JP2017226124A - 発泡性積層体及びそれを用いた発泡積層体並びに容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 加熱によって十分な高さと外観の良好な発泡セル(発泡層)を生産性良く得ることができる発泡性積層体、それを用いた発泡積層体及び発泡積層体を使用したカップなどの容器を提供する。【解決手段】紙を主体とする基材の少なくとも一方の面に、発泡させるためのポリエチレン系樹脂層(I)が形成された発泡性積層体であって、形成されたポリエチレン系樹脂層(I)が下記の特性(i)を満たすことを特徴とする発泡性積層体。(i)120℃におけるフィルム熱収縮率が、67%以下【選択図】 なし

Description

本発明は、発泡性積層体及び、それによって得られた発泡積層体並びに容器に関する。さらに詳しくは、加熱によって十分な高さと外観の良好な発泡セル(発泡層)が生産性良く得られる発泡性積層体及び、得られた発泡性積層体を用いた発泡積層体並びに容器に関する。
従来、断熱性を有する容器としては、合成樹脂製の発泡体が多く使用されている。また、廃棄し易く印刷適性の良い容器として、紙を複数枚使用した断熱紙容器や、紙基材の両面をポリエチレン系樹脂層で積層された材料を使用し、表面のポリエチレン系樹脂層を発泡させ断熱性を付与した紙容器がある。
紙を基材とした技術としては、紙の少なくとも一面にポリエチレンを押出ラミネートし、他面には蒸気圧保持層を形成させ加熱により表面に不規則な凹凸模様を有する加工紙を製造する技術がある(例えば、特許文献1参照)。
また、胴部材の片側壁面に熱可塑性樹脂フィルムがラミネートまたはコーティングされ、加熱によりフィルムを発泡させて発泡断熱層を形成させる技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、容器胴部材及び底部材からなる紙製容器において、容器胴部材の外壁面の一部に有機溶剤含有インキによる印刷を施し、胴部材外壁面全体を熱可塑性合成樹脂フィルムで被覆されている紙容器を加熱することにより、印刷部分に比較的厚い発泡層を存在させる技術が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
さらに、少なくとも外面側からシングルサイト触媒を用いて重合したエチレン−αオレフィン共重合体の発泡層、紙を主体とする基材層、熱可塑性樹脂層とを備えた積層体からなる発泡加工紙、積層体が提案されている(例えば、特許文献4、特許文献5参照)。こうして得られた発泡層を保有する加工紙、発泡積層体は、発泡層を発泡させて容器とした際に、手とのなじみがよく滑りにくく、断熱性に優れるとともに紙を複数枚使用した断熱性容器に比較しコストが安いというメリットがある。
また、特許文献6においては、紙容器における胴部材原材料シートの紙基材の少なくとも片面に、溶融状態の熱可塑性樹脂をTダイから紙基材に接するまでの時間が0.11〜0.33秒となるように押出ラミネートしてなる紙製容器の胴部材原材料シートが示され、低密度ポリエチレンを2種混合してMFRを調整した組成物が記載されている。
しかし、従来の発泡層を有する積層体や、それを用いた加工紙は、押出ラミネート成型時に、ある一定以上の加工速度とした場合、加熱による発泡時に、外観不良となることがあり問題となっていた。従って、高速加工とした場合であっても、十分な高さと外観の良好な発泡セルとなるような改良が望まれていた。
特公昭48−32283号公報 特開昭57−110439号公報 特開平07−232774号公報 特開平10−128928号公報 特開2007−168178号公報 特開2008−105747号公報
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、加熱によって十分な高さと外観の良好な発泡セル(発泡層)を生産性良く得ることができる発泡性積層体、それを用いた発泡積層体及び発泡積層体を使用したカップなどの容器を提供することにある。
しかしながら、十分な発泡性を有するという効果と、良好な発泡外観を形成する効果を双方満たすためには、樹脂組成や樹脂層を形成するための諸条件が複雑に関係しあっているため、両者を併用して満たすことはなかなか困難であった。本発明者らは、上記課題を解決すべく、紙を主体とする基材に発泡するためのポリエチレン樹脂層(I)を形成した発泡性積層体の、ポリエチレン樹脂層(I)の形成に起因する様々な条件、例えば形成に用いる樹脂の物性値及び基材にポリエチレン樹脂層を形成する際の押出し形成方法の種々の樹脂温度や速度等につき様々な検討を行った。
その結果、限られたある特定の条件下において得られた、特定物性(i)を有する、紙基材上に形成されたポリエチレン樹脂層(I)において、十分な発泡性と発泡外観を良好にするという両効果を併用した発泡性積層体が得られることを見出し、本発明を完成させた。特に本効果は、ラミネート成形の高速加工下において有用である。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、紙を主体とする基材の少なくとも一方の面に、発泡させるためのポリエチレン系樹脂層(I)が形成された発泡性積層体であって、形成されたポリエチレン系樹脂層(I)が下記の特性(i)を満たすことを特徴とする発泡性積層体が提供される。
(i)120℃におけるフィルム熱収縮率が、67%以下
また、本発明の第2の発明によれば、前記ポリエチレン系樹脂層(I)を形成するために用いるポリエチレン系樹脂(A)が、
高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン及びエチレン共重合体から選択された1種以上であることを特徴とする第1の発明に記載の発泡性積層体が提供される。
さらに、本発明の第3の発明によれば、前記ポリエチレン系樹脂(A)が、下記(a−1)の特性を満たすことを特徴とする、第1、第2のいずれかの発明に記載の発泡性積層体が提供される。
(a−1)ポリエチレン系樹脂(A)の融点が、80℃〜120℃
また、本発明の第4の発明によれば、紙を主体とする基材の少なくとも一方の面に、発泡させるためのポリエチレン系樹脂層(I)が形成された発泡性積層体であって、前記基材の他方の面に、熱可塑性樹脂(B)から構成される熱可塑性樹脂層(II)を備える発泡性積層体であることを特徴とする第1〜第3のいずれか1の発明に記載の発泡性積層体が提供される。
さらに、本発明の第5の発明によれば、紙を主体とする基材の少なくとも一方の面に、発泡させるためのポリエチレン系樹脂層(I)が形成された発泡性積層体であって、前記基材の他方の面に、熱可塑性樹脂(B)から構成される熱可塑性樹脂層(II)を備える発泡性積層体であり、前記熱可塑性樹脂層(II)が前記基材から放出される蒸気を保持する層であり、前記熱可塑性樹脂層(II)が、下記(b−1)の性状を有する熱可塑性樹脂(B)で構成されることを特徴とする第1〜第4の発明のいずれかに記載の発泡性積層体が提供される。
(b−1)融点(Tm(b))が100〜140℃
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜第5の発明に記載の発泡性積層体の前記ポリエチレン系樹脂層(I)が発泡した状態である発泡積層体が提供される。
さらに、本発明の第7の発明によれば、第6の発明に記載の発泡積層体で成形された状態の容器が提供される。
本発明によれば、ラミネート成形時の加工速度を高速とした場合においても、十分な発泡性と、良好な発泡外観の双方が得られる発泡性積層体及びそれを使用した発泡積層体ならびにカップなどの断熱容器が製造できる。これにより、発泡外観が良好な発泡積層体及びそれを使用した発泡加工紙ならびにカップなどの断熱容器が安定的に得られ、生産性良く提供できる。
本発明のフィルム熱収縮率の測定方法を説明するために、試験前のサンプル(a)と試験後のサンプル(b)の例を図示したイメージ図である。
以下、本発明の発泡性積層体、その製造方法、及び、この方法によって得られた発泡積層体、並びに断熱容器について、項目毎に詳細に説明する。
1.発泡性積層体
本発明は、少なくとも、紙を主体とする基材の一方の面にポリエチレン系樹脂層(I)を備え、上記基材の他方の面に、基材から放出される蒸気を保持する熱可塑性樹脂層(II)を設けた発泡性積層体であって、ポリエチレン系樹脂層(I)が特定の特性(i)を有することを特徴とし、更に好ましくは、基材の他方の面に熱可塑性樹脂層(II)が特定の融点を有する熱可塑性樹脂(B)で構成されることを特徴とする。
(i)120℃におけるフィルム熱収縮率が、67%以下
(1)紙を主体とする基材
本発明の発泡性積層体において紙を主体とする基材は、基材に含まれた蒸気、揮発分によって表面のポリエチレン系樹脂層(I)を発泡させることができるものであれば特に限定されない。例えば、上質紙、クラフト紙、アート紙等が挙げられる。また、紙を主体とする基材には、加熱により揮発性ガスを発生する物質をコーティングしたり、紙基材中へ加熱により揮発性ガスを発生する物質を配合したりすることもできる。紙を主体とする基材には、パルプ紙や合成紙等の紙にインクなどで絵や文字、模様などを印刷することができる。基材に使用する紙は、坪量が100〜400g/m、特に150〜350g/mが好ましい。紙の含水率は4〜10%、好ましくは5〜8%程度のものが例示される。
また、紙基材には印刷が施されていてもよい。
(2)ポリエチレン系樹脂層(I)
本発明の発泡性積層体に係るポリエチレン系樹脂層(I)を構成する樹脂には、加熱温度100℃〜200℃の範囲において発泡可能なポリエチレン系樹脂(A)を用いることができる。発泡倍率が高く、均一な発泡セルを形成させるためには、ポリエチレン系樹脂(A)の融点が80〜120℃の範囲、好ましくは、90〜115℃程度の範囲内で選択することが好ましい。ポリエチレン系樹脂層(I)は、例えば、基材に含まれた水分による蒸気、揮発分によって発泡する。
ポリエチレン系樹脂層(I)の厚みは、特に限定されないが、20〜100μmであり、発泡層厚みを高くするという点で、30〜100μmが好ましい。ポリエチレン系樹脂層(I)の厚みが、20μm未満では発泡層厚みを十分に高くすることが難しい。
また、本発明に用いるポリエチレン系樹脂層(I)には、必要に応じて印刷等を施してもよい。印刷は、部分的に着色インキで印刷しても、全面的に印刷してもよい。印刷の位置、印刷面積の大小、印刷の方法、使用されるインキなどは、従来公知の技術を適宜選択して用いることができる。
(3)ポリエチレン系樹脂層(I)の特性(i)
本発明においては、上記の紙を主体とする基材上に形成された、かかる加熱発泡性のポリエチレン系樹脂層(I)が、下記の特定の特性(i)を満たすことを特徴とする。
すなわち、本発明者等が鋭意検討した結果、十分な発泡性と良好な発泡外観を両立するためには、複数の条件が一定に重なった場合にのみ達成しうる、かかる基材上に形成されたポリエチレン系樹脂層の特性が重要な因子であり、かかる特性が、特定の温度、すなわち、後で加熱する温度の代表である120℃における、下記フィルム熱収縮率で特定すると、極めてよい相関を得ることを見出した。これは、フィルム熱収縮率が大きいと、樹脂を溶融させて発泡させる際に、発泡セルの幅方向への成長が一方方向に早期に成長することで楕円形に近い形状となり、長軸方向への成長を起点にセルサイズが大きくなることによるものである。
(i)120℃におけるフィルム熱収縮率が67%以下
かかる、特性(i)は、基材上に形成されたポリエチレン系樹脂層(I)の性状を特定するものであり、以下の方法により測定することができる。
<120℃におけるフィルム熱収縮率>
発泡性積層体のポリエチレン系樹脂層(I)を、紙基材が残らないよう紙基材から剥離し、サンプルとした。
剥離したフィルムサンプルを10mmφポンチにて打抜き、3個の試験片を作成した。その試験前のサンプルイメージ図を図1の(a)に示す。シリコンオイル(信越シリコーンKF-96-100CS)30mlを入れた50mlビーカーをオイルバスに浸漬し、ビーカー内のシリコンオイルが120℃となるよう、オイルバスの温度を調整した。
試験片をビーカー内に投入し、1分間放置した。
1分後、ビーカーごとオイルバスから取出し、ビーカーを室温にて放冷した。 サンプルが固化したら、サンプルをビーカーから取出し、楕円状となったサンプルの短軸側の長さL(図1を参照)を0.1mm単位まで計測した。試験後のサンプルイメージ図を図1の(b)に示す。下記計算により120℃における熱収縮率(%)を算出した。
120℃熱収縮率(%)=((L0-L)/L0)*100
L0:試験前のサンプル径(10mm)
L: 試験後のサンプル短軸の長さ(mm)
3個の試験片の平均値を算出し、小数第一位を四捨五入して整数とした。
120℃におけるフィルム熱収縮率が67%以下であると、加熱後に得られる発泡積層体における発泡セルの面積が、小さく、均一にきめ細やかに表面に並んでいるために、発泡外観が極めて滑らかになる。一方、67%を超えると、その発泡セルの面積が急激に大きくなり、発泡セルの形状が崩れやすく表面に凹凸が生じて表面外観を損なうこととなる。一方、発泡高さにおいても、フィルム熱収縮率が67%以下であると、十分な発泡高さを得ることができる。
フィルム熱収縮率の下限としては特に限定はないが、実際上30〜67%、好ましくは40〜65%であることが挙げられる。
このような特性(i)を満たすポリエチレン樹脂層(I)を得るためには、具体的には、樹脂層(I)の形成に用いるポリエチレン樹脂組成物を構成するポリエチレン系樹脂(A)の物性と、該ポリエチレン樹脂組成物を基材上に形成する際の樹脂温度や加工速度等の条件等を本発明の実施例等で開示する方法を基にして、ある特定の条件下に特定して行うことにより達成することができる。
1.発泡性ポリエチレン樹脂組成物(A)
上記発泡性のポリエチレン系樹脂層(I)を形成するために用いるポリエチレン系樹脂組成物を構成するポリエチレン系樹脂(A)としては、例えば、エチレン単独重合体、エチレン・α−オレフィン共重合体、高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン、エチレン共重合体、及びそれらの混合物が例示される。
前記エチレン共重合体におけるエチレンと共重合するモノマーとしては、例えば、共役ジエン(例えばブタジエンやイソプレン)、非共役ジエン(例えば1,4−ペンタジエン)、アクリル酸、アクリル酸エステル(例えばアクリル酸メチルやアクリル酸エチル)、メタクリル酸、メタクリル酸エステル(例えばメタクリル酸メチルやメタクリル酸エチル)及び酢酸ビニルエチレン等が例示される。
ポリエチレン系樹脂(A)として好ましいのは、高圧ラジカル重合法により得られる低密度ポリエチレン(高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン)である。高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレンは、酸素、有機過酸化物などのラジカル発生剤を用いて、1000〜4000atmの超高圧下、塊状または溶液重合によって製造される。
更に、高圧ラジカル重合法により得られる低密度ポリエチレンには、オートクレーブ反応器により得られた低密度ポリエチレンと、チューブラー反応器により得られた低密度ポリエチレンが存在し、その反応形式の違いによって、分子量分布の異なる低密度ポリエチレンが得られる。
本発明のポリエチレン系樹脂(A)は、1種類であってもよいし、複数種であってもよい。下記の特性は、本発明のポリエチレン樹脂組成物が含有するポリエチレン系樹脂が1種類であれば、該ポリエチレン系樹脂の特性に相当し、本発明のポリエチレン樹脂組成物が含有するポリエチレン系樹脂が複数種であれば、該複数種のポリエチレン系樹脂の混合物が有する特性に相当する。
(a−1)MFR
本発明において、ポリエチレン樹脂組成物が含有するポリエチレン系樹脂(A)のメルトフレート(MFR)は、7g/10分以上20g/10分未満であり、好ましくは9g/10分以上20g/10分未満であり、より好ましくは11〜18g/10分であり、さらに好ましくは12〜16g/10分であることが好ましい。MFRが7g/10分未満であると発泡セルが大きくなりにくく、一方、MFRが20g/10分以上であると発泡の際セルが破裂してしまうので好ましくない。ここで、MFRは、JIS K7210(1999年)(190℃、21.18N荷重)に準拠して測定する値である。
(a−2)密度
本発明において、ポリエチレン樹脂組成物が含有するポリエチレン系樹脂(A)の密度は、0.900〜0.930g/cmが好ましく、更に好ましくは0.905〜0.930g/cmであり、より好ましくは0.910〜0.930g/cmである。密度が0.900g/cm未満であると、樹脂層のすべりが悪く、ハンドリングが悪くなるので好ましくない。密度が0.930g/cmを超えると、発泡させるための温度を高くする必要があるため、好ましくない。
ここで、密度は、試験温度23℃、JIS−K7112(1999年)に準拠して測定する値である。
(a−3)酸化防止剤
本発明において、ポリエチレン樹脂層(I)を構成するポリエチレン樹脂組成物には、酸化防止剤を添加することが好ましい1手段として挙げられる。
具体的には、本発明のポリエチレン樹脂組成物中に含まれる酸化防止剤の量は80ppm以上含むとよく、好ましくは150ppm以上であり、より好ましくは300ppm以上である。また、本発明のポリエチレン樹脂組成物中に含まれる酸化防止剤の量は、2000ppm未満であり、好ましくは650ppm未満であり、より好ましくは300ppm未満である。ここで本発明においては、ppmは重量比を表している。
酸化防止剤としては、例えば、ブチルヒドロキシトルエン、4−ヒドロキシメチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、n−オクタデシル−β−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、トコフェロール、2,4−ビス(オクチルチオメチル)−6−t−メチルフェノール、2,4−ビス[(ドデシルチオ)メチル]−6−メチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォン酸モノエチルエステルカルシウム塩、ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)、トリエチレングリコールビス−3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、2,2’−オキサミドビス〔エチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,2’−5−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、N,N’−1,3−プロパンジイルビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミド)、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,5−ビス〔5’−t−ブチルベンゾキサゾリル(2)〕−チオフェン、〔ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォン酸モノエチルエステル)ニッケル塩、サリチル酸メチル、p−メトキシフェノール、サリチル酸フェニル、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、4−ベンゾキサゾイル−(2)−4’〔5−メチルベンゾキサゾイル−(2)〕−スチルベン、ヘキサデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,2’−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾ[d]トリアゾール−2−イル)フェノール〕、2,4-ジ−t−ブチル−6−(5−クロロベンゾトリアゾ−ル−2−イル)フェノール、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸−2−エチルヘキシル等のフェノール系、ジラウルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート等のチオエーテル系、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニルジトリデシルフォスファイト)、トリス(シクロヘキシルフェニル)フォスファイト、トリス−[2−(2,4,8,10−テトラブチル−5,7−ジオキサ−6−ホスホジベンゾ−{a,c}シクロヘプテン−6−イル−オキシ)エチル]アミン、ビス−[2−メチル−4,6−ビス−(1,1−ジメチルエチル)フェニル]エチルフォスファイト、3,9−ビス{2,4−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノキシ}−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、3,9−ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4-メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン、カルベトキシメチルジエチルフォスフォネート等のリン系、等の酸化防止剤が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a−4)メモリーエフェクト(ME)
本発明において、ポリエチレン樹脂組成物が含有するポリエチレン系樹脂(A)のメモリーエフェクト(ME)は、好ましくは2.0未満であり、更に好ましくは1.9以下であり、より好ましくは1.85以下である。メモリーエフェクト(ME)は、2.0以上であると加工速度を高速とした場合、発泡外観が悪化するため、好ましくない。ここで、メモリーエフェクト(ME)は、JIS K7210(1999年)で使用されるメルトインデクサーを使用し、シリンダー温度240℃、定速押出量3g/分の条件で測定する値である。
本発明の発泡性積層体用ポリエチレン樹脂組成物は、その他必要に応じて、上記ポリエチレン系樹脂(A)の特性を損ねない範囲で、金属石鹸等の中和剤、アンチブロッキング剤、滑剤、分散剤、顔料、染料等の着色剤、防曇剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、造核剤などの添加剤を含有してもよい。
また、上記ポリエチレン系樹脂(A)の特性を損ねない範囲で、他の熱可塑性樹脂を配合しても構わない。熱可塑性樹脂としては、他のポリオレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂などを挙げることができる。
また、ポリエチレン系樹脂(A)は、前記特性を満たすものであれば、特に制限はされないが、好ましくは高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレンにラジカル発生剤を添加しラジカル反応させたものが挙げられる。
上記ラジカル発生剤としては、例えば、有機過酸化物、ジヒドロ芳香族、ジクミル化合物等が挙げられる。その有機過酸化物としては、例えば、(i)t−ブチルハイドロパーオサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、(ii)メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、(iii)イソブチリルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類、(iv)ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルヘキシン)−3、ジ−t−アミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類、(v)2,2−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ブタン等のパーオキシケタール、(vi)t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のアルキルパーエステル類、(vii)ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカルボネート、ジ−イソプロピルパーオキシジカルボネート、t−アミルパーオキシイソプロピルカーボネート等のパーカーボネート類、(viii)3,6,9−トリエチル−3,6,9−トリメチル−1,4,7−トリパーオキソナン等の環状有機過酸化物類などが挙げられる。中でも好ましいのは、環状有機過酸化物類である。
ラジカル発生剤の配合量は、特に限定されないが、ポリエチレン系樹脂(A)100重量部に対し、0.5重量部以下、特に0.1重量部以下であることが好ましい。ラジカル発生剤の配合量が0.5重量部を超えると、流動性が悪化する。
(3)熱可塑性樹脂層(II)
本発明の発泡性積層体に用いる熱可塑性樹脂層(II)は、基材から放出される蒸気等を保持する役割を有するものである。
それを構成する熱可塑性樹脂(B)は、上記ポリエチレン系樹脂層(I)を形成するポリエチレン系樹脂(A)よりも融点が高いか、又は融解しない樹脂であればよく、特に限定はされないが、ポリエチレン系樹脂層(I)を優先的に発泡させ、均一にかつ高いセル厚を容易に得るためには、加熱によって基材から放出される蒸気等によって発泡されるポリエチレン系樹脂(A)と、基材から放出される蒸気等を保持する熱可塑性樹脂(B)との融点差が、次の式(1)を満たすことが好ましい。
Tm(b)−Tm(a)≧10 式(1)
(ただし、Tm(a):ポリエチレン系樹脂層(I)のポリエチレン系樹脂(A)の融点(℃)、Tm(b):熱可塑性樹脂層(II)の熱可塑性樹脂(B)の融点(℃)である)
本発明において使用される熱可塑性樹脂(B)は、例えば、高・中・低密度ポリエチレン、ポリプロピレン系樹脂、ポリブテン−1樹脂、ポリ−4−メチル−ペンテン−1樹脂等の炭素数2〜10のα−オレフィン単独重合体、またはそれらの相互共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、あるいはこれらとの混合物等が挙げられる。これらの中でも、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂が好ましい。
熱可塑性樹脂(B)としては、例えば、エチレン単独重合体、エチレン・α−オレフィン共重合体、高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン、エチレン共重合体、ポリプロピレン等のポリオレフィン及びそれらの混合物などのポリオレフィン系樹脂が例示される。
前記エチレン共重合体におけるエチレンと共重合体するモノマーとしては、共役ジエン(例えばブタジエンやイソプレン)、非共役ジエン(例えば1,4−ペンタジエン)、アクリル酸、アクリル酸エステル(例えばアクリル酸メチルやアクリル酸エチル)、メタクリル酸、メタクリル酸エステル(例えばメタクリル酸メチルやメタクリル酸エチル)および酢酸ビニルエチレン等が例示される。
また、熱可塑性樹脂(B)として、ポリエチレン系樹脂を採用する場合、MFRが2.0〜15g/10分、好ましくは3.0〜14g/10分、より好ましくは4.0〜13g/10分である。MFRが2.0g/10分未満であると押出ラミネート加工時の高速加工性が悪化し、15g/10分を超えると押出ラミネート加工性が不安定となる懸念があるため好ましくない。
また、熱可塑性樹脂(B)として、ポリエチレン系樹脂を採用する場合、密度が0.930〜0.970g/cm、好ましくは0.930〜0.965g/cm、より好ましくは、0.930〜0.960g/cm程度のものが好ましい。密度が0.930g/cm未満であるとラミネート成形樹脂のすべりが悪く、ハンドリングが悪くなり、0.970g/cmを超えるとは押出ラミネート加工性が不安定となる懸念があるため好ましくない。
また、上記ポリエチレン系樹脂層(I)を考慮すると、熱可塑性樹脂(B)の融点Tm(b)は、100〜140℃、好ましくは110〜140℃、より好ましくは115〜140℃の範囲で選択されることが好ましい。融点が100℃より低い場合は、耐熱性が不足し熱可塑性樹脂層が発泡してしまうおそれがあり、また140℃を超えると、低温ヒートシール性が不良となるおそれがあるため好ましくない。
また、熱可塑性樹脂(B)に、例えば、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂等のように紙基材と接着性の乏しい樹脂を使用する場合においては、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂、エチレン−不飽和カルボン酸との共重合体等の通例の接着性樹脂等を介して積層体としてもよい。
上記熱可塑性樹脂(B)には、必要に応じて、上記熱可塑性樹脂の特性を損ねない範囲で、フェノール系、リン系等の酸化防止剤、金属石鹸等の中和剤、アンチブロッキング剤、滑剤、分散剤、顔料、染料等の着色剤、防曇剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、造核剤などの添加剤を配合してもよい。
熱可塑性樹脂層(II)の厚みは、特に限定されないが、発泡層厚みを高くすることができるという点で、通例では10〜100μm、特に20〜100μmの範囲で選択されることが好ましい。熱可塑性樹脂層(II)の厚みが、10μm未満では、基材から放出される蒸気等を十分に保持することができず、発泡層厚みを十分に高くすることができないおそれが生じる。また100μmを超える場合には、それ以上の効果の向上が期待されず、経済的デメリットが大きくなるおそれが生じる。
(4)発泡性積層体
本発明の発泡積層体においては、本発明の効果を損なわない範囲において、該層間、あるいはその内層及び/又は外層等に他の層を設けてもよく、例えば、外側から、{ポリエチレンフィルム層/ポリエチレン系樹脂層(I)/基材/熱可塑性樹脂層(II)}、{ポリエチレンフィルム層/バリア層/接着層/ポリエチレン系樹脂層(I)/基材/熱可塑性樹脂層(II)}、{ポリエチレン系樹脂層(I)/基材/熱可塑性樹脂層(II)/バリア層/熱可塑性樹脂層(II)}のように基材とポリエチレン系樹脂層(I)または、さらに熱可塑性樹脂層(II)を設けた積層体の内層及び/又は外層、あるいは該層間に一層または複数層のフィルム層、装飾層、補強層、接着剤層、バリア層等を設けてもよい。
また、必要に応じて印刷等を施してもよい。印刷は、部分的または全面的に着色インキで印刷してもよい。また、必要に応じて発泡性インキを使用して、部分的または全面的に発泡部位を設けてもよい。印刷の位置、印刷面積の大小、印刷の方法、使用されるインキなどは、従来公知の技術を適宜選択して用いることができる。
上記装飾層としては、例えば、印刷された紙、フィルム、不織布、織布等が挙げられる。
また、補強層とは、基材に積層されたポリエチレン系樹脂層(I)が加熱によって発泡されるときに発泡層が破裂しないように、ポリエチレン系樹脂層(I)の外層にポリエチレン樹脂フィルムなどを積層して発泡層の過度の発泡による破裂防止や、不ぞろいの発泡セルを均一に矯正する、あるいはフィルム、不織布等を積層して、機械的強度を持たせるなどの役割を果たすものである。樹脂としては、特に限定されるものではなく、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等でよい。
また、接着剤層とは、該層を形成する樹脂として、例えば、エチレンと不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体、ポリオレフィン樹脂に不飽和カルボン酸等をグラフトした変性ポリオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体等ホットメルト、通常の接着剤等が挙げられる。
また、バリア層とは、該層を形成する樹脂として、例えば、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、延伸ポリプロピレン(OPP)、延伸ポリエステル(OPET)、延伸ポリアミド、アルミナ蒸着フィルム、シリカ蒸着フィルム等の無機酸化物の蒸着フィルム、アルミ蒸着等の金属蒸着フィルム、金属箔、バリア材コーティングフィルム等が挙げられる。
本発明の発泡性積層体の製造方法としては、紙を主体とする基材の両面へポリエチレン系樹脂層(I)、熱可塑性樹脂層(II)を積層できる方法であれば特に制約はないが、溶融樹脂をダイレクトに積層する押出ラミネート加工、事前にフィルムとしたものを積層するサンドラミネート加工、ドライラミネート加工する方法等が挙げられる。
押出ラミネート加工は、Tダイより押出した溶融樹脂膜を、基材上に連続的に被覆・圧着する方法で、被覆と接着を同時に行う成形加工法である。押出ラミネート加工は、加工速度55m/min以上の速度で行うことが好ましい。また、サンドラミネート加工は、紙と積層するフィルムの間に溶融した樹脂を流し込んで、この溶融した樹脂が接着剤のような働きをして接着・積層する方法であり、ドライラミネート加工は、紙と積層するフィルムを貼合する接着剤および/または接着剤の塗布ロール付近の雰囲気湿度を除湿するか、前記接着剤および/または接着剤の塗布ロールの温度を温熱するか、フィルムシートの貼合面を乾燥させる方法である。
サンドラミネート加工、ドライラミネート加工においては、本発明に用いる紙を主体とする基材の熱可塑性樹脂層(II)が形成される側で、基材と熱可塑性樹脂層(II)との間に積層されるフィルムとして、バリア性を向上させるためのアルミ箔、ポリエステル系フィルム、各種バリア性フィルム等が挙げられる。
積層する際の押出ラミネート加工条件としては、エアーギャップとして100mm〜200mm、好ましくは105mm〜180mm、加工速度として、50mm/min〜100mm/min、好ましくは55mm/min〜95mm/min、押出機のTダイス出口から出てきた樹脂の実測樹脂温度が、300〜350℃、好ましくは310〜340℃の範囲が挙げられ、これらの条件から、用いる樹脂の特性と組み合わせて、適宜上記特性(i)を満たすように適用することが可能である。
3.発泡加工紙
本発明の発泡加工紙は、上記の発泡性積層体を加熱し、ポリエチレン系樹脂層(I)を発泡させて得られるものである。発泡加工紙の発泡セルの高さは、好ましくは200μm以上、250μm以上とすることがより好ましい。発泡セルの高さが200μm未満であると、十分な断熱性が得られない。
加熱方法としては特に制限はないが、例えば、熱風、マイクロ波、高周波、赤外線、遠赤外線等により加熱する方法が挙げられる。加熱温度には特に制約はないが、紙中の水分を蒸発させ、発泡性樹脂が溶融する温度でなければならず、例えば、100〜200℃が好ましい。加熱時間は10秒間〜10分間が好ましい。上記範囲であれば、充分な発泡セル高さが得られやすい。本発明の発泡性樹脂を用いると、この加熱条件の中で、発泡外観が良好な発泡加工紙を得ることができる。
上記発泡加工紙は、下記のカップ等断熱容器用の断熱・保温材料としてはもちろんのこと、緩衝材料、遮音材料、発泡紙等としても用いられ、スリーブ材、紙皿、トレー、滑り止め材、果物の包装材、発泡紙等の農業用、産業用、生活用資材等として活用される。
4.断熱容器
本発明の断熱容器は、上記発泡性積層体を用いて容器を形成した後、該容器を加熱し、ポリエチレン系樹脂層(I)を発泡させて得られたものである。
断熱容器でも、上記発泡加工紙と同様に、発泡セルの高さは、200μm以上、好ましくは250μm以上である。発泡セルの高さが200μm以上あると、十分な断熱性が得られやすい。
これにより得られた断熱容器は、トレー及びカップなどとして使用される。用途としては、ホット飲料、カップスープ、カップ味噌汁、カップラーメン、納豆容器、電子レンジ対応容器等が例示できる。
このように本発明においては、押出ラミネート成形時に高速条件で加工した場合であっても、発泡倍率が高く、均一な発泡セルが形成された発泡層となり、断熱性、外観の良好性等に優れた断熱性容器を容易に得ることができる。
以下、実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、本実施例の物性、及び得られた発泡性積層体等の試験方法は、以下の通りである。
1.試験方法
(1)MFR:JIS K7210(1999年)に準拠(190℃、21.18N荷重)して測定した。
(2)密度:ポリエチレン系樹脂(A)については、下記の条件にて測定した。
ペレットを熱プレスして2mm厚のプレスシートを作成し、該シートを1000ml容量のビーカーに入れ蒸留水を満たし、時計皿で蓋をしてマントルヒーターで加熱した。蒸留水が沸騰してから60分間煮沸後、ビーカーを木製台の上に置き放冷した。この時60分煮沸後の沸騰蒸留水は500mlとし室温になるまでの時間は60分以下にならないように調整した。また、試験シートは、ビーカー及び水面に接しないように水中のほぼ中央部に浸漬した。シートを23℃、湿度50%の条件において16時間以上24時間以内でアニーリングを行った後、タテ×ヨコ2mmになるように打ち抜き、試験温度23℃でJIS−K7112(1999年)に準拠して測定した。
(3)融点:ペレットを熱プレスでシートとし、パンチで打ち抜いてサンプルとした。測定は、JIS K7121−1987の方法により、下記の条件で、第一昇温、降温、第二昇温の手順で実施し、第二昇温の最高ピーク高さの温度を融点とした。
装置:セイコーインスツルメンツ製DSC7020
昇降温条件 :第一昇温 30℃から200℃までを40℃/分
降温 200℃から20℃までを10℃/分
第二昇温 20℃から200℃までを10℃/分
温度保持時間:第一昇温後5分間、降温後5分
サンプル量:5mg
温度の校正:インジウム
リファレンス:アルミニウム
(4)120℃におけるフィルム熱収縮率
発泡性積層体のポリエチレン系樹脂層(I)を、紙基材が残らないよう紙基材から剥離し、サンプルとした。
剥離したフィルムサンプルを10mmφポンチにて打抜き、3個の試験片を作成した。シリコンオイル(信越シリコーンKF-96-100CS)30mlを入れた50mlビーカーをオイルバスに浸漬し、ビーカー内のシリコンオイルが120℃となるよう、オイルバスの温度を調整した。
試験片をビーカー内に投入し、1分間放置した。
1分後、ビーカーごとオイルバスから取出し、ビーカーを室温にて放冷した。 サンプルが固化したら、サンプルをビーカーから取出し、楕円状となったサンプルの短軸側の長さL(図1を参照)を0.1mm単位まで計測した。下記計算により120℃における熱収縮率(%)を算出した。
120℃熱収縮率(%)=((L0-L)/L0)*100
L0:試験前のサンプル径(10mm)
L: 試験後のサンプル短軸の長さ(mm)
3個の試験片の平均値を算出し、小数第一位を四捨五入して整数とした。
(5)発泡後の外観評価
実施例により得られた積層体を10cm×10cmに切り出し、120℃に加熱したパーフェクトオーブン(PH−102型 エスペック製)中で360秒間静置し発泡させた後、取り出して空気中で室温まで冷却した。
上記発泡させたセルサイズをデジタルマイクロスコープ(スカラ社製 HDM−2100)で、下部より灯影させて1.3cm×1.3cm四方の各発泡セル全ての面積を測定後、その平均を算出し、平均値が0.8mmを超えるものを外観不良(×)、0.8mm未満のものを外観良好(○)と評価した。
(6)発泡高さ
上記外観評価で使用した発泡体の断面を、デジタルマイクロスコープ(スカラ社製 HDM−2100)で撮影後、発泡層の高さを10カ所で測定し、その平均値を算出した。
2.樹脂
(1)ポリエチレン系樹脂(A)
表1に記載の樹脂(a)〜(e)を単独又は組み合わせて、表2に記載のとおり、ポリエチレン系樹脂層(I)を形成するための樹脂組成物A−1、A−2、A−3、A−4を作成した。
なお、A−2及びA−3には、酸化防止剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを150ppmと、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイトを150ppm添加している。
Figure 2017226124
Figure 2017226124

(2)熱可塑性樹脂(B)
B1:MFR10g/10min、密度0.936g/cm、Tm(b)129℃のポリエチレン樹脂
(実施例1)
坪量320g/m、含水率7%の紙基材の片面にコロナ処理(30W・min/m)を施し、90mmφ押出機、エアーギャップ110mm、ダイス有効幅560mmの押出ラミネーターを用い、熱可塑性樹脂層(II)を構成する材料としてMFR10g/10min、密度0.936g/cm、融点129℃の熱可塑性樹脂(B1)を樹脂温度320℃、加工速度50m/min、40μm厚にて押出ラミネート加工し、熱可塑性樹脂層(II)と紙基材との積層体を得た。
次に、上記積層体の熱可塑性樹脂層(II)と反対面の紙基材面にコロナ処理(30W・min/m)を施し、90mmφ押出機(L/D28)、エアーギャップ110mm、ダイス有効幅560mm、ダイスリップギャップ0.75mmの押出ラミネーターを用い、シリンダー設定温度をホッパー側から220℃、300℃、345℃、345℃、345℃とし、以降ヘッド、アダプター、Tダイスの設定温度を345℃に設定し、加工速度60m/minで70μm厚のポリエチレン系樹脂層(I)を構成する材料として、上記ポリエチレン系樹脂(A1)を押出ラミネート加工した。この時、Tダイス出口の実測樹脂温度は、320℃であった。また、樹脂が押出機ホッパー下からTダイス先端まで到達するのに要した時間(樹脂押出機滞留時間)は72秒であった。発泡性積層体のポリエチレン系樹脂層(I)の表面には、コロナ処理(10W・min/m)を施し、ポリエチレン系樹脂層(I)と紙基材と熱可塑性樹脂層(II)からなる発泡性積層体を得た。
得られた発泡性積層体の評価結果を表3に示す。外観が良好であり、発泡高さも十分であった。
(実施例2)
ポリエチレン系樹脂層(I)を積層する条件として、エアーギャップを130mm、加工速度を65m/minとした以外は実施例1と同様にして発泡性積層体を得た。ポリエチレン系樹脂層(I)を積層した際のTダイス出口の実測樹脂温度は318℃であった。樹脂押出機滞留時間は66秒であった。
得られた発泡性積層体の評価結果を表3に示す。外観が良好であり、発泡高さも十分であった。
(実施例3)
ポリエチレン系樹脂層(I)に使用する樹脂として、(A−2)を用い、ポリエチレン系樹脂層(I)を積層する条件として、エアーギャップを110mm、加工速度を60m/minとした以外は実施例1と同様にして発泡性積層体を得た。ポリエチレン系樹脂層(I)を積層した際のTダイス出口の実測樹脂温度は321℃であった。樹脂押出機滞留時間は72秒であった。得られた発泡性積層体の評価結果を表3に示す。 外観が良好であり、発泡高さも十分であった。
(実施例4)
ポリエチレン系樹脂層(I)に使用する樹脂として、(A−2)を用い、ポリエチレン系樹脂層(I)を積層する条件として、エアーギャップを130mm、加工速度を65m/minとした以外は実施例1と同様にして発泡性積層体を得た。ポリエチレン系樹脂層(I)を積層した際のTダイス出口の実測樹脂温度は319℃であった。樹脂押出機滞留時間は66秒であった。得られた発泡性積層体の評価結果を表3に示す。 外観が良好であり、発泡高さも十分であった。
(実施例5)
ポリエチレン系樹脂層(I)に使用する樹脂として、(A−2)を用い、ポリエチレン系樹脂層(I)を積層する条件として、エアーギャップを130mm、加工速度を70m/minとした以外は実施例1と同様にして発泡性積層体を得た。ポリエチレン系樹脂層(I)を積層した際のTダイス出口の実測樹脂温度は317℃であった。樹脂押出機滞留時間は61秒であった。得られた発泡性積層体の評価結果を表3に示す。 外観が良好であり、発泡高さも十分であった。
(実施例6)
ポリエチレン系樹脂層(I)に使用する樹脂として、(A−3)を用い、ポリエチレン系樹脂層(I)を積層する条件として、エアーギャップを110mm、加工速度を60m/minとした以外は実施例1と同様にして発泡性積層体を得た。ポリエチレン系樹脂層(I)を積層した際のTダイス出口の実測樹脂温度は321℃であった。樹脂押出機滞留時間は72秒であった。得られた発泡性積層体の評価結果を表3に示す。 外観が良好であり、発泡高さも十分であった。
(実施例7)
ポリエチレン系樹脂層(I)に使用する樹脂として、(A−3)を用い、ポリエチレン系樹脂層(I)を積層する条件として、エアーギャップを110mm、加工速度を65m/minとした以外は実施例1と同様にして発泡性積層体を得た。ポリエチレン系樹脂層(I)を積層した際のTダイス出口の実測樹脂温度は319℃であった。樹脂押出機滞留時間は66秒であった。得られた発泡性積層体の評価結果を表3に示す。 外観が良好であり、発泡高さも十分であった。
(実施例8)
ポリエチレン系樹脂層(I)に使用する樹脂として、(A−4)を用い、ポリエチレン系樹脂層(I)を積層する条件として、エアーギャップを130mm、加工速度を65m/minとした以外は実施例1と同様にして発泡性積層体を得た。ポリエチレン系樹脂層(I)を積層した際のTダイス出口の実測樹脂温度は319℃であった。樹脂押出機滞留時間は66秒であった。得られた発泡性積層体の評価結果を表3に示す。 外観が良好であり、発泡高さも十分であった。
(実施例9)
ポリエチレン系樹脂層(I)に使用する樹脂として、(A−4)を用い、ポリエチレン系樹脂層(I)を積層する条件として、エアーギャップを130mm、加工速度を70m/minとした以外は実施例1と同様にして発泡性積層体を得た。ポリエチレン系樹脂層(I)を積層した際のTダイス出口の実測樹脂温度は317℃であった。樹脂押出機滞留時間は61秒であった。得られた発泡性積層体の評価結果を表3に示す。 外観が良好であり、発泡高さも十分であった。
(比較例1)
ポリエチレン系樹脂層(I)に使用する樹脂として、(A−1)を用い、ポリエチレン系樹脂層(I)を積層する条件として、エアーギャップを110mm、加工速度を65m/minとした以外は実施例1と同様にして発泡性積層体を得た。ポリエチレン系樹脂層(I)を積層した際のTダイス出口の実測樹脂温度は318℃であった。樹脂押出機滞留時間は66秒であった。得られた発泡性積層体の評価結果を表4に示す。 外観が不良であった。
(比較例2)
ポリエチレン系樹脂層(I)に使用する樹脂として、(A−1)を用い、ポリエチレン系樹脂層(I)を積層する条件として、エアーギャップを130mm、加工速度を70m/minとした以外は実施例1と同様にして発泡性積層体を得た。ポリエチレン系樹脂層(I)を積層した際のTダイス出口の実測樹脂温度は316℃であった。樹脂押出機滞留時間は61秒であった。得られた発泡性積層体の評価結果を表4に示す。 外観が不良であった。
(比較例3)
ポリエチレン系樹脂層(I)に使用する樹脂として、(A−1)を用い、ポリエチレン系樹脂層(I)を積層する条件として、エアーギャップを110mm、加工速度を70m/minとした以外は実施例1と同様にして発泡性積層体を得た。ポリエチレン系樹脂層(I)を積層した際のTダイス出口の実測樹脂温度は316℃であった。樹脂押出機滞留時間は61秒であった。得られた発泡性積層体の評価結果を表4に示す。 外観が不良であった。
(比較例4)
ポリエチレン系樹脂層(I)に使用する樹脂として、(A−2)を用い、ポリエチレン系樹脂層(I)を積層する条件として、エアーギャップを110m、加工速度を70m/minとした以外は実施例1と同様にして発泡性積層体を得た。ポリエチレン系樹脂層(I)を積層した際のTダイス出口の実測樹脂温度は317℃であった。樹脂押出機滞留時間は61秒であった。得られた発泡性積層体の評価結果を表4に示す。 外観が不良であった。
(比較例5)
ポリエチレン系樹脂層(I)に使用する樹脂として、(A−1)を用い、ポリエチレン系樹脂層(I)を積層する条件として、エアーギャップを110mm、加工速度を60m/minとし、シリンダー設定温度をホッパー側から220℃、300℃、335℃、335℃、335℃とし、以降ヘッド、アダプター、Tダイス設定温度を335℃とした以外は実施例1と同様にして発泡性積層体を得た。ポリエチレン系樹脂層(I)を積層した際のTダイス出口の実測樹脂温度は310℃であった。樹脂押出機滞留時間は72秒であった。得られた発泡性積層体の評価結果を表4に示す。 外観が不良であった。
(比較例6)
ポリエチレン系樹脂層(I)に使用する樹脂として、(A−1)を用い、ポリエチレン系樹脂層(I)を積層する条件として、エアーギャップを110mm、加工速度を65m/minとした以外は実施例1と同様にして発泡性積層体を得た。ポリエチレン系樹脂層(I)を積層した際のTダイス出口の実測樹脂温度は308℃であった。樹脂押出機滞留時間は66秒であった。得られた発泡性積層体の評価結果を表4に示す。 外観が不良であった。
(比較例7)
ポリエチレン系樹脂層(I)に使用する樹脂として、(A−2)を用い、ポリエチレン系樹脂層(I)を積層する条件として、エアーギャップを110mm、加工速度を65m/minとした以外は実施例1と同様にして発泡性積層体を得た。ポリエチレン系樹脂層(I)を積層した際のTダイス出口の実測樹脂温度は309℃であった。樹脂押出機滞留時間は66秒であった。得られた発泡性積層体の評価結果を表4に示す。 外観が不良であった。
(比較例8)
ポリエチレン系樹脂層(I)に使用する樹脂として、(A−3)を用い、ポリエチレン系樹脂層(I)を積層する条件として、エアーギャップを110mm、加工速度を65m/minとした以外は実施例1と同様にして発泡性積層体を得た。ポリエチレン系樹脂層(I)を積層した際のTダイス出口の実測樹脂温度は309℃であった。樹脂押出機滞留時間は66秒であった。得られた発泡性積層体の評価結果を表4に示す。 外観が不良であった。
Figure 2017226124
Figure 2017226124
以上の実施例及び比較例より、本発明における特定の特性(i)を満たすポリエチレン系樹脂層(I)が形成された、紙を主体とする基材の少なくとも一方の面に、発泡させるためのポリエチレン系樹脂層(I)が形成された発泡性積層体が、十分な発泡高さと、良好な発泡後の外観を有することが確認される。

Claims (7)

  1. 紙を主体とする基材の少なくとも一方の面に、発泡させるためのポリエチレン系樹脂層(I)が形成された発泡性積層体であって、形成されたポリエチレン系樹脂層(I)が下記の特性(i)を満たすことを特徴とする発泡性積層体。
    (i)120℃におけるフィルム熱収縮率が、67%以下
  2. 前記ポリエチレン系樹脂層(I)を形成するために用いるポリエチレン系樹脂(A)が、
    高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン及びエチレン共重合体から選択された1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の発泡性積層体。
  3. 前記ポリエチレン系樹脂(A)が、下記(a−1)の特性を満たすことを特徴とする、請求項1、請求項2のいずれか1項に記載の発泡性積層体。
    (a−1)ポリエチレン系樹脂(A)の融点が、80℃〜120℃
  4. 紙を主体とする基材の少なくとも一方の面に、発泡させるためのポリエチレン系樹脂層(I)が形成された発泡性積層体であって、前記基材の他方の面に、熱可塑性樹脂(B)から構成される熱可塑性樹脂層(II)を備える発泡性積層体であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の発泡性積層体。
  5. 紙を主体とする基材の少なくとも一方の面に、発泡させるためのポリエチレン系樹脂層(I)が形成された発泡性積層体であって、前記基材の他方の面に、熱可塑性樹脂(B)から構成される熱可塑性樹脂層(II)を備える発泡性積層体であり、前記熱可塑性樹脂層(II)が前記基材から放出される蒸気を保持する層であり、前記熱可塑性樹脂層(II)が、下記(b−1)の性状を有する熱可塑性樹脂(B)で構成されることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の発泡性積層体。
    (b−1)融点(Tm(b))が100〜140℃
  6. 請求項1〜5に記載の発泡性積層体の前記ポリエチレン系樹脂層(I)が発泡した状態である発泡積層体。
  7. 請求項6に記載の発泡積層体で成形された状態の容器。
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