルムとなる。
ついで、得られた2軸延伸ポリエステル系積層フィルムの一方面に無機蒸着層を形成する。
無機蒸着層の形成には、例えば、真空蒸着法を採用する場合は、蒸着原料としてSiOとAlの混合物等が用いられる。加熱には電子線加熱等を用いる。
このようにして、SiOとAlの混合物等からなる無機蒸着層を形成した2軸延伸ポリエステル系積層フィルムが得られる。
つぎに、実施例及び比較例を用いて本発明を具体的に説明する。なお、本発明における特性値の評価は下記によった。
(1)ガラス転移温度、融点
島津製作所社製DSC−60型示差走査熱量計を用い、昇温速度20℃/minで測定した。ガラス転移温度(Tg)は変位の接線交点を、融点(Tm)は融解ピークのピーク温度を測定した。
(2)屈折率
アッベ屈折計を用い、長手方向の屈折率(Nx)、幅方向の屈折率(Ny)及び厚み方向の屈折率Nzを測定する。また、(Nx−Ny)を屈差として求めた。
(3)突刺し強度
フィルムの長手方向に、幅20mm、長さ200mmの試料を切出す。図1(a)に示す突刺し強度測定用治具を引張試験機(島津製作所製オートグラフAGC−1KNG型)の上部チャックに挟み、試料は二つ折にして図1(b)に示すように治具にかけ、下部のチャックからの長さが50mmとなるように下部のチャックに挟む。資料の折返し部分を直径0.7mmの鋼球が突刺すように、チャックを50mm/minの速度にて引張り、突刺して穴を開けたときの荷重を求める。測定はn=5で行い、最高値と最低値を除いた3点の平均にて求めた。
(4)熱収縮率
フィルムの長手方向に、幅10mm、長さ250mmのサンプルを切出し、200mm間隔で印をつけ、5gの一定張力で間隔Aを測る。続いて、150℃の雰囲気中のオーブンに無荷重で30分間放置した。オーブンから取出し室温まで冷却後に、5gの一定張力で間隔Bを求め、以下の式により熱収縮率を求めた。測定はフィルムの幅方向に等間隔に5ヶ所からサンプルを切出し測定し、その最大値及びバラツキ(最大値と最小値の差)を求めた。
熱収縮率=(A−B)/A×100(%)
(5)ガスバリア性(酸素透過度)
酸素透過度測定装置(「OX−TRAN 10/50」 モダンコントロールズ社製)を使用し、温度23℃、湿度65%RHで測定した。なお、判定はつぎの基準とした。
○:10mL/m・d・MPa以下
△:10mL/m・d・MPaを超え20mL/m・d・MPa以下
×:20mL/m・d・MPa超
(6)プレススルー性
ブリスターパックボトム材を押圧することで、内容物である注射針パックを介して蓋材を破断し、注射針パックを取出す際の蓋材の易開封性を判定した。なお、判定はつぎの基準とした。
○:問題なく開封できる。
△:開封に力を要する。又は、開封が困難。
×:蓋材を破ることができない。
(実施例1)
中間層(A)として、テレフタル酸−イソフタル酸−エチレングリコールからなる、ガラス転移温度が73℃、融点が225℃、極限粘度0.63dL/gの共重合ポリエステル樹脂97.5重量%と、テレフタル酸−エチレングリコール−ポリテトラメチレングリコールからなる、ガラス転移温度が−80℃、融点が170℃、極限粘度0.76dL/gの共重合ポリエステル系エラストマー2.5重量%とからなる混合物と、外層(B)として、テレフタル酸−エチレングリコールからなるポリエステルであり、ガラス転移温度が75℃、融点が265℃、極限粘度0.62dL/gのポリエステル樹脂に、平均粒径が1.5μmの不定形シリカを2000ppm添加したポリエステル樹脂組成物を、おのおの285℃の温度で別々の押出機により溶融し、この溶融体を複合アダプターで合流させた後にTダイより押出し、20℃に調温した冷却ドラムで急冷して、B/A/B構成の3層の未延伸積層フィルムを得た。
該未延伸積層フィルムを縦方向に95℃で3.8倍延伸した後30℃に急冷し、ついで横方向に110℃で4.2倍に延伸した後、2.5%弛緩しつつ228℃の温度で熱処理を行った後に常温まで急冷した。
ついで、2軸延伸ポリエステル系フィルムの一方の面にコロナ放電処理による接着性改善を行い、2.0μm/12.0μm/2.0μmの層構成を持つ16.0μmのフィルムを得た。
得られたフィルムを真空蒸着装置へ送り、チャンバー内を1×10−5Torrの圧力に保持し、SiO70重量%とAl30重量%の混合酸化物を15kwの電子線加熱によって蒸発させ、厚さ20nmの無色透明な無機蒸着層をコロナ放電処理層の上に形成した。
得られた無機蒸着フィルムの蒸着面にポリエステル系シーラントを塗布した後、注射針パックをセットしたブリスターバック底材と貼り合わせてシールして、ブリスターパック包装物を得た。
(実施例2)
実施例1と同じ原料、方法で層構成を4.0μm/8.0μm/4.0μmとして厚みが16.0μmのフィルムを作成し、実施例1と同様に無機蒸着層を形成し、同様にブリスターパック包装物を得た。
(比較例1)
実施例1と同じ原料、方法で、層構成を6.0μm/4.0μm/6.0μmとして厚みが16.0μmのフィルムを作成し、実施例1と同様に無機蒸着層を形成し、同様にブリスターパック包装物を得た。
(比較例2)
実施例1の中間層(A)として、テレフタル酸−イソフタル酸−エチレングリコールからなる、ガラス転移温度が73℃、融点が240℃、極限粘度0.64dL/gの共重合ポリエステル樹脂97.5重量%と、テレフタル酸−エチレングリコール−ポリテトラメチレングリコールからなる、ガラス転移温度が−80℃、融点が170℃、極限粘度0.76dL/gの共重合ポリエステル系エラストマー2.5重量%とからなる混合物を用いた以外は実施例1と同様に16.0μmのフィルムを作成し、実施例1と同様に無機蒸着層を形成し、同様にブリスターパック包装物を得た。
(比較例3)
実施例1の中間層(A)として、テレフタル酸−イソフタル酸−エチレングリコールからなる、ガラス転移温度が72℃、融点が210℃、極限粘度0.67dL/gの共重合ポリエステル樹脂97.5重量%と、テレフタル酸−エチレングリコール−ポリテトラメチレングリコールからなり、ガラス転移温度が−80℃、融点が170℃、極限粘度0.76dL/gの共重合ポリエステル系エラストマー2.5重量%からなる混合物を用いた以外は、実施例1と同様にフィルムを作成し、熱処理温度を210℃として厚みが16.0μmのフィルムを作成し、実施例1と同様に無機蒸着層を形成し、同様にブリスターパック包装物を得た。
(比較例4)
実施例1の無機蒸着前のフィルムのコロナ放電処理面に、ポリエステル系シーラントを塗布した後、注射針パックをセットしたブリスターバック底材と貼り合わせてシールして、ブリスターパック包装を得た。
実施例1、2及び比較例1〜4で得られたフィルム及びブリスターパック包装物の評価結果を表1に示す。
Figure 2005324834
以上、本発明のブリスターパック用蓋材について、複数の実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、各実施例に記載した構成を適宜組み合わせる等、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
本発明のブリスターパック用蓋材は、優れたプレススルー性とガスバリア性を有し、かつ、透明性、印刷性、耐放射線特性に優れているという特性を有していることから、
、ブリスターパック用蓋材として幅広い用途に好適に用いることができる。
(a)は突刺強度測定用治具を示す説明図、(b)は突刺し強度測定方法を示す説明図。

Claims (5)

  1. 分子配向を有する層と実質的に分子配向がない層とからなる易突刺し性2軸延伸ポリエステル系積層フィルムであって、該ポリエステル系積層フィルムの少なくともその一方の面に無機蒸着層が積層され、突刺し強度が2.0〜8.0N、酸素透過度が10mL/m・d・MPa以下であることを特徴とするブリスターパック包装用蓋材。
  2. 150℃雰囲気に30分間曝したときの長手方向の熱収縮率が5%以下であることを特徴とする請求項1記載のブリスターパック包装用蓋材。
  3. 長手方向の屈折率(Nx)と幅方向の屈折率(Ny)との差(Nx−Ny)が−0.005〜0.005であることを特徴とする請求項1又は2記載のブリスターパック包装用蓋材。
  4. 最外層に、熱接着層が積層されてなることを特徴とする請求項1、2又は3記載のブリスターパック包装用蓋材。
  5. 最外層に、感圧接着剤層が積層されてなることを特徴とする請求項1、2又は3記載のブリスターパック包装用蓋材。
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