JP7039877B2 - 発泡性積層体、その製造方法、発泡加工紙及び断熱容器 - Google Patents
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Description
また、胴部材の片側壁面に熱可塑性樹脂フィルムがラミネートまたはコーティングされ、加熱によりフィルムを発泡させて発泡断熱層を形成させる技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、容器胴部材及び底部材からなる紙製容器において、容器胴部材の外壁面の一部に有機溶剤含有インキによる印刷を施し、胴部材外壁面全体を熱可塑性合成樹脂フィルムで被覆されている紙容器を加熱することにより、印刷部分に比較的厚い発泡層を存在させる技術が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
そのため、(A)特定の密度を有するポリエチレン系樹脂層/基材層/(B)特定の密度を有する発泡層を含み、(B)層を構成するポリエチレン系樹脂を高圧法低密度ポリエチレンとし、(A)層の厚みと発泡前後の(B)層の厚みとを規定する技術が提案されている(例えば、特許文献7参照)。
しかしながら、従来技術の断熱性を有する電子レンジ調理用容器は、加工速度を高速とした場合、加熱による発泡時に、外観不良となり、いまだ当業界の求めるレベルに到達しておらず、改善の余地があった。
1.ポリエチレン系樹脂(a)を含むA層、ポリエチレン系樹脂(b)を含むB層および基材層をこの順で有し、下記(i)、(ii)、(iii)及び、(iv)の要件を満たすことを特徴とする発泡性積層体。
(i)前記ポリエチレン系樹脂(a)の示差熱走査熱量計(DSC)による融解ピーク温度(Tm)が、前記ポリエチレン系樹脂(b)の該融解ピーク温度(Tm)未満である。
(ii)前記ポリエチレン系樹脂(b)の試験温度23℃、JIS K7112:1999に準拠して測定した密度が0.919g/cm3以上、0.930g/cm3以下である。
(iii)前記A層および前記B層の厚みが下記式を満たす。
A層の厚み>B層の厚み
(iv) オルトジクロロベンゼンによる温度上昇溶離分別(TREF)によって得られる溶出曲線において、ポリエチレン系樹脂(b)の溶出温度70℃以上の溶出物割合が45~85重量%である。
2.前記ポリエチレン系樹脂(a)およびポリエチレン系樹脂(b)が、高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン及びエチレン共重合体から選択された1種以上であることを特徴とする前記1に記載の電子レンジ調理用発泡性積層体。
3.JIS K7210:1999に準拠(190℃、21.18N荷重)して測定したメルトフローレートMFRが下記要件(v)および(vi)を満たすことを特徴とする前記1または2に記載の電子レンジ調理用発泡性積層体。
(v)前記ポリエチレン系樹脂(a)のMFRが7g/10分以上25g/10分未満である。
(vi)前記ポリエチレン系樹脂(b)のMFRが3g/10分以上20g/10分以下である。
4.前記A層およびB層の合計の厚みが、30μm~100μmであることを特徴とする前記1~3のいずれか1に記載の電子レンジ調理用発泡性積層体。
5.前記B層の厚みが、5μm以上であることを特徴とする前記1~4のいずれか1項に記載の電子レンジ調理用発泡積層体。
6.前記1~5のいずれか1に記載の発泡性積層体を製造する方法であって、
前記基材層上に、前記ポリエチレン系樹脂(b)を含む発泡体からなるB層および前記ポリエチレン系樹脂(a)を含む発泡体からなるA層をこの順で押出しラミネート加工する工程を有し、前記押出しラミネート加工の加工速度が、55m/分以上であることを特徴とする電子レンジ調理用発泡性積層体の製造方法。
7.前記1~5のいずれか1に記載の発泡性積層体の、前記A層および前記B層が設けられる基材層の面とは別の面に、密度が0.930~0.970g/cm3のポリエチレン系樹脂を含む樹脂組成物からなるC層が設けられてなることを特徴とする電子レンジ調理用発泡性積層体。
8.前記7に記載の発泡性積層体の前記A層及び前記B層が発泡した状態である発泡加工紙。
9.前記8に記載の発泡加工紙を用いてなる断熱容器。
また、電子レンジによる調理・加熱によって発泡セルが肥大化し、また連通化して発泡層表面が隆起する現象(火ぶくれ)や、この火ぶくれによって肥大化した発泡セルが破れ、表面に凹凸が発生し、外観を損なうという問題点を解決することができ、いわゆる電子レンジ適性に優れたものである。
(i)前記ポリエチレン系樹脂(a)の示差熱走査熱量計(DSC)による融解ピーク温度(Tm)が、前記ポリエチレン系樹脂(b)の該融解ピーク温度(Tm)未満である。
(ii)前記ポリエチレン系樹脂(b)の試験温度23℃、JIS K7112:1999に準拠して測定した密度が0.919以上、0.930g/cm3以下である。
(iii)前記A層および前記B層の厚みが下記式を満たす。
A層の厚み>B層の厚み
(iv) オルトジクロロベンゼンによる温度上昇溶離分別(TREF)によって得られる溶出曲線において、ポリエチレン系樹脂(b)の溶出温度70℃以上の溶出物割合が45~85重量%である。
また、前記エチレン・α-オレフィン共重合体に用いるα - オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1 - ブテン、1 - ペンテン、1 - ヘキセン、4 - メチル- 1 - ペンテン、1 - オクテン、1 - デセンを挙げることができる。またそれらを2種類以上組み合わせて使用しても良い。
樹脂(a)および(b)は、1種類であってもよいし、複数種類であってもよい。
上記ラジカル発生剤としては、例えば、有機過酸化物、ジヒドロ芳香族、ジクミル化合物等が挙げられる。その有機過酸化物としては、例えば、(i)t-ブチルハイドロパーオサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、(ii)メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、(iii)イソブチリルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類、(iv)ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(t-ブチルヘキシン)-3、ジ-t-アミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類、(v)2,2-ジ-(t-ブチルパーオキシ)ブタン等のパーオキシケタール、(vi)t-ヘキシルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシピバレート、t-アミルパーオキシ2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシベンゾエート等のアルキルパーエステル類、(vii)ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカルボネート、ジ-イソプロピルパーオキシジカルボネート、t-アミルパーオキシイソプロピルカーボネート等のパーカーボネート類、(viii)3,6,9-トリエチル-3,6,9-トリメチル-1,4,7-トリパーオキソナン等の環状有機過酸化物類などが挙げられる。中でも好ましいのは、環状有機過酸化物類である。
ペレットを熱プレスでシートとし、パンチで打ち抜いてサンプルとする。測定は、JIS K7121-1987の方法に従う。下記の条件で、第一昇温、降温、第二昇温の手順で実施し、第二昇温の最高ピーク高さの温度をTmとする。
装置:エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社社製のDSC(DSC7020)
昇降温条件
第一昇温:30℃から200℃までを10℃/分
降温:200℃から20℃までを10℃/分
第二昇温:20℃から200℃までを10℃/分
温度保持時間:第一昇温後5分間、降温後5分間
サンプル量:5mg
温度の校正:インジウム
リファレンス:アルミニウム
ポリエチレン系樹脂(a)のTmとポリエチレン系樹脂(b)のTmとの差は、例えば1~20℃であり、1~10℃が好ましい。上記範囲であることで、ポリエチレン系樹脂(a)を含むA層の発泡開始時間をコントロールし、良好な発泡外観となるという点で有利となる。
なお、本発明に使用するポリエチレン系樹脂(a)の密度は、0.900~0.930g/cm3が好ましく、0.905~0.928g/cm3がより好ましい。さらに好ましくは、0.910~0.925g/cm3である。
A層の厚み>B層の厚み
A層の厚みは、例えば20μm~70μmであり、20μm~60μmが好ましい。
B層の厚みは、例えば5μm~40μmであり、10μm~30μmが好ましい。
A層とB層の厚み差は、例えば10μm~60μmであり、10μm~50μmが好ましい。
また、特に本発明の効果がさらに高まるという観点から、A層およびB層の合計の厚みは30μm~100μmであるのが好ましく、30μm~90μmであるのがさらに好ましい。
さらに上記溶出物の割合は、50~80重量%であることが好ましく、とくに好ましい上記溶出物の割合は、60~80重量%である。なお、ポリエチレン系樹脂(b)が混合物の場合は、混合物の溶出物が上記範囲を満たせばよい。
また、A層およびB層は必要に応じて、樹脂(a)および(b)の特性を損ねない範囲で、他の熱可塑性樹脂を配合しても構わない。熱可塑性樹脂としては、例えば、他のポリオレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂などを挙げることができる。また、A層およびB層は必要に応じて、印刷等を施してもよい。印刷は、部分的に着色インキで印刷しても、全面的に印刷してもよい。印刷の位置、印刷面積の大小、印刷の方法、使用されるインキなどは、従来公知の技術を適宜選択すればよい。
A層およびB層は、例えば、基材層に含まれた蒸気、揮発分によって発泡する。
紙を主体とする基材層としては、例えば、上質紙、クラフト紙、アート紙等が挙げられる。紙を主体とする基材層を採用した場合は、基材層に水分を含ませ、加熱により生じる蒸気によって樹脂層(a)および(b)を発泡させることができる。また、紙を主体とする基材層に加熱により揮発性ガスを発生する物質をコーティングしたり、加熱により揮発性ガスを発生する物質を配合したりすることにより、樹脂層(a)および(b)を発泡させることもできる。基材層に使用する紙は、坪量が100~400g/m2、特に150~350g/m2が好ましい。紙の含水率は4~10%、好ましくは5~9%程度のものが例示される。また、紙基材には印刷が施されていてもよい。
C層に用いられる樹脂として、ポリエチレン系樹脂を採用する場合、密度は例えば0.930~0.970g/cm3、好ましくは0.930~0.965g/cm3、より好ましくは、0.930~0.960g/cm3である。密度が0.930g/cm3未満であるとラミネート成形樹脂のすべりが悪く、ハンドリングが悪くなり、0.970g/cm3を超えるとは押出ラミネート加工性が不安定となる懸念があるため好ましくない。
また、C層に用いられる樹脂の融点(溶解ピーク温度:Tm)は、例えば100~140℃、好ましくは110~140℃、より好ましくは115~140℃である。
C層には必要に応じて、フェノール系、リン系等の酸化防止剤、金属石鹸等の中和剤、アンチブロッキング剤、滑剤、分散剤、顔料、染料等の着色剤、防曇剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、造核剤などの添加剤を配合してもよい。
C層の厚みは、例えば10μm~70μmであり、20μm~50μmが好ましい。
また、補強層とは、基材層に積層されたA層、B層が加熱によって発泡されるときに発泡層が破裂しないように、これらの外層にポリエチレン樹脂フィルムなどを積層して発泡層の過度の発泡による破裂防止や、不ぞろいの発泡セルを均一に矯正する、あるいはフィルム、不織布等を積層して、機械的強度を持たせるなどの役割を果たすものである。樹脂としては、特に限定されるものではなく、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等でよい。
また、接着剤層とは、該層を形成する樹脂として、例えば、エチレンと不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体、ポリオレフィン樹脂に不飽和カルボン酸等をグラフトした変性ポリオレフィン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体等ホットメルト、通常の接着剤等が挙げられる。
また、バリア層としては、該層を形成する樹脂として、例えば、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体鹸化物(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、延伸ポリプロピレン(OPP)、延伸ポリエステル(OPET)、延伸ポリアミド、アルミナ蒸着フィルム、シリカ蒸着フィルム等の無機酸化物の蒸着フィルム、アルミ蒸着等の金属蒸着フィルム、金属箔等が挙げられる。
上記発泡加工紙は、下記のカップ等断熱容器用の断熱・保温材料としてはもちろんのこと、緩衝材料、遮音材料、発泡紙等としても用いられ、スリーブ材、紙皿、トレー、滑り止め材、果物の包装材、発泡紙等の農業用、産業用、生活用資材等として活用されるが、本発明の発泡加工紙はとくに電子レンジ適性に優れることから電子レンジ調理用であることが好ましい。
断熱容器でも、上記発泡加工紙と同様に、発泡セルの高さは、370μm以上、好ましくは400μm以上とすることが好ましい。発泡セルの高さが370μm以上あると、十分な断熱性が得られやすい。
これにより得られた断熱容器は、トレー及びカップなどとして使用されるが、本発明の断熱容器はとくに電子レンジ適性に優れることから電子レンジ調理用であることが好ましい。
この時60分煮沸後の沸騰蒸留水は500mlとし室温になるまでの時間は60分以下にならないように調整した。また、試験シートは、ビーカー及び水面に接しないように水中のほぼ中央部に浸漬した。シートを23℃、湿度50%の条件において16時間以上24時間以内でアニーリングを行った後、タテ×ヨコ2mmになるように打ち抜き、試験温度23℃でJIS K7112(1999年)に準拠して測定した。
装置:エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社社製のDSC(DSC7020)
昇降温条件
第一昇温:30℃から200℃までを10℃/分
降温:200℃から20℃までを10℃/分
第二昇温:20℃から200℃までを10℃/分
温度保持時間:第一昇温後5分間、降温後5分間
サンプル量:5mg
温度の校正:インジウム
リファレンス:アルミニウム
実施例または比較例により得られた積層体を10cm×10cmに切り出し、120℃に加熱したパーフェクトオーブン(PH-102型エスペック製)中で360秒間静置し発泡させた後、取り出して空気中で室温まで冷却した。
上記発泡させたセルサイズをデジタルマイクロスコープ(スカラ社製HDM-2100)で、下部より灯影させて1.3cm×1.3cm四方の各発泡セル全ての面積を測定後、その平均を算出し、平均値が0.8mm2以上のものを外観不良(×)、0.8mm2未満のものを外観良好(○)と評価した。
実施例または比較例により得られた積層体を10cm×10cmに切り出し、120℃に加熱したパーフェクトオーブン(PH-102型エスペック製)中で360秒間静置した後、取り出して空気中で室温まで冷却した。発泡後の積層体の発泡層断面をデジタルマイクロスコープにて断面写真を撮影し、断面写真から発泡層のみの高さを10箇所測定し、平均の発泡層厚みをA層およびB層の発泡後の層高さとした。
発泡後の層高さが1.1mm以上のものを(○)、0.9mm以上、1.1mm未満のものを(△)、0.9mm未満のものを(×)と評価した。
溶出物の割合は、下記の方法によって測定される。
試料を140℃でオルトジクロロベンゼン(0.5mg/mLBHT入り)に溶解し溶液とする。これを140℃のTREFカラムに導入した後8℃/分の降温速度で100℃まで冷却し、引き続き4℃/分の降温速度で40℃まで冷却し、更に続いて1℃/分の降温速度で-15℃まで冷却し、20分間保持する。その後、溶媒であるオルトジクロロベンゼン(0.5mg/mLBHT入り)を1mL/分の流速でカラムに流し、TREFカラム中で-15℃のオルトジクロロベンゼンに溶解している成分を10分間溶出させ、次に昇温速度100℃/時間にてカラムを140℃までリニアに昇温し、溶出曲線を得る。
装置及び測定条件は例えば以下の通りである。
(TREF部)
TREFカラム:4.3mmφ×150mmステンレスカラム
カラム充填材:100μm表面不活性処理ガラスビーズ
加熱方式:アルミヒートブロック
冷却方式:ペルチェ素子(ペルチェ素子の冷却は水冷)
温度分布:±0.5℃
温調器:(株)チノー デジタルプログラム調節計KP1000
(バルブオーブン)
加熱方式:空気浴式オーブン
測定時温度:140℃
温度分布:±1℃
バルブ:6方バルブ、4方バルブ
(試料注入部)
注入方式:ループ注入方式
注入量:ループサイズ 0.1ml
注入口加熱方式:アルミヒートブロック
測定時温度:140℃
(検出部)
検出器:波長固定型赤外検出器 FOXBORO社製 MIRAN 1A
検出波長:3.42μm
高温フローセル:LC-IR用ミクロフローセル、
光路長:1.5mm、窓形状2φ×4mm長丸、合成サファイア窓板
測定時温度:140℃
(ポンプ部)
送液ポンプ:センシュウ科学社製 SSC-3461ポンプ
<測定条件>
溶媒:オルトジクロロベンゼン(0.5mg/mLBHT入り)
試料濃度:5mg/mL
試料注入量:0.1mL
溶媒流速:1mL/分
実施例または比較例により得られた積層体をカップ状に賦型した後、120℃に加熱したパーフェクトオーブン(PH-102型エスペック製)中で360秒間静置し、電子レンジ適性評価用の発泡後の積層体を作製した。この発泡後の積層体中に常温の水、約300ccを注入し、出力750Wの電子レンジ(パナソニック社製 NE-EH212)を用いて3分間及び、6分間電子レンジ処理を行った後、取り出して空気中で室温まで冷却し、積層体の発泡層の状況を評価した。3分間のレンジ処理で表面に膨らみが発生せず、表面光沢にも問題がなかったものを○、表面に大きな膨らみが発生していたものを×として判定した。さらに、6分間のレンジ処理でも表面に膨らみが発生せず、表面光沢にも問題がなかったものを◎として判定した。
A-1:MFR14g/10分、密度0.918g/cm3、Tm106℃の高圧法低密度ポリエチレン
A-2:MFR15g/10分、密度0.918g/cm3、Tm106℃、酸化防止剤として、オクタデシル3(3,5ジtertブチル4ヒドロキシフェニル)プロピオネート150ppmと、トリス(2,4ジtertブチルフェニル)フォスファイトを150ppm添加した高圧法低密度ポリエチレン
A-3:MFR20g/10分、密度0.917g/cm3、Tm105℃の高圧法低密度ポリエチレン
B-1:MFR9g/10分、密度0.922g/cm3、Tm110℃の高圧法低密度ポリエチレン
B-2:MFR14g/10分、密度0.922g/cm3、Tm109℃の高圧法低密度ポリエチレン
B-3:MFR4g/10分、密度0.923g/cm3、Tm111℃の高圧法低密度ポリエチレン
B-4:MFR3.5g/10分、密度0.926g/cm3、Tm112℃の高圧法低密度ポリエチレン
C層に使用する樹脂として、MFRが6g/10分、密度が0.942g/cm3、Tmが130℃の中密度ポリエチレンを使用した。
坪量320g/m2、含水率7%の紙基材の片面にコロナ処理(30W・min/m2)を施し、90mmφ押出機、エアギャップ110mm、ダイス有効幅560mmの押出ラミネーターを用い、樹脂温度320℃、加工速度50m/min、40μm厚にて押出ラミネート加工し、ポリエチレン系樹脂層からなるC層と紙基材との積層体を得た。
次に、上記積層体のC層と反対面の紙基材面にコロナ処理(30W・min/m2)を施し、ポリエチレン系樹脂(A-1)を直径90mmφのスクリューを有する単軸押出機に供給し、更にポリエチレン系樹脂(B-1)を直径65mmφのスクリューを有する単軸押出機へと供給、樹脂温度320℃、130mmのエアギャップ長さで、A層の厚みが55μm、B層の厚みが15μmとなるように共押出ラミネートで、引取り速度を55m/minまたは65m/minとし、A層、B層、紙基材、C層の順に積層されてなる積層体を得た。
また、濡れ性向上のため、A層の表面には、コロナ処理(10W・min/m2)を施した。
得られた積層体の評価結果を表1に示す。加工速度55m/min、65m/minともに発泡外観及び発泡高さが良好な結果となった。また、電子レンジ適性においても、発泡層に異常は見られなかった。
A層に使用する樹脂として、ポリエチレン系樹脂(A-2)を用い、B層に使用する樹脂として、ポリエチレン系樹脂(B-2)を用いた以外は実施例1と同様にして積層体を得た。得られた積層体の評価結果を表1に示す。加工速度55m/min、65m/minともに発泡外観及び発泡高さが良好な結果となった。また、電子レンジ適性においても、発泡層に異常は見られなかった。
B層に使用する樹脂として、ポリエチレン系樹脂(B-3)を用いた以外は実施例1と同様にして積層体を得た。得られた積層体の評価結果を表1に示す。加工速度55m/min、65m/minともに発泡外観及び発泡高さが良好な結果となった。また、電子レンジ適性においても、発泡層に異常は見られなかった。
A層に使用する樹脂として、ポリエチレン系樹脂(A-2)を用い、B層に使用する樹脂として、ポリエチレン系樹脂(B-4)を用いた以外は実施例1と同様にして積層体を得た。得られた積層体の評価結果を表1に示す。加工速度55m/min、65m/minともに発泡外観及び発泡高さが良好な結果となった。また、電子レンジ適性においても、発泡層に異常は見られなかった。
A層及びB層に使用する樹脂として、ポリエチレン系樹脂(A-1)のみを用いた以外は実施例1と同様にして積層体を得た。
得られた積層体の評価結果を表2に示す。加工速度55m/minでは、発泡外観が良好な結果となったが、加工速度が65m/minでは発泡外観不良となった。また、電子レンジ適性においても、発泡体表面に大きな膨らみが発生した。
A層に使用する樹脂として、ポリエチレン系樹脂(A-1)、B層に使用する樹脂として、ポリエチレン系樹脂(B-3)を用い、A層の厚みが20μm、B層の厚みが50μmとなるように共押出ラミネートした以外は実施例1と同様にして積層体を得た。
得られた積層体の評価結果を表2に示す。電子レンジ適性では、発泡層に異常は見られなかったが、加工速度55m/min、65m/minともに発泡不足となり、発泡外観及び発泡高さが不良な結果となった。
A層に使用する樹脂として、ポリエチレン系樹脂(A-3)、B層に使用する樹脂として、ポリエチレン系樹脂(A-1)を用いた以外は実施例1と同様にして積層体を得た。
得られた積層体の評価結果を表2に示す。加工速度55m/min、65m/minともに発泡外観不良となり、電子レンジ適性においても、発泡体表面に大きな膨らみが発生した。
A層に使用する樹脂として、ポリエチレン系樹脂(A-1)のみを用いた以外は実施例1と同様にして積層体を得た。
得られた積層体の評価結果を表2に示す。加工速度55m/minでは、発泡外観が良好な結果となったが、加工速度が65m/minでは発泡外観不良となった。また、電子レンジ適性においても、発泡体表面に大きな膨らみが発生した。
B層に使用する樹脂として、ポリエチレン系樹脂(B-3)のみを用いた以外は実施例1と同様にして積層体を得た。
得られた積層体の評価結果を表2に示す。電子レンジ適性では、発泡層に異常は見られなかったが、加工速度55m/min、65m/minともに発泡不足となり、発泡外観及び発泡高さが不良な結果となった。
Claims (10)
- ポリエチレン系樹脂(a)を含むA層、ポリエチレン系樹脂(b)を含むB層および基材層をこの順で有し、下記(i)、(ii)、(iii)及び(iv)の要件を満たすことを特徴とする発泡性積層体。
(i)前記ポリエチレン系樹脂(a)の示差熱走査熱量計(DSC)による融解ピーク温度(Tm)が、前記ポリエチレン系樹脂(b)の該融解ピーク温度(Tm)未満であり、前記ポリエチレン系樹脂(a)の該融解ピーク温度(Tm)は98℃以上であり、前記ポリエチレン系樹脂(b)の該融解ピーク温度(Tm)は118℃以下である。
(ii)前記ポリエチレン系樹脂(b)の試験温度23℃、JIS K7112:1999に準拠して測定した密度が0.919g/cm3以上、0.930g/cm3以下である。
(iii)前記A層および前記B層の厚みが下記式を満たす。
A層の厚み>B層の厚み
(iv) オルトジクロロベンゼンによる温度上昇溶離分別(TREF)によって得られる溶出曲線において、ポリエチレン系樹脂(b)の溶出温度70℃以上の溶出物割合が45~85重量%である。 - 前記ポリエチレン系樹脂(a)およびポリエチレン系樹脂(b)が、高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン及びエチレン共重合体から選択された1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の発泡性積層体。
- JIS K7210:1999に準拠(190℃、21.18N荷重)して測定したメルトフローレートMFRが下記要件(v)および(vi)を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の発泡性積層体。
(v)前記ポリエチレン系樹脂(a)のMFRが7g/10分以上25g/10分未満である。
(vi)前記ポリエチレン系樹脂(b)のMFRが3g/10分以上20g/10分以下である。 - 前記A層およびB層の合計の厚みが、30μm~100μmであることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の発泡性積層体。
- 前記B層の厚みが、5μm以上であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の発泡積層体。
- 請求項1~5のいずれか1項に記載の発泡性積層体を製造する方法であって、前記基材層上に、前記ポリエチレン系樹脂(b)を含む発泡体からなるB層および前記ポリエチレン系樹脂(a)を含む発泡体からなるA層をこの順で押出しラミネート加工する工程を有し、前記押出しラミネート加工の加工速度が、55m/分以上であることを特徴とする発泡性積層体の製造方法。
- 請求項1~5のいずれか1項に記載の発泡性積層体の、前記A層および前記B層が設けられる基材層の面とは別の面に、密度が0.930~0.970g/cm3のポリエチレン系樹脂を含む樹脂組成物からなるC層が設けられてなることを特徴とする発泡性積層体。
- 請求項1~5のいずれか又は4に記載の発泡性積層体を用いた電子レンジ用発泡性積層体。
- 請求項7に記載の発泡性積層体の前記A層及び前記B層が発泡した状態である発泡加工紙。
- 請求項9に記載の発泡加工紙を用いてなる断熱容器。
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