JP2017222757A - 紫外線硬化型粘着剤組成物、及び粘着シート - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明が解決しようとする課題は、比誘電率を抑制し、かつ耐湿熱白化性に優れる粘着シートが得られる紫外線硬化型粘着剤組成物を提供することである。【解決手段】本発明は、分子量が110〜199の範囲のポリエチレングリコール(a1)を原料としたウレタン(メタ)アクリレート(X)、(メタ)アクリル単量体(Y)、及び光重合開始剤(Z)を含有することを特徴とする紫外線硬化型粘着剤組成物を提供するものである。また、本発明は、前記紫外線硬化型粘着剤組成物の硬化皮膜を有することを特徴とする粘着シートを提供するものである。本発明の紫外線硬化型粘着剤組成物は、情報表示装置の製造に用いる粘着シートとして好適に用いることができ、情報表示モジュールと透明パネル(保護パネル)とを固定する粘着シートとして特に好適に用いることができる。【選択図】 なし

Description

本発明は、比誘電率を抑制し、かつ耐湿熱白化性に優れる粘着シートが得られる紫外線硬化型粘着剤組成物に関する。
液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の情報表示装置は、例えば、電子手帳、携帯電話、スマートフォン、携帯オーディオプレーヤー、タブレット端末等の携帯電子端末やカーナビゲーションシステムをはじめとする様々な機器で使用されている。特に、タッチセンサー機能を搭載した情報表示装置、中でも静電容量方式のタッチセンサー機能を搭載した情報表示装置が広く普及している。
前記情報表示装置としては、情報表示モジュールと、その上部に保護用の透明パネルとが設けられた構成から成るものが知られている。前記透明パネル(保護パネル)と情報表示モジュールとは、通常、透明性の高い粘着シートにより固定されることが多く、前記粘着シートには湿熱環境下において粘着シートが白化して認識性が低下しないことが求められる(例えば、特許文献1を参照。)。
一方、前記携帯電子端末などに搭載される情報表示装置には、携帯電子端末のより一層の小型化や薄型化に対応し、かつ高精細な情報を表示できる性能が求められている。これら市場の要求に伴い、保護パネルと情報表示モジュール間が狭くなってきており、指でタッチパネルを接触した際の静電容量変化が大きくなり、検出信号にノイズが発生する問題が生じてきた。ノイズの発生には、粘着シートの比誘電率を低く抑制する必要がある。しかしながら、比誘電率の抑制と、耐湿熱白化性の両立は極めて困難であった。
特開2014−152198号公報
本発明が解決しようとする課題は、比誘電率を抑制し、かつ耐湿熱白化性に優れる粘着シートが得られる紫外線硬化型粘着剤組成物を提供することである。
本発明は、分子量が110〜199の範囲のポリエチレングリコール(a1)を原料としたウレタン(メタ)アクリレート(X)、(メタ)アクリル単量体(Y)、及び光重合開始剤(Z)を含有することを特徴とする紫外線硬化型粘着剤組成物を提供するものである。また、本発明は、前記紫外線硬化型粘着剤組成物の硬化皮膜を有することを特徴とする粘着シートを提供するものである。
本発明の紫外線硬化型粘着剤組成物を用いて得られる粘着シートは、比誘電率が低く抑制され、かつ優れた粘着力、保持力、及び耐湿熱白化性を有するものである。
よって、本発明の紫外線硬化型粘着剤組成物は、情報表示装置の製造に用いる粘着シートとして好適に用いることができ、情報表示モジュールと透明パネル(保護パネル)とを固定する粘着シートとして特に好適に用いることができる。
本発明の紫外線硬化型粘着剤組成物は、分子量が110〜199の範囲のポリエチレングリコール(a1)を原料としたウレタン(メタ)アクリレート(X)、(メタ)アクリル単量体(Y)、及び光重合開始剤(Z)を含有するものである。
なお、本発明において、「ウレタン(メタ)アクリレート」とは、ウレタンアクリレート及び/又はウレタンメタクリレートを示し、「(メタ)アクリル単量体」とは、アクリル単量体及び/又はメタクリル単量体を示し、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及び/又はメタクリレートを示す。
前記ウレタン(メタ)アクリレート(X)は、比誘電率を抑制し、かつ優れた耐湿熱白化性を得る上で、分子量が110〜199の範囲のポリエチレングリコール(a1)を原料とすることが必須である。オキシエチレン基の存在により、親水性を向上され、紫外線硬化型粘着剤組成物の硬化被膜が湿熱条件にて暴露された際に湿気や水分を均一に吸収できることから、粘着剤被膜の耐湿熱後の白化抑制に寄与するものである。また、比較的短鎖のポリエチレングリコールがウレタン(メタ)アクリレート中に導入されるため、比誘電率を抑制することができたものである。前記ポリエチレングリコール(a1)の分子量としては、より一層優れた比誘電率の抑制と耐湿熱白化性とが得られる点から、120〜198の範囲がより好ましく、140〜197の範囲が更に好ましい。即ち、前記ポリエチレングリコールとしては、トリエチレングリコール、及び/又はテトラエチレングリコールを用いることが好ましい。なお、前記ポリエチレングリコール(a1)の分子量は、化学式から計算される分子量を示す。
前記ポリエチレングリコール(a1)は、前記ウレタン(メタ)アクリレート(X)中のグラフト鎖としても、ブロック鎖としても存在してよい。
前記ウレタン(メタ)アクリレート(X)としては、具体的には、例えば、ポリエチレングリコール(a1)を含むポリオール(a)、ポリイソシアネート(b)、及び、水酸基又はイソシアネート基を有する(メタ)アクリル化合物(c)の反応物を用いることができる。
前記ポリエチレングリコール(a1)の使用量としては、より一層優れた比誘電率の抑制と耐湿熱白化性とが得られる点から、前記ポリオール(a)中1〜60質量%の範囲であることが好ましく、3〜50質量%の範囲がより好ましく、5〜40質量%の範囲が更に好ましく、10.5〜33質量%の範囲が特に好ましい。
また、ウレタン(メタ)アクリレート(X)中の前記ポリエチレングリコール(a1)の含有量としては、より一層優れた比誘電率の抑制と耐湿熱白化性とが得られる点から、0.1〜50質量%の範囲であることが好ましく、5〜35質量%の範囲がより好ましく、9〜25質量%の範囲が更に好ましい。
前記ポリエチレングリコール(a1)以外に用いることができる前記ポリオール(a)としては、例えば、ポリエチレングリコール以外のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール、ブタジエンポリオール等を用いることができる。これらのポリオールは単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、粘着力、保持力、耐湿熱白化性及び耐湿熱黄変性をより一層向上できる点から、前記ポリエーテルポリオール、及び/又はポリカーボネートポリオールを用いることが好ましい。
前記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドの1種または2種以上を、2個以上の活性水素を有する化合物に付加重合させ得られた生成物や、テトラヒドロフランを開環重合して得られるポリテトラメチレングリコール、テトラヒドロフランとアルキル置換テトラヒドロフランを共重合させた変性ポリテトラメチレングリコールや、ネオペンチルグリコールとテトラヒドロフランを共重合させた変性ポリテトラメチレングリコール等を用いることができる。
前記2個以上の活性水素を有する化合物としては、例えば、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’−ビスフェノール等の比較的低分子量のジヒドロキシ化合物;1,2−シクロブタンジオール、1,3−シクロペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、シクロヘプタンジオール、シクロオクタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ヒドロキシプロピルシクロヘキサノール、トリシクロ[5,2,1,0,2,6]デカン−ジメタノール、ビシクロ[4,3,0]−ノナンジオール、ジシクロヘキサンジオール、トリシクロ[5,3,1,1]ドデカンジオール、ビシクロ[4,3,0]ノナンジメタノール、トリシクロ[5,3,1,1]ドデカン−ジエタノール、ヒドロキシプロピルトリシクロ[5,3,1,1]ドデカノール、スピロ[3,4]オクタンジオール、ブチルシクロヘキサンジオール、1,1’−ビシクロヘキシリデンジオール、シクロヘキサントリオール、水素添加ビスフェールA、1,3−アダマンタンジオール等の脂環式ポリオール;ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオール;ポリヘキサメチレンアジペート、ポリヘキサメチレンサクシネート、ポリカプロラクトン等のポリエステルポリオールなどを用いることができる。
前記ポリエーテルポリオールの重量平均分子量としては、200〜3,000の範囲が好ましく、500〜2,000の範囲がより好ましく、500〜1,500の範囲が更に好ましい。なお、前記ポリエーテルポリオールの重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により、下記の条件で測定した値を示す。
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC−8220GPC」)
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgel G5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
注入量:100μL(試料濃度0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液)
標準試料:下記の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
(標準ポリスチレン)
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−550」
前記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、炭酸エステル及び/又はホスゲンと、前記2個以上の活性水素を有する化合物とを反応させて得られるものを用いることができる。
前記炭酸エステルとしては、例えば、メチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルカーボネート、ジエチルカーボネート、シクロカーボネート、ジフェニルカーボネート等を用いることができる。
前記ポリカーボネートポリオールの水酸基価としては、粘着力をより一層向上できる点から、30〜230mgKOH/gの範囲であることが好ましく、50〜230mgKOH/gの範囲がより好ましい。なお、前記ポリカーボネートポリオールの水酸基価は、JISK0070−1992に準拠して測定を行った値を示す。
前記ポリイソシアネート(b)としては、例えば、キシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ジイソシアナートメチルシクロヘキサン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の脂肪族または脂環構造を有するジイソシアネートなどを用いることができる。これらのポリイソシアネートは単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、粘着力、保持力及び耐湿熱黄変性をより一層向上できる点から、脂環構造を有するジイソシアネートを用いることが好ましく、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、及びジイソシアナートメチルシクロヘキサンから成る群より選ばれる1種以上のポリイソシアネートを用いることがより好ましい。
前記水酸基又はイソシアネート基を有する(メタ)アクリル化合物(c)は、ウレタン(メタ)アクリレート(X)中に(メタ)アクリロイル基を導入する目的で用いるものである。
前記化合物(c)として用いることができる前記水酸基を有する(メタ)アクリル化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリルアミド等の水酸基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル;トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の水酸基を有する多官能(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレートなどを用いることができる。これらのなかでも、紫外線による硬化性がより一層向上する点から、水酸基を有するアクリル化合物を用いることがより好ましく、原料入手のしやすさ、硬化性及び粘着物性をより一層向上できる点から、水酸基を有するアクリル酸アルキルエステルを用いることが更に好ましく、2−ヒドロキシエチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートを用いることが特に好ましい。
また、前記化合物(c)として用いることができるイソシアネート基を有する(メタ)アクリル化合物としては、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアネート、1,1−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等を用いることができる。これらの中でも、原料入手の容易性の点から、 2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートを用いることが好ましく、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネートがより好ましい。
前記化合物(c)として水酸基を有する(メタ)アクリル化合物を用いる場合の前記ウレタン(メタ)アクリレート(X)の製造方法としては、例えば、無溶剤下で、前記ポリオール(a)と前記(メタ)アクリル化合物(c)とを反応系中に仕込んだ後に、前記ポリイソシアネート(b)を供給し、混合、反応させることによって製造する方法や、無溶剤下で、前記ポリオール(a)と前記ポリイソシアネート(b)とを反応させることによってイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを得、次いで、水酸基を有する前記(メタ)アクリル化合物(c)を供給し、混合、反応させることによって製造する方法等を用いることができる。前記反応はいずれにおいても、20〜120℃の条件下で概ね30分〜24時間程度行うことが好ましい。
また、前記化合物(c)としてイソシアネート基を有する(メタ)アクリル化合物を用いる場合のウレタン(メタ)アクリレート(X)の製造方法としては、例えば、無溶剤下で、前記ポリオール(a)と前記ポリイソシアネート(b)とを仕込み、反応させることによって水酸基を有するウレタンプレポリマーを得、次いで、イソシアネート基を有する前記(メタ)アクリル化合物(c)を供給し、混合、反応させることによって製造する方法等を用いることができる。前記反応はいずれにおいても、20〜120℃の条件下で概ね30分〜24時間程度行うことが好ましい。
前記ウレタン(メタ)アクリレート(X)の製造は、有機溶剤や水系媒体の存在下で行っても良い。また、有機溶剤や水系媒体に代えて、後述する(メタ)アクリル単量体(Y)存在下で製造してもよい。
前記ポリオール(a)と前記ポリイソシアネート(b)と前記(メタ)アクリル化合物(c)との反応は、前記ポリオール(a)が有する水酸基と前記(メタ)アクリル化合物(c)が有する水酸基の合計量と、ポリイソシアネート(b)の有するイソシアネート基との当量割合[イソシアネート基/水酸基の合計量]=0.75〜1の範囲で行うことが、得られるウレタン(メタ)アクリレート(X)の分子量を制御する上で好ましく、0.79〜0.995の範囲であることがより好ましい。また、前記当量割合が1を超える場合で反応させても良いが、その場合、ウレタン(メタ)アクリレート(X)のイソシアネート基を失活させることを目的として、メタノールなどのアルコールを用いることが好ましい。その場合には、前記ポリオール(a)が有する水酸基と前記(メタ)アクリル化合物(dc)が有する水酸基とアルコールが有する水酸基の合計量と、前記ポリイソシアネート基との当量割合[イソシアネート基/水酸基の合計量]が前記範囲内となるように調整することが好ましい。
また、前記ウレタン(メタ)アクリレート(X)のイソシアネート基を失活させることを目的として使用可能なアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの1官能アルコールや、1,2−プロピレングリコールや1,3−ブチレングリコールなどの1級と2級の水酸基からなる2官能アルコール等を用いてもよい。
また、ウレタン(メタ)アクリレート(X)を製造する際には、必要に応じて重合禁止剤やウレタン化触媒等を用いてもよい。
前記重合禁止剤としては、例えば、3,5−ビスターシャリーブチル−4−ヒドロキシトルエン、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル(メトキノン)、パラターシャリーブチルカテコールメトキシフェノール、2,6−ジターシャリーブチルクレゾール、フェノチアジン、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジフェニルアミン、ジニトロベンゼン等を用いることができる。
前記ウレタン化触媒としては、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリン等の含窒素化合物、酢酸カリウム、ステアリン酸亜鉛、オクチル酸錫等の金属塩、ジブチルチンラウレート、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート等の有機金属化合物などを用いることができる。
前記ウレタン(メタ)アクリレート(X)は、光照射や加熱等によってラジカル重合を進行させる(メタ)アクリロイル基を有するものである。前記(メタ)アクリロイル基の当量としては、粘着力や段差追従性等をより一層向上できる点から、1,000〜200,000g/eq.の範囲であることが好ましく、5,000〜100,000g/eq.の範囲がより好ましい。なお、前記(メタ)アクリロイル基の当量は、前記ポリオール(a)とポリイソシアネート(b)と(メタ)アクリル化合物(d)との合計質量を、前記ウレタン(メタ)アクリレート(X)中に存在する(メタ)アクリル基の当量で除した値を示す。また、本発明において、「(メタ)アクリル化合物」とは、メタクリル化合物とアクリル化合物の一方又は両方をいい、「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレートとアクリレートの一方又は両方をいい、「(メタ)アクリロイル基」とは、メタクリロイル基とアクリロイル基の一方又は両方をいい、「(メタ)アクリル酸」とは、メタクリル酸とアクリル酸の一方又は両方をいい、「(メタ)アクリル単量体」とは、メタクリル単量体とアクリル単量体の一方又は両方をいう。
前記ウレタン(メタ)アクリレート(X)の重量平均分子量としては、優れた粘着力と保持力とを両立でき、かつ、良好な塗工作業性を付与できる観点から、5,000〜200,000の範囲であることが好ましく、8,000〜100,000の範囲がより好ましい。なお、前記ウレタン(メタ)アクリレート(X)の重量平均分子量は、前記ポリエーテルポリオールの重量平均分子量と同様に測定した値を示す。
前記(メタ)アクリル単量体(Y)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、3−メチルブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート等の脂肪族(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレート;3−メトキシブチル(メタ)アクリレート)、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシブチル(メタ)アクリレート、オキシエチレンの付加モル数が1〜15の範囲のメトキシポリエチレングリコールアクリレート;エトキシ−ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート等のエーテル基を有する(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルホリン、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド等の窒素原子を有する(メタ)アクリル単量体などを用いることができる。これらの(メタ)アクリル単量体は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記(メタ)アクリル単量体(Y)としては、比誘電率をより一層抑制することができる点から、比誘電率の低い単量体、すなわち、直鎖または分岐した炭素原子数8〜18のアルキル基を側鎖に有する(メタ)アクリレート、及び脂環アルキル基を側鎖に有する(メタ)アクリレートを40質量%以上含有することが好ましく、45質量%以上含有することが好ましく、n−オクチル(メタ)アクリレートを40質量%以上含有することがより好ましく、45〜90質量%の範囲で含有することが更に好ましい。また、優れた凝集力を得ることを目的とする場合には、窒素原子を有する(メタ)アクリル単量体を更に併用することが好ましい。
前記(メタ)アクリル単量体(Y)の使用量としては、より一層優れた粘着物性及び塗工性が得られる点から、前記ウレタン(メタ)アクリレート(X)100質量部に対して、10〜300質量部の範囲で用いることが好ましく、50〜200質量部の範囲がより好ましい。
前記光重合開始剤(Z)は、光照射や加熱等によってラジカルを発生し、前記ウレタン(メタ)アクリレート(X)や前記(メタ)アクリル単量体(Y)のラジカル重合を開始させるものである。
前記光重合開始剤(Z)としては、例えば、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン等のアセトフェノン化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン化合物;4,4’−ジメチルアミノチオキサントン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、α−アシロキシムエステル、ベンジル、メチルベンゾイルホルメート(「バイアキュア55」)、2−エチルアンスラキノン等のアンスラキノン化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(「ルシリンTPO」)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド(「IRGACURE819」)等のアシルフォスフィンオキサイド化合物;3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルオパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン[日本油脂株式会社製の「BTTB」]、アクリル化ベンゾフェノン等を用いることができる。
前記光重合開始剤(Z)としては、粘着物性、耐湿熱黄変性及び紫外線硬化性をより一層向上できる点から、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、及びビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイドからなる群より選ばれる1種以上の光重合開始剤を用いることが好ましい。
前記光重合開始剤(Z)の使用量は、良好な紫外線硬化性が得られる点から、前記ウレタン(メタ)アクリレート(X)100質量部に対して、0.05〜20質量部の範囲で用いることが好ましく、0.1〜15質量部の範囲がより好ましく、0.2〜5質量部の範囲が特に好ましい。
本発明の紫外線硬化型粘着剤組成物は、前記ウレタン(メタ)アクリレート(X)、前記(メタ)アクリル単量体(Y)及び前記光重合開始剤(Z)を必須成分として含有するが、必要に応じてその他の添加剤を含有してもよい。
前記その他の添加剤としては、例えば、シランカップリング剤、酸化防止剤、光安定剤、溶媒、防錆剤、チキソ付与剤、増感剤、重合禁止剤、レベリング剤、粘着付与剤、帯電防止剤、難燃剤等を用いることができる。これらの中でも、耐湿熱後の粘着物性をより一層向上できる点から、シランカップリング剤を含有することが好ましい。また、耐湿熱黄変性等をより一層向上できる点から、酸化防止剤、光安定剤を含有することが好ましい。
前記シランカップリング剤としては、例えば、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等のエポキシ基を有するシランカップリング剤;2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルメチルジエトキシシラン等の脂環エポキシ基を有するシランカップリング剤;ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、シリコーンアルコキシオリゴマーなどを用いることができる。これらのシランカップリング剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、耐湿熱後の粘着力等をより一層向上できる点から、エポキシ基を有するシランカップリング剤、脂環エポキシ基を有するシランカップリング剤を用いることが好ましく、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及び3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランからなる群より選ばれる1種以上を用いることがより好ましい。
前記シランカップリング剤の使用量としては、耐湿熱後の粘着力をより一層向上できる点から、前記ウレタン(メタ)アクリレート(X)100質量部に対して、0.01〜10質量部の範囲で用いることが好ましく、0.05〜5質量部の範囲がより好ましく、0.05〜1質量部の範囲が更に好ましい。
前記酸化防止剤としては、熱劣化で発生するラジカルの捕捉するヒンダードフェノール化合物(一次酸化防止剤)、及び熱劣化で発生する過酸化物を分解するリン化合物、イオウ化合物(二次酸化防止剤)等を用いることができる。
前記ヒンダードフェノール化合物としては、例えば、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクタデシル[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ベンゼンプロパン酸−3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−C7−C9側鎖アルキルエステル、4,6−ビス(ドデシルチオメチル)−o−クレゾール、N−フェニルベンゼンアミンと2,4,4−トリメチルペンテンとの反応生成物、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、3,9−ビス[2−〔3−(t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5・5〕ウンデカン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,5−ジ−tert−アミルハイドロキノン等を用いることができる。
前記リン化合物としては、例えば、トリフェニルホスフィン、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)=エチル=ホスフィット、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジブチル−5−メチルフェニル)ホスファイト、トリス〔2−第三ブチル−4−(3−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルチオ)−5−メチルフェニル〕ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−n−ブチリデンビス(2−ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4−ジブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、2,2’−メチレンビス(4,6−ブチルフェニル)−2−エチルヘキシルホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ブチルフェニル)−オクタデシルホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジブチルフェニル)フルオロホスファイト、トリス(2−〔(2,4,8,10−テトラキスブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ〕エチル)アミン、2−エチル−2−ブチルプロピレングリコールと2,4,6−トリブチルフェノールのホスファイト等を用いることができる。
前記イオウ化合物としては、例えば、ジドデシル−3,3’−チオプロピオネート、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ラウジリルチオジチオネート、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、テトラキス−メチレン−3−ラウリルチオプロピオネートメタン、ジステアリル−3,3’−メチル−3,3’−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ビス[2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル]スルフィド、β−ラウリルチオプロピオネート、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−5−メチルベンゾイミダゾール、ジオクタデシル−3,3’−チオジプロチオネート等を用いることができる。
これらの中でも、粘着力及び耐湿熱黄変性をより一層向上できる点から、リン化合物を用いることが好ましく、トリフェニルホスフィン、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)=エチル=ホスフィット及びトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトからなる群より選ばれる1種以上の酸化防止剤を用いることがより好ましく、トリフェニルホスフィン、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)=エチル=ホスフィットを用いることが特に好ましい。
前記酸化防止剤の使用量としては、耐湿熱黄変性をより一層向上できる点から、前記ウレタン(メタ)アクリレート(X)100質量部に対して、0.01〜10質量部の範囲であることが好ましい。
前記光安定剤は、光劣化で発生するラジカルを捕捉するものであり、例えば、チオール化合物、チオエーテル化合物、ヒンダードアミン化合物等のラジカル捕捉剤、及びベンゾフェノン化合物、ベンゾエート化合物等の紫外線吸収剤などを用いることができる。これらの中でも、耐湿熱黄変性をより一層向上できる点から、ヒンダードアミン化合物を用いることが好ましい。
前記ヒンダードアミン化合物としては、例えば、シクロヘキサンと過酸化N−ブチル2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジンアミン−2,4,6−トリクロロ1,3,5−トリアジンとの反応生成物と2−アミノエタノールとの反応生成物、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル、1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物等のアミノエーテル基を有するヒンダードアミン化合物;N−アセチル−3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)ピロリジン−2,5−ジオン等のN−アセチル系ヒンダードアミン化合物;ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)=デカンジオアート、ビス(1,2,2,6,6,−ペンタメチル−4−ピペリジル){[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル}ブチルマロネート、コハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、プロバンジオイックアシッド[{4−メトキシフェニル}メチレン]−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)エステルのN−アルキルヒンダードアミン化合物などを用いることができる。
前記光安定剤の使用量としては、耐湿熱黄変性をより一層向上できる点から、前記ウレタン(メタ)アクリレート(X)100質量部に対して、0.01〜10質量部の範囲であることが好ましい。
本発明の紫外線硬化型粘着剤組成物の粘度としては、良好な塗工性、及び塗工時の粘着剤溶液の取り扱いの良さの点から、500〜20,000mPa・sの範囲であることが好ましく、1,000〜15,000mPa・sの範囲がより好ましい。なお、前記粘度は、25℃でB型粘度計にて測定した値を示す。
本発明の紫外線硬化型粘着剤組成物は、紫外線等のエネルギー線の照射によって硬化を進行させることができる。
本発明の紫外線硬化型粘着剤組成物を硬化させる方法としては、例えば、キセノンランプ、キセノン−水銀ランプ、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト、LED等の公知の紫外線光照射装置を用いて所定の紫外線を照射することによって硬化させることができる。
前記紫外線の照射は、好ましくは0.05〜5J/cm、より好ましくは0.1〜3J/cm、特に好ましくは0.3〜1.5J/cmの範囲であることがよい。
本発明の紫外線硬化型粘着剤組成物を塗工し、硬化被膜を形成することができる基材としては、プラスチック基材、フレキシブルプリント基材、ガラス基材及びこれらの基材にITOを蒸着した基材等を用いることができる。
前記プラスチック基材としては、一般に使用されるアクリル樹脂等からなる基材やPC(ポリカーボネート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、変性PPE(ポリフェニレンエーテル)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、COP(シクロオレフィンポリマー)、TAC(トリアセチルセルロース)や反射防止フィルム、防汚フィルム、タッチパネルを構成する透明導電膜のフィルム等を用いることができる。
前記紫外線硬化型粘着剤組成物を塗工する方法としては、例えば、アプリケーター、ナイフコーター、ロールコーター、コンマコーター等を使用する方法が挙げられる。
前記紫外線硬化型粘着剤組成物の硬化被膜の厚さとしては、使用される用途に応じて適宜決定されるが、例えば、50〜500μmの範囲である。
本発明の紫外線硬化型粘着剤組成物を用いて得られる粘着シートは、比誘電率が低く抑制され、かつ優れた粘着力、保持力、及び耐湿熱白化性を有するものである。
よって、本発明の紫外線硬化型粘着剤組成物は、情報表示装置の製造に用いる粘着シートとして好適に用いることができ、情報表示モジュールと透明パネル(保護パネル)とを固定する粘着シートとして特に好適に用いることができる。
前記粘着シートの周波数1MHzにおける比誘電率としては、4.5以下であることが好ましい。なお、前記粘着シートの周波数の測定方法は、後述する実施例にて記載する。
以下、実施例を用いて、本発明をより詳細に説明する。
[合成例1]
<ウレタンアクリレート(X−1)の合成>
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、ポリオキシプロピレングリコール(重量平均分子量;1,000、以下「PPG1000」と略記する。)を147質量部、テトラエチレングリコール(分子量;194.2)を65.1質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(以下、「HEA」と略記する。)4.2質量部、2,6−ジ−ターシャリーブチル−クレゾールを1質量部、p−メトキシフェノール0.2質量部を添加した。反応容器内温度が40℃になるまで昇温した後、イソホロンジイソシアネート(以下、「IPDI」と略記する。)107.8質量部添加した。そこで、ジオクチルスズジネオデカネート0.01質量部添加し、1時間かけて80℃まで昇温した。その後、80℃で12時間ホールドし、全てのイソシアネート基が消失していることを確認後、冷却しウレタンアクリレート(X−1)を得た。得られたウレタンアクリレート(X−1)は、アクリロイル基の当量が9,000(小数点以下四捨五入。2−ヒドロキシエチルアクリレートの分子量は116.1とした。以下、同じ。)、重量平均分子量が21,000であった。
[合成例2]
<ウレタンアクリレート(X−2)の合成>
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、PPG1000を110.5質量部、トリエチレングリコール(分子量;150.2)を56.2質量部、HEAを3.6質量部、2,6−ジ−ターシャリーブチル−クレゾールを0.8質量部、p−メトキシフェノール0.1質量部を添加した。反応容器内温度が40℃になるまで昇温した後、IPDIを106.7質量部添加した。そこで、ジオクチルスズジネオデカネート0.01質量部添加し、1時間かけて80℃まで昇温した。その後、80℃で12時間ホールドし、全てのイソシアネート基が消失していることを確認後、冷却しウレタンアクリレート(X−2)を得た。得られたウレタンアクリレート(X−2)は、アクリロイル基の当量が9,000、重量平均分子量が18,000であった。
[比較合成例1]
<ウレタンアクリレート(X’−1)の合成>
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、PPG1000を67.6質量部、ジエチレングリコール(分子量;106.1)を44.6質量部、HEAを2.9質量部、2,6−ジ−ターシャリーブチル−クレゾールを0.7質量部、p−メトキシフェノール0.1質量部を添加した。反応容器内温度が40℃になるまで昇温した後、IPDIを107.6質量部添加した。そこで、ジオクチルスズジネオデカネート0.01質量部添加し、1時間かけて80℃まで昇温した。その後、80℃で12時間ホールドし、全てのイソシアネート基が消失していることを確認後、冷却しウレタンアクリレート(X’−1)を得た。得られたウレタンアクリレート(X−3)は、アクリロイル基の当量が9,000、重量平均分子量が11,000であった。
[比較合成例2]
<ウレタンアクリレート(X’−2)の合成>
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、ポリオキシプロピレングリコール(重量平均分子量;3,000、)を79.8質量部、ポリオキシテトラメチレングリコール(重量平均分子量;1,000)を207.6質量部、ポリエチレングリコール(分子量;400)を99.8質量部、HEAを4.5量部、2,6−ジ−ターシャリーブチル−クレゾールを1.5質量部、p−メトキシフェノール0.3質量部を添加した。反応容器内温度が40℃になるまで昇温した後、IPDIを105質量部添加した。そこで、ジオクチルスズジネオデカネート0.01質量部添加し、1時間かけて80℃まで昇温した。その後、80℃で12時間ホールドし、全てのイソシアネート基が消失していることを確認後、冷却しウレタンアクリレート(X’−2)を得た。得られたウレタンアクリレート(X’−2)は、アクリロイル基の当量が13,000、重量平均分子量が27,000であった。
[実施例1]
<紫外線硬化型粘着剤組成物の調製>
攪拌機、還流冷却管、温度計を備えた遮光容器に、前記ウレタンアクリレート(X−1)100質量部、n−オクチルアクリレート(以下、「NOA」と略記する。)90質量部、アクリロイルモルホリン(以下、「ACMO」と略記する。)30質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.9質量部、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィンオキサイド0.1質量部、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル0.5質量部、トリフェニルホスフィン0.5質量部、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン0.1質量部を添加し、80℃で均一になるまで撹拌した。その後、200メッシュ金網で濾過し、紫外線硬化型粘着剤組成物を得た。
[実施例2〜3、比較例1〜2]
用いるウレタン(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル単量体との種類及び/又は量を表1に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様にして紫外線硬化型粘着剤組成物を得た。
[粘着シートの作製方法]
表面に離型処理された厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(離型PET50)の表面に、UV照射後における膜厚が175μmとなるように実施例及び比較例で得られた紫外線硬化型粘着剤脂組成物を塗布し、離型PET50を貼り合せた。その後、蛍光ケミカルランプを用いて、UV−A領域の波長の照度が3mW/cm、積算光量が1J/cmとなるようにUV照射し、粘着シートを作製した。
[比誘電率の測定方法]
前述の方法で作成した粘着シートのポリエチレンテレフタレートフィルムを剥がしたものを何枚か用意し、それらを粘着層(硬化被膜)の厚さが1mmになるまで圧着したものを試験片とした。作成した試験片を用いて、株式会社東陽テクニカ社製誘電体測定システム「126096W型」を使用して以下の条件にて比誘電率を測定した。
周波数:1MHz
バイアス電圧:2V
測定環境:温度23±1℃、湿度50±1%
[耐湿熱白化性の評価方法]
前述の方法で作成した粘着シートの片面を、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PET100)に貼り合せ、片面にPET100基材が貼り合された粘着フィルムを作製した。これを縦50mm、横40mmに切り、ガラス板に2kgロール×2往復で貼り付けたものを試験片とした。その試験片を、濁度計「NDH5000」(日本電色工業(株)製)にて、JISK7361−1−1997に準じてヘイズ(%)を測定し、この値を初期値とした。次に、この試験片を85℃、湿度85%の囲気下に100時間放置した後取り出し、取り出し後10分以内にヘイズ(%)を濁度計「NDH5000」(日本電色工業(株)製)にて、JISK7361−1−1997に準じて測定した。
[黄変度の評価方法]
前述の方法で作成した粘着シートの片面をガラス板に貼り付け、更にもう1枚の離型PET50を剥離したものを試験片とした。その試験片を、光源C、視野2°、分光測色計「CM−5000d」(コニカミノルタセンシング株式会社製)にて、JISK7105−1981に準じて黄変度(b*)を測定した。
Figure 2017222757
なお、表1中の訳語は以下のものを示す。
IBXA;イソボルニルアクリレート
本発明の紫外線硬化型粘着剤組成物により形成された粘着シートは、比誘電率が抑制され、かつ耐湿熱白化性及び耐湿熱黄変性に優れることが分かった。
一方、比較例1は、ポリエチレングリコールとして、分子量が本発明で規定する範囲を下回るものを用いた態様であったが、比誘電率は低いものの湿熱試験前のヘイズ(%)と黄変度(b*)が高く満足できるものではないことが分かった。
比較例2は、ポリエチレングリコールとして、分子量が本発明で規定する範囲を超えるものを用いた態様であったが、耐湿熱白化性は良好なものの比誘電率が高く満足できるものではないことが分かった。

Claims (3)

  1. 分子量が110〜199の範囲のポリエチレングリコール(a1)を原料としたウレタン(メタ)アクリレート(X)、(メタ)アクリル単量体(Y)、及び光重合開始剤(Z)を含有することを特徴とする紫外線硬化型粘着剤組成物。
  2. 前記紫外線硬化型粘着剤組成物の硬化皮膜を有することを特徴とする粘着シート。
  3. 周波数1MHzにおける比誘電率が4.5以下である請求項2記載の粘着シート。
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