JP2017219213A5 - - Google Patents
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Description
本発明は、冷凍装置に関するものである。
冷凍サイクルを行う冷媒回路を備えた冷凍装置(一例として空気調和装置が挙げられる)では、圧縮機等に電力を供給するために、インバータ回路などを有した電力供給装置が用いられることが多い。一般的に、インバータ回路はパワーデバイスを備えており、パワーデバイスは動作時に発熱して高温となる。そのため、空気調和装置の中には、冷媒と熱交換する冷却器を有したバイパス回路を冷媒回路に設け、その冷却器によってパワーデバイス等の回路素子を冷却するものがある(例えば、特許文献1参照)。
ところで、このような冷却器によって回路素子を冷却する場合には、回路素子の結露対策が重要である。それは、回路素子が結露すると故障の原因になり得るからである。特許文献1の例では、バイパス回路に電気式膨張弁を設け、その電気式膨張弁を制御することによって結露防止を図っている。
しかしながら、特許文献1の例では、結露防止のために電気式膨張弁等を有したバイパス回路(専用の冷媒回路)を態々、設ける必要があり、装置が複雑化する。
本発明は前記の問題に着目してなされたものであり、回路素子を冷媒で冷却する冷却器を備えた冷凍装置において、簡略な構造で結露の防止を図ることを目的としている。
前記の課題を解決するため、第1の態様は、
冷媒が流れて冷凍サイクルを行う冷媒回路(10)と、
前記冷媒回路(10)の制御、又は電力供給に用いる回路素子(50)を冷却する冷却器(31)と、
熱伝導率が電気的又は磁気的に可変に構成され、前記冷却器(31)の内部又は前記冷却器(31)と前記回路素子(50)との間に設けられた熱伝導率可変部(80)と、
を備えたことを特徴とする。
冷媒が流れて冷凍サイクルを行う冷媒回路(10)と、
前記冷媒回路(10)の制御、又は電力供給に用いる回路素子(50)を冷却する冷却器(31)と、
熱伝導率が電気的又は磁気的に可変に構成され、前記冷却器(31)の内部又は前記冷却器(31)と前記回路素子(50)との間に設けられた熱伝導率可変部(80)と、
を備えたことを特徴とする。
また、第2の態様は、第1の態様において、
前記冷却器(31)は、冷媒回路(10)に接続され、前記回路素子(50)を冷媒によって冷却することを特徴とする。
前記冷却器(31)は、冷媒回路(10)に接続され、前記回路素子(50)を冷媒によって冷却することを特徴とする。
この構成では、熱伝導率可変部(80)の熱伝導率を調整することで、冷却対象(回路素子(50))の冷却量を調整することができる。すなわち、回路素子(50)の冷却専用に冷媒回路(10)を構成する必要がない。
また、第3の態様は、第2の態様において、
前記熱伝導率可変部(80)は、エネルギーを供給することによって熱伝導率が減少するものであり、
前記冷却器(31)は、前記冷媒回路(10)に設けられた凝縮器(12)と膨張機構(13)との間に配置されていることを特徴とする。
前記熱伝導率可変部(80)は、エネルギーを供給することによって熱伝導率が減少するものであり、
前記冷却器(31)は、前記冷媒回路(10)に設けられた凝縮器(12)と膨張機構(13)との間に配置されていることを特徴とする。
この構成では、冷媒回路(10)における、比較的高圧の液冷媒(主に液体の冷媒であり、幾分かのガスの冷媒を含む場合もある)で回路素子(50)が冷却される。
また、第4の態様は、第2の態様において、
前記熱伝導率可変部(80)は、エネルギーを供給することによって熱伝導率が増加するものであり、
前記冷却器(31)は、前記冷媒回路(10)に設けられた膨張機構(13)と蒸発器(14)との間に配置されていることを特徴とする。
前記熱伝導率可変部(80)は、エネルギーを供給することによって熱伝導率が増加するものであり、
前記冷却器(31)は、前記冷媒回路(10)に設けられた膨張機構(13)と蒸発器(14)との間に配置されていることを特徴とする。
この構成では、冷媒回路(10)における、比較的低圧の液冷媒で回路素子(50)が冷却される。
また、第5の態様は、第2の態様において、
前記冷却器(31)は、前記冷媒回路(10)に設けられた膨張機構(13)と並列に接続されていることを特徴とする。
前記冷却器(31)は、前記冷媒回路(10)に設けられた膨張機構(13)と並列に接続されていることを特徴とする。
上記態様によれば、回路素子を冷媒で冷却する冷却器を備えた冷凍装置において、簡略な構造で結露の防止を図ることが可能になる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
《発明の実施形態1》
図1は、本発明の実施形態1に係る空気調和装置(1)の冷媒回路(10)を示す。空気調和装置(1)は、冷凍装置の一例であり、図1に示すように、冷媒回路(10)、電力供給装置(20)、回路素子冷却部(30)、及び制御部(40)を備えている。
図1は、本発明の実施形態1に係る空気調和装置(1)の冷媒回路(10)を示す。空気調和装置(1)は、冷凍装置の一例であり、図1に示すように、冷媒回路(10)、電力供給装置(20)、回路素子冷却部(30)、及び制御部(40)を備えている。
〈冷媒回路〉
冷媒回路(10)は、圧縮機(11)、凝縮器(12)、膨張弁(13)、及び蒸発器(14)を備え、これらが冷媒配管(15)により接続された閉回路である(図1参照)。圧縮機(11)は、冷媒を圧縮する圧縮機構(図示は省略)と、該圧縮機構を駆動するモータ(M)とを備えている。圧縮機構には、例えばスクロール式圧縮機構を採用できる。また、モータ(M)には、例えば、IPM(Interior Permanent Magnet)モータを採用できる。凝縮器(12)は、空冷の凝縮器であって、室外に配置される。凝縮器(12)の近傍には、空冷ファン(12a)が設けられている。膨張弁(13)は、開度可変な電動膨張弁である。膨張弁(13)は、本発明の膨張機構の一例である。蒸発器(14)は、空冷式の蒸発器であって、室内に配置される。蒸発器(14)の近傍には、空冷ファン(14a)が設けられている。この冷媒回路(10)では、圧縮機(11)から冷媒を凝縮器(12)に送り、この凝縮器(12)で冷媒を外気と熱交換して放熱させた後、その冷媒の流量及び圧力を膨張弁(13)で調整しつつ、蒸発器(14)で室内空気と熱交換させて吸熱させ、ガス冷媒として圧縮機(11)に戻すことを繰り返す。
冷媒回路(10)は、圧縮機(11)、凝縮器(12)、膨張弁(13)、及び蒸発器(14)を備え、これらが冷媒配管(15)により接続された閉回路である(図1参照)。圧縮機(11)は、冷媒を圧縮する圧縮機構(図示は省略)と、該圧縮機構を駆動するモータ(M)とを備えている。圧縮機構には、例えばスクロール式圧縮機構を採用できる。また、モータ(M)には、例えば、IPM(Interior Permanent Magnet)モータを採用できる。凝縮器(12)は、空冷の凝縮器であって、室外に配置される。凝縮器(12)の近傍には、空冷ファン(12a)が設けられている。膨張弁(13)は、開度可変な電動膨張弁である。膨張弁(13)は、本発明の膨張機構の一例である。蒸発器(14)は、空冷式の蒸発器であって、室内に配置される。蒸発器(14)の近傍には、空冷ファン(14a)が設けられている。この冷媒回路(10)では、圧縮機(11)から冷媒を凝縮器(12)に送り、この凝縮器(12)で冷媒を外気と熱交換して放熱させた後、その冷媒の流量及び圧力を膨張弁(13)で調整しつつ、蒸発器(14)で室内空気と熱交換させて吸熱させ、ガス冷媒として圧縮機(11)に戻すことを繰り返す。
〈電力供給装置〉
電力供給装置(20)は、圧縮機(11)のモータ(M)に電力を供給する。図2は、電力供給装置(20)の構成例を示す。図2に示すように電力供給装置(20)は、コンバータ回路(21)、リアクトル(L)、平滑コンデンサ(22)、及びインバータ回路(23)を備え、配線基板(70)上に実装されている。
電力供給装置(20)は、圧縮機(11)のモータ(M)に電力を供給する。図2は、電力供給装置(20)の構成例を示す。図2に示すように電力供給装置(20)は、コンバータ回路(21)、リアクトル(L)、平滑コンデンサ(22)、及びインバータ回路(23)を備え、配線基板(70)上に実装されている。
コンバータ回路(21)は、6個のダイオード(Dr)がブリッジ状に結線されて構成され、三相交流電源(25)の三相交流を直流に変換する。平滑コンデンサ(22)は、リアクトル(L)を介してコンバータ回路(21)と接続され、コンバータ回路(21)により変換された直流電圧を平滑する。インバータ回路(23)は、平滑コンデンサ(22)によって平滑された直流電圧を、三相交流電圧に変換する。インバータ回路(23)で変換された三相交流電圧は、圧縮機(11)のモータ(M)に供給される。この例では、インバータ回路(23)は、6個のスイッチング素子(Q)(パワーデバイス)、及びスイッチング素子(Q)の各々に逆並列に接続された6個の還流ダイオード(Dw)を有している。スイッチング素子(Q)は、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)で構成する。勿論、IGBTは例示であり、他の種類のパワーデバイスを採用してもよい。
そして、これらのスイッチング素子(Q)及びダイオード(Dr)は、いわゆるデュアルインラインパッケージに封入されて、1つのパワーモジュール(50)として構成されている。図3に、パワーモジュール(50)の斜視図を示す。パワーモジュール(50)は、本発明の回路素子の一例である。この例では、パワーモジュール(50)の一面(図3では上面)は、内部のスイッチング素子(Q)やダイオード(Dr)から放熱させる放熱面(52)として機能する。また、図3に示すように、パワーモジュール(50)の2つの側面には、リードピン(51)の列が、それぞれ、設けられている。各列のリードピン(51)は、パワーモジュール(50)の内部においてスイッチング素子(Q)やダイオード(Dr)に繋がっている。これらのリードピン(51)は、配線基板(70)にハンダによって電気的に接続される。
〈回路素子冷却部の構成〉
回路素子冷却部(30)は、パワーモジュール(50)を冷却するものである。この例では、回路素子冷却部(30)は、冷却器(31)、結露センサ(60)、熱スイッチ(80)、及び直流電源(90)を備えている(図1参照)。
回路素子冷却部(30)は、パワーモジュール(50)を冷却するものである。この例では、回路素子冷却部(30)は、冷却器(31)、結露センサ(60)、熱スイッチ(80)、及び直流電源(90)を備えている(図1参照)。
−冷却器の構成−
冷却器(31)は、冷媒回路(10)の冷媒とパワーモジュール(50)とを熱交換させるものである。図4に冷却器(31)の平面図を示す。また、図5に、冷却器(31)の横断面図を示す。図5は、図4のV-V断面に相当する。この例では、冷却器(31)は、図4、及び図5に示すように、本体部(32)と冷媒供給管(33)とを備えている。本体部(32)は、板状の部材であり、銅やアルミニウムなどの伝熱性に優れた材料で構成されている。この本体部(32)は、パワーモジュール(50)の放熱面(52)に密着して該放熱面(52)と熱的に接続される平面(以下、吸熱面(32a)と呼ぶ)を有している。
冷却器(31)は、冷媒回路(10)の冷媒とパワーモジュール(50)とを熱交換させるものである。図4に冷却器(31)の平面図を示す。また、図5に、冷却器(31)の横断面図を示す。図5は、図4のV-V断面に相当する。この例では、冷却器(31)は、図4、及び図5に示すように、本体部(32)と冷媒供給管(33)とを備えている。本体部(32)は、板状の部材であり、銅やアルミニウムなどの伝熱性に優れた材料で構成されている。この本体部(32)は、パワーモジュール(50)の放熱面(52)に密着して該放熱面(52)と熱的に接続される平面(以下、吸熱面(32a)と呼ぶ)を有している。
また、冷媒供給管(33)は、銅などの伝熱性に優れた材料で構成された管部材であり、U字状に加工されている。冷媒供給管(33)は、本体部(32)に設けられた溝部(32b)に嵌め込まれており、冷媒供給管(33)と本体部(32)とは熱的に接続されている。詳しくは、本体部(32)の吸熱面(32a)とは反対側の面(以下上面(32c))には、2条の溝(以下、溝部(32b))が形成されており、冷媒供給管(33)は、溝部(32b)の縁を塑性変形させることで、本体部(32)にカシメ止めされている。そして、冷却器(31)は、図1に示すように、凝縮器(12)と膨張弁(13)との間に接続されている。より具体的には、冷却器(31)の冷媒供給管(33)は、その一端が凝縮器(12)の冷媒流出口に接続され、他端が膨張弁(13)の冷媒流入口に接続されている。それにより、冷媒供給管(33)の一端には凝縮器(12)から流出した冷媒が流入し、流入した冷媒が他端から流出する。冷媒供給管(33)の他端から流出した冷媒は、膨張弁(13)に入る。
−熱スイッチ−
熱スイッチ(80)は、電気的に熱伝導率が変化する素子であり、本発明の熱伝導率可変部の一例である。この例では、熱スイッチ(80)では、2つの電極(81,82)の間に電気レオロジーゲル(83)が挟み込まれており、略平板状の形態を有する。熱スイッチ(80)の両電極(81,82)に直流電圧を印加すると、電気レオロジーゲル内に分散している電気レオロジー粒子が移動し、熱スイッチ(80)では、両電極(81,82)の間の熱伝導率が変化する。具体的に、この熱スイッチ(80)では、直流電圧を印加すること(つまりエネルギーを供給すること)によって熱伝導率が増加する。なお、本実施形態の熱スイッチ(80)は、両電極(81,82)に印加する直流電圧に応じて熱スイッチ(80)の熱伝導率が線形的に変化する。
熱スイッチ(80)は、電気的に熱伝導率が変化する素子であり、本発明の熱伝導率可変部の一例である。この例では、熱スイッチ(80)では、2つの電極(81,82)の間に電気レオロジーゲル(83)が挟み込まれており、略平板状の形態を有する。熱スイッチ(80)の両電極(81,82)に直流電圧を印加すると、電気レオロジーゲル内に分散している電気レオロジー粒子が移動し、熱スイッチ(80)では、両電極(81,82)の間の熱伝導率が変化する。具体的に、この熱スイッチ(80)では、直流電圧を印加すること(つまりエネルギーを供給すること)によって熱伝導率が増加する。なお、本実施形態の熱スイッチ(80)は、両電極(81,82)に印加する直流電圧に応じて熱スイッチ(80)の熱伝導率が線形的に変化する。
また、この例では、熱スイッチ(80)は、各電極(81,82)の外側(電気レオロジーゲル(83)に面してない側)が平坦面となっている。そして、熱スイッチ(80)では、図5に示すように、一方の電極(81)の該平坦面が冷却器(31)の吸熱面(32a)に接し、他方の電極(82)の該平坦面がパワーモジュール(50)の放熱面(52)に接している。したがって、熱スイッチ(80)に印加する直流電圧を制御することで、パワーモジュール(50)と冷却器(31)との間の熱伝導を制御することができる。なお、説明の便宜のため、熱スイッチ(80)において熱伝導が実質的に不可能な状態(パワーモジュール(50)の冷却に実用的な熱伝導率を得られない状態)を、熱スイッチ(80)の「オフ状態」と命名し、熱伝導が実質的に可能な状態(パワーモジュール(50)の冷却に実用的な熱伝導率を得られる状態)を「オン状態」と命名する。
−直流電源−
直流電源(90)は、熱スイッチ(80)の両電極(81,82)に電圧を印可するための電源である。直流電源(90)には、種々のものを採用できるが、例えば、DC-DCコンバータを用いること等が考えられる。直流電源(90)から熱スイッチ(80)への電圧印加は、制御部(40)が制御する。
直流電源(90)は、熱スイッチ(80)の両電極(81,82)に電圧を印可するための電源である。直流電源(90)には、種々のものを採用できるが、例えば、DC-DCコンバータを用いること等が考えられる。直流電源(90)から熱スイッチ(80)への電圧印加は、制御部(40)が制御する。
−結露センサ−
結露センサ(60)は、空気中の湿度(相対湿度)に応じて、電気抵抗が変化する素子である。この例では、結露センサ(60)は、冷却器(31)の表面、より具体的には冷媒供給管(33)の近傍に取り付けられている。また、結露センサ(60)の出力は、制御部(40)に入力されている。
結露センサ(60)は、空気中の湿度(相対湿度)に応じて、電気抵抗が変化する素子である。この例では、結露センサ(60)は、冷却器(31)の表面、より具体的には冷媒供給管(33)の近傍に取り付けられている。また、結露センサ(60)の出力は、制御部(40)に入力されている。
〈制御部〉
制御部(40)は、例えばマイクロコンピュータとそれを動作させるソフトウエアで構成される。この制御部(40)には、圧縮機(11)、各空冷ファン(12a,14a)、及び膨張弁(13)が接続され、圧縮機(11)のモータ(M)の回転速度、それぞれの空冷ファン(12a,14a)の回転速度、及び膨張弁(13)の開度を制御する。例えば、制御部(40)は、6個のスイッチング素子(Q)に制御信号を出力して、モータ(M)の各相に流れる電流(iu,iv,iw)を制御する。それにより、モータ(M)の回転速度が制御されることになる。この回転速度の制御は、空気調和装置(1)の負荷などに応じて行われる。
制御部(40)は、例えばマイクロコンピュータとそれを動作させるソフトウエアで構成される。この制御部(40)には、圧縮機(11)、各空冷ファン(12a,14a)、及び膨張弁(13)が接続され、圧縮機(11)のモータ(M)の回転速度、それぞれの空冷ファン(12a,14a)の回転速度、及び膨張弁(13)の開度を制御する。例えば、制御部(40)は、6個のスイッチング素子(Q)に制御信号を出力して、モータ(M)の各相に流れる電流(iu,iv,iw)を制御する。それにより、モータ(M)の回転速度が制御されることになる。この回転速度の制御は、空気調和装置(1)の負荷などに応じて行われる。
また、制御部(40)は、熱スイッチ(80)のオン-オフ制御を行う。例えば、制御部(40)が熱スイッチ(80)をオン状態に制御すると、パワーモジュール(50)の熱は、熱スイッチ(80)を介して本体部(32)に伝わり、その後、冷媒供給管(33)内の冷媒に伝わる。すなわち、熱スイッチ(80)がオン状態に制御されると、パワーモジュール(50)と冷媒回路(10)の冷媒との熱交換が可能になる。一方、熱スイッチ(80)がオフ状態に制御されると、パワーモジュール(50)と本体部(32)との間で実質的に熱の移動が不可能になる。
〈結露防止のための熱スイッチの制御〉
例えば、冷却器(31)に対して何らの制御も行わないとすれば、空気調和装置(1)の運転状態によっては、パワーモジュール(50)の放熱面(52)が冷却器(31)によって冷却されることによって、放熱面(52)と熱的に繋がっているリードピン(51)の温度が雰囲気の温度よりも下がる場合がある。リードピン(51)の温度がこのように下がると、リードピン(51)において結露を生ずる可能性がある。それを防止するため、本実施形態の制御部(40)は、結露センサ(60)の出力を定期的にモニターし、その出力に基づいて、熱スイッチ(80)をオン状態とオフ状態の2段階に切り換えている。
例えば、冷却器(31)に対して何らの制御も行わないとすれば、空気調和装置(1)の運転状態によっては、パワーモジュール(50)の放熱面(52)が冷却器(31)によって冷却されることによって、放熱面(52)と熱的に繋がっているリードピン(51)の温度が雰囲気の温度よりも下がる場合がある。リードピン(51)の温度がこのように下がると、リードピン(51)において結露を生ずる可能性がある。それを防止するため、本実施形態の制御部(40)は、結露センサ(60)の出力を定期的にモニターし、その出力に基づいて、熱スイッチ(80)をオン状態とオフ状態の2段階に切り換えている。
例えば、制御部(40)は、結露センサ(60)の出力に基づいて冷却器(31)において結露が起こる可能性がないと判断される場合には、熱スイッチ(80)をオン状態に制御し、結露が起こる可能性がある場合にはオフ状態に制御する。熱スイッチ(80)をオフ状態に制御すると、冷却器(31)によってパワーモジュール(50)が冷却されなくなる。その結果、パワーモジュール(50)における結露(例えばリードピン(51)における結露)が防止される。なお、この例では具体的に、熱スイッチ(80)をオン状態に制御する際には、制御部(40)は、直流電源(90)を制御して、熱スイッチ(80)の電極(81,82)に所定の直流電圧を印加する。一方、熱スイッチ(80)をオフ状態に制御する際には、制御部(40)は、直流電源(90)の出力をオフにして、熱スイッチ(80)の電極(81,82)に直流電圧を印加しない。
なお、熱スイッチ(80)をオフ状態としても、冷却器(31)の本体部(32)や冷媒供給管(33)の結露は防止されない。しかしながら、冷却器(31)が結露したとしても、冷却器(31)の配置の形態を適宜考慮することで、その結露水がパワーモジュール(50)(回路素子)や配線基板(70)に付着しないようにできる。つまり、パワーモジュール(50)は結露すること自体が好ましくないが、冷却器(31)が結露すること自体は問題ないのである。
〈本実施形態における効果〉
以上のように、本実施形態によれば、冷媒回路にバイパス回路を設けて、バイパス回路の冷媒流量を電気式膨張弁等によって制御しつつバイパス回路によって冷媒を冷却器に供給する例(従来例と呼ぶ)と比べると、簡略な構造で結露の防止を図ることが可能になる。しかも、本実施形態では、冷却器(31)を制御しても、その制御が冷媒回路(10)の冷媒流量に影響を及ぼさないので、冷媒回路(10)の制御が従来例よりも容易になる。
以上のように、本実施形態によれば、冷媒回路にバイパス回路を設けて、バイパス回路の冷媒流量を電気式膨張弁等によって制御しつつバイパス回路によって冷媒を冷却器に供給する例(従来例と呼ぶ)と比べると、簡略な構造で結露の防止を図ることが可能になる。しかも、本実施形態では、冷却器(31)を制御しても、その制御が冷媒回路(10)の冷媒流量に影響を及ぼさないので、冷媒回路(10)の制御が従来例よりも容易になる。
《実施形態1の変形例》
冷媒回路(10)における冷却器(31)の接続位置は、前記の例には限定されない。図6は、実施形態1の変形例に係る空気調和装置(1)の冷媒回路(10)を示す。この例では、冷却器(31)の冷媒供給管(33)は、膨張弁(13)と蒸発器(14)の間の冷媒配管(15)に接続されている。具体的にこの例では、冷却器(31)の冷媒供給管(33)の一端が膨張弁(13)の冷媒出口に接続され、冷媒供給管(33)の他端が蒸発器(14)の冷媒入口に接続されている。この例では、熱スイッチ(80)がオンの場合には、冷却器(31)は、膨張弁(13)を通過した後の、比較的、低圧且つ低温の冷媒によってパワーモジュール(50)が冷却されることになる。また、熱スイッチ(80)をオフ状態にすると、冷却器(31)によってパワーモジュール(50)が冷却されなくなる。その結果、パワーモジュール(50)の結露(例えばリードピン(51)における結露)の防止が可能になる。
冷媒回路(10)における冷却器(31)の接続位置は、前記の例には限定されない。図6は、実施形態1の変形例に係る空気調和装置(1)の冷媒回路(10)を示す。この例では、冷却器(31)の冷媒供給管(33)は、膨張弁(13)と蒸発器(14)の間の冷媒配管(15)に接続されている。具体的にこの例では、冷却器(31)の冷媒供給管(33)の一端が膨張弁(13)の冷媒出口に接続され、冷媒供給管(33)の他端が蒸発器(14)の冷媒入口に接続されている。この例では、熱スイッチ(80)がオンの場合には、冷却器(31)は、膨張弁(13)を通過した後の、比較的、低圧且つ低温の冷媒によってパワーモジュール(50)が冷却されることになる。また、熱スイッチ(80)をオフ状態にすると、冷却器(31)によってパワーモジュール(50)が冷却されなくなる。その結果、パワーモジュール(50)の結露(例えばリードピン(51)における結露)の防止が可能になる。
そして、本変形例でも、前記実施形態と同様に、従来例と比べると、簡略な構造で結露の防止を図ることが可能になる。
《発明の実施形態2》
図7は、本発明の実施形態2の冷却器(31)及び熱スイッチ(80)の横断面図である。この例でも熱スイッチ(80)は、平板状の形態を有し、冷却器(31)の本体部(32)における吸熱面(32a)の全面を覆っている。吸熱面(32a)の全面を熱スイッチ(80)で覆うことで、例えば冷却器(31)の上面(32c)が結露したとしても熱スイッチ(80)をオフ状態に制御しておけば、熱スイッチ(80)の露出面(空気の触れる面)における結露の防止が可能になる。したがって、本実施形態では、冷却器(31)の結露水の対策、すなわち配線基板(70)等への結露水の流入防止が、実施形態1やその変形例と比べ、より容易になる。
図7は、本発明の実施形態2の冷却器(31)及び熱スイッチ(80)の横断面図である。この例でも熱スイッチ(80)は、平板状の形態を有し、冷却器(31)の本体部(32)における吸熱面(32a)の全面を覆っている。吸熱面(32a)の全面を熱スイッチ(80)で覆うことで、例えば冷却器(31)の上面(32c)が結露したとしても熱スイッチ(80)をオフ状態に制御しておけば、熱スイッチ(80)の露出面(空気の触れる面)における結露の防止が可能になる。したがって、本実施形態では、冷却器(31)の結露水の対策、すなわち配線基板(70)等への結露水の流入防止が、実施形態1やその変形例と比べ、より容易になる。
《発明の実施形態3》
また、図8は、本発明の実施形態3の冷却器(31)及び熱スイッチ(80)の横断面図である。この例でも、熱スイッチ(80)は、平板状の形態を有し、冷却器(31)の本体部(32)内部を熱的に2分して吸熱面(32a)を冷媒供給管(33)と熱的に切り離せるように、該本体部(32)の内部に埋め込まれている。具体的にこの例では、吸熱面(32a)の平面形状と熱スイッチ(80)の平面形状とは同じである。この例では、吸熱面(32a)は、実施形態1の例と同様に、使用状態では、全面が露出する(すなわち空気に触れる)ことになる。
また、図8は、本発明の実施形態3の冷却器(31)及び熱スイッチ(80)の横断面図である。この例でも、熱スイッチ(80)は、平板状の形態を有し、冷却器(31)の本体部(32)内部を熱的に2分して吸熱面(32a)を冷媒供給管(33)と熱的に切り離せるように、該本体部(32)の内部に埋め込まれている。具体的にこの例では、吸熱面(32a)の平面形状と熱スイッチ(80)の平面形状とは同じである。この例では、吸熱面(32a)は、実施形態1の例と同様に、使用状態では、全面が露出する(すなわち空気に触れる)ことになる。
本実施形態でも、例えば冷却器(31)の上面(32c)が結露したとしても、熱スイッチ(80)をオフ状態に制御しておけば、吸熱面(32a)の全面が不要に温度低下しない。すなわち、本実施形態でも吸熱面(32a)の全面の結露防止が可能である。したがって、本実施形態でも、冷却器(31)の結露水の対策、すなわち配線基板(70)等への結露水の流入防止が、実施形態1等と比べ、より容易になる。
なお、熱スイッチ(80)の形状や大きさは例示であり、熱スイッチ(80)は、必ずしも吸熱面(32a)と冷媒供給管(33)とを完全に熱的に2分する必要はない。すなわち、前記のように、熱スイッチ(80)を冷却器(31)の内部に埋め込む場合において、熱スイッチ(80)の平坦面を吸熱面(32a)よりも小さくする構成も可能である。
《その他の実施形態》
<1> なお、回路素子冷却部(30)による冷却の対象とする回路素子は、パワーモジュール(50)には限定されない。例えば、空気調和装置(1)等の冷凍装置の用途では、リアクトル(L)や、インバータ回路(23)の制御の際の電流検出に用いるシャント抵抗(R)を冷却することが考えられる。
<1> なお、回路素子冷却部(30)による冷却の対象とする回路素子は、パワーモジュール(50)には限定されない。例えば、空気調和装置(1)等の冷凍装置の用途では、リアクトル(L)や、インバータ回路(23)の制御の際の電流検出に用いるシャント抵抗(R)を冷却することが考えられる。
<2> また、冷媒回路(10)における冷却器(31)の取付位置は例示であり、前記実施形態1やその変形例で示した位置には限定されない。例えば、冷媒回路(10)の所定の部位にバイパス回路を設けて冷却器(31)を繋いでもよい。具体的には、冷却器(31)を膨張弁(13)と並列に接続することが考えられる。バイパス回路を設けた場合にも、回路素子冷却部(30)には、従来例のような流量の調整機構は不要なので、従来例よりも、簡略な構造で結露防止を図ることができる。
<3> また、熱スイッチ(80)は、電圧の印加に応じて熱伝導率が変化するものには限定されない。例えば、磁場や超音波によって熱伝導率を制御する熱スイッチを採用してもよい。
<4> また、熱スイッチ(80)の制御に際し、結露センサ(60)は必須ではない。例えば、結露センサ(60)の代わりに、冷却器(31)に流れ込む冷媒の温度と外気温度とを検知し、それらの情報に基づいて結露が発生するか否かを判断してもよい。
<5> また、熱スイッチ(80)の制御は、前記のようなオン-オフ制御には限定されない。例えば、PWM(Pulse Width Modulation)方式で制御したり、温度センサ(例えば外気温を検知する温度センサ)等の検出値や、検出値から算出したパラメータに比例して印加する電圧等を変えるリニア制御を採用したりすることが可能である。
<6> また、運転中に熱スイッチ(80)がオン状態である期間の方がオフ状態の期間よりも長い用途では、熱スイッチ(80)は、エネルギーを供給すること(例えば直流電圧を印加すること)によって熱伝導率が減少する構造(説明の便宜のためこのスイッチ構造をノーマリーオン型と呼ぶ)のものを採用すると省エネルギー化が可能になる。ノーマリーオン型の熱スイッチ(80)は、例えば、実施形態1の例のように、比較的、高圧、高温の冷媒を冷却器(31)に流す場合に有用と考えられる。
一方、運転中に熱スイッチ(80)がオフ状態である期間の方がオン状態の期間よりも長い用途では、熱スイッチ(80)は、エネルギーを供給すること(例えば直流電圧を印加すること)によって熱伝導率が増加する構造(説明の便宜のためこのスイッチ構造をノーマリーオフ型と呼ぶ)のものを採用すると省エネルギー化が可能になる。ノーマリーオフ型の熱スイッチ(80)は、例えば、実施形態1の変形例のように、比較的、低圧、低温の冷媒を冷却器(31)に流す場合に有用と考えられる。
本発明は、冷凍装置として有用である。
1 空気調和装置(冷凍装置)
10 冷媒回路
12 凝縮器
13 膨張弁(膨張機構)
14 蒸発器
31 冷却器
50 パワーモジュール(回路素子)
80 熱スイッチ(熱伝導率可変部)
10 冷媒回路
12 凝縮器
13 膨張弁(膨張機構)
14 蒸発器
31 冷却器
50 パワーモジュール(回路素子)
80 熱スイッチ(熱伝導率可変部)
Claims (5)
- 冷媒が流れて冷凍サイクルを行う冷媒回路(10)と、
前記冷媒回路(10)の制御、又は電力供給に用いる回路素子(50)を冷却する冷却器(31)と、
熱伝導率が電気的又は磁気的に可変に構成され、前記冷却器(31)の内部又は前記冷却器(31)と前記回路素子(50)との間に設けられた熱伝導率可変部(80)と、
を備えたことを特徴とする冷凍装置。 - 請求項1において、
前記冷却器(31)は、冷媒回路(10)に接続され、前記回路素子(50)を冷媒によって冷却することを特徴とする冷凍装置。 - 請求項2において、
前記熱伝導率可変部(80)は、エネルギーを供給することによって熱伝導率が減少するものであり、
前記冷却器(31)は、前記冷媒回路(10)に設けられた凝縮器(12)と膨張機構(13)との間に配置されていることを特徴とする冷凍装置。 - 請求項2において、
前記熱伝導率可変部(80)は、エネルギーを供給することによって熱伝導率が増加するものであり、
前記冷却器(31)は、前記冷媒回路(10)に設けられた膨張機構(13)と蒸発器(14)との間に配置されていることを特徴とする冷凍装置。 - 請求項2において、
前記冷却器(31)は、前記冷媒回路(10)に設けられた膨張機構(13)と並列に接続されていることを特徴とする冷凍装置。
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